説明

コンテンツ複製異常検出装置

【課題】複製されたコンテンツの異常を高い信頼性で高速に検出することが可能なコンテンツ複製異常検出装置を提供する。
【解決手段】圧縮された複製元のコンテンツデータから抽出したIピクチャデータを蓄積する第1比較データ蓄積手段104と、蓄積された各Iピクチャデータの複製元のコンテンツデータにおけるアドレス情報を収集して比較データ識別情報として記憶する比較データ識別情報管理手段105と、複製後のコンテンツデータから比較データ識別情報のアドレス情報に従って抽出したIピクチャデータを蓄積する第2比較データ蓄積手段108と、第1比較データ蓄積手段104と第2比較データ蓄積手段108とに蓄積されたIピクチャデータを比較する比較手段109と、比較の結果差異が検出されたときは、差異が検出されたIピクチャデータの画像を同一画面上に表示させるための画面情報を生成する出力情報生成手段110とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複製したデジタルコンテンツデータの複製異常を検出するコンテンツ複製異常検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像や音声などのデジタルコンテンツデータを記録する媒体としてDVD(Digital Versatile Disc)やHDD(Hard Disc Drive)などの大容量記録媒体が広く利用されている。
【0003】
これらの記録媒体に記録されたデジタルコンテンツデータは、複製機能を有する記録装置においてユーザが操作することにより、DVDからDVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)へ、DVD−RからDVD−Rへ、あるいはHDDからDVD−Rへなど、複製することが可能である。
【0004】
しかし、複製処理の終了時にはデジタルコンテンツデータが正常に複製されたか否かをユーザは判断できず、複製されたコンテンツデータを再生して異常に気づいたときに再度複製しようとしても複製元のコンテンツデータを既に削除してしまっていることがある。
【0005】
DVD−Rなどの記録媒体の異常を検出する装置として、特許文献1に記載のディスク評価装置がある。
【0006】
この特許文献1に記載のディスク評価装置により、ディスクの品質状態を面ブレ量測定、サーボゲイン測定、ジッタ測定、RFレベル測定、エラーレート測定などを行うことにより定量的かつ自動的に評価することが可能になる。
【特許文献1】実開平6−11122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載のディスク評価装置は高価であり、一般ユーザが入手することは困難であった。
【0008】
また、このディスク評価装置では、記録媒体の物理的特性に関する異常は検出できるが、記録されているコンテンツデータそのものの異常については検出することができず、正常に複製できたか否かはやはり複製されたコンテンツデータを再生しなければ判断できないという問題があった。
【0009】
また、正常に複製されたか否かを判断するため、複製前のコンテンツデータと複製後のコンテンツデータとを比較しようとすると長時間を要するという問題があった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、一般ユーザが手軽に利用可能であり、複製されたコンテンツの異常を高い信頼性で高速に検出することが可能なコンテンツ複製異常検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明のコンテンツ複製異常検出装置(10)は、複製元のディスク記録媒体から読み出されたMPEG2方式で符号化されたコンテンツデータを、複製先のディスク記録媒体に複製した場合における、前記コンテンツデータの複製が正常に行われたか否かを判定するものであり、前記複製元のディスク記録媒体から読み出された、第1のコンテンツデータを入力する第1コンテンツデータ入力手段(101)と、前記第1コンテンツデータ入力手段(101)に入力された第1のコンテンツデータからIピクチャストリームデータを抽出するための抽出条件を記憶する抽出条件記憶手段(102)と、前記抽出条件記憶手段(102)に記憶された抽出条件に従って、前記第1コンテンツデータ入力手段(101)から入力された前記第1のコンテンツデータからIピクチャストリームデータを抽出する第1比較データ抽出手段(103)と、前記第1比較データ抽出手段(103)で抽出されたIピクチャストリームデータを蓄積する第1比較データ蓄積手段(104)と、前記第1比較データ蓄積手段(104)で蓄積された各Iピクチャストリームデータの前記第1のコンテンツデータにおけるアドレス情報を収集し、比較データ識別情報として記憶する比較データ識別情報管理手段(105)と、前記複製先のディスク記録媒体から読み出された、第2のコンテンツデータを入力する第2コンテンツデータ入力手段(106)と、前記比較データ識別情報管理手段(105)に記憶された前記比較データ識別情報のアドレス情報に従って、前記第2コンテンツデータ入力手段(106)から入力された前記第2のコンテンツデータからIピクチャストリームデータを抽出する第2比較データ抽出手段(107)と、前記第2比較データ抽出手段(107)で抽出されたIピクチャストリームデータを蓄積する第2比較データ蓄積手段(108)と、前記第1比較データ蓄積手段(104)に蓄積されたIピクチャストリームデータと前記第2比較データ蓄積手段(108)に蓄積されたIピクチャストリームデータとを比較する比較手段(109)と、前記比較手段(109)における比較の結果、前記第1比較データ蓄積手段(104)に蓄積されたIピクチャストリームデータと前記第2比較データ蓄積手段(108)に蓄積されたIピクチャストリームデータとの間に差異が検出されたときは、この差異が検出された前記第1比較データ蓄積手段(104)に蓄積されているIピクチャストリームデータの画像と前記第2比較データ蓄積手段(108)に蓄積されているIピクチャストリームデータの画像とを同一画面上に表示させるための画面情報を生成する出力情報生成手段(110)とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンテンツ複製異常検出装置によれば、一般ユーザが手軽に利用可能であり、複製されたコンテンツの異常を高い信頼性で高速に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〈一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置の構成〉
本発明の一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置10を有する記録装置1の構成を、図1および図2を用いて説明する。
【0014】
本実施形態における記録装置1は、コンテンツ複製異常検出装置10と、第1DVDドライブ20と、複製手段30と、第2DVDドライブ40とを有する。
【0015】
コンテンツ複製異常検出装置10は、第1バッファ(第1コンテンツデータ入力手段)101と、抽出条件記憶手段102と、第1比較データ抽出手段103と、第1比較データ蓄積手段104と、比較データ識別情報管理手段105と、第2バッファ(第2コンテンツデータ入力手段)106と、第2比較データ抽出手段107と、第2比較データ蓄積手段108と、比較手段109と、出力情報生成手段110とを有する。
【0016】
第1バッファ101は、ユーザにより操作された複製指示を取得することにより、後述する第1DVDドライブ20に挿入されたDVD−ROMに格納されている第1映像音声データ201を読み込んで蓄積する。
【0017】
抽出条件記憶手段102は、複製元のコンテンツデータと複製後のコンテンツデータとを比較するために、複製元のコンテンツデータから抽出するデータの抽出条件を記憶する。
【0018】
抽出条件記憶手段102に記憶されている抽出条件の一例を、図2に示す。
【0019】
図2においては、抽出条件は、抽出するデータの種類はMPEG2方式により圧縮されたコンテンツデータの中のIピクチャストリームデータであり、比較精度は「低」、「中」、「高」の3種類であり、Iピクチャストリームデータの抽出頻度は比較精度が「低」のときは120秒毎、比較精度が「中」のときは60秒毎、比較精度が「高」のときは30秒毎であると設定されている。
【0020】
3種類の比較精度のうちどの比較精度を利用するかは、あらかじめユーザにより選択されている。
【0021】
第1比較データ抽出手段103は、抽出条件記憶手段102に記憶された抽出条件に従って、第1バッファ101に蓄積された第1映像音声データ201内のIピクチャストリームデータである第1Iピクチャストリームデータを、第1映像音声データ201から抽出する。
【0022】
第1比較データ蓄積手段104は、第1比較データ抽出手段103で第1映像音声データ201から抽出された第1Iピクチャストリームデータを蓄積するものであり、記録装置1内のHDD等の記録媒体や半導体記憶装置が利用される。
