説明

コネクタ付きケーブル

【課題】接続先の電子機器の小型化・軽量化に影響を与えることなく電子機器の温度上昇を抑制することができるコネクタ付きケーブルを提供する。
【解決手段】本発明は、電子機器と接続するコネクタと、前記コネクタと接続するケーブルとを備えるコネクタ付きケーブルであって、前記コネクタは、前記電子機器内で発生した熱を吸収する熱吸収手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ付きケーブルとそのコネクタ付きケーブルを備える充電機器およびその充電機器により充電される電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ノートパソコン、携帯端末、PDA等の電子機器を使用するユーザは、必要に応じて、自宅等で充電機器により電子機器の充電を行う必要がある。
【0003】
充電の際、電子機器には大電流が流れるため、大量の熱が発生して電子機器の内部温度が上昇してしまう。内部温度が上昇すると、充電池の寿命低下の原因となる。また、電子機器の内部の回路が誤作動を起こす要因ともなる。
【0004】
また、内部温度の上昇に伴い電子機器の筐体の温度が高温になると、ユーザが電子機器を使いづらい場合がある。これらを解決するため、電子機器の高温部を冷却する冷却手段が必要である。
【0005】
従来、送風用ポンプによってCPU等の発熱部に空気を吹き付けて、発熱部を強制冷却する携帯用電子機器の冷却装置が提案されている(特許文献1参照)。この冷却装置は、交流電源アダプタの内部に送風手段が設けられており、その送風手段が送風する空気を、コネクタ部を介して携帯用電子機器内部の発熱部に直接吹き付けて冷却を行うものである。
【特許文献1】特開2000−216574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載される発明の冷却装置は、携帯用電子機器の内部に送風された空気を発熱部まで案内する空気案内手段を設けなければならない。この空気案内手段は、空気を運ぶための空洞構造が大きいため、小型化・軽量化の要請のある携帯用電子機器の内部に設けることは適さなかった。
【0007】
本発明は、接続先の電子機器の小型化・軽量化に影響を与えることなく電子機器の温度上昇を抑制することができるコネクタ付きケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコネクタ付きケーブルは、電子機器と接続するコネクタと、前記コネクタと接続するケーブルとを備えるコネクタ付きケーブルであって、前記コネクタは、前記電子機器内で発生した熱を吸収する熱吸収手段を備える。
【0009】
この構成により、前記コネクタと前記電子機器とが接続するとき、電子機器で発生する熱は、前記コネクタの熱吸収手段によって吸収される。したがって、電子機器の内部に新たな部材を設けることなく、すなわち、電子機器の小型化・軽量化に影響を与えることなく電子機器の内部の発熱部を冷却することができる。
【0010】
また、前記熱吸収手段は、前記電子機器と接続する接続部と、前記接続部と接するヒートシンクと、前記ヒートシンクと接する熱伝導性板とにより構成され、前記ケーブル内の接地線が前記熱伝導性板と接続している。
【0011】
この構成により、電子機器で発生した熱は接続部に伝導し、接続部に伝導した熱はヒートシンクに伝導して放熱される。また、ヒートシンクに伝導した熱は放熱される一方で、その一部は熱伝導性板に伝導し、熱伝導性板に伝導した熱は、ケーブル内の接地線に伝導して拡散される。従って、電子機器で発生する熱を効率よく放熱することができる。
【0012】
また、本発明のコネクタの外皮は熱伝導性フィラーを含んで構成される。
【0013】
この構成により、コネクタ部の放熱性が向上する。
【0014】
また、本発明の充電機器は、上記のコネクタ付きケーブルを備える。
【0015】
この構成により、充電の際に電子機器内で発生する熱は、コネクタ付きケーブルを介して外部に放熱・拡散されるので、電子機器内の温度上昇は抑制される。
【0016】
また、本発明の電子機器は、前記充電機器と接続するケーブル接続部が熱伝導性部材により構成される。
【0017】
また、本発明の電子機器は、前記電子機器の基板上において、動作時に発生する熱量の多い電子部品が前記ケーブル接続部付近に配置される。
【0018】
この構成により、充電の際に発生する熱を効率よくコネクタ部へ伝導することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のコネクタ付きケーブルによれば、接続先の電子機器の小型化・軽量化に影響を与えることなく電子機器の温度上昇を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ここでは、電子機器として携帯電話を例に挙げて説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1の充電機器100の外観斜視図である。図2は、ケーブル線の断面図である。図3(a)は、コネクタ部の内部構成の斜視図である。図3(b)は、図3(a)中のA方向から見たコネクタ部の平面図である。図3(c)は、図3(a)中に示すB位置の要部拡大図である。図4は、実施の形態1の充電機器の使用形態を示す図である。
【0022】
図1に、本実施の形態1の充電機器100の外観斜視図を示す。本実施の形態1のコネクタ付きケーブルを備えた充電機器100は、携帯電話13と接続するコネクタ部3と、内部にAC−DC変換回路を有するAC電源コンセント4と、コネクタ部3とAC電源コンセント4とを繋ぐケーブル線5とを備える。
【0023】
図2に、ケーブル線の断面図を示す。ケーブル線5は、電力を伝送する内部導体6と、AC電源コンセント4のグランド層と接続している外部導体8と、内部導体6と外部導体8とを絶縁する絶縁体7と、それらを覆う外皮9とにより構成される。
【0024】
図3(a)に、コネクタ部3の内部構成の斜視図を示す。コネクタ部3は、電子機器のケーブル接続部15と接続する接続部2と、接続部2と内部導体6とを繋ぐリード線12と、ケーブル5の外部導体8と当接して配置される熱伝導性板11と、接続部2と熱伝導性板11と両方に接する位置に設置されるヒートシンク10とにより構成される。
