説明

コンテンツ再生音量設定装置及び車載用コンテンツ再生システム

【課題】 ユーザーが以前聴いた音量レベルと同じレベルで、メディア、コンテンツを自動的に再生することが可能にするコンテンツ再生音量設定装置を提供する。
【解決手段】 コンテンツ再生音量設定装置100は、コンテンツとしての楽曲を含むメディアで同種のものを複数有するソース20から、所定のメディアを選択する選択部3と、選択された所定のメディアが再生される際の再生音量レベルを調整するレベル調整部5と、選択された所定のメディアと再生音量レベルを関連付けて記憶し、次に所定のメディアが選択される際、前記再生音量レベルにて所定のメディアが再生されるように、レベル調整部5を制御するレベル記憶部7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲などのコンテンツの再生に際して、その音量を設定するコンテンツ再生音量設定装置及びこれを用いた車載用コンテンツ再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周囲の環境に応じてその音量を自動的に調整する種々の音響装置が知られている。このような音響装置は、特に騒音等により環境が変化しやすい車両内で使用されるものが良く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1、2は、車両室内の騒音レベルや、車両速度を検知した上で、再生音量やダイナミックレンジを変化させる車両用音響装置を開示している。
【0004】
また、特許文献3は、複数の音源の出力を各ユーザーに適した音量レベルに設定する機能を備えた車載用音響装置を開示している。
【0005】
上述した各装置では、コンテンツの再生音量やダイナミックレンジが、車両の環境に応じて自動的に好みの値に調整されるので、ユーザー、とりわけ運転者が、音量を設定しなおす手間を減らすことが可能となる。
【0006】
【特許文献1】特開昭60−145714号公報
【特許文献2】特開平04−191139号公報
【特許文献3】特開2002−165298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、ユーザーは、特定のコンテンツについて、以前聴いた音量レベルと同じレベルで再生することを希望するものである。しかし、現実的にこのような希望を満たし得る技術はいまだ提示されていない。特許文献3では、音源の種類毎にユーザーがボリュームを設定する技術を開示している。しかし、このような技術では、同一種類の音源に属する複数のメディア、楽曲毎にユーザーが好みの音量を設定することはできない。また、運転環境の変化にも対応し得るものではない。
【0008】
本発明は、ユーザーが以前聴いた音量レベルと同じレベルで、メディア、コンテンツを再生可能にするコンテンツ再生音量設定装置、及びこれを用いた車載用コンテンツ再生システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコンテンツ再生音量設定装置は、コンテンツを含むメディアで同種のものを複数有するソースから、所定のメディアを選択する選択部と、選択された所定のメディアが再生される際の再生音量レベルを調整するレベル調整部と、選択された所定のメディアと再生音量レベルを関連付けて記憶し、次に前記所定のメディアが選択される際、前記再生音量レベルにて所定のメディアが再生されるように、レベル調整部を制御するレベル記憶部と、を備える。
【0010】
レベル記憶部は、所定のメディアが最後に再生された際の再生音量レベルを記憶するように構成され得る。
【0011】
また、複数のメディアのうち少なくとも一つは複数のコンテンツを含む場合、レベル調整部は、複数のコンテンツのうち、所定のコンテンツが再生される際の再生音量レベルを調整し、レベル記憶部は、再生された所定のコンテンツと前記再生音量レベルを関連付けて記憶し、次に前記所定のコンテンツが再生される際、前記再生音量レベルにて所定のコンテンツが再生されるように、レベル調整部を制御するように構成され得る。
【0012】
レベル記憶部は、所定のコンテンツの最後の再生音量レベルを記憶するように構成され得る。
【0013】
また、コンテンツ再生音量設定装置は、コンテンツが楽曲である場合に好適に使用され得る。