【0023】
比較データ識別情報管理手段105は、第1比較データ蓄積手段104で蓄積された各第1Iピクチャストリームデータの第1映像音声データ201におけるアドレス情報を収集してテーブルを作成し、比較データ識別情報として記憶する。
【0024】
第2バッファ106は、後述する第2DVDドライブ40に挿入されているDVD−Rに記録された第2映像音声データ401を読み込んで蓄積する。
【0025】
第2比較データ抽出手段107は、比較データ識別情報管理手段105に記憶されている比較データ識別情報のアドレス情報に従って、第2バッファ106に蓄積された第2映像音声データ401内のIピクチャストリームデータである第2Iピクチャストリームデータを、第2映像音声データ401から抽出する。
【0026】
第2比較データ蓄積手段108は、第2比較データ抽出手段107で第2映像音声データ401から抽出された第2Iピクチャストリームデータを蓄積するものであり、記録装置1内のHDD等の記録媒体や半導体記憶装置が利用される。
【0027】
比較手段109は、第1比較データ蓄積手段104に蓄積された第1Iピクチャストリームデータと第2比較データ蓄積手段108に蓄積された第2Iピクチャストリームデータとを比較する。
【0028】
出力情報生成手段110は、比較手段109で比較された結果を外部のモニタなどに表示するための出力情報を生成する。
【0029】
第1DVDドライブ20は、複製元のコンテンツデータである第1のコンテンツデータとしての第1映像音声データ201がMPEG2方式により符号化されて記録されたDVD−ROMを挿入する。
【0030】
複製手段30は、第1バッファ101に蓄積された第1映像音声データ201を複製して複製後のコンテンツデータである第2のコンテンツデータとしての第2映像音声データ401を生成し、後述する第2DVDドライブ40に挿入されているDVD−Rに書き込む。
【0031】
第2DVDドライブ40は、複製手段30において第2映像音声データ401が書き込まれるDVD−Rを挿入する。
【0032】
〈一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置の動作〉
本実施形態におけるコンテンツ複製異常検出装置10の動作について、図3〜図15を参照して説明する。
【0033】
まず、ユーザの操作により第1映像音声データ201の複製指示が入力されると(S1)、第1DVDドライブ20に挿入されているDVD−ROMにMPEG2方式で圧縮され格納されている第1映像音声データ201が、順次第1バッファ101に読み込まれ蓄積される(S2)。
【0034】
次に、第1バッファ101に蓄積された第1映像音声データ201が複製手段30により順次複製されて第2映像音声データが生成される(S3)と共に、第1比較データ抽出手段103において、抽出条件記憶手段102に記憶された図2に示すような抽出条件に従って第1バッファ101に蓄積された第1映像音声データ201から第1Iピクチャストリームデータが抽出される(S4)。
【0035】
本実施形態においては、あらかじめユーザにより図2における比較精度は「低」が選択されており、120秒毎に第1Iピクチャストリームデータが抽出される。
【0036】
第1Iピクチャストリームデータは、MPEG2方式により圧縮された映像データを構成するピクチャタイプ(Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャ)のうち他のPピクチャまたはBピクチャを参照せずに符号化されたフレーム映像データであり、1枚の画像情報をすべてそれ自身が保有しているMPEG2映像ストリームの基準画像データである。
【0037】
ここで、第1映像音声データ201はDVD−ROMから取得されたデータであり、DVD−Video規格による構造が利用されて第1映像音声データ201から第1Iピクチャストリームデータが抽出される。
【0038】
DVD−Video規格によるDVD−ROMに格納された映像音声データの構造について図4〜7を参照して説明する。
【0039】
DVD−ROMに格納された映像音声データは、図4に示すように、DVDプレーヤーにおいて簡単にアクセスができるようにファイル名とディレクトリ名があらかじめ指定されたディレクトリ構造により格納されている。
【0040】
各DVD−ROMに格納されたデータは、ディスク全体に関する情報および全タイトル共通のメニュー情報を格納する1個のビデオマネージャ(VMG)51と、各タイトルに関する情報を格納するn個(nは1以上99以下)のビデオタイトルセット(VTS)52−1〜52−nで構成されている。
