説明

ゲート施解錠装置

【課題】入室者がタグ等を携帯しなくても管理区域内の人数把握をしてゲート施解錠を行うことができるゲート施解錠装置を提供する。
【解決手段】本ゲート施解錠装置は、施錠制御手段と、入退室者の声の特徴を表す音声特徴データを記憶可能な特徴記憶手段と、入退室者の音声を受け付ける音声入力手段と、音声入力手段で変換された音声信号から音声特徴データを取得する特徴取得手段と、入室中の表示を行う入室表示手段と、入退室者の入室時において、入退室者の音声特徴データを特徴記憶手段に記憶させ、入退室ゲートを解錠する入室制御手段と、入退室者の退室時において、(1)特徴取得手段で得た音声特徴データを検索し、(2)一致する入室音声特徴データが見つかった場合は、特徴記憶手段から削除し、(3)入室音声特徴データがない場合は、入退室ゲートを施錠する退室制御手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出入りの管理が必要な管理区域のゲート施解錠を行う装置である。更に詳しくは、入室者がタグ等を携帯しなくても管理区域内の人数把握をしてゲート施解錠を行うことができるゲート施解錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等の機械装置が動作する区域、及び冷蔵室内等の管理区域は、区域内に人がいるにもかかわらず施錠すると、機器の駆動等の支障が生じる恐れがあるため、区域内に人がいるかどうかを常時把握する必要がある。また、管理区域内の機械装置の使用をするときは、管理区域内に人が入れないように管理区域の出入口にゲートを設けて、そのゲートを施錠するのが好ましい。
しかし、特に不特定多数の人数が出入りする管理区域で正確に人員把握を行うことは容易でないため、タグ等の入室者を数えるための管理用部材を携帯することによって人数把握を行ったり、入室者の管理台帳への記帳によって人数把握等を行ったりする例があった。しかし、管理用部材による管理は、管理用部材を紛失したり、管理用部材を持ち帰ったりすることにより人数の勘定間違いを起こし、機械装置の使用ができなくなったりすることがあった。また、記帳による管理は、記帳漏れによる人数の勘定間違いを起こすことがあった。
【0003】
また、ボタン操作や通過を検出するセンサ等を用いて人数を数えることによって入室人数を把握することができるカウンタ(例えば特許文献1を参照。)が提案されているが、操作忘れによる勘定ミスが生じたり、大掛かりな映像の解析を行ったりするなどの問題があった。
更に、音声等を用いた生体認証による施解錠を行う個人識別システムことが提案されている(例えば特許文献2を参照。)。しかし、このような個人識別システムは、住宅の居住者等の予め登録されている人のみ施解錠を行うことを目的としており、不特定多数の出入りの管理については、検討されていないし、示唆もされていなかった。また、予め生体情報の登録を要するため、体調の変化により声がしわがれる等の生体情報の変化が生じると正しく認識できない問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開2006−099381号公報
【特許文献2】特開2002−297256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記現状に鑑みてなされたものであり、入室者がタグ等の管理用部材を携帯しなくても管理区域内の人数把握を正確に行い、ゲート施解錠を行うことができるゲート施解錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.入退室ゲートの施錠及び解錠を行うゲート施解錠装置であって、前記入退室ゲートの施解錠を行う施錠制御手段と、前記入退室ゲートを通過する入退室者の声の特徴を表す一人分の音声特徴データを、入室音声特徴データとして1又は2以上記憶可能な特徴記憶手段と、前記入退室者が発音する音声を受け付けて、該音声を音声信号に変換する音声入力手段と、前記音声入力手段で変換された前記音声信号から音声特徴データを取得する特徴取得手段と、前記特徴記憶手段に入室音声特徴データが記憶されている場合に入室中の表示を行う入室表示手段と、前記入退室者の入室時において、前記特徴取得手段で得た該入退室者の音声特徴データを入室音声特徴データとして前記特徴記憶手段に記憶させ、前記入退室ゲートを解錠するよう前記施錠制御手段に指示する入室制御手段と、前記入退室者の退室時において、(1)前記特徴取得手段で得た該入退室者の音声特徴データの内容と一致する内容である前記記憶されている前記入室音声特徴データを検索し、(2)前記検索によって一致する前記入室音声特徴データが見つかった場合は、該入室音声特徴データを前記特徴記憶手段から削除し、(3)前記特徴記憶手段に記憶される入室音声特徴データがない場合は、前記入退室ゲートを施錠するよう前記施錠制御手段に指示する退室制御手段と、を備えることを特徴とするゲート施解錠装置。
