説明

グルコキナーゼ(GLK)活性化剤としてのベンゾイルアミノヘテロシクリル化合物

【課題】2型糖尿病のようなグルコキナーゼ(GLK)を介して仲介される疾患又は医学状態の治療又は予防に有用である化合物および医薬組成物の提供。
【解決手段】式(I)の化合物又はその塩(式中、環Aは、O、S及びNから独立して選択される1、2又は3個の環ヘテロ原子を含有する5又は6員のヘテロアリール環である)の新規グループ。前記化合物を含んでなる医薬組成物、前記化合物を使用するGLKにより仲介される疾患の治療方法、及び式(I)の化合物を製造するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコキナーゼ(GLK又はGK)を介して仲介され、インスリン分泌についての減少したグルコース閾値を導く、疾患又は医学的状態の治療又は予防に有用であるベンゾイルアミノヘテロシクリル化合物のグループに関する。加えて、本化合物は肝臓のグルコース取り込みを増加させることにより、血糖を低下させると予想される。こうした化合物は、2型糖尿病及び肥満の治療に有用性を有することができる。本発明は、前記化合物を含んでなる医薬組成物、及び前記化合物を使用する、GLKにより仲介される疾患の治療法にも関する。
【背景技術】
【0002】
膵臓β細胞及び肝臓実質細胞において、主要な細胞膜グルコース輸送体はGLUT2である。生理学的グルコース濃度下、GLUT2がグルコースを膜透過させる速度は、これらの細胞におけるグルコース取り込みの速度全体を律速するものではない。グルコース取り込みの速度は、グルコキナーゼ(GLK)により触媒される、グルコースからグルコース−6−リン酸(G−6−P)へのリン酸化の速度により制限されている[1]。GLKは、グルコースに対して高いKm(6〜10mM)を有し、G−6−Pの生理学的濃度により阻害されない[1]。GLK発現はわずかな組織及び細胞型に限られており、膵臓β細胞及び肝細胞(肝細胞)で最も顕著である[1]。これらの細胞においては、GLK活性がグルコース利用の律速であり、そしてそれ故、グルコース誘導インスリン分泌及び肝臓グリコーゲン合成の程度を調節する。これらのプロセスは、全身グルコースホメオスタシスの維持に決定的であり、糖尿病においては両方が機能不全である[2]。
【0003】
糖尿病の一つのサブタイプ、若年発症成人型糖尿病2型(MODY−2)において、この糖尿病はGLK喪失の機能突然変異により引き起こされる[3、4]。MODY−2患者における高血糖症は、膵臓及び肝臓両方における不完全なグルコース利用により生じる[5]。MODY−2患者の膵臓での不完全なグルコース利用は、グルコース刺激インスリン分泌の閾値を上昇させる。逆に、GLKの希な活性化突然変異はこの閾値を低下させ、家族性インスリン過剰症を生じる[6、6a、7]。MODY−2糖尿病で観察される、減少したGLK活性に加えて、肝臓のグルコキナーゼ活性も2型糖尿病においては減少している[8]。重要なことに、GLKの全体的又は肝臓選択的過剰発現は、本疾患の食事性又は遺伝子的モデルの両方において、糖尿病表現型の発生を予防する又は逆転させる[9−12]。さらに、フルクトースでの2型糖尿病の急性的治療は、肝臓グルコース利用の刺激を介してグルコース耐性を改善する[13]。この効果は、以下に記述されている機構による肝細胞中の細胞質GLK活性のフルクトース誘発増加を介して仲介されると考えられている[13]。
【0004】
肝臓GLK活性は、GLK制御タンパク質(GLKRP)との会合を介して阻害される。GLK/GLKRP複合体は、GLKRPへのフルクトース−6−リン酸(F6P)結合により安定化され、そしてフルクトース−1−リン酸(F1P)による前記糖リン酸の置換により不安定化される。F1Pは、食事由来のフルクトースのフルクトキナーゼ仲介リン酸化により発生される。その結果として、F6Pは吸収後状態において優性であり、一方、F1Pは食事後状態において優性であるので、GLK/GLKRP複合体完全性及び肝臓GLK活性は、栄養的依存様式で調節される。肝細胞とは対照的に、膵臓β細胞はGLKRPの不存在下でGLKを発現する。それ故、β細胞GLK活性は、その基質、グルコースの利用可能性により広く調節される。小分子は、直接的に又はGLK/GLKRP複合体を不安定化することを介して、GLKを活性化することができる。前者のクラス
の化合物は肝臓及び膵臓の両方においてグルコース利用を刺激すると予測され、一方、後者は肝臓で選択的に作用すると予測される。しかしながら、2型糖尿病は両組織での欠陥のあるグルコース利用により特徴付けられるので、両方のプロフィールを有する化合物がこの疾患において療法的に有用であると予測される。
【0005】
GLK、GLKRP及びKATPチャンネルは、エネルギーバランスの調節及び食糧摂取の制御において重要である視床下部のニューロンで発現される[14〜18]。これらのニューロンは食欲及び食欲抑制ニューロペプチドを発現することが示されており[15、19、20]、そして環境グルコース濃度の変化により阻害されるか又は刺激される、視床下部内でのグルコースセンシングニューロンであると想定されている[17、19、21、22]。グルコースレベルの変化を感じるこれらのニューロンの能力は、多様な遺伝的に及び実験的に誘導された肥満のモデルで不完全である[23〜28]。グルコキナーゼの競合的阻害剤であるグルコース類似体の脳室内(icv)注入は、leanラットにおいて食物摂取を刺激した[29、30]。対照的に、グルコースのicv注入は摂食を抑制した[31]。それ故、GLKの低分子活性化剤は、GLKに対する中枢効果を介して食物摂取及び体重増加を減少させることができる。それ故、GLK活性化剤は、糖尿病に加え、肥満を含む摂食障害の治療において療法的に使用することができる。視床下部効果は、2型糖尿病の治療のためにグルコース恒常性を正常化することにおいて、肝臓及び/又は膵臓で作用する同一化合物の効果と相加的又は相乗的であろう。それ故、GLK/GLKRPシステムは、潜在的「糖尿肥満(Diabesity)」標的(糖尿病及び肥満の両方に
有効な)として表現することが可能である。
【0006】
GLKは特異的腸内分泌細胞においても発現されており、腸管K−細胞及びL−細胞からそれぞれインクレチンペプチドGIP(グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド)及びGLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)のグルコース感受性分泌を制御していると考えられている[32、33、34]。従って、GLKの低分子活性化剤は、これらの腸内分泌細胞からのGIP及びGLP−1分泌を刺激することの結果として、インスリンの分泌、b細胞機能及び生存、及び体重に対して追加の有益な効果を有することができる。
【0007】
WO00/58293及びWO01/44216(Roche)に、グルコキナーゼ活性化剤としての一連のベンジルカルバモイル化合物が記載されている。こうした化合物がGLKを活性化する機構は、GLK活性がNADH産生(これは次ぎに光学的に測定される)に結びつけられるアッセイにおけるこうした化合物の直接効果を測定することにより評価される−以下に記載されるインビトロアッセイの詳細を参照されたい。本発明の化合物は、直接GLKを活性化することができ、又はGLKRPとGLKとの相互作用を阻害することによりGLKを活性化することができる。
【0008】
さらに、GLK活性化剤がWO03/095438(置換フェニルアセトアミド、Roche)、WO03/055482(カルボキサミド及びスルホンアミド誘導体、Novo Nordisk)、WO2004/002481(アリールカルボニル誘導体、Novo Nordisk)及びWO03/080585(アミノ置換ベンゾイルアミノヘテロ環、Banyu)に記載されている。
【0009】
我々の国際出願番号:WO03/000267は酵素グルコキナーゼ(GLK)の活性化剤であるベンゾイルアミノピリジルカルボン酸のグループを記載している。
【0010】
我々の国際出願番号:WO03/015774は式(A):
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、Rは、カルボン酸置換ピリジル以外のフェニル又は置換ヘテロ環である)の化合物を記載している。
【0013】
国際出願WO2004/076420(Banyu)は、一般的にWO03/015774に記載されている化合物の下位集団である化合物(式中、例えば、Rは(置換された)アルキルエ−テルであり、及びRは(置換された)フェノキシである)を記載している。
【発明の概要】
【0014】
我々は驚くべきことに、一般的にWO03/015774に記載されている化合物の選択されたサブグループであり、一般的にGLK酵素に対して優れた作用強度、及び、例えば、より高い水溶解度、より高い透過性及び/又はより低い血漿タンパク質結合を含むより有利な物理的特性を有する化合物の小さなグループを発見した。従って、これらの特性のバランスを有するこうした化合物は、より高い血漿遊離薬剤レベル、及び、例えば、経口グルコース負荷試験(OGTT)における活性により決定される経口投与後の優れたインビボ効力を示すことが期待されるであろう。それ故、化合物のこのグループは、低用量で優れた経口投与を提供し、そしてそれにより、GLKを介して仲介される疾患又は医学的状態の治療又は予防における使用に特に適していると期待されるであろう。本発明の化合物は、当該技術分野で公知である他のGLK活性化剤、ならびにWO03/015774に記載されているものと比較して、優れた作用強度及び/又は有利な物理的特性(以下に説明されるような)及び/又は好ましい毒性プロフィール及び/又は好ましい代謝プロフィールも有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】X線粉末回折パターンである。
【図2】DSC分析の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
それ故、本発明の第一の側面に従うと、式(I):
【0017】
【化2】

【0018】
{式中、:
は、フルオロメトキシメチル、ジフルオロメトキシメチル及びトリフルオロメトキシメチルから選択され;
は、環Aの炭素原子上の置換基であり、−C(O)NR、−SONR、−S(O)及びHET−2から選択され;
HET−1は、該環が結合されているアミド窒素に関して2位に窒素原子を含有し、及びO、N及びSから独立して選択される1個又は2個のさらなる環ヘテロ原子を含有していてもよい5又は6員、C−連結ヘテロアリール環であり、該環は、利用可能な炭素原子上が、又はもしそれにより四級化されないならば環窒素原子上が、Rから独立して選択される1個又は2個の置換基で置換されていてもよい;
HET−2は、O、N及びSから独立して選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する4、5又は6員の、C−連結又はN−連結のヘテロシクリル環であり、ここで、−CH−基は−C(O)−により置き換えられていてもよく、及び、ヘテロ環中の硫黄原子はS(O)又はS(O)基へ酸化されていてもよく、該環は、Rから独立して選択される1個又は2個の置換基により利用可能な炭素又は窒素原子上が置換されていてもよい;
は、環Aの炭素原子上の置換基であり、そしてハロから選択され;
は、水素、(1〜4C)アルキル[HET−2、−OR、−SO、(3〜6C)シクロアルキル(Rから選択される1つの基で置換されていてもよい)及び−C(O)NRから独立して選択される1又は2個の置換基により置換されていてもよい]、(3〜6C)シクロアルキル(Rから選択される1つの基で置換されていてもよい)及びHET−2から選択され;
は、水素又は(1〜4C)アルキルであり;
は、(1〜4C)アルキル、ヒドロキシ(1〜4C)アルキル、(1〜4C)アルコキシ(1〜4C)アルキル、(1〜4C)アルキルS(O)(1〜4C)アルキル、アミノ(1〜4C)アルキル、(1〜4C)アルキルアミノ(1〜4C)アルキル、ジ(1〜4C)アルキルアミノ(1〜4C)アルキル及び/又は(炭素上の置換基としてのRについて)ハロから独立して選択され;
は、(1〜4C)アルキル、−C(O)(1〜4C)アルキル、−C(O)NR、(1〜4C)アルコキシ(1〜4C)アルキル、ヒドロキシ(1〜4C)アルキル、−S(O)及び/又は(炭素上の置換基としてのRについて)ヒドロキシ及び(1〜4C)アルコキシから選択され;
環Aは、O、S及びNから独立して選択される1、2又は3個の環ヘテロ原子を含有する5又は6員ヘテロアリール環であり、該環は、Rから選択される置換基で利用可能な窒素原子(もしそれにより四級化されないならば)上がさらに置換されていてもよい;
は、(1〜4C)アルキル、(3〜6C)シクロアルキル、ヒドロキシ(1〜4C)アルキル、(1〜4C)アルコキシ(1〜4C)アルキル 、−C(O)(1〜4C)
アルキル 、ベンジル及び(1〜4C)アルキルスルホニルから選択され;
pは(それぞれの存在で独立して)0、1、又は2であり;
nは、0、1又は2である}
の化合物又はその塩が提供される。
【0019】
が−C(O)NRで置換された(1〜4C)アルキルである場合、各Rは、水素及び(1〜4C)アルキルから独立して選択され、及びそれ故、このRの定義は(限定されるわけではないが)、−CONH、−CONHMe、−CONMe又は−CONMeEtで置換された(1〜4C)アルキルを含むことが理解されるであろう。
【0020】
式(I)の化合物が一つより多くのHET−2環を含有する場合、それらは同一でも又は異なっていてもよいことが理解されるであろう。
【0021】
式(I)の化合物が一つより多くの基Rを含有する場合、それらは同一でも又は異な
っていてもよいことが理解されるであろう。
【0022】
式(I)の化合物が一つより多くの基Rを含有する場合、それらは同一でも又は異なっていてもよいことが理解されるであろう。
【0023】
式(I)の化合物が一つより多くの基Rを含有する場合、それらは同一でも又は異なっていてもよいことが理解されるであろう。
【0024】
同様の規約が、本明細書で前に定義した式(I)の化合物上の、すべての他の基及び置換基について適用される。
【0025】
式(I)の化合物は塩を形成することができ、それはら本発明の範囲内である。薬学的に許容できる塩が好ましいが、他の塩も、例えば、化合物を単離すること又は精製することにおいて有用であろう。
【0026】
別の側面において、本発明は本明細書中で前に定義した式(I)の化合物又は薬学的に許容できる塩に関する。
【0027】
別の側面において、本発明は本明細書中で前に定義した式(I)の化合物又はそれらのプロドラッグに関する。式(I)の化合物のプロドラッグの適した例は、式(I)の化合物のインビボ加水分解性エステルである。それ故、別の側面において、本発明は、本明細書中で前に定義した式(I)の化合物又はそれらのインビボ加水分解性エステルに関する。
【0028】
本明細書において一般用語「アルキル」は、直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基の両方を含む。しかしながら、「プロピル」のような個々のアルキル基への言及は直鎖体のみに特異的であり、t−ブチルのような個々の分岐鎖アルキル基への言及は分岐体のみに特異的である。例えば、「(1〜4C)アルキル」には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びt−ブチルが含まれる。類似の慣例が他の一般用語にも適用される。
【0029】
疑念を避けるため、2位に窒素を含有する基HET−1への言及は、該基が結合されているアミド窒素原子に関して2位を指すことが意図される。例えば、式(I)の定義は、限定されるわけではないが、以下の構造を包含する:
【0030】
【化3】

