説明

コピー機

【課題】メモリ使用量を抑制しつつ、原稿を複数の処理範囲に分割して読み取る場合であっても、原稿が損傷し難いコピー機を提供すること。
【解決手段】ADFコピーによれば、1ページ分の画像データを記憶させる領域を画像メモリ13aに確保できなくても、原稿30をコピーできる。また、原稿30の搬送方向に連続する処理単位42を順次読み取るので、原稿30を往復搬送する必要がない。そのため、原稿30の損傷や、原稿のジャムの発生を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコピー機に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機において、読取素子の並ぶ方向である読取の主走査方向と印刷の主走査方向とが異なるものがある。このようなコピー機では、まず、原稿全域を読み取って画像データを生成し、その画像データをメモリに一時的に記憶させ、回転処理を施した上で印刷出力する。また、必要なメモリ容量を削減するために、原稿を複数の処理範囲に分割し、1の処理範囲を読み取る毎にその処理範囲に対応する画像データを回転して印刷出力し、複数の処理範囲の各々について、処理を繰り返すことにより、原稿の全域をコピーすることが提案されている(例えば、特許文献1)。このようにすれば、原稿全域の画像データをメモリに記憶させる場合に比較して、必要なメモリ容量を削減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−307652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像読取機構としては、イメージセンサを移動させながら原稿を読み取るフラッドベッド機構(FB)と、原稿を搬送しながら所定位置に固定されたイメージセンサで原稿を読み取る自動給紙機構(ADF)とが知られている。
【0005】
ここで、ADFで原稿を読み取る場合であって、且つ、原稿における読取の主走査方向を複数に分割して読み取る場合(すなわち、原稿の搬送方向に平行に分割して読み取る場合)について検討する。この場合、まず、1回目の読み取りでは、1の処理範囲について、原稿の搬送方向における一端から他端まで読み取られる。次に、2回目の読み取りでは、先に読み取られた処理範囲に隣接する処理範囲が、原稿の搬送方向における他端から一端まで読み取られる。
【0006】
このようにして、処理範囲毎に原稿の搬送方向における一端から他端までを読み取るため、原稿は往復搬送される。しかしながら、従来のADFで原稿を往復搬送すると、原稿の損傷が生じ易いという問題点があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、メモリ使用量を抑制しつつ、原稿を複数の処理範囲に分割して読み取る場合であっても、原稿が損傷し難いコピー機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明のコピー機は、原稿を読み取り、その原稿に対応する画像を記録媒体に印刷するものであって、読取素子の並ぶ第1方向に平行なライン毎に、原稿を読み取り可能な読取部と、前記読取部を所定位置に配置し、前記読取部に対して原稿を前記第1方向と異なる第2方向に搬送する搬送部と、前記第2方向を印刷の主走査方向として、画像を印刷する印刷部と、前記搬送部により原稿を前記第2方向に搬送しつつ1ラインずつ前記原稿を読み取る場合、前記読取部により前記原稿のうち複数ラインを含む1の処理範囲を読み取り、前記搬送部による前記原稿の搬送を停止する第1読取制御手段と、前記第1読取制御手段により読み取られた処理範囲に対応する画像データを記憶部に記憶させる第1記憶制御手段と、前記印刷部と前記記録媒体とを相対的に移動させつつ、前記第1記憶制御手段により前記記憶部に記憶された画像データに基づいて、前記処理範囲の画像を前記印刷部により印刷する第1印刷制御手段と、前記読取部により前記原稿のうち、前記第1読取制御手段により読み取られた処理範囲に連続する複数ラインを含む1の処理範囲を読み取り、前記搬送部による前記原稿の搬送を停止する第2読取制御手段と、前記第2読取制御手段により読み取られた処理範囲に対応する画像データを、前記記憶部のうち、前記第1記憶制御手段により画像データを記憶させた記憶領域に記憶させる第2記憶制御手段と、前記印刷部と前記記録媒体とを相対的に移動させつつ、前記第2記憶制御手段により前記記憶部に記憶された画像データに基づいて、前記処理範囲の画像を前記印刷部により印刷する第2印刷制御手段とを備える。
【0009】
なお、本発明は、コピー機、コピー機を制御する制御装置、コピー方法、プログラム、該プログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で実現可能である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のコピー機によれば、原稿を第2方向に搬送しつつ読み取る場合、まず、第1読取制御手段により1の処理範囲が読み取られ、次に、第1印刷制御手段によりその処理範囲の画像が印刷される。その後、第1読取制御手段により読み取られた処理範囲に連続する複数ラインを含む1の処理範囲が、第2読取制御手段により読み取られ、次に、第2印刷制御手段によりその処理範囲の画像が印刷される。よって、記憶部には、1の処理範囲の画像データを記憶させるための容量があれば良く、メモリ使用量を抑制できるという効果がある。また、1の処理範囲が読み取られた後、次に、その処理範囲に連続する複数ラインを含む処理範囲が読み取られるので、原稿を一方向に搬送すればよく、原稿の損傷を抑制できるという効果がある。
【0011】
請求項2記載のコピー機によれば、請求項1記載のコピー機の奏する効果に加え、まず、第3読取制御手段により、1の処理範囲が読み取られ、次に、第3印刷制御手段によりその処理範囲の画像が印刷される。その後、第3読取制御手段により読み取られた処理範囲に連続する1の処理範囲が読み取られ、次に、第4印刷制御手段によりその処理範囲の画像が印刷される。よって、記憶部には、1の処理範囲の画像データを記憶させるための容量があれば良い。したがって、原稿に対して読取部を移動させて読み取る場合であっても、メモリ使用量を抑制できるという効果がある。