【0041】
各ビデオタイトルセット(VTS)52−1〜52−nの中には、ビデオタイトルの映像音声のストリームデータ部分であるビデオオブジェクトセット(VOBS)53−1〜53−nが含まれており、第1バッファ101および第2バッファ106においては該当するタイトルのビデオオブジェクトセット(VOBS)53が読み込まれる。
【0042】
各ビデオオブジェクトセット(VOBS)53の構造を、図5に詳細に示す。
【0043】
ビデオオブジェクトセット(VOBS)53は複数のビデオオブジェクト(VOB)54で構成され、各ビデオオブジェクト(VOB)54は複数のセル55で構成され、各セルは複数のビデオオブジェクトユニット(VOBU)56で構成されている。
【0044】
各ビデオオブジェクトユニット(VOBU)56は、ビデオオブジェクトユニット(VOBU)56を管理する情報を記録したナビゲーションパック(NV_PCK)57で開始され、主映像データを記録したビデオパック(V_PCK)58、音声データを記録したオーディオパック(A_PCK)59、および字幕等の副映像データを記録したサブピクチャパック(SP_PCK)60により構成されている。
【0045】
ビデオオブジェクトユニット(VOBU)56の構造を、図6に詳細に示す。
【0046】
ビデオオブジェクトユニット(VOBU)56内のナビゲーションパック(NV_PCK)57は、パック・ヘッダ61、システム・ヘッダ62、プログラムコントロールインフォメーションパケット(PCI_PKT)63、データサーチインフォメーションパケット(DSI_PKT)64により構成されており、データサーチインフォメーションパケット(DSI_PKT)64の中にはDVDのフォワードスキャンやバックスキャンを代表とするトリックモードに使用される情報が記載されたDSIデータ65が含まれており、このDSIデータ65の情報が利用されてIピクチャストリームデータが抽出される。
【0047】
DSIデータ65の構造を、図7に詳細に示す。
【0048】
DSIデータ65には、VOBUサーチ情報(VOBU_SRI)66およびDSI一般情報(DSI_GI)67が含まれている。
【0049】
VOBUサーチ情報(VOBU_SRI)66には、本DSIデータ65が含まれるビデオオブジェクトユニット(VOBU)56の再生開始時刻の120秒前〜120秒先までの各時刻に再生されるVOBUの先頭アドレスが記述されており、高速でのフォワードスキャン、バックスキャンを可能にしている。
【0050】
また、DSI一般情報(DSI_GI)67には、VOBUの第1リファレンス・ピクチャの終了アドレス(VOBU_1STREF_EA)68が含まれている。
【0051】
このVOBUの第1リファレンス・ピクチャの終了アドレス(VOBU_1STREF_EA)68は、Iピクチャの最終データが記録されているビデオパック(V_PCK)58のアドレスを、本DSIデータ65が記録されているビデオオブジェクトユニット(VOBU)56の先頭論理ブロック(Logical Block)からの相対論理ブロック値(Relative Logical Block Number)で記述されている。
【0052】
上述した構造を持つ第1映像音声データ201から、第1比較データ抽出手段103においてIピクチャストリームデータが120秒ごとに抽出されるときの動作について、図6、図8、図9を参照して説明する。
【0053】
まず、ビデオオブジェクトユニット(VOBU)56の先頭アドレスを示すVOBU先頭アドレス69がVOBUサーチ情報(VOBU_SRI)66から取得される(S21)。
【0054】
次に、取得されたVOBU先頭アドレス69にナビゲーションパック(NV_PCK)57分の2048バイト(1セクタ)が加算された値が、Iピクチャの開始アドレス70として算出される(S22)。
【0055】
次に、VOBUの第1リファレンス・ピクチャの終了アドレス(VOBU_1STREF_EA)68が抽出される(S23)。
【0056】
次に、Iピクチャの開始アドレス70にVOBUの第1リファレンス・ピクチャの終了アドレス(VOBU_1STREF_EA)68が加算された値が、Iピクチャの終了アドレス71として算出される(S24)。
【0057】
次に、ステップS22で算出されたIピクチャの開始アドレス70とステップS24で算出されたIピクチャの終了アドレス71とが指定されることによりIピクチャストリームデータのビデオパック(V_PCK)58が抽出される(S25)。
【0058】