【0031】
本明細書中で前に定義した、5又は6員環、C連結ヘテロアリール環としてのHET−1の適した例には、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル及びトリアゾリルが含まれる。
【0032】
HET−2は飽和、又は部分的又は完全不飽和環であり得ることが理解されるであろう。
【0033】
HET−2の適した例には、アゼチジニル、フリル、チエニル、チアゾリル、イソチア
ゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、モルホリノ、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリル、ピロリジニル、ピロリドニル、2,5−ジオキソピロリジニル、1,1−ジオキソテトラヒドロチエニル、2−オキソイミダゾリジニル、2,4−ジオキソイミダゾリジニル、2−オキソ−1,3,4−(4−トリアゾリニル)、2−オキサゾリジノニル、2−オキソテトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、1,1−ジオキソチオモルホリノ、1,3−ジオキソラニル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、ピラニル及び4−ピリドニルが含まれる。
【0034】
HET−2は、いずれかの利用可能なC又はN原子により連結することができること、それ故、例えば、HET−2について、「イミダゾリル」は1−、2−、4−及び5−イミダゾリルを含むことが理解されるであろう。
【0035】
本明細書中で前に定義した環Aの適した例には、チエニル、フリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル及びトリアゾリルが含まれる。さらに適した環Aの例には、環窒素又は硫黄原子が酸化されてはいるが芳香族性は保存されている(例えば、ピリジンN−オキシド)、芳香族ヘテロ環が含まれる。環Aのさらに適した例には、チアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル及びピリミジニルが含まれる。
【0036】
HET−1、HET−2及び環Aについての上の適した意義は、本明細書中で上述したようにすべて置換されていてもよいことが理解されるであろう。
【0037】
ヘテロシクリル基HET−1、HET−2及び環Aの定義は、窒素上が置換されていてもよい[こうした置換が荷電四級窒素原子又は不安定構造(N−ハロ化合物のような)を生じないならば]ヘテロアリール又はヘテロシクリル環を包含することが理解されるであろう。HET−1、HET−2及び環Aの定義は、O−O、O−S又はS−S結合のいずれも含まないことを意図されることが理解されるであろう。HET−1、HET−2及び環Aの定義は、不安定構造を含むことは意図されていないことが理解されるであろう。
【0038】
(1〜4C)アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びtert−ブチルが含まれ;(1〜4C)アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ及びtert−ブトキシが含まれ;(3〜6C)シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれ;ハロの例には、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードが含まれ;ヒドロキシ(1〜4C)アルキルの例には、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシイソプロピル及び4−ヒドロキシブチルが含まれ;(1〜4C)アルコキシ(1〜4C)アルキルの例には、メトキシメチル、エトキシメチル、tert−ブトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、メトキシプロピル、2−メトキシプロピル及びメトキシブチルが含まれ;(1〜4C)アルキルS(O)p(1〜4C)アルキルの例には、メチルスルフィニルメチル、エチルスルフィニルメチル、エチルスルフィニルエチル、メチルスルフィニルプロピル、メチルスルフィニルブチル、メチルスルホニルメチル、エチルスルホニルメチル、エチルスルホニルエチル、メチルスルホニルプロピル、メチルスルホニルブチル、メチルチオメチル、エチルチオメチル、エチルチオエチル、メチルチオプロピル及びメチルチオブチルが含まれ;アミノ(1〜4C)アルキルの例には、アミノメチル、アミノエチル、2−アミノプロピロイル、3−アミノプロピロイル、1−アミノイソプロピル及び4−アミノブチルが含まれ;(1〜4C)アルキルアミノ(1〜4C)アルキルの
例には、(N−メチル)アミノメチル、(N−エチル)アミノメチル、1−((N−メチル)アミノ)エチル、2−((N−メチル)アミノ)エチル、(N−エチル)アミノエチル、(N−メチル)アミノプロピロイル及び4−((N−メチル)アミノ)ブチルが含まれ;ジ(1〜4C)アルキルアミノ(1〜4C)アルキルの例には、ジメチルアミノメチル、メチル(エチル)アミノメチル、メチル(エチル)アミノエチル、(N,N−ジエチル)アミノエチル、(N,N−ジメチル)アミノプロピル及び(N,N−ジメチル)アミノブチルが含まれ;(1〜4C)アルキルアミノの例には、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ及びtert−ブチルアミノが含まれ;ジ(1〜4C)アルキルアミノの例には、ジメチルアミノ、メチル(エチル)アミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ及びジブチルアミノが含まれ;−C(O)(1〜4C)アルキルの例には、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル及びtert−ブチルカルボニルが含まれ;(1〜4C)アルキルスルホニルの例には、メチルスルホニル、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル及びtert−ブチルスルホニルが含まれる。
【0039】
上に定義された特定の式(I)の化合物が、一つ又はそれ以上の不斉炭素原子により光学活性又はラセミ体で存在できる場合、本発明はその定義内に、GLKを直接的に刺激する又はGLK/GLKRP相互作用を阻害する特性を有するこうした光学活性又はラセミ体を包含することを理解すべきである。光学活性体の合成は、当該技術分野で公知である、有機化学の標準技術により、例えば、光学活性出発物質からの合成により、又はラセミ体の分割により実施することができる。特定の化合物は互変異性型で存在できること、及び本発明は、GLKを活性化する本発明の化合物のいずれかの及びすべての互変異性型にも関することも理解すべきである。
【0040】
特定の式(1)の化合物及びそれらの塩は、例えば、水和物のような溶媒和ならびに非溶媒和形態で存在できることも理解すべきである。本発明はGLKを活性化するすべてのこうした溶媒和形態を包含することを理解すべきである。
【0041】
本発明の一つの態様において式(I)の化合物が提供され、代わりの態様において式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩が提供され、さらなる代わりの態様において式(I)の化合物のインビボ加水分解性エステルが提供され、及びさらなる代わりの態様において式(I)の化合物のインビボ加水分解性エステルの薬学的に許容できる塩が提供される。
【0042】
各可変基の好ましい意義は次の通りである。こうした意義は、必要に応じて本明細書中で前に又は後に定義した意義、定義、請求の範囲、側面又は態様のいずれかに使用することができる。特に、式(I)の最も広い定義に対する個々の限定としてそれぞれを使用することができる。さらに、式(I)の最も広い定義を限定するため、以下の意義のそれぞれを一つ又はそれより多くの他の以下の意義と組み合わせて使用することができる。
(1)Rは、フルオロメトキシメチル又はジフルオロメトキシメチルである。
(2)Rは、フルオロメトキシメチルであり、そしてその立体配置は好ましくは(S)であり、即ち、側鎖は:
【0043】
【化4】

【0044】
である。
(3)Rは、ジフルオロメトキシメチルであり、そしてその立体配置は好ましくは(S
)であり、即ち、側鎖は:
【0045】
【化5】

【0046】
である。
(4)Rは、−C(O)NRである。
(5)Rは、−SONRである。
(6)Rは、−S(O)である。
(7)Rは、HET−2である。
(8)Rは、−C(O)NR又は−SONRである。
(9)Rは、エーテル結合に関してパラ位である。
(10)nは、0又は1である。
(11)nは0である。
(12)nは1であり、Rは、エーテル結合に関してパラ位であり、Rはエーテル結合に関してオルト位である。
(13)nは1であり、Rは、エーテル結合に関してパラ位であり、Rはエーテル結合に関してメタ位である。
(14)nは1である。
(15)nは2である。
(16)nは2であり、及び両方のRはハロである。
(17)nは2であり、及び各Rは、独立してフルオロ又はクロロである。
(18)nは2であり、Rは、エーテル結合に関してパラ位であり、各Rはエーテル結合に関してオルト位である。
(19)nは2であり、両方のRはハロであり、Rは、エーテル結合に関してパラ位であり、各Rは、エーテル結合に関してオルト位である。
(20)nは2であり、両方のRはハロであり、Rは、エーテル結合に関してパラ位であり、及び一つのRは、エーテル結合に関してオルト位であり、及び他方のRは、エーテル結合に関してメタ位である。
(21)Rは、クロロ又はフルオロである。
(22)Rは、フルオロである。
(23)Rは、クロロである。
(24)nは2であり、及び両方のRはフルオロである。
(25)nは2であり、及び一つのRはフルオロであり、及び他方はクロロである。
(26)pは0である。
(27)pは1である。
(28)pは2である。
(29)HET−1は、5員ヘテロアリール環である。
(30)HET−1は、6員ヘテロアリール環である。
(31)HET−1は、Rから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている。
(32)HET−1は、Rから選択される1個の置換基で置換されている。
(33)HET−1は置換されていない。
(34)HET−1は、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル及びトリアゾリルから選択される。
(35)HET−1は、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル及びオキサジアゾリルから選択される。
(36)HET−1は、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル及びピリミジニルから選択される。
(37)HET−1は、置換されていてもよいピラゾリル 、例えば、ピラゾリル又はN
−メチルピラゾリルである。
(38)HET−1は、ピリジル又はピラジニルである。
(39)HET−1は、ピラジニルである。
(40)HET−1は、ピラゾリル、N−メチルピラゾリル及びメチルピラジニル(5−メチルピラジン−2−イルのような)から選択される。
(41)HET−1は、ピラゾリル(エチル、イソプロピル又は、1又は2個のメチルで置換されていてもよい)、チアゾリル(メチルで置換されていてもよい)、ピラジニル(メチルで置換されていてもよい)、ピリジル(フルオロで置換されていてもよい)、イソオキサゾリル(メチルで置換されていてもよい)及びチアジアゾリル(メチルで置換されていてもよい)である。
(42)HET−1は、ピラゾリル(エチル、イソプロピル、ジフルオロメチル又は、1又は2個のメチルで置換されていてもよい)、チアゾリル(メチルで置換されていてもよい)、ピラジニル(メチルで置換されていてもよい)、ピリジル(フルオロで置換されていてもよい)、イソオキサゾリル(メチルで置換されていてもよい)及びチアジアゾリル(メチルで置換されていてもよい)である。
(43)HET−1は、ピラジニル(メチルで置換されていてもよい)、ピラゾリル(メチルにより炭素上が置換されていてもよい)、メチルチアジアゾリル(特に、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、より特定的には、3−メチル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)、チアゾリル(メチルで置換されていてもよい)、ピリジル(フルオロで置換されていてもよい)及びイソオキサゾリルから選択される。
(44)Rは、(1〜4C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ(1〜4C)アルキル、ジ(1〜4C)アルキルアミノ(1〜4C)アルキルから選択される。
(45)Rは、メチル、エチル、クロロ、フルオロ、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、アミノメチル 、N−メチルアミノメチル、ジメチルアミノメチルから選択される。
(46)Rは、メチル、エチル、クロロ、フルオロ、ヒドロキシメチル及びメトキシメチルから選択される。
(47)Rは、メチル又はエチルから選択される。
(48)Rは、メチルである。
(49)Rは、(1〜4C)アルキル及び(1〜4C)アルコキシ(1〜4C)アルキルから選択される。
(50)Rは、メチル、エチル、イソプロピル及びメトキシメチルから選択される。
(51)2つの置換基Rが存在する場合、両方が、メチル、エチル、ブロモ、クロロ及びフルオロから選択され;好ましくは両方がメチルであり、及び少なくとも一つは利用可能な窒素原子上にある。
(52)Rは、水素である。
(53)Rは、(1〜4C)アルキル[HET−2、−OR、−SO、(3〜6C)シクロアルキル(Rから選択される一つの基で置換されていてもよい)及び−C(O)NRから独立して選択される1個又は2個の置換基で置換されている]である。
(54)Rは、(1〜4C)アルキル[HET−2、−OR、−SO、(3〜6C)シクロアルキル及び−C(O)NRから選択される1個の置換基で置換されている]である。
(55)Rは、(1〜4C)アルキルである。
(56)Rは、−ORで置換された(1〜4C)アルキルである。
(57)Rは、HET−2で置換された(1〜4C)アルキルである。
(58)Rは、(3〜6C)シクロアルキル、特にシクロプロピル又はシクロブチルである。
(59)Rは、Rから選択される基で置換された(3〜6C)シクロアルキルである。
(60)Rは、−OR及び(1〜4C)アルキルから選択される基で置換された(3〜6C)シクロアルキルである。
(61)Rは、(1〜4C)アルキル、及び(3〜6C)シクロアルキルから選択される。
(62)Rは、メチル、エチル、シクロプロピル及びシクロブチルから選択される。
(63)Rは、HET−2である。
(64)Rは、水素、(1〜4C)アルキル、及び−ORで置換された(1〜4C)アルキルから選択される。
(65)HET−2は置換されていない。
(66)HET−2は、(1〜4C)アルキル、ヒドロキシ及び(1〜4C)アルコキシから独立して選択される1個又は2個の置換基で置換されている。
(67)HET−2は、完全飽和環系である。
(68)HET−2は、完全不飽和環系である。
(69)HET−2は、アゼチジニル、モルホリノ、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、3−オキソピペラジニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピロリドニル、2,5−ジオキソピロリジニル、1,1−ジオキソテトラヒドロチエニル、2−オキサゾリジノニル、2−オキソテトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、1,1−ジオキソチオモルホリノ、1,3−ジオキソラニル、2−オキソイミダゾリジニル、2,4−ジオキソイミダゾリジニル、ピラニル及び4−ピリドニルから選択される。
(70)HET−2は、アゼチジニル、モルホリノ、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニルから選択される。
(71)HET−2は、フリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、1,2,4−トリアゾリル及び1,2,3−トリアゾリルから選択される。
(72)HET−2は、フリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、イミダゾリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、3−オキソピペラジニル、ピロリジニル、ピロリドニル、2−オキサゾリジノニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、1,1−ジオキソテトラヒドロチエニル及び2−オキソイミダゾリジニルから選択される。
(73)HET−2は、モルホリノ、フリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、3−オキソピペラジニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、2−オキサゾリジノニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、1,1−ジオキソテトラヒドロチエニル及び2−オキソイミダゾリジニルから選択される。
(74)HET−2は、モルホリノ、フリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、3−オキソピペラジニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、テトラヒドロピラニル、1,1−ジオキソテトラヒドロチエニル及び2−オキソイミダゾリジニルから選択される。
(75)HET−2は、オキサジアゾリル又はピラゾリルである。
(76)Rは、水素である。
(77)Rは、(1〜4)アルキル 、好ましくはメチルである。
(78)Rは、水素又はメチルである。
(79)Rは、炭素上の置換基であり、ヒドロキシ、(1〜4C)アルコキシ、(1〜4C)アルキル、−C(O)(1〜4C)アルキル、−C(O)NR、(1〜4C
)アルコキシ(1〜4C)アルキル及びヒドロキシ(1〜4C)アルキルから選択される。
(80)Rは、炭素上の置換基であり、ヒドロキシ、(1〜4C)アルコキシ、(1〜4C)アルキル、−C(O)(1〜4C)アルキル、−C(O)NR及びヒドロキシ(1〜4C)アルキルから選択される。
(81)Rは、炭素上の置換基であり、ヒドロキシ、メトキシ、−COMe、−CONH、−CONHMe、−CONMe及びヒドロキシメチルから選択される。
(82)Rは、炭素上の置換基であり、(1〜4C)アルキル、ヒドロキシ及び(1〜4C)アルコキシから選択される。
(83)Rは、炭素上の置換基であり、メチル、エチル、メトキシ及びヒドロキシから選択される。
(84)Rは、窒素上の置換基であり、(1〜4C)アルキル、−C(O)(1〜4C)アルキル、−C(O)NR、(1〜4C)アルコキシ(1〜4C)アルキル及びヒドロキシ(1〜4C)アルキルから選択される。
(85)Rは、窒素上の置換基であり、(1〜4C)アルキル、ヒドロキシ及び(1〜4C)アルコキシから選択される。
(86)Rは、メチルである。
(87)Rは、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、−CONH、−CONHMe、−CONMe、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、−NHMe及び−NMeから選択される。
(88)Rは、メチル、−CONH、 ヒドロキシエチル及びヒドロキシから選択さ
れる。
(89)Rは、(1〜4C)アルキル及び(1〜4C)アルコキシから選択される。
(90)Rは、メチル、メトキシ及びイソプロポキシから選択される。
(91)Rは、メチルである。
(92)Rは、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、−CONH、−CONHMe、−CONMe、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、−NHMe及び−NMeから選択される。
(93)Rは、メチルである。
(94)HET−2は、5員環である。
(95)HET−2は、6員環である。
(96)HET−2は、チエニル、フリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル及びオキサジアゾリルから選択される。
(97)HET−2は、チエニル、フリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル及びオキサジアゾリルから選択される。
(98)HET−2は、ピリジル、ピラジニル、チアゾリル及びチエニルから選択される。
(99)HET−2は、ピリジル、ピラジニル及びチアゾリルから選択される。
(101)HET−2は、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル及びチアゾリルから選択される。
(102)HET−2は、ピリジル及びピラジニルから選択される。
(103)HET−2は、ピラジニルである。
(104)HET−2は、窒素上で置換されていない。
(105)HET−2は、Rから選択される一つの窒素置換基を有する。
(106)Rは、(1〜4C)アルキルである。
(107)Rは、(3〜6C)シクロアルキルである。
(108)Rは、ヒドロキシ(1〜4C)アルキル又は(1〜4C)アルコキシ(1〜4C)アルキルである。
(109)Rは、−C(O)(1〜4C)アルキルである。
(110)Rは、ベンジルである。
(111)Rは、(1〜4C)アルキルスルホニルである。
(112)Rは、(1〜4C)アルキル又はベンジルである。
【0047】
本発明のさらなる側面に従うと、本発明の化合物の下記の好ましいグループが提供される。
【0048】
本発明の一つの側面において、式(I);
{式中、
は、フルオロメトキシメチル及びジフルオロメトキシメチル(特にジフルオロメトキシメチル)から選択され;
は、−C(O)NR、−SONR及び−SOから選択され;
環Aは、ピリジル又はピラジニルであり;
は、フルオロ及びクロロから選択され;
nは、0又は1であり;
HET−1は、ピラゾリル(エチル、イソプロピル、ジフルオロメチル、又は、1又は2個のメチルで置換されていてもよい)、チアゾリル(メチルで置換されていてもよい)、ピラジニル(メチルで置換されていてもよい)、ピリジル(フルオロで置換されていてもよい)、イソオキサゾリル(メチルで置換されていてもよい)及びチアジアゾリル(メチルで置換されていてもよい)から選択され;
は、水素又は(1〜4C)アルキルであり;
は、水素又は(1〜4C)アルキルであり;
pは0、1又は2、特に2である}
の化合物又はその塩が提供される。
【0049】
本発明の別の側面において、式(I);
{式中、
は、フルオロメトキシメチル及びジフルオロメトキシメチルから選択され(特にジフルオロメトキシメチル);
は、−C(O)NR及び−SOから選択され;
環Aは、ピリジル又はピラジニルであり;
は、フルオロ及びクロロから選択され;
nは、0又は1であり;
HET−1は、ピラゾリル(メチルで置換されていてもよい)及びピラジニル(メチルで置換されていてもよい)から選択され;
は、(1〜4C)アルキルであり;
は、水素又は(1〜4C)アルキルであり;
pは、0、1又は2、特に2である}
の化合物又はその塩が提供される。
【0050】
本発明の別の側面において、式(I);
{式中、
は、フルオロメトキシメチル及びジフルオロメトキシメチル(特にジフルオロメトキシメチル)から選択され;
は、−C(O)NR及び−SOから選択され;
環Aは、ピリジル又はピラジニルであり;
は、フルオロ及びクロロから選択され;
nは、0又は1であり;
HET−1は、ピラゾリル(メチルで置換されていてもよい)及びピラジニル(メチル
で置換されていてもよい)から選択され;
は、メチルであり;
は、水素又はメチルであり;
pは、0、1又は2、特に2である}
の化合物又はそれらの塩が提供される。
【0051】
本発明のさらに好ましい化合物は、実施例の各化合物であり、その各々は本発明のさらなる独立した側面を提供する。さらなる側面において、本発明は実施例の化合物のいずれか二つ又はそれ以上も含んでなる。
【0052】
本発明の特定の化合物には;
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−N−(5−メチルピラジン−2−イル)−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ−ベンズアミド;
5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド;
5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−(1H−ピラゾール−3−イルカルバモイル)フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド;
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ−N−(1H−ピラゾール−3−イル)ベンズアミド;
5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(1−メチルピラゾール−3−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド;
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−N−(1−メチルピラゾール−3−イル)−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ−ベンズアミド;
のいずれか一つ又はそれ以上、又はそれらの塩が含まれる。
【0053】
本発明の化合物はプロドラッグの形態で投与することができる。プロドラッグは、体内で分解可能であって本発明の化合物を産生する生物前駆体又は薬学的に許容できる化合物(本発明の化合物のエステル又はアミド、特にインビボ加水分解性エステルのような)である。プロドラッグの多様な形態が当該技術分野で公知である。こうしたプロドラッグ誘導体の例については、
a) Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, (Elsevier, 1985) and Methods in Enzymology, Vol. 42, p. 309-396, edited by K. Widder, et al., (Academic Press, 1985);
b) A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krogsgaard-Larsen;
c) H. Bundgaard, Chapter 5 “Design and Application of Prodrugs”, by H. Bundgaard p. 113-191 (1991);
d) H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8, 1-38 (1992);
e) H. Bundgaard, et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, 77, 285 (1988);及

