説明

コラムホールカバー

【課題】 重量増加や組付性悪化を抑制しながら遮音性を向上することができるコラムホールカバーを提供する。
【解決手段】 カバー本体16においてダッシュパネル12に固定される第2接続部18の端面には、ダッシュパネル12の開口部13を封止するシール部21を設ける。第2接続部18の内側には、シャフト14を挿通させた状態でその開口部18aを塞ぐ仕切り部22がカバー本体16に一体に設けられている。仕切り部22は、第2接続部18の開口部18aから外側に配置された状態でカバー本体16に一体成形された後、開口部18aからカバー本体16内に押し込まれることによってカバー本体16内に配置されている。カバー本体16と仕切り部22とにより、開口部13全体がエンジン室11から二重に覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジン室と車室とを仕切るダッシュパネルとステアリングギヤボックスとの間においてダッシュパネルの開口部に挿通されたステアリング装置の一部を覆うとともに同開口部を閉塞する略筒状のコラムホールカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のコラムホールカバーは、エンジン室から車室内へのダッシュパネルの開口部を通じた塵埃、雨水、騒音等の侵入を防止するために設けられるものであって、その例としては、従来、例えば特許文献1,2に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1に記載された取付構造を備えたコラムホールカバーにおいては、図6に示すように、コラムホールカバー40におけるダッシュパネル41との接続部に、このダッシュパネル41の開口部41aに差し込まれる差込み部42と、この差込み部42の先端に一体成形された反転係合部43とが設けられる。反転係合部43は、差込み部42が開口部41aに差し込まれた後に外側に反転屈曲されることにより、ダッシュパネル41の開口部41aの周縁部に係合されるようになっている。そして、開口部41aに差込み部42が差込まれると、差込み部42の基端側外周に設けられた係合溝44が開口部41aの周縁部に嵌る。同時に、係合溝44に隣接する段差部45が、周縁部の表面41bに当接する。次に、反転係合部43が反転屈曲されると、反転係合部43の先端に設けられた押圧部43aが開口部41aの周縁部の裏面41cに密接する。従って、コラムホールカバー40とダッシュパネル41の開口部41aとの間は、開口部41aの周縁部を挟持する段差部45及び押圧部43aによりシールされる。
【0004】
また、特許文献2のコラムホールカバーは、図7に示すように、ダッシュパネル50の開口部50aの周縁部に圧接されることにより同開口部50aを封止するためのシール部51と、このシール部51を開口部50aの周縁部の表面に対して弾性的に圧接させる蛇腹部52とをカバー本体53に備えている。この蛇腹部52は、その弾性変形により、ダッシュパネル50に対するステアリングギヤボックス54の位置ずれを吸収する。同時に、蛇腹部52は、ダッシュパネル50の開口部50aの周縁部に対してシール部51を圧接させた状態を維持する。カバー本体53は、ピニオンシャフト55を挿通させる略筒状のスペーサ56を介してステアリングギヤボックス54に接続されている。カバー本体53の内部には、ピニオンシャフト55を挿通させる軸孔57aを有するとともに、カバー本体53側とスペーサ56側とを仕切る仕切り部57が設けられている。
【特許文献1】特開平11−218232号公報
【特許文献2】特開2004−322788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的に、エンジン室から車室内への開口部を介した騒音の侵入をコラムホールカバーによって効果的に抑制するためには、カバー本体の肉厚をより厚くしたり、より比重の大きなゴムからカバー本体を製作したりすることによりカバー本体全体の剛性を上げる必要がある。しかしながら、この場合には、カバー本体の重量増大を招いたり、カバー本体の剛性が高くなりすぎることによる組付性の悪化を招いたりする。すなわち、コラムホールカバーは、ステアリングギヤボックスとダッシュパネルとの間に無理嵌め状態で装着される。このため、コラムホールカバーの剛性が高すぎると、カバー本体を容易に変形させることができず組付性が悪化する。上記特許文献1の取付構造を備えたコラムホールカバーでは、上記のような課題に対処する構成を備えていなかった。
【0006】
一方、上記特許文献2のコラムホールカバーでは、カバー本体53に設けられた仕切り部57とスペーサ56とにより、ダッシュパネル50の開口部50aが部分的に二重にエンジン室から覆われた状態となる。このため、エンジン室から車室内への開口部50aを介した騒音の侵入がより効果的に低減される。しかしながら、このコラムホールカバーでは、カバー本体53において仕切り部57よりも開口部50a側に蛇腹部52が位置するので、その部分の肉厚が他の部位よりも薄くなる。このため、二重でない部分を通じてエンジン室から開口部50a側に侵入する騒音を効果的に低減することができず、遮音性の向上に改善の余地があった。
