説明

コンテンツ同一性検証装置およびコンテンツ同一性検証プログラム

【課題】 オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとを視聴する視聴時間を確保する必要がなく、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性の検証を確実に行うことができる。
【解決手段】 コンテンツ同一性検証装置1は、オリジナルコンテンツと、このオリジナルコンテンツのデータ量を減少させた調査対象コンテンツとの同一性を検証するものであって、これらのコンテンツのビットレートを低ビットレートに変換する低ビットレート変換手段3と、変換後の検証用ファイルを比較する検証用ファイル比較手段5と、比較結果に基づいて同一性を判定する同一性判定手段7と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転送前のコンテンツと転送後のコンテンツとの同一性を検証するコンテンツ同一性検証装置およびコンテンツ同一性検証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方のサーバに蓄積されていたコンテンツを他方のサーバに転送する際に、ビットレートやフォーマットを変換してから行う場合が多く、他方のサーバに転送後に当該コンテンツが確実に転送されているか、つまり、転送前のコンテンツと転送後のコンテンツとが同一であるのかを確認するために、転送前のコンテンツを視聴している一方のサーバの管理者または他方のサーバの管理者が転送後のコンテンツを試写(視聴)して確認する試写確認が行われている。
【0003】
一方のサーバに蓄積されているコンテンツをオリジナルコンテンツとして、他方のコンテンツを転送後コンテンツ(調査対象コンテンツ)とすると、例えば、オリジナルコンテンツのビットレートが300Mbpsであり、調査対象コンテンツのビットレートが100Mbpsに変換されている。この場合に、オリジナルコンテンツのビットレートを調査対象コンテンツのビットレートに変換するビットレート変換器にエラーが発生した場合、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが視覚的・聴覚的に同一にならなくなる。
【0004】
そうした場合に、一方のサーバの管理者または他方のサーバの管理者は、ビットレート変換器にエラーが発生していないかどうか、つまり、正確にビットレートの変換がなされたのかを確認する必要が生じ、調査対象コンテンツをすべて再生して、調査対象コンテンツがオリジナルコンテンツと同一であるか否かを検証していた。
【0005】
そして、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが同一であるか否かの検証は、一方のサーバの管理者または他方のサーバの管理者の主観的な判断によって行われていた。なお、従来、オリジナルコンテンツや調査対象コンテンツ等の映像の品質を検証(評価)する手法は提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−333629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術の試写確認では、一方のサーバの管理者または他方のサーバの管理者は、オリジナルコンテンツを視聴する視聴時間と、調査対象コンテンツを視聴する視聴時間とを合わせた、オリジナルコンテンツの視聴時間の二倍の時間を要してしまい、手間がかかるという問題がある。また、従来の試写確認では、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性の検証に客観性が乏しく、確実性が低いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとを視聴する視聴時間を確保する必要がなく、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性の検証を確実に行うことができるコンテンツ同一性検証装置およびコンテンツ同一性検証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1に記載のコンテンツ同一性検証装置は、オリジナルコンテンツと、このオリジナルコンテンツのデータ量を減少させた調査対象コンテンツとの同一性を検証するコンテンツ同一性検証装置であって、低ビットレート変換手段と、検証用ファイル比較手段と、同一性判定手段と、を備える構成とした。
【0009】
かかる構成によれば、コンテンツ同一性検証装置は、低ビットレート変換手段によって、オリジナルコンテンツと、調査対象コンテンツとのそれぞれのビットレートを、当初のビットレートよりも低いビットレートに統一して変換した検証用ファイルを出力する。この低ビットレート変換手段は、例えば、オリジナルコンテンツのビットレートを変換するビットレート変換器と、調査対象コンテンツのビットレートを変換するビットレート変換器とを備えており、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとのビットレートを変換する際に、圧縮レベル等も統一して(同一にして)変換する。この検証用ファイルは、例えば、MPEGストリームである。
【0010】
続いて、コンテンツ同一性検証装置は、検証用ファイル比較手段によって、低ビットレート変換手段で出力された検証用ファイル同士を比較する。例えば、オリジナルコンテンツのビットレートが変換された検証用ファイルと、調査対象コンテンツのビットレートが変換された検証用ファイルとを、これらの検証用ファイルを一定時間ごとに区切ったサンプルごとに逐次比較していく。
【0011】
そして、コンテンツ同一性検証装置は、同一性判定手段によって、検証用ファイル比較手段で検証用ファイルを比較した比較結果に基づいて、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性を判定する。ここでは、検証用ファイル同士を比較した結果、例えば、異なっている箇所が所定数以上あれば、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとは同一ではないと判定している。
【0012】
