説明

グリーストラップ装置

【課題】処理槽が小型でも確実な油性分除去を実施できるグリーストラップ装置を提供する。
【解決手段】排水路途中に設け、排水中の夾雑物を分離する夾雑物除去機能を備えた入水部3、及び夾雑物を除去した貯留排水を攪拌する攪拌機構部(噴気部21)、及び固形分を除いて排出する出水部5を付設した処理槽2と、油吸着粉末散布機構1とで構成され、油吸着粉末散布機構1が、容器状の粉末貯留部11と、粉末貯留部の底方に回転駆動によって動作する定量供給部12と、前記定量供給部と接続されると共に、先端口133を処理槽の所定位置に臨ませ、基端を送風機132と接続した供給管131を備えた搬送部13とで構成され、定量供給部と送風機とを適時間隔で連動させてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レストラン等からの排水のように、油性分を含む排水から油性分を除去するグリーストラップ装置及び油吸着粉末を供給する供給機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レストラン等のように飲食物の調理を行っている厨房からの排水(食堂排水)には、通常、生ゴミの他にも調理用油が含まれていることが多く、そのまま下水道や河川などへの排水を行うと、油性分が固化して排水管や下水管に付着及び蓄積されて、詰まりの原因となったり、河川を汚染する虞がある。このため従前から油性分を含む食堂排水は、一旦厨房の床下等に設けられたグリーストラップ装置を通し、グリーストラップ装置内で排水中の油性分を分離し、その後放流するようにしている。
【0003】
グリーストラップ装置は、基本的に排水を一旦貯留し、水面上に溜まった油性分を定期的に機械又は手作業で汲み上げて除去するものであるが、除去作業が面倒であること、並びに油性分が貯留処理槽壁面に付着し、その油性分の酸化による悪臭が問題となる。そこで従前よりグリーストラップ装置内で油性分を処理することが種々提案されている。
【0004】
例えは特許文献1,2,3には、グリーストラップ装置の貯留処理槽に、油性分吸着体を配置し、当該吸着体に油性分を吸着させて排水から油性分を除去する手段が開示されている。また特許文献4には、油脂分解菌を使用し、分解槽(貯留処理槽)で油性分の生物分解を行なって油性分を除去する手段が開示されており、更に特許文献5には、鹸化剤を排水に添加して、油性分を石鹸化して除去する手段が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−276019号公報。
【特許文献2】特開2004−174346号公報。
【特許文献3】特開2004−66077号公報。
【特許文献4】特開2001−59262号公報。
【特許文献5】特開平9−150146号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のとおり従前より種々の油性分除去手段が提案されているが、油性分の生物分解は相応の時間を要するので、排水の分解槽(貯留処理槽)に大容積のものが必要になり、一般の食堂・レストランのような簡易で小容積のグリーストラップ装置を採用している場合には排水量に対して分解処理が追いつかないのが現状である。
【0007】
また吸着体を採用する手段では、前記特許文献2に開示されているとおり、吸着材に油脂分解菌を含ませて、吸着した油性分の生物分解を行っているが、前述のとおり生物分解には時間を要し、更に吸着量の全てが分解されるまでに油性分の吸着量が限界となったり、吸着材の配置等によって、吸着体に吸着しない油性分が排出される虞も大きく、確実な油性分除去がなされない。
【0008】
また石鹸化においては、鹸化物質が必要であり、石鹸水の河川等への直接流出は、水性生物に影響を与え、また下水処理に際しては処理負担を大きくする問題がある。
【0009】
さらに、貯留処理槽に処理剤を供給する手段として、特許文献3は布裁断物であり、特別な供給機構は開示されていない。また特許文献4,5は、詳細な構造について説明はないが、構成図から液体の供給装置である。本発明は後述するように油吸着粉末を使用することを提案したもので、この油吸着粉末は、数十μmの顆粒の微粉末で、処理槽に対して油吸着粉末を効果的に供給する必要があるが、前記した従前の供給機構は採用することが出来ない。
