説明

グルコース代謝障害を処置するための血糖降下薬の使用

【課題】本発明は、顕性糖尿病、特にII型糖尿病への進行を予防または遅延させ、細小血管系合併症(例えば、網膜症、神経障害、腎障害)を予防または減少させるため、過剰な心臓血管の罹病(例えば、心筋梗塞、動脈性閉塞性疾患、アテローム性動脈硬化症および脳卒中)および心臓血管系の死亡率を予防または低下させ、癌の予防および癌死亡を減少させる薬剤を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、本発明は血糖降下薬またはその医薬上許容し得る塩の使用に関する。さらに、本発明は、IGM、ITGまたはIFGに関連した疾患および症状を処置するための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機化合物の使用
グルコース代謝障害(IGM)は正常範囲を超えているが、II型糖尿病の診断基準に見合うほど高くない血中グルコースレベルによって定義される。
【背景技術】
【0002】
IGMの発生率は国によって異なるが、通常、顕性糖尿病よりも2〜3倍の高い頻度で発症する。最近まで、IGMをもつ個体は、前糖尿病患者であると考えられていたが、いくつかの疫学研究のデータから、IGMをもつ患者は、糖尿病のそのリスクおよび心臓血管の罹病および死亡率のリスクに関してヘテロであることが立証された。そのデータから、IGM、特にITGを持つ患者は、常に糖尿病を発生させるわけでもなく、患者が糖尿病患者であってもそうでなくても、患者は心臓血管の罹病および死亡率についての高いリスクがあることが示唆される。
【0003】
IGMをもつ患者の中で、約58%がグルコース耐性障害(ITG)を示し、残りの29%が境界型糖尿病(IFG)であり、13%が両方の異常疾患(IFG/ITG)を示す。ITGは、摂食後(食後)の高血糖症を特徴とし、一方IFGは絶食の血糖値を基にADA(下記の表を参照)によって定義される。
【0004】
血糖調節正常群(NGT)、IGMおよびII型糖尿病のついての分類は、1997年にADAによって以下のように定義された:
【表1】

【0005】
*) これらの基準は、経口グルコース糖負荷試験(OGTT)のためのWHO推奨症状を用いて定義される。即ち、水に溶解させた無水グルコース75g相当量を含有するグルコース負荷物を経口投与し、血液試料を2時間後に採取し、食後のグルコースを分析する。別のOGTT試験条件により、ITGおよびIFG分類の関連するリスクが確認された。その分類には、1)75gの代わりに50gグルコースを使用する、2)検体としての少量の(非絶食の)グルコースを使用する、および3)グルコース負荷後の2時間よりも1時間での摂食後のグルコースを分析することがふくまれる。これらの全条件下で、上記したその血糖分類は下記記載の高いリスクと関連しているが、試験結果おける変動を最小にするために標準化されたOGTTが好ましい。
【0006】
IGMをもつ個体、特にサブカテゴリーIFGを持つ個体は、正常血糖の個体よりも糖尿病への進行が非常に高い比率であることが知られており、特に糖尿病を発生している場合に、高い心臓血管系のリスクが存在すると知られている。興味深いことに、IGMをもつ患者、より具体的にはITGサブカテゴリーの個体は、糖尿病を発症していない場合であっても、癌、心臓血管疾患の高い発症率および高い死亡率を示す。そのため、IGMおよびより特別にはIGFサブグループは、特に患者が顕性糖尿病患者となった後には高い心臓血管系のリスクが存在するようである。一方で、非糖尿病患者および糖尿病患者において、ITGは、癌、心臓血管の罹病および死亡率に対する高いリスクと関連している。ITGと関連して、リスクの増加は、年齢、性別、高血圧症、低いHDLおよび高いLDLコレステロールレベルを含む既知の全ての他の心臓血管系のリスク要因に独立的である[Lancet 1999; 354: 617-621]。
【0007】
IGM、より具体的にはITGが糖尿病患者に特徴的な異常なFPGの非存在下で細小血管およびマクロ血管合併病(macroangioaptthic complications)と関連する一つのメカニズムは、摂食後の高血糖症である。非糖尿病患者であっても、遊離性摂食後の高血糖症は血清中に存在する通常の遊離ラジカル捕捉物(TRAP)の減少が示された。TRAPのレベルが減少することは、実験条件下で遊離ラジカル形成の増加および酸化ストレスの増加に関連していることが示されている。これらの遊離ラジカルは、アテローム性動脈硬化症、心臓血管の罹病および死亡率および癌と関連する病的な細小血管およびマクロ血管変化に関係している[Ceriello, A, Diabetic Medicine 15: 188-193, 1998]。摂食後の高血糖症において、TRAP様の天然抗酸化物質の低下は、糖尿病を発症していないIGM、特にITGをもつ患者における心臓血管系のリスクの増加を説明することができる。IGTが非糖尿病患者に加えて独立したリスク要因であるという事実は、心臓血管の罹病および死亡率および癌の予防および処置のために糖尿病とは別の新規の指標として、その事実を正当化するものである。
【0008】