f) N. Kakeya, et al., Chem Pharm Bull, 32, 692 (1984);
を参照されたい。上に引用した文書の内容は、本明細書において援用される。
【0054】
プロドラッグの例は次の通りである。カルボキシ又はヒドロキシ基を含有する本発明の化合物のインビボ加水分解性エステルは、例えば、ヒト又は動物体内で加水分解されて親
酸又はアルコールを産生する、薬学的に許容できるエステルである。カルボキシのための適した薬学的に許容できるエステルには、C〜Cアルコキシメチルエステル、例えば、メトキシメチル;C〜Cアルカノイルオキシメチルエステル、例えば、ピバロイルオキシメチル;フタリジルエステル;C〜CシクロアルコキシカルボニルオキシC〜Cアルキルエステル、例えば、1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソレン−2−オニルメチルエステル、例えば、5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オニルメチル;及びC1〜6アルコキシカルボニルオキシエチルエステルが含まれる。
【0055】
ヒドロキシ基を含有する本発明の化合物のインビボ加水分解性エステルには、エステルのインビボ加水分解の結果として分解されて親ヒドロキシ基(単数又は複数)を与える、リン酸エステルのごとき無機酸エステル(ホスホルアミド環状エステルを含む)及びα−アシロキシアルキルエ−テル及び関連化合物が含まれる。α−アシロキシアルキルエーテルの例には、アセトキシメトキシ及び2,2−ジメチルプロピオニルオキシ−メトキシが含まれる。ヒドロキシのためのインビボ加水分解性エステル形成基の選択には、アルカノイル、ベンゾイル、フェニルアセチル及び置換ベンゾイル及びフェニルアセチル、アルコキシカルボニル(アルキル炭酸エステルを与える)、ジアルキルカルバモイル、及びN−(ジアルキルアミノエチル)−N−アルキルカルバモイル(カルバミド酸エステルを与える)、ジアルキルアミノアセチル及びカルボキシアセチルが含まれる。
【0056】
特定の条件下、式(I)の化合物は薬学的に許容できる塩を形成することができる。本発明の化合物の適した薬学的に許容できる塩は、十分に塩基性である本発明の化合物の酸付加塩、例えば、無機又は有機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸又はマレイン酸)との酸付加塩である。酸付加塩は、例えば、HET−1中にあることができる、又は例えば、置換基Rであることができる、いずれかの十分に塩基性の基と形成することができることが理解されるであろう。加えて、十分に酸性である本発明の化合物の適した薬学的に許容できる塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩又はマグネシウム塩;アンモニウム塩又は生理学的に許容できるカチオンを与える有機塩基との塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリン又はトリス−(2− ヒドロキシエチル)アミンとの塩である。
【0057】
本発明のさらなる特色は、薬学的に許容できる希釈剤又は担体と一緒に、上で定義した式(I)の化合物、又はそれらの薬学的に許容できる塩を含んでなる医薬組成物である。
【0058】
本発明の別の側面に従うと、医薬として使用するための上で定義した式(I)の化合物、又はそれらの薬学的に許容できる塩が提供される。
【0059】
本発明の別の側面に従うと、GLKを介して仲介される疾患、特に2型糖尿病の治療のための医薬として使用するための、上で定義した式(I)の化合物、又はそれらの薬学的に許容できる塩が提供される。
【0060】
さらに本発明に従うと、GLKを介して仲介される疾患、特に2型糖尿病の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用が提供される。
【0061】
本化合物は、この方法に使用するための医薬組成物として適切に製剤される。
【0062】
本発明の別の側面に従うと、GLK仲介疾患(特に糖尿病)を治療する方法が提供され、該方法は、このような治療を必要とする哺乳動物に、式(I)の化合物又はそれらの薬
学的に許容できる塩の有効量を投与することによる。
【0063】
本発明の別の側面に従うと、GLKを介して仲介される疾患の治療のための、式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用が提供される。
【0064】
本発明の別の側面に従うと、2型糖尿病の治療のための、式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用が提供される。
【0065】
本発明の化合物又は組成物により治療することができる具体的疾患には:重篤な低血糖のリスクなしに2型糖尿病において血糖を低下させること(及び1型を治療する可能性)、脂質代謝異常、肥満、インスリン抵抗性、メタボリックシンドロームX、耐糖能異常が含まれる。
【0066】
それ故、上で議論したように、GLK/GLKRPシステムは可能性のある「糖尿肥満」標的として表現し得る(糖尿病及び肥満の両方に有効である)。それ故、本発明の別の側面に従うと、糖尿病及び肥満の併用治療又は予防、特に治療で使用するための医薬の製造における、式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用が提供される。
【0067】
本発明の別の側面に従うと、肥満の治療又は予防で使用するための医薬の製造における、式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用が提供される。
【0068】
本発明のさらなる側面に従うと、肥満及び糖尿病の治療の併用治療のための方法が提供され、該方法は、このような治療を必要とする哺乳動物に、式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩の有効量を投与することを含む。
【0069】
本発明の別の側面に従うと、肥満の治療又は予防、特に治療のための医薬として使用のための、上に定義した式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩が提供される。
【0070】
本発明のさらなる側面に従うと、肥満の治療のための方法が提供され、このような治療を必要とする哺乳動物に、式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩の有効量を投与することを含む。
【0071】
本発明の化合物は、例えば、好ましい物理的及び/又は薬物動態学的特性及び/又は毒性プロフィールのため、医薬としての使用に特に適していることができる。
【0072】
本発明の組成物は、経口使用(例えば、錠剤、トローチ剤、ハードもしくはソフトカプセル剤、水性又は油性懸濁剤、乳剤、分散性の散剤又は顆粒剤、シロップ剤又はエリキシル剤として)、局所使用(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、又は水性又は油性溶液剤又は懸濁液剤として)、吸入による投与(例えば、微砕性散剤又は液体エアロゾル剤として)、通気による投与(例えば、微砕性散剤として)、又は非経口投与(例えば、静脈内、皮下、筋肉内又は筋肉内投与のための無菌の水性又は油性溶液として、又は直腸投与のための坐薬として)に適した形態であることができる。経口使用に適した剤形が好ましい。
【0073】
本発明の組成物は、当該技術分野で周知である慣用的医薬賦形剤を使用する慣用的手順により得ることができる。それ故、経口使用を意図する組成物は、例えば、一つ又はそれ以上の着色剤、甘味剤、芳香付与剤、及び/又は保存剤を含有することができる。
【0074】
錠剤製剤に適した薬学的に許容できる賦形剤には、例えば、ラクトース、炭酸ナトリウ
ム、リン酸カルシウム又は炭酸カルシウム等の不活性希釈剤;コーンスターチ又はアルゲン酸等の造粒剤及び崩壊剤;デンプン等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク等の滑沢剤;p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はp−ヒドロキシ安息香酸プロピル等の保存剤、及びアスコルビン酸等の抗酸化剤が含まれる。錠剤製剤は、消化管内でのそれらの崩壊及び続いての活性成分の吸収を改変するためか又はそれらの安定性及び/又は出現を改良するために被覆しない又は被覆することができ、いずれにせよ、当該技術分野で公知である慣用的コーティング剤及び手順が使用される。
【0075】
経口使用のための組成物は、活性成分が不活性固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合される硬ゼラチンカプセル、又は活性成分が水又はピーナッツ油、流動パラフィン又はオリーブ油等の油と混合される軟ゼラチンカプセルの形態であることができる。
【0076】
水性懸濁液は一般的に、細かく細粉化された形態の活性成分と一緒に、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガントガム及びアカシアガム等の一つ又はそれより多くの懸濁剤;レシチン又はアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物(例えば、ポリオキシエチレンステアラート)又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、又はポリオキシエチレンソルビトールモノオレアートのごとき、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、又はポリオキシエチレンソルビトールモノオレアートのごとき、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、又はエチレンオキシドと脂肪酸及び無水ヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレアート)等の、分散又は湿潤剤を含有する。水性懸濁液は、一つ又はそれより多くの保存剤(p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はp−ヒドロキシ安息香酸プロピル)、抗酸化剤(アスコルビン酸等)、着色剤、芳香付与剤及び/又は甘味剤(スクロース、サッカリン又はアスパルテーム等)も含有することができる。
【0077】
油性懸濁液は、活性成分を植物油(ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はヤシ油等)又は鉱油(流動パラフィン等)中に懸濁させることにより製剤することができる。油性懸濁液は、蜜ろう、固形パラフィン又はセチルアルコールのごとき増粘剤も含有することができる。上に示した甘味剤、及び芳香付与剤を加えることができ、美味な経口剤が提供される。これらの組成物は、アスコルビン酸等の抗酸化剤の添加により保存することができる。
【0078】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性散剤及び顆粒剤は、一般的には、活性成分と一緒に分散又は湿潤剤、懸濁剤及び一つ又はそれより多くの保存剤を含有する。適した分散又は湿潤剤及び懸濁剤は、すでに上に述べられたものにより例示されている。甘味剤、芳香付与料及び着色剤等の追加の賦形剤も存在することができる。
【0079】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳化剤の形態であることもできる。油相は、オリーブ油又はラッカセイ油等の植物油、又は、例えば、流動パラフィン等の鉱油、又はこれらのいずれかの混合物であることができる。適した乳化剤は、例えば、アカシアガム又はトラガントガム等の天然に存在するガム、ダイズ、レシチン等の天然に存在するホスファチド、脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導されたエステル又は部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレアート)、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート等の前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物であることができる。該乳化剤は、甘味剤、芳香付与剤及び保存剤も含有することができる。
【0080】
シロップ剤及びエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテーム又はスクロース等の甘味剤と製剤することができ、粘滑剤、保存剤、芳香付与剤及び/又は着色剤も含有することができる。
【0081】
本医薬組成物は、無菌注射可能水性又は油性懸濁液の形態であることもでき、それは上で述べた一つまたはそれより多くの適した分散又は湿潤剤及び懸濁剤を使用し、既知の手順に従って製剤することができる。無菌注射可能製剤は、無毒の非経口的に許容できる希釈剤又は溶媒(例えば、1,3−ブタンジオール溶液)の、無菌注射可能溶液又は懸濁液であることもできる。
【0082】
吸入による投与のための組成物は、微粉固形物又は液体小滴を含有するエアロゾルとして活性成分を分配するようにアレンジされた慣用的加圧エアロゾルの形態であることができる。揮発性フッ素化炭化水素又は炭化水素等の慣用的エアロゾル噴霧剤を使用することができ、エアロゾルデバイスは、活性成分の計量された量を分配するように都合よくアレンジされる。
【0083】
製剤についてのさらなる情報については、読者はComprehensive Medicinal Chemistry (Corwin Hansch; Chairman of Editorial Board), Pergamon Press 1990、の第5巻の2
5.2章を参照されたい。
【0084】
一つ又はそれより多くの賦形剤と合わせて単一剤形を生成する活性成分の量は、治療される対象及び投与の特定の経路に依存して必然的に変化するであろう。例えば、ヒトに経口投与するように意図された製剤は、例えば、総組成物の約5〜約98重量パーセントで変化することができ、適切な及び都合のよい量の賦形剤と混ぜ合わされた、0.5mg〜2gの活性剤を一般的に含有するであろう。投与単位剤形は一般的に、約1mg〜約500mgの活性成分を含有するであろう。投与経路及び投与計画についてのさらなる情報については、読者はComprehensive Medicinal Chemistry (Corwin Hansch; Chairman of Editorial Board), Pergamon Press 1990、の第5巻の25.3章を参照されたい。
【0085】
式(I)の化合物の療法的又は予防的目的での用量の規模は、状態の性質及び重症度、動物又は患者の年齢及び性、及び医薬の公知の原理に従った投与の経路に従って当然変化するであろう。
【0086】
療法的又は予防的目的で式(I)の化合物を使用する場合、もし分割量が要求されると仮定すると、例えば、kg体重当たり0.5mg〜75mgの範囲内の日用量が受けられるように一般に投与される。一般に、非経口経路が用いられる場合、より低い用量が投与されるであろう。それ故、例えば、静脈内投与のためには、例えば、kg体重当たり0.5mg〜30mgの範囲内の用量が一般に使用されるであろう。同様に、吸入による投与の場合、kg体重当たり0.5mg〜25mgの範囲内の用量が使用されるであろう。しかしながら、経口投与が好ましい。
【0087】
本明細書に記載したGLK活性の上昇は、治療を受けている適応症についての単一療法として、又は一つ又はそれより多くの他の物質及び/又は治療と組み合わせて適応することができる。こうした結合(conjoint)治療は、治療の個々の成分の同時、連続又は個別投与により達成することができる。同時治療は、単一の錠剤又は個別の錠剤であることができる。例えば、糖尿病の治療において、化学療法は以下の主な治療のカテゴリーを含むことができる:
1)インスリン及びインスリン類似体;
2)スルホニル尿素を含むインスリン分泌促進剤(例えば、グリベンクラミド、グリピジ
ド)、食事のグルコース調節剤(例えば、レパグリニド、ナテグリニド);
3)インクレチン作用を改善する剤(例えば、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤及びGLP−1アゴニスト);
4)PPARガンマアゴニストを含むインスリン感作物質(例えば、ピオグリタゾン及びロシグリタゾン)、及び;組み合わされたPPARアルファ及びガンマ活性を有する剤;5)肝臓グルコース平衡を変調する剤(例えば、メトホルミン、フルクトース1 、6ビ
スホスファターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グリコーゲンシンターゼキナーゼ阻害剤);
6)腸からのグルコースの吸収を減少させるように設計された剤(例えば、アカルボース);
7)腎臓によるグルコースの再吸収を妨げる剤(SGLT阻害剤);
8)長期高血糖の合併症を治療するように設計された剤(例えば、アルドースレダクターゼ阻害剤);
9)抗肥満剤(例えば、シブトラミン及びオルリスタット);
10)抗脂質代謝異常剤:HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、スタチン);PPARαアゴニスト(フィブラート、例えば、ゲムフィブロジル);胆汁酸捕捉剤(コレスチラミン);コレステロール吸収阻害剤(植物スタノール、合成阻害剤);胆汁酸吸収阻害剤(IBATi)及びニコチン酸及び類似体(ナイアシン及び徐放性製剤)等;
11)血圧降下剤:βブロッカー(例えば、アテノロール、インデラル);ACE阻害剤(例えば、リシノプリル);カルシウムアンタゴニスト(例えば、ニフェジピン);アンジオテンシンレセプターアンタゴニスト(例えば、カンデサルタン)、αアンタゴニスト及び利尿剤(例えば、フロセミド、ベンズチアジド)等;
12)止血モジュレーター:抗血栓性、線維素溶解及び血小板凝集阻害剤のアクチベーター;トロンビンアンタゴニスト;Xa因子阻害剤;VIIa因子阻害剤;血小板凝集阻害薬剤(例えば、アスピリン、クロピドグレル);抗凝血剤(ヘパリン及び低分子量類似体、ヒルジン)及びワルファリン等;
13)グルカゴンの作用に拮抗する剤;及び
14)抗炎症性物質;非ステロイド系抗炎症剤(例えば、アスピリン)及びステロイド系抗炎症剤(例えば、コルチゾン)等。
【0088】
本発明の別の側面に従うと、以下の実施例において最終生成物として製造される個々の化合物及びそれらの塩が提供される。
【0089】
本発明の化合物又はそれらの塩は、こうした化合物又は構造的に関連した化合物の製造に応用可能であることが知られているいずれかの方法により製造することができる。官能基は常法を使用して保護し及び脱保護することができる。アミノ及びカルボン酸保護基のような保護基の例(ならびに、形成及び最終的脱保護の手段)については、T.W. Greene and P.G.M. Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”, Second Edition, John
Wiley & Sons, New York, 1991、を参照されたい。
【0090】
式(I)の化合物の合成のための方法は、本発明のさらなる特色として提供される。それ故、本発明のさらなる側面に従うと、式(I)の化合物の製造のための方法が提供され、それは方法(a)〜(e)(式中、特に指定のない限り、可変基は式(I)の化合物について本明細書中で前に定義した通りである):
(a)式(III)の酸又はそれらの活性化誘導体と式(IV)の化合物との反応
【0091】
【化6】

