説明

ケーブル・ホース支持保護装置の取付構造とケーブル・ホース支持保護装置と転炉煉瓦地金解体機

【課題】伸縮ブームの伸縮に伴うケーブル・ホース支持保護装置の撓みによる損傷を防止しうる構成のケーブル・ホース支持保護装置の取付構造とその取付構造に用いる場合に好適なケーブル・ホース支持保護装置と転炉煉瓦地金解体機を提供する。
【解決手段】外側のブーム13の内面に、ケーブル・ホース支持保護装置19を両側から移動可能に挟む対をなすガイド板30bを有するケーブル・ホース支持保護装置ガイド30を設ける。ガイド板30bの相互の対向面にそれぞれガイドレール30cを設ける。ケーブル・ホース支持保護装置の19の両側に被ガイド片47を取付ける。被ガイド片47がガイドレール30cに摺動可能に当接してケーブル・ホース支持保護装置19の撓みを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースやケーブルを支持するケーブル・ホース支持保護装置を伸縮ブーム内に移動可能に取付ける構造とその取付構造を用いるに好適なケーブル・ホース支持保護装置、およびこれらの取付構造を備えた転炉煉瓦地金解体機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2枚のリンク板を1ユニットとして各リンク板をそれぞれピンにより折り曲げ可能に連結し、各組の2枚のリンク板間にホース等を保持する保持体を取付けて構成されるケーブル・ホース支持保護装置がある。このようなケーブル・ホース支持保護装置を伸縮ブーム内に用いた従来装置として、特許文献1に記載のように転炉内壁の煉瓦や地金を解体する解体機の伸縮ブームに用いたものがある。この解体機は、先端にブレーカやリッパのような作業具を取付けた伸縮ブーム内に、作業具で使用する流体を流すホースをケーブル・ホース支持保護装置に保持させたものである。
【0003】
図8はこの特許文献1に記載のものに類する伸縮ブームにおけるケーブル・ホース支持保護装置の取付構造を示す伸縮ブームの長手方向断面図、図9は伸縮ブームの短手方向断面図である。図8において、70は伸縮ブームであり、この伸縮ブーム70はアウタブーム71とインナーブーム72とを有する。73はこの伸縮ブーム70を伸縮させる油圧シリンダであり、そのボトム側端部をインナーブーム72に連結し、ピストンロッドをアウタブーム71に連結する。75はインナーブーム72の先端に取付ける作業具76に空気を送るホース77を保持するケーブル・ホース支持保護装置である。このケーブル・ホース支持保護装置75は一端をアウタブーム71に接続部71aで接続し、途中部分75aを折り返し状に折り曲げ、他端をインナーブーム72に接続部72aに接続して取付ける。
【0004】
図9において、78はケーブル・ホース支持保護装置75を両側から摺動可能に挟むようにアウタブーム71の内面に取付けたケーブル・ホース支持保護装置ガイドである。このケーブル・ホース支持保護装置75は、伸縮ブーム70の伸縮に伴ってケーブル・ホース支持保護装置75のインナーブーム72との接続部72aが移動すると共に、ケーブル・ホース支持保護装置75の折り曲げ部75aも移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−49010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のケーブル・ホース支持保護装置75は、途中部分が支持されていないため、ケーブル・ホース支持保護装置75の折り曲げ部75aとインナーブーム72の接続部72aとの間がケーブル・ホース支持保護装置75およびホース78の重量により図8の75bに示すように下方に撓む。そして、伸縮ブーム70の伸縮に伴い、この撓んだ状態で更に撓む方向に受けると、ケーブル・ホース支持保護装置75に過大な力が作用することがあり、ケーブル・ホース支持保護装置75が損傷する虞があるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、伸縮ブームの伸縮に伴うケーブル・ホース支持保護装置の撓みによる損傷を防止しうる構成のケーブル・ホース支持保護装置の取付構造とその取付構造に用いる場合に好適なケーブル・ホース支持保護装置と転炉煉瓦地金解体機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のケーブル・ホース支持保護装置の取付構造は、