請求項2に記載のコンテンツ同一性検証装置は、請求項1に記載のコンテンツ同一性検証装置において、前記検証用ファイル比較手段が、前記オリジナルコンテンツまたは前記調査対象コンテンツを符号化する際に用いる符号化パラメータについて、前記オリジナルコンテンツの符号化パラメータと前記調査対象コンテンツの符号化パラメータとを比較する符号化パラメータ比較手段を備えることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、コンテンツ同一性検証装置は、検証用ファイル比較手段において、符号化パラメータ比較手段により、符号化パラメータであるQスケール値と量子化マトリックス値との少なくとも一方を比較することで、検証用ファイル同士をそのまま比較する場合に比べて、比較する情報量が少なくて済むので高速に比較結果を出力することができる。
【0014】
請求項3に記載のコンテンツ同一性検証装置は、請求項2に記載のコンテンツ同一性検証装置において、前記同一性判定手段が、前記検証用ファイルを表示させた際のフレーム中のスライス内における連続するマクロブロックの数において、前記オリジナルコンテンツの符号化パラメータと前記調査対象コンテンツの符号化パラメータとの差が予め設定した閾値を超え、この閾値を超えたマクロブロックの数が予め規定した規定数を超えた場合に、前記オリジナルコンテンツと前記調査対象コンテンツとが非同一であると判定することを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、コンテンツ同一性検証装置は、同一性判定手段によって、フレーム中のスライス内について、符号化パラメータ同士の差が予め指定した閾値を超えたマクロブロックの数が、予め規定した規定数を超えた場合に、非同一であると判定している。つまり、調査対象コンテンツを変換した検証用ファイルについて、表示させた際のフレーム中のスライスに注目して、Qスケール値と量子化マトリックス値との少なくとも一方同士の差が、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性を判定する上で許容できる範囲であるのか否かを判定している。
【0016】
請求項4に記載のコンテンツ同一性検証装置は、請求項2に記載のコンテンツ同一性検証装置において、前記同一性判定手段が、前記検証用ファイルを表示させた際のフレーム内における隣接するマクロブロックの領域において、前記オリジナルコンテンツの符号化パラメータと前記調査対象コンテンツの符号化パラメータとの差が予め設定した閾値を超え、この閾値を超えたマクロブロックの領域の面積が予め規定した規定面積を超えた場合に、前記オリジナルコンテンツと前記調査対象コンテンツとが非同一であると判定することを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、コンテンツ同一性検証装置は、同一性判定手段によって、フレーム内について、符号化パラメータ同士の差が予め指定した閾値を超えた隣接するマクロブロックの領域(エリア)の面積が、予め規定した規定面積を超えた場合に、非同一であると判定している。つまり、調査対象コンテンツを変換した検証用ファイルについて、表示させた際のフレームに注目して、Qスケール値と量子化マトリックス値との少なくとも一方同士の差が、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性を判定する上で許容できる範囲であるのか否かを判定している。
【0018】
請求項5に記載のコンテンツ同一性検証装置は、請求項4に記載のコンテンツ同一性検証装置において、前記領域の面積を、前記フレーム内の設定位置に応じて異なるように設定し、前記同一性判定手段が、前記フレーム内の中央部に前記領域を設定した場合における領域の面積に比べて、前記フレーム内の周辺部に前記領域を設定した場合における前記領域の面積が大きい場合に、前記オリジナルコンテンツと前記調査対象コンテンツとが非同一であると判定することを特徴とする。
【0019】
かかる構成によれば、コンテンツ同一性検証装置は、同一性判定手段によって、フレーム(ピクチャ)内の中央部では、符号化パラメータ同士の差が閾値を超えた領域の面積が小さい場合であっても、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとを非同一と判定し、フレーム内の周辺部では、符号化パラメータ同士の差が閾値を超えた領域の面積が、中央部に設定した場合に比べて大きい場合にオリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが非同一であると判定する。
【0020】
請求項6に記載のコンテンツ同一性検証装置は、請求項2に記載のコンテンツ同一性検証装置において、前記同一性判定手段が、前記符号化パラメータ比較手段で検証用ファイルを比較した比較結果において、前記検証用ファイルを表示させた際のフレーム間について、予め規定した連続フレーム数を超えて、前記オリジナルコンテンツの符号化パラメータと前記調査対象コンテンツの符号化パラメータとの差が予め設定した閾値を超えた場合に、前記オリジナルコンテンツと前記調査対象コンテンツとが非同一であると判定することを特徴とする。
【0021】
かかる構成によれば、コンテンツ同一性検証装置は、同一性判定手段によって、フレーム内について、符号化パラメータ同士の差が予め指定した閾値を超えたフレームの連続数が、予め規定した連続フレーム数を超えた場合に、非同一であると判定している。つまり、調査対象コンテンツを変換した検証用ファイルについて、表示させた際の連続するフレーム数に注目して、Qスケール値と量子化マトリックス値との少なくとも一方同士の差が、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性を判定する上で許容できる範囲であるのか否かを判定している。
【0022】
請求項7に記載のコンテンツ同一性検証装置は、請求項1に記載のコンテンツ同一性検証装置において、前記検証用ファイル比較手段が、前記検証用ファイルを構成しているストリームの各ヘッダに収められているストリームヘッダ情報を比較するストリームヘッダ情報比較手段を備えることを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、コンテンツ同一性検証装置は、検証用ファイル比較手段において、ストリームヘッダ情報比較手段により、検証用ファイルを構成しているストリームの各ヘッダに収められているストリームヘッダ情報、例えば、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの画角、解像度、音声モードに関する情報を比較する。
【0024】
請求項8に記載のコンテンツ同一性検証装置は、請求項1にコンテンツ同一性検証装置において、前記検証用ファイル比較手段が、当該検証用ファイルに含まれている各量子化値を比較する量子化値比較手段を備えることを特徴とする。
