説明

クレーン

【課題】動力用半導体素子などの交換や更新などを容易にすることができるクレーンを提供する。
【解決手段】クレーン本体5と、走行モータから45A,45B,47Aから47D,73,75と、走行モータから45A,45B,47Aから47D,73,75に供給する電力を制御することにより、走行モータから45A,45B,47Aから47D,73,75の出力を制御するモータ制御部と、モータ制御部が内部に配置された電気室29と、が設けられ、電気室29が、クレーン本体5に着脱可能に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン、特にレードルの運搬に用いられるレードルクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製鉄施設や製鋼施設において溶鋼はレードル(溶鍋)に入れられ、レードルごとレードルクレーンにて運搬されている。例えば、溶鋼は電気炉等からレードルに入れられ、レードルクレーンにより転炉等まで運搬された後、転炉等に注湯されている。
レードルクレーンは主巻き装置でレードルを吊り上げた状態で運搬し、補巻き装置でレードルの下部を持ち上げてレードルを傾斜させることにより、溶鋼をレードルから転炉等に注いでいた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−268881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のレードルクレーンにおいて、主巻き装置等を駆動するモータを制御するモータ制御部はレードルクレーンのガーダ内の空間に配置されていた。
モータ制御部はモータに供給する電流や電圧を制御するものであり、当該電流などを制御するための動力用半導体素子などのさまざまな素子を備えたものである。一般的に、これらの素子の寿命はレードルクレーン本体の寿命と比較して短く、また、素子のバージョンアップの期間もレードルクレーン本体の寿命と比較して短い。
このように寿命が尽きるなどして故障した素子を交換するため、素子自体を交換したり、モータ制御部ごと交換されたりしていた。また、バージョンアップなどにより素子の生産が終了した場合には、電流などの制御回路をバージョンアップ後の新たな素子に対応した制御回路に更新する必要があるため、モータ制御部ごと交換する必要があった。
【0004】
しかしながら、モータ制御部はガーダ内の狭い空間に配置されているため、素子自体の交換に手間がかかるという問題があった。特に、素子の寿命が尽きて故障する場合は、比較的短い期間の間に複数の素子が連続して故障するため、素子自体の交換に手間がかかるという問題があった。また、モータ制御部を交換する場合には、ガーダ内に配置されたモータ制御部を交換することになるため交換に手間がかかるとともに、モータ制御部をガーダ内に搬入搬出する必要があるため、交換が困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、動力用半導体素子などの交換や更新などを容易にすることができるクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のクレーンは、クレーン本体と、モータと、該モータに供給する電力を制御することにより、前記モータの出力を制御するモータ制御部と、前記モータ制御部が内部に配置された電気室と、が設けられ、該電気室が、前記クレーン本体に着脱可能に配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、モータ制御部がクレーン本体に配置された電気室の内部に集中して配置されているため、モータ制御部に用いられている動力用半導体素子などの電力制御に用いる素子の交換や更新を容易にすることができる。電気室はクレーン本体とは別個に設けられたものであるため、クレーン本体内の空間にモータ制御部を設けた場合と比較して、電気室内の空間を広く設けることができる。そのため、電気室内における上記素子の交換や更新などの作業を容易に行うことができる。また、電気室内への出入りが容易になるため、上記素子の交換や更新などの作業を容易に行うことができる。
また、クレーン本体に電気室が着脱可能に配置されているため、電気室をクレーン本体から取り外した状態でモータ制御部自体を交換することができる。クレーン本体から取り外した電気室は、モータ制御部の交換により適した場所に移動させることができるため、モータ制御部の交換を容易にすることができる。モータ制御部の交換により適した場所としては、クレーン本体が配置された高所よりも低い場所であって、塵埃等が少ない場所を例示することができる。
【0008】
特に、モータがインバータ制御されるモータであって、モータ制御部がインバータ装置の場合には、インバータ装置のアップグレードが行われる間隔がクレーンの使用期間よりも短いため、アップグレードに合わせてモータ制御部を容易に交換できることが好ましい。
本発明のクレーンはモータ制御部の上記素子やモータ制御部自体の交換が容易であることから、バージョンアップが頻繁に行われる素子等を含むインバータ装置をモータ制御部として使用する場合に用いて好適である。
【0009】
あるいは、クレーン本体から取り外す電気室とは別個の電気室を準備しておき、これらの電気室を交換することによりモータ制御部の交換や、上記素子の交換や更新に必要とされる時間を短縮することができる。交換等が必要な上記素子やモータ制御部は、電気室をクレーン本体から取り外した後に、十分な時間をかけて交換等することができる。
【0010】
電気室内にモータ制御部を集中して配置するとともに、電気室をクレーン本体に配置することで、クレーン本体内にモータ制御部を直接配置する場合と比較して、モータ制御部の設置部品の数を低減することができる。電気室はモータ制御部を内部に配置するもののため、内部はモータ制御部の設置に適した構造とすることができる。そのため、クレーン本体内に直接配置する場合と比較して、モータ制御部を設置するのに用いる設置部品の数を低減することができる。
