説明

コネクタ

【課題】LANケーブルのコネクタには、接続口に固定するためのロックレバーが設けられているが、非常に破損しやすい形状になっている。これを回避するために、別部品のカバーやレバーを追加するなどコストの上昇に繋がっている。
【解決手段】LANケーブルのコネクタに、接続口へ固定するために設けられているロックレバー先端の両側面に、レバーを引き上げる方向、横方向および捩り方向への力を規制し、ケーブルなどが巻き込まれることを防止するためのフックを設ける。フックの両先端には、コネクタ本体の両側面へ設けられた段差へ引っ掛かる爪を設けてあり、この爪は射出成型された後に弾性変形により勘合状態となる。ロックレバー先端のフックを両側面に配置することにより、ハウジングのレバーは安価な金型で製造することが可能な形状となると共に、ロックレバー側面からのリブなどに邪魔されずに操作面を広く取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロックレバーの折れを防止するストッパーを持つLANコネクタに関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特表平10−508419
【特許文献2】実登−3100709
【特許文献3】特開平10−114396
【特許文献4】特開平02−112180
【特許文献5】特開平11−40249
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
LANケーブルのコネクタには、接続口に固定するためのロックレバーが設けられているが、誤ってロックレバーをケーブルなどに引っ掛けてしまうことで、折れてしまうことが多い。これを回避するために、ロックレバーの外側をカバーで覆う手法や、別の可動レバーによって、ロックレバーが開く方向の動きを規制する手法が取られているが、新規の部品を付け加えることにより製品のコストが上昇してしまう。
【0004】
また、ロックレバーの先端を曲げ、ロックレバーとコネクタ本体との隙間を狭くすることで、異物が引っ掛かり難い形状にしている例もあるが、ロックレバーとコネクタ本体との隙間に異物が引っ掛かることを完全に防止出来ておらず、ロックレバーは片持ち梁の構造となっているために、引き上げる方向に力が加えられると容易に破損してしまう。横方向やねじり方向に掛かる力に対しても、全く規制がされていないため、ロックレバーの先端に力が加えられると、付け根に応力が集中することになる。
【0005】
この対策として、ロックレバーの両側面および上面に、ロックレバーの正規ストローク以外の動きを規制するリブを設ける例も考案されている。しかし、レバーとリブの間には非常に狭いクリアランスしかないため、コネクタを射出成形するための金型は、薄く複雑で、尚且つ上下方向へ分割出来ない形状となるため、金型の一部分を横方向へスライドさせながら開く複雑な構造となり、金型費や成形時間の増加をもたらす。また、製品の機能としても、レバーに隣接するリブが邪魔になり操作性が悪くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
LANケーブルのコネクタに、接続口へ固定するために設けられているロックレバー先端の両側面に、レバーを引き上げる方向と、横方向および捩り方向への力を規制し、ケーブルなどが巻き込まれることを防止するためのフックを設ける。
【0007】
フックの両先端には、コネクタ本体の両側面へ設けられた段差へ引っ掛かる爪を設けてあり、この爪はハウジング単品として射出成型された時点ではコネクタ本体の段差には勘合していないが、ハウジングへ端子などの部品を組み付ける際に、ロックレバーの先端をコネクタ本体側へ押し込むことにより勘合状態となる。
【0008】
射出成型後に弾性変形により勘合させ、尚且つロックレバー先端のフックを両側面に配置することにより、ハウジング単品の金型を設計する際に、上下へ分割する以外にスライド部分を分割する必要が無く、安価な金型で製造することが可能となる。
【0009】
ロックレバー先端の両側面に設けられたフックの爪と、コネクタ本体の両側面へ設けられた段差は、ロックレバーおよびフックのアーム部を弾性変形させたことにより勘合しているので、勘合後は非常に外れにくい構造となっている。
【0010】
ロックレバー先端へ、正規ストローク以外の動きを規制し、ケーブルなどが巻き込まれることを防止することによって、ロックレバーの長さを従来製品より延長することが可能となり、さらにフックをロックレバー先端から両側面に伸ばすことで、レバーを押し込む操作について、ロックレバー側面からのリブなどに邪魔されることなく操作面を広く取ることができる。
【0011】
このように、本発明では追加の部品を必要とせず、金型の構造もスライド分割を必要としないままで、ロックレバーの先端を押す作業性を向上させ、レバーを引き上げる方向、横方向および捩り方向への力を規制し、ケーブルなどが巻き込まれることも防止している。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1はLANコネクタへ本発明を実施した斜視図であり、ハウジング単品として射出成型した状態である。この状態ではフックの爪と、コネクタ本体へ設けられた段差は勘合していない。
【0013】
図2はフックの爪と、コネクタ本体へ設けられた段差を弾性変形により勘合させた状態の斜視図である。ハウジングへ端子などの部品を組み付ける際に、ロックレバーの先端をコネクタ本体側へ押し込むことにより、図1に示すフックの斜面5と、コネクタ本体に設けられた段差4の斜面が接触することでロックレバーのアーム部とフックのアーム部が互いに変形し、勘合状態となる。
【0014】
LANコネクタの差し込み口の両側には、コネクタを引き抜く際にレバーを押しながらコネクタ両側面を摘み易くすると同時に、フックのレバーへ指が干渉することを防止することを目的としたリブ6が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好ましい実施形態であるLANコネクタを射出成型した状態の斜視図である。ロックレバー先端の両側面へのフック2と、コネクタ本体の両側面へ設けられた段差4が設けられており、フックの爪3とコネクタ本体の段差4は勘合していない。
【図2】上記で示したLANコネクタの、フックの爪3とコネクタ本体の段差4を勘合させた状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
1: ロックレバーのアーム部
2: ロックレバー先端の両側面に設けられたフック
3: フックの両先端に設けられた爪
4: コネクタ本体の両側面に設けられた段差
5: フックの斜面
6: 差し込み口の両側に設けられたリブ


