【0025】
かかる構成によれば、コンテンツ同一性検証装置は、検証用ファイル比較手段において、量子化値比較手段により、検証用ファイルに含まれている各量子化値を比較して、比較結果を出力する。
【0026】
請求項9に記載のコンテンツ同一性検証プログラムは、オリジナルコンテンツと、このオリジナルコンテンツのデータ量を減少させた調査対象コンテンツとの同一性を検証するために、コンピュータを、低ビットレート変換手段、検証用ファイル比較手段、同一性判定手段、として機能させる構成とした。
【0027】
かかる構成によれば、コンテンツ同一性検証プログラムは、低ビットレート変換手段によって、オリジナルコンテンツと、調査対象コンテンツとのそれぞれのビットレートを、当初のビットレートよりも低いビットレートに統一して変換した検証用ファイルを出力し、検証用ファイル比較手段によって、検証用ファイル同士を比較する。そして、コンテンツ同一性検証プログラムは、同一性判定手段によって、検証用ファイル比較手段で検証用ファイルを比較した比較結果に基づいて、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性を判定する。
【発明の効果】
【0028】
請求項1、9に記載の発明によれば、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとを、統一した(同じ)低ビットレートに変換した後、低ビットレートに変換することで生じる画質劣化をサンプルごとに比較することで、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性を判定しているので、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとを視聴する視聴時間を確保する必要がなく、低ビットレートに変換することで双方のコンテンツで比較する情報が減少しているので、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性の検証を高速に行うことができる。
【0029】
請求項2に記載の発明によれば、符号化パラメータの一種であるQスケール値または量子化マトリックス値との少なくとも一方を自動的に比較することで、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性の判定を高速、且つ、確実に行うことができる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、調査対象コンテンツについて、表示させた際のフレーム中のスライスに注目して、符号化パラメータ同士の差が、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性を判定する上で許容できる範囲であるのか否かを判定しているので、同一性の検証を正確に行うことができる。
【0031】
請求項4に記載の発明によれば、調査対象コンテンツについて、表示させた際の連続するフレーム数に注目して、符号化パラメータ同士の差が、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性を判定する上で許容できる範囲であるのか否かを判定しているので、同一性の検証を正確に行うことができる。
【0032】
請求項5に記載の発明によれば、領域の設定位置に応じて、当該領域の面積を異なるように設定することで、例えば、領域をフレーム内の中央部に設定する場合、領域をフレーム内の周辺部に設定する場合に比べて、符号化パラメータ同士の差が閾値を超えた領域が小さい面積であっても、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとを非同一と判定しているので、人間の持つ視覚的な特性を考慮して、非同一の判定を行うことができる。
【0033】
請求項6に記載の発明によれば、調査対象コンテンツについて、表示させた際の連続するフレーム数に注目して、符号化パラメータ同士の差が、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性を判定する上で許容できる範囲であるのか否かを判定しているので、同一性の検証を正確に行うことができる。
【0034】
請求項7に記載の発明によれば、ストリームヘッダ情報、例えば、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの画角、解像度、音声モードに関する情報を用いて、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性の検証を行うことができる。
【0035】
請求項8に記載の発明によれば、検証用ファイルに含まれているサンプル中の各量子化値を比較して、比較結果を出力しており、この比較結果を用いて、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性の検証を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
〈コンテンツ同一性検証装置の構成〉
図1は、コンテンツ同一性検証装置のブロック図である。この図1に示すように、コンテンツ同一性検証装置1は、転送前のコンテンツであるオリジナルコンテンツと、このオリジナルコンテンツのデータ量を減少させた(ビットレートを減少させた)またはフォーマットを変換した転送後のコンテンツである調査対象コンテンツとの同一性を検証するもので、低ビットレート変換手段3と、検証用ファイル比較手段5と、同一性判定手段7とを備えている。
【0037】
なお、オリジナルコンテンツは、サーバ型放送設備(図示せず)により、番組を制作した際の“完プロ”と呼ばれるものに相当しており、データ量が大きな状態のものであり、調査対象コンテンツは、番組を制作した後、ビットレート(bps)やフォーマットが変換されてデータ量が減少しており、実際に放送される際に用いられる送出サーバ(図示せず)に蓄積されるものである。
【0038】
低ビットレート変換手段3は、入力されたオリジナルコンテンツと、調査対象コンテンツとのビットレートを、これらのビットレートよりも低いビットレートに統一して変換し、検証用ファイルとして出力するもので、オリジナルコンテンツ低ビットレート変換器3aと、調査対象コンテンツ低ビットレート変換器3bとを備えている。オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとは、元々ビットレートまたはフォーマットが異なっており、低ビットレート変換手段3では、これらのビットレートを当初よりも低いビットレートに統一して変換することで、さらに、データ量を減少させている。
