説明

コラーゲン結合領域と副甲状腺ホルモンとの融合タンパク

コラーゲン結合領域と連結した副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone: PTH)および副甲状腺ホルモン関連ペプチド(parathyroid hormone related peptide: PTHrP)の活性アゴニストまたはアンタゴニストの断片を含む融合タンパクが提示される。前記融合タンパクは、骨成長促進、毛髪成長、ガンの骨転移の予防、骨髄幹細胞移植にともなう免疫系再構築の促進、自己移植用幹細胞収集のための骨髄幹細胞の可動化の促進、および腎性骨形成異常症腎性骨形成異常症の治療に使用できる。さらに、非ペプチド性PTH/PTHrP受容体アゴニストまたはアンタゴニストに連結したコラーゲン結合性ポリペプチドの断片よりなる薬剤も提示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
骨粗しょう症 は、時間の経過とともに骨組織が細くなり骨密度が減少することにより特徴付けられる骨の疾患であり、老年者に広く蔓延している。National Osteoporosis Foundation は、2020 年までに約1,400万人のアメリカ人が骨粗しょう症を患うと推定している。さらに追加の 1,800万人が低骨密度または骨減少症に罹患するとしている。骨粗しょう症は人体が十分な量の骨を形成できないか、古い骨を再吸収しすぎるか、またはその両方により惹起される。
【0002】
骨粗しょう症は、しばしば骨折が起きるまで無痛で進行する。全ての骨が影響を受ける可能性があるが、最も懸念されるもののひとつは腰部である。腰部骨折は歩行能力を損なわせ、長引く、または永久の障害を引き起こす。
【0003】
骨粗しょう症は、同化療法または 骨再吸収阻害療法により治療される。同化療法は新しい骨を形成する。しかし骨再吸収阻害療法では新しい骨は形成されない。そのかわりに現存する骨の再吸収を遅延させる。骨の再モデリングのコントロールの主要な要素は副甲状腺ホルモン(PTH)である。 PTH とその類縁体は、証明された有効性を持つ同化療法の唯一の部類である。トリペプチド(Tripeptide)は承認された治療薬でありPTHの短縮版である。トリペプチドは完全なPTHのN-末端の34個のアミノ酸残基[PTH(1-34)]よりなる。トリペプチド は皮下注射により一日一回投与される。
【0004】
PTH はアミノ酸84個よりなるペプチドである。PTHは無機イオンのホメオスタシスに関与する。カルシウムの不足した食事またはビタミンDの不足に対応してPTHが増加し、骨からのカルシウム・イオンの可動化を引き起こす。PTH はさらに骨芽細胞および間質細胞に影響する。骨量減少は副甲状腺機能亢進症に付随するにもかかわらず、PTHの投与は骨の増加を引き起こす。 PTH は骨芽細胞上の、骨形成に特化した骨細胞である受容体に結合し、これにより骨芽細胞の寿命が引き伸ばされ、骨芽細胞活性が増進され、骨形成が起きると考えられる。
【0005】
PTH関連ペプチド (PTHrP) は、141個のアミノ酸からなるタンパクで、13個目までのアミノ酸配列はPTH と同一であるが、それ以降の配列が異なる (1-3) 。PTH およびPTHrP は、共通のPTH/PTHrP受容体を介して作用する。骨粗しょう症 の新しい治療法が必要とされている。改良法はPTH、 トリペプチドまたは他のPTH/PTHrP 受容体アゴニストを必要に応じて供給するものである。
【0006】
要旨
本願に開示される一実施例は、PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結したコラーゲン結合性ポリペプチドの断片よりなる組成物または生物活性物質を含む。本発明者らは、Clostridium histofyticum より得られるコラーゲナーゼであるCoIHのコラーゲン結合領域(CBD)に融合した PTHの活性アゴニスト断片であるPTHの1-33残基を含む融合タンパクを構築した。本発明者らは、上記融合タンパクが、in vivoでのマウスにおける骨成長促進作用において、全身的に投与した場合においてさえ、PTH(1-34)よりも高い活性を示すことを見出した。例えば骨折箇所への局所投与では、有効性の差はさらに大きいことが期待される。
【0007】
より選択的かつ増強された生物活性のために、PTH/PTHrP 受容体のアンタゴニストであるペプチドもさらにCBDに連結することができる。
【0008】
さらにコラーゲン結合性ポリペプチド断片に結合されたPTH/PTHrP 受容体の非ペプチド性アゴニストまたはアンタゴニストを含む組成物または生物活性物質も提示される。コラーゲンは哺乳動物において最も普遍的に存在するタンパクである。コラーゲンは骨と軟骨のタンパク組成物の主成分である。CBD活性物質である融合タンパクは、このように コラーゲン、一般的には骨と軟骨を標的として生物活性物質を与えることができる。前記CBD-PTH 融合タンパクは、その安定なコラーゲンとの結合のため、循環から逃れる傾向を持つことができ、PTHより長い半減期を持つ。これらは例えば骨折部位などに局所投与でき、該投与部位または近傍のコラーゲンとの結合により、該投与部位にとどまる傾向を持つ。このより長い半減期の裏づけとして、 上皮成長因子(epidermal growth factor: EGF) とCBDを含む 融合タンパクは、EGF単体よりもはるかに長い半減期を持つことが示されている(8)。本願の実施例4および5にも週毎または月毎に投与されたPTH-CBD 融合タンパクが、毎日投与されたPTH( 1 -34)と同等またはそれ以上の有効性を示すデータが示されている。
【0009】
本発明の一実施例は、PTH/PTHrP 受容体アゴニスト断片に連結されたバクテリア由来のコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物を提供する。
【0010】
一実施例は、PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結されたコラーゲナーゼの断片であるコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物を提供する。
【0011】
一実施例は、PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結されたコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物を提供し、8週間にわたる週一回の前記組成物とビークルの腹腔内注射による骨無機質密度増加値のビークル単独投与の値による補正値は、PTH/PTHrP アゴニストをビークルと投与した値のビークル単独投与の値による補正値に比べて、少なくとも50%大きい。すなわち前記生物活性物質(組成物)は、緩衝液の水溶液のようなビークル中に適切な薬量を加えて投与したときにマウスの骨の無機物密度増加を引き起こす。ビークルのみによる対照処置も、骨の無機質密度にある種の変化を引き起こす可能性がある。なぜならば、例えば若年マウスの場合には骨が未だに成長しており、老年の場合には骨の無機質密度が減少したりしているからである。前記生物活性物質の効果を測定する適切な方法は、実験マウスに薬剤とビークルを与えた場合の骨の無機質密度の増加分から、ビークルのみを与えたマウスの骨の無機質密度の増加(または減少)を差し引いたものを測定することである。この薬剤投与による骨の無機質密度の増加分から、ビークルのみを投与された対照マウスの骨の無機質密度の変化分を補正した値は、再度同様に対照マウスでの何らかの骨の無機質密度の変化を補正後のPTH/PTHrP 受容体アゴニスト(コラーゲン結合性ポリペプチド断片と連結されていない)で処置されたマウスでの骨の無機質密度の増加分と比べ、少なくとも50%大きい。例えば実施例4に示される本願の図3では、前記ビークル8週間投与後の対照マウスの骨無機質密度の増加は5%であり、PTH( 1 -34) (PTH/PTHrP アゴニスト)を投与されたマウスでは、骨無機質密度(BMD)の増加は7.5%であり、PTH(1-33) と連結したコラーゲン結合領域を含むPTH-CBD 融合タンパクで処置されたマウスではBMDの増加は15%以上であった。PTH- CBD 融合タンパクで処置されたマウスは、このようにビークル自身を投与したマウスでの変化を補正後に10%以上 (15%以上から5%を差し引いた値) のBMD増加を示し、PTH (1-34) で処置されたマウスのビークルのみを投与したマウスでの変化を補正後のBMD増加分は約2.5% (約7.5% から5%を差し引いた値) であった。このように、前記融合タンパクの週に一回の腹腔内投与により、PTH(1-34)投与に比べて300% 以上多い(4倍以上、すなわち10% 以上対約2.5%) BMD増加が示された。
【0012】
別の実施例は、PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結したバクテリア由来のコラーゲン結合性ポリペプチド断片によりなる融合タンパクを提供する。
【0013】
別の実施例はPTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結したコラーゲナーゼ由来のコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる融合タンパクを提供する。
【0014】
別の実施例PTH/PTHrP 受容体アンタゴニスト・ポリペプチド断片と連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる融合タンパクを提供する。
【0015】
別の実施例は、非ペプチド性PTH/PTHrP 受容体アゴニストと連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物を提供する。
【0016】
別の実施例は、非ペプチド性PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストと連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物を提供する。
【0017】
別の実施例は、PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストと連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物を提供する。
【0018】
別の実施例は、哺乳動物に(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結した(a)コラーゲン結合性ポリペプチド断片を投与することよりなる前記哺乳動物の骨の成長を促進する方法を提供する。
【0019】
別の実施例は、哺乳動物に(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結した(a)コラーゲン結合性ポリペプチド断片を投与することよりなる前記哺乳動物の骨の成長を促進する方法を提供する。
【0020】
別の実施例は、哺乳動物に(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結した(a)コラーゲン結合性ポリペプチド断片を投与することよりなる哺乳動物の骨の成長を促進する方法を提供する。
別の実施例は、哺乳動物に(b) PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストに連結した(a)コラーゲン結合性ポリペプチド断片を投与することよりなる哺乳動物の毛髪の成長を促進する方法を提供する。
別の実施例は、組成物の投与前、投与中、投与後に哺乳動物がその組織に接するインプラントの移植を受け、さらに前記組成物の投与ステップが、前記インプラント周辺の組織成長の促進に有効である、(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結した(a)コラーゲン結合性ポリペプチド断片を投与することよりなる哺乳動物の移植部位周辺の組織成長を促進する方法を提供する。
【0021】
別の実施例は、組成物の投与前、投与中、投与後に哺乳動物が骨髄幹細胞の移植(投与)を受ける場合の、(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結した(a)コラーゲン結合性ポリペプチド断片を投与することよりなる哺乳動物の免疫再構築を促進する方法を提供し、前記組成物は骨髄幹細胞の移植、増殖、および/または分化を増進することにより、免疫再構築を増進する。
【0022】
別の実施例は、(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結した(a)コラーゲン結合性ポリペプチド断片を投与することよりなる哺乳動物の骨髄幹細胞の可動化を促進する方法を提供し、前記組成物の投与は前記哺乳動物の血中を循環する幹細胞数を増加させる (例えば前記融合タンパク投与の7、 14、 または 30 日後)。
【0023】
