説明

コンテンツ管理装置

【課題】出力元の部分コンテンツと出力先の部分コンテンツとが同時に再生されないようにするコンテンツ管理装置を提供する。
【解決手段】コンテンツ管理装置は、コンテンツ記憶部13に記録されている著作権管理されたコンテンツを示すデータを、携帯型記憶媒体2に記録するためのデータに変換する変換部15と、変換後のデータを携帯型記憶媒体2に出力するムーブ処理部18と、コンテンツ記憶部13に変換前のデータが残ったままであり、かつ、ムーブ処理部18が携帯型記憶媒体2に変換後のデータを出力した場合、コンテンツ記憶部13に記録されている変換前のデータを再生できないように、変換前のデータに対して処理する再生不能化部19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツを移動した後におけるそのコンテンツの再生を管理するコンテンツ管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アナログテレビ(SDTV)放送の信号を受信してデジタル化し、更に圧縮符号化してハードディスク(HDD)やDVD−RAM等の光ディスクに記録するデジタルビデオレコーダが普及している。更に、衛星波、地上波のデジタルハイビジョンテレビ(HDTV)放送の信号を記録可能なデジタルビデオレコーダも商品化され始めている。
【0003】
デジタルテレビ放送の信号は、アナログテレビ放送の信号と異なり、コピーを繰り返しても画質や音質が劣化しないという特徴がある。したがって、コンテンツの著作権を保護するために、不正コピーを防止するための仕組みを確立することが重要である。デジタルテレビ放送の信号では、デジタル映像音声コンテンツにコピー制御信号が多重されており、放送信号が受信された際に1回だけ記録を許容するコピーワンスと呼ばれる仕組みが導入されている。これにより、コンテンツの著作権は保護されている。
【0004】
コピーワンスのデジタル映像音声コンテンツは、HDDやDVD−RAM等の記録媒体に記録されると、その時点でコピー不可の制御信号に書き換えられて複製することが禁止される。ただし、コンテンツが記録されている記録媒体(第1の記録媒体)から別の記録媒体(第2の記録媒体)にそのコンテンツを移動(ムーブ)させることは許されている。
【0005】
例えば、特許文献1の「コンテンツのコピー管理方法、記録再生装置及び再生装置」では、コピー可能な権利数と同数の仮想コンテンツを持ち、コピー時には仮想コンテンツを移動し、移動元の仮想コンテンツを消去する。更に、コピー元とコピー先のコピー権利数を移動した数だけ増減させることで不正な複製を行なわせない技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−358241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、第1の記録媒体から第2の記録媒体にコンテンツをムーブさせることは許されているが、第1の記録媒体に記録されているコンテンツは再生することができないように処理(再生不能化処理)される。そのため、例えば携帯端末でコンテンツを再生しようとして、コンテンツを第1の記録媒体から第2の記録媒体(例えばメモリカード)にムーブさせる際にそのコンテンツの画質等の品質を劣化させてムーブさせた場合、品質の低いコンテンツしか再生することができない。そこで、ムーブ前の品質の高いコンテンツを再生することができるとともに、コンテンツの著作権を保護するために、ムーブ前のコンテンツとムーブ後のコンテンツとを同時に再生することができないように、ムーブ前のコンテンツとムーブ後のコンテンツとを管理する技術が提供されることが考えられる。
【0008】
ところで、第2の記録媒体に格納されるコンテンツの容量を少なくするため等の目的で、ユーザは、コンテンツの一部のみをムーブさせたいと考えることがある。例えば、テレビ番組のコンテンツをムーブさせる場合、ユーザはCM部分を除いてムーブさせたいと考えることがある。しかしながら、従来、ムーブ前のコンテンツを再生することができるとともに、ムーブ対象となった、ムーブ前のコンテンツの一部(部分コンテンツ)と、ムーブ後のコンテンツの一部とを同時に再生することができないように、ムーブ前のコンテンツとムーブ後のコンテンツとを管理する方法は存在しない。そのため、そのような方法が提供されることが要望される。また、コンテンツの一部をムーブした場合、ムーブ対象となった部分のコンテンツと、ムーブ対象とならなかった部分のコンテンツとを、元の順序で連続的に再生する方法は存在しなかった。そのため、そのような方法が提供されることが要望される。
【0009】
本発明は、上記課題を考慮し、コンテンツの一部である部分コンテンツを出力し、出力元の部分コンテンツと出力先の部分コンテンツとが同時に再生されないようにするコンテンツ管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明に係るコンテンツ管理装置は、第1の記録媒体に記録されている著作権管理されたコンテンツを示すデータを、第2の記録媒体に記録するためのデータに変換する変換手段と、前記変換後のデータを前記第2の記録媒体に出力する出力手段と、前記第1の記録媒体に前記変換前のデータが残ったままであり、かつ、前記出力手段が前記第2の記録媒体に前記変換後のデータを出力した場合、前記第1の記録媒体に記録されている前記変換前のデータを再生できないように、前記変換前のデータに対して処理する再生コントローラとを備える。
【0011】
また、前記再生コントローラは、前記変換前のデータを前記第1の記録媒体から読み出せないようにすることにより再生できないようにしてもよい。
【0012】
また、前記コンテンツ管理装置は、さらに、前記第2の記録媒体から前記変換後のデータを取得する取得部を備え、前記再生コントローラは、前記第1の記録媒体に前記変換前のデータが残ったまま再生できないように処理されており、かつ、前記取得部が前記変換後のデータを前記第2の記録媒体から取得した場合、前記第1の記録媒体に記録されている前記変換前のデータを自装置において再生できるように、前記変換前のデータに対して処理してもよい。
【0013】