【0011】
また、電気室からクレーン本体に対して一括して配線を行うことにより、個々のモータ制御部について配線を行う場合と比較して配線工事の手間を削減することができる。電気室はモータ制御部を内部に配置するもののため、モータ制御部から電気室外部までの配線は予め電気室に作りこむことができる。そのため、モータ制御部の上記素子の交換等やモータ制御部自体の交換における配線工事の手間を容易に削減することができる。また、電気室とクレーン本体との間の配線を一本の配線の束に束ねることにより、電気室をクレーン本体に着脱させる際の配線工事の手間を削減することができる。
【0012】
上記発明においては、前記クレーン本体には、走行けたに沿って移動するガーダが設けられ、該ガーダに沿って移動するトロリと、該トロリに設けられ、吊り荷を巻き上げおよび巻き下ろしする巻き装置と、が設けられ、前記モータが、前記ガーダの移動、前記トロリの移動、および、前記巻き装置による前記吊り荷の巻上げおよび巻き下ろしの少なくとも一つに用いられ、前記電気室が、前記ガーダに着脱可能に配置されていることが望ましい。
【0013】
本発明によれば、ガーダやトロリの移動、および、吊り荷の巻き上げ等の少なくとも一つに用いられるモータ制御部の備えられた電気室が、ガーダに着脱可能に配置されているため、モータ制御部の交換やモータ制御部に用いられている上記素子の交換等を容易に行うことができる。ガーダに対して電気室を外部から搬入搬出させるのが容易なため、ガーダに電気室を配置することにより電気室の着脱を容易にすることができる。
【0014】
モータはガーダやトロリの移動、および、吊り荷の巻き上げ等の少なくとも一つに用いられるため、当該モータを制御するモータ制御部には動力用半導体素子などが用いられる。動力用半導体素子などは定期的にアップグレードされるため、アップグレードに合わせてモータ制御部を容易に交換できることが好ましい。
本発明のクレーンはモータ制御部の上記素子やモータ制御部自体の交換が容易であることから、バージョンアップが頻繁に行われる素子等を含むインバータ装置をモータ制御部として使用する場合に用いて好適である。
【0015】
上記発明においては、前記電気室には、前記電気室を吊り下げるクレーンと係合される係合部が設けられていることが望ましい。
【0016】
本発明によれば、係合部が電気室に設けられているため、他のクレーンにより電気室を吊り下げることができ、電気室をクレーン本体に容易に取り付けおよび取り外しすることができる。
特に、レードルクレーンなどの大型クレーンの場合には、モータ制御装置に要求される容量が大きくなり、モータ制御装置の重量は重くなる。このようなモータ制御装置が複数備えられた電気室の重量は重くなるため、電気室をクレーン本体に着脱させる際には電気室を吊り下げるクレーンを用いる必要がある。電気室に係合部を設けたことにより、クレーンを用いて電気室を容易に吊り下げることができるため、電気室の着脱を容易にすることができる。
【0017】
上記発明においては、前記ガーダには、前記電気室を支持する支持部が外側に突出して設けられ、前記電気室には、前記支持部と結合離脱可能に固定される結合部が設けられていることが望ましい。
【0018】
本発明によれば、電気室は結合部を介して、ガーダの支持部に取り付けられるため、支持部に電気室を容易に着脱させることができる。
ガーダから外側に突出して支持部が設けられていることから、電気室を支持部に取り付けおよび取り外しする際に、電気室とガーダなどが干渉しにくくなり、電気室の着脱作業が容易となる。また、結合部を支持部から離脱させることにより電気室を取り外すことができる一方、結合部を支持部に結合させることにより電気室に取り付けることができるため、電気室の着脱作業を容易にすることができる。
【0019】
上記発明においては、前記電気室には、外部から熱の侵入を防ぐ遮熱部が設けられていることが望ましい。
【0020】
本発明によれば、遮熱部が設けられているため、外部から電気室に熱が浸入することを防ぐことができ、熱によるモータ制御部の故障を防止することができる。
例えば、溶鋼が入れられたレードル(溶鍋)が吊り荷の場合には、電気室の下面に遮熱部が配置されていることが望ましい。このように遮熱部を配置することにより、溶鋼からの放射熱が電気室に浸入することを防止できる。
【0021】
上記発明においては、第1のモータと、該第1のモータに供給される電力を制御することにより、前記第1のモータの出力を制御する前記電気室内に設けられた第1のモータ制御部と、第2のモータと、該第2のモータに供給される電力を制御することにより、前記第2のモータの出力を制御する前記電気室内に設けられた複数の第2のモータ制御部と、を備え、前記第2のモータには、第1のモータ制御部から電力供給および停止が制御可能とされていることが望ましい。
【0022】
上記発明においては、前記第1のモータ制御部が、主トロリの複数の巻き上げ用モータの出力をそれぞれ制御する複数の制御部の何れかであり、前記第2のモータ制御部が、補トロリの巻き上げ用モータのモータ制御部であることが望ましい。
【0023】
本発明によれば、第2のモータ制御部が故障したとしても、第1のモータ制御部により第2のモータが稼動されるため、例えば第2のモータによりフックを巻き上げてガーダを安全な位置に移動させてから、電気室の取り外しを行うことができる。
