説明

コンテナを検査するための方法及びシステム

【課題】コンテナ内にある少なくとも一つの問題となる物体の画像を生成する方法及びシステムである。
【解決手段】本発明の方法は、コンテナの走査から三次元容積走査データを受信することと、該三次元容積走査データからコンテナの三次元表示を再構築することと、三次元表現を検査して、このコンテナ内にある少なくとも一つの問題となる物体を検出することとを含む。また、本発明の方法は、三次元容積走査データ及び三次元表現のうちの一つから二次元画像を再投影することと、少なくとも一つの問題となる物体の位置に対応する、二次元画像における第一の複数の画像要素を識別することとを含む。さらに、本発明の方法は、強調表示された第一の複数の画像要素を伴って二次元画像を出力することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される実施形態は、概して、コンテナの検査に関し、より詳細には、問題となるコンテナ内の少なくとも一つの物体の画像を生成して、コンテナの内部にある物体の検出を容易にすることに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも幾つかの既知の検査システムには、コンテナの画像を構築し、画像を分析して、コンテナ内部にある爆発物、薬物、武器及び/又はその他の禁輸品を検出するものがある。持ち込み及び預かり荷物を調査する既知の検査システムを含む幾つかの既知の検査システムは、コンピュータ断層撮影(CT)走査器を用いて、コンテナ内部の画像を生成する。幾つかの既知のCTシステムにおいて、エックス線の扇状ビーム源及び検出器の配列が、ガントリーの互いに反対の側に設置される。このガントリーは、コンテナの周りで回転し、エックス線の扇状ビームが、コンテナと交差する角度を絶えず変化させる。検出器の配列は、複数のガントリーの角度の各々において、“視象”、すなわち、一群のエックス線減衰測定値を取得する。物体の“走査”は、コンテナの周りでエックス線源及び検出器が一回転する間の異なるガントリーの角度、つまり、異なる表示角度で生成される一連の視野をもたらす。
【0003】
少なくとも幾つかの既知のCTシステムは、三次元(3−D)容積走査器を用いて、対象の容積の全体を表すCT走査データを得る。3−D容積CT走査器の一例は、螺旋式CT走査器である。エックス線の減衰データが取得される間に、この螺旋式CT走査器内で、コンテナが、ガントリーの回転軸に実質的に平行な方向に、継続的に移動されて、エックス線源の軌跡が、コンテナから見て螺旋を示すようになる。周知の断層撮影再構築アルゴリズム、例えば、直接フーリエ法若しくはフィルタ処理された背面投影法を用いて、3−D容積CT走査器によって走査された容積の全体を表す三次元表示が再構築される。
【0004】
少なくとも幾つかの既知の検査システムは又、検査操作者に表示するためのコンテナの二次元走査投影(SP)画像を生成する前走査器を含む。幾つかの既知の前置走査器は、固定エックス線源からのエックス線の扇状ビーム下でコンテナを移動させることによって動作する。コンテナ及びコンテナ内にある内容物によって減衰した後のエックス線の強度が、固定検出器の配列によって測定される。そのような前置走査器には、分離した固定エックス線源及び検出器の配列を用いることができ、また、固定型前置走査器の場合には、予備3−D容積CT走査器を採用し、螺旋走査の実行前に二次元SP画像を生成してもよい。検査システムの操作者は、典型的には、二次元SP画像におけるある種の物体を認識することに関して、徹底したトレーニングを受け、及び/又は、豊富な経験を積んだものである。その結果として、少なくとも幾らかの検査システムの操作者に対して、CT走査からの完全な三次元表示の検査よりもむしろSP画像の検査の方が、ある種の物体の識別においては、迅速さ及び正確性の面で有利になる。
【0005】
また、専用の前置走査器を使用することによって、別の利益を得ることもできる。例えば、少なくとも幾つかの既知の前置走査器は、コンテナに対して二種類のエネルギー走査を行う。低エネルギー走査及び高エネルギー走査に関するデータを収集することによって、そのような検査システムは、例えば、コンテナの内容物の密度画像及び/又は原子番号画像を再構築し、コンテナ内部の物体及び材料の識別を容易にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
