説明

コンデンサ装置

【課題】少ない位置決め回数で製造できるコンデンサ装置を提供する。
【解決手段】正極6bと負極6aを備えているコンデンサ素子4と、正極バスバ8bと、負極バスバ8aと、容器2を備えており、正極バスバ8bが正極6bに接続されているとともに負極バスバ8aが負極6aに接続されている状態のコンデンサ素子4が容器2に収容されており、正極バスバ8bの上端部と負極バスバ8aの上端部が容器2の外に引き出されており、正極バスバ8bと正極6bの接続位置に対向する位置において容器2に正極用貫通孔28bが形成されており、負極バスバ8aと負極6aの接続位置に対向する位置において容器2に負極用貫通孔が形成されている。正極用貫通孔28bから治具10bを挿入して正極バスバ8bと正極6bを接続し、負極用貫通孔から治具10aを挿入して負極バスバ8aと負極6aを接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、コンデンサ素子が容器に収容されているコンデンサ装置と、そのコンデンサ装置の製造方法に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサ素子が容器に収容されているコンデンサ装置が、特許文献1に開示されている。コンデンサ素子は、正極と負極を備えている。コンデンサ素子との電気的接続を得るために、正極バスバと負極バスバが利用される。正極バスバが正極に接続されているとともに負極バスバが負極に接続されている状態のコンデンサ素子が容器に収容されている。正極バスバの端部と負極バスバの端部は容器外に引き出されている。
【0003】
コンデンサ装置を製造する場合、容器外で、正極バスバを正極に接続し、負極バスバを負極に接続する。その後に、正極バスバが正極に接続されているとともに負極バスバが負極に接続されている状態のコンデンサ素子を容器に収容し、コンデンサ素子を容器内で固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−323356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコンデンサ装置とその製造方法によると、位置決め回数が多い。すなわち、容器外で正極バスバと正極を位置決めし、容器外で負極バスバと負極を位置決めし、容器内で容器とコンデンサ素子を位置決めする必要がある。
【0006】
本明細書では、少ない位置決め回数で製造できるコンデンサ装置を開示する。あるいは少ない位置決め回数でコンデンサ装置を製造できる製造方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示するコンデンサ装置は、正極と負極を備えているコンデンサ素子と、正極バスバと、負極バスバと、容器を備えている。正極バスバが正極に接続されているとともに負極バスバが負極に接続されている状態のコンデンサ素子が容器に収容されている。正極バスバの端部と負極バスバの端部は、容器外に引き出されている。正極バスバと正極の接続位置に対向する位置において容器を構成する壁に正極用貫通孔が形成されている。負極バスバと負極の接続位置に対向する位置において容器を構成する壁に負極用貫通孔が形成されている。容器と容器に収容されているコンデンサ素子の間に樹脂が充填されており、その樹脂が正極用貫通孔と負極用貫通孔を閉塞している。
【0008】
このコンデンサ装置は、容器に形成されている正極用貫通孔を利用することによって容器内で正極バスバと正極を接続することができ、容器に形成されている負極用貫通孔を利用することによって容器内で負極バスバと負極を接続することができる。容器内で容器とコンデンサ素子と正極バスバと負極バスバを位置決めすることで製造することができる。少ない位置決め回数で製造することができる。
【0009】
正極用貫通孔と負極用貫通孔の各々が、貫通孔の周囲を取り巻く容器外面に接着されている金属箔で塞がれていることが好ましい。