【0092】
[式中、Rは式(I)について定義した通りであるか、又はそれらの前駆体である];又は
(b)式(V)の化合物と式(VI)の化合物の反応
【0093】
【化7】

【0094】
[式中、Xは脱離基であり及びXはヒドロキシル基であるか、又は、Xはヒドロキシル基であり及びXは脱離基であり、及び、式中Rは、式(I)の化合物について定義した通りであるか又はそれらの前駆体である];
方法(b)は、エステル中間体、式(VII)(式中、Pは本明細書で以下に記載した保護基である)を使用し、続いて、別の所に記載した及び当業者には周知のエステル加水分解及びアミド生成によっても達成することができる;
【0095】
【化8】

【0096】
又は
(c)式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物の反応
【0097】
【化9】

【0098】
[式中、Xは脱離基又は有機金属試薬であり及びXはヒドロキシル基であるか、又は、Xはヒドロキシル基であり及びXは脱離基又は有機金属試薬であり、及び式中、Rは式(I)について定義された通りであるか又はそれらの前駆体である];
方法(c)は、中間体エステル、式(X)を使用し、続いて、別の所に記載した及び当業者には公知のエステル加水分解及びアミド生成によっても達成することができる;
【0099】
【化10】

【0100】
又は
(d)式(XI)の化合物と式(XII)の化合物の反応、
【0101】
【化11】

【0102】
[式中、Xは脱離基であり、及び式中、Rは式(I)について定義された通りであるか又はそれらの前駆体である];又は
(e)式(XIII)の化合物
【0103】
【化12】

【0104】
[式中、R2aは、カルボン酸、エステル又は無水物(R=−CONRについて)又はスルホン酸等価物(Rが−SONRである場合について)のような−CONR又は−SOであるRへの前駆体である]と式−NRのアミンとの反応;
及びその後、必要に応じ:
i)式(I)の化合物を別の式(I)の化合物へ変換すること;
ii)Rの前駆体をRへ変換すること;
iii)いずれの保護基も除去すること;及び/又は
iv)それらの塩を形成すること、
を含む。
【0105】
方法(b)〜(d)のために適した脱離基X〜Xは、これらのタイプの反応について当該技術分野で公知であるいずれかの脱離基であり、例えば、ハロ、アルコキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ又はp−トルエンスルホニルオキシであるか;又は、系内(in situ)で脱離基(オキシトリフェニルホスホニウム基
のような)へ変換することができる基(ヒドロキシ基のような)である。
【0106】
に適した前駆体には、ヒドロキシ基又は当該技術分野で公知であるいずれかの適した保護ヒドロキシ基、例えば、メチルエーテルのような単純なエーテル又は−OSi[(1〜4C)アルキル][式中、各(1〜4C)アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びtertブチルから独立して選択される]のようなシリルエーテル、のような保護ヒドロキシ基が含まれる。こうしたトリアルキルシリル基の例は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル及びtert−ブチルジメチルシリルである。さらなる適したシリルエーテルは、−Si(PhMe)及び−Si(TolMe)(式中、Tol=メチルベンゼン)のような、フェニル及び置換フェニル基を含有するものである。ヒドロキシ保護基についてのさらなる適した意義は、本明細書中で後に与えられている。Rそれ自体は、もし存在するならばヒドロキシ保護基を除去することにより、及び続いて、例えば、ヨウ化銅(I)存在下で2−(フルオロスルホニル)ジフルオロ酢酸と反応させることにより発生させることができ、Rがジフルオロメトキシメチルである化合物を得る。この反応はスキーム1に図示されている。Rの他の意義は同様に、又は当該技術分野で周知の方法により発生させることができ、例えば、Bull. Chem. Soc. Japan, 73 (2000), 471-484, 471-484、国際特許出願WO 2002/050003及びBioorganic and Medicinal Chemistry Letters, (2001), 11, 407を参照されたい。
【0107】
式(III)〜(XII)の化合物は、市販品として入手可能であるか、当該技術分野で既知であるか、または、例えば、付随する実施例に示したように当該技術分野で既知の方法により作製することができる。こうした化合物を作製するための方法に関するさらなる情報については、我々のPCT公開番号WO 03/000267、WO 03/015774、WO 03/000262、WO 2004/076420、WO 2005/054200、WO 2005/054233、WO 2005/044801及びWO 2005/056530及びその中の参照文献を参照されたい。一般に、いずれのアリール−O又はアルキル−O結合も求核置換又は金属触媒プロセス(適した塩基が存在していてもよい)により形成されることが理解されるであろう。
【0108】
式(XIII)の化合物は、方法(a)〜(d)に示したような方法、及び/又は式(III)〜(XII)の化合物について上述した方法により作製することができる。
【0109】
式(III)、(IX)、(X)、(XI)及び(XIII)の化合物は、R基又はその前駆体の性質に依存して、適した前駆体と式(V)の化合物又はそれらの誘導体との反応により、例えば、式(V)の化合物中の脱離基Xの求核置換により作製することができる。式(V)の化合物は、一般的に市販品として入手可能であるか、又は市販品として入手可能な化合物からの単純な官能基相互変換により、又は文献の方法により作製することができる。式(V)の化合物がRへの前駆体を含有している場合、R基は、必要に応じて以下のスキーム1及び2に図示した反応を使用し、式(III)、(IX)、(X)、(XI)又は(XIII)の化合物中で発生させることができる。具体例は以下のスキーム1及び2、及び/又は付随する実施例に示されている。
【0110】
【化13】

【0111】
スキーム1において、PGは保護基であり、及びR、R、A、n及びHET−1は式(I)で定義した通りである。
【0112】
【化14】

【0113】
スキーム2において、R、R、A及びnは、式(I)で定義した通りであり、P及びPは適した保護基、例えば、(1〜4C)アルキルであり、及びXは脱離基、例えば、クロロである。スキーム2の工程(i)〜(v)に適した反応条件は次の通りである。
【0114】
工程(i)は、適した塩基(例えば、炭酸セシウム)存在下、適した溶媒(例えば、DMSO)中、及び適した温度、例えば、0〜60℃、より適切には約50℃での、式(XIV)と式(VIII)の化合物、例えば、5−クロロ−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドとの反応を含む。
【0115】
工程(ii)は、適したホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン)及びアゾジカルボキシレート(例えば、アゾジカルボン酸ジエチル)存在下、適した溶媒(例えば、THF)中、及び適した温度、例えば、0〜10℃、より適切には約0℃での、式(VII
)の化合物とR−アルコール、例えば、(2R)−1−[(2−メチルプロパン−2−イル)オキシ]プロパン−2−オールとの反応を含む。
【0116】
工程(iii)は、例えば、適した温度、例えば、0〜50から100℃、より適切には約90℃で、式(XV)の適した酸(例えば、ギ酸)溶液を加熱することを含んでいる。
【0117】
工程(iv)は、適した触媒の(例えば、ヨウ化銅(I))存在下、適した溶媒(例えば、アセトニトリル)中、及び適した温度、例えば、0〜100℃、より適切には約55℃での、式(XVI)の化合物と2,2−ジフルオロ−2−フルオロスルホニル酢酸との反応を含んでいる。
【0118】
工程(v)は、適した溶媒(例えば、NMP及び水)中、及び適した温度、例えば、0〜25℃、より適切には約0℃での、式(XVIIa)の化合物と適した塩基(例えば、NaOH)との反応を含んでいる。
【0119】
もしくは、Rがジフルオロメトキシメチルを表す式(IIIa)の化合物は以下に示したスキーム3に従って作製することができる。
【0120】
【化15】

【0121】
スキーム3において、R、R、A及びnは、式(I)で定義した通りであり、P及びPは、適した保護基、例えば、それぞれ(1〜4C)アルキル及びTIPSであり、及びXは脱離基、例えば、クロロである。スキーム2の工程(i)〜(v)について適した反応条件又は次の通りである。
【0122】
工程(i)は、適した触媒(例えば、10%パラジウム活性炭)存在下、及び適した温度、例えば、0〜25℃、より適切には約21℃での、式(XVIII)の化合物と水素との反応を含んでいる。
【0123】
工程(ii)は、適した塩基(例えば、炭酸カリウム)存在下、適した溶媒(例えば、
アセトニトリル)中、及び適した温度、例えば、0〜200℃、より適切にはおよそ還流温度での、式(XIX)の化合物と式(VIII)の化合物、例えば、5−クロロ−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドとの反応を含んでいる。
【0124】
工程(iii)は、適した溶媒(例えば、THF)中、及び適した温度、例えば、0〜25℃、より適切には約21℃での、式(XV)の化合物とフッ化水素との反応を含んでいる。
【0125】
工程(iv)は、適した触媒(例えば、ヨウ化銅(I))の存在下、適した溶媒(例えば、アセトニトリル)中、及び適した温度、例えば、0〜100℃、より適切には約55℃での、式(XVI)の化合物と2,2−ジフルオロ−2−フルオロスルホニル酢酸との反応を含んでいる。
【0126】
工程(v)は、適した溶媒(例えば、THF及びメタノール)中、及び適した温度、例えば、0〜25℃、より適切には約21℃での、式(XVIIa)の化合物と適した塩基(例えば、LiOH)との反応を含んでいる。
【0127】
式(I)の化合物の別の式(I)の化合物への変換の例は当業者には周知であり、加水分解、水素化、水素化分解、酸化又は還元のような官能基相互変換、及び/又はアミド又は金属触媒カップリング又は求核置換反応のような標準反応によるさらなる官能化が含まれる。具体例は、例えば、THF/メタノール又はエタノールのような適した溶媒中、大気圧又は加圧下での水素との反応によるR=クロロ置換基の除去であろう。
【0128】
置換基R、R及び/又はRは、合成系列中のいずれかの都合のよい時点で分子内に導入することができ、又は出発物質に存在できることが理解されるであろう。これらの置換基の一つへの前駆体は、上記方法(a)から(e)の間に分子内に存在することができ、そして最終工程として所望の置換基に変換されて、式(I)の化合物が形成される;必要ならば以下の工程が続けられる;
i)式(I)の化合物を別の式(I)の化合物に変換すること;
ii)Rの前駆体をRに変換すること;
iii)いずれの保護基も除去すること;及び/又は
iv)それらの塩を形成すること。
【0129】
上記反応の具体的反応条件は以下の通りであり、ここで、Pは保護基であり、Pは、好ましくは(1〜4C)アルキル、例えば、メチル又はエチルである。
【0130】
方法(a)−アミドを形成するアミノ基とカルボン酸のカップリング反応は、当該技術分野で周知である。例えば、
(i)ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下、ジクロロメタン(DCM)、クロロホルム又はジメチルホルムアミド(DMF)のような適した溶媒中、室温にてEDAC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)で実施するカルボジイミドカップリング反応のような適したカップリング反応を使用すること;又は(ii)DCM又はDMFのような適した溶媒の存在下、塩化オキサリル又は1−クロロ−N,N,2−トリメチル−1−プロペニルアミンとの反応により、カルボキシル基が酸塩化物に活性化される反応。酸塩化物は次ぎに、トリエチルアミン又はピリジンのような塩基存在下、クロロホルム又はDCMのような適した溶媒中、0℃及び80℃間の温度で式(IV)の化合物と反応させる;
方法(b)−式(V)及び(VI)の化合物は、DMF又はテトラヒドロフラン(THF)のような適した溶媒中、水素化ナトリウム又はカリウムtert−ブトキシドのような塩基と0〜200℃の範囲の温度で(マイクロ波加熱を使用してもよい)、又は、酢酸
パラジウム(II)、パラジウム炭素、酢酸銅(II)又はヨウ化銅(I)のような金属触媒と一緒に反応させることができ;もしくは、式(V)及び(VI)の化合物は、THF又はDCMのような適した溶媒中、トリフェニルホスフィンのような適したホスフィン及びアゾジカルボン酸ジエチルのようなアゾジカルボン酸エステルと一緒に反応させることができる。方法(b)は、アリール−ニトリル又はトリフルオロメチル誘導体のような式(VII)のエステルへの前駆体を使用して実施することもでき、続いて前述のようにカルボン酸へ変換され、そしてアミドが形成される。
【0131】
方法(c)−式(VIII)及び(IX)の化合物は、DMF又はTHFのような適した溶媒中、水素化ナトリウム又はカリウムtert−ブトキシドのような塩基と0〜200℃の範囲の温度で(マイクロ波加熱を使用してもよい)、又は、酢酸パラジウム(II)、パラジウム炭素、酢酸銅(II)、ヨウ化銅(I)又はブロモトリス(トリフェニルホスフィン)銅(I)のような金属触媒と一緒に反応させることができる。方法(c)は、アリール−ニトリル又はトリフルオロメチル誘導体のような式(X)のエステルへの前駆体を使用して実施することもでき、続いて前述のようにカルボン酸へ変換され、そしてアミドが形成される。
【0132】
方法(d)−式(XI)の化合物と式(XII)の化合物の反応は、DMFのような極性溶媒又はTHFのような無極性溶媒中、水素化ナトリウム又はカリウムtert−ブトキシドのような強塩基と、0〜200℃間の温度で(マイクロ波加熱を使用してもよい)、又は、酢酸パラジウム(II)、パラジウム炭素、酢酸銅(II)又はヨウ化銅(I)のような金属触媒と一緒に反応させることができる。
【0133】
方法(e)−アミドを形成するアミノ基とカルボン酸又はスルホン酸又は酸誘導体とのカップリング反応は当該技術分野で周知であり、方法(a)で上述されている。
【0134】
式(III)、(VI)、(VII)、(IX)及び/又は(XI)の特定の中間体は新規であると考えられ、本発明の独立した側面を構成する。
【0135】
式(III)、(IX)及び/又は(XI)(式中、は本明細書に定義した通りである)の特定の中間体は新規であると考えられ、本発明の独立した側面を構成する。
【0136】
式(XIII)の特定の中間体は新規であると考えられ、本発明の独立した側面を構成する。
【0137】
製造プロセスの間、分子内の官能基のために保護基を使用するのが都合がよいであろう。保護基は、問題とする保護基の除去に適切であるとされる、文献に記載の又は熟練化学者には既知のいずれか都合の良い方法により除去することができ、こうした方法は、該分子内の他の場所の基に最小の障害しか与えずに保護基の除去を達成するように選択される。
【0138】
保護基の具体的例が便宜のため以下に与えられており、「低級」とは、それが適用される基が好ましくは1〜4炭素原子を有することを示している。これらの例は網羅的ではないことが理解されるであろう。保護基除去の方法の具体的例が以下に与えられている場合、これらは同様に網羅的ではない。具体的に記述されていない保護基の使用及び脱保護の方法ももちろん本発明の範囲内である。
【0139】
カルボキシ保護基は、エステル形成脂肪族又はアルアリファチック(araliphatic)ア
ルコール又はエステル形成シラノール(前記アルコール又はシラノールは、好ましくは、1〜20炭素原子を含有する)の残基であることができる。カルボキシ保護基の例には、
直鎖又は分岐鎖(1〜12C)アルキル基(例えば、イソプロピル、t−ブチル);低級アルコキシ低級アルキル基(例えば、メトキシメチル、エトキシメチル、イソブトキシメチル);低級脂肪族アシルオキシ低級アルキル基(例えば、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル);低級アルコキシカルボニルオキシ低級アルキル基(例えば、1−メトキシカルボニルオキシエチル、1−エトキシカルボニルオキシエチル);アリール低級アルキル基(例えば、p−メトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、ベンズヒドリル、及びフタリジル);トリ(低級アルキル)シリル基(例えば、トリメチルシリル及びt−ブチルジメチルシリル);トリ(低級アルキル)シリル低級アルキル基(例えば、トリメチルシリルエチル);及び(2〜6C)アルケニル基(例えば、アリル及びビニルエチル)が含まれる。
【0140】
カルボキシル保護基の除去に特に適切な方法の例には、例えば、酸、金属又は酵素的触媒加水分解が含まれる。
【0141】
ヒドロキシ保護基の例には、メチル、t−ブチル、低級アルケニル基(例えば、アリル);低級アルカノイル基(例えば、アセチル);低級アルコキシカルボニル基(例えば、t−ブトキシカルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル基(例えば、アリルオキシカルボニル);アリール低級アルコキシカルボニル基(例えば、ベンゾイルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、o−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル);トリ低級アルキル/アリールシリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル);テトラヒドロピラン−2−イル;アリール低級アルキル基(例えば、ベンジル);及びトリアリール低級アルキル基(例えば、トリフェニルメチル)が含まれる。
【0142】
アミノ保護基の例には、ホルミル、アラルキル基(例えば、ベンジル及び置換ベンジル、例えば、p−メトキシベンジル、ニトロベンジル及び2,4−ジメトキシベンジル、及びトリフェニルメチル)、ジ−p−アニシルメチル及びフリルメチル基;低級アルコキシカルボニル(例えば、t−ブトキシカルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル(例えば、アリルオキシカルボニル);アリール低級アルコキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、o−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル;トリアルキルシリル(例えば、トリメチルシリル及びt−ブチルジメチルシリル);アルキリデン(例えば、メチリデン);ベンジリデン及び置換ベンジリデン基が含まれる。
【0143】
ヒドロキシ及びアミノ保護基を除去するために適した方法には、例えば、求核置換、酸−、塩基−、金属−又は酵素−触媒加水分解、触媒的水素化分解/水素化、o−ニトロベンジルオキシカルボニルのような基のための光分解、又はシリル基のためのフッ化物イオンが含まれる。例えば、ヒドロキシ基のためのメチルエーテル保護基は、ヨウ化トリメチルシリルにより除去することができる。ヒドロキシ基のためのtert−ブチルエーテル保護基は加水分解、例えば、塩酸メタノール溶液の使用により除去することができる。
【0144】
アミド基の保護基の例には、アラルコキシメチル(aralkoxymethyl)(例えば、ベンジルオキシメチル及び置換ベンジルオキシメチル);アルコキシメチル(例えば、メトキシメチル及びトリメチルシリルエトキシメチル);トリアルキル/アリールシリル(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル);トリアルキル/アリールシリルオキシメチル(例えば、t−ブチルジメチルシリルオキシメチル、t−ブチルジフェニルシリルオキシメチル);4−アルコキシフェニル(例えば、4−メトキシフェニル)、2,4−ジ(アルコキシ)フェニル(例えば、2,4−ジメトキシフェニル);4−アルコキシベンジル(例えば、4−メトキシベンジル)、2,4−ジ(アルコキシ)ベンジル(例えば、2,4−ジ(メトキシ)ベンジル)及びアルカ−1−
エニル(例えば、アリル、ブタ−1−エニル及び置換ビニル、例えば、2−フェニルビニル)が含まれる。
【0145】
アラルコキシメチル基は、アミド基と適切なアラルコキシメチルクロリドを反応させることによりアミド基上に導入し、そして触媒的水素化により除去することができる。アルコキシメチル、トリアルキル/アリールシリル及びトリアルキル/シリルオキシメチル基は、アミドと適切な塩化物を反応させることにより導入し、そして酸で除去することができる;又は、シリル含有基の場合はフッ化物イオンで除去することができる。アルコキシフェニル及びアルコキシベンジル基は、適切なハロゲン化物でのアリール化又はアルキル化により都合良く導入され、そして硝酸セリウムアンモニウムでの酸化により除去される。最後に、アルカ−1−エニル基は、アミドと適切なアルデヒドを反応させることにより導入することができ、酸で除去される。
【0146】
上記の他の医薬組成物、プロセス、方法、使用及び医薬製造の側面において、本明細書に記載した本発明の化合物に、別の及び好ましい側面及び態様も適用される。
【実施例】
【0147】
下記の実施例は例示の目的のためであり、この出願の範囲を制限することを目的としない。それぞれの例示された化合物は、本発明の特定の及び独立した側面を表す。以下の非制限的実施例において、特に指定のない限り:
(i)蒸発は、減圧下で回転蒸発により実施し、濾過による乾燥剤のような残余固形物の除去後に後処理を実施した;
(ii)操作は室温、即ち18〜25℃の範囲内で、及びアルゴン又は窒素のような不活性ガスの雰囲気下で実施した;
(iii)収量は例示のためにのみ与えられており、必ずしも最大達成可能量ではない;(iv)式(I)の最終生成物の構造は核(一般にプロトン)磁気共鳴(NMR)及び質量スペクトル技術により確認した;プロトン磁気共鳴化学シフト値はデルタスケールで測定し、ピーク多重度は以下に示されている:s、一重線;d、二重線;t、三重線;m、多重線;br、幅広;q、四重線;quin、五重線;六重線;
(v)中間体は一般に完全には特徴付けされず、そして純度は薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、赤外線(IR)又はNMR分析により評価した;
(vi)特に指定のない限り、フラッシュクロマトグラフィーはシリカで実施した。
【0148】
略語
DCM ジクロロメタン
DEAD アゾジカルボン酸ジエチル
DIAD アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMA ジメチルアセトアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DMF ジメチルホルムアミド
EDAC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HPMC ヒドロキシプロピルメチルセルロース
LCMS 液体クロマトグラフィー/質量分析
NMP N−メチル−2−ピロリドン
NMR 核磁気共鳴分光法
RT 室温
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
CDCl 重クロロホルム
MgSO 硫酸マグネシウム
PTFE ポリテトラフルオロエチレン
TIPS トリイソプロピルシリル。
【0149】
実施例1:3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−N−(5−メチルピラジン−2−イル)−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ−ベンズアミド
【0150】
【化16】

