説明

コンテナ排出装置

【課題】コンテナの排出口からの粉粒体を、比較的簡単な構造で、定量的・連続的に取り出すことができる、コンテナ排出装置を提供する。
【解決手段】粉粒体を収容するコンテナの排出口(5)に設けられ、弁板(6)を取り付けた弁軸(8)を回転させることにより排出口を開閉するバタフライ弁装置(10)と、このバタフライ弁装置の弁板および弁軸を振動させる弁加振手段(12)と、バタフライ弁装置および排出口に向けて空気を断続自在に噴射する空気噴射手段(14)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を収容するコンテナの排出口に備えられ、収容した粉粒体を簡単な構造で定量的・連続的に取り出すことができるコンテナ排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体の搬送、バッチ計量、混合、貯蔵などに用いる手段として、粉粒体の投入口および排出口を備えた容器であるコンテナが広く利用されている。粉粒体としては、粉あるいは粒状の、医薬品、食糧品、プラスチック、建材など、多種多様である。
【0003】
典型的なコンテナは、筒状たて型の上部に投入口を設けた本体部と、投入口の蓋である上蓋と、下端部に排出口を設けた漏斗状の底部と、排出口に開閉自在に設けた弁体を有する排出装置とを備えている。弁体の典型例は、排出口に内接する板状の弁体を、軸線を中心に回転させ排出口の開きを加減する周知のバタフライ弁を備えている。
【0004】
弁体の開閉による粉粒体の排出を円滑にし、また弁体部分に粉粒体が付着・残留するのを防止する改良された排出装置として、弁体を円錐状に形成し、その底面をコンテナの内側において排出口に接離自在に当接させ、弁体に連結する軸部材を、コンテナ内を通し上蓋から突出させ、この軸部材をコンテナの外から操作して排出口を開閉する排出装置が開発され、実用に供されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−54758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したとおりの形態の従来のコンテナ排出装置には、次のとおりの改良の望まれている問題がある。
【0006】
すなわち、周知のバタフライ弁は、板状の弁体と弁体を支持する弁軸とからなる簡単な構造であり、弁軸を回転させ弁体による排出口の開きを加減することでコンテナに収容された粉粒体の排出速度である供給速度そして供給量を制御することができる。
【0007】
しかしながら一般的に粉粒体は流動性が悪く、排出速度を遅くするために板状の弁体により排出口の開度を小さくすると、粉粒体はほとんど流出しなくなる。さらに弁体は、排出口の部分において弁軸を中心に回転する構造であるので、弁体の部分の粉粒体のみが排出され、コンテナ内の粉粒体は排出されないで固着した状態になりやすい。特に流動性の悪い粉粒体は弁体を開けただけでは流出しない。
【0008】
一方、円錐状の弁体を備えた改良された排出装置は、弁体およびそれに連結した軸部材が排出口の開閉に応じコンテナ内を上下に移動するので、コンテナ内の粉粒体は攪拌され、崩され、固着しにくく、排出口からの粉粒体の排出速度を制御しやすい。
【0009】
しかしながら、円錐状の弁体を備えた排出装置は、個々のコンテナそれぞれに専用に設置する必要があり汎用性がないので、経済面からは比較的限定された用途に用いられる。またこの排出装置は、コンテナ内に円錐状の弁体、および軸部材などが設置され構造が比較的複雑であるので、コンテナ内に付着した粉粒体の清掃、異種の粉粒体を扱う場合に必要なコンテナ内の清掃などが面倒である。
【0010】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、コンテナの排出口から粉粒体を、比較的簡単な構造で、定量的・連続的に取り出すことができる、コンテナ排出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば上記技術的課題を解決するコンテナ排出装置として、粉粒体を収容するコンテナの排出口に設けられ、弁板を取り付けた弁軸を回転させることにより排出口を開閉するバタフライ弁装置と、このバタフライ弁装置の弁板および弁軸を振動させる弁加振手段と、バタフライ弁装置および排出口に向けて空気を断続自在に噴射する空気噴射手段とを備えている、ことを特徴とするコンテナ排出装置が提供される。
【0012】
好適には、弁加振手段は、弁軸に取り付けられている。空気噴射手段は、バタフライ弁装置が設けられた排出口につながる円筒部と、この円筒部の内周面に開口した複数個の空気噴射口とを備えている。複数個の空気噴射口は、バタフライ弁装置の弁板に向けて空気を噴射する弁方向噴射口と、内周面の略周方向に向けられた周方向噴射口とを備えている。
【0013】