特に、レードル内に溶鋼が入ったままの状態でも、レードル内の溶鋼を転送炉に移してから電気室の取り外しを行うことができる。そのため、電気室の取り外しにかかる手間を省くことができるとともに、電気室内に配置された部品などを素早く安全に修理することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のクレーンによれば、モータ制御部がクレーン本体に配置された電気室の内部に集中して配置されているとともに、クレーン本体に電気室が着脱可能に配置されているため、電気室をクレーン本体から取り外した状態でモータ制御部自体を交換することができ、動力用半導体素子などの交換や更新などを容易にすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
この発明の一実施形態に係るレードルクレーンについて、図1から図8を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るレードルクレーンの構成を説明する平面視図である。
レードルクレーン(クレーン)1は、図1に示すように、エンドタイ3と、主ガーダ(クレーン本体)5と、補ガーダ7と、主トロリ(トロリ)9と、補トロリ(トロリ)11と、を備えている。
【0026】
図2は、図1の主ガーダおよび主トロリの構成を説明する側面視図である。
エンドタイ3は、図2に示すように、走行けた15に設けられた走行レール17に沿って延びる一対の部材であって、走行レール17上を走行する走行装置19が設けられている。また、エンドタイ3には、図1に示すように、主ガーダ5と補ガーダ7とが取り付けられている。
【0027】
図3は、図1のレードルクレーンの構成を説明する概略図である。
走行装置19は走行レール17とエンドタイ3との間に配置され、レードルクレーン1を走行レール17に沿って走行させるものである。本実施形態では、4つの走行装置19がエンドタイ3の両端部に備えられた実施形態に適用して説明する。
各走行装置19には、図3に示すように、レードルクレーン1を走行レール17に沿って走行させる走行モータ(モータ)21A,21Bと、走行モータ(モータ)21C,21Dと、走行モータ(モータ)21E,21Fと、走行モータ(モータ)21G,21Hと、がそれぞれ備えられている。
【0028】
なお、走行モータ21A,21B,21C,21D,21E,21F,21G,21Hとしては、インバータ制御される公知のモータを用いることができ、特に限定するものではない。
【0029】
図4は、図3の走行モータにおける電気回路の構成を説明するブロック図である。
走行モータ21A,21Bには、図4に示すように、走行用インバータ装置(インバータ装置)23Aから電力が供給されている。同様に、走行モータ21C,21Dには走行用インバータ装置(インバータ装置)23Cから電力が供給され、走行モータ21E,21Fには走行用インバータ装置(インバータ装置)23Eから電力が供給され、走行モータ21G,21Hには走行用インバータ装置(インバータ装置)23Gから電力が供給されている。これら走行用インバータ装置23A,23C,23E,23Gには、外部から交流電力が供給されている。
【0030】
なお、走行用インバータ装置23A,23C,23E,23Gは、供給電力に対して可変電圧可変周波数制御を行うことで走行モータ21A,21B,21C,21D,21E,21F,21G,21Hを制御してもよいし、定電圧定周波数制御や、可変電圧定周波数制御や、定電圧可変周波数制御などを行ってもよく、特に限定するものではない。
【0031】
主ガーダ5は、一対のエンドタイ3を繋ぐように配置された一対の梁状の部材であって、主トロリ9をその上に移動可能に載せるものである。主ガーダ5は、エンドタイ3に対して略直交するように配置されているとともに、後述する補ガーダ7の外側に配置されている。
主ガーダ5の上面(図1における紙面に対して手前側の面)には、主ガーダ5に沿って延びる主横行レール27が配置され、主ガーダ5の側面(図1における下側の面)には、後述する主巻きインバータ装置59Aなどが納められた電気室29と、が設けられている。
主横行レール27は主トロリ9を上に載せて、走行レール17に対して略直交する方向(以後、横行方向と表記する。)に沿って導くものである。
【0032】
図5は、図1の主トロリ、補トロリおよび電気室の構成を説明する断面図である。
電気室29は、図5に示すように、主ガーダ5の側面(図5の左側の面)と対向する位置に配置された箱状の部材である。電気室29の上面(図5の上側の面)には、主ガーダ5から延びる支持部31に固定される結合部33が設けられているとともに、図2に示すように、クレーンのフック(図示せず)と係合する係合部35とが設けられている。電気室29の下面(図5の下側の面)には、下面を覆う遮熱部37が備えられている。また、遮熱部37は、主ガーダ5の下面にも備えられている。電気室29は、支持部31と結合部33とを結合したり離脱させたりすることにより、支持部31に取り付けられたり取り外されたりする。
電気室29の内部には、主巻きインバータ装置59A,59B,59C,59Dと、補巻きインバータ装置87(図6参照。)と、主横行インバータ装置67A,67Bと、補横行インバータ装置95(図7参照。)と、走行用インバータ装置23A,23C,23E,23G(図4参照。)と、が配置されている。主巻きインバータ装置59A,59B,59C,59Dなどは、電気室29が支持部31に取り付けられている間は、後述する主巻きモータ47Aなどと電気的に接続されている。
【0033】
なお、電気室29は海上コンテナと同程度の大きさ、例えば40フィートコンテナ程度の大きさの部材であることが望ましい。このような大きさとすることで、電気室29の運搬に船舶やトレーラなどを用いることができ、電気室29を製造工場からレードルクレーン1を設置する製鉄所等まで運搬しやすくなるからである。
ここで、40フィートコンテナは、長さが12.192m、幅が2.438m、高さが2.590mの大きさのコンテナである。