【0012】
請求項3記載のコピー機によれば、請求項1または2に記載のコピー機の奏する効果に加え、記憶部の空き容量が所定値より小さい場合であっても、原稿をコピーできるという効果がある。
【0013】
請求項4記載のコピー機によれば、請求項1から3のいずれかに記載のコピー機の奏する効果に加え、まず、第1出力手段により出力される画像データに基づいて、1の処理範囲の画像が、第1方向における一方から他方に向かう順に印刷される。このとき、第1印刷制御手段により、記録媒体は、第1方向における他方から一方へ搬送される。次に、第2出力手段により出力される画像データに基づいて、1の処理範囲の画像が、第1方向における他方から一方に向かう順に印刷される。このとき、第2印刷制御手段により、記録媒体は、第1方向における一方から他方へ搬送される。すなわち、記録媒体の搬送方向における往路と復路とで、それぞれ、1の処理範囲の画像を印刷できる。その結果、記録媒体の往復移動回数をできる限り少なくし、記録媒体の損傷を抑制できるという効果がある。
【0014】
請求項5記載のコピー機によれば、請求項1から4のいずれかに記載のコピー機の奏する効果に加え、設定値に基づいて、処理範囲に含めるべき適切なライン数を決定できるという効果がある。
【0015】
請求項6記載のコピー機によれば、請求項5記載のコピー機の奏する効果に加え、1ライン分の画像データのデータ量と、記憶部の空き容量とに基づいて、処理範囲に含めるべき適切なライン数を決定できるという効果がある。
【0016】
請求項7記載のコピー機によれば、請求項2または3に記載のコピー機の奏する効果に加え、確認範囲に原稿の全域が含まれると判断される場合には、確認範囲に対応する画像が印刷され、原稿の読み取りが終了されるので、コピーに要する処理時間を短縮できるという効果がある。
【0017】
請求項8記載のコピー機によれば、請求項7記載のコピー機の奏する効果に加え、記憶部に画像データを記憶可能な最大数の記録単位に対応した処理範囲が、最初の処理範囲として決定されるので、記憶部の空き容量を有効活用できる。さらに、設定値と、記憶部の空き容量とに基づいて、確認範囲に含めるべきライン数が決定されるので、記憶部の空き容量をさらに有効活用できるという効果がある。
【0018】
請求項9記載のコピー機によれば、請求項7または8に記載のコピー機の奏する効果に加え、確認範囲を読み取ることにより生成した画像データを利用して、画像データが合成され、その画像データに基づく画像が印刷されるので、コピー処理を効率的に行なうことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態であるMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】スキャナの構成を示す概略図である。
【図3】(a)は、MFPにおける読取方向を説明する模式図であり、(b)は、印刷方向を説明する模式図である。
【図4】ADFコピーを説明する図である。
【図5】ADFコピーにおけるデータの出力順序を説明する図である。
【図6】FBコピーを説明する図である。
【図7】FBコピーにおけるデータの出力順序を説明する図である。
【図8】FBコピーにおける最初の処理範囲と確認範囲とを説明する図である。
【図9】コピー処理を示すフローチャートである。
【図10】FBコピー処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1の電気的構成を示したブロック図である。
【0021】
MFP1は、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャン機能、プリンタ機能などの各種機能を有しており、特に、メモリ使用量を抑制しつつ、原稿を複数の処理範囲に分割してコピーする場合であっても、原稿が損傷し難いように構成されている。
【0022】
MFP1において、CPU11、フラッシュメモリ12、RAM13は、バスライン14を介して互いに接続されている。また、バスライン14には、ASIC15が接続されている。ASIC15は、プリンタ18、スキャナ23、モデム28、NCU29を制御する。
【0023】
CPU11は、フラッシュメモリ12に記憶される固定値やプログラム、RAM13に記憶されているデータ等に従って、MFP1が有している各機能を制御する。フラッシュメモリ12は、制御プログラム12aが記憶された書換可能な不揮発性のメモリである。CPU11は、制御プログラム12aに従い、後述するコピー処理(図9)を実行する。
【0024】
RAM13は、書換可能な揮発性のメモリであり、画像メモリ13aが設けられる。画像メモリ13aには、スキャナ23により生成された画像データや、FAX受信した画像データが記憶される。この画像データは、画像を構成する各画素の値を、R,G,B各色の輝度値で表したデータであるものとして説明する。MFP1は、画像データに対し、公知の色変換処理やハーフトーン処理を実行することにより、画像を構成する各画素の値を、C,M,Y,K各色の二値に変換して、印刷用の画像データを生成し、ASIC15に出力することにより、プリンタ18に画像を印刷させる。
【0025】
ASIC15は、CPU11からの指令に従い、プリンタ18を制御して画像を印刷させる。プリンタ18は、用紙に向けてインクを吐出するインクジェットヘッド20、インクジェットヘッド20を搭載したキャリッジを印刷の主走査方向(図3を参照して後述)に往復移動させるためのCRモータ21、用紙を搬送するためのLFモータ22を備える。
【0026】
また、ASIC15は、CPU11からの指令に従い、スキャナ23を制御する。これにより、スキャナ23が所定のタイミングで動作し、原稿に対応した画像データを生成する。スキャナ23は、原稿自動送り装置(以下、ADF)24、イメージセンサ25、ステップモータ26、ADFに原稿がセットされたか否かを検出するための原稿センサ27を備える。スキャナ23の構成については、図2,図3を参照して後述する。
【0027】
また、ASIC15には、ファクシミリ送受信時においてデータの変調または復調を行なうモデム28、電話回線の制御を行なうNCU29が接続される。