また、前記再生コントローラは、前記第1の記録媒体に記録されている前記変換前のデータを自装置において再生できるように処理した場合、前記第2の記録媒体に記録される前記変換後のデータを再生できないように、前記変換後のデータに対して処理してもよい。
【0014】
また、本発明のコンテンツ管理装置は、第1の記録媒体に記録されているコンテンツの一部を第2の記録媒体に出力した後における前記コンテンツの再生を管理する装置であって、前記第1の記録媒体に記録されているコンテンツの一部を前記第2の記録媒体に出力する出力手段と、前記出力手段が前記コンテンツの一部を出力した場合、前記第1の記録媒体に記録されている前記コンテンツの一部を再生不能化する再生不能化手段と、前記第1の記録媒体に記録されている前記コンテンツの一部に識別子として出力前識別子を付与し、前記出力手段が行なう処理により前記第2の記録媒体に記録される前記コンテンツの一部に識別子として出力後識別子を付与する識別子付与手段と、記録媒体の識別子を取得する媒体識別子取得手段と、前記出力手段が前記コンテンツの一部を出力する場合、前記媒体識別子取得手段によって取得された前記第1の記録媒体の識別子及び前記第2の記録媒体の識別子と、前記出力前識別子と、前記出力後識別子とを記憶する記憶手段と、前記出力手段が前記コンテンツの一部を出力する場合、前記第1の記録媒体に前記出力前識別子が記録されるとともに、前記第2の記録媒体に前記出力後識別子が記録されるように制御する制御手段と、コンテンツの識別子を取得するコンテンツ識別子取得手段と、前記出力手段が前記コンテンツの一部を出力した後に、前記媒体識別子取得手段によって前記第1の記録媒体の識別子及び前記第2の記録媒体の識別子が取得されるとともに、前記コンテンツ識別子取得手段によって、前記第1の記録媒体から前記出力前識別子が取得され、前記第2の記録媒体から前記出力後識別子が取得され、取得された各識別子が前記記憶手段に記憶されている場合、前記コンテンツを再生する再生手段とを備えてもよい。
【0015】
本発明のコンテンツ管理装置は、前記第1の記録媒体の識別子及び前記第2の記録媒体の識別子が前記記憶手段に記憶されているだけでなく、前記第1の記録媒体に記録されている前記コンテンツの一部の識別子である前記出力前識別子と、前記第2の記録媒体に記録されている前記コンテンツの一部の識別子である前記出力後識別子とが前記記憶手段に記憶されている場合に、前記コンテンツを再生する。つまり、本発明のコンテンツ管理装置は、前記第1の記録媒体の識別子及び前記第2の記録媒体の識別子のみならず、コンテンツの識別子である前記出力前識別子及び前記出力後識別子を管理することにより、前記コンテンツの一部を前記第2の記録媒体に移動させた場合でも、前記コンテンツの全体を順序通り連続的に再生することができる。
【0016】
本発明のコンテンツ管理装置は、更に、前記出力前識別子及び前記出力後識別子を生成する識別子生成手段を備え、前記識別子付与手段は、前記第1の記録媒体に記録されている前記コンテンツの一部に前記識別子生成手段によって生成された前記出力前識別子を付与し、前記第2の記録媒体に記録される前記コンテンツの一部に前記識別子生成手段によって生成された前記出力後識別子を付与してもよい。
【0017】
また、前記識別子付与手段は、更に、前記コンテンツの残部に識別子として残部識別子を付与し、前記記憶手段は、前記出力手段が前記コンテンツの一部を出力する場合、更に、前記残部識別子を記憶し、前記制御手段は、前記出力手段が前記コンテンツの一部を出力する場合、更に、前記第1の記録媒体に前記残部識別子が記録されるように制御し、前記再生手段は、前記出力手段が前記コンテンツの一部を出力した後に、更に、前記コンテンツ識別子取得手段によって、前記第1の記録媒体から前記残部識別子が取得され、取得された前記残部識別子が前記記憶手段に記憶されている場合、前記コンテンツを再生することが好ましい。
【0018】
また、前記記憶手段は、前記出力手段が前記コンテンツの一部を出力する場合、前記第1の記録媒体に記録されている前記コンテンツの一部の先端位置及び終端位置の一方又は双方を記憶し、前記再生手段は、前記記憶手段に記憶されている前記先端位置及び前記終端位置の一方又は双方を利用して、前記コンテンツを再生することが好ましい。
【0019】
また、前記再生手段は、前記コンテンツの残部を再生するとともに、前記再生不能化手段によって再生不能化された前記コンテンツの一部を再生することにより、前記コンテンツを再生してもよい。
【0020】
また、前記再生手段は、前記コンテンツの残部を再生するとともに、前記第2の記録媒体に出力された前記コンテンツの一部を再生することにより、前記コンテンツを再生してもよい。
【0021】
また、本発明のコンテンツ管理装置は、更に、前記第1の記録媒体が記録されているデータを書き換えることができる媒体であり、かつ、前記第2の記録媒体がデータを記録することができる媒体であるか否かを判定する媒体判定手段を備え、前記出力手段は、前記第1の記録媒体が記録されているデータを書き換えることができる媒体であり、かつ、前記第2の記録媒体がデータを記録することができる媒体であると前記媒体判定手段によって判定された場合、前記第1の記録媒体に記録されているコンテンツの一部を前記第2の記録媒体に出力してもよい。
【0022】
また、前記記憶手段は、前記再生手段が前記コンテンツを再生した場合、記憶している情報を削除してもよい。
【0023】
また、本発明のコンテンツ管理装置は、更に、前記記憶手段に記憶される情報を暗号化する暗号化手段と、前記暗号化手段によって暗号化された情報を復号する復号手段とを備えてもよい。
【0024】
また、本発明のコンテンツ管理装置は、更に、前記出力手段によって出力される前記コンテンツの一部の品質を変換する変換手段を備え、前記出力手段は、前記変換手段によって処理された前記コンテンツの一部を、前記第2の記録媒体に出力してもよい。
【0025】
また、前記変換手段は、外部からの指示に基づいて、前記再生不能化手段によって再生不能化された前記コンテンツの一部を復号し、前記コンテンツの一部の品質を変換してもよい。
【0026】
また、前記変換手段は、前記コンテンツが映像信号である場合、前記映像信号の圧縮方式、ビットレート、画像サイズ、及びフレームレートの一部又は全部を変換し、前記コンテンツが音声信号である場合、前記音声信号の圧縮方式、ビットレート、サンプリング数、及びチャンネル数の一部又は全部を変換してもよい。
