説明

コンデンサのエージング治具

【課題】 簡素な構造で、給電と給電端子の信頼性が向上するコンデンサのエージング治具を提供することを目的とする。
【解決手段】 複数のコンデンサを短冊状リードフレームに一体形成した製品一体リードコムにおけるリードフレームの2個所と、コンデンサに設けられた陰極端子を、本体フレーム11上に形成した給電ブロック13に整列装着された接点レバー18に挟持して装着し、給電端子14と給電ブロック13に取付けられた引張りバネ17で付勢されかつ回動自在な押えレバー15により圧接保持し、給電板12に取付けた給電経路における保護抵抗24を介して給電する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子部品である接続端子の形成前におけるコンデンサのエージング治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、リードフレームの長手方向に沿って複数個のコンデンサを配列して取付け、適宜の長さの短冊状リードフレームに切断して製品一体リードコムとした接続端子の形成前におけるコンデンサのエージング治具としては、コンデンサ本体の片端に設けられた陰極端子に給電する複数個の汎用コンタクトピンなどによる接点を絶縁板に固定配列し、コンデンサにおける一方の陽極リード線を配列して取付けたリードフレームに給電する複数個の接点レバーを前記絶縁板に固定し、その絶縁板に接合された汎用コンタクトピンなどによる接点と電気的に接続された複数個の接点レバーを備えたエージング治具にて保持しエージング処理を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来におけるコンデンサのエージング治具では、複数個のコンデンサを片縁に配列して取付けた短冊状リードフレームを治具に供給した後、各々個別の陰極端子に給電するための汎用コンタクトピンなどによる接点を、治具内で操作移動させて前記陰極端子に当接し接触させてエージングを行っているため、治具の構造が複雑になっていた。
【0004】さらに、絶縁板に配列された汎用コンタクトピンなどによる接点を陰極端子に当接し接触させる際、発生する押圧力に耐えるように治具の剛性を強くする必要があり、治具が重厚なものになっていた。
【0005】さらに、汎用コンタクトピンなどによる接点の動作が経年変化などで劣化することにより、陰極端子への給電が不安定になったり、汎用コンタクトピンなどによる接点の陰極端子への接触部の汚れにより給電が不安定になるなど、給電端子の信頼性などにも課題を有していた。
【0006】本発明は前記課題を解決しようとするものであり、簡素な構造で、給電と給電端子の信頼性が優れたコンデンサのエージング治具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために本発明のコンデンサのエージング治具は、複数のコンデンサを短冊状リードフレームに配列して取付け、このリードフレームの2個所とコンデンサ本体の一端に設けられたコンデンサの陰極端子を本体フレーム上に形成された高耐熱性の給電ブロックに整列し配設された高耐熱性の接点レバーに装着し、高耐熱性の給電端子と給電ブロックに取付けられた回動自在な高耐熱性の押えレバーにより圧接して保持し、高耐熱性の給電板の給電経路に設けた保護抵抗を介して給電する構成としたものである。
【0008】本発明によれば、コンデンサの陰極端子に汎用コンタクトピンなどによる接点を当接し接触させるための機構を治具内に設ける必要がなく、エージング治具が簡素化し、給電と給電端子の信頼性が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、複数のコンデンサを短冊状リードフレームに配列して取付け、このリードフレームの2個所とコンデンサ本体の一端に設けられたコンデンサの陰極端子を本体フレーム上に形成された給電ブロックに整列し配設された接点レバーに装着し、給電端子と給電ブロックに取付けられた回動自在な押えレバーにより圧接して保持し、給電板の給電経路に設けた保護抵抗を介して給電する構成としてなるコンデンサのエージング治具としたものであり、別途に汎用コンタクトピンが不要で、エージング治具の装着時にコンタクトピンを操作移動させる必要が無く、構成を簡素化できるという作用を有する。
