説明

ゲームと文字の練習装置

【課題】文字を書く面と手を載せる台との高低差を少なくして、文字を書きやすくしながら、便利に持ち運びする。文字の練習に使用しながら、ゲームにも便利に使用する。
【解決手段】ゲームと文字の練習装置は、第1ケース11及び第2ケース12からなるゲーム機本体10と、このゲーム機本体10の第1ケース11を脱着自在に嵌入できる嵌着凹部21を有する手書き台20とを備える。ゲーム機本体10は、第1ケース11と第2ケース12の対向する表面に表示モニタ14を備え、第1ケース11の表示モニタ14は、スティック30でタッチされる位置を検出するタッチセンサ15を備える。手書き台20は、嵌着凹部21に入れた第1ケース11の表示モニタ14と同一平面となる手載せ面22を第1ケース11の外側に設けており、手載せ面22にスティック30を握る手を置いて、第1ケース11の表示モニタ14に文字を書くようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字の練習とゲームの両方ができるゲームと文字の練習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文字の練習は、紙に書いて行われる。ただ、この方法は書かれた文字を先生が目で見て判断することから、練習に相当な手間がかかる欠点がある。この欠点は、書かれた文字をパターン認識し、標準の文字との違いを等を検出することで解消できる。また、書かれた文字をパターン認識する装置は、読みから漢字を書く練習などにも使用できる。文字をパターン認識する練習装置は開発されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−194986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の文字の練習装置は、図1に示すように、手書き文字入力部92と、手書き文字入力部92によって入力された文字を認識する文字認識部と、文字音声データを記憶する記憶部と、音声を出力する音声出力部とを有する。さらに、この練習装置は、文字認識部が認識した文字に対応する文字音声データを上記記憶部から読み出して上記音声出力部95に文字音声を出力させる制御部とを備えている。この練習装置は、単に文字を書くだけではなく、文字の読み方を合わせて学習することができる。また、ゲーム感覚で文字を書く練習ができ、飽きずに文字を書く練習ができる。
【0004】
ただ、この練習装置は、紙と同じようには文字を書くことができない欠点がある。それは、練習装置が相当な厚さとなることから、文字を書く面と手を載せる台とに高低差ができるからである。紙に文字を書く状態では、文字を書く紙と手を載せる台とに、ほとんど高低差ができない。このため、練習装置を使用して上手に文字を書くことができない欠点がある。この欠点は、練習装置の外形を大きくして、練習装置の上に手を載せて書くようにして解消できるが、この練習装置は、外形が大きくなって、持ち運びが不便になる欠点がある。
【0005】
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、文字を書く面と手を載せる台との高低差を少なくして、文字を書きやすくしながら、便利に持ち運びできるゲームと文字の練習装置を提供することにある。
さらに、本発明の他の大切な目的は、文字の練習に使用できることに加えて、ゲームにも便利に使用できるゲームと文字の練習装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲームと文字の練習装置は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
ゲームと文字の練習装置は、互いに折り畳み自在に連結してなる外形を等しい四角形としてなる第1ケース11及び第2ケース12からなるゲーム機本体10と、このゲーム機本体10の第1ケース11を脱着自在に嵌入できる上方開口の嵌着凹部21を有する手書き台20とを備える。ゲーム機本体10は、第1ケース11と第2ケース12の互いに対向する表面に表示モニタ14を備えると共に、第1ケース11の表示モニタ14は表面にスティック30でタッチされる位置を検出するタッチセンサ15を備える。さらに、ゲーム機本体10は、第1ケース11の表示モニタ14の表面に書かれる文字をタッチセンサ15の信号で認識する文字認識部と、第1ケース11と第2ケース12の表示モニタ14にゲーム表示をするゲーム部とを備える。さらにまた、手書き台20は、嵌着凹部21に入れられた第1ケース11の表示モニタ14と同一平面となる手載せ面22を第1ケース11の外側に設けており、この手載せ面22にスティック30を握る手を置いて、手でスティック30を操作して第1ケース11の表示モニタ14に文字を書き、さらに、ゲーム機本体10を手書き台20から離して使用するようにしている。