別の実施例は、(b) PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストに連結した(a) コラーゲン結合性ポリペプチド断片によりなる組成物の投与による哺乳動物の腎性骨形成異常症の治療または予防法を提供し、その場合に前記哺乳動物は腎性骨形成異常症または腎臓疾患に罹患しており、前記組成物は前記哺乳動物の骨の損失を減少させることに有効である。
【0024】
別の実施例は、(b) PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストに連結した(a) コラーゲン結合性ポリペプチド断片によりなる組成物の投与による哺乳動物のガンの骨転移の治療または予防法(すなわち、発症率を減少させる)を提供し、ガンの骨転移の発症率を減少させるか、または骨内の転移ガンの成長を遅くするかに有効な前記組成物の薬量が投与される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1はコラーゲンに結合した二つのPTH-CBD 融合タンパクを示す実験結果を示すSDS-PAGEゲルのパターンである。
【図2】図2は、in vitroでのPTH(1-34)またはPTH-CBD融合タンパクにより刺激された細胞内のc-AMPの蓄積を示すグラフである。
【図3】図3は、緩衝液(ビークル)、 PTH(1-34)、PTH-PKD-CBD 融合タンパクまたはPTH-CBD 融合タンパクの週一回の腹腔内投与を8週間受けたマウスの背骨の骨の無機質密度増加を示す棒グラフである。
【図4】図4は緩衝液(ビークル)、 PTH(1-34)、PTH-PKD-CBD 融合タンパクまたはPTH-CBD 融合タンパクの週一回の腹腔内投与を8週間受けたマウスを殺処分後に背骨を切除して測定した背骨断片の絶対的無機質密度増加を示す棒グラフである。
【図5】図5は、緩衝液(ビークル)、 PTH(1-34)、PTH-PKD-CBD 融合タンパクまたはPTH-CBD 融合タンパクの週一回の腹腔内投与を8週間受けたマウスの血清カルシウム濃度を示す棒グラフである。
【図6】図6は、緩衝液(ビークル)、 PTH(1-34)、PTH-PKD-CBD 融合タンパクまたはPTH-CBD 融合タンパクの週一回の腹腔内投与を8週間受けたマウスの血清アルカリフォスファターゼ濃度を示す棒グラフである。
【図7】図7は、ビークルまたはPTH-CBD 融合タンパクの週一回の腹腔内投与を8週間受けたマウスの脛骨の切断面の顕微鏡写真である。前記切断面はヘマトキシリンおよびエオシン染色剤で染色されている。前記顕微鏡写真は、PTH- CBD投与マウスの骨中での増加した皮質および骨梁の骨量を示している。
【図8】図8はPTH-CBD、PTH(1-34)または対照のビークルを各々6ヶ月にわたって投与したマウスの骨の無機質密度の経時的な変化を示す線グラフである。PTH (1-34) 投与群では、6ヶ月目に一日一回2週間にわたりPTH (1-34) を投与された (X軸の矢印で表示) 。その後の実験期間中は、全ての群は無処置にされた。
【図9】図9は、一日一回PTH(1-34)を14日間投与(PTH)、PTH-CBD 融合タンパクを実験開始時に一回投与(CBD-PTH-6)、PTH-CBD 融合タンパクをタイム0および3ヶ月目に投与(CBD-PTH-3)、および対照のビークルを投与したマウスの骨の無機質密度の経時的な変化を示す線グラフである。
【図10】図10は、ビークル、 PTH(1-34)、 PTH-PKD-CBD 融合タンパク、またはPTH-CBD 融合タンパクを週一回注射投与したマウスの8週間後の血清アルカリフォスファターゼ量を示す棒グラフである。
【図11】図11は、単回の皮下注射により、各薬量の範囲のPTH-CBDを投与されたマウスの骨の無機質密度を示す棒グラフである。骨の無機質密度は32週目まで観察された。各薬量を二匹のマウスに与えた。
【図12】図12 は、実施例8に記載された化学療法誘発性脱毛症を発症したマウスの背中の毛を剃り、その無毛の部位にPTH-CBD 融合タンパクを皮下注射により投与した場合、および対照マウスの写真である。各群は3匹のマウスよりなり、写真はPTH-CBD 投与の0 日、14 日後、および21 日後に撮影した。写真ではPTH- CBD 融合タンパク投与マウスに、より多い毛髪の成長が見られる。
【0026】
発明の詳細な説明
本発明の開示には、生物活性物質、およびPTH/PTHrP 受容体アゴニストまたはアンタゴニストに連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる融合タンパクを含む組成物が含まれる。好適な実施例では、前記組成物は前記PTH/PTHrP アゴニストまたはアンタゴニストがポリペプチド断片であり、融合タンパク中で前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片 およびPTH/PTHrP ポリペプチド断片 はともに連結している融合タンパクである。しかしPTH/PTHrP アゴニストまたはアンタゴニスト部分は、非ペプチド性アゴニストまたはアンタゴニストであってもよい。
【0027】
「融合タンパク」および 「融合ポリペプチド」 という用語は、例えばコラーゲン結合性ポリペプチド断片およびPTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片のような二つの機能性断片よりなる単一のポリペプチドを意味することに使うことができる。前記融合タンパクは任意の大きさでよく、前記融合タンパクの単一のポリペプチドは、例えば二つの単一のポリペプチドのモノマーがシステインのジスルフィド結合で連結されるなど、その機能的な状態では多様型で存在することができる。ポリペプチド断片は、合成ポリペプチドまたは天然のポリペプチドのどちらであってもよい。そのようなポリペプチドは、ポリペプチドの一部または変形体を有してよい。
【0028】
前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片は、コラーゲンと結合するポリペプチドであり、より長い融合タンパクの一部、生物活性物質、または薬理活性物質であってよい。組成物、ポリペプチド断片、融合タンパク、または 薬理活性もしくは生物活性物質がコラーゲンに結合しているかどうかの決定は、下記の実施例2に述べられている方法で行うことができる。簡単に言うと、結合緩衝液中でこれらの物質をコラーゲンとインキュベートし、次いでその混合物をコラーゲン以外の物質は通過させるがコラーゲンは通過させないフィルターにより濾過すると、コラーゲンに結合している物質はフィルター上にとどまる。次いで前記組成物、ポリペプチド断片、融合タンパクまたは薬理活性もしくは生物活性物質の存在を確認するために濾取された物質を分析する。この分析により、コラーゲンとインキュベートしない場合と比較して、好適には少なくとも90%、より好適には 少なくとも99% の前記コラーゲン結合性の組成物、ポリペプチド断片、融合タンパク、または薬理活性もしくは生物活性物質が濾紙上にとどめられる。
【0029】
本願で開示される一実施例は、PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる融合タンパクを開示する。
【0030】
前記PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片は、合成ポリペプチドでも 天然ポリペプチドでもよい。 そのようなポリペプチドは、ポリペプチドの一部でも変形体からなってもよい。前記PTH/PTHrPに対する受容体アゴニスト活性は、下記実施例3に記載されたc-AMP刺激アッセイによりアッセイできる。アゴニストはc-AMP 合成を促進する。 好適にはアゴニストは、受容体の活性をPTH(1-34)の少なくとも10% 活性化することができる。
【0031】
前記アゴニスト融合タンパクをマウスに週に一回腹腔内投与した特定の実施例では、等モル数のPTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片よりなるポリペプチドをマウスに週一回、8週にわたり腹腔内投与した際の骨の無機質密度増大 (対照ビークルと比較して) に比較して、少なくとも50% 以上の骨の無機質密度増大 (ビークル対照と比較して) を示した (下記実施例4のように) 。
【0032】
同様に他の特定の実施例では、等モルの前記PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片よりなるポリペプチドまたはPTH(1-34)融合タンパクと比較して、前記融合タンパクは統計的に有意に大きい (p<0.05) BMD増加または少なくとも2倍のBMDの増加を引き起こす。
【0033】
前記融合タンパクのいくつかの実施例では、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片 はバクテリア由来のコラーゲン結合性ポリペプチド断片である。さらに特定の実施例では、それはClostridium 由来のコラーゲン結合性ポリペプチド断片である。
【0034】
いくつかの前記融合タンパクの実施例では、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片はコラーゲナーゼ、バクテリア・コラーゲナーゼ、またはClostridium コラーゲナーゼの断片である。好適には前記断片 は前記コラーゲナーゼ の単なる一部分であり、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片はコラーゲナーゼ 活性を持たない。いくつかの実施例では前記コラーゲナーゼは、CoIH, SEQ ID NO:6である。
【0035】
いくつかの実施例では、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:6 の901-1021 残基(SEQ ID NO:1の38-158残基)自身であるか、それを含み、またはSEQ ID NO:1 の38-158残基のうち、長さにおいて少なくとも8 アミノ酸残基を含む断片である。
【0036】
いくつかの実施例では、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片はSEQ ID NO:1の38-158残基に対して、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも98%、または少なくとも99%相同である。
【0037】
いくつかの実施例では、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片 は、SEQ ID NO:6の807-1021 残基 (SEQ ID NO:2の37-251残基)自身であるか、それを含む。
【0038】
特定の実施例では、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:6の901-1021残基自身であるか、例えば少なくとも8、 少なくとも10、 少なくとも20、 少なくとも30 、少なくとも40、 または少なくとも50 の連続したアミノ酸残基の断片を有する。
【0039】
他のタンパクの中で、前記コラーゲン結合性断片はClostridium histolyticum由来のclass I コラーゲナーゼであるCoIG (5)から誘導することができる。 CoIH は、class II コラーゲナーゼである (6) 。前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片 は、骨シアロタンパク、フィブロネクチン、または参考文献(30-33)に記載されたvon Willebrand因子よりのポリペプチド断片、またはポリグルタミン酸(34)であることができる。 特定の実施例では前記PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片は PTH またはPTHrP ポリペプチド断片である。PTHのヒトのイソ型は SEQ ID NO: 7である。PTHrP のヒトのイソ型は SEQ ID NO: 8である。
【0040】
特定の実施例では、前記PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片 はSEQ ID NO: 1の1-33残基[PTH (SEQ ID NO:7) の1-33残基]であるか、それを含む。
【0041】
特定の実施例では前記PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片 はPTH (SEQ ID NO:7) の1-34残基であるか、それを含む。他の実施例においては、断片 of PTH (SEQ ID NO:7)の残基1-34 の断片である。
【0042】
特定の実施例では前記PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片は、 PTH (SEQ ID NO:7) の1-84 残基自身であるか、それを含む。
【0043】