【0010】
本発明は、従前手段と異なる新規な油性分除去手段を備えたグリーストラップ装置を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るグリーストラップ装置は、排水路途中に設け、排水中の夾雑物を分離する夾雑物除去機能を備えた入水部、及び夾雑物を除去した貯留排水を攪拌する攪拌機構部、及び固形分を除いて排出する出水部を付設した処理槽と、油性分を吸着して固形分とする油吸着粉末を処理槽上方から、適時散布する油吸着粉末散布機構とで構成してなることを特徴とするものである。
【0012】
而して食堂排水は、入水部で夾雑物(野菜等の食材屑片)が除去され、夾雑物除去排水が処理槽に貯留されると、油吸着粉末散布機構から所定量の油吸着粉末が散布され、攪拌によって処理槽内排水と混合されると、排水中の油性分は当該粉末に吸着して塊状(固形分)となるので、排水部の固液分離によって固形分(油分)を含まない分離排水を処理槽から出水し、外部へ排出(放流)するものである。
【0013】
また本発明(請求項2)は、前記グリーストラップ装置において、油吸着粉末散布機構が、容器状の粉末貯留部と、粉末貯留部の底方に回転駆動によって動作する定量供給部と、前記定量供給部と接続されると共に、先端口を処理槽の所定位置に臨ませ、基端を送風機と接続した供給管を備えた搬送部とで構成され、定量供給部と送風機とを適時間隔で連動させてなるもので、粉末貯留部内に所定の油吸着粉末(以下「粉体」という)を収納し、レストラン等の開店と共に作動すると、当該レストランの排水量並びに処理槽の容量に合わせて適宜間隔で、定量供給部と送風機とを連動させると、粉体の最適量を処理槽に散布することができるものである。
【0014】
また本発明(請求項3)は、特に前記の油吸着粉末散布機構の定量供給部が、粉末貯留部の内底面に、回転外周近傍に供給口を開設した回転板を設け、粉末貯留部の底面に、前記供給口の通過位置に供給管と接続される排出口を有し、粉末貯留部の底方における前記排出口位置の回転方向側に障壁を設けてなるものである。
【0015】
而して、回転板を回転させると、回転板の供給口と排出口が重なる箇所で貯留部内の粉体が下方に落ち込み、特に排出口位置の回転方向側に障壁部を設けているので、回転板で回転方向に運ばれる粉体は、障壁に衝突して当該位置で止められ、盛り上がるので、前記の粉体の落下が確実に為される。そして供給管内に落下した粉体は、送風によって供給管内を搬送され、先端口から放出されて処理槽に供給散布される。
【0016】
また本発明(請求項4)は、定量供給部を、ホッパー状の粉末貯留部の内底面に開口部を設け、柱状外周面に収納凹部を形成したロータリーバルブを、前記開口部に収納凹部が臨むように組み込み、開口部反対側の収納凹部に対面する箇所、供給管とを接続してなるもので、粉末貯留部内の粉体が収納凹部に入り、ロータリーバルブの回転によって収納凹部内の粉体が供給管内に落下し、送風によって供給管内を搬送され、先端口から放出され処理槽に供給散布される。
【0017】
また本発明(請求項5)は、前記のグリーストラップ装置において、処理槽内に網板又は濾過膜で仕切り部を設けて出水部における固形分分離機能を備えさせると共に、油吸着粉末供給機構の供給管先端を、前記仕切り部より入水部側に臨ませてなるもので、仕切り部の出水側は油分を含まない油分分離排水で満たされるので、この分離排水の自然放流がなされる。処理槽内の油分を吸着した固形分は、後述する手段で取り出して外部処理したり、処理槽に油分を分解する微生物を供給して自然分解を行なう。
【0018】
また本発明(請求項6)は、前記のグリーストラップ装置において、処理槽内に沈殿物の取出用網容器を設けて固形分分離機能を備えさせると共に、油吸着粉末供給機構の供給管先端を、前記取出用網容器の上方に臨ませてなるもので、油分吸着固形分が取出用網容器内のみ存在することになるので、容器を処理槽から取り出して油分を吸着した固形分を容易に外部処理することができる。
【0019】
更に本発明(請求項7)は、固形分分離機能の付与構造として、貯留処理槽内の沈殿物・浮遊物を含んだ排水の汲み上げ機構と、汲み上げ排水の固形分を分離する分離部を備え、汲み上げた排水から固形分を除いた分離排水のみを排出する構造としたもので、沈殿物・浮遊物の汲み上げ分離及び油性分を含まない分離排水の外部排出(放流)が自動的に為されるものである。
