説明

コンテンツデータ再生装置

【課題】 コンテンツを利用するユーザの興趣性を飛躍的に向上させる。
【解決手段】 楽曲配信サーバTSから、各々異なるアレンジに対応した複数の楽曲データMD-lを含む楽曲データファイルMFと、当該楽曲データファイルMFを管理するための管理データCDを携帯用電話機MP-kに配信するようにする。携帯用電話機MP-kにおいて、ダウンロードされた楽曲データファイルMFに対応した楽曲が着信メロディとして設定された場合、管理データCDに基づいて当該設定時の現在時刻に対応したアレンジの楽曲データMD-lを抽出し、着信メロディ用として設定すると共に、その後、日時の変遷にあわせて自動的に着信メロディ用の楽曲データMD-lを切り替える。これにより、時期に応じて着信メロディのアレンジが変化し、ユーザの興趣性を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲、画像等の各種コンテンツに対応するコンテンツデータを再生するためのコンテンツ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯用電話機や簡易型携帯用電話機等の移動機の高機能化に伴い、ネットワーク上のサーバから各種コンテンツに対応したデータ(以下、「コンテンツデータ」という。)をダウンロードし、当該コンテンツデータに基づく処理を実行する機能を搭載した移動機が各種提供されるようになっている。また、この種の移動機の中には各種楽曲に対応したデータ(以下、「楽曲データ」という。)をダウンロードし、当該ダウンロードした楽曲データを利用して通話着信時、或いは、電子メール着信時における着信音やアラーム設定時の報知音(以下、「着信メロディ」という。)を変更する機能を有するものも存在している(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−224269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のシステムにおいては、1つのコンテンツが、その内容を変化させることなく、ユーザに利用されることが前提となっている。しかし、このようなコンテンツの利用形態は、実際にコンテンツを利用するユーザにとって非常に退屈なものとなりかねず、ユーザの興趣性を向上させる妨げともなりかねなものとなっていた。例えば、1つの楽曲を同一アレンジにてユーザに聴取させ続けることを想定した場合、ユーザは当該楽曲の聴取にすぐに飽きてしまい、当該コンテンツの継続使用を望まなくなる可能性すらある。
【0005】
本願は以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、その課題の一例としては、コンテンツを利用するユーザの興趣性を飛躍的に向上させることが可能なコンテンツ再生装置及びコンテンツ配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため本願の一つの観点において請求項1に記載のコンテンツデータ再生装置は、少なくとも2以上の要素により構成されるコンテンツに対応したコンテンツデータを記録したコンテンツデータ記録手段と、前記コンテンツデータを再生する際の再生条件に応じて前記コンテンツデータの再生時に利用すべき前記要素を選択する選択手段と、前記選択された要素のみにより前記コンテンツを出力するため前記コンテンツデータに処理を施し、当該処理によって得られた処理データを再生する再生手段とを具備することを特徴とする。この構成によりコンテンツデータ再生時における再生条件に応じてコンテンツデータ再生時に利用すべき要素が選択され、当該選択された要素のみを用いてコンテンツが出力されることとなるため、再生条件の変化に応じてコンテンツの内容が変化することとなる。この結果、ユーザにとっては、同一のコンテンツを異なる態様にて利用することが可能となり、もって、コンテンツを利用するユーザの興趣性を飛躍的に向上させることが可能なる。
【0007】
また、この場合において、前記再生条件に合致する前記要素を定義付けた管理データを取得するための取得手段をコンテンツデータ再生装置に設け、当該取得された管理データに基づいて、選択手段がコンテンツデータの再生時に利用すべき前記要素を選択するようにしても良い(請求項2)。この構成により再生条件に合致する要素を容易に特定することが可能となり、もって、コンテンツデータ再生装置における処理負担の軽減を図ることが可能となる。なお、コンテンツデータとして各要素に対応した複数の単位データを含ませ、管理データとして再生条件に応じて選択手段が選択すべき要素に対応した単位データを示す情報を含ませることにより(請求項3)、更なる処理の簡略化が実現できる。
【0008】
また更に、再生手段に対して処理データを記録する処理データ記録手段を更に設け、この処理データ記録手段に記録された処理データを再生する構成とすれば(請求項4)、再生条件が変化しない限り、この処理データ記録手段に記録された処理データを再生することが可能となり、処理の簡略化を図ることが可能となる。
【0009】
更に、この場合において、再生条件に変化が生じた場合に、当該変化後の再生条件に基づいて前記選択手段に新たな前記要素を選択させると共に、当該選択された要素のみにより前記コンテンツを出力するため前記コンテンツデータに処理を施し、当該処理により得られた更新用の処理データにより前記処理データ記録手段に記録された処理データを更新する更新手段を再生手段に設ければ(請求項5)、事前に処理データを更新しておき、当該処理データを再生することが可能となるため再生時における処理の高速化を実現することが可能となる。
【0010】
更にまた、少なくとも2以上の要素により構成される楽曲に対応したコンテンツデータを利用する場合、コンテンツデータ再生装置において所定の事象が発生した場合に処理データを再生して当該事象の発生をユーザに報知するという利用態様も可能となる(請求項6)。なお、この場合における「要素」の内容については任意であり、例えば、楽曲のアレンジとしても良く(請求項7)、楽曲を構成するパートとしても良く(請求項8)、楽曲を構成する小節としても良い(請求項9)。何れの場合においても、コンテンツとしての楽曲のアレンジや和音数、更には、再生可能時間数に変化が生じる結果、ユーザには、あたかもコンテンツが成長しているかのごとく認識されることとなり、ユーザの興趣性を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0011】
なおまた、選択手段が要素を選択する際に利用する再生条件としては「コンテンツデータの再生時刻」や「コンテンツデータの再生回数」があり、これらを再生条件とした場合(請求項10)、再生回数等の変動に併せて出力されるコンテンツが変化し、ユーザにとって、何度も同一のコンテンツを利用することの必要性が生じ、1つのコンテンツに退屈してしまうようなことを有効に防止することが可能となる。
【0012】