また、40フィートコンテナ程度の大きさの電気室29では、主巻きインバータ装置59A,59B,59C,59Dを電気室29内に収めることができない場合には、2つの40フィートコンテナ程度の箱体を繋げて電気室29としてもよい。かかる場合には、上記箱体を製造工場から製鉄所等の近傍の屋外まで運搬し、当該屋外にて上記箱体を繋げて電気室29とした後、当該製鉄所等の屋内に搬入することが望ましい。当該製鉄所等の内部に多量に存在する塵埃が、上記箱体を繋げる際に電気室29内に侵入するのを防止するためである。
【0034】
補ガーダ7は、図1に示すように、主ガーダ5と同様に一対のエンドタイ3を繋ぐように配置された一対の梁状の部材であって、補トロリ11をその上に移動可能に載せるものである。補ガーダ7は、エンドタイ3に対して略直交するように配置されているとともに、主ガーダ5の内側に配置されている。
補ガーダ7には、補横行レール39が設けられている。補横行レール39は補トロリ11を上に載せて、横行方向に沿って導くものである。
【0035】
主トロリ9には、図2に示すように、レードル(吊り荷)41(図5参照。)を巻き上げ巻き下ろしする主巻き装置(巻き装置)43と、主トロリ9を横行させる主横行モータ(モータ,第1のモータ)45A,45Bとが設けられている。
主巻き装置43には、主巻きモータ(モータ,第1のモータ)47A,47B,47C,47Dと、主巻き減速部49A,49B,49Cと、主巻きドラム51A,51Bと、図5に示すように、吊り下げ主シーブ53と、吊りビーム55と、主フック57とが設けられている。
【0036】
主巻きモータ47A,47Bおよび主巻きモータ47C,47Dは、図2に示すように、主トロリ9の一方の端部および他方の端部に分かれて配置されている。主巻きモータ47A,47B,47C,47Dの回転駆動力は、主巻き減速部49A,49B,49Cを介して主巻きドラム51A,51Bに伝達される。
主巻きモータ47A,47B,47C,47Dとしては、いずれか3つの主巻きモータにより溶鋼が入ったレードル41および主フック57を巻き上げおよび巻き下げ可能な出力を持つモータが選定されている。
なお、主巻きモータ47A,47B,47C,47Dとしては、インバータ制御される公知のモータを用いることができ、特に限定するものではない。
【0037】
図6は、図1の主巻き装置のおよび補巻き装置における電気回路の構成を説明するブロック図である。
また、主巻きモータ47A,47B,47C,47Dには、図6に示すように、それぞれ主巻きインバータ装置(モータ制御部,第1のモータ制御部)59A,59B,59C,59Dから交流電力が供給されている。これら主巻きインバータ装置59A,59B,59C,59Dに対しては外部から交流電力が供給されている。
主巻きインバータ装置59Dと主巻きモータ47Dとの間には、主巻きインバータ装置59Dから補巻きモータ75に交流電力を供給および遮断する補巻き用スイッチ61が接続されている。
主巻きインバータ装置59A,59B,59C,59Dの容量は、後述する補巻きインバータ装置87よりも大きく設定されている。主巻きインバータ装置59A,59B,59C,59Dおよび補巻きインバータ装置87の容量としては、それぞれ500kWと200kWの場合を例示することができるが、この例に限定されるものではない。
【0038】
なお、主巻きインバータ装置59A,59B,59C,59Dは、供給電力に対して可変電圧可変周波数制御を行うことで主巻きモータ47A,47B,47C,47Dを制御してもよいし、定電圧定周波数制御や、可変電圧定周波数制御や、定電圧可変周波数制御などを行ってもよく、特に限定するものではない。
【0039】
主巻き減速部49Aは主巻きモータ47A,47Bの間に配置され、図1に示すように、主巻きモータ47A,47Bの回転駆動力を一つの回転駆動力にまとめて主巻き減速部49Cに伝達するように配置されている。主巻き減速部49Bは主巻きモータ47C,47Dの間に配置され、主巻きモータ47C,47Dの回転駆動力を一つの回転駆動力にまとめて主巻き減速部49Cに伝達するように配置されている。
主巻き減速部49Cは、主巻き減速部49Aおよび主巻き減速部49Bから入力された回転駆動力を、主巻きドラム51A,51Bに伝達するように配置されている。
なお、主巻き減速部49A,49B,49Cとしては、公知の回転駆動力を伝達する減速機を用いることができ、特に限定するものではない。たとえば、本実施形態のように、3つの減速部を組み合わせてもよいし、1つの減速部で主巻きモータ47A,47B,47C,47Dの回転駆動力を主巻きドラム51A,51Bに伝達してもよく、特に限定するものではない。
【0040】
主巻きドラム51A,51Bは円筒または円柱状の部材であり、中心軸線周りに回転可能に配置されているとともに、横行方向に対して略平行に並んで配置されている。
主巻きドラム51A,51Bには、主フック57を巻き上げおよび巻き下ろしする主ワイヤ63が巻き付けられている。主巻きドラム51A,51Bが一の回転方向に回転駆動されることにより主ワイヤ63が巻き出され、他の回転方向に回転駆動されることにより主ワイヤ63が巻き取られる。なお、主巻きドラム51A,51Bにおける主ワイヤ63の巻き出し及び巻き取りは、同時に行われている。
【0041】
主ワイヤ63は主巻きドラム51A,51Bからフック側主シーブ54に向かって延び、フック側主シーブ54と吊り下げ主シーブ53とに巻かれて、主ワイヤ63の端部は吊りビーム55に固定されている。
吊り下げ主シーブ53は、主トロリ9の下面に配置された円筒または円柱状の部材であり、中心軸線周りに回転可能に配置されているとともに、当該中心軸線が横行方向に対して略平行に並ぶように配置されている。
フック側主シーブ54は吊りビーム55に配置された円筒または円柱状の部材であり、中心軸線周りに回転可能に配置されているとともに、当該中心軸線が横行方向に対して略平行に並ぶように配置されている。