その場合、正極用貫通孔と負極用貫通孔から容器内に水分が吸収されて容器とコンデンサ素子の間を充填している樹脂に水分が浸透することを防止できる。また、容器とコンデンサ素子の間に樹脂を充填する際に、硬化前の樹脂が正極用貫通孔と負極用貫通孔から容器外に漏れでることもない。
【0010】
上面が開放されている容器を利用する場合、容器に一個の貫通孔を設けることによって製造時に必要とされる位置決め回数を少なくできる。この場合のコンデンサ装置は、正極と負極を備えているコンデンサ素子と、正極バスバと、負極バスバと、上面が開放されている容器を備えている。正極バスバが正極に接続されているとともに負極バスバが負極に接続されている状態のコンデンサ素子が容器に収容されている。正極バスバの端部と負極バスバの端部が容器外に引き出されている。正極バスバと正極の接続位置と負極バスバと負極の接続位置のうちの一方が容器底面に対向しているとともに、その接続位置に対向する位置の底面に貫通孔が形成されている。正極バスバと正極の接続位置と負極バスバと負極の接続位置のうちの他方が開放された容器上面に対向している。容器と容器に収容されているコンデンサ素子の間に樹脂が充填されており、その樹脂が容器底面に形成されている貫通孔を閉塞している。
【0011】
このコンデンサ装置は、容器底面の貫通孔から治具を挿入して底面側のバスバを底面側の電極に接続することができる。また容器上面から治具を挿入して上面側のバスバを上面側の電極に接続することができる。容器内で容器とコンデンサ素子と正極バスバと負極バスバを位置決めすることで製造することができる。少ない位置決め回数で製造することができる。
容器は、容器上面から治具を挿入して上面側のバスバを上面側の電極に接続する際に上面が開放されておればよく、その後は蓋を被せて閉塞してもよい。ここでいう上面が開放されている容器とは、容器自体の上面が開放されていることをいい、蓋によって閉塞されていても、容器自体の上面は開放されているといえる。
【0012】
容器底面の貫通孔が、貫通孔の周囲を取り巻く容器外面に接着されている金属箔で塞がれていることが好ましい。
その場合、容器底面の貫通孔から容器内に水分が吸収されて容器とコンデンサ素子の間を充填している樹脂に水分が浸透することを防止できる。また、容器とコンデンサ素子の間に樹脂を充填する際に、硬化前の樹脂が正極用貫通孔と負極用貫通孔から容器外に漏れでることもない。
【0013】
本明細書に開示されている製造方法は、容器を構成する壁に正極用貫通孔と負極用貫通孔が形成されている容器を準備する工程と、正極と負極を備えているコンデンサ素子を容器に収容する工程と、正極バスバの一端と負極バスバの一端を容器内に挿入する工程と、正極用貫通孔に対向する位置で正極バスバと正極が接触し、負極用貫通孔に対向する位置で負極バスバと負極が接触する位置関係が得られるように、容器に対してコンデンサ素子と正極バスバと負極バスバを位置決めする工程と、正極用貫通孔から治具を挿入して正極バスバと正極を接続し、正極用貫通孔から治具を挿入して負極バスバと負極を接続する工程を備えている。
正極バスバと正極の接続作業と、負極バスバと負極を接続作業は、同時に実施してもよいし、逐次に実施してもよい。
【0014】
本明細書に開示されている他の製造方法は、上面が開放されているとともに底面に貫通孔が形成されている容器を準備する工程と、正極と負極を備えているコンデンサ素子を容器に収容する工程と、正極バスバの一端と負極バスバの一端を容器内に挿入する工程と、貫通孔に対向する位置で、正極バスバと正極、または、負極バスバと負極のうちの一方が接触する位置関係が得られるように、容器に対してコンデンサ素子と正極バスバと負極バスバを位置決めする工程と、貫通孔から治具を挿入して、正極バスバと正極、または、負極バスバと負極のうちの一方を接続する工程と、開放されている上面から治具を挿入して、正極バスバと正極、または、負極バスバと負極の他方を接続する工程を備えている。
