説明

コントロールバルブおよびそれを用いた配管網遠隔監視制御システム

【課題】設置が容易であり、調整やメンテナンスに手間がかからないコントロールバルブおよびそれを用いた配管網遠隔監視制御システムを提供する。
【解決手段】コントロールバルブ10は、第一配管接続部170、第二配管接続部170Aと配管110を有し、その配管の略中間には、流体の流量を調整するための弁体120が配置されている。配管における弁体の上流側には第一圧力センサ140が取付けられ、下流側には第二圧力センサ150が取付けられる。弁体の上部には駆動軸134を介して弁体が開閉可能となるように弁体駆動装置130が取付けられる。また第一圧力センサ及び第二圧力センサからの検出データに基づき弁体の駆動量を演算・制御する制御装置200が一体的に具備されている。このコントロールバルブ10を用いて配管網遠隔監視制御システムを構築できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コントロールバルブおよびそれを用いた配管網遠隔監視制御システムに関し、特に、配管網を流れる水等における流体の流量または圧力を任意に制御するためのコントロールバルブおよびそれを用いた配管網遠隔監視制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体制御装置は、単体のバルブと単体のセンサ等から構成されている。すなわち、配管網において流体の流量や圧力を制御する際に、配管網に設置されたバルブに対し、バルブとは別の箇所に単一の機能をもつ流量センサや圧力センサといったセンサを設置し、これらから得られる流量、圧力などの信号値を基に流体の制御が行われている。
【0003】
例えば、従来の流体制御装置としては、1つの圧力センサの計測データを用いることにより配管内における流体の逆流を阻止するとしたものであって、バルブの下流側にバルブの設置箇所とは異なる箇所にセンサとして圧力センサを設置したものがある(例えば、特許文献1)。従来の流体制御装置によると、この圧力センサにより計測された圧力信号の値をあらかじめ定められた圧力信号と比較することで、逆流に至る前にバルブを全閉するように制御して、流体が下流から上流へ逆流するのを未然に防ぐという流体制御を行うことができるとしたものである。
【0004】
【特許文献1】特開平5−274042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の流体制御装置において、流体の制御に使用されるのは、バルブの下流側あるいは上流側で検出される一箇所の圧力の信号に限られる。そのため、配管網内の流量、流速、圧力および流れ方向を計測し、逆流発生防止等のほかの制御を、リアルタイムでより精密に行うといった高度な制御を行うためには、流量計、圧力計、圧力制御弁、流量制御弁、開閉制御弁、逆流防止弁、緊急遮断弁、水撃吸収装置等の個別の設置が必要となるという問題がある。また、従来の流体制御装置を設置する場合、バルブと制御目的に応じた制御機器やセンサを、バルブと異なった箇所にそれぞれ設置し、設置状態に基づいて制御条件を設定しなければならないことから、設置コストおよび手間が大きくかかるという問題がある。さらに、バルブの設置箇所と制御機器やセンサの設置箇所とが異なる箇所にあるので、それらの設置と調整、並びにメンテナンスに時間と費用がかかるという問題がある。
【0006】
このように従来の流体制御装置では、バルブと制御機器やセンサが、それぞれ単体で個別に設置された状態で、その機能を発揮するようになされているため、流体制御装置としてのバルブの故障の診断機能は得られず、わずかに制御機器やセンサ単体の機能の異常がわかる程度であった。従って、配管網の破損の診断や、破損に伴う配管網の必要箇所の緊急閉止等の遠隔での操作は望むべくもなかった。
【0007】
また、配管網内の流量、流速、圧力および流れ方向を監視・制御することを望む場合には、配管網の状態及び配管網に設置される個々の単体設置機器に合わせて、特別に制御プログラムを作成しなければならないので、コストが高いうえに、時間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した種々の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、バルブ、センサ、駆動装置及び制御装置(演算装置・通信装置を含む)を一体的に形成した流体制御装置であるコントロールバルブであって、設置が容易であり、調整やメンテナンスに手間がかからず、さらに、バルブの前後における流体の圧力を常に計測し、任意の設定値との差異を監視・制御することによって、定流量制御、定圧力制御、水撃防止、逆流防止、緊急遮断などの流体制御機能を持ち、かつ、バルブの故障又は故障の発生予知の自己診断が可能であり、制御項目ごとのプログラムの新たな作成が不要なコントロールバルブを提供することである。また、通信手段を用いてパソコン等の外部端末でコントロールバルブの監視、診断および制御が行え、さらに、配管網の監視、破損診断および制御が可能な配管網遠隔監視制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のコントロールバルブは、配管、配管の略中間に配置される弁体、弁体を電気的に駆動するための弁体駆動手段、配管の一方端部と弁体との間に配置される第一圧力センサ、および、配管の他方端部と弁体との間に配置される第二圧力センサを含むバルブと、第一圧力センサおよび/または第二圧力センサからの検出データに基づき、弁体の駆動量を演算して弁体駆動手段を制御する機能を有する制御手段とを有する流体の流れを制御するコントロールバルブであって、配管、弁体、第一圧力センサ、第二圧力センサおよび弁体駆動手段が一体に形成されていると共に第一圧力センサと第二圧力センサとの間に水流抵抗手段を供えたことを特徴とするコントロールバルブである。
