ケーブルハーネスのための締結要素
本発明は、ほぼ縦方向に延びる物品を自動的に巻き付けるためのシステム及び方法に関する。本発明は、特に、自動車産業のケーブルハーネス製造の分野に用いられる。この目的のため、巻き付けテープにより、所定の周方向位置において、例えば、本発明によるクリップをケーブルハーネスに固定することを可能にする装置が提案される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向に延びる物品、具体的には、例えば、ケーブルハーネスとして自動車工業において用いられるケーブル又はケーブルの束を、自動的にかつ周方向に巻き包むための装置及び方法に関する。本発明は、特に、自動的周方向に巻き包みに用いられる締結要素に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、その開示が引用により本明細書に組み入れられる、2008年4月29日に出願された独国特許出願番号第10 2008 022335.2号に基づく利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
自動車の製造には、ケーブルハーネスが用いられることが多い。ケーブルハーネスは、信号又は情報或いは動作電流(エネルギー)を伝えるケーブルの束である。これらのケーブルは、例えば、クリップ、ケーブルバインダ又は管によって組み合わされる。現代の自動車は、合計で数キロメートルの距離に達しすることがある電線を有するものである。
【0003】
束にされたケーブルは、組み合わされてケーブルハーネスを形成し、かつ、特別な作業台(巻き包み区域)又は取付ボード(組付けボード)上で連結され、すなわち組み立てられる。この種のハーネスは、可撓性の程度が限られており、次工程で取り付けを行うことができる。ケーブルハーネスは、一般に、幾何学的条件及び電気的条件に従って組み立てられる。自動化の進歩にも関わらず、自動車産業において、ケーブルハーネスは、大部分が手作業で生産され続けている。この理由の1つは、多くの異なる動作シーケンスを必要とすること、例えば、ワイヤを管の中に通すこと、布テープで巻き包むこと、特に枝分かれしたワイヤ部分の上にテープを巻き付けること、接点をワイヤに固定すること、特に、いわゆる平行2線型端子(1つの接点上に2つのワイヤ)をワイヤに取り付けること、一方の管を他方の管に挿入すること、或いは複数の束をテープ、クリップ又はケーブルバインダによって固定すること等の動作シーケンスを必要とすることである。
【0004】
これらの動作シーケンスは、明らかに自動化するのが難しい。これまでは、機械の使用は、限られた程度までしか可能でなかった。しかしながら、職業上の能力をほとんどもたなくとも、対応する動作を迅速に習得することができるものである。従って、前述のように、手作業による生産は、自動化によるものより費用効果が高い。従って、ケーブルハーネスは通常、外国で、特に低賃金の国で製造されている。
【0005】
異なる車両、例えば重貨物車両においては、種々の構成及び車両長のものが備えられる結果として、非常に多くの異なる形態物が存在することになるので、非常に小さいバッチサイズ(1を含む)しか達成することができない。それにも関らず、同じ組付けボード上で異なる形態の物が製造される。人間は、「再プログラミング」することなく、短時間で異なる変形形態に適合することができるので、特にこの場合、人間には機械に優る利点がある。
【0006】
しかしながら、事前加工は、部分的な自動化が可能である。これは、とりわけ、個々のワイヤに切断すること(切断機械)、予め接触状態にされた状態で複数のワイヤが配置されたコネクタ・ハウジングを部分的に設けて複数のワイヤ端を溶接し、接点をワイヤの一方の側又は両側に取り付けること(溶接機械)、又はワイヤを捻じることに関するものである。
【0007】
しかしながら、手作業による製造工程は、予測されるエラー率が高く、品質保証に関する費用がより大きくなる。
【0008】
従来の手作業で組み立てられたケーブルハーネスは、自動車製造業者に配送され、最終組み立ての際に車両に挿入される。ここで、ケーブルハーネスをどのように自動車内に固定するかという付加的な問題が生じる。特許文献1及び特許文献2は、プラスチックの締結要素を開示する。しかしながら、これらの締結要素は、ケーブルハーネスに手作業で取り付けなければならない。このことは、手作業により、ケーブルハーネス上で軸方向及び周方向の両方に正確な位置決めすることを必要とする。
【0009】
特許文献3、特許文献4及び特許文献5は、部分的に自動化された解決法への初期の手法を記述する。しかしながら、これらの装置には、重すぎ、かつ、嵩ばりすぎるという不利な点がある。従って、マイクロエレクトロニクスの分野における開発の過程で、よりコンパクトで信頼性の高い結束装置に対する必要性が増大した。特許文献3(上述)は、例示的な結束装置を説明する。この工具の場合は、第1の位置でケーブル束を巻き付け領域内に受け入れ、第2の位置でケーブル束を囲んで、巻き付け用テープをケーブル束の周りに案内することができる、移動可能な案内要素が設けられる。この巻き付け用テープは、超音波によりケーブル束に溶接される。このために、ペンチ状アンビルを有するソノトロードが用いられる。アンビルのペンチは、各々がL字型であり、溶接プロセス中に巻き付け用テープが周りに巻き付けられることになるケーブルの束内に突出する。類似した問題が、特許文献6に説明される。溶接プロセス中に、ハーネスのワイヤが、意図しないのに互いに溶接されることがある。さらに、これらL字型の嵌合部品は、溶接プロセスが行なわれた後、ケーブルの束から引き抜かれた後に空隙を残すので、予め締め付けられたワイヤが、特定の状況下で、再び緩むことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許第295 10 148号
【特許文献2】独国特許第103 49 046号
【特許文献3】米国特許第4,265,687号
【特許文献4】米国特許第4,368,762号
【特許文献5】米国特許第4,371,010号
【特許文献6】独国特許第34 13 099 C2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の1つの目的は、ケーブル、ケーブル束及びケーブルハーネスを、自動化された方法で結束し、かつ、締結要素によって所望の周方向位置に配置することができるシステム及び方法を提供することである。特定的な目標は、巻き付け用テープと巻き付けられる物品との間の意図しない接続を回避することである。さらに、巻き付けられる物品間の空隙を可能な限り小さく保持すべきである。この場合、プロセスの信頼性及び低いエラー率に特別な価値が置かれる。本システムは、非常に費用効果が高いので、工業国において実施することができる。ケーブルハーネス製造のできるだけ早い段階で、締結要素は、ケーブルハーネスの周りに対して正しい位置に固定すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
軸方向に延びる物品、特にケーブル又はケーブル束を、物品の軸方向に対して実質的に垂直に配向された巻き付け面において、締結要素に接続可能な巻き付け用テープによって自動的に周方向に巻き包むための装置が説明され、この装置は、互いに移動可能なように装着された少なくとも1つの第1のジョーと第2のジョーとを有する把持装置を有し、これらのジョーは、テープを巻き付けるための閉位置にあるとき、巻き包まれる物品が配置される巻き付け領域を囲むようになり、一方、ジョーが開位置にあるときには、締結要素及び巻き付け用テープを巻き包まれる物品の周りに周方向に案内できるように構成され、接合工具が設けられて、テープが少なくとも一回完全に巻き包まれる物品の周りに周方向に導かれたとき、テープの重なり合う部分の少なくとも一部を接合し、かつ、巻き包まれる物品から分離して、テープを締結要素に接合するようにされており、第1の供給装置が設けられて、巻き付け動作中に、把持装置に対してテープを、好ましくは連続的に、前進運動及びテープを緊張させるための後退運動を行わせながら送り、締結要素を把持装置に供給するために第2の供給装置が設けられ、制御装置が、締結要素を物品に対する所定の周方向位置にロックし、第1の供給装置を作動させて、テープを所定のテープ長さだけ締結要素に対して前進させるように構成される。
【0013】
こうした装置を用いて、多くのプロセスを自動化することができる。本発明に従った巻き付け用テープによるケーブルハーネスの巻き包みが自動化される。締結要素の巻き付けテープへの取り付けが自動化される。巻き包まれる物品の周囲に対する、締結要素の位置決めが自動化される。この種の装置は、何の問題もなく、最新の多軸式工業用ロボットに後付けすることができるため、本装置は、完全に自動化された自動車製造ラインにおいてさえ用いることができる。
【0014】
低賃金の国におけるケーブルハーネスの手作業による生産が不要になる。対応する作業を繰り返し、現場でより費用効果の高い価格で実行することができる。品質保証に関連してなすべき労力は、手作業による組み立ての場合よりも著しく少ない。品質の大幅な改善が達成される。
テープ長を予め定めることによって、巻き包まれる物品の周囲上の締結要素の相対的な位置を、予め定めることができる。前送りテープ長を長くするほど、テープが緊張させられた後に重なり合う巻き付けテープが、例えば溶接されることによって形成されるシームから、締結要素がより遠くなる。
【0015】
第2の供給装置は、締結要素を受け入れ、ジョーに沿って所定の周方向位置に移動することができ、周方向位置にロックすることができる、駆動ユニットを含むものとすることができる。
本実施形態においては、第2の供給装置又はその駆動ユニットは、テープを緊張させるために後退される前に、巻き付け用テープを締結要素と共に正しい周方向位置に配置する役割を担う。従って、この場合、例えば重力によって巻き付け用テープを把持装置に供給するだけで十分である。また、供給装置が、後退用駆動装置のみを有し、前進用駆動装置をもたないものでも十分である。
【0016】
代替的手法として、周方向にジョーに沿って移動することができる、締結要素のためのロック装置を設けることができる。
この代替的な実施形態においては、第1の供給装置には、巻き包まれる物品に最終的に巻き付けられるまでテープを前進させるための前進用駆動装置が与えられる。例えば牽引車輪などの第2の供給装置の上に設けられた締結要素を、例えば前もって、テープに固定し、次いで、把持装置のジョーに沿って、テープと一緒に周方向位置に案内することができる。緊張させるためにテープが再び後退されるとすぐに、締結要素のためのロック装置がこの所望の周方向位置に移動され、締結要素をそこに受け入れ、ロックする。
後続の作業ステップにおいて周方向位置が変化すると、ロック装置は、各々の場合について別個の方法で、所望の周方向位置に接近することができる。ジョーは、ロック装置及び巻き付け用テープが案内される、例えば溝などの対応する案内部を有することが好ましい。
【0017】
さらに別の実施形態によると、工具が、把持装置に対して周方向にピボット運動できるように取り付けられる。
この手法は、互いに独立した2つの利点を有する。第1に、工具をテープ(連続的な形態で与えられる)の切断装置として用いることができる。締結要素がテープに接続され、テープが再び該テープ自体に接続されるとすぐに、工具を周方向にピボット運動させて、一種のブレードとして使用し、テープの残りを切り離すことができる。この場合、巻き包まれる物品が管に挿入されるときに管への挿入を阻害することになる突起が、テープ上に形成されることはない。第2に、巻き包まれる物品に対する重なり領域の周方向位置に関係なく、テープの重なり領域を何の問題もなく互いに接続することができる。例えば、ケーブルハーネスの長さ方向のクリップ固定位置に応じて、締結要素の所定の周方向位置をクリップごとに変えることが可能である(例えば、一つ目は90°、2つ目は270°とする)。接合工具は、これらの条件に適合できるものでなければならない。
【0018】
従って、工具が、物品の横断面に対して垂直に向いた面内においてピボット運動できるように取り付けることも、有利な結果をもたらす場合がある。
しかしながら、上述のピボット運動を可能にすることは、コア領域と該コア領域から横方向に突出するタブ領域とを有し、コア領域(だけ)が巻き包まれる物品上に載っている状態でタブ領域を互いに接続しなければならないように構成された巻き付け用テープを用いるときに特に有利である。これにより、タブの接続方向が、テープと物品との間の接続方向に対してある角度をなして延びるようにすることができる。従って、物品が意図せずに巻き付け用テープに溶接される危険が減少する。
【0019】
さらに別の好ましい実施形態によると、工具は、半径方向に移動することができる溶接ヘッド、具体的にはソノトロード(超音波射出部材)と、溶接対向要素とを有する。
ソノトロードは、高周波の機械的振動(超音波)を導入することによって共振状態で振動するように作られた工具である。これらの振動は、超音波発生装置と加工物との間の接続をもたらし、超音波振動を処理タスクに適合させる(インピーダンス整合)。ソノトロードは、超音波溶接において用いられ、種々のプロセスのために、接合ゾーン又は接触ゾーン内の構成要素間の恒久的な接続をもたらす。ソノトロードは、通常、アルミニウム、チタン、又は鋼から生成される。その幾何学的形状は、用いられる発生装置によりもたらされる周波数及び処理タスクに応じて決まる。超音波溶接においては、接続は、力と運動により引き起こされる。接合ゾーンにおいて生じる温度の上昇は、結局溶接プロセスを助ける働きをする結果になる。接合力及び超音波振動は、同じ作用方向を有する。導入される縦波により、材料及び接合ゾーン内に脈動圧縮荷重が生じ、これにより加工物の可塑化がもたらされる。恒久的で、機械的に安定した接続が形成される。