不幸なことに、前置走査器を用いるためには、例えば、別に固定エックス線源及び検出器の配列が必要となるか、若しくは、3−D容積測定CT走査器において固定型前置走査器の使用モードを補助するための別のハードウェア及びソフトウェアが必要になるので、検査システムの費用及びコストが増加することになる。また、前走査を実行するために必要な時間が、コンテナを走査するために必要な全体時間に加算される。幾つかの既知の検査システムは、3−D容積測定CT走査データを前走査からのSP画像に類似する二次元画像に再投影する代わりに、前走査を控えることによって、これらの潜在的不利益を回避している。しかしながら、少なくとも幾つかのそのようなシステムにおいて再投影された二次元SP型の画像の解像度は、前置走査器によって生成されたSP画像の解像度よりも低く、及び/又は、元の三次元CT表示の解像度よりも低い。解像度が低下することによって、細いワイヤといった、三次元CT走査データにおいて識別することができる問題となる物体が、再投影された二次元画像においては、視認できなくなる。
【0007】
例えば、図3は、コンテナ18内の典型的な問題となる物体の右側斜視図である。図3において、コンテナ18及び該コンテナ18内の番号を付していない物体は、観察が容易になるように、透明にされる。コンテナ18は、例えば、これに制限されるものではないが、細いワイヤ60以外には特徴のない二つの物体61と62との間にある細いワイヤ60、プラスチック爆弾の材料64、及び/又は、重なった物体66及び68といった問題となる物体を含むことがある。
【0008】
図4は、従来技術である2次元SP型画像を示す。該画像は、図3に示される典型的な問題となる物体60、64、66及び68を含むコンテナ18の3D容積走査から得られるデータをSP型画像に再投影することに適した方法を用いて、取得することができる。代替的に、図4に示されるような画像は、コンテナ18の走査からの3D容積走査データによって、順に生成されたコンテナの3次元表現から、SP型画像を再表示する適切な方法を用いて、取得することもできる。
【0009】
図3及び図4を参照すると、細いワイヤ60以外には何の特徴のない61及び62が、細いワイヤ60の表示なしで、切り離された領域71及び72として、SP型画像内に現れるが、この細いワイヤ60は、三次元画像表示の検査であれば検出されることになるものである。同様に、検査システム10による複数のエネルギーを用いる走査についての実施形態においては、プラスチック爆弾64を含む物質を問題となる物質として検出したであろうが、プラスチック爆弾64は、SP型画像内では、何も特徴のない領域74として現れる。さらに、三次元画像表現の検査であれば、重なっている物体66及び68は、別々に存在するものとして検出されたであろうが、SP型画像では、これらの物体66及び68は、一つの結合した領域76として現れる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ある態様において、コンテナ内にある少なくとも一つの問題となる物体の画像を生成する方法が提供される。この方法は、コンテナの走査からの三次元容積走査データを受信するステップと、三次元容積走査データから、コンテナの三次元表現を再構築するステップと、三次元表示を検査して、コンテナ内にある少なくとも一つの問題となる物体を検出するステップとを含む。この方法は又、三次元の容積走査データ及び三次元表現のうちの一つから二次元画像を再構築するステップと、少なくとも一つの問題となる物体の位置に対応する二次元画像において、第一の複数の画像要素を識別するステップとを含む。この方法は、さらに、強調表示された第一の複数の画像要素とともに、二次元画像を出力するステップを含む。
【0011】
別の態様において、コンテナ内部の少なくとも一つの問題となる物体を検出する検査システムが提供される。このシステムは、コンテナの走査から三次元容積走査データを受信し、三次元容積走査データからコンテナの三次元表示を再構築して、コンテナ内部にある少なくとも一つの問題となる物体を検出するように設定されるプロセッサを含む。このプロセッサは又、三次元容積走査データ及び三次元表現のうちの一つから二次元画像を再投影し、少なくとも一つの問題となる物体の位置に対応する二次元画像において、第一の複数の画像要素を識別するように設定される。このプロセッサは、さらに、強調表示された第一の複数の画像要素とともに、二次元画像を出力するように設定される。
【0012】