【0042】
主フック57は、図5に示すように、レードル41の軸41aに係合されるフックであって、吊りビーム55の両端にそれぞれ一つずつ備えられたものである。主フック57は、図2に示すように、ピン65を用いて吊りビーム55に取り付けられ、ピン65の中心軸を回転中心として回動可能とされている。
【0043】
主横行モータ45Aは、図3に示すように、主トロリ9の一方の端部に配置され、主横行モータ45Bは他方の端部に配置されている。主横行モータ45A,45Bにより発生された回転駆動力は、図2に示すように、主トロリ9の主横行部9Aに伝達されている。
なお、主横行モータ45A,45Bとしては、インバータ制御される公知のモータを用いることができ、特に限定するものではない。
【0044】
図7は、図1の主横行モータおよび補横行モータにおける電気回路の構成を説明するブロック図である。
また、主横行モータ45A,45Bには、図7に示すように、それぞれ主横行インバータ装置(モータ制御部,第1のモータ制御部)67A,67Bから電力が供給されている。これら主横行インバータ装置67A,67Bに対しては外部から交流電力が供給されている。
主横行インバータ装置67Bと主横行モータ45Bとの間には、主横行インバータ装置67Bから補横行モータ73に交流電力を供給および遮断する補横行用スイッチ69が接続されている。
主横行インバータ装置67A,67Bの容量は、後述する補横行インバータ装置95よりも大きく設定されている。主横行インバータ装置67A,67Bおよび補横行インバータ装置95の容量としては、それぞれ45kWと15kWの場合を例示することができるが、この例に限定されるものではない。
【0045】
なお、主横行インバータ装置67A,67Bは、供給電力の制御として可変電圧可変周波数制御を行うことで主横行モータ45A,45Bを制御してもよいし、定電圧定周波数制御や、可変電圧定周波数制御や、定電圧可変周波数制御などを行ってもよく、特に限定するものではない。
【0046】
補トロリ11には、図1に示すように、レードル41(図5参照。)の傾きを制御する補巻き装置(巻き装置)71と、補トロリ11を横行させる補横行モータ(モータ,第2のモータ)73とが設けられている。
補巻き装置71には、補巻きモータ(モータ,第2のモータ)75と、補巻き減速部77と、補巻きドラム79と、トロリ側補シーブ81と、フック側補シーブ83と、補フック85とが設けられている。
【0047】
補巻きモータ75は、図1に示すように、補トロリ11の一方の端部に設けられている。補巻きモータ75の回転駆動力は、補巻き減速部77を介して補巻きドラム79に伝達される。なお、補巻きモータ75としては、インバータ制御される公知のモータを用いることができ、特に限定するものではない。
【0048】
また、補巻きモータ75には、図6に示すように、補巻きインバータ装置(モータ制御部,第2のモータ制御部)87から電力が供給されている。補巻きインバータ装置87に対しては外部から交流電力が供給されている。
なお、補巻きインバータ装置87は、供給電力に対して可変電圧可変周波数制御を行うことで補巻きモータ75を制御してもよいし、定電圧定周波数制御や、可変電圧定周波数制御や、定電圧可変周波数制御などを行ってもよく、特に限定するものではない。
【0049】
補巻き減速部77は、補巻きモータ75の回転駆動力を補巻きドラム79に伝達するように配置されている。
なお、補巻き減速部77としては、公知の回転駆動力を伝達する減速機を用いることができ、特に限定するものではない。
【0050】
補巻きドラム79は円筒または円柱状の部材であり、中心軸線周りに回転可能に配置されているとともに、横行方向に対して略垂直に配置されている。
補巻きドラム79には、補フック85を巻き上げおよび巻き下ろしする補ワイヤ89が巻き付けられている。補巻きドラム79が一の回転方向に回転駆動されることにより補ワイヤ89が巻き出され、他の回転方向に回転駆動されることにより補ワイヤ89が巻き取られる。
【0051】
図8は、図1の補トロリの構成を説明する部分側面視図である。
補ワイヤ89は補巻きドラム79からフック側補シーブ83に向かって延び、フック側補シーブ83とトロリ側補シーブ81とに巻かれて、補ワイヤ89の端部は補トロリ11に固定されている。
トロリ側補シーブ81は、補トロリ11における補巻きモータ75と補巻きドラム79との間に配置された円筒または円柱状の部材であり、中心軸線周りに回転可能に配置されているとともに、当該中心軸線が横行方向に対して略垂直に配置されている。
フック側補シーブ83は補フック85の補フックブロック91に配置された円筒または円柱状の部材であり、中心軸線周りに回転可能に配置されているとともに、当該中心軸線が横行方向に対して略垂直に配置されている。
補フック85は、図5に示すように、補フックブロック91に設けられたフックであって、レードル41の側壁に設けられた傾転金物41bに掛けられるフックである。
【0052】
補横行モータ73は、図3に示すように、補トロリ11の他方の端部に配置されている。補横行モータ73により発生された回転駆動力は、図8に示すように、補トロリ11の補横行部93に伝達されている。なお、補横行モータ73としては、インバータ制御される公知のモータを用いることができ、特に限定するものではない。
【0053】
また、補横行モータ73には、図7に示すように、補横行インバータ装置(モータ制御部,第2のモータ制御部)95から電力が供給されている。補横行インバータ装置95に対しては外部から交流電力が供給されている。
なお、補横行インバータ装置95は、供給電力の制御として可変電圧可変周波数制御を行うことで補横行モータ73を制御してもよいし、定電圧定周波数制御や、可変電圧定周波数制御や、定電圧可変周波数制御などを行ってもよく、特に限定するものではない。
【0054】