【0028】
図2は、スキャナ23の構成を示す概略図である。ADF24は、原稿トレイ31、原稿ガイド32、紙送りローラ33、排紙トレイ34、コンタクトガラス35を備える。ADF24を利用して画像を読み取る場合、図2(a)に示すように、原稿トレイ31上に原稿30をセットして読み取り開始を指令することにより、紙送りローラ33が回転して原稿30にコンタクトガラス35上を通過させる。すると、コンタクトガラス35の直下にある密着型のイメージセンサ25が、コンタクトガラス35を介して原稿30の画像を読み取る。ADFを利用して原稿を読み取り、その原稿に対応する画像を印刷する処理を、以下、ADFコピーと称する。
【0029】
スキャナ23は、さらに、押さえ板37とガラス製の原稿台38とを備える。図2(b)に示すように、原稿台38に載置された原稿30を読み取る場合には、イメージセンサ25が図示矢印のように移動しつつ、原稿30を読み取る。原稿台38に載置された原稿をコピーする処理を、以下、FBコピーと称する。
【0030】
図3は、スキャナ23による読取方向と、プリンタ18による印刷方向とを説明する模式図である。図3において、X方向はMFP1の前後方向を示し、Y方向はMFP1の左右方向を示す。
【0031】
図3(a)は、スキャナ23により読み取られる原稿30と、イメージセンサ25との関係を模式的に示す。図3(a)に示すように、イメージセンサ25は、X方向を長手方向としてMFP1に設けられる。このイメージセンサ25は、X方向に配列された読取素子を備え、その読取素子により、X方向に平行なライン毎に原稿30を読み取る。具体的には、原稿30からの反射光を読取素子により受光して電気信号に変換することにより、画像データを生成する。ADFコピーの場合、イメージセンサ25を所定位置に配置し、ADF24により原稿30をY方向に搬送しつつ1ラインずつ原稿を読み取る。一方、FBコピーの場合、ステップモータ26によりイメージセンサ25をY方向へ移動させつつ、原稿30を読み取る。
【0032】
図3(b)は、プリンタ18により画像が印刷される用紙40と、インクジェットヘッド20との関係を模式的に示す。図3(b)に示すように、プリンタ18は、Y方向を印刷の主走査方向とする。すなわち、インクジェットヘッド20は、キャリッジ(図示せず)に搭載されてY方向に平行に移動されつつ、用紙40に対してインクを吐出し、画像を印刷する。また、用紙40は、LFモータ22により駆動される搬送機構(図示せず)により、X方向に搬送される。
【0033】
本実施形態のMFP1は、例えば、ファクシミリの受信中など、画像メモリ13aの空き容量が十分ではなく、原稿1ページ分の画像データを記憶させる領域を画像メモリ13aに確保できない場合、原稿30を複数の処理範囲に分割してコピーする。
【0034】
図4は、ADFコピーを説明する図である。図4では、原稿30を分割する処理範囲42を図示するために、各処理範囲42の境界線を破線で図示するが、この境界線は、ユーザによって視認されるものではない。
【0035】
まず、図4(a)に示すように、イメージセンサ25により、複数ラインを含む1の処理範囲42(第1の処理範囲42)を読み取り、ADF24による原稿30の搬送を停止する。そして、読み取った第1の処理範囲42に対応する画像データを、画像メモリ13a(図1)に記憶させる。そして、プリンタ18には、イメージセンサ25により読み取られた第1の処理範囲42の画像を印刷させる。なお、印刷処理の詳細は、図5を参照して後述する。
【0036】
次に、図4(b)に示すように、先に読み取られた第1の処理範囲42に連続する複数ラインを含む1の処理範囲42(第2の処理範囲42)を読み取り、ADF24による原稿30の搬送を停止する。そして、イメージセンサ25により読み取られた第2の処理範囲42に対応する画像データを、画像メモリ13aに記憶させる。このとき、画像メモリ13aのうち、第1の処理範囲42の画像データを記憶させた記憶領域に、第2の処理範囲42の画像データを記憶させる。第1の処理範囲42の画像の印刷は既に終了しており、第1の処理範囲42の画像データは不要だからである。なお、先に記憶されている画像データを消去した上で、新たに生成した画像データを記憶させても良いし、先に記憶されている画像データを、新たに生成された画像データで上書きしても良い。
【0037】
一方、プリンタ18においては、イメージセンサ25により読み取られた第2の処理範囲42の画像を、インクジェットヘッド20により印刷する。なお、第2の処理範囲42の画像を印刷する場合、第1の処理範囲42を印刷する場合とは、用紙40の搬送方向が逆向きになるが、詳細は図5を参照して後述する。
【0038】
次に、図4(c)に示すように、第2の処理範囲42に連続する処理範囲42(第3の処理範囲42)についても、原稿30の読み取りと、画像の印刷とを実行する。
【0039】
本実施形態のADFコピーによれば、画像メモリ13aには、1の処理範囲42の画像データを記憶させるための容量があれば良いので、メモリ使用量を抑制できる。特に、カラーコピーや、高解像度コピーを実行する場合、画像データの容量が極めて大きくなるので、1ページ分の画像データを記憶させる領域を確保することが困難な場合がある。これに対し、本実施形態のADFコピーによれば、複数の処理範囲42に分割して処理するので、画像メモリ13aに十分な空き容量がない場合であってもコピーを実行できる。また、画像データを圧縮せずに、コピーを実行できるので、画像の劣化を抑制できる。
【0040】
また、本実施形態のADFコピーによれば、原稿30の搬送方向に連続する処理単位42を、順次読み取るので、原稿30を一方向にのみ搬送すれば良い。すなわち、原稿30を往復搬送する必要がなく、原稿の損傷や、原稿のジャムの発生を抑制できる。また、ADF24にセットした原稿30が、原稿トレイ31と排紙トレイ34との間で往復搬送されると、ユーザは、原稿30をどのタイミングで回収して良いか判断が難しいが、本実施形態のADFコピーによれば、原稿30は一方向にのみ搬送されるので、原稿30が排紙トレイ34にあることに基づいて、ユーザは、原稿30の読み取りの完了を認識でき、適切なタイミングで原稿30を回収できる。
【0041】