2.前記入室表示手段は、前記特徴記憶手段に記憶されている入室音声特徴データの人数分の数を入室人数として表示する上記1.記載のゲート施解錠装置。
3.前記退室制御手段は、前記検索によって一致する前記入室音声特徴データが見つかった場合に、前記入退室ゲートを解錠し、前記入室制御手段又は前記退室制御手段による指示によって前記施錠制御手段が前記入退室ゲートを解錠するのを検出した時から所定時間経過後に、前記入退室ゲートを施錠するよう前記施錠制御手段に指示するゲート開放制限手段を更に備える上記2.記載のゲート施解錠装置。
4.前記入退室者の入室を前記入室制御手段に通知する入室通知手段と、前記入退室者の退室を前記退室制御手段に通知する退室通知手段と、を更に備え、前記入室制御手段は、前記入室通知手段による通知を受け取ったときのみ前記記憶及び前記解錠を行い、前記退室制御手段は、前記退室通知手段による通知を受け取ったときのみ前記削除及び前記施錠を行う、上記1.乃至3記載のゲート施解錠装置。
5.前記施錠制御手段は、前記特徴記憶手段に入室音声特徴データが記憶されている間は前記入退室ゲートが設けられている区域で管理されている機械装置の動作を停止させる上記1.乃至4記載のゲート施解錠装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明のゲート施解錠装置によれば、前記入室者がタグ等の管理用部材を携帯しなくても、入室者の音声特徴データを記憶することによって管理区域内の人数把握を正確に行い、ゲート施解錠を行うことができる。このため、入室者の音声によりゲートを通過する入退室者の区別を行うことができるため、誤りなく計測することができる。また、入室者が管理用部材を携帯する必要がないため、管理用部材の紛失及び持ち帰りによって人数把握ができなくなることを防止することができる。
更に、入室者の音声を用いるため、入室者が手を触れなくても施解錠が可能であり、両手が塞がっていたり、汚れていたりする等で触れられない場合でも入退室ゲートの施解錠を行うことができる。また、入室者のIDカードや生体情報等を予め登録しておく等の必要がなく、不特定の人が出入り可能な場所であっても容易に人数把握を行うことができる。更に、使用する音声特徴データは、入退室者が入室するときに取得するため、入退室者のそのときの体調に影響されにくく、より許容範囲の狭い判別を行うことができ、誤認識を減らすことができる。
また、管理区域内に入室可能な人数は、特徴記憶手段の記憶容量のみに制限されるため、物理的な鍵を用意する場合と比べて入室可能な人数を自由に選択することができる。
【0008】
入室表示手段が、入室音声特徴データの数を入室人数として表示する場合は、管理区域内外の人が入室中の人数をより正確に把握することができる。また、入室時において、特徴記憶手段に入室者の音声特徴データが記憶されたことを、入室人数の変化によってより確実に把握することができる。
ゲート開放制限手段を更に備える場合は、入退室時以外は入退室ゲートの施錠を行うことがより容易となり、より厳密な入退室管理を行うときに有効である。
入室通知手段及び退室通知手段を備える場合は、入退室以外に発される音によって誤って入退室ゲートが誤施解錠することを防止することができる。
施錠制御手段が、前記特徴記憶手段に入室音声特徴データが記憶されている間は機械装置の動作を停止させる場合は、入室者がいる状態で機械装置の動作をさせないようにすることができ、入室者の安全性を高め、機械装置の駆動等の支障が生じる恐れがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のゲート施解錠装置は、施錠制御手段と、特徴記憶手段と、音声入力手段と、特徴取得手段と、入室表示手段と、入室制御手段と、退室制御手段と、を備えることを特徴とする。また、ゲート開放制限手段、入室通知手段及び退室通知手段を備えることができる。