【0151】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ−N−(5−メチルピラジン−2−イル)ベンズアミド(190mg、0.54mmol)、5−ブロモ−2−メチルスルホニルピリジン(CAS番号98626−95−0)(140mg、0.59mmol)、炭酸セシウム(350mg、1.08mmol)及びブロモトリス(トリフェニルホスフィン)銅(I)(101mg、0.11mmol)のDMA(5mL)混合物を、マイクロ波反応器中、160℃で6時間撹拌した。酢酸エチル(50mL)を加え、混合物を水(50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、真空下で減量した。粗残渣を、イソヘキサン中10−100%の酢酸エチルで溶出するシリカでのクロマトグラフィーにかけると、目的化合物を得た(19mg)。
1H NMR δ (CDCl3): 1.40 (d, 3H), 2.56 (s, 3H), 3.23 (s, 3H), 3.96 - 4.05 (m, 2H), 4.65 - 4.72 (m, 1H), 6.26 (t, 1H), 6.86 (t, 1H), 7.21 (t, 1H), 7.36 (t, 1H), 7.46 - 7.49 (m, 1H), 8.08 (d, 1H), 8.15 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 8.49 (d, 1H), 9.52
(d, 1H); m/z 509 (M+H)+
【0152】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ−N−(5−メチルピラジン−2−イル)ベンズアミドの製造は以下に記載されている。
【0153】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ−N−(5−メチルピラジン−2−イル)ベンズアミド
【0154】
【化17】

【0155】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−N−(5
−メチルピラジン−2−イル)−5−フェニルメトキシ−ベンズアミド(0.48g、1.08mmol)をエタノール(10mL)及びTHF(10mL)に溶解し、そしてフラスコを脱気してアルゴンをパージした(3回)。10%パラジウム炭素(48mg)加え、フラスコをさらに脱気し、最後に水素ガスをパージした。反応混合物を室温で20時間撹拌した。反応混合物を脱気してアルゴンをパージし(3回)、セライト(登録商標)を通した濾過により触媒を除去した。濾液を真空下で濃縮すると目的化合物を得た(0.38g)。
1H NMR δ (d6-DMSO): 1.19 (d, 3H), 2.39 (s, 3H), 3.85 - 3.95 (m, 2H);4.65 - 4.72 (m, 1H), 6.46 (s, 1H), 6.65 (t, 1H), 6.93 (s, 1H), 7.06 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 9.16 (s, 1H), 9.74 (s, 1H), 10.82 (s, 1H); m/z 354 (M+H)+
【0156】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−N−(5−メチルピラジン−2−イル)−5−フェニルメトキシ−ベンズアミド
【0157】
【化18】

【0158】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−フェニルメトキシ安息香酸(0.54g、1.5mmol)のDCM(20mL)溶液に1−クロロ−N,N,2−トリメチル−プロパ−1−エン−1−アミン(0.26mL、2.0mmol)を加え、1時間撹拌した。5−メチルピラジン−2−アミン(CAS番号5521−58−4)(335mg、3.1mmol)、次ぎにピリジン(0.25mL、3.1mmol)を加え、反応液をさらに30分撹拌した後、真空下で減量し、酢酸エチル(50mL)及び水(50mL)間に分配した。水層をさらに酢酸エチル(50mL)で抽出し、合わせた有機層を水(50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして真空下で減量した。粗残渣を、イソヘキサン中40〜100%の酢酸エチルで溶出する、シリカでのクロマトグラフィーにかけると、目的化合物を得た(0.48g)。
1H NMR δ (CDCl3): 1.39 (d, 3H), 2.58 (s, 3H), 3.96 - 4.05 (m, 2H), 4.63 - 4.70 (m, 1H), 5.13 (s, 2H), 6.30 (t, 1H), 6.78 (t, 1H), 7.09 (t, 1H), 7.16 (t, 1H), 7.35 - 7.48 (m, 5H), 8.17 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 9.58 (d, 1H); m/z 444 (M+H)+
【0159】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−フェニルメトキシ安息香酸
【0160】
【化19】

【0161】
水酸化リチウム一水和物(19mg、0.45mmol)の水溶液(2ml)を、3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−フェニルメトキシ安息香酸メチル(0.11g、0.3mmol)のTHF(4mL)溶液に加え、混合物を室温で20時間撹拌した。THFを真空下で除去し、水層をクエン酸でpH3に調整し、次ぎに酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。有機層を水(30mL)、食塩水(30mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を真空下で除去すると、目的化合物を得た(0.1g)。
1H NMR δ (d6-DMSO): 1.27 (d, 3H), 4.00 (m, 2H), 4.75 (六重線, 1H), 5.15 (s, 2H), 6.72 (t, 1H), 6.87 (t, 1H), 7.08 (t, 1H), 7.16 (t, 1H), 7.41 (m, 5H), 12.95 (s, 1H); m/z 351 (M+H)+
【0162】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−フェニルメトキシ安息香酸メチル
【0163】
【化20】

【0164】
2,2−ジフルオロ−2−フルオロスルホニル酢酸(CAS番号1717−59−5)(0.239mL、2.31mmol)を、アセトニトリル(10mL)中の3−[(2S)−1−ヒドロキシプロパン−2−イル]オキシ−5−フェニルメトキシ安息香酸メチル(0.73g、2.31mmol)及びヨウ化銅(I)(88mg、0.46mmol)の脱気混合物に、攪拌しながら45℃で滴下した。反応物を45℃で24時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、酢酸エチル(30mL)を加えた。有機物を水(30mL)、食塩水(30mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を真空下で除去した。残渣を、イソヘキサン中0〜30%の酢酸エチル濃度勾配で溶出するシリカでのクロマトグラフィーにかけると、目的化合物を得た(0.11g)。
1H NMR δ (CDCl3): 1.37 (d, 3H), 3.93 (s, 3H), 4.00 (m, 2H), 4.63 (六重線, 1H), 5.10 (s, 2H), 6.28 (t, 1H), 6.77 (t, 1H), 7.28 (t, 1H), 7.41 (m, 6H); m/z 367 (M+H)+
【0165】
3−[(2S)−1−ヒドロキシプロパン−2−イル]オキシ−5−フェニルメトキシ安息香酸メチル
【0166】
【化21】

【0167】
ブロモメチルベンゼン(1.89g、7.20mmol)を、3−ヒドロキシ−5−[
(2S)−1−ヒドロキシプロパン−2−イル]オキシ安息香酸メチル(1.55g 、
6.86mmol)及び炭酸カリウム(1.89g、0.014mol)のDMF(16mL)混合物に加え、反応物を室温で20時間撹拌した。酢酸エチル(40mL)を加え、混合物を水(40mL)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(40mL)、食塩水(40mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を真空下で除去した。残渣をイソヘキサン中0〜100%の酢酸エチル濃度勾配で溶出するシリカでのクロマトグラフィーにかけると、目的化合物を得た(1.7g)。
1H NMR δ (CDCl3): 1.30 (d, 3H), 1.95 (m, 1H), 3.76 (m, 2H), 3.92 (s, 3H), 4.53 (m, 1H), 5.11 (s, 2H), 6.78 (t, 1H), 7.25 (m, 1H), 7.32 (m, 1H), 7.45 (m, 5H); m/z 317 (M+H)+
【0168】
3−ヒドロキシ−5−[(2S)−1−ヒドロキシプロパン−2−イル]オキシ−安息香酸メチル
【0169】
【化22】

【0170】
ヨード−トリメチルシラン(CAS番号16029−98−4)(115mL 、0.
79mol)を、3−ヒドロキシ−5−[(2S)−1−メトキシプロパン−2−イル]オキシ安息香酸メチル(CAS番号863504−77−2)(38.01g、0.158mol)のアセトニトリル(500mL)溶液に加え、24時間撹拌した。メタノール(300mL)を加え、反応物を10分撹拌した。10%w/vチオ硫酸ナトリウム五水和物水溶液(100mL)を混合物に加え、20分撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、有機溶媒を真空下で除去し、生成物を酢酸エチル(4´100mL)に抽出した。混合した有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を真空下で除去した。粗製物を、酢酸エチルから結晶化すると目的化合物を得た(16.8g)。
1H NMR δ (d6-DMSO):1.18 (d, 3H), 3.40-3.55 (m, 2H), 3.80 (s, 3H), 4.35 (六重線,
1H), 4.80 (t, 1H), 6.57 (m, 1H), 6.90 (m, 2H), 9.75 (s, 1H); m/z 304 (M+H)+
【0171】
3−ヒドロキシ−5−[(2S)−1−メトキシプロパン−2−イル]オキシ安息香酸メチル
【0172】
【化23】

【0173】
3−[(2S)−1−メトキシプロパン−2−イル]オキシ−5−フェニルメトキシ安息香酸メチル(CAS番号851885−42−2)(50.0g、0.152mmol)を、THF:エタノール(600mL)の混合物に溶解し、フラスコを脱気して窒素を
パージした(3回)。10%パラジウム炭素(5.0g)を加え、フラスコをさらに脱気し、最後に水素ガスをパージした。完了するまで反応混合物を外界温度で20時間撹拌した。反応混合物を脱気し、窒素を充填した(3回)。触媒を濾去し、濾液を真空下で濃縮すると目的化合物を得た(36.7g)。
1H NMR δ(d6-DMSO):1.2 (d, 3H), 3.25 (s, 3H), 3.44 (m, 2H), 3.82 (s, 3H), 4.55 (m, 1H), 6.6 (s, 1H), 6.9 (s, 1H), 6.95 (s, 1H), 9.8 (s, 1H)。
【0174】
実施例2:5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド
【0175】
【化24】

【0176】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ−N−(5−メチルピラジン−2−イル)ベンズアミド(0.19g、0.54mmol)、5−クロロ−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド(100mg、0.54mmol)及び炭酸カリウム(149mg、1.08mmol)をアセトニトリル(5mL)に加えた混合物を、マイクロ波反応器中、140℃で5時間撹拌し、そして、混合物を真空下で減量した。酢酸エチル(50mL)を加え、混合物を水(50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、及び真空下で減量した。粗残渣を、DCM中0〜5%のメタノールで溶出するシリカでのクロマトグラフィーにかけると、目的化合物を得た(150mg)。
1H NMR δ(CDCl3): 1.40 (d, 3H), 2.55 (s, 3H), 3.15 (s, 3H), 3.18 (s, 3H), 3.95 -
4.05 (m, 2H), 4.64 - 4.71 (m, 1H), 6.26 (t, 1H), 6.97 (t, 1H), 7.32 (t, 1H), 7.40 (t, 1H), 8.13 (s, 1H), 8.38 (d, 1H), 8.41 (s, 1H), 8.53 (d, 1H), 9.53 (d, 1H); m/z 503 (M+H)+
【0177】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ−N−(5−メチルピラジン−2−イル)ベンズアミドの製造は、前に記述されている。
【0178】
5−クロロ−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドの製造は、以下に記述されている。
【0179】
5−クロロ−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド
【0180】
【化25】