なお、ADFコピーによれば、1ページの原稿30に対応する画像が印刷される間に、用紙40は、往復搬送されるが、本実施形態のように、用紙40の短辺方向が、用紙の搬送方向と平行になるようにプリンタ18にセットされている場合には、用紙40の搬送距離が比較的少ないので、用紙40の損傷の虞は小さい。また、高解像度コピーを実行する場合には、用紙40を低速で搬送するので、用紙40を往復搬送したとしても、損傷の虞は、さらに小さい。
【0042】
図5は、ADFコピーにおけるデータの出力順序、および印刷を説明する図である。なお、図5においては、発明の理解を容易にするために、記録単位44を破線で図示し、各記録単位44にローマ数字を付しているが、これらはユーザに視認されるものではない。また、本実施形態において、記録単位44とは、用紙40を搬送せず、インクジェットヘッド20のY方向への移動のみで印刷可能な範囲を意味している。プリンタ18は、インクジェットヘッド20をY方向へ移動させることにより、1の記録単位44の画像を印刷した後、用紙40を記録単位44の分だけ搬送し、次の記録単位44を印刷する処理を繰り返すことにより、画像を印刷する。
【0043】
図5(a)を参照して、第1の処理範囲42に対応する画像を印刷する場合について説明する。この場合、用紙40を搬送方向上流側から、搬送方向下流側に向かう方向(すなわち、図5における紙面上方から下方に向かう方向、以下、搬送順方向という)に搬送しつつ、画像を印刷する。すなわち、図5(a)に示すように、第1の処理範囲42については、用紙40を搬送順方向に搬送しつつ、I→II→III→IVの順で画像を印刷する。
【0044】
次に、図5(b)に示すように、第2の処理範囲42に対応する画像を印刷する場合には、用紙40を搬送順方向とは逆方向(すなわち、図5における紙面下方から上方に向かう方向、以下、搬送逆方向という)に搬送しつつ、IV→III→II→Iの順で画像を印刷する。すなわち、第1の処理範囲42について、搬送順方向の最後の記録単位44(IV)まで画像を印刷した後、次に、第2の処理範囲42について、搬送逆方向の最初の記録単位44(IV)から、画像の印刷を開始できる。
【0045】
したがって、用紙40の搬送方向における往路と復路とで、それぞれ、1の処理範囲42の画像を印刷できる。その結果、用紙40の往復移動回数を出来る限り少なくし、用紙40の損傷を抑制できる。
【0046】
各場合におけるデータの出力順序を、以下、詳細に説明する。なお、図5においては、スキャナ23により生成された画像データの画素の値をIで表す。一方、印刷用の画像データの画素の値をOで表す。また、各画素のY方向位置を、下付文字で表す。
【0047】
図5(a)に示すように、搬送順方向に用紙40を搬送しつつ、I→II→III→IVの順で画像を印刷する場合、印刷用の画像データも、I→II→III→IVの順で出力される。具体的には、印刷用の画像データを、その先頭から順次出力する。一方、図5(b)に示すように、搬送逆方向に用紙40を搬送しつつ、IV→III→II→Iの順で画像を印刷する場合、印刷用の画像データも、IV→III→II→Iの順で出力される。具体的には、印刷用の画像データを、その末尾から順次出力する。
【0048】
なお、画像データを末尾から出力する場合、印刷用の画像データを生成する際に、画素の並び替えを行なう。具体的には、Y座標が小さい画素の値が、より早い順序で読み出されるように、記録単位44毎に画素を並び替える(図5(b)参照)。
【0049】
したがって、搬送順方向に用紙40を搬送しつつ画像を印刷する場合(図5(a))と、搬送逆方向に用紙40を搬送しつつ画像を印刷する場合(図5(b))とで、インクジェットヘッド20の印刷方向を同じくすることができる。
【0050】
図6は、FBコピーを説明する図である。なお、図8を参照して後述するように、FBコピーにおいては、第1の処理範囲42を読み取る際に、確認範囲を読み取る処理を行なうが、説明の理解を容易にするため、図6においては、確認範囲については触れず、FBコピーの概略を説明する。
【0051】
図6に示すように、FBコピーでは、原稿30のX方向を複数に分割する処理範囲42を設定して、処理範囲42毎に原稿30を読み取る。各処理範囲42は、1以上の記録単位44に対応する。具体的には、各処理範囲42のX方向長さは、記録単位44のX方向長さの整数倍となっている。なお、以下の説明では、図6における紙面左方から右方に向かうイメージセンサ25の移動を読取の往路とし、図6における右方から左方に向かうイメージセンサ25の移動を読取の復路とする。
【0052】
まず、図6(a)に示すように、読取の往路において、イメージセンサ25により1の処理範囲42(第1の処理範囲42)を読み取り、イメージセンサ25の移動を停止する。そして、イメージセンサ25により読み取られた第1の処理範囲42に対応する画像データを、画像メモリ13a(図1)に記憶させる。そして、プリンタ18は、第1の処理範囲42の画像を印刷する。
【0053】
次に、図6(b)に示すように、読取の復路において、第1の処理範囲42に連続する次の処理範囲42(第2の処理範囲42)を読み取り、イメージセンサ25の移動を停止する。そして、第2の処理範囲42に対応する画像データを、画像メモリ13aに記憶させる。このとき、画像メモリ13aのうち、第1の処理範囲42の画像データを記憶させた記憶領域に、第2の処理範囲42の画像データを記憶させる。そして、プリンタ18は、第2の処理範囲42の画像を印刷する。
【0054】
次に、図6(c)に示すように、第2の処理範囲42に連続する処理範囲42(第3の処理範囲)についても、原稿30の読み取りと、画像の印刷を実行する。
【0055】
FBコピーについても、ADFコピーと同様に、画像メモリ13aには、1の処理範囲42の画像データを記憶させるための容量があれば良く、メモリ使用量を抑制できる。また、用紙40は一方向にのみ搬送されるので、用紙の損傷や、用紙のジャムの発生を抑制できる。
【0056】