【0010】
上記「入退室ゲート」は、工場等の機械装置が動作する区域、及び冷蔵室内等の人数管理が必要な管理区域(以下、管理区域とする。)の出入口に設けられ、出入口から人が出入りすることを制限するゲートであれば、その構造及び大きさ等は特に問わず、任意に選択することができる。また、入退室ゲートは1つだけでもよいし、複数でもよい。複数ある場合は、それぞれに音声入力手段及び施錠制御手段を設け、入室通知手段及び退室通知手段が、音声が入力された音声入力手段に対応する施錠制御手段を用いて入退室ゲートの施解錠を行うことができる。
上記「施解錠制御手段」は、入退室ゲートが開放できないように施錠したり、解錠できたりすればよく、その構造及び大きさ等は特に問わず、任意に選択することができる。このような施解錠制御手段は、電磁石で動作する電子錠等を例示することができる。
【0011】
上記「音声特徴データ」は、入退室者の声の特徴を表すデータである。この「声の特徴」はいわゆる声紋等、入退室者と他者とを区別することができればよく、任意の特徴を用いて比較に用いることができる。また、一人分の音声特徴データは、1種類の音声特徴データからなっていてもよいし、複数種類の音声特徴データからなっていてもよい。
更に、音声特徴データに用いる入退室者の声は、任意の発音でもよいし、特定のキーワードを用いてもよい。特定のキーワードを用いた音声特徴データは、入退室者が誤ってキーワードと異なる単語を発音したときに、その発音が退室のために行ったとすることを防止し、入退室者が正しいキーワードを発音しない限り退室できないようにすることができる。尚、このキーワードは、全入退室者で共通の単語としてもよいし、入退室者毎に異なる単語を用いてもよい。
上記「特徴記憶手段」は、音声特徴データを入室音声特徴データとして記憶するための手段である。また、特徴記憶手段は、管理区域に収容可能な人数に応じた音声特徴データを記憶することができ、1人分又は2人分以上の音声特徴データを記憶することができる。
尚、音声特徴データは、特徴記憶手段のみに記憶するに限られず、異なる長期記憶手段に保存することができる。このような長期記憶手段を用いて入退室者の入退室後も音声特徴データを保存することによって、後日の入退室の履歴の照会を行うことができる。
【0012】
上記「音声入力手段」は、マイク等を用いて入退室者が発音した音声を電気信号からなる音声信号に変換する手段である。また、前記マイク等は、1箇所に設けてもよいし、入り口側及び出口側などの複数箇所設けてもよい。
上記「特徴取得手段」は、音声入力手段で入力された音声信号から音声特徴データを求める手段である。音声信号から音声特徴データを求める方法は、周知の信号加工方法を任意に用いることができる。
【0013】
上記「入室表示手段」は、少なくとも管理区域内に入退室者が滞在しているかどうかを確認できる表示手段であればよく、入室音声特徴データが1人分以上特徴記憶手段に記憶されているときに点灯する表示灯、並びに人数表示可能な表示灯及びモニタ等を例示することができる。特に、人数表示可能な表示灯及びモニタを用いた場合は、一人分の入室音声特徴データが特徴記憶手段に記憶されている数を入室中の人数として表示することによって、入室中の人数がより正確に把握することができる。
上記「入室通知手段」及び上記「退室通知手段」は、入退室者の入室及び退室を入室制御手段及び退室制御手段に通知することができればよく、入退室者の入室及び退室を検知する手段は特に問わない。この手段の例として、入退室者が操作するスイッチ、入退室ゲート付近の床面に設けられて入退室者の体重で動作するスイッチ、及び入退室ゲートの接近を検知する赤外線等を用いた非接触スイッチ等を例示することができる。また、一定値を越える音量又はキーワード発音によって動作する音スイッチも例示することができる。
上記「機械装置」は、上記管理区域で管理されている機械装置であれば特に問わず、任意に選択することができる。このような機械装置の例として、例えばプレス機、旋盤等の工作機械、食品の調理、加工及び包装等を行う食品製造装置、薬品の処理、加工及び包装等を行う薬品製造装置等を挙げることができる。
上記「機械装置の動作を停止させる」方法は、任意に選択することができ、例えば、機械装置の動作停止用の信号線に動作停止の信号を送信することを挙げることができる。
【実施例】
【0014】