【0014】
メディアは、ラジオ局、コンパクトディスク、デジタルバーサタイルディスク、ミニディスク、メモリカード、ハードディスク、ハードディスクドライブ内蔵携帯プレーヤーのうちの少なくともいずれか一つでありうる。
【0015】
上述のコンテンツ再生音量設定装置とメディアのソースを組み合わせて車載用コンテンツ再生システムが提供される。
【0016】
ここで、ソースが複数種のメディアを含む場合に、車載用コンテンツ再生システムは好適に使用される。
【0017】
上述の場合、複数種のメディアが、ラジオ局、コンパクトディスク、デジタルバーサタイルディスク、ミニディスク、メモリカード、ハードディスク、ハードディスクドライブ内蔵携帯プレーヤーのうちの少なくともいずれか二つより構成され得る。
【0018】
また、車載用コンテンツ再生システムは、車両の走行状況及び走行環境に対応した走行情報を取得する走行情報取得部を更に含み得る。ここで、レベル記憶部に記憶される再生音量レベルは、走行情報に関連付けられて記憶される。
【0019】
更に走行情報は、車両の走行道路、走行時刻、走行時の天気、車両の窓の状態のうち少なくとも一つを含み得る。
【0020】
また、本発明はコンテンツ再生音量制御方法をも含み、当該方法は、コンテンツを含むメディアで同種のものを複数有するソースから、所定のメディアを選択するステップと、選択された所定のメディアが再生される際の再生音量レベルを調整するステップと、選択された所定のメディアと再生音量レベルを関連付けて記憶するステップと、次に所定のメディアが選択される際、再生音量レベルにて所定のメディアを再生するステップと、を備える。これら各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムも本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のコンテンツ再生音量設定装置によれば、ユーザーが以前聴いた音量レベルと同じレベルで、メディア、コンテンツを自動的に再生することが可能になるため、音量設定に要する手間を減らすとともに、ユーザーの好みに近い音量が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明のコンテンツ再生音量設定装置、及び車載用コンテンツ再生システムの構成を示すブロック図である。
【0023】
コンテンツ再生音量設定装置100は、ボリューム操作部1と、選択部3と、レベル調整部5と、レベル記憶部7とを備えて構成される。コンテンツ再生音量設定装置100に対し、ソース20、走行情報取得部30、アンプ40、スピーカ50が組み合わされ車載用コンテンツ再生システム200が構成される。
【0024】
車載用コンテンツ再生システム200は車両に搭載され、カーオーディオ装置等、種々の車両内コンテンツ視聴システムを構成するものである。本実施形態では提供されるコンテンツは楽曲ソースを構成するソース20より提供される楽曲であり、車載用コンテンツ再生システム200はカーオーディオシステムを構成する。しかしながら、コンテンツの対象は、再生音量調整が可能な音声を含むものであれば、特に限定はされない。
【0025】
ボリューム操作部1は、ユーザー(運転者、乗員)が楽曲のボリュームを操作する部分である。車両のインストルメントパネルに搭載された液晶ディスプレイ上に表示されたタッチパネルによって構成され得る。また、液晶ディスプレイ周辺に配置された種々のメカニカルスイッチによって構成することもできる。メカニカルスイッチの構成としては、回転ダイヤル式、スライド式、タッチボタン式等種々のものを採用することができ、特に限定はされない。
【0026】
選択部3は、ユーザーが再生を希望する楽曲(コンテンツ)のソース(メディアの種類)、当該ソースのうちの特定メディア、さらには当該特定メディアに含まれる特定要素(特定楽曲)のいずれかを、後述するソース20から選択する部分である。選択部3も、上述のボリューム操作部1と同様に、液晶ディスプレイ上に表示されたタッチパネルやメカニカルスイッチ等によって構成され、特に構成は限定されない。また、ボリューム操作部1、選択部3をインストルメントパネルから独立したリモートコントロールスイッチより構成することもできる。更には音声による入力方式をボリューム操作部1、選択部3に適用し、音声により再生対象の選択、ボリューム変更を行うようにすることもできる。