【0039】
検証用ファイルは、複数のMPEGストリームによって構成されており、各MPEGストリームはストリームヘッダを有しており、このストリームヘッダには、ペイロードに収められているデータの種類等を記述したストリームヘッダ情報が収められている。オリジナルコンテンツを低ビットレートに変換した結果を、低ビットレートオリジナルMPEGストリームとし、調査対象コンテンツを低ビットレートに変換した結果を、低ビットレート被検証MPEGストリームとする。
【0040】
オリジナルコンテンツ低ビットレート変換器3aは、オリジナルコンテンツを低ビットレートオリジナルMPEGストリームに変換するものである。例えば、オリジナルコンテンツのビットレートが300Mbpsである場合、低ビットレートオリジナルMPEGストリームのビットレートを20Mbpsに変換する。
【0041】
調査対象コンテンツ低ビットレート変換器3bは、調査対象コンテンツを低ビットレート被検証MPEGストリームに変換するものである。例えば、調査対象コンテンツのビットレートが100Mbpsである場合、低ビットレート被検証MPEGストリームのビットレートを、低ビットレートオリジナルMPEGストリームのビットレートと同じ20Mbpsに変換する。
【0042】
検証用ファイル比較手段5は、低ビットレート変換手段3から出力された検証用ファイル同士(低ビットレートオリジナルMPEGストリームと低ビットレート被検証MPEGストリームと)を比較するもので、符号化パラメータ比較手段5aと、ストリームヘッダ情報比較手段5bと、量子化値比較手段5cとを備えている。なお、この検証用ファイル比較手段5によって、低ビットレートオリジナルMPEGストリームと低ビットレート被検証MPEGストリームとを比較する場合には、予め付されているタイムコードに基づいて、これらのストリーム同士の対応関係は明確になっている。
【0043】
符号化パラメータ比較手段5aは、低ビットレート変換手段3で低ビットレートオリジナルMPEGストリームと低ビットレート被検証MPEGストリームとに変換後の符号化パラメータの一種であるQスケール値と量子化する際に用いる量子化マトリックス値との少なくとも一方を比較するものである。Qスケール値は、オリジナルコンテンツや調査対象コンテンツ等の動画像を符号化する際に、各フレーム中のマクロブロック(16画素×16ライン)ごとに生成される整数値であり、通常、1から31の値を取る。また、量子化マトリックス値は、フレームごとに予め用意した量子化テーブルに、Qスケール値を乗算した値である。
【0044】
この符号化パラメータ比較手段5aでは、低ビットレートオリジナルMPEGストリームのQスケール値と低ビットレート被検証MPEGストリームのQスケール値との差分をとるか、低ビットレートオリジナルMPEGストリームのQスケール値と低ビットレート被検証MPEGストリームのQスケール値との相関係数であるQスケール値相関係数を求めることで、Qスケール値の比較を実施している。
【0045】
このQスケール値相関係数については、時間軸上で分布をとり、当該Qスケール値相関係数によって、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが同一であるか否かを判定する際に用いる閾値については、実験結果に基づいて求めている。なお、この閾値は、低ビットレートオリジナルMPEGストリームと低ビットレート被検証MPEGストリームとについて、(1)これら2つのMPEGストリームが同一のコンテンツから生成され、全くエラーを含まない場合、(2)これらの2つのMPEGストリームが同一のコンテンツから生成され、一方にエラーを含む場合、(3)これら2つのMPEGストリームがそれぞれ異なるコンテンツから生成された場合の3つの場合を想定して、計算して得られたQスケール値相関係数と、実際に調査対象コンテンツを評価者が視聴して採点した結果とを関連付けた評価実験によって求めたものである。
【0046】
また、この符号化パラメータ比較手段5aは、低ビットレートオリジナルMPEGストリームと低ビットレート被検証MPEGストリームとが低ビットレート変換手段3で低ビットレート変換後に生じている画質劣化に基づいて、低ビットレートオリジナルMPEGストリームと低ビットレート被検証MPEGストリームとを表示させた際のフレームであるIピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャそれぞれで異なる閾値を用いて、Qスケール値同士の差と比較している。
【0047】
つまり、符号化パラメータ比較手段5aでは、Iピクチャについて、低ビットレートオリジナルMPEGストリームのQスケール値と低ビットレート被検証MPEGストリームのQスケール値との差を求める場合、同一でないと判定する基準となる閾値が小さく(狭く)設定されており、BピクチャおよびPピクチャについて、低ビットレートオリジナルMPEGストリームのQスケール値と低ビットレート被検証MPEGストリームのQスケール値との差を求める場合、同一でないと判定する基準となる閾値が大きく(広く)設定されている。
【0048】
ストリームヘッダ情報比較手段5bは、低ビットレート変換手段3で低ビットレートオリジナルMPEGストリームと低ビットレート被検証MPEGストリームとの各ストリームのヘッダに収められている(含まれている)ストリームヘッダ情報を比較するものである。ストリームヘッダ情報には、コンテンツ(オリジナルコンテンツ、調査対象コンテンツ)の画角、解像度、音声モードに関する情報等が含まれている。
【0049】
量子化値比較手段5cは、低ビットレートオリジナルMPEGストリームのサンプル中の各量子化値と低ビットレート被検証MPEGストリームのサンプル中の各量子化値とを比較するものである。この量子化値比較手段5cは、各量子化値を逐次比較することで、比較結果を同一性判定手段7に出力するものである。
【0050】
なお、検証用ファイル比較手段5では、比較されたそれぞれの比較結果について、オリジナルコンテンツの検証用ファイル(低ビットレートオリジナルMPEGストリーム)と、調査対象コンテンツの検証用ファイル(低ビットレート被検証MPEGストリーム)とが異なっている箇所(異常の検出された箇所)には、マーキングがなされる。
【0051】
