説明

クルーズコントロール装置の接続方法

【課題】 電子制御スロットル車のアクセルセンサとエンジンコンピュータ間に設置するクルーズコントロール装置において、ブレーキランプのヒューズが断線した場合であっても、確実にクルーズコントロールを解除することのできる後付けのクルーズコントロール装置の接続方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 電子制御スロットル装置を搭載した車両の、アクセルセンサとエンジンコンピュータ間に設置するクルーズコントロール装置において、該クルーズコントロール装置の電源を、車両のブレーキスイッチの一次側に接続することにより、ブレーキランプ用のヒューズが断線した場合でもクルーズコントロールが確実に解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御スロットルを搭載した車両の、アクセルセンサとエンジンコンピュータ間に設置するクルーズコントロール装置の接続方法に関し、特にブレーキランプのヒューズが断線した場合であっても、クルーズコントロールを解除させることを可能としたクルーズコントロール装置の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクセルペダルを踏まなくてもセットした速度を保って巡航するためのクルーズコントロール装置を予め備えた車両が知られている。クルーズコントロールは、インストルメントパネルやステアリング近傍に備えられた操作スイッチや設定ボタンにより、巡航速度設定、加速、減速、解除、復帰(リジューム)を行なう。ドライバーが、走行時にクルーズコントロールの速度設定をすればその速度で定速巡航が開始される。巡航速度から加速したい場合は、アクセルペダルを踏めば加速し、アクセルペダルを離せば加速前の巡航速度まで緩やかに復帰し再び定速巡航を開始する。また、ドライバーがブレーキペダルあるいはクラッチペダルを踏むか、解除ボタンを押すことによってクルーズコントロールは解除され追突事故を防止する。さらに、クルーズコントロールの解除後に、ドライバーが復帰(リジューム)スイッチを操作すれば、以前記憶した速度まで緩やかに加速あるいは減速した後に定速巡航が開始される。このようにクルーズコントロールは、特に高速走行時に長時間アクセルペダルを踏み続けることから開放されるので、ドライバーの疲労を軽減したり、さらには無駄なアクセルの踏み込みが無くなるので、省燃費運転に大きな効果を奏する。特に省エネルギーが叫ばれる昨今ではクルーズコントロールが改めて見直されている。
【0003】
例えば、特開2001−334840号公報(特許文献1)、特開2004−210132号公報(特許文献2)を一般的なクルーズコントロール装置の先行技術として示す。
【0004】
また近年、車両のスロットル装置は電子制御スロットルが主流となっており、そのため、アクセルセンサとエンジンコンピュータを接続するコネクターに介装して接続することで、容易に取り付けが可能で汎用性の高い、後付けのクルーズコントロール装置が開発されている。このような後付けのクルーズコントロール装置は、予めクルーズコントロール装置が備えられていない車両にも容易に取り付けることができることから、さらなる普及が見込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2001−334840号公報
【特許文献2】 特開2004−210132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したクルーズコントロール装置は、既設、後付けの装置にかかわらず、作動中の定速巡航時にドライバーがブレーキペダルを踏むことによってクルーズコントロールが解除され、追突事故を防止するように構成されている。特に、後付けのクルーズコントロール装置においては、クルーズコントロール装置の電源を常時通電ラインまたはキーがON時に通電するイグニッションラインから供給するとともに、ブレーキスイッチの信号をブレーキランプとブレーキスイッチの間から得ている。このような接続方法の場合では、ブレーキランプのヒューズが断線したときにはブレーキペダルを踏んでもブレーキスイッチの信号が得られず、クルーズコントロールによって定速巡航している状態からブレーキを踏んでもクルーズコントロールが解除されず、追突事故を起こすといった危険性を孕(はら)んでいる。
【0007】
本発明は、前記した問題を解消し、ブレーキランプのヒューズが断線した場合であっても、確実にクルーズコントロールを解除することのできる後付けのクルーズコントロール装置の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は本発明によれば、電子制御スロットル装置を搭載した車両の、アクセルセンサとエンジンコンピュータ間に設置するクルーズコントロール装置において、該クルーズコントロール装置の電源を、車両のブレーキスイッチの一次側に接続することにより、ブレーキランプ用のヒューズが断線した場合でもクルーズコントロールが確実に解除されることで解決される。