【0007】
この発明の目的は、重量増加や組付性悪化を抑制しながら遮音性を向上することができるコラムホールカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ダッシュパネルとステアリングギヤボックスとの間において同ダッシュパネルの開口部に挿通されたステアリング装置のシャフトを覆うとともに同開口部を覆う略筒状に形成され、かつ、ダッシュパネルとの接続部には同開口部を封止するためのシール部を設けたコラムホールカバーにおいて、カバー本体の内側には、前記ステアリング装置のシャフトを挿通させた状態で同接続部の開口部を塞ぐ仕切り部を、その外周縁部がカバー本体におけるダッシュパネルとの接続部の開口部内周縁に繋がるように設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記仕切り部は、カバー本体の前記接続部の開口部から外側に配置された状態で同カバー本体と一体成形された後、同開口からカバー本体内に押し込まれることによってカバー本体内に配置されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記仕切り部は、前記接続部の開口内周縁に繋がる筒状部と、この筒状部の端部に設けられるとともに前記シャフトを挿通させる底部とにより円錐台状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、カバー本体におけるダッシュパネルとの接続部の外周には、ダッシュパネルの開口部の周縁全体に嵌る周溝を設け、この周溝の内側に前記シール部を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記仕切り部において前記シャフトを挿通させる軸孔には、同シャフトの外周面と軸孔との間の摩擦を低減する摩擦低減手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、カバー本体におけるダッシュパネルとの接続部の開口部においてカバー本体に設けられた仕切り部と、カバー本体とにより、ダッシュパネルの開口部全体がエンジン室に対して二重に覆われる。このため、カバー本体の肉厚をより厚くしたり、より比重の大きなゴムからカバー本体を製作したりするときのような重量増加や組付性悪化を招くことなく遮音性を向上することができる。
【0014】
また、仕切り部を、カバー本体の接続部の開口部から外側に配置した状態で同カバー本体と一体成形した後、同開口部からカバー本体内に押し込むことによってカバー本体内に配置してもよい。この場合には、カバー本体と別に仕切り部を成形したり、カバー本体に組み付けたりする必要がないので、部品点数及び組付工数が増加しない。
【0015】
また、カバー本体におけるダッシュパネルとの接続部の外周に、ダッシュパネルの開口部の周縁に嵌る周溝を設け、この周溝の内側にシール部を設けてもよい。この場合には、カバー本体をダッシュパネルに固定するための部材が不要となる。
【0016】
また、仕切り部においてシャフトを挿通させる軸孔に、同シャフトの外周面と軸孔との間の摩擦を低減する摩擦低減手段を設けてもよい。この場合には、ステアリング装置における摩擦の増大を抑制し、ステアリング装置を円滑に作動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1実施形態)
次に、この発明を具体化した第1実施形態を図1及び図2に従って説明する。
図1は、この実施形態のコラムホールカバー10を示す。このコラムホールカバー10は略筒状に形成され、車両のエンジン室11内のステアリングギヤボックス15とダッシュパネル12との間において、ダッシュパネル12の開口部13に挿通されたラック・アンド・ピニオン式ステアリング装置のシャフト14を覆うとともに同開口部13を閉塞している。このシャフト14は、例えばステアリングギヤボックス15に連結されたピニオンシャフト、あるいは、ピニオンシャフトに連結されたエクステンションシャフトである。
【0018】
コラムホールカバー10のカバー本体16は、ステアリングギヤボックス15と接続される第1接続部17と、ダッシュパネル12の開口部13と接続される第2接続部(接続部)18とを有している。第1接続部17は略円筒状をなし、ステアリングギヤボックス15の円筒状の接続部に嵌合されている。また、カバー本体16には、第1接続部17と第2接続部18の間に、第1接続部17と第2接続部18との相対変位を許容する第1蛇腹部19が設けられている。第2接続部18は、ダッシュパネル12の開口部13に対応する略楕円状の開口部18aを有し、同開口部18aの内周側には、環状の取付金具20が装着されている。そして、第2接続部18は、ダッシュパネル12の開口部13の周縁部に取付金具20が係合することにより、その開口部18aをダッシュパネル12の開口部13に対応させた状態でダッシュパネル12に固定されている。
