説明

コネクタ装置

【課題】ハウジングに配線板状部材が差し込まれるコネクタ装置であって、部品点数の低減と組立て作業工程の簡素化とを図ることができるもとで、配線板状部材のハウジングからの抜脱を阻止するための係止及びその係止の解除を確実に行えるものを提供する。
【解決手段】板状部材差込み部12が設けられるとともに複数のコンタクトが配列配置されたハウジング11と、ハウジング11の配線基板への取付けに供される取付部材15Aとを備え、取付部材15Aが、ハウジング11に配される基部,基部に設けられた基板連結部18,基部からハウジング11内へと伸びる腕状部19,腕状部19に設けられてハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30を係止する状態をとるロック部20、及び、腕状部19の端部に設けられてハウジング11の外方に突出する操作部21を、一体的に形成されたものとして含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板(FPC)やフレキシブル平板状ケーブル(FFC)等の配線板状部材が装着されるもとで、その配線板状部材に設けられた接続端子部を他の配線基板に電気的に連結された状態のもとに維持するため、装着された配線板状部材に設けられた接続端子部に接触接続されるコンタクト及び装着された配線板状部材をその抜脱を阻止すべく係止するロック部を備えたコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の電子機器に実装される比較的小型なフレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等の配線板状部材は、各種の電気部品が取り付けられる主配線基板との電気的連結が、当該主配線基板に電気的接続がなされて固定されるコネクタ装置が用いられて行われることが多いものとされる。このような配線板状部材の主配線基板との電気的連結にあたって用いられるコネクタ装置は、配線板状部材に設けられた接続端子部に接触接続される導電性のコンタクトを有していて、そのコンタクトを介して、配線板状部材に設けられた接続端子部を主配線基板に設けられた配線部における端子に電気的に連結する。
【0003】
従来提案されている、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材の主配線基板との電気的連結に用いられるコネクタ装置は、配線板状部材が差し込まれる板状部材差込み部が設けられたものとされて主配線基板に取り付けられる、例えば、絶縁材料によって形成されたハウジングを有したものとされ、そのハウジングに、配列配置されて設けられて主配線基板に設けられた配線端子に連結され、配線板状部材が板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、ハウジング内において差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子部に夫々接触接続される複数のコンタクトが備えられる。そして、複数のコンタクトが、配線板状部材に設けられた複数の接続端子部に夫々接触接続された状態におかれることにより、配線板状部材が、主配線基板との電気的連結状態におかれる。
【0004】
このようなコネクタ装置には、配線板状部材のハウジングへの板状部材差込み部を通じた差込み方向がハウジングが取り付けられた主配線基板に実質的に平行となる水平差込み型のものと、配線板状部材のハウジングへの板状部材差込み部を通じた差込み方向がハウジングが取り付けられた主配線基板に実質的に直交することになる垂直差込み型のものとがある。コネクタ装置のハウジングは、通常、それが主配線基板に取り付けられる際に主配線基板に対接する基板対接端面部を有したものとされるが、水平差込み型のコネクタ装置にあっては、ハウジングに設けられた板状部材差込み部が、配線板状部材のハウジングへの差込みが基板対接端面部に実質的に平行な方向をもって行われるようにするものとされ、また、垂直差込み型のコネクタ装置にあっては、ハウジングに設けられた板状部材差込み部が、配線板状部材のハウジングへの差込みが基板対接端面部に実質的に直交する方向をもって行われるようにするものとされる。
【0005】
上述のような、水平差込み型のコネクタ装置及び垂直差込み型のコネクタ装置のいずれにあっても、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材が、主配線基板に取り付けられたハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれて、ハウジングに配された複数のコンタクトが、ハウジング内において配線板状部材における複数の接続端子部に夫々接触接続され、それにより、配線板状部材が主配線基板との電気的連結状態におかれるにあたり、配線板状部材がハウジングから不所望に抜脱するような事態が回避されなくてはならない。当然のことながら、ハウジングに配された複数のコンタクトがハウジング内において配線板状部材における複数の接続端子部に夫々接触接続された状態が適正に維持されるためには、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材が、その状態を安定に維持することができ、ハウジングから不所望に抜脱されるような事態をまねかないものとされることが必要とされるのである。
【0006】
そのため、例えば、垂直差込み型のコネクタ装置に着目すると、板状部材差込み部が設けられたハウジングに、板状部材差込み部を通じて、ハウジングが取り付けられた主配線基板に実質的に直交する方向をもって差し込まれた配線板状部材を係止し、それにより、配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止するロック手段を備えたコネクタ装置が、従来提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
特許文献1に示される垂直差込み型のコネクタ装置(FPC/FFC用ロック機構付きコネクタ)にあっては、主配線基板(基板B)に取り付けられたハウジング(インシュレータ10)に、主配線基板に直交する方向(鉛直方向)に向けられた板状部材差込み部(FPC/FFC挿入穴11)が設けられており、その板状部材差込み部を通じて、配線板状部材(FPC/FFC20)がハウジングに主配線基板に直交する方向をもって差し込まれる。さらに、ハウジングには、その長手方向の両端部分に、一対の係止手段(ロックレバー15)が、回動可能に軸着されている。一対の係止手段の夫々は、そのいずれの部分にも押圧力等の外力が作用していないとき主配線基板に平行に伸びる姿勢及び主配線基板に対して斜め方向に伸びる姿勢を夫々とる、水平部(15a )及び傾斜部(15b )を有している。水平部(15a )及び傾斜部(15b )は、係止手段をハウジングに軸着している軸(14)を挟んで配されており、軸(14)を中心にして一体的に回動できるものとされている。
【0008】