2枚のリンク板を1ユニットとし、2枚のリンク板間にホース保持体を取付け、各ユニットの片側のリンク板どうし、他側のリンク板どうしをそれぞれ折り曲げ可能にピン連結した構造を有し、
サイズの異なる複数のブームが伸縮可能に嵌合された伸縮ブームの相対的に外側となるブームの一の内面に一端部が接続され、途中部分が折り返し状に湾曲し、その湾曲部から他端部に至る部分が、前記外側となるブームの前記一の内面の反対側の面である他の内面に対面すると共に、前記他端部が、前記外側となるブームに移動可能に内嵌された相対的に内側となるブームに接続されるケーブル・ホース支持保護装置の取付構造において、
前記外側となるブームの前記一および他の内面の長手方向にわたる部分に、前記ケーブル・ホース支持保護装置を両側から移動可能に挟む一対のガイド板を有するケーブル・ホース支持保護装置ガイドを設けると共に、前記外側となるブームの前記一および他の内面に長手方向に設けたケーブル・ホース支持保護装置ガイドのうち、前記ケーブル・ホース支持保護装置の前記湾曲部近傍から前記他端部近傍に至る部分にかけて前記ケーブル・ホース支持保護装置ガイドの前記ガイド板の相互の対向面にそれぞれガイドレールを設け、
前記ケーブル・ホース支持保護装置の両側に被ガイド片を取付け、
前記被ガイド片が前記ガイドレールと前記他の内面との間で前記ガイドレールに摺動可能に当接してケーブル・ホース支持保護装置の撓みが防止される構成としたことを特徴とする。
【0009】
請求項2のケーブル・ホース支持保護装置は、請求項1に記載のケーブル・ホース支持保護装置の取付構造に用いられるケーブル・ホース支持保護装置において、
前記ケーブル・ホース支持保護装置を構成する各ユニットのうちの一部には、前記リンク板に設けたボルト挿通孔に挿通するボルトによって2枚のリンク板間にホースを保持するホース保持体を取付け、
前記ホース保持体を取付けたユニット以外の残りのユニットには、前記ホース保持体の代わりに、前記リンク板に設けた前記ボルト挿通孔に挿通するボルトによって前記2枚のリンク板の各外面にそれぞれ前記被ガイド片を取付けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の転炉煉瓦地金解体機は、請求項1に記載のケーブル・ホース支持保護装置の取付構造または請求項2に記載のケーブル・ホース支持保護装置を有する伸縮ブームを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、ケーブル・ホース支持保護装置ガイドによりケーブル・ホース支持保護装置の振れが防止されるのみにならず、ケーブル・ホース支持保護装置ガイドに設けたガイドレールにケーブル・ホース支持保護装置の両側面に設けた被ガイド片と当接させてケーブル・ホース支持保護装置の撓みを防止する構造としたので、ケーブル・ホース支持保護装置の途中部分の重力による撓みが防止される。このため、ブームの収縮に伴ってケーブル・ホース支持保護装置が撓んだ状態でさらに撓む方向の力を受けることがなくなり、ケーブル・ホース支持保護装置の損傷を防止することができる。また、ケーブル・ホース支持保護装置の寿命を長くすることができるため、ケーブル・ホース支持保護装置の交換頻度を低くすることができ、ランニングコストを削減することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、本発明によってケーブル・ホース支持保護装置に設ける被ガイド片が、ケーブル・ホース支持保護装置に本来ホース保持体取付けのために設けられていたボルト挿通孔を利用して取付けられるので、既存のケーブル・ホース支持保護装置の構造を大幅に改変することなく、ホース保持体の代りに被ガイド片を取付けたケーブル・ホース支持保護装置を構成することができる。このため、既存のケーブル・ホース支持保護装置の構造を大幅に改変することなく、ケーブル・ホース支持保護装置を容易かつ安価に製造することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、転炉煉瓦地金解体機に前記ケーブル・ホース支持保護装置の取付構造を備えたので、ケーブル・ホース支持保護装置の交換頻度を低くすることができ、その結果、稼働率の高い転炉煉瓦地金解体機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のケーブル・ホース支持保護装置の取付構造を適用する転炉煉瓦地金解体機の一例を示す側面図である。