【0020】
プロセス関連及び材料関連の溶接影響変数が、それらに応じて設定される。プロセス関連パラメータは、溶接振幅、溶接力、及び単位面積当たりのそれぞれの導入溶接エネルギーのレベルを定める導入溶接時間又は溶接速度を含む。溶接周波数が、それぞれの溶接システムについてしっかりと定められる。通例のオペレータ周波数は、20kHzから40kHzまでの間である。振動振幅は、5μmから40μmまでの範囲で変化し得る。2地点間接続を生成する場合、必要とされる溶接時間は3秒未満である。毎分25mまでの速度で、溶接シームを生成することができる。
【0021】
プロセス変数は、常に、材料に関連する影響変数を考慮して適合させねばならない。従って、接合部分の物理的及び技術的特性が、特に超音波溶接能力に影響を与える。高い硬度及び高いGモジュールは、例えば、超音波エネルギーを伝達する能力を助ける。対照的に、比較的高い材料延性は、最適な溶接表面の形成を必要とする。超音波溶接において、表面粗さも非常に重要である。平均粗さの値が20μmより大きいと、ほんの数個の粗さピークでしか、2地点間のエネルギー伝達がもたらされない。その結果、これらの地点において、周囲の材料に対して急峻な温度勾配を有する、所謂「ホットスポット」が生成される。
【0022】
接合工具の対向要素は、閉位置では接触しない2つのペンチ状の対向部品を有することが好ましい。
対向部品は接触しないため、対向部品はテープを完全に囲まない。従って、テープを裏側からのみ把持し、かつ、接合プロセスを、好ましくは側部においてのみ、すなわちテープのコア領域の外でのみ行なうことが可能になる。従来技術では通例である、閉位置において接触する対向部品を引き抜くことにより生成される空隙を回避することができる。ケーブルハーネスにおけるケーブルの所望の密な充填を維持することができる。これは、後で変更することはできない。
具体的には、対向部品は、テープのタブだけが互いに溶接されるように形成される。コアは、巻き包まれる物品に溶接されない。このことにより、例えば、ケーブル束のケーブルの絶縁体が溶融し、短絡が生成されることが防止される。
【0023】
さらに、締結要素がテープによって対象物に固定された後に、残りのテープを切り離す切断装置を付加的に設けることは利点をもたらす。
このことは、連続的な巻き付け用テープを用いるときに特に有利である。さらに別の好ましい実施形態によると、テープが後退される力を判断するためのセンサも設けられる。これにより、テープが常に、所望の張力により巻き包まれる物品の周りに伸張されることが保証される。ケーブルハーネスのケーブルは、挟まれることはなく、緩みもしない。これはまた、締結要素がその所定の周方向位置にとどまることを保証する。設定された引張応力に応じて、締結要素を、巻き付けられる物品の周方向及び/又は半径方向に後で移動させて、例えば組み立て公差を補償することができる。締結要素の対向部品を車体上に取り付けるとき、一定量の遊びが常に生じるため、後で所定の位置を僅かに変更できるようになり有利である。
【0024】
さらに、軸方向に延びる物品、特にケーブル又はケーブル束を、軸方向に対して概ね垂直に配向された巻き包み面において、締結要素に接続可能な巻き付け用テープで自動的に周方向に巻き包むための方法が説明され、この方法は、テープを供給し、締結要素を供給し、締結要素に対して所定のテープ長だけテープを前進させ、次いでテープ及び締結要素を互いに接合し、物品を巻き包み領域に移動させ、締結要素を物品に対する所定の周方向位置に移動させて、締結要素を周方向位置に固定し、テープが接合ステップにより締結要素に固定され、かつ、締結要素が周方向位置に固定されたときに、テープを後退させることによって、物品の周りにテープを緊張させ、テープの重なり部分を接合するステップを含む。
【0025】
上記に説明した方法は、締結要素が、自動化された方法で、所定の周方向位置においてケーブルハーネスに固定されることを保証する。手作業の労力の使用は、もはや必要とされない。品質に関する高い要求が満たされる。さらに、ケーブルハーネスの製造及び生産を、工業国において行なうこともできる。
さらに、軸方向に延びる物品、特にケーブル又はケーブル束を自動的に周方向に巻き包むための、物品の周りに巻き付けられ、次いで緊張され、重なり合った状態で自身に接合されるのに適した巻き付け用テープが説明され、このテープは、物品上に載るように意図された、接触区域を有するコアと、コアから横方向に突出する少なくとも1つのタブとを有し、各々のタブは、テープが物品の周りに巻き付けられたとき、接合工具が接触区域の裏側に係合することなく、該接合工具がタブの裏側に係合して、重なり合うテープ部分のタブは互いに接合できるようになる角度を接触区域との間で形成する。
これにより、テープが物品自体に溶接されることが防止される。上述のように、ケーブルハーネスにおけるケーブル内の空隙が回避される。
【0026】
好ましい実施形態によれば、タブは、コアと一体的に形成される。
この場合において、テープは、押し出し成形することができる。プロセス工学の観点から、製造が簡単で効率的である。
さらに特定の実施形態によると、コアの接触区域とは反対側の面上において、タブとコアとの間に狭窄部分が設けられ、この狭窄部分が、概ねテープの長手方向に延びる。
該狭窄部分は、コアに対するタブの可撓性を増大させる。このことは、タブがソノトロードの対向部品に対して比較的小さい場合に、又は、対向部品がタブの裏側に確実に係合するのに十分なほど鋭利ではない場合に有利になる。この場合、特に溶接プロセスの際、可撓性タブを、巻き付けられる物品から離れるように屈曲させることが可能である。第2に、狭窄部分は、溶接プロセスが行なわれた後、タブが巻き付けられる物品上に載っていることを可能にする。
特定的には、テープは、溶接可能な弾性プラスチックから、特に、テープの長手方向に所定の引張強度を有するように形成される。
【0027】
コアは、概ね矩形の断面を有することが好ましい。
長辺の1つは、物品又は締結要素上の当接面として働く。テープは、通常、物品上に平らに置かれる。
タブの断面が、コアに対して外側に向けてテーパ状になるようにすることも、利点をもたらす。
互いに接合されるタブの材料層が小さいほど、溶接時間は短くなり、重なり合うテープ部分間の恒久的かつ堅牢な接続の信頼性が増す。さらに、材料厚が薄い領域は、材料厚が厚い領域より可撓性がある。これにより、ソノトロードの対向部品が閉位置に移動したとき、巻き付けテープの裏側に係合することが容易になる。
【0028】
さらに別の好ましい実施形態によると、タブの表面は、重なり合うタブの恒久的接合を確実にするのに十分大きくなるように選択される。
タブは、さもなければ、巻き付けテープを緊張させることによって生じる高荷重に耐えることができないので、小さすぎるものであってはならないことが明らかである。
特定的には、コアの接触区域は、縁部をもたないように形成される。
この手法により、巻き付けテープは、巻き包まれる物品上に可能な限り平らに置かれることが保証される。テープによる巻き包まれる物品の狭窄化が防止される。
【0029】
代替的手法として、接触区域は、接着剤で被覆することができる。
この場合には、所定の周方向位置を永久的に維持することが保証される。従って、物品の周方向又は軸方向に巻き付けテープが滑ること又は移動することを防止できる。
【0030】
上述の目的はまた、巻き付けテープにより、構成部品、特に自動車の車体の構成部品に取り付けられる、長手方向に延びる物品、特にケーブル又はケーブル束を締結するための締結要素によっても達成され、この締結要素は、第1の側柱要素及び第2の側柱要素を含む本体と、該側柱要素を本体の長手方向に互いに接続し、かつ、テープを受けるための開口部を定める少なくとも2つの接続ストラットとを有し、このテープは、該テープにより物品を周方向に巻き包むように、長手方向に対して概ね横断方向に、具体的には垂直に開口部に挿入可能である。
締結要素は、巻き付け用テープにより、自動化された方法でケーブル束の周りに巻き付けられ、ケーブルハーネスを生成することができるように形成される。締結要素を巻き包まれる物品に対する所定の周方向位置に移動させるために、手作業の動作は不要である。
【0031】
締結要素は、構成部品に接続される第2のクランプ要素と共にクランプ・ユニットを形成する第1のクランプ要素を有することが好ましいので、例えば車体におけるピン上にクランプすることができる。
締結要素は、漏斗状の開口部を有することが好ましい。
漏斗状の開口部は、特に機械が使用されるときに、テープを締結要素内に挿入するのを容易にする。
第1のクランプ部材が穴である場合も有利である。
この場合、第2のクランプ要素は、締結要素を差し込むことができるタイプのピン又はボルトを構成する。
【0032】
本体の接触面は、該本体が接触する物品の外形に適合されることが好ましい。
このことは、自動化された巻き付けプロセスの際に、可能な限り密なケーブル束の充填が維持されることを保証する。
特定的には、接触面は、側柱要素の部分により定められる。この場合、側柱要素の各々は、物品の方向に突出する弾性領域を有する接触区域を有するものとすることができる。
側柱要素は、巻き包まれる物品の構成部品を互いに緊密に押し付けるのに役立つ。可能な限り密な充填が維持される。従って、許容差を補償することができる。
さらに、接続ストラットの1つによって、接触面を定めることができる。これにより、巻き包まれる物品上で締結要素を調整することが容易になる。
特定的には、接続ストラットは棒の形状であるため、巻き包まれる物品の長手方向に配向を行なうことが好ましい。
【0033】
さらに別の有利な実施形態によると、第3の接続ストラットが設けられる。
第3の接続ストラットは、締結要素の接続の剛性を増大させる。
取り付けられた状態の構成部品の方向に向けられた本体のさらに別の面が、この面から突出する1つ又はそれ以上のスペーサ突起を有するようにすることが利点をもたらすことも分かった。
締結要素が取り付けられた状態において、次に、締結要素を、例えば車体からより簡単な方法で解放することができる。スペーサ突起のために、締結要素は、車体上に平らには着座されず、従って、例えば、ねじ回しにより下方から締結要素を操作して、締結要素を解放することができる。
【0034】
上述の特徴及び以下にさらに説明される特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれの予め特定された組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせ又はそれ自体においても用い得ることが明らかである。
本発明の例示的な実施形態は、以下の説明により詳細に説明され、かつ、図面に示される。
以下の本発明の説明において、同一の部分に同様な参照番号が与えられる。同一の参照番号が用いられる場合、その部分には変更はない。逸脱及び修正があれば、それは、明示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による、物品、特にケーブルハーネスを自動的に巻き付けるための装置の概略的な側面図を示す。
【図2】図1の閉位置にある把持装置、第1の供給装置及び第2の供給装置の拡大図を示す。
【図3】ケーブル束が把持装置に挿入された状態の、開位置にある図2の把持装置を示す。
【図4】接合工具が付加的に示された、図1−図3の把持装置の分離図を示す。
【図5】締結要素が接合工具により巻き付けテープに固定された、図4の要素を示す。
【図6】締結要素が所定の周方向位置にロックされた状態の、テープがケーブル束の周りに巻き付けられた後の図5の要素を示す。
【図7】締結要素が、最初に周方向位置においてテープ上に固定された、図6の代替的手法を示す。
【図8】テープがピンと張られ、センサにより張力が求められる、巻き付けられた状態のケーブル束を示す。
【図9】テープの残りが接合工具によって分離された、巻き付けられ固定された状態のケーブル束を示す。
【図10】本発明による方法のフローチャートを示す。
【図11】本発明によるテープの部分断面斜視図を示す。
【図12】図11のテープを通る断面を示す。
【図13】テープの一部が重なった状態の、本発明によるテープの代替的な実施形態を示す。
【図14】接合工具の対向部品がテープのタブの裏側に係合する、接合工具によって固定される直前の重なり合うテープを示す。
【図15】本発明による締結要素の概略的な等角図を示す。
【図16】図15の締結要素の部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、多軸式ロボットに取り付けられた、本発明による装置10を示す。
本装置10は、第1のジョー14及び第2のジョー16を含む把持装置12を有する。図1において、第1のジョー14及び第2のジョー16は、閉位置で示される。ジョー14、16は、互いにピボット運動できるように取り付けられる。図1の特定の例においては、ジョー14、16は、第1のジョー14がピボット運動可能であり、第2のジョー16が固定された状態で、互いにピボット運動できるように取り付けられる。ジョー14、16の両方が移動可能であってもよく、代替的手法として、ジョー14、16が、開閉するために、互いに対して移動できるようにも取り付けられることは言うまでもない。図1において、対応する開動作及び閉動作が、両頭矢印18で示される。
【0037】
ジョー14、16は、巻き包み領域20を囲み、ここで、以下に説明されるように、例えばケーブル又はケーブル束などの物品を自動化された方法で組み合わせ、巻き包んで、例えばケーブルハーネスを生成することができる。巻き包み領域20の(幾何学的)中心が、図2の点21で示される。