さらに、弁方向噴射口から噴射される空気は、弁軸の軸線の延びる方向に噴射される。また空気噴射口に、多孔質の焼結金属からなる網部材を備えている。さらにコンテナの排出口に、バタフライ弁装置が、またバタフライ弁装置に空気噴射手段がそれぞれ、着脱を自在に取り付けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に従って構成されたコンテナ排出装置によれば、排出口の開閉に構造が簡単なバタフライ弁を用いるとともに、バタフライ弁を振動させる弁加振手段を備え、さらに排出口に向けて空気を噴射する空気噴射手段を備えている。したがって、弁板の振動および噴射空気によって、粉粒体の弁板への付着およびコンテナ内での固着を防止することができるので、コンテナの排出口から粉粒体を、比較的簡単な構造で、定量的・連続的に、円滑に取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に従って構成されたコンテナ排出装置について、好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0016】
コンテナ排出装置をコンテナに取り付けた状態の側面図である図1、および図1のコンテナ排出装置部分の拡大詳細図である図2を参照して説明する。全体を番号2で示すコンテナ排出装置は、粉粒体を収容するコンテナ4の下端部の排出口5に設けられ、弁板6を取り付けた弁軸8を回転させることにより排出口5を開閉するバタフライ弁装置10と、バタフライ弁装置10の弁板6および弁軸8を振動させる弁加振手段としてのバイブレータ12と、バタフライ弁装置10に連結されバタフライ弁装置10および排出口5に向けて空気を断続自在に噴射する空気噴射手段14を備えている、
【0017】
空気噴射手段14の他端は、シュート16を介して計量容器あるいは粉粒体を計量し供給する供給機(いずれも図示していない)などに接続される。
【0018】
コンテナ4そのものは周知の容器で、上方が投入口として開放された筒状たて型の本体部4aと、投入口を塞ぐ上蓋4bと、下端部に前記排出口5が設けられた漏斗状の底部4cを備え、底部4cの外周部が支持フレーム4dによって支持されている。
【0019】
主として図2を参照して説明する。バタフライ弁装置10は、排出口5に連結される上筒部10a、空気噴射手段14に連結される下筒部10b、および上筒部10aと下筒部10bの間の弁板支持部10cを備えている。
【0020】
上筒部10aおよび下筒部10bそれぞれの端部には環状フランジFが形成され、周知のV字状断面を有する環状のフェルール継手18により、排出口5および空気噴射手段14それぞれに形成された環状フランジFと、分解を自在に連結されている。
【0021】
弁板6そのものは円板状の周知のバタフライ弁である。したがってその説明は省略する。弁板6を取り付けた弁軸8はその軸線Xを中心に弁板支持部10cに回転を自在に取り付けられ、両端部が外方に解放されている。弁軸8の一端(図2の左端)に弁加振手段のバイブレータ12が、他端(図2の右端)に弁軸を回転操作する弁操作手段20が連結されている。
【0022】
バイブレータ12は、弁軸8の軸線Xと直交する方向に、弁軸8端のねじ穴にブラケット22によって、弁軸8にのみ取り付けられている。このバイブレータ12は圧縮空気により作動する周知のもので、端部に備えたスロットル12aを調整し空気圧を変えることにより、振動数を例えば毎分5000〜9000の範囲で調整することができる。
【0023】
かくして、バイブレータ12を作動させ弁軸8を振動させることにより、弁軸8に取り付けられた弁板6を任意の振動数で振動させることができる。
【0024】
弁操作手段20は、弁軸8の端部に軸線Xに直交する方向に延び取り付けられた手動操作ハンドル24と、手動操作ハンドル24に連結されハンドル24を駆動可能に取り付けられた電動アクチュエータ26を備えている。
【0025】
電動アクチュエータ26は、コンテナ4の支持フレーム4d(図1)にブラケット28を介して取り付けられている。電動アクチュエータ26は周知のものでよく、コントローラ(図示していない)からの電気信号によりその出力軸を任意の角度に回転させその位置を保持するものである。
【0026】
空気噴射手段14について図2とともにその平面図である図3を参照して説明する。空気噴射手段14は、バタフライ弁装置10に連結する円筒部14aと、円筒部14aの内周面に開口する複数個の空気噴射口である、バタフライ弁装置10の弁板6に向けて(矢印Z)空気を噴射する周方向に180°離れて配設された一対の弁方向噴射口14b、14bと、内周面の略周方向に向けて(矢印Y)空気を噴射する、弁方向噴射口14b、14bの間に位置付けられた一対の周方向噴射口14c、14cを備えている。
【0027】
弁方向噴射口14b、14bはそれぞれ、噴射する空気の方向(矢印Z)を弁軸8の軸線Xの延びる方向にして位置付けられている(図3)。
【0028】
空気噴射口14b、14b、14c、14cそれぞれには、網部材14dが円筒部14aの内周面に接合され備えられている。網部材14dは、多孔質の焼結ステンレス鋼により板状に形成され、噴射空気を通過させ、粉粒体の逆流を阻止している。
【0029】
この空気噴射口14b、14b、14c、14cそれぞれは、圧縮空気源30(図1)に配管32によって連結されており、加圧空気が断続を自在に制御され導かれる。
