説明

コルゲートクランプ

【課題】コルゲートチューブの径が所定範囲内であれば、コルゲートチューブの径によらず同一のコルゲートクランプでガタつきなく容易に安定保持できる。
【解決手段】コルゲートチューブに対して、その半周側に外嵌する第1分割体と他半周側に外嵌する第2分割体との一端をヒンジ部を介して開閉自在に連結し、他端に互いにロック結合するロック部と車体係止部を設けており、第1分割体には固定円弧枠部を設ける一方、第2分割体には径方向へ移動可能とした可動円弧枠部を設け、固定円弧枠部と可動円弧枠部の内周面にコルゲートチューブの谷部に嵌合するリブを突設し、可動円弧枠部の周方向の端部を薄肉部を介して第2分割体に連結し、コルゲートチューブの谷部の外径に応じて薄肉部が撓んで拡径可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコルゲートクランプに関し、詳しくは、ワイヤハーネスに外装する異なる径のコルゲートチューブを同一のコルゲートクランプでガタつきなく保持するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に配索するワイヤハーネスには、他の車載部品等からの保護を目的としてコルゲートチューブを外装しており、コルゲートチューブを外装したワイヤハーネスを車体に取り付けるために、コルゲートチューブに外嵌するコルゲートクランプを車体から突設したブラケットに固定している。
【0003】
この種のコルゲートクランプとして、本出願人は特許第4329752号公報(特許文献1)において図7に示すコルゲートクランプを提案している。該コルゲートクランプ1は、半円環状の本体部2と蓋部3との一端をヒンジ部4を介して開閉自在に連結し、蓋部3の他端にロック片5を突設すると共に、本体部2の他端にはロック片5を挿入係止するロック片挿入穴6と車体側のブラケット9を挿入係止するブラケット挿入穴7とを設けている。前記半円環状の本体部2と蓋部3の内面には、外嵌するコルゲートチューブ(図示せず)の谷部に嵌合するリブ2a、3aを突設していると共に、ロック片5には、ロック片挿入穴6内面の被ロック爪8に係止されるロック爪5a、5b、5cをロック片挿入方向に段状に設けている。
【0004】
前記のように、本体部2および蓋部3内面のリブ2a、3aをコルゲートチューブの谷部に嵌合させることにより、コルゲートチューブの軸線方向への位置ズレを防止できると共に、蓋部3他端側のロック片5にロック爪5a、5b、5cを3段階で設けることにより、1つのコルゲートクランプ1で3種類の径のコルゲートチューブを保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4329752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記構成のコルゲートクランプ1では、保持する3種類のコルゲートチューブの径に応じて3つのロック爪5a、5b、5cから適切なロック爪を選択してロック結合しなければならず、作業者は誤結合を防ぐためにコルゲートチューブの径を意識しながら作業を行う必要がある。また、該コルゲートクランプ1は、所定の3種類の径以外の径を有するコルゲートチューブの保持には適しておらず、仮にコルゲートクランプ1を外嵌してもコルゲートチューブの外面とコルゲートクランプ1の内面との間のクリアランスが大きくなりコルゲートチューブの安定保持が難しくなる場合がある。また、前記所定の3種類の径のコルゲートチューブにコルゲートクランプ1を外嵌する場合でも、ロック片5のロック爪5a、5b、5cが被ロック爪8を乗り越えてロック結合するためにコルゲートチューブ外面とコルゲートクランプ1内面との間にある程度のクリアランスを設けておく必要があるが、ロック結合後、該クリアランスによりコルゲートチューブがガタついてしまうという問題もある。
【0007】