【0027】
上述したように、ユーザーは、選択部3を介し、1)メディアの種類(例えばラジオ、CD、MDなどのソースの区別)の選択、2)特定メディア(例えば複数のCDのうち特定のディスク)の選択、3)特定メディアのうちの特定のコンテンツ(例えば特定のディスクに記録された特定の楽曲)の選択をそれぞれ行うことができる。本発明では、2)、3)の選択が重要である。
【0028】
レベル調整部5は、選択部3によって選択されたソース、メディア又は楽曲(コンテンツ)毎に予め設定された再生音量レベルに応じて、アンプ40の出力、ひいては再生される際の再生音量レベルを調整するものである。また、再生時にユーザーがボリューム操作部1を用いてボリュームを変更した場合は、当該変更に応じてアンプ40の出力を変更する。レベル調整部5の機能については後に説明する。
【0029】
レベル記憶部7は、レベル調整部5よって、調整、決定された再生音量レベルを、対応するソース、メディア又は楽曲に関連付けた状態で記憶するものである。レベル記憶部7は各種の書き換え可能なメモリによって構成される。また、レベル記憶部7はユーザーにより再生音量レベルが変更された際も、対応するソース、メディア又は楽曲の再生音量レベルを変更後の再生レベルに書き換えて記憶することもできる。更にレベル記憶部7は、後述する走行情報取得部30からの車両の走行情報を取得し、当該走行情報と当該走行情報に対応するソース、メディア又は楽曲とを関連付けた状態で記憶することもできる。レベル記憶部7の機能についても後に説明する。
【0030】
ソース20は、図1の実施形態においては、ラジオ局、CD(コンパクトディスク)の二つの(複数種の)メディアを含む。ラジオ局は、A局、B局・・・X局・・・等、具体的な局名であって、AM放送、FM放送、短波放送等、放送方式は問わない。また、CDは別途用意されたカートリッジに装填された複数のCD各々に#1、#2・・・#8・・・等のコード番号が付与されている。
【0031】
もちろん楽曲ソースの種類(メディア)はラジオ局、CDに限定されず、DVD(デジタルバーサタイルディスク)、MD(ミニディスク)、SDカードの如き各種メモリカード等も含む。また、iPodの如きそれ自体再生機能を持つHDD(ハードディスクドライブ)内蔵携帯プレーヤーの接続ポートを設け、プレーヤーを接続した場合、当該プレーヤーもメディア(楽曲ソース)となり得る。
【0032】
上述したように、選択部3により、ユーザーは、再生を希望する再生対象を選択することが可能であるが、楽曲のソース(メディアの種類)、当該ソース内の特定メディア、さらには当該特定メディアの特定要素(特定楽曲)を選択することが可能である。言い換えると、レベル調整部5、レベル記憶部7は、ユーザーが再生する際に希望するボリュームの設定を、1)楽曲ソース毎に、2)メディアごとに、3)楽曲毎に設定することができる。
【0033】
「メディア」とは、コンテンツ(楽曲)を記憶した媒体のみならず、コンテンツを提供する手段をも含む。従って、CDの如き記録媒体のみならず、ラジオ放送などの通信によるものも含まれる。さらには、車外から無線通信によって提供されるものも含まれる。また、「同種のメディア」とは、ラジオ放送におけるA局とB局や、CDにおけるCD#1とCD#2のような関係をいう。「複数種のメディア」とは、ラジオ放送とCDのような関係をいう。すなわち、「メディア」は所定のコンテンツ提供方式をもち、複数のコンテンツを提供し得る媒体である。もちろん、単一のコンテンツを提供するものも「メディア」に含まれる。
【0034】
走行情報取得部30は、車両内、車両外の走行状況、走行環境を検出した上で、再生音量レベルの決定に際し考慮される走行情報を生成し、レベル記憶部7に供給するものである。図1の例では、走行情報取得部30は位置検出部30aと、時刻検出部30bと、車両内作動状況検出部30cとを含むが、構成は例示のものに限定されない。走行情報は、車両内、車両外の走行状況、走行環境を広く反映したものであり、特に図示のものに限定される理由はないからである。
【0035】