【0020】
また本発明(請求項8)は、前記装置において、油吸着粉末が、油吸着能力を有するバイオレメディエーション促進剤であるもので、分離固形物(油吸着物)をそのまま土壌に放置しても、効果的な生物分解が促進され、分離固形物の処理が容易になる。
【0021】
更に本発明(請求項9)は、前記装置において、攪拌機構が空気曝気機構であるので、排水中の油性分分解菌の働きも促進されると共に、滞留排水の好気発酵により悪臭の発生を抑制する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の構成は上記の通り、食堂排水の油性分除去を、処理対象排水に油吸着粉末を混合し、油分吸着後物質の排除という手段を採用したもので、グリーストラップ装置の貯留処理槽を大型化することなく、油性分を含まない分離排水を放流するもので、環境への影響を抑えた排水処理を実現したものである。
【0023】
また特に油分吸着粉末(粉体)の供給散布を確実に且つ所望量の供給を自動的に行なうことができたものでものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明の実施形態について説明する。図1に示した第一の実施形態のグリーストラップ装置は、油吸着粉末散布機構1と、処理槽2で構成され、処理槽2には、入水部3と、攪拌機構部(曝気機構:噴気部21)と、固形分分離機能を果たす取出用網容器4と、出水部5を付設したものである。
【0025】
油吸着粉末散布機構1は、容器状の粉末貯留部11と、粉末貯留部の底方に回転駆動によって動作する定量供給部12と、前記定量供給部12と接続されると共に、先端口を処理槽の所定位置に臨ませた搬送部13とで構成される。
【0026】
粉末貯留部11は、適宜容量の円筒状の容器体111と蓋体112を備え、容器体111の底面113の所定位置(後述する供給口123と対応する位置)に排出口114を形成し、更に前記排出口114の近傍位置に障壁115を設けたものである。
【0027】
定量供給部12は、回転板121と回転駆動部(モータ)122と、回転駆動部の制御部(図示せず)を備えたもので、回転板121は、容器体111の内底面で回転するように組み込んだもので、外周部分を回転中心部分より一段低い段差に形成すると共に、当該低段部分に供給口123を形成する。
【0028】
尚障壁115は、回転板121の回転に支障が無いように回転板121の直上に設けたもので、特に前記段差に対応する形状で且つ排出口114の位置の回転方向側に設けたものである。
【0029】
搬送部13は、供給管131と送風機132を備えたもので、供給管131は、前記排出口114に接続され、先端口133を後述する処理槽2の所定位置(沈殿物等の取出用網容器4の上方)に望ませたもので、途中に横管134を接続し、当該横管134を送風機132に接続して送風搬送を実現するようにした。
【0030】
処理槽2は、通常のグリーストラップ装置と同様の容積の槽体で、エアポンプ6と処理槽2の底面に配置した噴気部(攪拌機構部)21によって空気曝気を行い、処理槽内の排水Bを攪拌するようにしたものである。
【0031】
入水部3は、従前の装置と同様で、食堂排水Aの入水管31の出口に網状袋体(夾雑物除去部)32を着脱自在に取り付けたもので、更に網状袋体32を保持する保持部(穴開筒体)33を処理槽2内に配設してなるものである。
【0032】
固形分分離機能は、沈殿物等の取出用網容器4によって実現しているもので、前記取出用網容器4は、適宜な網容器体で、処理槽2内に取り出し可能に設置するもので、なるべく前記の噴気部21の位置を避けて配置する。
【0033】
出水部5は、処理槽2内の槽内排水Bから固形分(油分)が除去された油分分離排水Cを外部に放流するもので、処理槽2と接続して出水管51の開口部には適宜なフィルター52を設けておく。
【0034】
上記構成のグリーストラップ装置は、従前どおりレストラン等のように飲食物の調理を行っている厨房からの排水(食堂排水)Aを下水に放流する間に介設して使用されるもので、予め容器体111内に油吸着粉末(市販の一剤タイプの油処理剤であって、油吸着能力を備えたバイオレメディエーション促進剤:例えば数十μmの顆粒で、水中で攪拌すると分散し、水中の油分を吸着し沈殿する商標名「ユトラスエースα」、三菱ガス化学株式会社販売)を、容器体111内に収納しておく。また回転駆動部122の動作制御は予め設定しておく。