【0007】
本発明の請求項2のゲームと文字の練習装置は、手書き台20が、ゲーム機本体10の三方の外側に手載せ面22を設けている。
【0008】
本発明の請求項3のゲームと文字の練習装置は、手書き台20の手載せ面22の外周部に、外周縁に向かって下り勾配に傾斜する傾斜面24を設けている。
【0009】
本発明の請求項4のゲームと文字の練習装置は、手書き台20が、ゲーム機本体10の電源コード31を案内する電源コード案内溝25を設けている。
【0010】
本発明の請求項5のゲームと文字の練習装置は、手書き台20が、ゲーム機本体10に接続されるイヤホンコード32を案内するイヤホンコード案内溝26を設けている。
【0011】
本発明の請求項6のゲームと文字の練習装置は、手書き台20が、ゲーム機本体10に接続されるスピーカー27を内蔵している。
【発明の効果】
【0012】
本発明のゲームと文字の練習装置は、文字を書く面と手を載せる台との高低差を少なくして、文字を書きやすくしながら、便利に持ち運びできる特徴がある。それは、ゲーム機本体の第1ケースを手書き台の嵌着凹部に入れて第1ケースの表示モニタにスティックで文字を書くことで、表示モニタと手書き台の手載せ面とをほぼ同一平面にできるからである。さらに、この練習装置は、文字の練習に加えて、ゲームにも便利に使用できるので、子供が飽きずに使用して、文字の練習ができる。とくに、ゲームに使用するときは、ゲーム機本体を手書き台から離して便利に使用できる。
【0013】
本発明の請求項2のゲームと文字の練習装置は、手書き台が、ゲーム機本体の三方の外側に手載せ面を設けているので、第1ケースの表示モニタを縦横に使用し、あるいは右手や左手でスティックをもつ状態で使用しながら、手を載せる手載せ面と表示モニタとをほぼ同一平面にできる。このため、種々の姿勢で使用して文字の練習をできる。
【0014】
本発明の請求項3のゲームと文字の練習装置は、手書き台の手載せ面の外周部に、外周縁に向かって下り勾配に傾斜する傾斜面を設けているので、手が手載せ面の外部やその境界部にあっても、無理なく自然に文字を書いて練習できる。
【0015】
本発明の請求項4のゲームと文字の練習装置は、手書き台が、ゲーム機本体の電源コードを案内する電源コード案内溝を設けているので、ゲーム機本体を充電しながら文字の練習ができる。
【0016】
本発明の請求項5のゲームと文字の練習装置は、手書き台が、ゲーム機本体のイヤホンコードを案内するイヤホンコード案内溝を設けているので、ゲーム機本体の音声をイヤホンで聞きながら文字の練習ができる。
【0017】
本発明の請求項6のゲームと文字の練習装置は、手書き台が、ゲーム機本体に連結されるスピーカーを内蔵しているので、イヤホンを使用することなく、スピーカーの音を聞きながら文字の練習やゲームができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのゲームと文字の練習装置を例示するものであって、本発明は、ゲームと文字の練習装置を以下のものに特定しない。
【0019】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0020】
図2と図3に示すゲームと文字の練習装置は、ゲーム機本体10と、このゲーム機本体10を定位置にセットする手書き台20とを備える。ゲーム機本体10は、平面上に広げる状態から互いに重ねる状態に折り畳みできるように連結している第1ケース11と第2ケース12を備える。第1ケース11と第2ケース12とは蝶番13を介して折り畳みできるように連結している。第1ケース11と第2ケース12は、外形を同じ形状とする長方形として、長方形の長辺を蝶番13で折り畳みできるように連結している。さらに、図のゲーム機本体10は、第1ケース11と第2ケース12の厚さもほぼ等しくしている。
【0021】
第1ケース11と第2ケース12は、折り畳み状態で互いに対向する面に表示モニタ14を設けている。第1ケース11の表示モニタ14は、表面にスティック30でタッチされる位置を検出するタッチセンサ15を有する。さらに、第1ケース11は、表示モニタ14の外側に操作スイッチ16を設けている。操作スイッチ16は、種々の操作や、表示モニタ14の画面を切り換えるのに使用され、あるいはゲームをするときに使用される。