例えば、符号化パラメータ比較手段5aでは、Qスケール値の差が閾値を超えたスライス内の区間、フレーム内の領域、連続しているフレームが検出できるように、調査対象コンテンツの検証用ファイル(低ビットレート被検証MPEGストリーム)内にフラグが立てられることで、マーキングがなされる。
【0052】
また、ストリームヘッダ情報比較手段5bでは、検証用ファイル(低ビットレート被検証MPEGストリーム)内の、画角、解像度、音声モード等が異なっている各ストリームにフラグが立てられることで、マーキングがなされる。
さらに、量子化値比較手段5cでは、量子化値が異なっている各ストリームにフラグが立てられることで、マーキングがなされる。
【0053】
同一性判定手段7は、検証用ファイル比較手段5から出力されたそれぞれの比較結果に基づいて、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性を判定するもので、スライス内区間判定手段7aと、フレーム内領域判定手段7bと、フレーム間連続フレーム数判定手段7cと、ヘッダ情報判定手段7dと、量子化値判定手段7eとを備えている。
【0054】
スライス内区間判定手段7aは、調査対象コンテンツの検証用ファイル(低ビットレート被検証MPEGストリーム)を表示装置(図示せず)に表示させた際のフレーム内のスライスについて、予め規定した規定数(区間数)を超えて、オリジナルコンテンツのQスケール値と調査対象コンテンツのQスケール値との差またはQスケール値相関係数が予め設定した閾値を超えた場合に、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが非同一であると判定するものである。
【0055】
なお、スライスとは、フレーム内において、縦の長さが16画素で、表示装置(図示せず)の表示画面の左端から右端までの帯状の領域を指している。つまり、スライスは、複数のマクロブロックを表示画面の横の方向に列べたものである。また、予め規定した規定数(区間数)とは、例えば、8マクロブロック(8マクロブロック以上)である。
【0056】
フレーム内領域判定手段7bは、調査対象コンテンツの検証用ファイル(低ビットレート被検証MPEGストリーム)を表示装置(図示せず)に表示させた際のフレーム内について、予め規定した領域(エリア)の面積(規定面積)を超えて、オリジナルコンテンツのQスケール値と調査対象コンテンツのQスケール値との差またはQスケール値相関係数が予め設定した閾値を超えた場合に、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが非同一であると判定するものである。
【0057】
なお、予め規定した領域とは、例えば、フレーム内、または、表示装置(図示せず)の表示画面のほぼ中央の領域において、複数個のマクロブロック16画素×16ラインからなる一定面積の部分を指している。この予め規定した領域は、例えば、表示画面内おいて、4つの座標で囲まれている四角形の領域であり、4個のマクロブロックからなっている。
【0058】
また、このフレーム内領域判定手段7bは、フレーム内の設定位置に応じて、領域の面積(マクロブロックの数)が設定されており、ここでは、フレームの中央部では、規定した領域は小さく、フレームの周辺部では、規定した領域は大きく設定されている。つまり、フレーム内領域判定手段7bでは、人間の視覚特性を考慮し、フレームの中央部ほど、符号化パラメータ同士の差(画質劣化)が目立ちやすく、フレームの周辺部ほど、符号化パラメータ同士の差が目立ちにくいことを利用して判定が行われる。
【0059】
フレーム間連続フレーム数判定手段7cは、調査対象コンテンツの検証用ファイル(低ビットレート被検証MPEGストリーム)を表示装置(図示せず)に表示させた際のフレーム間について、予め規定した連続フレーム数を超えて、オリジナルコンテンツのQスケール値と調査対象コンテンツのQスケール値との差またはQスケール値相関係数が予め設定した閾値を超えた場合に、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが非同一であると判定するものである。なお、予め規定した連続フレーム数は、例えば、2フレーム(2フレーム以上)である。
【0060】
これらスライス内区間判定手段7a、フレーム内領域判定手段7bおよびフレーム間連続フレーム数判定手段7cは、どの程度、Qスケール値が異なっているのか(どれだけの数のマクロブロックのQスケール値が異なっているのか)を、フレーム内のスライスについて、フレーム内の領域について、連続するフレームの数について、それぞれ判定することによって、オリジナルコンテンツから調査対象コンテンツにビットレート変換やフォーマット変換する際に生じたエラーがどの程度生じているを明確にすることができ、同一性の検証の精度を向上させることができる。
【0061】
ヘッダ情報判定手段7dは、ストリームヘッダ情報比較手段5bで比較された比較結果に基づいて、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが同一であるか否かを判定するものである。このヘッダ情報判定手段7dでは、例えば、1個以上のヘッダ情報が異なっている場合に、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが非同一であると判定する。
【0062】
量子化値判定手段7eは、量子化値比較手段5cで比較された比較結果に基づいて、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが同一であるか否かを判定するものである。この量子化値判定手段7eでは、量子化値の比較結果において、閾値(例えば、8以上)を超えたマクロブロックの数がフレーム内で一定個数(例えば、64個)以上存在する場合に、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが非同一であると判定する。
【0063】
この同一性判定手段7で判定された結果は、表示装置(図示せず)に表示される。なお、当該装置1の管理者は、判定された結果に従って、検証用ファイル比較手段5でマーキングされている箇所を視聴することで、調査対象コンテンツがオリジナルコンテンツと同一であるのかについて最終的な検証を行うことができる。
【0064】
ここで、これまで説明したコンテンツ同一性検証装置1の各構成により、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性の検証を行う仕組み(原理)について説明する。
【0065】