本発明は、コルゲートクランプを外嵌するコルゲートチューブの径が所定範囲内であれば、コルゲートチューブの径によらず同一のコルゲートクランプでガタつきなく安定保持でき、コルゲートクランプの取り付け作業も容易化できることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、ワイヤハーネスに外装するコルゲートチューブに外嵌して車体に取り付けるコルゲートクランプであって、
環状の山部と谷部とが軸線方向に交互に設けられた樹脂成形品からなる前記コルゲートチューブに対して、その半周側に外嵌する第1分割体と他半周側に外嵌する第2分割体との一端をヒンジ部を介して開閉自在に連結し、他端に互いにロック結合するロック部と車体係止部を設けており、
前記第1分割体には固定円弧枠部を設ける一方、前記第2分割体には径方向へ移動可能とした可動円弧枠部を設け、前記固定円弧枠部と可動円弧枠部の内周面に軸線方向に間隔をあけて前記コルゲートチューブの谷部に嵌合するリブを突設し、
前記可動円弧枠部の周方向の端部を薄肉部を介して前記第2分割体に連結し、前記コルゲートチューブの谷部の外径に応じて前記薄肉部が撓んで拡径可能としていることを特徴とするコルゲートクランプを提供している。
【0009】
前記のように、本発明のコルゲートクランプは、コルゲートチューブの半周側に外嵌する第1分割体と、該第1分割体とヒンジ部を介して開閉自在に連結されコルゲートチューブの他半周側に外嵌する第2分割体とを備えている。また、前記第1分割体には、コルゲートチューブの谷部に嵌合するリブが内周面に突設された固定円弧枠部を設けている一方、前記第2分割体には、周方向の端部が薄肉部を介して該第2分割体と連結され、かつコルゲートチューブの谷部に嵌合するリブが内周面に突設された可動円弧枠部を設けている。
【0010】
即ち、前記構成によれば、第1分割体の固定円弧枠部のリブおよび第2分割体の可動円弧枠部のリブをコルゲートチューブの谷部に嵌合させることで、コルゲートチューブを軸線方向に位置ズレさせることなく保持できる。また、前記第2分割体では、保持するコルゲートチューブの谷部の外径に応じて前記薄肉部を撓ませて可動円弧枠部を径方向に移動、拡径させることができるため、コルゲートチューブの径が所定範囲内であれば、コルゲートチューブの径によらず同一のコルゲートクランプでコルゲートチューブを安定保持することができる。また、前記薄肉部の撓みを利用することで、コルゲートチューブに外嵌した第1、第2分割体をロック結合するためのクリアランスも確保でき、ロック結合後は前記クリアランスを容易に吸収することができるため、コルゲートクランプで保持されるコルゲートチューブのガタつきを防止することができる。さらに、従来のように段階的にロック結合を行う必要がないためロック部の構造も簡素化でき、作業者も通常のロック結合を行うだけでよいので、容易かつ確実にコルゲートクランプの取り付けを行うことができる。
【0011】
前記第2分割体には、一端を前記ヒンジ部と連結すると共に他端に前記ロック部を設けた固定枠部を設け、該固定枠部に対して前記可動円弧枠部の周方向の少なくとも一端を前記薄肉部を介して連結し、前記ヒンジ部側の固定枠部と連結した一端の前記薄肉部は薄肉ヒンジとする一方、前記ロック部側の固定枠部と連結した他端は外向き傾斜片とし、前記薄肉ヒンジを回転支点として前記外向き傾斜片が径方向へ移動する構成としていることが好ましい。
【0012】
前記構成によれば、径の大きなコルゲートチューブに第2分割体をヒンジ部側から外嵌していく際に、前記薄肉ヒンジが回転支点となり前記可動円弧枠部が拡径方向に回転するように前記外向き傾斜片を径方向へ移動させることができる。即ち、保持するコルゲートチューブの形状、寸法に合わせた滑らかな可動円弧枠部の移動、拡径が可能となる。
【0013】
前記固定枠部に対して前記可動円弧枠部の周方向の両端を前記薄肉部を介して連結し、
前記外向き傾斜片も前記薄肉部とすると共に、前記薄肉ヒンジを円弧状としていることがより好ましい。
【0014】