換言すれば、底面に形成されている貫通孔に対向する位置で底面側バスバと底面側電極が接触する位置関係が得られるように、容器に対してコンデンサ素子と正極バスバと負極バスバを位置決めする工程と、貫通孔から治具を挿入して底面側バスバと底面側電極を接続する工程と、上面から治具を挿入して上面側バスバと上面側電極を接続する工程を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本明細書に記載されているコンデンサ装置とその製造方法によると、容器とコンデンサ素子と正極バスバと負極バスバを位置決めする回数を少なくすることができる。少ない位置決め回数で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】容器内で、容器とコンデンサ素子と正極バスバと負極バスバを位置決めし、正極バスバを正極に接続し、負極バスバを負極に接続する様子を模式的に示す。ただし、図示の明瞭化のために、容器を仮想線で示している。
【図2】コンデンサ素子の端面近傍の拡大断面を示す。図1のII−II線の高さにおける断面を示す。
【図3】コンデンサ素子の断面図の別例を示す。
【図4】容器内で、正極バスバを正極に接続し、負極バスバを負極に接続する様子を模式的に示す。
【図5】容器とコンデンサ素子の間に樹脂を充填したコンデンサ装置の断面を示す。
【図6】容器内でコンデンサ素子の電極とバスバを接続する別例1を示す。
【図7】容器内でコンデンサ素子の電極とバスバを接続する別例2を示す。
【図8】容器内でコンデンサ素子の電極とバスバを接続する別例3を示す。
【図9】容器とコンデンサ素子の間に樹脂を充填した別のコンデンサ装置の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
下記に示す実施例の主要な特徴を列記する。
(特徴1)コンデンサ素子は、誘電体シートの表面に正極シートが形成されているシートと、誘電体シートの表面に負極シートが形成されているシートを重ねて巻いたものである。
(特徴2)コンデンサ素子は、誘電体シートと正極シートと誘電体シートと負極シートを重ねて巻いたものである。
(特徴3)右端にまで正極シートは伸びてきているけれども負極シートは伸びてきておらず、左端にまで負極シートは伸びてきているけれども正極シートは伸びてきていない状態に重ねられたシートを巻いて、特徴1または2のコンデンサ素子が形成されている。
(特徴4)右端にまで伸びてきている正極シートが巻かれた部分の端面に金属溶射膜が形成されている。巻かれた状態の正極シートと、その端面を覆っている金属溶射膜によってコンデンサ素子の正極が形成されている。
(特徴5)左端にまで伸びてきている負極シートが巻かれた部分の端面に金属溶射膜が形成されている。巻かれた状態の負極正極シートと、その端面を覆っている金属溶射膜によってコンデンサ素子の負極が形成されている。
(特徴6)支持治具を用いて、容器とコンデンサ素子と正極バスバと負極バスバを位置決めする。その支持治具で支持されている状態で、正極バスバと正極を接続し、負極バスバと負極を接続し、容器とコンデンサ素子の間に流動性樹脂を注入して硬化させる。
【実施例】
【0018】
図5は、コンデンサ素子4の負極6aにはんだ30aによって負極バスバ8aが接続されており、コンデンサ素子4の正極6bにはんだ30bによって正極バスバ8bが接続されており、その状態のコンデンサ素子4が容器2に収容されており、コンデンサ素子4と容器2の間に硬化した樹脂34が充填されている状態のコンデンサ装置の断面図を示している。負極バスバ8aと正極バスバ8bが通過するスリットが形成されている蓋を被せて容器2の上面を閉じてもよい。
【0019】
容器2のうちの、負極6aと負極バスバ8aに対向する面に負極用貫通孔28aが形成されており、負極用貫通孔28aは金属箔32aで閉じられている。金属箔32aは、負極用貫通孔28aを取り囲んでいる容器外壁にエポキシ樹脂で接着されている。同様に、正極6bと正極バスバ8bに対向する面に正極用貫通孔28bが形成されており、正極用貫通孔28bは金属箔32bで閉じられている。金属箔32bも、正極用貫通孔28bを取り囲んでいる容器外壁にエポキシ樹脂で接着されている。金属箔32aが容器外壁に接着され、金属箔32bが容器外壁に接着された後に、コンデンサ素子4と容器2の間に液状の樹脂34を流し込み、それを固化することでコンデンサ装置が完成している。負極バスバ8aの一端(この場合は上端)と正極バスバ8bの一端(上端)は容器2の外に引き出されている。