特定の実施例では、前記PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片は、PTH (SEQ ID NO:7)の1-14残基自身であるか、それを含む。
【0044】
特定の実施例では、前記PTH/PTHrP 受容体アゴニストはPTH またはPTHrP ポリペプチド断片である。
【0045】
一実施例では、前記PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片は、前記融合タンパク中の前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片のN-末端側にある。すなわち、前記二つのポリペプチド断片の各々はN-末端およびC-末端を有し、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片のN-末端が直接またはリンカーのポリペプチド断片を介し、前記PTH/PTHrP アゴニストのC-末端に連結される。前記融合タンパクの前記二つのポリペプチド断片は、直接的または間接的に連結できる。例えば、前記二つの断片は、直接的に例えばペプチド結合または化学的架橋結合により、または間接的にリンカーの断片またはリンカー・ポリペプチドを介して結合される。
【0046】
本願の開示は、さらにPTH/PTHrP 受容体アンタゴニスト・ポリペプチド断片に連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片を提供する。
【0047】
前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニスト・ポリペプチド断片は合成ポリペプチドまたは天然ポリペプチドであってよい。 そのようなポリペプチドは、ポリペプチドの一部でも変形体からなってもよい。前記PTH/PTHrP 受容体に対するアンタゴニスト 活性の測定は、下記実施例 3 に述べられるc-AMP 刺激アッセイにより行うことができる。アンタゴニストは、PTH(1-34) によるc-AMP 合成の促進を阻害する。好適には、PTH(1-34)と混合した時に、前記アンタゴニストは、PTH(1-34)による前記受容体の活性化を少なくとも50%阻害することができる。対照的に、PTH と混合されないときは、前記アンタゴニストはPTH(1-34)による前記受容体の最大活性化の5%未満の受容体の活性化を示す。PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストを含む前記融合タンパクでは、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片は、前記 PTH/PTHrP 受容体アゴニストを含む融合タンパクに見出される断片と同一の 断片であってよい。
【0048】
いくつかの実施例では、前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストはPTH またはPTHrP ポリペプチド断片である。
【0049】
一実施例では前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストは、PTH(7-34)、 すなわち、 PTH (SEQ ID NO:7)の7-34 残基を含むことができる。別の実施例では、それは、 PTH (SEQ DD NO.7)の7-33残基自身であるか、それを含むことができる。他の実施例では、それは SEQ IDNO:8の7-34残基の断片である。別の実施例では、前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストはPTH(7- 14)、 すなわちPTH (SEQ ID NO:7)の7-14 残基を含む。
【0050】
別の実施例では、前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストは、PTH の1-14残基をそのN-末端の延長とともに含む。 PTH またはPTHの活性N-末端断片へのN-末端拡張の付加は、前記PTH ペプチドをアンタゴニストに変換する。前記N-末端の拡張は1、 2、 3、 4、 5、またはさらに多くのアミノ酸の長さで行うことができる。前記N-末端を拡張するアミノ酸の種類は一般的に重要ではない。一実施例では前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストは、PTH の1-33 残基をそのN-末端の Gly-Ser拡張とともに含む (SEQ ID NO: 11)。
【0051】
別の実施例では、前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストは PTHrP(7- 34)、 すなわち、 SEQ ID NO:8の7-34残基、または SEQ ID NO:8 の7-34 残基の断片を含むことができる。
【0052】
別の実施例では、前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストは、マウスのTIP(7-39) を含むことができる(参考文献18)。前記融合タンパクに使用できる他のPTH/PTHrP 受容体アンタゴニストは、参考文献 (18)に開示されている。
【0053】
一実施例では、前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニスト・ポリペプチド断片は、前記アンタゴニスト融合タンパク中の前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片のN-末端側にある。すなわち、前記二つのポリペプチド断片は各々N-末端および C-末端を持つが、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片のN-末端は直接またはリンカーのポリペプチド断片を介して前記PTH/PTHrP アンタゴニスト・ポリペプチド断片 のC-末端に連結される。前記アゴニストの場合のように、前記アンタゴニスト融合タンパクの前記二つの ポリペプチド断片は直接的にまたは間接的に連結される。
【0054】
本願の開示においては、さらに哺乳動物にPTH/PTHrP アゴニスト・ポリペプチド断片に連結されたコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる融合タンパクを投与することを含む哺乳動物の骨成長促進方法を提供する。
【0055】
特定の実施例では、前記融合タンパクの哺乳動物への投与は、骨梁の無機質の量および/または骨梁の無機質密度を増大させるか、または骨梁の無機質の量および/または骨梁の無機質密度の減少を遅延させる。
【0056】
特定の実施例では、前記融合タンパクの哺乳動物への投与は、皮質骨の無機質の量および/または皮質骨の無機質密度を増大させるか、または皮質骨の無機質の量および/または皮質骨の無機質密度の減少を遅延させる。
【0057】
骨の無機質の量は、切片の組織学的染色により視認可能である。本願で用いられる前記「骨の無機質の量」という用語は、無機質化された骨により占められる容積を意味する。本願で用いられる前記「骨の無機質密度」という用語は、局所での骨密度、すなわち、骨の単位二次元面積当たりの骨の無機質の量を意味する。これは、X 線またはDEXA により測定できる(下記実施例)。
【0058】
本発明者らは 前記PTH-CBD 融合タンパクが、前記骨梁および皮質骨の無機質量および密度の両方を増大させることを見出した。前記皮質骨への効果は驚くべきことである。なぜならば、PTH(1-34) は皮質骨の無機質密度にほとんど影響を与えないか、またはさらには皮質骨の無機質密度を減少させ、 さらに骨梁の無機質密度を増加させることが見出されているからである(25-27)。
【0059】
前記融合タンパクは、例えば静脈注射のように全身投与できる。本発明者らは中性の緩衝液に前記融合タンパクを溶解して皮下注射により投与すると、前記融合タンパクは前記注射部位の局所に結合することを見出した。しかし前記融合タンパクを pH 4.5 以下の緩衝液に溶解すると、前記コラーゲン結合領域はその投与部位のコラーゲンには結合せず、前記融合タンパクは体内の他の中性pHである部位のコラーゲンに結合するため全身に分散される時間を持つことになる。このように一実施例では、前記融合タンパクの全身投与は、pH 約5.0 または4.5 もしくはそれ未満のpHの緩衝液または水溶液に溶解した前記融合タンパクを投与することを含む。別の実施例では、前記融合タンパクの全身投与はpH 約6.0 未満の水溶液に溶解した前記融合タンパクの投与を含む。
【0060】
特定の実施例では、前記融合タンパクは例えば、静脈内または皮下または腹腔内注射などの注射により投与される。注射による投与は全身投与でも局所投与でもよい。特定の実施例では、前記融合タンパクは整形外科用インプラント中に投与される。前記融合タンパクを投与できる整形外科用インプラントの例は、整形外科用骨欠損充填剤、骨折安定化用の添加物、骨髄内固定器具、関節増強/置換器具、骨固定板、ねじ、鋲、クリップ、釘、ピン、棒、アンカー、ねじ増強用器具、頭部再構築用器具を含む。別の整形外科用インプラントの例は歯科用インプラントを含む。歯科用インプラントの例は、人工歯根置換、インプラント支持ブリッジまたは義歯を含む。他の例はこの技術分野の当業者にとり周知である。本願において「インプラントに投与される」ということは、例えば前記インプラント表面への接着、共有結合または非共有結合、インプラントのポリマー被覆の微細孔への封入、またはセラミック粒子などの前記インプラント組成物への混合などにより前記融合タンパクがインプラントに付随されることを意味する。前記セラミック粒子が多孔性の場合には、前記融合タンパクはその孔内に封入されることができる。「孔内に封入される」という言葉は、前記融合タンパクの前記材料外への拡散が、前記孔構造によって遅延されることを意味し、必ずしも前記材料が分解するまで前記融合タンパクが前記材料外に拡散できないことを意味するわけではない。
【0061】
例えば、前記融合タンパクは、合衆国特許第7,060,299号に記載の生分解性のポリマーに封入されることができる。前記融合タンパクは多糖類のガムとともに微粒子に形成され、その後前記微粒子は合衆国特許第7,060,299号に記載のポリマーのマトリックス内に封入される。前記ポリマーは前記インプラント表面の被覆を形成することができる。
【0062】
合衆国特許第6,428,579号に記載されるように、前記融合タンパクはインプラント上の金のような表面に、前記タンパクのスルフヒドリル基を介して結合することができる。前記融合タンパクは、例えばその両方ともが骨の再モデリング用の充填剤としてしばしば用いられるヒドロキシアパタイトやリン酸三カルシウムのようなセラミックまたはセラミック粒子と混合できる(合衆国出願特許公開第 20030091609)。
【0063】
多孔質のポリマーは、前記ポリマーを有機溶媒中で、食塩や砂糖のような前記有機溶媒に溶解しない微粒子とともに形成することにより形成される。前記ポリマー の硬化後、前記食塩や砂糖粒子を溶解できる水溶液で前記ポリマー・マトリックスを洗浄することにより、前記微粒子は溶解し開口した孔を残す。前記融合タンパクの溶液と前記ポリマー・マトリックスをインキュベートすることにより、前記融合タンパクは前記孔内に拡散し、そこに封入される(合衆国出願特許公開第 20030091609)。タンパクを材料の表面に接着させる他の方法は合衆国特許第6,617,142号に開示されている。
【0064】
当技術分野の当業者にとってはさらに他の方法が利用可能である。
前記融合タンパクは、脱ミネラル骨マトリックス(Demineralized Bone Matrix :DBM)と混合可能である。脱ミネラル骨マトリックスは、同種移植片の骨の酸抽出により調製され、これによりほとんどの無機組成物が失われ、成長因子類を含むコラーゲンおよびコラーゲン様タンパクは保持される。DBMは、骨移植の代替物または拡張物として用いられる。DBMは大量のコラーゲンを含むため、結合用緩衝液中で前記融合タンパクとDBMが混合されると、前記融合タンパクはDBMのコラーゲンに結合する。
【0065】