【0030】
上述したとおりのコンテナ排出装置2の作用について説明する。
【0031】
コンテナ排出装置2は、コンテナ4の排出口5の開閉に構造が比較的簡単なバタフライ弁装置10を用い、その弁板6を振動させる弁加振手段12を備え、さらに弁板6および排出口5に向けて空気を噴射する空気噴射手段14を備えている。したがって、弁板6を振動させまた弁板6およびその周辺に噴射空気を吹き付けるので、排出口5の小さな開度から大きな開度まで、粉粒体の弁板6への付着およびコンテナ4内における固着を防止することができ、比較的簡単な構造で、粉粒体を定量的・連続的に、そして円滑に取り出すことができる。
【0032】
なお、空気噴射手段14により空気を噴射するときに、シュート16につながる粉粒体供給機などを閉止状態にすると、噴射した空気によってコンテナ4内部の粉粒体をより効果的に流動化させることができる。
【0033】
弁加振手段としてのバイブレータ12は弁軸8にのみに取り付けられるので、設置が容易であり、また排出装置2をコンパクトにまとめることができる。
【0034】
空気噴射手段14は、円筒部14aの内周面に開口した複数個の空気噴射口である、バタフライ弁装置10の弁板6に向けて空気を噴射する弁方向噴射口14bと、内周面の周方向に向けられた周方向噴射口14cを備えているので、粉粒体の弁板6への付着、コンテナ4内および弁板6周辺での固着を防止することができる。
【0035】
そして、弁方向噴射口14bから弁板6に向けて噴射される空気は、弁軸8の軸線Xの延びる方向に向けられているので、空気は弁板6と排出口5の開口部分を通してコンテナ4内に効果的に噴射される。
【0036】
さらに、空気噴射口14b、14cそれぞれに、多孔質の焼結金属からなる網部材14dを備えたので、粉粒体が噴射口に流れこむのを効果的に止めることができる。
【0037】
コンテナ排出装置2は、コンテナ4の排出口5にバタフライ弁装置10が、バタフライ弁装置10に空気噴射手段14が、それぞれ着脱を自在に、例えばフェルール継手18よって取り外しを自在に取り付けられているので、それぞれを外して容易に清掃することができる。
【0038】
この着脱自在なコンテナ排出装置2は、排出口5が同一形状に形成された異なったコンテナに容易に適宜に着脱することができるので、コンテナ内に専用に設けた円錐状の弁体を備えるコンテナ排出装置に比べて、汎用的に用いることができ経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に従って構成されたコンテナ排出装置を装備したコンテナの側面図。
【図2】図1に示すコンテナ排出装置の拡大図。
【図3】図2のA−A矢印方向に見た空気噴射手段の平面図。
【符号の説明】
【0040】
2:コンテナ排出装置4:コンテナ5:排出口6:弁板8:弁軸10:バタフライ弁装置12:バイブレータ(弁加振手段)14:空気噴射手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を収容するコンテナの排出口に設けられ、弁板を取り付けた弁軸を回転させることにより排出口を開閉するバタフライ弁装置と、このバタフライ弁装置の弁板および弁軸を振動させる弁加振手段と、バタフライ弁装置および排出口に向けて空気を断続自在に噴射する空気噴射手段とを備えている、ことを特徴とするコンテナ排出装置。
【請求項2】
弁加振手段が、弁軸に取り付けられている、ことを特徴とする請求項1記載のコンテナ排出装置。
【請求項3】
空気噴射手段が、
バタフライ弁装置が設けられた排出口につながる円筒部と、
この円筒部の内周面に開口した複数個の空気噴射口と
を備えている、
ことを特徴とする請求項1記載のコンテナ排出装置。
【請求項4】
複数個の空気噴射口が、
バタフライ弁装置の弁板に向けて空気を噴射する弁方向噴射口と、
内周面の略周方向に向けられた周方向噴射口と
を備えている、
ことを特徴とする請求項3記載のコンテナ排出装置。
【請求項5】
弁方向噴射口から噴射される空気が、弁軸の軸線の延びる方向に噴射される、
ことを特徴とする請求項4記載のコンテナ排出装置。
【請求項6】
空気噴射口に、多孔質の焼結金属からなる網部材を備えている、
ことを特徴とする請求項3から5までのいずれかに記載のコンテナ排出装置。
【請求項7】
コンテナの排出口に、バタフライ弁装置が、またバタフライ弁装置に空気噴射手段がそれぞれ、着脱を自在に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載のコンテナ排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−50007(P2008−50007A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112063(P2005−112063)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【出願人】(591147786)赤武エンジニアリング株式会社 (27)
【Fターム(参考)】