次に、上記の構成からなるレードルクレーン1においてレードル41を運搬する方法について説明する。
まずレードル41を運搬する場合には、図2に示すように、レードルクレーン1を走行レール17に沿って移動させるとともに、主トロリ9を横行させて主フック57をレードル41の上方へ移動させる。
【0055】
主トロリ9がレードル41の上方にまで移動したら、図5に示すように、主フック57を巻き下ろしてレードル41の軸41aに主フック57を掛けて、主巻き装置43によりレードル41を上方に巻き上げる。
主フック57を巻き上げる際には、図6に示すように、主巻きインバータ装置59A,59B,59C,59Dから主巻き装置43の主巻きモータ47A,47B,47C,47Dに交流電力が供給され、主巻きモータ47A,47B,47C,47Dから回転駆動力が発生される。回転駆動力は、図3に示すように、主巻き減速部49A,49Bおよび主巻き減速部49Cを介して主巻きドラム51A,51Bに伝達される。主巻きドラム51A,51Bは伝達された回転駆動力により回転駆動される。
主巻きドラム51A,51Bが回転することにより、主ワイヤ63は主巻きドラム51A,51Bに巻き取られ、レードル41を掛けた主フック57は上方へ巻き上げられる。
【0056】
このとき、補巻き用スイッチ61は切られ、主巻きインバータ装置59Dから供給された交流電力は全て主巻きモータ47Dに供給される。
また、主巻きモータ47A,47B,47C,47Dは同じ出力で稼動され、主巻きインバータ装置59A,59B,59C,59Dおよび主巻きモータ47A,47B,47C,47Dは余力を残した状態で運転されている。
【0057】
レードル41は吊り下げられると、レードルクレーン1を走行レール17に沿って走行させるとともに、主トロリ9を横行させることにより、例えば転炉などの近傍に運搬される。
レードルクレーン1が走行される際には、図4に示すように、走行用インバータ装置23A,23C,23Eから走行モータ21A,21B,21C,21D,21E,21F,21G,21Hに交流電力が供給され、走行モータ21A,21B,21C,21D,21E,21F,21G,21Hから回転駆動力が発生される。回転駆動力は走行装置19に伝達され、レードルクレーン1はレードル41が転炉などに近寄るまで走行レール17に沿って走行される。
【0058】
このとき、走行用インバータ装置23A,23C,23Eは供給する交流電力を制御することにより、走行モータ21A,21B,21C,21D,21E,21F,21G,21Hから同じ回転駆動力を発生させている。
なお、走行モータ21A,21B,21C,21D,21E,21F,21G,21Hのいずれかが故障した場合には、故障した走行モータに対応した走行用スイッチにより故障したモータへの交流電流の供給が遮断されてもよく、かかる場合には、レードルクレーン1は残りの走行モータにより走行レール17に沿って走行される。
【0059】
また、主トロリ9の主横行モータ45A,45Bには、図7に示すように、主横行インバータ装置67A,67Bから交流電力が供給され、主横行モータ45A,45Bから回転駆動力が発生される。回転駆動力は主横行部9Aに伝達され、主トロリ9はレードル41が転炉などに近寄るまで主ガーダ5に沿って横行される。
このとき、補横行用スイッチ69は切られ、主横行インバータ装置67Bから供給された交流電力は全て主横行モータ45Bに供給される。
【0060】
その後、補巻き装置71によりレードル41が傾けられて、レードル41内の溶鋼が転炉などに注湯される。
補巻き装置71によりレードル41が傾けられる際には、まず、補フック85が巻き下げられるとともに、補フック85がレードル41の傾転金物に掛けられる位置に補トロリ11が横行される。補トロリ11を横行させる際には、図7に示すように、補横行インバータ装置95から補トロリ11の補横行モータ73に交流電力が供給され、補横行モータ73から回転駆動力が発生される。回転駆動力は補横行部93に伝達され、補トロリ11は補フック85がレードル41の傾転金物に掛けられる位置まで主ガーダ5に沿って横行される。
このとき、補横行用スイッチ69は切られ、補横行インバータ装置95から供給された交流電力は全て補横行モータ73に供給される。
【0061】
補フック85がレードル41の傾転金物に掛けられると、補巻き装置71により補フック85が巻き上げられレードル41が傾けられる。
補フックが巻き上げられる際には、図6に示すように、補巻きインバータ装置87から補巻き装置71の補巻きモータ75に交流電流が供給され、補巻きモータ75から回転駆動力が発生される。回転駆動力は補巻き減速部77を介して補巻きドラム79に伝達される。補巻きドラム79は伝達された回転駆動力により回転駆動される。
補巻きドラム79が回転することにより、補ワイヤ89は補巻きドラム79に巻き取られ、傾転金物を掛けた補フック85は上方へ巻き上げられる。レードル41は、主フック57に掛けられた軸41aを中心に回り、傾いたレードル41から溶鋼が転炉などに注湯される。
【0062】
ここで、本実施形態の特徴である電気室29の着脱について説明する。
図9は、図2の電気室が主ガーダから取り外された状態を説明する部分側面視図である。
電気室29を交換する場合には、図2に示すように、電気室29の係合部35にクレーンのフックなどを掛ける。そして支持部31と結合部33との結合を解いて、電気室29を支持部31から離脱させる。離脱した電気室29はクレーンなどにより吊り下げられ、図9に示すように、レードルクレーン1から取り外される。
【0063】
取り外された電気室29は、安全かつ容易に主巻きインバータ装置59A等の交換や更新ができる場所に下ろされる。作業者は、レードルクレーン1から下ろされた電気室29内の主巻きインバータ装置59A等の交換や更新作業を行う。電気室29が下ろされる場所は、塵埃などが少ない場所であることが望ましい。レードルクレーン1が設置されている製鉄所などは塵埃が多い場所であることが多く、電気室29内に塵埃が侵入すると主巻きインバータ装置59A等の故障の原因となる恐れがあるからである。