【0010】
請求項2に記載のコントロールバルブは、制御手段は、コントロールバルブと一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコントロールバルブである。
【0011】
請求項3に記載のコントロールバルブは、弁体は、ボールバルブ又はゲートバルブの弁体構造よりなり、水流抵抗手段は、配管内であって、第一圧力センサと第二圧力センサとの間に設けられたオリフィス部を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコントロールバルブである。
【0012】
このように、第一圧力センサと第二圧力センサとの間に流体抵抗部を備えることで、第一圧力センサの位置における圧力と第二圧力センサの位置における圧力の圧力差が大きくなることから、流量が明確に分かるという特徴がある。
【0013】
請求項4に記載のコントロールバルブは、配管の内面と第一圧力センサの第一圧力計測面および第二圧力センサの第二圧力計測面とが同一の面を形成するように、第一圧力センサおよび第二圧力センサが配管に取付けられることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のコントロールバルブである。
【0014】
請求項5に記載のコントロールバルブは、弁体は、配管の軸方向に形成される貫通穴を有するボールバルブの弁体構造よりなり、貫通穴は一方端部の径と他方端部の径とが相違するテーパ状に形成され、貫通穴が水流抵抗手段を構成する、請求項1、請求項2および請求項4のいずれかに記載のコントロールバルブである。
【0015】
請求項6に記載の配管網遠隔監視制御システムは、単体または複数の請求項1から請求項4のいずれかに記載のコントロールバルブを用いて配管網を構成するとした配管網遠隔監視制御システムであって、制御手段は通信手段を含み、通信手段を用いて無線回線または公衆回線を介して、単体または複数のコントロールバルブの制御手段からのデータを取得し、コントロールバルブの状態を遠隔監視するために取得したデータを表示する機能と、取得したデータに基づき単体または複数のコントロールバルブへの各種制御データを最適に設定する機能と、取得したデータに基づき単体または複数のコントロールバルブを遠隔制御する機能と、を有する遠隔監視制御手段を備えることを特徴とする、配管網遠隔監視制御システムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載のコントロールバルブによれば、弁体を中心に、配管、第一圧力センサ、第二圧力センサ、弁体駆動装置が一体に形成されており、かつ、第一圧力センサおよび第二圧力センサの検出データに基づいて弁体の駆動量を演算して弁体駆動装置を制御する制御手段を備えているので、定流量制御、定圧力制御、水撃防止、逆流防止、緊急遮断などの流体制御を行うことができ、設置が容易であり、調整やメンテナンスにも手間がかからないという効果がある。加えて、バルブやセンサの位置関係や設置状態に合わせて、新たに制御プログラムを作成する必要がない。さらに、第一圧力センサおよび第二圧力センサの検出値をデータロガーに記録し、現在値と比較・検証することによってコントロールバルブが正常に機能し、流体が正常に流れているかどうかの状況の診断が可能で、バルブの故障発生の予知と自己診断等のできる効果がある。又、第一圧力センサと第二圧力センサとの間に水流抵抗手段を備えたので、各々のセンサによる検知圧力の差がより明瞭となり、流量等の測定精度が向上する。
【0017】
請求項2に記載のコントロールバルブによれば、請求項1の効果に加えて、制御手段は、コントロールバルブと一体に形成されているので、よりコンパクトなコントロールバルブ10となる。
【0018】
請求項3に記載のコントロールバルブによれば、請求項1または請求項2の効果に加えて、配管内であって第一圧力センサと弁体との間に設けられた流体抵抗手段としてのオリフィスによって、弁体が全開時に圧力損失の少ないボールバルブやゲートバルブのフルボアタイプのバルブであっても、第一圧力センサと第二圧力センサのそれぞれの検出圧力の差が大きくなり、流量が明確に分かるという効果がある。
【0019】
請求項4に記載のコントロールバルブによれば、請求項1から請求項3のいずれかの効果に加えて、第一圧力センサおよび第二圧力センサは、配管内の水流の妨げにならないように配置されるので、配管内における乱流やキャビテーションの発生を防止することができるので、より正確な計測値が得られる。
【0020】
