説明

コンテンツ転送システムおよびコンテンツ転送方法

【課題】車載HDDに保存のコンテンツを、正当な車両所有者に限って、所有者が同一の他の車両のHDDに転送することのできるコンテンツ転送システムおよびコンテンツ転送方法を提供する。
【解決手段】記録媒体認証部1Aが、格納された車両識別情報にもとづいて記録媒体10が正当な車両所有者のものであると認証し、その記録媒体10の使用時のみ、暗号化許可部2Aが、HDD100に保存のコンテンツの暗号化を許可し、暗号化部3Aが、記録媒体10に格納の権利鍵を用いてコンテンツを暗号化し、転送元車両Aの車両識別情報を付帯させた暗号化コンテンツを生成し、復号化許可部4Bが、転送装置20により転送された暗号化コンテンツに付帯の車両識別情報と一致する車両識別情報が格納された記録媒体10に限って、復号化への使用を許可し、復号化部5Bが、記録媒体10に格納の権利鍵を用いてHDD200に転送された暗号化コンテンツの復号化を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ転送システムおよびコンテンツ転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に設置されるナビゲーション装置やオーディオ装置に、HDD(Hard Disc Drive)を搭載することが行われている。このような車載HDDの利用方法の1つとして、音楽CDなどの記録媒体に記録されたコンテンツをリッピングし、ハードディスクに保存することが挙げられる。ここで、リッピングとは、音楽CDなどに記録されているデジタル形式の音楽データを抽出し、パソコンで処理できるようなファイル形式に変換してハードディスクに保存することである。
【0003】
このようなリッピングは、著作権法上、私的利用の範囲に限って認められている。そのため、通常、リッピングされた音楽データなどのコンテンツを他のHDDなどへ転送することは禁止されている。
【0004】
ところが、車両の場合、車両を買い替えることがあり、その場合、旧車両に搭載のHDDと、新車両に搭載のHDDは、別のHDDであるが、その使用者は同一人であるため、旧車両のハードディスクに保存されているリッピングされたコンテンツを新車両のハードディスクへ転送したいとの要望がある。
【0005】
そのため、従来、車載機に保有された音楽データのコンテンツを適法に別の車載機に転送することができるコンテンツ転送方法およびコンテンツ転送システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
この従来の転送方法では、コンテンツを保有している第1の車載機へ、第2の車載機において作成した公開鍵を転送する。第1の車載機では、その公開鍵を用いてコンテンツ復号化鍵を暗号化し、第2の車載機に転送する。第2の車載機では、その暗号化された復号化鍵を復号化する。これにより、第2の車載機において、第1の車載機から暗号化されて転送されたコンテンツを復号化することができる。
【0007】
しかし、この従来の方法では、第2の車載機における公開鍵の作成が、その車両の所有者でなくても実行できるため、所有者が同一でない車両間でもハードディスクに保存されているリッピングされたコンテンツを転送することが可能、という問題があった。
【特許文献1】特開2007−19688号公報 (第7−8ページ、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、車載HDDに保存されているコンテンツを、正当な車両所有者に限って、自己所有の他の車両のHDDに転送することのできるコンテンツ転送システムおよびコンテンツ転送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、それぞれの車両の正当な所有者に対してのみ交付され、コンテンツの暗号化鍵/復号化鍵として用いられる権利鍵およびそれぞれの車両の車両識別情報が格納された記録媒体と、前記記録媒体に書き込まれた前記車両識別情報と自車の車両識別情報とを比較し、両者が一致すれば前記記録媒体が自車用の正当な記録媒体であると認証する、それぞれの車両に搭載される記録媒体認証手段と、前記記録媒体認証手段により認証された前記記録媒体