説明

クロック供給システム及び画像形成装置

【課題】SSCGの変調度を大きくすることなく、且つ低コストで、複数の電子部品から放射されるノイズを効果的に低減する。
【解決手段】一定周波数の第1クロック信号を生成する第1クロック生成器と、前記第1クロック信号の周波数変調を行うことで周期的に周波数が変動する第2クロック信号を生成する第2クロック生成器と、複数のクロック供給対象回路で使用される前記第2クロック信号の位相が、前記クロック供給対象回路毎に異なるように位相調整を行う位相調整回路とによってクロック供給システムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック供給システム及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高周波クロックで動作する電子部品から放射されるノイズを低減するために、スペクトラム拡散クロック発振器(SSCG:Spread Spectrum Clock Generator)が用いられている。このSSCGは、水晶発振器等によって生成される一定周波数のクロック信号を周波数変調することにより、周期的に周波数が変動するクロック信号(周波数スペクトラムのピーク値が低減されたクロック信号)を生成するものである。
例えば、下記特許文献1には、SSCGの具体的な利用例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−014056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、単一のSSCGを用いて複数の電子部品(例えばCPUやASIC等)に周波数変調されたクロック信号を供給する場合、各電子部品で使用するクロック信号の変調周期が同期してしまい、各電子部品は同じ周波数で動作することになり、効果的なノイズ低減を図ることができないという問題がある。
【0005】
例えば、電子写真方式の画像形成装置、特にタンデム方式の画像形成装置では、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色毎に、感光体ドラムの周面にレーザ光を照射して静電潜像を形成するレーザ露光器が設けられており、これら4つのレーザ露光器のそれぞれに制御用のASICが設けられている。このため、これら4つのASICに単一のSSCGを用いてクロック信号を供給すると、画像形成装置からのノイズ放射を十分に低減できなくなる虞がある。
【0006】
このような問題に対して、SSCGの変調度を大きくする方法が考えられるが、上記のような画像形成装置の場合、感光体ドラム上に形成される静電潜像、ひいては記録用紙上に形成される画像の品質に悪影響を与える可能性があるため、変調度を大きくすることは好ましくない。一方、ASIC等の電子部品毎に変調周期が異なるSSCGを用意するという方法も考えられるが、コストの増大を招くという別の問題が発生する。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、SSCGの変調度を大きくすることなく、且つ低コストで、複数の電子部品から放射されるノイズを効果的に低減することが可能なクロック供給システム及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るクロック供給システムは、一定周波数の第1クロック信号を生成する第1クロック生成器と、前記第1クロック信号の周波数変調を行うことで周期的に周波数が変動する第2クロック信号を生成する第2クロック生成器と、複数のクロック供給対象回路で使用される前記第2クロック信号の位相が、前記クロック供給対象回路毎に異なるように位相調整を行う位相調整回路とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係るクロック供給システムにおいて、前記位相調整回路は、前記第2クロック生成器と複数のクロック供給対象回路との間に並列的に配設された前記第2クロック信号の伝送線路上に設けられた遅延回路から構成されていると共に、前記遅延回路のそれぞれは互いに異なる遅延量が設定されていることを特徴とする。
また、本発明に係るクロック供給システムにおいて、前記位相調整回路は、前記複数のクロック供給対象回路の内、全部または一部の内部において前記第2クロック信号の入力端子と出力端子との間に配設された伝送線路上に設けられた遅延回路から構成されていると共に、前記遅延回路のそれぞれは同一の遅延量が設定されており、前記複数のクロック供給対象回路は、前段のクロック供給対象回路における前記第2クロック信号の出力端子と後段のクロック供給対象回路における前記第2クロック信号の入力端子とが接続されるように直列接続され、最前段のクロック供給対象回路における前記第2クロック信号の入力端子は、前記第2クロック生成器における前記第2クロック信号の出力端子と接続されていることを特徴とする。