以下、図面を用いて本発明のゲート施解錠装置を具体的に説明する。
1.実施例1
(1)ゲート施解錠装置の構成
本実施例1のゲート施解錠装置1は、図1に示すように、入退室者3a、3bが入退室する機械装置を管理するための管理区域4の出入口に設けられている入退室ゲート5の電磁鍵51の施解錠を行う装置であり、施錠制御手段11と、特徴記憶手段12と、音声入力手段13と、特徴取得手段14と、入室表示手段15と、入室制御手段16と、退室制御手段17とを備える。また、特徴記憶手段12、特徴取得手段14、入室制御手段16及び退室制御手段17は、コンピュータ上で各手段12、14、16、17として機能するプログラムからなる。
【0015】
特徴記憶手段12は、一人分の音声特徴データを入室音声特徴データとして所定の数だけ記憶することができるデータベースである。また、記憶可能な入室音声特徴データの数は、管理区域4の用途に応じて適宜設定される。更に、一人分の音声特徴データは、入退室者が特定のキーワードを発音したときにおける声紋等である。
入室表示手段15は、特徴記憶手段12に入室音声特徴データが記憶されている場合に点灯して入室中の表示を行う入室表示灯151を備える。また、入室表示灯151の点滅制御は、入室制御手段16及び退室制御手段17によって特徴記憶手段12の入室音声特徴データの記憶数が増減するときに行われる。
【0016】
音声入力手段13は、入退室ゲート5の近辺に据置きされたマイク131を備えた音声入力装置であり、入退室者3a、3bが発音する単語等をA−Dコンバータ等によって音声信号に変換して特徴取得手段14に出力する。
特徴取得手段14は、音声入力手段13から得た音声信号を信号処理して声紋等からなる音声特徴データを作成し、得られた音声特徴データを入室制御手段16及び退室制御手段17に出力する。
入室制御手段16は、特徴取得手段14から得た音声特徴データを入室音声特徴データとして特徴記憶手段12に送信し、記憶させる。また、施錠制御手段11に対して入退室ゲート5を解錠するように指示する。
施錠制御手段11は、入室制御手段16及び退室制御手段17からの指示によって電磁鍵51の施解錠を制御する電磁リレーである。また、施錠制御手段11は、機械装置の停止スイッチに接続される電磁リレーも備え(図示せず)、電磁鍵51が解錠の状態になっているときは、機械装置が停止状態になるように停止スイッチに接続される電磁リレーを制御する。
【0017】
退室制御手段17は、(1)特徴取得手段14で得た入退室者の音声特徴データの内容と一致する内容である入室音声特徴データを特徴記憶手段12から検索し、(2)検索によって一致する入室音声特徴データがある場合は、入室音声特徴データを特徴記憶手段12から削除し、(3)特徴記憶手段12に記憶される入室音声特徴データがない場合は、施錠制御手段11に対して入退室ゲート5を施錠するように指示する。
【0018】
(2)ゲート施解錠装置の入室時の動作
上記構成のゲート施解錠装置1を用いて入退室者3aが管理区域4に入室するときの手順を図2に基づいて説明する。
[1]入退室者のキーワード入力
入室を希望する入退室者3aが、音声入力手段13のマイク131に向けて退室時に使用するキーワードを発音する。音声入力手段13は、マイク131に入力されたキーワードを含む音声を音声信号に変換して特徴取得手段14に出力する(ステップ101)。
[2]音声特徴データの取得
特徴取得手段14は、音声入力手段13から得た音声信号を信号処理して入退室者3aの声の特徴を表す音声特徴データを取得する(ステップ102)。
[3]音声特徴データの登録
入室制御手段16は、特徴取得手段14から得た音声特徴データを入室音声特徴データとして特徴記憶手段12に送信し、記憶させる(ステップ103)。
尚、特徴記憶手段12に同じ入室音声特徴データが記憶されているときは、該当入退室者3aが既に入室済みであると見なせるため、新たな入室音声特徴データを記憶させない。
[4]入退室ゲートの解錠
施錠制御手段11は、入室制御手段16に解錠を指示されて、入退室ゲートを解錠する。これによって、入退室者が入退室ゲートから入室できるようになる(ステップ104)。更に、施錠制御手段11は、機械装置が停止状態になるように停止スイッチに接続される電磁リレーを制御する。
[5]入室表示灯の表示
