説明

コラーゲン産生促進剤および抗老化化粧料

【課題】皮膚における線維芽細胞のコラーゲン量の産生量を促進して若々しい肌を保つため、優れたコラーゲン産生促進活性を有するコラーゲン産生促進剤とし、このコラーゲン産生促進剤を配合して、例えばシワ改善効果を奏する抗老化化粧料とすることである。
【解決手段】下記の化3の式で表わされ、リン酸エステル部が分岐したアルキル基を有するL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルまたはその塩からなるアスコルビン酸誘導体からなるコラーゲン産生促進剤とする。
【化3】


(式中、R1、Rは、水素(H)または分枝を有する炭素数3〜30のアルキル基を表わす。ただし、R=R=水素(H)である場合を除く。)
上記したアスコルビン酸誘導体は、分子構造の所定位置(2位)にリン酸エステル部を有し、その部分に分岐したアルキル基を有するため、適度な脂溶性があって細胞内に取り込まれやすい特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アスコルビン酸誘導体を用いたコラーゲン産生促進剤及びこれを含有する抗老化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、常に外界にさらされており、加齢とともにシワ、タルミ、くすみ、色素沈着などの老化現象が生じる。なかでも、シワやタルミといった形態変化は、真皮マトリックスの90%以上を占めるコラーゲンによる影響が大きいと考えられている。
【0003】
真皮コラーゲンの量は、加齢と共に減少し、コラーゲンの減少で真皮構造の形成が不完全になるため、皮膚は衰える。また、いわゆる「光老化皮膚」のコラーゲン量も通常の皮膚に比べて、著しくコラーゲン量が減少し、シワ、タルミの大きな要因の一つとして考えられている。
【0004】
従来、皮膚の加齢による形態変化を予防する薬剤として、レチノ−ルやレチノイン酸誘導体が、シワ防止化粧品として用いられ、これはコラーゲン産生を促進する。
【0005】
しかし、これらのシワ防止化粧品は、皮膚刺激性が強く、また非常に不安定な物質であり、使用する際に困難が伴う。
【0006】
また、コラーゲン産生促進効果を持った薬剤としてアスコルビン酸が知られているが、このものは熱や酸化に対して非常に不安定であり、使用前や使用中に不活性化されたり分解されたりしやすいため、必ずしも十分な生理作用が得られない場合がある。
【0007】
このようなアスコルビン酸の不安定性を改善するために、L−アスコルビン酸のジオール部をリン酸エステル化した誘導体(特許文献1参照。)やグルコシド化した誘導体(特許文献2参照。)が知られている。
【0008】
【特許文献1】特公昭52−18191号公報
【特許文献2】特開平03−139288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した従来のL−アスコルビン酸誘導体は、親水性が高いので、皮膚浸透性が芳しくない欠点があり、使用者の希望を充分に満足させるものにはなり得なかった。
【0010】
そこで、この発明の課題は、上記した従来のL−アスコルビン酸誘導体の課題を解決して、皮膚における線維芽細胞のコラーゲン量の産生量を促進して若々しい肌を保つため、優れたコラーゲン産生促進活性を有するコラーゲン産生促進剤とし、このコラーゲン産生促進剤を配合して、例えばシワ改善効果を奏する抗老化化粧料とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、この発明においては、下記の化2の式で表わされ、リン酸エステル部が分岐したアルキル基を有するL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルまたはその塩からなるアスコルビン酸誘導体からなるコラーゲン産生促進剤としたのである。
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、R1、Rは、水素(H)または分枝を有する炭素数3〜30のアルキル基を表わす。ただし、R=R=水素(H)である場合を除く。)
【0014】
上記したアスコルビン酸誘導体は、分子構造の所定位置(2位)にリン酸エステル部を有し、その部分に分岐したアルキル基を有するため、適度な脂溶性があって細胞内に取り込まれやすい特性を有する。
【0015】
上述のように好ましい作用のあるアスコルビン酸誘導体は、分枝したアルキル基が、2−ヘプチルウンデシル基、2−オクチルデシル基、2−オクチルドデシル基、2−ヘキシルデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−イソヘプチルイソウンデシル基、16−メチルヘプタデシル基または2−(1,3,3−トリメチル−n−ブチル)−5,7,7−トリメチル−n−オクチル基であるものが代表的なものである。
【0016】
同様に、上述のように好ましい作用のあるアスコルビン酸誘導体の塩とするためには、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩であることが好ましい。
【0017】
前記記載の構造で示される化合物のいずれかを含有するコラーゲン産生促進剤とすることができ、また前記コラーゲン産生促進剤のいずれかを有効成分として含有する抗老化化粧料とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明に用いられる所定のアスコルビン酸誘導体の1種あるいは2種以上を含有するコラーゲン産生促進剤は、適度な脂溶性があって細胞内に取り込まれやすく、その際に生体内に広く分布するホスファターゼによって速やかにL−アスコルビン酸及びリン脂質などに分解され、皮膚の線維芽細胞においてL−アスコルビン酸本来の優れたコラーゲン産生促進効果を発揮する。
【0019】
これらのコラーゲン産生促進剤は、皮膚における線維芽細胞のコラーゲン量を富化することができ、その結果として、シワ改善効果があり、また抗老化化粧料として有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明において用いられる前記した化2の式で示されるL−アスコルビン酸−2−リン酸エステル、すなわち2−(分枝型アルキル)−L−アスコルビルホスフェートの具体的例として化合物名を列挙すれば以下の通りである。
【0021】