図7は、FBコピーにおけるデータの出力順序、および印刷を説明する図である。FBコピーでは、搬送順方向に用紙40を搬送しつつ、画像を印刷する。すなわち、I→II→IIIの順で画像を印刷する。なお、FBコピーの場合、インクジェットヘッド20の往路のみで印刷を行なっても良いが(片方向印刷)、本実施形態では、インクジェットヘッド20の往路と復路とで印刷を行なうものとする(双方向印刷)。この場合、図7(a)に示すように、インクジェットヘッド20の往路において、記録単位44(I)を印刷するときには、印刷用の画像データを、その先頭から順次出力する。一方、図7(b)に示すように、インクジェットヘッド20の復路において、記録単位44(II)を印刷する場合、印刷用の画像データを、その末尾から順次出力すれば良い。
【0057】
図8は、FBコピーにおける最初の処理範囲と確認範囲とを説明する図である。なお、図8においては、ユーザにより設定された原稿サイズに対応する読取範囲45を図示している。また、1回目に読み取る確認範囲46にハッチングを付す。原稿サイズとして、例えばA4サイズが設定された場合、MFP1は、A4サイズの読取範囲45を設定し、その読取範囲45を、複数の処理範囲42に分割して読み取る。しかしながら、ユーザが誤って、読取範囲45とはサイズが異なる原稿をセットする場合がある。
【0058】
したがって、本実施形態のFBコピーにおいては、図8(a)に示すように、まず、最初の処理範囲42(第1の処理範囲42)と読取開始側の複数ラインとを含む確認範囲46を読み取り、画像データメモリ13aに記憶させる。そして、確認範囲46に、原稿の全域が含まれるかを判断する。具体的には、画像データを解析し、読取開始側の複数ラインに、原稿のY方向端48が含まれるか否かを判断する。
【0059】
原稿の全域が確認範囲46に含まれる場合、MFP1は、原稿の読み取りを終了する。そして、確認範囲46に対応する画像を、プリンタ18により用紙40に印刷する。このようにすれば、1度の読み取りで原稿をコピーでき、コピーに要する処理時間を短縮できる。
【0060】
一方、図8(b)に示すように、原稿の全域が確認範囲46に含まれない場合、MFP1は、第2の処理範囲42から、読み取りと、画像の印刷とを順次繰り返すことにより、原稿30の全域をコピーする。
【0061】
図9は、MFP1において実行されるコピー処理を示すフローチャートである。この処理は、ユーザが原稿をセットし、コピー処理の実行指示をMFP1に入力した場合に開始される。
【0062】
まず、CPU11は、原稿の読み取りに関する設定値を、例えば、フラッシュメモリ12などから読み出す(取得する)(S902)。原稿の読み取りに関する設定値とは、例えば、カラーコピーとするかモノクロコピーとするかを示す設定値、コピーの解像度、原稿サイズである。次に、CPU11は、読み出した設定値に基づいて、1ライン分の画像データの容量(1ライン分のデータ容量)と、1ページ分の画像データの容量(1ページ分のデータ容量)とを算出する(S904)。そして、CPU11は、画像メモリ13aの空き容量が、1ページ分のデータ容量より小さいか否かを判断する(S906)。
【0063】
画像メモリ13aの空き容量が、1ページ分のデータ容量よりも小さく(S906:Yes)、且つ、FBコピーを実行する場合(S908:No)、CPU11は、FBコピー処理(S910)を実行するが、これについては、図10を参照して後述する。
【0064】
一方、画像メモリ13aの空き容量が、1ページ分のデータ容量よりも小さく、且つ、ADFコピーを実行する場合(S908:Yes)、具体的には、原稿センサ27により、ADF24にセットされた原稿が検出された場合、CPU11は、画像メモリ13aの空き容量を算出し(S912)、第1の処理範囲42に含めるべきライン数Aを決定する(S914)。具体的には、下記(1)式に基づいてライン数Aを算出する。
A=int(画像メモリ13aの空き容量/1ライン分のデータ容量)・・・(1)
int()は、括弧内の引数の小数部分を切り捨て整数化することを意味する。
【0065】
次に、CPU11は、ライン数Aを含む第1の処理範囲42の読み取りをスキャナ23に実行させ(S916)、その処理範囲42に対応する画像データを、画像メモリ13aに記憶させ(S918)、ADF24による原稿30の搬送を停止させる(S920)。そして、その画像データから、印刷用の画像データを生成し(S922)、印刷用の画像データを、ASIC15を介して、プリンタ18へ順次出力することにより、第1の処理範囲42の画像を印刷させる(S924)。
【0066】
次に、CPU11は、処理済みの画像データを画像メモリ13aから消去する(S926)。そして、原稿30に未処理領域が残っている場合(S928:No)、CPU11は、S912に戻り処理を繰り返す。そして、原稿30の全域について処理を終了すると(S928:Yes)、このコピー処理を終了する。
【0067】
本実施形態のコピー処理によれば、画像メモリ13aの空き容量が、1ページ分のデータ容量より小さい場合であっても、原稿30をコピーできる。また、設定値と、画像メモリ13aの空き容量に基づいて、各処理範囲42に含めるべきライン数が決定されるので、例えば、画像メモリ13aの空き容量が大きい場合には、1度に読み取る処理範囲42を大きく設定することができる。よって、原稿30を複数の処理範囲42に分割して読み取る場合であっても、画像メモリ13aの空き容量を最大限利用し、効率的に処理できる。
【0068】
なお、原稿30の読取開始前に、画像メモリ13aの空き容量が所定値以上であると判断された場合(S906:No)、CPU11は、原稿1ページ分を1度に読み取って、1ページ分の画像データを生成し、その画像データに対して90度または270度の回転処理を施して印刷出力する、通常のコピー処理を実行し(S930)、処理を終了する。
【0069】
図10は、FBコピー処理を示すフローチャートである。まず、CPU11は、1つの記録単位44に対応した画像データのデータ容量(1記録単位分のデータ容量)を、設定値に基づいて算出する(S1002)。次に、CPU11は、画像メモリ13aの空き容量を算出し(S1004)、これらに基づいて、最初の処理範囲42に対応する記録単位数Bを、下記(2)式により決定する(S1006)。
B=int(画像メモリ13aの空き容量/1記録単位分のデータ容量)・・・(2)
【0070】