また、本願の他の観点において、請求項11に記載のコンテンツ配信システムは、サーバ装置が保有するコンテンツデータを通信端末装置に配信するコンテンツ配信システムであって、前記サーバ装置は、少なくとも2以上の要素により構成されるコンテンツに対応したコンテンツデータが記録される記録手段と、前記コンテンツデータ及び前記管理データを前記通信端末装置に配信する配信手段と、を有し、前記通信端末装置は、前記サーバ装置から前記コンテンツデータをダウンロードするダウンロード手段と、前記コンテンツデータを再生する際の再生条件に応じて前記コンテンツデータの再生時に利用すべき前記要素を選択する選択手段と、前記選択された要素のみにより前記コンテンツを出力するため前記コンテンツデータに処理を施し、当該処理によって得られた処理データを再生する再生手段と、を有することを特徴とする。この構成によりコンテンツデータ再生時における再生条件に応じてコンテンツデータ再生時に利用すべき要素が選択され、当該選択された要素のみを用いてコンテンツが出力されることとなるため再生条件の変化に応じてコンテンツの内容が変化することとなる。この結果、ユーザにとっては、同一のコンテンツを異なる態様にて利用することが可能となり、もって、コンテンツを利用するユーザの興趣性を飛躍的に向上させることが可能なる。
【0013】
この場合において、再生条件に合致する前記要素を定義付けた管理データを記録した管理データ記録手段と、前記通信端末装置から送信されたメッセージデータに基づいて前記管理データから前記再生条件に合致する前記要素を抽出する抽出手段と、前記抽出した要素を示す要素データを前記通信端末装置に配信する要素データ配信手段と、を更にサーバ装置に設けた場合(請求項12)、通信端末装置からリクエストデータを送信してコンテンツデータの再生時に利用すべき要素をサーバ装置に選択させることが可能となり、もって、通信端末装置における処理負担の軽減を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本願の各発明によれば、コンテンツデータ再生時における、再生条件に応じてコンテンツの内容を可変させることが可能となり、もって、コンテンツを利用するユーザの興趣性を飛躍的に向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[1]第1実施形態
[1.1]第1実施形態の構成
以下、図1を参照しつつ本実施形態にかかるコンテンツ配信システムSの構成について説明することとする。なお、図1は、本実施形態にかかるコンテンツ配信システムSの構成を示すブロック図である。
【0016】
同図に示すように、本実施形態にかかるコンテンツ配信システムSは、インターネットと移動パケット通信網とが関門中継交換局を介して相互接続されたネットワークNETと、複数の携帯用電話機MP-k(k=1,2,・・・,n)と、楽曲配信サーバTSと、を有している。このコンテンツ配信システムSは、各種の楽曲に対応した楽曲データを楽曲配信サーバTSから携帯用電話機MP-kに配信し、携帯用電話機MP-kにて当該楽曲データを用いて上記着信メロディを設定し、或いは、当該楽曲データを再生するためのものとなっている。
【0017】
ここで、本実施形態において特徴的な事項として、このコンテンツ配信システムSにおいては、携帯用電話機MP-kにおいて着信メロディとして設定された楽曲のアレンジを日時に応じて自動的に変化させる機能(以下、「自動設定変更機能」という。)が実現されている。より具体的には、例えば、クリスマスに着信等が発生した場合にはクリスマス調のアレンジ(例えば、ベルを使用して演奏した場合のアレンジ)にて着信メロディが拡声され、正月に着信等が発生した場合には正月調のアレンジ(例えば、三味線を使用して演奏した場合のアレンジ)にて着信メロディが拡声され、更には、四季に応じて曲調の異なるアレンジにて着信メロディが拡声されるように、自動的に着信メロディを変化させる機能が実現されている。
【0018】
一方、かかる方法を採用する場合、如何にして着信メロディのアレンジを変化させるのかが問題となる。そこで、本実施形態においては、次のような方法を採用することとした。まず、ある1つの楽曲に対して幾つかのアレンジバージョン(例えば、図2に示す例の場合、春夏秋冬に対応した各アレンジ、クリスマスアレンジ及び正月アレンジ)を作成すると共に、各アレンジバージョンに対応した複数の楽曲データMD-l(l=1、2、・・・、m)を生成して、これらの楽曲データMD-lを一つのファイルにパッケージングした楽曲データファイルMFを生成する(図2参照)。そして、この楽曲データファイルMFを携帯用電話機MP-kにダウンロードさせると共に、日時の変化に併せて利用する楽曲データMD-lを変更させ、着信メロディとして設定された楽曲のアレンジを日時に応じて自動的に変化させるのである。ここで、かかる方法を採用した場合、楽曲データファイルMFに含まれている各楽曲データMD-l中において、どの楽曲データMD-lを如何なる時期に利用すべきなのかを携帯用電話機MP-kにおいて特定できるようにすることが必要となる。そこで、本実施形態においては、上記楽曲データファイルMFに含まれている各楽曲データMD-lを管理するための管理データCDを楽曲データファイルMFと共に携帯用電話機MP-kに配信し、この管理データCDを用いて、着信メロディ用に利用する楽曲データMD-lを変更する方法を採用することとした。
【0019】
なお、以上説明した自動設定機能を如何なるアプリケーションにより実現するのかについては任意であり、携帯用電話機MP-kに搭載されたOS(オペレーションシステム)を用いて実行するようにしても良いが、本実施形態においては楽曲配信サーバTSから着信メロディ設定用のアプリケーション(以下、「設定アプリケーション」という。)を携帯用電話機MP-kにダウンロードさせるようにし、この設定アプリケーションを用いて着信メロディの自動設定変更を行うものとして説明を行う。
【0020】
以下、かかる機能を実現するため各要素についてより詳細に説明することとする。
【0021】
まず、楽曲配信サーバTSは、IP(Information Provider)の保有するHTTP(Hypertext Transfer Protocol)サーバであり、ネットワークNETからHTTPのGET要求を受信すると、当該GET要求に含まれているURLに基づき、例えば、楽曲データファイルMFのダウンロードページに対応したHTMLデータや設定アプリケーション、楽曲データファイルMF、更には、管理データCDを返信する。かかる機能を実現するため、この楽曲配信サーバTSは、楽曲データベース(以下、「DB」と略称する。)11を有しており、この楽曲DB11には各楽曲を一意に特定するための楽曲IDと、楽曲データファイルMF及び管理データCDが対応付けて格納されている。なお、楽曲データファイルMFや管理データCDを楽曲DB11に格納する際に、データ圧縮を行うか否かは任意である。
【0022】
