説明

クロマトグラフィー固定相の再生

クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセス。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィーの精製の分野に関する。より好ましくは、クロマトグラフィー固定相を再生するための方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
ポリペプチドは、全ての主要な治療領域内の疾患の治療のための薬物としてますます使用されてきている。慢性インシュリン投与による糖尿病の治療は、80年以上も行なわれてきており、成長疾患および癌におけるポリペプチドの治療学的適用もまた長年にわたって行なわれてきた。
【0003】
治療学的適用のために十分に高い純度でポリペプチドを大規模生産するための経済学的プロセスは、巨大な市場に到達するさらなるポリペプチドに基づいた治療と、より大規模に使用されるようになる現存の治療にとって重要である。
【0004】
混合物からのポリペプチドの精製は、治療用ポリペプチドのための製造プロセス全体の中で通常数回にわたり使用される工程である。逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)は、ポリペプチドの工業的な高分解分離のための好ましい方法であり、かつ前記方法が、多くのポリペプチドの大規模精製に使用可能であることが解っている。
【0005】
治療用途のポリペプチドは、患者に投与する際に有害な症状を引き起こさないように高度に精製しなければならないので、製造プロセス中で数回のクロマトグラフィー精製工程を使用することは非常に多く見られる。製造プラントにおけるクロマトグラフィーカラムの固定相は高価であり、これらは数回のクロマトグラフィーサイクルの間使用される。しかしながら、時間が経つにつれてクロマトグラフィー固定相の性能は低下する、すなわち、カラム全体の圧力降下が非常に増加し、かつ分離係数が損なわれる。これは沈着物のゆるやかな蓄積に起因している。
【0006】
アルカリ性バッファー(J. Chrom. 461, 1989, 45-61)、例えばpH7.4および高濃度の有機改質剤を含む再生プロセスによってこの問題を克服することが提案されている。
【0007】
Brange et al. (J. Pharm. Sci. 86 (1997) 517-525)は、インシュリン原繊維を酸および塩基に溶解させることを開示している。
【0008】
長年の間、クロマトグラフィー固定相をアルカリ性溶液、例えば0.1モル濃度の水酸化ナトリウムで再生することによってこの問題を軽減してきた(vide Liliedahl, “Twelve years of silica-based HPLC purification with focus on peptides”, at Tides 2000, 10 May 2000 in Las Vegas, USA)。この再生プロセスは、インシュリンを精製するために使用されたシリカの寿命を100〜600サイクルまで増加させることができる。しかしながら、厳しいアルカリ性条件にさらされたとき、シリカ材料は不安定になり、かつ特に置換されたシリカ材料ではアルカリ性溶液による再生を受け入れることができなくなる。治療用ポリペプチドのような製薬を精製するための経済学的に実行可能なプロセスは、クロマトグラフィー固定相の性能を低下させない再生プロセスを含まなければならない。
【0009】
広範囲の原料からの粒状材料(粘土、砂、シリカなど)を再生するための一般的かつ複雑なプロセスがWO 00/61493中に開示されている。このプロセスは、前記材料をa)有機材料の抽出溶媒、b)酸化剤、続いてc)酸性溶液と接触させ、d)前記材料を加熱し、e)前記材料を回復させることを含む5工程のプロセスである。このプロセスは扱いにくく、クロマトグラフィー精製プラントにおける実施に馴染みにくい。
【0010】
これらの高価な原料の寿命を増加させ、かつクロマトグラフィーカラム全体の圧力降下が上昇することを防止するために、クロマトグラフィー固定相を再生するより効率的な方法についての要求が当該技術において存在する。特に、製造プラント内のクロマトグラフィー固定相のin situ再生に適した再生プロセスが必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスであって、前記クロマトグラフィー固定相を、少なくとも1つの有機酸と約75重量%未満の水とを含む再生溶液と接触させるプロセスを提供する。
【0012】
他の側面では、本発明は、クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスであって、前記クロマトグラフィー固定相を、少なくとも1つの有機酸と約1重量%未満の水とを含む再生溶液と接触させるプロセスを提供する。
【0013】
本発明の1つの実施形態では、前記有機酸はギ酸である。本発明の他の実施形態では、前記有機酸は酢酸である。他の実施形態では、前記再生溶液は、0.5%未満の水、好ましくは0.1%未満の水、より好ましくは0.02%未満の水、および最も好ましくは0.001%未満の水を含む。
【0014】
他の側面では、本発明は、クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスであって、前記クロマトグラフィー固定相を、少なくとも1つの有機酸と有機溶媒と約1重量%未満の水とを含む再生溶液と接触させるプロセスに関する。
【0015】
本発明の1つの実施形態では、前記有機溶媒はエタノールである。本発明の他の実施形態では、前記有機溶媒は2-プロパノールである。本発明の他の実施形態では、前記有機溶媒はアセトニトリルである。本発明の他の実施形態では、前記有機溶媒は、メタノール、1-プロパノール、およびヘキシレングリコールからなる群から選択される。
【0016】
他の実施形態では、前記再生溶液は、0.5%未満の水、好ましくは0.1%未満の水、より好ましくは0.02%未満の水、および最も好ましくは0.001%未満の水を含む。
【0017】
他の側面では、本発明は、本発明のプロセスによって再生されたクロマトグラフィー固定相に関する。
【0018】
他の側面では、本発明は、本発明のプロセスによって得られたポリペプチド生成物に関する。
【0019】
さらに他の側面では、本発明は、前記プロセスのうち、クロマトグラフィー固定相の再生を含むプロセスによって製造されたポリペプチド生成物に関する。
【0020】
さらに他の側面では、本発明は、再生プロセスを実行するための配管および制御系を含む自動化されたクロマトグラフィー装置に関する。
【0021】
さらに他の側面では、本発明は、前記プロセスによって再生されたクロマトグラフィー固定相を使用してポリペプチドを精製することによって調製された薬学的組成物に関する。
【0022】
本発明は、添付された図面においてさらに例示される。
【0023】
定義
以下のものは、明細書中で使用された用語の詳述された定義である。
【0024】
明細書中で使用された用語「クロマトグラフィー固定相」とは、可溶性相が通過する固相、すなわちクロマトグラフィーマトリックスを意味する。クロマトグラフィー固定相は、通常はクロマトグラフィーカラム内に設置される。クロマトグラフィー固定相の例は、C-4シリカ、C-12シリカおよびC-18シリカのような置換されたシリカならびにポリスチレン、Source30Qおよびセファロースのようなポリマー材料である。クロマトグラフィー固定相のさらなる例は、膜、モノリシックな材料およびフィルターである。
【0025】
明細書中で使用された用語「クロマトグラフィー溶出液」とは、精製されるポリペプチドが、通常はクロマトグラフィー固定相から溶出液中に放出される溶出工程で使用される溶液を意味する。クロマトグラフィーの通常モードにおいて、完全なサイクルは以下の工程を含む。
【0026】
a)カラムをサイクルの準備ができている状態に至らせる平衡バッファーでの平衡化、
b)生成物を保有するサンプルの適用、
c)結合された生成物を含むクロマトグラフィー固定相を洗浄する任意の洗浄工程、
d)クロマトグラフィー固定相に対する生成物の親和力が減少し、前記生成物がクロマトグラフィーカラム溶出液中のカラムから離れる溶出、および
e)再生溶液を使用して残存不純物をクロマトグラフィー固定相から取り除くことを試みる任意の再生。
【0027】
明細書中で使用された用語「平衡バッファー」とは、クロマトグラフィーサイクルのためにクロマトグラフィーカラムを調製する平衡工程に使用される溶液を意味する。
【0028】
明細書中で使用された用語「再生溶液」とは、クロマトグラフィー固定相を再生するために使用される溶液を意味する。再生の目的は、数回のクロマトグラフィーサイクルにわたるクロマトグラフィー分離の十分な性能を保持することである。典型的な重要な性能に関するパラメーターは、クロマトグラフィーカラム全体の圧力降下と分離係数である。再生工程は、クロマトグラフィー固定相を単一の再生溶液または複数の再生溶液と接触させることを含むことができる。後者の場合では、各々の再生溶液とこれらの再生溶液から得られた混合液は、用語「再生溶液」によって包含される。
【0029】
明細書中で使用された用語「混合液」とは、少なくとも2つの成分を含む物質の組成物を意味する。クロマトグラフィーカラム溶出液は、溶出液中の化学物質とカラムから取り除かれた生成物とを含む混合液である。混合液の他の例は、溶媒中の1化学物質の溶液、例えば生理食塩水である。さらに、混合液の他の例は、水および水混和性有機溶媒である。さらに、混合液の他の例は、水または有機溶媒のような溶媒中のポリペプチドの溶液または懸濁液である。
【0030】
明細書中で使用された用語「ポリペプチドを単離すること」とは、ポリペプチドを、単離前、すなわち開始物質と比較してより高濃度またはより高純度になる状態に至らせることを意味する。すなわち、ポリペプチドを単離する例は、ポリペプチドを溶液から沈殿または結晶化させ、前記沈殿物または結晶を母液から分離することである。
【0031】
明細書中で使用された用語「有機溶媒」とは、少なくとも1つの炭素原子を含み、かつ0℃〜50℃の温度範囲全体にわたって液体状態にある溶媒を意味する。有機溶媒の制限のない例は、メタノールおよびエタノールのような低級アルコール、多価アルコール、アセトニトリル、ヘキサンおよびアセトンである。
【0032】
明細書中で使用された用語「水混和性有機溶媒」とは、20℃の水中に少なくとも1g/L溶解する有機溶媒を意味する。水混和性有機溶媒の制限のない例は、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトニトリル、およびヘキシレングリコールである。
【0033】
明細書中で使用された用語「有機酸」とは、5.0未満の解離定数pKaをもつ少なくとも1つの官能基を有する有機化合物を意味する。有機酸の例は、ギ酸、酢酸、クエン酸などである。
【0034】
明細書中で使用された用語「低級アルコール」とは、1〜6の間の炭素原子とヒドロキシル基とをもつことによって特徴づけられるC1-6アルコールを意味する。低級アルコールの炭素骨格は、直鎖または枝分れ鎖であってもよい。低級アルコールの制限のない例は、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、およびt-ブタノールである。
【0035】
明細書中で使用された用語「多価アルコール」とは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するアルコールを意味する。多価アルコールの制限のない例は、ヘキシレングリコール(4-メチル-2,4-ペンタンジオール)およびネオペンチルアルコール(2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール)である。
【0036】
明細書中で使用された用語「賦形剤」とは、組成物を安定化および保存するために薬学的組成物に添加される化合物を意味する。典型的な賦形剤は、バッファー、保存剤、および浸透圧改質剤(tonicity modifiers)である。