係止手段の傾斜部(15b)は、それに押圧力等の外力が作用していないときには、その先端部分がハウジングに設けられた板状部材差込み部内に置かれるようにされている。それにより、配線板状部材が板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれる際には、先ず、差し込まれる配線板状部材の端部に設けられた一対の突起部(22)の各々によって係止手段の傾斜部(15b)が押圧され、係止手段の全体が、その傾斜部(15b)における先端部がハウジングに設けられた板状部材差込み部外に押し退けられるように回動せしめられる。
【0009】
続いて、配線板状部材がさらにハウジングに差し込まれて、配線板状部材の端部がハウジング内における正規の位置に到達するときには、配線板状部材の端部に設けられた突起部(22)が係止手段の傾斜部(15b)における先端部に対応する位置を通り越しており、係止手段の傾斜部(15b)が配線板状部材における突起部(22)による押圧を受ける状態から解放される。それにより、係止手段が、ハウジングに設けられた板状部材差込み部外に配されていた係止手段の傾斜部(15b)における先端部をハウジングに設けられた板状部材差込み部内に置くように復元回動して、その水平部(15a )及び傾斜部(15b )が夫々配線基板に平行に伸びる姿勢及び配線基板に対して斜め方向に伸びる姿勢をとる状態に戻る。
【0010】
このようにして、配線板状部材が板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれたもとにあっては、ハウジングに設けられた板状部材差込み部内に置かれた係止手段の傾斜部(15b)における先端部が、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における突起部(22)が形成する段部(23)に係合する状態に置かれる。そのため、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に、それをハウジングから抜脱させる方向の不所望な外力が作用するときには、一対の係止手段の夫々の傾斜部(15b)における先端部が差し込まれた配線板状部材における一対の段部(23)の夫々を係止して、配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−196130号公報(2〜3頁,図1〜7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のような、ハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板等とされる配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係止手段を備えた垂直差込み型のコネクタ装置として、従来提案されているものにあっては、一対の係止手段を成すロックレバーが、ハウジングとは別体のものとして、ハウジングに回動可能に設けられており、各ロックレバーは、配線板状部材のハウジングへの差込みに応じて回動する。また、場合によっては、配線板状部材のハウジングへの差込みに応じたロックレバーの回動をより確実なものとするため、ロックレバーに強制的な付勢力を与える付勢リブがハウジングに設けられる。
【0013】
それゆえ、このような従来提案されている垂直差込み型のコネクタ装置にあっては、それを構成する部品点数が増加し、組立て作業工程の複雑化がまねかれ、さらに、製造コストが嵩むことになるという問題があった。
【0014】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等とされる配線板状部材の他の配線基板との電気的連結に用いられる垂直差込み型のコネクタ装置であって、配線基板上に配され、その配線基板に対接する一端面部に対向する他端面部に開口する板状部材差込み部が設けられたハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられ、配線板状部材を配線基板に電気的に連結する複数のコンタクトとを備えたもとにおいて、ハウジングに対して回動可能とされる別部材を備える必要がなく、部品点数を比較的少とすることができるとともに、組立て作業工程の簡素化を図ることができ、それにより、製造コストを低減させることができる構成をもって、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材についてのハウジングからの不所望な抜脱の阻止及びその阻止の解除を、容易かつ確実に行うことができるものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明(以下、本発明という。)に係るコネクタ装置は、配線基板に対接する一端面部及びそれに対向する他端面部を有し、他端面部に開口する板状部材差込み部が設けられて配線基板上に配されるハウジングと、ハウジングに固定され、一端面部を配線基板に対接させたもとでのハウジングの配線基板への取付けに供される取付部材と、ハウジングに配列配置されて設けられ、取付部材を介してハウジングが配線基板に取り付けられたもとで、配線基板に設けられた配線端子に連結されるとともに、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じてハウジングの一端面部に向かって差し込まれたとき、ハウジング内において配線板状部材に設けられた複数の接続端子部に接触接続される複数のコンタクトと、を備えて成り、取付部材が、ハウジングの一端面部側に配される基部,基部に設けられて配線基板に連結される基板連結部,基部からハウジング内へと伸びる腕状部,腕状部に設けられてハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材を係止する状態をとるロック部、及び、腕状部の端部に設けられてハウジングの他端面部からハウジングの外方に突出する操作部を、一体的に形成されたものとして含んで構成され、ロック部が配線板状部材を係止するもとで、操作部にそれを変位させる操作が加えられるとき、ロック部による配線板状部材に対する係止が解除されることを特徴とするものとされる。
【0016】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、取付部材におけるロック部が、取付部材に設けられた腕状部から突出する係合突起を形成し、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に設けられた係合部に係合する状態をとる。
【0017】
上述のような本発明に係るコネクタ装置にあっては、配線板状部材が、配線基板に一端面部を対接させて配されたハウジングに、その一端面部に対向する他端面部に開口して設けられた板状部材差込み部を通じて一端面部に向かって差し込まれると、ハウジング内に配列配置された複数のコンタクトが、差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子部に接触接続されるとともに、ハウジングの配線基板への取付けに供される取付部材に一体的に形成された腕状部に設けられたロック部が、ハウジング内において、差し込まれた配線板状部材を係止する。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【0018】