が使用されたときのみ自車に搭載されているHDDに保存されているコンテンツの暗号化を許可する、それぞれの車両に搭載される暗号化許可手段と、前記暗号化許可手段により暗号化が許可されたときに前記記録媒体に格納の前記権利鍵を用いて前記コンテンツを暗号化し、前記記録媒体に格納の車両識別情報を付帯させた暗号化コンテンツを生成する、それぞれの車両に搭載される暗号化手段と、前記車両識別情報が付帯された前記暗号化コンテンツを他の車両に搭載されているHDDに転送する転送手段と、前記転送手段により転送された前記暗号化コンテンツに付帯された前記車両識別情報と一致する車両識別情報が格納された記録媒体に限って前記暗号化コンテンツの復号化への使用を許可する、それぞれの車両に搭載される復号化許可手段と、前記復号化許可手段により使用が許可された記録媒体に格納の前記権利鍵を用いて前記暗号化コンテンツを復号化する、それぞれの車両に搭載される復号化手段とを備えることを特徴とするコンテンツ転送システムが提供される。
【0010】
また、本発明の別の一態様によれば、転送元車両の正当な所有者が、コンテンツの暗号化鍵/復号化鍵として用いられる権利鍵および転送元車両の車両識別情報が格納された記録媒体の交付を受けるステップと、前記記録媒体が前記転送元車両用の正当な記録媒体であるとの認証を前記転送元車両に搭載された記録媒体認証手段から受けるステップと、前記記録媒体を用いて前記転送元車両に搭載されているHDDに保存されているコンテンツを暗号化することへの許可を前記転送元車両に搭載された暗号化許可手段から受けるステップと、前記転送元車両に搭載された暗号化手段が、前記記録媒体に格納の前記権利鍵を用いて前記コンテンツを暗号化し、前記記録媒体に格納の車両識別情報を付帯させた暗号化コンテンツを生成するステップと、前記車両識別情報が付帯された前記暗号化コンテンツを転送手段により転送先車両に搭載されているHDDに転送するステップと、前記車両識別情報が付帯された前記暗号化コンテンツの復号化に前記転送元車両の車両識別情報が格納された前記記録媒体を使用することへの許可を前記転送先車両に搭載された復号化許可手段から受けるステップと、前記転送先車両に搭載された復号化手段が、前記記録媒体に格納の前記権利鍵を用いて前記暗号化コンテンツを復号化するステップとを備えることを特徴とするコンテンツ転送方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車載HDDに保存されているコンテンツを、正当な車両所有者に限って、自己所有の他の車両のHDDに転送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1に係るコンテンツ転送システムの構成の例を示すブロック図である。本実施例では、所有者が同一である転送元車両Aと転送先車両Bの間において、転送元車両Aのハードディスク100に保存されているコンテンツを転送先車両Bのハードディスク200に転送する場合を例にとって示す。
【0014】
本実施例の転送システムに含まれる各車両は、その所有者が同一であれば、各車両相互間で、内蔵HDDに保存されているコンテンツの転送を行うことができる。その際、転送元車両ではコンテンツの暗号化を行い、転送先車両では、暗号化されたコンテンツの復号化を行う。そのため、各車両には、暗号化処理に関わる機能ブロックと復号化処理に関わる機能ブロックが搭載されている。そこで、図1では、転送元車両Aと転送先車両Bに搭載される同一機能の機能ブロックに対しては、同じ数字で始まる符号を付し、その機能が同一であることを示す。ただし、本実施例では、各機能ブロックは、いずれか1つの車両でしか使用されないので、以降の説明では、使用される車両における機能ブロックを例にとって、その機能ブロックの説明を行う。
【0015】
本実施例では、例えば、車両購入時に、転送元車両Aの正当な所有者に対して、記録媒体10が交付されているものとする。記録媒体10には、コンテンツの暗号化鍵/復号化鍵として用いられる権利鍵および転送元車両Aの車両識別情報が格納されている。
【0016】
権利鍵は、車両に搭載されているハードディスクからコンテンツを出力する権利を車両の所有者に付与するものである。この権利鍵を用いた暗号化を行わない限り、ハードディスクからのコンテンツの出力はブロックされる。なお、権利鍵が有償であれば、所有者はその対価を支払って記録媒体10を購入するものとする。