図1に示されるように、把持装置12は、装置10のハウジング内に統合される。
【0038】
この装置10はまた、第1の供給装置24及び第2の供給装置26を有する。第1の供給装置24は、ここでは、矢印32の方向に第1のリール30から連続的な巻き付け用テープ又はテープ28を巻き戻して装置10に供給するために用いられる。第2の供給装置26は、ここでは、矢印38の方向に連続的な形態で与えられる締結要素34を繰り出して装置10に供給するために用いられる。後で、例えば車体上の対応する嵌合部品にクランプされるテープ28及び締結要素34の両方を、個別にすなわち非連続的に供給することもできることは言うまでもない。締結要素34は、ベルトテープに取り外し可能に貼り付けることもできる。テープ28の特定の実施形態は、図11乃至図13を参照して説明される。締結要素34の特定の実施形態は、図15及び図16を参照して説明され、図11乃至図16に示される実施形態は、本質的に例示的なものにすぎず、多数の修正を施すことができることが理解される。
【0039】
図1の装置10はまた、必要に応じて、テープ28を、例えばクリップ34などの締結要素34に固定できる、接合工具40を有する。接合工具40(図1には明示的に示されない)はまた、図14に一例として示されるような、テープ28の重なり部分を接合するようにも働く。
接合工具40は、熱溶接ユニット、超音波溶接ユニット等とすることができる。以下において、接合プロセスは、超音波溶接によって実施される。他の方法、従って、他の接合工具40を用いて、テープ28を締結要素34及び/又はそれ自体に固定又は接続できることは明らかである。
【0040】
図1において、本発明による装置10は、一例として、多軸工業用ロボット44の取り付けプレート42に締結される。このために、ハウジング22は、取り付けプレート42の寸法に適合する、対応して形成された取り付けフランジを有する。本発明による装置10はまた、リール30、36が対応した寸法にされた、ピストル状の手工具の形態で実装できることも明らかである。手工具を用いて、自動化された方法で、ケーブル束を組み合わせ、緊密に巻き包み、以下の文中により詳細に説明されるように、巻き包まれる物品に対して所定の周方向位置にある締結要素34を備える形態で生成することができる。次いで、工業用ロボット44は、操作者の手に取って代わられる。
【0041】
この装置10はまた、長手方向に延びる物品を自動的に巻き包むための種々の方法ステップを調整する機能を果たす制御装置46を有する。制御装置46は、ライン50(例えば、バスライン)を介して、上位概念制御コンピュータ48に接続することができる。しかしながら、代替的手法として、無線接続52を介して、接続を行なうこともできる。工業用ロボット44が使用されているとき、ロボット44のプログラム可能論理制御(PLC)システム(図1には示されない)に制御システム46を接続し、ロボット44の動作シーケンスを装置10の方法ステップと調整することができる。
【0042】
図2は、図1の装置10の一部の分離図を示す。図1のロボット44は、図2には示されない。テープ28のリール30及び締結要素34のリール36についても同様である。
図2は、一例として、巻き包まれる物品としてケーブル束54を示す。ケーブル束54は、例えば、装置10により組み合わされてケーブルハーネスを形成する複数の個々のワイヤ56を含む。
図1と同様に、把持装置12は、閉位置で示される。ジョー14、16は、ピボット運動可能なように、ピボット軸受60において互いに対して取り付けられ、ここでは、一例として、第1のジョー14だけがピボット運動可能なように取り付けられる。第1のジョー14の開方向は、矢印58で示される。
【0043】
図3は、その後の図2の装置10を示す。把持装置12は、開位置で示される。ケーブル束54は、矢印62の方向に、把持装置12の巻き包み領域20内に移動される。ケーブル54は、巻き包み領域20の中心点21を覆う(図2を参照されたい)。巻き包み領域20内のいずれかの所望の位置においても、ケーブル束54を把持装置12に挿入できることは明らかである。
【0044】
図4は、図1乃至図3の本発明の装置10の一部分を示す。具体的には、把持装置12及び接合工具40の部分が、それぞれ、以下の図4乃至図9に示される。図4において、参照番号64は、ジョー14、16内に又はこれらに沿って延びる案内経路を示す。案内経路64は、巻き包み領域20を完全に、すなわち360°囲む。案内経路64は、例えば、締結要素34の外形に適合された、ジョー14、16の内周に沿って延びる溝の形態とすることができる。ジョー14及び16は、テープ26及び締結要素34を、巻き包み領域20の周りにジョー14、16内に又はこれらに沿って、周囲上のいずれの所望の位置にも移動させるのを可能にするための十分な空間を与えるように、内部を中空にすることができる。
【0045】
図4は、一例として、閉位置にある把持装置を示す。締結要素34は、第2の供給装置26(図4には示されない)の上方に設けられる。締結要素34は、図15及び図16を参照してより詳細にさらに説明されるように、テープ28を受けるための開口部を有することができる。次いで、第1の供給装置24は、締結要素34のこの開口部を通してテープ28を案内し、(既に分離された)締結要素34を通って、予め定めることが可能な前送り長さだけ押し出す。前送り長さ66により、巻き包まれる物品54(図4及び図5には示されない)の周囲に対して締結要素34を配置させる位置が定められる。このように予め定められる周方向位置は、図6及び図7を参照してさらに詳細に説明される。
【0046】
テープ28が、所定の前送り長さ66だけ締結要素34を通って案内された後、溶接ヘッド70、具体的には超音波溶接ヘッドの先端部を、矢印68の方向すなわち巻き包まれる物品の基準系における半径方向に、締結要素34及びテープ28に向けて移動させ、締結要素とテープを互いに固定することができる。これは、図5に示される。溶接ヘッド70は、テープ28に接触し、該テープ28を締結要素34に取り付ける。このために、締結要素34は、溶接ヘッド70が通ることができる対応する開口部を有する。本例においては、締結要素34が案内経路64内に保持され、従って、それ自体が(超音波)溶接プロセスに必要とされる嵌合部品であるため、例えばアンビルのような嵌合部品の使用は不要である。代替的な方法でテープ28及び締結装置34を互いに接合できることも明らかである。要素28及び34は、例えば、互いに溶接し、リベット留めし、圧締めすること等が可能である。締結要素34は、溶接中、ここには示されないアンビル要素により保持することができる。次に、アンビル要素は、描画面に対して垂直に移動可能に取り付けられる。ジョー14、16が依然として開いている場合に、溶接プロセスを行なうこともできる。テープ28を(供給)案内するために、後でアンビル要素を用いることができる。
【0047】
テープ28が成功裏に締結要素34に固定された後、溶接ヘッド70はその定位置に戻ることができる。この状況が、図6に示される。さらに、図6のケーブル束54は、既に巻き包み領域20の中心21に移動している。このために、図5の位置にある第1のジョー14を開いて、図3に示すように、ケーブル束54を、巻き包み領域20内に矢印62の方向に移動させることができる。しかしながら、代替的手法として、最初にケーブル束54を巻き包み領域20内に移動させ、その後にテープ28を締結要素34に固定することもできる。ジョー14、16が閉位置にある場合は、ケーブル束を描画面に対して垂直に移動させることにより、ケーブル束54を巻き付け領域20に導入することができる。
【0048】
図6において、テープ28は、既に一回だけ、案内経路64に沿ってケーブル束54の周りに、完全に、すなわち少なくとも360°にわたって巻き付けられている。図6の前送り長さ66’は、図4及び図5の前送り長さ66とは異なる。図6の前送り長さ66’は、前送り長さ66よりも長い。テープ28は、これに対応して矢印72の方向に前進される。これは、対応する前進駆動装置が設けられた第1の供給装置24によって行なうことができ、或いは、代替的手法として、好適な手段により締結要素34を案内経路64に沿って所望の周方向位置73に移動させること又は引くことができる。これらの手段は、第2の供給装置26の一部とすることができる。代替的手法として、これらの手段は、第2の供給装置26とは別個に設けてもよい。図6において、破線は、締結要素34を受けるのに適した例示的な駆動装置76を示す。駆動装置76は、所望の周方向位置73に固定することができる。テープ28が締結要素34に取り付けられると、駆動装置76はまた、図4及び図5における締結要素34の位置に対応する定位置からテープ28を引っ張ることもできる。
【0049】
第1の供給装置24がテープ28を前進させる実施形態においては、まず、周方向位置73の位置において、テープ28を締結要素34に取り付けることもできることが明らかである。この目的のために及び他の理由で、図6に矢印74で示されるように、把持装置12又は駆動装置76に対して周方向にピボット運動できるように、接合工具40又は溶接ヘッド70を取り付けることができる。溶接ヘッド70は、図6においては270°から360°まで、すなわち約300°である角度γを通って、周方向位置73に対応する角度位置に移動することができる。周方向位置73は、とりわけ、前送り長さによって定められる。
【0050】
図7は、締結要素34が所定の周方向位置73に移動されたときに、テープ28が、まず締結要素34に取り付けられる変形態様を示す。駆動装置76’は、溶接ヘッド70がテープ28を締結要素34に取り付けることができるように形成されることが明らかである。
参照番号76及び76’で示される図6及び図7のユニットは、必ずしもそれぞれテープ及び締結要素34を「駆動させる」必要がないことが明らかである。この場合、ユニット76及び76’は、案内経路64に沿って移動することができるが、締結要素34を周方向位置73にロックする目的のためだけに機能する。従って、次の方法ステップにおいて、テープ28が後退され、できる限りケーブルハーネスの個々のワイヤ56間に大きい空間が生成されないように、ケーブル束54の周りに覆いを配置し、それをケーブル束54の周りに緊張させるので、締結要素34を周方向位置73に固定することは重要である。このことは、図8に示される。
代替的に、ユニット76、76’の代わりに、ジョーのヒンジの領域内に対向キャリアを設けることができる。対向キャリアは、バンド28の重なり部分を互いに押し込むので、巻き付け領域において、締結要素34は、ケーブル束54上で自由に浮動する。後にバンド28は後退されるが、対向キャリアは、依然として、重なり部分を固定する。
【0051】
図8において、矢印78により後退が示される。後退は、第1の供給装置24の駆動装置によって実施することができる。この駆動装置は、トルクに応じてスイッチを切ることができる。力センサ79により、トルクを求めて制御装置46に信号で伝えることができる。所定の引張力に達すると、後退が停止される。
図8においては、テープ28の一部が重なっていることが分かる。次いで、テープ28のこれらの重なり部分を互いに接合して、物品24の周りへのテープ28の恒久的な固定を確実にすることができる。
巻き包みプロセスの際、締結要素34は、所定の周方向位置73にとどまることが分かる。例えば車両に取り付ける場合、後で車体の対応する対向部品と相互作用するように、すなわち締結するように、締結要素34を常にケーブルハーネスに対して異なる周方向位置に配置する必要があるために、このことは、特に長いケーブルハーネスの場合に特に重要である。
【0052】
テープ28がケーブル束54の周りに十分に緊張させられるとすぐに、テープ28の重なり部分を、例えば、互いに取り付けることができる。このプロセスの詳細な説明が、図11乃至図14に関連して与えられる。この目的のため、溶接ヘッド70は、後の半径方向運動によってテープ28の重なり部分の方向に移動できるように周方向にピボット運動されるか、又は代替的に、図6及び図7に示されるユニット76及び76’ と共に締結要素34を、例えば270°の角位置に移動させることができ、溶接ヘッド70を矢印68(図4を参照されたい)の方向に半径方向に調整するだけで、テープ28の重なり部分を互いに取り付けることができる。
次に、溶接ヘッド70を再び周方向に調整し、重なっていないテープ28の一部を、巻き包まれ、取り付けられたケーブル束54から分離することができる。代替的手法として、切断装置(ここでは図示されていない)により、切断することができる。切断されたテープ28が、図9に示される。
【0053】
図10は、テープ及び締結要素により、長手方向に延びる物品を自動的に巻き包むための方法を説明する。
第1のステップS1において、テープ28及び締結要素34が、装置10に供給される。さらに別のステップS2において、テープ28が、所定のテープ長66又は66’だけ締結要素34に対して前進され、前送り長さ66又は66’に達したとき、締結要素34に固定される(ステップS3)。ステップS4において、物品54が巻き包み領域20に移動される。ステップS5において、締結要素34は、物品54に対する所定の周方向位置73に移動され、そこにロックされる。ステップS6において、テープ28を後退させることによって、テープ28が、物品54の周りに緊張させられる。最後に、ステップS7において、テープ28の重なり部分が互いに接合される。本発明による方法の詳細は、既に上述されている。
【0054】
図12は、前の図に関連して用いられる、本発明によるテープ28の部分断面斜視図を示す。