このIピクチャストリームデータからさらにビデオパック(V_PCK)58のヘッダ部分が取り除かれれば、ビデオデータ領域のみが抽出される。
【0059】
次に、第1映像音声データ201が終了していなければ(S26の「NO」)、VOBUサーチ情報(VOBU_SRI)66から、120秒後のビデオオブジェクトユニット(VOBU)56の先頭アドレスを示すVOBU先頭アドレス69が取得される(S27)。
【0060】
ステップS27でVOBU先頭アドレス69が取得されるとステップS22に戻り、再度Iピクチャストリームデータの取得が行われ、第1映像音声データ201が終了するまで(S26の「YES」)繰り返される。
【0061】
以上の処理により、第1映像音声データ201から第1Iピクチャストリームデータのみが高速に抽出される。
【0062】
図3のフローチャートに戻り、ステップS4で抽出された第1Iピクチャストリームデータは、第1比較データ蓄積手段104に蓄積される(S5)。
【0063】
次に、比較データ識別情報管理手段105において、第1比較データ蓄積手段104に蓄積されに蓄積された第1Iピクチャストリームデータの第1映像音声データ201におけるアドレス情報が収集されてテーブルが作成され、比較データ識別情報として記憶される(S6)。
【0064】
比較データ識別情報管理手段105において作成される比較データ識別情報の一例を、図10に示す。
【0065】
図10に示すように、第1比較データ抽出手段103で各第1Iピクチャストリームデータの抽出中に算出されたVOBU先頭アドレス69と、Iピクチャの開始アドレス70と、VOBUの第1リファレンス・ピクチャの終了アドレス(VOBU_1STREF_EA)68と、Iピクチャの終了アドレス71とが比較データ識別情報管理手段105において取得され、比較データ識別情報のテーブルが生成され記憶される。
【0066】
一方、ステップS3で第1映像音声データ201が複製され生成された第2映像音声データ401は、第2DVDドライブ40に挿入されているDVD−Rに順次書き込まれ格納される(S7)。
【0067】
次に、第2DVDドライブ40に挿入されているDVD−Rに格納された第2映像音声データ401が、順次第2バッファ106に読み込まれ蓄積される(S8)。
【0068】
次に、第2バッファ106に蓄積された第2映像音声データ401から、第2比較データ抽出手段107において、比較データ識別情報管理手段105に記憶された比較データ識別情報の各Iピクチャの開始アドレス70とIピクチャの終了アドレス71とに従って第2Iピクチャストリームデータが抽出される(S9)。
【0069】
ここでは、図11に示すように、比較データ識別情報の各Iピクチャの開始アドレス70とIピクチャの終了アドレス71とが参照されることにより第2映像音声データ401内でダイレクトにアクセスされるため、第2Iピクチャストリームデータが高速に抽出される。
【0070】
抽出された第2Iピクチャストリームデータは、第2比較データ蓄積手段108に蓄積される(S10)。
【0071】
次に、比較手段109において第1比較データ蓄積手段104に蓄積された第1Iピクチャストリームデータと第2比較データ蓄積手段108に蓄積された第2Iピクチャストリームデータとが比較される(S11)。
【0072】
比較手段109における比較の結果、第1Iピクチャストリームデータと第2Iピクチャストリームデータとが等しくないと判断されたときは(S12の「NO」)、複製元の第1映像音声データ201と複製後の第2映像音声データ401とに差異があることを示す情報、および比較結果の詳細を表示するか否かを選択させるボタンで構成された出力情報が出力情報生成手段110で生成され(S13)、例えば図12または図13に示すように外部のモニタ等の表示装置に出力される。
【0073】
図12または図13において比較結果の詳細を表示すること(「はい」ボタン)がユーザにより選択されたときは(S14の「YES」)、差異が確認されたポイントの第1Iピクチャストリームデータが複製元の画像として表示され、差異が確認されたポイントの第2Iピクチャストリームデータが複製後の画像として表示される情報、および、再度複製処理を行うか否かを選択させるボタンで構成された出力情報が出力情報生成手段110で生成され(S15)、例えば図14に示すように外部のモニタ等に出力される。
【0074】
比較に利用されたIピクチャストリームデータは、他のピクチャタイプ(Pピクチャ、Bピクチャ)のデータを参照せずに符号化されたフレーム映像データであるため、図14に示すように表示させることが可能である。
【0075】