すなわち、2−(2−メチルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−エチルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−プロピルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ブチルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ペンチルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ヘキシルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ヘプチルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−オクチルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ノニルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−メチルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−エチルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−プロピルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ブチルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ペンチルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ヘキシルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ヘプチルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−オクチルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ノニルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−デシルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−メチルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−エチルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−プロピルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ブチルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ペンチルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ヘキシルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ヘプチルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−オクチルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ノニルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−デシルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−ウンデシルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(2−イソヘプチルイソウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−(16−メチルヘプタデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−メチルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−エチルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−プロピルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ブチルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ペンチルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ヘキシルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ヘプチルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−オクチルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ノニルデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−メチルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−エチルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−プロピルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ブチルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ペンチルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ヘキシルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ヘプチルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−オクチルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ノニルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−デシルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−メチルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−エチルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−プロピルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ブチルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ペンチルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ヘキシルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ヘプチルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−オクチルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ノニルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−デシルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−ウンデシルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(2−イソヘプチルイソウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス(16−メチルヘプタデシル)−L−アスコルビルホスフェート、2−ビス[2−(1,3,3−トリメチル−n−ブチル)−5,7,7−トリメチル−n−オクチル]−L−アスコルビルホスフェートなどが挙げられる。
【0022】
上記列挙したものは2位で分枝したアルキル基を有するが、この発明のアスコルビン酸誘導体としては、例えば2−[2−(1,3,3−トリメチル−n−ブチル)−5,7,7−トリメチル−n−オクチル]−L−アスコルビルホスフェートなどのように上記以外の位置で分枝したアルキル基も含むものである。
【0023】
また、この発明においてはアスコルビン酸誘導体の塩も使用可能であり、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルギニン等の塩基性アミノ酸、トリエタノールアミン等の有機アミンを用いることができる。
【0024】
また前記の化2の式で示されるアスコルビン酸誘導体関連化合物は、既知の方法によって調製することができる。
【0025】
すなわち、この発明のアスコルビン酸誘導体は、いずれも後で証明するように、コラーゲン産生促進機能を有し、コラーゲン産生促進剤として有用である。
【0026】
この発明に係るアスコルビン酸誘導体は、有効成分として含有されコラーゲン産生促進剤として利用される他、皮膚外用剤に配合して皮膚の線維芽細胞においてコラーゲン産生促進作用を発揮させ、コラーゲン産生促進作用によるシワの改善効果等の抗老化作用などの機能を持たせ、抗老化用の皮膚外用剤などに調製できる。
【0027】
この発明に係るアスコルビン酸誘導体からなるコラーゲン産生促進剤を配合して抗老化化粧料とする場合、アスコルビン酸誘導体の1種又は2種以上を配合してもよく、その配合量は、抗老化化粧料全量中に0.05質量%以上、例えば0.05〜80質量%、好ましくは0.5〜50質量%にすることが有効であり、かつ配合の効率もよい。因みに、安全性が周知であるアスコルビン酸誘導体は、過剰に配合しても安全性に問題はなく、化粧料として皮膚刺激性で実用性を失しない濃度で配合可能である。
【0028】
抗老化化粧料には、上記の必須成分の他、通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分、例えば油性成分、乳化剤、保湿剤、増粘剤、薬効成分、防腐剤、顔料、粉体、pH調整剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料等を適宜配合することができる。
【0029】
油性成分の具体例としては、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、ホホバ油、ミツロウ、カルナウバロウ、ラノリン、オリーブ油、ヤシ油、高級アルコール、脂肪酸、高級アルコールと脂肪酸のエステル、シリコーン油等が挙げられる。
【0030】
乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤、ステアロイル乳酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、大豆リン脂質等の両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0031】
保湿剤としては、例えばグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオールなどが挙げられる。
【0032】
増粘剤としては、例えばカルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ベントナイト等の粘土鉱物等が挙げられる。
【0033】
他の薬効成分としては、例えば各種ビタミンおよびその誘導体、アラントイン、グリチルリチン酸およびその誘導体、各種動植物抽出物等の老化防止剤、保湿剤、育毛剤、発毛剤、経皮吸収促進剤、紫外線吸収剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、美白剤、防腐防カビ剤が挙げられる。
【0034】
この発明のコラーゲン産生促進剤を含む抗老化化粧料は、前記した所定のアスコルビン酸誘導体をコラーゲン産生促進性の有効成分として配合することの他には、特に製造の条件を限定されず、周知の化粧料製造法により調製できる。またこの発明のコラーゲン産生促進剤の用途は、国内外の法律や社会的事情などにより限定されず、医薬部外品、外用医薬品等にも適用でき、化粧料の剤型は目的に応じて、クリーム状、乳液状、液状、ゲル状、軟膏状、パック状、スティック状、パウダー状等の形態を選択的に採用することができる。
【実施例1】
【0035】
<コラーゲン産生促進剤の線維芽細胞によるコラーゲン産生能評価>
線維芽細胞は、5%子牛血清(FBS)含有DMEMを用いて96穴マイクロプレートにほぼコンフルエントになるように播種し、播種24時間後に所定の濃度の試料を含有した0.5%FBS含有DMEMと交換した。陽性コントロールとして50μMアスコルビン酸リン酸マグネシウムを用いた。72時間、試料含有培地で培養したのち、培地を回収してELISAに供した。細胞は0.1% Triton X−100溶液にて溶解したのち、Lowry法を用いてタンパク量を定量した。コラーゲンのELISAは Procollagen type I C-peptide(PIP) Kit (タカラバイオ社製)を用いて測定した。
【0036】
培地中のコラーゲン含有量は、同じプレートで測定した検量線から算出した。そして、Lowry法によって測定した全細胞のタンパク量で、ELISAを用いて測定した培地中のコラーゲン含有量を除することによって、細胞の単位タンパク量あたりのコラーゲン産生量を算出した。
【0037】
コラーゲン産生量(ng/mg protein)=培地中のコラーゲン含有量(ng/well)÷全タンパク量(mg/well)
【0038】
コラーゲン産生能は、試料を添加せずに培養した細胞(コントロール)のコラーゲン産生量を100として、各濃度の試料で培養した時のコラーゲン産生量の割合(%)で表した。
【0039】
<試験結果>
各種のアスコルビン酸誘導体のコラーゲン産生率の結果を表1に示した。表1の結果からも明らかなように、アスコルビン酸誘導体が未添加(コントロール)の場合に比べて、所定のアスコルビン酸誘導体の添加により、明らかにコラーゲン含有量が増大した。
【0040】
【表1】