【0181】
塩化オキサリル(1.7mL、19mmol)を、5−クロロピラジン−2−カルボン酸(CAS番号36070−80−1)(2.53g、16.0mmol)のジクロロメタン(25mL)及びDMF(4滴)の懸濁液に、室温及びアルゴン下で加えた。混合物を1.5時間撹拌させ、真空下で濃縮し、残渣をジクロロメタン(25mL)に再溶解した。ジメチルアミン(2MのTHF溶液、8.77mL、17.6mmol)、次にトリエチルアミン(4.9mL、35mmol)を滴下し、さらに5.5時間撹拌させた。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣をジクロロメタンに再溶解し、濾過した。濾液をイソヘキサン中50〜100%の酢酸エチル濃度勾配で溶出するシリカでのクロマトグラフィーにかけると、目的化合物を得た(1.88g)。
1H NMR δ (CD3OD): 3.34 (s, 3H), 3.38 (s, 3H), 8.90 (s, 1H), 8.92 (s, 1H); m/z 186 (M+H)+
【0182】
5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド製造の代替法は以下に与えられている:
【0183】
【化26】

【0184】
1−クロロ−N,N,2−トリメチル−1−プロペニルアミン(6.9mL、52.3 mmol)を、3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ安息香酸(17.2g、41.8mmol)のDCM(250mL)溶液に加え、外界温度で30分撹拌した。5−メチルピラジン−2−アミン(9.1g、83.6mmol)及びピリジン(6.8mL、83.6mmol)を加え、反応物を一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発した。残渣を酢酸エチル(200mL)に溶解し、水(2×100mL)、クエン酸(1N、100mL)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×100mL)及び飽和食塩水(10mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧下で蒸発した。残渣を、イソヘキサン中、25〜100%の酢酸エチル濃度勾配で溶出するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、生成物を無色泡状物として得た(11.2g)。この物質の200mgのサンプルにジエチルエーテル(1mL)を加え、生じた懸濁液を、一夜激しく攪拌してスラリー化した。生じた白色固形物を、濾過により単離し、真空下で乾燥した。X線粉末回折は、この物質がかなりの結晶特性を有していることを示した。残った物質(9.2g)を二つのバッチ(3.5g及び5.7g)に分割した。より小さなバッチ(3.5g)にジエチルエーテル(12.5mL)を加え、より大きなバッチ(5.7g)
にはジエチルエーテル(20mL)を加えた。より大きいバッチには、以前に得られた結晶性物質(50mg)を種添加した。両方のバッチを室温で16時間撹拌した。生じた無色固形物を濾過により単離し、混合し、真空下で乾燥した。生じた物質(6.1g、29%)は、以前に得られた結晶性物質、及び以下に記述される5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドA型と一致するX線粉末回折パターンを有していた。H NMR及び質量分析データは、以前の方法を使用して得られたものと一致した。5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドA型は、CuKa照射を使用して測定された以下の2θ値の少なくとも一つを提供することにより特徴付けられる:20.3及び15.6。5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドA型は、実質的に図Aに示したX線粉末回折パターンを提供することにより特徴付けられる。最も顕著な10のピークを表Aに示した。
【0185】
【表1】

【0186】
本発明に従うと、約2シータ=20.3°に少なくとも一つの特異的ピークを示すX線粉末回折パターンを有する5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型結晶性形態が提供される。
【0187】
本発明に従うと、約2シータ=15.6°に少なくとも一つの特異的ピークを示すX線粉末回折パターンを有する結晶性形態、A型が提供される。
【0188】
本発明に従うと、約2シータ=20.3°及び15.6°に少なくとも二つの特異的ピークを示すX線粉末回折パターンを有する5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型の結晶性形態が提供される。
【0189】
本発明に従うと、約2シータ=20.3、15.6、23.2、22.4、9.3、25.7、26.2、18.7、26.5及び8.4°に特異的ピークを示すX線粉末回折パターンを有する5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型の結晶性形態が提供される。
【0190】
本発明に従うと、図Aに示したX線粉末回折パターンと実質的に同一のX線粉末回折パターンを有する、5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型の結晶性形態が提供される。
【0191】
本発明に従うと、2シータ=20.3°プラス又はマイナス0.5°2−シータに少なくとも一つの特異的ピークを示すX線粉末回折パターンを有する、5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型の結晶性形態が提供される。
【0192】
本発明に従うと、2シータ=15.6°プラス又はマイナス0.5°2−シータに少なくとも一つの特異的ピークを示すX線粉末回折パターンを有する、5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型の結晶性形態が提供される。
【0193】
本発明に従うと、2シータ=20.3°及び15.6°に少なくとも二つの特異的ピークを示す(ここで前記の値はプラス又はマイナス0.5°2−シータであってもよい)X線粉末回折パターンを有する、5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型の結晶性形態が提供される。
【0194】
本発明に従うと、2シータ=20.3、15.6、23.2、22.4、9.3、25.7、26.2、18.7、26.5及び8.4°に特異的ピークを示す(ここで前記の値はプラス又はマイナス0.5°2−シータであってもよい)X線粉末回折パターンを有する、5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型の結晶性形態が提供される。
【0195】
本発明に従うと、2−シータ=20.3°に少なくとも一つの特異的ピークを示すX線粉末回折パターンを有する5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型の結晶性形態が提供され
る。
【0196】
本発明に従うと、2シータ=15.6°に少なくとも一つの特異的ピークを示すX線粉末回折パターンを有する5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型の結晶性形態が提供される。
【0197】
本発明に従うと、2シータ=20.3°及び15.6°に少なくとも二つの特異的ピークを示すX線粉末回折パターンを有する5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型の結晶性形態が提供される。
【0198】
本発明に従うと、2シータ=20.3、15.6、23.2、22.4、9.3、25.7、26.2、18.7、26.5及び8.4°に特異的ピークを示すX線粉末回折パターンを有する5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型の結晶性形態が提供される。
【0199】
本発明に従うと、図Aに示したX線粉末回折パターンを有する、5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型の結晶性形態が提供される。
【0200】
DSC分析は、5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドA型が、75.0℃での融解の開始、及び83.1℃にピークを有する(図B)低融点固形物であることを示した。
【0201】
本発明に従うと、約75.0℃での融解の開始、及び約83.1℃にピークを有する、5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型が提供される。
【0202】
それ故、本発明に従うと、5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドのジエチルエーテル溶液からの5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドの結晶化を含んでなる、5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドの結晶形態の形成のための方法が提供される。
【0203】
本発明が5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型の結晶形態に関して記述される場合、結晶化の程度は、都合良くは約60%より大きく、より都合良くは約80%より大きく、好ましくは約90%より大きく、及びより好ましくは約95%より大きい。
【0204】
5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型は、図Aに示したX線粉末回折パターンと実質的に同一のX線粉末回折パターンを提供し、そして表Aに示した最も顕著な10のピーク(角度2シータ値)を実質的に有していた。X線粉末回折パターンの2シータ値は、機器間で又はサンプル間で非常にわずかではあるが異なることがあるので、引用された値は絶対であると解釈すべきではないことが理解されるであろう。
【0205】
得ることができるX線粉末回折パターンは、測定条件(使用された装置又は機器のような)に依存して一つ又はそれ以上の測定誤差を有することが知られている。特に、X線粉末回折パターンの強度は測定条件に依存して変動することが一般的に知られている。それ故、本発明の5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型は、図Aに示したX線粉末回折パターンと同一のX線粉末回折パターンを提供する結晶に限定されるわけではなく、図Aに示したX線粉末回折パターンと実質的に同一のX線粉末回折パターンを提供するいずれの結晶も本発明の範囲内に含まれることを理解すべきである。X線粉末回折の当業者は、X線粉末回折パターンの実質的同一性を判断することが可能である。
【0206】
X線粉末回折の当業者は、ピークの相対強度が、例えば、30ミクロン以上のサイズの粒子及びサンプルの分析に影響することができる非ユニタリーアスペクト比により影響され得ることを認めるであろう。該当業者は、反射の位置が回折計に置かれたサンプルの正確な高さ及び回折計のゼロ較正により影響され得ることも認めるであろう。サンプルの表面平面性も小さな影響を与えることができる。それ故、示された回折パターンデータは絶対値ととってはならない。(Jenkins, R & Snyder, R.L. ‘Introduction to X-ray powder Diffractometry’John Wiley & Sons 1996; Bunn, C.W. (1948), Chemical Crystallography, Clarendon Press, London; Klug, H. P. & Alexander, L. E. (1974), X-Ray Diffraction Procedures)。
【0207】
一般に、X線粉末回折における回折角の測定誤差は、約5%又はそれ未満、特にプラス又はマイナス0.5°2シータであり、こうした程度の測定誤差は、図AのX線粉末回折パターンを検討する場合及び表Aを読む場合に考慮すべきである。さらに、強度が実験条件及びサンプル調製(好ましい配向)に依存して変動してもよいことを理解すべきである。
【0208】
使用した技術の詳細
X線粉末回折
【0209】
【表2】

【0210】
分析機器:Siemens D5000
X線粉末回折スペクトルは、結晶性物質のサンプルをSiemensシリコン単結晶(SSC
)ウエハーマウントにマウントし、顕微鏡用スライドを用いてサンプルを薄層に拡げることにより決定した。サンプルを1分当たり30回転で回転させ(計数統計を改善するため)、1.5406オングストロームの波長で、40kV及び40mAで動作させた銅製の長い高精度焦点チューブによって発生させたX線を照射した。平行にしたX線源は、V20に設定された自動可変分岐スリットを通過させ、反射した放射線は、2mmのアンチスキャッター(antiscatter)スリットと、0.2mmの検出器スリットを通過して直進し
た。サンプルを、シータ−シータモードで2度〜40度の2シータ範囲にわたり、0.02度の2シータ増加分あたり1秒間暴露した(連続スキャンモード)。動作時間は、31分41秒であった。この機器は、検出器としてシンチレーションカウンターを備えていた。対照とデータ捕捉は、Diffrac+ソフトウェアで稼動させたDell Optiplex686 NT4.0 ワ
ークステーションを用いた。X線粉末回折の当業者は、ピークの相対強度が、例えば、30ミクロン以上の粒子及びサンプルの分析に影響することができる非ユニタリー側面により影響されうることを理解するであろう。当業者は、反射の位置が回折計中のサンプル部位での正確な高さ、及び回折計のゼロカリブレーションにより影響されうることも理解するであろう。サンプルの表面平面性も小さな効果を有することができる。それ故、示された回折パターンは絶対的な値として解釈すべきではない。
【0211】
示差走査熱量測定
分析機器:Mettler DSC820e
典型的には、穴のあいた蓋を取り付けた40μlのアルミ製の鍋に含まれた5mg未満の材料を、1分当たり10℃の一定の加熱速度で、25℃〜325℃の温度範囲にわたって加熱した。窒素を使用したパージガスは、流速100ml/分で使用した。
【0212】
5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドのスラリー化
5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドのX線粉末回折スペクトルは、最初の材料が無定形であることを示した。結晶形態、A型を作製するため、およそ500mgの物質を、電磁従動機(magnetic follower)を備えたバイアル中に加え、そしておよそ2mlのジエチルエ
ーテルを加え、バイアルをキャップで固く封をした。スラリーは次ぎにマグネティックプレート(magnetic plate)上、外界温度(25℃)で撹拌した。2日後、プレートからサンプルを移動し、キャップをとり、スラリーを外界条件で乾燥させた後、XRPD及びDSCで分析した。生じた物質(A型)はXRPDにより結晶であると決定され、最初の無定形物質とは異なっていることが観察された。この物質(A型)は75.0℃の融点(開始)を有していた。
【0213】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ安息香酸
【0214】
【化27】

【0215】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ安息香酸メチル(19.8g、46.6mmol)をTHF(300mL)及びメタノール(100mL)に溶解し、LiOH(1N、51.3mL)を加え、続いて濁るまで水を滴下した。生じた溶液を室温で16時間撹拌した。有機物を減圧下で蒸発させて除去した。水性スラリーを水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(200mL)で洗浄し、次ぎに固形物が沈殿するまで塩酸(2N)の添加により酸性化した。生じた懸濁液を酢酸エチルで抽出した(2×200mL)。合わせた有機抽出液を、水(200mL)及び食塩水(200mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮すると生成物を得た(17.2g、90%)。1H NMR δ (CDCl3): 1.39 (d, 3H), 3.17 (s, 3H), 3.19 (s, 3H), 3.93 - 4.05 (m, 2H), 4.60 - 4.69 (m, 1H), 6.26 (t, 1H), 6.99 (t, 1H), 7.50 - 7.55 (m, 2H), 8.38 (d, 1H), 8.55 (d, 1H), 10.17 (s, 1H); m/z 412 (M+H)+
【0216】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ安息香酸メチル
【0217】
【化28】

【0218】
2,2−ジフルオロ−2−フルオロスルホニル酢酸(CAS番号1717−59−5)(0.84mL、8.05mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液を、3−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ−5−[(2S)−1−ヒドロキシプロパン−2−イル]オキシ安息香酸メチル(1.5g、22.0mmol)及びヨウ化銅(I)(154mg、4.55mmol)のアセトニトリル(300mL)脱気撹拌混合物に、55℃で90分以上かけてシリンジポンプを用いて加えた。揮発物を減圧下で除去し、残渣をDCMに溶解した。混合物を濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を、イソヘキサン中25%〜100%の酢酸エチル濃度勾配で溶出するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、生成物を得た(16.5g、62%)。1H NMR δ (CDCl3): 1.38 (3H, d), 3.15 (3H, s), 3.18 (3H, s), 3.91 (3H, s), 3.93 - 4.05 (2H,
m), 4.62 - 4.68 (1H, m), 6.27 (1H, t), 6.95 (1H, t), 7.44 - 7.45 (1H, m), 7.49 - 7.51 (1H, m), 8.36 (1H, s), 8.53 (1H, s); m/z 404 (M+H+)。
【0219】
3−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ−5−[(2S)−1−ヒドロキシプロパン−2−イル]オキシ安息香酸メチル
【0220】
【化29】

【0221】
PTFE容器中、フッ化水素(70%ピリジン溶液、3.25mL)の溶液を、3−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ−5−[(2S)−1−トリプロパン−2−イルシリルオキシプロパン−2−イル]オキシメチル安息香酸メチルのTHF(300mL)溶液に加え、生じた溶液を室温で18時間撹拌した。さらにフッ化水素溶液(70%ピリジン溶液、3.25mL)を加え、反応物をさらに66時間撹拌した。溶液がpH8に達するまで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を非常に注意深く加えることにより反応を停止させた。水層を酢酸エチルで抽出し(2×500mL)、合わせた有機層を乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧下で除去し、残渣をイソヘキサン中25〜100%の酢酸エチルで溶出する、シリカでのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製すると、生成物を得た(13.2g、98%)。1H NMR δ (CDCl3): 1.32 (3H, d), 1.93 (1H, d), 3.17 (6H, d), 3.74 - 3.79 (1H, m), 3.91 (3H, s), 4.54 - 4.60 (1H, m), 6.96 (1H, t), 7.43 (1H, d), 7.51 (1H, d), 8.36 (1H, d), 8.53 (1H, d); m/z 376
(M+H+)。
【0222】
3−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ−5−[(2S)−1−トリプロパン−2−イルシリルオキシプロパン2−イル]オキシ安息香酸メチル
【0223】
【化30】

【0224】
3−ヒドロキシ−5−[(2S)−1−トリプロパン−2−イルシリルオキシプロパン−2−イル]オキシ安息香酸メチル(40.2g、105mmol)、5−クロロ−N,
N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド(20.5g、110mmol)及び炭酸
カリウム(36.3g、263 mmol)のアセトニトリル(500mL)混合液を、6時間還流撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、酢酸エチル(500mL)及び水(500mL)を加えた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(250mL)で再抽出し、合わせた有機層を水(500mL)、食塩水(500mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮すると生成物を得た(55.6g、100%)。1H NMR δ (CDCl3): 1.01 - 1.07 (21H, m), 1.34 (3H, d), 3.14 - 3.16 (3H, s), 3.17 (3H, s), 3.72 -
3.77 (1H, m), 3.87 - 3.92 (4H, m), 4.51 (1H, m), 6.95 (1H, t), 7.39 - 7.40 (1H,
m), 7.50 - 7.51 (1H, m), 8.34 (1H, d), 8.53 (1H, d); m/z 532 (M+H+)。
【0225】
5−クロロ−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドの製造は、前に記述されている。
【0226】
3−ヒドロキシ−5−[(2S)−1−トリプロパン−2−イルシリルオキシプロパン2−イル]オキシ安息香酸メチル
【0227】
【化31】