IGMは、下記の可能性のある疾患または症状と関連する:1)顕性II型糖尿病への進行(第9版の疾患国際分類のコード250.2= ICD-9コード250.2) Diabetes Research and Clinical Practice 1998; 40: S1-S2]; 2)糖尿病の細小血管系合併症の増加、特に網膜症および糖尿病に関する他の眼科合併症(ICD-9コード250.5)、腎障害(ICD-9コード250.4)、神経障害(ICD-9コード250.6) [Diabetes Care 2000; 23: 1113-1118]および末梢血管障害または壊疽(ICD-9コード250.7); 3)心臓血管の罹病の増加(ICD-9 コード 410-414)、特に、心筋梗塞(ICD-9コード410)、冠動脈心臓疾患またはアテローム性動脈硬化症(ICD-9コード414)および他の急性および亜急性の冠動脈虚血形態(ICD-9コード411);4) 脳卒中のような過剰な脳血管疾患(ICD-9コード430-438)[Circulation 1998; 98: 2513-2519]);5) 心臓血管系の死亡率の増加(ICD-9コード390-459) [Lancet 1999; 354: 617-621]および突然死(ICD-9コード798.1); 6)悪性腫瘍の高い発生率および死亡率(ICD-9コード140-208) [Am J Epidemiol. 1990; 131: 254-262, Diabetologia 1999; 42: 1050-1054]。IGMと関連する他の代謝障害は、異常脂質血症(ICD-9コード272)、高尿酸血症(ICD-9コード790.6)、高血圧症(ICD-9コード401-404)および狭心症(ICD-9コード413.9)を含む[Ann Int Med 1998; 128: 524-533]。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
明らかに、IGM、特にITGと関連する広いスペクトルの疾患および症状のは広い医療的に必要な分野を示す。同じ疾患および症状の多くは、IGMおよび糖尿病の両方に関連しているが、IGM、特にITGを持つ非糖尿病患者群が予防および処置に関する指標であるべきだということが認識できるようになったのはつい最近である。従って、IGM、特にITGおよび/またはIFGをもつ患者ではインスリン分泌の初期段階の修復および/または食事性高血糖の低下は、顕性糖尿病への進行を予防または遅延させ、また顕性糖尿病の発生を予防することによって糖尿病に関連のある細小血管系合併症を予防または減少させる助けとなる。さらに、IGM、特にITGおよび/またはIFGをもつ個体において、初期段階のインスリン分泌の修復および/または摂食後の高血糖の低下は、過度の心臓血管の罹病および死亡率を予防または低下させて癌を予防するか、もしくは個体におけるその死亡率を低下させるに違いない。
【0010】
即ち、正常血糖者およびII型糖尿病の間の段階、特に血糖段階は大きな関心事となり、II型糖尿病への進行、また多様な心臓血管および細小血管の症状および疾患に加えてIGM、特にIFGおよび/またはITGと関連した癌の進行を遅延し、阻害する方法に対する強い需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
予期されなかったが、血糖降下薬、例えばインスリン分泌エンハンサーは、顕性糖尿病への進行を予防または遅延させ、糖尿病の細小血管合併症を減少させ、血管、特に心臓血管系の死亡率および罹病、特に心臓血管の罹病および死亡率を低下させ、そしてITGおよび/またはIFGを持つ患者において癌に関連のある死亡率の増加を減少させるのに使用し得ることがわかった。
【発明の効果】
【0012】
驚くべきことに、血糖降下薬および血糖降下薬の組合せは、IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者において顕性II型糖尿病への進行を予防または遅延させ、また増加した細小血管系合併症、増加した心臓血管の罹病、過度の脳血管疾患、増加した心臓血管系の死亡率および突然死、悪性腫瘍の高い発生率および死亡率およびIGMに関連した他の代謝障害などからなる群から選択された症状の発症を予防、減少または遅延させるために使用することが可能である。
【0013】
さらに、血糖降下薬および血糖降下薬の組合せは、IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者において、例えば、網膜症、他の眼の糖尿病合併症、腎障害、神経障害、末梢血管障害、末梢血管障害、壊疽、心筋梗塞、冠動脈心臓疾患、アテローム性動脈硬化症、別の急性および亜急性の形態の冠動脈虚血、脳卒中、異常脂質血症、高尿酸血症、高血圧症、狭心症、細小血管障害、切断手術で生じる変化、癌、癌死亡、肥満、尿酸血症、インスリン耐性、動脈性閉塞性疾患およびアテローム性動脈硬化症、からなる群から選択された症状の発症を予防、減少または遅延させるために使用され得る。
【0014】
本発明によれば、血糖降下薬は、IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者において、顕性糖尿病への進行を予防または遅延させ、糖尿病の細小血管合併症を低下させ、血管、特に心臓血管系の死亡率および罹病率を低下させるために、そしてITGをもつ個体における癌に関連する死亡率の増加を低下させるために使用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
血糖降下薬は、例えばインスリン分泌エンハンサーまたはインスリン感受性エンハンサー(インスリン耐性デブロッカー)またはインスリン、適当であれば各ケースにおいてその医薬上許容し得る塩を含む。
【0016】
インスリン分泌エンハンサーは、膵臓β細胞由来のインスリンの分泌を増進する特性を示す活性成分である。
【0017】
インスリン分泌エンハンサー(また、いわゆるインスリン分泌型およびインスリン指向薬物) は、例えば、短時間作用するまたは長時間作用する血糖降下薬である。
【0018】
短時間作用の血糖降下薬は、例えばフェニル酢酸誘導体、さらにグリキドン(グリキドン)である。
【0019】
対応するフェニルアラニン誘導体は、例えばナテグリニド [N-(トランス-4-イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)-D-フェニルアラニン] (参照:EP 196222およびEP 526171)の式(I);
【化1】