さらに別の態様において、コンピュータ読み取り可能媒体上で具現化されたコンピュータプログラムが提供される。このコンピュータプログラムは、コンテナの走査から三次元容積走査データを受信し、三次元容積走査データからコンテナの三次元表示を再構築して、コンテナ内部にある少なくとも一つの問題となる物体を検出するようにプロセッサを設定するコードセグメントを含む。このコードセグメントは又、三次元容積走査データ及び三次元表現のうちの一つから二次元画像を再投影し、少なくとも一つの問題となる物体の位置に対応する二次元画像において、第一の複数の画像要素を識別するようにプロセッサを設定する。このコードセグメントは、さらに、強調表示された第一の複数の画像要素とともに、二次元画像を出力するようにプロセッサを設定する。
【0013】
図1−6は、本明細書に記載されるシステム及び方法の例示的な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】例示的な検査システムの右側斜視図である。
【0015】
【図2】例示的な検査システムのブロック図である。
【0016】
【図3】図1及び図2の例示的な検査システムによって、走査されるべきコンテナ内部にある典型的な問題となる物体の右側斜視図である。
【0017】
【図4】図1及び図2に示される例示的な検査システムを用いる、図3に示されるコンテナの走査によって取得される三次元容積走査データを再投影することによって、取得され得る従来技術の二次元SP型画像を示す。
【0018】
【図5】検査のために強調表示される、図3に示される典型的な問題となる物体を伴う図4に示される二次元SP型画像の例示的な実施形態を示す。
【0019】
【図6】コンテナ内にある少なくとも一つの問題となる物体の、図5に示されるSP型画像の例示的な実施形態といった、画像を生成する方法の例示的な実施形態を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の少なくとも一つの実施形態が、荷物を検査するシステムを関連して、以下に説明される。しかしながら、ここに提示された教示による導きを受けた当業者にとって、本発明の実施形態は、水上、地上及び/又は空中を運ばれる木箱、箱、ドラム、コンテナ、荷物及びスーツケース、並びに、その他のコンテナ及び/又は物体を含む貨物コンテナを走査するのに適切な、どのようなシステムにも制限なく同様に適用できることが明らかである。
【0021】
さらに、本発明の実施形態は、荷物を検査するためのエックス線コンピュータ断層撮影(CT)システムを含むシステムに関連して以下に説明されるが、ここに提示された教示による導きを受けた当業者にとって、中性子線若しくはガンマ線を含む適切な走査放射線源のいずれも、別の実施形態において制限なく使用できることが、明らかである。さらに、ここに提示された教示による導きを受けた当業者にとって、本明細書に記載される検査システムの機能を可能にするのに十分な数の画像要素を生成するものであれば、どのような走査システムも利用できることも、明らかである。“画像要素”という用語は、ピクセル及び/又はボクセルといった画像データ内の要素を指す。
【0022】
検査システム10の例示的な実施形態が、図1及び2に示される。例示的な実施形態において、検査システム10は、ガントレー12、制御システム14、及び、ガントレー12内にあるものとして定義される開口20内にある、例えば、これに制限されるものではないが、図3に示されるコンテナ18のような荷物などのコンテナの位置を決めるための、モータ駆動されるベルトコンベア16を含む3D容積走査器である。ガントレー12は、エックス線源22を含み、該エックス線源は、ガントレー12の逆側にある検出器の配列26に向けてエックス線の扇状ビーム24を投影する。検出器の配列26は、複数の検出器の要素28を含む。各検出器の要素28は、エックス線ビームがコンテナ18を通った後に、エックス線ビームの減衰した強度を表示する大きさを持つ信号を生成する放射検出器である。ある実施形態においては、検出器要素28は、エネルギー識別能力を持つ。エックス線投影データを取得する螺旋走査中に、エックス線源22及び検出器の配列26を含むガントレー12は、z方向32に実質的に平行な軸を回転軸として、平面内のコンテナ18周囲で回転する最中に、コンテナ18は、z方向32にガントレー12を通って移動する。
【0023】
図2をさらに参照すると、例示的な実施形態において、ガントレー12及びエックス線源22は、制御システム14によって、制御される。該制御システム14は、ガントレー制御器36、エックス線制御器38、データ取得システム(DAS)40、コンベヤ制御器44、プロセッサ46、メモリデバイス48、入力デバイス50及びディスプレイ52を含む。図2では、制御システム14の要素が、別々の要素として表示されるが、ある実施形態において、制御システム14の様々な要素は、一つの物理的な要素内で協働して実施されるか、それぞれの要素が、追加的な物理的要素にさらに分割されてもよい。様々なシステム要素間での動作可能な通信が、図2において、矢印付きの線で示される。該矢印付きの線は、含まれるシステムの要素に応じて、信号通信若しくは機械動作を示す。さらに、様々な要素間での動作通信は、有線若しくは無線の方法、或いは、その組み合わせで達成される。例えば、例示的な実施形態において、ガントレー制御器36は、ガントレー12の回転速度及び位置を制御する一方で、エックス線制御器38は、エックス線源22に強度とタイミングに関する信号を提供し、データ取得システム40は、検出器の要素28からアナログデータを取得し、続く処理のために、該データをデジタル形式に変換する