【0019】
第2接続部18の端面には、ダッシュパネル12の開口部13を封止するためのシール部21が設けられている。シール部21は、開口部13の周縁に沿った環状の内周側リップシール21a及び外周側リップシール21bからなる。内周側リップシール21a及び外周側リップシール21bは、前記取付金具20が開口部13に係合することにより、開口部13の周縁部表面に圧接されている。また、シール部21は、ステアリングギヤボックス15とダッシュパネル12との間において前記第1蛇腹部19に予め付与された初期荷重に基づく弾性反力によっても開口部13の周縁部表面に圧接されている。また、第2接続部18には、第2接続部18における第1接続部17側の部分に対する開口部18a及びシール部21の相対変位を許容するための第2蛇腹部25が設けられている。
【0020】
さらに、第2接続部18の内側には、シャフト14を挿通させた状態で開口部18aを塞ぐ仕切り部22がカバー本体16に一体に設けられている。仕切り部22は、第2接続部18の開口部18aの内周縁に繋がる筒状部22aと、この筒状部22aの端部を塞ぐとともにシャフト14を挿通させる底部22bとにより略円錐台状に形成されている。仕切り部22は、図1に二点鎖線で示すように、第2接続部18の開口部18aから外側に配置された状態でカバー本体16に一体成形された後、開口部18aからカバー本体16内に押し込まれることによってカバー本体16内に配置されている。仕切り部22の肉厚の平均値は、カバー本体16の肉厚の平均値よりも薄くされている。仕切り部22の平均肉厚は、カバー本体16の平均肉厚が例えば6mmであるときに、例えば3分の1の2mmとされている。
【0021】
図2に示すように、仕切り部22の底部22bには、シャフト14を挿通させる軸孔23が設けられ、この軸孔23の内周側には軸シール部(摩擦低減手段)24が設けられている。軸シール部24は、円環状の複数のシール突起24a,24bからなる。各シール突起24a,24bは尖った先端部を有し、この先端部はシャフト14の外周面に対して弾性的に線接触されている。なお、両シール突起24a,24bの間の周溝内には、グリースが保持されている。軸シール部24により、シャフト14の外周面と軸孔23との間の摩擦が低減されている。
【0022】
さて、コラムホールカバー10をステアリングギヤボックス15とダッシュパネル12との間に組み付けるときには、先ず、図示しないステアリングシャフトと連結される前のシャフト14にコラムホールカバー10を挿通させた後、コラムホールカバー10の第1接続部17をステアリングギヤボックス15に固定する。次に、カバー本体16の第2接続部18の開口部18aから外方に延出されている仕切り部22を開口部18aからカバー本体16内に押し込むとともに、その軸孔23にシャフト14を挿通させる。すると、軸孔23の内側の軸シール部24が、シャフト14の外周面に圧接される。次に、カバー本体16の第2接続部18の内側に装着した取付金具20を、ダッシュパネル12の開口部13に係合させることにより、第2接続部18をダッシュパネル12に固定する。以上により、コラムホールカバー10が、ステアリングギヤボックス15とダッシュパネル12との間に組み付けられる。最後に、車室側において、シャフト14側の連結部にステアリングシャフト側の連結部を連結する。なお、コラムホールカバー10をステアリングギヤボックス15とダッシュパネル12との間に組み付ける前に、仕切り部22を開口部18aからカバー本体16内に押し込んでおいてもよい。
【0023】
車両が走行すると、図示しないサスペンションメンバーが路面の凹凸により車体に対して相対変位し、このサスペンションメンバー上に配置されているステアリングギヤボックス15が車体に対して相対変位する。このため、ステアリングギヤボックス15とダッシュパネル12との位置関係にずれが発生し、コラムホールカバー10の第1接続部17と第2接続部18とが相対変位する。この両接続部17,18間の相対変位は、第1蛇腹部19の弾性変形により吸収され、開口部13の周縁部表面に対してシール部21を圧接する付勢力の変動が抑制される。従って、車両の走行中において、シール部21による開口部13のシール状態が良好に維持される。
【0024】
また、エンジン室11で発生した騒音は、カバー本体16及び仕切り部22を介して開口部13側へ伝達される。このとき、カバー本体16における第2接続部18の開口部18aにおいてカバー本体16に設けられた仕切り部22と、カバー本体16とにより、開口部13全体がエンジン室11に対して二重に覆われている。このため、エンジン室11から車室内への開口部13を介した騒音の侵入が効果的に低減される。
【0025】