【0027】
更に、本発明は、本発明のコンテンツ管理装置の特徴的な構成手段をステップとする方法として実現したり、それらのステップを含むプログラムとして実現したり、そのプログラムが格納された、CD−ROM等の記録媒体として実現したり、集積回路として実現することもできる。プログラムは、通信ネットワーク等の伝送媒体を介して流通させることもできる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、コンテンツの一部である部分コンテンツを出力し、出力元の部分コンテンツと出力先の部分コンテンツとが同時に再生されないようにするコンテンツ管理装置を提供することができる。
【0029】
本発明によれば、デジタル映像音声コンテンツの一部を再圧縮符号化してデータレートや解像度を下げてから外部記録媒体に出力(記録)した場合でも、出力元の部分コンテンツと出力先の部分コンテンツとは同時には再生されず、かつ、元の品質でコンテンツの全体を再生することが可能となる。また、何度でも元のコンテンツを復元することができるため、コンテンツの再圧縮符号化に失敗してもやり直すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態1のコンテンツ管理装置1及び携帯型記録媒体2の外観を示す図である。
【図2】実施の形態1のコンテンツ管理装置1及び携帯型記録媒体2の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1における部分ムーブを説明するための図である。
【図4】実施の形態1のコンテンツ管理装置1の動作を示す第1のフローチャートである。
【図5】実施の形態1のコンテンツ情報を示す図である。
【図6】実施の形態1のコンテンツ管理装置1の動作を示す第2のフローチャートである。
【図7】実施の形態2のコンテンツ管理装置100及び携帯型記録媒体2の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態2における部分ムーブを説明するための図である。
【図9】実施の形態3のコンテンツ管理装置101及び携帯型記録媒体2の構成を示すブロック図である。
【図10】全部ムーブを説明するための図である。
【図11】再度の部分ムーブ及びコンテンツ管理装置の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0032】
(実施の形態1)
先ず、実施の形態1のコンテンツ管理装置1の構成を、図1及び図2を用いて説明する。
【0033】
図1は、実施の形態1のコンテンツ管理装置1及び携帯型記録媒体2の外観を示す図である。コンテンツ管理装置1は、ディスク状の携帯型記録媒体2にコンテンツをムーブするとともに、そのコンテンツを再生する装置である。コンテンツ管理装置1は、コンテンツを携帯型記録媒体2にムーブする場合、コンテンツを削除するのではなく、コンテンツを後に復元することができるようにして再生不能化する。携帯型記録媒体2は、第2の記録媒体の一例であって、コンテンツが記録される媒体である。なお、実施の形態1では、第1の記録媒体は後述するコンテンツ記憶部13であり、それはコンテンツ管理装置1に設けられている。
【0034】
図2は、コンテンツ管理装置1及び携帯型記録媒体2の構成を示すブロック図である。図2に示すように、コンテンツ管理装置1は、受信部11と、制御部12と、コンテンツ記憶部13と、判定部14と、変換部15と、識別子生成部16と、識別子付与部17と、ムーブ処理部18と、再生不能化部19と、媒体識別子取得部20と、管理情報記憶部21と、コンテンツ識別子取得部22と、再生部23とで構成されている。コンテンツ管理装置1を構成する各構成部の機能については、後にコンテンツ管理装置1の動作を説明する際にその動作とともに説明する。
【0035】
次に、実施の形態1のコンテンツ管理装置1の動作を説明する。
実施の形態1では、地上波デジタル放送の信号等のデジタル信号が受信部11によって既に受信され、制御部12によって第1のコンテンツ111としてコンテンツ記憶部13に既に格納されている場合を想定する。上記のデジタル信号は、コピーワンスの制限が課せられている信号であって、MPEG2方式で符号化されたストリームである場合を想定する。
【0036】
また、実施の形態1では、コンテンツ管理装置1が第1のコンテンツ111の一部を携帯型記録媒体2にムーブすることを想定する。具体的には、図3に示すように、コンテンツ記憶部13に格納されている第1のコンテンツ111をコンテンツT0からコンテンツT3の4個のコンテンツに分割したときの、コンテンツT1(“コンテンツTa1”と記載する場合がある。)とコンテンツT3(“コンテンツTa3”と記載する場合がある。)とを携帯型記録媒体2にムーブする場合を想定する。
【0037】
その後、コンテンツ管理装置1が第1のコンテンツ111の全部を再生する場合を想定する。
【0038】
(部分ムーブ)
先ず、第1のコンテンツ111の一部であるコンテンツT1とコンテンツT3とを携帯型記録媒体2にムーブする場合を、図4を用いて説明する。図4は、コンテンツT1とコンテンツT3とを携帯型記録媒体2にムーブする場合の各手順を示すフローチャートである。
【0039】
部分的にムーブされるコンテンツT1及びコンテンツT3のストリーム上の位置が以下である場合を想定する。すなわち、コンテンツT1については、先頭位置がpi0であり、終端位置がpo0であって、コンテンツT3については、先頭位置がpi1であり、終端位置がpo1である。
【0040】
判定部14は、コンテンツ記憶部13のメディア情報と、携帯型記録媒体2のメディア情報とを読み取り、コンテンツ記憶部13及び携帯型記録媒体2が、コンテンツ記憶部13に格納されているコンテンツをムーブすることができる媒体であるか否か、を判定する(S1)。例えば、判定部14は、コンテンツ記憶部13及び携帯型記録媒体2が既に記録されているデータを書き換えることができる記録媒体であるか否かを判定する。それとともに、判定部14は、コンテンツ記憶部13及び携帯型記録媒体2が著作権を保護するための仕組みを持った記録媒体であるか否かを判定する。それら二つの判定結果に基づいて、判定部14は、コンテンツ記憶部13及び携帯型記録媒体2がコンテンツをムーブすることができる媒体であるか否か、を判定する(S1)。具体的には、コンテンツ記憶部13がライトワンスの記録媒体である場合、既に記録されているデータは消去することができないため、判定部14は、コンテンツ記憶部13がコンテンツをムーブすることができない媒体であると判定する(S1でNo)。また、携帯型記録媒体2がDVD+RWのようにデータを書き換えることができるが、著作権を保護するための仕組みを持っていない記録媒体である場合、判定部14は、携帯型記録媒体2がコンテンツをムーブすることができない媒体であると判定する(S1でNo)。判定部14が、コンテンツ記憶部13及び携帯型記録媒体2がコンテンツをムーブすることができる媒体ではない、と判定した場合(S1でNo)、コンテンツ管理装置1は、その判定結果を外部に報知して動作を終了する。