【図2】(A)は本発明のケーブル・ホース支持保護装置の取付構造の一実施の形態を示す伸縮ブームの長手方向断面図、(B)はその拡大断面図である。
【図3】この実施の形態の伸縮ブーム先端の構造を示す一部断面側面図である。
【図4】この実施の形態の伸縮ブームの短手方向断面図である。
【図5】(A)は図4の要部拡大図、(B)は(A)のE−E断面図である。
【図6】この実施の形態の伸縮ブームにおけるケーブル・ホース支持保護装置ガイドの取付構造を示す長手方向断面図である。
【図7】(A)はこの実施の形態のケーブル・ホース支持保護装置の側面図、(B)はその分解側面図である。
【図8】従来のケーブル・ホース支持保護装置の取付構造を示す伸縮ブームの長手方向断面図である。
【図9】従来のケーブル・ホース支持保護装置の取付構造を示す伸縮ブームの短手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明のケーブル・ホース支持保護装置の取付構造を適用する転炉煉瓦地金解体機の一例を示す側面図である。図1において、1はクローラ式下部走行体、3は下部走行体1上に旋回装置2を介して旋回可能に設置した上部旋回体であり、この上部旋回体3は、旋回フレーム4上に油圧パワーユニット5、運転室6およびカウンタウエイト7等を搭載して構成される。8は旋回フレーム4に油圧シリンダ8aにより起伏可能に取付けられた伸縮ブーム、9はこの伸縮ブーム8の先端に作業具として取付けられたエアブレーカである。
【0016】
10は旋回フレーム4に添設した空気配管であり、工場等に設置したコンプレッサ(図示せず)からの圧搾空気(エア)を送るエアホース(図示せず)を接続して、後述のホース20(図4、図5参照)を通してエアブレーカ9にエアを供給するものである。なお、旋回フレーム4にコンプレッサを搭載する場合にはこの空気配管10は不要となる。
【0017】
伸縮ブーム8は、前記油圧シリンダ8aにより起伏されるブームベース11と、このブームベース11に油圧モータでなる旋回モータ12aによりアウタブーム13を縦旋回させる旋回装置12と、このアウタブーム13に突没可能に内嵌されたインナーブーム14とを備える。
【0018】
図2(A)は伸縮ブーム8の長手方向断面図、図2(B)はその部分拡大図である。図2(A)、(B)において、15は伸縮ブーム8を伸縮させる油圧シリンダであり、図3の側面図に示すように、そのボトム側端部をピン16によりインナーブーム14に連結し、図2(A)に示すように、ピストンロッドをピン17によりアウタブーム13に連結して取付ける。
【0019】
図2(A)、(B)において、19はエアブレーカ9の駆動流体であるエアを送る後述のホース20を保持するケーブル・ホース支持保護装置である。このケーブル・ホース支持保護装置19は、一端部をアウタブーム13の一の内面において接続部21において接続し、途中部分を折り返し状に湾曲させ(湾曲部を19aで示す。)、他端部をインナーブーム14のアウタブーム13側端部に接続部22において接続して取付ける。ケーブル・ホース支持保護装置19の湾曲部19から他端部の接続部22にわたる部分は、前記一の内面の反対側の面である他の内面に対面する。
【0020】
図2(B)において、23はインナーブーム14のアウタブーム13側端部の4隅に取付けたガイドローラであり、これらのガイドローラ23は、伸縮ブーム8の伸縮に伴い、アウタブーム13の4隅の傾斜したガイド面13a(図4参照)に転動させてインナーブーム14の伸縮を円滑化させるものである。図2(A)において、24はアウタブーム13の先端の内面に取付けられ、インナーブーム14に摺動可能に当接してインナーブーム14を案内するガイドピースである。
【0021】
