ゲーム装置およびゲーム装置の制御方法
【課題】フィールド上を移動する移動体の撮影において、ユーザが所望する移動体や各移動体の状況を容易に認識できる画像を提供する。
【解決手段】フィールド上を移動する移動体を撮影したカメラ画像のカメラ画像データと撮影時刻を取得する手段、三次元仮想フィールド空間におけるビデオカメラの3D座標を特定する手段、撮影時刻と移動情報に基づいて移動体の3D座標を特定する手段、移動体の3D座標上に移動体に対応するオブジェクトを生成する手段、カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する手段を備え、合成する手段は、ビデオカメラの3D座標を視点座標とする透視変換を行ってオブジェクトの3D座標を2D座標に変換し、カメラ画像データの1の画素がオブジェクトの領域外か否かを判定し、オブジェクトの領域外である場合は、所定の合成用画像データを重ね書きし、オブジェクトの領域内であると判定した場合は、クロマキー処理を実行する。
【解決手段】フィールド上を移動する移動体を撮影したカメラ画像のカメラ画像データと撮影時刻を取得する手段、三次元仮想フィールド空間におけるビデオカメラの3D座標を特定する手段、撮影時刻と移動情報に基づいて移動体の3D座標を特定する手段、移動体の3D座標上に移動体に対応するオブジェクトを生成する手段、カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する手段を備え、合成する手段は、ビデオカメラの3D座標を視点座標とする透視変換を行ってオブジェクトの3D座標を2D座標に変換し、カメラ画像データの1の画素がオブジェクトの領域外か否かを判定し、オブジェクトの領域外である場合は、所定の合成用画像データを重ね書きし、オブジェクトの領域内であると判定した場合は、クロマキー処理を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のフィールドを移動する移動体を撮影し映写するゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定のフィールド上を移動する移動体をビデオカメラで撮影し、この撮影した映像をディスプレイに映写する技術が知られている。特許文献1は、競馬ゲームの遊技装置において、フィールド上を移動する模型馬をビデオカメラで撮影して画面に映写する撮影装置を開示している。より具体的には、撮影装置が、フィールド上の移動体の位置を検出し、この検出した移動体の位置に基づいてビデオカメラの撮影方向を制御する技術を開示している。
【特許文献1】特開平4−215110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、競馬等のゲームにおいては、レースが開始されると、遊技者は、自分が投票した馬の動きに注目するのが通常である。しかし、フィールドを走行する馬や騎手は一見すると外見が似ており、また、遊技者はフィールドから所定距離離れた場所に位置しているため、集団で走行する複数の馬の中から自分が投票した馬を目視で判別することは、容易ではない。また、例えば、ゴールシーンはレースにおいて最も盛り上がる瞬間であるが、接戦中の競争馬はゴールラインを瞬時に走り抜けるため、ユーザがいくら注視していても、それらの着順を自分で判断することができない場合がある。
【0004】
上述したような従来の撮影装置は、フィールド上の馬(模型体)を撮影してディスプレイに映写することで、臨場感のある映像を遊技者に提供しようとしているが、ディスプレイに映写された馬はやはり外見が似ているため、ディスプレイの映像を見ても、ユーザが所望の馬を判別することは容易ではない。また、映写された映像においても、各馬はゴールラインを瞬時に駆け抜けていくため、やはりディスプレイの映像を見ても、どの馬が何着であったのかといった判断は困難である。
【0005】
かかる点に鑑み、本発明の目的は、所定のフィールド上を移動する移動体を撮影して画像を提供する場合に、ユーザが、所望する移動体や各移動体の状況を容易に認識することができる画像を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、予め生成された移動情報に基づいてフィールド上を移動する移動体をビデオカメラによって撮影し、該撮影されたカメラ画像を画面に表示するゲーム装置であって、前記撮影された前記移動体に係るカメラ画像のカメラ画像データと前記カメラ画像が撮影された撮影時刻を取得する取得手段と、前記フィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を特定するカメラ座標特定手段と、前記取得手段により取得された撮影時刻と前記予め生成された移動情報とに基づいて、前記三次元仮想フィールド空間における前記移動体の相対的な三次元座標を特定する移動体座標特定手段と、前記移動体座標特定手段により特定された前記移動体の相対的な三次元座標上に、前記移動体に対応するオブジェクトを生成する生成手段と、前記カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する合成手段と、前記合成手段により前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データを出力する出力手段と、を備え、前記合成手段は、前記カメラ座標特定手段により特定された前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を用いて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面に座標変換された前記オブジェクトの二次元座標に基づいて、前記カメラ画像データの1の画素が前記オブジェクトの領域外か否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記1の画素が前記オブジェクトの領域外であると判定された場合は、前記1の画素のカメラ画像データに前記所定の合成用画像データを重ね書きし、前記1の画素が前記オブジェクトの領域内であると判定された場合は、クロマキー処理を実行する画素合成手段とを備える。
【0007】
好適には、前記合成後のカメラ画像データのうち前記オブジェクトの領域外に位置する1つ以上の画素データから色データを抽出し、抽出された色データに基づいて前記所定の基準色を更新する更新手段、をさらに備える。
【0008】
好適には、前記合成手段は、ゴールラインを所定の合成用画像データとして重ね書きする。
【0009】
好適には、前記移動体位置特定手段により特定された前記移動体の相対的な三次元座標に基づいて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面における前記移動体の二次元座標を計算する計算手段と、前記計算手段により計算された前記移動体の二次元座標に基づいて、前記移動体に関する所定の付加データを前記合成後のカメラ画像データに重ね書きする付加データ合成手段、をさらに備える。
【0010】
好適には、前記付加データ合成手段は、前記移動体を他の移動体から識別するための画像を付加データとして重ね書きする。
【0011】
好適には、前記ゲーム装置は、前記ビデオカメラによって撮影された前記移動体のカメラ画像を表示する画面と、前記付加データ合成手段とを有する端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続され、前記計算手段及び前記合成手段を有する中央装置とから構成され、前記中央装置は、前記合成手段により前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データと前記計算手段により計算された移動体の二次元座標とを、前記端末装置へ送信する送信手段を備え、前記端末装置は、複数の移動体のうち任意の移動体に対する遊技者の投票を受け付ける受付手段と、前記送信手段より送信される合成後のカメラ画像データと各移動体の二次元座標とを受信する受信手段とを備え、前記付加データ合成手段は、前記受信手段により受信された各移動体の二次元座標から前記遊技者が投票した移動体に対応する二次元座標を特定し、この特定された二次元座標に基づいて、前記受信手段により受信された合成後のカメラ画像データに所定の付加データを合成する。
【0012】
好適には、予め生成された移動情報に基づいて移動する走行体を備え、前記移動体は、前記走行体によって駆動されることにより前記フィールド上を移動する。
【0013】
好適には、前記移動情報に基づいて、前記ビデオカメラの位置情報を生成する位置情報生成手段を備える。
【0014】
また、本発明は、予め生成された移動情報に基づいてフィールド上を移動する移動体をビデオカメラによって撮影し、該撮影されたカメラ画像を画面に表示するゲーム装置の制御方法であって、前記撮影された前記移動体に係るカメラ画像のカメラ画像データと前記カメラ画像が撮影された撮影時刻を取得する取得ステップと、前記フィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を特定するカメラ座標特定ステップと、前記取得された撮影時刻と前記予め生成された移動情報とに基づいて、前記三次元仮想フィールド空間における前記移動体の相対的な三次元座標を特定する移動体座標特定ステップと、前記特定された前記移動体の相対的な三次元座標上に、前記移動体に対応するオブジェクトを生成する生成ステップと、前記カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する合成ステップと、前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データを出力する出力ステップと、を備え、前記合成ステップは、前記特定された前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を用いて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面に座標変換された前記オブジェクトの二次元座標に基づいて、前記カメラ画像データの1の画素が前記オブジェクトの領域外か否かを判定する判定ステップと、前記1の画素が前記オブジェクトの領域外であると判定された場合は、前記1の画素のカメラ画像データに前記所定の合成用画像データを重ね書きし、前記1の画素が前記オブジェクトの領域内であると判定された場合は、クロマキー処理を実行する画素合成ステップとを備える。
【0015】
また、本発明は、予め生成された移動情報に基づいてフィールド上を移動する移動体をビデオカメラによって撮影し、該撮影されたカメラ画像を画面に表示するゲームのプログラムであって、コンピュータに、前記撮影された前記移動体に係るカメラ画像のカメラ画像データと前記カメラ画像が撮影された撮影時刻を取得する取得ステップと、前記フィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を特定するカメラ座標特定ステップと、前記取得された撮影時刻と前記予め生成された移動情報とに基づいて、前記三次元仮想フィールド空間における前記移動体の相対的な三次元座標を特定する移動体座標特定ステップと、前記特定された前記移動体の相対的な三次元座標上に、前記移動体に対応するオブジェクトを生成する生成ステップと、前記カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する合成ステップと、前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データを出力する出力ステップと、を備え、前記合成ステップは、前記特定された前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を用いて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面に座標変換された前記オブジェクトの二次元座標に基づいて、前記カメラ画像データの1の画素が前記オブジェクトの領域外か否かを判定する判定ステップと、前記1の画素が前記オブジェクトの領域外であると判定された場合は、前記1の画素のカメラ画像データに前記所定の合成用画像データを重ね書きし、前記1の画素が前記オブジェクトの領域内であると判定された場合は、クロマキー処理を実行する画素合成ステップとを実行させる。
【0016】
なお、本発明のプログラムは、本発明の情報処理方法の各工程をコンピュータ上で実行させる。この場合のプログラムは、CD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリ及び通信ネットワークなどの各種の媒体を通じてコンピュータにインストールまたはロードすることができる。また、コンピュータプログラムが、PCカードやオプションボードに記録されて流通する場合も含む。
【0017】
なお、本明細書において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本願発明によれば、所定のフィールド上を移動する移動体を撮影した画像に所定の合成用画像を合成する処理において、撮影した画像のうち移動体が占める領域にのみクロマキー処理を行うこととしたので、撮影画像に対する合成処理をより効率的に行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0020】
なお、本発明は、任意の形状を付与された複数の移動体がフィールド(走行面)を走行することによりゲームが進行するゲーム装置に適用される。以下の実施形態では、一例として、本発明を、馬と騎手の形状を象った模型体としての移動体が着順を競って走行する競馬ゲーム装置に適用した場合について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る競馬ゲーム装置1の外観構成を示す斜視説明図である。
【0022】
図示されるように、この競馬ゲーム装置1は、後述の主制御基板21(図6参照)などが収容される筐体中央の略円柱状の装置本体部2と、装置本体部2の周囲に配置され、通信ケーブルなどを介して上記主制御基板21と電気的に接続される複数のサテライト(ゲーム端末)70とを主体に構成されている。
【0023】
なお、図1では、簡略のために手前の3台のサテライト70のみが示されているが、本実施形態の競馬ゲーム装置1においては、12台のサテライト70が装置本体部2の周囲に配置されているものとする。
【0024】
図2(a)、(b)は、装置本体部2の構成を示す斜視及び平面説明図である。
【0025】
図2(a)に示されるように、装置本体部2は、円筒状の外側筐体3と、当該外側筐体3の内側に収容され、上下に離間して配置された上面板4と下面板7とからなる2階建て構造とを備えている。
【0026】
上面板4は、概略円形の形状を有する板状の部材であり、その上側表面である第1走行面(フィールド)4sはサテライト70に位置する遊技者(プレーヤ)などから視認することが可能である。第1走行面4sには、レースにおいて複数の移動体30が着順を競って走行する走路であるトラック5が形成されている。
【0027】
また、第1走行面4sには、当該トラック5を走行する移動体30を撮影する複数のビデオカメラとしてのフィールドカメラ22(22A及び22B)及びゴールカメラ23、各カメラ22、23により撮影された画像やレースの案内などの情報を表示するモニタ装置24などが配置されている。フィールドカメラ22及びゴールカメラ23はそれぞれ回動可能に構成され、トラック5の全周がいずれかのビデオカメラにより撮影可能となるように、各ビデオカメラの撮影範囲が設定されている。ゴールカメラ23は、ゴール手前のスタンド側のトラック5の直線コースに沿って移動可能に構成され、例えば、移動体30の走行状況に応じてゴールカメラ23の移動が制御される。
【0028】
本実施形態では、競馬場の外観をリアルに再現するために、トラック5及びその周辺には、緑色の粉末や繊維等を加工した人工芝材などが敷き詰められている。
【0029】
図2(b)に示すように、上記トラック5は、8の字状に形成されている。従って、本実施形態の競馬ゲーム装置1では、レースの種類に応じてスタート地点であるS1、S2からゴールGに至る符号SR、MR、LRで示す複数種類の走行コースを変更することにより、短距離、中距離、長距離など複数種類の走行コースでのレースを行うことが可能である。
【0030】
更に、装置本体部2は、現実の競馬と同様のスタートシーンを再現するために、各レースの開始時にスタート地点S1、S2に配置され、レース中には上面板4の外周部等の適宜の箇所に退避収容される出走ゲートを更に備えることが可能である。
【0031】
図3は、第1走行面4s及び第2走行面7sに配置される移動体30及び走行体40を側面視で示す説明図である。
【0032】
図示されるように、移動体30は、台車31と、台車31上に支持柱36を介して取り付けられた模型部分37とから構成されている。
【0033】
台車31は、前後輪32、33と、台車31の両側部に軸支された中央輪34a、34bとにより第1走行面4s上を走行可能とされており、台車31の下面には、第1走行面4sから若干の間隔をもって2つの回転磁石35a、35bが取り付けられている。
【0034】
回転磁石35a、35bは、後述の走行体(キャリア)40の回転磁石55a、55bと磁気的に結合し、第2走行面7s上を走行する走行体40に追従して(走行体40と所定の位置関係を保った状態で)移動体30が第1走行面4s上を走行することを可能にする。即ち、移動体30は走行体40によって駆動される。
【0035】