【発明の効果】
【0009】
上記の課題は本発明の第1実施例によれば、電子制御スロットル装置を搭載した車両の、アクセルセンサとエンジンコンピュータ間に設置するクルーズコントロール装置の電源を、車両のブレーキスイッチの一次側に接続することにより、ブレーキランプのヒューズが断線した場合には、クルーズコントロール装置への電源供給がストップしてクルーズコントロールが確実に解除される、あるいは最初から使用不能となるので、極めて安全性に優れ、取り付けが容易で汎用性の高い、後付けのクルーズコントロール装置の接続方法を提供することを可能としたものである。
【0010】
また、上記の課題は本発明の第2実施例によれば、前記クルーズコントロール装置に、アクセル信号変換機能を組み込んだものである。これにより、クルーズコントロールを使用していない時でも、アクセルセンサの開度信号を減衰させ、アクセルセンサの開度信号と踏み込み量の比率を1対1から0.8対1などにできる。これによりクルーズコントロールの省燃費効果に加えてエコ運転時などのアクセル操作を容易とすることを可能とした極めて安全性に優れ、取り付けが容易で汎用性の高い、後付けのクルーズコントロール装置の接続方法を提供することを可能としたものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す出力電圧のグラフである。
【発明を実施させるための形態】

【実施例1】
【0012】
本発明の、第1の実施例について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施例を示すブロック図である。
【0013】
図1に示されるように、クルーズコントロール装置本体(1)(以下、本体(1)という)は、マイクロコンピュータ(1c)、A/Dコンバータ(1b)、D/Aコンバータ(1g)、操作部(1d)、表示部(1e)、EEPROM(1f)、リレー(1a)から構成されている。操作部(1d)は、クルーズコントロールの巡航速度設定、加速、減速、解除、復帰(リジューム)を行なう。表示部(1e)は、本体(1)の電源や制御状態、設定状態などを表示するためのLED、または7セグメント素子などである。
【0014】
このように構成された本体(1)は、エンジンコンピュータ(3)とアクセルセンサ(4)とを接続するコネクターに介装して接続する。本体(1)への電源は、特にブレーキスイッチ(5)の1次側(5a)に接続して得る。クルーズコントロールを解除するための重要な条件であるブレーキ信号は、ブレーキランプ(6)とブレーキスイッチ(5)間のケーブルに接続して得る。
【0015】
車両に接続された本体(1)は、アクセルセンサ(4)からのアクセル開度信号を、リレー(1a)のノーマルクローズ1(以下NC)からA/Dコンバータ(1b)を介するとともに、マイクロコンピュータ(1c)に直接入力する。そして、アクセルセンサ(4)からのアクセル開度信号を、マイクロコンピュータ(1c)で値に対する処理及び制御を行いD/Aコンバータ(1g)からリレー(1a)のノーマルオープン1(以下NO)、コモン1(以下COM)を介してエンジンコンピュータ(3)へ出力し、クルーズコントロール装置としての各種制御を行う。なお、本体(1)に電源が供給されていない場合は、アクセルセンサ(4)からリレー(1a)のNC、COMを経由してエンジンコンピュータ(3)へ信号が入力され、クルーズコントロール装置が装着されていない状態の通常の制御となる。
【0016】
以上のように構成された本発明のクルーズコントロール装置の接続方法は、特に本体(1)への電源供給を、車両のブレーキスイッチ(5)の一次側(5a)に限定して接続することを大きな特徴としている。このように本体(1)への電源を車両のブレーキスイッチ(5)の一次側(5a)に限定して接続して得ることにより、クルーズコントロールの動作中、非動作中に係わらず、ブレーキランプ(6)のヒューズ(7)が断線した場合には、クルーズコントロール装置への電源供給がストップして無条件にすべての設定が解除される。本体(1)への電源供給を従来製品のように常時通電ラインまたはキーがON時に通電するイグニッションラインから供給した場合では、ブレーキランプ(6)のヒューズ(7)が断線したとしてもクルーズコントロールは動作するので、結果的にブレーキを踏んだとしてもクルーズコントロールは解除されず追突といった事態を確実に回避することが可能となるのである。
【0017】
また、図1のブレーキスイッチ(5)の一次側はヒューズ(7)を経由してバッテリーにつながっているが、直接バッテリーではなくイグニッションキーやイグニッションリレーなどが介在していても同様の効果を得られることは言うまでもない。さらにまた、操作部(1d)にて最低限の操作であるクルーズコントロールの巡航速度設定、解除のみを行うようにしてもよいし、操作部(1d)や表示部(1e)を、本体(1)とは別に外部に設けてもよいことは言うまでもない。