そして、ロック部が配線板状部材を係止したもとで、取付部材に一体的に形成された腕状部の端部に設けられてハウジングの他端面部からハウジングの外方に突出する操作部に、それをハウジング外において変位させる操作力が加えられると、当該操作部の変位に伴って、操作部が設けられた腕状部及びその腕状部に設けられたロック部がハウジング内において変位し、それにより、ロック部が配線板状部材に対する係止を解除する。その結果、操作部がハウジング外において変位せしめられるべく操作されることによって、ハウジング内においてロック部が配線板状部材に対する係止を解除する状態がとられ、配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【0019】
斯かるもとで、ハウジング内において差し込まれた配線板状部材を係止する状態をとるロック部は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合のように、取付部材に一体的に形成された腕状部から突出する係合突起を形成し、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に設けられた係合部に係合する状態をとるものとされる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るコネクタ装置にあっては、上述のように、配線基板に一端面部を対接させて配されたハウジングに、その一端面部に対向する他端面部に開口して設けられた板状部材差込み部を通じて一端面部に向かって差し込まれた配線板状部材を、ロック部により係止して、ハウジングからの不所望な抜脱が阻止される状態におくこと、さらには、操作部を介してのロック部による係止を解除して、ハウジングから抜脱され得る状態におくことができるが、そのためのロック部と操作部とを、ハウジングの配線基板への取付けに供される取付部材に一体的に形成されたものとすることができる。その際、取付部材は、配線基板に対接するハウジングの一端面部側に配される基部を有し、その基部に配線基板に連結される基板連結部とハウジング内へと伸びる腕状部とが設けられ、その腕状部にロック部と操作部とが設けられる。
【0021】
従って、取付部材は、基部,基板連結部,腕状部, ロック部及び操作部を一体的に形成されたものとして含んでおり、その結果、本発明に係るコネクタ装置によれば、ハウジングに対して回動可能とされる別部材等を備える必要がなく、部品点数を比較的少とすることができるとともに、組立て作業工程の簡素化を図ることができ、それにより、製造コストを低減させることができる構成をもって、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材についてのハウジングからの不所望な抜脱の阻止及びその阻止の解除を、容易かつ確実に行うことができることになる。
【0022】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、ハウジング内において差し込まれた配線板状部材を係止する状態をとるロック部が、取付部材に一体的に形成された腕状部から突出する係合突起を形成し、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に設けられた係合部に係合する状態をとるものとされるので、ロック部によるハウジングに差し込まれた配線板状部材に対する係止を、より一層確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るコネクタ装置の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るコネクタ装置の一例を示す正面図である。
【図3】図2における III−III 線断面を示す断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV線断面を示す断面図である。
【図5】本発明に係るコネクタ装置の一例に備えられる取付部材を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るコネクタ装置の一例に備えられる取付部材を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るコネクタ装置の一例に備えられる取付部材を示す平面図である。
【図8】本発明に係るコネクタ装置の一例に備えられる取付部材に形成されたロック部及び操作部の位置説明に供される断面図である。
【図9】本発明に係るコネクタ装置の一例に備えられる取付部材に形成されたロック部及び操作部の位置説明に供される断面図である。
【図10】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングに差し込まれるフレキシブル印刷配線基板を示す斜視図である。
【図11】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングにフレキシブル印刷配線基板が差し込まれた状態を示す斜視図である。
【図12】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングに対してフレキシブル印刷配線基板が差込み途中にある状態を示す断面図である。
【図13】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングに対するフレキシブル印刷配線基板の差込みが完了し、当該一例に備えられたロック部によってフレキシブル印刷配線基板が係止された状態を示す断面図である。
【図14】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングにフレキシブル印刷配線基板が差し込まれたもとで、本発明に係るコネクタ装置の一例に備えられた操作部が操作された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態は、以下に述べられる本発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【0025】
図1(斜視図),図2(正面図),図3(断面図)及び図4(断面図)は、本発明に係るコネクタ装置の一例(実施例)を成すコネクタ装置10を示す。なお、便宜上、コネクタ装置10について、図2に示されるコネクタ装置10の正面から見て左方を左あるいは左側,右方を右あるいは右側,上方を上あるいは上側及び下方を下あるいは下側という。
【0026】
図1〜4において、本発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置10は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング11を備えている。ハウジング11は、図示されていない配線基板上に配されるものとされており、配線基板上に配されるにあたって当該配線基板に対接することになる一端面部である下側端面部11aと、下側端面部11aに対向する他端面部である上側端面部11bとを有している。
【0027】