テープ28は、コア領域90と、少なくとも1つの横方向に突出するタブ領域と、それぞれ対応するタブ94、96を有する。コア90は、図14に一例として示されるような、巻き包まれる物品54上にあることが意図される接触区域92を有する。接触区域92は、面98の反対側に配置される。面98は、面92に対してほぼ平行に配向され、テープ28が物品54の周りに完全に巻き付けられたときに、テープ28の重なり部分を支持する働きをする。接触区域92は、物品54を狭窄化しないように、縁部がないことが好ましい。
【0055】
テープ28はまた、いずれの場合も、コア90とタブ94及び96の一方との間にテープ28の長手方向102に延びる狭窄部分100も有する。図11において、この狭窄部分は、半円形の断面を有するように示される。狭窄部分100の形状は、所望のように選択することができることが明らかである。図14を参照してさらに詳細に説明されるように、狭窄部分100は、特に、重なり合うタブ部分が互いに接続された場合に、タブ94及び96の可撓性を増大させる働きをする。タブ94及び96は、接触区域92と角度αを形成し、接合工具40の対向部品が、タブの裏側により容易に係合することを可能にする。テープ28は、押し出しによって製造され、特に、冒頭に述べられ特性を有する溶接可能プラスチックで作られることが好ましい。
【0056】
図12において、図11のテープ28の断面が示され、概ね矩形のコア90(一点破線104と比較されたい)が、接触区域92の領域内に、内部コーティング106の形態の異なる材料組成物を有することができる。プラスチックの押し出しにおいて、接触区域92の領域106において僅かに変更された材料組成物を用いて、該接触区域92と巻き包まれる物品54との間の静止摩擦を低減させることができる。この方法により、後にピンと張られたテープ28を物品54の周方向及び軸方向の両方に移動させることが容易になり、取り付けプロセスの際に許容差の補償することが可能になる。
タブ94及び96は、外側に向けてテーパ状であることが好ましい。この方法により、材料の厚さが外側に向けて減少するため、重なり合うタブを溶接することがより容易になる。タブ94、96の表面94’、94”及び96’、96”は、重なり合うタブが互いに確実に接合するのを可能にするのに十分な大きさになるように選択される。
【0057】
図13は、重なり合った状態にある、本発明によるテープ28のさらに別の実施形態である。このテープ28は、接触区域92に塗布される付加的なコーティング108又は108’を有するという点で、図11及び図12のテープ28とは異なる。付加的な外部コーティング108、108’は、例えば、物品54に対して、意図せずに締結要素34の相対位置が移動するのを防止するための接着層とすることができる。さらに、外部層108は、同一のテープ28の重なり部分間の接続を助ける。従って、図13において、テープには、参照番号28及び28’のみが与えられ、最初にテープ28が物品54(ここには示されない)の周りに巻き付けられ、次に、ここでは28’と示される同じテープが重ねられることを示す。
【0058】
図14において、テープ28が同じように重なり合った状態で示される。さらに、超音波溶接プロセスを実行する際に必要とされる、例えばアンビルのような対向部品110、112が示される。
接触区域92は、図14に一点破線で示される物品54の外形又は表面55上にあることが分かる。補助線68は、溶接ヘッド70の半径方向運動の方向を示す(図14には示されないが、コア90が締結要素34に接続されているときの図4と比較されたい)。図14は、テープ28の重なり合うタブ部分の溶接プロセスを示すのに役立つ。
【0059】
アンビル110及び112は、テープ28のタブの裏側に係合し、溶接ヘッド70のための対向軸受として働く。図14においては、溶接ヘッド70の2つの異なる位置70’及び70”が示される。これらの位置に達することができるように、溶接ヘッド70は、図14の断面図において矢印114に沿ってピボット運動できるように取り付けられる。タブが互いに溶接されたとき、溶接方向68’又は68”は、締結要素34上のテープ28の二点間接触を示す方向68以外の方向であることが明らかに分かる。このことにより、ケーブル束54が接触区域92に溶接されないことが保証される。接触区域92がケーブル束54に溶接されることは、溶接後に、例えば許容差を補償するために、もはやテープ28がケーブル束54に対して位置決めされず、第2に、図14においてワイヤ56(図示せず)又はそれらの絶縁体が溶融し、短絡が生じることがあるため、不都合である。従って、短絡が排除される。
【0060】
これに関連して、図14は、閉位置にあるアンビル110、112を示すという事実を説明する。アンビル110、112は、閉位置では接触しない。対向部品110と112との間の距離は、周方向の接触区域92の長さに概ね対応するように選択されることが好ましい。この場合、対応部品110、112は、重なり合うテープ28とケーブル束54との間には延びないため、アンビル110、112の後退又は開放後、テープ28とケーブル束54との間に間隙は生成されない。従って、ケーブル束54の周りのテープ28の所望のプレストレスが維持される。
【0061】
図15は、本発明による締結要素34の例示的な実施形態の斜視図を示す。
締結要素34は、本体116を有する。本体は、第1の左側側柱要素118と、好ましくは第2の右側側柱要素120とを有する。しかしながら、第2の側柱要素120は、横方向に制限された壁のみにより実装することもできる。側柱要素118、120は、接続ストラット122−126により互いに接続される。接続ストラット122−126は、締結要素34の長手方向128に延びる。前述の締結要素が物品54に取り付けられた状態において、長手方向128は、物品54の軸方向に対応する。
【0062】
接続ストラット122−126は、テープ28を受けるのに適した開口部130を定める。図16を参照してさらにより詳細に説明されるように、開口部130は、漏斗状の形態であることが好ましい。
開口部130は、矢印132で示されるように、長手方向128に対して横断方向に延びる。
第1の側柱要素118及び/又は第2の側柱要素120は、図15における歯付き穴136の形態のクランプ要素134を有することができる。この歯付き穴136は、例えば車の車体部分に締結することができる、例えばピンなどの第2のクランプ要素(ここには図示されない)と相互作用することができる。次いで、締結要素34を用いて、ピン内に差し込まれた歯付き穴136により、ケーブルハーネスを車体に締結することができる。次いで、締結要素34は、接触面138を介してケーブル束上に載っている。
【0063】
図15の締結要素が、図16に部分断面図で示される。断面線が、図15に接続線XVI−XVIで示される。従って、図は、左側側柱要素118を右側から示す。
図16において、3つの接続ストラット122、124及び126がはっきりと見える。開口部130、具体的には漏斗状の開口部を定めるために、2つの接続ストラットだけを必要とすることが明らかである。締結要素34内のテープ28の進路をより明らかにするために、テープ28の部分が一点破線で示される。同様に一点破線で示されるケーブル束54にも同じことが当て嵌まる。図16の例においては、ケーブル束54は、事実上円形の外形を有する。締結要素34の接触面138は、ケーブル束54又は任意に形成される巻き包まれる物品54の外形140に適合されることが好ましい。
【0064】
長時間の後、締結要素34が引き続き物品54上に十分に緊密に載っていることを保証するために、側柱要素118、120は、いずれの場合にも、可撓性の接触舌部142を有する。この舌部142は、物品54の領域内に突出し、かつ、可撓性であることが好ましい。長時間の後にテープ28の張力が低下した場合には、予応力が付与された舌部142が張力から解放され、従って、物品54の周りにテープ28及び締結要素34を含むシステムが恒久的に緊張状態にあることを保証することができる。
物品54とは別の方向に向いた締結要素34の面146は、通常、車体部品上に載るように機能する。従って、締結要素34と車体部品との間に空隙が残るように、1つ又はそれ以上のスペーサ突起148を設けることができる。
横断方向のストラット122−126の構成は、接合工具40が、テープ28を、具体的には横断方向ストラット122に接続できるような方法で選択されることにも留意すべきである。接合工具40は、例えば、ストラット124と126との間に定められたさらに別の開口部を通って空間に貫入し、物品54とは別の方向を向いた、ストラット122上の面にテープ28を固定することができる。
【0065】
さらに、横断方向ストラットの領域においては、該横断方向ストラットに対して概ね平行に延び、その形状がテープ28の外形に適合されたストラップを設けることができる。このストラップ(ここには示されない)は、テープ28の重なり部分を結び付けるのを助ける。
【符号の説明】
【0066】
10:装置
12:把持装置
14:第1のジョー
16:第2のジョー
20:巻き包み領域
21:巻き包み領域の中心
22:ハウジング
24:第1の供給装置
26:第2の供給装置
28、28’:テープ
30:第1のリール
34:締結要素
36:第2のリール
40:接合工具
42:取り付けプレート
44:ロボット
46:制御装置
48:上位制御コンピュータ
50:ライン
52:無線接続
54:ケーブル束
60:ピボット軸受
64:案内経路
66、66’:前送り長さ
70:溶接ヘッド
76、76’:駆動装置
79:力センサ
90:コア
92:接触区域
94、96:タブ
94’、94”、96’、96”:タブの表面
100:狭窄部分
106:内部コーティング
108、108’:外部コーティング
110、112:アンビル
116:本体
118:左側側柱要素
120:右側側柱要素
122、124、126:接続ストラット
130:開口部
134:クランプ要素
136:歯付き穴
138:接触面
142:舌部
144:弾性領域
146:面
148:スペーサ突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向に延びる物品、具体的には、例えば、ケーブルハーネスとして自動車工業において用いられるケーブル又はケーブルの束を、自動的にかつ周方向に巻き包むための装置及び方法に関する。本発明は、特に、自動的周方向に巻き包みに用いられる締結要素に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、その開示が引用により本明細書に組み入れられる、2008年4月29日に出願された独国特許出願番号第10 2008 022335.2号に基づく利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
自動車の製造には、ケーブルハーネスが用いられることが多い。ケーブルハーネスは、信号又は情報或いは動作電流(エネルギー)を伝えるケーブルの束である。これらのケーブルは、例えば、クリップ、ケーブルバインダ又は管によって組み合わされる。現代の自動車は、合計で数キロメートルの距離に達しすることがある電線を有するものである。
【0003】
束にされたケーブルは、組み合わされてケーブルハーネスを形成し、かつ、特別な作業台(巻き包み区域)又は取付ボード(組付けボード)上で連結され、すなわち組み立てられる。この種のハーネスは、可撓性の程度が限られており、次工程で取り付けを行うことができる。ケーブルハーネスは、一般に、幾何学的条件及び電気的条件に従って組み立てられる。自動化の進歩にも関わらず、自動車産業において、ケーブルハーネスは、大部分が手作業で生産され続けている。この理由の1つは、多くの異なる動作シーケンスを必要とすること、例えば、ワイヤを管の中に通すこと、布テープで巻き包むこと、特に枝分かれしたワイヤ部分の上にテープを巻き付けること、接点をワイヤに固定すること、特に、いわゆる平行2線型端子(1つの接点上に2つのワイヤ)をワイヤに取り付けること、一方の管を他方の管に挿入すること、或いは複数の束をテープ、クリップ又はケーブルバインダによって固定すること等の動作シーケンスを必要とすることである。
【0004】
これらの動作シーケンスは、明らかに自動化するのが難しい。これまでは、機械の使用は、限られた程度までしか可能でなかった。しかしながら、職業上の能力をほとんどもたなくとも、対応する動作を迅速に習得することができるものである。従って、前述のように、手作業による生産は、自動化によるものより費用効果が高い。従って、ケーブルハーネスは通常、外国で、特に低賃金の国で製造されている。
【0005】
異なる車両、例えば重貨物車両においては、種々の構成及び車両長のものが備えられる結果として、非常に多くの異なる形態物が存在することになるので、非常に小さいバッチサイズ(1を含む)しか達成することができない。それにも関らず、同じ組付けボード上で異なる形態の物が製造される。人間は、「再プログラミング」することなく、短時間で異なる変形形態に適合することができるので、特にこの場合、人間には機械に優る利点がある。
【0006】
しかしながら、事前加工は、部分的な自動化が可能である。これは、とりわけ、個々のワイヤに切断すること(切断機械)、予め接触状態にされた状態で複数のワイヤが配置されたコネクタ・ハウジングを部分的に設けて複数のワイヤ端を溶接し、接点をワイヤの一方の側又は両側に取り付けること(溶接機械)、又はワイヤを捻じることに関するものである。
【0007】
しかしながら、手作業による製造工程は、予測されるエラー率が高く、品質保証に関する費用がより大きくなる。
【0008】
