説明

コネクタ

【課題】 電気的な短絡を防止でき、シンプルな構造で部品点数も少なく、外形も小さくできるコネクタを提供すること。
【解決手段】 筐体21に固定されて第1コンタクト13を保持した第1インシュレータ17と、相手側コネクタ51に押圧されて移動し前記第1コンタクト13と接続する第2コンタクト15を保持した第2インシュレータ19とを有し、前記第2インシュレータ19は弾性部材25により常時付勢されており、前記弾性部材25により前記第2インシュレータ19が付勢された状態で前記第2インシュレータ19と前記筐体21との間で押圧されてシールするシール部材27を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水構造を備えているコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタとしては、前方インシュレータと、中央インシュレータと、後方インシュレータとを具備するものがある。コネクタは、嵌合時に結合離脱金具によって中央インシュレータを引き寄せ、後方インシュレータと前方インシュレータ間を中央インシュレータがつないで接続する。
【0003】
また、コネクタが離脱した後は、スプリングの力によって中央インシュレータが前方インシュレータから離れて嵌合面が遮断される(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第2875891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコネクタでは、未嵌合状態の嵌合面にコンタクト間を短絡させる物質が介在した場合、装置内も電気的に短絡してしまうという問題がある。
【0006】
また、従来のコネクタでは、中央インシュレータを動かすために別部品となる結合離脱金具によって移動させる構造となっているので、移動させるための装置が大きいことから全体の形状が大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
また、中央インシュレータを動かすには、スプリングと結合離脱金具との2系統で行うので、構造が複雑になり部品点数も多くなるという問題がある。
【0008】
それ故に、本発明の課題は、コンタクト間に短絡させる物質が介在しても装置内での短絡を防止できるコネクタを提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の課題は、シンプルな構造で部品点数も少なくて済み、外形も小さくできるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、導電性のコンタクトと、該コンタクトを保持するインシュレータと、前記コンタクト及び前記インシュレータを収容して保持する筐体とを含むコネクタにおいて、前記コンタクトは、第1コンタクトと、第2コンタクトとを有し、前記インシュレータは、前記第1コンタクトを保持する固定側の第1インシュレータと、相手側コネクタとの嵌合時に前記相手側コネクタに押圧されて移動し、前記第1コンタクトと接続する第2コンタクトを保持する可動側の第2インシュレータとを有し、前記第1コンタクトと前記第2コンタクトとは互いに接離するものであり、前記第1インシュレータは前記筐体に固定されており、前記第2インシュレータは前記筐体内で嵌合方向及び離脱方向へ移動自在に保持されており、かつ前記相手側コネクタの相手側嵌合部へ嵌合する前記嵌合方向へ向けて弾性部材により常時付勢されており、前記第1コンタクト及び前記第2コンタクトとが前記相手側コネクタとの未接触状態でかつ前記弾性部材により前記第2インシュレータが付勢された状態で前記第2インシュレータと前記筐体との間で押圧されてシールするシール部材を有することを特徴とするコネクタであることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコネクタによれば、コネクタが未定嵌合状態のときのコンタクト間に短絡させる物質が介在しても電気的接続が遮断されるので、装置内での短絡を防止できる。
【0012】
また、コネクタは、コネクタを嵌合離脱する際のストロークによって直接、第2インシュレータを移動させることができるので、構造がシンプルなものとなり外形も小さくできる。
【0013】