【0041】
それに対して、判定部14が、コンテンツ記憶部13及び携帯型記録媒体2がコンテンツをムーブすることができる媒体である、と判定した場合(S1でYes)、コンテンツ管理装置1の各構成部は以下の動作を行なう。
【0042】
制御部12は、コンテンツ記憶部13に格納されている、コンテンツT1の先頭位置pi0から終端位置po0までのストリームと、コンテンツT3の先頭位置pi1から終端位置po1までのストリームとを順次読み取る(S2)。
【0043】
変換部15は、圧縮符号化されたコンテンツT1及びコンテンツT3の画質及び音質を低下させる等の変換処理を行なう(S3)。例えば、変換部15は、圧縮符号化されたコンテンツT1及びコンテンツT3をベースバンドの映像信号と音声信号とに復号し、パラメータに従って、復号した映像信号と音声信号とを再圧縮符号化して変換後のストリームを生成する(S3)。映像についてのパラメータとしては、圧縮方式、画像サイズ、ビットレート、フレームレート等を特定する情報が挙げられる。音声についてのパラメータとしては、圧縮方式、ビットレート、サンプリング数、チャンネル数等を特定する情報が挙げられる。具体的には、コンテンツT1及びコンテンツT3を含む第1のコンテンツ111がHDTV放送の信号のストリームであり、携帯型記録媒体2がDVD−RAMであって、変換部15が、HDTV放送の信号のコンテンツをSDTV放送の信号のコンテンツに変換する場合、変換部15は以下の動作を行なう。すなわち、変換部15は、映像の画像サイズをHDサイズ(例えば1920×1080インタレース)からSDサイズ(例えば720×480インタレース)に変換し、音声信号とあわせて約10Mbps以下になるように、コンテンツT1及びコンテンツT3のビットレートを変換する。また、音声信号についても、変換部15は、例えば放送で使用されているAAC方式からAC−3方式に変換する。なお、パラメータは予め決められていてもよいし、ユーザが設定してもよい。
【0044】
また、以下では、説明の簡単化のために、図3に示すように、ムーブ対象の、変換部15によって変換される前のコンテンツT1及びコンテンツT3を、それぞれ変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3と表記する。また、変換部15によって変換された後のコンテンツT1及びコンテンツT3を、それぞれ変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3と表記する。
【0045】
なお、変換部15は、上述したように、変換前のコンテンツの圧縮方式と変換後のコンテンツの圧縮方式とが異なるように変換処理を行なってもよい。圧縮方式には、MPEG1、MPEG2、MPEG4、H.264、DV圧縮等の圧縮方式が含まれる。
【0046】
識別子生成部16は、コンテンツ記憶部13に格納されているムーブされないコンテンツT0に付与される識別子として識別子“B0”を生成し、コンテンツ記憶部13に格納されているムーブされないコンテンツT2に付与される識別子として識別子“B2”を生成する(S4)。また、識別子生成部16は、変換前コンテンツTa1に付与される識別子として識別子“C1”を生成し、変換前コンテンツTa3に付与される識別子として識別子“C3”を生成する(S4)。更に、識別子生成部16は、変換後コンテンツTb1に付与される識別子として識別子“D1”を生成し、変換後コンテンツTb3に付与される識別子として識別子“D3”を生成する(S4)。
【0047】
識別子生成部16は、各コンテンツに付与される識別子を生成する際、コンテンツ管理装置1を製造したメーカに関する情報、コンテンツ管理装置1の情報(例えばコンテンツ管理装置1のシリアルナンバ)、コンテンツの変換日時、乱数等の情報を用いて、各識別子を生成する。
【0048】
識別子付与部17は、図3に示すように、コンテンツ記憶部13に格納されている第1のコンテンツ111に付与されていた識別子Aを消去し、ムーブされないコンテンツT0に識別子“B0”を付与し、ムーブされないコンテンツT2に識別子“B2”を付与する(S4)。また、識別子付与部17は、変換前コンテンツTa1に識別子“C1”を付与し、変換前コンテンツTa3に識別子“C3”を付与する(S4)。更に、識別子付与部17は、変換後コンテンツTb1に識別子“D1”を付与し、変換後コンテンツTb3に識別子“D3”を付与する(S4)。
【0049】
ムーブ処理部18は、変換部15によって変換されたストリーム、つまり変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3を携帯型記録媒体2に記録する(S5)。このとき、ムーブ処理部18は、変換後コンテンツTb1の識別子“D1”と、変換後コンテンツTb3の識別子“D3”とを、上記ストリームに格納することにより携帯型記録媒体2に記録する(S5)。ムーブ処理部18は、例えば、ストリーム内のユーザ領域に、変換後コンテンツTb1の識別子“D1”と、変換後コンテンツTb3の識別子“D3”とを格納する。なお、ムーブ処理部18は、変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3を携帯型記録媒体2に記録する場合、CPRM等の著作権を保護する仕組みに基づいてスクランブル処理を行なった後に、記録処理を行なう。その際、ムーブ処理部18は、識別子“D1”及び識別子“D3”についてもスクランブル処理を行なった後に、ストリーム内のユーザ領域に格納する。
【0050】