【0035】
而して食堂排水Aは、入水管31から処理槽2内に流入するもので、流入に際して夾雑物除去部32を通過することで食堂排水A中の夾雑物が取り除かれる。この食堂排水Aは、夾雑物の他に油性分も含まれているが、油性分は前記夾雑物除去部32では除去されず、処理槽2内に貯留する排水(槽内排水B)に散在することになる。
【0036】
そこで回転駆動部122及び送風機132を同時に作動させると、回転板121が回転し、回転板121の供給口123と、排出口114が重なる箇所で粉末貯留部11内の油吸着粉末(粉体)aが下方に落下する。特に障壁115に回転板121で回転方向に運ばれる粉体aが衝突し、粉体aの落下が確実に為される。
【0037】
そして落下した粉体aは、送風bによって横管134内を搬送され、先端口133から放出され、取出用網容器4に向って供給散布される。
【0038】
槽内排水Bは、エアポンプ6の作動で、曝気されながら攪拌するので、散布された粉体aは、槽内排水Bと共にかき混ぜられることで、槽内排水Bに含まれる油性分を吸着し、油性分は混濁状態から分離して沈殿物や浮遊物となる。
【0039】
特に粉体aの供給散布が取出用網容器4に向って為されるので、主として前記の容器4内において油分を吸着した粉体が沈殿物・浮遊物(分離油性分)Dとして容器4内に残ることになる。
【0040】
そして油性分を除去された処理済の槽内排水Bは、出水管51から下水などに放流されるものである。また取出用網容器4に溜まった沈殿物・浮遊物(分離油性分)Dは、容器4を処理槽2から取り出し、廃棄される。
【0041】
従って例えば食堂開店と当時に油吸着粉末散布機構1の動作スイッチを入れ、回転板121及び送風機132の駆動間隔時間を予め設定しておくと、処理槽2内への粉体aの供給量を決定することができるので、使用箇所の食堂排水Aの排水量、油分の混入割合、処理槽2の容量等を基準として、最適な粉体供給を実現できたものである。
【0042】
また本発明装置に油吸着粉末散布機構は、図4に示すような別構造を採用しても良い。図4に例示した油吸着粉末散布機構1aは、粉末貯留部11aをホッパー状に形成し、粉末貯留部11aの内底面に開口部116を設け、当該開口部116の下方に定量供給部12aを接続して設けたものである。
【0043】
定量供給部12aは、所謂ロータリーバルブで、筒型弁箱124内に回転作動する柱状の弁本体125を組み込むと共に、弁本体125の外周面に収納凹部126を形成した、弁箱124の下方部分を供給管131と接続してなるものである。他の構成は前記した第一実施形態の油吸着粉末散布機構1と同様である。
【0044】
前記の油吸着粉末散布機構1aは、弁本体125を180度回転させると、収納凹部126に存在する粉体aは、供給管131に落下し、同時に作動させる送風機132による送風bで横管134内を搬送され、先端口133から放出され、処理槽2の所定位置に向って供給散布される。
【0045】
従って弁本体125の180度の回転動作を、適時な間隔や、処理槽2に付設した水位センサの検知結果に基づいて動作制御を行なうことで、所望量の粉体散布を実現できるものである。
【0046】
また図5には本発明の第二の実施形態を示したもので、この実施形態は、沈殿物・浮遊物(分離油性分)Dの確実な取り出しを実現するために、汲み上げ機構4aを採用したものである。
【0047】
汲み上げ機構4aは、処理槽2の底面近傍或いは適宜な水位位置に汲み上げ口41を備え、処理槽2内の上部に排出口42を設けた汲上管43に、エアポンプ6からの空気放出を行うようにして、エアリフトポンプを構成したもので、排出口42に油を吸着した沈殿物・浮遊物Dを濾過できるフィルター44とフィルター受け皿45を設けてなるものである。
【0048】
また出水部5aは、フィルター44で固液分離された排水(処理済排水)Cを受け止めて装置外に放流する出水管51と、前記出水管51と処理槽2との間に設けた濾過膜53で構成される。
【0049】