特定の実施例では、前記整形外科用インプラントはヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、または脱ミネラル骨マトリックスを含む。他の実施例では、前記整形外科用インプラントはポリマーを含む。整形外科用インプラントには多くの天然または合成ポリマーが含まれることができる(例えば被覆として)。天然の多孔質ポリマーの例は、ゼラチン、フィブリン、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン硫酸、ヘパリン、セルロース、キトサン、前記物質の共重合体、または開示されている他の一般的なインプラント可能な医用器具として有用である広範囲の物質を含む。合成多孔質ポリマーの例は、シリコン、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルボン酸、ポリビニルピロリドン (PVP)、マレイン酸無水物ポリマー類、ポリアミド類、ポリビニルアルコール類 (PVA)、ポリエチレンオキシド類、ポリアクリル酸ポリマー類、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヒドロキシエチルメタアクリル酸 (pHEMA)、ポリアミノプロピルメタアクリルアミド (pAPMA)、ポリアクリスアミド-2-メチルプロパンスルホン酸 (pAMPS)、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、前記物質の共重合体の混合物、または開示されている他の一般的なインプラント可能な医用器具において有用な広範囲の物質を含む。合成多孔質ポリマーの追加例は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリジアキソノン、ポリ(カプロラクトン)、ポリ無水物、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリイミノカーボネートのような生分解性合成多孔質ポリマー類および前記物質の共重合体の混合物を含む。
【0066】
このように別の実施例は、哺乳動物に(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結した(a)コラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる融合タンパクを投与することよりなる前記哺乳類のインプラント周辺組織の成長を促進する方法を提供する。前記融合タンパクの投与ステップ前、投与ステップ中または投与ステップ後に、前記哺乳動物は、その組織に接する部位にインプラントを受ける。前記融合タンパクの投与のステップは、前記インプラント周囲の組織の成長促進に有効である。前記インプラント周囲で成長を促進される前記組織は、骨、軟骨、または他の組織であってよい。一実施例では皮膚である。
【0067】
特定の実施例では、前記融合タンパク投与のステップは、前記哺乳動物の組織に接した前記融合タンパクを有するインプラントの留置の段階よりなることができる。
【0068】
特定の実施例では、前記インプラントは歯科用インプラントである。別の実施例では、前記インプラント は骨の移植物である。
【0069】
他の実施例では、前記インプラントは整形外科用骨欠損充填剤、骨折安定化用の添加物、骨髄内固定器具、関節増強/置換器具、骨固定板、ねじ、鋲、クリップ、釘、ピン、棒、アンカー、ねじ増強用器具、頭部再構築用器具を含む。
【0070】
特定の実施例では、前記インプラントは骨その物を含むことができる。 ここで一実施例では、前記哺乳動物にインプラントを施す前に、前記骨その物に前記融合タンパクが結合するのに十分な時間の間、前記インプラントは前記融合タンパクとインキュベートされる。
【0071】
特定の実施例では、前記インプラントは、セメント、ヒドロキシアパタイト、または脱ミネラル骨を有する。
【0072】
特定の実施例では、前記インプラントは骨芽細胞を有する。
【0073】
特定の実施例では、前記インプラント の主成分はプラスチック、金属、またはセラミックである (すなわち、前記質量の大部分がプラスチック、金属、またはセラミックである)。
【0074】
別の実施例は、哺乳動物に(b) a PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結した(a)コラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる融合タンパクを投与することよりなる前記哺乳類の毛髪の成長を促進する方法を提供する。
【0075】
本発明者らは、化学療法誘発性の脱毛症を引き起こすためにシクロホスファミド処理されたマウスの毛髪成長に対して、前記受容体アゴニストを含む融合タンパクが、受容体アンタゴニストを含む融合タンパクよりも、より効果的であることを見出した(下記実施例 8) 。PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストを含む融合タンパク もさらに試験され、いくぶんの毛髪成長を誘導したが、前記成長した毛髪の太さはより細いように見えた。このように、PTH/PTHrP 受容体アゴニストまたはアンタゴニストのどちらかを含む融合タンパクは、毛髪成長促進に使用できるが、化学療法誘発性の脱毛症に対してはPTH/PTHrP 受容体アゴニストを含む融合タンパクが好適である。
【0076】
毛髪成長促進のためには、前記融合タンパクを毛髪の成長が所望される局所に例えば皮下または皮内注射により投与できる。前記融合タンパクは、前記皮下または皮内注射により投与された前記部位付近の皮膚のコラーゲンに結合し、前記部位に結合し続け長期にわたり持続する効果を示す。前記融合タンパクは、毛髪の成長を促進するために全身投与することもできる。これは、化学療法誘発性の脱毛症の治療に対しては好まれる。
【0077】
前記毛髪の成長促進法の一実施例では、前記哺乳動物は化学療法誘発性の脱毛症に罹患する。
【0078】
別の実施例は、(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結した(a)コラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる融合タンパクを哺乳動物に投与することよりなる前記哺乳動物の免疫再構築を促進する方法を提供する。この場合、前記哺乳動物は、前記融合タンパクの投与前、投与中、または投与後に骨髄幹細胞を移植される。ここで使用される「骨髄幹細胞」とは、骨髄に移植でき、各種のリンパ球に分化できる任意の幹細胞を意味する。このように、前記幹細胞は、例えば、臍帯血、胎児、前記哺乳動物自身または他の哺乳動物の血液または骨髄より得ることができる。前記融合タンパクの投与は、 マウスでの骨髄切除および幹細胞移植に伴う生存率を増加させることが期待される。さらに、好中球数の増加率の増大も期待される。すなわち、前記融合タンパクを前記幹細胞移植に伴い投与された患者または実験動物では、前記融合タンパクを投与されなかった群と比較して、移植後の特定の時点(例えば、7、 14、 21、 または30 日目) で好中球数が大きくなることが期待される。
【0079】
一実施例では、前記幹細胞は臍帯血の幹細胞である。臍帯血はMHCの適合する親族または他のドナーを持たない患者に対する幹細胞移植の代替物として特に有用である。しかし、単一単位の臍帯血中の前記幹細胞の数は、骨髄幹細胞移植後の良好な移植にとってはしばしば不十分である(10)。
【0080】
本願で開示されるPTH/PTHrP 受容体アゴニストを含む前記融合タンパクの投与は、前記幹細胞の移植を改善し、一または二単位の臍帯血による移植の成功確立を増加させることが期待される。
【0081】
別の実施例では、前記幹細胞は自己の血液の幹細胞である。自己幹細胞移植の遂行にとり、患者から可動化される幹細胞数はしばしば少なすぎる。移植される前記幹細胞数が最適値より少ないときに、前記融合タンパクの投与は前記移植の成功の可能性を増加させることが期待される。さらに、移植される前記幹細胞数が適切と考えられる場合にも、前記融合タンパクの投与は前記移植の成功の可能性を増加させることが期待される。好適には前記融合タンパクは、前記幹細胞の投与前または投与と同時に投与され、前記骨髄中の幹細胞の移植を促進する。しかし、前記幹細胞の投与後に前記融合タンパクを投与してもよい。
【0082】
別の実施例では、哺乳動物に(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結した(a) aコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる融合タンパクを投与することからなる前記哺乳動物での骨髄 幹細胞の可動化を促進する方法を提供する。前記融合タンパクの投与は前記哺乳動物の循環血中の幹細胞数を(例えば前記融合タンパク投与後7、 14、 または30 日目に)増加させることが期待される。特定の実施例では、この方法はさらに前記融合タンパクの前記哺乳動物への投与後に前記哺乳動物の血液から幹細胞を収集することが含まれる。
【0083】
自己幹細胞移植は、多くの患者のリンパ腫を治癒し、 多発性骨髄腫の生存率を改善する。しかし約20% の患者では、自己幹細胞 移植を維持するための十分な数の幹細胞を可動化させることができない (11)。本願に記載されるPTH/PTHrP 受容体アゴニストを含む前記融合タンパクは幹細胞可動化を促進することが期待される。
【0084】
別の実施例は、哺乳動物に前記哺乳動物が心筋梗塞を起こした後に、(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結した(a) コラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる融合タンパクを投与することよりなる前記哺乳動物の心筋梗塞を治療する方法を提供することが期待される。
【0085】
別の実施例は、哺乳動物に(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結した(a) コラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる融合タンパクを投与することよりなる前記哺乳動物の腎性骨形成異常症を治療する方法を提供する。この場合には、前記哺乳動物は腎性骨形成異常症 または腎臓疾患に罹患している。この実施例において、前記融合タンパクは 前記哺乳動物の骨量減少を低減させることが期待される。
【0086】
一実施例は、哺乳動物に(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結した(a) コラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる融合タンパクを投与することよりなる前記哺乳動物におけるガンの骨転移を減少または治療する方法を提供することが期待される。
【0087】
PTHrP はガンの骨転移に積極的に関与している (15、 16、 17) 。骨転移する乳ガン患者の90% 以上でPTHrPが発現しており、一方、骨以外の部位に転移する乳ガン患者での発現率は17% である(15)。 ヒトのPTHrPを過剰発現するcDNAとともにヒト腫瘍細胞を移入したマウスのモデルでは骨転移が増加した (15)。逆に、 抗PTHrP抗体の投与は骨転移を減少させた (15、 17)。
【0088】
PTHrP のその受容体への結合は、前記骨の微小環境を骨転移の促進に有利に変更する。CBD 断片およびPTH/PTHrP 受容体アンタゴニストを含む融合タンパクは、たぶん骨の前記受容体を占領し、 それにより転移の発生を減少させると考えられる。骨に転移した腫瘍の成長を遅延させることも期待される。
【0089】
全ての本願に記載された実施例で、(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結した(a)コラーゲン結合性ポリペプチド断片からなる融合タンパクは、(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニストまたは非ペプチド性PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結した(a) コラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる薬理活性物質によって置換されることができる。非ペプチド性PTH/PTHrP 受容体アゴニストの一例は、化合物 AH3960 である(19) 。
【0090】
【化1】

【0091】
AH3960 AH3960 は、二つのアミノ基を含む。これらはDSG (ジサクシンイミドイルグルタレート) または前記SANH (サクシンイミドイル-4-ヒドラジノニコチネート アセトンヒドラゾン) およびSFB (サクシンイミドイル-4-フォルミルベンゾエート)の組み合わせのようなリンカーを介して、前記化合物を前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片のアミノ基と架橋結合させるのに用いることができる。AH3960 は、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片のカルボキシル基とEDC (1-エチル-3-[3- ジメチルアミノプロピル] カルボジイミド塩酸塩) により架橋結合させることができる。 これらの化合物はPierce (piercenet.com、 Thermo Fisher Scientific Inc., イリノイ州ロックフォード:Rockford, IL) から入手可能である。 プロトコールおよび反応条件も、Pierce (piercenet.com)の前記製品の文献により入手可能である。 同様に、本願に記載された前記実施例の受容体アンタゴニスト融合タンパクでは、(b) PTH/PTHrP 受容体アゴンタニスト・ポリペプチド断片に連結した(a)コラーゲン結合性ポリペプチド断片からなる融合タンパクは、(b) PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストまたは非ペプチド性PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストに連結した(a) コラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる薬理活性物質によって置換されることができる。