一方、本発明に係る画像形成装置は、画像形成に必要な複数のクロック供給対象回路と、上記の特徴を有するクロック供給システムとを備え、前記クロック供給システムを用いて、前記画像形成に必要な複数のクロック供給対象回路に対しそれぞれ位相の異なる前記第2クロック信号を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第2クロック生成器によって生成される第2クロック信号(周波数変調されたクロック信号)を、各クロック供給対象回路毎に位相が異なるように位相調整して供給するため、単一の第2クロック生成器を用いて、各クロック供給対象回路に変調周期がずれた第2クロック信号を供給することが可能となる。つまり、本発明によれば、第2クロック発生器の変調度を大きくすることなく、且つ低コストで、複数のクロック供給対象回路から放射されるノイズを効果的に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態における画像形成装置100の概略構成図である。
【図2】本実施形態におけるクロック供給システムのブロック構成図である。
【図3】クロック供給システムにおける第2クロック信号の変調波形を示す図である。
【図4】変形例1におけるクロック供給システムのブロック構成図である。
【図5】変形例2におけるクロック供給システムのブロック構成図及びタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
なお、以下では、本発明に係る画像形成装置として、コピー機、プリンタ等の機能を1台に集約したMFP(Multi Function Peripherals)を例示して説明する。
図1は本実施形態における画像形成装置100の構成概略図である。この図1に示すように、画像形成装置100は、原稿を読み取るための原稿読取装置(原稿読取部)1と、原稿読取装置1によって読み取った原稿の画像データ、または通信回線を介して外部から送信された画像データに基づいて記録用紙に画像を形成するタンデム方式のMFP本体2とから概略構成されている。
【0012】
原稿読取装置1は、スキャナ部10及びADF(Auto Document Feeder:自動原稿給紙装置)20から構成されている。スキャナ部10は、プラテンガラス11上にセットされた原稿、またはADF20によって自動給紙される原稿の読み取りを行うものであり、プラテンガラス11、12、走査部13、ミラーユニット14、集光レンズ15及びCCD(Charge Coupled Devices)センサ16等を備えている。
【0013】
プラテンガラス11は、読み取り対象の原稿を1枚ずつセットするためのガラス板である。走査部13は、プラテンガラス11の下方において、不図示の駆動機構によりプラテンガラス11に沿って左右方向(走査方向)に往復移動可能に設けられており、照明光を斜め上方に向けて出射するランプ13aと、照明光の反射光を後述するミラーユニット14に向けて反射するミラー13bを内蔵している。
【0014】
ミラーユニット14は、走査部13と同様に、不図示の駆動機構によりプラテンガラス11に沿って左右方向に往復移動可能に設けられており、走査部13のミラー13bからの入射光を下方に向けて反射するミラー14aと、ミラー14aからの入射光を後述する集光レンズ15に向けて反射するミラー14bを内蔵している。なお、駆動機構により、走査部13の移動量とミラーユニット14の移動量との比率は1:0.5となるように制御されている。これにより、集光レンズ15に達するまでの照明光の光路長が一定となるように制御される。
【0015】
プラテンガラス11上にセットされた原稿を読み取る場合は、走査部13及びミラーユニット14を走査方向に移動させることで原稿をスキャンするが、後述するADF20によって原稿を自動給紙する場合には、走査部13をプラテンガラス12の原稿読取位置にて待機させ、原稿側を移動(搬送)させることで複数枚セットされた原稿を連続的にスキャンする。
【0016】
集光レンズ15は、ミラーユニット14のミラー14bからの入射光を集光してCCDセンサ16の受光面に結像させる。CCDセンサ16は、不図示のCCD駆動部から供給されるタイミング信号に同期して作動し、受光面にて受光した光を光電変換することにより、読み取った原稿の画像に応じたアナログ電圧信号を生成してAFE(アナログフロントエンド:図示省略)に出力する。なお、AFEは、上記のアナログ電圧信号を所定のゲイン設定値にて増幅した後、デジタル変換して読み取った原稿の画像を表す画像データを生成するものであり、この画像データはMFP本体2に設けられた画像データメモリ(図示省略)に記憶される。
【0017】
ADF20は、原稿載置トレイ22にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ連続的に自動給紙するものであり、プラテンカバー21、原稿載置トレイ22、ピックアップローラ23、レジストローラ24、プラテンローラ25及び排紙ローラ26等から構成されている。プラテンカバー21は、スキャナ部10の上面に対して開閉可能に設けられており、プラテンガラス11上に原稿をセットして読み取りを行う場合における原稿押さえカバーとしての役割と、ピックアップローラ23、レジストローラ24、プラテンローラ25及び排紙ローラ26等の自動給紙機構に使用される部材の収納用筐体としての役割を担っている。なお、図1では、プラテンカバー21が閉じられた状態を示している。