位置検出部30aは、走行情報としての車両の現在位置、走行道路を検出するもので、例えばGPS装置であり、GPS衛星からの情報に基づき経度情報、緯度情報を出力する。検出精度を向上させるための各種センサとして、車両の方位を検出する地磁気センサや角速度センサ、ステアリングの回転センサ、車両の走行距離を検出する車速センサ等を含んでいてもよい。
【0036】
時刻検出部30bは、走行情報としての車両の走行時刻を検出する車両内に内蔵された時計より構成される。ただし、GPS受信機や、VICSセンタから時刻情報を得るようにしてもよい。この場合、必ずしも時刻を検出する構成を独立して設ける必要はない。
【0037】
車両内作動状況検出部30cは、車両の各部分の作動状況を検出するものである。例えば、ワイパーのオン・オフ、窓の開・閉、各種ランプのオン・オフ等の機械的、電気的な作動情報を検知した上で、走行情報としてレベル記憶部7に供給する。
【0038】
選択されたソース、メディア又は楽曲は、設定されたボリュームによって、アンプ40、スピーカ50により再生される。尚、図示していないが、各メディアに応じた再生装置がシステム内に設けられている。
【0039】
上述の各構成部分の制御及びシステム全体の制御は、所定のプログラムによって動作するプロセッサを主体に構成される図示しない制御部によって行われる。制御部は、プロセッサによって実行される各種プログラムを記憶するメモリ、プログラム実行時のワークエリアとなるメモリ、システムの各種設定データを記憶するメモリ等の各種メモリ(図示せず)を含んでいる。これらのメモリは、その用途に応じて、アクセス速度、記憶容量、揮発性と不揮発性の別等の異なる複数種類のメモリが用いられる。
【0040】
また、ボリューム操作部1、選択部3に加え、図示しないナビゲーション装置のナビゲーション地図が、液晶ディスプレイ上に表示される。ナビゲーション装置は地図情報を格納する地図データ格納部、VICSセンタから各種交通情報などを取得する部分などを備える。
【0041】
次に、本発明のコンテンツ再生音量設定装置100、車載用コンテンツ再生システム200の動作について説明する。
【0042】
図2は、再生対象メディア自体が変更された際の、再生音量設定変更の手順を示すフロー図である。
【0043】
まず、ユーザーが選択部3を操作し、所定のメディアが選択される(ステップS21)。この選択を受けて、レベル記憶部7は、現在の車両の走行状況、走行環境に対応した走行情報を走行情報取得部30から取得する。そして、当該走行情報に対応した環境下で、以前再生されたメディアの再生音量レベルが、レベル記憶部7の再生履歴のフォーマットから検索される。そして、レベル記憶部7は、この検索された再生音量レベルにて当該メディアが再生されるようにレベル調整部5を制御する。この後当該メディアが再生される(ステップS22)。
【0044】
その後、別のメディアが選択されたか否かが判定される(ステップS23)。別のメディアがユーザーにより選択部3を介して選択された場合は、再生中のメディアの再生状況下における再生音量レベルが設定更新される(ステップS24)。引き続き、新たに選択されたメディアの再生がステップS22の手順と同様にして行われる。
【0045】
一方、ステップS23にて別のメディアが選択されていないと判定された場合、次は現在のメディアの再生が終了したか否かが判定される(ステップS25)。メディア再生が終了したと判断された場合は、ステップS24と同様に、再生の終了したメディアの再生音量レベルが設定、更新される(ステップS26)。ステップS24とステップS26の後、レベル記憶部7は、再生メディアの最後に再生された際の再生音量レベルを記憶する。
【0046】
ステップS25にてメディアの再生が終了していないと判定された場合、メディア再生中にユーザーにより、ボリューム操作部1を介してボリューム調整(再生音量調整)が行われたか否かが判定される(ステップS27)。ボリューム調整が行われたと判定された場合は、調整後のボリュームに対応するように、新たな再生音量レベルがレベル記憶部7に記憶される(ステップS28)。メディア再生が引き続き行われるとともに、ステップS23以降の処理が行われる。
【0047】