ムーブ処理部18が変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3を携帯型記録媒体2に記録するとき、再生不能化部19は、コンテンツ記憶部13に格納されている変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3を後に復元することができるようにして再生不能化する(S5)。例えば、再生不能化部19は、変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3を、暗号化して無効なデータに変えることにより再生不能化する。又は、再生不能化部19は、変換前コンテンツTa1の先頭位置pi0及び終端位置po0と、変換前コンテンツTa3の先頭位置pi1及び終端位置po1とにポインタを付与しておき、コンテンツ記憶部13に格納されている変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3を含む第1のコンテンツ111が再生される際、変換前コンテンツTa1の先頭位置pi0から終端位置po0に強制的にスキップし、かつ変換前コンテンツTa3の先頭位置pi1から終端位置po1に強制的にスキップして、変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3が再生されないように、変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3を再生不能化する。
【0051】
媒体識別子取得部20は記録媒体の識別子を取得する(S6)。具体的には、媒体識別子取得部20は、コンテンツ記憶部13からその識別子である媒体識別子αを取得するとともに、携帯型記録媒体2からその識別子である媒体識別子βを取得する(S6)。
【0052】
制御部12は、コンテンツ記憶部13の上における、コンテンツT0、変換前コンテンツTa1、コンテンツT2、及び変換前コンテンツTa3が格納されている位置を特定する情報を含むファイル管理情報FAを取得する(S7)。
【0053】
また、制御部12は、図5に示すように、コンテンツ記憶部13に関する識別子である、媒体識別子αと、コンテンツT0の識別子“B0”、コンテンツT2の識別子“B2”、変換前コンテンツTa1の識別子“C1”、及び変換前コンテンツTa3の識別子“C3”とを関連付けて、管理情報記憶部21に格納する(S8)。その際、制御部12は、オリジナルストリーム上での変換前コンテンツTa1の先頭位置pi0及び終端位置po0と、変換前コンテンツTa3の先頭位置pi1及び終端位置po1とを、媒体識別子α等と関連付けて管理情報記憶部21に格納する(S8)。また、制御部12は、ファイル管理情報FAを媒体識別子α等と関連付けて管理情報記憶部21に格納する(S8)。また、制御部12は、コンテンツ記憶部13から上記ファイル管理情報FAを消去する。
【0054】
更に、制御部12は、携帯型記録媒体2に関する識別子である、媒体識別子βと、変換後コンテンツTb1の識別子“D1”、及び変換後コンテンツTb3の識別子“D3”とを関連付けて、管理情報記憶部21に格納する(S8)。以下では、説明の簡単化のため、管理情報記憶部21に格納される情報を“コンテンツ情報”と呼ぶ。
【0055】
(逆ムーブ及び再生)
次に、第1のコンテンツ111の一部である変換後コンテンツTb1と変換後コンテンツTb3とが携帯型記録媒体2に部分的にムーブされた後に、第1のコンテンツ111を復元(逆ムーブ)し再生する場合を、図6を用いて説明する。図6は、変換後コンテンツTb1と変換後コンテンツTb3とが部分的にムーブされた後に、第1のコンテンツ111を復元し再生する場合の各手順を示すフローチャートである。
【0056】
判定部14は、コンテンツ記憶部13及び携帯型記録媒体2が、携帯型記録媒体2に部分的にムーブされた変換後コンテンツTb1と変換後コンテンツTb3とを逆ムーブすることができる媒体であるか否か、を判定する(S11)。例えば、判定部14は、変換後コンテンツTb1と変換後コンテンツTb3とが携帯型記録媒体2に部分的にムーブされる場合と同様に、コンテンツ記憶部13及び携帯型記録媒体2が既に記録されているデータを書き換えることができる記録媒体であるか否かを判定する。それとともに、判定部14は、コンテンツ記憶部13及び携帯型記録媒体2が著作権を保護するための仕組みを持った記録媒体であるか否かを判定する。それら二つの判定結果に基づいて、判定部14は、コンテンツ記憶部13及び携帯型記録媒体2が逆ムーブすることができる媒体であるか否か、を判定する(S11)。判定部14が、コンテンツ記憶部13及び携帯型記録媒体2が逆ムーブすることができる媒体ではない、と判定した場合(S11でNo)、コンテンツ管理装置1は、その判定結果を外部に報知して動作を終了する。
【0057】
それに対して、判定部14が、コンテンツ記憶部13及び携帯型記録媒体2が逆ムーブすることができる媒体である、と判定した場合(S11でYes)、コンテンツ管理装置1の各構成部は以下の動作を行なう。
【0058】
媒体識別子取得部20は記録媒体の識別子を取得する(S12)。具体的には、媒体識別子取得部20は、コンテンツ記憶部13の識別子である媒体識別子αを取得するとともに、携帯型記録媒体2の識別子である媒体識別子βを取得する(S12)。
【0059】
コンテンツ識別子取得部22は、コンテンツ記憶部13から、コンテンツT0の識別子“B0”、コンテンツT2の識別子“B2”、変換前コンテンツTa1の識別子“C1”、及び変換前コンテンツTa3の識別子“C3”を取得する(S13)。また、コンテンツ識別子取得部22は、携帯型記録媒体2から、変換後コンテンツTb1の識別子“D1”、及び変換後コンテンツTb3の識別子“D3”を取得する(S13)。なお、変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3は再生不能化された状態で、コンテンツ記憶部13に格納されている。
【0060】
制御部12は、コンテンツ記憶部13からファイル管理情報FAを取得する(S14)。
【0061】