【実施例2】
【0018】
本発明の、第2の実施例について図面を参照して詳細に説明する。図2は本発明の第2の実施例を示す出力電圧のグラフである。
【0019】
第2の実施例では、第1の実施例で説明したクルーズコントロール装置本体(1)に、アクセル信号変換機能を組み込んだものである。アクセル信号変換機能とは、アクセルセンサの開度信号を減衰させることにより、アクセルペダルの踏み込み量に対する電子スロットル開度を変化させるアクセルセンサ信号の変換装置であって、アクセルセンサの開度信号は、アクセルペダルの全閉状態をアクセル開度0%、アクセルペダルの全開状態をアクセル開度100%として初期設定を行うとともに、アクセル開度0%よりも大きくアクセル開度100%以下の任意範囲を減衰開始ポイントと減衰終了ポイントとして減衰するように構成している。
【0020】
アクセルセンサ(4)より出力される電圧を、本体(1)内部のリレー(1a)、A/Dコンバータ(1b)を介してマイクロコンピュータ(1c)に入力する。その後マイクロコンピュータ(1c)にて入力された値に対する処理を行い、リレー(1a)、D/Aコンバータ(1g)を介してエンジンコンピュータ(3)に出力する。
【0021】
クルーズコントロール装置本体(1)に組み込まれたアクセル信号変換機能は、車両のイグニッションキーON(エンジン停止状態)でアクセルペダルを全閉状態にし、操作部(1d)内のスイッチ1(図示せず)を押す。このときの値を全閉状態としてEEPROM(1f)に記憶させる。次にアクセルペダルを全開状態にして、もう一度操作部(1d)内のスイッチ2(図示せず)を押す。このときの値を全開状態としてEEPROM(1f)に記憶させる。
【0022】
図2は、通常の状態のアクセルセンサ出力電圧(8)とアクセルセンサ信号変換機能の出力電圧(9)を比較したグラフである。(8)はEEPROM(1f)に記憶した全閉時電圧を0%、全開時電圧を100%として考えたときのアクセルセンサ出力電圧の変化を示す。他方(9)は、(8)よりアクセル開度50%のとき出力が入力の半分になるように減衰し、減衰開始ポイントをアクセル開度10%として、アクセル開度50%間を直線補間し、減衰終了ポイントをアクセル開度70%としてアクセル開度50%間を直線補間するように、マイクロコンピュータのファームウェアを構成したときの状態を示すものである。
【0023】
このようにアクセル開度10%から50%までが出力側にてアクセル開度10%から25%になるので、踏みしろが倍になり、特に燃費高率の悪い車両の発進直後から一定の速度に至る迄の間のアクセルセンサの開度信号を減衰して出力するので、エコ運転を容易にかつ効率良く行うことを実現した。また、アクセルペダルの全閉状態をアクセル開度0%、アクセルペダルの全開状態をアクセル開度100%として初期設定を行う構成としたので、電子制御スロットルを搭載する車両であれば車両個々に異なるアクセルセンサ信号のアクセルペダルの全閉状態と全開状態を設定して、確実に減衰開始ポイントと減衰終了ポイントの間だけを減衰することが可能となり、取り付けの汎用性をも高めたものでる。なお、減衰開始ポイント、減衰終了ポイントや減衰率を固定して説明したが、操作部に可変抵抗器などを追加して減衰開始ポイント、減衰終了ポイント、減衰率を任意で設定できるようにしてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0024】
1 クルーズコントロール装置本体
1a リレー
1b A/Dコンバータ
1c マイクロココンピュータ
1d 操作部
1e 表示部
1f EEPROM
1g D/Aコンバータ
2 スロットルボディ
2a スロットル開度センサ
2b モータ
3 エンジンコンピュータ
4 アクセルセンサ
5 ブレーキスイッチ
5a ブレーキスイッチ1次側
6 ブレーキランプ
7 ヒューズ
8 通常の状態のアクセルセンサ出力電圧
9 アクセルセンサ信号変換機能の出力電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子制御スロットル装置を搭載した車両の、アクセルセンサとエンジンコンピュータ間に設置するクルーズコントロール装置において、該クルーズコントロール装置の電源を、車両のブレーキスイッチの一次側に接続することにより、ブレーキランプ用のヒューズが断線した場合にクルーズコントロールが確実に解除されることを特徴とするクルーズコントロール装置の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−162171(P2011−162171A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44668(P2010−44668)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(592029773)株式会社ピボット (17)
【Fターム(参考)】