一方、ステップS27にてボリューム調整が行われていないと判定された場合は、走行情報取得部30からの走行情報に基づき、車両の走行状況、走行環境が変化したか否かが判定される(ステップS29)。走行状況、走行環境が変化していないと判断された場合は、ステップS23以降の処理が行われる。一方、走行状況、走行環境が変化したと判断された場合は、ステップS22に戻り、変化後の走行状況、走行環境下での再生音量レベルが、レベル記憶部7の再生履歴のフォーマットから検索される。そして検索された再生音量レベルにて、メディアの再生が引き続き行われる。
【0048】
図3は、再生対象メディアのボリュームが変更された際の、再生音量設定変更の手順を示すフロー図である。
【0049】
まず、ステップS31、ステップS32の操作は、図2のステップS21、ステップS22の手順と同じである。
【0050】
そして、別のメディアが選択されたか否かが判定される。別のメディアが選択された場合は、当該新たに選択されたメディアの前回の再生履歴が検索され、ステップS32と同様にして、再生音量レベルが設定され、再生が行われる(ステップS33)。
【0051】
一方、ステップS33にて別のメディアが選択されていないと判定された場合は、メディアの再生が終了したか否かが判定される(ステップS34)。メディア再生が終了したと判定された場合は、システムを終了する。
【0052】
一方、ステップS34にてメディアの再生が終了していないと判断された場合は、再生中にボリューム調整が行われたか否かが判定される(ステップS35)。ボリューム調整が行われたと判定された場合は、再生ボリュームが変更され(ステップS37)、調整後のボリュームに対応した新たな再生音量レベルがレベル記憶部7のフォーマットに記憶される。更に、ステップS33以降の処理が引き続き行われる(ステップS38)。
【0053】
一方、ステップS35にてボリューム調整が行われていないと判定された場合は、走行情報取得部30からの走行情報に基づき、車両の走行状況、走行環境が変化したか否かが判定される(ステップS36)。走行状況、走行環境が変化していないと判断された場合は、ステップS33以降の処理が引き続き行われる。一方、走行状況、走行環境が変化したと判断された場合は、ステップS32に戻り、変化後の走行状況、走行環境下での再生音量レベルが、レベル記憶部7の再生履歴のフォーマットから検索される。そして検索された再生音量レベルにて、メディアの再生が引き続き行われる。
【0054】
図4は、上述のフローの説明で言及した、レベル記憶部7に記憶されているレベル記憶のフォーマット(走行情報を含む)の例を示す。この例では選択メディアがラジオA局である。ユーザーは、晴れ(又は曇り)の日の昼間、高速道路を窓を閉めて走行していた。そして、その際にユーザーは、ボリュームを通常設定されているデフォルト値のレベル(+10dB)からレベルを上げてラジオA局を聴いた(+13dB)。従って現在当該運転状況下での再生音量レベルは+13dBに設定されている(図4で着色された部分)。
【0055】
レベル記憶のフォーマット中、走行道路は位置情報部30aの位置情報から、また、時間は時刻検出部30bの時刻情報から導かれる。天気、窓の状態は、車両内作動状況検出部30cのワイパー動作の有無を表わす信号、窓位置を表わす信号より導かれる。ただし、天気情報をVICSセンタ等、外部から取り寄せることもできる。また、走行道路はナビゲーション装置から取り寄せることもできる。
【0056】
尚、他の走行状況、走行環境下での再生経験は未だないので、デフォルト値+10dBが維持されている。すなわち、選択したメディアにおいて、現在の走行状況、走行環境と合致する過去の走行履歴が存在しない場合は、再生音量レベルには所定のデフォルト値を用いることができる。
【0057】
上述の図2、図3では、メディアごとに再生音量レベルが設定、更新される手順を説明した。しかしながら、メディアごとではなく、例えばCD選択時などには、楽曲(コンテンツ)ごとに個別に再生音量レベル設定、更新することが可能である。この場合は、図2、図3において、「メディア」を「楽曲」に読み替えた操作が行われる。この操作は、一つのCD(メディア)に複数の楽曲(コンテンツ)が含まれる場合に適用される。
【0058】
上述の場合において、レベル調整部5は、所定の楽曲が再生される際の再生音量レベルを調整する。この際、レベル記憶部7は、再生楽曲と再生音量レベルを関連付けて記憶し、次に楽曲が再生される際、当該再生音量レベルにて楽曲が再生されるように、レベル調整部7を制御する。図2の
