説明

コンクリート床版仕上がり高さ管理方法

【課題】道路、高速道等の建造物のためのコンクリート打設の表面高さの経時的変化を計測して管理するコンクリート床版仕上がり高さ管理方法を提供する。
【解決手段】レーザ測距機4で、打設されたコンクリート床版の表面の高さを計測し、表示器としてのディスプレイ31に、目標とする目標表面の高さと、既に打設された表面である打設表面との高さの違いを表示する。コンクリート床版の表面の仕上げの基準となる点にプリズム9を置き、コンクリート型枠3の表面をレーザ測距機4で計測するときの基準値として利用し、レーザ測距機4の基準点の計測に利用する。表示器としてのディスプレイ31は、コンクリート床版表面の目標とする高さと、既に打設された表面である打設表面との高さの違いを、その度合いに応じて識別して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路、高速道路等の建造物のための計測方法に関し、特に、経時的変化を計測する方法に関する。詳しくは、施工中のコンクリート床版仕上がり高さ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
床版の工事を次の工程で行う。まず、橋桁と橋脚の上に、型枠として床版型枠及び側型枠を組む。そして、床版型枠の上に、鉄筋を並べ、鉄筋同士を細い針金等で結束する。この鉄筋は、コンクリート床版に生じる引張応力に抵抗するものである。型枠は、コンクリートに接する板状部品であるせき板、型枠の支えとなる横ばたや縦ばた、大規模な型枠の場合、これらに加え根太、大引、支柱からなる。せき板の内面には、完成時にコンクリートが剥がれ易くするために油や樹脂等が塗られる。
【0003】
せき板は、アルミニウム、ステンレス、樹脂、紙、コンクリート、合板が利用される。鉄筋の配置が完了したら、型枠内に生のコンクリートを打ち込むコンクリート打設が行われる。このコンクリートの打ち込みは、コンクリート打設といい、人力による場合もあるが、一般にコンクリートポンプ車等の専用の機械で行う。このコンクリート打設のとき、コンクリートが型枠の中に設計高さになるように管理するため、型枠のせき板に設けた、又は、型枠の中に設けた目印を作業員が確認しながらコンクリートの打ち込みを行う。
【0004】
コンクリート構造物の品質保証を行うためには、コンクリート打設の仕上がりの管理が重要である。特に、コンクリート打設の仕上がりをリアルタイムで管理する技術が求められている。コンクリート打設の仕上がりを管理する技術としては、多数の技術が開示されている。例えば、コンクリート打設空間にセンサを配置して、コンクリートの打設時に下方から上方に変位するコンクリート面との距離を計測するコンクリート打設管理システムが開示されている(例えば、特許文献1)。このセンサから出力された計測値を基にコンクリート高さを演算して、演算表示装置の画面にリアルタイムで表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−83353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のコンクリート打設管理システムは、センサとその直下の領域のコンクリート面との間の距離を計測している。このシステムは、道路や高速道路等のコンクリート建造物のように広い領域にコンクリート打設を行うものでは、センサを多数配置する必要があり、不向きである。このため道路や高速道路等の広い領域にコンクリート打設する場合でも、コンクリート打設の仕上がりをリアルタイムで管理し、コンクリート床版仕上がり高さを、現場の作業員に分かりやすく伝達する技術が求められている。
【0007】
本発明は上述のような技術背景のもとになされたものであり、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、道路、高速道路等の建造物のためのコンクリート打設表面高さの経時的変化を計測して管理するコンクリート床版仕上がり高さ管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。
本発明の発明1のコンクリート床版仕上がり高さ管理方法は、コンクリート床版を施工するため、型枠内にコンクリートを打ち込むコンクリート打設において、前記コンクリート打設時に、打設された前記コンクリート床版の表面高さを計測するためのレーザ測距機と、前記計測されたデータを用いて計算する計算機と、前記計算された結果を表示する表示器とからなり、前記表示器に、目標とする目標表面の高さと、既に打設された表面である打設表面との高さの違いを表示しながら、前記コンクリート床版の仕上がり高さを管理することを特徴とする。
【0009】
本発明の発明2のコンクリート床版仕上がり高さ管理方法は、発明1において、前記目標表面と前記打設表面との違いを色彩表示で異なる表示で行うことを特徴とする。
本発明の発明3のコンクリート床版仕上がり高さ管理方法は、発明2において、前記目標表面の位置は、前記コンクリート床版の表面の仕上げの基準となる点にプリズムを置いて、前記コンクリート型枠の表面を前記レーザ測距機で計測して決定することを特徴とする。
【0010】