およびレパグリニド(repaglinide)[(S)-2-エトキシ-4-{2-[[3-メチル-1-[2-(1-ピペリジニル)フェニル]ブチル]アミノ]-2-オキソエチル}安息香酸]、および遊離の形態で、もしくは適当であれば各ケースにおいてその医薬上許容し得る塩である。
【0020】
ナテグリニド様なる用語は、例えば、EP 0526171 B1またはUS 5,488,510の各々に公開されているような結晶修飾を含み、その主題、特に結晶修飾の同定、製造および特性分析に関しては、出典明示により本明細書の一部とし、特に請求項8から10該U.S.特許(H-形状の結晶修飾に関して)に加えて、特にB-型結晶修飾の同定、製造および特性分析に関してEP 196222 B1におけるB−型結晶修飾を参照する。好ましくは、本発明において、B-またはH-型、より具体的にはH-型が使用される。
【0021】
長時間作用する血糖降下薬は、例えばビグアニド誘導体またはスルホニル尿素誘導体である。
【0022】
適当なビグアニドとは、例えばメトホルミン(metformin)または、適当な場合、その医薬上許容し得る塩、特にその塩酸塩である。
【0023】
スルホニル尿素誘導体(SU)の例は、特に細胞膜中のSU受容体を介するインスリン分泌のシグナルを伝達することによって膵臓β細胞からのインスリンの分泌を促進する物質であり、以下を含むがそれに限定しない:トルブタミド; クロルプロパミド; トラザミド; アセトヘキサミド; 4-クロロ-N-[(1-ピロリジニルアミノ)カルボニル]-ベンゼンスルホンアミド(グリコ-ピラミド); グリベンクラミド(glibenclamide)(グリブリド); グリクラジド(gliclazide); 1-ブチル-3-メタニリル尿素; カルブタミド(carbutamide); グリボヌリド(glibonuride); グリピジド; グリキドン; グリソキシピド(glisoxepid); グリブチアゾール(glybuthiazole); グリブゾール(glibuzole); グリヘキサミド(glyhexamide); グリミジン(glymidine); グリピンアミド(glypinamide); フェンブタミド(phenbutamide);およびトリルシクラミド(tolylcyclamide)または、もし適当であれば各ケースにおいてその医薬上許容し得る塩。
【0024】
さらに、インスリン分泌エンハンサーは、SUの新世代の代表的なもの、例えば、カルシウム(2S)-2-ベンジル-3-(シス-ヘキサヒドロ-2-イソインドリニルカルボニル)-プロピオネート二水和物(KAD-1229)およびグリメピリド(glimepiride)(Hoe 490)および遊離または医薬上許容し得る塩の形態を包含する。
【0025】
インスリン分泌エンハンサーは同様に、DPP-IV阻害剤、GLP1およびGLP1アゴニストを包含する。
【0026】
DPP-IVは、グルカゴン様タンパク質-1(GLP-1)を包含するN-末端Xaa-ProまたはXaaAlaジペプチド残基を開裂するセリンプロテアーゼおよびカタラーゼである。対応するDPP-IV阻害剤は、GLP-1の還流濃度を増加し、それ故インスリン分泌を増加させる。
【0027】
DPP-IV阻害剤の代表的なものは、WO98/19998およびWO00/34241に記載されている。好ましいものは、1-{2-[(5-シアノピリジン-2-イル)アミノ]エチルアミノ}アセチル-2(S)-シアノ-ピロリジンジヒドロクロリド(参照:WO98/19998に記載の実施例3)および(S)1-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]-アセチル-2-シアノ-ピロリジン(参照; W00/34241に記載の実施例1)。
【0028】
GLP-1およびGLP-1アゴニスト様のものはインスリン分泌を強める。
【0029】
好ましいインスリン分泌エンハンサーはレパグリニド(repaglinide)およびメトホルミンであり、最も好ましいのはナテグリニドである。
【0030】
インスリン感受性エンハンサーは、インスリン受容体機能障害を修復し、インスリン耐性を低下させ、結果としてインスリン感受性を増強させる。
【0031】
適当なインスリン感受性エンハンサーは、例えば適当な血糖降下性のチアゾリジンジオン誘導体(グリタゾン:glitazone)である。
【0032】
適当なグリタゾンは、例えば(S)-((3,4-ジヒドロ-2-(フェニル-メチル)-2H-1-ベンゾピラン-6-イル)メチル-チアゾリジン-2,4-ジオン[エングリタゾン(englitazone)]、5-{[4-(3-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-1-オキソプロピル)-フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン[ダルグリタゾン(darglitazone)]、5-{[4-(1-メチル-シクロヘキシル)メトキシ]-フェニル}メチル)-チアゾリジン-2,4-ジオン[シグリタゾン(ciglitazone)]、5-{[4-(2-(1-インドリル)エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (DRF2189)、5-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-エトキシ]}ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (BM-13.1246)、5-(2-ナフチルスルホニル)-チアゾリジン-2,4-ジオン(AY-31637)、ビス{4-[(2,4-ジオキソ-5-チアゾリジニル)メチル]フェニル}メタン(YM268)、5-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-2-ヒドロキシエトキシ]ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(AD-5075)、5-[4-(1-フェニル-1-シクロプロパンカルボニルアミノ)-ベンジル]-チアゾリジン-2,4-ジオン(DN-108)、5-{[4-(2-(2,3-ジヒドロインドール-1-イル)エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン、5-[3-(4-クロロ-フェニル)]-2-プロピル]-5-フェニルスルホニル)チアゾリジン-2,4-ジオン、5-[3-(4-クロロフェニル)]-2-プロピル]-5-(4-フルオロフェニル-スルホニル)チアゾリジン-2,4-ジオン、5-{[4-(2-(メチル-2-ピリジニル-アミノ)-エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン[ロシグリタゾン(rosiglitazone)]、5-{[4-(2-(5-エチル-2-ピリジル)エトキシ)フェニル]-メチル}チアゾリジン-2,4-ジオン[ピオグリタゾン(piglitazone)]、5-{[4-((3,4-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチル2H-1-ベンゾピラン-2-イル)メトキシ)-フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン[トログリタゾン(troglitazone)]、5-[6-(2-フルオロ-ベンジルオキシ)ナフタレン-2-イルメチル]-チアゾリジン-2,4-ジオン(MCC555)、5-{[2-(2-ナフチル)-ベンゾオキサゾール-5-イル]-メチル}チアゾリジン-2,4-ジオン(T-174)および5-(2,4-ジオキソチアゾリジン-5-イルメチル)-2-メトキシ-N-(4-トリフルオロメチル-ベンジル)ベンズアミド(KRP297)。好ましくは、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンおよびトログリタゾンである。
【0033】
一般名または商品名によって識別される活性物質の構造は、標準的概論の現版の“The Merck Index”またはデータベース、例えばPatents International (e.g. IMS World Publications)から引用し得る。その対応する内容は、出典明示により本明細書の一部とする。当業者には周知であろうが、活性物質を完全に同定することが可能であり、これらの参照を基にすれば、イン・ビトロおよびイン・ビボでの両方の標準試験モデルで医薬の適用や性質を試験し、製造することが可能である。
【0034】
血糖降下薬、例えばインスリンエンハンサーは初期段階のインスリン分泌を修復させ、IGMをもつ患者の摂食後グルコースレベルを低下させることを確認する好ましい効果が立証され得る。8週間の処置の間、各食事の前に、ナテグリニド30mg、60mgまたは120mgまたはプラセボ投与により、関連した食事性グルコースに対する効果および確認される低血糖症の発生率を評価するために、IGMをもつ患者で、マルチセンター、二重盲検、比較群、無作為化した研究を実施し得る。患者は、75gの経口糖負荷試験(OGTT)後の2時間の血漿グルコース値を基にして選択され、以下の採用基準に一致する患者を含む:
-7.8から11.1 mmol/Lの2時間の血糖症OGTT後、(1つのOGTTは、研究を始める前に1年間行い、2つめは、研究を始める前の2週間以内に行った);
- FPG < 7 mmol/L、
- 患者は、20-32kg/m2のボディーマスインデックス(BMI)を示す、
- 患者は、全研究過程中の食事前に保つ、
- 男性、肥満でない女性、医薬上承認されている出生コントロール法を用いる妊娠の可能性のある女性が含まれる、
- 試験中他の抗糖尿病患者の使用は認められない。
【0035】
例えば、ナテグリニドの対応する用量を、食事回数(朝食、昼食、間食、夕食)によって、1日2(BID)、3(TID)または4(QID)回、大きなグラス一杯の水で投与した。一回目の用量は、最初の食事(標準化した食事、即ち55%の炭水化物、25%の脂肪および20%タンパク質)で与えられる。臨検は、0、2、4および8週で行うように予定が立てられており、患者は少なくとも7時間絶食される。研究評価用の全血液試料は、午前7.00〜10.00の間に採血される。HbA1cは、ベースラインと処置8週間後で測定(絶食(者)のグルコースおよびフルクトサミン)される。血液試料は、薬剤投与後(0時間)、10、20、20(40)、60、120および180分で採血され、そのグルコースおよびインスリンレベルを測定されるべきである。0および8週目の臨検で患者は、約500kcalを含む標準化した食事を終え、インスリンおよびグルコースの測定を行われる。
【0036】
そのような研究において得られた全てのデータの分析からの知見により、2時間の食事性グルコースレベル、HBA1cおよびフルクトサミンレベルが驚くほど、かつ有意に低下すること、初期段階インスリン分泌が修復されること、そしてナテグリニドがII型糖尿病への進行を予防または遅延させ得ることが明らかとなった。比較的長時間の処置および追跡によって、IGMに関連した症状および疾患は予防または減少した。
【0037】
IGM、特にIFGおよびITGをもつ個体におけるこの形の研究は糖尿病に罹っている個体の研究とは異なる。それは、患者は正常なFPGを示し、非糖尿病患者または前糖尿病患者であるためである。
【0038】
驚くべきことに、血糖降下薬および血糖降下薬の組合せは、IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者において顕性II型糖尿病への進行を予防または遅延させ、また増加した細小血管系合併症、増加した心臓血管の罹病、過度の脳血管疾患、増加した心臓血管系の死亡率および突然死、悪性腫瘍の高い発生率および死亡率およびIGMに関連した他の代謝障害などからなる群から選択された症状の発症を予防、減少または遅延させるために使用することが可能である。