ステップS24とステップS26の後、レベル記憶部7は、再生楽曲の最後に再生された際の再生音量レベルを記憶する。
【0059】
この場合において、再生音量レベルが決定される再生対象は、楽曲である。すなわち、再生音量レベルが決定される区分=楽曲、である。ただし、音声を含むコンテンツであれば、一般的に楽曲とはみなされないものであっても、本発明のコンテンツに含まれ得る。音声のみならず、動画、静止画、テキストなどの付加的、追加的な情報を含むものであってもよい。また、その記録方式、再生方式も特に限定はされない。
【0060】
尚、再生音量レベルの更新は、再生時間が所定時間を経過した時や、メディア、楽曲が切替えられた直後などに行うことができる。
【0061】
本発明では、ユーザー以前聴いた再生音量レベルが、各メディア毎、さらには各コンテンツ毎に記憶され、次の再生時に当該再生音量レベルが自動設定されるため、ユーザーの好みに近い音量設定が、容易になされ得る。
【0062】
尚、本明細書で言う再生音量レベルは、記憶部7に記憶されたレベルと共に、ユーザーがスピーカ50を介して聴いた現実の絶対音量レベルに等しい。
【0063】
また、本発明では、前回の再生時における走行状況、走行環境を走行情報として記憶し、走行情報を再生音量レベルに関連付けている。従って、走行状況、走行環境を音量に反映させることができる。したがって、走行状況、走行環境が変動してもユーザーの好みの音量で音楽を聴くことが可能となる。
【0064】
また、本発明によれば、従来技術のような音量、ノイズの検出のための車載マイク、検出回路等のような構成は不要となるため、簡易で安価なシステムにより、簡便に好みの音量設定が可能となる。
【0065】
更に本発明は、コンテンツ再生音量の制御方法をも含むものである。当該方法は、1)コンテンツを含むメディアで同種のものを複数有するソースから、所定のメディアを選択するステップと、2)選択された所定のメディアが再生される際の再生音量レベルを調整するステップと、3)選択された所定のメディアと再生音量レベルを関連付けて記憶するステップと、4)次に所定のメディアが選択される際、再生音量レベルにて所定のメディアを再生するステップと、を備える
【0066】
また、上述の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムも本発明に含まれる。このプログラムは種々の形式でシステム内又はシステム外に組み込まれる。例えば図示しない制御部内の所定のメモリにプログラムを記録することができる。また、ハードディスクのような情報記録装置や、CD−ROMやDVD−ROM、メモリカードのような情報記録媒体にプログラムを記録してもよい。
【0067】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、ユーザーが以前聴いた音量レベルと同じレベルで、メディア、コンテンツを自動的に再生することが可能にするコンテンツ再生音量設定装置、コンテンツ再生システムが提供される。従って、音量設定に要する手間を減らしながら、ユーザーの好みに近い音量を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明のコンテンツ再生音量設定装置、車載用コンテンツ再生システムを示すブロック図
【図2】再生対象が変更された際の、音量設定変更の手順の一例を示すフロー図
【図3】再生対象が変更された際の、音量設定変更の手順の他の例を示すフロー図
【図4】レベル記憶のフォーマットの例を示す図
【符号の説明】
【0070】
1 ボリューム操作部
3 選択部
5 レベル調整部
7 レベル記憶部
20 ソース
30 走行情報取得部
40 アンプ
50 スピーカ
100 コンテンツ再生音量設定装置
200 車載用コンテンツ再生システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを含むメディアで同種のものを複数有するソースから、所定のメディアを選択する選択部と、
前記選択された所定のメディアが再生される際の再生音量レベルを調整するレベル調整部と、