ここで、この楽曲DB11に格納された楽曲データファイルMF及び管理データCDのデータ構成について図2を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
まず、本実施形態において、楽曲データファイルMFは、ヘッダデータHDと楽曲データMD-lを有しており、これらのデータ中、ヘッダデータHDには、例えば、(a)当該楽曲データファイルに対応する楽曲に割り当てられた楽曲IDや、(b)楽曲名、等の情報が記述され、楽曲データファイルMFと管理データCDとを対応付けるために利用される。これに対して、楽曲データファイルMFに含まれている楽曲データMD-lは、例えば、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)やMFi(Melody Format for i-mode(登録商標))等のフォーマットにより構成され、各々、異なるアレンジバージョンに対応した音声を拡声するためのデータとなっている。図2に示す例の場合、春夏秋冬に対応した各アレンジ、クリスマスアレンジ及び正月アレンジの計6アレンジ分に対応した6つの楽曲データMD-1〜MD-6が楽曲データファイルMF内に含まれている。これら各楽曲データMD-lには、楽曲データファイルMF内において各楽曲データMD-lを一意に識別するための番号(以下、「楽曲データ識別番号」という。)が割り振られており、この楽曲データ識別番号により各楽曲データMD-lが識別されるようになっている。
【0024】
一方、管理データCDには、楽曲IDや楽曲名が記述されるヘッダ部が設けられており、このヘッダ部に記述された各種情報に基づき当該管理データCDに対応する楽曲データファイルMFが特定できるようになっている。なお、特許請求の範囲における「管理データ」は、例えば、この管理データCD或いはその一部に対応している。また、この管理データCDには、楽曲データファイルMF内に含まれている各楽曲データMD-lを管理するための情報として、各楽曲データ識別番号毎に当該番号に対応した楽曲データMD-lを着信メロディとして利用すべき期間を示す情報(以下、「設定期間情報」という。)が記述されており、この設定期間情報を用いることにより、如何なる時期に、どの楽曲データMD-lを用いれば良いのかが特定できるようにされている。例えば、図2に示す楽曲データファイルMF等を用いて携帯用電話機MP-kにおいて着信メロディの設定が行われた場合、(a)まず、設定当初には当該設定日時に対応する楽曲データMD-l(例えば、設定日時がクリスマス間近の付近12月22日である場合、クリスマスアレンジに対応した楽曲データMD-4)が着信メロディ用の楽曲データMD-lとして利用される一方、(b)その後、時間が経過して、例えば、クリスマスが過ぎ、12月26日になると、着信メロディ用の楽曲データMD-lが自動的に正月アレンジの楽曲データMD-5に変更されることとなる。
【0025】
次に、携帯用電話機MP-kは、ネットワークNETに収容された基地局BSとデータの授受を行い、ネットワークNETを介したデータ通信を行う。本実施形態において、ユーザは、かかる携帯用電話機MP-kの機能を利用することにより、楽曲配信サーバTSから設定アプリケーションと楽曲データファイルMFをダウンロードし、当該ダウンロードされた楽曲データファイルMFを用いて着信メロディの設定を行うことができるようになっている。そして、携帯用電話機MP-kは、着信メロディの設定が行われると、通話着信時、或いは、電子メール着信時、その他報知音拡声時に当該着信メロディを拡声して、ユーザに着信等の事象発生を報知するようになる。
【0026】
かかる機能を有する携帯用電話機MP-kの具体的な構成について、図3を参照しつつ説明する。なお、図3は、本実施形態にかかる携帯用電話機MP-kの構成を示すブロック図である。
【0027】
まず、通信部21は、制御部26による制御の下、ネットワークNETの基地局BSと無線通信を行う。操作部22は、PB(プッシュボタン)等の各種ボタン及びカーソルキーからなり、ユーザによって入力操作が行われると、当該入力操作に対応した操作信号を制御部26に供給する。表示部23は、例えば、液晶パネルや有機EL(electroluminescence)パネル等の表示装置から構成されており、制御部26の制御の下、各種情報を表示する。音声入力部24は、例えば、マイクロホンやD/A変換器を有し、ユーザの発話音声等の各種音声が入力されると当該音声に対応した音声データを生成して通信部21に出力する。
【0028】
拡声部25は、スピーカを有しており、通信部21から供給される音声データに対応する音声を当該スピーカを用いて拡声する。また、この拡声部25は、着信等の事象発生時に制御部26から楽曲データMD-lが供給された場合、当該楽曲データMD-lに対応する楽曲を拡声し、ユーザに当該事象の発生を報知する。
【0029】
制御部26は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有しており、携帯用電話機MP-kの各部を制御する。ROMには、各種制御情報と共に、制御プログラムやOS(オペレーティングシステム)、WWW(World Wide Web)ブラウザといった各種のアプリケーションプログラムが記録されている。また、このROMには、各種の形式(例えば、Java(登録商標))にて作成されたのプログラムをOSにより提供される環境下において実行するためのプログラム(例えば、J2MECLDC(Connected Limited Device Configuration)準拠の実行環境等)が記録されている。CPUはROMに格納されている各種プログラムを実行することにより携帯用電話機MP-kの各部を制御し、RAMはワークエリアとして用いられる。
【0030】
次いで、記録部27は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性のメモリにより構成され、制御部26による制御の下、各種データが格納されるようになっている。この記録部27は、大別してアプリケーション記録領域AMと、ローカルデータ記録領域RMと、設定情報記録領域SMと、に分割されている。
【0031】
アプリケーション記録領域AMは、ネットワークNET上のサーバ(例えば、楽曲配信サーバTS)からダウンロードされたアプリケーションを記録するために設けられた領域であり、本実施形態において楽曲配信サーバTSからダウンロードされた設定アプリケーションは、このアプリケーション記録領域AMに記録されるようになっている。
【0032】
次いで、ローカルデータ記録領域RMは、アプリケーション記録領域AMに記録されているアプリケーションの実行に際して、必要となるデータ(以下、「ローカルデータ」という。)を格納するための領域であり、各々、異なるアプリケーションに割り当てられる複数の領域に分割されている。本実施形態において、楽曲配信サーバTSから配信される楽曲データファイルMF及び管理データCDは、共にこのローカルデータ記録領域RMに記録されることとなる。