前記薄肉部の肉厚は前記可動円弧枠部および固定枠部の肉厚の40%〜60%とし、該可動円弧枠部の径方向の移動寸法は、3mm〜5mmとしていることが好ましい。
【0015】
前記薄肉部の肉厚が前記可動円弧枠部および固定枠部の肉厚の40%未満であると、コルゲートクランプとしての耐久性が低下するおそれがある一方、前記薄肉部の肉厚が固定枠部の肉厚の60%を超えると、可動円弧枠部の径方向への移動、拡径が困難になるおそれがある。また、可動円弧枠部の径方向への移動寸法、言い換えれば拡径可能な寸法が3mm未満であると、コルゲートチューブの径によらずコルゲートチューブを保持できるという本発明の効果が得られにくい一方、可動円弧枠部の径方向への移動寸法が5mmを超えると、薄肉部の長さも大となり第1分割体との大きさのバランスが崩れたりコルゲートクランプが大型化したりするおそれがある。
【発明の効果】
【0016】
前述したように、本発明のコルゲートクランプは、コルゲートチューブの半周側に外嵌する第1分割体と、該第1分割体とヒンジ部を介して開閉自在に連結されコルゲートチューブの他半周側に外嵌する第2分割体とを備え、前記第1分割体にはコルゲートチューブの谷部に嵌合するリブが内周面に突設された固定円弧枠部を設けている一方、前記第2分割体には周方向の端部が薄肉部を介して該第2分割体と連結されかつコルゲートチューブの谷部に嵌合するリブが内周面に突設された可動円弧枠部を設けている。
したがって、第1分割体の固定円弧枠部のリブおよび第2分割体の可動円弧枠部のリブをコルゲートチューブの谷部に嵌合させることでコルゲートチューブを軸線方向に位置ズレさせることなく保持できると共に、前記第2分割体では保持するコルゲートチューブの谷部の外径に応じて前記薄肉部を撓ませて可動円弧枠部を径方向に移動、拡径させることができるため、コルゲートチューブの径が所定範囲内であれば、コルゲートチューブの径によらず同一のコルゲートクランプでコルゲートチューブを安定保持することができる。
【0017】
また、前記薄肉部の撓みを利用することで、コルゲートチューブに外嵌した第1、第2分割体をロック結合するためのクリアランスも確保でき、ロック結合後は該クリアランスを吸収することができるため、コルゲートクランプで保持されるコルゲートチューブのガタつきを防止することができる。さらに、従来のように段階的にロック結合を行う必要がないためロック部の構造も簡素化でき、作業者も通常のロック結合を行うだけでよいため、容易かつ確実にコルゲートクランプの取り付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態のコルゲートクランプを示し、(A)は第1分割体と第2分割体を開放した状態の斜視図であり、(B)は正面図である。
【図2】本実施形態のコルゲートクランプを示し、(A)は第1分割体と第2分割体を閉鎖した状態の斜視図、(B)は正面図である。
【図3】(A)は図2の平面図、(B)はA−A線断面図である。
【図4】コルゲートチューブにコルゲートクランプを外嵌した状態を示し、(A)は斜視図であり、(B)はB−B線断面図である。
【図5】(A)は径が最小(谷部の外径D=22.7mm)のコルゲートチューブにコルゲートクランプを外嵌した状態を示すC−C線断面図であり、(B)は径が最大(谷部の外径D=25.8mm)のコルゲートチューブにコルゲートクランプを外嵌した状態を示すC−C線断面図である。
【図6】径が最大のコルゲートチューブにコルゲートクランプを外嵌した際の可動円弧枠部の動きを示す説明図である。
【図7】従来例を示し、(A)は斜視図、(B)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6は本実施形態のコルゲートクランプを示す。
本実施形態のコルゲートクランプ10は、図4に示すように、ワイヤハーネスW/Hに外装する所定範囲の径(本実施形態では谷部32の外径Dが22.7mm〜25.8mm)を有するコルゲートチューブ30に外嵌して車体のブラケット40に取り付けるものである。