【0018】
原稿載置トレイ22は、読み取り対象の原稿をセットするためのトレイである。ピックアップローラ23は、原稿載置トレイ22にセットされた原稿を1枚ずつピックアップしてレジストローラ24に搬出するためのローラである。レジストローラ24は、所定のタイミングで原稿をプラテンローラ25に搬送するためのローラである。プラテンローラ25は、原稿を所定の原稿読取位置を経由して排紙ローラ26に搬送するためのローラである。排紙ローラ26は、読み取り完了後の原稿を外部に排出するためのローラである。
【0019】
MFP本体2は、原稿読取装置1にて読み取った原稿の画像データ、または通信回線を介して外部から送信された画像データに基づいて、電子写真方式によってトナー画像を形成し、そのトナー画像を記録媒体である記録用紙に転写するトナー画像形成部3と、トナー画像形成部3によって記録用紙に転写されたトナー画像を定着させる定着部4と、トナー画像形成部3及び定着部4を経由して記録用紙を外部に搬送するための用紙搬送機構5と、各種サイズの用紙を収容するための給紙カセット6、7、8とを備えている。さらに、MFP本体2には、開閉自在な手差しトレイ9が設けられており、手差しトレイ9に載置された記録用紙を用紙搬送機構5によって搬送可能な構成となっている。
【0020】
トナー画像形成部3は、中間転写ベルト31と、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色にそれぞれ対応したトナー画像形成ユニットF(FY、FM、FC、FB)と、駆動ローラ32と、テンションローラ33と、二次転写ローラ34と、クリーナー35とから構成されている。
【0021】
中間転写ベルト31は、各トナー画像形成ユニットF(FY、FM、FC、FB)によって形成される各色のトナー画像を1次転写するための中間転写体であり、駆動ローラ32及びテンションローラ33に張架されて、図1において時計回りに回走する構成となっている。
【0022】
トナー画像形成ユニットF(FY、FM、FC、FB)は、それぞれ感光体ドラムFaと、帯電器Fbと、レーザ露光器Fcと、現像器Fdと、一次転写ローラFeとを備え、さらに不図示のクリーニング装置及び除電装置等とを備える。感光体ドラムFaは、円柱に形状設定され、その周面に静電潜像及び当該静電潜像に基づくトナー画像が形成されるものである。帯電器Fbは、感光体ドラムFaに対して対向配置され、感光体ドラムFaの周面を帯電状態とするものである。レーザ露光器Fcは、画像データに基づいてレーザ光を帯電状態の感光体ドラムFaの周面において走査して静電潜像を形成するものである。現像器Fdは、感光体ドラムFaの周面に対してトナーを付着させることによって感光体ドラムFaの周面上に静電潜像に基づくトナー画像を形成(現像)するものである。
【0023】
一次転写ローラFeは、中間転写ベルト31を挟んで感光体ドラムFaと対向配置され、感光体ドラムFaに現像されたトナー画像を中間転写ベルト31に一次転写するものである。二次転写ローラ34は、中間転写ベルト31を挟んで駆動ローラ32と対向配置されており、給紙カセット6、7、8のいずれかから用紙搬送機構5によって搬送される記録用紙に、中間転写ベルト31表面に転写されているトナー画像を2次転写するものである。
クリーナー35は、クリーニングローラやクリーニングブレード等を備え、中間転写ベルト31の残留トナーを除去するものである。
【0024】
定着部4は、用紙上に二次転写されたトナー画像を定着させるものであり、加圧・加熱することによりトナーを定着させる加熱ローラ41を備えている。用紙搬送機構5は、給紙カセット6、7、8から記録用紙を1枚ずつ搬出するためのピックアップローラ51、52、53と、ピックアップした記録用紙をトナー画像形成部3(駆動ローラ32と2次転写ローラ34との間)に搬送するための給紙ローラ54、55、56と、定着後の記録用紙を外部に排紙するための排紙ローラ57等から構成されている。給紙カセット6、7、8は、MFP本体2に対して引き出し自在に取り付けられており、各種サイズの記録用紙を収容するものである。
【0025】
上記のような構成の画像形成装置100において、レーザ露光器Fcは、各色に対応するトナー画像形成ユニットF(FY、FM、FC、FB)毎に設けられており、さらに、これら4つのレーザ露光器Fcのそれぞれに制御用のASIC(クロック供給対象回路)が設けられている。図2は、上記の4つのASIC(以下では、それぞれに符号60Y、60M、60C、60Bを付す)に周波数変調されたクロック信号を供給するクロック供給システムのブロック構成図である。
【0026】