【0033】
一方、設定情報記録領域SMは、携帯用電話機MP-kの設定状態を示す各種の設定情報を記録するための領域となっており、携帯用電話機MP-kにおける着信待受時に表示される画面(所謂、待ち受け画面)等の設定状態を示す設定情報が記録される。この設定記録領域SMは、アプリケーション記録領域AMに記録されたアプリケーションによりデータの破壊、改竄等が行われることを防止するため、OSからのみアクセス可能な領域とされている。また、この設定情報記録領域SMには、着信時やアラーム時刻の到来等の事象発生時に拡声される楽曲(すなわち、着信メロディ)に対応した楽曲データMD-lを記録する着信メロディ設定記録領域MSMが設けられており、例えば、本実施形態において設定アプリケーションを用いて楽曲データファイルMFから抽出された着信メロディ用の楽曲データMD-lは、この着信メロディ設定記録領域MSMに格納される。本実施形態においては、この着信メロディ設定記録領域MSMに記録された楽曲データMD-lを管理データCDに基づいて随時変更することにより各時期に応じて着信メロディが自動的に変更されることとなる。
【0034】
[1.2]第1実施形態の動作
次に、上記構成を有する本実施形態にかかるデータ配信システムSの具体的な動作について説明する。なお、以下においては、設定アプリケーションが事前に携帯用電話機MP-kにダウンロードされていることを前提に説明を行う。
【0035】
まず、ユーザが携帯用電話機MP-kの操作部22に、例えば、楽曲データファイルMFをダウンロードするためのWebページ(すなわち、ダウンロードページ)に対応したURLを入力して、設定アプリケーションを実行する旨の入力操作を行う。すると、操作部22から供給される操作信号に従い、制御部26は、記録部27から設定アプリケーションを読み出して、当該URLを含むHTTPのGET要求をネットワークNETに送出する。
【0036】
このようにして、携帯用電話機MP-kからネットワークNETへと送出されたGET要求が楽曲配信サーバTSによって受信されると、楽曲配信サーバTSは、当該GET要求に含まれるURLに従って上記ダウンロードページに対応したHTMLデータをネットワークNETに返信する。この結果、当該HTMLデータが携帯用電話機MP-kの通信部21により受信され、表示部23に当該HTMLデータに基づいてダウンロードページに対応した画像(より具体的には、ダウンロード可能な楽曲データファイルMFに対応した楽曲名の一覧)が表示されることとなる。この状態において、例えば、ユーザが所定の楽曲名に対応したメニュー項目を選択すると共に、当該メニュー項目に対応した楽曲データファイルMFをダウンロードする旨の入力操作を行うと、制御部26は当該入力操作に応じてネットワークNETにGET要求を送信する。なお、この際、携帯用電話機MP-kは、ダウンロード対象となる楽曲データファイルMFを特定するデータとして楽曲IDを当該GET要求に付加する。
【0037】
一方、携帯用電話機MP-kから送信されたGET要求が楽曲配信サーバTSによって受信されると楽曲配信サーバTSにおいては、このGET要求に基づいて携帯用電話機MP-kに配信すべき楽曲データファイルMFと管理データCDが特定され、携帯用電話機MP-kに配信されることとなる。
【0038】
次に、楽曲配信サーバTSから楽曲データファイルMF及び管理データCDが配信されると、携帯用電話機MP-kの制御部26は当該楽曲データファイルMF及び管理データCDを記録部27のローカルデータ記録領域RMに記録させる。このようにして、ローカルデータ記録領域RMに楽曲配信サーバTSからダウンロードされた楽曲データファイルMFが記録された状態となると、携帯用電話機MP-kにおいて当該楽曲データファイルMFを用いた着信メロディの設定等が可能な状態となる。
【0039】
この状態において、ユーザが、例えば、携帯用電話機MP-kの操作部22に対して着信メロディを設定する旨の入力を行う。すると、制御部26はROMに記録されている設定アプリケーションに基づき図4(a)に示す処理を実行する。なお、図4において、(a)は、着信メロディの設定時に制御部26が実行する処理を示すフローチャートであり、(b)は、着信メロディ設定後に自動的な楽曲のアレンジ変更を実現するために制御部26が実行する処理を示すフローチャートである。
【0040】
この処理において、制御部26は、まず、当該設定アプリケーションに基づき、ローカルデータ記録領域RMに記録済みの管理データCDを読み出し、図示せぬRAM上に展開させる(ステップSa1)。ここで、当該携帯用電話機MP-kによって、既に複数曲分の楽曲データファイルMFや管理データがダウンロード済みの場合がある。かかる場合に制御部26は、ローカルデータ記録領域RMに記録済みの全管理データCDの読み出しを行い、当該管理データCDをRAM上に展開する。
【0041】
次いで、制御部26は、RAM上に展開された管理データCDに含まれる楽曲名に基づいて着信メロディとして設定可能な楽曲名の一覧を表示部23に表示させた後(ステップSa2)、入力操作が行われたか否かを判定する状態となり、ユーザが楽曲名を選択するまで同ステップの処理を繰り返す(ステップSa3「no」)。この状態において、ユーザが操作部22に対して着信メロディとして設定すべき楽曲名を選択する旨の入力操作を行う。すると、制御部26は、当該指定された楽曲名に対応する管理データCDをRAM上に展開された管理データCD中から抽出した後、現在時刻を取得し(ステップSa4)、当該管理データCDに含まれている設定期間情報から現在時刻に対応した設定期間情報を特定する(ステップSa5)。
【0042】
そして、制御部26は、この特定された設定期間情報と対応付けられた楽曲データ識別番号を抽出した後(ステップSa6)、この抽出された識別番号により示される楽曲データMD-lを楽曲データファイルMFから抽出する(ステップSa7)。このようにして、楽曲データMD-lが抽出されると制御部26は、OSを介して当該抽出された楽曲データMD-lを記録部27の着信メロディ設定記録領域MSMに記録させて(ステップSa8)、処理を終了する。例えば、図2に示す例において、現在時刻が12月22日PM10:00である場合を想定する。かかる場合に制御部26は、管理データCDから楽曲データ識別番号「No4」を抽出し、当該楽曲データ識別番号に対応した楽曲データMD-lとして、クリスマスアレンジに対応した楽曲データMD-4を抽出して、当該楽曲データMD-4を着信メロディ用に設定することとなる(ステップSa4〜Sa8)。
【0043】
かかる一連の処理が実行されることにより、ユーザが着信メロディを設定した際の日時(すなわち、現在時刻)に合致するアレンジ(例えば、クリスマスアレンジ)の楽曲データMD-lが着信メロディ用の楽曲データとして設定され、その後に携帯用電話機MP-kに対して着信等の事象が発生した場合には、当該設定された楽曲データMD-lに基づいて着信メロディが拡声されることとなる。