請求項5に記載のコントロールバルブによれば、請求項1、請求項2および請求項4のいずれかの効果に加えて、貫通穴が水流抵抗手段を構成するので、全開時にあっても弁体の抵抗が大きくなるためオリフィス部等を特に必要とせずに第一圧力センサと第二圧力センサのそれぞれの検出圧力の差が大きくなり、流量が明確に分かるという効果がある。
【0021】
請求項6に記載の配管網遠隔監視制御システムによれば、請求項1から請求項5のいずれかのコントロールバルブの効果に加えて、通信手段を用いて無線回線または公衆回線を介して、単体または複数のコントロールバルブのデータを取得し、表示する機能を有するので、遠隔監視制御装置により絶えず配管網に設置された単体または複数のコントロールバルブ内の流体の流量、圧力、流れの方向の遠隔による監視が可能である。すなわち、各々のコントロールバルブが正常に機能しているかどうかの判断が遠隔でできる効果があると共に、単体または複数のコントロールバルブが設置されている配管網が、正常に機能しているかの判断をも遠隔でできる効果がある。これによって、例えば、自然災害や事故等のときに、配管網内の被災箇所をいち早く発見し、被災箇所のコントロールバルブの緊急閉止や、逆に被災した配管を迂回して、正常な配管を判別・特定し、特定された正常な配管を用いて、緊急の消火用水や飲料水の供給ができる等、災害時のライフラインの確保にも効果を発揮する。
【0022】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図1から図9により、この発明の実施形態の例を説明する。
【0024】
図1はこの発明の第1の実施の形態によるコントロールバルブの断面図および制御装置、遠隔監視制御装置を含めた構成図である。このコントロールバルブ10は、バルブ100と制御装置(弁体駆動装置130の制御手段)200とを有し、バルブ100と制御装置200とが一体として形成されている。また後述する如く、制御装置200に通信機能を備えることにより、遠隔監視制御装置250が、例えば、無線回線または公衆回線を介して接続されている。
【0025】
バルブ100は、円筒形の配管110を有し、この配管110の略中間には、流体の流量を調整するための弁体120が配置される。弁体120は、少なくとも配管110の内径よりも大きな径の球体状に形成されており、配管110の内径と略同一の径による貫通穴122が配管110と軸中心が同一方向に向けられるように設けられている。このような弁体120としては、例えば、ボールバルブの弁体が用いられる。
【0026】
弁体120の上部には、弁体駆動装置130が取付けられている。
【0027】
弁体駆動装置130は、駆動手段132、筒部134、駆動軸136および軸受138により構成されている。弁体駆動装置130における上部には、駆動手段132が配置される。駆動手段132としては、例えば、ギアドモータが用いられる。そして、駆動手段132の下部と筒部134の上端部とが接続される。続いて、筒部134の下端部が配管110と垂直に接続される。この筒部134の内部には、駆動軸136が軸受138で支えられた状態で回動自在に配置されている。また、駆動軸136の上端部と駆動手段132におけるギアドモータとが接続され、駆動軸136の下端部と弁体120の上部とが接続される。よって、弁体駆動装置130における駆動手段132のギアドモータが回転することで、駆動軸136を介して弁体120を回転させることができ、結果、バルブ100の開閉制御を行うことができる。
【0028】
配管110の一方端部においては円形フランジ状の第一配管接続部170が、配管110の他方端部には円形フランジ状の第二配管接続部170Aが各々形成されており、第一配管接続部170および第二配管接続部170Aには配管同士を接続するためにボルト等が挿入できるように取付孔172および取付孔172Aが周方向に複数設けられる。配管110における弁体120の上流側、即ち第一配管接続部170側には、第一圧力センサ140が取り付けられ、弁体120の下流側には、第二圧力センサ150が取り付けられる。
【0029】
第一圧力センサ140および第二圧力センサ150は、それぞれ弁体120を中心にお互い略等間隔の位置に取付けられる。また、第一圧力センサ140は、弁体120と第一配管接続部170との略中間の位置に取り付けられ、第二圧力センサ150は、弁体120と第二配管接続部170Aとの略中間の位置に取り付けられるが、これらは必ずしも中間位置でなくても良い。尚、そして、配管110におけるそれぞれの圧力センサの取り付け位置においては、それら圧力センサが取り付けられる大きさの第一くぼみ部114および第二くぼみ部116が形成される。
【0030】
ここで、第一圧力センサ140および第二圧力センサ150に用いられる圧力センサとしては、例えば、有機/無機ナノゴム感圧センサによる圧力センサが用いられる。この圧力センサは、外部圧力に応じて非常に敏感に、かつ線形的に電気抵抗が変化する特徴と、センサをコンパクトに形成できる特徴がある。なお、圧力センサは、有機/無機ナノゴム感圧センサに限らず、同等の機能を有する他の圧力センサでもよい。
【0031】