低ビットレート変換手段3でビットレートが変換された低ビットレートオリジナルMPEGストリームは、オリジナルコンテンツに比べて、画質(S/N)が一定程度劣化している。同様に、低ビットレート変換手段3でビットレートが変換された低ビットレート被検証MPEGストリームは、調査対象コンテンツに比べて、画質が一定程度劣化している。
【0066】
これら画質劣化の度合いは、低ビットレート変換手段3のオリジナルコンテンツ低ビットレート変換器3aと調査対象コンテンツ低ビットレート変換器3bとが同一の性能を有しているので、これらが正常に機能していることを前提とすると、オリジナルコンテンツから調査対象コンテンツにビットレートが変換された際に用いられたビットレート変換器(図示せず)が正常に機能していれば、全区間に亘って一定となる。つまり、画質劣化の度合いが全区間に亘って一定であれば、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとは同一であると判定することが可能である。
【0067】
仮に、オリジナルコンテンツから調査対象コンテンツにビットレートが変換された際に用いられたビットレート変換器(図示せず)にエラーが発生している場合、画質劣化の度合いは、低ビットレートオリジナルMPEGストリームと低ビットレート被検証MPEGストリームとは、全区間で一定とならず、画質劣化の度合いに相違が生じている。
【0068】
低ビットレートオリジナルMPEGストリームと低ビットレート被検証MPEGストリームとの同一性の検証を行う比較的簡単な構成は、量子化値比較手段5cおよび量子化値判定手段7eである。これらによって、低ビットレートオリジナルMPEGストリームと低ビットレート被検証MPEGストリームとの量子化値(ビットストリーム)を逐次比較することにより、相違点がなければ(量子化値の異なっている数が予め規定した閾値未満であれば)、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとを同一とみなし、相違点があれば(量子化値の異なっている数が予め規定した閾値以上であれば)、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとを同一でないとみなすことが可能である。しかし、この量子化値を逐次比較するやり方は、構成は簡単であるが、全ての量子化値について逐次比較していくため、判定時間がかかり、高速化は望めないと言える。
【0069】
それゆえ、このコンテンツ同一性検証装置1では、検証用ファイル比較手段5の符号化パラメータ比較手段5aによって、低ビットレートオリジナルMPEGストリームと低ビットレート被検証MPEGストリームとが低ビットレート変換手段3で低ビットレートに変換された後の符号化パラメータであるQスケール値および量子化マトリックス値とを比較に用いることにより、量子化値を逐次比較するよりも高速に同一性の判定を行うことができる。
【0070】
そして、このコンテンツ同一性検証装置1は、検証用ファイル比較手段5の符号化パラメータ比較手段5aによって、低ビットレートオリジナルMPEGストリームのQスケール値と低ビットレート被検証MPEGストリームのQスケール値との差が閾値を超えることで、調査対象コンテンツに画質劣化が発生していることが判明するが、この閾値を超える画質劣化が発生していることをもって、すぐに、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性の判定を行うわけではない。すなわち、コンテンツ同一性検証装置1は、同一性判定手段7によって、閾値を超える画質劣化のスライス内における連続性(スライス内区間判定手段7a)、ピクチャ内における二次元分布状況(フレーム内領域判定手段7b)、ピクチャ間における三次元分布状況(フレーム間連続フレーム数判定手段7c)について検証を行って、同一性の判定を行っている。
【0071】
まず、コンテンツ同一性検証装置1は、スライス内区間判定手段7aによって、閾値を超える画質劣化がスライス内で発生し、スライス内における画質劣化の連続数を判定し、一定のマクロブロック数を超えている場合に、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが同一でないと判定する(非同一判定をする)。
【0072】
続いて、コンテンツ同一性検証装置1は、スライス内区間判定手段7aによって、閾値を超える画質劣化について、スライス内における連続性を判定した結果、一定マクロブロック数を超えていない際に、隣接する複数のスライスでも同様の区間で閾値を超える画質劣化が発生している場合、フレーム内領域判定手段7bによって、閾値を超える画質劣化のピクチャ面積(領域)の大小により判定し(二次元分布状況による検証)、一定の面積を超えている場合に、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが同一でないと判定する(非同一判定をする)。
【0073】
また、コンテンツ同一性検証装置1は、フレーム内領域判定手段7bによって、人間の有している視覚特性を考慮し、閾値を超える画質劣化が生じている位置、つまり、ピクチャ(フレーム)内における表示画面上の位置により、表示画面の中央の領域(中央部)では、閾値を超える画質劣化の生じている面積が小さい場合でも、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとを非同一と判定し、表示画面の周辺の領域(周辺部)では、閾値を超える画質劣化の生じている面積が大きい場合にのみ、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとを非同一と判定する。つまり、フレーム内領域判定手段7bでは、画質劣化が生じている面積(大きさ)と表示画面上の位置とに応じて重み付けを変更して、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性の判定を行っている。
【0074】
さらに、コンテンツ同一性検証装置1は、閾値を超える画質劣化についてスライス内における連続性を判定した結果、一定のマクロブロック数を超えておらず、隣接する複数のスライスでも同様区間において閾値を超える画質劣化が発生していないが、前後する複数のピクチャ間(フレーム間の連続フレーム数)において、同一のスライス位置で閾値を超える画質劣化が発生している場合、フレーム間連続フレーム数判定手段7cによって、連続フレーム数が一定の数を超えているか否かを判定し(三次元分布による検証)、一定の数を超えている場合、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが同一でないと判定する(非同一判定をする)。