本発明の発明4のコンクリート床版仕上がり高さ管理方法は、発明3において、前記レーザ測距器は、本体と、前記本体に支持され互いに直交する2軸のための2軸回転サーボ機構と、前記2軸回転サーボ機構に同体に支持されレーザ光を投射するレーザ投射器と、測距対象点で反射する反射光を受光し前記本体の基準点と前記測距対象点との間の距離Rを計算して求める距離計測器と、からなり、前記計算機は、前記型枠の近傍に設置された前記プリズムである第1プリズムと第2プリズムから、前記本体の基準点の位置を計算する手段と、前記本体の基準点から、前記型枠の前記打設表面の各点の3次元極座標を求める手段と、前記3次元極座標の集合から、前記打設表面の3次元図を求める手段とからなり、表示器は、前記計算器から取得した前記3次元図を表示することを特徴とする。
【0011】
本発明の発明5のコンクリート床版仕上がり高さ管理方法は、発明4において、前記表示器は、前記3次元極座標と、前記コンクリート床版仕上げ高さの設計データを重ねて表示し、前記計算器は、前記3次元極座標と前記設計データの違いを求めて差異データを出力し、前記出力された差異データを前記表示器により前記違いの度合いに応じて識別して表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、次の効果が奏される。
本発明のコンクリート床版仕上がり高さ管理方法によると、コンクリート打設の仕上がり、特に高さの経時的変化を計測し、管理し易くなった。
また、本発明のコンクリート床版仕上がり高さ管理方法によると、コンクリート打設の仕上がり、特に高さの経時的変化を計測し、コンクリート打設の仕上がりの情報化を図ることができた。
【0013】
更に、本発明のコンクリート仕上がり高さ管理方法によると、コンクリート打設の仕上がり、特に高さの経時的変化を計測して管理することで、コンクリート打設の仕上がりの品質向上、工期の短縮を図ることができた。
更にまた、広い測定領域でもレーザ測距機で複数の測点を測定するので、従来のように多数のセンサが必要なくなった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態のコンクリート床版仕上がり高さ管理装置の運営状況を示す概念図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態の計算機5の概念を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態のコンクリート床版仕上がり高さ管理装置1で、コンクリート床版仕上がり高さを管理する流れを示すフロー図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態のコンクリート床版仕上がり高さ管理装置1で、事前計測の流れを示すフロー図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態のディスプレイ31の表示例を示す概念図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態の帳票の例を示す概念図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態のコンクリート床版仕上がり高さ管理装置1で、コンクリート床版仕上がり高さを管理する流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明によるコンクリート床版仕上がり高さ管理方法の第1の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態のコンクリート床版仕上がり高さ管理装置1の運営状況を示す概念図である。コンクリート床版仕上がり高さ管理装置1は、コンクリート床版を橋桁や橋脚の上に施工するコンクリート床版のためのコンクリート打設に利用されるものである。高架橋では、地表に設置された橋脚12の上に橋桁(図示せず)が設置され、橋桁の上に、コンクリート型枠3が組まれる。
【0016】
コンクリート型枠3は、床版型枠と側型枠からなる。床版型枠上に鉄筋2が配され、コンクリート型枠3内にコンクリートの打ち込まれる。コンクリート型枠3は、コンクリートが固まるまでの形状を保つためのものである。コンクリート型枠3は、コンクリートに接する板状部品であるせき板、型枠の支えとなる横ばたや縦ばた、大規模な型枠の場合、これらに加え根太、大引、支柱からなる。せき板の内面には完成時にコンクリートが剥がれ易くするために油や樹脂等が塗られる。
【0017】
せき板は、アルミニウム、ステンレス、樹脂、紙、コンクリート、合板が利用される。ただし、コンクリート型枠3の施工工事、コンクリート型枠3の材料等は、本発明の趣旨ではないので、詳しい説明は省略する。コンクリート床版仕上がり高さ管理装置1は、基本的に、レーザ測距機4と計算機5からなる。コンクリート型枠3の中にコンクリートを打ち込むとき、コンクリート床版仕上がり高さ管理装置1は、コンクリート打設表面の高さをレーザ測距機4で測定し、測定されたデータを計算機5の表示器としてのディスプレイ31に表示する。
【0018】
現場の管理者は、ディスプレイ31上に表示されているコンクリート打設の表面高さを見ながら、コンクリートの打ち込みを設計値に合うように、又は、予め設定した基準値に合うように行う。レーザ測距機4は、三脚4a上に載置されて固定される。レーザ測距機4を搭載した三脚4aは、コンクリート打設の現場の付近に設置されるが、例えば、図1に図示したように、既にコンクリートの打設が終わり硬化したコンクリート床版等の上に配置される。レーザ測距機4と計算機5は、互いに双方向通信を行うための通信機能を有する。
【0019】