従来の手作業で組み立てられたケーブルハーネスは、自動車製造業者に配送され、最終組み立ての際に車両に挿入される。ここで、ケーブルハーネスをどのように自動車内に固定するかという付加的な問題が生じる。特許文献1及び特許文献2は、プラスチックの締結要素を開示する。しかしながら、これらの締結要素は、ケーブルハーネスに手作業で取り付けなければならない。このことは、手作業により、ケーブルハーネス上で軸方向及び周方向の両方に正確な位置決めすることを必要とする。
【0009】
特許文献3、特許文献4及び特許文献5は、部分的に自動化された解決法への初期の手法を記述する。しかしながら、これらの装置には、重すぎ、かつ、嵩ばりすぎるという不利な点がある。従って、マイクロエレクトロニクスの分野における開発の過程で、よりコンパクトで信頼性の高い結束装置に対する必要性が増大した。特許文献3(上述)は、例示的な結束装置を説明する。この工具の場合は、第1の位置でケーブル束を巻き付け領域内に受け入れ、第2の位置でケーブル束を囲んで、巻き付け用テープをケーブル束の周りに案内することができる、移動可能な案内要素が設けられる。この巻き付け用テープは、超音波によりケーブル束に溶接される。このために、ペンチ状アンビルを有するソノトロードが用いられる。アンビルのペンチは、各々がL字型であり、溶接プロセス中に巻き付け用テープが周りに巻き付けられることになるケーブルの束内に突出する。類似した問題が、特許文献6に説明される。溶接プロセス中に、ハーネスのワイヤが、意図しないのに互いに溶接されることがある。さらに、これらL字型の嵌合部品は、溶接プロセスが行なわれた後、ケーブルの束から引き抜かれた後に空隙を残すので、予め締め付けられたワイヤが、特定の状況下で、再び緩むことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許第295 10 148号
【特許文献2】独国特許第103 49 046号
【特許文献3】米国特許第4,265,687号
【特許文献4】米国特許第4,368,762号
【特許文献5】米国特許第4,371,010号
【特許文献6】独国特許第34 13 099 C2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の1つの目的は、ケーブル、ケーブル束及びケーブルハーネスを、自動化された方法で結束し、かつ、締結要素によって所望の周方向位置に配置することができるシステム及び方法を提供することである。特定的な目標は、巻き付け用テープと巻き付けられる物品との間の意図しない接続を回避することである。さらに、巻き付けられる物品間の空隙を可能な限り小さく保持すべきである。この場合、プロセスの信頼性及び低いエラー率に特別な価値が置かれる。本システムは、非常に費用効果が高いので、工業国において実施することができる。ケーブルハーネス製造のできるだけ早い段階で、締結要素は、ケーブルハーネスの周りに対して正しい位置に固定すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
軸方向に延びる物品、特にケーブル又はケーブル束を、物品の軸方向に対して実質的に垂直に配向された巻き付け面において、締結要素に接続可能な巻き付け用テープによって自動的に周方向に巻き包むための装置が説明され、この装置は、互いに移動可能なように装着された少なくとも1つの第1のジョーと第2のジョーとを有する把持装置を有し、これらのジョーは、テープを巻き付けるための閉位置にあるとき、巻き包まれる物品が配置される巻き付け領域を囲むようになり、一方、ジョーが開位置にあるときには、締結要素及び巻き付け用テープを巻き包まれる物品の周りに周方向に案内できるように構成され、接合工具が設けられて、テープが少なくとも一回完全に巻き包まれる物品の周りに周方向に導かれたとき、テープの重なり合う部分の少なくとも一部を接合し、かつ、巻き包まれる物品から分離して、テープを締結要素に接合するようにされており、第1の供給装置が設けられて、巻き付け動作中に、把持装置に対してテープを、好ましくは連続的に、前進運動及びテープを緊張させるための後退運動を行わせながら送り、締結要素を把持装置に供給するために第2の供給装置が設けられ、制御装置が、締結要素を物品に対する所定の周方向位置にロックし、第1の供給装置を作動させて、テープを所定のテープ長さだけ締結要素に対して前進させるように構成される。
【0013】
こうした装置を用いて、多くのプロセスを自動化することができる。本発明に従った巻き付け用テープによるケーブルハーネスの巻き包みが自動化される。締結要素の巻き付けテープへの取り付けが自動化される。巻き包まれる物品の周囲に対する、締結要素の位置決めが自動化される。この種の装置は、何の問題もなく、最新の多軸式工業用ロボットに後付けすることができるため、本装置は、完全に自動化された自動車製造ラインにおいてさえ用いることができる。
【0014】
低賃金の国におけるケーブルハーネスの手作業による生産が不要になる。対応する作業を繰り返し、現場でより費用効果の高い価格で実行することができる。品質保証に関連してなすべき労力は、手作業による組み立ての場合よりも著しく少ない。品質の大幅な改善が達成される。
テープ長を予め定めることによって、巻き包まれる物品の周囲上の締結要素の相対的な位置を、予め定めることができる。前送りテープ長を長くするほど、テープが緊張させられた後に重なり合う巻き付けテープが、例えば溶接されることによって形成されるシームから、締結要素がより遠くなる。
【0015】
第2の供給装置は、締結要素を受け入れ、ジョーに沿って所定の周方向位置に移動することができ、周方向位置にロックすることができる、駆動ユニットを含むものとすることができる。
本実施形態においては、第2の供給装置又はその駆動ユニットは、テープを緊張させるために後退される前に、巻き付け用テープを締結要素と共に正しい周方向位置に配置する役割を担う。従って、この場合、例えば重力によって巻き付け用テープを把持装置に供給するだけで十分である。また、供給装置が、後退用駆動装置のみを有し、前進用駆動装置をもたないものでも十分である。
【0016】
代替的手法として、周方向にジョーに沿って移動することができる、締結要素のためのロック装置を設けることができる。
この代替的な実施形態においては、第1の供給装置には、巻き包まれる物品に最終的に巻き付けられるまでテープを前進させるための前進用駆動装置が与えられる。例えば牽引車輪などの第2の供給装置の上に設けられた締結要素を、例えば前もって、テープに固定し、次いで、把持装置のジョーに沿って、テープと一緒に周方向位置に案内することができる。緊張させるためにテープが再び後退されるとすぐに、締結要素のためのロック装置がこの所望の周方向位置に移動され、締結要素をそこに受け入れ、ロックする。
後続の作業ステップにおいて周方向位置が変化すると、ロック装置は、各々の場合について別個の方法で、所望の周方向位置に接近することができる。ジョーは、ロック装置及び巻き付け用テープが案内される、例えば溝などの対応する案内部を有することが好ましい。
【0017】
さらに別の実施形態によると、工具が、把持装置に対して周方向にピボット運動できるように取り付けられる。
この手法は、互いに独立した2つの利点を有する。第1に、工具をテープ(連続的な形態で与えられる)の切断装置として用いることができる。締結要素がテープに接続され、テープが再び該テープ自体に接続されるとすぐに、工具を周方向にピボット運動させて、一種のブレードとして使用し、テープの残りを切り離すことができる。この場合、巻き包まれる物品が管に挿入されるときに管への挿入を阻害することになる突起が、テープ上に形成されることはない。第2に、巻き包まれる物品に対する重なり領域の周方向位置に関係なく、テープの重なり領域を何の問題もなく互いに接続することができる。例えば、ケーブルハーネスの長さ方向のクリップ固定位置に応じて、締結要素の所定の周方向位置をクリップごとに変えることが可能である(例えば、一つ目は90°、2つ目は270°とする)。接合工具は、これらの条件に適合できるものでなければならない。
【0018】
従って、工具が、物品の横断面に対して垂直に向いた面内においてピボット運動できるように取り付けることも、有利な結果をもたらす場合がある。
しかしながら、上述のピボット運動を可能にすることは、コア領域と該コア領域から横方向に突出するタブ領域とを有し、コア領域(だけ)が巻き包まれる物品上に載っている状態でタブ領域を互いに接続しなければならないように構成された巻き付け用テープを用いるときに特に有利である。これにより、タブの接続方向が、テープと物品との間の接続方向に対してある角度をなして延びるようにすることができる。従って、物品が意図せずに巻き付け用テープに溶接される危険が減少する。
【0019】
さらに別の好ましい実施形態によると、工具は、半径方向に移動することができる溶接ヘッド、具体的にはソノトロード(超音波射出部材)と、溶接対向要素とを有する。
ソノトロードは、高周波の機械的振動(超音波)を導入することによって共振状態で振動するように作られた工具である。これらの振動は、超音波発生装置と加工物との間の接続をもたらし、超音波振動を処理タスクに適合させる(インピーダンス整合)。ソノトロードは、超音波溶接において用いられ、種々のプロセスのために、接合ゾーン又は接触ゾーン内の構成要素間の恒久的な接続をもたらす。ソノトロードは、通常、アルミニウム、チタン、又は鋼から生成される。その幾何学的形状は、用いられる発生装置によりもたらされる周波数及び処理タスクに応じて決まる。超音波溶接においては、接続は、力と運動により引き起こされる。接合ゾーンにおいて生じる温度の上昇は、結局溶接プロセスを助ける働きをする結果になる。接合力及び超音波振動は、同じ作用方向を有する。導入される縦波により、材料及び接合ゾーン内に脈動圧縮荷重が生じ、これにより加工物の可塑化がもたらされる。恒久的で、機械的に安定した接続が形成される。
【0020】
プロセス関連及び材料関連の溶接影響変数が、それらに応じて設定される。プロセス関連パラメータは、溶接振幅、溶接力、及び単位面積当たりのそれぞれの導入溶接エネルギーのレベルを定める導入溶接時間又は溶接速度を含む。溶接周波数が、それぞれの溶接システムについてしっかりと定められる。通例のオペレータ周波数は、20kHzから40kHzまでの間である。振動振幅は、5μmから40μmまでの範囲で変化し得る。2地点間接続を生成する場合、必要とされる溶接時間は3秒未満である。毎分25mまでの速度で、溶接シームを生成することができる。
【0021】
プロセス変数は、常に、材料に関連する影響変数を考慮して適合させねばならない。従って、接合部分の物理的及び技術的特性が、特に超音波溶接能力に影響を与える。高い硬度及び高いGモジュールは、例えば、超音波エネルギーを伝達する能力を助ける。対照的に、比較的高い材料延性は、最適な溶接表面の形成を必要とする。超音波溶接において、表面粗さも非常に重要である。平均粗さの値が20μmより大きいと、ほんの数個の粗さピークでしか、2地点間のエネルギー伝達がもたらされない。その結果、これらの地点において、周囲の材料に対して急峻な温度勾配を有する、所謂「ホットスポット」が生成される。
【0022】
接合工具の対向要素は、閉位置では接触しない2つのペンチ状の対向部品を有することが好ましい。
対向部品は接触しないため、対向部品はテープを完全に囲まない。従って、テープを裏側からのみ把持し、かつ、接合プロセスを、好ましくは側部においてのみ、すなわちテープのコア領域の外でのみ行なうことが可能になる。従来技術では通例である、閉位置において接触する対向部品を引き抜くことにより生成される空隙を回避することができる。ケーブルハーネスにおけるケーブルの所望の密な充填を維持することができる。これは、後で変更することはできない。
具体的には、対向部品は、テープのタブだけが互いに溶接されるように形成される。コアは、巻き包まれる物品に溶接されない。このことにより、例えば、ケーブル束のケーブルの絶縁体が溶融し、短絡が生成されることが防止される。
【0023】
さらに、締結要素がテープによって対象物に固定された後に、残りのテープを切り離す切断装置を付加的に設けることは利点をもたらす。
このことは、連続的な巻き付け用テープを用いるときに特に有利である。さらに別の好ましい実施形態によると、テープが後退される力を判断するためのセンサも設けられる。これにより、テープが常に、所望の張力により巻き包まれる物品の周りに伸張されることが保証される。ケーブルハーネスのケーブルは、挟まれることはなく、緩みもしない。これはまた、締結要素がその所定の周方向位置にとどまることを保証する。設定された引張応力に応じて、締結要素を、巻き付けられる物品の周方向及び/又は半径方向に後で移動させて、例えば組み立て公差を補償することができる。締結要素の対向部品を車体上に取り付けるとき、一定量の遊びが常に生じるため、後で所定の位置を僅かに変更できるようになり有利である。
【0024】
さらに、軸方向に延びる物品、特にケーブル又はケーブル束を、軸方向に対して概ね垂直に配向された巻き包み面において、締結要素に接続可能な巻き付け用テープで自動的に周方向に巻き包むための方法が説明され、この方法は、テープを供給し、締結要素を供給し、締結要素に対して所定のテープ長だけテープを前進させ、次いでテープ及び締結要素を互いに接合し、物品を巻き包み領域に移動させ、締結要素を物品に対する所定の周方向位置に移動させて、締結要素を周方向位置に固定し、テープが接合ステップにより締結要素に固定され、かつ、締結要素が周方向位置に固定されたときに、テープを後退させることによって、物品の周りにテープを緊張させ、テープの重なり部分を接合するステップを含む。
【0025】
上記に説明した方法は、締結要素が、自動化された方法で、所定の周方向位置においてケーブルハーネスに固定されることを保証する。手作業の労力の使用は、もはや必要とされない。品質に関する高い要求が満たされる。さらに、ケーブルハーネスの製造及び生産を、工業国において行なうこともできる。