主巻きインバータ装置59A等の交換等が終わると、電気室29は再びクレーンにより吊り上げられ、図2に示すように、主ガーダ5に取り付けられる。具体的には、支持部31と結合部33とを結合させることにより、電気室29は主ガーダ5に取り付けられる。
【0064】
上記の構成によれば、主巻きインバータ装置59A,59B,59C,59Dや、補巻きインバータ装置87や、主横行インバータ装置67A,67Bや、補横行インバータ装置95や、走行用インバータ装置23A,23C,23E等のバージョンアップが頻繁に行われる部品が主ガーダ5に配置された電気室29の内部に集中して配置されているため、主巻きインバータ装置59A等に用いられている動力用半導体素子などの電力制御に用いる素子の交換や更新を容易にすることができる。電気室29は主ガーダ5とは別個に設けられたものであるため、主ガーダ5内の空間に主巻きインバータ装置59A等を設けた場合と比較して、電気室29内の空間を広く設けることができる。そのため、電気室29内における上記素子の交換や更新などの作業を容易に行うことができる。また、電気室29内への出入りが容易になるため、上記素子の交換や更新などの作業を容易に行うことができる。
また、主ガーダ5に電気室29が着脱可能に配置されているため、電気室29を主ガーダ5から取り外した状態で主巻きインバータ装置59A等自体を交換することができる。主ガーダ5から取り外した電気室29は、主巻きインバータ装置59A等の交換により適した場所に移動させることができるため、主巻きインバータ装置59A等の交換を容易にすることができる。主巻きインバータ装置59A等の交換により適した場所としては、主ガーダ5が配置された高所よりも低い場所であって、塵埃等が少ない場所を例示することができる。
【0065】
あるいは、主ガーダ5から取り外す電気室29とは別個の電気室を準備しておき、これらの電気室を交換することにより主巻きインバータ装置59A等の交換や、上記素子の交換や更新に必要とされる時間を短縮することができる。交換等が必要な上記素子や主巻きインバータ装置59A等は、電気室29を主ガーダ5から取り外した後に、十分な時間をかけて交換等することができる。
【0066】
電気室29内に主巻きインバータ装置59A等を集中して配置するとともに、電気室29を主ガーダ5に配置することで、主ガーダ5内に主巻きインバータ装置59A等を直接配置する場合と比較して、主巻きインバータ装置59A等の設置部品の数を低減することができる。電気室29は主巻きインバータ装置59A等を内部に配置するもののため、内部は主巻きインバータ装置59A等の設置に適した構造とすることができる。そのため、主ガーダ5内に直接配置する場合と比較して、主巻きインバータ装置59A等を設置するのに用いる設置部品の数を低減することができる。
【0067】
また、電気室29から主ガーダ5に対して一括して配線を行うことにより、個々の主巻きインバータ装置59A等について配線を行う場合と比較して配線工事の手間を削減することができる。電気室29は主巻きインバータ装置59A等を内部に配置するもののため、主巻きインバータ装置59A等から電気室29外部までの配線は予め電気室29に作りこむことができる。そのため、主巻きインバータ装置59A等の上記素子の交換等や主巻きインバータ装置59A等自体の交換における配線工事の手間を容易に削減することができる。また、電気室29と主ガーダ5との間の配線を一本の配線の束に束ねることにより、電気室29を主ガーダ5に着脱させる際の配線工事の手間を削減することができる。
【0068】
本実施形態のレードルクレーン1では、各ガーダ5,7や各トロリ9,11の移動、および、レードル41の巻き上げ等の少なくとも一つに用いられる主巻きインバータ装置59A等の備えられた電気室29が、主ガーダ5に着脱可能に配置されているため、主巻きインバータ装置59A等の交換や主巻きインバータ装置59A等に用いられている上記素子の交換等を容易に行うことができる。主ガーダ5に対して電気室29を外部から搬入搬出させるのが容易なため、主ガーダ5に電気室29を配置することにより電気室29の着脱を容易にすることができる。
【0069】
電気室29には係合部35が設けられているため、他のクレーンにより電気室29を吊り下げることができ、電気室29をクレーン本体に容易に取り付けおよび取り外しすることができる。
特に、レードルクレーンなどの大型クレーンの場合には、主巻きインバータ装置59A等に要求される容量が大きくなり、主巻きインバータ装置59A等の重量は重くなる。このような主巻きインバータ装置59A等が複数備えられた電気室29の重量は重くなるため、電気室29を主ガーダ5に着脱させる際には電気室29を吊り下げるクレーンを用いる必要がある。電気室29に係合部35を設けたことにより、クレーンを用いて電気室29を容易に吊り下げることができるため、電気室29の着脱を容易にすることができる。
【0070】
本実施形態のレードルクレーン1では、電気室29は結合部33を介して、主ガーダ5の支持部31に取り付けられるため、支持部31に電気室29を容易に着脱させることができる。
主ガーダ5から外側に突出して支持部31が設けられていることから、電気室29を支持部31に取り付けおよび取り外しする際に、電気室29と主ガーダ5などが干渉しにくくなり、電気室29の着脱作業が容易となる。また、結合部33を支持部31から離脱させることにより電気室29を取り外すことができる一方、結合部33を支持部31に結合させることにより電気室29に取り付けることができるため、電気室29の着脱作業を容易にすることができる。
【0071】