特徴記憶手段12は、現在記憶されている入室音声特徴データの数、つまり入室中の人数の情報を入室表示手段15に通知する。また、入室表示手段15は、入室音声特徴データの数情報が1以上のときに入室表示灯151を点灯させる(ステップ105)。
【0019】
(3)ゲート施解錠装置の退室時の動作
上記構成のゲート施解錠装置1を用いて管理区域内にいる入退室者3bが管理区域外に退出するときの手順を図3に基づいて説明する。
[1]入退室者のキーワード入力
退室を希望する入退室者3bが、音声入力手段13のマイク131に向けて退室時に使用するキーワードを発音する。音声入力手段13は、マイク131に入力されたキーワードを含む音声を音声信号に変換して特徴取得手段14に出力する(ステップ111)。
[2]特徴データの取得
特徴取得手段14は、音声入力手段13から得た音声信号を解析して入退室者3bの声の特徴を表す発音データを求める(ステップ112)。
【0020】
[3]入室音声特徴データの検索、削除
退室制御手段17は、特徴取得手段14で得た入退室者の音声特徴データの内容と一致する内容である入室音声特徴データを特徴記憶手段12から検索する(ステップ113)。そして、入室音声特徴データが見つからない場合は、再度、[1]入退室者のキーワード入力を行って新たな音声特徴データの取得を待つ(ステップ114)。また、入退室者が発したキーワードが入室時のキーワードと異なる場合も、新たな音声特徴データの取得を待つ。
更に、該当する入室音声特徴データがある場合は、その入室音声特徴データを特徴記憶手段12から削除する(ステップ115)。
[4]入退室ゲートの施錠
更に、退室制御手段17は、特徴記憶手段12に記憶される入室音声特徴データの数を調べ、残存する入室音声特徴データがない場合は(ステップ116)、施錠制御手段11に対して入退室ゲート5を施錠するように指示する(ステップ117)。また、施錠制御手段11は、停止スイッチに接続される電磁リレーを制御して停止スイッチが切れている状態にする。
[5]入室表示灯の表示
特徴記憶手段12は、現在記憶されている入室音声特徴データの数、つまり入室中の人数の情報を入室表示手段15に通知する。また、入室表示手段15は、入室音声特徴データの数情報が0のときに入室表示灯151を消灯させる(ステップ118)。
【0021】
(4)ゲート施解錠装置の作用
本ゲート施解錠装置1は、音声認識を用いるため、入室者3a、3bがタグ等の管理用部材を携帯しなくても、入室者の音声特徴データを鍵として管理区域内の人数把握を正確に行い、ゲート施解錠を行うことができる。このため、入室者の音声によりゲートを通過する人の区別を行うことができるため、誤りなく計測することができる。
また、入室及び退室のときにキーワードを受け付けるマイク131は一つのみであるが、入室時は新規の入室音声特徴データのみ特徴記憶手段12に記憶され、退室時は記憶されている入室音声特徴データがあれば削除するという、重複しない動作であるため、入退室に伴う入退室ゲートの施解錠を誤りなく行うことができる。
更に、入室表示手段15の入室表示灯151を備えているため、管理区域内に入室中であるかどうかが正確に把握することができる。
また、解錠しているときは、施錠制御手段11により機械装置が停止状態になるように停止スイッチに接続される電磁リレーを制御するため、入室者の安全性を高め、機械装置の駆動等の支障が生じる恐れがない。
【0022】
2.実施例2
本実施例2のゲート施解錠装置1aは、図4に示すように、入退室者3a、3bが入退室する管理区域4の出入口に設けられている入退室ゲート5の電磁鍵51の施解錠を行う装置であり、施錠制御手段11と、特徴記憶手段12と、音声入力手段13と、特徴取得手段14と、入室表示手段15と、入室制御手段16と、退室制御手段17と、ゲート開放制限手段18と、入室通知手段19と、退室通知手段20とを備える。また、特徴記憶手段12、特徴取得手段14、入室制御手段16、退室制御手段17及びゲート開放制限手段18は、コンピュータ上で各手段12、14、16、17、18として機能するプログラムからなる。
【0023】
特徴記憶手段12は、声紋等を表す一人分の音声特徴データを入室音声特徴データとして所定の数だけ記憶することができるデータベースである。また、記憶可能な入室音声特徴データは、管理区域4の用途に応じて適宜設定される。