【0228】
3−フェニルメトキシ−5−[(2S)−1−トリプロパン−2−イルシリルオキシプロパン−2−イル]オキシ安息香酸メチル(CAS番号871657−71−5)(47.3g、0.1mol)のエタノール(500mL)溶液に、窒素雰囲気下、10%パラジウム活性炭(5g)を加えた。反応物を水素雰囲気下で16時間撹拌した。この時間後、触媒を濾去し、溶媒を減圧下で蒸発させると生成物を得た(38.1g、100%)。1H NMR δ (CDCl3): 1.01 - 1.12 (22H, m), 1.32 (3H, d), 3.69 - 3.77 (2H, m), 3.89
(3H, s), 4.48 (1H, q), 6.62 (1H, t), 7.10 (1H, d), 7.18 (1H, t); m/z 381 (M-H-)。
【0229】
5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドの製造のためのさらなる代替法が以下に与えられている:
【0230】
【化32】

【0231】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ安息香酸(74.2g、180mmol)にDMF(1.4mL、18mmol)を加えた。ジクロロメタン(810mL)及び塩化オキサリル(25.2ml、289mmol)を加え、反応物を外界温度で2時間撹拌させておいた。溶媒を減圧下で蒸発し、トルエン(2×600mL)で共沸し、得られた油状物をピリジン(392mL)及びジクロロメタン(500mL)に溶解した。
【0232】
5−メチルピラジン−2−アミン(CAS番号5521−58−4)(29.7g、272mmol)のピリジン(549mL)溶液を撹拌した前記溶液に滴下し、反応物を20時間外界温度で撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発し、残渣を酢酸エチル(1200mL)に溶解し、水(1200mL)、1Mクエン酸(2×780mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×780mL)、飽和食塩水(780mL)で洗浄し、合わせた有機抽出液を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると表題化合物(66g)を得た。
【0233】
この物質試料(64g、127mmol)にジエチルエーテル(640mL)を加え、生じたスラリーを一夜攪拌した。固形物を濾過し、ジエチルエーテル(320mL)で洗浄し、真空下、外界温度で一夜乾燥すると白色結晶性固形物(56g)を得た。この物質は、前記の5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド、A型、について記載されているX線粉末回折パターンと一致したパターンを有していた。H NMR及び質量分析データは、前記のものと一致した。
【0234】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ安息香酸の製造は、以下に記述されている。
【0235】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ安息香酸
【0236】
【化33】

【0237】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ安息香酸メチル(76.3g、179mmol)に、NMP(534mL)、水(305mL)を加え、溶液を0℃で撹拌した。2N水酸化ナトリウム(152ml、305mmol)を滴下し、反応物を4時間撹拌した。酢酸(41mL、718mmol)を滴下し、続いて水(1068mL)及び1NのHCl(400mL)をpH3に達成するまで加えると、いくらかの物質が油として分離した。水層をトルエン(3×988mL)で抽出し、酢酸エチル(988mL)に溶解された前記油として分離した物質と混合し、合わせた有機層を、水(988mL)、飽和食塩水(988mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させた。残渣を、5%MeOH含有ジクロロメタンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーで精製すると表題化合物を得た(64g)。1H NMR δ (DMSO-d6): 1.27 (3H, d), 3.03 (6H, s), 3.99 - 4.04 (2H, m), 4.76 - 4.80 (1H, m), 6.52 - 6.91 (1H, t), 7.21 (1H, t), 7.34 - 7.38 (2H, m), 8.42 (1H, d), 8.56 (1H, d)。
【0238】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ安息香酸メチル
【0239】
【化34】

【0240】
3−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ−5−[(2S)−1−ヒドロキシプロパン−2−イル]オキシ安息香酸メチル(94g、250mmol)のアセトニトリル(1130mL)溶液を窒素で脱気し、次ぎにヨウ化銅(I)(9.54g、50mmol)を加え、溶液を55℃に加熱した。2,2−ジフルオロ−2−フルオロスルホニル酢酸(CAS番号1717−59−5)(46.6mL、450mmol)のアセトニトリル(188mL)溶液を滴下した。3時間後、溶媒を減圧下、25℃で蒸発させた。残渣をジクロロメタン(500mL)に溶解し、濾過した。固形物をさらにジクロロメタンで洗液が清澄になるまで洗浄した。溶媒を減圧下、25℃で蒸発させ、残渣を100%酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、表題化合物を得た(54g)。1H NMR δ(DMSO-d6): 1.28 (3H, d), 2.99 - 3.08 (6H, m),
3.86 (3H, s), 3.98 - 4.07 (2H, m), 4.78 - 4.82 (1H, m), 6.50 - 6.90 (1H, t), 7.25 (1H, t), 7.38 - 7.40 (2H, m), 8.42 (1H, d), 8.55 (1H, d)。
【0241】
3−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ−5−[(2S)−1−ヒドロキシプロパン−2−イル]オキシ安息香酸メチル
【0242】
【化35】

【0243】
3−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ−5−[(2S)−1−[(2−メチルプロパン−2−イル)オキシ]プロパン−2−イル]オキシ安息香酸メチル(170g、0.39mol)のギ酸(850mL)溶液を、90℃で3時間加熱した。酢酸エチル(1700mL)、水(1700mL)及び飽和食塩水(850mL)を加え、水層を分離し、酢酸エチルで抽出し(850mL)、合わせた有機層を飽和食塩水(850 mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして減圧下で蒸発させた。残渣
を酢酸エチル(1500mL)、水(1500mL)及びメタノール(150mL)に溶解した。炭酸ナトリウム(170g)を加え、2相性溶液を2時間加熱還流した。水層を分離し、有機層を水(1700mL)で洗浄した。合わせた水相を、酢酸エチルで抽出し(850mL)、合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させた。残渣を、100%酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、表題化合物を得た(148g)。1H NMR δ (DMSO-d6): 1.23 (3H, d), 3.04 (6H, s), 3.47 - 3.56 (2H, m), 3.86 (3H, s), 4.49 - 4.53 (1H, m), 4.86 (1H, t), 7.19 (1H, t), 7.34 - 7.35 (1H, m), 7.38 - 7.39 (1H, m), 8.42 (1H, d), 8.55 (1H, d)。
【0244】
3−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ−5−[(2S)−
1−[(2−メチルプロパン−2−イル)オキシ]プロパン−2−イル]オキシ安息香酸メチル
【0245】
【化36】

【0246】
3−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ−安息香酸メチル(10g、32mmol)にトリフェニルホスフィン(10.3g、39.4mmol)、THF(100mL)及び(2R)−1−[(2−メチルプロパン−2−イル)オキシ]プロパン−2−オール(CAS番号136656−73−0)(5.21g、39.4mmol)を加えた。生じたスラリーを0℃に冷却し、10℃以下に温度を維持しながらアゾジカルボン酸ジエチル(50% w/vトルエン溶液、13.7mL
、39.4mmol)を滴下した。2時間後、溶媒を減圧下で蒸発させ、酢酸エチル(23mL)を加えた。破砕した固形物を濾過し、母液を減圧下で蒸発させ、酢酸エチル(23mL)及びイソヘキサン(53mL)を加え、生じた固形物を濾過し、母液を減圧下で蒸発し、生じた残渣を80%酢酸エチル/20%イソヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、生成物(13.5g)得た。1H NMR δ (DMSO-d6): 1.12 (9H, s), 1.25 (3H, d), 3.03 (6H, s), 3.41 - 3.45 (1H, m), 3.47 - 3.51 (1H, m), 3.85 (3H, s), 4.55 - 4.57 (1H, m), 7.20 (1H, t), 7.34 - 7.35 (1H, m), 7.40 - 7.41
(1H, m), 8.41 (1H, d), 8.54 (1H, d)。
【0247】
3−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ安息香酸メチル
【0248】
【化37】

【0249】
3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル(CAS番号2150−44−9)(85g、0.49mol)に、5−クロロ−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド(88.9g、0.48mol)、DMSO(1000mL)及び炭酸セシウム(418g、1.2mol)を加え、混合物を50℃で3時間加熱した。水(1577mL)、続いて
ジエチルエーテル(540mL)を加えた。水層に5M塩酸溶液(395mL、1.97mol)を加え、生じた白色固形物を濾過し、水(2×311mL)で洗浄し、乾燥し、真空下、40℃、P上で一夜乾燥すると目的化合物を得た(143g)。1H NMR
δ (DMSO-d6): 3.03 (6H, s), 3.84 (3H, s), 6.92 (1H, t), 7.21 - 7.22 (1H, m), 7.28 - 7.29 (1H, m), 8.41 (1H, d), 8.53 (1H, d), 10.20 (1H, s)。
【0250】
5−クロロ−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドの製造は前に記述されている。
【0251】
実施例3:5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−(1H− ピラゾール−3−イルカルバモイル)フェノキシ]−N,N−ジ
メチル−ピラジン−2−カルボキサミド
【0252】
【化38】

【0253】
トリフルオロ酢酸(2mL)を、3−[[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ−ベンゾイル]アミノ]ピラゾール−1−カルボン酸tert−ブチル(150mg、0.26mmol)のDCM(16mL)溶液に加え、室温で2時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、DCM(20mL)を加え、混合物を水(20mL)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)、食塩水(20mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空下で減量すると目的化合物を得た(94mg)。1H NMR δ(CDCl3): 1.38 (d, 3H), 3.15 (s, 3H), 3.18 (s, 3H), 3.95 - 4.03 (m, 2H), 4.62 - 4.69 (m, 1H), 6.25 (t,
1H), 6.84 (s, 1H), 6.92 (t, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.37 (s, 1H), 7.44 (d, 1H), 8.39
(d, 1H), 8.49 (d, 1H), 9.71 (s, 1H), 10.04 (s, 1H); m/z 477 (M+H)+
【0254】
実施例4:3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ
−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ−N−(1H− ピラゾール
−3−イル)ベンズアミド
【0255】
【化39】

【0256】
下記の化合物は、3−[[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ−ベンゾイル]アミノ]ピラゾール−1−カルボン酸tert−ブチルから実施例3と類似の様式で製造した。
1H NMR δ(CDCl3): 1.39 (d, 3H), 3.23 (s, 3H), 3.95 - 4.04 (m, 2H), 4.64 - 4.71 (m, 1H), 6.26 (t, 1H), 6.83 - 6.86 (m, 2H), 7.19 (s, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.45 - 7.48 (m, 1H), 7.52 (s, 1H), 8.07 (d, 1H), 8.48 (d, 1H), 8.65 (s, 1H); m/z 483 (M+H)+
【0257】
3−[[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ−ベンゾイル]アミノ]ピラゾール−1−カルボン酸tert−ブチル
【0258】
【化40】

【0259】
1−クロロ−N,N,2−トリメチル−プロパ−1−エン−1−アミン(0.11mL、0.80mmol)を、3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ安息香酸(0.22g、0.53mmol)のDCM(5mL)溶液に加え、1時間撹拌した。3−アミノピラゾール−1−カルボン酸tert−ブチル(CAS番号863504−94−1)(147mg、0.80mmol)、次にピリジン(0.09mL、1.07mmol)を加え、反応物をさらに45分撹拌した後、真空下で減量し、酢酸エチル(50mL)及び水(50mL)間に分配した。水層をさらに酢酸エチル(50mL)で抽出し、合わせた有機層を水(50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空下で減量した。粗残渣を、イソヘキサン中20〜50%の酢酸エチルで溶出するシリカでのクロマトグラフィーを行うと目的化合物を得た(0.15g)。1H NMR δ(CDCl3): 1.38 (d, 3H), 1.60 (s, 9H), 3.16 (s, 3H), 3.19 (s, 3H), 3.93 - 4.04 (m, 2H), 4.60 - 4.64 (m, 1H), 6.26 (t, 1H), 6.95 (t, 1H), 7.09 (d, 1H), 7.27 - 7.28 (m, 1H), 7.34 (t, 1H), 8.01 (d, 1H), 8.37 (d, 1H), 8.53 (d, 1H), 8.97 (s, 1H); m/z
577 (M+H)+
【0260】
実施例4の製造で使用した3−[[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ−ベンゾイル]アミノ]ピラゾール−1−カルボン酸tert−ブチルを、3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ安息香酸から類似の様式で製造した。
【0261】
【表3】

【0262】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ安息香酸
【0263】
【化41】

【0264】
水酸化リチウム一水和物(45mg、1.06mol)の水溶液(5mL)を、3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ安息香酸メチル(0.3g、0.71mmol)のTHF(10mL)溶液に加え、室温で20時間撹拌した。THFを真空下で除去し、水層を酢酸エチル(50mL)で洗浄して不純物を除去した。水層を酸性化し、酢酸エチル(2×50mL)に抽出し、次ぎに合わせた有機層を食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を真空下で除去すると、目的化合物を得た(0.22g)。1H NMR δ(CDCl3): 1.39 (d, 3H), 3.17 (s, 3H), 3.19 (s, 3H), 3.93 - 4.05 (m, 2H), 4.60 - 4.69 (m, 1H), 6.26 (t, 1H), 6.99 (t, 1H), 7.50 - 7.55 (m, 2H), 8.38 (d, 1H), 8.55 (d, 1H), 10.17 (s, 1H); m/z 412 (M+H)+
【0265】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イル]オキシ安息香酸メチル
【0266】
【化42】

【0267】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ安息香酸メチル(0.25g、0.91mmol)、5−クロロ−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド(168mg、0.91mmol)及び炭酸カリウム
(250mg、1.81mmol)のアセトニトリル(5mL)混合液を、マイクロ波反応器中、140℃で5時間撹拌した。混合物を真空下で減量し、酢酸エチル(50mL)を加えた。混合物を水(50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、真空下で減量した。残渣をイソヘキサン中20〜70%の酢酸エチルで溶出するシリカでのクロマトグラフィーを行うと目的化合物を得た(0.3g)。
1H NMR δ(CDCl3): 1.38 (d, 3H), 3.15 (s, 3H), 3.18 (s, 3H), 3.91 (s, 3H), 3.93 -
4.04 (m, 2H), 4.61 - 4.69 (m, 1H), 6.26 (t, 1H), 6.96 (t, 1H), 7.44 - 7.45 (m, 1H), 7.50 - 7.51 (m, 1H), 8.36 (d, 1H), 8.53 (d, 1H); m/z426 (M+H)+
【0268】
5−クロロ−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドの製造は前述した。
【0269】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ安息香酸メチル
【0270】
【化43】

【0271】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−フェニルメトキシ安息香酸メチル(0.48g、1.1mmol)をエタノール(10mL)及びTHF(10mL)に溶解し、フラスコを脱気してアルゴンでパージした(3回)。10%パラジウム炭素(140mg)を加え、フラスコをさらに脱気し、最後に水素ガスを充填した。反応混合物を、完了まで室温で20時間撹拌した。反応混合物を脱気してアルゴンでパージし(3回)、次ぎに触媒はセライト(登録商標)を通した濾過により除去した。濾液を真空下で濃縮すると目的化合物を得た(1.05g)。1H NMR δ(CDCl3): 1.35 (d, 3H), 3.90 (s, 3H), 3.90 - 4.02 (m, 2H), 4.57 - 4.64 (m, 1H), 5.20 (s, 1H), 6.26 (t, 1H), 6.63 (t, 1H), 7.14 -7.15 (m, 1H), 7.17 - 7.18 (m, 1H); m/z 275
(M-H)-
【0272】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−フェニルメトキシ安息香酸メチルの製造は、前述した。
【0273】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ安息香酸の製造は、以下に記述されている。
【0274】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ安息香酸
【0275】
【化44】

【0276】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ安息香酸メチル(233mg、0.84mmol)、5−ブロモ−2−メチルスルホニルピリジン(CAS番号98626−95−0)(200mg、0.84mmol)、炭酸セシウム(549mg、1.69mmol)及びブロモトリス(トリフェニルホスフィン)銅(I)(157mg、0.17mmol)のDMA(5mL)混合物を、マイクロ波反応器中、160℃で6時間撹拌した。酢酸エチル(50mL)及び水を加え、水層を酸性化し、酢酸エチルで抽出した(2×50mL)。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空下で減量すると目的化合物を得た(0.16g)。1H NMR δ(d6-DMSO): 1.28 (d, 3H), 3.27 (s, 3H), 3.95 - 4.04 (m, 2H), 4.78 - 4.85 (m,
1H), 6.71 (t, 1H), 7.14 - 7.16 (m, 1H), 7.22 - 7.23 (m, 1H), 7.37 - 7.40 (m, 1H), 7.66 - 7.70 (m, 1H), 8.06 (d, 1H), 8.61 (d, 1H), 12.85 (s, 1H); m/z 418 (M+H)+
【0277】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ安息香酸メチルの製造は前述した。
【0278】
実施例5:5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(1−メチルピラゾール−3−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド
【0279】
【化45】