【0022】
さらに、ゲーム機本体10は、図示しないが、第1ケース11の表示モニタ14の表面に書かれる手書き文字を認識する文字認識部と、第1ケース11と第2ケース12の表示モニタ14にゲーム表示をするゲーム部とを備える。文字認識部とゲーム部とは、第1ケース11又は第2ケース12に、あるいは第1ケース11と第2ケース12の両方に内蔵される。
【0023】
文字認識部は、第1ケース11の表示モニタ14のタッチセンサ15からの信号でスティック30で書かれる手書き文字を認識し、認識された手書き文字から種々の判定をする。たとえば、文字認識部は、標準の字体を記憶しており、記憶される標準の字体と、認識された手書き文字とを比較して、手書き文字の標準の字体からのずれを表示する。ずれの程度は点数で表示し、あるいは標準の字体と手書き文字の両方を異なる線で表示する。点数でずれを表示する文字認識部は、標準の字体と認識された手書き文字との位置の相違を数値で表示して、完全に一致する状態を100点、全く異なる状態を0点として表示する。さらに、文字認識部は、認識する手書き文字を、第2ケース12の表示モニタ14に表示するカタカナやひらがなに相当する漢字かどうかを判定して、判定結果を表示モニタ14に表示し、あるいは音声で知らせる。この文字認識部は、第1ケース11の表示モニタ14に表示するカタカナやひらがなに相当する漢字を記憶しており、記憶される漢字と手書き文字とを比較して、正しい漢字が手書きされたかどうかを判定する。
【0024】
ゲーム部は、第1ケース11と第2ケース12の表示モニタ14を使用し、さらに第1ケース11の表示モニタ14のタッチセンサ15を使用して使用できる種々のゲームソフトを記憶している。
【0025】
手書き台20は、ゲーム機本体10の第1ケース11を脱着自在に嵌入できる上方開口の嵌着凹部21を設けている。さらに、手書き台20は、嵌着凹部21に水平面内で移動しないように入れられた第1ケース11の表示モニタ14と同一平面となる手載せ面22を第1ケース11の外側に設けている。嵌着凹部21は、長方形の第1ケース11を入れて水平面内で移動しないように嵌着することから、各辺の長さを第1ケース11の外形よりもわずかに、たとえば1mmないし5mm大きくしてなる長方形としている。嵌着凹部21は、ここに第1ケース11を入れて第1ケース11の表示モニタ14を手載せ面22と同一平面とするように、その深さを第1ケース11の厚さとしている。ただし、本明細書において、第1ケースの表示モニタと手載せ面とを同一平面とするとは、第1ケースの表示モニタと手載せ面との高低差がほとんどない状態、すなわち高低差を5mm以下とする状態を含む意味に使用する。それは、第1ケースの表示モニタと手載せ面との高低差が5mm以下であると、手載せ面に載せる手でスティックを持って、表示モニタに文字を書くときに、平面に紙やノートをおいて書くのと同じように文字を書くことができるからである。
【0026】
図の手書き台20は、嵌着凹部21に案内するゲーム機本体10の左右と前方の三方の外側に手載せ面22を設けており、ゲーム機本体10の背面には、嵌着凹部21に案内するゲーム機本体10の位置ずれを阻止する隔壁23を設けている。この手書き台20は、左利きと右利きの両方のユーザーが、手載せ面22に手を載せてスティック30で表示モニタ14に文字を書くことができる。ただ、手書き台は、ゲーム機本体の前方と右側にのみ手載せ面を設けて、ゲーム機本体の左側と背面には位置ずれを阻止する隔壁を設ける形状とすることもできる。
【0027】
さらにまた、図の手書き台20は、手載せ面22の外周部に、外周縁に向かって下り勾配に傾斜する傾斜面24を設けている。傾斜面24は、水平面に対する傾斜角を30度以下としている。また、図の手書き台20は、ゲーム機本体10に接続する電源コード31を案内する電源コード案内溝を背面の隔壁23に設けており、また、手載せ面22には、ゲーム機本体10に接続するイヤホンコード32を案内するイヤホンコード案内溝26を設けている。
【0028】
さらに、手書き台20は、図3の鎖線で示すように、その内部に電池とゲーム機本体10に連結されるスピーカー27を内蔵することができる。スピーカー27は、イヤホンコード28を介してゲーム機本体10に接続されて、イヤホン端子に出力される音声や音楽を再生する。スピーカー27を内蔵する手書き台20は、イヤホン端子から出力される信号を増幅するアンプと、このアンプの電源となる電池を内蔵することもできる。この手書き台20は、スピーカー27から大きな音量で音声や音楽を再生できる。