【0037】
明細書中で使用された用語「薬学的組成物」とは、バッファー、保存剤、および浸透圧改質剤のような薬学的賦形剤を含む活性化合物またはその塩を含む生成物を意味する。前記薬学的組成物は、疾患または障害を治療するために有用である。従って、薬学的組成物はまた、当該技術において薬学的処方としても知られる。
【0038】
明細書中で使用された用語「バッファー」とは、時間経過の中で変化する、あるいは化学反応が原因で起こる溶液のpHの傾向を減少させるための溶液中に使用される化学的化合物をいう。バッファーは、リン酸ナトリウム、TRIS、グリシンおよびクエン酸ナトリウムのような化学物質を含む。
【0039】
明細書中で使用された用語「浸透圧改質剤」とは、薬学的組成物の浸透圧を、ヒト血漿の浸透圧に近づくように修飾するのに役に立つ薬学的組成物中の化合物をいう。浸透圧改質剤は、NaCl、グリセロール、D-マンニトールなどを含む。
【0040】
明細書中で使用された用語「薬学的に許容可能」とは、通常の薬学的用途に適していること、すなわち、有害な症状を患者等に引き起こさないことを意味する。
【0041】
明細書中で使用された用語「ヒトインシュリン」とは、構造および性質がよく知られたヒトホルモンを意味する。ヒトインシュリンは、システイン残基間のジスルフィド架橋によって結合された2つのポリペプチド鎖、すなわちA鎖とB鎖を有する。A鎖は21アミノ酸ペプチドであり、B鎖は30アミノ酸ペプチドであり、2つの鎖は、3つのジスルフィド架橋によって結合されている。1つ目はA鎖の6番目と11番目のシステインの間、2つ目はA鎖の7番目のシステインとB鎖の7番目のシステインとの間、および3つ目はA鎖の20番目のシステインとB鎖の19番目のシステインとの間である。
【0042】
明細書中で使用された用語「ポリペプチド」とは、ペプチド結合によって結合された少なくとも10の構成アミノ酸で構成された化合物を意味する。前記構成アミノ酸は、遺伝コードによってコード化されたアミノ酸、遺伝コードによってコード化されていない天然アミノ酸、および合成アミノ酸からなる群から選択されてもよい。遺伝コードによってコード化されていない天然アミノ酸には、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸塩、オルニチン、ホスホセリン、D-アラニンおよびD-グルタミンがある。合成アミノ酸には、化学合成によって製造されたアミノ酸、すなわち遺伝コードによってコード化されたアミノ酸のD-異性体、例えばD-アラニンおよびD-ロイシン、Aib(α-アミノイソ酪酸)、Abu(α-アミノ酪酸)、Tle(tert-ブチルグリシン)、およびβ-アラニンが含まれる。
【0043】
明細書中で使用された用語「治療用ポリペプチド」とは、治療用薬剤として認識された潜在的有用性があるポリペプチドを意味する。治療用ポリペプチドは典型的には高度に精製され、規定の承認プロセスの一部として臨床研究に供される。治療用ポリペプチドの例は、ヒトインシュリン、トロンボポエチン、エリスロポエチン、およびヒト成長ホルモンである。
【0044】
本明細書中で使用された用語「ポリペプチド生成物」とは、ポリペプチドを含む組成物を意味する。ポリペプチド生成物の例は、結晶化されたポリペプチド、沈殿したポリペプチド、およびポリペプチドの溶液である。
【0045】
本明細書中で親ポリペプチドに関連して使用された用語「類似体」とは、親ポリペプチドの1以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基によって置換され、および/または1以上のアミノ酸残基が親ポリペプチドから除去され、および/または1以上のアミノ酸残基が親ポリペプチドから除去され、および/または1以上のアミノ酸残基が親ポリペプチドに付加された修飾ポリペプチドを意味する。このようなアミノ酸残基の付加または欠損は、ポリペプチドのN末端またはポリペプチドのC末端またはポリペプチド内で起こり得る。類似体の例は、GLP-1(7-37)ポリペプチドのうち34番目のLysがArgと置き換わったArg34-GLP-1(7-37)である。他の例は、ヒトインシュリンの類似体であるブタまたはウシのインシュリンである。
【0046】
本明細書中でポリペプチドに関連して使用された用語「前駆体」とは、生成されたポリペプチドの修飾された態様を意味する。ポリペプチドの前駆体には、典型的にはポリペプチドのアミノ酸が伸長した態様かまたはポリペプチドが切断されて短くなった態様がある。これらの前駆体は、細胞発現を増強し、精製のための親和性タグを含み、生成されるポリペプチドの特定の反応基を保護することなどに役立ち得る。
【0047】
本明細書中で親ポリペプチドに関連して使用された用語「誘導体」とは、少なくとも1つの置換基が親ポリペプチドまたはその類似体中に存在しない、化学的に修飾された親ポリペプチドまたはその類似体、すなわち、共有結合的に修飾された親ポリペプチドを意味する。典型的な修飾は、アミド、炭水化物、アルキル基、アシル基、エステル、PEG化、およびこれらに類するものである。ヒトインシュリンの誘導体の例は、スレオニンメチルエステルB30ヒトインシュリンおよびNεB29-テトラデカノイルdes(B30)ヒトインシュリンである。
【0048】
本明細書中で使用された用語「親油性置換基」とは、4〜40の炭素原子を含む置換基であって、かつ20℃で水中に約0.1mg/100ml水〜約250mg/100ml水の範囲、例えば約0.3mg/100ml水〜約75mg/100ml水の範囲で溶解する置換基を意味する。例えば、オクタン酸(C8)は20℃で水中に68mg/100ml溶解し、デカン酸(C10)は20℃で水中に15mg/100ml溶解し、オクタデカン酸(C18)は20℃で水中に0.3mg/100ml溶解する。
【0049】
本明細書中で使用された用語「配管および制御系」とは、物理的手段(配管および制御バルブ)ならびにプロセス装置の配管およびバルブを制御するソフトウェアを意味する。
【発明の説明】
【0050】
本発明は、クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスであって、前記クロマトグラフィー固定相を、少なくとも1つの有機酸と約75重量%未満の水とを含む再生溶液と接触させるプロセスに関する。
【0051】
本発明はまた、クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスであって、前記クロマトグラフィー固定相を、少なくとも1つの有機酸と約1重量%未満の水とを含む再生溶液と接触させるプロセスに関する。
【0052】
本発明はまた、クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスであって、前記クロマトグラフィー固定相を、有機酸の濃度が少なくとも25重量%である再生溶液と接触させるプロセスに関する。
【0053】
多数の有機酸を本プロセスの再生溶液中で使用してもよい。好ましい有機酸はギ酸である。再生溶液のための他の有機酸は酢酸である。他の再生溶液は2つの有機酸、例えばギ酸および酢酸を含む。
【0054】
再生溶液は、さらに有機溶媒を含んでいてもよい。好ましい有機溶媒はまた、平衡バッファーまたはクロマトグラフィー溶出液中で使用される。本発明の1つの実施形態では、有機溶媒はエタノールである。他の実施形態では、有機溶媒は2-プロパノールである。他の実施形態では、有機溶媒はアセトニトリルである。他の実施形態では、有機溶媒はメタノール、1-プロパノールおよびヘキシレングリコールからなる群から選択される。
【0055】
他の実施形態では、有機酸はギ酸であり、かつ有機溶媒はエタノールである。他の実施形態では、有機酸はギ酸であり、かつ有機溶媒はアセトニトリルである。さらに他の実施形態では、有機酸はギ酸であり、かつ有機溶媒は2-プロパノールである。さらに他の実施形態では、有機酸はギ酸であり、かつ有機溶媒はヘキシレングリコールである。他の実施形態では、有機酸は酢酸であり、かつ有機溶媒はエタノールである。他の実施形態では、有機酸は酢酸であり、かつ有機溶媒はアセトニトリルである。さらに他の実施形態では、有機酸は酢酸であり、かつ有機溶媒は2-プロパノールである。さらに他の実施形態では、有機酸は酢酸であり、かつ有機溶媒はヘキシレングリコールである。
【0056】
他の実施形態では、本発明は、クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスであって、前記クロマトグラフィー固定相を、少なくとも1つの有機酸と0.5%未満の水、好ましくは0.1%未満の水、より好ましくは0.02%未満の水、および最も好ましくは0.001%未満の水を含む再生溶液と接触させるプロセスに関する。
【0057】
好ましくは、クロマトグラフィー固定相を、クロマトグラフィーカラム内部で再生溶液と接触させる。この方法では、再生工程に関連した停止時間では、最小の生成容量しか失われない。従って、クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスを、カラムを再充填させることなく行うことができる。1つの実施形態では、クロマトグラフィー固定相を前記再生中に流動化させる。他の実施形態では、前記クロマトグラフィー固定相を前記再生溶液と接触させる前に、クロマトグラフィー溶出液または平衡バッファーを水混和性有機溶媒で置換する。好ましくは、前記水混和性有機溶媒はクロマトグラフィー溶出液または平衡バッファー中に存在する。好ましくは、前記水混和性有機溶媒は再生溶液中に存在する。
【0058】
他の実施形態では、クロマトグラフィー固定相を、クロマトグラフィーカラムの外側で前記再生溶液と接触させる。この手順は、カラムの内側で再生プロセスを行うよりも困難であるが、沈殿材料がクロマトグラフィー固定相の粒子の間に捕捉されている場合、有用である。後者の場合、沈殿材料を溶解させずにクロマトグラフィー固定相から前記沈殿材料を取り除くことができる。
【0059】
1つの実施形態では、クロマトグラフィー固定相はRP-HPLCマトリックスである。RP-HPLCのためのクロマトグラフィー固定相は機械的に非常に硬質の材料であり、シリカまたは置換されたシリカ、例えばC4, C6, C8, C10, C12, C16, C18, C30もしくはフェニルシリカであってもよく、あるいは置換または非置換の圧力安定性の高分子材料であってもよい。クロマトグラフィー固定相はまた、シリカに基づいたマトリックスまたは高分子材料であれば、マクロ細孔およびメソ細孔をもつモノリシックな棒材としてカラム中に存在することができる。
【0060】
クロマトグラフィー固定相としての使用に適したシリカ材料は、小さな細孔が分布した球状の粒子であり、かつ粒子の大きさが3μm〜100μm、例えば5μm〜100μm、8μm〜30μm、例えば10μm, 13μm, 15μm, 16μm, 18μmおよび20μmである。60Å〜300Å、例えば100Å, 120Å, 150Å, 175Å, 200Åまたは300Åの典型的な細孔サイズを使用する。圧力安定性の高分子材料のために、細孔サイズは10Å以上、例えば50Å, 100Å, 400Å, 600Å, 1000Åまたは3000Åとすることができる。1つの実施形態では、圧力安定性の高分子材料は、Source 30QまたはXAD 1180である。クロマトグラフィーカラムに固定相を充填し、充填の品質の適切な試験後、カラムを結合モード中で使用されたバッファーで平衡化した。生産規模のクロマトグラフィーカラムは、典型的には15〜100cmの直径を有し、このような系は、動的に軸方向に圧縮されてもよい。小さな体積のポリペプチドの生成のために、生成カラムは、例えば15cm、20cmまたは25cmの直径を有してもよい。大きな体積のポリペプチドの生成のために、生成カラムは例えば40cm、60cm、80cmまたはそれ以上の直径を有してもよい。
【0061】
本発明の他の実施形態では、再生されるクロマトグラフィー固定相は、膜、モノリシックな材料、フィルターまたはこれらに類するものである。
【0062】
クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスの1つの実施形態では、前記クロマトグラフィー固定相を、少なくとも1秒間、好ましくは少なくとも1分間、より好ましくは少なくとも5分間、例えば1分間〜24時間、1分間〜5時間、1分間〜2時間、10分間〜60分間にわたって前記再生溶液に接触させた。
【0063】
クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスの他の実施形態では、通常の流速でのクロマトグラフィーカラム全体にわたる圧力降下が少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも50%まで減少するまで、前記クロマトグラフィー固定相を前記再生溶液と接触させた。
【0064】
クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスの他の実施形態では、前記クロマトグラフィー固定相と再生溶液との接触は、約0℃〜70℃、5℃〜50℃、例えば10℃〜40℃、例えば15℃〜30℃、または18℃〜25℃の範囲の温度で行われる。
【0065】
クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスの他の実施形態では、前記クロマトグラフィー固定相の寿命は、少なくとも500クロマトグラフィーサイクル、好ましくは少なくとも700クロマトグラフィーサイクル、より好ましくは少なくとも1000クロマトグラフィーサイクル、最も好ましくは少なくとも2000クロマトグラフィーサイクルである。
【0066】
クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスの他の実施形態では、クロマトグラフィーサイクル毎、2クロマトグラフィーサイクル毎に少なくとも1回、5クロマトグラフィーサイクル毎に少なくとも1回、20クロマトグラフィーサイクル毎に少なくとも1回、50クロマトグラフィーサイクル毎に少なくとも1回、または100クロマトグラフィーサイクル毎に少なくとも1回、前記プロセスを前記クロマトグラフィー固定相に適用した。
【0067】
本発明の他の実施形態では、クロマトグラフィー固定相で行われた再生プロセスの回数は、少なくとも25回、少なくとも50回、少なくとも100回、少なくとも200回、少なくとも400回、または少なくとも1000回である。
【0068】
クロマトグラフィー固定相を再生するためのプロセスの他の実施形態では、クロマトグラフィーカラム全体にわたる圧力降下が閾値を越えるたびに、前記プロセスを前記クロマトグラフィー固定相に適用した。
【0069】
本発明の他の側面は、治療用ポリペプチドまたはその前駆体の生成のためのプロセスであり、前記プロセスは、クロマトグラフィー固定相を上述した再生プロセスによって再生させる少なくとも1つのクロマトグラフィー工程を含む。治療用ポリペプチドまたはその前駆体の生成のためのプロセスの1つの実施形態では、前記治療用ポリペプチドは、親油性置換基を含む誘導体である。治療用ポリペプチドまたはその前駆体の生成のためのプロセスの他の実施形態では、前記治療用ポリペプチドは、リジン残基のアミノ基に付着した親油性置換基を含む誘導体である。治療用ポリペプチドまたはその前駆体の生成のためのプロセスの他の実施形態では、前記治療用ポリペプチドは、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン様ペプチド2、エキセンジン-4、TFFペプチド、ヒトインシュリン、これらの類似体およびこれらの誘導体からなる群から選択される。他の実施形態では、前記ポリペプチドは、Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)、Arg34-GLP-1(7-37)、エキセンジン-4、Lys17Arg30-GLP-2(1-33)、Arg30Lys17Nε(β-Ala(Nα-ヘキサデカノイル))GLP-2(1-33)、およびGly2-GLP-2(1-33)からなる群から選択される。他の実施形態では、前記ポリペプチドはエキセンジン-4である。他の実施形態では、前記ポリペプチドは、ヒト血清アルブミンまたはその断片を含む融合ポリペプチドである。他の実施形態では、前記ポリペプチドは、GLP-1(7-37)またはその類似体と、ヒト血清アルブミン断片またはその類似体との間の融合ポリペプチドである。他の実施形態では、前記ポリペプチドは、エキセンジン-4(1-39)またはその類似体と、ヒト血清アルブミン断片またはその類似体との間の融合ポリペプチドである。他の実施形態では、前記ポリペプチドは、免疫グロブリンまたはその断片のFc部位を含む融合ポリペプチドである。他の実施形態では、前記ポリペプチドは、GLP-1(7-37)またはその類似体と、免疫グロブリンのFc部位の断片またはその類似体との間の融合ポリペプチドである。他の実施形態では、前記ポリペプチドは、エキセンジン-4(1-39)またはその類似体と、免疫グロブリンのFc部位の断片またはその類似体との間の融合ポリペプチドである。
【0070】
他の実施形態では、前記ポリペプチドは、ヒトインシュリン、ヒトインシュリン前駆体、ヒトインシュリン類似体、ヒトインシュリン類似体の前駆体、GLP-1(7-37)類似体、エキセンジン-4(1-39)類似体、およびその誘導体からなる群から選択される。他の実施形態では、前記ポリペプチドは、少なくとも1つのメトキシ基またはエトキシ基を含むヒトインシュリン誘導体から選択される。他の実施形態では、前記ポリペプチドは、以下のものからなる群から選択される。
【0071】
スレオニンメチルエステルB30ヒトインシュリン、
スレオニンエチルエステルB30ヒトインシュリン、
AspB28ヒトインシュリン、
スレオニンメチルエステルB30AspB28ヒトインシュリン、
スレオニンエチルエステルB30AspB28ヒトインシュリン、
LysB28ProB29ヒトインシュリン、
MetB-1ArgB0LysB28ProB29ヒトプロインシュリン、
LysB3GluB29ヒトインシュリン、
GlyA21ArgB31ArgB32ヒトインシュリン、
des(B30)ヒトインシュリン、
NεB29-テトラデカノイルdes(B30)ヒトインシュリン、
NεB29-リトコロイル-γ-グルタミルdes(B30)ヒトインシュリン、
NεB29-オクタノイルdes(B30)ヒトインシュリン、および
NεB29-オクタノイルヒトインシュリン。
【0072】
さらに他の実施形態では、前記ポリペプチドは、ヒト血清アルブミン、エリスロタンパク質、TNF-α、インターロイキン、IGF-1、IGF-2、ヒト成長ホルモン、ソマトスタチン、ヒトアミリンおよびこれらの類似体から選択される。
【0073】
本発明のプロセスによって再生されたクロマトグラフィー固定相で精製されるポリペプチドは、当該技術において知られたポリペプチド生成の様々な技術によって生成することができる。3000ダルトンよりも大きなポリペプチドは、通常は発酵または細胞培養によって生成され、一方、より小さなポリペプチドは、化学的ペプチド合成によって生成することができる。最適な生成方法を決定する他の重要な因子はまた、生成されるポリペプチドの量であり、かつポリペプチドの構造、例えばジスルフィド結合および他の修飾である。発酵または細胞培養によって誘導されたポリペプチドは、一般に、組換え型宿主細胞、例えば細菌、真菌、哺乳類細胞、昆虫細胞、または植物細胞を適切な培養液中で培養することによって生成される。培養液は、宿主細胞の成長と生成物形成のために必要な栄養素、例えば、糖、窒素原、塩、ビタミンおよび他の成長因子を含む多かれ少なかれ化学的に規定された培地とすることができる。いったん微生物または細胞を培地中で培養し、これらを任意的に破壊した。この培養液には、残存培地成分、宿主細胞に誘導された不純物、および生成物関連の不純物を含む混合液中に所望の生成物が含まれる。宿主細胞に誘導された不純物は、主としてポリペプチド、核酸および細胞片である。回収または早期の精製工程においてこれらの無関係な不純物から生成物を分離した。生成ポリペプチドに密接に関連した不純物を生成ポリペプチドから分離する最終精製工程(洗練)において、クロマトグラフィー工程を十分に使用する。
【0074】
ポリペプチドの合成はまた、メリーフィールド型化学による固相合成を介して、液相方法によって、または当該技術において知られた半合成方法によって行うことができる。1以上の化学変換工程を、回収工程と最終精製工程との間で行うことができる。このような化学的修飾は、ポリペプチド上の伸長アミノ酸を切断してポリペプチドにする前駆体ポリペプチドの加水分解によって行うことができる。このような伸長アミノ酸は、培養液で誘導されたポリペプチドの場合には、宿主細胞の発現を増加させるために使用することができ、あるいはアフィニィティークロマトグラフィーなどによってポリペプチドを特異的に精製するために使用することができる(例えばヒスチジンで標識されたポリペプチドのIMAC精製)。化学変換工程はまた、例えばアシル化、PEG化またはエステル化によって誘導体であるポリペプチドを生成する化学的修飾であってもよい。このような化学的修飾は、当該技術において周知である(例えばWO 98/08871, WO 99/43706, US 5,424286, WO 00/09666, WO 00/66629, WO 01/04156およびWO 02/90388を参照)。
【0075】
本発明の他の側面は、クロマトグラフィーカラム全体にわたる圧力降下を減少させるためのクロマトグラフィー固定相を再生するための上述のプロセスの使用である。
【0076】
本発明の他の側面は、治療用ポリペプチドの製造のためのクロマトグラフィー固定相を再生するための上述のプロセスの使用である。
【0077】
本発明の他の側面は、少なくとも1つの有機酸と約75重量%未満の水とを含む再生溶液に接触させることによって再生されたクロマトグラフィー固定相である。本発明の他の側面は、少なくとも1つの有機酸と約1重量%未満の水とを含む再生溶液に接触させることによって再生されたクロマトグラフィー固定相である。
【0078】
1つの実施形態では、クロマトグラフィー固定相は、上述したプロセスによって再生される。他の実施形態では、クロマトグラフィー固定相は、前記再生溶液が0.5%未満の水、好ましくは0.1%未満の水、より好ましくは0.02%未満の水、および最も好ましくは0.001%未満の水を含むプロセスによって再生される。さらなる実施形態では、再生クロマトグラフィー固定相は、シリカまたは置換されたシリカ材料である。
【0079】
他の側面では、本発明は、
a)本発明の再生プロセスによって生成されたクロマトグラフィー固定相を使用してポリペプチドまたはその前駆体を精製する工程と、
b)前記得られたポリペプチド生成物を与えるために前記ポリペプチドまたはその前駆体を単離する工程と
を含むプロセスによって製造されたポリペプチド生成物に関する。
【0080】
他の側面では、本発明は、本発明のプロセスによって再生されたクロマトグラフィー固定相を使用するプロセスによって製造されたポリペプチド生成物に関する。
【0081】
他の側面では、本発明は、本発明による再生プロセスを実行するための配管および制御系を含む自動化されたクロマトグラフィー装置に関する。
【0082】
他の側面では、本発明は、
a)最初に、本発明によるプロセスによって再生されたクロマトグラフィー固定相を使用してポリペプチドまたはその前駆体を精製する工程と、
b)次に、前記ポリペプチドを乾燥させる工程と、
c)最後に、薬学的に許容可能な賦形剤と混合させる工程と
を含むプロセスによって製造された薬学的組成物に関する。
【0083】
他の側面では、本発明は、
a)最初に、少なくとも1つの有機酸と0.5%未満の水、好ましくは0.1%未満の水、より好ましくは0.02%未満の水、および最も好ましくは0.001%未満の水とを含む再生溶液にクロマトグラフィー固定相を接触させるプロセスによって再生されたクロマトグラフィー固定相を使用して、ポリペプチドまたはその前駆体を精製する工程と、
b)次に、前記ポリペプチドを乾燥させる工程と、
c)最後に、薬学的に許容可能な賦形剤と混合させる工程と
を含むプロセスによって製造された薬学的組成物に関する。
【0084】