【0044】
このようにして、着信メロディの設定が行われると、制御部26は、その後、所定のタイミングにて設定アプリケーションを読み出すと共に、当該読み出した設定アプリケーションに基づいて図4(b)に示す処理を実行し、着信メロディとして設定されている楽曲のアレンジを変更させる。なお、この処理の実行開始のためのトリガについては任意であり、例えば、設定アプリケーションの引数として、楽曲データファイルMFに基づく着信メロディの設定が行われているか否かを判定するためのフラグを設け、当該フラグに基づいて(b)の処理を実行するか否かを判定すると共に、当該処理を実行する場合には、毎日、所定の時刻(例えば、AM0:00時)に同処理を実行するようにしても良い。
【0045】
まず、この処理において、制御部26は、着信メロディ設定記録領域MSMに記録された楽曲データMD-lに対応した楽曲IDを取得する(ステップSb1)。そして、制御部26は、この特定された楽曲IDに対応する管理データCDをローカルデータ記録領域RMから読み出した後(ステップSb2)、現在時刻を取得して(ステップSb3)、現在時刻に対応した設定期間情報を特定する(ステップSb4)。そして、当該設定期間情報と対応付けられた楽曲データ識別番号を管理データCDから抽出して(ステップSb5)、当該番号に対応する楽曲データMD-lを楽曲データファイルMDから抽出した後(ステップSb6)、着信メロディ設定記録領域MSMに記録されている楽曲データMD-lを更新し(ステップSb7)、処理を終了する。
【0046】
かかる一連の処理がユーザの入力操作と無関係に実行される結果、例えば、12月26日になった時点でユーザが着信メロディとして設定した楽曲に対応する楽曲データファイルMF中から、正月アレンジに対応した楽曲データMD-5が着信メロディ設定記録領域MSMに記録されることとなり、この結果、着信メロディのアレンジがクリスマスアレンジから正月アレンジに変更されることとなる。
【0047】
このようにして、本実施形態にかかる携帯用電話機MP-kによれば、着信メロディの再生時期に応じて利用する楽曲データMD-lを変化させることにより、着信メロディとして拡声される楽曲のアレンジを変化させることが可能となる。この結果、ユーザにとっては、同一のコンテンツを異なる態様にて利用することが可能となり、もって、コンテンツを利用するユーザの興趣性を飛躍的に向上させることが可能なる。
【0048】
また、本実施形態においては、携帯用電話機MP-kにより管理データCDを楽曲配信サーバTSからダウンロードして、この管理データCDに基づいてコンテンツデータの再生時に利用すべき楽曲データMD-lを特定する構成を採用しているため、利用すべき楽曲データMD-lを容易且つ簡易に特定することが可能となり、もって、携帯用電話機MP-kにおける処理負担の軽減を図ることが可能となる。
【0049】
また更に、本実施形態においては、着信メロディ用に利用すべき楽曲データMD-lを着信メロディ設定記録領域MSMに記録させ、当該記録された楽曲データMD-lを更新する構成が採用されている。このため、アレンジを変更すべき時刻が到来するまで、既に着信メロディ設定記録領域MSMに記録された楽曲データMD-lを再生して着信メロディを拡声することが可能となり、携帯用電話機MP-kにおける処理の簡略化を図ることが可能となる。また、この構成を採用した場合に、着信メロディ設定記録領域MSMに対するOS以外のアプリケーションからのアクセスを禁止しておけば、記録部27に記録された各種データのセキュリティの向上を図ることも可能となる。
【0050】
なお、上記実施形態においては、楽曲データファイルMFと管理データCDを別データとして構成していたが、両データは1ファイルとして構成するようにしても良い。
【0051】
また、上記実施形態においては携帯用電話機MP-kにおいて着信メロディを設定する場合を例に説明を行ったが、着信音を拡声する機器であれば、どのような機器に対しても適用可能である。例えば、家庭用の固定電話機やファクシミリ(複写電送装置)、PDA(Personal Digital Assistant)のような着信の発生する各種電子機器についても、本実施形態における携帯用電話機MP-kと同様の構成を採用することにより着信メロディをユーザの任意に設定することが可能である。
【0052】
また更に、上記実施形態においては楽曲配信サーバTSから着信メロディ用の楽曲データを配信する構成を採用したが、コンテンツの種別はこれに限らず、例えば、画像データを配信し、携帯用電話機MP-kにおいて上記待ち受け画面等を設定する場合であっても上記実施形態と同様の方法を採用することにより実現可能となる。かかる方法を採用することにより、例えば、待ち受け画面として設定された画像を時期に応じて自動的に変更させることも可能となる。また、上記実施形態においては、楽曲を着信メロディとして拡声する構成を採用していたが、楽曲に限らず、音声であればどのようなものであっても良い。
【0053】
また更に、上記実施形態においては、携帯用電話機MP-k単体にてネットワークNETを介したデータ通信を行う構成となっていたが、SIM(Subscriber Identify Module)内に携帯用電話機MP-kのユーザの加入者情報を記録すると共に、当該SIMを携帯用電話機MP-kに接続してSIM内に記録された加入者情報を用いてネットワークNETを介したデータ通信を行うようにしても良い。
【0054】
[1.3]第1実施形態の変形例
(1)変形例1
上記第1実施形態においては、楽曲配信サーバTSから楽曲データファイルMFと共に、管理データCDを携帯用電話機MP-kに対して配信し、所定のタイミングにて上記図4(b)に示す処理を実行して、自動的に着信メロディとして拡声される楽曲のアレンジを変化させる構成が採用されていた。しかし、管理データCDに関しては、必ずしも、携帯用電話機MP-kに配信する必要性はなく、楽曲配信サーバTS側において管理し、どの楽曲データMD-lを利用すべきであるのかを携帯用電話機MP-kから楽曲配信サーバTSに問い合わせる構成を採用することも可能である。
【0055】
かかる方法を採用する本変形例の動作について、図5を参照しつつ説明する。まず、この方法を採用する場合、携帯用電話機MP-kの制御部26は、設定アプリケーションに基づいてローカルデータ記録領域RMに記録されている各楽曲データファイルMFのヘッダ部から楽曲名を抽出した後、上記図4(a)ステップSa2及び3と同様の処理を実行して楽曲名の一覧を表示させ、ユーザの入力を待機する。そして、この状態においてユーザが何れかの楽曲名を選択する旨の入力操作を行うと、制御部26は、当該選択された楽曲名に対応する楽曲データファイルから楽曲IDを抽出した後(ステップSa11)、楽曲配信サーバTSに送信し(ステップSa12)、楽曲配信サーバTSからの返信を待機する状態となる(ステップSa13「no」)。
【0056】