図5のコンデンサ装置は、正極6bと負極6aを備えているコンデンサ素子4と、正極バスバ8bと、負極バスバ8aと、容器2を備えている。正極バスバ8bが正極6bに接続されているとともに負極バスバ8aが負極6aに接続されている状態のコンデンサ素子4が容器2に収容されている。正極バスバ8bの上端部と負極バスバ8aの上端部は、容器2の外側に引き出されている。正極バスバ8bと正極6bの接続位置に対向する位置において容器2を構成する壁に正極用貫通孔28bが形成されている。負極バスバ8aと負極6aの接続位置に対向する位置において容器2を構成する壁に負極用貫通孔28aが形成されている。容器2と容器に収容されているコンデンサ素子4の間に樹脂34が充填されており、樹脂34が正極用貫通孔28bと負極用貫通孔28bを閉塞している。また正極用貫通孔28bと負極用貫通孔28aの各々が、貫通孔の周囲を取り巻く容器2の外面に接着されている金属箔30bと金属箔30aで塞がれていることがわかる。
【0020】
図1は、容器2内で容器2に対してコンデンサ素子4と負極バスバ8aと正極バスバ8bを位置決めし、負極用貫通穴28a(図1では図示されていない)からはんだごて10aとはんだ材12aを挿入してコンデンサ素子4の負極6aと負極バスバ8aをはんだで接続し、正極用貫通穴28bからはんだごて10bとはんだ材12bを挿入してコンデンサ素子4の正極6bと正極バスバ8bをはんだで接続している様子を示す。図示の明瞭化のために、容器2は仮想線で示している。
図4は、正極側についてははんだ30bで正極バスバ8bと正極6bが接続された状態を示している。負極側については、はんだ材12aとはんだこて10aで負極バスバ8aと負極6aを接続している状態を示している。
図示しない支持治具によって、容器2とコンデンサ素子4と正極バスバ8bと負極バスバ8aを、図1と図4に示す位置に位置決めして固定する。その支持治具で支持されている状態で、正極バスバ8bと正極6bを接続し、負極バスバ8aと負極6aを接続し、容器2とコンデンサ素子4の間に流動性樹脂を注入して硬化させる。
図1と図4に示すコンデンサ装置の製造方法は、正極用貫通孔28bと負極用貫通孔28aが形成されている容器2を準備する工程と、正極6bと負極6aを備えているコンデンサ素子4を容器2に収容する工程と、正極バスバ8bの一端(この場合は下端)と負極バスバ8aの一端(下端)を容器2内に挿入する工程と、正極用貫通孔26bに対向する位置で正極バスバ8bと正極6bが接触し、負極用貫通孔26aに対向する位置で負極バスバ8aと負極6aが接触する位置関係が得られるように容器2に対してコンデンサ素子4と正極バスバ8bと負極バスバ8aを位置決めする工程と、正極用貫通孔26bから治具(はんだこて)10bを挿入して正極バスバ8bと正極6bを接続し、負極用貫通孔26aから治具10aを挿入しては負極バスバ8aと負極6aを接続する工程を備えていることがわかる。
【0021】
図2は、コンデンサ素子4の正極6bの近傍の断面図を示している。コンデンサ素子4は、誘電体シート16の表面に正極シート14が形成されているシート18と、誘電体シート22の表面に負極シート20が形成されているシート24を重ねて巻いたものである。正極シート14は右端にまで伸びているが、負極シート20は右端にまでは届いていない。重ねて巻いた状態の右端面には、正極シート14は露出しているが、負極シート20は臨んでいない。重ねて巻いた状態の右端面に溶融金属を溶射して金属膜を形成すると、それが正極6bとなる。正極6bはメタリコンの膜である。
図示はしないが、重ねて巻いた状態の左端面には、負極シート20は露出しているが、正極シート14は臨んでいない。重ねて巻いた状態の左端面に溶融金属を溶射して金属膜を形成すると、それが負極6aとなる。負極6aもメタリコンの膜である。