商業的に利用可能な化学物質および材料について以下の頭字語を使用した:
HCOOH: ギ酸
EtOH: エタノール
AcOH: 酢酸
ODDMS: オクタデシルジメチルで置換されたシリカ粒子(ODDMSシリカ)
【0085】
例1-68、70-71、73-74および76で使用されたギ酸は、98〜100%の特定の純度を有し(製造業者による)、例72で使用されたギ酸は、99.9%の純度を有する。
【0086】
略語CVは、クロマトグラフィーの分野において知られるようにカラム容積を意味する。
【0087】
例1〜68
例1〜68の実験全体の構成は以下のようにした:
1)圧力問題のないカラム(新しい未使用のカラム)の背圧および谷の高さの決定。
【0088】
2)圧力および性能問題の導入。
【0089】
3)圧力問題を含む背圧およびカラムの谷の高さの決定
4)カラムの再生
5)再生後のカラムの背圧および谷の高さの決定
【0090】
背圧および谷の高さの決定:
同じタイプのシリカゲルを、このセクションにおいて言及された全ての実験について使用した。シリカゲルは、ODDMS 200Å、15μmシリカゲルである。大部分において、同じゲルバッチ(バッチ番号205144)を使用した(全て874-で始まるカラム)。
【0091】
シリカゲルを10mm×250mmスチールカラム中に充填し、試験物質としてDesB30インシュリンを使用して機能性試験を行い、塩化カルシウムおよび塩化カリウム塩を含むエタノール水混合液で溶出した(表1を参照)。DesB30インシュリンと直近の不純物(インシュリンピークの前)との間の溶出下の背圧と谷の高さを、カラムがその性能をどのように良好に回復するかについての試験パラメーターとして使用した。
【0092】
DesB30インシュリンの溶出時間は、温度および他の実験パラメーターのわずかな変動によってある程度の実験変動を受ける。DesB30インシュリンの溶出時間が異なる実験において同じであるとき、谷の高さは、カラムの分離性能の完全な比較である。DesB30インシュリンの溶出時間が複数の実験間で変動するとき、谷の高さはカラム分離性能の良好な測定にはならない。その他全てが等しい場合、保持時間が長ければ長いほど、谷の高さはより低くなるであろう。
【表1】