図14において、表示される複製元の画像または複製後の画像は、差異が確認されたポイントのみの静止画でもよいし、差異が確認されたポイントの前から連続再生させた動画でもよい。また、差異による影響を受けている画像上の範囲を明示して表示させてもよい。
【0076】
図14において、再度複製処理が行われること(「はい」ボタン)がユーザにより選択されたときは(S16の「YES」)、ステップS2に戻り、再度第1映像音声データ201の複製処理および正常に複製が行われたか否かを判定する判定処理が行われる。
【0077】
図14において、再度複製処理が行われること(「いいえ」ボタン)がユーザにより選択されたときは(S16の「NO」)、処理を終了する。
【0078】
また、図12または図13において比較結果の詳細を表示しないこと(「いいえ」ボタン)が選択されたときは(S14の「YES」)、ステップS16に移る。
【0079】
また、比較手段109における比較の結果、第1Iピクチャストリームデータと第2Iピクチャストリームデータとが等しいと判断されたときは(S12の「YES」)、複製元の第1映像音声データ201と複製後の第2映像音声データ401とに差異がなく正常にダビング処理が行われたことを示す出力情報が出力情報生成手段110で生成され(S17)、例えば図15に示すように外部のモニタ等の表示装置に出力される。
【0080】
以上の本実施形態によれば、DVDの映像音声データを複製した際に、DVDビデオ規格の構造を利用することにより映像音声データが正常に複製されたか否かを簡易な装置構成で高速に判断することができる。
【0081】
また、複製元の映像音声データと複製後の映像音声データに差異があったときに、ユーザは差異による映像の影響を視覚で捉えることができる。
【0082】
また、複製元の映像音声データと複製後の映像音声データに差異があったときには複製が再実行されるため、貴重な映像音声データを正常な状態で確実に保存することができる。
【0083】
また、実際には複製が失敗していたにもかかわらずユーザがこの失敗を認識できないことにより、複製元のデータを削除してしまう事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置を有する記録装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置の抽出条件記憶手段に記憶された抽出条件の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置で利用するDVD−ROMに格納された映像音声データの構造を示す説明図である。
【図5】図4のDVD−ROMに格納された映像音声データの中のビデオオブジェクトセットの構造を示す説明図である。
【図6】図5のビデオオブジェクトセットの中のビデオオブジェクトユニットの構造を示す説明図である。
【図7】図6のビデオオブジェクトユニットの中のDSIデータの構造を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置で第1Iピクチャストリームデータが抽出されるときの動作を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置で第1Iピクチャストリームデータが抽出されるときの動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置の比較データ識別情報管理手段に記憶される比較データ識別情報の一例を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置の第2比較データ抽出手段における抽出処理の動作を示す説明図である。
【図12】本発明の一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置の出力情報生成手段で生成される、複製に異常が検出されたときの出力情報が表示されたときの一例を示す画面表示図である。
【図13】本発明の一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置の出力情報生成手段で生成される、複製に異常が検出されたときの出力情報が表示されたときの一例を示す画面表示図である。
【図14】本発明の一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置の出力情報生成手段で生成される、異常の詳細の出力情報が表示されたときの一例を示す画面表示図である。