【0075】
なお、このコンテンツ同一性検証装置1は、同一性判定手段7から出力されたそれぞれの判定結果のうち、1つの判定結果でも、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとが非同一であると判定した場合には、最終的な判定結果も非同一であると判定しているが、例えば、同一性判定手段7によって、スライス内区間判定手段7a、フレーム内領域判定手段7bおよびフレーム間連続フレーム数判定手段7cによる判定結果、ヘッダ情報判定手段7dによる判定結果および量子化値判定手段7eによる判定結果に重み付けを施して、総合的にオリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとの同一性の判定を行うことができる。
【0076】
〈コンテンツ同一性検証装置の動作〉
次に、図2に示すフローチャートを参照して、コンテンツ同一性検証装置1の動作について説明する(適宜、図1参照)。
まず、コンテンツ同一性検証装置1は、低ビットレート変換手段3にオリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとを入力すると、オリジナルコンテンツ低ビットレート変換器3aによって、オリジナルコンテンツを低ビットレートの検証用ファイル(低ビットレートオリジナルMPEGストリーム)に変換し、調査対象コンテンツ低ビットレート変換器3bによって、調査対象コンテンツを低ビットレートの検証用ファイル(低ビットレート被検証MPEGストリーム)に変換する(ステップS1)。
【0077】
続いて、コンテンツ同一性検証装置1は、検証用ファイル比較手段5の符号化パラメータ比較手段5aによって、低ビットレートオリジナルMPEGストリームのQスケール値または量子化マトリックス値と、低ビットレート被検証MPEGストリームのQスケール値または量子化マトリックス値とを比較する(ステップS2)。また、コンテンツ同一性検証装置1は、検証用ファイル比較手段5のストリームヘッダ情報比較手段5bによって、低ビットレートオリジナルMPEGストリームのストリームヘッダ情報と、低ビットレート被検証MPEGストリームのストリームヘッダ情報とを比較する(ステップS3)。さらに、コンテンツ同一性検証装置1は、検証用ファイル比較手段5の量子化値比較手段5cによって、、低ビットレートオリジナルMPEGストリームの各量子化値と、低ビットレート被検証MPEGストリームの各量子化値とを比較する(ステップS4)。
【0078】
そして、コンテンツ同一性検証装置1は、同一性判定手段7のスライス内区間判定手段7aによって、符号化パラメータ比較手段5aから出力された比較結果に基づいて、スライス内について、予め規定した区間以上Qスケール値または量子化マトリックス値同士の差が閾値を超えたか否かを判定し(ステップS5)、予め規定した区間以上Qスケール値または量子化マトリックス値同士の差が閾値を超えたと判定した場合(ステップS5、Yes)、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとは非同一であると判定する(ステップS6)。
【0079】
そして、コンテンツ同一性検証装置1は、予め規定した区間以上Qスケール値または量子化マトリックス値同士の差が閾値を超えたと判定しなかった場合(ステップS5、No)、同一性判定手段7のフレーム内領域判定手段7bによって、符号化パラメータ比較手段5aから出力された比較結果に基づいて、フレーム内について、予め規定した領域以上Qスケール値または量子化マトリックス値同士の差が閾値を超えたか否かを判定し(ステップS7)、予め規定した領域以上Qスケール値または量子化マトリックス値同士の差が閾値を超えたと判定した場合(ステップS7、Yes)、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとは非同一であると判定する(ステップS6)。
【0080】
そして、コンテンツ同一性検証装置1は、予め規定した領域以上Qスケール値または量子化マトリックス値同士の差が閾値を超えたと判定しなかった場合(ステップS7、No)、同一性判定手段7のフレーム間連続フレーム数判定手段7cによって、符号化パラメータ比較手段5aから出力された比較結果に基づいて、フレーム間について、予め規定した連続フレーム数以上Qスケール値または量子化マトリックス値同士の差が閾値を超えたか否かを判定し(ステップS8)、予め規定した連続フレーム数以上Qスケール値または量子化マトリックス値同士の差が閾値を超えたと判定した場合(ステップS8、Yes)、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとは非同一であると判定する(ステップS6)。
【0081】
そして、コンテンツ同一性検証装置1は、予め規定した連続フレーム数以上Qスケール値または量子化マトリックス値同士の差が閾値を超えたと判定しなかった場合(ステップS8、No)、同一性判定手段7のヘッダ情報判定手段7dによって、ストリームヘッダ情報比較手段5bから出力された比較結果に基づいて、ストリームヘッダ情報は異なっているか否かを判定し(ステップS9)、ストリームヘッダ情報が異なっていると判定した場合(ステップS9、Yes)、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとは非同一であると判定する(ステップS6)。
【0082】
そして、コンテンツ同一性検証装置1は、ストリームヘッダ情報が異なっていると判定しなかった場合(ステップS9、No)、同一性判定手段7の量子化値判定手段7eによって、量子化値比較手段5cから出力された比較結果に基づいて、量子化値が異なっているか否か(異なっている量子化値の数は閾値を超えたか否か)を判定し(ステップS10)、量子化値が異なっていると判定した場合(ステップS10、Yes)、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとは非同一であると判定する(ステップS6)。また、、コンテンツ同一性検証装置1は、量子化値が異なっていると判定しなかった場合(ステップS10、No)、オリジナルコンテンツと調査対象コンテンツとは同一であると判定する(ステップS11)。