前記選択された所定のメディアと前記再生音量レベルを関連付けて記憶し、次に前記所定のメディアが選択される際、前記再生音量レベルにて前記所定のメディアが再生されるように、前記レベル調整部を制御するレベル記憶部と、を備えるコンテンツ再生音量設定装置。
【請求項2】
請求項1記載のコンテンツ再生音量設定装置であって、
前記レベル記憶部は、前記所定のメディアが最後に再生された際の再生音量レベルを記憶する、コンテンツ再生音量設定装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のコンテンツ再生音量設定装置であって、
前記複数のメディアのうち少なくとも一つは複数のコンテンツを含み、
前記レベル調整部は、前記複数のコンテンツのうち、所定のコンテンツが再生される際の再生音量レベルを調整し、
前記レベル記憶部は、前記再生された所定のコンテンツと前記再生音量レベルを関連付けて記憶し、次に前記所定のコンテンツが再生される際、前記再生音量レベルにて前記所定のコンテンツが再生されるように、前記レベル調整部を制御する、コンテンツ再生音量設定装置。
【請求項4】
請求項3記載のコンテンツ再生音量設定装置であって、
前記レベル記憶部は、前記所定のコンテンツの最後の再生音量レベルを記憶する、コンテンツ再生音量設定装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載のコンテンツ再生音量設定装置であって、
前記コンテンツが楽曲である、コンテンツ再生音量設定装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載のコンテンツ再生音量設定装置であって、
前記メディアが、ラジオ局、コンパクトディスク、デジタルバーサタイルディスク、ミニディスク、メモリカード、ハードディスク、ハードディスクドライブ内蔵携帯プレーヤーのうちの少なくともいずれか一つである、コンテンツ再生音量設定装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載のコンテンツ再生音量設定装置と、
前記ソースと、を備える車載用コンテンツ再生システム。
【請求項8】
請求項7記載の車載用コンテンツ再生システムであって、
前記ソースが複数種のメディアを含む、車載用コンテンツ再生システム。
【請求項9】
請求項8記載の車載用コンテンツ再生システムであって、
前記複数種のメディアが、ラジオ局、コンパクトディスク、デジタルバーサタイルディスク、ミニディスク、メモリカード、ハードディスク、ハードディスクドライブ内蔵携帯プレーヤーのうちの少なくともいずれか二つである、車載用コンテンツ再生システム。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれか1項記載の車載用コンテンツ再生システムであって、
車両の走行状況及び走行環境に対応した走行情報を取得する走行情報取得部を更に含み、
前記レベル記憶部に記憶される前記再生音量レベルは、前記走行情報に関連付けられて記憶される、車載用コンテンツ再生システム。
【請求項11】
請求項10記載の車載用コンテンツ再生システムであって、
前記走行情報は、車両の走行道路、走行時刻、走行時の天気、車両の窓の状態のうち少なくとも一つを含む、車載用コンテンツ再生システム。
【請求項12】
コンテンツを含むメディアで同種のものを複数有するソースから、所定のメディアを選択するステップと、
前記選択された所定のメディアが再生される際の再生音量レベルを調整するステップと、
前記選択された所定のメディアと前記再生音量レベルを関連付けて記憶するステップと、
次に前記所定のメディアが選択される際、前記再生音量レベルにて前記所定のメディアを再生するステップと、を備えるコンテンツ再生音量制御方法。
【請求項13】
請求項12記載の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−129223(P2006−129223A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−316531(P2004−316531)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】