入室表示手段15は、特徴記憶手段12に入室音声特徴データが記憶されている場合に点灯して入室中の入退室者の人数を数字で表示する人数表示灯152を備える。また、人数表示灯152の点滅制御は、入室制御手段16及び退室制御手段17によって特徴記憶手段12の入室音声特徴データの記憶数が増減するときに行われる。
【0024】
音声入力手段13は、入退室ゲート5の近辺に据置きされたマイク131を備えた音声入力装置であり、入退室者3a、3bが発音する単語等をA−Dコンバータ等によって音声信号に変換して特徴取得手段14に出力する。
特徴取得手段14は、音声入力手段13から得た音声信号を信号処理して声紋等からなる音声特徴データを作成し、得られた音声特徴データを入室制御手段16及び退室制御手段17に出力する。
入室制御手段16は、入室通知手段19が入室しようとする入退室者検知しているときに限って、特徴取得手段14から得た音声特徴データを入室音声特徴データとして特徴記憶手段12に送信し、記憶させる。また、施錠制御手段11に対して入退室ゲート5を解錠するように指示する。
施錠制御手段11は、入室制御手段16及び退室制御手段17からの指示によって電磁鍵51の施解錠を制御する電磁リレーである。また、電磁リレーの状態は、ゲート開放制限手段18に伝えられる。更に、施錠制御手段11は、機械装置の停止スイッチに接続される電磁リレーも備え(図示せず)、電磁鍵51が解錠の状態になっているときは、機械装置が停止状態になるように停止スイッチに接続される電磁リレーを制御する。
【0025】
退室制御手段17は、(2)退室通知手段20が退室しようとする入退室者検知しているときに、(2)特徴取得手段14で得た入退室者の音声特徴データの内容と一致する内容である記憶されている入室音声特徴データを検索し、(3)検索によって一致する入室音声特徴データがある場合は、入室音声特徴データを特徴記憶手段12から削除し、(4)特徴記憶手段12に記憶される入室音声特徴データがない場合は、施錠制御手段11に対して入退室ゲート5を解錠するように指示する。
【0026】
ゲート開放制限手段18は、施錠制御手段11の電磁リレーの状態が解錠の状態になったとき、つまり施錠制御手段11が入室制御手段16及び退室制御手段17の指示に応じて解錠を行ったときに、解錠した時から所定時間経過後、施錠制御手段11に対して入退室ゲート5を解錠するように指示する。
入室通知手段19及び退室通知手段20は、入退室ゲート5に接近する入退室者を検知する光スイッチである。入室通知手段19は、入退室ゲート5の管理区域外側に接近、つまり入室しようとする入退室者を検知して入室制御手段16に通知する。また、退室通知手段20は、入退室ゲート5の管理区域内側に接近、つまり退室しようとする入退室者を検知して退室制御手段17に通知する。
【0027】
(2)ゲート施解錠装置の入室時の動作
上記構成のゲート施解錠装置1aを用いて入退室者3aが管理区域4に入室するときの手順を図5に基づいて説明する。
[1]入退室者の検知
入室通知手段19が入退室ゲート5に接近する入退室者を検知するまで、入室制御手段16は、特徴取得手段14から得た音声特徴データを廃棄し、特徴記憶手段12に記憶しない(ステップ201)。
[2]入退室者のキーワード入力
入室を希望する入退室者が、音声入力手段13のマイク131に向けて退室時に使用するキーワードを発音する。音声入力手段13は、マイク131に入力されたキーワードを含む音声を音声信号に変換して特徴取得手段14に出力する(ステップ202)。
[3]特徴データの取得
特徴取得手段14は、音声入力手段13から得た音声信号を解析して入退室者3aの声の特徴を表す発音データを求める(ステップ203)。
【0028】
[4]特徴データの登録
入室制御手段16は、ゲート施解錠装置1aが操作されて入退室者3aの声の特徴の登録が指示された場合に用いられる手段である。この声の特徴の登録は、音声入力手段13から得た音声信号を解析して入退室者3aの声の特徴を表すデータを求め、求めたデータを特徴記憶手段12に登録する(ステップ204)。
[5]入退室ゲートの解錠
施錠制御手段11は、入室制御手段16に解錠を指示されて、入退室ゲート5を解錠する。これによって、入退室者が入退室ゲートから入室できるようになる(ステップ205)。更に、施錠制御手段11は、機械装置が停止状態になるように停止スイッチに接続される電磁リレーを制御する。
[6]ゲートを所定時間開放