また、第一圧力センサ140および第二圧力センサ150における第一圧力計測面142および第二圧力計測面152が、配管110の内面112と同一の面を形成するように、第一くぼみ部114および第二くぼみ部116に第一圧力センサ140および第二圧力センサ150がそれぞれ配置される。そのため、第一圧力センサおよび第二圧力センサは、配管内の水流の妨げにならないように配置されるので、配管内における乱流やキャビテーションの発生を防止することができるので、より正確な計測値が得られる。
【0032】
配管110における第一圧力センサ140と弁体120との間の配管110内には、水流抵抗部(水流抵抗手段)としてオリフィス部160が設けられ、配管110の内径の大きさ(配管の断面積)を部分的に小さくする機能を有する。このオリフィス部160の設けられる位置と第二圧力センサ150の配置される位置との間の距離は、第一圧力センサ140と第二圧力センサ150との差圧が明瞭に求めることができるだけの大きさの間隔が確保される。さらに、配管110において、オリフィス部160の設けられる位置は、第二圧力センサ150に対する乱流および二層流の影響を最小限に抑えるために、第二圧力センサ150の取付け位置から離れていることが望ましい。
【0033】
以上の如く、コントロールバルブ10は、第一配管接続部170、第二配管接続部170A、配管110、弁体120、第一圧力センサ140、第二圧力センサ150、弁体駆動装置130、制御装置200が一体に形成されている。尚、コントロールバルブ100と制御装置200とは別体としても良いが、一体とすることにより、よりコンパクトなコントロールバルブ10となる。
【0034】
制御装置200は、第一圧力センサ140および第二圧力センサ150において計測された圧力計測データ140a,150aを取得し、その圧力計測データ140a,150aに基づいて、弁体120を駆動すべき駆動量を算出し、その算出されたデータを弁体駆動装置130に送信する機能を有している。また、駆動量を算出する際に比較される設定された差圧および圧力の値が、制御装置200のデータベースに格納されたデータとして記憶されている。
【0035】
第一圧力センサ140および第二圧力センサ150によって計測されたそれぞれの圧力計測データ140a,150aが制御装置200で取得されると、制御装置200では、取得された圧力計測データ140a,150aであるアナログデータが、A/D変換されることでデジタルデータに変換される。さらに、変換されたデジタルデータは、圧力値に変換されてから、それぞれの圧力値に基づいて差圧が求められる。そして、求められた差圧からデータベースに格納されたデータに基づいて配管内における流量が算出される。
【0036】
制御装置200では、算出された差圧データとあらかじめ設定された差圧データとの比較に基づいて、弁体駆動装置130において駆動すべき弁体120の駆動量データ200aが算出される。そして、算出された駆動量データ200aが制御装置200から弁体駆動装置130に送信される。弁体駆動装置130は、送信された駆動量データ200aに基づいて、弁体120を駆動し必要とする流量を確保する。ここで、確保した流量を一定に維持するために、設定された差圧データよりも算出された差圧データが低い場合は、流量不足であるため弁体120は開くように、つまり、配管110と貫通穴122との軸中心の向きが一致する方向に駆動する。また、設定された差圧データよりも算出された差圧データが高い場合は流量過多であるため弁体120は閉じるように、つまり、配管110と貫通穴122との軸中心の向きが垂直となる方向に駆動する。併せて臨界制動を行い、動作を安定させる。
【0037】
また、第二圧力センサ150で計測された圧力値が第一圧力センサ140で計測された圧力値よりも大きくなった場合、即ち、求められた差圧の値が負の値となった場合は、配管110内の流れが下流側から上流側へ逆流しているものと制御装置200において判断される。この場合、逆流を防止するために制御装置200から弁体駆動装置130に対してバルブ100の弁体120が閉まるように駆動するように、駆動量データ200aが送信される。
【0038】
遠隔監視制御装置250は、単体または複数のコントロールバルブ10の制御装置200が取得したデータ、通信手段を用いて無線回線または公衆回線を介して取得する機能と表示する機能とを有する。また、取得したデータに基づき、演算を行い、単体または複数のコントロールバルブ10の弁体駆動装置130を個々に駆動させるために必要なデータを送信する機能を有しているので、単体または複数のコントロールバルブ10をそれぞれに遠隔制御することが可能となる。
【0039】
なお、データを表示する機能は、パソコンや携帯端末に備えるようにしてもよい。また、遠隔監視制御装置250は、取得したデータに基づき単体または複数のコントロールバルブ10への各種制御データを最適に設定する機能を備えてもよい。
【0040】
以下、本実施形態における制御装置の制御フローについて詳細に説明する。
【0041】
図2は、第一圧力センサ140による計測に伴う本実施形態の制御フローを示す。第一圧力センサ140および第二圧力センサ150から制御装置200に計測データが送られてきたとき、制御装置200は、その計測データの大小からコントロールバルブ10の水流の流れ方向を判断する。即ち、第一圧力センサ140の計測データが第二圧力センサ150の計測データより大きい場合は、第一圧力センサ140側が上流と判断する。このようにして、水流が第一圧力センサ140から第二圧力センサ150の方向に流れている(水流正)場合(S1でYES)には、第一圧力センサ140の計測値が、一定時間:T毎にサンプリングされる(S2)。