【0093】
制御ソフトウェアであるUnicorn 4.0を搭載したAktaexplorer 100A上23±2℃で機能性試験を行い、以下のカラムサイクルを実行した(表2を参照):
【表2】

【0094】
シリカゲルで充填されたカラム(バッチ205144)について試験を行い、背圧を3.4±0, 1 MPaまで測定した。同様に、圧力問題を導入する前の他のカラムについて背圧を決定した。実験は、これらの値が処理後に回復する場合、カラムがその性能を回復することを示す。
【0095】
また、圧力および性能問題の導入前および後、ならびにカラムの再生後に個々のカラムについての谷の高さを決定した。
【0096】
圧力および性能問題の導入:
圧力および性能問題を1〜3の方法で導入した:
1)カラムを機能性試験において使用し、70℃で1〜16時間にわたってローディングおよび静置した後、システムから取り外した。その後、背圧および谷の高さを測定し、機能性試験の残りを行った。
【0097】
2)DesB30インシュリン(0.14g)、0.1Mトリスバッファー(22ml)およびエタノール(15ml)を含むビーカー中において50℃で1時間にわたってODDMSシリカゲル(25g)を撹拌した。その後、ゲルをスチールカラム(10mm×250mm)中に注いで充填した。背圧と谷の高さを測定し、機能性試験を行った。
【0098】
この方法はより低温で行うこともできるが、より長い反応時間を要する。
【0099】
3)1)および2)の組み合わせ。第1に、前記ゲルを2)で処理して充填した後、カラムを1)で処理した。
【0100】
個々のカラムについて使用される方法は、以下の表4に列挙する。
【0101】
カラムの再生(すなわち、圧力および性能問題の除去):
また、カラムの再生をAktaexplorer 100A上で行った。このプロセスについてのカラムサイクルを以下の表3で見ることができる。再生後、カラムを再び機能性試験において試験し、背圧を決定した。
【表3】

【0102】
異なる溶媒を22℃および40℃で試験した(HPLCシステム全体を選択された温度±1℃で冷蔵庫中に静置した)。個々のカラムについての特定の条件を表4に示し、機能性試験の結果を表5に示す。
【0103】
個々のカラムについての特定の実験条件:
【表4−1】

【表4−2】

【表4−3】

【0104】
個々のカラムについての機能性試験の結果:
表5。問題の導入前および導入後ならびに表4に列挙された条件によるカラムの再生後に行われた機能性試験の背圧および谷の高さの結果。
【0105】
RTは、DesB30インシュリンの保持時間であり、谷の高さ(HV)は、DesB30インシュリンおよび直近の不純物についてのものである。
【表5−1】