【0010】請求項2に記載の発明は、給電板、接点レバー用の給電ブロック、電気的接続用の導電性配線材料を100〜150℃以上の耐熱性部材により構成してなる請求項1に記載のコンデンサのエージング治具としたものであり、コンデンサと治具自体を一体で加熱しながらエージング処理することができるという作用を有する。
【0011】請求項3に記載の発明は、コンデンサの良否、給電経路の状態をチェックや検査するための検査ランドを給電板の給電端子ランドの近傍に設置した請求項1に記載のコンデンサのエージング治具としたものであり、コンデンサの良否、給電経路の状態を確実にチェックあるいは検査できるという作用を有する。
【0012】以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図7はリードフレームの片縁に配列して取付けられたコンデンサの斜視図であり、2はタンタル材などによる陽極リード線、3は薄板帯状の鉄や黄銅などの金属材でなり所定長さの短冊状に切断されたリードフレーム、1は形成素材にタンタル材などを用いたチップ型のコンデンサであり、絶縁樹脂などにより外装されている。
【0013】そして、4は前記コンデンサ1の外装樹脂の片端面に形成された陰極端子であり、以上により複数個のコンデンサ1を配列して取付けた製品一体リードコム5を形成している。
【0014】すなわち、リードフレーム3の片縁に定間隔で複数個のコンデンサ1の陽極リード線2を一体的に連結した状態で製作したものであり、前記リードフレーム3の長手方向に沿って導電性の金属材などでなる接続端子の形成される前の複数個のコンデンサ1を、定間隔で配列して取付けて適宜の長さの短冊状リードフレームに切断して製品一体リードコム5としているのである。
【0015】図1は本発明の実施の形態におけるコンデンサのエージング治具の構成を示す平面図、図2は同側断面図、図3は同要部構成正面図、図4は図1の裏側の構成要部平面図、図5は同接点レバーの要部正面図、図6R>6は同接点レバーの要部正面断面図である。
【0016】図1〜図6において、11は本体フレームであり、鉄、黄銅などの板状金属材を切断、打抜き、穴あけ、曲げ加工などを行って所定形状に形成している。12は本体フレーム11の下面に密着して載置された給電板であり、例えば100〜150℃以上の耐熱性のある絶縁樹脂板材で成っている。
【0017】本体フレーム11の上面には100〜150℃の耐熱性のある絶縁樹脂材などでなる給電ブロック13が載置されており、その上部には導電性の金属材などでなる給電端子14が取付けられている。
【0018】給電ブロック13の長手方向の両側端部には、前記製品一体リードコム5におけるリードフレーム3の両端位置間の距離に、2個の押えレバー15が回動自在で、かつ支点ピン16および引張りバネ17により付勢されるように取付けられている。
【0019】給電ブロック13には、複数個のコンデンサ1の陰極端子4に対応した位置に穴が設けられており、それぞれ個別で複数の導電性の金属材などでなる接点レバー18が嵌め込まれている。
【0020】そして、給電端子14、押えレバー15および接点レバー18の表面には導電性で耐蝕性、耐摩耗性を有するメッキなどが施されている。給電板12には配線パターン(図示せず)が設けられており、給電端子14と給電板12の配線パターンとの電気的導通をとるために導電性の金属材などでなる接続ボルト19により接続されている。
【0021】接点レバー18の片端は給電板12に取付けられており、給電板12上の配線パターン(図示せず)を経由して接点レバー18に給電できるように接続されている。
【0022】接続ボルト19により接続された給電板12の配線パターンは、導電性の金属材である銅箔などでなる導体パターン22を経由して、給電板12の他方の端部において接続ランド20としてまとめられ、エージング治具へ給電するためのコネクタ(図示せず)に前記給電板12を挿入することにより電気的に接続される。
【0023】複数個(本実施の形態では44個)の各コンデンサ1のリードフレーム3に対応した位置における接点レバー18の配線パターンは、導体パターン23と連結され、給電板12の表面に取付けたそれぞれの保護抵抗24の一端に電気的に接続されている。