樹脂成形品からなるコルゲートクランプ10は、図1〜図4に示すように、環状の山部31と谷部32とが軸線方向に交互に設けられた樹脂成形品からなるコルゲートチューブ30に対してその下半周側に外嵌する第1分割体11と上半周側に外嵌する第2分割体18を備え、第1分割体11と第2分割体18の一端をヒンジ部17を介して開閉自在に連結している。また、第2分割体18の他端にはロック爪28を1個設けたロック片27を突設している一方、第1分割体11の他端にはロック片27を挿入する被ロック穴14を設けている。被ロック穴14の内部にはロック片27のロック爪28を係止させる被ロック爪15を突設しており、第1分割体11の被ロック穴14および第2分割体18のロック片27によって、閉鎖した第1、第2分割体11、18をロック結合するロック部29を形成している。なお、本実施形態では、第1分割体11の被ロック穴14および第2分割体18のロック片27をそれぞれコルゲートクランプ10の軸線方向に一対設けている。
また、第1分割体11の被ロック穴14に隣接して、車体より突設したブラケット40を挿入係止する車体係止部16を設けている。
【0020】
第1分割体11には、ヒンジ部17と被ロック穴14との間に、コルゲートチューブ30の下半周側を保持する断面円弧状の固定円弧枠部12を設けている。固定円弧枠部12の内周面には、軸線方向に間隔をあけてコルゲートチューブ30の谷部32に嵌合するリブ13を周方向に突設している。本実施形態では、固定円弧枠部12内周面の軸線方向前端縁と後端縁ならびにその中間位置に3つのリブ13を並設しており、前端縁のリブ13が嵌合するコルゲートチューブ30の谷部32を1番目の谷部32とすると、中間位置のリブ13は3番目の谷部32に嵌合し、後端縁のリブ13は5番目の谷部32に嵌合するように固定円弧枠部12の軸線方向の長さを定めている[図4(B)]。
【0021】
一方、第2分割体18には、一端を前記ヒンジ部17と連結すると共に他端にロック片27を設けたボックス状の固定枠部22と、該固定枠部22の内部に配置されると共にコルゲートチューブ30の上半周側を保持する断面円弧状の可動円弧枠部19を設けており、可動円弧枠部19の周方向の両端を固定枠部22に薄肉部21(21a、21b)を介して連結することにより可動円弧枠部19を径方向に移動可能としている。
【0022】
固定枠部22の軸線方向の前端面および後端面は、第1分割体11と第2分割体18とを閉鎖したときに第1分割体11の固定円弧枠部12の前端面および後端面と同一平面をなすように設けており、固定枠部22の軸線方向の前端面および後端面には、コルゲートチューブ30を挿通する半円状の開口23を設けていると共に、該開口23端縁には最大径(本実施形態では谷部32の外径Dが25.8mm)のコルゲートチューブ30に外嵌した場合に、該コルゲートチューブ30の1番目と5番目の谷部32に嵌合するリブ24を突設している。
【0023】
また、本実施形態では、固定枠部22の両側壁の軸線方向中央位置より内方に突出する中央壁部25を設け、固定枠部22の前端面と中央壁部25とで挟まれた空間および中央壁部25と固定枠部22の後端面とで挟まれた空間に一対の可動円弧枠部19を並設している。可動円弧枠部19の内周面にはコルゲートチューブ30の谷部32に嵌合するリブ20を周方向に突設しており、本実施形態では、前方側の可動円弧枠部19の軸線方向中央位置に突設したリブ20が図4(B)に示すコルゲートチューブ30の2番目の谷部32に嵌合し、後方側の可動円弧枠部19の軸線方向中央位置に突設したリブ20がコルゲートチューブ30の4番目の谷部32に嵌合するようにしている。なお、可動円弧枠部19は前記のように径方向に移動可能としているため、可動円弧枠部19に突設したリブ20は、谷部32の外径Dが22.7mm〜25.8mmのいずれのコルゲートチューブ30の谷部32にも嵌合可能となる。
一方、固定枠部22の上面(第2分割体を閉鎖したときに上面側に位置する面)には、各可動円弧枠部19の径方向の動きを阻害しないように矩形状開口26を並設している。