一方、携帯用電話機MP-kから楽曲IDが送信されてくると、楽曲配信サーバTSにおいては、当該楽曲IDに基づいて管理データCDが特定されると共に、当該管理データCDに基づき、携帯用電話機MP-kが図4(a)ステップSa4〜Sa6において実行していたのと同様の処理を実行する。そして、この処理の結果、管理データCDから現在時刻に対応した楽曲データ識別番号が抽出されると、楽曲配信サーバTSは、当該抽出した楽曲データ識別番号を携帯用電話機MP-kに返信する。
【0057】
このようにして、楽曲配信サーバTSから楽曲データ識別番号が送信されてくると、携帯用電話機MP-kの制御部26においては、上記ステップSa13における判定が「yes」に変化し、当該受信された楽曲データ識別番号に基づいて上記ステップSa7及びSa8と同様の処理が実行される。この結果、携帯用電話機MP-kの着信メロディ設定記録領域MSMには、現在時刻に対応した楽曲データMD-lが記録され、その後に着信等が発生した場合には、当該楽曲データMD-lを用いて着信メロディが拡声される。
【0058】
また、携帯用電話機MP-kの制御部26は、所定のタイミングにて図5(b)の処理を実行し、着信メロディのアレンジを変化させる。この処理において制御部26は、まず、上記図4(b)ステップSb1と同様の処理により、楽曲IDを取得し、当該取得した楽曲IDを楽曲配信サーバTSへと送信して(ステップSb11)、楽曲配信サーバTSからの返信を待機する状態となる(ステップSb12「no」)。
【0059】
一方、携帯用電話機MP-kから楽曲IDが送信されてくると、楽曲配信サーバTSにおいては、当該楽曲IDに基づいて管理データCDが特定されると共に、上記Sb3〜Sb5と同様の処理により管理データCDから現在時刻に対応した楽曲データ識別番号が抽出され、当該抽出した楽曲データ識別番号が携帯用電話機MP-kに返信される。そして、この楽曲データ識別番号が携帯用電話機MP-kにおいて受信されると、制御部26は、ステップSb12において「yes」と判定して、上記図4(b)のステップSb6及びSb7と同様の処理を実行することにより、着信メロディ用の楽曲データMD-lを変更させるのである。
【0060】
(2)変形例2
上記第1実施形態においては、楽曲データファイルMFを用いて着信メロディを設定する場合を例に説明を行った。しかし、着信等の事象の発生とは無関係にユーザが所定の入力操作を行った際に楽曲データMD-lを再生させる機能を設定アプリケーションに保有させ、楽曲データMD-lの再生タイミング(例えば、ユーザが操作部22に対して再生を行う旨の入力操作を行った際の現在時刻)に応じて、再生される楽曲データMD-lを変化させるようにしても良い。この方法を採用する場合、上記図4(a)のステップSa1〜Sa7と同様の処理を実行して、再生対象となる楽曲データMD-lを抽出し、当該楽曲データMD-lを再生する構成とすれば良い。
【0061】
(3)変形例3
上記第1実施形態においては、時期の変遷に伴って、自動的に着信メロディのアレンジを変化させる構成を採用していた。しかし、時期に限らず、例えば、楽曲データMD-lの再生回数(すなわち、着信回数)をカウントし、所定回数の再生が行われた場合に、着信メロディ設定記録領域MSMに記録された楽曲データMD-lを変更して、着信メロディのアレンジを変化させるようにすることも可能である。この場合、上記設定期間情報に換えて、再生回数を示すデータを管理データCDに記述する。そして、携帯用電話機MP-kにおいて設定アプリケーションを用いて着信回数をカウントして、当該カウント数に応じて着信メロディとして利用する楽曲データMD-lを変更させるようにすれば良い。
【0062】
[2]第2実施形態
[2.1]第2実施形態の構成及び動作
次に、本願の第2実施形態について説明する。なお、以下に説明する本願の第2実施形態は、上記図1及び図3に示す構成と同様の構成により実現されるものとなっている。従って、上記図1及び図3に示す各要素は、特に説明しない限り上記第1実施形態と同様の構成を有し、同様の動作を行うものとなっている。
【0063】
ここで、上記第1実施形態においては、時期に応じて着信メロディとして拡声される楽曲のアレンジを変化させる方法を採用していた。これに対して、本実施形態にかかるコンテンツ配信システムSは、着信メロディの再生回数(例えば、着信回数)に応じて着信メロディの和音数を変化させる方法を採用することとしている。より具体的には、着信回数が増加し、着信メロディとして設定されている楽曲の再生回数が増加するのに伴って、当該楽曲を構成する和音数を増加させるようにしているのである。かかる方法を採用することにより、再生回数の増加に伴い、あたかも、着信メロディが成長しているかのごとくユーザに認識させることが可能となり、着信時のユーザの興趣性を向上させることが可能となるのである(換言するならば、着信回数の増加に伴って、着信メロディが成長するようにユーザに聴取させ、当該楽曲に対するユーザの飽きを防止し、併せて、着信時の楽しみを向上させることが可能となる)。
【0064】
一方、かかる方法を実現しようとする場合、如何なる方法にて和音数を変化させるかが問題となる。かかる方法としては、上記第1実施形態と同様に和音数の異なる複数の楽曲データMD-lを生成し、これらを1つのパッケージとした楽曲データファイルMFを生成して携帯用電話機MP-kに配信する、という方法も考えられる。しかし、単に和音数を削減するためにかかる方法を採用し、楽曲配信サーバTSから配信するデータのデータ量を増大させることは得策とは言えない。これは、上記第1実施形態のように全く異なるアレンジバージョンを1つの楽曲データにて拡声させることは困難であるため上記方法を採用する利点が大きいが、和音数の増減に関しては1つの楽曲データMD-lを用いて実現することが可能だからである。
【0065】
そこで、本実施形態においては、楽曲データファイルMFのように複数の楽曲データMD-lから構成されるファイルを楽曲配信サーバTSに保有させるのではなく、単一の楽曲データMD2を保有させる方法を採用することとした。なお、本実施形態において楽曲データMD2の構成方法は任意であるが、本実施形態においては、図6に示すようなデータ構成を採用するものとして説明を行う。
【0066】
この図6に示す楽曲データMD2のデータ構成について以下説明する。まず、同図に示すように、本実施形態において楽曲データMD2は、1つの楽曲を拡声するための複数のチャネルc(例えば、トラック単位のチャネル)を有しており、各チャネルcには、1以上の音色に対応したノート及びベロシティが定義付けられると共に、この各チャネルcに対して各々、異なるパートに対応したノート等を定義付けるようにしている。そして、着信メロディの設定当初は、これらのチャネルcの内、1つのチャネル以外をミュートさせ、再生回数(すなわち、着信回数)の増加に伴って、ミュートしているチャネルcの数を減少(換言するならば、再生対象となるチャネルc数を増加させパート数を増加させる)させることにより、再生回数の増加に伴う和音数の増加を実現するようになっている。なお、かかる方法を採用する場合、図6に示すように管理データCD2内には、再生回数と各チャネルcを一意に特定するためのチャネル番号を対応付けて記述するようにすれば良い。