【0042】
逆に、水流が第二圧力センサ150から第一圧力センサ140の方向に流れている場合(S1でNO)は、第一圧力センサ140が下流側として出口圧力の計測を行う(S31、図3)。
【0043】
サンプリングされた計測値は、A/D変換され、続いて圧力値に変換される(S3)。そして、第一圧力センサ140で計測された圧力値:APが得られ、記録される(S4)。続いて、サンプリング毎の圧力差の値:ΔPが求められる(S5)。設定された時間当たりの第一圧力センサ140により計測された圧力値の変化量を算出するためである。
【0044】
ここで、まず、設定された時間:T当たりの圧力下降限界値:ΔPdn(S6)とΔPとの比較が行われる(S7)。ΔP<ΔPdnの場合(S8)、圧力が急激下降しているものと判断され(S9)、一定時間:Taの間、弁体120の開度が保持されるように制御装置200から弁体駆動装置130に対して指令が出される(S10)。
【0045】
また、設定された時間:T当たりの圧力上昇限界値:ΔPup(S11)とΔPとの比較が行われる(S12)。ΔP>ΔPupの場合(S13)、圧力が急激上昇しているものと判断され(S14)、一定時間:Taの間、弁体120の開度が保持されるように制御装置200から弁体駆動装置130に対して指令が出される(S15)。
【0046】
また、ΔP≧ΔPdn(S16)又はΔP≦ΔPup(S17)の場合、即ちΔPとΔPdnとがほぼ等しい場合には、圧力は安定しているものと判断され(S18)、バルブは、現状が維持されるように制御される(S19)。
【0047】
さらに、上記の処理と並行して、第一圧力センサ140で計測された圧力値:AP(S4)が、配管110の圧力の低下を検知し、設定された下降限界設定値:APdn(S20)と比較が行われる。そして、AP≦APdn(S21)となるように計測された結果、下降限界設定値以下に達したものと判断され(S22)、逆流を防止するために、弁体120を閉めるように制御装置200から弁体駆動装置130に対して指令が出される(S23)。
【0048】
また、この第一圧力センサ140における制御フローによって発生する弁体120に対する制御装置200から弁体駆動装置130への指令は、次に述べる第二圧力センサ150による制御フローによって発生する指令よりも優先して制御される。それはコントロールバルブ10による事故防止の機能のためである。
【0049】
図3は、第二圧力センサ150による計測に伴う本実施形態の制御フローを示す。
【0050】
上述のように第一圧力センサ140の計測データと共に第二圧力センサ150より制御装置200に計測データが送られてきたとき、水流が第一圧力センサ140から第二圧力センサ150の方向に流れている(水流正)と判断された場合(S30でYES)は、第二圧力センサ150の計測値が、一定時間:T毎にサンプリングされる(S31)。逆に、水流が第二圧力センサ150から第一圧力センサ140の方向に流れていると判断された場合(S30でNO)は、第二圧力センサ150が上流側として入口圧力の計測を行う(S2、図2)。サンプリングされた計測値は、A/D変換され、続いて圧力値に変換される(S32)。そして、第二圧力センサ150で計測された圧力値:BPが得られ、記録される(S33)。
【0051】
ここで、本実施形態では、定流量制御と定水圧制御とを切替えて制御可能であるが、最初に、定流量制御について述べる。
【0052】
まず、第二圧力センサ150で計測された圧力値:BPが記録されると、第一圧力センサ140で計測された圧力値:APとの差圧:DPが求められる(S34)。これは本コントロールバルブ10を通過する流量を算出するためである。
【0053】
続いて、希望の流量を得るために設定された差圧設定値:DPdef(S35)との比較が行われる(S36)。流量制御には、この差圧設定値:DPdefが用いられる。
【0054】
DP<DPdefの場合(S37)、流量が所望の量より少ないと判断され(S38)、一定時間:Tdの間、弁体120が開くように制御装置200から弁体駆動装置130に対して指令が出される(S39)。また、DP=DPdefの場合(S40)、流量が所望の量となっているものと判断され(S41)、一定時間:Tdの間、弁体120の開度が保持されるように制御装置200から弁体駆動装置130に対して指令が出される(S42)。
【0055】
さらに、DP>DPdefの場合(S43)、流量が所望の量より多いと判断され(S44)、一定時間:Tdの間、弁体120が閉まるように制御装置200から弁体駆動装置130に対して指令が出される(S45)。
【0056】