上記構成のグリーストラップ装置は、第一実施形態と同様に、従前どおりレストラン等のように飲食物の調理を行っている厨房からの排水(食堂排水)Aを下水に放流する間に介設して使用されるもので、食堂排水Aは、入水管31から処理槽2内に流入し、流入に際して網状袋体32を通過することで食堂排水A中の夾雑物が取り除かれる。
【0050】
そして処理槽内排水Bの水位が処理水位(高水位)Hに達すると、油吸着粉末散布機構1が作動して所定量(処理槽2の容積に対応した量:高水位H時の処理槽内排水量に対応した量)の油吸着粉末aを処理槽2内に供給散布する。
【0051】
同時若しくはそれ以前(排水中の油性分分解菌の働きを促進し、処理槽内排水Bの好気発酵により悪臭の発生を抑制する)からエアポンプ6を作動して処理槽内排水Bを曝気して攪拌する。処理槽内排水Bに散布された油吸着粉末aは、処理槽内排水Bと共にかき混ぜられて、処理槽内排水Bに含まれる油性分を吸着し、油性分は混濁状態から塊状態で分離して沈殿・浮遊する。
【0052】
そこで曝気攪拌を中止し、汲上管43内にエアポンプ6から空気を送り出してエアリフト作用によって沈殿物(分離油性分)Dを、フィルター44上に汲み上げ、固液分離を行なう。
【0053】
分離された固形分(分離油性分)Dは、フィルター44に溜まり、油性分を除去された処理済排水Cは、出水管51から下水などに放流されるものである。同時に濾過膜53で固形分の通過が阻止され、油性分を含まない処理済排水Cのみが通過して出水管51から放流される。
【0054】
更にフィルター44に溜められた分離油性分Dは、そのまま土壌に放置するだけで、生物分解され、自然に帰るものである。特に油吸着粉末aが、バイオレメディエーション促進剤であるから、前記の生物分解も効果的に行なわれることになる。
【0055】
図6は、処理槽2aの他に受入槽7を設け、透過膜53を備えない出水部5aを採用した第三実施形態を示したものである。
【0056】
受入槽7は、入水管71と接続し、更に入水管71に夾雑物除去部72を設けると共に、曝気機構を付設し、更に処理槽2aとの間に水門部8を設けたものである。この水門部8は、処理槽2aの水位に応じて処理槽への流入制御をなすようにしたものである。
【0057】
出水部5aは、汲み上げ機構4aの汲上管43の排出口42、及びフィルター44とフィルター受け皿45を上方に配置したもので、出水管51を連設したものである。
【0058】
而して前記の第三実施形態も第一実施形態と同様に食堂排水Aの油性分除去を行なうもので、食堂排水Aは、入水管71から受入槽7内に流入するもので、流入に際して夾雑物除去部(網状袋体)72を通過することで食堂排水A中の夾雑物が取り除かれて受入槽7内に一時滞留する。
【0059】
処理槽2aにおいて、所定の低水位Lに至ると水門部8が開き、受入槽7内の夾雑物除去排水Eが、処理槽2a内に流入する。
【0060】
水門部8は、一定時間又は所定の高水位Hに達すると閉じ、そして処理槽2aにおいては、油吸着粉末散布機構1が作動して所定量の油吸着粉末aが散布され、同時に曝気によって攪拌される。
【0061】
従って処理槽内排水Bは、散布された油吸着粉末aによって、油性分は混濁状態から分離して塊状で沈殿・浮遊するので、曝気攪拌を中止後、汲上管43でフィルター44に送り込み、フィルター44で固液分離され、油性分を除去された処理済排水Cは、出水管51から下水等に放流される。
【0062】
従って前記第三実施形態は、食堂排水Aに変動があったとしても、一旦受入槽7に貯留することができるので、処理槽2aでの油吸着粉末aの散布並びに沈殿物分離を効率的に行うことができるものである。
【0063】
尚発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、最も単純な構成は、例えば図7に例示する第四実施形態のように油吸着粉末散布機構1と、処理槽2bで構成され、処理槽2bには、夾雑物除去用の網状袋体32を備えた入水部3を接続し、攪拌機構部22を内設し、固形分分離機能を果たす網状の仕切り部23を設け、この網状仕切り部23の下流側に出水部5を付設するのみで良く、油分を吸着した沈殿物・浮遊物は、適宜汲み上げたり、生物分解するのみで良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第一実施形態の全体の構成図。