施錠制御手段11が入退室ゲート5を解錠したとき、ゲート開放制限手段18は、所定時間経過するまで時間計測を開始する(ステップ206)。また、ゲート開放制限手段18は、所定時間が経過した後に、施錠制御手段11に指示し、入退室ゲート5を解錠する(ステップ207)。
[7]入室表示灯の表示
特徴記憶手段12は、現在記憶されている入室音声特徴データの数、つまり入室中の人数の情報を入室表示手段15に通知する。また、入室表示手段15は、入室音声特徴データの数情報に応じた入室数を表す数字を人数表示灯152に点灯させる(ステップ208)。
【0029】
(3)ゲート施解錠装置の退室時の動作
上記構成のゲート施解錠装置1aを用いて管理区域内にいる入退室者3bが管理区域外に退出するときの手順を図6に基づいて説明する。
[1]入退室者の検知
退室通知手段20が入退室ゲート5に接近する入退室者を検知するまで、退室制御手段17は、特徴取得手段14から得た音声特徴データを廃棄し、特徴記憶手段12に記憶しない(ステップ211)。
[2]入退室者のキーワード入力
退室を希望する入退室者3bが、音声入力手段13のマイク131に向けて退室時に使用するキーワードを発音する。音声入力手段13は、マイク131に入力されたキーワードを含む音声を音声信号に変換して特徴取得手段14に出力する(ステップ212)。
[3]特徴データの取得
特徴取得手段14は、音声入力手段13から得た音声信号を解析して入退室者3bの声の特徴を表す発音データを求める(ステップ213)。
【0030】
[4]入室音声特徴データの検索、削除
退室制御手段17は、特徴取得手段14で得た入退室者の音声特徴データの内容と一致する内容である入室音声特徴データを特徴記憶手段12から検索する(ステップ214)。そして、入室音声特徴データが見つからない場合は、再度、[1]入退室者のキーワード入力を行って新たな音声特徴データの取得を待つ(ステップ215)。また、入退室者が発したキーワードが入室時のキーワードと異なる場合も、新たな音声特徴データの取得を待つ。
更に、該当する入室音声特徴データがある場合は、その入室音声特徴データを特徴記憶手段12から削除する(ステップ216)。
[5]入退室ゲートの解錠
施錠制御手段11は、退室制御手段17に解錠を指示されて、入退室ゲート5を解錠する。これによって、入退室者が入退室ゲート5から退室できるようになる(ステップ217)。
[6]ゲートを所定時間開放
施錠制御手段11が入退室ゲート5を解錠したとき、ゲート開放制限手段18は、所定時間経過するまで時間計測を開始する(ステップ218)。また、ゲート開放制限手段18は、所定時間が経過した後に、施錠制御手段11に指示し、入退室ゲート5を解錠する(ステップ219)。更に、施錠制御手段11は、停止スイッチに接続される電磁リレーを制御して停止スイッチが切れている状態にする。
尚、退室制御手段17は、特徴記憶手段12に記憶される入室音声特徴データの数を調べ、残存する入室音声特徴データがない場合は、施錠制御手段11に対して入退室ゲート5を施錠するように指示するが、通常、ゲート開放制限手段18による入退室ゲート5の施錠が先に行われる。
[7]入室表示灯の表示
特徴記憶手段12は、現在記憶されている入室音声特徴データの数、つまり入室中の人数の情報を入室表示手段15に通知する。また、入室表示手段15は、入室音声特徴データの数情報に応じた入室数を表す数字を人数表示灯152に点灯させる(ステップ220)。
【0031】
(4)ゲート施解錠装置の作用
本ゲート施解錠装置1aは、実施例1と同様に、音声認識を用いるため、入室者3a、3bがタグ等の管理用部材を携帯しなくても、入室者の音声特徴データを鍵として管理区域内の人数把握を正確に行い、ゲート施解錠を行うことができる。このため、入室者の音声によりゲートを通過する人の区別を行うことができるため、誤りなく計測することができる。
更に、入室表示手段15の人数表示灯152を備えているため、管理区域内に入室中の入退室者の人数を正確に把握することができる。