図3に示すように、インナーブーム14の先端に、ピン25を中心にエアブレーカ9を回動可能に取付け、エアブレーカ9とインナーブーム14との間に、エアブレーカ9を回動させる油圧シリンダ26を、その両端をそれぞれピン27,28によりインナーブーム14、エアブレーカ9に接続して取付ける。
【0022】
図4は伸縮ブーム8の短手方向断面図、図5(A)はその要部拡大図である。図4および図5(A)において、30はケーブル・ホース支持保護装置19を案内するケーブル・ホース支持保護装置ガイドであり、このケーブル・ホース支持保護装置ガイド30は、略4角形をなすアウタブーム13の長手方向にわたって互いに対向する前記一の内面と前記他の内面に長手方向に設けられる。このケーブル・ホース支持保護装置ガイド30は、アウタブーム13への取付板30aの両側に、ケーブル・ホース支持保護装置19を両側から挟むようにガイドするガイド板30bを有する。このケーブル・ホース支持保護装置ガイド30は、アウタブーム13の内面の対向する2面にボルト32、ナット33により取付ける。
【0023】
30cは各ガイド板30bの対向面に溶接したガイドレールである。このガイドレール30cは、図2(B)および図6の断面図に示すように、ケーブル・ホース支持保護装置19の湾曲部19a近傍から、前記接続部22となる他端部近傍に至る部分にかけて設ける。
【0024】
図5(A)と、図5(A)のE−E断面図である図5(B)および図7(A)の側面図に示すように、ケーブル・ホース支持保護装置19は、2枚のリンク板35,35を1ユニットとして構成され、長手方向に隣接するものリンク板35どうしを連結ピン36により片側のリンク板どうし、他側のリンク板どうしでそれぞれ折り曲げ可能に連結して構成する。
【0025】
また、図7(A)および図7(B)の分解側面図に示すように、各リンク板35の一端側には連結ピン36を挿着するピン孔37と、その上下のガイドピン38をそれぞれ挿着するピン孔39、39を設ける。また、リンク板35の他端側には連結ピン36を挿着するピン孔40と、上下のガイドピン38をそれぞれ摺動可能に挿着する弧状孔41,41を設ける。これらの弧状孔41やガイドピン38は各ユニット間の回動角を規制する機能と、各ユニット間のガタつきを防止する役目を果たすものである。
【0026】
これらの2枚のリンク板35,35ごとにそれぞれピン孔37,40を合わせて連結ピン36により隣接するリンク板35どうしを互いに折り曲げ可能となるように連結する。また、同時に、隣接するリンク板35,35のピン孔39と弧状孔41を合わせてこれらにガイドピン38を挿着して隣接するリンク板35どうしを連結する。
【0027】
43はホース20を保持するホース保持体であり、このホース保持体43は2枚のリンク板35,35どうしを連結する役目も有する。この実施の形態のホース保持体43は図5(A)、(B)に示すようにホース20を挿通する開口部43aを有すると共に、図7(B)に示すようにこのホース保持体43をリンク板35,35間にボルト44によって取付けるためのねじ孔43bを有する。図7(B)に示すように、リンク板35のほぼ中央部には、ホース保持体取付け用ボルト44を挿通するための上下2個のボルト挿通孔45を設ける。なお、この実施の形態のホース保持体43は1つのブロックにより構成した例を示すが、上下のブロック間にホース20を保持する分割型としてもよい。
【0028】
47は前記ガイドレール30cに移動可能に当接させてケーブル・ホース支持保護装置19の撓みを防止する被ガイド片である。この被ガイド片47はほぼL字形をなし、前記リンク板35に設けた2個のボルト挿通孔45の間隔と同じ間隔を持ってボルト48(図5(A)参照)を螺合するためのねじ孔47aを有する。
【0029】
前記ホース保持体43は、これを2枚のリンク板35,35間に挟み、ボルト44をリンク板35のボルト挿通孔45の外側から挿着してホース保持体43のねじ孔43bに螺合し締結することにより2枚のリンク板35,35間に取付ける。この実施の形態においては、被ガイド片47を、2枚を1ユニットとする各リンク板35,35の1ユニットおきに、ホース保持体43の代わりに取付ける例を示す。
【0030】