なお、図2において、ASIC60Yは、イエロー(Y)に対応するトナー画像形成ユニットFYに設けられたレーザ露光器Fcを制御するASICであり、ASIC60Mは、マゼンダ(M)に対応するトナー画像形成ユニットFMに設けられたレーザ露光器Fcを制御するASICであり、ASIC60Cは、シアン(C)に対応するトナー画像形成ユニットFCに設けられたレーザ露光器Fcを制御するASICであり、また、ASIC60Bは、ブラック(BK)に対応するトナー画像形成ユニットFBに設けられたレーザ露光器Fcを制御するASICである。
各ASIC60Y、60M、60C、60Bは、各色に対応する画像データに基づいて、レーザ露光器FcをPWM(Pulse Width Modulation)制御するためのPWM信号(所定のデューティ比を有するパルス信号)を生成する機能を有している。
【0027】
図2に示すように、本実施形態におけるクロック供給システムは、水晶発振器(第1クロック生成器)70と、SSCG(第2クロック生成器)71と、遅延回路72M、72C及び72Bとから構成されている。なお、上記の遅延回路72M、72C、72Bは、本発明における位相調整回路を構成するものである。
【0028】
水晶発振器70は、一定周波数(例えば30MHz)の第1クロック信号CLK1を生成してSSCG71に出力する。SSCG71は、水晶発振器70から供給される第1クロック信号CLK1の周波数変調を行うことにより、周期的に周波数が変動する第2クロック信号CLK2を生成してASIC60Y、遅延回路72M、72C、72Bに並列的に出力する。図3(a)に、SSCG71によって生成される第2クロック信号CLK2の変調波形(時間に対する周波数波形)の一例を示す。
【0029】
遅延回路72M、72C、72Bは、SSCG71と各ASIC60M、60C、60Bとの間に並列的に配設された第2クロック信号CLK2の伝送線路上に設けられた遅延回路であり、それぞれ互いに異なる遅延量が設定されている。具体的には、遅延回路72Mの遅延量は、第2クロック信号CLK2の位相が90°ずれるように(例えば90°遅れるように)設定されており、遅延回路72Cの遅延量は、第2クロック信号CLK2の位相が180°(例えば180°遅れるように)設定されており、また、遅延回路72Bの遅延量は、第2クロック信号CLK2の位相が270°ずれるように(例えば270°遅れるように)設定されている。
【0030】
上記のような構成のクロック供給システムによって、各ASIC60Y、60M、60C、60Bには、90°ずつ位相のずれた第2クロック信号CLK2が供給されることになる。図3(b)は、各ASIC60Y、60M、60C、60Bのそれぞれに供給される第2クロック信号CLK2の変調波形を同一時間軸上で並べた図である。このように、本実施形態におけるクロック供給システムでは、単一のSSCG71を用いて、各ASIC60Y、60M、60C、60Bに変調周期がずれた第2クロック信号CLK2を供給することが可能となる。
従って、本実施形態によれば、SSCG71の変調度を大きくすることなく、且つ低コスト(SSCG71を1つ用意すれば良い)で、各ASIC60Y、60M、60C、60Bから放射されるノイズを効果的に低減することが可能となる。
【0031】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、位相調整回路として、各ASIC60M、60C、60Bの外部に遅延回路72M、72C、72Bを設けた場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されず、各ASIC60Y、60M、60C、60Bで使用される第2クロック信号CLK2の位相が、各ASIC毎に異なるように位相調整を行うことができる位相調整回路であれば、他の構成を採用しても良い。
【0032】
図4は、他の構成を採用した位相調整回路を備えるクロック供給システムの変形例1を示すブロック構成図である。なお、この図4において、図1と同様の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。この図4に示すように、本変形例1におけるクロック供給システムでは、位相調整回路として、各ASIC60Y、60M、60C、60Bの内部において、第2クロック信号CLK2の入力端子と出力端子との間に配設された伝送線路上に遅延回路73Y、73M、73C、73Bが設けられている。なお、これら各遅延回路73Y、73M、73C、73Bは、それぞれ同一の遅延量(例えば位相が90°遅れるような遅延量)が設定されている。
【0033】
さらに、各ASIC60Y、60M、60C、60Bは、前段のASICにおける第2クロック信号CLK2の出力端子と後段のASICにおける第2クロック信号CLK2の入力端子とが接続されるように直列接続され、少なくとも1つのASIC(図4ではASIC60Y)における第2クロック信号CLK2の入力端子は、SSCG71における第2クロック信号CLK2の出力端子と接続されている。
【0034】