従って、この実施形態によれば、カバー本体16と、このカバー本体16内に設けた仕切り部22とにより、ダッシュパネル12の開口部13がエンジン室11に対して二重に覆われる。従って、カバー本体16の肉厚をより厚くしたり、より比重の大きなゴムによってカバー本体16を製作したりするときのようなコラムホールカバー10の重量増加や組付性悪化を招くことなく遮音性を向上することができる。
【0026】
また、仕切り部22は、カバー本体16の第2接続部18の開口部18aから外側に配置された状態でカバー本体16と一体成形された後、開口部18aからカバー本体16内に押し混まれることによってカバー本体16内に配置されている。従って、仮に、仕切り部22をカバー本体16と別々に成形し、その後にこの仕切り部22をカバー本体16に接着固定するようにした場合と異なり、部品点数及び組付工数は増加しない。
【0027】
さらに、仕切り部22の軸孔23には、シャフト14の外周面と軸孔23との間の摩擦を低減する軸シール部24を設けた。従って、ステアリング装置における摩擦の増大を抑制し、ステアリング装置を円滑に作動させることができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した第2実施形態を図4及び図5に従って説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については符号を同じにしてその説明を省略し、第1実施形態と異なる第2接続部18及び仕切り部33のみについて詳述する。
【0029】
図4に示すように、この実施形態における第2接続部18の開口部18aの外周には、ダッシュパネル12の開口部13に沿った環状の突条部30が設けられ、この突条部30には、開口部13の周縁部に嵌る周溝31が設けられている。周溝31の内側には、開口部13の周縁部の表面に圧接されるシール部32が設けられている。図5に示すように、シール部32は、開口部13の周縁に沿った内周側リップシール32a及び外周側リップシール32bからなる。内周側リップシール32a及び外周側リップシール32bは、突条部30の剛性により、開口部13の周縁部の表面に弾性的に圧接されている。また、シール部21は、ステアリングギヤボックス15とダッシュパネル12との間において前記第1蛇腹部19に予め付与された初期荷重に基づく弾性反力によっても開口部13の周縁部表面に圧接されている。
【0030】
また、第2接続部18の内側には、シャフト14を挿通させた状態で開口部18aを塞ぐ仕切り部33がカバー本体16に一体に設けられている。仕切り部33は、第2接続部18の開口部18aの内周縁に繋がる筒状部33aと、この筒状部33aの端部を塞ぐとともにシャフト14を挿通させる底部33bとにより略円錐台状に形成されている。仕切り部33は、図4に二点鎖線で示すように、第2接続部18の開口部18aから外側に配置された状態でカバー本体16に一体成形された後、開口部18aからカバー本体16内に押し込まれることによってカバー本体16内に配置されている。仕切り部33の底部33bには、前記第1実施形態の仕切り部22と同様の軸孔23及び軸シール部24が設けられている。
【0031】
この実施形態のコラムホールカバー10をステアリングギヤボックス15とダッシュパネル12との間に組み付けるときには、先ず、図示しないステアリングシャフトと連結される前のシャフト14にコラムホールカバー10を挿通させた後、このコラムホールカバー10の第1接続部17をステアリングギヤボックス15に固定する。次に、カバー本体16の第2接続部18の開口部18aから外方に延出されている仕切り部33を開口部18aを通じて車室側に引っ張ることにより、突条部30の一部を弾性変形させて開口部18a内に引き込み、開口部18aの周縁部に周溝31を嵌める。この結果、カバー本体16の第2接続部18がダッシュパネル12に固定されるとともに、開口部18aの周縁部の表面にシール部32が圧接される。次に、仕切り部33を開口部18aからカバー本体16内に押し込むとともに、その軸孔23にシャフト14を挿通させる。すると、軸孔23の内側の軸シール部24が、シャフト14の外周面に圧接される。以上により、コラムホールカバー10が、ステアリングギヤボックス15とダッシュパネル12との間に組み付けられる。最後に、車室側において、シャフト14側の連結部にステアリングシャフト側の連結部を連結する。
【0032】
また、この実施形態のコラムホールカバー10においても、前記第1実施形態のコラムホールカバー10と同様に、車両の走行中において、シール部32による開口部13のシール状態が良好に維持される。また、エンジン室11から車室内への開口部13を介した騒音の侵入が効果的に低減される。
【0033】
さらに、この実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、カバー本体16の第2接続部18が、その開口部18aの外周に設けられた突条部30及び周溝31によってダッシュパネル12に固定されるとともに、周溝31内のシール部32により開口部13がシールされる。このため、取付金具20が不要となるとともに、その組付工数が不要となる。
【0034】