【0024】
さらに、図1及び図2に示される例示的な実施形態において、プロセッサ46は、ガントレー制御器36、エックス線制御器38及びコンベヤ制御器44との動作通信を行う。例えば、プロセッサ46は、ガントレー制御器36、エックス線制御器38及びコンベヤ制御器44から情報を受信し、ガントレー制御器36、エックス線制御器38及びコンベヤ制御器44に制御信号を送信して、検査システム10の動作を手助けする。本明細書で用いられる“プロセッサ”という用語は、当該技術分野でプロセッサと呼ばれる集積回路のみに制限されるものではなく、幅広く、コンピュータ、マイクロ制御器、マイクロコンピュータ、プログラム可能な論理制御器、アプリケーション特定集積回路及び/又はいずれかの他のプログラム可能な回路を意味する。特定の実施形態において、プロセッサ46は、統合的に動作するか、若しくは、互いに独立して動作する複数の個別のプロセッサを指す。
【0025】
プロセッサ46は又、データ取得システム40との動作通信を行う。例えば、プロセッサ46は、命令及び動作パラメータをデータ取得システム40に送信し、デジタル化されたエックス線投影データをデータ取得システム40から受信する。例示的な実施形態において、プロセッサ46は、一又はそれ以上のコンテナ及びその内容物の画像を生成し、生成された画像を処理して、コンテナ18の内容物を自動的に検査し、及び/又は、操作者によるコンテナ18の内容物の検査を手助けするように構成される。本明細書で用いられる“内容物”という用語は、コンテナ18内に含まれるいずれかの物体及び/又は材料を指し、禁輸品を含む。例えば、プロセッサ46は、検査システム10を本明細書に記載されるように機能させるいずれかの適切な画像再構築アルゴリズムを用いて、データ取得システム40から受信される投影データに対して、画像再構築処理を実行する。プロセッサ46は、検査システム10を本明細書に記載されるように機能させるいずれかの適切な検査アルゴリズムを用いて、再構築される画像データを自動的に検査する。
【0026】
例示的な実施形態において、プロセッサ46は又、メモリデバイス48、入力デバイス50及びディスプレイ52と通信可能である。メモリデバイス48は、これに制限されるものではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、磁気若しくは光学ドライブ(図示なし)、及び/又は、検査システム10を本明細書に記載されるように機能させる別の適切な格納デバイスであってもよい。入力デバイス50は、これに制限されるものではないが、マウス、キーボード、及び/又は、本明細書に記載されるように検査システム10を機能させる別の適切な入力デバイスであってもよい。表示デバイス52は、これに制限されるものではないが、モニター、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、及び/又は、検査システム10を本明細書に記載されるように機能させる別の適切な出力デバイスであってもよい。
【0027】
ある実施形態において、検査システム10は、コンテナ18について、複数エネルギーエックス線の減衰されたデータを取得する。例えば、これに制限されるものではないが、検査システム10は、エネルギー識別能力を持つ検出器の要素28を含み、データ取得システム40が、二又はそれ以上の放射エネルギー水準に対する特徴的なエックス線減衰データを取得できるようにする。ある実施形態においては、プロセッサ46は、データ取得システム40によって収集された複数エネルギーの減衰データを用いて、CT画像を生成するだけでなく、いずれかの適切なアルゴリズムを用いて、コンテナ18の内容物に関する密度及び/又は原子番号の情報を導出する。この密度及び/又は原子番号の情報は、コンテナ18内にある材料を識別することをさらに容易にする。
【0028】