図3は、別のコンデンサ素子の断面を示している。コンデンサ素子は、正極シート14と誘電体シート16と負極シート20と誘電シート22を重ねて巻いたものである。この場合も、重ねて巻いた状態の右端面に溶融金属を溶射してメタリコン膜を形成すると、それが正極6bとなり、重ねて巻いた状態の左端面に溶融金属を溶射してメタリコン膜を形成すると、それが負極6aとなる。
【0022】
図6は、正極6bと正極バスバ8bの別の接続方法を示している。この方法では、正極6bと正極バスバ8bの間にはんだ箔36を挿入しておく。はんだ箔36は、正極用貫通孔28bに対向する位置に配置しておく。図示の治具10bは加熱された棒であり、正極用貫通孔28bから治具10bを挿入して正極バスバ8bに当接させると、はんだ箔36が溶融して正極6bと正極バスバ8bがはんだ接続される。図示はしないが、同様な方法で、負極6aと負極バスバ8aをはんだ接続することができる。
【0023】
図7は、正極6bと正極バスバ8bの別の接続方法を示している。この方法では、正極バスバ8bに貫通穴8cを設けておく。貫通穴8cは正極用貫通孔28bに対応する位置に設けておく。その穴にはんだ38を充填して正極6bに正極バスバ8bをはんだ接続する。図示はしないが、同様な方法で、負極6aと負極バスバ8aをはんだ接続することができる。
【0024】
図8は、正極6bと正極バスバ8bの別の接続方法を示している。この方法では、正極用貫通穴28bから超音波溶接用ホーン40を挿入して正極6bと正極バスバ8bを超音波溶接する。図示はしないが、同様な方法で、負極6aと負極バスバ8aを超音波溶接することができる。
また図示はしないが、正極用貫通穴28bからレーザ光を照射して正極6bと正極バスバ8bをレーザ溶接してもよい。同様な方法で、負極6aと負極バスバ8aをレーザ溶接することができる。
【0025】
図9のコンデンサ装置は、正極46bと負極46aを備えているコンデンサ素子44と、正極バスバ48bと、負極バスバ48aと、上面が開放されている容器42を備えている。正極バスバ48bが正極46bに接続されているとともに負極バスバ48aが負極46aに接続されている状態のコンデンサ素子44が容器42に収容されている。正極バスバ48bの上端部と負極バスバ48aの上端部は、容器2の外側に引き出されている。正極バスバ48bと正極46bの接続位置は、容器2の底面に対向している。その接続位置に対向する位置の底面に、正極用貫通孔50bが形成されている。負極バスバ48aと負極46bの接続位置は、容器上面に対向しており、容器2の外部から接近することができる。容器42と容器に収容されているコンデンサ素子44の間に樹脂54が充填されており、樹脂54が容器42の底面に形成されている貫通孔50bを閉塞している。貫通孔50bは金属箔52で閉じられている。金属箔52は容器42の外面に接着されている。
このコンデンサ装置も、容器42の内部で、容器42に対してコンデンサ素子44と正極バスバ48bと負極バスバ48aを位置決めした状態で、正極用貫通孔50bから治具を挿入して正極バスバ48bと正極46bをはんだ56bで接続することができる。また開放された容器2の上面から治具を挿入して負極バスバ48aと負極46aをはんだ56aで接続することができる。このコンデンサ装置も、少ない位置決め回数で製造することができる。
図9では、はんだ接続する例を示しているが、図6から図8を参照して説明した各種接続技術を利用することもできる。また、容器42の底面側に負極46aと負極バスバ48aを配置し、容器42の上面側に正極46bと正極バスバ48bを配置してもよい。この場合、底面に形成しておく貫通穴50bが負極用貫通孔となる。この場合も、貫通穴50bを金属箔52で塞いでおいて、樹脂を注入する。
【0026】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0027】
2,42:容器
4,44:コンデンサ素子
6a,46a:負極
6b,46b:正極
8a,48a:負極バスバ
8b,48b:正極バスバ
10a,10b:はんだこて(治具)
12a,12b:はんだ材
28a,28b,50b:貫通穴
30a,30b,56a,56b:はんだ