次に、定水圧制御について述べる。まず、第二圧力センサ150で計測された圧力値:BPと設定された希望の圧力値:Pconstとが比較される(S51)。BP<Pconstの場合(S52)、圧力が所望の圧力より低いものと判断され(S53)、一定時間:Tbの間、弁体120が開くように制御装置200から弁体駆動装置130に対して指令が出される(S54)。また、BP=Pconstの場合(S56)、圧力は安定しているものと判断され(S56)、一定時間:Tbの間、弁体120の開度が保持されるように制御装置200から弁体駆動装置130に対して指令が出される(S57)。さらに、BP>Pconstの場合(S58)、圧力が所望の圧力より高いものと判断され(S59)、一定時間:Tbの間、弁体120が閉まるように制御装置200から弁体駆動装置130に対して指令が出される(S60)。
【0057】
図4は制御装置200を構成しているI/Oコントローラに対する本実施形態の制御フローを示す。弁体駆動装置130に対して上述の図2および図3のフローによって弁体120の駆動に関する指令がされると、制御装置200の一部を構成しているI/Oコントローラ(S70)から弁体駆動装置130に対して駆動量データが送信され、弁体120の制御が行われる(S71)。また、I/Oコントローラは、第一圧力センサ140の計測値、第二圧力センサ150の計測値、そのほか、弁体駆動装置130への弁体120の駆動に関する指令のデータのログデータを記録する(S72)。このログデータは、運転記録として記録され、例えば、異常発生時の解析等に利用される(S73)。さらに、I/Oコントローラにおいて、異常設定時間以上の間、弁体120の開指令または閉指令が連続した場合は、異常とみなし(S74)、続いて、異常通報が行われる(S75)。
【0058】
このコントロールバルブ10では、バルブ100の配管110において弁体120をはさんで上流側と下流側に第一圧力センサ140および第二圧力センサ150を配置していることから、それぞれの圧力計測データ140a,150aを用いて得られる差圧から流量を算出することができる。また、算出された差圧データとあらかじめ設定された差圧の設定値とを比較することで、配管内において定流量となるような制御をすることが可能となる。
【0059】
また、第二圧力センサ150において計測された圧力計測データ150aから得られる圧力値が一定となるようにバルブ100の弁体120を駆動するように制御することで、バルブ100の二次側の圧力を一定圧に保つよう制御することが可能である。よって、バルブの下流側における配管系統において、一定圧以下の加圧状態を確保することができる。
【0060】
さらに、第一圧力センサ140と弁体120との間にオリフィス部160が形成されることで、第一圧力センサ140における動水圧と第二圧力センサ150における動水圧との圧力差が大きくなることから、第一圧力センサ140と第二圧力センサ150とにより計測された圧力計測データ140a,150aから差圧を明瞭に求めることができるので、より精度よく流量を算出することができる。また、算出された差圧の値が正から負へ変化するときは、配管110内の流れが下流側から上流側へ逆流する可能性があると制御装置200で判断することで、バルブ100の弁体120が閉まるように制御できることから、流体における逆流の防止のための制御も可能である。また、上述のように第一圧力センサ140および第二圧力センサ150より算出された圧力値の大小を比較することで、配管110内の流れの向きを把握することが可能である。
【0061】
さらに、制御装置200が、第一配管接続部170、第二配管接続部170A、配管110、弁体120、第一圧力センサ140、第二圧力センサ150、弁体駆動装置130とともに一体に形成されているので、コントロールバルブ10のみを設置するだけで、水流の制御に必要な圧力センサといった各種センサも含めて一度に設置することが可能であり、初期の費用が大幅に軽減される。また、圧力センサのメンテナンス箇所がコントロールバルブ10という同一箇所にまとめられることから、メンテナンスにかかる時間と費用の軽減となるほか、装置の信頼性の向上にも寄与する。
【0062】
また、遠隔監視制御装置250は、無線回線または公衆回線を介して、単体または複数のコントロールバルブ10におけるデータを取得し、表示する機能を有するので、単体または複数のコントロールバルブ10内の流体の流量、圧力および流れの方向等の遠隔による集中監視が可能である。また、単体または複数のコントロールバルブ10の制御データを設定することが可能である。従って、設定された制御データに基づき、単体または複数のコントロールバルブ10の弁体駆動手段を集中制御することができ、コントロールバルブ10を配管網に設置することによって、自然災害や事故等で破損を受けた配管箇所をいち早く発見すると共に、被災箇所のコントロールバルブ10を閉止し、逆に、被災した配管を迂回する正常な配管を判別し、これを使って緊急の消火用水や飲料水の供給等を可能とすることができる。
【0063】
コントロールバルブ10では、配管110内に配置された第一圧力センサ140および第二圧力センサ150における第一圧力計測面142および第二圧力計測面152が、配管110の内面112と同一の面を形成するように、配管内の水流の妨げにならないように配置されるので、圧力センサの設置による乱流やキャビテーションの発生を防止し、より正確な計測値が得られる。
【0064】