また、回転磁石35a、35bは、鉛直方向の軸を中心に回転可能とされ、移動体制御モータ56a、56bによる回転磁石55a、55bの回転に同期して回転する。回転磁石35a、35bの回転は、支持柱36及び不図示のギア機構を介して模型部分37に伝達される。
【0036】
模型部分37は、馬(競走馬)及び騎手を象った模型であり、馬の脚や騎手の手足はそれぞれの関節軸の周りに揺動可能とされており、回転磁石35aの回転が支持柱36を介して伝達されると騎手の手足が揺動動作し、回転磁石35bの回転が支持柱36を介して伝達されると馬の前後脚が揺動動作するようになっている。
【0037】
走行体40は、台車41及び支持台50から構成されている。
【0038】
台車41には、前後輪42、43と、左右の中央輪44a、44bと、当該中央輪44a、44bをそれぞれ駆動する走行モータ45a、45bとが搭載されており、駆動制御基板66に制御された走行モータ45a、45bが左右の中央輪をそれぞれ独立に駆動することにより、進行方向を変更自在に走行体40を第2走行面7s上で自力走行(自走)させる。台車41には、更に、無線LANによる装置本体部2との通信を行うためのアンテナ48などの機構部品を備えている。
【0039】
支持台50は、スプリング51による上方への付勢力を受けた状態で台車41の上方に取り付けられている。支持台50の上面には、前後輪52、53と、左右の中央輪54a、54bとが取り付けられ、これら車輪52〜54は、スプリング51の付勢力により上面板4の下面に当接する。従って、走行体40は、下部の車輪42〜44と、上部の車輪52〜54に挟まれて、上面板4と下面板7の間の走行空間を直立姿勢を維持しながら安定に走行することができる。支持台50は、更に、回転磁石55a、55b、移動体制御モータ56a、56b及び集電子57を備えている。
【0040】
回転磁石55a、55bは、それぞれ移動体30の回転磁石35a、35bに対応する配置をもって上面板4から若干の間隔をもって取り付けられ、移動体制御モータ56a、56bの駆動により、鉛直方向の軸を中心に回転動作を行うようになっている。回転磁石55a、55bは、回転磁石35a、35bと磁気的に結合し、走行体40の走行により上面板4上の移動体30を牽引するとともに、回転磁石55a、55bの回転によって移動体30の模型部分37における馬の脚や騎手の手足を揺動動作させる。
【0041】
集電子57は、走行体40の走行中、スプリング51による適切な圧接力をもって上面板4の下面に取り付けられた給電板6に摺接し、走行体40の走行制御に必要な電力を供給する。
【0042】
給電板6は、例えば、ストライプ状のパターンの正電極及び負電極を所定距離離間させて交互に配列して構成することができ、集電子57は、正八角形の頂点位置に配置した8本のピンコンタクトなどで構成し、常に2本以上のピンコンタクトが正負両電極との接触を保つようにするなどにより走行体40への安定な電力供給を行うことが可能である。
【0043】
図4は、各サテライト70の構成を示す斜視説明図である。
【0044】
各サテライト70は、それぞれ同一の構成を有しており、図示されるように、ゲームセンターなどの遊技場の床面に設置され、図示省略の椅子などに腰掛けた遊技者の足や荷物を乗せる台部材から上方に向って立設される脚部72と、その脚部の上端側で支持されるテーブル部74とを主体に構成されている。
【0045】
そして、脚部72には、メダル払出口73が設けられており、テーブル部74には、サテライト画面SPなどの画像を表示し、遊技者によるタッチ操作を検出するタッチパネル式モニタ75、実況放送やファンファーレ、BGMなどの各種演出用の音響を出力するスピーカ76、メダルを投入するためのメダル投入口77及び獲得したメダルの払い出しを行うペイアウトボタン78などが設けられている。また、各サテライト70の内部には、上記メダル払出口73にメダルを払い出すためのメダル払出装置73aや、メダル投入口77から投入されたメダルを検出してその枚数をカウントするメダルセンサ77a等の機構部品が収容されている。
【0046】
各サテライト70では、投票が当選となって配当を受け取る権利が発生した場合には、獲得したメダル枚数をクレジットメダル枚数値として記憶管理するようにされており、そのクレジットメダルを用いてベットすることが可能である。また、メダルを受け取りたい場合には、ペイアウトボタン78を押下することでクレジットメダル枚数値に対応した枚数のメダルをメダル払出口73から払い出させることが可能である。
【0047】
図5は、タッチパネル式モニタ75に表示されるサテライト画面SPの例示的な態様を示す説明図である。
【0048】
図示されるように、本実施形態のサテライト画面SPでは、表示画面の右側に、各レースにおける移動体30の着順についての投票を行うためのベット画面BPを常に表示させる態様にしており、一方、表示画面の左側には、解説画面GP、レース前新聞画面FNP、実況画面BCP、レース後新聞画面ANP等がそれぞれ所定のタイミングで表示されるようになっている。
【0049】
本実施形態に係る投票画面BPでは、操作毎にベットできるメダルの枚数を指定する枚数ボタンBAや、「単勝」、「複勝」、「馬連」、「馬単」、「ワイド」、「三連複」、「三連単」、「三連単ライト」及び「重勝」の9種類の指定態様から好みの指定態様を選択する指定態様ボタンBK、着順の指定方法を説明するインストラクション欄BI、主制御基板21が各移動体30に割り当てた競走馬の馬番や馬名、オッズなどを表示したベットボタンBB、それら各ベットボタンBBに対応した移動体30のイメージ画像BS(移動体30に割り当てられた競走馬と騎手のイメージ画像)等が表示されており、いずれかの枚数ボタンBA及び指定態様ボタンBKを選択した状態でベットボタンBBを操作することにより、選択された枚数のメダルを対価として選択された指定態様で着順を指定した投票を行うことができる。
【0050】
ここで、上記「単勝」は、1着になる移動体30に割り当てられた競走馬(以下、単に「1着になる競走馬」等という)の馬番を指定するものであり、「複勝」は、1着又は2着になる競走馬の馬番を指定するものであり、「馬連」は、2着以内に入る競走馬の馬番をセットで指定するものであり、「馬単」は、1着と2着になる競走馬の馬番を着順通りに指定するものであり、「ワイド」は、1〜3着になる競走馬のうちの任意の2つの馬番を指定するものであり、「三連複」は、1〜3着になる競走馬の馬番の組み合わせを指定するものであり、「三連単」及び「三連単ライト」は、1〜3着になる競走馬の馬番を着順通りに指定するものであり、「重勝」は、複数のレースに渡る競走馬の着順を指定するものである。
【0051】
なお、上記の通り、「三連単」と「三連単ライト」では着順の指定態様は同じであるが、この指定態様では投票が当選になる確率が低い(例えば、10頭立ての場合は平均で720分の1)ことから、遊技者からは、例えば3〜8頭程度の競走馬を指定し、そのうちのどの3頭が1〜3着になっても当選となるように全ての組み合わせの着順を指定するボックスでの投票を希望する場合が多い。しかし、8頭ボックスの場合は336通りの着順を指定した投票が必要であり、各投票の対価をメダル1枚としても336枚のメダルが必要になるなど、多数のメダルが必要になるために気軽にはボックスでの投票を行うことはできない。「三連単ライト」は、このような状況を考慮して準備されたものであり、メダル0.1枚を対価の最低単位として「三連単」の指定態様での投票を受け付けるものである。従って、「三連単ライト」の8頭ボックスで各0.1枚のメダルを対価として投票を行った場合のメダル所用枚数は33.6枚であるが、メダル処理の便宜等から、小数点以下を切り上げて34枚のメダルで上記投票が受け付けられる。
【0052】
図5に示す投票画面BPでは、指定態様ボタンBKから「馬単」の指定態様が選択された状態が示されており、この場合を例として投票の方法を説明すると以下の通りである。
【0053】
指定態様ボタンBKから「馬単」の指定態様を選択した初期状態では、インストラクション欄BIに「1着の馬を指定して下さい」と表示されており、遊技者は、適宜の枚数ボタンBAを操作してから、1着になると思う馬番のベットボタンBBを操作するとインストラクション欄BIが「2着の馬を指定して下さい」に切り替わるので、これに合わせて2着になると思う馬番のベットボタンBBを操作する。これにより、枚数ボタンBAで指定した枚数のメダルを対価として、指定態様ボタンBKで選択した指定態様によって、ベットボタンBBの操作により指定した着順の投票が受け付けられる。
【0054】
他の指定態様においても、インストラクション欄BIの表示に従って、同様の態様で投票を行うことが可能である。
【0055】
投票は、残り時間表示BTがゼロになるまでであれば何度でも繰り返して行うことが可能であり、1レースについて、複数の指定態様で、複数通りの着順を指定した任意枚数のメダルを対価とする投票を行うことが可能である。
【0056】
なお、本実施形態では、投票を行うことに対する遊技者の興趣を喚起するために、ベットボタンBBが操作される毎にイメージ画像BSの競走馬が所定の動作を行うようになっている。
【0057】
具体的には、ベットボタンBBを押下してベットすると対応したイメージ画像BSの競走馬が歩き出す画像が表示され、更にベットすると、その馬が段階をもって走り出し、MAXベットになると、その馬に搭乗した騎手がガッツポーズすると共に、その馬と騎手が光り輝く画像が表示される。
【0058】
更に、本実施形態では、上記のようにイメージ画像BSにおける馬や騎手の動作に連動して、スタート地点S1或いはS2に配置された対応する移動体30の模型部分37において馬の脚や騎手の手足が揺動動作を行うようになっている。このように、ベット行為に対して従来に無い視覚的な反応が生じるため、投票に対する遊技者の興趣を視覚的に盛り上げることが可能である。
【0059】
解説画面GPは、指定態様ボタンBKの選択に応じて各指定態様についての解説を表示するものである。遊技者は、解説画面GPにより、各指定態様における着順指定の方法や配当の特性などを理解することが可能である。
【0060】
レース前新聞画面FNPは、各レースの開始前のタイミングで表示される画面である。即ち、このレース前新聞画面FNPにより、各レース開始前に出走する複数の競走馬のいずれが強いのかなどの着順の予想に役立つ情報を遊技者に提供して遊技者の着順予想の手助けを行うことができる。
【0061】
レース後新聞画面ANPは、各レースの終了後のタイミングで表示される画面である。即ち、このレース後新聞画面ANPにより、各レース終了後に勝利した競走馬がどのような勝ち方をしたかなどの結果情報を遊技者に提供する。
【0062】
上記のようなレース前新聞FNP及びレース後新聞ANPに表示される情報から、遊技者は各競走馬の馬名やその戦績、特徴などを覚えることができ、初級者であってもレースを消化するうちにより的確な着順予想を行うなどが可能になる。
【0063】
なお、レース前新聞FNP及びレース後新聞ANPでは、それぞれのレースに適合した文章を自動生成し、或いはそれぞれのレースに適合する画像を自動選択して、毎回異なる記事内容を表示させることが可能である。
【0064】
実況画面BCPは、各レースの実行中に表示される画面であり、フィールドカメラ22やゴールカメラ23で撮影されたカメラ画像と、予め用意された合成用のCG画像(以下、「合成用画像」という。)や、遊技者が投票した移動体30に付加する画像(以下、「付加画像」という。)などを合成した合成後のカメラ画像を実況画像として表示するものである。合成用画像には、例えば、走行距離やゴールライン、また、「○○記念杯」といった演出用の文字を用いることができる。付加画像には、例えば、遊技者が投票した移動体30を指し示すコインマークやポインタなどの画像を用いることができる。なお、合成用画像と付加画像の内容は、設定に応じて適宜任意の画像を用いることができる。
【0065】
図1に戻って、装置本体部2の側部には4本の支柱部材10が立設され、その上端にはリング状の天井部材11が取り付けられている。支柱部材10及び天井部材11には、上方からトラック5の俯瞰映像を撮影する天井カメラ25、実況放送やファンファーレやBGMなどの各種演出用の音響を出力するスピーカ26、各種演出用の発光を行う照明装置27などが設けられている。
【0066】
なお、本実施形態では、上面板4に形成されたトラック5が、サテライト70に着席した遊技者から見下ろすことができるように、テーブル部74よりも下方位置に配置されており、各サテライト70に着席した遊技者は、現実の競馬場のゴンドラ席からトラックを見下ろす感覚と同様の感覚をもってレースを観戦することが可能である。
【0067】
図6は、競馬ゲーム装置1のハードウェアの概略構成を示す説明図である。
【0068】
図示されるように、本実施形態の競馬ゲーム装置1では、装置本体部2(中央装置)が主制御基板21を備え、各走行体40が走行体制御基板61を備え、各サテライト70(端末装置)がサテライト制御基板71を備える。
【0069】
主制御基板21は、配線ケーブルや無線LAN回線などによって各走行体制御基板61及び各サテライト制御基板71との間でのデータの送受信が可能とされている。なお、主制御基板21、走行体制御基板61及びサテライト制御基板71は、それぞれ、図示してはいないが、CPUや、ROM、RAM、ハードディスクなどの記憶手段である記憶装置を備える情報処理装置である。
【0070】
主制御基板21には、フィールドカメラ22、ゴールカメラ23、モニタ装置24、天井カメラ25、スピーカ26、照明装置27、通信装置28、無線LAN装置29などが接続されている。主制御基板21は、レースの進行に合わせてこれらの装置を駆動制御するとともに、その記憶装置に記憶される馬データに基づいて、各走行体40についての走行データ(すなわち、各移動体30についての移動情報)の生成やオッズの決定を行う。
【0071】
ここで、上記馬データは、複数の競走馬の名称(馬名)やレースの強さに関するパラメータである走行能力値などのデータから構成される。馬名は、実在の競走馬と同一の名称を使用しても良いが、本実施形態では、現実の競馬に余り詳しくない遊技者にも遊技を楽しんで貰えるように、各競走馬にはオリジナル(架空)の馬名が使用されている。走行能力値は、レースによらず各競走馬について固定の値を用いても良く、或いは、走行コースの長短、各レースについて設定される天候、馬場条件との適性などに応じて走行能力値を増減させることで、レース毎のレース展開の多様性を高めることが可能である。また、競馬ゲーム装置1で頻繁に遊技を行う遊技者がより適切な予想を出来るようにするために、過去の戦績に応じて走行能力値を増減させるなども可能である。
【0072】
馬データには、トラック5上に配置される移動体30の台数(例えば、6〜12)と同数の競走馬についてのデータを記録しても良いが、それよりも多数(例えば、100頭)の競走馬についてのデータを記録しておけば、レース毎に異なる競走馬を出走させる(移動体30に割り当てる)ことにより、レースの多様性を高めることができる。
【0073】
また、主制御基板21は、トラック5上に配置される各移動体30に馬データとして記録されるいずれかの競走馬を割り当てるとともに、割り当てた競走馬についての走行能力値やレース展開を多様化するための乱数などを用いた適宜のアルゴリズムに従って走行データを生成する。この走行データは、レース開始からゴールまでの経過時間に対する各移動体30の走路8上における位置座標や向き(角度)を指定するものとすることができ、主制御基板21上の記憶装置の所定の記憶領域(走行データ記憶領域)に記憶される。
【0074】
オッズは、1枚のメダルを対価として投票を行った場合に配当として払い出されるメダル枚数の期待値がペイアウト率PO(払戻率。配当として払い出される総メダル数を全ての投票における対価とされた総メダル数で除した値)と等しくなるように設定された配当割合(配当倍率)であり、主制御基板21は、各移動体30に割り当てられた競走馬の走行能力値に基づいて、各指定態様における全ての着順についてオッズ(Odds)Dを算出する。
【0075】
なお、本実施形態におけるオッズDは、レースに出走する競走馬が馬番1〜nのn頭であるとし、それぞれの競走馬の走行能力値をA1〜An、全ての走行能力値A1〜Anの合計をASとすれば、例えば、「単勝」における馬番1の競走馬のオッズD1は、下式(1)に従って導出され、「馬連」における馬番1と馬番2の競走馬のオッズD12は、下式(2)に従って導出される。
【0076】
D1=AS×PO/A1 (1)
【0077】
D12={1/(A1/AS)×(A2/(AS−A1))
【0078】
+(A2/AS)×(A1/SA−A2))} (2)
【0079】
また、主制御基板21は、レースの進行に合わせてフィールドカメラ22やゴールカメラ23を駆動制御する。すなわち、主制御基板21は、各レース実行前の所定のタイミングで生成された走行データにおける各移動体30の走路8上の位置座標、角度、速度等に基づいて、所定のアルゴリズムを実行することにより、ビデオカメラ(フィールドカメラ22およびゴールカメラ23)を駆動制御するためのカメラ制御データ(位置情報)を生成する。生成されたカメラ制御データには、レース開始からゴールまでの経過時間と対応付けて、ビデオカメラを駆動するための情報、例えば、使用すべきビデオカメラの種類、撮影位置、撮影角度などが規定され、主制御基板21上の記憶装置の所定の領域(カメラ制御データ記憶領域)に記憶される。
【0080】