【0092】
このように、別の実施例は、(b) PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストに連結した (a) コラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる薬理活性物質を提供し、前記アンタゴニストは非ペプチド性であることができる。 前記PTH/PTHrP 受容体の非ペプチド性アンタゴニストは、下記化合物2を含む参考文献 (20)に開示された化合物を含む。
【0093】
【化2】

【0094】
化合物 2 は、そのアミノ基を介して、上記化合物 AH3960で述べたように、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片のアミノ基または カルボキシル基と連結することができる。参考文献 (20)の化合物 3では、前記化合物 2のアミノ基が、カルボキシル基で置換されている。これは前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片のアミノ 基とEDCにより連結される。
【0095】
前記(b) PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片またはアンタゴニスト・ポリペプチド断片に連結した(a) コラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる薬理活性物質の別の実施例では、 断片 (a) および 断片 (b) は別個のポリペプチドであり、前記二つのポリペプチドは、化学的な架橋結合により連結される。前記二つのポリペプチドはアミノ 基を介して、DSG (ジスクシンイミドイル グルタレート) またはグルタルアルデヒドを含む試薬により架橋結合することができる。それらはさらに、一つのポリペプチドをSANH (スクシンイミドイル-4-ヒドラジノニコチネート アセトンヒドラゾン)により、もう一方のポリペプチドをSFB (スクシンイミドイル-4-フォルミル ベンゾエート)により誘導化した後に、二つの誘導化されたポリペプチドを混合し、アミノ 基を介して架橋結合することができる。
【0096】
前記二つのポリペプチドは、一つのポリペプチドのアミノ基と前記他のポリペプチドのカルボキシル基のEDC(1-エチル-3-[3- ジメチルアミノプロピル] カルボジイミド塩酸塩) による反応により連結される。前記ポリペプチドはさらに、(例えば、共有結合により連結された) 当業者により周知の他の任意の適切な方法により架橋結合することができる。これらの架橋結合用試薬は Pierce (piercenet.com、 Thermo Fisher Scientific Inc., イリノイ州ロックフォード:Rockford、 IL) から入手できる。
【0097】
プロトコールおよび反応条件も、Pierce (piercenet.com) から前記の文献により入手できる。これらおよび他の適用可能な架橋結合の方法は、合衆国特許出願公開第20060258569および20070224119に記載されている。
【0098】
本願記載の前記データに基づき、前記PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる薬理活性物質の個別の薬量は、前記PTH(1-34) の使用されるモル基準の薬量にほぼ同等であることができる。しかし、PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片に連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる薬理活性は、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片に連結する前記アゴニストがin vivo で、はるかに延長された活性を与えるため、より間隔をおいた投与ができる。
【0099】
以下の実施例は、前記開示のさまざまな側面を、その範囲を限定することなく図式的に説明するために提供される。
【0100】
実施例
実施例 1
PTH-コラーゲン結合領域融合タンパクの発現
PTH-CBD 融合タンパクを発現するプラスミドを、前記PTH-CBD をコーディングするシーケンス をpGEX-5X-l (GE Lifesciences) に挿入することによって構築した。前記生成されたプラスミドの前記シーケンス は、SEQ ID NO:3である。 SEQ ID NO: 3のヌクレオチド 258から1409 は、PTH-CBD 融合タンパクにそのC-末端で融合したグルタチオン-S-転移酵素 (GST) を含む 融合タンパク をエンコードしている。SEQ ID NO: 4 は、エンコードされたGST-PTH-CBD 融合タンパク全体である。 222-225残基は、血液凝固因子Xa プロテアーゼ認識部位であるIEGR (SEQ ID NO: 5) である。SEQ ID NO: 4の 226-383残基は、SEQ ID NO: 1 に対応し、前記PTH- CBD 融合タンパクである。血液凝固因子Xaは、前記 SEQ ID NO:4のアミノ酸残基の225 番目のArgの後の位置を開裂させ、前記PTH-CBD 融合タンパクである、SEQ ID NO: 1を遊離させる。SEQ ID NO: 1 の1-33残基は、前記PTHの N-末端33 残基である。38-158残基は、前記 Clostridium histolyticum のCoIH コラーゲナーゼ のコラーゲン結合性領域 (CBD) である。前記融合タンパクの前記CBDは、CoIH (SEQ ID NO:6)の901-1021残基に相当する。 SEQ ID NO: 1の 34-37残基はリンカー断片である。
【0101】
二番目のPTH-CBD 融合タンパクであるPTH-PKD-CBD (SEQ ID NO:2)は、発現されるcolH遺伝子のより長い挿入断片を除いては、 SEQ ID NO:3と同一のプラスミドから発現される。SEQ ID NO: 1と同様に、これはGST 融合タンパクの一部として発現され、血液凝固因子XaによりGSTから開裂される。
【0102】
SEQ ID NO: 2の1-33残基は前記PTH のN-末端の33 残基である。34-36残基はリンカーの断片である。そして37-251残基はCoIHの807-1021残基である。この融合タンパクは、CoIHの多発性嚢胞腎(polycystic kidney disease: PKD) 領域 (CoIH の807-900 残基)を、SEQ ID NO:1 およびSEQ ID NO:2の両者に見出されるCoIHの901-1021残基である前記コラーゲン結合領域に追加して含む。 PKD 領域 を含むことは、領域間の干渉または、前記PTH 領域 and CBD 領域の間の他の立体的障害をを最小化すると考えられた。
【0103】
CBD 融合タンパクの精製 E. coli BL21 を、前記リコンビナント・プラスミドにより形質転換した。各クローンを1リッターの2 YT-G 培地で、600 nmにおける最適密度である0.7まで培養した。イソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシドを最終濃度の 0.1 mMまで加え、 細胞をさらに2時間培養した。前記精製操作中のタンパク質分解を防ぐために、フェニルメチルスルフォニルフルオリドを最終濃度の 0.1 mMまで前記培養物に加えた。細胞を遠心分離により収集し、フレンチプレス細胞破砕機により破砕した。細胞の破片は遠心分離により除去し、清澄化された溶解物をグルタチオン-セファロース 4Bビーズ(容積、 4-ml;GE Lifesciences製)を用いる、その製造業者により記載された方法に従ったバッチ法による、前記融合タンパクの精製に用いた。前記融合タンパクの各GST-タグは 、血液凝固因子Xa (New England Biolabs製、融合タンパク1mgに対して0.2 μgを使用)と、20 時間、室温でインキュベートして開裂させた。前記開裂された タンパク 断片は、4℃で、1 リッターの50 mM トリス塩酸緩衝液(pH7.5)、 100 mM NaClに対して三回透析して、グルタチオンを除去した。前記GSTのN-末端断片 は、前記フラクションをグルタチオン-セファロース 4Bカラム(ベッド容積2 ml) にかけることより除去した。各断片のN-末端から10個目までのアミノ酸残基は、自動タンパク シークエンサー(Model 492、 Perkin-Elmer)により確認された 。前記精製されたC-末端断片の分子量は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(matrix-assisted laser desorption time-of- flight mass spectrometry: MALDI-TOF MS) により確認された。
【0104】
実施例 2
前記PTH-CBD 融合タンパクのコラーゲンへの結合の実証
5mg の不溶性タイプ Iコラーゲン (C-9879; Sigma) を、0.22 μm 低結合性DURAPORE 膜 (Millipore、マサチュセッツ州ベッドフォード: Bedford、 MA) と共にULTRA FREEミクロ遠心器具に加え、ミクロ遠心チューブ内に入れた (カタログ番号:UFCSOGVOO-Millipore) 。 特に断らない限りすべての実験操作は室温で行われた。前記コラーゲン繊維を膨潤させるため、コラーゲン 結合緩衝液 (200 μL) (50 mM トリス塩酸緩衝液、 pH 7.5、 5 mM CaCl2) を加えた。30分間インキュベートした後、前記チューブを15,000 x g で15 分間遠心分離した。ローター内の前記チューブ の方向を変えて遠心分離を繰り返した。前記コラーゲンの沈殿物を、100 pmol の 融合タンパクを含む60 μL のコラーゲン結合緩衝液 に再懸濁し、30 分間インキュベートした。その後、前記器具を介して前記混合物を15,000 x g で15 分間遠心分離した。前記コラーゲンに結合したタンパクは、前記コラーゲンとともに前記フィルター上に保持された。コラーゲンに結合しなかったタンパクは、前記フィルターを通過して濾液に入る。前記濾液は濾液 SDS-PAGEで分析された。
【0105】
図1は、前記SDS-PAGEゲルの写真を示す。 左のレーン1は分子量マーカーである。レーン2はPTH-PKD-CBD 融合タンパクを含む混合物の濾液でコラーゲンと結合せずに濾過されたものである。 レーン3はPTH-PKD- CBD 融合タンパクとコラーゲン混合物の濾液を示す。レーン 4 および5 は、各々コラーゲンなし、またはコラーゲンとともにインキュベートされた前記PTH-CBD 融合タンパクの濾液を示す。前記結果はコラーゲンとともにインキュベートされた両方の融合タンパクが、前記フィルターを通過できなかったことを示し、コラーゲンなしでインキュベートされた場合には前記フィルターを通過したことを示す。このことにより、両方の融合タンパクがコラーゲンに結合したことが示される。
【0106】
実施例 3
PTH-CBD 融合タンパクのin vitro 生物活性
ヒトPTHlRを安定的にトランスフェクトした LLCPK細胞であるHKrK-B7細胞は、マサチューセッツ総合病院内分泌部門の Tom Gardellaより親切に提供された。前記細胞は参考文献 (7) に記載されている。 HKrK-B7 細胞を90 %密集まで24 穴プレート内で成長させた。一般的に播種の後2から3 日目で成長は達成された。前記カルチャー培地はDMEM (L-glutamine入り) + 10%ウシ胎仔血清(FBS) である。
【0107】
前記細胞が90%密集度に達したとき、前記細胞を0.5 mLの結合緩衝液 (50 mM トリス塩酸緩衝液、 pH 7.8、 100 mM NaCl、 2 mM CaCl2、 5 mM KCl、 0.25% ウマ血清、 0.0025% ウシ胎仔血清) で1回洗った。前記プレートを氷の上に置き、 各穴に200 μLのIBMX 緩衝液 (抗生物質とFBS の入っていないDMEM、 35 mM HEPES、 pH 7.4、 3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)、 1 mg/ml ウシ血清アルブミン) を加えた。 IBMXはホスフォジエステラーゼ の阻害剤である。ペプチド またはPTH を指示濃度まで100 μL の結合緩衝液に加えた。その後、前記細胞を前記ペプチドと、PTHと、または添加物なし(対照)に、室温で1時間インキュベートした。その後、前記培地を除去し、前記プレートをドライアイス上に3 分間置いて細胞を凍結した。ついで、500 μLの 50 mM HCl を各穴に加えた。前記プレートは、イムノアッセイまで凍結保存した。C-AMP 濃度 をイムノアッセイ(Biomedical Technologies、Inc.、 ストウトン、マサチューセッツ:Stoughton、 MA、 アメリカ合衆国; c-AMP EIA kit、 #BT-730) により測定した。