判定部14は、逆ムーブすることができるか否かを判定するために、媒体識別子取得部20及びコンテンツ識別子取得部22によって取得された各識別子が管理情報記憶部21に格納されているコンテンツ情報に含まれているか否かを判定する(S15)。なお、判定部14は、逆ムーブすることができるか否かを判定するために、変換前コンテンツTa1の先頭位置pi0及び終端位置po0と、変換前コンテンツTa3の先頭位置pi1及び終端位置po1とを用いない。
【0062】
判定部14が、媒体識別子取得部20等によって取得された全部の識別子がコンテンツ情報に含まれていない、と判定した場合(S15でNo)、コンテンツ管理装置1は、その判定結果を外部に報知して動作を終了する。
【0063】
それに対して、判定部14が、媒体識別子取得部20等によって取得された全部の識別子が管理情報記憶部21に格納されているコンテンツ情報に含まれている、と判定した場合(S15でYes)、制御部12は、ファイル管理情報FAをコンテンツ記憶部13に格納し直す。再生不能化部19は、格納し直されたファイル管理情報FAを利用して、コンテンツ記憶部13に再生不能化された状態で格納されている、第1のコンテンツ111の一部である変換前コンテンツTa1と変換前コンテンツTa3とを復元する(S16)。例えば、再生不能化部19は、コンテンツ記憶部13に格納されているポインタを消去する、又は暗号化を解くことで変換前コンテンツTa1と変換前コンテンツTa3とを再生可能な状態に復元する(S16)。それと同時に、再生不能化部19は、携帯型記録媒体2に格納されている、変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3を消去する。
【0064】
そして、再生部23は、コンテンツ記憶部13に格納されている、コンテンツT0、変換前コンテンツTa1、コンテンツT2、及び変換前コンテンツTa3を、コンテンツT0、変換前コンテンツTa1、コンテンツT2、変換前コンテンツTa3の順に再生することにより、第1のコンテンツ111を再生する(S16)。
【0065】
なお、上述した実施の形態では、変換部15は、変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3に対して、画質及び音質を低下させる等の変換処理を行なうので、再生不能化部19は、コンテンツ記憶部13に再生不能化された状態で格納されている、第1のコンテンツ111の一部である変換前コンテンツTa1と変換前コンテンツTa3とを復元する。しかしながら、変換部15は変換処理を行なわなくてもよい。その場合、判定部14が、媒体識別子取得部20等によって取得された各情報が管理情報記憶部21に格納されているコンテンツ情報に含まれていると判定したとき、ムーブ処理部18は、携帯型記録媒体2から、変換後コンテンツTb1(実際は変換されていないことになる)及び変換後コンテンツTb3(実際は変換されていないことになる)を取得する。そして、再生部23は、コンテンツ記憶部13に格納されているコンテンツT0及びコンテンツT2と、ムーブ処理部18によって取得された変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3とを、コンテンツT0、変換後コンテンツTb1、コンテンツT2、変換後コンテンツTb3の順に再生することにより、第1のコンテンツ111を再生してもよい。
【0066】
この方法は、ムーブ処理部18が変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3を携帯型記録媒体2に記録するとき、再生不能化部19が、コンテンツ記憶部13に格納されている変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3を、後に復元することができる状態にして再生不能化するのではなく削除し、その後に第1のコンテンツ111を再生する場合に有効である。
【0067】
再生不能化部19は、コンテンツ記憶部13に格納されている変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3を、再生不能化するのではなく削除してもよい。削除する場合、再生不能化部19は、例えば、第1のコンテンツ111のファイル管理情報の、変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3に関する部分を削除することにより、変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3を削除してもよい。
【0068】
また、管理情報記憶部21に格納されているコンテンツ情報には、コンテンツ記憶部13に格納されている変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3と、携帯型記録媒体2に格納されている変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3とのいずれがオリジナルであるのかを示す情報が含まれていてもよい。
【0069】
また、上述した実施の形態1では、第1の記録媒体の一例としてコンテンツ記憶部13を用いたが、第1の記録媒体は、コンテンツ管理装置1の内部に設けられていなくてもよい。携帯型記録媒体2と同様に、コンテンツ管理装置1の外部の記録媒体であってもよい。第1の記録媒体がDVD−Rである場合、DVD−Rはライトワンスの記録媒体であるため、判定部14は、第1の記録媒体がそれに格納されているコンテンツをムーブすることができない媒体である、と判定する。
【0070】
また、再生部23が第1のコンテンツ111を再生する場合、再生不能化部19は、携帯型記録媒体2に格納されている、変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3を消去するのではなく、再生不能化してもよい。例えば、再生不能化部19は、変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3のファイル管理情報を、ユーザがアクセスすることができない領域に移動する。又は、再生不能化部19は、変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3を暗号化する。これにより、再生不能化部19は、携帯型記録媒体2に格納されている、変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3を再生不能化してもよい。