【0024】
本実施形態では、図3(B)に示すように、可動円弧枠部19の周方向の一端と、固定枠部22のヒンジ部17側の内側面とを連結する薄肉部21aを円弧状の薄肉ヒンジ21aとしている一方、可動円弧枠部19の周方向の他端と、前記矩形状開口26のロック片27側の端縁とを連結する薄肉部21bを外向き傾斜片21bとしている。
前記薄肉部21(21a、21b)の肉厚は、可動円弧枠部19および固定枠部22の肉厚の40〜60%とし、本実施形態では可動円弧枠部19および固定枠部22の肉厚の50%としている。
【0025】
以下、コルゲートチューブ30へのコルゲートクランプ10の外嵌および径の大きなコルゲートチューブ30にコルゲートクランプ10を外嵌したときの可動円弧枠部19の動きについて説明する。
まず、図1に示す開放状態のコルゲートクランプ10の第1分割体11の固定円弧枠部12にコルゲートチューブ30をセットし、コルゲートチューブ30の谷部32に固定円弧枠部12のリブ13をそれぞれ嵌合させる。
続いて、セットしたコルゲートチューブ30の上半周側を覆うように、第2分割体18を閉鎖しロック片27を被ロック穴14に挿入してロック結合を行う。
【0026】
径が最小(本実施形態では谷部32の外径Dが22.7mm)のコルゲートチューブ30にコルゲートクランプ10を外嵌する場合は、図5(A)示すように、薄肉部21(21a、21b)が撓んで可動円弧枠部19が移動することなく、元の位置で第2分割体18の可動円弧枠部19のリブ20がコルゲートチューブ30の谷部32にそれぞれ嵌合してコルゲートチューブ30がコルゲートクランプ10に保持される。
【0027】
一方、径の大きなコルゲートチューブ30にコルゲートクランプ10を外嵌する場合には、可動円弧枠部19のリブ20が嵌合する谷部32の外径Dに応じて、薄肉部21(21a、21b)が撓んで可動円弧枠部19を移動、拡径させる。即ち、径の大きなコルゲートチューブ30にコルゲートクランプ10の第2分割体18をヒンジ部17側から外嵌していくと、図5(B)および図6に示すように、円弧状の薄肉ヒンジ21aが回転支点となり可動円弧枠部19を拡径方向に回転させるように外向き傾斜片21bが径方向に移動する。したがって、保持するコルゲートチューブ30の径が所定範囲内で大きくなっても、可動円弧枠部19はコルゲートチューブ30の形状、寸法に合わせて滑らかに移動、拡径し、該拡径状態で可動円弧枠部19のリブ20がコルゲートチューブ30の谷部32に嵌合することができるため、径の大きなコルゲートチューブ30でも同一のコルゲートクランプ10で保持することができる。
【0028】
なお、図5(B)は径が最大(本実施形態では谷部32の外径Dが25.8mm)のコルゲートチューブ30にコルゲートクランプ10を外嵌した状態を示している。また、図6は前記最大径のコルゲートチューブ30にコルゲートクランプ10を外嵌する際の可動円弧枠部19の動きを示し、可動円弧枠部19および薄肉部21の元の位置を破線で示し、可動円弧枠部19および薄肉部21の最終位置を実線で示している。本実施形態では、可動円弧枠部19の径方向への移動寸法、即ち、拡径可能な寸法を3.1mmとしている。
【0029】
前記のように、本実施形態のコルゲートクランプ10は、コルゲートチューブ30の下半周側に外嵌する第1分割体11と、該第1分割体11とヒンジ部17を介して開閉自在に連結されコルゲートチューブ30の上半周側に外嵌する第2分割体18とを備え、第1分割体11にはコルゲートチューブ30の谷部32に嵌合するリブ13が内周面に突設された固定円弧枠部12を設けている一方、第2分割体18には周方向の端部が薄肉部21(21a、21b)を介して第2分割体18の固定枠部22と連結されかつコルゲートチューブ30の谷部32に嵌合するリブ20が内周面に突設された可動円弧枠部19を設けている。したがって、第1分割体11の固定円弧枠部12のリブ13および第2分割体18の可動円弧枠部19のリブ20をコルゲートチューブ30の谷部32に嵌合させることでコルゲートチューブ30を軸線方向に位置ズレさせることなく保持できると共に、第2分割体18では保持するコルゲートチューブ30の谷部32の外径Dに応じて薄肉部21(21a、21b)を撓ませて可動円弧枠部19を径方向に移動、拡径させることができるため、コルゲートチューブ30の径が所定範囲内であれば、コルゲートチューブ30の径によらず同一のコルゲートクランプ10でコルゲートチューブ30を安定保持することができる。