【0017】
所有者は、この記録媒体10を各自の手元で保管、管理する。
【0018】
転送元車両Aは、転送元車両Aに対して交付された記録媒体10が使用されたときのみ、ハードディスク100に格納されているコンテンツの暗号化を許可する。
【0019】
本実施例のコンテンツ転送システムは、上述の記録媒体10と、記録媒体10に書き込まれた車両識別情報と自車の車両識別情報とを比較し、両者が一致すれば記録媒体10が自車用の正当な記録媒体であると認証する転送元車両Aの記録媒体認証部1Aと、記録媒体認証部1Aにより認証された記録媒体10が使用されたときのみHDD100に保存されているコンテンツの暗号化を許可する転送元車両Aの暗号化許可部2Aと、暗号化許可部2Aにより暗号化が許可されたときに記録媒体10に格納の権利鍵を用いてHDD100に保存のコンテンツを暗号化し、転送元車両Aの車両識別情報を付帯させた暗号化コンテンツを生成する転送元車両Aの暗号化部3Aと、転送元車両Aの車両識別情報が付帯された暗号化コンテンツを転送先車両Bに搭載されているHDD200に転送する転送装置20と、転送装置20により転送された暗号化コンテンツに付帯された転送元車両Aの車両識別情報と一致する車両識別情報が格納された記録媒体10に限って、HDD200に転送された暗号化コンテンツの復号化への使用を許可する転送先車両Bの復号化許可部4Bと、復号化許可部4Bにより使用が許可された記録媒体10に格納の権利鍵を用いてHDD200に転送された暗号化コンテンツの復号化を行う転送先車両Bの復号化部5Bと、を備える。
【0020】
ここで、復号化許可部4Bにより復号化された復号化コンテンツは、HDD200に格納されるものとする。
【0021】
記録媒体10は、例えば、SDカードなどのメモリカードやUSBフラッシュメモリなどの半導体装置、CD−ROMなどの光ディスク、あるいは磁気ディスクなどであり、車載オーディオシステムやカーナビゲーションシステムなどに着脱可能に接続することができる。
【0022】
記録媒体認証部1Aは、記録媒体10が車載オーディオシステムやカーナビゲーションシステムなどに接続されると、記録媒体10に書き込まれた車両識別情報を読み取って、自車の車両識別情報との比較を行う。両方の車両識別情報が一致したときに、記録媒体認証部1Aは、記録媒体10が転送元車両A用の正当な記録媒体である、と認証する。
【0023】
暗号化許可部2Aは、記録媒体認証部1Aにより認証された記録媒体10が使用されたときのみ、HDD100に保存されているコンテンツの暗号化を許可する。
【0024】
転送元車両Aの暗号化部3Aは、暗号化許可部2Aにより暗号化が許可されると、記録媒体10に格納されている権利鍵を用いて、HDD100に保存のコンテンツを暗号化する。
【0025】
このHDD100に保存されているコンテンツに、音楽CDなどのコンテンツ記録媒体からリッピングされたコンテンツが含まれる。
【0026】
転送元車両Aの暗号化部3Aは、この暗号化されたデータに、暗号化に使用した記録媒体10に格納されている転送元車両Aの車両識別情報を付帯させて暗号化コンテンツを生成する。
【0027】
車両識別情報を付帯させることにより、暗号化コンテンツがどの記録媒体を使用して暗号化されたものであるかを識別することができる。
【0028】
転送装置20は、転送元車両Aの車両識別情報が付帯された暗号化コンテンツを転送元車両Aから受け取り、転送先車両Bに搭載されているHDD200に転送する。
【0029】
これにより、転送元車両Aの車両識別情報が付帯された暗号化コンテンツは、転送先車両Bに搭載されているHDD200に格納される。
【0030】
このHDD200に格納された暗号化コンテンツを復号化するには、暗号化の際に使用した権利鍵が必要となる。すなわち、その権利鍵が格納された、転送元車両A用の記録媒体10が必要となる。
【0031】
本実施例では、転送元車両Aと転送先車両Bの所有者は同一であるので、転送先車両Bの所有者は、正当な所有者として、転送元車両A用の記録媒体10を手元に保管、管理している。
【0032】