(図1及び図2に示される)検査システム10を利用して、コンテナ18の3D容積CT走査を実行し、コンテナ18の内容物の三次元表示を生成し、検査アルゴリズムを三次元表示に適用して、図3に示される問題となる典型的な物体60、64、66及び68といった、コンテナ18内部にある問題となる物体を検出する。プロセッサ46が、3D容積CT走査データ、若しくは、三次元表現を、操作者に対する出力のために、例えば、ディスプレイデバイス52若しくはメモリ48内の格納器を介して、直ちに、図4に示される型の二次元SP型画像に再投影することは、有利であるだろう。
【0029】
図5は、図4の二次元SP型画像の例示的な実施形態を示すが、三次元表示及び/又は複数のエネルギー走査において検出可能であった、図3に示されるような問題となる典型的な物体60、64、66及び68が、ここでは検査のために強調表示される。例えば、(図1に示される)プロセッサ46は、いずれかの適切なアルゴリズムを用いて、コンテナ18の三次元表示の検査からプロセッサ46によって、検出される問題となる典型的な物体60、64、66及び68の位置に対応するSP型投影における、ピクセルといった画像要素を識別する。
【0030】
図3及び図5に関連して、問題となる典型的な物体60、64、66及び68が、例えば、これに制限されるものではないが、図4における画像の適切な位置に異常色を追加することによって、図5において、強調表示される。ある実施形態において、一又はそれ以上の問題となる典型的な物体60、64、66及び68は、異常色の代わりに、若しくは、異常色に追加して、閃光若しくは点滅のディスプレイ効果、或いは、視覚的強調をもたらすいずれかの適切な効果を用いることによって、強調表示される。ある実施形態において、三次元表示において検出されるような細いワイヤ60の位置は、例えば、図5の再投影されたSP型画像における明るいオレンジ色の異常色の領域82によって示される。同様に、ある実施形態において、複数のエネルギー3D容積走査によって、問題となる材料として、識別されるプラスチック爆弾64は、例えば、図5の再投影されたSP型画像において、明るい赤色の異常色領域84によって示される。さらに、例示的な実施形態において、三次元表示によって検出された、重なった別々の物体66及び68が、例えば、物体68と重ならない物体66の位置に対応する第一の異常色領域86によって示され、物体66と重ならない物体68の位置に対応する第二の異常色領域88によって示され、物体66が、物体68と重なる位置に対応する第三の異常色領域90によって示される。ある実施形態において、第三の異常色領域90に用いられる異常色は、第一の異常色の領域86及び第二の異常色の領域88において用いられる複数の異常色の交差ハッチングを含む。
【0031】
図6は、図5におけるSP型画像の例示的な実施形態といった、コンテナ内にある少なくとも一つの問題となる物体の画像を生成するための方法100の例示的な実施形態を示すフローチャートである。例示的な実施形態において、方法100は、(図1及び2に示される)検査システム10といったシステムを用いて実行され、(図1−3において示される)コンテナ18といったコンテナを走査する。しかしながら、方法100は、検査システム10の実施に制限されるものではなく、むしろ方法100は、いずれかの適切な走査データを受信する分離したシステムといったいずれかの適切なシステムに組み入れられるようにすることができる。さらに、方法100は、コンピュータプログラムとして、コンピュータ読み取り可能な媒体に組み入れられ、及び/又は、いずれかの別の適切な手段によって実施され、及び/又は、具体化される。コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されるときに、一又はそれ以上の方法100の機能を実行するようにプロセッサを構成させるコードセグメントを含む。
【0032】
例示的な実施形態において、(図2に示される)検査システム10のプロセッサ46は、コンテナ18の走査から3D容積走査データを受信し102、コンテナ18の三次元表示を再構築する104。プロセッサ46は又、いずれかの適切な検査アルゴリズムを用いて、三次元表示を検査し106、(図3に示される)細いワイヤ60及び/又は重なった物体66及び68といった少なくとも一つの問題となる物体を検出する。さらに、例示的な実施形態においては、プロセッサ46は、いずれかの適切な方法を用いることによって、3D容積走査データ及び三次元表現のうちの一つから二次元画像を再投影する108。プロセッサ46は又、少なくとも一つの問題となる物体の位置に対応する二次元画像における、例えば、ピクセルといった、第一の複数の画像要素を識別する110。プロセッサ46は、強調表示される第一の複数の画像要素を伴う二次元画像を出力する112。例えば、これに制限されるものではないが、プロセッサ46は、異常色で示される第一の複数の画像要素を伴う二次元画像を出力する112。