本発明の第1の実施の形態においては、レーザ測距機4は計算機5と無線双方向通信を行っているが、レーザ測距器4と計算機5が通信ケーブル等で接続される有線通信機能を、レーザ測距機4が備えても良い。計算機5は、無線通信をするためのアンテナ(図示せず。)を内蔵している。計算機5は、このアンテナを介して、レーザ測距機4と通信する。また、計算機5は、アンテナを介して、管理センター(図示せず。)と通信する。レーザ測距機4は、レーザ光を発生させて測定対象物へ照射し、このレーザ光が測定対象物で反射してきた反射レーザ光を検出して、測量を行う。
【0020】
レーザ測距機4としては、トータルステーションに代表されるように汎用の装置を利用する。トータルステーションとしては、株式会社ソキア・トプコン(東京都板橋区)製のSRXトータルステーションシリーズが例示できる。また、道路や建造物等の測量技術は、日本国特許第4059832号に開示されている「道路断面継続装置および道路断面計測方法」のように、多数開示されている。本発明の第1の実施の形態のコンクリート床版仕上がり高さ管理装置1は、基準点及びコンクリート打設表面の高さが測距できる既知の任意の測定方法も採用することもできる。本発明の第1の実施の形態において、コンクリート床版仕上がり高さ管理装置1は、日本国特許第4059832号に開示された測距方法の全部又はその一部を採用した。
【0021】
以下、レーザ測距機4の構造概要、測量の方法等について簡単に説明し、その詳細な構造及び測量の方法については汎用の機器のため省略する。レーザ測距機4は、レーザ光(位相)検出距離計算器(図示せず。)を備えている。レーザ光検出距離計算器は、投射レーザ光を発振するためのレーザ投射器と、レーザ投射器の投射方向に対応する2次元角度に光軸を制御するための2軸回転サーボ機構と、レーザ投射角度をプログラム制御するレーザ投射角度電子制御系と、反射して戻ったレーザ光を検出し位相を計測する光波位相解析距離計算器とを備えている。
【0022】
レーザ投射器から投射される投射レーザ光が計測対象点(図示せず。)で反射して戻った反射レーザ光は光波位相解析距離計算器で受信される。光波位相解析距離計算器は、反射レーザ光と投射レーザ光に夫々対応する位相の差に基づいて、レーザ測距機4に設定されている機械的原点(基準点)と計測対象点の間の距離(R)を計算し、測距データとして出力する。測距データは、3次元極座標データ(R,θx,θy)を有し、2次元角度座標(θx,θy)に対応して距離Rが測定されているので、その3次元極座標データのうちの距離データRは、R(θx,θy)として表される。
【0023】
3次元極座標データ(R,θx,θy)は、レーザ投射角度電子制御系から出力される2次元角度データ(θx,θy)と、光波位相解析距離計算器から出力される距離データRとを合成する3次元極座標データ作成器により作成される。3次元極座標データ作成器は、時系列3次元極座標データ(R(t),θx,θy)、又は、(R(t,θx,θy),θx,θy)を作成することができる。その時刻tは、計算器5又はレーザ光波検出距離計算器に内蔵されるクロック(図示されず)により与えられる。
【0024】
レーザ測距機4は、測定された測距データを計算機5へ送信する。計算機5は、図2に図示したように、中央処理装置(以下、CPUという)20、主記憶装置(RAM)21、ROM22、通信バス23、入力装置30、出力装置としての表示器であるディスプレイ31、各種通信インターフェース24〜26を備えた電子計算機である。本発明の第1の実施の形態においては、計算機5の本体27は、CPU20、RAM21、ROM22、通信バス23、インターフェース24、入力インターフェース25、出力インターフェース26からなる。
【0025】
また、本体27は、ハードディスクや不揮発性メモリ等の補助記憶装置28を有する。補助記憶装置28は、図示していないが所定のインターフェースで通信バス23に接続されている。補助記憶装置28には、コンクリート床版仕上がり高さ管理に必要なアプリケーションソフトウェアであるコンクリート床版仕上がり高さ管理ソフトウェアが格納されている。コンクリート床版仕上がり高さ管理ソフトウェアは、コンクリート床版の設計データを読み込んで打設現場を表示する機能、又は、コンクリート床版の設計データを入力をして打設現場をディスプレイ上に表示する機能を有する。
【0026】
また、コンクリート床版仕上がり高さ管理ソフトウェアは、表示されている打設現場に、レーザ測距機4で計測されたデータ、そのデータから計算された3次元又は2次元の図を表示する機能も有する。また、補助記憶装置28には、計算機5がレーザ測距機4及び/又は管理センターと通信するとき、その通信を制御するための通信ソフトウェアが格納されている。これらのソフトウェアは、基本ソフトウェアから呼び出されて動作する。また、本体27は、計算機5の電源を供給するための内蔵電源ユニット29を備える。
【0027】
入力装置30は、マウス、キーボード、タッチパネル等の装置である。出力装置は、ディスプレイ31からなる。アンテナ32は、通信インターフェース24に接続される。アンテナ32は、図1に図示されていないように、計算機5の内蔵されているものが好ましい。計算機5は、本体27と、それに接続して利用する入力装置30、ディスプレイ31、アンテナ32等からなっているが、本体27がこれらを内蔵した一体型でも良い。
【0028】