【図2】同油吸着粉末散布機構の全体の構成図。
【図3】同動作説明図。
【図4】同油吸着粉末散布機構の別例の全体の構成図。
【図5】本発明の第二実施形態の全体の構成図。
【図6】本発明の第三実施形態の全体の構成図。
【図7】本発明の第四実施形態の全体の構成図。
【符号の説明】
【0065】
1,1a 油吸着粉末散布機構
11,11a 粉末貯留部
111 容器体
112 蓋体
113 底面
114 排出口
115 障壁
116 開口部
12,12a 定量供給部
121 回転板
122 回転駆動部(モータ)
123 供給口
124 弁箱
125 弁本体
126 収納凹部
13 搬送部
131 供給管
132 送風機
133 先端口
134 横管
2,2a,2b 処理槽
21 噴気部
22 攪拌機構部
23 仕切り部
3 入水部
31 入水管
32,72 網状袋体(夾雑物除去部)
33 保持部(穴開筒体)
4 取出用網容器
4a 汲み上げ機構
41 汲み上げ口
42 排出口
43 汲上管
44 フィルター
45 フィルター受け皿
5,5a 出水部
51,71 出水管
52 フィルター
53 濾過膜
6 エアポンプ
7 受入槽
8 水門部
A 食堂排水
B 処理槽内排水
C 処理済排水(油分分離排水)
D 沈殿物・浮遊物(分離油性分)
E 夾雑物除去排水
a 油吸着粉末(粉体)
b 送風

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水路途中に設け、排水中の夾雑物を分離する夾雑物除去機能を備えた入水部、及び夾雑物を除去した貯留排水を攪拌する攪拌機構部、及び固形分を除いて排出する出水部を付設した処理槽と、油性分を吸着して固形分とする油吸着粉末を処理槽上方から、適時散布する油吸着粉末散布機構とで構成してなることを特徴とするグリーストラップ装置。
【請求項2】
油吸着粉末散布機構が、容器状の粉末貯留部と、粉末貯留部の底方に回転駆動によって動作する定量供給部と、前記定量供給部と接続されると共に、先端口を処理槽の所定位置に臨ませ、基端を送風機と接続した供給管を備えた搬送部とで構成され、定量供給部と送風機とを適時間隔で連動させてなる請求項1記載のグリーストラップ装置。
【請求項3】
定量供給部が、粉末貯留部の内底面に、回転外周近傍に供給口を開設した回転板を設け、粉末貯留部の底面に、前記供給口の通過位置に供給管と接続される排出口を有し、粉末貯留部の底方における前記排出口位置の回転方向側に障壁を設けてなる請求項2記載のグリーストラップ装置。
【請求項4】
定量供給部が、ホッパー状の粉末貯留部の内底面に開口部を設け、柱状外周面に収納凹部を形成したロータリーバルブを、前記開口部に収納凹部が臨むように組み込み、開口部反対側の収納凹部に対面する箇所と、供給管とを接続してなる請求項2記載のグリーストラップ装置。
【請求項5】
処理槽内に網板又は透過膜で仕切りを設けて出水部における固形分分離機能を備えさせると共に、油吸着粉末散布機構の供給管先端を、前記仕切り部より入水部側に臨ませてなる請求項2乃至4記載の何れかのグリーストラップ装置。
【請求項6】
処理槽内に沈殿物の取出用網容器を設けて固形分分離機能を備えさせると共に、油吸着粉末散布機構の供給管先端を、前記取出用網容器の上方に臨ませてなる請求項2乃至4記載の何れかのグリーストラップ装置。
【請求項7】
処理槽に、貯留槽沈殿物を汲み上げて固形分を分離する汲み上げ機構を設けて固形分分離機能を備えさせてなる請求項2乃至4記載の何れかのグリーストラップ装置。
【請求項8】
油吸着粉末が、油吸着能力を有するバイオレメディエーション促進剤である請求項1乃至7記載の何れかのグリーストラップ装置。
【請求項9】
攪拌機構が空気曝気機構である請求項1乃至8記載の何れかのグリーストラップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−133173(P2009−133173A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328560(P2007−328560)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(593099229)株式会社環境システム開発 (2)
【Fターム(参考)】