【0039】
さらに、血糖降下薬および血糖降下薬の組合せは、IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者において、例えば、網膜症、他の眼の糖尿病合併症、腎障害、神経障害、末梢血管障害、末梢血管障害、壊疽、心筋梗塞、冠動脈心臓疾患、アテローム性動脈硬化症、別の急性および亜急性の形態の冠動脈虚血、脳卒中、異常脂質血症、高尿酸血症、高血圧症、狭心症、細小血管障害、切断手術で生じる変化、癌、癌死亡、肥満、尿酸血症、インスリン耐性、動脈性閉塞性疾患およびアテローム性動脈硬化症、からなる群から選択された症状の発症を予防、減少または遅延させるために使用され得る。
【0040】
本発明によれば、血糖降下薬は、IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者において、顕性糖尿病への進行を予防または遅延させ、糖尿病の細小血管合併症を低下させ、血管、特に心臓血管系の死亡率および罹病率を低下させるために、そしてITGをもつ個体における癌に関連する死亡率の増加を低下させるために使用され得る。
【0041】
従って、本発明は、IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者において、顕性II型糖尿病への進行を予防または遅延させる方法に関する; 増加した細小血管系合併症、増加した心臓血管の罹病、過度の脳血管疾患、増加した心臓血管系の死亡率および突然死、悪性腫瘍の高い発生率および死亡率;およびIGMに関連した他の代謝障害、からなる群から選択された症状の発症を予防、減少または遅延させるために使用される方法に関する。
【0042】
特に、本発明は、IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者において、例えば、網膜症、他の眼の糖尿病合併症、腎障害、神経障害、末梢血管障害、末梢血管障害壊疽、心筋梗塞、冠動脈心臓疾患、アテローム性動脈硬化症、他の急性および亜急性の形態の冠動脈虚血、脳卒中、異常脂質血症、高尿酸血症、高血圧症、狭心症、細小血管障害、切断手術に生じた変化、癌、癌死亡、肥満、尿酸血症、インスリン耐性、動脈性閉塞性疾患およびアテローム性動脈硬化症からなる群から選択された症状の発症を予防、減少または遅延させるために使用される方法に関する。
【0043】
従って、本発明は、顕性糖尿病、特にII型糖尿病(ICD-9コード250.2)の進行を予防または遅延させるための方法、網膜症(ICD-9 コード250.5)、神経障害(ICD-9コード250.6)、腎障害 (ICD-9コード250.4)および末梢血管障害または壊疽(ICD-9コード250.7)を予防または減少させるための方法に関し、後者はIGM、特にIFGおよびITGをもつ患者において「細小血管系合併症」と呼ばれている。さらに、本発明は、心臓血管の罹病の増加(ICD-9コード410-414)、例えば、心筋梗塞(ICD-9コード410)、動脈性閉塞性疾患、アテローム性動脈硬化症および他の急性および亜急性の形態の冠動脈虚血(ICD-9コード411-414)を予防または減少する方法に関し、後者は「心臓血管の罹病」といわれるそれらの症状の予防または減少させるための方法に関し、脳卒中(ICD-9 コード430-438)のような過剰な脳血管疾患の開始を予防、減少または遅延させるため、増加した心臓血管系の死亡率(ICD-9コード390-459)および突然死(ICD-9コード798.1)を減少させるため、IGM、特にIFGおよびITGをもつ患者において、各ケースにおいて、癌(ICD-9コード140-208)の発生を予防するため、および癌死亡を低下させるための方法に関する。本方法は、さらに、高血糖症(遊離性摂食後高血糖症をも包含する)を含むIGMに関連した他の代謝障害、各ケースにおいて、IGM、特にIFGおよびITGをもつ患者において、異常脂質血症 (ICD-9コード272)、高尿酸血症(ICD-9コード790.6)に加えて高血圧症(ICD-9コード401-404)および狭心症(ICD-9コード413.9)を予防または減少する方法に関する。
【0044】
疾病の国際分類第9版に従って本明細書中に記載されるこのコードおよびそこに割り当てられた対応する定義を、出典明示により本明細書の一部とする。
【0045】
血糖降下薬による誘導は、特に初期段階の分泌では、急速な可逆性であり、摂食後のグルコースレベルの低下は、この適用における予防または処置に好ましいもの。
【0046】
この方法は、有効量の血糖降下薬、例えば、インスリン分泌エンハンサーまたはその医薬上許容し得る塩、それらを必要とする患者に投与することを包含する。その方法を必要とする患者は、ヒトを包含する恒温動物である。
【0047】
また、本発明は、IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者において、例えば遊離性食事性高血糖症のような関連疾患および症状にある患者において、顕性糖尿病、特にII型糖尿病への進行を予防または遅延、細小血管系合併症の開始を予防、減少または遅延、壊疽または細小血管障害の予防または減少、切断手術で生じる変化、過剰な心臓血管の罹病および心臓血管系の死亡率の予防または低下、癌の予防および癌死亡の減少のために使用される方法に関する。
【0048】
同様に、本発明は、肥満、加齢、妊娠中の糖尿病、異常脂質血症、高血圧症、尿酸血症、インスリン耐性、動脈性閉塞性疾患、アテローム性動脈硬化症、網膜症、腎障害、狭心症、心筋梗塞および脳卒中を包含する、IGMおよび特にIFGおよび/またはITG(遊離性食事性高血糖症を包含する)と関連する症状および疾患の処置方法に関する。
【0049】