計算機5は、マイクロソフト社のWindows(登録商標)、オープンソースのLINUX(登録商標)、アップル社のMac OS(登録商標)等の任意の基本ソフトウェアで制御されて動作する。計算機5は、本発明の第1の実施の形態で記述した処理を行うことができるものであれば、任意の電子計算機を使用できる。計算機5の詳細な動作については、本発明の趣旨ではないので省略する。計算機5は、本発明の第1の実施の形態において、コンクリート打設の現場で利用するものであるので、ノートブック等の携帯型の小型の電子計算機であることが最も好ましい。
【0029】
レーザ測距機4から送信された測距データに基づいて、コンクリート打設の進捗状況が計算機5のディスプレイ31に表示される。また、このディスプレイ31には、レーザ測距機4で測量した実際のコンクリート打設の進捗状況と合わせてコンクリート床版の設計データが表示される。この表示のとき、コンクリート床版の設計データで目標とする目標表面の高さと、既に打設された表面である打設表面との高さの違いを表示する。この違いは、差異データとして計算される。この打設表面は、測定ポイント10で測定したときの高さの値である。
【0030】
コンクリート打設の作業者や管理者は、この表示を見て、すぐにコンクリート打設が適切に行われているか否かが確認できる。つまり、コンクリート床版表面高さが設計通りになった箇所と、コンクリート床版表面高さが設計された高さから低い箇所又は高い箇所の値が確認できる。図3は、コンクリート床版仕上がり高さ管理装置1で、コンクリート打設高さを管理する流れを示すフロー図である。まず、設計データが計算機5に入力される。この設計データは、コンクリート床版を施工するための設計データである。
【0031】
設計データは、図1に示したようなコンクリート型枠3、鉄筋2の設計データも含むことができる。コンクリート床版の設計データは、事前に専用の設計ソフトウェア等で作成される。設計データは、その設計ソフトウェアの専用の形式、又は、テキスト形式で保存される。設計データは、計算機5の補助記憶装置28に保存され、計算機5上で動作するコンクリート床版仕上がり高さ管理ソフトウェアから呼び出される。計算機5は、この設計データを、読み込んで、コンクリート床版の設計データを、ディスプレイ31上にコンクリート床版仕上がり高さ管理現場図として表示する(ステップ1)。
【0032】
また、管理者によって道路の幅や長さ等が入力され、この道路の幅や長さで指定されたコンクリート床版仕上がり高さ管理現場図がディスプレイ31に表示することも可能である。更に、コンクリート床版仕上がり高さ管理現場が、管理者が容易に把握できる形状の場合、管理者が道路の幅や長さ等を入力して、ディスプレイ31上にコンクリート床版仕上がり高さ管理現場図として表示することもできる。その後、コンクリート床版仕上がり高さの管理現場では、コンクリート打設前に事前計測が行われる(ステップ2)。
【0033】
ステップ2の事前計測は、図4に示すフロー図に沿って行われる。まず、前記設計データ等が読み込まれ又は入力されてコンクリート床版仕上がり高さ管理現場図がディスプレイに表示できるようになった後は、レーザ測距機4を設置すると共に座標がわかっている2つの既知点に第1プリズム9a、第2プリズム9bを設置する(ステップ15)。第1プリズム9a、第2プリズム9bは、支持棒8等の取り付け具で設置される。この時、レーザ測距機4は、現場の周辺で、現場全体が見渡し計測可能な任意場所に設置される(ステップ15)。
【0034】
次に、計算機5は、後方交会法により、レーザ測距機4が設置された自己位置を計算する。後方交会法は、周知のものであり、その概要を説明すると、計算機5に前記既知点の座標を入力し、レーザ測距機4によりレーザ測距機4から2つの既知点に設置したプリズム9a,9bまでの距離を夫々測定し、この2つの距離とレーザ測距機4と一方の既知点とを結ぶる直線とレーザ測距機4と他方の既知点とを結ぶ直線とが成す夾角とから、計算機5によりレーザ測距機4を設置した自己位置である基準点(機械的原点)を計算して求めるものである(ステップ16)。
【0035】
次に、コンクリート床版仕上がり高さ管理箇所に、支持棒8等の取り付け具でプリズム9を設置し、レーザ測距機4によりコンクリート床版仕上がり高さ管理箇所の左右端位置を測定する。(ステップ17)。このとき、プリズム9は、コンクリート床版仕上がり高さ管理をしようとする箇所の近傍に設置される。例えば、図示したように、左右のコンクリート型枠3に設置される。この時の事前計測では、プリズム9で、左右のコンクリート型枠3の面を計測する。これはコンクリート型枠3の表面をコンクリート床版仕上がり高さの基準としているためである。
【0036】
尚、型枠の底面を測定し、底面からの高さを入力してコンクリート床版仕上がり高さの基準としても良い。このステップ15〜17が終わるといったんレーザ測距機4はコンクリート打設の現場から撤去され図3のステップ2の事前計測が完了する。道路11の現場の工事が進み、コンクリート打設となると、前記ステップ15と略同様にレーザ測距機4と、座標がわかっている2つの既知点に夫々プリズム9が設置される(ステップ3)。例えばプリズム9は、前記既知点に第1プリズム9a、第2プリズム9bとして設置される。
【0037】