また、遠隔監視制御装置250は、第一圧力センサ140および第二圧力センサ150において計測された圧力計測データ140a,150aから得られるそれぞれの圧力値を時系列にログデータとして記録することで、第一圧力センサ140および第二圧力センサ150の圧力値の時系列変化の状態を検出することが可能となる。さらに、記録された圧力値の時系列のログデータに基づいて、例えば、単位時間当たりの圧力値の変化の割合を求めることで、その変化の割合の値がある設定値より大きくなったときには、バルブ100の作動状態になんらかの異常が発生したものと診断することが可能となる。このように、バルブ100の作動状態を監視できるようにすることで、バルブ100が故障する前に交換することも可能となり、事故の未然防止が可能となる。
【0065】
また、第一圧力センサ140において計測された圧力計測データ140aから得られる圧力値のログデータにおいて、バルブ100の閉止動作時の圧力上昇の検出が見られた場合には、あらかじめ圧力急変時にバルブ100の閉止時間を延ばすように弁体120を駆動するように制御することで、水撃作用を防止することが可能である。
【0066】
さらに、第一圧力センサ140において計測された圧力計測データ140aから得られる圧力値のログデータにおいて、バルブ100の開動作時の圧力降下の検出がみられた場合には、あらかじめ圧力急変時にバルブ100の開動作時間を延ばすように弁体120を駆動するように制御することで、配管内の急激な圧力降下を防止することも可能である。
【0067】
尚、これらの制御は、遠隔監視制御装置250のみならず、制御装置200によっても同様に達成することができる。
【0068】
次に、図5を参照して、この発明の第1の実施の形態によるコントロールバルブを用いた貯水装置を説明する。
【0069】
図5に示す貯水装置12は、図1の実施例から遠隔監視制御装置250を除き、さらに、送水管300、貯水タンク400および第三圧力センサ410が構成要素として追加されたものである。また、図1の実施例における制御装置200は、図5においては、A/D変換装置202、演算装置204および開度制御装置206として構成され、これらは、バルブ100に一体的に取付けられているが、別体としても良い。
【0070】
送水管300は、バルブ100の下流側の第二配管接続部170Aにおいて、ボルト等を用いて接続され、貯水タンク400に水を送水するために設けられている。貯水タンク400は、送水管300を介して送水されてきた水を一時的に溜め置く機能を有する。第三圧力センサ410は、貯水タンク400の内部底面402上に配置されている。そして、貯水タンク400内に溜め置かれた水による水圧を計測するための機能を有しており、この第三圧力センサ410により計測された水圧の圧力計測データ410aを用いることにより水位が算出される。
【0071】
A/D変換装置202は、第一圧力センサ140、第二圧力センサ150および第三圧力センサ410において計測された圧力計測データ140a,150a,410aを取得し、デジタルデータ140b,150b,410bに変換する機能を有する。
【0072】
演算装置204は、A/D変換装置202において出力される圧力計測データ140a,150a,410aのデジタルデータ140b,150b,410bを取得し、記録する機能を有し、記録されたデジタルデータ140b,150b,410bから圧力値を算出する機能を有する。そして、算出された圧力値に基づいて、弁体を駆動すべき制御内容が決定され、弁体120を駆動するための駆動量データ204aを算出し、開度制御装置206に対して送信する。また、駆動量データ204aを算出する際に比較される設定された差圧および圧力の設定値が、演算装置204のデータベースに格納されたデータとして記憶されている。
【0073】
開度制御装置206は、送信された駆動量データ204aを取得し、さらに、弁体120を駆動するために必要な駆動量データ206aとして弁体駆動装置130に送信する機能を有する。
【0074】
弁体駆動装置130は、送信された駆動量データ206aに基づいて、弁体120を駆動する。
【0075】
以下、より詳細に演算装置204で処理される処理内容について述べる。演算装置204では、第一圧力センサ140および第二圧力センサ150のデジタルデータ140b、150bから算出されたそれぞれの圧力値の差を求めることで、差圧が算出される。続いて、算出された差圧の値から、流量データが算出される。また、演算装置204では、第三圧力センサ410の圧力計測データ410aのデジタルデータ410bから算出された圧力値から、貯水タンク400における水位データが算出される。
【0076】
続いて、上記算出された差圧および水位データを利用して弁体の駆動量が算出されるわけであるが、その前に、演算装置204において、あらかじめ希望する差圧、圧力および水位の値が設定され、データベース等に記憶される。それによって、それら設定された差圧、圧力および水位の設定値と算出された差圧、圧力および水位のデータとを、それぞれ比較することにより、弁体120を駆動すべき駆動量データ204aを算出することができる。すなわち、あらかじめ設定された差圧の設定値と算出された差圧データとを比較したとき、算出された差圧データが低い場合は、バルブ100の弁体120が開くように駆動するような駆動量データ204aが算出される。また、算出された差圧データが高い場合は、バルブ100の弁体120が閉じるように駆動するような駆動量データ204aが算出される。算出された駆動量データ204aは、開度制御装置206に送信される。