【0024】保護抵抗24の他端は、給電板12の縁端部における2個所の導体パターン23に接続されて2個の接続ランド21としてまとめられ、エージング治具に給電するためのコネクタ(図示せず)に同じく電気的に接続される。
【0025】給電ブロック13には、給電板12に形成された複数の配線パターンに対応して、先端部に曲げ加工部を設けたリン青銅、黄銅などの弾性体かつ導電性の金属材でなる複数の接点レバー18が装着されている。
【0026】次にエージングのために製品一体リードコム5を装着する操作について説明する。押えレバー15を図5に示す矢印A方向に駆動させると(駆動機構は図示せず)引張りバネ17の引張力により、押えレバー15は支点ピン16を支点に回動して開放状態に保持される。
【0027】次に、図6に示すように供給チャック30が製品一体リードコム5のリードフレーム3の端部を挟持し、給電ブロック13の上部位置まで移動させる。続いて供給チャック30を移動させ、コンデンサ1の陰極端子4を接点レバー18に摺動させるようにして押し広げ、給電ブロック13内の所定個所にコンデンサ1を挿入する。
【0028】さらに、押えレバー15を矢印Aとは逆の方向に駆動させると、製品一体リードコム5のリードフレーム3が押えレバー15によって給電端子14により押圧され、エージングのための給電回路が構成される。
【0029】以上のように、リードフレーム3を共通端子とし、各々のコンデンサ1における陰極端子4との間に保護抵抗24を介して給電することができる構成としたものであり、汎用コンタクトピンなどによる接点を使用しないためエージング治具の構成を簡素化することができる。
【0030】図3においてC部は給電ブロック13に設けられた窓であり、ここから接点レバー18の一部が露出しており、接点レバー18の開閉に影響されない固定された位置になっているのであり、製品一体リードコム5におけるリードフレーム3の両端に対応した接点レバー18が給電板12の表面に取付けられた保護抵抗25と電気的に接続した導体パターン26を経由して連結した構造で形成されている。
【0031】以上のように、複数の接点レバー18の先端と給電端子14により、製品一体リードコム5におけるリードフレーム3の両端と、複数個の各コンデンサ1における陰極端子4を圧接し保持した状態で所定の直流電圧の印加給電およびコンデンサ1の良否や給電経路の状態の検査チェックを行うのである。
【0032】すなわち、図1に示すコンデンサ1を載置したエージング治具によりエージングする時は、所定の雰囲気例えば85℃の周囲温度に製品一体リードコム5を装着したエージング治具を放置し、直流電源(図示せず)の+側出力をコネクタおよび2個所の接続ランド20を経由して導体パターン22に、同じく−側出力は接続ランド21を経由して導体パターン23に接続し、規定の直流電圧例えば定格電圧値を、そして規定の時間例えば3時間印加し給電するのである。
【0033】エージングの終了した前記エージング治具は常温の雰囲気に移動させて放置し、前記直流電源に代えて検査チェック用交流信号、例えば1kHzの信号源(図示せず)の出力を、2個所の導体パターン22と導体パターン23の間に接続して交流信号を印加する。
【0034】そして、各保護抵抗24,25の両端、すなわち導体パターン22と各導体パターン26あるいは各接点レバー18の間に、検出器の検出端子(図示せず)を当接し、各コンデンサ1と保護抵抗24のインピーダンスで分割した所定の交流出力電圧が検出できれば、各コンデンサ1、本構成および方法のエージング治具、そして給電経路の接触あるいは接続も異常無いと判断するのである。
【0035】そしてまた、接点レバー18と各導体パターン22などに検出器の検出端子を当接し、保護抵抗25を介して各コンデンサ1と保護抵抗24のインピーダンスで分割した所定の交流電圧(一般的に検出器のインピーダンス>>保護抵抗25の抵抗値の関係である)が検出できれば、各コンデンサ1、本構成および方法にて検出できるエージング治具、そして給電経路の接触あるいは接続も異常無いと判断するのである。
【0036】次に、例えば信号源をOFFあるいは開放にして、別個の直流電源による規定の直流電圧を、接点レバー18と接続ランド20が挿入したコネクタに接続している信号源の出力端子の間に印加する。