さらに、軸方向に延びる物品、特にケーブル又はケーブル束を自動的に周方向に巻き包むための、物品の周りに巻き付けられ、次いで緊張され、重なり合った状態で自身に接合されるのに適した巻き付け用テープが説明され、このテープは、物品上に載るように意図された、接触区域を有するコアと、コアから横方向に突出する少なくとも1つのタブとを有し、各々のタブは、テープが物品の周りに巻き付けられたとき、接合工具が接触区域の裏側に係合することなく、該接合工具がタブの裏側に係合して、重なり合うテープ部分のタブは互いに接合できるようになる角度を接触区域との間で形成する。
これにより、テープが物品自体に溶接されることが防止される。上述のように、ケーブルハーネスにおけるケーブル内の空隙が回避される。
【0026】
好ましい実施形態によれば、タブは、コアと一体的に形成される。
この場合において、テープは、押し出し成形することができる。プロセス工学の観点から、製造が簡単で効率的である。
さらに特定の実施形態によると、コアの接触区域とは反対側の面上において、タブとコアとの間に狭窄部分が設けられ、この狭窄部分が、概ねテープの長手方向に延びる。
該狭窄部分は、コアに対するタブの可撓性を増大させる。このことは、タブがソノトロードの対向部品に対して比較的小さい場合に、又は、対向部品がタブの裏側に確実に係合するのに十分なほど鋭利ではない場合に有利になる。この場合、特に溶接プロセスの際、可撓性タブを、巻き付けられる物品から離れるように屈曲させることが可能である。第2に、狭窄部分は、溶接プロセスが行なわれた後、タブが巻き付けられる物品上に載っていることを可能にする。
特定的には、テープは、溶接可能な弾性プラスチックから、特に、テープの長手方向に所定の引張強度を有するように形成される。
【0027】
コアは、概ね矩形の断面を有することが好ましい。
長辺の1つは、物品又は締結要素上の当接面として働く。テープは、通常、物品上に平らに置かれる。
タブの断面が、コアに対して外側に向けてテーパ状になるようにすることも、利点をもたらす。
互いに接合されるタブの材料層が小さいほど、溶接時間は短くなり、重なり合うテープ部分間の恒久的かつ堅牢な接続の信頼性が増す。さらに、材料厚が薄い領域は、材料厚が厚い領域より可撓性がある。これにより、ソノトロードの対向部品が閉位置に移動したとき、巻き付けテープの裏側に係合することが容易になる。
【0028】
さらに別の好ましい実施形態によると、タブの表面は、重なり合うタブの恒久的接合を確実にするのに十分大きくなるように選択される。
タブは、さもなければ、巻き付けテープを緊張させることによって生じる高荷重に耐えることができないので、小さすぎるものであってはならないことが明らかである。
特定的には、コアの接触区域は、縁部をもたないように形成される。
この手法により、巻き付けテープは、巻き包まれる物品上に可能な限り平らに置かれることが保証される。テープによる巻き包まれる物品の狭窄化が防止される。
【0029】
代替的手法として、接触区域は、接着剤で被覆することができる。
この場合には、所定の周方向位置を永久的に維持することが保証される。従って、物品の周方向又は軸方向に巻き付けテープが滑ること又は移動することを防止できる。
【0030】
上述の目的はまた、巻き付けテープにより、構成部品、特に自動車の車体の構成部品に取り付けられる、長手方向に延びる物品、特にケーブル又はケーブル束を締結するための締結要素によっても達成され、この締結要素は、第1の側柱要素及び第2の側柱要素を含む本体と、該側柱要素を本体の長手方向に互いに接続し、かつ、テープを受けるための開口部を定める少なくとも2つの接続ストラットとを有し、このテープは、該テープにより物品を周方向に巻き包むように、長手方向に対して概ね横断方向に、具体的には垂直に開口部に挿入可能である。
締結要素は、巻き付け用テープにより、自動化された方法でケーブル束の周りに巻き付けられ、ケーブルハーネスを生成することができるように形成される。締結要素を巻き包まれる物品に対する所定の周方向位置に移動させるために、手作業の動作は不要である。
【0031】
締結要素は、構成部品に接続される第2のクランプ要素と共にクランプ・ユニットを形成する第1のクランプ要素を有することが好ましいので、例えば車体におけるピン上にクランプすることができる。
締結要素は、漏斗状の開口部を有することが好ましい。
漏斗状の開口部は、特に機械が使用されるときに、テープを締結要素内に挿入するのを容易にする。
第1のクランプ部材が穴である場合も有利である。
この場合、第2のクランプ要素は、締結要素を差し込むことができるタイプのピン又はボルトを構成する。
【0032】
本体の接触面は、該本体が接触する物品の外形に適合されることが好ましい。
このことは、自動化された巻き付けプロセスの際に、可能な限り密なケーブル束の充填が維持されることを保証する。
特定的には、接触面は、側柱要素の部分により定められる。この場合、側柱要素の各々は、物品の方向に突出する弾性領域を有する接触区域を有するものとすることができる。
側柱要素は、巻き包まれる物品の構成部品を互いに緊密に押し付けるのに役立つ。可能な限り密な充填が維持される。従って、許容差を補償することができる。
さらに、接続ストラットの1つによって、接触面を定めることができる。これにより、巻き包まれる物品上で締結要素を調整することが容易になる。
特定的には、接続ストラットは棒の形状であるため、巻き包まれる物品の長手方向に配向を行なうことが好ましい。
【0033】
さらに別の有利な実施形態によると、第3の接続ストラットが設けられる。
第3の接続ストラットは、締結要素の接続の剛性を増大させる。
取り付けられた状態の構成部品の方向に向けられた本体のさらに別の面が、この面から突出する1つ又はそれ以上のスペーサ突起を有するようにすることが利点をもたらすことも分かった。
締結要素が取り付けられた状態において、次に、締結要素を、例えば車体からより簡単な方法で解放することができる。スペーサ突起のために、締結要素は、車体上に平らには着座されず、従って、例えば、ねじ回しにより下方から締結要素を操作して、締結要素を解放することができる。
【0034】
上述の特徴及び以下にさらに説明される特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれの予め特定された組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせ又はそれ自体においても用い得ることが明らかである。
本発明の例示的な実施形態は、以下の説明により詳細に説明され、かつ、図面に示される。
以下の本発明の説明において、同一の部分に同様な参照番号が与えられる。同一の参照番号が用いられる場合、その部分には変更はない。逸脱及び修正があれば、それは、明示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による、物品、特にケーブルハーネスを自動的に巻き付けるための装置の概略的な側面図を示す。
【図2】図1の閉位置にある把持装置、第1の供給装置及び第2の供給装置の拡大図を示す。
【図3】ケーブル束が把持装置に挿入された状態の、開位置にある図2の把持装置を示す。
【図4】接合工具が付加的に示された、図1−図3の把持装置の分離図を示す。
【図5】締結要素が接合工具により巻き付けテープに固定された、図4の要素を示す。
【図6】締結要素が所定の周方向位置にロックされた状態の、テープがケーブル束の周りに巻き付けられた後の図5の要素を示す。
【図7】締結要素が、最初に周方向位置においてテープ上に固定された、図6の代替的手法を示す。
【図8】テープがピンと張られ、センサにより張力が求められる、巻き付けられた状態のケーブル束を示す。
【図9】テープの残りが接合工具によって分離された、巻き付けられ固定された状態のケーブル束を示す。
【図10】本発明による方法のフローチャートを示す。
【図11】本発明によるテープの部分断面斜視図を示す。
【図12】図11のテープを通る断面を示す。
【図13】テープの一部が重なった状態の、本発明によるテープの代替的な実施形態を示す。
【図14】接合工具の対向部品がテープのタブの裏側に係合する、接合工具によって固定される直前の重なり合うテープを示す。
【図15】本発明による締結要素の概略的な等角図を示す。
【図16】図15の締結要素の部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、多軸式ロボットに取り付けられた、本発明による装置10を示す。
本装置10は、第1のジョー14及び第2のジョー16を含む把持装置12を有する。図1において、第1のジョー14及び第2のジョー16は、閉位置で示される。ジョー14、16は、互いにピボット運動できるように取り付けられる。図1の特定の例においては、ジョー14、16は、第1のジョー14がピボット運動可能であり、第2のジョー16が固定された状態で、互いにピボット運動できるように取り付けられる。ジョー14、16の両方が移動可能であってもよく、代替的手法として、ジョー14、16が、開閉するために、互いに対して移動できるようにも取り付けられることは言うまでもない。図1において、対応する開動作及び閉動作が、両頭矢印18で示される。
【0037】
ジョー14、16は、巻き包み領域20を囲み、ここで、以下に説明されるように、例えばケーブル又はケーブル束などの物品を自動化された方法で組み合わせ、巻き包んで、例えばケーブルハーネスを生成することができる。巻き包み領域20の(幾何学的)中心が、図2の点21で示される。
図1に示されるように、把持装置12は、装置10のハウジング内に統合される。
【0038】
この装置10はまた、第1の供給装置24及び第2の供給装置26を有する。第1の供給装置24は、ここでは、矢印32の方向に第1のリール30から連続的な巻き付け用テープ又はテープ28を巻き戻して装置10に供給するために用いられる。第2の供給装置26は、ここでは、矢印38の方向に連続的な形態で与えられる締結要素34を繰り出して装置10に供給するために用いられる。後で、例えば車体上の対応する嵌合部品にクランプされるテープ28及び締結要素34の両方を、個別にすなわち非連続的に供給することもできることは言うまでもない。締結要素34は、ベルトテープに取り外し可能に貼り付けることもできる。テープ28の特定の実施形態は、図11乃至図13を参照して説明される。締結要素34の特定の実施形態は、図15及び図16を参照して説明され、図11乃至図16に示される実施形態は、本質的に例示的なものにすぎず、多数の修正を施すことができることが理解される。
【0039】
図1の装置10はまた、必要に応じて、テープ28を、例えばクリップ34などの締結要素34に固定できる、接合工具40を有する。接合工具40(図1には明示的に示されない)はまた、図14に一例として示されるような、テープ28の重なり部分を接合するようにも働く。
接合工具40は、熱溶接ユニット、超音波溶接ユニット等とすることができる。以下において、接合プロセスは、超音波溶接によって実施される。他の方法、従って、他の接合工具40を用いて、テープ28を締結要素34及び/又はそれ自体に固定又は接続できることは明らかである。
【0040】
図1において、本発明による装置10は、一例として、多軸工業用ロボット44の取り付けプレート42に締結される。このために、ハウジング22は、取り付けプレート42の寸法に適合する、対応して形成された取り付けフランジを有する。本発明による装置10はまた、リール30、36が対応した寸法にされた、ピストル状の手工具の形態で実装できることも明らかである。手工具を用いて、自動化された方法で、ケーブル束を組み合わせ、緊密に巻き包み、以下の文中により詳細に説明されるように、巻き包まれる物品に対して所定の周方向位置にある締結要素34を備える形態で生成することができる。次いで、工業用ロボット44は、操作者の手に取って代わられる。
【0041】
この装置10はまた、長手方向に延びる物品を自動的に巻き包むための種々の方法ステップを調整する機能を果たす制御装置46を有する。制御装置46は、ライン50(例えば、バスライン)を介して、上位概念制御コンピュータ48に接続することができる。しかしながら、代替的手法として、無線接続52を介して、接続を行なうこともできる。工業用ロボット44が使用されているとき、ロボット44のプログラム可能論理制御(PLC)システム(図1には示されない)に制御システム46を接続し、ロボット44の動作シーケンスを装置10の方法ステップと調整することができる。
【0042】
図2は、図1の装置10の一部の分離図を示す。図1のロボット44は、図2には示されない。テープ28のリール30及び締結要素34のリール36についても同様である。
図2は、一例として、巻き包まれる物品としてケーブル束54を示す。ケーブル束54は、例えば、装置10により組み合わされてケーブルハーネスを形成する複数の個々のワイヤ56を含む。
図1と同様に、把持装置12は、閉位置で示される。ジョー14、16は、ピボット運動可能なように、ピボット軸受60において互いに対して取り付けられ、ここでは、一例として、第1のジョー14だけがピボット運動可能なように取り付けられる。第1のジョー14の開方向は、矢印58で示される。
【0043】
図3は、その後の図2の装置10を示す。把持装置12は、開位置で示される。ケーブル束54は、矢印62の方向に、把持装置12の巻き包み領域20内に移動される。ケーブル54は、巻き包み領域20の中心点21を覆う(図2を参照されたい)。巻き包み領域20内のいずれかの所望の位置においても、ケーブル束54を把持装置12に挿入できることは明らかである。
【0044】