次に、前記ステップ16と同様に、レーザ測距機4とプリズム9a,9bとを利用して計算機5により自己位置である基準点を計算する(ステップ4)。このステップ4と前記ステップ16は本体の基準点の位置を計算する手段となっている。自己位置を測定して計算した後、各測定ポイント10を測定するために、投射光の投射する投射角度、言い換えるとレーザ測距機4を旋回する角度、を計算機5が求める。測定ポイント10が事前に計算機5に入力されている場合は、この測定ポイント10の座標を使って、投射角度が求められる。
【0038】
又は、1対のプリズム9が道路11の両側の型枠に、道路11の断面上に位置する場合は、この1対のプリズム9までの距離を求め、そこから1対のプリズム9を通る線を求めて、この線上に所定個の測定ポイント10を求め、ている。図1の場合は、プリズム9aとプリズム9bを結ぶ直線10a上に等間隔の6個の測定ポイント10が例として図示されている。また、既に打設されたコンクリート面の上には、直線10b上に等間隔の6個の測定ポイント10が例として図示されている。この測定ポイント10は、後述する図5のセル43の中心になる。
【0039】
これにより、レーザ測距機4は、設置された場所から現場を計測し、それを設計データと重ねて表示可能になる。これらの一連の測距が終わると、コンクリート床版仕上がりの高さ管理ができるようになる。コンクリート床版仕上がり高さ管理装置1による、コンクリート床版仕上がりの高さ管理は、ステップ5からステップ9までの各ステップの処理を行うことで実現できる。まず、コンクリート床版仕上がりの高さ管理が開始すると、レーザ測距機4は、プリズム9を利用しないで、コンクリート打設現場のコンクリートの打設が終わった生コン上の各測定ポイント10までの距離測定を行う(ステップ5及びステップ6)。
【0040】
この時、レーザ測距機4は、設計データをもとに予め前記設定された測定ポイント10へ自動旋回して測定を行う。ステップ6は3次元極座を求める手段となっている。尚、レーザ測距機4は、計算機5から受信し、指示された測定ポイント10へ自動旋回して測定を行うこともできる。現場の道路11は前記左右端位置を結ぶ線上の各測定ポイント10に対応して、道路11が延びる前後方向に、所定間隔に区画される。レーザ測距機4で測定された測定データは、計算機5へ送信される。
【0041】
計算機5は、この測定データを計算処理して、後述のディスプレイ31に表示可能な形式に変換する(ステップ7)。このステップ7で計算機5は、測定データを設計データと比較し、コンクリート床版仕上がりの高さを計算する。言い換えると、コンクリート打設の目標表面の高さとなる設計データ上の高さと、測定値を比較し、コンクリート打設の進捗状況を把握できるようにする。ステップ7では、後述のように3次元極座標又は3次元座標データとして求められ、次のステップ8で図5に示すように2次元図として表示されるが、3次元図として表示することも可能なデータであり、3次元図形を求める手段となっている。
【0042】
そして、ステップ7で計算された値は、ディスプレイ31上に表示される(ステップ8)。レーザ測距器4は、次に、次の測定ポイント10を計測するか判断し(ステップ9)、測定する場合はステップ6〜9が繰り返され、同じ処理が行われる。レーザ測距機4は、1つの測定ポイント10を測定し、計算機5でコンクリート床版仕上がりの高さを計算し、ディスプレイ31に表示して、次の測定に移る一連の作業は、時間的に早く行うことが好ましいが、現状では数秒から数十秒、好ましくは10秒前後程度、である。
【0043】
測定が予定されていたすべての測定ポイント10の測定が終わると、計算機5は、コンクリート床版仕上がりの高さに関するデータを、所定の帳票形式で出力し、これがプリンタ(図示せず。)等で印刷される(ステップ10)。また、ディスプレイ31で表示されている図面がそのまま帳票出力されても良い。更に、計算機5は、この帳票出力を、通信機能を利用して管理センターへ送信することもできる。帳票出力は、測定の最中で任意のタイミングで行うこともできる。
【0044】
図5は、ディスプレイ31の表示例である。ディスプレイ31には、コンクリート床版仕上がりの高さ管理を表示する第1領域40と、測定位置を設定するための第2領域41、高さの指標を示す第3領域42が表示されている。第1領域40は、コンクリート床版仕上がりの高さを管理する現場全体を示す現場図40aを表示している。現場図40aは、基本的に上述の設計データである。現場図40aは、この例では、2次元図であるが、3次元図として表示することも可能である。
【0045】
現場図40aの縦の長さは道路11の現場の道路幅を表し、現場図40aの横の長さは、道路11の現場の長さを表す。図5の例では、現場図40aは、縦横1mの領域に区画されたセル43にして、ディスプレイ31上に右から左にレーザ測距機4からの距離とともに表示している。測定ポイント10のデータが入力又は計算されると、セル43が計算機5によって計算されて設定される。セル43は、基本的に1つの測定ポイント10を中心にした領域である。測定ポイント10は隣接して所定の距離を有するが、表示を分かりやすくするために、この測定ポイント10での測定データは、セル43の範囲として表示される。
【0046】
各測定ポイント10での測定データは、3次元極座標又は3次元座標データとして求められ、更に、これらの測定データから、コンクリート打設の表面の3次元図が作成されて、現場図40aの3次元図に重ねて表示することができる。しかし、この図5の例では、2次元のみ表示している。測定データは、図5に2次元で表示し、差異データも表示しているので、これを合わせると3次元として扱うこともできる。前記距離は、第1領域の上の方に「2.0m」のように、点線で示すように距離表示領域44に表示されている。