【図15】本発明の一実施形態によるコンテンツ複製異常検出装置の出力情報生成手段で生成される、複製が正常に行われたときの出力情報が表示されたときの一例を示す画面表示図である。
【符号の説明】
【0085】
1…記録装置
10…コンテンツ複製異常検出装置
20…第1DVDドライブ
30…複製手段
40…第2DVDドライブ
51…ビデオマネージャ(VMG)
52…ビデオタイトルセット(VTS)
53…ビデオオブジェクトセット(VOBS)
54…ビデオオブジェクト(VOB)
55…セル
56…ビデオオブジェクトユニット(VOBU)
57…ナビゲーションパック(NV_PCK)
58…ビデオパック(V_PCK)
59…オーディオパック(A_PCK)
60…サブピクチャパック(SP_PCK)
61…パック・ヘッダ
62…システム・ヘッダ
63…プログラムコントロールインフォメーションパケット(PCI_PKT)
64…データサーチインフォメーションパケット(DSI_PKT)
65…DSIデータ
66…VOBUサーチ情報(VOBU_SRI)
67…DSI一般情報(DSI_GI)
68…第1リファレンス・ピクチャの終了アドレス(VOBU_1STREF_EA)
69…VOBU先頭アドレス
70…Iピクチャの開始アドレス
71…Iピクチャの終了アドレス
101…第1バッファ
102…抽出条件記憶手段
103…第1比較データ抽出手段
104…第1比較データ蓄積手段
105…比較データ識別情報管理手段
106…第2バッファ
107…第2比較データ抽出手段
108…第2比較データ蓄積手段
109…比較手段
110…出力情報生成手段
201…第1映像音声データ
401…第2映像音声データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複製元のディスク記録媒体から読み出されたMPEG2方式で符号化されたコンテンツデータを、複製先のディスク記録媒体に複製した場合における、前記コンテンツデータの複製が正常に行われたか否かを判定するコンテンツ複製異常検出装置において、
前記複製元のディスク記録媒体から読み出された、第1のコンテンツデータを入力する第1コンテンツデータ入力手段と、
前記第1コンテンツデータ入力手段に入力された第1のコンテンツデータからIピクチャストリームデータを抽出するための抽出条件を記憶する抽出条件記憶手段と、
前記抽出条件記憶手段に記憶された抽出条件に従って、前記第1コンテンツデータ入力手段から入力された前記第1のコンテンツデータからIピクチャストリームデータを抽出する第1比較データ抽出手段と、
前記第1比較データ抽出手段で抽出されたIピクチャストリームデータを蓄積する第1比較データ蓄積手段と、
前記第1比較データ蓄積手段で蓄積された各Iピクチャストリームデータの前記第1のコンテンツデータにおけるアドレス情報を収集し、比較データ識別情報として記憶する比較データ識別情報管理手段と、
前記複製先のディスク記録媒体から読み出された、第2のコンテンツデータを入力する第2コンテンツデータ入力手段と、
前記比較データ識別情報管理手段に記憶された前記比較データ識別情報のアドレス情報に従って、前記第2コンテンツデータ入力手段から入力された前記第2のコンテンツデータからIピクチャストリームデータを抽出する第2比較データ抽出手段と、
前記第2比較データ抽出手段で抽出されたIピクチャストリームデータを蓄積する第2比較データ蓄積手段と、
前記第1比較データ蓄積手段に蓄積されたIピクチャストリームデータと前記第2比較データ蓄積手段に蓄積されたIピクチャストリームデータとを比較する比較手段と、
前記比較手段における比較の結果、前記第1比較データ蓄積手段に蓄積されたIピクチャストリームデータと前記第2比較データ蓄積手段に蓄積されたIピクチャストリームデータとの間に差異が検出されたときは、この差異が検出された前記第1比較データ蓄積手段に蓄積されているIピクチャストリームデータの画像と前記第2比較データ蓄積手段に蓄積されているIピクチャストリームデータの画像とを同一画面上に表示させるための画面情報を生成する出力情報生成手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ複製異常検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−160264(P2008−160264A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344211(P2006−344211)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】