図4は、図1乃至図3の本発明の装置10の一部分を示す。具体的には、把持装置12及び接合工具40の部分が、それぞれ、以下の図4乃至図9に示される。図4において、参照番号64は、ジョー14、16内に又はこれらに沿って延びる案内経路を示す。案内経路64は、巻き包み領域20を完全に、すなわち360°囲む。案内経路64は、例えば、締結要素34の外形に適合された、ジョー14、16の内周に沿って延びる溝の形態とすることができる。ジョー14及び16は、テープ26及び締結要素34を、巻き包み領域20の周りにジョー14、16内に又はこれらに沿って、周囲上のいずれの所望の位置にも移動させるのを可能にするための十分な空間を与えるように、内部を中空にすることができる。
【0045】
図4は、一例として、閉位置にある把持装置を示す。締結要素34は、第2の供給装置26(図4には示されない)の上方に設けられる。締結要素34は、図15及び図16を参照してより詳細にさらに説明されるように、テープ28を受けるための開口部を有することができる。次いで、第1の供給装置24は、締結要素34のこの開口部を通してテープ28を案内し、(既に分離された)締結要素34を通って、予め定めることが可能な前送り長さだけ押し出す。前送り長さ66により、巻き包まれる物品54(図4及び図5には示されない)の周囲に対して締結要素34を配置させる位置が定められる。このように予め定められる周方向位置は、図6及び図7を参照してさらに詳細に説明される。
【0046】
テープ28が、所定の前送り長さ66だけ締結要素34を通って案内された後、溶接ヘッド70、具体的には超音波溶接ヘッドの先端部を、矢印68の方向すなわち巻き包まれる物品の基準系における半径方向に、締結要素34及びテープ28に向けて移動させ、締結要素とテープを互いに固定することができる。これは、図5に示される。溶接ヘッド70は、テープ28に接触し、該テープ28を締結要素34に取り付ける。このために、締結要素34は、溶接ヘッド70が通ることができる対応する開口部を有する。本例においては、締結要素34が案内経路64内に保持され、従って、それ自体が(超音波)溶接プロセスに必要とされる嵌合部品であるため、例えばアンビルのような嵌合部品の使用は不要である。代替的な方法でテープ28及び締結装置34を互いに接合できることも明らかである。要素28及び34は、例えば、互いに溶接し、リベット留めし、圧締めすること等が可能である。締結要素34は、溶接中、ここには示されないアンビル要素により保持することができる。次に、アンビル要素は、描画面に対して垂直に移動可能に取り付けられる。ジョー14、16が依然として開いている場合に、溶接プロセスを行なうこともできる。テープ28を(供給)案内するために、後でアンビル要素を用いることができる。
【0047】
テープ28が成功裏に締結要素34に固定された後、溶接ヘッド70はその定位置に戻ることができる。この状況が、図6に示される。さらに、図6のケーブル束54は、既に巻き包み領域20の中心21に移動している。このために、図5の位置にある第1のジョー14を開いて、図3に示すように、ケーブル束54を、巻き包み領域20内に矢印62の方向に移動させることができる。しかしながら、代替的手法として、最初にケーブル束54を巻き包み領域20内に移動させ、その後にテープ28を締結要素34に固定することもできる。ジョー14、16が閉位置にある場合は、ケーブル束を描画面に対して垂直に移動させることにより、ケーブル束54を巻き付け領域20に導入することができる。
【0048】
図6において、テープ28は、既に一回だけ、案内経路64に沿ってケーブル束54の周りに、完全に、すなわち少なくとも360°にわたって巻き付けられている。図6の前送り長さ66’は、図4及び図5の前送り長さ66とは異なる。図6の前送り長さ66’は、前送り長さ66よりも長い。テープ28は、これに対応して矢印72の方向に前進される。これは、対応する前進駆動装置が設けられた第1の供給装置24によって行なうことができ、或いは、代替的手法として、好適な手段により締結要素34を案内経路64に沿って所望の周方向位置73に移動させること又は引くことができる。これらの手段は、第2の供給装置26の一部とすることができる。代替的手法として、これらの手段は、第2の供給装置26とは別個に設けてもよい。図6において、破線は、締結要素34を受けるのに適した例示的な駆動装置76を示す。駆動装置76は、所望の周方向位置73に固定することができる。テープ28が締結要素34に取り付けられると、駆動装置76はまた、図4及び図5における締結要素34の位置に対応する定位置からテープ28を引っ張ることもできる。
【0049】
第1の供給装置24がテープ28を前進させる実施形態においては、まず、周方向位置73の位置において、テープ28を締結要素34に取り付けることもできることが明らかである。この目的のために及び他の理由で、図6に矢印74で示されるように、把持装置12又は駆動装置76に対して周方向にピボット運動できるように、接合工具40又は溶接ヘッド70を取り付けることができる。溶接ヘッド70は、図6においては270°から360°まで、すなわち約300°である角度γを通って、周方向位置73に対応する角度位置に移動することができる。周方向位置73は、とりわけ、前送り長さによって定められる。
【0050】
図7は、締結要素34が所定の周方向位置73に移動されたときに、テープ28が、まず締結要素34に取り付けられる変形態様を示す。駆動装置76’は、溶接ヘッド70がテープ28を締結要素34に取り付けることができるように形成されることが明らかである。
参照番号76及び76’で示される図6及び図7のユニットは、必ずしもそれぞれテープ及び締結要素34を「駆動させる」必要がないことが明らかである。この場合、ユニット76及び76’は、案内経路64に沿って移動することができるが、締結要素34を周方向位置73にロックする目的のためだけに機能する。従って、次の方法ステップにおいて、テープ28が後退され、できる限りケーブルハーネスの個々のワイヤ56間に大きい空間が生成されないように、ケーブル束54の周りに覆いを配置し、それをケーブル束54の周りに緊張させるので、締結要素34を周方向位置73に固定することは重要である。このことは、図8に示される。
代替的に、ユニット76、76’の代わりに、ジョーのヒンジの領域内に対向キャリアを設けることができる。対向キャリアは、バンド28の重なり部分を互いに押し込むので、巻き付け領域において、締結要素34は、ケーブル束54上で自由に浮動する。後にバンド28は後退されるが、対向キャリアは、依然として、重なり部分を固定する。
【0051】
図8において、矢印78により後退が示される。後退は、第1の供給装置24の駆動装置によって実施することができる。この駆動装置は、トルクに応じてスイッチを切ることができる。力センサ79により、トルクを求めて制御装置46に信号で伝えることができる。所定の引張力に達すると、後退が停止される。
図8においては、テープ28の一部が重なっていることが分かる。次いで、テープ28のこれらの重なり部分を互いに接合して、物品24の周りへのテープ28の恒久的な固定を確実にすることができる。
巻き包みプロセスの際、締結要素34は、所定の周方向位置73にとどまることが分かる。例えば車両に取り付ける場合、後で車体の対応する対向部品と相互作用するように、すなわち締結するように、締結要素34を常にケーブルハーネスに対して異なる周方向位置に配置する必要があるために、このことは、特に長いケーブルハーネスの場合に特に重要である。
【0052】
テープ28がケーブル束54の周りに十分に緊張させられるとすぐに、テープ28の重なり部分を、例えば、互いに取り付けることができる。このプロセスの詳細な説明が、図11乃至図14に関連して与えられる。この目的のため、溶接ヘッド70は、後の半径方向運動によってテープ28の重なり部分の方向に移動できるように周方向にピボット運動されるか、又は代替的に、図6及び図7に示されるユニット76及び76’ と共に締結要素34を、例えば270°の角位置に移動させることができ、溶接ヘッド70を矢印68(図4を参照されたい)の方向に半径方向に調整するだけで、テープ28の重なり部分を互いに取り付けることができる。
次に、溶接ヘッド70を再び周方向に調整し、重なっていないテープ28の一部を、巻き包まれ、取り付けられたケーブル束54から分離することができる。代替的手法として、切断装置(ここでは図示されていない)により、切断することができる。切断されたテープ28が、図9に示される。
【0053】
図10は、テープ及び締結要素により、長手方向に延びる物品を自動的に巻き包むための方法を説明する。
第1のステップS1において、テープ28及び締結要素34が、装置10に供給される。さらに別のステップS2において、テープ28が、所定のテープ長66又は66’だけ締結要素34に対して前進され、前送り長さ66又は66’に達したとき、締結要素34に固定される(ステップS3)。ステップS4において、物品54が巻き包み領域20に移動される。ステップS5において、締結要素34は、物品54に対する所定の周方向位置73に移動され、そこにロックされる。ステップS6において、テープ28を後退させることによって、テープ28が、物品54の周りに緊張させられる。最後に、ステップS7において、テープ28の重なり部分が互いに接合される。本発明による方法の詳細は、既に上述されている。
【0054】
図12は、前の図に関連して用いられる、本発明によるテープ28の部分断面斜視図を示す。
テープ28は、コア領域90と、少なくとも1つの横方向に突出するタブ領域と、それぞれ対応するタブ94、96を有する。コア90は、図14に一例として示されるような、巻き包まれる物品54上にあることが意図される接触区域92を有する。接触区域92は、面98の反対側に配置される。面98は、面92に対してほぼ平行に配向され、テープ28が物品54の周りに完全に巻き付けられたときに、テープ28の重なり部分を支持する働きをする。接触区域92は、物品54を狭窄化しないように、縁部がないことが好ましい。
【0055】
テープ28はまた、いずれの場合も、コア90とタブ94及び96の一方との間にテープ28の長手方向102に延びる狭窄部分100も有する。図11において、この狭窄部分は、半円形の断面を有するように示される。狭窄部分100の形状は、所望のように選択することができることが明らかである。図14を参照してさらに詳細に説明されるように、狭窄部分100は、特に、重なり合うタブ部分が互いに接続された場合に、タブ94及び96の可撓性を増大させる働きをする。タブ94及び96は、接触区域92と角度αを形成し、接合工具40の対向部品が、タブの裏側により容易に係合することを可能にする。テープ28は、押し出しによって製造され、特に、冒頭に述べられ特性を有する溶接可能プラスチックで作られることが好ましい。
【0056】
図12において、図11のテープ28の断面が示され、概ね矩形のコア90(一点破線104と比較されたい)が、接触区域92の領域内に、内部コーティング106の形態の異なる材料組成物を有することができる。プラスチックの押し出しにおいて、接触区域92の領域106において僅かに変更された材料組成物を用いて、該接触区域92と巻き包まれる物品54との間の静止摩擦を低減させることができる。この方法により、後にピンと張られたテープ28を物品54の周方向及び軸方向の両方に移動させることが容易になり、取り付けプロセスの際に許容差の補償することが可能になる。
タブ94及び96は、外側に向けてテーパ状であることが好ましい。この方法により、材料の厚さが外側に向けて減少するため、重なり合うタブを溶接することがより容易になる。タブ94、96の表面94’、94”及び96’、96”は、重なり合うタブが互いに確実に接合するのを可能にするのに十分な大きさになるように選択される。
【0057】
図13は、重なり合った状態にある、本発明によるテープ28のさらに別の実施形態である。このテープ28は、接触区域92に塗布される付加的なコーティング108又は108’を有するという点で、図11及び図12のテープ28とは異なる。付加的な外部コーティング108、108’は、例えば、物品54に対して、意図せずに締結要素34の相対位置が移動するのを防止するための接着層とすることができる。さらに、外部層108は、同一のテープ28の重なり部分間の接続を助ける。従って、図13において、テープには、参照番号28及び28’のみが与えられ、最初にテープ28が物品54(ここには示されない)の周りに巻き付けられ、次に、ここでは28’と示される同じテープが重ねられることを示す。
【0058】
図14において、テープ28が同じように重なり合った状態で示される。さらに、超音波溶接プロセスを実行する際に必要とされる、例えばアンビルのような対向部品110、112が示される。
接触区域92は、図14に一点破線で示される物品54の外形又は表面55上にあることが分かる。補助線68は、溶接ヘッド70の半径方向運動の方向を示す(図14には示されないが、コア90が締結要素34に接続されているときの図4と比較されたい)。図14は、テープ28の重なり合うタブ部分の溶接プロセスを示すのに役立つ。
【0059】
アンビル110及び112は、テープ28のタブの裏側に係合し、溶接ヘッド70のための対向軸受として働く。図14においては、溶接ヘッド70の2つの異なる位置70’及び70”が示される。これらの位置に達することができるように、溶接ヘッド70は、図14の断面図において矢印114に沿ってピボット運動できるように取り付けられる。タブが互いに溶接されたとき、溶接方向68’又は68”は、締結要素34上のテープ28の二点間接触を示す方向68以外の方向であることが明らかに分かる。このことにより、ケーブル束54が接触区域92に溶接されないことが保証される。接触区域92がケーブル束54に溶接されることは、溶接後に、例えば許容差を補償するために、もはやテープ28がケーブル束54に対して位置決めされず、第2に、図14においてワイヤ56(図示せず)又はそれらの絶縁体が溶融し、短絡が生じることがあるため、不都合である。従って、短絡が排除される。