【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル接続口へ固定するために設けたロックレバーの折れ防止として、ロックレバー先端を引き上げる方向、横方向および捩り方向への力を規制するフックを、ロックレバー先端の両側面に設けたLANケーブル用コネクタ。
【請求項2】
ケーブル接続口へ固定するために設けたロックレバーの折れ防止として、ロックレバー先端を引き上げる方向、横方向および捩り方向への力を規制する機能を設けたLANケーブル用コネクタにおいて、ロックレバー先端の両側面にコネク本体の段差と勘合するフックを設けることによって、ロックレバーを押し込む操作面積を広げ、ロックレバーの操作性を向上させた形状。
【請求項3】
ケーブル接続口へ固定するために設けたロックレバーの折れ防止として、ロックレバー先端を引き上げる方向、横方向および捩り方向への力を規制する機能を設けたLANケーブル用コネクタにおいて、ロックレバー先端のフックと、コネクタ本体を一体で射出成型した後に、弾性変形によってコネク本体と勘合することで、 フックの爪とコネクタ本体の段差との勘合状態を外れにくくし、金型構造上でも上下の分割のみで、スライド機構を不要とする製造方法。
【請求項4】
ケーブル接続口へ固定するために設けたロックレバーの折れ防止として、ロックレバー先端を引き上げる方向、横方向および捩り方向への力を規制する機能を設けたLANケーブル用コネクタにおいて、LANコネクタの差し込み口の両側には、コネクタを引き抜く際にレバーを押しながらコネクタ両側面を摘み易くすると同時に、フックのレバーへ指が干渉することを防止することを目的としたリブを設けた形状。



















【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−171127(P2011−171127A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34144(P2010−34144)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【特許番号】特許第4676556号(P4676556)
【特許公報発行日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(709007272)
【Fターム(参考)】