【表5−2】

【表5−3】

【0106】
例69
カラムの寿命−クロマトグラフィー溶媒/溶出液
置換されたシリカゲルの寿命は、クロマトグラフィーカラムに適用された溶液、例えばバッファーおよび再生溶液によるゲルの化学分解によって制限されるおそれがある。置換されたシリカゲルの化学分解は、カラムから出て行くケイ素の出現、または置換基の喪失を示すゲルの炭素含量の低下によって観察することができる。以下の実験は、3つのクロマトグラフィー溶液(20%エタノール水、溶出液1、および溶出液2)で長時間フラッシングしている間のカラム流出液中のケイ素の出現とゲルの炭素含量の減少を示す。溶出液2の組成物は、31重量%エタノール、1.5重量%KCl、0.40重量%CaCl2、0.15重量%トリエタノールアミンであり、pHがHClを使用してpH7.4に調整されている。溶出液1の組成物は、塩、バッファー、エタノールであり、pH3.0である。
【0107】
クロマトグラフィーカラムを充填するための標準的な手順によって、ODDMSシリカゲルのバッチを、5つの4.0×250mmのスチールカラム中に充填した。その後、クロマトグラフィー溶出液での連続的フラッシングを開始する前に、カラムを3CVのエタノールで平衡化した。その後、5つのカラムをクロマトグラフィー溶出液(20%EtOH、溶出液1または溶出液2)で1、3、7、12および16日間にわたってそれぞれフラッシングした。適切なフラッシング時間の後、各カラムを3CVのエタノールで平衡化し、シリカゲルをカラムから取り出した。消耗したシリカゲルのサンプルについて炭素含量の分析を行い、消耗した再生溶液のサンプルについてシリカ含量の分析を行った。0日以外の日数の結果は、カラムを充填するために使用されたシリカゲルの結果(炭素含量)である。
【表6】

【0108】
例70
カラムの寿命−ギ酸を含む再生溶液
置換されたシリカゲルの寿命は、クロマトグラフィーカラムに適用された溶液、例えばバッファーおよび再生溶液によるゲルの化学分解によって制限されるおそれがある。置換されたシリカゲルの化学分解は、カラムから出て行くケイ素の出現、または置換基の喪失を示すゲルの炭素含量の低下によって観察することができる。以下の実験は、ギ酸含有の再生溶液で長時間フラッシングしている間のカラム流出液中のケイ素の出現とゲルの炭素含量の減少を示す。従って、クロマトグラフィーバッファーまたは溶媒を使用する状況と比較すると、再生溶液を含むギ酸はカラムマトリックス上でこれ以上悪化させない。
【0109】
クロマトグラフィーカラムを充填するための標準的な手順によって、ODDMSシリカゲルのバッチを、5つの4.0×250mmのスチールカラム中に充填した。次に、ギ酸での連続的なフラッシングを開始する前に、3CVの100%EtOHで各カラムを平衡化した。その後、ギ酸を含む再生溶液(100%または80%)で1、3、7、12、および16日間にわたって5つのカラムをそれぞれフラッシングした。適切なフラッシング時間の後、各カラムを3CVのエタノールで平衡化し、シリカゲルをカラムから取り出した。消耗したシリカゲルのサンプルについて炭素含量の分析を行い、消耗した再生溶液のサンプルについてケイ素含量の分析を行った。0日以外の日数の結果は、カラムを充填するために使用されたシリカゲルの結果(炭素含量)である。
【表7】

【0110】
例71
共焦点レーザー走査顕微鏡を使用してSource 30Qアニオン交換器上のインシュリン原繊維を検出する。
【0111】
目的
共焦点レーザー走査顕微鏡を使用する目的は、異なる再生溶媒がインシュリン原繊維をSource 30Qからいかに効率的に取り除くかを視覚的に決定することである。洗練された画像に加工するソフトウェアは、各写真上でのインシュリン原繊維の面積を測定する機会を与え、各写真の視覚的判断の代わりにより正確な判断を与える。
【0112】
共焦点の原理
CLSMを使用する原理は、サンプルを蛍光色素で染色することである。染色されたサンプルを顕微鏡下に静置し、レーザーを使用して蛍光色素を励起させる。蛍光色素からくる放射光を検出し、画像を形成させる。
【0113】
共焦点レーザー走査顕微鏡は、光源としてレーザーを使用する通常の共焦点顕微鏡である。レーザーからの光は、二色性ビームスプリッターを介して顕微鏡の対物レンズを通過する。二色性ビームスピリッターは、レーザーからくる光を対物レンズからサンプルに至るまで通過させる装置であり、サンプルからくる放射光が二色性ビームスプリッターを通過して光電子増倍管に至り、光が検出されて画像が形成される。二色性ビームスプリッターと光電子増倍管との間には共焦点ピンホールが配置されている。共焦点ピンホールは、光電子増倍管に達する焦点領域の外からくる全ての光を遮断するフィルターとして機能する。これは、形成される画像が非常に狭い焦点平面からくることを意味する。共焦点ピンホールを調整することによって、画像焦点平面をサンプルを通して上下に移動させ、顕微鏡の光(Z)軸に沿って一連の画像を作る。この一連の画像を集めてサンプルの3D画像にすることができる。
【0114】
Source 30Q
Source 30Qは、30ミクロンの粒子サイズをもつ単分散のビーズに基づいた強力な陰イオン交換体である。マトリックスは、ポリスチレン/ジビニルベンゼンからなる。Source 30Qは、650nmを越える波長領域で弱い自己蛍光を発する。これはあらゆる染色無しでSource 30Q粒子を見ることができることを意味する。
【0115】
チオフラビンT
インシュリン原繊維を染色するために使用される色素は、アミロイドタンパク質を染色するために知られているチオフラビンTである。チオフラビンTは、490nm未満から530nmを越える範囲の最大発光をもつ広い発光スペクトルを有する。これは、インシュリン原繊維(緑色)と粒子からくる自己発光(赤色)との間を区別できることを意味する。
【0116】
Source 30Q上のインシュリン原繊維を染色するための方法
0.0385g乾燥Source 30Qを25〜30mlガラスに入れる。
【0117】
500μl 96% エタノールをSource 30Qに加える。
【0118】
NaOHでpH 3に調整した4.5ml 0.05M 酢酸を加える。
【0119】
前記ガラスを注意深く振盪させることによって前記混合液を一緒に混合する。
【0120】
ミリQ水中の20μl 116.62mM チオフラビンTを加える。
【0121】
前記混合液を5分間にわたって注意深く振盪する。
【0122】
前記サンプルをここで染色し、顕微鏡下で分析するための準備をする。
【0123】
前記混合液約40μlの小さな液滴を顕微鏡ウェル中に静置し、顕微鏡の中に入れる。
【0124】
前記ウェルの異なる位置からの各サンプルの2D写真10枚を撮る。
【0125】
装置
顕微鏡の条件
対物レンズ:40*;油;NA?
レーザー:アルゴン488 nm
レーザー強度:100%
共焦点ピンホール:20μm
発光フィルター(No2):Chromaからの515/30M
発光フィルター(No3):ChromaからのHQ650LP
顕微鏡:NikonからのPCM2000共焦点走査ヘッド(光電子増倍管)を備えたNikon TE300
ソフトウェア:Nikon EZ2000 Viewer 2.5.77
イメージ加工のために使用されるソフトウェア:AnalySIS 3.00
【0126】
イメージ加工
インシュリン原繊維の面積を、各サンプルからの2D写真10枚上で測定した。各サンプルが同じ方法で正確に処理されることを保障するために、イメージ加工はマクロを形成させることによって自動的に行われた。マクロは以下に示す。各サンプルの10枚の写真からの各々個々の原繊維の面積をエクセルワークシート中に要約した。各サンプルからの要約された原繊維を比較のための棒グラフ中に集めた。
【0127】
原繊維の面積を測定するためのマクロ
Op.Display=1;
docActivate("picture name");
DbLoadImage();
MaximizeContrast();
ShadingCorrection(N*N average filter size;3; lower limit;1900; upper limit; 2000 );
BinarizeColorImage(ColorThresholds:=NULL, Phase:=-1);
Invert();
EdgeEnhance(size; 5; percent; 70 );
SetFrame(Left:=0, Top:=0, Right:=1023, Bottom:=1023);
Detect();
ParticleResults();
Op.Display=6;
Option.BurnOverlay=TRUE;
SaveAs(FileName:);
docActivate("Sheet*");
SaveAs(FileName:);
Close(AskForSave:=TRUE);
【表8】