【0029】
以上のゲームと文字の練習装置は、図2に示すように、手書き台20の手載せ面22にスティック30を握る手を置いて、手でスティック30を操作して第1ケース11の表示モニタ14に文字を書き、書かれた文字を文字認識部で認識して、文字を書く練習をし、あるいは漢字を書く練習をする。また、ゲーム機本体10を手書き台20にセットした状態でゲーム機として使用し、あるいはゲーム機本体10を手書き台20から離してゲーム機として使用する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の文字の練習装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例にかかるゲームと文字の練習装置の使用状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示すゲームと文字の練習装置の手書き台の斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
10…ゲーム機本体
11…第1ケース
12…第2ケース
13…蝶番
14…表示モニタ
15…タッチセンサ
16…操作スイッチ
20…手書き台
21…嵌着凹部
22…手載せ面
23…隔壁
24…傾斜面
25…電源コード案内溝
26…イヤホーンコード案内溝
27…スピーカー
28…イヤホーンコード
30…スティック
31…電源コード
32…イヤホーンコード
92…手書き文字入力部
95…音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに折り畳み自在に連結してなる外形を等しい四角形としてなる第1ケース(11)及び第2ケース(12)からなるゲーム機本体(10)と、このゲーム機本体(10)の第1ケース(11)を脱着自在に嵌入できる上方開口の嵌着凹部(21)を有する手書き台(20)とを備え、
前記ゲーム機本体(10)は、第1ケース(11)と第2ケース(12)の互いに対向する表面に表示モニタ(14)を備えると共に、第1ケース(11)の表示モニタ(14)は表面にスティック(30)でタッチされる位置を検出するタッチセンサ(15)を有し、前記ゲーム機本体(10)は、前記第1ケース(11)の表示モニタ(14)の表面に書かれる手書き文字をタッチセンサ(15)からの信号で認識する文字認識部と、第1ケース(11)と第2ケース(12)の表示モニタ(14)にゲーム表示をするゲーム部とを備え、
さらに、前記手書き台(20)は、嵌着凹部(21)に入れられた第1ケース(11)の表示モニタ(14)と同一平面となる手載せ面(22)を第1ケース(11)の外側に設けており、この手載せ面(22)にスティック(30)を握る手を置いて、手でスティック(30)を操作して第1ケース(11)の表示モニタ(14)に文字を書き、さらに、ゲーム機本体(10)を手書き台(20)から離して使用するようにしてなるゲームと文字の練習装置。
【請求項2】
前記手書き台(20)がゲーム機本体(10)の三方の外側に手載せ面(22)を設けている請求項1に記載されるゲームと文字の練習装置。
【請求項3】
前記手書き台(20)の手載せ面(22)の外周部に、外周縁に向かって下り勾配に傾斜する傾斜面(24)を設けている請求項1に記載されるゲームと文字の練習装置。
【請求項4】
前記手書き台(20)が、ゲーム機本体(10)の電源コード(31)を案内する電源コード案内溝(25)を設けている請求項1に記載されるゲームと文字の練習装置。
【請求項5】
前記手書き台(20)が、ゲーム機本体(10)に接続されるイヤホンコード(32)を案内するイヤホンコード案内溝(26)を設けている請求項1に記載されるゲームと文字の練習装置。
【請求項6】
前記手書き台(20)が、ゲーム機本体(10)に接続されるスピーカー(27)を内蔵している請求項1に記載されるゲームと文字の練習装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−216796(P2009−216796A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57997(P2008−57997)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(598143343)赤松化成工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】