【0037】そして、前記検出器の当接した検出端子により所定の直流電圧を検出すれば、前記の構成および方法にて検出できない特定個所の一部である前記信号減の出力端子から導体パターン22までの給電経路の接続、あるいは接触などの異常が無いと判断するのである。
【0038】なお、保護抵抗26は製品一体リードコム5のエージング治具への装着あるいは取出し時などに、リードフレーム3と接点レバー18とのショート、あるいはリードフレーム3と接点レバー18とのオープンにより、直流電源や信号源のレベル変動あるいはそれらの機器における損傷や破壊をも防止している。
【0039】なおまた、前記では検出器の検出端子を個々の所定個所に移動し当接させて個別にチェックや検査を行っているが、別途検査ランドを給電板における給電端子ランドの近傍に設置して、前記検出端子によりチェックや検査を行ってもよく、また一方が所定間隔の複数でなる検出端子を使用し、所定の判定値設定による複数同時のチェックや検査を行ってもよい。
【0040】以上、金属材のコムなどによる接続端子を形成される前で、陰極リード線2と陰極端子4でなる各コンデンサ1のエージング後における良否と、リードフレーム3の両端および複数個の各コンデンサ1における陰極端子4と、それぞれに対応した複数個の接点レバー18、そして給電端子14の接触を始めとする、給電経路の接触や接続の状態のチェックや検査を行い、エージングの状態や結果を確認するのである。
【0041】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、コンデンサの陰極端子に汎用コンタクトピンなどによる接点を当接し接触させるための機構を治具内に設ける必要がなく、エージング治具が簡素化され、給電端子の信頼性が向上するという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるコンデンサのエージング治具の平面図
【図2】同側断面図
【図3】同要部構成正面図
【図4】図1の裏側の構成要部平面図
【図5】同接点レバーの要部正面図
【図6】同接点レバーの要部正面断面図
【図7】リードフレームの片縁に配列して取付けられたコンデンサの斜視図
【符号の説明】
1 コンデンサ
2 陽極リード線
3 リードフレーム
4 陰極端子
5 製品一体リードコム
11 本体フレーム
12 給電板
13 給電ブロック
14 給電端子
15 押えレバー
16 支点ピン
17 引張りバネ
18 接点レバー
19 接続ボルト
20 接続ランド
21 接続ランド
22 導体パターン
23 導体パターン
24 保護抵抗
25 保護抵抗
26 導体パターン
30 供給チャック

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のコンデンサを短冊状リードフレームに配列して取付け、このリードフレームの2個所とコンデンサ本体の一端に設けられたコンデンサの陰極端子を本体フレーム上に形成された給電ブロックに整列し配設された接点レバーに装着し、給電端子と給電ブロックに取付けられた回動自在な押えレバーにより圧接して保持し、給電板の給電経路に設けた保護抵抗を介して給電する構成としてなるコンデンサのエージング治具。
【請求項2】 給電板、接点レバー用の給電ブロック、電気的接続用の導電性配線材料を100〜150℃以上の耐熱性部材により構成してなる請求項1に記載のコンデンサのエージング治具。
【請求項3】 コンデンサの良否、給電経路の状態をチェックや検査するための検査ランドを給電板の給電端子ランドの近傍に設置した請求項1に記載のコンデンサのエージング治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2001−250749(P2001−250749A)
【公開日】平成13年9月14日(2001.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−62846(P2000−62846)
【出願日】平成12年3月8日(2000.3.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】