そこで、HDD200に格納された暗号化コンテンツを復号化するときは、まず、転送先車両Bの車載オーディオシステムやカーナビゲーションシステムなどに、記録媒体10を接続する。
【0033】
転送先車両Bの復号化許可部4Bは、記録媒体10が接続されると、HDD200へ転送された暗号化コンテンツに付帯された車両識別情報と、記録媒体10に格納された車両識別情報と、を比較し、両方の識別情報が一致すれば、HDD200へ転送された暗号化コンテンツの復号化に記録媒体10を使用することを許可する。
【0034】
転送先車両Bの復号化部5Bは、復号化許可部4Bにより記録媒体10の使用が許可されると、記録媒体10に格納された権利鍵を用いて、転送元車両AからHDD200に転送された暗号化コンテンツの復号化を行う。復号化許可部4Bにより復号化された復号化コンテンツは、HDD200に格納される。
【0035】
この復号化コンテンツは、転送元車両AのHDD100に格納されているコンテンツと同じものである。すなわち、転送元車両AのHDD100から転送先車両BのHDD200へコンテンツの転送が行われたことになる。
【0036】
次に、本実施例の転送システムにおけるコンテンツ転送方法について図2を用いて説明する。
【0037】
図2は、本実施例におけるコンテンツ転送方法の処理の流れの例を示すフロー図である。
【0038】
コンテンツ転送処理を行うにあたっては、まず、転送元車両Aの所有者は、コンテンツの暗号化鍵/復号化鍵として用いられる権利鍵および転送元車両Aの車両識別情報が格納されている記録媒体10の交付を受けておく(ステップS01)。
【0039】
次に、転送元車両AHDD100に保存のコンテンツの暗号化を行うために、転送元車両Aの所有者は、記録媒体10を転送元車両Aの車載オーディオシステムやカーナビゲーションシステムなどに接続し、記録媒体10が転送元車両A用の正当な記録媒体であるとの認証を記録媒体認証部1Aから受ける(ステップS02)。
【0040】
記録媒体認証部1Aによる認証が得られると、記録媒体10を用いて転送元車両Aに搭載されているHDD100に保存されているコンテンツを暗号化することに対して、暗号化許可部2Aからの許可が得られる(ステップS03)。
【0041】
暗号化許可部2Aからの許可が得られると、暗号化部3Aが、記録媒体10に格納の権利鍵を用いてHDD100に保存されているコンテンツを暗号化し、記録媒体10に格納の転送元車両Aの車両識別情報を付帯させた暗号化コンテンツを生成する(ステップS04)。
【0042】
暗号化コンテンツの生成が終了すると、転送元車両Aの所有者は、転送元車両Aの車両識別情報を付帯させた暗号化コンテンツを、転送装置20を用いて、自身が所有する転送先車両Bに搭載されているHDD200に転送する(ステップS05)。
【0043】
転送が終了すると、次に、転送先車両Bにおける復号化処理が必要になる。そのとき、暗号化の際に使用した権利鍵が格納された転送元車両A用の記録媒体10が必要となる。転送元車両Aの所有者でもある転送先車両Bの所有者は、この転送元車両A用の記録媒体10を手元に保管、管理している。
【0044】
そこで、この所有者は、転送元車両A用の記録媒体10を転送先車両Bの車載オーディオシステムやカーナビゲーションシステムなどに接続し、転送元車両Aから転送された暗号化コンテンツの復号化に、転送元車両A用の記録媒体10を使用することへの許可を復号化許可部4Bから受ける(ステップS06)。
【0045】
復号化許可部4Bが得られると、復号化部5Bが、記録媒体10に格納された権利鍵を用いて、転送元車両AからHDD200に転送された暗号化コンテンツの復号化を行う(ステップS07)。
【0046】
復号化許可部4Bにより復号化された復号化コンテンツはHDD200に格納され、転送元車両Aから転送先車両Bへのコンテンツ転送処理が終了する。
【0047】
このような本実施例によれば、車載HDDに保存されたコンテンツの出力に必要な権利鍵が格納された記録媒体を、正当な車両の所有者に対してのみ交付するので、正当な車両所有者に限って、車載HDDに保存されているコンテンツを自己所有の他の車両のHDDに転送することができる。
【0048】