すなわち、画像メモリ13aに画像データを記憶可能な最大数の記録単位44を求め、その最大数の記録単位44に対応した処理範囲42を、最初の処理範囲42として決定する。ここで、最初の処理範囲42だけを読み取る場合、画像メモリ13aには、(画像メモリ13aの空き容量−B×1記録単位分のデータ容量)の空き領域が発生する。本実施形態によれば、この空き領域に基づいて、確認範囲46に含めるライン数Cを、例えば、下記(3)式により決定する(S1006)。
C=int([画像メモリ13aの空き容量−B×1記録単位分のデータ容量]/1ライン分のデータ容量)・・・(3)
【0071】
次に、CPU11は、記録単位数Bに対応した最初の処理範囲42、およびライン数Cを含む確認範囲46の読み取りをスキャナ23に実行させ(S1008)、その画像データを画像メモリ13aに記憶させる(S1010)。確認範囲46が原稿30の全域を含む場合(S1012:Yes)、CPU11は、S1010で画像記憶メモリ13aに記憶させた画像データのうち原稿30全域の画像データに基づいて印刷用の画像データを生成し(S1014)、原稿30全域の画像をプリンタ18に印刷させる(S1016)。そして、確認範囲46に対応する画像データを消去し(S1018)、処理を終了する。
【0072】
一方、確認範囲46が原稿30の全域を含まない場合(S1012:No)、CPU11は、最初の処理範囲42について、印刷用の画像データを生成し(S1020)、最初の処理範囲42の画像をプリンタ18に印刷させる(S1022)。そして、CPU11は、確認範囲46に対応する画像データを、画像メモリ13aから消去する(S1024)。
【0073】
そして、原稿30の全域について処理を終了していない場合(S1026:No)、CPU11は、画像メモリ13aの空き容量を算出し(S1028)、次の処理範囲42に対応する記録単位数Bを、上記(2)式により決定し、次の処理範囲42を決定する(S1030)。次に、CPU11は、その処理範囲42をスキャナ23に読み取らせ(S1032)、その画像データを画像メモリ13aに記憶させる(S1034)。そして、CPU11は、その画像データから印刷用の画像データを生成し(S1036)、プリンタ18にその処理範囲の画像を印刷させ(S1038)、処理済みの画像データを消去して(S1040)、S1026の処理に戻る。このようにして処理を繰り返すうちに、原稿30の全域について処理を終了すると(S1026:Yes)、CPU11はFBコピー処理を終了する。
【0074】
上記実施形態において、MFP1がコピー機の一例である。用紙40が記録媒体の一例である。イメージセンサ25が読取部の一例である。X方向、Y方向が、それぞれ第1方向、第2方向の一例である。ADF24が搬送部の一例である。プリンタ18が印刷部の一例である。RAM13が記憶部の一例である。ステップモータ26が移動部の一例である。1ページ分のデータ容量が所定値の一例である。
【0075】
S916を実行するCPU11が、第1読取制御手段、第2読取制御手段の一例である。S918を実行するCPU11が、第1記憶制御手段、第2記憶制御手段の一例である。S924を実行するCPU11が、第1印刷制御手段、第2印刷制御手段の一例である。S1008を実行するCPU11が第3読取制御手段の一例である。S1010を実行するCPU11が第3記憶制御手段、第5記憶制御手段の一例である。S1016,S1020を実行するCPU11が第3印刷制御手段の一例である。S1032を実行するCPU11が第4読取制御手段の一例である。S1034を実行するCPU11が第4記憶制御手段の一例である。S1038を実行するCPU11が第4印刷制御手段の一例である。S906を実行するCPU11が記憶部判断手段の一例である。S924を実行するCPU11が第1出力手段および第2出力手段の一例である。S902を実行するCPU11が設定値取得手段の一例である。S914を実行するCPU11が処理範囲決定手段の一例である。S904を実行するCPU11がデータ量取得手段の一例である。S1006を実行するCPU11がライン数決定手段、処理範囲決定手段の一例である。S1012を実行するCPU11が原稿範囲判断手段の一例である。
【0076】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0077】
上記実施形態のMFP1には、プリンタ18として、印刷の主走査方向にインクジェットヘッド20が往復移動するシリアルプリンタが設けられていたが、ラインプリンタ、すなわち、インクジェットヘッドが移動することなく、印刷可能範囲のうち印刷の主走査方向の一端から他端までのドット列を印刷可能なプリンタが設けられている場合にも、本発明を適用可能である。
【0078】
また、画像データの容量を算出するために用いる設定値は、上記実施形態のように、フラッシュメモリ12等のメモリから取得し(読み出し)ても良いし、ユーザにより入力された設定値を取得しても良い。また、原稿をプレスキャンすることにより、設定値を取得しても良い。
【0079】
また、図5を参照して説明したように、上記実施形態のADFコピーでは、片方向印刷を行なうものとして説明したが、双方向印刷するように構成しても良い。この場合、インクジェットヘッド20の往路で印刷される記録単位44については、Y方向の画素位置が小さい方から順番に、印刷用の画像データが出力され、一方、インクジェットヘッド20の復路で印刷される記録単位44については、Y方向の画素位置が大きい方から順番に、印刷用の画像データが出力されるように、画像データを並べ替えれば良い。
【0080】
また、上記実施形態の図10に示すFBコピーによれば、確認範囲46に原稿30の全域が含まれないと判断される場合(S1012:No)、確認範囲46の画像データを消去するものとして説明した(S1024)。しかしながら、FBコピー処理(図10)を変形し、S1024においては、確認範囲46のうち、最初の処理範囲42の画像データのみを消去しても良い。そして、S1032では、最初の処理範囲42を除く各処理範囲42について、確認範囲46に含まれなかった範囲をイメージセンサ25により読み取っても良い。そして、確認範囲46を読み取ることにより生成した画像データと、S1032で残りの処理範囲42を読み取ることにより生成した画像データとを処理範囲42毎に合成して、各処理範囲42の画像データを生成するようにしても良い。