ハウジング11には、図1,図2におけるIII-III 線断面をあらわす図3及び図2におけるIV-IV 線断面をあらわす図4に示されるように、その上側端面部11bに開口し、上側端面部11bから下側端面部11aに向かって伸びるとともに、ハウジング11の長手方向である左右方向に拡がるものとされた板状部材差込み部12が設けられている。この板状部材差込み部12を通じて、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材がハウジング11に差し込まれる。このように上側端面部11bから下側端面部11aに向かって伸びる板状部材差込み部12は、ハウジング11が配される配線基板に対して実質的に直交する方向に伸びており、それにより、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれる配線板部材のハウジング11への差込み方向が、ハウジング11が配される配線基板に実質的に直交することになる。従って、コネクタ装置10は、垂直差込み型のコネクタ装置を成している。
【0028】
ハウジング11には、各々の一部分がハウジング11の内部に配されるものとされた複数のコンタクト13(図3)が、ハウジング11の長手方向に沿って配列配置されて設けられている。これら複数のコンタクト13の夫々の一端部は、ハウジング11の正面側端面部11cの下部からハウジング11の外部に導出された接続端子部13aを形成している。各接続端子部13aは、ハウジング11が配された配線基板に設けられた配線端子に、例えば、半田付けによって接続され、それにより、複数のコンタクト13の夫々が配線基板に設けられた配線端子に電気的に接続される。
【0029】
複数のコンタクト13の夫々は、弾性導電板材によって形成され、図3に示されるように、接続端子部13aからハウジング11の下側端面部11aに沿ってハウジング11の内部へと伸び、ハウジング11の下側端面部11aから屈曲して立ち上がってハウジング11に設けられた板状部材差込み部12内を、ハウジング11の上側端面部11bに向かって伸びるものとされている。そして、複数のコンタクト13の夫々における板状部材差込み部12内に配された部分は、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれた配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板に設けられた複数の接続端子部のうちの対応するものに押圧接触する接触部13bを形成している。
【0030】
複数のコンタクト13における接触部13bが、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板に設けられた複数の接続端子部に夫々押圧接触するときには、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板における複数の接続端子部が、複数のコンタクト13を介して、ハウジング11が配された配線基板に設けられた配線端子に電気的に連結される。それにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板が、ハウジング11が配された配線基板との電気的連結がなされた状態におかれる。
【0031】
図1に示されるように、ハウジング11における板状部材差込み部12を形成する内壁部分には、ハウジング11の長手方向に配列配置された複数の狭幅溝部11dが形成されており、これらの複数の狭幅溝部11dの夫々に、コンタクト13における接触部13bを形成する部分が配される。それにより、コンタクト13における接触部13bを形成する部分についての位置規制がなされている。複数のコンタクト13は、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板における複数の接続端子部に接触接続される信号用コンタクトとして設けられているが、フレキシブル印刷配線基板における複数の信号接続端子部及び接地接続部に接触接続される信号用及び接地用コンタクトとして用いられても良い。
【0032】
また、ハウジング11における長手方向の両端部、即ち、右側端部及び左側端部には、配線基板上に配されたハウジング11の当該配線基板への取付けに供される取付部材15A及び15Bが夫々取り付けられている。これらの取付部材15A及び15Bの夫々は、例えば、導電性と弾性とを有した金属板材に打抜き屈曲加工が施されて形成される。
【0033】
ハウジング11の右側端部に取り付けられた取付部材15Aは、図5(斜視図), 図6(斜視図)及び図7(平面図)に示されるように、ハウジング11の下側端面部11a側に配されることになる基部16を有している。そして、この基部16に、ハウジング11に固定される複数の固定部17と、ハウジング11が配される配線基板に連結される複数の基板連結部18と、基部16から伸びる腕状部19とが設けられている。
【0034】
複数の固定部17の夫々は、基部16からハウジング11の上側端面部11bに向かうことになる方向(上方)に突出しており、ハウジング11にその下側端面部11a側から埋め込まれるようにして固定される。それにより、取付部材15Aの全体がハウジング11に取り付けられる。
【0035】
複数の基板連結部18の夫々は、基部16からハウジング11の下側端面部11aに沿うことになる方向に突出しており、取付部材15Aが取り付けられたハウジング11が配線基板上に配されるとき、配線基板に設けられたハウジング取付部に当接し、例えば、半田付けによってハウジング取付部に固定され、それにより、配線基板に連結される。このようにして、ハウジング11に取り付けられた取付部材15Aの複数の基板連結部18が配線基板に連結されることにより、ハウジング11が配線基板に取り付けられて固定される。
【0036】
腕状部19は、先ず、基部16からハウジング11の内部に向かうことになる向きをもってハウジング11の下側端面部11aに沿うことになる方向に伸び、その後、屈曲してハウジング11の上側端面部11bに向かうことになる方向、即ち、上方に伸びている。そして、腕状部19におけるハウジング11の上側端面部11bに向かうことになる方向に伸びる部分19aは、基部16に設けられた複数の基板連結部18のうちの相互対向する二つである基板連結部18aと基板連結部18bとの間となる位置に配されている。
【0037】
このような腕状部19の部分19aには、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板を係止する状態をとるロック部20が設けられている。このロック部20は、腕状部19の部分19aから突出する係合突起を形成しており、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板における係合部に係合する状態をとり、それによって当該フレキシブル印刷配線基板を係止する。
【0038】
また、腕状部19の部分19aの端部に、操作部21が設けられている。この操作部21は、腕状部19の部分19aを、それに設けられたロック部20と共に、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向に変位させる操作力が加えられることになるものとされている。そして、斯かる操作力が操作部21に加えられて、腕状部19の部分19aがロック部20を伴って変位せしめられた後、操作部21に操作力が加えられなくなると、腕状部19の部分19aは、自からの弾性により、ロック部20を伴って元の位置に戻る。