すなわち、この被ガイド片47は、リンク板35の外面に当て、2枚のリンク板35,35間の内側からボルト48をリンク板35の前記ボルト挿通孔45に通し、被ガイド片47のねじ孔47aに螺合して締結することにより取付ける。この被ガイド片47のガイドレール30cとの接触面47bは図7(B)に示すように弧状に形成する。この弧状の接触面47bにより、図4に示す上下関係において、伸縮ブーム8の伸長時におけるガイドレール30cの端部への乗り上げが円滑に行なわれるようにしている。
【0031】
図2(B)、図4、図5(A)に示すように、ホース20を保持した前記ケーブル・ホース支持保護装置19は、一端をアウタブーム13に接続部21において接続し、途中部分を折り返し状に湾曲(19a)させ、ケーブル・ホース支持保護装置19の湾曲部19aからインナーブーム14との接続部22となる他端部に至る部分の被ガイド片47はガイドレール30cとアウタブーム13の内面との間に位置する。図示の上下関係においては、ケーブル・ホース支持保護装置19の湾曲部19aとインナーブーム14との接続部22との間の被ガイド片47はガイドレール30c上に載る。
【0032】
この実施の形態においては、ケーブル・ホース支持保護装置19は被ガイド片47が、前記アウタブーム13の前記他の内面とガイドレール30cとの間に位置し、被ガイド片47がガイドレール30cに当接して支持されるため、ケーブル・ホース支持保護装置19の撓みが防止される。なお、伸縮ブーム8のアウタブーム13および第1ブーム4を縦旋回させる旋回装置12により、図4に示す上下関係が反転したり傾斜したりすることもあるが、この場合には、ケーブル・ホース支持保護装置19がケーブル・ホース支持保護装置ガイド30の取付板30aに当接したり、ガイド板30bにケーブル・ホース支持保護装置19の側面が当接したりした状態でケーブル・ホース支持保護装置19の撓みが防止される。
【0033】
このように、この実施の形態においては、ケーブル・ホース支持保護装置19の撓みが防止されるため、伸縮ブーム8が収縮する際に、従来構成の場合のようにケーブル・ホース支持保護装置19が撓んだ状態で撓みがさらに進む方向に力を受ける事態は発生しない。このため、伸縮ブーム8の収縮に伴ってケーブル・ホース支持保護装置19が過大な力を受けて損傷することを防止することができる。また、ケーブル・ホース支持保護装置19の寿命を長くすることができるため、ケーブル・ホース支持保護装置19の交換頻度を低くすることができ、ランイングコストを削減することができる。また、ケーブル・ホース支持保護装置の交換頻度を低くすることができるので、転炉煉瓦地金解体機にこの実施の形態のケーブル・ホース支持保護装置の取付構造を採用することにより、稼働率の高い転炉煉瓦地金解体機を提供することが可能となる。
【0034】
また、この実施の形態においては、ケーブル・ホース支持保護装置19に本来ホース保持体43の取付けのために設けられていたボルト挿通孔45を利用して被ガイド片47が取付けられるので、既存のケーブル・ホース支持保護装置の構造を大幅に改変することなく、ホース保持体43の代りに被ガイド片47を取付けることができる。このため、既存の構造を大幅に改変することなく、ケーブル・ホース支持保護装置19を容易かつ安価に製造することができる。また、この実施の形態においては、各ユニットについて、ホース保持体43と被ガイド片47とを交互に設けたが、被ガイド片47は各ユニットごとに設けてもよく、また、ホース保持体43の代わりにユニットの2つあるいは3つおきに被ガイド片47を設ける構成とすることもできる。
【0035】
なおこの実施の形態においては、転炉煉瓦地金解体機に用いる作業具がエアブレーカ9である場合について示したが、作業具が油圧ブレーカである場合にも適用できる。油圧ブレーカを使用する場合は、ケーブル・ホース支持保護装置19により保持するホース20は油圧ホースとなる。
【0036】
また本発明は、作業具がリッパやバケット等、他の作業具である場合にも使用できる。またケーブル・ホース支持保護装置19は、単にホース20を保持する場合のみならず、電気ケーブルを使用する場合にも適用できる。また、本発明は伸縮ブームが混銑車やスラグドラッガ等の他の製鉄所用等の作業機に使用される場合にも適用することが可能である。また本発明は、伸縮ブームが1段伸縮構造ではなく、2段以上に伸縮する構成のものにも適用可能である。また、本発明は、旋回装置12を有しない伸縮ブームにも適用できる。