【0108】
前記穴内の1 x 10-12M から1 x 10-7M 融合ペプチドまたはPTH(1-34残基)とインキュベートされた前記溶解細胞の前記c-AMP 濃度測定の結果 が図2 に示される。PTH(1-34残基)、 PTH-CBD (SEQ ID NO: 1)、 およびPTH-PKD-CBD (SEQ ID NO:2) の全てがc-AMP 合成を同程度に促進した。
【0109】
実施例 4
PTH-CBD 融合タンパクのin vivo 活性
5から8 週齢の 13から18 グラムの健常メスC57BL/6J マウスを、前記Jackson Laboratory (バー・ハーバー、メイン州:Bar Harbor、 ME、 アメリカ合衆国) から購入し、Ochsner Clinic Foundation の動物施設のケージ内で標準条件下に飼育した。実験に先立ち動物に2週間の馴化期間を維持した。ベースラインの全身DEXA (dual emission x-ray absorptiometry) 測定を、以下のようにマウスへの適用に適応させたHologic QDR -1000 plus装置を用い各動物に対して2回ずつ行った。超高解像度モード (線間隔0.03950 cm および解像度0.03749 cm) を使用した。前記動物をペンタバルビツールで麻酔し、DEXA スキャンのために腹臥位に配置した。骨の無機質密度(BMD) を、動物の腰椎領域をカバーする8 x 16 画素ボックス内で決定した。 各単独画素の縦縞についてBMDを測定しピーク値を決定した。各マウスについて2回測定して、その測定値を比較することによりこの技術の妥当性を確実化した。
【0110】
動物に、週一回 8週間にわたりビークル単独(コラーゲン 結合緩衝液、 pH 7.5、 50 mM Tris HCl、 5 mM CaCl2) または PTH同族体を含むビークルのいずれかを以下のように腹腔内投与した:
Group A (8 動物):ビークル
Group B (6 動物):ヒトPTH(1-34) 80 μg/kg
Group C (6 動物): PTH-PKD-CBD (SEQ ID NO:2) 546 μg/kg
Group D (6 動物) : PTH-CBD (SEQ ID NO: 1) 344 μg/kg
【0111】
前記3種類のPTH 化合物の薬量は、それぞれ同一のモル等量が与えられるようにその分子量に基づいて調整した (0.02 μmol/kg/一回あたり)。
【0112】
8回目の注射の1週間後、 動物を致死量のペンタバルビタールで殺処分した。上述のテクニックにより、各マウスについて二回のBMD 測定を行った。マウスの BMD増加率を計算した結果(平均値 +/- 標準偏差) を図3に示す。統計的有意性は、片側の対応のあるT検定により決定した。ビークル対照との統計的有意差は図3 および4に * (p<0.05) および ** (p<0.01) として示される。研究の結論として、前記マウスの 腰椎断片を軟組織から切除しBMD 測定を行った。前記切除された腰椎断片のBMD測定 結果は、前記骨断片の平均値であり前記動物 全体のスキャンから得られたもののようなピーク値ではない。
【0113】
群間の統計的比較(p<0.05)には分散統計(ANOVA) が用いられ、各群と対照の比較にはBonferroni 比較法が用いられた。
【0114】
前記PTH-CBD 融合タンパク (SEQ ID NO:1) は、8週間の処置期間後に平均 17% BMD 増加を起こした。PTH (1-34) および前記PTH-PKD-CBD 融合タンパク (SEQ ID NO: 2) の両方は、約7.5% の骨無機質濃度の増加を起こした。前記ビークル対照群のマウスは、8週間の処置期間後に平均5% のBMD増加を起こした(図3) 。 PTH-CBD (p<0.01) および PTH-PKD-CBD (p<0.05) 融合タンパクの両方が、ビークル対照より統計的に有意に大きいBMD増加をおこしたが、PTH (1-34) は統計的に有意に大きいBMD増加を起こさなかった。しかし前記PTH-CBD 融合物は 前記PTH(1-34) および前記PTH-PKD-CBD 融合タンパクの両方の約2倍のBMD増加を起こした (図3)。
【0115】
8週間の処置期間後に前記4群のマウスから切除された腰椎断片のBMD の結論が図4に示される。再び、前記PTH-CBD 群は、前記ビークル対照群と統計的に有意に異なる結果を示した(p<0.05) 。他の群と前記ビークル対照群との差と、他の群間内での差は統計的な有意性にはいたらなかった。 前記マウスの血清カルシウム濃度も研究前、研究中および研究後に測定した。 一日一回のPTH注射は高カルシウム血症のリスクを持つことが知られている。 前記群間に血清 カルシウム濃度の差はなかったことにより、前記PTH- CBD 融合タンパクが高カルシウム血症を引き起こさなかったことが示された (図5)。
【0116】
血清アルカリ性ホスファターゼ濃度も測定した。血清アルカリ性ホスファターゼは、前記PTH(1-34)、 PTH-PKD-CBD、および PTH-CBD 基で増加した(図6)。アルカリ性ホスファターゼの上昇は、副甲状腺機能亢進症および骨の成長期間と関連付けられる。このように、これは3薬剤全てによる骨の代謝の増加の証拠である。
【0117】
8週間のPTH-CBD処理マウス対ビークル対照マウスの脛骨のヘマトキシリンおよびエオシンによる染色は、対照に対して増加した骨梁および皮質骨を示した
(図7) 。 DEXA および死後剖検によっては前記マウス群の骨腫瘍の証拠は見出されなかった。
【0118】
本発明者らは、前記PTH-CBD 融合タンパクはPTH(1-34)よりも、in vivoの骨無機質密度増加促進において活性であることを結論する。
【0119】
実施例 5
In Vivo でのPTH-CBD の月一回投与
週一回のPTH-CBD投与が骨無機質密度増加に対して有効であるという上記の勇気付ける結果により、次いで本発明者らはこの融合タンパクの月一回の投与での有効性を試験した。マウスは PTH-CBD (344 μg/kg/一回あたり)、 PTH (80 μg/kg/一回あたり) またはビークル単独の、それぞれ実施例 4で述べた緩衝液の溶液を月に一回腹腔内 注射された。各群は10 匹のマウス を含む。 骨の無機質密度(BMD) は2ヶ月ごとに実施例 4 で述べたDEXA により測定した。DEXA 測定と前記週一回投与の実施例で述べた切除組織の測定との相互関係から、DEXA 測定を絶対骨無機質密度に相関づけた。BMDの2ヵ月後との連続測定により、4ヶ月の処置後に、月一回のPTH-CBD投与がBMDの有意な増加を引き起こしたことが示され、増加は6ヶ月の処置中維持された (図8) (p<0.01、図8中 ** で示される) 。驚くべきことではないが、月一回のPTH(1-34) 投与は、骨無機質密度に影響しなかった。6ヵ月後 (図8中、矢印で示される) に PTH-CBDの投与を中止し、動物をPTH (1-34) の週一回投与群に2週間組み込んだ。2ヵ月後のBMD測定 は、 (前記ビークル 対照群での加齢により見込まれるBMDの減少にもかかわらず) PTH-CBD投与後に獲得された骨無機質密度が維持されたことを示し、および 前記 PTH (1-34) の一日一回投与群ではBMD の増加が引き起こされ、その増加は前記PTH-CBD 群に近づいたが達しなかった。
【0120】
前記マウス は、その後さらに6ヶ月間観察され、前記PTH(1-34) および PTH-CBD 群のBMD は平行して減少し、および無処理のビークル対照マウスより高くとどまるというデータが示された。
【0121】
アルカリ性ホスファターゼの血清 濃度もこれらのマウス群で48週の時点で測定された。結果を図10に示す。前記PTH-CBD 融合タンパクの最終投与の22週間後の48週の時点でさえ、前記PTH-CBD 融合タンパクを投与されたマウス群のアルカリ性ホスファターゼ濃度は前記ビークル 対照 マウス群 および PTH(1-34)投与マウス群に比べて上昇していた。
【0122】
結論:
前記実施例 4のデータとともに、これらのデータは、月一回の PTH-CBD 投与が、骨無機質密度促進において少なくとも一日一回のPTH注射と同等の有効性を有することを示した。重要なことには、各注射の前記PTH-CBD薬量は、前記一日一回のPTH(1-34)の 薬量と等しいモル数であり、このように合計投与薬量としては、実際には前記 PTH(1-34)の1/30であることである。前記データは、月一回より長い間隔での投薬が有効である可能性、および治療終了後に、PTH-CBDの前記BMD への効果がPTH(1-34)の効果よりもより長期間持続することを示唆する。
【0123】
実施例 6
3および 6ヶ月に一回のPTH-CBD in Vivo 投与
月一回のPTH-CBD投与が骨無機質密度増加に対して有効であるという上記の勇気付ける結果により、次いで本発明者らはこの融合タンパクの3ヶ月または6ヶ月に一回の投与の有効性を試験した。マウスは PTH-CBD (344 μg/kg/一回) (図の9CBD-PTH-6)、PTH (344 μg/kg/一回あたり、0ヶ月および3ヶ月目) (図の9CBD-PTH-6)、 PTH(1-34) (80 μg/kg/薬量 一日一回2週間)またはビークル単独(1回)のそれぞれ実施例 4で述べた緩衝液の溶液を腹腔内注射された。各群は11匹のマウス を含む。骨の無機質密度(BMD) は3ヶ月目とその後は毎月DEXA により測定した。DEXA 測定と前記週一回投与の実施例で述べた切除組織の測定との相互関係から、DEXA 測定を絶対骨無機質密度に相関づけた。本研究は進行中であり、データは5ヶ月目の時点まで得られている。
【0124】
BMD連続測定により、4ヶ月の治療後に、単回投与のPTH-CBDがBMDの有意な増加を引き起こしたことが示された (図9)。3ヶ月目の時点での二回目のPTH-CBD 投与は、4ヶ月目および5ヶ月目の時点では、BMDの更なる増加を引き起こさなかった。PTH (1-34) の2週間にわたる一日一回投与は、3ヶ月目に前記の予測される増加を引き起こしたが、5ヶ月目にはBMD は対照の水準まで低下した。本研究の前記マウスは、さらに7ヶ月間観察される予定である。
【0125】
結論:
前記データ 実施例4 および 5のデータとともに、これらのデータは、維持的な骨無機質密度増加を促進 するのに単回投与のPTH-CBDで十分であることを示した。重要なことには、各注射の前記PTH-CBD薬量は、前記一日一回のPTH(1-34)の 薬量と等しいモル数であり、このように現時点でデータが得られている前記5ヶ月の研究期間中にわたる合計投与薬量としては、実際には前記 PTH(1-34)の1/14であることである。本研究者らはさらに7ヶ月間に渡り研究データの収集を継続する予定である。前記データは、治療終了後に、PTH-CBDの前記BMD への効果がPTH(1-34)の効果よりもより長期間持続することを示唆する。
【0126】
実施例 7
準備的薬量 および 時間的応答の研究
大体のPTH-CBD前記最適薬量を決定するために、2 から 8,000 μg /kgの範囲の前記融合タンパクをマウスに皮下に単回投与し、4週間ごとに20週目まで前記マウスのBMD をDEXA により試験した。前記最大薬量では、BMD は4週および12週の間減少した後に増加した。このように一時的な異化作用があり、その後に同化作用が起きているように考えられる。実施例4および5で用いられた前記薬量の344 μg /kg をまたぐ、中間的な薬量である40-400 μg/kgでは、最初の8週間にわたり最大の同化作用を持つように考えられた。試験された最低の薬量である 2 μg /kg では、最初の16週間にわたり、より少ない同化作用を持つように考えられた(図11)。
【0127】
実施例 8
毛髪成長促進へのPHT-CBD の使用
遺伝的および化学療法後の脱毛の動物モデルにおいて、PTH アゴニストおよび アンタゴニストが髪の成長を調節するという報告がある (8、9)。本発明者らは、シクロホスファミドによる化学療法により誘発された脱毛において、PTH-CBD が皮下投与後に毛髪の成長パターンを変化させることができるか試験した。
材料および方法:
健常メスC57BL/6J マウス(実施例4と同じ)を、150 mg/kgシクロホスファミド で、毎月一回3ヶ月にわたり処置した。前記化学療法剤は毛髪の減少および黒色から白色の毛髪の色変化を引き起こした。本発明者らは追加的に背中の一点を剃毛した。前記毛髪を除去された点に、本発明者らはPTH-CBD 320 mg/kgを皮下注射により投与した。本発明者らは、さらにPTH/PTHrP 受容体アンタゴニストを含むCBD 融合タンパク (SEQ ID NO:9) も注射した。この融合タンパクは、スロンビン開裂シーケンスである (Leu-Va1-Pro-Arg-Gly-Ser、 SEQ ID NO: 12) を、前記融合タンパク SEQ ID NO:1のGST および PTH(1-33) 断片の間に挿入して作成した。その結果生成されたGST-PTH- CBD 融合タンパクは、スロンビンにより、スロンビン開裂シーケンスである前記Arg および GIy 残基の間で開裂され、Gly-Ser-PTH-CBD 融合タンパク、SEQ ID NO 9を遊離させた。
【0128】
結果:
前記PTH-CBD により処理された動物は、前記毛髪を取り除いた点でより急速な毛髪 の再成長を示し、さらに前記PTH-CBD 注射部位から離れた部位においてさえ、前記化学療法誘発の毛髪減少および色変化の両方を逆転させた (図12)。 PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストを含むCBD 融合タンパク も予備実験で試験された。しかし前記アンタゴニスト融合タンパクは、注射部位に桃の産毛のような毛髪を 生やしたのみで、および前記PTH-CBD アゴニスト融合タンパクのように良好には作用しなかった (結果は示されていない)。前記アンタゴニスト融合タンパクは、ビークル対照群よりは多くの毛髪 を生やさせた(結果は示されていない) 。
【0129】
結論:
PTH-CBD は、化学療法誘発の脱毛症を逆転させ、および前記効果は注射部位に制限されなかった。
【0130】
実施例 9
免疫再構築促進へのPHT-CBD の使用
メスC57B1/6 マウスを 10 Gy の放射線で照射した(放射線源は137Cs )。 24時間後にマウスにドナーのB6.SJL マウスよりの2 x 105の骨髄単核細胞 (BMMNC) を注射した。前記BMMNC投与直前に、前記受容マウスに生理食塩水 (ビークル対照)、344 μg/kgのPTH-CBD (SEQ ID NO: 1)、または80 μg/kgの PTH(1-34)を注射した。
【0131】
BMMNCのみを投与された前記マウスは死亡することが予期される。 PTH (1-34) を投与されたマウスでは、より多くの率で生存することが期待される。PTH-CBDを投与されたマウスでは、さらにより多くの率で生存することが期待される。
【0132】
さらに、PTH-CBD融合タンパクを投与されたマウスでは、等モルのPTH投与またはビークル 対照群に比べて好中球のカウントが、より速く増加することが期待される。
【0133】
実施例 10
骨髄幹細胞可動化促進へのPTH-CBD の使用
6から8週齢のオスC57BL/6 マウスに80 μg/kg PTH (1-34) または44 μg/kg PTH-CBD (SEQ ID NO: 1) または生理食塩水 (ビークル 対照) を皮下注射により単回投与した。14日後に前記マウス より末梢血を採取し、c-KIT/Sca-1 細胞量を蛍光標識細胞分取法 (fluorescence activated cell sorting: FACS) により決定した (21)。PTH-CBD が、単回投与のPTH (1-34) よりも、c-KIT/Sca-1による二重陽性細胞を増加させることが示された。
【0134】
PTH-CBDにより可動化された幹細胞の再増殖能を試験するために、上述したようにPTH、 PTH-CBD、 またはビークル 対照の投与14日後に血液を採取した。赤血球は文献に記載されているように溶解された (22)。 900 μLの血液から採集された全細胞は、24時間前に致死線量 (900 cGy) の放射線を照射されたマウスに輸注された。PTH-CBD 処理されたドナー・マウスの血液を受容したマウスでは、PTH (1-34) 処理またはビークル処理されたされたドナー・マウスの血液を受容したマウスよりも、より高い率で生存することが期待された。さらに、前記融合タンパクの投与は、哺乳動物の循環血中の幹細胞数を増加させることが期待された(例えば前記融合タンパク投与の7、14、または30日後に)。
【0135】
実施例 11
乳ガン骨転移の予防または治療へのCBD-PTH/PTHrP 受容体アンタゴニスト融合タンパクの使用
一日一回注射で投与した場合PTH(1-34) は、数多くの動物種および骨粗しょう症の女性での骨成長を促進する。しかしながら輸液による PTH の連続投与は (すなわち副甲状腺腺腫) は骨の減少をもたらす。
【0136】
乳ガンは、PTH-関連ペプチド (PTHrP) という因子を生産して骨に転移する。 PTHrPは前記PTH/PTHrP 受容体を活性化し、その局所での骨代謝を増大させる。このカスケード反応による生起する骨組織の脱離により、骨内にガン細胞が増殖可能な空洞が生成され、さらに再モデリングされたコラーゲン・マトリックスからの成長因子の放出が引き起こされ、それにより腫瘍の成長が促進される。本研究において本発明者らは、PTH-CBDアンタゴニスト・ペプチド が乳ガンの骨転移を予防または治療する (発症率を減少させる) 能力を有することを示す。使用したモデルは免疫不全ヌードマウスである。
【0137】
リン光性プローブで標識したMCF-7 ヒト 乳ガン細胞を動物に注射によって単回投与する。週一回全身イメージング装置(whole body imager)を使用した動物のイメージングによって骨転移病巣の評価を行う。各動物で2つ以上の病巣が存在した場合、前記動物は、PTH(7-33)-CBD またはビークル 対照の注射による単回投与を受ける。週一回のイメージングは、さらに追加の2ヶ月継続され、存在する転移の成長および新しい転移の発生をモニターする。
実験方法:
13〜18gの 3〜5週齢のヌードマウス22匹を入手する。前記動物の初期体重を一般的健康状態とともに記録する。実験に先立ち動物に2週間の馴化期間を維持する (最終的に5-8週齢) 。 Bioluminescent/Fluorescent Imager (Xenogen Biosciences、クランバリー、ニュージャージー州: Cranbury、 NJ) 全身イメージング装置を用いて、イソフルレン麻酔後に各動物のベースラインのイメージを測定する。その後、ホタルのルシフェラーゼを発現するプラスミドを安定に組み込んだMCF-7 細胞を動物に注射により単回投与する(23、 24)。前記注射後およびその後は週一回のベースで動物の再イメージングを行い、骨転移をモニターする。
【0138】
各マウスの骨に2つ以上の転移病巣が存在するときに、前記動物を無作為に2つの群に振り分ける。
Group 1:動物11匹は、ビークル腹腔内投与を一回受ける。
Group 2:動物11匹は、344 μg/kg のPTH (7-33)-CBD (SEQ ID NO: 10) の腹腔内投与を一回受ける。
【0139】
動物はイソフルオランにより沈静化し、二ヶ月間にわたり週一回のベースで全身イメージングを取得する。
【0140】
データ解析:
前記実験期間中、動物は、一週間に一回体重を測定し、なにか疾患兆候があるかを検出するために検査する。全身イメージングは、前記転移病巣の数、および各病巣からの蛍光の発光強度を決定するために解析される。
【0141】
前記実験期間の終わりに、前記動物は致死薬量(100 mg/kg)のペンタバルビタール注射により殺処分される。前記転移病巣を含む(含んだ)骨は本実験期間中の任意の時点で組織学的検査のために調製される。
【0142】
結果:
PTH (7-33)-CBDを注射されたマウスでは、対照のビークル投与マウスに比べて、より少ない骨転移病巣の発症、および、より遅い骨転移病巣の成長が期待される。
【0143】
実施例 12
CBD-PTH/PTHrP受容体アンタゴニスト融合タンパク の腎性骨形成異常症の予防または治療への使用
腎性骨形成異常症は、腎臓が適正水準の血中カルシウム および リンを維持できない場合に起こる骨の疾患である。この疾患は腎臓病患者では共通の問題であり、および 90 %の透析患者に影響する。腎性骨形成異常症 は、慢性腎臓病患者の骨折の主原因である。本研究では、本発明者らはPTH-CBD アンタゴニスト・ペプチドが腎性骨形成異常症を治療または予防する能力を有することを示す。モデル動物は、腎性骨形成異常症を誘発するために高リン食を与えられたメスのマウスである。
【0144】
動物は、PTH(7-33)-CBD または対照のビークルを注射により単回投与される。動物は、初期の薬剤投与器官の後、治療効果の持続期間を評価するために6ヶ月間維持される。骨の無機質密度およびアルカリ性ホスファターゼのレベルを月一回のベースで測定する。
【0145】
実験計画:
13〜18gの 3〜5週齢の健常なメス通常C57BL/6J マウスを入手する。前記動物の初期体重を一般的健康状態とともに記録する。実験に先立ち動物に2週間の馴化期間を維持する (最終的に5-8週齢)。
【0146】
動物は、腎性骨形成異常症 (ROD)を誘発するために高リン食で飼育する。前記動物は定期的にその健康状態を検査される。カルシウム、リン、PTH およびビタミンD レベルの評価のために血液サンプルを採取する。腎性骨形成異常症は、血清リン酸の異常な亢進(高リン血症) および低血清カルシウム (低カルシウム血症)から引き起こされる。高リン血症と低カルシウム血症の両方とも、腎臓障害によるリン酸排泄の低下、ビタミンDレベルの低下、または三次性上皮小体機能亢進 (副甲状腺の機能不全および恒常的亢進による)により発症する。
【0147】
さらにベースラインの 骨の無機質密度測定も行われる。
【0148】
前記動物は以下の2群に振り分けられる:
Group 1:動物11匹は、腹腔内ビークルを一回投与される。
Group 2:動物11匹は、344 μg/kg のPTH (7-33)-CBD (SEQ ID NO: 10) を腹腔内に一回投与 される。
【0149】
動物をペンタバルビタールにより沈静後、その骨無機質密度(BMD) を研究開始時および 研究期間中にわたり月に一回 測定する(6ヶ月間)。 血液サンプルは、尻尾のクリッピングから研究開始時および毎月一回 採取する(上記のように沈静下において)。
【0150】
データ 解析:
前記実験期間中、一週間に一回動物の体重を測定し、なにか疾患兆候があるかを検出するために検査する。骨の無機質密度測定は、各時点でANOVAにより解析される。各血液サンプルのアルカリ性ホスファターゼおよびカルシウム値を測定し、および各時点でANOVA により解析する。
【0151】
前記実験期間の終わりに、前記動物は致死薬量(100 mg/kg)のペンタバルビタール注射により殺処分される。生化学的アッセイ(正常PTH、 カルシウム、リン、アルカリ性ホスファターゼ、オステオカルシン)のために血液サンプルを採取する。定量的な骨の分析は、組織形態計測、全体および切除した背骨の BMC および BMD 、および生物医学的な性質の評価を含む。データ はANOVAで解析される。
【0152】
結果:
PTH(7-33)-CBDを注射される前記動物の全ての測定で、対照のビークル投与マウス群に比較して、骨の無機質密度の増加または減少の遅延の応答が生じることが期待される。PTH(7-33)-CBD注射マウス では、対照のビークル投与マウス群に比較して、さらに骨梁の成長または骨梁の損失の遅延が示されることが期待される。
【0153】
シーケンスのまとめの表
SEQ ID NO:1 TH-CBD 融合タンパク
SEQ ID NO: 2 TH-PKD-CBD 融合タンパク
SEQ ID NO: 3 ベクターにより発現されるPTH-CBD 融合タンパク前駆体
SEQ ID NO: 4 ベクターにより発現されるGST-PTH-CBD 融合タンパク
SEQ ID NO: 5 血液凝固因子Xa認識シーケンス
SEQ ID NO: 6 CoIH コラゲナーゼ
SEQ ID N0:7 PTH
SEQ ID NO: 8 PTHrP
SEQ ID NO: 9 PTH 受容体アンタゴニストおよびCBD 融合タンパク
SEQ ID NO: 10 PTH(7-33)-CBD 融合タンパク
SEQ ID NO: 11 *PTH/PTHrP アンタゴニスト Gly-Ser-PTH(1-33)
SEQ ID NO: 12 スロンビン認識シーケンス
【0154】
参考文献
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30. Ishikawa et al., アメリカ合衆国公開特許出願第20040053368.
31. Goldberg et al., 国際特許出願WO 2005/082941. 32. Ishikawa T, Eguchi M, Wada M, Iwami Y, Tono K, Iwaguro H, Masuda H, Tamaki T, Asahara T. 2006. Establishment of a Functionally Active Collagen-Binding Vascular Endothelial Growth Factor Fusion Protein In Situ. Arterioscler Thromb Vase Biol.