好ましくは、該予防は、増加した心臓血管、細小血管および癌に関するリスクを与えることが広い疫学研究において実証されてきた範囲のグルコースレベルをもつ個体において有効であるべきである。これらのレベルは、OGTTまたは略式グルコース評価後血漿グルコース 7.8 mmol/L mmol/L、および/またはIFG範囲内で絶食の血漿グルコース(6.1および7 mmol/lの間の絶食の血漿グルコース)のレベルを包含する。新規の疫学データは、上記リスクに明らかに関連した血糖レベルを低下させるために利用し得るようになるか、もしくはITGおよびIFGリスク群を定義するための国際標準が変化する場合、本発明の使用がリスクのある群の処置にもまた保証される。
【0050】
また、本発明は、治療上有効量のDPP−IV阻害剤を、それを必要とする患者に、投与することを含むIFGをもつ患者に使用される方法に関する。
【0051】
本発明は、IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者において、顕性II型糖尿病への進行を予防または遅延させ、増加した細小血管系合併症;増加した心臓血管の罹病;過剰な脳血管疾患;増加した心臓血管系の死亡率および突然死; 悪性腫瘍の高い発生率および死亡率;およびIGMと関連した他の代謝障害からなる群から選択された症状の発症を予防、減少または遅延させる薬物製造のための血糖降下薬またはその医薬上許容し得る塩を使用することに関する。
【0052】
本発明は、顕性糖尿病、特にII型糖尿病への進行を予防または遅延させ、細小血管系合併症の予防または減少、過剰な心臓血管の罹病および心臓血管系の死亡率の予防または低下、癌の予防および癌死亡を減少させる薬物製造のための、インスリン分泌エンハンサーまたはその医薬上許容し得る塩の使用に関する。
【0053】
本発明は、IGM、IFGおよび/またはITGをもつ患者において、そして下記についての関連疾患および症状、例えば、遊離性食事性高血糖症;顕性糖尿病、特にII型糖尿病への進行を予防または遅延させ、細小血管系合併症の予防または減少、過剰な心臓血管の罹病および心臓血管系の死亡率の予防または低下、癌の予防および癌死亡のためのインスリン分泌エンハンサーまたはその医薬上許容し得る塩の使用に関する。
【0054】
本発明は、IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者において、顕性II型糖尿病への進行を予防または遅延させ、また増加した細小血管系合併症、増加した心臓血管の罹病、過剰な脳血管疾患、増加した心臓血管系の死亡率および突然死、悪性腫瘍の高い発生率および死亡率、およびIGMに関連した他の代謝障害からなる群から選択された症状の発症を予防、減少または遅延させる血糖降下薬またはその医薬上許容し得る塩および医薬上許容し得る担体を含む医薬組成物に関する。
【0055】
本発明は、顕性糖尿病、特にII型糖尿病への進行を予防または遅延させ、細小血管系合併症の予防または減少、過剰な心臓血管の罹病および心臓血管系の死亡率の予防または低下、癌の予防および癌死亡の低下させるインスリン分泌エンハンサーまたはその医薬上許容し得る塩および医薬上許容し得る担体を含む医薬組成物に関する。
【0056】
本発明は、IGM、特にIFGおよび/またはITGおよび関連疾患、例えば遊離性食事性高血糖症のような症状をもつ患者において、特にII型糖尿病への進行を予防または遅延させ、細小血管系合併症の予防または減少、過剰な心臓血管の罹病および心臓血管系の死亡率の予防または低下、癌の予防および癌死亡の低下させる医薬組成物に関する。
【0057】
対応する活性成分またはその医薬上許容し得る塩は、水和物の形態で使用されてもよく、または結晶化のために使用された別の溶媒を包含してもよい。
【0058】
さらに、本発明は、顕性II型糖尿病への進行を予防または遅延させ、増加した細小血管系合併症、増加した心臓血管の罹病、過剰な脳血管疾患、増加した心臓血管系の死亡率および突然死、悪性腫瘍の高い発生率および死亡率およびIGMに関連した他の代謝障害からなる群から選択された症状の発症を予防、減少または遅延させるために、IGMをもつ患者、特にIFGおよび/またはITGを持つ患者に使用されるべき、少なくとも1つのインスリン分泌エンハンサーおよび少なくとも1つのインスリン感作物質、または少なくとも2つのインスリン分泌エンハンサー、または少なくとも2つのインスリン感作物質をそれぞれ含む、組合せ調製物または医薬組成物などの組合わせに関する。
【0059】
本発明の組合わせを用いる場合のさらなる価値は、本発明に従って組み合わされる個々の薬物の比較的低用量を用いて、用量を低下し得ることである。例えば用量を頻繁により少なく必要とするだけではなく、より少ない頻度で適用可能であり、もしくは副作用の発生率を低下させるために使用することも可能である。これは、処置されるべき患者の要望および要件にかなうものである。
【0060】
好ましくは、本発明の組合わせによる併合治療上有効量の活性物質は、同時に、またはいずれの順番でも順に、別々でまたは固定された組合わせで投与されてもよい。
【0061】
「治療上有効量」なる用語は、ヒトを含む恒温動物において特定した本発明の治療効果を達成するに必要な生物学的または医療学的反応を引き出す薬または組成物の量を意味する。「治療上有効量」は、1つの血糖降下薬および血糖降下薬の固定されたもしくは非固定の両方の組合わせでも投与され得る。本発明の組合わせにおいて「併合治療上有効量」は、全体的効果が(固定されたまたは非固定の)組成物の投与を組合わせて達成し得る場合、組合わされる少なくとも1つの薬の有効でない量を包含する。
【0062】
本明細書中に記載の本発明の医薬組成物は、同時使用またはいずれの順でも逐次使用のために、別々の使用または固定された組合わせのために使用され得る。
【0063】