主制御基板21は、このカメラ制御データに従ってビデオカメラを駆動制御することにより、例えば、先頭馬がトラック5のゴール反対の奥スタンド側を走行している場合は、奥スタンド側に配置されたフィールドカメラ22Aをオンにする。また、先頭馬がトラック5のゴールの手前スタンド側を走行している場合には、フィールドカメラ22Aをオフにして手前スタンド側に配置されたフィールドカメラ22Bをオンにする。撮影された画像(カメラ画像)は、各サテライト70のタッチパネル式モニタ75に出力される。
【0081】
サテライト制御基板71には、メダル払出装置73a、タッチパネル式モニタ75、スピーカ76、メダルセンサ77a、ペイアウトボタン78、通信装置79などが接続されており、サテライト制御基板71は、タッチパネル式モニタ75における画像表示並びに遊技者によるタッチ入力の検出、スピーカ76における音声出力、メダル投入口77に投入されたメダルのメダルセンサ77aにおける計数処理、配当の払い出しやペイアウトボタン78の操作に基づくメダル払出のためのメダル払出装置73aの制御などの処理を実行する。
【0082】
より具体的には、サテライト制御基板71は、主制御基板21から送信されるデータに基づいて、各レースについて主制御基板21が各移動体30に割り当てた競走馬の馬名やオッズなどをタッチパネル式モニタ75に表示させ、ベット画面BPに対する遊技者の操作を検出して投票の受付を実行し、各レースの終了後に主制御基板21から送信される着順データが投票において指定された着順と一致しているか否かにより当選の有無を判定し、当選している場合には、当選となった投票において対価とされたメダル枚数にオッズDを乗算することにより算出される枚数のメダルを配当としてメダル払出口73から払い出し、或いは、クレジットメダル計数値を増分するなどの処理を実行する。
【0083】
また、サテライト制御基板71は、ベット画面BPより遊技者が投票した移動体30に関する投票データをサテライト制御基板71上の記憶領域(投票データ記憶領域)に記憶しておき、主制御基板21から合成後のカメラ画像データ及び移動体データ(移動体IDや2D座標)を受信すると、受信した移動体データに基づいて合成後のカメラ画像データにおける遊技者が投票した移動体30の位置を特定し、コインマークなどの付加情報を当該移動体30の近くに付加する。
【0084】
次に、各移動体30を走行させる走行体制御基板61には、主に、駆動制御基板66、移動体制御基板67、無線LAN装置68などが接続されている。
【0085】
駆動制御基板66及び移動体制御基板67は、走行体制御基板61からの信号に従って、それぞれ走行モータ45a、45b及び移動体制御モータ56a、56bの駆動制御を行うものである。
【0086】
走行体制御基板61は、主制御基板21から受信した走行データに従った正確な走行コースで走行体40を走行させるべく駆動制御基板66による走行モータ45a、45bの駆動制御を実行する。
【0087】
無線LAN装置68は、各レース実行前の所定のタイミングで主制御基板21において生成された走行データを受信し、走行体制御基板61に提供する。
【0088】
なお、主制御基板21は、本発明に係る取得手段、カメラ座標特定手段、移動体座標特定手段、生成手段、合成手段、出力手段、判定手段、画素合成手段、更新手段、計算手段及び位置情報生成手段に該当し、通信装置28は、送信手段に該当する。また、各サテライト70のサテライト制御基板71は、付加データ合成手段に該当し、サテライト制御基板71とタッチパネル式モニタ75は、本発明に係る受付手段に該当し、通信装置79は、本発明に係る受信手段に該当する。
【0089】
図7は、本実施形態に係る主制御基板12とサテライト制御基板71がそれぞれ備える記憶手段のメモリマップを示す図である。
【0090】
主制御基板21の記憶手段は、走路8上における各移動体30の位置座標や角度を指定する走行データ210、ビデオカメラを駆動制御するためのパラメータを指定したカメラ制御データ212、ビデオカメラによって撮影されたカメラ画像データ214、カメラ画像データに合成するために予め用意された合成用画像データ216、後述するクロマキー処理にて使用されるクロマキー基準色218などを記憶する。サテライト70のサテライト制御基板71の記憶手段は、遊技者が投票した移動体30に関する投票データ710などを記憶する。
【0091】
なお、主制御基板21の記憶手段及びサテライト制御基板71の記憶手段は、図示してはいないが、それぞれのCPUに本発明に係るゲーム処理(例えば、カメラ画像データの合成処理)を実行させるためのゲームプログラムを記憶している。
【0092】
(装置本体部におけるカメラ画像データの合成処理)
【0093】
以下、図8〜図11を用いて、装置本体部2の主制御基板21の制御において実行されるカメラ画像データの合成処理を説明する。なお、後述するフローチャートにおける各工程(符号が付与されていない部分的な工程を含む)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【0094】
図8は、本実施形態におけるカメラ画像データの合成処理の流れを示すフローチャートである。図8に示す合成処理は、主制御基板21のCPUの制御のもと、装置本体部2が主制御基板21のRAMにロードされたゲームプログラムに既定されたステップを実行することにより実現する。なお、本実施形態におけるカメラ画像データの合成処理は、フィールドカメラ22またはゴールカメラ23(以下、「ビデオカメラ」という。)から送信されるカメラ画像データの受信により開始される。この処理は、ビデオカメラが、フィールド上を走行する移動体30を撮影して主制御基板21へ送信する頻度、例えば、1秒間に30回の頻度で反復して実行される。
【0095】
主制御基板21は、フィールドカメラ22またはゴールカメラ23から送信される、ビデオカメラが撮影した移動体30のカメラ画像データと、当該カメラ画像データをビデオカメラが撮影した撮影時刻を示す時刻情報、それぞれ取得する(S101)。主制御基板21は、取得したカメラ画像データを主制御基板21上に設けられたビデオバッファ(図10参照)に記憶する(S101)。
【0096】
次に、主制御基板21は、取得した時刻情報に基づいて主制御基板21のRAMに記憶されたカメラ制御データ212を参照し、取得した時刻情報すなわち当該カメラ画像データをビデオカメラが撮影した時刻におけるビデオカメラの位置情報等を特定する(S103)。ビデオカメラの位置情報等とは、第1走行面4s上における当該ビデオカメラの位置や角度を示す情報である。
【0097】
主制御基板21は、ビデオカメラの位置情報等を取得すると、この位置情報等および他のパラメータ(例えば、ビデオカメラを駆動するステッピングモーターの駆動パルス数やビデオカメラの機構の寸法)に基づいて所定のアルゴリズムを実行することにより、競馬ゲーム装置1のフィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標(3D座標)を特定する(S105)。なお、ビデオカメラの三次元座標の計算は、任意のセンサーを使用してビデオカメラの位置と角度を検出し、この検出された信号に基づいて算出することも可能である。また、仮想フィールド空間の基準座標は任意に設定することができる。
【0098】
また、主制御基板21は、S101で取得した時刻情報に基づいて予め生成された各移動体30の走行データを参照することにより、当該カメラ画像データをビデオカメラが撮影した時刻における各移動体のフィールド上の位置を特定し、この特定した各移動体の位置に基づいて、所定の視点変換及び透視変換に関するアルゴリズムを実行することにより、仮想フィールド空間における各移動体30の相対的な三次元座標(3D座標)を特定する(S107)。
【0099】
次に、主制御基板21は、各移動体30の相対的な3D座標が計算されると、各移動体30に対応するオブジェクトを生成し、生成したオブジェクトを仮想フィールド空間における各移動体30の相対的な3D座標上に配置する(S109)(図10参照)。各移動体30に対応するオブジェクト(以下、「移動体オブジェクト」という。)は、仮想フィールド空間に各移動体30を配置した場合に、各移動体30を収容可能な大きさを備えるオブジェクトであり、立方体等の簡易なモデルにより構成される。
【0100】
この移動体オブジェクトは、各移動体30の実際のサイズに基づいて所定のアルゴリズムを実行することにより生成することができる。例えば、本実施形態では、実物のスケールと仮想空間(CG空間)のスケールを同じ単位に予め設定しておき、実物の移動体30の大きさに基づいて仮想空間の移動体オブジェクトの大きさを算出している。これによれば、実際の1mmがCG空間上の1ユニットに対応する場合に、実物の移動体30が、5cm(横)×20cm(長さ)×10cm(高さ)の空間内に収まる場合には、50×200×100の大きさのオブジェクト(物体)がCG空間上に生成される。なお、オブジェクトの形状は立体に限られず、適宜任意のものを採用することができる。この移動体オブジェクトは、後述するカメラ画像データの合成処理においてクロマキー処理を実行するか否かを判定する際の判定データとして参照される。
【0101】
主制御基板21は、図示しない画像合成用バッファにカメラ画像データを書き込み、各ピクセルのカメラ画像データのアルファ値に、画像が背景(芝)であることを示す所定の値(例えば、1)を背景情報として書き込む(S111)。
【0102】
そして、主制御基板21は、各移動体30の3D座標及び生成した移動体オブジェクトに基づいて、各ピクセルのカメラ画像データのアルファ値を更新する(S111)。具体的には、主制御基板21は、S105にて計算されたビデオカメラの3D座標を視点座標とする透視変換を行い、移動体オブジェクトの3D座標を、カメラ画像データに対応する二次元平面の2D座標へ座標変換することにより、カメラ画像データ領域における移動体オブジェクトの領域を特定する。そして、カメラ画像データのうち移動体オブジェクトの領域に含まれるピクセルには、移動体オブジェクトの領域に含まれることを示す値(背景でないことを示す仮の値)を(例えば、0)背景情報として、そのアルファ値に書き込む(S111)。
【0103】
これにより、カメラ画像データのうち、移動体オブジェクトの領域外にあるピクセルには、背景であることを示す背景情報(例えば、1)がアルファ値に格納され、移動体オブジェクトの領域内にあるピクセルには、背景でないことを仮に示す背景情報(例えば、0)がアルファ値に格納されることになる。このアルファ値に書きこまれた情報は、後述するカメラ画像データの合成処理において参照される。なお、背景及び移動体オブジェクトの領域に関するこれらの情報は、各ピクセルと対応づけて参照可能に記憶されていればよく、例えば、アルファ値に書き込む代わりに任意のバッファを設け、そこに各ピクセルと対応付けて記憶しておいてもよい。
【0104】
主制御基板21は、カメラ画像データに対する移動体オブジェクトの情報の設定が終わると、カメラ画像データの合成処理を実行する(S113)。
【0105】
図9は、本実施形態において実行されるカメラ画像データの合成処理の詳細な流れを示すフローチャートである。図9に示す合成処理は、主制御基板21のCPUが、主制御基板21のRAMにロードされたゲームプログラムに既定されたステップを実行することにより実現する。なお、本実施形態では、合成処理の一例として、移動体30が走行するトラック5にゴールラインや走行距離を示すCG画像データを合成する場合について説明する。
【0106】
主制御基板21は、カメラ画像データについてピクセル毎に合成処理を実行する(S201)。
【0107】
まず、主制御基板21は、カメラ画像データのうち合成用画像データを描画すべき任意の1の画素すなわちピクセル(以下、「描画対象ピクセル」という。)について、この描画対象ピクセルが移動体オブジェクトの領域の範囲外であるか否か、すなわち、描画対象ピクセルが移動体30または移動体30付近に位置するピクセルであるかどうかを判定する(S203)。主制御基板21は、描画対象ピクセルのカメラ画像データのアルファ値を参照し、アルファ値に移動体オブジェクトの範囲外であることを示す値が格納されている場合は、移動体オブジェクトの範囲外であると判定する(S203;Yes)。
【0108】
主制御基板21は、描画対象ピクセルが移動体オブジェクトの範囲外であると判定した場合は、描画対象ピクセルのカメラ画像データに、ビデオカメラの3D座標を視点座標とする2D透視変換が行われた合成用のCG画像データを重ね書きし、そのアルファ値に背景でないことを示す所定の値(例えば、0)を書き込む(S209)(図10参照)。なお、本実施形態では、ゴールラインや走行距離を示す合成用のCG画像データに関するパラメータは、予め設定され所定の記憶領域に記憶されている。
【0109】
一方、主制御基板21が、アルファ値に移動体オブジェクトの範囲内であることを示す値が格納されている場合は、描画対象ピクセルが移動体オブジェクトの範囲内であると判定し(S203;No)、クロマキー処理を実行する。なお、特定の色の成分から画像の一部を透明にし、そこに別の画像を合成するクロマキー処理については、既知の技術を利用することができる。
【0110】
主制御基板21は、この描画対象ピクセルのカメラ画像データの色を参照し、カメラ画像データの色と、予め設定された所定の基準色(以下、「クロマキー基準色」という。)との差を検出する(S205)。ここで、トラック5及びその周辺には、緑色の粉末や繊維等を加工した人工芝材などが敷き詰められているため、クロマキー基準色には、トラック5に敷き詰められた人工芝材を映写した場合に得られる画像の色データが予め設定されている。
【0111】
主制御基板21は、検出した色の差が予め設定された既定範囲内であるか否かを判定し(STEP207)、検出した色の差が規定範囲内であると判定した場合は、描画対象ピクセルのカメラ画像データに予め設定された合成用画像データを重ね書きし、そのアルファ値に背景でないことを示す所定の値(例えば、0)を書き込む(S209)。
【0112】
一方、主制御基板21は、検出した色の差が規定範囲内でないと判定した場合は、描画対象ピクセルに対する合成用画像の重ね書きを行わず、全てのピクセルについて描画処理が終了したか否かを判断する(S211)。
【0113】
主制御基板21は、全てのピクセルについて描画処理が終了していない場合は、ステップ203に戻り、次のピクセルについて同様に処理(STEP203〜STEP209)を実行する。全てのピクセルについて描画処理が終了した場合は、合成処理を終了する。これにより、カメラ画像データに所定の合成用画像が合成される(図10参照)。
【0114】
図11は、本実施形態に係る合成後のカメラ画像の一例を示す図である。同図に示すように、移動体30が走行するフィールド上には、「GOA(L)」「200」などの英数字とこれに付随するラインが表示されている。これによれば、遊技者は、フィールド上のゴールラインの位置や走行距離を容易に認識することができるので、レース中およびゴールにおける各馬の着順を自ら判断することが可能になる。その結果、レース観戦における遊技者の満足度を向上させることができるようになる。なお、これらの画像は、モニタ装置24および各サテライト70のタッチパネル式モニタ75に実況画面BCPとして表示される。
【0115】
図8に戻り、説明を続ける。主制御基板21は、画像合成処理を終えると、合成後のカメラ画像データのうち、背景(芝)に該当する任意のピクセルのデータを抽出し、抽出した画像データから色データをサンプリングする(S117)。なお、背景に相当するピクセルデータは、各画像のアルファ値を参照することにより特定する。具体的には、アルファ値に背景を示す値(例えば、1)が格納されているピクセルのみを選んでサンプリングの対象とする。これにより、背景データのサンプリングを効率的かつ適切に行うことができる。
【0116】
そして、主制御基板21は、サンプリングした色データを用いて所定のアルゴリズムを実行することにより、クロマキー基準色を更新する(S117)。この更新されたクロマキー基準色は、次のカメラ画像データに対する合成処理にて利用される。
【0117】
次に、主制御基板21は、各移動体の3D座標に基づいて所定のアルゴリズムを実行することにより、各移動体を二次元の空間座標系(カメラ画像)上に配置した場合の各移動体の二次元座標(2D座標)をそれぞれ算出する(S119)。そして、主制御基板21は、合成後のカメラ画像データのヘッダ等に移動体データ(各移動体ID及び2D座標)を付与し、通信装置28を介してサテライト70へ配信する(S119)。
【0118】
(サテライトにおける画像表示処理)
【0119】
以下、図12及び図13を用いて、サテライト70において実行される画像データの合成・表示処理を説明する。
【0120】
図12に示す画像データの合成・表示処理は、サテライト制御基板71のCPUが、サテライト制御基板71のRAMにロードされたゲームプログラムに既定されたステップを実行することにより実現する。なお、サテライト70における画像データの合成・表示処理の前提として、サテライト制御基板71は、ゲーム開始前に、ベット画面BPより遊技者が投票した移動体30の投票データを、サテライト制御基板71上の記憶領域(投票データ記憶領域)に記憶している。
【0121】
ゲームが開始されると、サテライト70のサテライト制御基板71は、通信装置79を介して合成後のカメラ画像データおよび移動体データを装置本体部2から受信する(S301)。
【0122】
サテライト制御基板71は、受信した移動体データから移動体IDと2D座標を抽出し(S303)、投票データに含まれる移動体IDと一致する移動体IDを特定する(S305)。
【0123】