さらに、コネクタは、第2インシュレータを動かすための弾性部材の力を防水のためのシール力に利用しているので、シンプルな構造で部品点数も少ないコネクタを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のコネクタは、導電性のコンタクトと、該コンタクトを保持するインシュレータと、前記コンタクト及び前記インシュレータを収容して保持する筐体とを含むコネクタにおいて、前記コンタクトは、第1コンタクトと、第2コンタクトとを有し、前記インシュレータは、前記第1コンタクトを保持する固定側の第1インシュレータと、相手側コネクタとの嵌合時に前記相手側コネクタに押圧されて移動し、前記第1コンタクトと接続する第2コンタクトを保持する可動側の第2インシュレータとを有し、前記第1コンタクトと前記第2コンタクトとは互いに接離するものであり、前記第1インシュレータは前記筐体に固定されており、前記第2インシュレータは前記筐体内で嵌合方向及び離脱方向へ移動自在に保持されており、かつ前記相手側コネクタの相手側嵌合部へ嵌合する前記嵌合方向へ向けて弾性部材により常時付勢されており、前記第1コンタクト及び前記第2コンタクトとが前記相手側コネクタとの未接触状態でかつ前記弾性部材により前記第2インシュレータが付勢された状態で前記第2インシュレータと前記筐体との間で押圧されてシールするシール部材を有することにより実現した。
【実施例1】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係るコネクタを説明する。図1は、コネクタの実施例1を示しており、相手側コネクタに対してコネクタが離脱している状態を示している。
【0016】
図1を参照して、コネクタ11は、導電性の第1コンタクト13と、導電性の第2コンタクト15と、第1コンタクト13を保持している固定側の第1インシュレータ17と、第2コンタクト15を保持している可動側の第2インシュレータ19と、第1及び第2インシュレータを収容して保持している略筒形状の筐体21とを有している。
【0017】
第1コンタクト13と第2コンタクト15とは互いに接離可能となっている。固定側の第1インシュレータ17は筐体21に固定されている。可動側の第2インシュレータ19は筐体21に嵌合方向I及び離脱方向IIへ移動自在に保持されている。また、第2インシュレータ19は相手側コネクタ51の相手側嵌合部57gへ嵌合する嵌合方向Iへ向けて弾性部材(スプリング)25により常時付勢されている。
【0018】
弾性部材25は、第1インシュレータ17の第1対向面17fに形成されている凹部17gと、第1対向面17fに対向する第2インシュレータ19の第2対向面19fの凹部19g間に嵌め込まれている。
【0019】
筐体21は、底部21aに形成されている大きな開口部21bを有している。開口部21bには、第2インシュレータ19側の嵌合部21gで第2コンタクト15を保持している第2インシュレータ19の嵌合部21g側の一面が露出している。筐体21内には、筐体21の底部21aと第2インシュレータ19が対向する部分にシール部材(ガスケット)27が介在されている。
【0020】
筐体21は、側部から突き出しているフランジ部21fが、パネル31に保持されている。また、第1コンタクト13には、ケーブル33が接続されている。
【0021】
相手側コネクタ51は、導電性の相手側コンタクト53と、相手側コンタクト53を保持している相手側インシュレータ55と、相手側インシュレータ55を収容して保持している相手側筐体57とを有している。
【0022】
相手側筐体57は、嵌合部21gを嵌合方向Iで嵌合する相手側嵌合部57gと、相手側嵌合部57gの内側で嵌合方向Iに形成されている筒形状の相手側保持部57jとを有している。
【0023】
相手側保持部57jには、相手側インシュレータ55が固定されている。さらに、相手側筐体57の相手側嵌合部57gと相手側保持部57jとの間を接続している相手側底部57kには相手側シール部材(ガスケット)59が設けられている。相手側筐体57は、側部から突き出しているフランジ部57fが、パネル61に保持されている。
【0024】
以下に、コネクタ21と相手側コネクタ51との嵌合及び離脱する操作について図面を参照して説明する。図2はコネクタ21が相手側コネクタ51に嵌合する途中の状態を示している。
【0025】
図1に示したように、コネクタ11と相手側コネクタ51とが未嵌合状態にある時、第1コンタクト13及び第2コンタクト15は、これらが未接触状態であり、かつ弾性部材25により第2インシュレータ19が嵌合方向Iへ付勢されてシール部材27を押圧することにより、第2インシュレータ19と筐体21の底部21aとの間をシールしている。
【0026】
図2に示したように、コネクタ11と相手側コネクタ51とが嵌合途中の状態にある時、第1コンタクト13及び第2コンタクト15は、これらが未接触状態であり、第2コンタクト15の嵌合方向I側の端部と相手側コンタクト53の離脱方向II側の端部が嵌合する。この際、弾性部材25は第2インシュレータ19を嵌合方向Iへ付勢してシール部材27を押圧しているとともに、第2インシュレータ19と相手側インシュレータ55が当接する。
【0027】