32a,32b,52:金属箔
34,54:樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極を備えているコンデンサ素子と、
正極バスバと、
負極バスバと、
容器を備えており、
正極バスバが正極に接続されているとともに負極バスバが負極に接続されている状態のコンデンサ素子が容器に収容されており、
正極バスバの端部と負極バスバの端部が容器外に引き出されており、
正極バスバと正極の接続位置に対向する位置において容器を構成する壁に正極用貫通孔が形成されており、
負極バスバと負極の接続位置に対向する位置において容器を構成する壁に負極用貫通孔が形成されており、
容器と容器に収容されているコンデンサ素子の間に樹脂が充填されており、
その樹脂が正極用貫通孔と負極用貫通孔を閉塞していることを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項2】
正極用貫通孔と負極用貫通孔の各々が、貫通孔の周囲を取り巻く容器外面に接着されている金属箔で塞がれていることを特徴とする請求項1のコンデンサ装置。
【請求項3】
正極と負極を備えているコンデンサ素子と、
正極バスバと、
負極バスバと、
上面が開放されている容器を備えており、
正極バスバが正極に接続されているとともに負極バスバが負極に接続されている状態のコンデンサ素子が容器に収容されており、
正極バスバの端部と負極バスバの端部が容器外に引き出されており、
正極バスバと正極の接続位置と負極バスバと負極の接続位置のうちの一方が容器底面に対向しているとともに、その接続位置に対向する位置の底面に貫通孔が形成されており、
正極バスバと正極の接続位置と負極バスバと負極の接続位置のうちの他方が開放された容器上面に対向しており、
容器と容器に収容されているコンデンサ素子の間に樹脂が充填されており、
その樹脂が容器底面に形成されている貫通孔を閉塞していることを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項4】
容器底面に形成されている貫通孔が、貫通孔の周囲を取り巻く容器外面に接着されている金属箔で塞がれていることを特徴とする請求項3のコンデンサ装置。
【請求項5】
容器を構成する壁に正極用貫通孔と負極用貫通孔が形成されている容器を準備する工程と、
正極と負極を備えているコンデンサ素子を容器に収容する工程と、
正極バスバの一端と負極バスバの一端を容器内に挿入する工程と、
正極用貫通孔に対向する位置で正極バスバと正極が接触し、負極用貫通孔に対向する位置で負極バスバと負極が接触する位置関係が得られるように、容器に対してコンデンサ素子と正極バスバと負極バスバを位置決めする工程と、
正極用貫通孔から治具を挿入して正極バスバと正極を接続し、負極用貫通孔から治具を挿入して負極バスバと負極を接続する工程を備えているコンデンサ装置の製造方法。
【請求項6】
上面が開放されているとともに底面に貫通孔が形成されている容器を準備する工程と、
正極と負極を備えているコンデンサ素子を容器に収容する工程と、
正極バスバの一端と負極バスバの一端を容器内に挿入する工程と、
貫通孔に対向する位置で、正極バスバと正極、または、負極バスバと負極のうちの一方が接触する位置関係が得られるように、容器に対してコンデンサ素子と正極バスバと負極バスバを位置決めする工程と、
貫通孔から治具を挿入して、正極バスバと正極、または、負極バスバと負極のうちの一方を接続する工程と、
開放されている上面から治具を挿入して、正極バスバと正極、または、負極バスバと負極の他方を接続する工程と、
を備えているコンデンサ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−62276(P2013−62276A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197973(P2011−197973)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】