【0033】
ある実施形態において、プロセッサ46は又、複数のエネルギー走査データを受信し114、いずれかの適切なアルゴリズムを用いて、複数のエネルギー走査から、コンテナ18内にある少なくともひとつの材料に関する、密度及び/又は原子番号情報といった追加的な情報を計算する116。プロセッサ46は、さらに、追加的な情報に基づいて、第一の問題となる材料を検出し118、第一の問題となる材料の位置に対応する二次元画像内の、例えば、ピクセルのような、第二の複数の画像要素を識別する120。ある実施形態においては、二次元画像を出力する112ステップは、さらに、強調表示された第二の複数の画像要素を伴う二次元画像を出力する112ステップを含む。例えば、これに制限されるものではないが、プロセッサ46は、異常色によって表示された第二の複数の画像要素を伴う二次元画像を出力する112。
【0034】
コンテナの検査に関する上述のシステム及び方法は、コンテナ内にある、禁輸品を含む物体の検出の正確性を向上し、該検出に必要な時間及び費用を減少させることを手助けする。より詳細には、本明細書に記載される実施形態は、3D容積走査データ若しくは三次元表示の二次元再投影から生成されるSP画像において、典型的には可視化できない物体及び材料に関する情報の二次元SP型画像の表示を手助けする一方で、前走査を行うことに関する追加的な時間及び費用の発生を回避する。本明細書に記載される実施形態の技術的な効果は、典型的な検査システム操作者に有利で親しみやすく、便利な二次元SP画像形式における、3D容積走査から利用できる便利な情報を提供する。
【0035】
コンテナを検査するための方法及びシステムの例示的な実施形態が、上に詳細に説明されている。当該方法及びシステムは、本明細書に記載される特定の実施形態に制限されることなく、むしろ、システムの要素及び/又は方法のステップを、本明細書に記載された別の要素及び/又はステップから、独立に分離して利用することができる。例えば、当該方法は、別の画像化システム及び方法と組み合わせて使用することもでき、本明細書に記載されるような検査システムのみに実施が制限されることはない。むしろ、例示的な実施形態が、多くの別の検査及び/検出アプリケーションに関連して実施され、利用されるようにすることができる。
【0036】
本明細書に記載された事項は、実施例を用いる最良の形態を含む発明を開示しており、本技術分野における当業者が、いずれかの装置若しくはシステムを製造すること及び利用すること、並びに、いずれかの組み入れられた方法を実行することを含む本発明の実施をすることを可能にする。本発明の特許となり得る範囲は、特許請求の範囲によって定義されており、本発明の技術分野の当業者が思いつく別の例を含むことができる。そのような別の例が、特許請求の範囲の文言と異ならない構成要素を持つ場合、若しくは、特許と本質的でない部分で異なる均等な構成要素を含む場合には、そのような別の例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
10 検査システム
12 ガントレー
14 制御システム
16 ベルトコンベア
18 コンテナ
20 開口
22 エックス線源
24 エックス線の扇状ビーム
26 検出器の配列
28 検出器の要素
32 z方向
36 ガントレー制御器
38 エックス線制御器
40 データ取得システム(DAS)
44 コンベヤ制御器
46 プロセッサ
48 メモリデバイス
50 入力デバイス
52 ディスプレイ
60 細いワイヤ
61 細いワイヤ以外に特徴のない物体
62 細いワイヤ以外に特徴のない物体
64 プラスチック爆弾の材料
66 重なった物体
68 重なった物体
71 切り離された領域
72 切り離された領域
74 特徴のない領域
76 結合した領域
82 明るいオレンジ色の異常色の領域
84 明るい赤色の異常色の領域
86 第一の異常色領域
88 第二の異常色領域
90 第三の異常色領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ内にある少なくとも一つの問題となる物体の画像を生成する方法であって、
コンテナの走査から三次元容積走査データを受信するステップと、
前記三次元容積走査データから前記コンテナの三次元表示を再構築するステップと、
前記三次元表現を検査して、前記コンテナ内にある少なくとも一つの問題となる物体を検出するステップと、
前記三次元容積走査データ及び前記三次元表現のうちの一つから二次元画像を再投影するステップと、