【実施例2】
【0041】
<ヒトによるシワ改善効果の評価>
以下の表2に示す配合割合(合計100重量%)でアスコルビン酸誘導体の化粧料組成物(化粧水)を調製し、シワの悩みを持つ被験者を一群20名とし、各化粧料を毎日、朝と夜、3ヶ月間塗布使用させ、3ヶ月後に累積塗布効果を以下の判定基準により自己判定させ、さらに判定結果を以下の基準で評価し、表3中に示した。
【0042】
【表2】

【0043】
[評価]
◎:被験者のうち著効、有効の示す割合(有効率)が80%以上。
○:被験者のうち著効、有効の示す割合(有効率)が60%以上80%未満。
△:被験者のうち著効、有効の示す割合(有効率)が40%以上60%未満。
×:被験者のうち著効、有効の示す割合(有効率)が40%未満。
ただし、有効性の判定基準は以下の通りとした。
著効:シワがほとんど目立たなくなった。
有効:シワが少し目立たなくなった。
やや有効:シワがやや目立たなくなった。
無効:変化なし。
【0044】
【表3】

【0045】
上記の結果から、アスコルビン酸誘導体は、コラーゲン産生促進剤として有用であり、有効成分として含有されてコラーゲン産生促進剤として応用できる他、皮膚外用剤に配合すると、皮膚の線維芽細胞にコラーゲン産生促進作用を発揮し、コラーゲン量の富化によるシワの改善効果等によって抗老化作用の機能を持し、抗老化化粧料として有用であることが判る。
【0046】
以下に、所定のアスコルビン酸誘導体を有効成分とする実施例として、化粧料の代表的な処方例を示す。各行右端の数値は配合割合(重量%)である。なお、得られた処方例による化粧料は、有効成分量のコラーゲン産生促進剤を含有し、シワ改善効果等を奏する抗老化化粧料である。
【0047】
[処方例1](ゲル状クリーム)
2−(2−ヘキシルデシル)−L−アスコルビルホスフェート 5.0
グリセリン 5.0
エタノール 5.0
水酸化ナトリウム 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.8
香料 適量
防腐剤 適量
精製水 残余
【0048】
[処方例2](乳液)
2−(2−ヘプチルウンデシル)−L−アスコルビルホスフェート 10.0
1,3−ブチレングリコール 10.0
カルボキシビニルポリマー 0.3
スクワラン 5.0
セタノール 0.6
L−アルギニン 0.3
香料 適量
防腐剤 適量
精製水 残余
【0049】
[処方例3](クリーム)
2−ビス(2−オクチルドデシル)−L−アスコルビルホスフェート 10.0
1,3−ブチレングリコール 10.0
カルボキシビニルポリマー 0.4
スクワラン 5.0
セタノール 3.0
ミツロウ 3.0
L−アルギニン 0.3
香料 適量
防腐剤 適量
精製水 残余

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化1の式で表わされ、リン酸エステル部が分岐したアルキル基を有するL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルまたはその塩からなるアスコルビン酸誘導体からなるコラーゲン産生促進剤。
【化1】

(式中、R1、Rは、水素(H)または分枝を有する炭素数3〜30のアルキル基を表わす。ただし、R=R=水素(H)である場合を除く。)
【請求項2】
分枝したアルキル基が、2−ヘプチルウンデシル基、2−オクチルデシル基、2−オクチルドデシル基、2−ヘキシルデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−イソヘプチルイソウンデシル基、16−メチルヘプタデシル基または2−(1,3,3−トリメチル−n−ブチル)−5,7,7−トリメチル−n−オクチル基である請求項1に記載のアスコルビン酸誘導体からなるコラーゲン産生促進剤。
【請求項3】
塩が、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩である請求項1または2に記載のアスコルビン酸誘導体からなるコラーゲン産生促進剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のアスコルビン酸誘導体を含有するコラーゲン産生促進剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のコラーゲン産生促進剤を有効成分として含有する抗老化化粧料。

【公開番号】特開2008−94750(P2008−94750A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277712(P2006−277712)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(592215011)東洋ビューティ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】