【0037】
その他、本発明を実施する場合、上記実施の形態に限らず、各部の構成や組み合わせについて、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1:下部走行体、2:上部旋回体、3:旋回装置、4:旋回フレーム、5:油圧パワーユニット、6:運転室、7:カウンタウエイト、8:伸縮ブーム、8a:油圧シリンダ、9:エアブレーカ、10:空気配管、11:ブームベース、12:旋回装置、12a:旋回モータ、13:アウタブーム、14:インナーブーム、15:油圧シリンダ、19:ケーブル・ホース支持保護装置、19a:湾曲部、20:ホース、21,22:接続部、23:ガイドローラ、24:ガイドピース、26:油圧シリンダ、30:ケーブル・ホース支持保護装置ガイド、30a:取付板、30b:ガイド板、30c:ガイドレール、35:リンク板、36:連結ピン、37:ピン孔、38:ガイドピン、39:ピン孔、40:ピン孔、41:弧状孔、43:ホース保持体、44:ボルト、45:ボルト挿通孔、47:被ガイド片、48:ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のリンク板を1ユニットとし、2枚のリンク板間にホース保持体を取付け、各ユニットの片側のリンク板どうし、他側のリンク板どうしをそれぞれ折り曲げ可能にピン連結した構造を有し、
サイズの異なる複数のブームが伸縮可能に嵌合された伸縮ブームの相対的に外側となるブームの一の内面に一端部が接続され、途中部分が折り返し状に湾曲し、その湾曲部から他端部に至る部分が、前記外側となるブームの前記一の内面の反対側の面である他の内面に対面すると共に、前記他端部が、前記外側となるブームに移動可能に内嵌された相対的に内側となるブームに接続されるケーブル・ホース支持保護装置の取付構造において、
前記外側となるブームの前記一および他の内面の長手方向にわたる部分に、前記ケーブル・ホース支持保護装置を両側から移動可能に挟む一対のガイド板を有するケーブル・ホース支持保護装置ガイドを設けると共に、前記外側となるブームの前記一および他の内面に長手方向に設けたケーブル・ホース支持保護装置ガイドのうち、前記ケーブル・ホース支持保護装置の前記湾曲部近傍から前記他端部近傍に至る部分にかけて前記ケーブル・ホース支持保護装置ガイドの前記ガイド板の相互の対向面にそれぞれガイドレールを設け、
前記ケーブル・ホース支持保護装置の両側に被ガイド片を取付け、
前記被ガイド片が前記ガイドレールと前記他の内面との間で前記ガイドレールに摺動可能に当接してケーブル・ホース支持保護装置の撓みが防止される構成としたことを特徴とするケーブル・ホース支持保護装置の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル・ホース支持保護装置の取付構造に用いられるケーブル・ホース支持保護装置において、
前記ケーブル・ホース支持保護装置を構成する各ユニットのうちの一部には、前記リンク板に設けたボルト挿通孔に挿通するボルトによって2枚のリンク板間にホースを保持するホース保持体を取付け、
前記ホース保持体を取付けたユニット以外の残りのユニットには、前記ホース保持体の代わりに、前記リンク板に設けた前記ボルト挿通孔に挿通するボルトによって前記2枚のリンク板の各外面にそれぞれ前記被ガイド片を取付けたことを特徴とするケーブル・ホース支持保護装置。
【請求項3】
請求項1に記載のケーブル・ホース支持保護装置の取付構造または請求項2に記載のケーブル・ホース支持保護装置を有する伸縮ブームを備えたことを特徴とする転炉煉瓦地金解体機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−233299(P2012−233299A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100466(P2011−100466)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】