すなわち、本変形例におけるクロック供給システムによっても、単一のSSCG71を用いて、各ASIC60Y、60M、60C、60Bに90°ずつ位相のずれた(つまり変調周期のずれた)第2クロック信号CLK2を供給することができ、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本変形例におけるクロック供給システムでは、ASICの製造工程において、1つのASICに同一特性の1つの遅延回路を設けておけば良いため、クロック供給システム自体のコストを削減することができる。
【0035】
(2)図5(a)は、他の構成を採用した位相調整回路を備えるクロック供給システムの変形例2を示すブロック構成図である。この図5(a)に示すように、本変形例1におけるクロック供給システムでは、各ASIC60M、60C、60Bに遅延回路として、フリップフロップ回路74M、74C、74Bが設けられ、それらフリップフロップ回路74M、74C、74Bの動作クロックとして、SSCG71から入力される第2クロック信号CLK2の4逓倍の周波数(120MHz)を有する動作クロックを生成するPLL(Phase Locked Loop)回路75YがASIC60Yに設けられている。
【0036】
図5(b)は、図5(a)に示すクロック供給システムにおいて、ASIC60Yで使用される第2クロック信号CLK2_Yと、ASIC60Mで使用される第2クロック信号CLK2_Mと、ASIC60Cで使用される第2クロック信号CLK2_Cと、ASIC60Bで使用される第2クロック信号CLK2_Bと、PLL回路75Yによって生成される動作クロックPLL_CLKとの時間的対応関係を示すタイミングチャートである。この図5(b)に示すように、各ASIC60Y、60M、60C、60Bには、90°ずつ位相のずれた第2クロック信号CLK2が供給されることがわかる。
【0037】
(3)上記実施形態では、画像形成装置100に用いられるクロック供給システムを例示して説明したが、本発明に係るクロック供給システムは画像形成装置だけでなく、複数の電子部品(クロック供給対象回路)に周波数変調されたクロック信号を供給するような装置或いはシステムに適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
100…画像形成装置、1…原稿読取装置、2…MFP本体、10…スキャナ部、20…ADF、3…トナー画像形成部、4…定着部、5…用紙搬送機構、6、7、8…給紙カセット、60Y、60M、60C、60B…ASIC、70…水晶発振器、71…SSCG、72M、72C、72B、73Y、73M、73C、73B…遅延回路、74M、74C、74B…フリップフロップ回路、75Y…PLL回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定周波数の第1クロック信号を生成する第1クロック生成器と、
前記第1クロック信号の周波数変調を行うことで周期的に周波数が変動する第2クロック信号を生成する第2クロック生成器と、
複数のクロック供給対象回路で使用される前記第2クロック信号の位相が、前記クロック供給対象回路毎に異なるように位相調整を行う位相調整回路と、
を備えることを特徴とするクロック供給システム。
【請求項2】
前記位相調整回路は、前記第2クロック生成器と複数のクロック供給対象回路との間に並列的に配設された前記第2クロック信号の伝送線路上に設けられた遅延回路から構成されていると共に、前記遅延回路のそれぞれは互いに異なる遅延量が設定されていることを特徴とする請求項1記載のクロック供給システム。
【請求項3】
前記位相調整回路は、前記複数のクロック供給対象回路の内、全部または一部の内部において前記第2クロック信号の入力端子と出力端子との間に配設された伝送線路上に設けられた遅延回路から構成されていると共に、前記遅延回路のそれぞれは同一の遅延量が設定されており、
前記複数のクロック供給対象回路は、前段のクロック供給対象回路における前記第2クロック信号の出力端子と後段のクロック供給対象回路における前記第2クロック信号の入力端子とが接続されるように直列接続され、最前段のクロック供給対象回路における前記第2クロック信号の入力端子は、前記第2クロック生成器における前記第2クロック信号の出力端子と接続されていることを特徴とする請求項1記載のクロック供給システム。
【請求項4】
画像形成に必要な複数のクロック供給対象回路と、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のクロック供給システムとを備え、
前記クロック供給システムを用いて、前記画像形成に必要な複数のクロック供給対象回路に対しそれぞれ位相の異なる前記第2クロック信号を供給することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−35611(P2011−35611A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179111(P2009−179111)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】