【0025】
コネクタ部3の外皮は、樹脂と熱伝導性フィラーとを含んで構成される。熱伝導性フィラーとしては、例えば、酸化マグネシウムや窒化アルミニウムがある。また、接続部2と熱伝導性板11とヒートシンク10は、アルミ、銅、鉄等の金属製の熱伝導性材料により構成されている。
【0026】
図3(b)に、図3(a)中のA方向から見たコネクタ部の平面図を示す。ヒートシンク10は、一端側では接続部2の一部を載置し、他端側では熱伝導性板11と当接するように配置される。また、ヒートシンク10の中央部ではリード線が貫通して接続部2と接続している。
【0027】
図3(c)に、図3(a)中に示すB位置の要部拡大図を示す。熱伝導性板11は内部導体6と一定の間隔離れた位置で外部導体8と面当接している。
【0028】
図4に、実施の形態1の充電機器と携帯電話の使用形態を示す。携帯電話13は、筐体内部に基板14を備え、基板14上に充電回路16と発熱電子部品17(例えば、パワーアンプ)等が実装されている。また、基板14には、充電機器100のコネクタ部3の接続部2と接続するケーブル接続部15を備えられている。ケーブル接続部15は、アルミ、銅、鉄等の金属製の熱伝導性材料により構成されている。
【0029】
図4に示すように、基板14上では、動作時に多くの熱を発生する充電回路16と発熱電子部品17とがケーブル接続部15付近に実装されている。
【0030】
次に、本実施の形態1の充電機器を用いて携帯電話を充電するときの動作について説明する。
【0031】
まず、ユーザは、充電機器100のAC電源コンセント4を家庭用電源に差し込み、コネクタ部3の接続部2を携帯電話13のケーブル接続部15に差し込む。このとき、家庭用電源からケーブル5の内部導体6とリード線12を介して携帯電話13の充電回路16に電力が供給される。
【0032】
電力が供給されると充電回路16は内蔵する充電池を充電する。充電動作時、充電回路16は熱を発し、その付近に熱が蓄積し始める。このとき発生した熱は、充電回路の周辺にあるケーブル接続部15に伝導する。
【0033】
ケーブル接続部15に伝わった熱は、直接接触しているコネクタ部3の接続部2に伝わる。そして、接続部2に伝わった熱は、接続部2が載置をするヒートシンク10に伝わる。このとき、ヒートシンク10は、図3(a)に示したように表面積が広い構成であるので、携帯電話13から伝わってきた熱を効率よく放熱する。
【0034】
また、ヒートシンク10は、放熱を行う一方で、当接している熱伝導性板11に熱を伝える。熱伝導性板11は当接しているケーブル5の外部導体8に熱を伝える。外部導体8は接続先のAC電源コンセント4のグランド層に熱を伝える。グランド層は接地部に熱を拡散して逃がす。
【0035】
この構成により、充電時に携帯電話の回路基板上で発生する熱は、周辺端末である充電機器側を介して外部に拡散されるので、携帯電話内に熱は蓄積せず、内部温度の上昇を抑制することができる。
【0036】
また、本実施の形態1の充電機器は、空気を送風するファン等を設ける必要がないので、ファン等を駆動する電力を節約することができる。また、本実施の形態1の充電機器は、以上の構成により、電子機器の内部に新たな部材を設けることなく、すなわち、電子機器の小型化・軽量化に影響を与えることなく電子機器の内部の発熱部を冷却することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、コネクタ付きケーブルにAC電源コンセントが備えられた充電機器について説明したが、これに限られるものではなく、このコネクタ付きケーブルを他の周辺機器に用いてもその効果は同様である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のコネクタ付きケーブルによれば、接続先の電子機器の小型化・軽量化に影響を与えることなく電子機器の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施の形態1の充電機器100の外観斜視図
【図2】ケーブル線の断面図
【図3】(a)コネクタ部3の内部構成の斜視図、(b)図3(a)中のA方向から見たコネクタ部の平面図、(c)図3(a)中に示すB位置の要部拡大図
【図4】実施の形態1の充電機器と携帯電話の使用形態を示す図
【符号の説明】
【0040】
2 接続部
3 コネクタ部
4 AC電源コンセント
5 ケーブル線
6 内部導体
7 絶縁体
8 外部導体
9 外皮
10 ヒートシンク
11 熱伝導性板
12 リード線
13 携帯電話
14 基板
15 ケーブル接続部
16 充電回路
17 発熱電子部品
100 充電機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と接続するコネクタと、前記コネクタと接続するケーブルとを備えるコネクタ付きケーブルであって、
前記コネクタは、前記電子機器内で発生した熱を吸収する熱吸収手段を備えるコネクタ付きケーブル。
【請求項2】
前記熱吸収手段は、前記電子機器と接続する接続部と、前記接続部と接するヒートシンクと、前記ヒートシンクと接する熱伝導性板と、前記熱伝導性板と接続する接地線とを備える請求項1に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項3】
前記コネクタの外皮は熱伝導性フィラーを含んで構成される請求項1または2に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項4】
請求項1から3いずれか一項に記載のコネクタ付きケーブルを備える充電機器。
【請求項5】
前記充電機器と接続するケーブル接続部が熱伝導性部材により構成される電子機器。
【請求項6】
前記電子機器の基板上において、動作時に発生する熱量の多い電子部品が前記ケーブル接続部付近に配置される請求項5に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−324207(P2006−324207A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−148460(P2005−148460)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】