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することもできる。
・ 図3に示すように、仕切り部22と一体の軸シール部24に代えて、軸孔23の内周に自己潤滑性軸受(摩擦低減手段)35を設けた構成とする。自己潤滑性軸受35としては、例えば、合成樹脂や青銅焼結からなる軸受に潤滑油を均一に分散含有させたものや、鋳造合金からなる軸受に固体潤滑剤を埋め込んだものがある。この自己潤滑性軸受35は、第2接続部18の開口部18aから仕切り部22が外方に延出されている状態で軸孔23内に装着され、仕切り部22が開口部18aからカバー本体16内に押し込まれるときにシャフト14に嵌められる。この場合にも、ステアリング装置における摩擦の増大を抑制し、ステアリング装置を円滑に作動させることができる。
【0035】
・ 前記仕切り部22を、カバー本体16とは別に成形し、この仕切り部22を、カバー本体16の第2接続部18の開口部18aの内周縁に接着することによりカバー本体16内に配置した構成とする。このような構成によっても、重量増加や組付性悪化を抑制しながら遮音性を向上することができる。
【0036】
・ 前記仕切り部22を、図1に二点鎖線で示すように、第2接続部18の開口部18aを塞ぐ平板状とする。このような構成でも、重量増加や組付性悪化を抑制しながら遮音性を向上することができる。
【0037】
・ この発明を、ボール・アンド・ジョイント式のステアリング装置の一部を開口部13とともに覆うコラムホールカバーに具体化する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1実施形態のコラムホールカバーを示す縦断面図。
【図2】仕切り部を示す縦断面図。
【図3】仕切り部の変形例を示縦断面図。
【図4】第2実施形態のコラムホールカバーを示す縦断面図。
【図5】仕切り部を示す縦断面図。
【図6】従来のコラムホールカバーの要部を示す縦断面図。
【図7】従来のコラムホールカバーを示す縦断面図。
【符号の説明】
【0039】
10…コラムホールカバー、12…ダッシュパネル、13…開口部、14…シャフト、15…ステアリングギヤボックス、16…カバー本体、18…接続部としての第2接続部、18a…開口、21…シール部、22…仕切り部、22a…筒状部、22b…底部、23…軸孔、24…摩擦低減手段としての軸シール部、31…周溝、32…シール部、33…仕切り部、35…摩擦低減手段としての自己潤滑性軸受。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュパネルとステアリングギヤボックスとの間において同ダッシュパネルの開口部に挿通されたステアリング装置のシャフトを覆うとともに同開口部を覆う略筒状に形成され、かつ、ダッシュパネルとの接続部には同開口部を封止するためのシール部を設けたコラムホールカバーにおいて、
カバー本体の内側には、前記ステアリング装置のシャフトを挿通させた状態で同接続部の開口部を塞ぐ仕切り部を、その外周縁部がカバー本体におけるダッシュパネルとの接続部の開口部内周縁に繋がるように設けたことを特徴とするコラムホールカバー。
【請求項2】
前記仕切り部は、カバー本体の前記接続部の開口部から外側に配置された状態で同カバー本体と一体成形された後、同開口部からカバー本体内に押し込まれることによってカバー本体内に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のコラムホールカバー。
【請求項3】
前記仕切り部は、前記接続部の開口部内周縁に繋がる筒状部と、この筒状部の端部に設けられるとともに前記シャフトを挿通させる底部とにより円錐台状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコラムホールカバー。
【請求項4】
カバー本体におけるダッシュパネルとの接続部の外周には、ダッシュパネルの開口部の周縁全体に嵌る周溝を設け、この周溝の内側に前記シール部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のコラムホールカバー。
【請求項5】
前記仕切り部において前記シャフトを挿通させる軸孔には、同シャフトの外周面と軸孔との間の摩擦を低減する摩擦低減手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のコラムホールカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−22323(P2007−22323A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207445(P2005−207445)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【出願人】(596004761)イノアックエラストマー株式会社 (33)
【Fターム(参考)】