移動体IDを特定すると、サテライト制御基板71は、特定した移動体IDの2D座標に基づいて、合成後のカメラ画像データに予め設定された付加データを合成する(S307)。付加データは、例えば、遊技者が投票した移動体30を他の移動体30から区別するためのコインマークであり、遊技者が投票した移動体30の近傍に配置するように合成される。かかる付加データは、遊技者が投票した移動体30を他の移動体30から識別することができるように配置されればよく、コインマークのほかポインタや文字情報であってもよい。また、移動他30の走行状況に応じて移動体30の周囲近傍に配置されることが望ましく、典型的には移動体30の上部に付加されるが、これに限られない。なお、遊技者が投票した移動体30が先頭の移動体30から遅れて走行するなどによりカメラ画像に含まれていない場合には、付加データは合成されない。
【0124】
サテライト制御基板71は、付加データが合成された合成後のカメラ画像データを、タッチパネル式モニタ75に出力する(S309)。
【0125】
図13は、タッチパネル式モニタ75に出力された画面の一例である。
【0126】
同図に示すように、コーナーを走る先頭馬の上方に、コインマークCが表示されていることがわかる。これによれば、遊技者は、走行中の移動体30の中から、自分が投票した移動体30を瞬時に識別することが可能になるので、レース観戦をより楽しむことが可能になる。なお、付加データの合成は、各サテライト70における遊技者の投票データに基づいて実行されるので、最終的にサテライト70にて表示される移動体30のカメラ画像は、遊技者の投票状況に応じて異なることになる。
【0127】
以上のように、上記実施形態によれば、装置本体部2は、ビデオカメラが撮影したカメラ画像に走行距離やゴールライン等のCG画像を合成して表示するので、遊技者は、レース中およびゴールにおける各馬の着順を容易に判断することが可能になる。
【0128】
また、上記実施形態によれば、合成用画像が合成されたカメラ画像データとともに移動体30の位置を含む移動体データを各サテライト70に配信するので、各サテライト70は、遊技者の投票データに基づいた固有の画像を生成し表示することができるようになる。例えば、遊技者が投票した移動体30の近傍にコインマークが表示されるので、遊技者は、自分が投票した移動体30を瞬時に識別することが可能になる。
【0129】
また、上記実施形態によれば、カメラ画像データの合成処理において、移動体オブジェクトの領域に含まれる範囲にのみクロマキー処理を行うので、クロマキー処理の対象領域を最小限に抑え、フィールドの表面劣化などに伴い正しいクロマキー処理が行えなくなる事態を未然に防止することが可能になる。
【0130】
また、上記実施形態によれば、移動体オブジェクトの領域外の画素データから色をサンプリングしてクロマキー基準色を動的に更新するので、室内の状態や照明条件などが変化した場合でも、クロマキー処理を正常に実行することが可能になる。
【0131】
(その他の実施の形態)
【0132】
以上、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変更、改変を行うことが可能である。
【0133】
例えば、上記した実施形態では、馬の形状を与えられた複数の移動体が着順を競って走行する競馬ゲーム装置に本発明を適用した場合を例として説明したが、例えば、サッカー選手の形状を与えられた複数の移動体がボールを追ってフィールド上を走行するサッカーゲーム装置など、任意の形状を付与された複数の移動体が任意の態様で第1走行面上を走行することによりゲームが進行するゲーム装置に本発明を適用することが可能である。
【0134】
また、上記実施形態では、装置本体部の周囲に12台のサテライトが配置されたゲーム装置を例として説明したが、本発明のゲーム装置は、13台以上又は11台以下のサテライトを備えることが可能である。
【0135】
また、上記実施形態では、合成用画像データの例として、ゴールラインや走行距離を示す情報を合成する場合について説明したが、本発明はこれらに限られず、適宜他の情報を合成することができる。例えば、対象とするレースの名称(○○記念)を移動体30が走行するトラック5の所定領域に合成してもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、移動体30に付加する付加情報の例としてコインマークを用いたが、本発明はこれに限られず、適宜他の情報を他の方法で合成することができる。例えば、カメラ画像に遊技者の投票した馬が含まれていない場合には、移動体30が遅れて走行している旨や現時点における順位などを示す情報をカメラ画像の一部に表示するようにしてもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、各サテライト70において移動体30に付加する付加画像を合成する構成としたが、各サテライト70から投票データを予め装置本体部2へ送信し、装置本体部2が付加画像の合成を行い、合成後のカメラ画像をそれぞれ対応するサテライト70へ配信するように構成することも可能である。
【0138】
また、上記実施形態では、装置本体部2において各移動体30の二次元座標を計算する構成としたが、各サテライト70から投票データを予め装置本体部2へ送信させて、装置本体部2が遊技者が投票した移動体30の情報を取得している場合には、遊技者が投票した移動体30についてのみ二次元座標を計算するようにしてもよい。
【0139】
また、上記実施形態では、各サテライト70のタッチパネル式モニタ75に付加データが合成された合成後のカメラ画像を表示する場合について説明したが、例えば、装置本体部2が備えるモニタ24を各サテライト70に対応する複数の表示領域に分割し、当該カメラ画像をこれらの対応する表示領域にそれぞれ表示するように構成してもよい。
【0140】
また、上記実施形態では、走行データ及びカメラ制御データを、各レースの実行前の所定のタイミングで生成する場合について説明したが、走行データ及びカメラ制御データを、レースの進行に応じてリアルタイムに生成することも可能である。また、各移動体30やビデオカメラの位置をセンサー等によって検出するように構成することもできる。
【0141】
また、上記実施形態におけるカメラ画像データの合成処理において、合成用のCG画像データを3Dから2Dへ透視変換する際に、ビデオカメラのレンズによる画像の歪曲を考慮すれば、カメラ画像データに合成画像をより精度よく一致させることが可能になる。例えば、カメラ画像において一般的に行われている歪曲補正処理の逆にあたる、歪みのないCG画像にレンズによる歪みと同等の歪みを加える処理を実行すればよい。
【0142】
その他、上記した実施形態における装置構成や機能構成、具体的な処理の内容、手順等は単なる例として記載したものであり、本発明はこれらにより限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】一実施形態に係る競馬ゲーム装置の外観構成を示す斜視説明図である。
【図2】装置本体部の構成を示す斜視図及び平面説明図である。
【図3】移動体及び走行体の構成を示す説明図である。
【図4】サテライトの構成を示す説明図である。
【図5】サテライト画面を示す説明図である。
【図6】競馬ゲーム装置のハードウェアの概略構成を示す説明図である。
【図7】メモリマップを示す説明図である。
【図8】一実施形態において実行される画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】一実施形態において実行される画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】カメラ画像データと合成用画像データの合成を示す説明図である。
【図11】合成用画像が合成された後のカメラ画像を示す説明図である。
【図12】一実施形態において実行される画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】付加データが合成された後のカメラ画像を示す説明図である。
【符号の説明】
【0144】
1・・・競馬ゲーム装置、2・・・装置本体部、3・・・外側筐体、4・・・上面板、4s・・・走行面、5・・・トラック、6・・・給電板、7・・・下面板、7s・・・走行面、8・・・走路、9・・・透明薄板、10・・・支柱部材、11・・・天井部材、21・・・主制御基板、22・・・フィールドカメラ、23・・・ゴールカメラ、24・・・モニタ装置、25・・・天井カメラ、26・・・スピーカ、27・・・照明装置、28・・・通信装置、29・・・無線LAN装置、30・・・移動体、31・・・台車、32・・・前輪、33・・・後輪、34a、34b・・・中央輪、35a、35b・・・回転磁石、36・・・支持柱、37・・・模型部分、40・・・走行体、41・・・台車、42・・・前輪、43・・・後輪、44a、44b・・・中央輪、45a、45b・・・走行モータ、46・・・カメラ装置、47・・・白色LED、48・・・アンテナ、50・・・支持台、51・・・スプリング、52・・・前輪、53・・・後輪、54a、54b・・・中央輪、55a、55b・・・回転磁石、56a、56b・・・移動体制御モータ、57・・・集電子、61・・・走行体制御基板、66・・・駆動制御基板、67・・・移動体制御基板、68・・・無線LAN装置、70・・・サテライト、71・・・サテライト制御基板、72・・・脚部、73・・・メダル払出口、73a・・・メダル払出装置、74・・・テーブル部、75・・・タッチパネル式モニタ、76・・・スピーカ、77・・・メダル投入口、77a・・・メダルセンサ、78・・・ペイアウトボタン、79・・・通信装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のフィールドを移動する移動体を撮影し映写するゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定のフィールド上を移動する移動体をビデオカメラで撮影し、この撮影した映像をディスプレイに映写する技術が知られている。特許文献1は、競馬ゲームの遊技装置において、フィールド上を移動する模型馬をビデオカメラで撮影して画面に映写する撮影装置を開示している。より具体的には、撮影装置が、フィールド上の移動体の位置を検出し、この検出した移動体の位置に基づいてビデオカメラの撮影方向を制御する技術を開示している。
【特許文献1】特開平4−215110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、競馬等のゲームにおいては、レースが開始されると、遊技者は、自分が投票した馬の動きに注目するのが通常である。しかし、フィールドを走行する馬や騎手は一見すると外見が似ており、また、遊技者はフィールドから所定距離離れた場所に位置しているため、集団で走行する複数の馬の中から自分が投票した馬を目視で判別することは、容易ではない。また、例えば、ゴールシーンはレースにおいて最も盛り上がる瞬間であるが、接戦中の競争馬はゴールラインを瞬時に走り抜けるため、ユーザがいくら注視していても、それらの着順を自分で判断することができない場合がある。
【0004】
上述したような従来の撮影装置は、フィールド上の馬(模型体)を撮影してディスプレイに映写することで、臨場感のある映像を遊技者に提供しようとしているが、ディスプレイに映写された馬はやはり外見が似ているため、ディスプレイの映像を見ても、ユーザが所望の馬を判別することは容易ではない。また、映写された映像においても、各馬はゴールラインを瞬時に駆け抜けていくため、やはりディスプレイの映像を見ても、どの馬が何着であったのかといった判断は困難である。
【0005】
かかる点に鑑み、本発明の目的は、所定のフィールド上を移動する移動体を撮影して画像を提供する場合に、ユーザが、所望する移動体や各移動体の状況を容易に認識することができる画像を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、予め生成された移動情報に基づいてフィールド上を移動する移動体をビデオカメラによって撮影し、該撮影されたカメラ画像を画面に表示するゲーム装置であって、前記撮影された前記移動体に係るカメラ画像のカメラ画像データと前記カメラ画像が撮影された撮影時刻を取得する取得手段と、前記フィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を特定するカメラ座標特定手段と、前記取得手段により取得された撮影時刻と前記予め生成された移動情報とに基づいて、前記三次元仮想フィールド空間における前記移動体の相対的な三次元座標を特定する移動体座標特定手段と、前記移動体座標特定手段により特定された前記移動体の相対的な三次元座標上に、前記移動体に対応するオブジェクトを生成する生成手段と、前記カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する合成手段と、前記合成手段により前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データを出力する出力手段と、を備え、前記合成手段は、前記カメラ座標特定手段により特定された前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を用いて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面に座標変換された前記オブジェクトの二次元座標に基づいて、前記カメラ画像データの1の画素が前記オブジェクトの領域外か否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記1の画素が前記オブジェクトの領域外であると判定された場合は、前記1の画素のカメラ画像データに前記所定の合成用画像データを重ね書きし、前記1の画素が前記オブジェクトの領域内であると判定された場合は、クロマキー処理を実行する画素合成手段とを備える。
【0007】
好適には、前記合成後のカメラ画像データのうち前記オブジェクトの領域外に位置する1つ以上の画素データから色データを抽出し、抽出された色データに基づいて前記所定の基準色を更新する更新手段、をさらに備える。
【0008】
好適には、前記合成手段は、ゴールラインを所定の合成用画像データとして重ね書きする。
【0009】
好適には、前記移動体位置特定手段により特定された前記移動体の相対的な三次元座標に基づいて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面における前記移動体の二次元座標を計算する計算手段と、前記計算手段により計算された前記移動体の二次元座標に基づいて、前記移動体に関する所定の付加データを前記合成後のカメラ画像データに重ね書きする付加データ合成手段、をさらに備える。
【0010】
好適には、前記付加データ合成手段は、前記移動体を他の移動体から識別するための画像を付加データとして重ね書きする。
【0011】
好適には、前記ゲーム装置は、前記ビデオカメラによって撮影された前記移動体のカメラ画像を表示する画面と、前記付加データ合成手段とを有する端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続され、前記計算手段及び前記合成手段を有する中央装置とから構成され、前記中央装置は、前記合成手段により前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データと前記計算手段により計算された移動体の二次元座標とを、前記端末装置へ送信する送信手段を備え、前記端末装置は、複数の移動体のうち任意の移動体に対する遊技者の投票を受け付ける受付手段と、前記送信手段より送信される合成後のカメラ画像データと各移動体の二次元座標とを受信する受信手段とを備え、前記付加データ合成手段は、前記受信手段により受信された各移動体の二次元座標から前記遊技者が投票した移動体に対応する二次元座標を特定し、この特定された二次元座標に基づいて、前記受信手段により受信された合成後のカメラ画像データに所定の付加データを合成する。
【0012】
好適には、予め生成された移動情報に基づいて移動する走行体を備え、前記移動体は、前記走行体によって駆動されることにより前記フィールド上を移動する。
【0013】
好適には、前記移動情報に基づいて、前記ビデオカメラの位置情報を生成する位置情報生成手段を備える。
【0014】
また、本発明は、予め生成された移動情報に基づいてフィールド上を移動する移動体をビデオカメラによって撮影し、該撮影されたカメラ画像を画面に表示するゲーム装置の制御方法であって、前記撮影された前記移動体に係るカメラ画像のカメラ画像データと前記カメラ画像が撮影された撮影時刻を取得する取得ステップと、前記フィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を特定するカメラ座標特定ステップと、前記取得された撮影時刻と前記予め生成された移動情報とに基づいて、前記三次元仮想フィールド空間における前記移動体の相対的な三次元座標を特定する移動体座標特定ステップと、前記特定された前記移動体の相対的な三次元座標上に、前記移動体に対応するオブジェクトを生成する生成ステップと、前記カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する合成ステップと、前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データを出力する出力ステップと、を備え、前記合成ステップは、前記特定された前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を用いて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面に座標変換された前記オブジェクトの二次元座標に基づいて、前記カメラ画像データの1の画素が前記オブジェクトの領域外か否かを判定する判定ステップと、前記1の画素が前記オブジェクトの領域外であると判定された場合は、前記1の画素のカメラ画像データに前記所定の合成用画像データを重ね書きし、前記1の画素が前記オブジェクトの領域内であると判定された場合は、クロマキー処理を実行する画素合成ステップとを備える。