さらに、図3に示すように、相手側コネクタ51との嵌合を進めて行くと、相手側インシュレータ55に押圧されて第2インシュレータ19が移動し、第1コンタクト13と第2コンタクト15とが接続する。この際、弾性部材25は第2インシュレータ19を離脱方向IIへ圧縮された状態で相手側シール部材59を押圧しているとともに、第2インシュレータ19と相手側インシュレータ55が当接している。さらに第1インシュレータ17と第2インシュレータ19は当接している。
【0028】
相手側コネクタ51からコネクタ11を離脱すると、第2インシュレータ19がバネ力によって第1インシュレータ17から離れ、第2インシュレータ19への電気的な接続が遮断される。
【0029】
嵌合時には、コネクタ11の筐体21が相手側コネクタ51の相手側シール部材59に押し付けられ、嵌合部分の防水シールがなされる。
【0030】
離脱後は、第2インシュレータ19の開口部21b付近に第1及び第2コンタクト13、15間を短絡させる恐れのある物質が存在しても装置に短絡現象は生じず電気的に安全が確保される。
【0031】
上述したように、コネクタ11は、相手側コネクタ51に嵌合した状態で、通電状態にあるとき、コネクタ11の嵌合を離脱するのと同時に開口部21b付近の嵌合面の電気を遮断しかつ離脱した後におけるコネクタ11の単体防水を確保することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のコネクタは、塵埃や水などが直接触れる車両や航空機などの機器における用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るコネクタ及びコネクタに嵌合離脱する相手側コネクタとを離脱状態で示した断面図である(実施例1)。
【図2】図2はコネクタが相手側コネクタに嵌合する途中の状態を示す断面図である。
【図3】図1に示したコネクタ及び相手側コネクタとの嵌合状態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0034】
11 コネクタ
13 第1コンタクト
15 第2コンタクト
17 第1インシュレータ
19 第2インシュレータ
21 筐体
21a 底部
21b 開口部
21g 嵌合部
25 弾性部材
27 シール部材
51 相手側コネクタ
53 相手側コンタクト
55 相手側インシュレータ
57 相手側筐体
57g 相手側嵌合部
57k 相手側底部
59 相手側シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性のコンタクトと、該コンタクトを保持するインシュレータと、前記コンタクト及び前記インシュレータを収容して保持する筐体とを含むコネクタにおいて、
前記コンタクトは、第1コンタクトと、第2コンタクトとを有し、
前記インシュレータは、前記第1コンタクトを保持する固定側の第1インシュレータと、相手側コネクタとの嵌合時に前記相手側コネクタに押圧されて移動し、前記第1コンタクトと接続する第2コンタクトを保持する可動側の第2インシュレータとを有し、
前記第1コンタクトと前記第2コンタクトとは互いに接離するものであり、
前記第1インシュレータは前記筐体に固定されており、
前記第2インシュレータは前記筐体内で嵌合方向及び離脱方向へ移動自在に保持されており、かつ前記相手側コネクタの相手側嵌合部へ嵌合する前記嵌合方向へ向けて弾性部材により常時付勢されており、
前記第1コンタクト及び前記第2コンタクトとが前記相手側コネクタとの未接触状態でかつ前記弾性部材により前記第2インシュレータが付勢された状態で前記第2インシュレータと前記筐体との間で押圧されてシールするシール部材を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタにおいて、前記筐体は底部に形成されている開口部を有し、該開口部には前記第2コンタクトを保持している前記第2インシュレータの嵌合部側の一面が露出しており、前記シール部材は前記底部と前記第2インシュレータが対向する部分に介在されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のコネクタと接続する相手側コネクタにおいて、前記相手側コネクタは前記第2コンタクトと接続する相手側コンタクトと、前記相手側コンタクトを保持する相手側インシュレータと、前記相手側インシュレータとを収容保持する相手側筐体と、前記コネクタとの嵌合時に前記コネクタによって前記相手側コネクタとの間をシールする相手側シール部材を有することを特徴とする相手側コネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−59691(P2006−59691A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240902(P2004−240902)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】