【0071】
また、再生部23が第1のコンテンツ111を再生する場合、制御部12は、管理情報記憶部21に格納されるコンテンツ情報を消去してもよい。
【0072】
また、変換部15は、ユーザの指示等の外部からの指示に基づいて、再生不能化されたコンテンツを復号し、コンテンツの一部に対して新たに変換処理を行なってもよい。これにより、ユーザは、コンテンツを再圧縮符号化することに失敗してもやり直すことができる。
【0073】
また、出力手段の一例としてムーブ処理部18を用いたが、携帯型記録媒体2が自らデータを記録することができる媒体等であれば、ムーブ処理部18はコンテンツを出力する手段に置き換えられてもよい。
【0074】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2のコンテンツ管理装置100を、図7を用いて説明する。
【0075】
図7は、実施の形態2のコンテンツ管理装置100の構成を示すブロック図である。実施の形態2のコンテンツ管理装置100は、実施の形態1のコンテンツ管理装置1が備えていないコンテンツ結合部50を備えている点等が、コンテンツ管理装置1と異なる。したがって、以下では、コンテンツ管理装置100の、コンテンツ管理装置1と異なる点のみを説明する。
【0076】
(部分ムーブ)
コンテンツ結合部50は、ムーブ処理部18が変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3を携帯型記録媒体2に記録する場合、図8に示すように、コンテンツ記憶部13に格納されているコンテンツT0とコンテンツT2とを結合してストリームT02を生成する。また、コンテンツ結合部50は、変換前コンテンツTa1と変換前コンテンツTa3とを結合して変換前ストリームTa13を生成する。そして、コンテンツ結合部50は、結合したストリームT02及び変換前ストリームTa13をコンテンツ記憶部13に記録する。その際、コンテンツ結合部50は、オリジナルのストリームである第1のコンテンツ111を消去する。
【0077】
識別子生成部16は、ムーブされないストリームT02に付与される識別子として識別子“B”を生成し、ムーブされる変換前ストリームTa13に付与される識別子として識別子“C”を生成する。変換前ストリームTa13は、携帯型記録媒体2に記録される場合、変換後ストリームTb13として記録される。そして、識別子生成部16は、ムーブされた後の変換後ストリームTb13に付与される識別子として識別子“D”を生成する。識別子付与部17は、ストリームT02に識別子“B”を付与し、変換前ストリームTa13に識別子“C”を付与し、変換後ストリームTb13に識別子“D”を付与する。
【0078】
ムーブ処理部18は、変換後ストリームTb13を携帯型記録媒体2に記録する。このとき、ムーブ処理部18は、変換後ストリームTb13の識別子“D”を、変換後ストリームTb13に格納することにより携帯型記録媒体2に記録する。ムーブ処理部18は、例えば、変換後ストリームTb13内のユーザ領域に、変換後ストリームTb13の識別子“D”を格納する。
【0079】
再生不能化部19は、部分的にムーブされる変換前コンテンツTa1と変換前コンテンツTa3とを結合することによって生成された変換前ストリームTa13を、実施の形態1で説明したようにして再生不能化する。
【0080】
制御部12は、コンテンツ記憶部13に関する識別子である、媒体識別子αと、ストリームT02の識別子“B”及び変換前ストリームTa13の識別子“C”とを関連付けて、管理情報記憶部21に格納する。その際、制御部12は、オリジナルストリーム上での変換前ストリームTa13を構成する、変換前コンテンツTa1及び変換前コンテンツTa3の変換前コンテンツTa1の先頭位置pi0及び終端位置po0と、変換前コンテンツTa3の先頭位置pi1及び終端位置po1とを、媒体識別子α等と関連付けて管理情報記憶部21に格納する。また、制御部12は、コンテンツ記憶部13の上における、ストリームT02及び変換前ストリームTa13のファイル管理情報を、媒体識別子α等と関連付けて管理情報記憶部21に格納する。
【0081】
また、制御部12は、携帯型記録媒体2に関する識別子である、媒体識別子βと、変換後ストリームTb13の識別子“D”とを関連付けて、管理情報記憶部21に格納する。
【0082】
管理情報記憶部21に格納される情報は“コンテンツ情報”である。
【0083】
(逆ムーブ及び再生)
媒体識別子取得部20は記録媒体の識別子を取得する。つまり、媒体識別子取得部20は、コンテンツ記憶部13の識別子である媒体識別子αを取得するとともに、携帯型記録媒体2の識別子である媒体識別子βを取得する。
【0084】
コンテンツ識別子取得部22は、コンテンツ記憶部13から、ストリームT02の識別子“B”と、変換前ストリームTa13の識別子“C”とを取得する。また、コンテンツ識別子取得部22は、携帯型記録媒体2から、変換後ストリームTb13の識別子“D”を取得する。
【0085】
判定部14は、逆ムーブすることができるか否かを判定するために、媒体識別子取得部20等によって取得された全部の識別子が管理情報記憶部21に格納されているコンテンツ情報に含まれているか否かを判定する。
【0086】
判定部14が媒体識別子取得部20等によって取得された全部の識別子がコンテンツ情報に含まれていると判定した場合、再生不能化部19は、コンテンツ記憶部13に再生不能化された状態で格納されている、第1のコンテンツ111の一部である変換前ストリームTa13を復元する。
【0087】
そして、再生部23は、オリジナルのストリーム上のポインタ情報に基づいて、コンテンツT0、変換前コンテンツTa1、コンテンツT2、変換前コンテンツTa3の順に、それら各コンテンツを結合して再生することにより、第1のコンテンツ111を再生する。
【0088】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3のコンテンツ管理装置101を、図9を用いて説明する。
【0089】
図9は、実施の形態3のコンテンツ管理装置101の構成を示すブロック図である。実施の形態3のコンテンツ管理装置101は、実施の形態1のコンテンツ管理装置1が備えていない暗号処理部51を備えている点のみが、コンテンツ管理装置1と異なる。したがって、以下では、コンテンツ管理装置101の、コンテンツ管理装置1と異なる点のみを説明する。