【0015】
また、本発明は、予め生成された移動情報に基づいてフィールド上を移動する移動体をビデオカメラによって撮影し、該撮影されたカメラ画像を画面に表示するゲームのプログラムであって、コンピュータに、前記撮影された前記移動体に係るカメラ画像のカメラ画像データと前記カメラ画像が撮影された撮影時刻を取得する取得ステップと、前記フィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を特定するカメラ座標特定ステップと、前記取得された撮影時刻と前記予め生成された移動情報とに基づいて、前記三次元仮想フィールド空間における前記移動体の相対的な三次元座標を特定する移動体座標特定ステップと、前記特定された前記移動体の相対的な三次元座標上に、前記移動体に対応するオブジェクトを生成する生成ステップと、前記カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する合成ステップと、前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データを出力する出力ステップと、を備え、前記合成ステップは、前記特定された前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を用いて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面に座標変換された前記オブジェクトの二次元座標に基づいて、前記カメラ画像データの1の画素が前記オブジェクトの領域外か否かを判定する判定ステップと、前記1の画素が前記オブジェクトの領域外であると判定された場合は、前記1の画素のカメラ画像データに前記所定の合成用画像データを重ね書きし、前記1の画素が前記オブジェクトの領域内であると判定された場合は、クロマキー処理を実行する画素合成ステップとを実行させる。
【0016】
なお、本発明のプログラムは、本発明の情報処理方法の各工程をコンピュータ上で実行させる。この場合のプログラムは、CD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリ及び通信ネットワークなどの各種の媒体を通じてコンピュータにインストールまたはロードすることができる。また、コンピュータプログラムが、PCカードやオプションボードに記録されて流通する場合も含む。
【0017】
なお、本明細書において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本願発明によれば、所定のフィールド上を移動する移動体を撮影した画像に所定の合成用画像を合成する処理において、撮影した画像のうち移動体が占める領域にのみクロマキー処理を行うこととしたので、撮影画像に対する合成処理をより効率的に行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0020】
なお、本発明は、任意の形状を付与された複数の移動体がフィールド(走行面)を走行することによりゲームが進行するゲーム装置に適用される。以下の実施形態では、一例として、本発明を、馬と騎手の形状を象った模型体としての移動体が着順を競って走行する競馬ゲーム装置に適用した場合について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る競馬ゲーム装置1の外観構成を示す斜視説明図である。
【0022】
図示されるように、この競馬ゲーム装置1は、後述の主制御基板21(図6参照)などが収容される筐体中央の略円柱状の装置本体部2と、装置本体部2の周囲に配置され、通信ケーブルなどを介して上記主制御基板21と電気的に接続される複数のサテライト(ゲーム端末)70とを主体に構成されている。
【0023】
なお、図1では、簡略のために手前の3台のサテライト70のみが示されているが、本実施形態の競馬ゲーム装置1においては、12台のサテライト70が装置本体部2の周囲に配置されているものとする。
【0024】
図2(a)、(b)は、装置本体部2の構成を示す斜視及び平面説明図である。
【0025】
図2(a)に示されるように、装置本体部2は、円筒状の外側筐体3と、当該外側筐体3の内側に収容され、上下に離間して配置された上面板4と下面板7とからなる2階建て構造とを備えている。
【0026】
上面板4は、概略円形の形状を有する板状の部材であり、その上側表面である第1走行面(フィールド)4sはサテライト70に位置する遊技者(プレーヤ)などから視認することが可能である。第1走行面4sには、レースにおいて複数の移動体30が着順を競って走行する走路であるトラック5が形成されている。
【0027】
また、第1走行面4sには、当該トラック5を走行する移動体30を撮影する複数のビデオカメラとしてのフィールドカメラ22(22A及び22B)及びゴールカメラ23、各カメラ22、23により撮影された画像やレースの案内などの情報を表示するモニタ装置24などが配置されている。フィールドカメラ22及びゴールカメラ23はそれぞれ回動可能に構成され、トラック5の全周がいずれかのビデオカメラにより撮影可能となるように、各ビデオカメラの撮影範囲が設定されている。ゴールカメラ23は、ゴール手前のスタンド側のトラック5の直線コースに沿って移動可能に構成され、例えば、移動体30の走行状況に応じてゴールカメラ23の移動が制御される。
【0028】
本実施形態では、競馬場の外観をリアルに再現するために、トラック5及びその周辺には、緑色の粉末や繊維等を加工した人工芝材などが敷き詰められている。
【0029】
図2(b)に示すように、上記トラック5は、8の字状に形成されている。従って、本実施形態の競馬ゲーム装置1では、レースの種類に応じてスタート地点であるS1、S2からゴールGに至る符号SR、MR、LRで示す複数種類の走行コースを変更することにより、短距離、中距離、長距離など複数種類の走行コースでのレースを行うことが可能である。
【0030】
更に、装置本体部2は、現実の競馬と同様のスタートシーンを再現するために、各レースの開始時にスタート地点S1、S2に配置され、レース中には上面板4の外周部等の適宜の箇所に退避収容される出走ゲートを更に備えることが可能である。
【0031】
図3は、第1走行面4s及び第2走行面7sに配置される移動体30及び走行体40を側面視で示す説明図である。
【0032】
図示されるように、移動体30は、台車31と、台車31上に支持柱36を介して取り付けられた模型部分37とから構成されている。
【0033】
台車31は、前後輪32、33と、台車31の両側部に軸支された中央輪34a、34bとにより第1走行面4s上を走行可能とされており、台車31の下面には、第1走行面4sから若干の間隔をもって2つの回転磁石35a、35bが取り付けられている。
【0034】
回転磁石35a、35bは、後述の走行体(キャリア)40の回転磁石55a、55bと磁気的に結合し、第2走行面7s上を走行する走行体40に追従して(走行体40と所定の位置関係を保った状態で)移動体30が第1走行面4s上を走行することを可能にする。即ち、移動体30は走行体40によって駆動される。
【0035】
また、回転磁石35a、35bは、鉛直方向の軸を中心に回転可能とされ、移動体制御モータ56a、56bによる回転磁石55a、55bの回転に同期して回転する。回転磁石35a、35bの回転は、支持柱36及び不図示のギア機構を介して模型部分37に伝達される。
【0036】
模型部分37は、馬(競走馬)及び騎手を象った模型であり、馬の脚や騎手の手足はそれぞれの関節軸の周りに揺動可能とされており、回転磁石35aの回転が支持柱36を介して伝達されると騎手の手足が揺動動作し、回転磁石35bの回転が支持柱36を介して伝達されると馬の前後脚が揺動動作するようになっている。
【0037】
走行体40は、台車41及び支持台50から構成されている。
【0038】
台車41には、前後輪42、43と、左右の中央輪44a、44bと、当該中央輪44a、44bをそれぞれ駆動する走行モータ45a、45bとが搭載されており、駆動制御基板66に制御された走行モータ45a、45bが左右の中央輪をそれぞれ独立に駆動することにより、進行方向を変更自在に走行体40を第2走行面7s上で自力走行(自走)させる。台車41には、更に、無線LANによる装置本体部2との通信を行うためのアンテナ48などの機構部品を備えている。
【0039】
支持台50は、スプリング51による上方への付勢力を受けた状態で台車41の上方に取り付けられている。支持台50の上面には、前後輪52、53と、左右の中央輪54a、54bとが取り付けられ、これら車輪52〜54は、スプリング51の付勢力により上面板4の下面に当接する。従って、走行体40は、下部の車輪42〜44と、上部の車輪52〜54に挟まれて、上面板4と下面板7の間の走行空間を直立姿勢を維持しながら安定に走行することができる。支持台50は、更に、回転磁石55a、55b、移動体制御モータ56a、56b及び集電子57を備えている。
【0040】
回転磁石55a、55bは、それぞれ移動体30の回転磁石35a、35bに対応する配置をもって上面板4から若干の間隔をもって取り付けられ、移動体制御モータ56a、56bの駆動により、鉛直方向の軸を中心に回転動作を行うようになっている。回転磁石55a、55bは、回転磁石35a、35bと磁気的に結合し、走行体40の走行により上面板4上の移動体30を牽引するとともに、回転磁石55a、55bの回転によって移動体30の模型部分37における馬の脚や騎手の手足を揺動動作させる。
【0041】
集電子57は、走行体40の走行中、スプリング51による適切な圧接力をもって上面板4の下面に取り付けられた給電板6に摺接し、走行体40の走行制御に必要な電力を供給する。
【0042】
給電板6は、例えば、ストライプ状のパターンの正電極及び負電極を所定距離離間させて交互に配列して構成することができ、集電子57は、正八角形の頂点位置に配置した8本のピンコンタクトなどで構成し、常に2本以上のピンコンタクトが正負両電極との接触を保つようにするなどにより走行体40への安定な電力供給を行うことが可能である。
【0043】
図4は、各サテライト70の構成を示す斜視説明図である。
【0044】
各サテライト70は、それぞれ同一の構成を有しており、図示されるように、ゲームセンターなどの遊技場の床面に設置され、図示省略の椅子などに腰掛けた遊技者の足や荷物を乗せる台部材から上方に向って立設される脚部72と、その脚部の上端側で支持されるテーブル部74とを主体に構成されている。
【0045】
そして、脚部72には、メダル払出口73が設けられており、テーブル部74には、サテライト画面SPなどの画像を表示し、遊技者によるタッチ操作を検出するタッチパネル式モニタ75、実況放送やファンファーレ、BGMなどの各種演出用の音響を出力するスピーカ76、メダルを投入するためのメダル投入口77及び獲得したメダルの払い出しを行うペイアウトボタン78などが設けられている。また、各サテライト70の内部には、上記メダル払出口73にメダルを払い出すためのメダル払出装置73aや、メダル投入口77から投入されたメダルを検出してその枚数をカウントするメダルセンサ77a等の機構部品が収容されている。
【0046】
各サテライト70では、投票が当選となって配当を受け取る権利が発生した場合には、獲得したメダル枚数をクレジットメダル枚数値として記憶管理するようにされており、そのクレジットメダルを用いてベットすることが可能である。また、メダルを受け取りたい場合には、ペイアウトボタン78を押下することでクレジットメダル枚数値に対応した枚数のメダルをメダル払出口73から払い出させることが可能である。
【0047】
図5は、タッチパネル式モニタ75に表示されるサテライト画面SPの例示的な態様を示す説明図である。
【0048】
図示されるように、本実施形態のサテライト画面SPでは、表示画面の右側に、各レースにおける移動体30の着順についての投票を行うためのベット画面BPを常に表示させる態様にしており、一方、表示画面の左側には、解説画面GP、レース前新聞画面FNP、実況画面BCP、レース後新聞画面ANP等がそれぞれ所定のタイミングで表示されるようになっている。
【0049】
本実施形態に係る投票画面BPでは、操作毎にベットできるメダルの枚数を指定する枚数ボタンBAや、「単勝」、「複勝」、「馬連」、「馬単」、「ワイド」、「三連複」、「三連単」、「三連単ライト」及び「重勝」の9種類の指定態様から好みの指定態様を選択する指定態様ボタンBK、着順の指定方法を説明するインストラクション欄BI、主制御基板21が各移動体30に割り当てた競走馬の馬番や馬名、オッズなどを表示したベットボタンBB、それら各ベットボタンBBに対応した移動体30のイメージ画像BS(移動体30に割り当てられた競走馬と騎手のイメージ画像)等が表示されており、いずれかの枚数ボタンBA及び指定態様ボタンBKを選択した状態でベットボタンBBを操作することにより、選択された枚数のメダルを対価として選択された指定態様で着順を指定した投票を行うことができる。
【0050】
ここで、上記「単勝」は、1着になる移動体30に割り当てられた競走馬(以下、単に「1着になる競走馬」等という)の馬番を指定するものであり、「複勝」は、1着又は2着になる競走馬の馬番を指定するものであり、「馬連」は、2着以内に入る競走馬の馬番をセットで指定するものであり、「馬単」は、1着と2着になる競走馬の馬番を着順通りに指定するものであり、「ワイド」は、1〜3着になる競走馬のうちの任意の2つの馬番を指定するものであり、「三連複」は、1〜3着になる競走馬の馬番の組み合わせを指定するものであり、「三連単」及び「三連単ライト」は、1〜3着になる競走馬の馬番を着順通りに指定するものであり、「重勝」は、複数のレースに渡る競走馬の着順を指定するものである。
【0051】
なお、上記の通り、「三連単」と「三連単ライト」では着順の指定態様は同じであるが、この指定態様では投票が当選になる確率が低い(例えば、10頭立ての場合は平均で720分の1)ことから、遊技者からは、例えば3〜8頭程度の競走馬を指定し、そのうちのどの3頭が1〜3着になっても当選となるように全ての組み合わせの着順を指定するボックスでの投票を希望する場合が多い。しかし、8頭ボックスの場合は336通りの着順を指定した投票が必要であり、各投票の対価をメダル1枚としても336枚のメダルが必要になるなど、多数のメダルが必要になるために気軽にはボックスでの投票を行うことはできない。「三連単ライト」は、このような状況を考慮して準備されたものであり、メダル0.1枚を対価の最低単位として「三連単」の指定態様での投票を受け付けるものである。従って、「三連単ライト」の8頭ボックスで各0.1枚のメダルを対価として投票を行った場合のメダル所用枚数は33.6枚であるが、メダル処理の便宜等から、小数点以下を切り上げて34枚のメダルで上記投票が受け付けられる。
【0052】
図5に示す投票画面BPでは、指定態様ボタンBKから「馬単」の指定態様が選択された状態が示されており、この場合を例として投票の方法を説明すると以下の通りである。
【0053】
指定態様ボタンBKから「馬単」の指定態様を選択した初期状態では、インストラクション欄BIに「1着の馬を指定して下さい」と表示されており、遊技者は、適宜の枚数ボタンBAを操作してから、1着になると思う馬番のベットボタンBBを操作するとインストラクション欄BIが「2着の馬を指定して下さい」に切り替わるので、これに合わせて2着になると思う馬番のベットボタンBBを操作する。これにより、枚数ボタンBAで指定した枚数のメダルを対価として、指定態様ボタンBKで選択した指定態様によって、ベットボタンBBの操作により指定した着順の投票が受け付けられる。
【0054】
他の指定態様においても、インストラクション欄BIの表示に従って、同様の態様で投票を行うことが可能である。
【0055】
投票は、残り時間表示BTがゼロになるまでであれば何度でも繰り返して行うことが可能であり、1レースについて、複数の指定態様で、複数通りの着順を指定した任意枚数のメダルを対価とする投票を行うことが可能である。
【0056】
なお、本実施形態では、投票を行うことに対する遊技者の興趣を喚起するために、ベットボタンBBが操作される毎にイメージ画像BSの競走馬が所定の動作を行うようになっている。
【0057】
具体的には、ベットボタンBBを押下してベットすると対応したイメージ画像BSの競走馬が歩き出す画像が表示され、更にベットすると、その馬が段階をもって走り出し、MAXベットになると、その馬に搭乗した騎手がガッツポーズすると共に、その馬と騎手が光り輝く画像が表示される。
【0058】
更に、本実施形態では、上記のようにイメージ画像BSにおける馬や騎手の動作に連動して、スタート地点S1或いはS2に配置された対応する移動体30の模型部分37において馬の脚や騎手の手足が揺動動作を行うようになっている。このように、ベット行為に対して従来に無い視覚的な反応が生じるため、投票に対する遊技者の興趣を視覚的に盛り上げることが可能である。
【0059】
解説画面GPは、指定態様ボタンBKの選択に応じて各指定態様についての解説を表示するものである。遊技者は、解説画面GPにより、各指定態様における着順指定の方法や配当の特性などを理解することが可能である。