また、車載HDDとは別の記録媒体に権利鍵が格納され、この記録媒体が正当な車両所有者の手元で保管、管理されるので、車載HDDに保存されているコンテンツが、正当な車両所有者以外の他人によって出力されることを防止することができる。これにより、リッピングされて車載HDDに保存されているコンテンツの著作権の保護を図ることができる。
【実施例2】
【0049】
IDの付加などによりセキュリティ機能を高めたセキュリティ保護機能付きの半導体装置が、著作権保護などのために用いられる。最近では、指紋認証や指先静脈パターン認証などの生体認証機能により所有者を認証し、その所有者に限って使用を可能とする所有者認証機能付きの半導体記憶装置も実用化されている。
【0050】
そこで、本実施例では、権利鍵を格納する記録媒体として、上述のような所有者認証機能を有するセキュリティ付き半導体記憶装置を用いる例を示す。
【0051】
図3は、本発明の実施例2に係るコンテンツ転送システムの構成の例を示すブロック図である。
【0052】
本実施例が実施例1と異なる点は、実施例1の記録媒体10、記録媒体認証部1Aおよび復号化許可部4Bの代わりに、セキュリティ保護機能付き半導体記憶装置30、記録媒体認証部11Aおよび復号化許可部14Bが、用いられる点である。
【0053】
なお、実施例1と同一の機能のブロックは、図1と同一の符号を付し、ここではその詳細な説明を省略する。
【0054】
セキュリティ保護機能付き半導体記憶装置30には、実施例1で示された権利鍵および転送元車両Aの車両識別情報に加えて、転送元車両A所有者の識別情報が格納されている。
【0055】
このセキュリティ保護機能付き半導体記憶装置30を使用して転送元車両Aにおける暗号化および転送先車両Bにおける復号化を実行する場合、その使用者は、自身の識別情報を入力する必要がある。
【0056】
転送元車両Aの記録媒体認証部1Aは、まず、使用者の識別情報をセキュリティ保護機能付き半導体記憶装置30に格納された転送元車両A所有者の識別情報と比較する。両方の識別情報が一致すれば、セキュリティ保護機能付き半導体記憶装置30の使用者が転送元車両Aの所有者である、と認証する。
【0057】
その後、転送元車両Aの記録媒体認証部1Aは、実施例1と同様、セキュリティ保護機能付き半導体記憶装置30に格納された車両識別情報と自車の車両識別情報とを比較し、両方の車両識別情報が一致すれば、セキュリティ保護機能付き半導体記憶装置30が転送元車両A用の正当な記録媒体である、と認証する。
【0058】
同様に、転送先車両Bの復号化許可部14Bも、セキュリティ保護機能付き半導体記憶装置30使用者の識別情報とセキュリティ保護機能付き半導体記憶装置30に格納された転送元車両A所有者の識別情報との比較試験、および、HDD200へ転送された暗号化コンテンツに付帯された車両識別情報とセキュリティ保護機能付き半導体記憶装置30に格納された車両識別情報との比較試験を行なう。
【0059】
復号化許可部14Bは、この2つの比較試験に合格したときに、初めて、HDD200へ転送された暗号化コンテンツの復号化にセキュリティ保護機能付き半導体記憶装置30を使用することを許可する。
【0060】
このような本実施例によれば、権利鍵および転送元車両の車両識別情報が格納される記録媒体として、転送元車両所有者の識別情報が格納されたセキュリティ保護機能付き半導体記憶装置を用いることにより、転送元車両のHDDに保存されているコンテンツの持ち出しに対するセキュリティを一層強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例1に係るコンテンツ転送システムの構成の例を示すブロック図。
【図2】実施例1のコンテンツ転送システムにおけるコンテンツ転送方法の例を示すフロー図。
【図3】本発明の実施例2に係るコンテンツ転送システムの構成の例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0062】
1A、11A、1B、11B 記録媒体認証部
2A、2B 暗号化許可部
3A、3B 暗号化部
4A、14A、4B、14B 復号化許可部
5A、5B 復号化部
10 記録媒体
20 転送装置
30 セキュリティ保護機能付き半導体記憶装置