また、解錠しているときは、施錠制御手段11により機械装置が停止状態になるように停止スイッチに接続される電磁リレーを制御するため、入室者の安全性を高め、機械装置の駆動等の支障が生じる恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例1に係るゲート施解錠装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】実施例1に係る入室時のゲート施解錠装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】実施例1に係る退室時のゲート施解錠装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施例2に係るゲート施解錠装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】実施例2に係る入室時のゲート施解錠装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】実施例2に係る退室時のゲート施解錠装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
1、1a;ゲート施解錠装置、11;施錠制御手段、12;特徴記憶手段、13;音声入力手段、131;マイク、14;特徴取得手段、15;入室表示手段、151;入室表示灯、152;人数表示灯、16;入室制御手段、17;退室制御手段、18;ゲート開放制限手段、19;入室通知手段、20;退室通知手段、3a、3b;入退室者、4;管理区域、5;入退室ゲート、51;電磁鍵。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入退室ゲートの施錠及び解錠を行うゲート施解錠装置であって、
前記入退室ゲートの施解錠を行う施錠制御手段と、
前記入退室ゲートを通過する入退室者の声の特徴を表す一人分の音声特徴データを、入室音声特徴データとして1又は2以上記憶可能な特徴記憶手段と、
前記入退室者が発音する音声を受け付けて、該音声を音声信号に変換する音声入力手段と、
前記音声入力手段で変換された前記音声信号から音声特徴データを取得する特徴取得手段と、
前記特徴記憶手段に入室音声特徴データが記憶されている場合に入室中の表示を行う入室表示手段と、
前記入退室者の入室時において、前記特徴取得手段で得た該入退室者の音声特徴データを入室音声特徴データとして前記特徴記憶手段に記憶させ、前記入退室ゲートを解錠するよう前記施錠制御手段に指示する入室制御手段と、
前記入退室者の退室時において、(1)前記特徴取得手段で得た該入退室者の音声特徴データの内容と一致する内容である前記記憶されている前記入室音声特徴データを検索し、
(2)前記検索によって一致する前記入室音声特徴データが見つかった場合は、該入室音声特徴データを前記特徴記憶手段から削除し、
(3)前記特徴記憶手段に記憶される入室音声特徴データがない場合は、前記入退室ゲートを施錠するよう前記施錠制御手段に指示する退室制御手段と、を備えることを特徴とするゲート施解錠装置。
【請求項2】
前記入室表示手段は、前記特徴記憶手段に記憶されている入室音声特徴データの人数分の数を入室人数として表示する請求項1記載のゲート施解錠装置。
【請求項3】
前記退室制御手段は、前記検索によって一致する前記入室音声特徴データが見つかった場合に、前記入退室ゲートを解錠し、
前記入室制御手段又は前記退室制御手段による指示によって前記施錠制御手段が前記入退室ゲートを解錠するのを検出した時から所定時間経過後に、前記入退室ゲートを施錠するよう前記施錠制御手段に指示するゲート開放制限手段を更に備える請求項2記載のゲート施解錠装置。
【請求項4】
前記入退室者の入室を前記入室制御手段に通知する入室通知手段と、
前記入退室者の退室を前記退室制御手段に通知する退室通知手段と、を更に備え、
前記入室制御手段は、前記入室通知手段による通知を受け取ったときのみ前記記憶及び前記解錠を行い、
前記退室制御手段は、前記退室通知手段による通知を受け取ったときのみ前記削除及び前記施錠を行う、請求項1乃至3記載のゲート施解錠装置。
【請求項5】
前記施錠制御手段は、前記特徴記憶手段に入室音声特徴データが記憶されている間は前記入退室ゲートが設けられている区域で管理されている機械装置の動作を停止させる請求項1乃至4記載のゲート施解錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−162007(P2009−162007A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1629(P2008−1629)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】