【0060】
レース前新聞画面FNPは、各レースの開始前のタイミングで表示される画面である。即ち、このレース前新聞画面FNPにより、各レース開始前に出走する複数の競走馬のいずれが強いのかなどの着順の予想に役立つ情報を遊技者に提供して遊技者の着順予想の手助けを行うことができる。
【0061】
レース後新聞画面ANPは、各レースの終了後のタイミングで表示される画面である。即ち、このレース後新聞画面ANPにより、各レース終了後に勝利した競走馬がどのような勝ち方をしたかなどの結果情報を遊技者に提供する。
【0062】
上記のようなレース前新聞FNP及びレース後新聞ANPに表示される情報から、遊技者は各競走馬の馬名やその戦績、特徴などを覚えることができ、初級者であってもレースを消化するうちにより的確な着順予想を行うなどが可能になる。
【0063】
なお、レース前新聞FNP及びレース後新聞ANPでは、それぞれのレースに適合した文章を自動生成し、或いはそれぞれのレースに適合する画像を自動選択して、毎回異なる記事内容を表示させることが可能である。
【0064】
実況画面BCPは、各レースの実行中に表示される画面であり、フィールドカメラ22やゴールカメラ23で撮影されたカメラ画像と、予め用意された合成用のCG画像(以下、「合成用画像」という。)や、遊技者が投票した移動体30に付加する画像(以下、「付加画像」という。)などを合成した合成後のカメラ画像を実況画像として表示するものである。合成用画像には、例えば、走行距離やゴールライン、また、「○○記念杯」といった演出用の文字を用いることができる。付加画像には、例えば、遊技者が投票した移動体30を指し示すコインマークやポインタなどの画像を用いることができる。なお、合成用画像と付加画像の内容は、設定に応じて適宜任意の画像を用いることができる。
【0065】
図1に戻って、装置本体部2の側部には4本の支柱部材10が立設され、その上端にはリング状の天井部材11が取り付けられている。支柱部材10及び天井部材11には、上方からトラック5の俯瞰映像を撮影する天井カメラ25、実況放送やファンファーレやBGMなどの各種演出用の音響を出力するスピーカ26、各種演出用の発光を行う照明装置27などが設けられている。
【0066】
なお、本実施形態では、上面板4に形成されたトラック5が、サテライト70に着席した遊技者から見下ろすことができるように、テーブル部74よりも下方位置に配置されており、各サテライト70に着席した遊技者は、現実の競馬場のゴンドラ席からトラックを見下ろす感覚と同様の感覚をもってレースを観戦することが可能である。
【0067】
図6は、競馬ゲーム装置1のハードウェアの概略構成を示す説明図である。
【0068】
図示されるように、本実施形態の競馬ゲーム装置1では、装置本体部2(中央装置)が主制御基板21を備え、各走行体40が走行体制御基板61を備え、各サテライト70(端末装置)がサテライト制御基板71を備える。
【0069】
主制御基板21は、配線ケーブルや無線LAN回線などによって各走行体制御基板61及び各サテライト制御基板71との間でのデータの送受信が可能とされている。なお、主制御基板21、走行体制御基板61及びサテライト制御基板71は、それぞれ、図示してはいないが、CPUや、ROM、RAM、ハードディスクなどの記憶手段である記憶装置を備える情報処理装置である。
【0070】
主制御基板21には、フィールドカメラ22、ゴールカメラ23、モニタ装置24、天井カメラ25、スピーカ26、照明装置27、通信装置28、無線LAN装置29などが接続されている。主制御基板21は、レースの進行に合わせてこれらの装置を駆動制御するとともに、その記憶装置に記憶される馬データに基づいて、各走行体40についての走行データ(すなわち、各移動体30についての移動情報)の生成やオッズの決定を行う。
【0071】
ここで、上記馬データは、複数の競走馬の名称(馬名)やレースの強さに関するパラメータである走行能力値などのデータから構成される。馬名は、実在の競走馬と同一の名称を使用しても良いが、本実施形態では、現実の競馬に余り詳しくない遊技者にも遊技を楽しんで貰えるように、各競走馬にはオリジナル(架空)の馬名が使用されている。走行能力値は、レースによらず各競走馬について固定の値を用いても良く、或いは、走行コースの長短、各レースについて設定される天候、馬場条件との適性などに応じて走行能力値を増減させることで、レース毎のレース展開の多様性を高めることが可能である。また、競馬ゲーム装置1で頻繁に遊技を行う遊技者がより適切な予想を出来るようにするために、過去の戦績に応じて走行能力値を増減させるなども可能である。
【0072】
馬データには、トラック5上に配置される移動体30の台数(例えば、6〜12)と同数の競走馬についてのデータを記録しても良いが、それよりも多数(例えば、100頭)の競走馬についてのデータを記録しておけば、レース毎に異なる競走馬を出走させる(移動体30に割り当てる)ことにより、レースの多様性を高めることができる。
【0073】
また、主制御基板21は、トラック5上に配置される各移動体30に馬データとして記録されるいずれかの競走馬を割り当てるとともに、割り当てた競走馬についての走行能力値やレース展開を多様化するための乱数などを用いた適宜のアルゴリズムに従って走行データを生成する。この走行データは、レース開始からゴールまでの経過時間に対する各移動体30の走路8上における位置座標や向き(角度)を指定するものとすることができ、主制御基板21上の記憶装置の所定の記憶領域(走行データ記憶領域)に記憶される。
【0074】
オッズは、1枚のメダルを対価として投票を行った場合に配当として払い出されるメダル枚数の期待値がペイアウト率PO(払戻率。配当として払い出される総メダル数を全ての投票における対価とされた総メダル数で除した値)と等しくなるように設定された配当割合(配当倍率)であり、主制御基板21は、各移動体30に割り当てられた競走馬の走行能力値に基づいて、各指定態様における全ての着順についてオッズ(Odds)Dを算出する。
【0075】
なお、本実施形態におけるオッズDは、レースに出走する競走馬が馬番1〜nのn頭であるとし、それぞれの競走馬の走行能力値をA1〜An、全ての走行能力値A1〜Anの合計をASとすれば、例えば、「単勝」における馬番1の競走馬のオッズD1は、下式(1)に従って導出され、「馬連」における馬番1と馬番2の競走馬のオッズD12は、下式(2)に従って導出される。
【0076】
D1=AS×PO/A1 (1)
【0077】
D12={1/(A1/AS)×(A2/(AS−A1))
【0078】
+(A2/AS)×(A1/SA−A2))} (2)
【0079】
また、主制御基板21は、レースの進行に合わせてフィールドカメラ22やゴールカメラ23を駆動制御する。すなわち、主制御基板21は、各レース実行前の所定のタイミングで生成された走行データにおける各移動体30の走路8上の位置座標、角度、速度等に基づいて、所定のアルゴリズムを実行することにより、ビデオカメラ(フィールドカメラ22およびゴールカメラ23)を駆動制御するためのカメラ制御データ(位置情報)を生成する。生成されたカメラ制御データには、レース開始からゴールまでの経過時間と対応付けて、ビデオカメラを駆動するための情報、例えば、使用すべきビデオカメラの種類、撮影位置、撮影角度などが規定され、主制御基板21上の記憶装置の所定の領域(カメラ制御データ記憶領域)に記憶される。
【0080】
主制御基板21は、このカメラ制御データに従ってビデオカメラを駆動制御することにより、例えば、先頭馬がトラック5のゴール反対の奥スタンド側を走行している場合は、奥スタンド側に配置されたフィールドカメラ22Aをオンにする。また、先頭馬がトラック5のゴールの手前スタンド側を走行している場合には、フィールドカメラ22Aをオフにして手前スタンド側に配置されたフィールドカメラ22Bをオンにする。撮影された画像(カメラ画像)は、各サテライト70のタッチパネル式モニタ75に出力される。
【0081】
サテライト制御基板71には、メダル払出装置73a、タッチパネル式モニタ75、スピーカ76、メダルセンサ77a、ペイアウトボタン78、通信装置79などが接続されており、サテライト制御基板71は、タッチパネル式モニタ75における画像表示並びに遊技者によるタッチ入力の検出、スピーカ76における音声出力、メダル投入口77に投入されたメダルのメダルセンサ77aにおける計数処理、配当の払い出しやペイアウトボタン78の操作に基づくメダル払出のためのメダル払出装置73aの制御などの処理を実行する。
【0082】
より具体的には、サテライト制御基板71は、主制御基板21から送信されるデータに基づいて、各レースについて主制御基板21が各移動体30に割り当てた競走馬の馬名やオッズなどをタッチパネル式モニタ75に表示させ、ベット画面BPに対する遊技者の操作を検出して投票の受付を実行し、各レースの終了後に主制御基板21から送信される着順データが投票において指定された着順と一致しているか否かにより当選の有無を判定し、当選している場合には、当選となった投票において対価とされたメダル枚数にオッズDを乗算することにより算出される枚数のメダルを配当としてメダル払出口73から払い出し、或いは、クレジットメダル計数値を増分するなどの処理を実行する。
【0083】
また、サテライト制御基板71は、ベット画面BPより遊技者が投票した移動体30に関する投票データをサテライト制御基板71上の記憶領域(投票データ記憶領域)に記憶しておき、主制御基板21から合成後のカメラ画像データ及び移動体データ(移動体IDや2D座標)を受信すると、受信した移動体データに基づいて合成後のカメラ画像データにおける遊技者が投票した移動体30の位置を特定し、コインマークなどの付加情報を当該移動体30の近くに付加する。
【0084】
次に、各移動体30を走行させる走行体制御基板61には、主に、駆動制御基板66、移動体制御基板67、無線LAN装置68などが接続されている。
【0085】
駆動制御基板66及び移動体制御基板67は、走行体制御基板61からの信号に従って、それぞれ走行モータ45a、45b及び移動体制御モータ56a、56bの駆動制御を行うものである。
【0086】
走行体制御基板61は、主制御基板21から受信した走行データに従った正確な走行コースで走行体40を走行させるべく駆動制御基板66による走行モータ45a、45bの駆動制御を実行する。
【0087】
無線LAN装置68は、各レース実行前の所定のタイミングで主制御基板21において生成された走行データを受信し、走行体制御基板61に提供する。
【0088】
なお、主制御基板21は、本発明に係る取得手段、カメラ座標特定手段、移動体座標特定手段、生成手段、合成手段、出力手段、判定手段、画素合成手段、更新手段、計算手段及び位置情報生成手段に該当し、通信装置28は、送信手段に該当する。また、各サテライト70のサテライト制御基板71は、付加データ合成手段に該当し、サテライト制御基板71とタッチパネル式モニタ75は、本発明に係る受付手段に該当し、通信装置79は、本発明に係る受信手段に該当する。
【0089】
図7は、本実施形態に係る主制御基板12とサテライト制御基板71がそれぞれ備える記憶手段のメモリマップを示す図である。
【0090】
主制御基板21の記憶手段は、走路8上における各移動体30の位置座標や角度を指定する走行データ210、ビデオカメラを駆動制御するためのパラメータを指定したカメラ制御データ212、ビデオカメラによって撮影されたカメラ画像データ214、カメラ画像データに合成するために予め用意された合成用画像データ216、後述するクロマキー処理にて使用されるクロマキー基準色218などを記憶する。サテライト70のサテライト制御基板71の記憶手段は、遊技者が投票した移動体30に関する投票データ710などを記憶する。
【0091】
なお、主制御基板21の記憶手段及びサテライト制御基板71の記憶手段は、図示してはいないが、それぞれのCPUに本発明に係るゲーム処理(例えば、カメラ画像データの合成処理)を実行させるためのゲームプログラムを記憶している。
【0092】
(装置本体部におけるカメラ画像データの合成処理)
【0093】
以下、図8〜図11を用いて、装置本体部2の主制御基板21の制御において実行されるカメラ画像データの合成処理を説明する。なお、後述するフローチャートにおける各工程(符号が付与されていない部分的な工程を含む)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【0094】
図8は、本実施形態におけるカメラ画像データの合成処理の流れを示すフローチャートである。図8に示す合成処理は、主制御基板21のCPUの制御のもと、装置本体部2が主制御基板21のRAMにロードされたゲームプログラムに既定されたステップを実行することにより実現する。なお、本実施形態におけるカメラ画像データの合成処理は、フィールドカメラ22またはゴールカメラ23(以下、「ビデオカメラ」という。)から送信されるカメラ画像データの受信により開始される。この処理は、ビデオカメラが、フィールド上を走行する移動体30を撮影して主制御基板21へ送信する頻度、例えば、1秒間に30回の頻度で反復して実行される。
【0095】
主制御基板21は、フィールドカメラ22またはゴールカメラ23から送信される、ビデオカメラが撮影した移動体30のカメラ画像データと、当該カメラ画像データをビデオカメラが撮影した撮影時刻を示す時刻情報、それぞれ取得する(S101)。主制御基板21は、取得したカメラ画像データを主制御基板21上に設けられたビデオバッファ(図10参照)に記憶する(S101)。
【0096】
次に、主制御基板21は、取得した時刻情報に基づいて主制御基板21のRAMに記憶されたカメラ制御データ212を参照し、取得した時刻情報すなわち当該カメラ画像データをビデオカメラが撮影した時刻におけるビデオカメラの位置情報等を特定する(S103)。ビデオカメラの位置情報等とは、第1走行面4s上における当該ビデオカメラの位置や角度を示す情報である。
【0097】
主制御基板21は、ビデオカメラの位置情報等を取得すると、この位置情報等および他のパラメータ(例えば、ビデオカメラを駆動するステッピングモーターの駆動パルス数やビデオカメラの機構の寸法)に基づいて所定のアルゴリズムを実行することにより、競馬ゲーム装置1のフィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標(3D座標)を特定する(S105)。なお、ビデオカメラの三次元座標の計算は、任意のセンサーを使用してビデオカメラの位置と角度を検出し、この検出された信号に基づいて算出することも可能である。また、仮想フィールド空間の基準座標は任意に設定することができる。
【0098】
また、主制御基板21は、S101で取得した時刻情報に基づいて予め生成された各移動体30の走行データを参照することにより、当該カメラ画像データをビデオカメラが撮影した時刻における各移動体のフィールド上の位置を特定し、この特定した各移動体の位置に基づいて、所定の視点変換及び透視変換に関するアルゴリズムを実行することにより、仮想フィールド空間における各移動体30の相対的な三次元座標(3D座標)を特定する(S107)。
【0099】
次に、主制御基板21は、各移動体30の相対的な3D座標が計算されると、各移動体30に対応するオブジェクトを生成し、生成したオブジェクトを仮想フィールド空間における各移動体30の相対的な3D座標上に配置する(S109)(図10参照)。各移動体30に対応するオブジェクト(以下、「移動体オブジェクト」という。)は、仮想フィールド空間に各移動体30を配置した場合に、各移動体30を収容可能な大きさを備えるオブジェクトであり、立方体等の簡易なモデルにより構成される。
【0100】
この移動体オブジェクトは、各移動体30の実際のサイズに基づいて所定のアルゴリズムを実行することにより生成することができる。例えば、本実施形態では、実物のスケールと仮想空間(CG空間)のスケールを同じ単位に予め設定しておき、実物の移動体30の大きさに基づいて仮想空間の移動体オブジェクトの大きさを算出している。これによれば、実際の1mmがCG空間上の1ユニットに対応する場合に、実物の移動体30が、5cm(横)×20cm(長さ)×10cm(高さ)の空間内に収まる場合には、50×200×100の大きさのオブジェクト(物体)がCG空間上に生成される。なお、オブジェクトの形状は立体に限られず、適宜任意のものを採用することができる。この移動体オブジェクトは、後述するカメラ画像データの合成処理においてクロマキー処理を実行するか否かを判定する際の判定データとして参照される。
【0101】
主制御基板21は、図示しない画像合成用バッファにカメラ画像データを書き込み、各ピクセルのカメラ画像データのアルファ値に、画像が背景(芝)であることを示す所定の値(例えば、1)を背景情報として書き込む(S111)。
【0102】
そして、主制御基板21は、各移動体30の3D座標及び生成した移動体オブジェクトに基づいて、各ピクセルのカメラ画像データのアルファ値を更新する(S111)。具体的には、主制御基板21は、S105にて計算されたビデオカメラの3D座標を視点座標とする透視変換を行い、移動体オブジェクトの3D座標を、カメラ画像データに対応する二次元平面の2D座標へ座標変換することにより、カメラ画像データ領域における移動体オブジェクトの領域を特定する。そして、カメラ画像データのうち移動体オブジェクトの領域に含まれるピクセルには、移動体オブジェクトの領域に含まれることを示す値(背景でないことを示す仮の値)を(例えば、0)背景情報として、そのアルファ値に書き込む(S111)。
【0103】