【0039】
上述のように、取付部材15Aは、基部16,固定部17,基板連結部18,腕状部19,ロック部20及び操作部21を、一体的に形成されたものとして含んだ、一つの部材として構成されている。
【0040】
また、ハウジング11の左側端部に取り付けられた取付部材15Bも、上述のハウジング11の右側端部に取り付けられた取付部材15Aと同様に構成されており、取付部材15Aが含んでいるものと同様な基部16,固定部17,基板連結部18,腕状部19,ロック部20及び操作部21を、一体的に形成されたものとして含んだ、一つの部材として構成されている(取付部材15Bにおける固定部17及びロック部20は、図には現れていない。)。取付部材15Bにおける基部16,固定部17,基板連結部18,腕状部19,ロック部20及び操作部21の夫々の役割も、上述の取付部材15Aにおけるそれらと同様である。
【0041】
なお、腕状部19の部分19aの端部に設けられた操作部21と基部16に設けられた複数の基板連結部18との位置関係をより具体的に説明すると、図7からも理解されるように、操作部21は、基部16に設けられた複数の基板連結部18のうちの相互対向する二つである基板連結部18aと基板連結部18bとの間の仮想空間に少なくともその一部が位置するように配される。このように配置されることにより、操作部21に、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向に変位させる操作力が加えられた場合において、操作部21を挟んだ位置に基板連結部18aと基板連結部18bとが夫々配線基板に、例えば、半田付けをもって固定されるので、操作部21の操作による破損が生じ難いものとされることになる。
【0042】
取付部材15Aがハウジング11の右側端部に取り付けられたもとにあっては、図8及び図9に示されるように、取付部材15Aにおける腕状部19がハウジング11の内部に設けられた空間部分に配される。そして、腕状部19の部分19aの端部に設けられた操作部21が、ハウジング11の上側端面部11bに設けられた開口25を通じて、ハウジング11の上側端面部11bからハウジング11の外方に突出している。
【0043】
ハウジング11の外方に突出した操作部21に、外部からの操作力が加えられていない状態のもとにあっては、腕状部19の部分19aが図8に示される位置をとり、このとき、腕状部19の部分19aに設けられたロック部20は、その先端部分をハウジング11に設けられた板状部材差込み部12内に位置させる。また、ハウジング11の外方に突出した操作部21に、腕状部19の部分19aを、それに設けられたロック部20と共に、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向に変位させる操作力が加えられたときには、腕状部19の部分19aが図9に示される位置をとり、それにより、腕状部19の部分19aに設けられたロック部20は、その全体をハウジング11に設けられた板状部材差込み部12から外れる位置へと移動させた状態におかれる。その後、操作部21に操作力が加えられなくなると、腕状部19の部分19aは、自からの弾性により、ロック部20を伴って、図8に示される位置に戻る。
【0044】
図示は省略されているが、ハウジング11の左側端部に取り付けられた取付部材15Bにあっても、その腕状部19がハウジング11の内部に設けられた空間部分に配され、腕状部19の部分19aの端部に設けられた操作部21が、ハウジング11の上側端面部11bに設けられた開口25を通じて、ハウジング11の上側端面部11bからハウジング11の外方に突出している。そして、ハウジング11の外方に突出した取付部材15Bの操作部21に、外部からの操作力が加えられていない状態のもとにあっては、腕状部19の部分19aに設けられたロック部20は、その先端部分をハウジング11に設けられた板状部材差込み部12内に位置させる。また、ハウジング11の外方に突出した取付部材15Bの操作部21に、腕状部19の部分19aを、それに設けられたロック部20と共に、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向に変位させる操作力が加えられたときには、腕状部19の部分19aに設けられたロック部20は、その全体をハウジング11に設けられた板状部材差込み部12から外れる位置へと移動させた状態におかれる。その後、操作部21に操作力が加えられなくなると、腕状部19の部分19aは、自からの弾性により、ロック部20を伴って元の位置に戻る。
【0045】
図10は、コネクタ装置10におけるハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれる、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板の一例であるフレキシブル印刷配線基板30を示す。
【0046】
図10に示されるフレキシブル印刷配線基板30における一対の相互対向面の一方には、その一端部に各々が導電性板材が用いられて細い短冊状に形成された複数の接続端子部31が配列配置されて設けられている。このような複数の接続端子部31を備えたフレキシブル印刷配線基板30には、配列配置された複数の接続端子部31を挟んで相互対向する一対の側縁部に係合部33及び34が夫々形成されていて、一対の側縁部の一方における係合部33より先端側の部分が先端平板部35とされるとともに、一対の側縁部の他方における係合部34より先端側の部分が先端平板部36とされている。
【0047】
一対の係合部33及び34は、各々が切欠きを形成するものとされているが、これらの切欠に代えて、フレキシブル印刷配線基板30の一対の側縁部に夫々配される一対の係合孔を形成するものとされてもよい。そして、フレキシブル印刷配線基板30における複数の接続端子部31が配列配置された面は、複数の接続端子部31が配されるとともに一対の係合部33及び係合部34または一対の係合孔が形成された部分を残して、それら以外の部分がカバーフィルム37によって覆われている。
【0048】
図11は、図10に示されるフレキシブル印刷配線基板30が、コネクタ装置10におけるハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれた状態を示す。図11において、フレキシブル印刷配線基板30は、複数の接続端子部31が配列配置されて設けられるとともにカバーフィルム37によって覆われた面と反対の面が、ハウジング11の正面側端面部11c側に向くように配されるものとされている。このようにして、フレキシブル印刷配線基板30が、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたときには、フレキシブル印刷配線基板30に設けられた複数の接続端子部31の夫々に、図3に示されるコンタクト13の接触部13bが押圧接触する。それにより、フレキシブル印刷配線基板30に設けられた複数の接続端子部31が、コネクタ装置10における複数のコンタクト31を介して、コネクタ装置10が取り付けられた配線基板に設けられた配線端子に電気的に連結される。