【0081】
このようにすれば、確認範囲46を重複して読み取る必要が無いので、コピー処理を効率的に行なうことができる。この変形例によれば、S1032が第4読取制御手段の一例であり、S1036が合成手段の一例である。
【0082】
また、上記実施形態では、処理済みの画像データを消去した上で、新たに生成した画像データを記憶させていた。これに代えて、処理済みの画像データを消去せず、新たに生成された画像データを上書きしても良い。この場合には、処理済みの画像データの記憶領域を空き領域として、画像メモリ13aの空き容量を求めれば良い。
【0083】
なお、「第2読取制御手段により読み取られた処理範囲に対応する画像データを、記憶部のうち、第1記憶制御手段により画像データを記憶させた記憶領域に記憶させる第2記憶制御手段」、および、「第4読取制御手段により読み取られた処理範囲に対応する画像データを、記憶部のうち、第3記憶制御手段により画像データを記憶させた記憶領域に記憶させる第4記憶制御手段」は、それぞれ、先に記憶されていた画像データの記憶領域と完全に一致するように、次の画像データを記憶させることに限定解釈されるものではなく、先に記憶されていた画像データの記憶領域と、次に記憶させる画像データの記憶領域とが、少なくとも一部重複するように、画像データを記憶させるものであっても良い。
【0084】
また、上記実施形態では、画像データを圧縮しないものとして説明したが、画像データを圧縮して画像メモリ13aに記憶させる場合にも、本発明を適用可能である。
【0085】
また、上記実施形態のADFコピーによれば、1枚の用紙40に対して印刷を行なう間に、用紙40が往復搬送される。よって、用紙40に対する印刷の実行中は、その旨を液晶パネル(図示せず)に表示することにより、ユーザに知らせても良い。
【0086】
また、上記実施形態のコピー処理(図9)のS912では、画像メモリ13aの空き容量を算出するものとして説明した。ただし、1回目の読取においては、S906で使用したメモリの空き容量を読み出し、これに基づいてライン数Aを決定しても良い。
【0087】
また、上記実施形態のFBコピー(図8)では、最初の処理範囲42と、読取開始側の複数ラインとを含むL字状の確認範囲46を設定していた。これに代えて、FBコピー時の処理範囲42と平行な帯状の確認範囲46を設定しても良い。
【0088】
具体的には、上記実施形態のFBコピー処理(図10)では、「1記録単位分のデータ容量」に基づいて確認範囲46を決定していたところを、これに代えて、イメージセンサ25に設けられた読取素子の単位に基づいて、確認範囲46を決定する。すなわち、図10のS1002において、「1記録単位分のデータ容量」を算出する代わりに、「読取の往路または復路において1の読取素子が読み取る画像データのデータ容量(以下、1読取素子分のデータ容量)」を算出する。そして、例えば、下記(4)式により、確認範囲46に対応した読取素子数Dを算出する。
D=int(画像メモリ13aの空き容量/1読取素子分のデータ容量)・・・(4)
つまり、D個の読取素子で読み取った画像データを、画像メモリ13aの空き領域に記憶できるように、読取素子数Dを算出する。そして、D個の読取素子で読取可能な範囲を、確認範囲46として決定する。
【0089】
そして、上記の読取素子数Dに基づいて、最初の処理範囲42に含めるべき読取素子数Eを、例えば、下記(5)式により算出する。
E=int(D/1記録単位に対応する読取素子数)・・・(5)
すなわち、確認範囲46中、記録単位44の整数倍に対応する範囲を、最初の処理範囲42とする。
【0090】
この場合、S1022では、確認範囲46のうち、最初の処理範囲42の画像を印刷してもよい。また、S1024では、確認範囲46のうち、最初の処理範囲42の画像データのみを消去し、S1032では、確認範囲46に含まれなかった残りの処理範囲42を読み取ってもよい。そして、確認範囲46を読み取ることにより生成した画像データと、S1032で残りの処理範囲42を読み取ることにより生成した画像データとを、処理範囲42毎に合成して印刷するようにしても良い。
【符号の説明】
【0091】
1 MFP
13a 画像メモリ
24 ADF
25 イメージセンサ
30 原稿
40 用紙
42 処理範囲
44 記録単位
46 確認範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取り、その原稿に対応する画像を記録媒体に印刷するコピー機であって、
読取素子の並ぶ第1方向に平行なライン毎に、原稿を読み取り可能な読取部と、
前記読取部を所定位置に配置し、前記読取部に対して原稿を前記第1方向と異なる第2方向に搬送する搬送部と、
前記第2方向を印刷の主走査方向として、画像を印刷する印刷部と、
前記搬送部により原稿を前記第2方向に搬送しつつ1ラインずつ前記原稿を読み取る場合、前記読取部により前記原稿のうち複数ラインを含む1の処理範囲を読み取り、前記搬送部による前記原稿の搬送を停止する第1読取制御手段と、
前記第1読取制御手段により読み取られた処理範囲に対応する画像データを記憶部に記憶させる第1記憶制御手段と、
前記印刷部と前記記録媒体とを相対的に移動させつつ、前記第1記憶制御手段により前記記憶部に記憶された画像データに基づいて、前記処理範囲の画像を前記印刷部により印刷する第1印刷制御手段と、
前記読取部により前記原稿のうち、前記第1読取制御手段により読み取られた処理範囲に連続する複数ラインを含む1の処理範囲を読み取り、前記搬送部による前記原稿の搬送を停止する第2読取制御手段と、
前記第2読取制御手段により読み取られた処理範囲に対応する画像データを、前記記憶部のうち、前記第1記憶制御手段により画像データを記憶させた記憶領域に記憶させる第2記憶制御手段と、
前記印刷部と前記記録媒体とを相対的に移動させつつ、前記第2記憶制御手段により前記記憶部に記憶された画像データに基づいて、前記処理範囲の画像を前記印刷部により印刷する第2印刷制御手段とを備える、コピー機。
【請求項2】
前記印刷部は、印刷の主走査方向に平行な記録単位毎に、画像を印刷可能であり、
原稿に対して前記読取部を前記第2方向に移動させる移動部と、