【0047】
第2領域41は、測定する現場のセル43を選択して指定するためのものである。ここで、第1領域40に紙面上に縦に一列をなすセル43に対して、1個のチェックボックスが表示されている。このチェックボックスに印をつけて、測定するセル43の一列が指定できる。第1領域40は、測定結果に応じて、コンクリート打設された表面と、その設計データの高さの違いである差異データを表示する。この高さの違いが同じセルは、同じハッチングをして表示されている。この高さの違いを見やすくした指標が、第3領域42である。
【0048】
この図5の例では、縦線や横線等で、その高さの違いを5mmの区分に分けて、セル43毎に前記高さの違いに対応して別々のハッチングをしている。第3領域42の「0mm」と第1領域40のセル43aは、コンクリート打設された表面と、その設計データの高さが同じになったことを示す。言い換えると、コンクリートの打ち込みが終了し、仕上げの準備ができたこと意味する。第3領域42の「−30mm越え」と第1領域40のセル43bは、コンクリート打設された表面と、その設計データの高さが30mmを越えた差があることを示している。
【0049】
言い換えると、コンクリートの打ち込みがまだ行われていないことを示している。セル43aとセル43bの間のセル43は、まだコンクリート打設が行われている最中の現場を示している。尚、前記高さの違いに対応した表示をセル43のハッチングの代わりに、異なる色彩で表示することもできる。無論、このハッチングの代わりに、高さの違いを数字や記号で表示することもできる。実際の現場においては、ディスプレイ31に表示されるとき、色分けした方が見やすい。例えば、第3領域42の高さの違いは、上から黄色、ピンク、紫、グレー、水色、青色に表示することができる。ディスプレイ31に表示されるセル43の意味を示すハッチング、色彩、記号は、ユーザが任意に設定できるものである。
【0050】
図6は、帳票の例を示す図である。帳票60は、コンクリート打設の現場の進捗状況を示すものである。帳票60には、コンクリート床版仕上がりの高さを管理する現場が領域61として図示されている。これは、図5の第1領域40に当たる。そして、見やすくするために、領域61の縦と横のサイズを表示している。図6の中では、参照番号62は、コンクリート床版仕上がりの高さが高い領域、参照番号63は、コンクリート床版仕上がりの高さが低い領域を図示している。ここで、高い領域及び低い領域の三角形の大きさは設計データと測定値の差の比率を表しており、三角形が大きいほど設計データと測定値の差が大きいことを示している。
【0051】
図5のセル43に該当するものは、参照番号64のようには表示することができる。また、コンクリート床版仕上がりの高さは、利用者に見やすくするために、その高さの違いによって、異なるハッチング、又は、異なる色彩で表示することもできる。また、高さの違いを数字や記号で表示することもできる。帳票60は、参照番号66で示すように、見やすい題や、管理番号等を有する。更に、領域65のように、現場の工事名、コンクリート床版の設計者、現場の責任者、施工工事の日付、時間等を表示することもできる。
【0052】
帳票60は、印刷して確認又は保管するために利用する。また、帳票60は、画像等に変換して、メールで管理者等の関係者へ送信することもできる。前記コンクリート床版仕上がり高さを管理する流れを示すフロー図では、ステップ2で事前計測を行っていたが、ステップ1で設計データを入力する際に設計データと共に事前に測定ポイント10を入力すれば、ステップ2の事前計測は不要になる。この場合は、図3において、ステップ1、ステップ3〜10で測定が行われる。
【0053】
また、設計データを元に予め設定された測定ポイント10へ自動旋回して測定を行う。ステップ2の事前測定の際に、例えば左右のプリズム9を夫々図1に示すように左右のプリズム9e,9fの位置から道路11に沿って順次移動させながら測定することで複数の高さ管理箇所の左右端位置が測定される。高さ管理箇所の左右端位置は、例えば、道路11が延びる前後方向に沿って1m毎など所定の距離でプリズム9を移動しながら測定されて、計算機5の補助記憶装置28に前記設計データと対応して記憶される。
【0054】
この測定した左右端位置の間を結ぶ線上を所望の間隔に等間隔に分けて測定ポイント10を設定しておき、この測定ポイント10に向けてレーザ測距機4を自動旋回するようにしてもよい。また、現場の測定データは、コンクリート打設の進捗に伴った、複数回測定されるので、その測定された時刻データも測定データと関連付けて保存することができる。このようにすると、コンクリート打設の経時変化が把握でき、進んでは、これを道路建設などの業務管理にも利用することができる。
【0055】
〔第2の実施の形態〕
以下、本発明によるコンクリート床版仕上がり高さ管理方法の第2の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。本発明の第2の実施の形態は、基本的に、上述の第1の実施の形態と同じであり、ここで、異なる部分のみを記述する。図7は、本発明の第2の実施の形態のコンクリート床版仕上がり高さ管理装置1で、コンクリート床版仕上がり高さを管理する流れを示すフロー図である。本発明の第2の実施の形態は、コンクリート床版の設計データが無い場合に、コンクリート床版仕上がりの高さ管理をするものである。
【0056】