【0049】
フレキシブル印刷配線基板30がコネクタ装置10におけるハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれるにあたっては、コネクタ装置10が、ハウジング11の右側端部に取り付けられた取付部材15Aにおけるロック部20と操作部21とが設けられた腕状部19が、図8に示される状態におかれるとともに、ハウジング11の左側端部に取り付けられた取付部材15Bにおけるロック部20と操作部21とが設けられた腕状部19も、取付部材15Aにおける腕状部19と同様な状態におかれたものとして用意される。
【0050】
そして、このように用意されたコネクタ装置10に対して、フレキシブル印刷配線基板30が、ハウジング11に、それに設けられた板状部材差込み部12を通じ、コネクタ装置10が取り付けられた配線基板に実質的に直交する方向を持っても差し込まれる。その際、先ず、図12に示されるように、コネクタ装置10におけるハウジング11の右側端部において、取付部材15Aに設けられて先端部分を板状部材差込み部12内に位置させたロック部20が、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30における係合部34より先端側の先端平板部36によって押し動かされ、その全体が板状部材差込み部12から外れることになる位置をとるものとされる。同様に、コネクタ装置10におけるハウジング11の左側端部において、取付部材15Bに設けられて先端部分を板状部材差込み部12内に位置させたロック部20が、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30における係合部33より先端側の先端平板部35によって押し動かされ、その全体が板状部材差込み部12から外れることになる位置をとるものとされる。
【0051】
このとき、取付部材15Aに設けられたロック部20及び取付部材15Bに設けられたロック部20は、各々の先端部分のみがハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30における先端平板部35及び36に夫々当接するだけであるので、フレキシブル印刷配線基板30のハウジング11への更なる差込みを妨げるものとはならない。
【0052】
また、ハウジング11の上側端面部11bに形成された開口25を通じてハウジング11の外部に突出した取付部材15Aに設けられた操作部21は、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30から遠ざかった位置をとるものとされる。また、図示は省略されているが、ハウジング11の上側端面部11bに形成された開口25を通じてハウジング11の外部に突出した取付部材15Bに設けられた操作部21も、同様に、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30から遠ざかった位置をとるものとされる。
【0053】
続いて、フレキシブル印刷配線基板30が、板状部材差込み部12を通じて更にハウジング11の内部へと差し込まれて、差込みが完了する所定の位置に到達すると、図13に示されるように、コネクタ装置10におけるハウジング11の右側端部において、取付部材15Aに設けられたロック部20が、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30における先端平板部36から外れる。それにより、ロック部20が設けられた腕状部19の部分19aが自らの弾性によって復元変位し、それに伴って、ロック部20がその先端部分を板状部材差込み部12内に位置させる状態に置かれる。
【0054】
先端部分を板状部材差込み部12内に位置させた取付部材15Aにおけるロック部20は、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30における先端平板部36より内側に設けられた係合部34に係合して、フレキシブル印刷配線基板30を係止する状態に置かれる。
【0055】
また、斯かる際、図示は省略されているが、コネクタ装置10におけるハウジング11の左側端部において、取付部材15Bに設けられたロック部20が、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30における先端平板部35から外れる。それにより、ロック部20が設けられた腕状部19の部分19aが自らの弾性によって復元変位し、それに伴って、ロック部20がその先端部分を板状部材差込み部12内に位置させる状態に置かれる。
【0056】
先端部分を板状部材差込み部12内に位置させた取付部材15Bにおけるロック部20も、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30における先端平板部35より内側に設けられた係合部33に係合して、フレキシブル印刷配線基板30を係止する状態に置かれる。
【0057】
その結果、フレキシブル印刷配線基板30は、ハウジング11への板状部材差込み部12を通じての差込みを完了して、正規の差込み位置をとっており、取付部材15Aに設けられたロック部20及び取付部材15Bに設けられたロック部20により係止されて、ハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態におかれる。即ち、フレキシブル印刷配線基板30は、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて適正に差し込まれるだけで、取付部材15Aに設けられたロック部20及び取付部材15Bに設けられたロック部20によりハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態におかれることになる。
【0058】
このとき、図13に示されるように、ハウジング11の上側端面部11bに形成された開口25を通じてハウジング11の外部に突出した取付部材15Aに設けられた操作部21は、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向において、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30に近づいた位置をとるものとされる。また、図示は省略されているが、ハウジング11の上側端面部11bに形成された開口25を通じてハウジング11の外部に突出した取付部材15Bに設けられた操作部21も、同様に、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向において、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30に近づいた位置をとるものとされる。
【0059】
さらにまた、図13には表れていないが、複数のコンタクト13のうちの、フレキシブル印刷配線基板30の係合部33及び34付近にあるコンタクト13は、夫々の接触部13bの押圧力によってフレキシブル印刷配線基板30をロック部20側に押圧しており、それによって、ロック部20によるフレキシブル印刷配線基板30の係止状態が良好に維持される。