【0090】
実施の形態1では、ムーブ処理部18が変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3を携帯型記録媒体2に記録する場合、制御部12はコンテンツ情報を管理情報記憶部21に格納する。
【0091】
それに対して実施の形態3では、ムーブ処理部18が変換後コンテンツTb1及び変換後コンテンツTb3を携帯型記録媒体2に記録する場合、暗号処理部51がコンテンツ情報を暗号化し、制御部12は、暗号処理部51によって暗号化されたコンテンツ情報を管理情報記憶部21に格納する。逆ムーブ処理時には、暗号処理部51は、暗号化されているコンテンツ情報の暗号化を解き、解かれたコンテンツ情報を判定部14に渡す。
【0092】
暗号処理部51は、コンテンツ情報の一部のみを、例えばファイル管理情報のみを暗号化してもよい。
【0093】
なお、上述した実施の形態では、コンテンツ管理装置1が第1のコンテンツ111の一部を携帯型記録媒体2にムーブする場合を説明した。コンテンツ管理装置1は、第1のコンテンツ111の全部を携帯型記録媒体2にムーブすることもできる。その場合、図10に示すように、コンテンツ管理装置1は、第1のコンテンツ111に識別子“A”を付与し、携帯型記録媒体2に記録されるコンテンツに識別子“X”を付与する。逆ムーブ及び再生処理時には、コンテンツ管理装置1は、図3に示す変換前コンテンツTa1又はそれに対応する変換後コンテンツTb1を再生する場合と同様に、第1のコンテンツ111又は、携帯型記録媒体2に記録されるコンテンツを再生する。
【0094】
また、コンテンツ管理装置1は、図11に示すように、第1のコンテンツ111の一部を携帯型記録媒体2にムーブした後に、携帯型記録媒体2にムーブされたコンテンツの一部を携帯型記録媒体200に更にムーブすることができる。コンテンツ管理装置1は、二つの記録媒体の識別子のみならず、二つのコンテンツの識別子が管理情報記憶部21に格納されているコンテンツ情報に含まれている場合、コンテンツの全体を再生する。このように、コンテンツ管理装置1は、記録媒体の識別子のみならず、コンテンツの識別子を管理する。
【0095】
記録媒体の識別子のみを管理する場合、識別子“C1”及び“C3”が付与されたコンテンツTa1及びTa3が第1のコンテンツ111の大部分であれば、携帯型記録媒体2に記録されている、コンテンツTa1及びTa3に対応するコンテンツTb1及びTb3の一部の識別子“E”が付与されたコンテンツTc1を削除すれば、残部の識別子“F”が付与されたコンテンツTc2に対応する識別子“G”が付与されたコンテンツTdを携帯型記録媒体200にコピーすることができる。しかしながら、上述したように、コンテンツ管理装置1は、記録媒体の識別子のみならず、コンテンツの識別子を管理する。したがって、識別子“G”が付与されたコンテンツTdが携帯型記録媒体200にコピーされるという問題を発生させることはない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明のコンテンツ管理装置は、デジタルテレビ放送等の信号で著作権が保護されたデジタル映像音声データを受信してHDD等の第1の記録媒体に記録し、再生不能化してそのデータを第2の記録媒体に出力した後に、そのデータを再生する装置等として有用である。
【符号の説明】
【0097】
1 コンテンツ管理装置
2 携帯型記録媒体
11 受信部
12 制御部
13 コンテンツ記憶部
14 判定部
15 変換部
16 識別子生成部
17 識別子付与部
18 ムーブ処理部
19 再生不能化部
20 媒体識別子取得部
21 管理情報記憶部
22 コンテンツ識別子取得部
23 再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の記録媒体に記録されている著作権管理されたコンテンツを示すデータを、第2の記録媒体に記録するためのデータに変換する変換手段と、
前記変換後のデータを前記第2の記録媒体に出力する出力手段と、
前記第1の記録媒体に前記変換前のデータが残ったままであり、かつ、前記出力手段が前記第2の記録媒体に前記変換後のデータを出力した場合、前記第1の記録媒体に記録されている前記変換前のデータを再生できないように、前記変換前のデータに対して処理する再生コントローラとを備える
コンテンツ管理装置。
【請求項2】
前記再生コントローラは、前記変換前のデータを前記第1の記録媒体から読み出せないようにすることにより再生できないようにする
請求項1に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項3】
前記コンテンツ管理装置は、さらに、前記第2の記録媒体から前記変換後のデータを取得する取得部を備え、
前記再生コントローラは、前記第1の記録媒体に前記変換前のデータが残ったまま再生できないように処理されており、かつ、前記取得部が前記変換後のデータを前記第2の記録媒体から取得した場合、前記第1の記録媒体に記録されている前記変換前のデータを自装置において再生できるように、前記変換前のデータに対して処理する
請求項1または請求項2に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項4】
前記再生コントローラは、前記第1の記録媒体に記録されている前記変換前のデータを自装置において再生できるように処理した場合、前記第2の記録媒体に記録される前記変換後のデータを再生できないように、前記変換後のデータに対して処理する
請求項3に記載のコンテンツ管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−28761(P2011−28761A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186418(P2010−186418)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【分割の表示】特願2004−347542(P2004−347542)の分割
【原出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】