【0280】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ−N−(1−メチルピラゾール−3−イル)ベンズアミド(0.1g、0.29mmol)、5−クロロ−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド(66mg、0.35mmol)及び炭酸カリウム(81mg、0.59mmol)のアセトニトリル(5mL)混合物を、マイクロ波反応器中、160℃で6時間撹拌した。生じた混合物を真空下で減量し、酢酸エチル(50mL)を加えた。有機層を水(50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下で減量した。残渣をイソヘキサン中10〜100%の酢酸エチルで溶出するシリカでのクロマトグラフィーを行うと、目的化合物を得た(52mg)。1H NMR δ(CDCl3): 1.30 (d, 3H), 3.08 (s, 3H), 3.11 (s, 3H), 3.69 (s, 3H), 3.85 - 3.97 (m, 2H), 4.56 (六重線, 1H), 6.18 (t, 1H),
6.73 (d, 1H), 6.85 (t, 1H), 7.19 - 7.21 (m, 2H), 7.27 - 7.29 (m, 1H), 8.29 (d,
1H), 8.45 (d, 1H), 8.76 (s, 1H); m/z 491 (M+H)+
【0281】
5−クロロ−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドの合成は、前に記述されている。
【0282】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ−N−(1−メチルピラゾール−3−イル)ベンズアミド
【0283】
【化46】

【0284】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−N−(1−メチルピラゾール−3−イル)−5−フェニルメトキシ−ベンズアミド(0.1g、0.23mmol)をエタノール(3mL)及びTHF(3mL)に溶解し、フラスコを脱気してアルゴンをパージし(3回)、10%パラジウム炭素(0.01g)加え、そしてフラスコをさらに脱気して最後に水素ガスをパージした。反応混合物を完了するまで室温で20時間撹拌した。反応混合物を脱気して窒素でパージし(3回)、次ぎに触媒はセライトを通した濾過により除去し、濾液を真空下で濃縮すると目的化合物を得た(70mg)。1H NMR δ(CDCl3): 1.28 (d, 3H), 3.71 (s, 3H), 3.80 - 3.95 (m, 2H), 4.51 (六
重線, 1H), 5.96 - 6.36 (t, 1H), 6.53 (s, 1H), 6.73 (s, 1H), 6.91 (s, 1H), 6.96 (s, 1H), 7.22 (s, 1H), 8.83 (s, 1H); m/z342 (M+H)+
【0285】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−N−(1−メチルピラゾール−3−イル)−5−フェニルメトキシ−ベンズアミド
【0286】
【化47】

【0287】
DIPEA(0.198mL、1.14mmol)を、3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−フェニルメトキシ安息香酸(0.10g、0.28mmol)、1−メチルピラゾール−3−アミン(CAS番号1904−31−0)(39mg、0.4mmol)及びHATU(0.227g、0.6mmol)のDMF(3mL)混合物に加え、室温で20時間撹拌した。酢酸エチル(30mL)を加え、混合物を水(30mL)、食塩水(30mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)して、濾過し、真空下で減量した。残渣を、イソヘキサン中0〜100%の酢酸エチルの濃度勾配で溶出するシリカでのクロマトグラフィーを行うと目的化合物を得た(0.1g)。1H NMR δ(CDCl3): 1.36 (d, 3H), 3.68 (s, 3H), 3.82-3.95 (m, 2H), 4.48 (六重線, 1H), 5.00 (s, 2H), 6.19 (t, 1H), 6.63 (s, 1H), 6.73 (s, 1H), 6.93 (s, 1H), 7.03 (s, 1H), 7.28 (m, 1H), 7.35 (m, 5H), 8.59 (s, 1H); m/z 432 (M+H)+
【0288】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−フェニルメトキシ安息香酸の合成は、前述した。
【0289】
実施例6:3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−N−(1−メチルピラゾール−3−イル)−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ−ベンズアミド
【0290】
【化48】

【0291】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ−N−(1−メチルピラゾール−3−イル)ベンズアミド(100mg、0.29mmol)、5−ブロモ−2−メチルスルホニル−ピリジン(CAS番号98626−95−0)(77mg、0.32mmol)、炭酸セシウム(191 mg、0.59mm
ol)及びブロモトリス(トリフェニルホスフィン)銅(I)(55mg、0.06mmol)のDMA(5mL)混合物を、マイクロ波反応器中、160℃で6時間撹拌した。酢酸エチル(50mL)加え、水(50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下で減量した。残渣を、イソヘキサン中10〜80%の酢酸エチルで溶出するシリカでのクロマトグラフィーを行うと目的化合物を得た(31mg)。1H NMR δ(CDCl3): 1.30 (d, 3H), 3.16 (s, 3H), 3.72 (s, 3H), 3.85 -3.95 (m, 2H), 4.53 - 4.59 (m, 1H), 6.18 (t, 1H), 6.71 (d, 1H), 6.75 (t, 1H), 7.09 (t, 1H), 7.22 (d, 1H), 7.25 (t, 1H), 7.37 - 7.39 (m, 1H), 7.99 (d, 1H), 8.39 (d, 1H), 8.62 (s, 1H); m/z 495 (M-H)-
【0292】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−ヒドロキシ−N−(1−メチルピラゾール−3−イル)ベンズアミドの合成は、前述した。
【0293】
生物学的試験:
式(I)の化合物の生物学的効果は、下記の方法で試験することができる。
【0294】
(1)酵素活性
組換えヒト膵臓GLKの酵素活性は、GLK 、ATP及びグルコースをインキュベー
トすることにより測定することができる。生成物形成の速度は、G−6−Pデヒドロゲナーゼ、NADP/NADPHシステムに対するアッセイとカップリングさせ、340nmの光学密度の時間による直線的増加を測定することにより決定することができる;Brocklehurst et al (Diabetes 2004, 53, 535-541)。化合物によるGLKの活性化は、Brocklehurst et al (Diabetes 2004, 53, 535-541)に記載されているように、GLKRPの存在下又は不在下でこのアッセイを使用して評価し得る。
【0295】
本発明の化合物は、Brocklehurst et alにより記述されているように、GLKRPの不在下で評価され、以下に示したEC50値でグルコキナーゼを活性化した。
【0296】
【表4】

【0297】
組換えGLK及びGLKRPPの産生:
ヒトGLK及びGLKRP cDNAは、Sambrook J, Fritsch EF & Maniatis T, 1989に記載されている確立された技術を使用し、それぞれヒト膵臓及び肝臓のmRNAから
PCRにより得た。PCRプライマーは、Tanizawa et al., Proc Natl Acad Sci 1991 Aug 15;88(16):7294-7 1991 及びWarner, J.P.et al., Mamm Genome. 1995 Aug; 6(8):532-61995 に示されているGLK及びGLKRP cDNA配列に従って設計した。
【0298】
Bluescript IIベクターへのクローニング
GLK及びGLKRP cDNAはpBluescript IIを使用して大腸菌にクローン化した。
【0299】
形質転換
形質転換はエレクトポレーションにより一般に実施した。株DH5a又はBL21(DE3)の400mL培養物を、L−ブロス中で0.5のOD600まで増殖させ、2,000gでの遠心分離により採取した。細胞を氷冷脱イオン水で2回洗浄し、1mLの10%グリセロールに再懸濁し、分割して−70℃で貯蔵した。ライゲーション混合物はMillipore V シリーズ(商標)膜(0.0025mm細孔径)を使用して脱塩した。40mL
の細胞を1mLのライゲーション混合物又はプラスミドDNAと、0.2cmのエレクトポレーションキュベット中、10分間氷上でインキュベートし、Gene Pulser(商標)装
置(BioRad)を使用し、0.5kVcm−1、250mFのパルスをかけた。形質転換体は、10mg/mLのテトラサイクリン又は100mg/mLのアンピシリンを補充したL−寒天上で選別した。
【0300】
発現
GLKは、N末端メチオニンにすぐ隣接した6−Hisタグを含有する組換えタンパクを産生している大腸菌BL21細胞中のベクターpTB375NBSEから発現された。または、別の適したベクターはpET21(+)DNA(Novagen、カタログ番号697703
)である。6−Hisタグは、Qiagen(カタログ番号30250)から購入したニッケル−ニ
トリロ三酢酸アガロース充填カラムでの組換えタンパクの精製を可能にするために使用した。
【0301】
GLKRPは、C末端FLAGタグを含有する組換えタンパクを産生している大腸菌BL21細胞中のベクターpFLAG CTC(IBI Kodak)から発現された。タンパク質
は最初にDEAEセファロースイオン交換により精製され、続いてSigma-Aldrich(カタログ番号A1205)から購入したM2抗FLAG免疫アフィニティーカラムでの最終精製のため、FLAGタグを利用した。
【0302】
(2)経口グルコース負荷試験(OGTT)
経口グルコース負荷試験(G.J Coope et al, British Journal of Pharmacology, (2006) 149, 328-335)は、実験に先だって少なくとも2週間、高脂肪食(45%キロカロリー
脂肪)を給餌した覚醒Zucker肥満fa/faラット(12〜13週齢又はより高齢)で実施することができる。該動物は実験に使用する前に2時間絶食させた。2g/kg体重の用量でグルコース溶液を経口投与する120分前に、試験化合物又はベヒクルを経口的に与えた。血中グルコースレベルは、グルコースの投与前及び後の異なった時間点(60分の時間経過)での尾採血サンプルから、Accucheck グルコメーター(glucometer)を使用して測定した。血中グルコースレベルの時間曲線を作成し、120分についての曲線下面積(AUC)を計算した(グルコース投与時を時間ゼロとした)。AUCを使用し、ベヒクル対照群をゼロパーセント減少として、グルコース推移(excursion)のパーセ
ント減少を決定した。
【0303】
参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

{式中:
は、フルオロメトキシメチル、ジフルオロメトキシメチル及びトリフルオロメトキシメチルから選択され;
は、環Aの炭素原子上の置換基であり、−C(O)NR、−SONR、−S(O)及びHET−2から選択され;
HET−1は、該環が結合されているアミド窒素に関して2位に窒素原子を含有し、及びO、N及びSから独立して選択される1又は2個のさらなる環ヘテロ原子を含有していてもよい5又は6員の、C−連結ヘテロアリール環であり、ここで、該環は、利用可能な炭素原子上が、又はもしそれにより四級化されないならば環窒素原子上が、Rから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよい;
HET−2は、O、N及びSから独立して選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する4、5又は6員の、C−連結又はN−連結ヘテロシクリル環であり、ここで、−CH−基は−C(O)−により置き換えられていてもよく、及び、ヘテロ環中の硫黄原子はS(O)又はS(O)基へ酸化されていてもよく、該環は、Rから独立して選択される1又は2個の置換基により利用可能な炭素又は窒素原子上が置換されていてもよい;
は、環Aの炭素原子上の置換基であり、そしてハロから選択され;
は、水素、(1〜4C)アルキル[HET−2、−OR、−SO、(3〜6C)シクロアルキル(Rから選択される1つの基で置換されていてもよい)及び−C(O)NRから独立して選択される1又は2個の置換基により置換されていてもよい]、(3〜6C)シクロアルキル(Rから選択される1つの基で置換されていてもよい)及びHET−2から選択され;
は、水素又は(1〜4C)アルキルであり;
は、(1〜4C)アルキル、ヒドロキシ(1〜4C)アルキル、(1〜4C)アルコキシ(1〜4C)アルキル、(1〜4C)アルキルS(O)(1〜4C)アルキル、アミノ(1〜4C)アルキル、(1〜4C)アルキルアミノ(1〜4C)アルキル、ジ(1〜4C)アルキルアミノ(1〜4C)アルキル及び/又は(炭素上の置換基としてのRについて)ハロから独立して選択され;
は、(1〜4C)アルキル、−C(O)(1〜4C)アルキル、−C(O)NR、(1〜4C)アルコキシ(1〜4C)アルキル、ヒドロキシ(1〜4C)アルキル、−S(O)及び/又は(炭素上の置換基としてのRについて)ヒドロキシ及び(1〜4C)アルコキシから選択され;
環Aは、O、S及びNから独立して選択される1、2又は3個の環ヘテロ原子を含有する5又は6員のヘテロアリール環であり、該環は、Rから選択される置換基で利用可能な窒素原子(もしそれにより四級化されないならば)上がさらに置換されていてもよい;
は、(1〜4C)アルキル、(3〜6C)シクロアルキル、ヒドロキシ(1〜4C)アルキル、(1〜4C)アルコキシ(1〜4C)アルキル 、−C(O)(1〜4C)
アルキル 、ベンジル及び(1〜4C)アルキルスルホニルから選択され;
pは(それぞれの存在で独立して)0、1、又は2であり;
nは、0、1、又は2である}
の化合物又はその塩。
【請求項2】
が、フルオロメトキシメチル又はジフルオロメトキシメチルである、請求項1に記載の式(I)の化合物又はその塩。
【請求項3】
が、(S)立体配置を有する、請求項1又は請求項2に記載の式(I)の化合物又はその塩。
【請求項4】
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−N−(5−メチルピラジン−2−イル)−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ−ベンズアミド;
5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド;
5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−(1H−ピラゾール−3−イルカルバモイル)フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド;
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ−N−(1H−ピラゾール−3−イル)ベンズアミド;
5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(1−メチルピラゾール−3−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミド;
3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−N−(1−メチルピラゾール−3−イル)−5−(6−メチルスルホニルピリジン−3−イル)オキシ−ベンズアミド、
のいずれか一つである、請求項1に請求の式(I)の化合物又はその塩。
【請求項5】
薬学的に許容できる希釈剤又は担体と一緒に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩を含んでなる、医薬組成物。
【請求項6】
医薬として使用するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
【請求項7】
GLKを介して仲介される疾患の治療のための医薬の製造における、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項8】
2型糖尿病の治療のための医薬の製造における、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項9】
GLK仲介疾患を治療する方法であって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容できる塩の有効量を、こうした治療を必要とする哺乳動物に投与することによる、前記方法。
【請求項10】
GLK仲介疾患が2型糖尿病である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
GLKを介して仲介される疾患の治療に医薬として使用するための、請求項1〜4のい
ずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
【請求項12】
GLKを介して仲介される該疾患が、2型糖尿病である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
方法(a)〜(e)(式中、特に指定のない限り、可変基は請求項1の式(I)の化合物で定義した通りである):
(a)式(III)の酸又はその活性化誘導体と式(IV)の化合物との反応
【化2】

[式中、Rは式(I)について定義した通りであるか、又はその前駆体である];又は(b)式(V)の化合物と式(VI)の化合物の反応
【化3】

[式中、Xは脱離基であり及びXはヒドロキシル基であるか、又は、Xはヒドロキシル基であり及びXは脱離基であり、及び、式中Rは、式(I)の化合物について定義した通りであるか又はそれらの前駆体である];
方法(b)は、エステル中間体、式(VII)(式中、Pは本明細書に記載した保護基である)を使用し、続いて、別の所に記載した及び当業者には周知のエステル加水分解及びアミド生成によっても達成することができる;
【化4】

又は
(c)式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物の反応
【化5】

[式中、Xは脱離基又は有機金属試薬であり及びXはヒドロキシル基であるか、又は、Xはヒドロキシル基であり及びXは脱離基又は有機金属試薬であり、及び、式中、Rは式(I)について定義された通りであるか又はそれらの前駆体である];
方法(c)は、中間体エステル、式(X)を使用し、続いて、別の所に記載した及び当業者には周知のエステル加水分解及びアミド生成によっても達成することができる;
【化6】

又は
(d)式(XI)の化合物と式(XII)の化合物の反応、
【化7】

[式中、Xは脱離基であり、及び、式中、Rは式(I)について定義された通りであるか又はそれらの前駆体である];又は
(e)式(XIII)の化合物
【化8】

[式中、R2aは、カルボン酸、エステル又は無水物(R=−CONRについて)、又はスルホン酸等価物(Rが−SONRである場合について)のような−CONR又は−SOであるRへの前駆体である]と式−NRのアミンの反応;
及び、その後、必要に応じ、
i)式(I)の化合物を別の式(I)の化合物へ変換すること、
ii)Rの前駆体をRへ変換すること、
iii)いずれの保護基も除去すること、及び/又は
iv)それらの塩を形成すること、
を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の製造のための方法。
【請求項14】
結晶性形態の5−[3−[(2S)−1−(ジフルオロメトキシ)プロパン−2−イル]オキシ−5−[(5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル]フェノキシ]−N,N−ジメチル−ピラジン−2−カルボキサミドである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
CuKa照射を使用して測定した場合、約2シータ=20.3°及び15.6°に少なくとも二つの特異的ピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項14に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−46724(P2011−46724A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228109(P2010−228109)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【分割の表示】特願2009−533939(P2009−533939)の分割
【原出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】