【0060】
その後、図14に示されるように、コネクタ装置10におけるハウジング11の右側端部において、ハウジング11の上側端面部11bに形成された開口25を通じてハウジング11の外部に突出した取付部材15Aに設けられた操作部21に、腕状部19の部分19aを、それに設けられたロック部20と共に、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向に変位させる操作力が加えられて、操作部21がハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30から遠ざかった位置をとるものとされると、取付部材15Aに設けられた腕状部19が、それに設けられたロック部20を伴って、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向に変位し、ロック部20が、その全体が板状部材差込み部12から外れることになる位置をとるものとされる。それにより、取付部材15Aに設けられたロック部20が、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30における係合部33との係合を解除して、フレキシブル印刷配線基板30をそれに対するロック部20による係止から解放する。
【0061】
同様に、図示は省略されているが、コネクタ装置10におけるハウジング11の左側端部において、ハウジング11の上側端面部11bに形成された開口25を通じてハウジング11の外部に突出した取付部材15Bに設けられた操作部21に、腕状部19の部分19aを、それに設けられたロック部20と共に、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向に変位させる操作力が加えられて、操作部21がハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30から遠ざかった位置をとるものとされると、取付部材15Bに設けられた腕状部19が、それに設けられたロック部20を伴って、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向に変位し、ロック部20が、その全体が板状部材差込み部12から外れることになる位置をとるものとされる。それにより、取付部材15Bに設けられたロック部20が、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30における係合部34との係合を解除して、フレキシブル印刷配線基板30をそれに対するロック部20による係止から解放する。
【0062】
その結果、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30が、ハウジング11から適正に抜脱され得る状態におかれることになる。
【0063】
上述のように、取付部材15Aに設けられた操作部21及び取付部材15Bに設けられた操作部21の夫々に、腕状部19の部分19aを、それに設けられたロック部20と共に、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向に変位させる操作力が加えらるとき、先端に操作部21が設けられた腕状部19の部分19aは、取付部材15A及び取付部材15Bの夫々における基部16に設けられた相互対向する基板連結部18aと基板連結部18bとの間となる位置に配されているので、操作部21に加えられる操作力を構造的に安定した状態に置かれたもとで受け止めることができ、不所望な変形や破損を生じる事態を回避できることになる。
【0064】
なお、取付部材15Aに設けられた操作部21及び取付部材15Bに設けられた操作部21の夫々に、腕状部19の部分19aを、それに設けられたロック部20と共に、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向に変位させる操作力が加えられなくなると、取付部材15Aに設けられた腕状部19の部分19a及び取付部材15Bに設けられた腕状部19の部分19aの夫々が、自らの弾性によって、それに設けられたロック部20を伴って復元変位し、ロック部20の先端部分を板状部材差込み部12内に位置させる状態に戻る。
【0065】
上述の本発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置10は、ハウジング11の外表面を覆うシェル部材を備えていないが、本発明に係るコネクタ装置は、ハウジング11の外表面を全体的もしくは部分的に覆うシェル部材を備えたものとすることもできる。斯かる際には、シェル部材は、例えば、導電性材料をもって形成され、接地電位が与えられるものとされることが望ましい。
【0066】
上述のようにして配線基板に取り付けられるコネクタ装置10にあっては、配線基板に下側端面部11aを対接させて配されたハウジング11に、その下側端面部11aに対向する上側端面部11bに開口して設けられた板状部材差込み部12を通じて下側端面部11aに向かって差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30を、ロック部20により係止して、ハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態におくこと、さらには、操作部21を介してのロック部20による係止を解除して、ハウジング11から抜脱され得る状態におくことができるが、そのためのロック部20と操作部21とを、ハウジング11の配線基板への取付けに供される取付部材15A及び15Bの夫々に一体的に形成されたものとすることができる。その際、取付部材15A及び15Bの夫々は、配線基板に対接するハウジング11の下側端面部11a側に配される基部16を有し、その基部16に、ハウジング11に固定される固定部17と配線基板に連結される基板連結部18とハウジング11内へと伸びる腕状部19とが設けられ、その腕状部19に、ロック部20と操作部21とが設けられる。
【0067】
従って、取付部材15A及び15Bの夫々は、基部16,固定部17,基板連結部18,腕状部19, ロック部20及び操作部21を一体的に形成されてものとして含んでいることになる。その結果、コネクタ装置10によれば、ハウジング11に対して回動可能とされる別部材等を備える必要がなく、部品点数を比較的少とすることができるとともに、組立て作業工程の簡素化を図ることができ、それにより、製造コストを低減させることができる構成をもって、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30についてのハウジング11からの不所望な抜脱の阻止及びその阻止の解除を、容易かつ確実に行うことができる。
【0068】