これにより、カメラ画像データのうち、移動体オブジェクトの領域外にあるピクセルには、背景であることを示す背景情報(例えば、1)がアルファ値に格納され、移動体オブジェクトの領域内にあるピクセルには、背景でないことを仮に示す背景情報(例えば、0)がアルファ値に格納されることになる。このアルファ値に書きこまれた情報は、後述するカメラ画像データの合成処理において参照される。なお、背景及び移動体オブジェクトの領域に関するこれらの情報は、各ピクセルと対応づけて参照可能に記憶されていればよく、例えば、アルファ値に書き込む代わりに任意のバッファを設け、そこに各ピクセルと対応付けて記憶しておいてもよい。
【0104】
主制御基板21は、カメラ画像データに対する移動体オブジェクトの情報の設定が終わると、カメラ画像データの合成処理を実行する(S113)。
【0105】
図9は、本実施形態において実行されるカメラ画像データの合成処理の詳細な流れを示すフローチャートである。図9に示す合成処理は、主制御基板21のCPUが、主制御基板21のRAMにロードされたゲームプログラムに既定されたステップを実行することにより実現する。なお、本実施形態では、合成処理の一例として、移動体30が走行するトラック5にゴールラインや走行距離を示すCG画像データを合成する場合について説明する。
【0106】
主制御基板21は、カメラ画像データについてピクセル毎に合成処理を実行する(S201)。
【0107】
まず、主制御基板21は、カメラ画像データのうち合成用画像データを描画すべき任意の1の画素すなわちピクセル(以下、「描画対象ピクセル」という。)について、この描画対象ピクセルが移動体オブジェクトの領域の範囲外であるか否か、すなわち、描画対象ピクセルが移動体30または移動体30付近に位置するピクセルであるかどうかを判定する(S203)。主制御基板21は、描画対象ピクセルのカメラ画像データのアルファ値を参照し、アルファ値に移動体オブジェクトの範囲外であることを示す値が格納されている場合は、移動体オブジェクトの範囲外であると判定する(S203;Yes)。
【0108】
主制御基板21は、描画対象ピクセルが移動体オブジェクトの範囲外であると判定した場合は、描画対象ピクセルのカメラ画像データに、ビデオカメラの3D座標を視点座標とする2D透視変換が行われた合成用のCG画像データを重ね書きし、そのアルファ値に背景でないことを示す所定の値(例えば、0)を書き込む(S209)(図10参照)。なお、本実施形態では、ゴールラインや走行距離を示す合成用のCG画像データに関するパラメータは、予め設定され所定の記憶領域に記憶されている。
【0109】
一方、主制御基板21が、アルファ値に移動体オブジェクトの範囲内であることを示す値が格納されている場合は、描画対象ピクセルが移動体オブジェクトの範囲内であると判定し(S203;No)、クロマキー処理を実行する。なお、特定の色の成分から画像の一部を透明にし、そこに別の画像を合成するクロマキー処理については、既知の技術を利用することができる。
【0110】
主制御基板21は、この描画対象ピクセルのカメラ画像データの色を参照し、カメラ画像データの色と、予め設定された所定の基準色(以下、「クロマキー基準色」という。)との差を検出する(S205)。ここで、トラック5及びその周辺には、緑色の粉末や繊維等を加工した人工芝材などが敷き詰められているため、クロマキー基準色には、トラック5に敷き詰められた人工芝材を映写した場合に得られる画像の色データが予め設定されている。
【0111】
主制御基板21は、検出した色の差が予め設定された既定範囲内であるか否かを判定し(STEP207)、検出した色の差が規定範囲内であると判定した場合は、描画対象ピクセルのカメラ画像データに予め設定された合成用画像データを重ね書きし、そのアルファ値に背景でないことを示す所定の値(例えば、0)を書き込む(S209)。
【0112】
一方、主制御基板21は、検出した色の差が規定範囲内でないと判定した場合は、描画対象ピクセルに対する合成用画像の重ね書きを行わず、全てのピクセルについて描画処理が終了したか否かを判断する(S211)。
【0113】
主制御基板21は、全てのピクセルについて描画処理が終了していない場合は、ステップ203に戻り、次のピクセルについて同様に処理(STEP203〜STEP209)を実行する。全てのピクセルについて描画処理が終了した場合は、合成処理を終了する。これにより、カメラ画像データに所定の合成用画像が合成される(図10参照)。
【0114】
図11は、本実施形態に係る合成後のカメラ画像の一例を示す図である。同図に示すように、移動体30が走行するフィールド上には、「GOA(L)」「200」などの英数字とこれに付随するラインが表示されている。これによれば、遊技者は、フィールド上のゴールラインの位置や走行距離を容易に認識することができるので、レース中およびゴールにおける各馬の着順を自ら判断することが可能になる。その結果、レース観戦における遊技者の満足度を向上させることができるようになる。なお、これらの画像は、モニタ装置24および各サテライト70のタッチパネル式モニタ75に実況画面BCPとして表示される。
【0115】
図8に戻り、説明を続ける。主制御基板21は、画像合成処理を終えると、合成後のカメラ画像データのうち、背景(芝)に該当する任意のピクセルのデータを抽出し、抽出した画像データから色データをサンプリングする(S117)。なお、背景に相当するピクセルデータは、各画像のアルファ値を参照することにより特定する。具体的には、アルファ値に背景を示す値(例えば、1)が格納されているピクセルのみを選んでサンプリングの対象とする。これにより、背景データのサンプリングを効率的かつ適切に行うことができる。
【0116】
そして、主制御基板21は、サンプリングした色データを用いて所定のアルゴリズムを実行することにより、クロマキー基準色を更新する(S117)。この更新されたクロマキー基準色は、次のカメラ画像データに対する合成処理にて利用される。
【0117】
次に、主制御基板21は、各移動体の3D座標に基づいて所定のアルゴリズムを実行することにより、各移動体を二次元の空間座標系(カメラ画像)上に配置した場合の各移動体の二次元座標(2D座標)をそれぞれ算出する(S119)。そして、主制御基板21は、合成後のカメラ画像データのヘッダ等に移動体データ(各移動体ID及び2D座標)を付与し、通信装置28を介してサテライト70へ配信する(S119)。
【0118】
(サテライトにおける画像表示処理)
【0119】
以下、図12及び図13を用いて、サテライト70において実行される画像データの合成・表示処理を説明する。
【0120】
図12に示す画像データの合成・表示処理は、サテライト制御基板71のCPUが、サテライト制御基板71のRAMにロードされたゲームプログラムに既定されたステップを実行することにより実現する。なお、サテライト70における画像データの合成・表示処理の前提として、サテライト制御基板71は、ゲーム開始前に、ベット画面BPより遊技者が投票した移動体30の投票データを、サテライト制御基板71上の記憶領域(投票データ記憶領域)に記憶している。
【0121】
ゲームが開始されると、サテライト70のサテライト制御基板71は、通信装置79を介して合成後のカメラ画像データおよび移動体データを装置本体部2から受信する(S301)。
【0122】
サテライト制御基板71は、受信した移動体データから移動体IDと2D座標を抽出し(S303)、投票データに含まれる移動体IDと一致する移動体IDを特定する(S305)。
【0123】
移動体IDを特定すると、サテライト制御基板71は、特定した移動体IDの2D座標に基づいて、合成後のカメラ画像データに予め設定された付加データを合成する(S307)。付加データは、例えば、遊技者が投票した移動体30を他の移動体30から区別するためのコインマークであり、遊技者が投票した移動体30の近傍に配置するように合成される。かかる付加データは、遊技者が投票した移動体30を他の移動体30から識別することができるように配置されればよく、コインマークのほかポインタや文字情報であってもよい。また、移動他30の走行状況に応じて移動体30の周囲近傍に配置されることが望ましく、典型的には移動体30の上部に付加されるが、これに限られない。なお、遊技者が投票した移動体30が先頭の移動体30から遅れて走行するなどによりカメラ画像に含まれていない場合には、付加データは合成されない。
【0124】
サテライト制御基板71は、付加データが合成された合成後のカメラ画像データを、タッチパネル式モニタ75に出力する(S309)。
【0125】
図13は、タッチパネル式モニタ75に出力された画面の一例である。
【0126】
同図に示すように、コーナーを走る先頭馬の上方に、コインマークCが表示されていることがわかる。これによれば、遊技者は、走行中の移動体30の中から、自分が投票した移動体30を瞬時に識別することが可能になるので、レース観戦をより楽しむことが可能になる。なお、付加データの合成は、各サテライト70における遊技者の投票データに基づいて実行されるので、最終的にサテライト70にて表示される移動体30のカメラ画像は、遊技者の投票状況に応じて異なることになる。
【0127】
以上のように、上記実施形態によれば、装置本体部2は、ビデオカメラが撮影したカメラ画像に走行距離やゴールライン等のCG画像を合成して表示するので、遊技者は、レース中およびゴールにおける各馬の着順を容易に判断することが可能になる。
【0128】
また、上記実施形態によれば、合成用画像が合成されたカメラ画像データとともに移動体30の位置を含む移動体データを各サテライト70に配信するので、各サテライト70は、遊技者の投票データに基づいた固有の画像を生成し表示することができるようになる。例えば、遊技者が投票した移動体30の近傍にコインマークが表示されるので、遊技者は、自分が投票した移動体30を瞬時に識別することが可能になる。
【0129】
また、上記実施形態によれば、カメラ画像データの合成処理において、移動体オブジェクトの領域に含まれる範囲にのみクロマキー処理を行うので、クロマキー処理の対象領域を最小限に抑え、フィールドの表面劣化などに伴い正しいクロマキー処理が行えなくなる事態を未然に防止することが可能になる。
【0130】
また、上記実施形態によれば、移動体オブジェクトの領域外の画素データから色をサンプリングしてクロマキー基準色を動的に更新するので、室内の状態や照明条件などが変化した場合でも、クロマキー処理を正常に実行することが可能になる。
【0131】
(その他の実施の形態)
【0132】
以上、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変更、改変を行うことが可能である。
【0133】
例えば、上記した実施形態では、馬の形状を与えられた複数の移動体が着順を競って走行する競馬ゲーム装置に本発明を適用した場合を例として説明したが、例えば、サッカー選手の形状を与えられた複数の移動体がボールを追ってフィールド上を走行するサッカーゲーム装置など、任意の形状を付与された複数の移動体が任意の態様で第1走行面上を走行することによりゲームが進行するゲーム装置に本発明を適用することが可能である。
【0134】
また、上記実施形態では、装置本体部の周囲に12台のサテライトが配置されたゲーム装置を例として説明したが、本発明のゲーム装置は、13台以上又は11台以下のサテライトを備えることが可能である。
【0135】
また、上記実施形態では、合成用画像データの例として、ゴールラインや走行距離を示す情報を合成する場合について説明したが、本発明はこれらに限られず、適宜他の情報を合成することができる。例えば、対象とするレースの名称(○○記念)を移動体30が走行するトラック5の所定領域に合成してもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、移動体30に付加する付加情報の例としてコインマークを用いたが、本発明はこれに限られず、適宜他の情報を他の方法で合成することができる。例えば、カメラ画像に遊技者の投票した馬が含まれていない場合には、移動体30が遅れて走行している旨や現時点における順位などを示す情報をカメラ画像の一部に表示するようにしてもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、各サテライト70において移動体30に付加する付加画像を合成する構成としたが、各サテライト70から投票データを予め装置本体部2へ送信し、装置本体部2が付加画像の合成を行い、合成後のカメラ画像をそれぞれ対応するサテライト70へ配信するように構成することも可能である。
【0138】
また、上記実施形態では、装置本体部2において各移動体30の二次元座標を計算する構成としたが、各サテライト70から投票データを予め装置本体部2へ送信させて、装置本体部2が遊技者が投票した移動体30の情報を取得している場合には、遊技者が投票した移動体30についてのみ二次元座標を計算するようにしてもよい。
【0139】
また、上記実施形態では、各サテライト70のタッチパネル式モニタ75に付加データが合成された合成後のカメラ画像を表示する場合について説明したが、例えば、装置本体部2が備えるモニタ24を各サテライト70に対応する複数の表示領域に分割し、当該カメラ画像をこれらの対応する表示領域にそれぞれ表示するように構成してもよい。
【0140】
また、上記実施形態では、走行データ及びカメラ制御データを、各レースの実行前の所定のタイミングで生成する場合について説明したが、走行データ及びカメラ制御データを、レースの進行に応じてリアルタイムに生成することも可能である。また、各移動体30やビデオカメラの位置をセンサー等によって検出するように構成することもできる。
【0141】
また、上記実施形態におけるカメラ画像データの合成処理において、合成用のCG画像データを3Dから2Dへ透視変換する際に、ビデオカメラのレンズによる画像の歪曲を考慮すれば、カメラ画像データに合成画像をより精度よく一致させることが可能になる。例えば、カメラ画像において一般的に行われている歪曲補正処理の逆にあたる、歪みのないCG画像にレンズによる歪みと同等の歪みを加える処理を実行すればよい。
【0142】
その他、上記した実施形態における装置構成や機能構成、具体的な処理の内容、手順等は単なる例として記載したものであり、本発明はこれらにより限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】一実施形態に係る競馬ゲーム装置の外観構成を示す斜視説明図である。
【図2】装置本体部の構成を示す斜視図及び平面説明図である。
【図3】移動体及び走行体の構成を示す説明図である。
【図4】サテライトの構成を示す説明図である。
【図5】サテライト画面を示す説明図である。
【図6】競馬ゲーム装置のハードウェアの概略構成を示す説明図である。
【図7】メモリマップを示す説明図である。
【図8】一実施形態において実行される画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】一実施形態において実行される画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】カメラ画像データと合成用画像データの合成を示す説明図である。
【図11】合成用画像が合成された後のカメラ画像を示す説明図である。
【図12】一実施形態において実行される画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】付加データが合成された後のカメラ画像を示す説明図である。
【符号の説明】
【0144】
1・・・競馬ゲーム装置、2・・・装置本体部、3・・・外側筐体、4・・・上面板、4s・・・走行面、5・・・トラック、6・・・給電板、7・・・下面板、7s・・・走行面、8・・・走路、9・・・透明薄板、10・・・支柱部材、11・・・天井部材、21・・・主制御基板、22・・・フィールドカメラ、23・・・ゴールカメラ、24・・・モニタ装置、25・・・天井カメラ、26・・・スピーカ、27・・・照明装置、28・・・通信装置、29・・・無線LAN装置、30・・・移動体、31・・・台車、32・・・前輪、33・・・後輪、34a、34b・・・中央輪、35a、35b・・・回転磁石、36・・・支持柱、37・・・模型部分、40・・・走行体、41・・・台車、42・・・前輪、43・・・後輪、44a、44b・・・中央輪、45a、45b・・・走行モータ、46・・・カメラ装置、47・・・白色LED、48・・・アンテナ、50・・・支持台、51・・・スプリング、52・・・前輪、53・・・後輪、54a、54b・・・中央輪、55a、55b・・・回転磁石、56a、56b・・・移動体制御モータ、57・・・集電子、61・・・走行体制御基板、66・・・駆動制御基板、67・・・移動体制御基板、68・・・無線LAN装置、70・・・サテライト、71・・・サテライト制御基板、72・・・脚部、73・・・メダル払出口、73a・・・メダル払出装置、74・・・テーブル部、75・・・タッチパネル式モニタ、76・・・スピーカ、77・・・メダル投入口、77a・・・メダルセンサ、78・・・ペイアウトボタン、79・・・通信装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め生成された移動情報に基づいてフィールド上を移動する移動体をビデオカメラによって撮影し、該撮影されたカメラ画像を画面に表示するゲーム装置であって、
前記撮影された前記移動体に係るカメラ画像のカメラ画像データと前記カメラ画像が撮影された撮影時刻を取得する取得手段と、