前記少なくとも一つの問題となる物体の位置に対応する、前記二次元画像における第一の複数の画像要素を識別するステップと、
強調表示された前記第一の複数の画像要素を伴って前記二次元画像を出力するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記三次元表現を検査して、前記コンテナ内にある前記少なくとも一つの問題となる物体を検出するステップは、前記三次元表示を検査して、細いワイヤ及び複数の重なった物体のうちの一つを検出するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
強調表示された前記第一の複数の画像要素を伴って前記二次元画像を出力するステップは、異常色で表示された前記第一の複数の画像要素を伴って前記二次元画像を出力するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも一つの問題となる物体は、複数の重なった物体を含み、
強調表示された前記第一の複数の画像要素を伴って前記二次元画像を出力するステップは、前記複数の重なった物体の第二物体と重なっていない部分である、前記複数の重なった物体の第一物体の位置に対応する第一の異常色領域、前記第一物体と重なっていない部分である、前記複数の重なった物体の第二物体の位置に対応する第二の異常色領域、及び前記第一物体が前記第二物体と重なった位置に対応する第三の異常色領域を伴う前記二次元画像を出力するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コンテナの前記走査から複数のエネルギーによる走査データを受信するステップと、
前記複数のエネルギーによる走査データから前記コンテナ内部の少なくとも一つの材料に関する追加的な情報を算出するステップと、
前記追加的な情報に基づいて、前記コンテナ内の問題となる第一材料を検出するステップと、
前記問題となる第一材料の位置に対応する、二次元画像における第二の複数の画像要素を識別するステップと、
強調表示された前記第二の複数の画像要素を伴う前記二次元画像を出力する出力ステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
追加的な情報を算出するステップは、問題となる前記第一材料の密度及び実効原子番号の少なくとも一つを算出するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
強調表示された前記第二の複数の画像要素を伴う前記二次元画像を出力するステップは、異常色で表示される前記第二の複数の画像要素を伴う前記二次元画像を出力するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
コンテナ内の少なくとも一つの問題となる物体を検出する検査システムであって、
コンテナの走査から三次元容積走査データを受信し、
前記三次元容積走査データから前記コンテナの三次元表示を再構築し、
前記三次元表現を検査して、前記コンテナ内にある少なくとも一つの問題となる物体を検出し、
前記三次元容積走査データ及び前記三次元表現のうちの一つから二次元画像を再投影し、
前記少なくとも一つの問題となる物体の位置に対応する、前記二次元画像における第一の複数の画像要素を識別し、
強調表示された前記第一の複数の画像要素を伴って前記二次元画像を出力する、
ように設定されるプロセッサを備える検査システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、さらに、三次元表現を検査して、細いワイヤ及び複数の重なった物体のうちの少なくとも一つを検出するように、設定されることを特徴とする請求項8に記載の検査システム。
【請求項10】
異常色で表示された前記第一の複数の画像要素を伴って前記二次元画像を出力するように設定されることを特徴とする請求項8に記載の検査システム。
【請求項11】
前記少なくとも一つの問題となる物体は、複数の重なった物体を含み、
前記プロセッサは、さらに、前記複数の重なった物体の第二物体と重なっていない部分である、前記複数の重なった物体の第一物体の位置に対応する第一の異常色領域、前記第一物体と重なっていない部分である、前記複数の重なった物体の第二物体の位置に対応する第二の異常色領域、及び、前記第一物体が前記第二物体と重なった位置に対応する第三の異常色領域を伴う前記二次元画像を出力するように設定されることを特徴とする請求項8に記載の検査システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、さらに、