言い換えると、コンクリート床版仕上がり高さ管理装置1は、コンクリート床版の設計データに頼らず、現場で計測しながらコンクリート床版仕上がりの高さを管理する。まず、上述の第1の実施の形態にあったように、コンクリート床版の設計データを計算機5に入力するステップ1に該当するステップが無い。先ず、レーザ測距機4やプリズム9等の機器設置が行われる(ステップ20)。レーザ測距器4は、現場の周辺で、現場全体が見渡し計測可能な任意場所に設置される。プリズム9は、コンクリート型枠3に設置される。
【0057】
このとき、プリズム9は、コンクリート打設の仕上がりの高さに設置される。レーザ測距機4によりコンクリート打設の現場を事前計測する(ステップ21)。事前計測では、各プリズム9までの距離を測定し、測定された点で囲まれた領域をコンクリート床版仕上がり高さ管理箇所とする。多数のプリズム9は、コンクリート型枠3の面、つまり、コンクリート型枠3の側型枠に沿って設置されている。これら多数のプリズム9で囲まれた領域は、現場全体になり、コンクリート床版仕上がりの高さ管理箇所になる。一番設置やすい方法は、コンクリート打設を行う場所、つまり型枠に沿って、1対のプリズム9を所定間隔で多数配置する方法である。
【0058】
よって、1対のプリズム9は、図1においては、プリズム9aとプリズム9b、プリズム9cとプリズム9d、プリズム9eとプリズム9fである。所定間隔は、プリズム9bとプリズム9dとの距離La、プリズム9dとプリズム9fとの距離Lbになる。距離Laと距離Lbは基本的に等間隔であるが、道路11が下り坂や上がり坂、曲がり道の場合は、プリズム9とプリズム9の距離は、等間隔で無くても良い。レーザ測距機4から測定されたデータは、計算機5へ送信される。
【0059】
計算機5では、各プリズム9の測定データを計算処理して、現場の領域を計算して、ディスプレイ31に表示する(ステップ22)。この現場の領域は、上述の第1の実施の形態の設計データに当たる。この事前測定データは、基本的に、コンクリート打設の目標とする目標表面の高さとなる。以後は、第1の実施の形態と同様な自動測定が行われ、コンクリート床版仕上がり高さ管理が行われる。レーザ測距機4は、プリズム9との距離等を測定して、レーザ測距機4から計算機5に測定されたデータが送信されて、計算機5により自己位置を計算する(ステップ23)。
【0060】
この自己位置を計算される際に測定されるプリズムは少なくとも2つであり、その2つのプリズム9の座標は既知となっている。これらの一連の測距が終わると、コンクリート床版仕上がりの高さ管理ができるようになる(ステップ24)。コンクリート床版仕上がり高さ管理装置1による、コンクリート床版仕上がりの高さ管理は、ステップ25からステップ28までの各ステップの処理を行うことで実現できる。レーザ測距器4は、プリズム9を利用しないで、コンクリート打設現場の各点までの距離測定を行う(ステップ25)。
【0061】
レーザ測距器4は、ステップ21で事前測定したデータに基づいて、測定ポイント10を自動旋回して測定を行う。又は、レーザ測距機4は、計算機5から受信し、指示された測定ポイント10を自動旋回して測定を行うこともできる。測定ポイント10は、現場が区画され、所定の間隔で行うことができる。つまり、ステップ21で測定されたプリズムで囲まれた領域が所望の間隔で等間隔に区画され、区画において左右方向すなわち道路11の幅方向に所定の等間隔で複数の測定ポイント10が設定されて、測定される。
【0062】
レーザ測距機4で測定された測定データは、計算機5へ送信される。計算機5は、この測定データを計算処理して(ステップ26)、ディスプレイ31に表示する(ステップ27)。このとき計算機5は、これを事前測定データと比較しすなわち測定ポイント10の測定データとコンクリート床版仕上がり高さの仕上がり高さであるプリズム9の測定データとを比較し、コンクリート床版仕上がりの高さを計算して、ディスプレイ31に表示する。レーザ測距機4は、次の測定ポイント10を計測し、同じ処理が行われる(ステップ28)。測定が終わると、計算機5は、コンクリート床版仕上がりの高さに関するデータを、帳票形式で出力し、これがプリンタ(図示せず。)等で印刷される(ステップ29)。
【0063】
また、ディスプレイ31で表示されている図面がそのまま帳票出力されても良い。更に、計算機5は、この帳票出力を、通信機能を利用して管理センター等へ送信することもできる。上述のようにプリズム9が設置されるとき、コンクリート床版仕上がりの高さに対して所定の距離上に設置されることもできる。計算機5にこの距離を入力して、計算機5は、コンクリート床版仕上がりの高さを自動計算して表示する。言い換えると、コンクリート床版の仕上がりの高さに対して所定の距離上にプリズム9が設置された場合、このプリズム9の位置から、コンクリート打設の目標とする目標表面の高さを、計算機5が自動計算してディスプレイ31に表示する。
【0064】
このように、本発明のコンクリート床版仕上がり高さ管理方法の第1及び第2の実施の形態によれば、コンクリート床版仕上がりの高さを自動的に測定し、それを、その目標とする高さとの差を求めてディスプレイ31に表示している。コンクリート打設の現場の管理者、作業者、遠隔の管理センターで、ディスプレイ31、帳票を確認して、コンクリート打設の進捗状況を一眼把握することができる。特に、コンクリート床版の面積が大きい場合は、1センチ、数ミリの誤差は、作業者や現場管理者の肉眼で確認できないことがあるので、この場合は、ディスプレイ31を見て、コンクリートの過不足がわかる。