前記フィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を特定するカメラ座標特定手段と、
前記取得手段により取得された撮影時刻と前記予め生成された移動情報とに基づいて、前記三次元仮想フィールド空間における前記移動体の相対的な三次元座標を特定する移動体座標特定手段と、
前記移動体座標特定手段により特定された前記移動体の相対的な三次元座標上に、前記移動体に対応するオブジェクトを生成する生成手段と、
前記カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する合成手段と、
前記合成手段により前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データを出力する出力手段と、を備え、
前記合成手段は、
前記カメラ座標特定手段により特定された前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を用いて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面に座標変換された前記オブジェクトの二次元座標に基づいて、前記カメラ画像データの1の画素が前記オブジェクトの領域外か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記1の画素が前記オブジェクトの領域外であると判定された場合は、前記1の画素のカメラ画像データに前記所定の合成用画像データを重ね書きし、前記1の画素が前記オブジェクトの領域内であると判定された場合は、クロマキー処理を実行する画素合成手段と
を備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記合成後のカメラ画像データのうち前記オブジェクトの領域外に位置する1つ以上の画素データから色データを抽出し、抽出された色データに基づいて前記所定の基準色を更新する更新手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記合成手段は、
ゴールラインを所定の合成用画像データとして重ね書きすることを特徴とする請求項1または2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記移動体位置特定手段により特定された前記移動体の相対的な三次元座標に基づいて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面における前記移動体の二次元座標を計算する計算手段と、
前記計算手段により計算された前記移動体の二次元座標に基づいて、前記移動体に関する所定の付加データを前記合成後のカメラ画像データに重ね書きする付加データ合成手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記付加データ合成手段は、
前記移動体を他の移動体から識別するための画像を付加データとして重ね書きすることを特徴とする請求項4に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記ゲーム装置は、
前記ビデオカメラによって撮影された前記移動体のカメラ画像を表示する画面と、前記付加データ合成手段とを有する端末装置と、
前記端末装置と通信可能に接続され、前記計算手段及び前記合成手段を有する中央装置とから構成され、
前記中央装置は、
前記合成手段により前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データと前記計算手段により計算された移動体の二次元座標とを、前記端末装置へ送信する送信手段を備え、
前記端末装置は、
複数の移動体のうち任意の移動体に対する遊技者の投票を受け付ける受付手段と、
前記送信手段より送信される合成後のカメラ画像データと各移動体の二次元座標とを受信する受信手段とを備え、
前記付加データ合成手段は、
前記受信手段により受信された各移動体の二次元座標から前記遊技者が投票した移動体に対応する二次元座標を特定し、この特定された二次元座標に基づいて、前記受信手段により受信された合成後のカメラ画像データに所定の付加データを合成することを特徴とする請求項4または5に記載のゲーム装置。
【請求項7】
予め生成された移動情報に基づいて移動する走行体を備え、前記移動体は、前記走行体によって駆動されることにより前記フィールド上を移動することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記移動情報に基づいて、前記ビデオカメラの位置情報を生成する位置情報生成手段を備えることを特徴とする請求項1から7いずれかに記載のゲーム装置。
【請求項9】
予め生成された移動情報に基づいてフィールド上を移動する移動体をビデオカメラによって撮影し、該撮影されたカメラ画像を画面に表示するゲーム装置の制御方法であって、
前記撮影された前記移動体に係るカメラ画像のカメラ画像データと前記カメラ画像が撮影された撮影時刻を取得する取得ステップと、
前記フィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を特定するカメラ座標特定ステップと、
前記取得された撮影時刻と前記予め生成された移動情報とに基づいて、前記三次元仮想フィールド空間における前記移動体の相対的な三次元座標を特定する移動体座標特定ステップと、
前記特定された前記移動体の相対的な三次元座標上に、前記移動体に対応するオブジェクトを生成する生成ステップと、
前記カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する合成ステップと、
前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データを出力する出力ステップと、を備え、
前記合成ステップは、
前記特定された前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を用いて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面に座標変換された前記オブジェクトの二次元座標に基づいて、前記カメラ画像データの1の画素が前記オブジェクトの領域外か否かを判定する判定ステップと、
前記1の画素が前記オブジェクトの領域外であると判定された場合は、前記1の画素のカメラ画像データに前記所定の合成用画像データを重ね書きし、前記1の画素が前記オブジェクトの領域内であると判定された場合は、クロマキー処理を実行する画素合成ステップと
を備えることを特徴とするゲーム装置の制御方法。
【請求項10】
予め生成された移動情報に基づいてフィールド上を移動する移動体をビデオカメラによって撮影し、該撮影されたカメラ画像を画面に表示するゲームのプログラムであって、コンピュータに、
前記撮影された前記移動体に係るカメラ画像のカメラ画像データと前記カメラ画像が撮影された撮影時刻を取得する取得ステップと、
前記フィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を特定するカメラ座標特定ステップと、
前記取得された撮影時刻と前記予め生成された移動情報とに基づいて、前記三次元仮想フィールド空間における前記移動体の相対的な三次元座標を特定する移動体座標特定ステップと、
前記特定された前記移動体の相対的な三次元座標上に、前記移動体に対応するオブジェクトを生成する生成ステップと、
前記カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する合成ステップと、
前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データを出力する出力ステップと、を備え、
前記合成ステップは、
前記特定された前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を用いて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面に座標変換された前記オブジェクトの二次元座標に基づいて、前記カメラ画像データの1の画素が前記オブジェクトの領域外か否かを判定する判定ステップと、
前記1の画素が前記オブジェクトの領域外であると判定された場合は、前記1の画素のカメラ画像データに前記所定の合成用画像データを重ね書きし、前記1の画素が前記オブジェクトの領域内であると判定された場合は、クロマキー処理を実行する画素合成ステップと
を実行させるプログラム。
【請求項1】
予め生成された移動情報に基づいてフィールド上を移動する移動体をビデオカメラによって撮影し、該撮影されたカメラ画像を画面に表示するゲーム装置であって、
前記撮影された前記移動体に係るカメラ画像のカメラ画像データと前記カメラ画像が撮影された撮影時刻を取得する取得手段と、
前記フィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を特定するカメラ座標特定手段と、
前記取得手段により取得された撮影時刻と前記予め生成された移動情報とに基づいて、前記三次元仮想フィールド空間における前記移動体の相対的な三次元座標を特定する移動体座標特定手段と、
前記移動体座標特定手段により特定された前記移動体の相対的な三次元座標上に、前記移動体に対応するオブジェクトを生成する生成手段と、
前記カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する合成手段と、
前記合成手段により前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データを出力する出力手段と、を備え、
前記合成手段は、
前記カメラ座標特定手段により特定された前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を用いて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面に座標変換された前記オブジェクトの二次元座標に基づいて、前記カメラ画像データの1の画素が前記オブジェクトの領域外か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記1の画素が前記オブジェクトの領域外であると判定された場合は、前記1の画素のカメラ画像データに前記所定の合成用画像データを重ね書きし、前記1の画素が前記オブジェクトの領域内であると判定された場合は、クロマキー処理を実行する画素合成手段と
を備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記合成後のカメラ画像データのうち前記オブジェクトの領域外に位置する1つ以上の画素データから色データを抽出し、抽出された色データに基づいて前記所定の基準色を更新する更新手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記合成手段は、
ゴールラインを所定の合成用画像データとして重ね書きすることを特徴とする請求項1または2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記移動体位置特定手段により特定された前記移動体の相対的な三次元座標に基づいて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面における前記移動体の二次元座標を計算する計算手段と、
前記計算手段により計算された前記移動体の二次元座標に基づいて、前記移動体に関する所定の付加データを前記合成後のカメラ画像データに重ね書きする付加データ合成手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記付加データ合成手段は、
前記移動体を他の移動体から識別するための画像を付加データとして重ね書きすることを特徴とする請求項4に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記ゲーム装置は、
前記ビデオカメラによって撮影された前記移動体のカメラ画像を表示する画面と、前記付加データ合成手段とを有する端末装置と、
前記端末装置と通信可能に接続され、前記計算手段及び前記合成手段を有する中央装置とから構成され、
前記中央装置は、
前記合成手段により前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データと前記計算手段により計算された移動体の二次元座標とを、前記端末装置へ送信する送信手段を備え、
前記端末装置は、
複数の移動体のうち任意の移動体に対する遊技者の投票を受け付ける受付手段と、
前記送信手段より送信される合成後のカメラ画像データと各移動体の二次元座標とを受信する受信手段とを備え、
前記付加データ合成手段は、
前記受信手段により受信された各移動体の二次元座標から前記遊技者が投票した移動体に対応する二次元座標を特定し、この特定された二次元座標に基づいて、前記受信手段により受信された合成後のカメラ画像データに所定の付加データを合成することを特徴とする請求項4または5に記載のゲーム装置。
【請求項7】
予め生成された移動情報に基づいて移動する走行体を備え、前記移動体は、前記走行体によって駆動されることにより前記フィールド上を移動することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記移動情報に基づいて、前記ビデオカメラの位置情報を生成する位置情報生成手段を備えることを特徴とする請求項1から7いずれかに記載のゲーム装置。
【請求項9】
予め生成された移動情報に基づいてフィールド上を移動する移動体をビデオカメラによって撮影し、該撮影されたカメラ画像を画面に表示するゲーム装置の制御方法であって、
前記撮影された前記移動体に係るカメラ画像のカメラ画像データと前記カメラ画像が撮影された撮影時刻を取得する取得ステップと、
前記フィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を特定するカメラ座標特定ステップと、
前記取得された撮影時刻と前記予め生成された移動情報とに基づいて、前記三次元仮想フィールド空間における前記移動体の相対的な三次元座標を特定する移動体座標特定ステップと、
前記特定された前記移動体の相対的な三次元座標上に、前記移動体に対応するオブジェクトを生成する生成ステップと、
前記カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する合成ステップと、
前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データを出力する出力ステップと、を備え、
前記合成ステップは、
前記特定された前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を用いて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面に座標変換された前記オブジェクトの二次元座標に基づいて、前記カメラ画像データの1の画素が前記オブジェクトの領域外か否かを判定する判定ステップと、
前記1の画素が前記オブジェクトの領域外であると判定された場合は、前記1の画素のカメラ画像データに前記所定の合成用画像データを重ね書きし、前記1の画素が前記オブジェクトの領域内であると判定された場合は、クロマキー処理を実行する画素合成ステップと
を備えることを特徴とするゲーム装置の制御方法。
【請求項10】
予め生成された移動情報に基づいてフィールド上を移動する移動体をビデオカメラによって撮影し、該撮影されたカメラ画像を画面に表示するゲームのプログラムであって、コンピュータに、
前記撮影された前記移動体に係るカメラ画像のカメラ画像データと前記カメラ画像が撮影された撮影時刻を取得する取得ステップと、
前記フィールドを含む現実空間の座標系を相対的に再現する三次元仮想フィールド空間における前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を特定するカメラ座標特定ステップと、
前記取得された撮影時刻と前記予め生成された移動情報とに基づいて、前記三次元仮想フィールド空間における前記移動体の相対的な三次元座標を特定する移動体座標特定ステップと、
前記特定された前記移動体の相対的な三次元座標上に、前記移動体に対応するオブジェクトを生成する生成ステップと、
前記カメラ画像データに所定の合成用画像データを合成する合成ステップと、
前記所定の合成用画像データが合成された合成後のカメラ画像データを出力する出力ステップと、を備え、
前記合成ステップは、
前記特定された前記ビデオカメラの相対的な三次元座標を用いて、前記カメラ画像データに対応する二次元平面に座標変換された前記オブジェクトの二次元座標に基づいて、前記カメラ画像データの1の画素が前記オブジェクトの領域外か否かを判定する判定ステップと、
前記1の画素が前記オブジェクトの領域外であると判定された場合は、前記1の画素のカメラ画像データに前記所定の合成用画像データを重ね書きし、前記1の画素が前記オブジェクトの領域内であると判定された場合は、クロマキー処理を実行する画素合成ステップと
を実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−178399(P2009−178399A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21072(P2008−21072)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]