【0128】
インシュリン原繊維の完全な除去は、純粋なギ酸またはギ酸およびエタノールの混合液を使用して得られる。ギ酸:水の50:50の混合液は原繊維を完全には除去しないが、この混合液は水酸化ナトリウム(1M)よりも有効な再生溶液である。
【0129】
例72
生産規模におけるギ酸でのRP-HPLCカラムの再生のための標準的手順
ヒトインシュリンの生産規模の精製における4つのクロマトグラフィー精製工程において使用された2つのタイプのカラムに以下に記載された手順を適用する。
【0130】
タイプ1のカラム:
ベッド高さ32.5cm
1.バッファー塩を除去するために、約1.5CV 20重量%エタノール水を流速4.6CV/hでカラムに流す。
【0131】
2.カラム内の流れの方向を逆転させる。
【0132】
3.約1.1CV 無水エタノールを流速4.5CV/hでカラムに流す。
【0133】
4.1.1CV 純粋ギ酸を2.1CV/hの流速でカラムに汲み上げる。
【0134】
5.流れを止め、ギ酸を30分間にわたってカラム内に留める。
【0135】
6.約1.1CV 無水エタノールを流速4.5CV/hでカラムに流す。
【0136】
7.約1.1CV 20重量%エタノール水を流速4.5CV/hでカラムに流す。
【0137】
8.カラム内の流れの方向を逆向きから通常に切り替える。
【0138】
9.最小値 流速4.6CV/hの4CV 20重量%エタノール水でカラムを平衡化する。
【0139】
ここで再度使用するためにカラムを準備する。
【0140】
タイプ2のカラム:
ベッド高さ37.5cm
1.バッファー塩を除去するために、約1.5CV 20重量%エタノール水を流速4.6CV/hでカラムに流す。
【0141】
2.カラム内の流れの方向を逆転させる。
【0142】
3.約1.0CV 無水エタノールを流速3.9CV/hでカラムに流す。
【0143】
4.0.92CV 純粋ギ酸を1.9CV/hの流速でカラムに汲み上げる。
【0144】
5.流れを止め、ギ酸を30分間にわたってカラム内に留める。
【0145】
6.約1.0CV 無水エタノールを流速3.9CV/hでカラムに流す。
【0146】
7.約1.0CV 20重量%エタノール水を流速3.9CV/hでカラムに流す。
【0147】
8.カラム内の流れの方向を逆向きから通常に切り替える。
【0148】
9.最小値 流速4.6CV/hの4.0CV 20重量%エタノール水でカラムを平衡化する。
【0149】
ここで再度使用するためにカラムを準備する。
【0150】
タイプ1のカラムでは、成分の蓄積、カラム背圧の増加および貯蔵体積の増加を止めるために予防措置として第16回目のラン毎後にギ酸での再生を行う。クロマトグラフィー精製工程Iにおいてギ酸での再生手順を適用することによって、カラムベッドの寿命は、2000回目のランまで延びる。
【0151】
タイプ2のカラムでは、60回目のラン毎後、または背圧が増加した場合、貯蔵体積が増加した場合、および不純物の蓄積が観察された場合に定常的にギ酸での再生を行う。ギ酸での再生手順を適用することによって、カラムベッドの寿命はクロマトグラフィー精製工程IIIにおいて600回目のランまで延び、かつクロマトグラフィー工程IVにおいて900回目のランまで延びる。
【0152】
クロマトグラフィー精製工程I、IIIおよびIVにおいて使用されたカラムマトリックスは、オクタデシルジメチルで置換されたシリカ粒子(ODDMSシリカ)からなる。上述した標準的な手順は、生産規模内で使用される全てのタイプの置換されたシリカマトリックスについて適用する。
【0153】
前記手順はまた、Source Q材料に基づいたカラムマトリックスのためのギ酸再生手順において使用される。
【0154】
クロマトグラフィー精製IIIおよびIVでの効果の例を以下に示した。
【表9】

【0155】
前記再生は、貯留量を約21%減少させ、背圧を37%減少させる。
【0156】
図4A-Bは、クロマトグラフィー精製IIIについての分取クロマトグラムでの再生の効果を示す。
【0157】
ギ酸の再生を適用することによって、向上した分離とヒトインシュリンピークの形成が達成される(インシュリンピークは、上図の8.20時点と下図の14.02時点で始まる大きなピークである)。
【0158】
例73
DEAEセファロースの再生
ヒト成長ホルモンの精製のためのプロセスにおける多数の精製サイクルが使用されるDEAEセファロースのバッチは、純粋なギ酸(100% HCOOH)によって再生された。再生前のセファロースは、ゲル上に堆積した材料を示す茶褐色を示す。再生されたセファロースは十分に明るい色であった。色の違いを数量化するために比色計(Minolta CR-300)を使用し、再生されたセファロースのサンプルを再生前のセファロースと比較した。結果を表10に示す。
【表10】

【0159】
例74
グルカゴン凝集体を含む消耗したシリカゲルの再生
グルカゴンおよびグルカゴン様ペプチド(GLP-1およびGLP-2)は特に凝集にさらされ、原繊維、すなわちβ-シート構造の凝集体を形成する。この例において、ヒトグルカゴンをシリカカラム上にロードしたモデル実験を行った(例1〜68に記載されたように)。グルカゴン溶液を30℃で3日間にわたってカラム中に留まらせ、グルカゴンの工業生産中に直面する問題を模倣した圧力および性能問題を導入した。カラム全体の圧力は、例69に記載された溶出液2を使用して22℃で9mL/minの流速で3.5MPaで測定した。
【0160】
ギ酸(100%)を使用した再生サイクルの後、カラム全体の圧力は、再生溶液としてのギ酸の有効性を示す2.67MPaまで減少した。
【0161】
例75
カラムの寿命−0.1M NaOHと60重量%エタノール水とを含む再生溶液
この実験における再生溶液が、クロマトグラフィー固定相を再生するために通常使用されるアルカリ性エタノールであることを除いて、例70に記載された通りに実験を行った。
【0162】
再生溶液の流れは約0.1mL/minであり、この実験はカラム全体の圧力が>10MPaを越えた4日後に終了した。機能停止するまでのカラムの結果を表11に示す。
【表11】

【0163】
例76
XAD 1180の再生
浄化された発酵ブロスからのインシュリン前駆体の濃縮のために使用された逆相ポリマー樹脂XAD 1180の寿命は、疎水性汚染物質、例えば発酵からの着色化合物、ペプチドおよび消泡物質の深刻な蓄積のために制限される。通常の再生サイクルは、pH3の0.1Mクエン酸中で80%エタノールを含む再生溶液での洗浄、続いて5% NaOH溶液での80℃加熱に基づいた。この再生プロセスは、蓄積された汚染物質を除去するのに効率的ではなかった。
【0164】
静的モードにおけるエタノールとイソプロパノールの異なる濃度と接触時間での実験によって、結合した消泡物質(Pluronic PE6100およびP2000)の消耗した樹脂からの除去について評価を行い、ギ酸再生溶液と比較した(表12)。ギ酸処理は、標準的な工業的再生溶媒と比較して吸着した汚染物質を除去するのに優れている。
【表12】