前記コンテナの前記走査から複数のエネルギーによる走査データを受信し、
前記複数のエネルギーによる走査データから前記コンテナ内部の少なくとも一つの材料に関する追加的な情報を算出し、
前記追加的な情報に基づいて、前記コンテナ内の問題となる第一材料を検出し、
前記問題となる第一材料の位置に対応する二次元画像における第二の複数の画像要素を識別し、
強調表示された前記第二の複数の画像要素を伴う前記二次元画像を出力する、
ように設定されることを特徴とする請求項8に記載の検査システム。
【請求項13】
前記プロセッサは、さらに、前記問題となる第一材料の密度及び実効原子番号の少なくとも一つを算出するように設定されることを特徴とする請求項12に記載の検査システム。
【請求項14】
前記プロセッサは、さらに、異常色で表示される前記第二の複数の画像要素を伴う前記二次元画像を出力するように設定されることを特徴とする請求項12に記載の検査システム。
【請求項15】
コンピュータ読み取り可能な媒体に組み入れられるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、
コンテナの走査から三次元容積走査データを受信し、
前記三次元容積走査データから前記コンテナの三次元表示を再構築し、
前記三次元表現を検査して、前記コンテナ内にある少なくとも一つの問題となる物体を検出し、
前記三次元容積走査データ及び前記三次元表現のうちの一つから二次元画像を再投影し、
前記少なくとも一つの問題となる物体の位置に対応する、前記二次元画像における第一の複数の画像要素を識別し、
強調表示された前記第一の複数の画像要素を伴って前記二次元画像を出力する、
ようにプロセッサを設定するコードセグメントを備えることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記コードセグメントは、三次元表現を検査して、細いワイヤ及び複数の重なった物体のうちの少なくとも一つを検出するようにプロセッサをさらに設定することを特徴とする請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記コードセグメントは、異常色で表示された前記第一の複数の画像要素を伴って前記二次元画像を出力するようにプロセッサをさらに設定することを特徴とする請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記少なくとも一つの問題となる物体は、複数の重なった物体を含み、
前記コードセグメントは、前記複数の重なった物体の第二物体と重なっていない部分である、前記複数の重なった物体の第一物体の位置に対応する第一の異常色領域、前記第一物体と重なっていない部分である、前記複数の重なった物体の第二物体の位置に対応する第二の異常色領域、及び前記第一物体が前記第二物体重なった位置に対応する第三の異常色領域を伴う前記二次元画像を出力するようにプロセッサをさらに設定することを特徴とする請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
前記コードセグメントは、
前記コンテナの走査から三次元容積走査データを受信し、
前記三次元容積走査データから前記コンテナの三次元表示を再構築し、
前記三次元表現を検査して、前記コンテナ内にある前記少なくとも一つの問題となる物体を検出し、
前記三次元容積走査データ及び前記三次元表現のうちの一つから二次元画像を再投影し、
前記少なくとも一つの問題となる第一材料の位置に対応する、前記二次元画像における第二の複数の画像要素を識別し、
強調表示された前記第二の複数の画像要素を伴って前記二次元画像を出力する、
ようにプロセッサをさらに設定することを特徴とする請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項20】
前記コードセグメントは、前記問題となる第一材料の密度及び実効原子番号の少なくとも一つを算出するようにプロセッサをさらに設定することを特徴とする請求項15に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−230676(P2010−230676A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−92597(P2010−92597)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(510067212)モルフォ ディテクション インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】