前記移動部により原稿に対して前記読取部を前記第2方向に移動させて前記原稿を読み取る場合、前記原稿における前記第1方向を複数に分割する処理範囲であって1以上の記録単位に対応した処理範囲のうち、1つを読み取り、前記移動部による前記読取部の移動を停止する第3読取制御手段と、
前記第3読取制御手段により読み取られた処理範囲に対応する画像データを前記記憶部に記憶させる第3記憶制御手段と、
前記印刷部と前記記録媒体とを相対的に移動させつつ、前記第3記憶制御手段により前記記憶部に記憶された画像データに基づいて、前記処理範囲の画像を前記印刷部により印刷する第3印刷制御手段と、
前記第3読取制御手段により読み取られた処理範囲に連続する1の処理範囲を読み取り、前記移動部による前記読取部の移動を停止する第4読取制御手段と、
前記第4読取制御手段により読み取られた処理範囲に対応する画像データを、前記記憶部のうち、前記第3記憶制御手段により画像データを記憶させた記憶領域に記憶させる第4記憶制御手段と、
前記印刷部と前記記録媒体とを相対的に移動させつつ、前記第4記憶制御手段により前記記憶部に記憶された画像データに基づいて、前記処理範囲の画像を前記印刷部により印刷する第4印刷制御手段とを備える、請求項1記載のコピー機。
【請求項3】
前記記憶部の空き容量が、所定値より小さいかを判断する記憶部判断手段を備え、
前記第1読取制御手段は、前記記憶部判断手段により、前記記憶部の空き容量が前記所定値より小さいと判断された場合に、前記読取部により前記1の処理範囲を読み取り、前記搬送部による前記原稿の搬送を停止する、請求項1または2に記載のコピー機。
【請求項4】
前記第1記憶制御手段により前記記憶部に記憶された画像データを、当該画像データに対応する処理範囲のうち前記第1方向における一方から他方へ向かう順に出力する第1出力手段と、
前記第2記憶制御手段により前記記憶部に記憶された画像データを、当該画像データに対応する処理範囲のうち前記第1方向における他方から一方へ向かう順に出力する第2出力手段とを備え、
前記第1印刷制御手段は、前記第1方向における前記他方から前記一方に向かう方向へ記録媒体を搬送しつつ、前記第1出力手段により出力される画像データに基づいて、1の処理範囲の画像を前記印刷部により印刷し、
前記第2印刷制御手段は、前記第1方向における前記一方から前記他方に向かう方向へ前記記録媒体を搬送しつつ、前記第2出力手段により出力される画像データに基づいて、前記第1印刷制御手段により印刷された処理範囲に連続する1の処理範囲の画像を前記印刷部により印刷する、請求項1から3のいずれかに記載のコピー機。
【請求項5】
原稿の読み取りに関する設定値を取得する設定値取得手段と、
前記第2読取制御手段による読取対象である処理範囲に含めるべきライン数を、前記設定値取得手段により取得された設定値に基づいて決定する処理範囲決定手段とを備える、請求項1から4のいずれかに記載のコピー機。
【請求項6】
1ライン分の画像データのデータ量を、前記設定値取得手段により取得される前記設定値に基づいて取得するデータ量取得手段を備え、
前記処理範囲決定手段は、
前記データ量取得手段により取得されるデータ量と、前記記憶部の空き容量とに基づいて、前記第2読取制御手段による読取対象である処理範囲に含めるべきライン数を決定する、請求項5記載のコピー機。
【請求項7】
前記移動部により原稿に対して前記読取部を前記第2方向に移動させて前記原稿を読み取る場合、前記記憶部の空き容量に基づいて、前記複数の処理範囲のうち最初の処理範囲以外に前記記憶部に画像データを記憶可能なライン数を決定するライン数決定手段を備え、
前記第3読取制御手段は、前記最初の処理範囲を読み取るために、前記移動部により前記読取部を前記第2方向に移動させるときに、前記最初の処理範囲と前記ライン数決定手段により決定された複数ラインとを含む確認範囲を、前記読取部により読み取るものであり、
前記確認範囲に対応する画像データを、前記記憶部に記憶させる第5記憶制御手段と、
前記第5記憶制御手段により前記記憶部に記憶させた画像データに基づいて、前記確認範囲に、原稿の全域が含まれるかを判断する原稿範囲判断手段とを備え、
前記第3印刷制御手段は、前記原稿範囲判断手段により前記確認範囲に原稿の全域が含まれると判断される場合、前記確認範囲に対応する画像を、前記印刷部により印刷し、
前記第4読取制御手段は、前記原稿範囲判断手段により前記確認範囲に原稿の全域が含まれると判断される場合、前記原稿の読み取りを終了する、請求項2または3に記載のコピー機。
【請求項8】
原稿の読み取りに関する設定値を取得する設定値取得手段と、
前記設定値取得手段により取得された設定値と、前記記憶部の空き容量とに基づいて、前記記憶部に画像データを記憶可能な最大数の記録単位に対応した処理範囲を、前記最初の処理範囲として決定する処理範囲決定手段とを備え、
前記ライン数決定手段は、前記設定値取得手段により取得された設定値と、前記記憶部の空き容量とに基づいて、前記処理範囲決定手段により決定された前記最初の処理範囲以外に前記記憶部に画像データを記憶可能なライン数を決定する、請求項7記載のコピー機。
【請求項9】
前記第4読取制御手段は、
前記原稿範囲判断手段により、前記確認範囲に原稿の全域が含まれないと判断される場合、前記最初の処理範囲を除く各処理範囲について、前記確認範囲に含まれない範囲を、前記読取部により読み取るものであり、
前記確認範囲を読み取ることにより生成した画像データと、前記確認範囲を除いた範囲を読み取ることにより生成した画像データとを合成して、各処理範囲に対応した画像データを生成する合成手段を備え、
前記第4印刷制御手段は、前記原稿範囲判断手段により、前記確認範囲に原稿の全域が含まれないと判断される場合、前記合成手段により合成された画像データに基づく画像を、前記印刷部により印刷する、請求項7または8に記載のコピー機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−249207(P2012−249207A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121137(P2011−121137)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】