血糖降下薬として示した本発明の好ましい組成物に関する組合わせのための好ましい成分は、ナテグリニド、レパグリニド、メトホルミン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン、1-{2-[(5-シアノピリジン-2-イル)アミノ]エチルアミノ}アセチル-2(S)-シアノ-ピロリジンおよび(S)1-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]-アセチル-2-シアノ-ピロリジンまたは、適当であれば、各ケースにおいてその医薬上許容し得る塩、から選択されるのが最も好ましい。
【0064】
その変形において、同様に、本発明は、「キット薬剤(kit-of-parts)」に関するもので、例えば、その場合本発明により組み合わされる成分が、独立して投与され得るかまたは成分の量を変えて、種々の固定された組合わせを用いて投与され得るか、即ち同時または異なる時間に投与される。そのため、キットの部分は、例えば、同時にまたは経時的に、即ちキットのどの部分も異なった時点で、同じもしくは異なった時間間隔で投与され得る。好ましくは、時間間隔は、当該部分を組合わせて使用して処置された疾患または症状に対する効果が、当該成分のいずれか一つだけ使用するよりも得られる効果が大きいように選択される。
【0065】
さらに、本発明は、同時、別々にまたは順次使用に関する指示書と共に、本発明の組合せ物を含む市販梱包商品にも関する。
【0066】
組合せる化合物は、医薬上許容し得る塩として存在し得る。これらの化合物が、例えば、少なくとも1つの塩基性中心を持っている場合、それらは、酸付加塩を形成し得る。対応する酸付加塩も、所望であれば、塩基中心を付加的に存在するものを形成し得る。酸性基(例えばCOOH)を持つ化合物は、塩基と塩を形成し得る。
【0067】
例えば、ナテグリニドの医薬上許容し得る塩は、例えば、塩基と形成された塩、即ちカチオン塩、例えば、アルカリおよびアルカリ土類金属塩に加えてアンモニウム塩である。
【0068】
本発明の医薬組成物は、既知の方法で調製され得るし、ヒトを含む哺乳動物(恒温動物)への経口または直腸などのような腸溶性非経口投与に適する医薬組成物であり、それは薬理学的に活性な化合物の治療上有効量を単独で、又は特に腸また非経口の用途に適当な1以上の医薬上許容し得る担体と組合わせを含む。
【0069】
新規医薬調製物は、例えば約10%から約100%、好ましくは80%、好ましくは約20%から約60%の活性成分を包含する。腸のまたは非経口投与用の本発明の医薬調製物は、例えば単位用量の形態をしたもの、例えば、糖衣錠剤、錠剤、カプセルまたは座薬およびさらにアンプルである。これらは、既知の方法、例えば従来的な、混合、顆粒化、糖衣、溶解または凍結乾燥過程を用いて調製され得る。即ち、経口使用のための医薬調製物は、活性成分と固体担体との組合せによって得られ、所望により、得られる混合物を顆粒化し、混合物または顆粒を加工し、もし所望によりまたは必要であれば、適当な賦形剤の添加後に錠剤または糖衣錠剤の中心を作る。
【0070】
本発明に使用のための血糖降下薬の用量は、例えば、すでに発売された薬剤に用いられた用量であってもよい。例えば0.5mgのレパグリニド錠剤、1mgまたは2mgの活性成分または錠剤、500mg用量のメトホルミンまたは850mgの活性成分を摂取してもよい。同様に、これら用量は本発明の組成物を組合せた薬剤にもまた使用され得る。当業者においては、当業者の知識に基づいて、単独もしくは組合せて服用される場合でも、特定の低脂質血症剤(hypolipidemic agents)の特定用量を決定することは完全に可能である。
【0071】
ナテグリニド(I)は、恒温動物が約70kgの体重のヒトである場合、約5〜1200の範囲、より具体的には25〜800mg/日の範囲の用量で恒温動物に投与するのが好ましい。好ましい用量は、好ましくは食事前に投与される30mg、60mgまたは120mgのナテグリニドを含む。食事回数によるが、この用量用法は、1日に2回(BID)または1日に3回(TID)または1日に4回(QID)である。
【0072】
下記実施例は、上記記載の本発明を説明するものであって、本発明の技術的範囲をいかなる制限を指向するものではない。
【実施例1】
【0073】
実施例1: ナテグリニドの錠剤 (I)
各々ナテグリニド(I)の120mgからなる216,000の錠剤を以下のように調製した:
【表2】

*: 進行中のものを除く
【0074】
調製方法:微小結晶セルロース、ポビドン、クロスカルメロースナトリウムの一部、ナテグリニド(I)およびラクトースを、高い剪断混合機中で混合し、その後精製水を用いて顆粒化する。湿気を帯びた粒子を液体ベッドドライヤー中で乾燥させ、スクリーンを通した。コロイド状のシリコンジオキシドおよびクロスカルメロースナトリウムの残りを混合し、スクリーンをとおして、V-ブレンダー中で乾燥した粒子と混合した。ステアリン酸ナトリウム塩をスクリーンに通して、V-ブレンダーからの混合物と混合し、その後全部の混合物を錠剤に加圧した。opadry yellowを精製水中に懸濁し、該錠剤を被覆懸濁液で被覆した。
【実施例2】
【0075】
実施例2:ナテグリニド(I)のガレノス配合物No.1
【表3】

【実施例3】
【0076】
実施例3:ナテグリニド (I) ガレノス配合物No. 2
【表4】

【実施例4】
【0077】
実施例4:ナテグリニドの表
ナテグリニド120mgを各々含む108,000 錠剤を以下のように調製した:
【表5】

*: 進行中のものは除く
【0078】