電気室29には遮熱部37が設けられているため、外部から電気室29に熱が浸入することを防ぐことができ、熱による主巻きインバータ装置59A等の故障を防止することができる。
例えば、溶鋼が入れられたレードル(溶鍋)が吊り荷の場合には、電気室29の下面に遮熱部37が配置されていることが望ましい。このように遮熱部37を配置することにより、溶鋼からの放射熱が電気室に浸入することを防止できる。
【0072】
補巻きインバータ装置87が故障しても、主巻きインバータ装置59Dにより補巻きモータ75が稼動されるため、補フック85を巻き上げて、ガーダを安全な位置に移動させてから電気室29の取り外しを行うことができる。
特に、レードル41内に溶鋼が入ったままの状態でも、レードル41内の溶鋼を転送炉に移してから電気室の取り外しを行うため、従来と比べて非常に無駄な手間が省けると共に、電気室29の内部に配置された部品を素早く安全に修理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態に係るレードルクレーンの構成を説明する平面視図である。
【図2】図1の主ガーダおよび主トロリの構成を説明する側面視図である。
【図3】図1のレードルクレーンの構成を説明する概略図である。
【図4】図3の走行モータにおける電気回路の構成を説明するブロック図である。
【図5】図1の主トロリ、補トロリおよび電気室の構成を説明する断面図である。
【図6】図1の主巻き装置のおよび補巻き装置における電気回路の構成を説明するブロック図である。
【図7】図1の主横行モータおよび補横行モータにおける電気回路の構成を説明するブロック図である。
【図8】図1の補トロリの構成を説明する部分側面視図である。
【図9】図2の電気室が主ガーダから取り外された状態を説明する部分側面視図である。
【符号の説明】
【0074】
1 レードルクレーン(クレーン)
5 主ガーダ(クレーン本体)
9 主トロリ(トロリ)
11 補トロリ(トロリ)
21A,21B,21C,21D,21E,21F,21G,21H 走行モータ(モータ)
23A,23C,23E,23G 走行用インバータ装置(インバータ装置)
29 電気室
31 支持部
33 結合部
35 係合部
37 遮熱部
41 レードル(吊り荷)
43 主巻き装置(巻き装置)
45A,45B 主横行モータ(モータ,第1のモータ)
47A,47B,47C,47D 主巻きモータ(モータ,第1のモータ)
59A,59B,59C,59D 主巻きインバータ装置(モータ制御部,第1のモータ制御部)
67A,67B 主横行インバータ装置(モータ制御部,第1のモータ制御部)
71 補巻き装置(巻き装置)
73 補横行モータ(モータ,第2のモータ)
75 補巻きモータ(モータ,第2のモータ)
87 補巻きインバータ装置(モータ制御部,第2のモータ制御部)
95 補横行インバータ装置(モータ制御部,第2のモータ制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーン本体と、
モータと、
該モータに供給する電力を制御することにより、前記モータの出力を制御するモータ制御部と、
前記モータ制御部が内部に配置された電気室と、が設けられ、
該電気室が、前記クレーン本体に着脱可能に配置されていることを特徴とするクレーン。
【請求項2】
前記クレーン本体には、走行けたに沿って移動するガーダが設けられ、
該ガーダに沿って移動するトロリと、
該トロリに設けられ、吊り荷を巻き上げおよび巻き下ろしする巻き装置と、が設けられ、
前記モータが、前記ガーダの移動、前記トロリの移動、および、前記巻き装置による前記吊り荷の巻上げおよび巻き下ろしの少なくとも一つに用いられ、
前記電気室が、前記ガーダに着脱可能に配置されていることを特徴とする請求項1記載のクレーン。
【請求項3】
前記電気室には、前記電気室を吊り下げるクレーンと係合される係合部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のクレーン。
【請求項4】
前記ガーダには、前記電気室を支持する支持部が外側に突出して設けられ、
前記電気室には、前記支持部と結合離脱可能に固定される結合部が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載のクレーン。
【請求項5】
前記電気室には、外部から熱の侵入を防ぐ遮熱部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のクレーン。
【請求項6】
第1のモータと、
該第1のモータに供給される電力を制御することにより、前記第1のモータの出力を制御する前記電気室内に設けられた第1のモータ制御部と、
第2のモータと、
該第2のモータに供給される電力を制御することにより、前記第2のモータの出力を制御する前記電気室内に設けられた複数の第2のモータ制御部と、
を備え、
前記第2のモータには、第1のモータ制御部から電力供給および停止が制御可能とされていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のクレーン。
【請求項7】
前記第1のモータ制御部が、主トロリの複数の巻き上げ用モータの出力をそれぞれ制御する複数の制御部の何れかであり、
前記第2のモータ制御部が、補トロリの巻き上げ用モータのモータ制御部であること
を特徴とする請求項6に記載のクレーン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−56484(P2008−56484A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348964(P2006−348964)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】