【0060】
これに関連して、図14は、閉位置にあるアンビル110、112を示すという事実を説明する。アンビル110、112は、閉位置では接触しない。対向部品110と112との間の距離は、周方向の接触区域92の長さに概ね対応するように選択されることが好ましい。この場合、対応部品110、112は、重なり合うテープ28とケーブル束54との間には延びないため、アンビル110、112の後退又は開放後、テープ28とケーブル束54との間に間隙は生成されない。従って、ケーブル束54の周りのテープ28の所望のプレストレスが維持される。
【0061】
図15は、本発明による締結要素34の例示的な実施形態の斜視図を示す。
締結要素34は、本体116を有する。本体は、第1の左側側柱要素118と、好ましくは第2の右側側柱要素120とを有する。しかしながら、第2の側柱要素120は、横方向に制限された壁のみにより実装することもできる。側柱要素118、120は、接続ストラット122−126により互いに接続される。接続ストラット122−126は、締結要素34の長手方向128に延びる。前述の締結要素が物品54に取り付けられた状態において、長手方向128は、物品54の軸方向に対応する。
【0062】
接続ストラット122−126は、テープ28を受けるのに適した開口部130を定める。図16を参照してさらにより詳細に説明されるように、開口部130は、漏斗状の形態であることが好ましい。
開口部130は、矢印132で示されるように、長手方向128に対して横断方向に延びる。
第1の側柱要素118及び/又は第2の側柱要素120は、図15における歯付き穴136の形態のクランプ要素134を有することができる。この歯付き穴136は、例えば車の車体部分に締結することができる、例えばピンなどの第2のクランプ要素(ここには図示されない)と相互作用することができる。次いで、締結要素34を用いて、ピン内に差し込まれた歯付き穴136により、ケーブルハーネスを車体に締結することができる。次いで、締結要素34は、接触面138を介してケーブル束上に載っている。
【0063】
図15の締結要素が、図16に部分断面図で示される。断面線が、図15に接続線XVI−XVIで示される。従って、図は、左側側柱要素118を右側から示す。
図16において、3つの接続ストラット122、124及び126がはっきりと見える。開口部130、具体的には漏斗状の開口部を定めるために、2つの接続ストラットだけを必要とすることが明らかである。締結要素34内のテープ28の進路をより明らかにするために、テープ28の部分が一点破線で示される。同様に一点破線で示されるケーブル束54にも同じことが当て嵌まる。図16の例においては、ケーブル束54は、事実上円形の外形を有する。締結要素34の接触面138は、ケーブル束54又は任意に形成される巻き包まれる物品54の外形140に適合されることが好ましい。
【0064】
長時間の後、締結要素34が引き続き物品54上に十分に緊密に載っていることを保証するために、側柱要素118、120は、いずれの場合にも、可撓性の接触舌部142を有する。この舌部142は、物品54の領域内に突出し、かつ、可撓性であることが好ましい。長時間の後にテープ28の張力が低下した場合には、予応力が付与された舌部142が張力から解放され、従って、物品54の周りにテープ28及び締結要素34を含むシステムが恒久的に緊張状態にあることを保証することができる。
物品54とは別の方向に向いた締結要素34の面146は、通常、車体部品上に載るように機能する。従って、締結要素34と車体部品との間に空隙が残るように、1つ又はそれ以上のスペーサ突起148を設けることができる。
横断方向のストラット122−126の構成は、接合工具40が、テープ28を、具体的には横断方向ストラット122に接続できるような方法で選択されることにも留意すべきである。接合工具40は、例えば、ストラット124と126との間に定められたさらに別の開口部を通って空間に貫入し、物品54とは別の方向を向いた、ストラット122上の面にテープ28を固定することができる。
【0065】
さらに、横断方向ストラットの領域においては、該横断方向ストラットに対して概ね平行に延び、その形状がテープ28の外形に適合されたストラップを設けることができる。このストラップ(ここには示されない)は、テープ28の重なり部分を結び付けるのを助ける。
【符号の説明】
【0066】
10:装置
12:把持装置
14:第1のジョー
16:第2のジョー
20:巻き包み領域
21:巻き包み領域の中心
22:ハウジング
24:第1の供給装置
26:第2の供給装置
28、28’:テープ
30:第1のリール
34:締結要素
36:第2のリール
40:接合工具
42:取り付けプレート
44:ロボット
46:制御装置
48:上位制御コンピュータ
50:ライン
52:無線接続
54:ケーブル束
60:ピボット軸受
64:案内経路
66、66’:前送り長さ
70:溶接ヘッド
76、76’:駆動装置
79:力センサ
90:コア
92:接触区域
94、96:タブ
94’、94”、96’、96”:タブの表面
100:狭窄部分
106:内部コーティング
108、108’:外部コーティング
110、112:アンビル
116:本体
118:左側側柱要素
120:右側側柱要素
122、124、126:接続ストラット
130:開口部
134:クランプ要素
136:歯付き穴
138:接触面
142:舌部
144:弾性領域
146:面
148:スペーサ突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き付けテープ(28)により、構成部品、特に自動車の車体部分に取り付けられる、長手方向に延びる物品(54)、特にケーブル又はケーブル束を締結するための締結要素(34)であって、
第1の側柱要素(118)と、
第2の側柱要素(120)と、
を含む本体(116)と、
前記側柱要素(118、120)を前記本体(116)の長手方向(128)に互いに接続し、かつ、前記テープ(28)を受けるための開口部(130)を定める少なくとも2つの接続ストラット(122、124、126)と、
を含み、前記テープ(28)は、前記テープ(28)により前記物品(54)を周方向に巻き包むように、前記長手方向(128)に対して概ね横断方向(132)に、具体的には垂直に前記開口部に挿入可能であることを特徴とする締結要素。
【請求項2】
前記開口部(130)は漏斗形状であることを特徴とする、請求項1に記載の締結要素。
【請求項3】
前記側柱要素の少なくとも一方(118)は、前記構成部品に接続されるクランプ・ユニットの第2のクランプ要素に取り外し可能に接続することができる第1のクランプ要素(134)を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の締結要素。
【請求項4】
前記第1のクランプ要素(134)は、前記本体(116)内の歯付き穴(136)であるであることを特徴とする、請求項3に記載の締結要素。
【請求項5】
前記本体(116)の接触面(138)は、接触される前記物品(54)の外形(140)に適合されることを特徴とする、前記請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の締結要素。
【請求項6】
前記接触面(138)は、前記側柱要素(118、120)の部分により定められることを特徴とする、請求項5に記載の締結要素。
【請求項7】
前記側柱要素(118、120)の各々は、接触区域(142)を有し、前記接触区域(142)の各々は、前記物品(54)の方向に突出する弾性領域(144)を有することを特徴とする、請求項6に記載の締結要素。
【請求項8】
前記接触面(138)は、前記接続ストラットの1つ(122)によりさらに定められることを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の締結要素。
【請求項9】
前記接続ストラットの1つ(122)は棒の形状であることを特徴とする、請求項8に記載の締結要素。
【請求項10】
第3の接続ストラット(124、126)がさらに設けられることを特徴とする、前記請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の締結要素。
【請求項11】
取り付けられた状態で前記構成部品の方向に向けられる、前記本体のさらに別の面(146)が、前記さらに別の面から突出する1つ又はそれ以上のスペーサ突起(148)を有することを特徴とする、前記請求項1から請求項10までいずれか1項に記載の締結要素。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の締結要素と、巻き付けテープ(28)とを含むケーブルハーネス締結システム。
【請求項1】
巻き付けテープ(28)により、構成部品、特に自動車の車体部分に取り付けられる、長手方向に延びる物品(54)、特にケーブル又はケーブル束を締結するための締結要素(34)であって、
第1の側柱要素(118)と、
第2の側柱要素(120)と、
を含む本体(116)と、
前記側柱要素(118、120)を前記本体(116)の長手方向(128)に互いに接続し、かつ、前記テープ(28)を受けるための開口部(130)を定める少なくとも2つの接続ストラット(122、124、126)と、
を含み、前記テープ(28)は、前記テープ(28)により前記物品(54)を周方向に巻き包むように、前記長手方向(128)に対して概ね横断方向(132)に、具体的には垂直に前記開口部に挿入可能であることを特徴とする締結要素。
【請求項2】
前記開口部(130)は漏斗形状であることを特徴とする、請求項1に記載の締結要素。
【請求項3】
前記側柱要素の少なくとも一方(118)は、前記構成部品に接続されるクランプ・ユニットの第2のクランプ要素に取り外し可能に接続することができる第1のクランプ要素(134)を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の締結要素。
【請求項4】
前記第1のクランプ要素(134)は、前記本体(116)内の歯付き穴(136)であるであることを特徴とする、請求項3に記載の締結要素。
【請求項5】
前記本体(116)の接触面(138)は、接触される前記物品(54)の外形(140)に適合されることを特徴とする、前記請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の締結要素。
【請求項6】
前記接触面(138)は、前記側柱要素(118、120)の部分により定められることを特徴とする、請求項5に記載の締結要素。
【請求項7】
前記側柱要素(118、120)の各々は、接触区域(142)を有し、前記接触区域(142)の各々は、前記物品(54)の方向に突出する弾性領域(144)を有することを特徴とする、請求項6に記載の締結要素。
【請求項8】
前記接触面(138)は、前記接続ストラットの1つ(122)によりさらに定められることを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の締結要素。
【請求項9】
前記接続ストラットの1つ(122)は棒の形状であることを特徴とする、請求項8に記載の締結要素。
【請求項10】
第3の接続ストラット(124、126)がさらに設けられることを特徴とする、前記請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の締結要素。
【請求項11】
取り付けられた状態で前記構成部品の方向に向けられる、前記本体のさらに別の面(146)が、前記さらに別の面から突出する1つ又はそれ以上のスペーサ突起(148)を有することを特徴とする、前記請求項1から請求項10までいずれか1項に記載の締結要素。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の締結要素と、巻き付けテープ(28)とを含むケーブルハーネス締結システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2011−525347(P2011−525347A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507583(P2011−507583)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/041969
【国際公開番号】WO2009/134796
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(504075577)ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー (117)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/041969
【国際公開番号】WO2009/134796
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(504075577)ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー (117)
【Fターム(参考)】
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