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34. Crine et al., アメリカ合衆国公開特許出願第20060014687.

上記全ての特許、特許文献およびその他の参考文献は引用によりその全体が本願に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物であって、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片がバクテリア由来のコラーゲン結合性ポリペプチド断片であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物であって、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片がコラーゲナーゼ由来のコラーゲン結合性ポリペプチド断片であることを特徴とする組成物。
【請求項3】
マウスに8週間の期間にわたり、一週間に一回ビークルとともにPTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物を腹腔内投与したときの、ビークル単独投与の場合と比較した骨の無機質密度増大が、等モルのPTH/PTHrP 受容体アゴニストよりなる組成物を投与したときの、前記ビークル単独の投与の場合と比較した骨の無機質密度増大に対して少なくとも50%以上大きいことを特徴とする組成物。
【請求項4】
前記PTH/PTHrP 受容体アゴニストがポリペプチド断片である、請求項1から3の一つに記載される組成物。
【請求項5】
前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片 および前記PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片が化学的に架橋結合された請求項4記載の組成物 。
【請求項6】
コラーゲン結合性ポリペプチド断片 および前記PTH/PTHrP 受容体アゴニスト・ポリペプチド断片が融合タンパクのポリペプチドの一部分である請求項4記載の組成物。
【請求項7】
前記PTH/PTHrP 受容体アゴニストが非ペプチドである請求項1から3の一つに記載される組成物。
【請求項8】
マウスに8週間の期間にわたり一週間に一回ビークルとともに前記組成物を腹腔内に投与したときの、前記ビークル単独投与の場合と比較した骨の無機質密度増大が、等モルのPTH (1-34) よりなる組成物による前記ビークル単独の投与と比較した骨の無機質密度増大に対して少なくとも50%以上大きいことを特徴とする請求項1から7のうち一つに記載される組成物。
【請求項9】
前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片 がClostridium コラーゲナーゼの 断片 である請求項1から8の一つに記載の組成物。
【請求項10】
前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片がSEQ ID NO:1の38-158残基よりなるか、SEQ ID NO:1の38-158残基の少なくとも8個の連続するアミノ酸残基の断片からなる請求項1から9の一つに記載の組成物。
【請求項11】
前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片が少なくともSEQ ID NO: 1の38-158残基と 90% 相同である請求項1から9の一つに記載の組成物。
【請求項12】
前記PTH/PTHrP 受容体アゴニストが、副甲状腺ホルモン (PTH) ポリペプチド断片であるか、または副甲状腺ホルモン関連ペプチド (PTHrP) ポリペプチド断片である、請求項1から11の一つに記載される組成物。
【請求項13】
前記PTH/PTHrP 受容体アゴニストがSEQ DD NO: 1の1-33残基よりなる請求項1から12の一つに記載される組成物。
【請求項14】
前記PTH/PTHrP 受容体アゴニストがPTH (SEQ ID NO:7) よりなる請求項1から12の一つに記載される組成物。
【請求項15】
前記PTH/PTHrP 受容体アゴニストがSEQ ID NO: 1の1-14残基よりなる請求項1から12のうちの一つに記載される組成物。
【請求項16】
前記PTH/PTHrP 受容体アゴニストがSEQ ID NO: 7の 1-34残基よりなるか、またはSEQ ID NO: 7の 1-34残基の少なくとも8個の連続するアミノ酸残基の断片からなる請求項1から12の一つに記載の組成物。
【請求項17】
前記2つのポリペプチド断片の各々がN-末端およびC-末端を有し、前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片の前記N-末端が、直接またはリンカーのポリペプチド断片を介して、前記PTH/PTHrP アゴニスト・ポリペプチド断片のC-末端に連結される請求項4から6および 8から16 の一つに記載の組成物。
【請求項18】
PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストに連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物。
【請求項19】
前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストが、ポリペプチド断片である請求項18記載の組成物。
【請求項20】
前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片 および前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニスト・ポリペプチド断片が互いに化学的に架橋結合された請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片 および前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニスト・ポリペプチド断片 が、融合タンパクのポリペプチドの一部である請求項19記載の組成物。
【請求項22】
前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストが非ペプチド性である請求項 18記載の組成物。
【請求項23】
前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片 がSEQ ID NO: 1の 38-158残基よりなるか、またはSEQ IDNO:1 の38-158残基の少なくとも8 個の連続するアミノ酸の断片よりなる請求項18から22のうちの一つに記載の組成物。
【請求項24】
前記コラーゲン結合性ポリペプチド断片がSEQ IDNO: 1 の38-158残基と少なくとも90% 相同である、請求項18から22のうち一つに記載の組成物。
【請求項25】
前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニスト が 副甲状腺ホルモン (PTH) または 副甲状腺ホルモン関連ペプチド (PTHrP) のポリペプチド断片からなる請求項18から24のうちの一つに記載の組成物。
【請求項26】
前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストが、SEQ ID NO: 7の7-34残基からなるか、またはSEQ ID NO: 7の7-34残基のうちの少なくとも8個の連続する アミノ酸の断片からなる請求項18から25のうちの一つに記載の組成物。
【請求項27】
前記PTH/PTHrP 受容体アンタゴニストが、 SEQ ID NO: 7の7-14残基からなる請求項18から25のうちの一つに記載の組成物。
【請求項28】
哺乳動物に請求項1から17のうち一つに記載の前記組成物を投与することよりなる前記哺乳動物の骨成長を促進する方法。
【請求項29】
前記組成物 を前記哺乳動物に投与することが、骨梁の無機質密度または 皮質骨の無機質密度または 骨梁の無機質量または皮質骨の無機質量を増加させる請求項 28記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、前記哺乳動物 の骨成長を所望する部位に局所投与される請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が整形外科用 インプラントとともに投与される請求項28-30のうち一つに記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が注射により投与される請求項28-31のうちの一つに記載の方法。
【請求項33】
約5未満のpHの水溶液として前記組成物 が投与される請求項32記載の方法。
【請求項34】
哺乳動物に請求項1-27のうちの一つに記載される組成物を投与することよりなる前記哺乳動物の毛髪の成長を促進する方法。
【請求項35】
哺乳動物に前記哺乳動物の毛髪の成長を所望する局所に前記組成物を投与する請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記投与が皮下または皮内注射により行われる請求項34または35記載の方法。
【請求項37】
前記哺乳動物が化学療法誘発性の脱毛症に罹患している請求項34-36のうち一つに記載の方法。
【請求項38】
請求項1から17のうちの一つに記載の組成物を前記哺乳動物に投与し、前記組成物の投与ステップ前、投与ステップ中または投与ステップ後に、前記哺乳動物がその組織に接するインプラントを受け、および前記組成物の投与ステップが前記インプラント周辺の組織の促進に有効である哺乳動物のインプラント周辺の組織の成長を促進する方法。
【請求項39】
前記組成物の投与ステップが、前記哺乳動物の組織に接するようにインプラントを配置し、前記インプラントが前記組成物を含有することよりなる請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記インプラントが歯科用インプラントである請求項38または39記載の方法。
【請求項41】
前記インプラント が無傷の骨、骨セメント、ヒドロキシアパタイトまたは脱ミネラル骨である請求項38から40のうちの一つに記載の方法。
【請求項42】
前記インプラントが骨芽細胞を有する請求項38から41のうちの一つに記載の方法。
【請求項43】
前記インプラントの主成分が金属、プラスチック、またはセラミックである請求項38記載の方法。
【請求項44】
組織が軟骨、骨または皮膚である請求項38記載の方法。
【請求項45】
請求項1から17のうち一つに記載の組成物を哺乳動物に投与し、前記組成物の投与ステップ前、投与ステップ中、または投与ステップ後に、前記哺乳動物が骨髄幹細胞の投与を受けることよりなる、前記哺乳動物の免疫再構築を促進する方法。
【請求項46】
請求項1から17のうち一つに記載の組成物を哺乳動物に投与し、前記融合タンパクが前記哺乳動物の循環血液中の幹細胞数を増加させることよりなる、哺乳動物の骨髄 幹細胞の可動化 を促進する方法。
【請求項47】
前記組成物の投与ステップ後に、前記哺乳動物の血液より幹細胞を収集することをさらに含む請求項46記載の方法。
【請求項48】
請求項18から27のうちの一つに記載の組成物を哺乳動物に投与し、前記哺乳動物は腎性骨形成異常症または腎臓疾患に罹患し、および前記組成物 は前記哺乳動物の骨量減少を低減させることよりなる前記哺乳動物の腎性骨形成異常症を治療または予防する方法。
【請求項49】
請求項18から27のうちの一つに記載の組成物を哺乳動物に投与し、前記哺乳動物のガンの骨転移の発症率を低減させるか、または骨の転移ガンの成長を遅延させるために有効な前記組成物の薬量が投与されることよりなる哺乳動物のガンの骨転移の治療または予防法。
【請求項50】
哺乳動物が心筋梗塞を発症後に、請求項1から17のうちの一つに記載の組成物を哺乳動物に投与することよりなる哺乳動物の心筋梗塞治療法。
【請求項51】
PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物を哺乳動物に投与することよりなる前記哺乳動物の骨成長を促進する方法。
【請求項52】
PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物を哺乳動物に投与することよりなる前記哺乳動物毛髪の成長 を促進する方法。
【請求項53】
PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物を哺乳動物に投与することよりなる前記哺乳動物のインプラント周辺の組織の成長を促進する方法。
【請求項54】
PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物を哺乳動物に投与することよりなる前記哺乳動物の免疫再構築を促進する方法。
【請求項55】
PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結したコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物を哺乳動物に投与することよりなる前記哺乳動物の骨髄 幹細胞の可動化を促進する方法。
【請求項56】
請求項1から27のうちの一つに記載された組成物を使用する医学的治療法。
【請求項57】
哺乳動物において、骨成長、毛髪の成長、インプラント周辺の組織の成長、骨髄幹細胞の投与を受けた哺乳動物の免疫再構築、または骨髄 幹細胞の可動化に有効な薬剤を調製することよりなる、請求項1から17のうちの一つに記載された組成物の使用法。
【請求項58】
哺乳動物 において心筋梗塞を治療するのに有効な薬剤を調製することよりなる請求項1から17のうちの一つに記載された組成物の使用法。
【請求項59】
哺乳動物の腎性骨形成異常症の治療、ガンの骨転移の発症率の低減、骨の転移ガンの成長の遅延、または毛髪の成長促進に有効な薬剤を調製することよりなる請求項18から27のうちの一つに記載された組成物の使用法。
【請求項60】
哺乳動物において、骨成長、 毛髪の成長、インプラント周辺の組織の成長、骨髄幹細胞の投与を受けた哺乳動物の免疫再構築、または骨髄 幹細胞の可動化に有効な薬剤を調製することよりなる、PTH/PTHrP 受容体アゴニストに連結されたコラーゲン結合性ポリペプチド断片よりなる組成物の使用法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−523671(P2010−523671A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503048(P2010−503048)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/004589
【国際公開番号】WO2008/124166
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(500467264)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アーカンソー (10)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【出願人】(509282158)オクスナー クリニック ファウンデイション (1)
【Fターム(参考)】