【0065】
従来は、コンクリート打設の現場で、数十センチ置きに、コンクリート床版仕上がりの目標高さを示す印を設置し、コンクリートを打ち込みしながら肉眼、物差しで測りながら作業を行っていた。コンクリート床版仕上がり高さ管理装置1を利用することで、この印を設置することが必要なくなり、現場の作業の効率も格段に向上した。コンクリート床版仕上がり高さ管理装置1で、コンクリート打設の各ポイントを自動的に測定するので、1ミリ単位でコンクリート床版仕上がり高さが管理できる。コンクリート床版が、上がり坂や下がり坂の場合、歪んでいる面の場合も、コンクリート床版仕上がり高さを1ミリ単位で管理できるようになった。
【0066】
これにより、コンクリート打設の品質が格段に向上する。情報化が図れ、管理センター等の遠隔からもコンクリート打設の進捗状況を瞬時に把握することが可能になった。道路のカーブでも、道路面は地面に対して並行ではなく角度を有する場合、設計データに基づいて測定ポイント10を設定することが好ましい。このように、本発明は、道路面の形状が複雑な形状でも、測定ポイント10を設定することができるという顕著な効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、道路、高速道路等の土木工事、大型建造物の床のコンクリート打設等の分野に利用すると良い。
【符号の説明】
【0068】
1…コンクリート床版仕上がり高さ管理装置
2…鉄筋
3…型枠
4…レーザ測距機
5…計算機
9、9a〜9f…プリズム
11…道路
12…橋脚
20…CPU
21…RAM
22…ROM
23…バス
24…通信インターフェース
25…入力インターフェース
26…出力インターフェース
27…本体
28…補助記憶装置
29…内蔵電源ユニット
30…入力装置
31…ディスプレイ
40…第1領域
41…第2領域
42…第3領域
43、43a、43b…セル
60…帳票

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート床版を施工するため、型枠内にコンクリートを打ち込むコンクリート打設において、
前記コンクリート打設時に、打設された前記コンクリート床版の表面高さを計測するためのレーザ測距機と、
前記計測されたデータを用いて計算する計算機と、
前記計算された結果を表示する表示器とからなり、
前記表示器に、目標とする目標表面の高さと、既に打設された表面である打設表面との高さの違いを表示しながら、前記コンクリート床版の前記コンクリート仕上がり高さを管理する
ことを特徴とするコンクリート床版の仕上がり高さ管理方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記表示器は、前記目標表面と前記打設表面との違いを色彩表示で異なる表示で行う
ことを特徴とするコンクリート床版仕上がり高さ管理方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記目標表面の位置は、前記コンクリート床版の表面の仕上げの基準となる点にプリズムを置いて、前記型枠の表面を前記レーザ測距機で計測して決定する
ことを特徴とするコンクリート床版仕上がり高さ管理方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記レーザ測距機は、
本体と、
前記本体に支持され互いに直交する2軸のための2軸回転サーボ機構と、
前記2軸回転サーボ機構に同体に支持されレーザ光を投射するレーザ投射器と、
測距対象点で反射する反射光を受光し前記本体の基準点と前記測距対象点との間の距離Rを計算して求める距離計測器と
からなり、
前記計算機は、
前記型枠の近傍に設置された前記プリズムである第1プリズムと第2プリズムから、前記本体の基準点の位置を計算する手段と、
前記本体の基準点から、前記型枠の前記打設表面の各点の3次元極座標を求める手段と、
前記3次元極座標の集合から、前記打設表面の3次元図を求める手段と
からなり、
表示器は、
前記計算器から取得した前記3次元図を表示する
ことを特徴とするコンクリート床版仕上がり高さ管理方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記表示器は、前記3次元極座標と、前記コンクリート床版仕上げの設計データを重ねて表示し、
前記計算器は、前記3次元極座標と前記設計データの違いを求めて差異データを出力し、
前記出力された差異データを前記表示器により前記違いの度合いに応じて識別して表示する
ことを特徴とするコンクリート床版仕上がり高さ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−19202(P2013−19202A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154422(P2011−154422)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(395013212)株式会社IHIインフラ建設 (10)
【出願人】(594010722)千代田測器株式会社 (1)
【出願人】(503295448)計測ネットサービス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】