また、コネクタ装置10にあっては、ハウジング11内において差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30を係止する状態をとるロック部20が、取付部材15A及び15Bの夫々に一体的に形成された腕状部19から突出する係合突起を形成し、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30に設けられた係合部33及び34の夫々に係合する状態をとるものとされるので、ロック部20によるハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30に対する係止を、より一層確実に行うことができる。
【0069】
さらに、コネクタ装置10にあっては、フレキシブル印刷配線基板30が、ハウジング11への板状部材差込み部12を通じての差込みを完了して正規の差込み位置をとっており、取付部材15A及び15Bの夫々に設けられたロック部20により適正に係止されて、ハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態におかれているときには、取付部材15A及び15Bの夫々に設けられた操作部21が、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向において、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30に近づいた位置をとり、一方、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30が、正規の差込み位置から外れていて、取付部材15A及び15Bの夫々に設けられたロック部20により適正に係止されていない状態におかれているときには、取付部材15A及び15Bの夫々に設けられた操作部21が、基板連結部18aと基板連結部18bとを結ぶ方向において、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30から遠ざかった位置をとる。
【0070】
そして、操作部21が、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30に近づいた位置をとっている状態と、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板30から遠ざかった位置をとっている状態とは、ハウジング11の外部からの目視により容易かつ正確に判別され得ることになる。従って、ハウジング11内においてフレキシブル印刷配線基板30に対するロック部20による係止が適正に行われている状態を、ハウジング11の外部に突出した操作部21を目視することにより、容易かつ正確に確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のような本発明に係るコネクタ装置は、配線基板上に配され、その配線基板に対接する一端面部に対向する他端面部に開口する板状部材差込み部が設けられたハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられ、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材を配線基板に電気的に連結する複数のコンタクトとを備えたもとにおいて、ハウジングに対して回動可能とされる別部材を備える必要がなく、部品点数を比較的少とすることができるとともに、組立て作業工程の簡素化を図ることができ、それにより、製造コストを低減させることができる構成をもって、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材についてのハウジングからの不所望な抜脱の阻止及びその阻止の解除を、容易かつ確実に行うことができるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0072】
10・・・コネクタ装置, 11・・・ハウジング, 11a・・・下側端面部, 11b・・・上側端面部, 12・・・板状部材差込み部, 13・・・コンタクト, 13a・・・接続端子部, 15A,15B・・・取付部材, 16・・・基部, 17・・・固定部, 18,18a,18b・・・基板連結部, 19・・・腕状部, 20・・・ロック部, 21・・・操作部, 25・・・開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板に対接する一端面部及び該一端面部に対向する他端面部を有し、上記他端面部に開口する板状部材差込み部が設けられて上記配線基板上に配されるハウジングと、
該ハウジングに固定され、上記一端面部を上記配線基板に対接させたもとでの上記ハウジングの上記配線基板への取付けに供される取付部材と、
上記ハウジングに配列配置されて設けられ、上記取付部材を介して上記ハウジングが上記配線基板に取り付けられたもとで、上記配線基板に設けられた配線端子に連結されるとともに、配線板状部材が上記ハウジングに上記板状部材差込み部を通じて上記一端面部に向かって差し込まれたとき、上記ハウジング内において上記配線板状部材に設けられた複数の接続端子部に接触接続される複数のコンタクトと、
を備えて成り、
上記取付部材が、上記ハウジングの一端面部側に配される基部,該基部に設けられて配線基板に連結される基板連結部,上記基部から上記ハウジング内へと伸びる腕状部,該腕状部に設けられて上記ハウジングに上記板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材を係止する状態をとるロック部、及び、上記腕状部の端部に設けられて上記ハウジングの他端面部から上記ハウジングの外方に突出する操作部を、一体的に形成されたものとして含んで構成され、上記ロック部が上記配線板状部材を係止するもとで、上記操作部に該操作部を変位させる操作が加えられるとき、上記ロック部による上記配線板状部材に対する係止が解除されることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
上記ロック部が、上記腕状部から突出する係合突起を形成し、上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合する状態をとることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項3】
上記基板連結部の複数個が上記基部に設けられ、上記操作部が、上記複数個の基板連結部のうちの相互対向する二つの間となる位置に配されることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項4】
上記腕状部が、上記基部から上記ハウジングの内部に向かって該ハウジングの一端面部に沿って伸び、その後屈曲して上記ハウジングの他端面部に向かう方向に伸びることを特徴とする請求項3記載のコネクタ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−59535(P2012−59535A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201524(P2010−201524)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(394009278)株式会社アイペックス (148)
【Fターム(参考)】