なお、ステップS5、ステップS7およびステップS8の処理と、ステップS9の処理と、ステップS10の処理は、どれから先に行ってもよい。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、コンテンツ同一性検証装置1として説明したが、当該装置1の各構成の処理を、汎用的なまたは特殊なコンピュータ言語で記述してコンテンツ同一性検証プログラムとして構成することも可能である。この場合、コンテンツ同一性検証装置1と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態に係るコンテンツ同一性検証装置のブロック図である。
【図2】図1に示したコンテンツ同一性検証装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
1 コンテンツ同一性検証装置
3 低ビットレート変換手段
3a オリジナルコンテンツ低ビットレート変換器
3b 調査対象コンテンツ低ビットレート変換器
5 検証用ファイル比較手段
5a 符号化パラメータ比較手段
5b ストリームヘッダ情報比較手段
5c 量子化値比較手段
7 同一性判定手段
7a スライス内区間判定手段
7b フレーム内領域判定手段
7c フレーム間連続フレーム数判定手段
7d ヘッダ情報判定手段
7e 量子化値判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナルコンテンツと、このオリジナルコンテンツのデータ量を減少させた調査対象コンテンツとの同一性を検証するコンテンツ同一性検証装置であって、
前記オリジナルコンテンツと、前記調査対象コンテンツとのそれぞれのビットレートを、当初のビットレートよりも低いビットレートに統一して変換した検証用ファイルを出力する低ビットレート変換手段と、
この低ビットレート変換手段で出力された検証用ファイル同士を比較する検証用ファイル比較手段と、
この検証用ファイル比較手段で検証用ファイルを比較した比較結果に基づいて、前記オリジナルコンテンツと前記調査対象コンテンツとの同一性を判定する同一性判定手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ同一性検証装置。
【請求項2】
前記検証用ファイル比較手段は、
前記オリジナルコンテンツまたは前記調査対象コンテンツを符号化する際に用いる符号化パラメータについて、前記オリジナルコンテンツの符号化パラメータと前記調査対象コンテンツの符号化パラメータとの比較をする符号化パラメータ比較手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ同一性検証装置。
【請求項3】
前記同一性判定手段は、
前記検証用ファイルを表示させた際のフレーム中のスライス内における連続するマクロブロックの数において、前記オリジナルコンテンツの符号化パラメータと前記調査対象コンテンツの符号化パラメータとの差が予め設定した閾値を超え、この閾値を超えたマクロブロックの数が予め規定した規定数を超えた場合に、前記オリジナルコンテンツと前記調査対象コンテンツとが非同一であると判定することを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ同一性検証装置。
【請求項4】
前記同一性判定手段は、
前記検証用ファイルを表示させた際のフレーム内における隣接するマクロブロックの領域において、前記オリジナルコンテンツの符号化パラメータと前記調査対象コンテンツの符号化パラメータとの差が予め設定した閾値を超え、この閾値を超えたマクロブロックの領域の面積が予め規定した規定面積を超えた場合に、前記オリジナルコンテンツと前記調査対象コンテンツとが非同一であると判定することを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ同一性検証装置。
【請求項5】
前記領域の面積を、前記フレーム内の設定位置に応じて異なるように設定し、
前記同一性判定手段は、
前記フレーム内の中央部に前記領域を設定した場合における領域の面積に比べて、前記フレーム内の周辺部に前記領域を設定した場合における前記領域の面積が大きい場合に、前記オリジナルコンテンツと前記調査対象コンテンツとが非同一であると判定することを特徴とする請求項4に記載のコンテンツ同一性検証装置。
【請求項6】
前記同一性判定手段は、
前記符号化パラメータ比較手段で検証用ファイルを比較した比較結果において、前記検証用ファイルを表示させた際のフレーム間について、予め規定した連続フレーム数を超えて、前記オリジナルコンテンツの符号化パラメータと前記調査対象コンテンツの符号化パラメータとの差が予め設定した閾値を超えた場合に、前記オリジナルコンテンツと前記調査対象コンテンツとが非同一であると判定することを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ同一性検証装置。
【請求項7】
前記検証用ファイル比較手段は、
前記検証用ファイルを構成しているストリームの各ヘッダに収められているストリームヘッダ情報を比較するストリームヘッダ情報比較手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ同一性検証装置。
【請求項8】
前記検証用ファイル比較手段は、
当該検証用ファイルに含まれている各量子化値を比較する量子化値比較手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ同一性検証装置。
【請求項9】
オリジナルコンテンツと、このオリジナルコンテンツのデータ量を減少させた調査対象コンテンツとの同一性を検証するために、コンピュータを、
前記オリジナルコンテンツと、前記調査対象コンテンツとのそれぞれのビットレートを、当初のビットレートよりも低いビットレートに統一して変換した検証用ファイルを出力する低ビットレート変換手段、
この低ビットレート変換手段で出力された検証用ファイル同士を比較する検証用ファイル比較手段、
この検証用ファイル比較手段で検証用ファイルを比較した比較結果に基づいて、前記オリジナルコンテンツと前記調査対象コンテンツとの同一性を判定する同一性判定手段、
として機能させることを特徴とするコンテンツ同一性検証プログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−345369(P2006−345369A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170809(P2005−170809)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(591053926)財団法人エヌエイチケイエンジニアリングサービス (169)
【Fターム(参考)】