【0030】
また、薄肉部21(21a、21b)の撓みを利用することで、コルゲートチューブ30に外嵌した第1、第2分割体11、18をロック結合するためのクリアランスも確保でき、また、ロック結合後は該クリアランスを吸収することができるため、コルゲートクランプ10で保持されるコルゲートチューブ30のガタつきを防止することができる。さらに、段階的にロック結合を行う必要がないためロック部29の構造も簡素化でき、作業者も通常のロック結合を行うだけでよいため、容易かつ確実にコルゲートクランプ10の取り付けを行うことができる。
【符号の説明】
【0031】
10 コルゲートクランプ
11 第1分割体
12 固定円弧枠部
13、20、24 リブ
16 車体係止部
17 ヒンジ部
18 第2分割体
19 可動円弧枠部
21 薄肉部
21a 円弧状の薄肉ヒンジ
21b 外向き傾斜片
22 固定枠部
29 ロック部
30 コルゲートチューブ
31 山部
32 谷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスに外装するコルゲートチューブに外嵌して車体に取り付けるコルゲートクランプであって、
環状の山部と谷部とが軸線方向に交互に設けられた樹脂成形品からなる前記コルゲートチューブに対して、その半周側に外嵌する第1分割体と他半周側に外嵌する第2分割体との一端をヒンジ部を介して開閉自在に連結し、他端に互いにロック結合するロック部と車体係止部を設けており、
前記第1分割体には固定円弧枠部を設ける一方、前記第2分割体には径方向へ移動可能とした可動円弧枠部を設け、前記固定円弧枠部と可動円弧枠部の内周面に軸線方向に間隔をあけて前記コルゲートチューブの谷部に嵌合するリブを突設し、
前記可動円弧枠部の周方向の端部を薄肉部を介して前記第2分割体に連結し、前記コルゲートチューブの谷部の外径に応じて前記薄肉部が撓んで拡径可能としていることを特徴とするコルゲートクランプ。
【請求項2】
前記第2分割体には、一端を前記ヒンジ部と連結すると共に他端に前記ロック部を設けた固定枠部を設け、該固定枠部に対して前記可動円弧枠部の周方向の少なくとも一端を前記薄肉部を介して連結し、前記ヒンジ部側の固定枠部と連結した一端の前記薄肉部は薄肉ヒンジとする一方、前記ロック部側の固定枠部と連結した他端は外向き傾斜片とし、前記薄肉ヒンジを回転支点として前記外向き傾斜片が径方向へ移動する構成としている請求項1に記載のコルゲートクランプ。
【請求項3】
前記固定枠部に対して前記可動円弧枠部の周方向の両端を前記薄肉部を介して連結し、
前記外向き傾斜片も前記薄肉部とすると共に、前記薄肉ヒンジを円弧状としている請求項2に記載のコルゲートクランプ。
【請求項4】
前記薄肉部の肉厚は前記可動円弧枠部および固定枠部の肉厚の40%〜60%とし、該可動円弧枠部の径方向の移動寸法は、3mm〜5mmとしている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコルゲートクランプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−85464(P2012−85464A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230534(P2010−230534)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】