【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】図1は、共焦点の原理を示す。
【図2】図2は、チオフラビンTで染色されたインシュリン原繊維を含むSource30Qの2D写真を示す。
【図3】図3は、Source30Q上での原繊維の面積を測定する原理を示す。明色領域は、Source30Q粒子上のインシュリン原繊維からくる緑色光を示す。
【図4】図4A-Bは、クロマトグラフィー精製IIIからの分取クロマトグラムである(上図の図4Aはギ酸での再生前、下図の図4Bはギ酸での再生後である)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィー固定相を再生するための方法であって、前記クロマトグラフィー固定相を、少なくとも1つの有機酸と約75重量%未満の水とを含む再生溶液と接触させる方法。
【請求項2】
クロマトグラフィー固定相を再生するための方法であって、前記クロマトグラフィー固定相を、少なくとも1つの有機酸と約1重量%未満の水とを含む再生溶液と接触させる方法。
【請求項3】
前記有機酸の濃度が、少なくとも約25重量%である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機酸が、ギ酸である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記有機酸が、酢酸である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記再生溶液が、有機溶媒を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記有機溶媒が、エタノールである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記有機溶媒が、2-プロパノールである請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記有機溶媒が、アセトニトリルである請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記有機溶媒が、メタノール、1-プロパノール、およびヘキシレングリコールからなる群から選択される請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記再生溶液が、0.5%未満の水、好ましくは0.1%未満の水、より好ましくは0.02%未満の水、および最も好ましくは0.001%未満の水を含む請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記クロマトグラフィー固定相を、クロマトグラフィーカラム内部で前記再生溶液と接触させる請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記クロマトグラフィー固定相を、カラムに再充填させずに再生させる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記クロマトグラフィー固定相を、前記再生中に流動化させる請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記クロマトグラフィー固定相を前記再生溶液と接触させる前に、クロマトグラフィー溶出液または平衡バッファーを水混和性有機溶媒で置換する請求項12ないし14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記有機溶媒がまた、クロマトグラフィー溶出液または平衡バッファー中に存在する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記水混和性有機溶媒がまた、再生溶液中に存在する請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記クロマトグラフィー固定相を、クロマトグラフィーカラムの外側で前記再生溶液と接触させる請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記クロマトグラフィー固定相が、RP-HPLCマトリックスである請求項1ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記クロマトグラフィー固定相が、シリカまたは置換されたシリカ材料である請求項1ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記クロマトグラフィー固定相が、C16またはC18で置換されたシリカである請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記クロマトグラフィー固定相が、C4、C8またはフェニルで置換されたシリカである請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記クロマトグラフィー固定相が、ポリマー材料である請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記クロマトグラフィー固定相を、少なくとも1秒間、好ましくは少なくとも1分間、より好ましくは少なくとも5分間、例えば1分間〜24時間、1分間〜5時間、1分間〜2時間、10分間〜60分間にわたって前記再生溶液と接触させる請求項1ないし23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
通常の流速でのクロマトグラフィーカラム全体にわたる圧力降下が少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、最も好ましくは少なくとも50%まで減少するまで、前記クロマトグラフィー固定相を前記再生溶液と接触させる請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記クロマトグラフィー固定相と前記再生溶液との接触が、約5℃〜50℃、好ましくは10℃〜40℃、より好ましくは15℃〜30℃、例えば18℃〜25℃の範囲の温度で行われる請求項1ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記クロマトグラフィー固定相の寿命が、少なくとも500クロマトグラフィーサイクル、好ましくは少なくとも700クロマトグラフィーサイクル、より好ましくは少なくとも1000クロマトグラフィーサイクル、最も好ましくは少なくとも2000クロマトグラフィーサイクルである請求項1ないし26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
クロマトグラフィーサイクル毎、2クロマトグラフィーサイクル毎に少なくとも1回、5クロマトグラフィーサイクル毎に少なくとも1回、20クロマトグラフィーサイクル毎に少なくとも1回、50クロマトグラフィーサイクル毎に少なくとも1回、または100クロマトグラフィーサイクル毎に少なくとも1回、前記方法を前記クロマトグラフィー固定相に適用する請求項1ないし27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記クロマトグラフィー固定相を請求項1ないし28のいずれか1項に記載の方法によって再生させる少なくとも1つのクロマトグラフィー工程を含む、治療用ポリペプチドまたはその前駆体を生成するための方法。
【請求項30】
前記治療用ポリペプチドが、親油性置換基を含む誘導体である請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記治療用ポリペプチドが、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン様ペプチド2、エキセンジン-4、TFFペプチド、ヒトインシュリン、これらの類似体およびこれらの誘導体からなる群から選択される請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリペプチドまたはその前駆体が、Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)、Arg34-GLP-1(7-37)、エキセンジン-4、Lys17Arg30-GLP-2(1-33)、Arg30Lys17Nε(β-Ala(Nα-ヘキサデカノイル))GLP-2(1-33)、およびGly2-GLP-2(1-33)からなる群から選択される請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリペプチドまたはその前駆体が、
スレオニンメチルエステルB30ヒトインシュリン、
スレオニンエチルエステルB30ヒトインシュリン、
AspB28ヒトインシュリン、
スレオニンメチルエステルB30AspB28ヒトインシュリン、
スレオニンエチルエステルB30AspB28ヒトインシュリン、
LysB28ProB29ヒトインシュリン、
MetB-1ArgB0LysB28ProB29ヒトプロインシュリン、
LysB3GluB29ヒトインシュリン、
GlyA21ArgB31ArgB32ヒトインシュリン、
des(B30)ヒトインシュリン、
NεB29-テトラデカノイルdes(B30)ヒトインシュリン、
NεB29-リトコロイル-γ-グルタミルdes(B30)ヒトインシュリン、
NεB29-オクタノイルdes(B30)ヒトインシュリン、および
NεB29-オクタノイルヒトインシュリン
からなる群から選択される請求項29に記載の方法。
【請求項34】
クロマトグラフィーカラム全体の圧力降下を減少させるための請求項1ないし33のいずれか1項に記載のプロセスの使用。
【請求項35】
治療用ポリペプチドの製造のための請求項1ないし28のいずれか1項に記載のプロセスの使用。
【請求項36】
少なくとも1つの有機酸と約1重量%未満の水とを含む再生溶液と接触させることによって再生されたクロマトグラフィー固定相。
【請求項37】
少なくとも1つの有機酸と約75重量%未満の水とを含む再生溶液と接触させることによって再生されたクロマトグラフィー固定相。
【請求項38】
請求項1ないし33のいずれか1項に記載の方法によって再生されたクロマトグラフィー固定相。
【請求項39】
前記クロマトグラフィー固定相がシリカ、または置換されたシリカ材料である請求項36ないし38のいずれか1項に記載のクロマトグラフィー固定相。
【請求項40】
a)請求項36ないし39のいずれか1項に記載のクロマトグラフィー固定相を使用してポリペプチドまたはその前駆体を精製する工程と、
b)前記得られたポリペプチド生成物を与えるために前記ポリペプチドまたはその前駆体を単離する工程と
を含むプロセスによって製造されたポリペプチド生成物。
【請求項41】
請求項36ないし39のいずれか1項に記載のクロマトグラフィー固定相を使用するプロセスによって製造されたポリペプチド生成物。
【請求項42】
請求項1ないし33のいずれか1項に記載のプロセスを実行するための配管および制御系を含む自動化されたクロマトグラフィー装置。
【請求項43】
a)最初に、請求項1ないし33のいずれか1項に記載のプロセスによって再生されたクロマトグラフィー固定相を使用してポリペプチドまたはその前駆体を精製する工程と、
b)次に、前記ポリペプチドを乾燥させる工程と、
c)最後に、薬学的に許容可能な賦形剤と混合させる工程と
を含むプロセスによって調製された薬学的組成物。
【請求項44】
a)最初に、請求項1に記載のプロセスによって再生されたクロマトグラフィー固定相を使用してポリペプチドまたはその前駆体を精製する工程と、
b)次に、前記ポリペプチドを乾燥させる工程と、
c)最後に、薬学的に許容可能な賦形剤と混合させる工程と
を含むプロセスによって調製された薬学的組成物。
【請求項45】
a)最初に、請求項11に記載のプロセスによって再生されたクロマトグラフィー固定相を使用してポリペプチドまたはその前駆体を精製する工程と、
b)次に、前記ポリペプチドを乾燥させる工程と、
c)最後に、薬学的に許容可能な賦形剤と混合させる工程と
を含むプロセスによって調製された薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−525496(P2006−525496A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504344(P2006−504344)
【出願日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000234
【国際公開番号】WO2004/089504
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(391032071)ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (148)
【氏名又は名称原語表記】NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB
【Fターム(参考)】