【0067】
以下、かかる構成を有する楽曲データMD2等を用いて、携帯用電話機MP-kにおいて着信メロディを設定する際の動作について説明する。
【0068】
本実施形態において、着信メロディを設定する場合、まず、制御部26は、上記第1実施形態の図4(a)ステップSa1〜ステップSa3と同様の処理を実行する。この結果、ユーザが操作部22に対して着信メロディとして設定すべき楽曲名を選択する旨の入力操作を行うと、当該指定された楽曲名に対応する管理データCD2をRAM上に展開された管理データCD2中から抽出した後、当該管理データCD2に対応する楽曲データMD2をローカルデータ記録領域RMから読み出して、チャネル番号「No1」以外のチャネルcをミュートさせて当該楽曲データMD2に基づいて着信メロディの設定を行う。
【0069】
なお、この際における、具体的な処理内容については任意であり、楽曲データMD2からチャネル番号「No1」以外をミュートさせることができれば良い。例えば、チャネル番号「No1」に対応したデータ部分のみを楽曲データMD2から抽出して新たな楽曲データを生成し、当該生成した楽曲データを着信メロディ設定記録領域MSMに記録させるようにしても良く、チャネル番号「No1」以外のチャネルcに対する再生制限をかけるようにしても良い。
【0070】
このようにして、着信メロディの設定が行われると、制御部26は、その後、設定アプリケーションに従って再生回数をカウントすると共に、携帯用電話機MP-kにおいて着信等の事象が発生する度に図7に示す処理を実行し、着信メロディとして設定されている楽曲の和音数を変更させる。なお、図7は携帯用電話機MP-kにおいて制御部26が実行する処理を示すフローチャートであり、この処理において上記図4(b)と同様の処理に関しては、同一のステップ番号を付している。
【0071】
まず、この処理において、制御部26は、上記図4(b)ステップSb1及びSb2の処理を実行し、管理データCD2の読み出しを行う。次いで、制御部26は、現在の再生回数のカウント値に対応する再生回数を管理データCD2から抽出すると共に(ステップSb103)、当該再生回数に対応するチャネル番号を特定する(ステップSb104)。そして、当該チャネル番号に基づいて楽曲データMD2に対する処理を実行し、当該チャネル番号以外のチャネルcをミュートさせるための処理を実行した後(ステップSb105)、OSを介して当該ミュート後の楽曲データMD2を着信メロディ設定記録領域MSMに記録させるのである(ステップSb106)。
【0072】
かかる一連の処理がユーザの入力操作と無関係に実行される結果、再生回数の推移に伴って、ミュートされるチャネル数が減少され、和音数が増加することとなる。この結果、本実施形態によれば、ユーザには、あたかも、着信メロディが成長しているかのごとく認識されることとなり、もって、ユーザの興趣性を飛躍的に向上させることが可能となるのである。
【0073】
[2.2]第2実施形態の変形例
以下、本実施形態にかかる変形例について説明するが、以下に説明する変形例は、あくまでも、第2実施形態のみに対応するものとしての例示であり、上記第1実施形態にかかる変形例についても本実施形態に適用可能である点は言うまでもない。
【0074】
(1)変形例1
上記第2実施形態においては、着信メロディの再生回数、すなわち、着信等の事象が発生した回数に応じて、和音数を変化させる構成を採用していた。しかし、着信メロディ設定後、どの程度の時間が経過したのかによって、和音数を変化させるようにしても良い。この場合、再生回数に換えて、設定後の経過時間数を管理データCD2に記述するようにする。また、設定アプリケーションの引数として設定時刻を記述すると共に、現在時刻と設定時刻との差分値に基づいて設定後の経過時間数を算出して、当該算出値と管理データCD2に基づいて再生対象とするチャネル番号を決定するようにすれば良い。かかる方法を採用した場合、設定時間数が長くなればなるほど和音数が増加することとなり、ユーザには、設定後の時間数に応じて、あたかも、着信メロディが成長しているかのごとく認識されることとなる。
【0075】
(2)変形例2
上記第2実施形態においては、和音数を変化させる方法を採用していた。しかし、和音数ではなく、再生対象となる時間数(具体的には小節数)を変化させるようにしても良い。具体的には、再生回数や設定後の経過時間数に応じて再生対象となる時間数(すなわち、小節数)を増加させるようにするのである。この場合、楽曲データMD2を小節毎に分割すると共に、当該分割された各小節に対して各小節を識別するための小節識別番号を割り当てるようにする。また、管理データCD2には、再生回数や設定後の時間数と対応付けて再生可能な小節を示す小節識別番号を記述するようにし、上記第2実施形態と同様の処理(具体的には、図7に示す処理等)を実行することで、順次、再生可能な小節数を増加させるようにすれば良い。かかる方法を採用することにより、設定後の時間数や再生回数に応じて、例えば、着メロ設定当初にはAメロのみが再生対象となっていたのに対して、事後的にBメロ等が再生対象となることとなり、ユーザには、あたかも、着信メロディが成長しているかのごとく認識されることとなる。
【0076】
また、この再生時間を変化させる態様においては、現在時刻に応じて再生時間数を変化させるようにすることも可能である。この方法を採用した場合、著作権保護の観点からのメリットが大きくなる。具体的には、各楽曲に対応したレコードやコンパクトディスクの発売日までは、例えば、Aメロのみを再生対象とし、発売日後についてはAメロのみならずBメロも聞かせるというような態様を実現することも可能となるのである。
【0077】
このようにして、本変形例によれば、再生対象となる時間数を随時変化させることが可能となり、もって、ユーザの興趣性を向上させることが可能となるのみならず、著作権の保護を実現することも可能となる。
【0078】
なお、上記各例においては、和音、再生時間数(小節数)、或いは、アレンジの何れか一つを変化させる構成を採用していたが、複数の要素を同時に変化させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】第1実施形態におけるコンテンツ配信システムSの構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態における楽曲データファイルMF及び管理データCDのデータ構成の一例を示す図である。
【図3】同実施形態における携帯用電話機MP-kの構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は、着信メロディの設定時に制御部26が実行する処理を示すフローチャートであり、(b)は、着信メロディ設定後に自動的な楽曲のアレンジ変更を実現するために制御部26が実行する処理を示すフローチャートである。