100、200 HDD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの車両の正当な所有者に対してのみ交付され、コンテンツの暗号化鍵/復号化鍵として用いられる権利鍵およびそれぞれの車両の車両識別情報が格納された記録媒体と、
前記記録媒体に書き込まれた前記車両識別情報と自車の車両識別情報とを比較し、両者が一致すれば前記記録媒体が自車用の正当な記録媒体であると認証する、それぞれの車両に搭載される記録媒体認証手段と、
前記記録媒体認証手段により認証された前記記録媒体が使用されたときのみ自車に搭載されているHDDに保存されているコンテンツの暗号化を許可する、それぞれの車両に搭載される暗号化許可手段と、
前記暗号化許可手段により暗号化が許可されたときに前記記録媒体に格納の前記権利鍵を用いて前記コンテンツを暗号化し、前記記録媒体に格納の車両識別情報を付帯させた暗号化コンテンツを生成する、それぞれの車両に搭載される暗号化手段と、
前記車両識別情報が付帯された前記暗号化コンテンツを他の車両に搭載されているHDDに転送する転送手段と、
前記転送手段により転送された前記暗号化コンテンツに付帯された前記車両識別情報と一致する車両識別情報が格納された記録媒体に限って前記暗号化コンテンツの復号化への使用を許可する、それぞれの車両に搭載される復号化許可手段と、
前記復号化許可手段により使用が許可された記録媒体に格納の前記権利鍵を用いて前記暗号化コンテンツを復号化する、それぞれの車両に搭載される復号化手段と
を備えることを特徴とするコンテンツ転送システム。
【請求項2】
前記記録媒体が、セキュリティ保護機能付きの半導体記憶装置である
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ転送システム。
【請求項3】
前記記録媒体に所有者識別情報が記録され、
前記記録媒体認証手段および前記復号化許可手段が、それぞれ、前記所有者識別情報にもとづいて前記記録媒体の使用者が正当な所有者であることを認証する
ことを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ転送システム。
【請求項4】
前記HDDに保存されているコンテンツが、コンテンツ記録媒体からリッピングされたデータである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンテンツ転送システム。
【請求項5】
転送元車両の正当な所有者が、コンテンツの暗号化鍵/復号化鍵として用いられる権利鍵および転送元車両の車両識別情報が格納された記録媒体の交付を受けるステップと、
前記記録媒体が前記転送元車両用の正当な記録媒体であるとの認証を前記転送元車両に搭載された記録媒体認証手段から受けるステップと、
前記記録媒体を用いて前記転送元車両に搭載されているHDDに保存されているコンテンツを暗号化することへの許可を前記転送元車両に搭載された暗号化許可手段から受けるステップと、
前記転送元車両に搭載された暗号化手段が、前記記録媒体に格納の前記権利鍵を用いて前記コンテンツを暗号化し、前記記録媒体に格納の車両識別情報を付帯させた暗号化コンテンツを生成するステップと、
前記車両識別情報が付帯された前記暗号化コンテンツを転送手段により転送先車両に搭載されているHDDに転送するステップと、
前記車両識別情報が付帯された前記暗号化コンテンツの復号化に前記転送元車両の車両識別情報が格納された前記記録媒体を使用することへの許可を前記転送先車両に搭載された復号化許可手段から受けるステップと、
前記転送先車両に搭載された復号化手段が、前記記録媒体に格納の前記権利鍵を用いて前記暗号化コンテンツを復号化するステップと
を備えることを特徴とするコンテンツ転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−230480(P2009−230480A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75234(P2008−75234)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221199)東芝マイクロエレクトロニクス株式会社 (376)
【Fターム(参考)】