調製方法: 微小結晶セルロース、ポピドン、クロスカルメロースナトリウムの一部、ナテグリニドおよびラクトースを、精製水を加えて造粒機中で粒状化した。湿気を帯びた粒子を液体ベッドドライヤーで乾燥させ、スクリーンを通した。コロイド状のシリコンジオキシドおよび残りのクロスカルメロースナトリウムを混合し、スクリーンを通して、V-ブレンダー中で乾燥させた粒子と混合した。ステアリン酸マグネシウム塩をスクリーンに通し、V-ブレンダーからの混合物と共に混合し、その後全混合物を錠剤に加圧した。該opadry yellowを精製水中に懸濁した、該錠剤を被覆懸濁液で被覆した。この方法の変法は、コロイド状のシリカと残りのクロスカルメロースナトリウムを乾燥後に負荷する2番目の造粒機に加え、次いで一緒にスクリーニングすること、およびバッチあたりに負荷する3つもの造粒機/ドライヤーを組合せることを包含する。
【実施例5】
【0079】
実施例5:ナテグリニド(120mg)の医薬組成物
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者において、顕性II型糖尿病への進行を予防または遅延させ、また増加した細小血管系合併症、増加した心臓血管の罹病、過剰な脳血管疾患、増加した心臓血管系の死亡率および突然死、悪性腫瘍の高い発生率および死亡率およびIGMと関連した他の代謝障害からなる群から選択される症状の発症を予防、減少または遅延させる薬物製造のための血糖降下薬またはその医薬上許容し得る塩の使用。
【請求項2】
IGMおよび関連疾患および遊離性食事性高血糖症などの症状を持つ患者において、顕性糖尿病、特にII型糖尿病への進行を予防または遅延させ、細小血管系合併症を予防または減少させ、心臓血管の罹病を予防または減少させ、心臓血管系の死亡率を低下させ、癌予防および癌死亡を減少させる薬物製造のための請求項1の使用。
【請求項3】
ITGまたはIFGの各症状および関連疾患に関する処置または予防する薬物製造のための、請求項1または2いずれかに記載の使用。
【請求項4】
IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者に、例えば、網膜症、他の糖尿病の眼科合併症、腎障害、神経障害、末梢血管障害、末梢血管障害または壊疽、心筋梗塞、冠動脈心臓疾患、アテローム性動脈硬化症、他の急性および亜急性形態の冠動脈虚血、脳卒中、異常脂質血症、高尿酸血症、高血圧症、狭心症、細小血管障害、切断手術で生じる変化、癌、癌死亡、肥満、尿酸血症、インスリン耐性、動脈性閉塞性疾患およびアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される症状の発症を防止、減少または遅延させるために使用される薬物製造のための、請求項1から3いずれかに記載の使用。
【請求項5】
遊離性食事性高血糖症および/または肥満、家族性糖尿病、妊娠糖尿病、異常脂質血症、高血圧症、尿酸血漿、インスリン耐性、動脈性閉塞性疾患、アテローム性動脈硬化症、網膜症、腎障害、狭心症、心筋梗塞および脳卒中を含むIFGと関連した疾患および症状を処置する薬物製造のための、請求項1から3のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
異常範囲(OGTTまたは略式グルコース試験後、2時間の血漿グルコース値が7.8から11.1mmol/Lの間である)にある食事性グルコース可動域を示す患者における予防する薬物製造のための、請求項1から5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
血糖降下薬が、(i)適当なフェニル酢酸誘導体、グリキドン、適当なビグアニド、スルホニル尿素誘導体、DPP-IV阻害剤、GLP1およびGLP1アゴニスト、または各ケースにおいてもし適当であればその医薬上許容し得る塩からなる群から選択されるインスリン分泌エンハンサー;および(ii)グリタゾン、例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンおよびトログリタゾン、または各ケースにおいて適当であればその医薬上許容し得る塩からなる群より選択されるインスリン感作物質である、請求項1から6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
インスリン分泌エンハンサーが、スルホニル尿素、レパグリニド(repaglinide)、ナテグリニド、DPP-IV阻害剤、GLP1およびGLP1アゴニスト、または各ケースにおいてその医薬上許容し得る塩から選択されるものである、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
インスリン分泌エンハンサーがナテグリニドまたはその医薬上許容し得る塩である、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
IGM、特にIFGおよび/またはITGをもつ患者おいて、顕性II型糖尿病への進行を予防または遅延させ、また増加した細小血管系合併症、増加した心臓血管の罹病、過剰な脳血管疾患、増加した心臓血管系の死亡率および突然死、悪性腫瘍の高い発生率および死亡率およびIGMに関連した他の代謝障害からなる群から選択される症状の発症を予防、減少または遅延させる医薬組成物であって、血糖降下薬またはその医薬上許容し得る塩および医薬上許容し得る担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
血糖降下薬がDDP−IV阻害剤である、請求項10に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2011−153155(P2011−153155A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104450(P2011−104450)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【分割の表示】特願2006−249499(P2006−249499)の分割
【原出願日】平成12年12月4日(2000.12.4)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】