【図5】(a)は、第1実施形態の変形例1において着信メロディの設定時に制御部26が実行する処理を示すフローチャートであり、(b)は、同変形例において着信メロディ設定後に自動的な楽曲のアレンジ変更を実現するために制御部26が実行する処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態における楽曲データMD2及び管理データCD2のデータ構成の一例を示す図である。
【図7】着信メロディ設定後に自動的な楽曲のアレンジ変更を実現するために制御部26が実行する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
S・・・コンテンツ配信システム
MP-k・・・携帯用電話機
NET・・・ネットワーク
TS・・・楽曲配信サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2以上の要素により構成されるコンテンツに対応したコンテンツデータを記録したコンテンツデータ記録手段と、
前記コンテンツデータを再生する際の再生条件に応じて前記コンテンツデータの再生時に利用すべき前記要素を選択する選択手段と、
前記選択された要素のみにより前記コンテンツを出力するため前記コンテンツデータに処理を施し、当該処理によって得られた処理データを再生する再生手段と
を具備することを特徴とするコンテンツデータ再生装置。
【請求項2】
前記コンテンツデータの再生を制御するためのデータであって、前記再生条件に合致する前記要素を定義付けた管理データを取得する取得手段を更に有し、
前記選択手段は、前記管理データに基づいて前記コンテンツデータの再生時に利用すべき前記要素を選択することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項3】
前記コンテンツデータは、前記各要素に対応した複数の単位データを含み、
前記管理データは、前記再生条件に応じて前記選択手段が選択すべき要素に対応した単位データを示す情報を含むことを特徴とする請求項2に記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項4】
前記再生手段は、前記処理データを記録する処理データ記録手段を更に備え、
前記処理データ記録手段に記録された前記処理データを再生することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項5】
前記再生手段は、前記再生条件に変化が生じた場合に、当該変化後の再生条件に基づいて前記選択手段に新たな前記要素を選択させると共に、当該選択された要素のみにより前記コンテンツを出力するため前記コンテンツデータに処理を施し、当該処理により得られた更新用の処理データにより前記処理データ記録手段に記録された処理データを更新する更新手段を更に有することを特徴とする請求項4に記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項6】
前記コンテンツデータは、少なくとも2以上の要素により構成される楽曲に対応したデータであり、
前記再生手段は、前記コンテンツデータ再生装置において所定の事象が発生した場合に前記処理データを再生して当該事象の発生をユーザに報知するための楽曲を拡声させることを特徴とする請求項1の記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項7】
前記要素は、前記楽曲のアレンジであり、
前記選択手段は、前記再生条件に応じて前記コンテンツデータの再生時に再生されるべきアレンジを選択することを特徴とする請求項6に記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項8】
前記要素は、前記楽曲を構成するパートであり、
前記選択手段は、前記再生条件に応じて前記コンテンツデータの再生時に再生対象とされるべきパートを選択することを特徴とする請求項6に記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項9】
前記要素は、前記楽曲を構成する小節であり、
前記選択手段は、前記再生条件に応じて前記コンテンツデータの再生時に再生対象とすべき小節を選択することを特徴とする請求項6に記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項10】
前記選択手段は、前記コンテンツデータの再生時刻、又は、当該コンテンツデータの再生回数を前記再生条件として用いることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項11】
サーバ装置が保有するコンテンツデータを通信端末装置に配信するコンテンツ配信システムであって、
前記サーバ装置は、
少なくとも2以上の要素により構成されるコンテンツに対応したコンテンツデータが記録される記録手段と、
前記コンテンツデータ及び前記管理データを前記通信端末装置に配信する配信手段と、を有し、
前記通信端末装置は、
前記サーバ装置から前記コンテンツデータをダウンロードするダウンロード手段と、
前記コンテンツデータを再生する際の再生条件に応じて前記コンテンツデータの再生時に利用すべき前記要素を選択する選択手段と、
前記選択された要素のみにより前記コンテンツを出力するため前記コンテンツデータに処理を施し、当該処理によって得られた処理データを再生する再生手段と、を有することを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項12】
前記サーバ装置は、前記コンテンツデータの再生を制御するためのデータであって、前記再生条件に合致する前記要素を定義付けた管理データを記録した管理データ記録手段と、
前記通信端末装置から送信されたリクエストデータに基づいて前記管理データから前記再生条件に合致する前記要素を抽出する抽出手段と、
前記抽出した要素を示す要素データを前記通信端末装置に配信する要素データ配信手段と、を更に有し、
前記通信端末装置の前記選択手段は、前記リクエストデータを送信すると共に、前記配信された要素データに基づいて前記コンテンツデータの再生時に利用すべき前記要素を選択することを特徴とする請求項11に記載のコンテンツ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−243665(P2006−243665A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62960(P2005−62960)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(396004833)株式会社エクシング (394)
【Fターム(参考)】