【0077】
また、あらかじめ設定された水位の設定値と算出された水位データとを比較したとき、水位が下がってきたと認められたときは、バルブ100の弁体120を開くことで水を供給できるように、弁体120が駆動するような駆動量データ204aが算出される。また、設定された水位の設定値になったと認められたときは、バルブ100の弁体120が閉じるように駆動するような駆動量データ204aが算出される。それぞれ算出された駆動量データ204aは、開度制御装置206に送信される。
【0078】
さらに、演算装置204では、第一圧力センサ140、第二圧力センサ150および第三圧力センサ410のそれぞれの圧力計測データ140a,150a,410aに基づき算出された圧力値または水位データを時系列に表示することにより、圧力値や水位データの時系列変化を画面上でモニタすることが可能である。
【0079】
ここで、さらに、本実施形態における制御装置の制御フローについて詳細に説明する。
【0080】
図6は、図5におけるコントロールバルブを用いた貯水装置を模式的に表したものである。第三圧力センサ410によって貯水タンク400に溜め置かれる水等の量の変化に応じて計測される水圧データと、演算装置204において設定された、例えば、6段階の水圧設定値とが比較されることで、貯水タンク400における水位が制御される。ここで、6段階の水圧設定値とは、「Level−1 下限警報水位」、「Level−2 下限警報復旧水位」、「Level−3 給水開始水位」、「Level−4 給水停止水位」、「Level−5 上限警報復旧水位」、「Level−6 上限警報水位」である。
【0081】
ここで、「Level−1 下限警報水位」は、取水停止および水位異常通報のための設定値であり、「Level−2 下限警報復旧水位」は、取水開始許可および異常通報解除のための設定値である。そして、「Level−3 給水開始水位」は、弁体120の開動作開始のための設定値である。「Level−4 給水停止水位」は、弁体120の閉動作開始のための設定値であり、蓄積流入量および貯水回転率と蓄積された使用水量データとを用いることで、最適な給水停止水位が計算される(図7参照)。ここで蓄積流入量とは、1日当たりの積算流量であり、貯水回転率とは、1日当たりの積算流量/貯水量である。さらに、「Level−5 上限警報復旧水位」は、水位異常通報解除のための設定値であり、「Level−6 上限警報水位」は、水位異常通報のための設定値である。
【0082】
図7は、上記の「Level−4 給水停止水位」の最適な設定値を算出するための制御フロー等を示す。第一圧力センサ140より計測されたデータは(S80)、一定時間:T毎にサンプリングされる(S81)。サンプリングされた計測値は、A/D変換装置202によりA/D変換され、続いて圧力値に変換される(S82)。そして、第一圧力センサ140で計測された圧力値:APが得られ、演算装置204に記録される(S83)。また、第二圧力センサ150により計測されたデータは(S84)、一定時間:T毎にサンプリングされる(S85)。サンプリングされた計測値は、A/D変換装置202によりA/D変換され、続いて圧力値に変換される(S86)。そして、第二圧力センサ150で計測された圧力値:BPが得られ、演算装置204に記録される(S87)。
【0083】
続いて、第一圧力センサ140で計測された圧力値:APと第二圧力センサ150で計測された圧力値:BPとの差圧から、貯水タンク400への流入量:Qinが算出される(S88)。ここで、流入量:Qinは、Qin=Fn(AP−BP)により算出される。また、ここで、Fnは,流量に変換するための演算係数である。
【0084】
また、貯水タンク400における使用水量のデータ(S89)が記録として蓄積されており、算出された蓄積流入量および貯水回転率と蓄積された使用水量データとを用いることで、Level−4である給水停止水位の最適な設定値が算出される(S90)。
【0085】
また、第一圧力センサ140より計測された圧力値:APから、時間当たりの圧力変化が算出され(S91)、図2におけるS5以下のルーチンにより、水撃防止制御が実行される(S92)。
【0086】
図8は、第三圧力センサ410を利用した貯水タンク400における液面制御の制御フローを示す。第三圧力センサ410により計測されたデータは(S100)、一定時間:T毎にサンプリングされる(S101)。続いて、圧力値に変換される(S102)。そして、第三圧力センサ410で計測された圧力値:CPが得られ、演算装置204に記録される(S103)。
【0087】
続いて、第三圧力センサ410により計測された圧力値:CPとあらかじめ設定された6段階の水圧設定値とが比較される。
【0088】
まず、CP(S103)とLevel−1(下限警報水位)との比較が行われる(S104)。その結果、CP<Level−1(下限警報水位)ならば(S105)、受水減水警報が発信されることで(S106)、弁体120が開くように演算装置204から開度制御装置206を介して弁体駆動装置130に対して指令が出される(S107)。
【0089】
また、CP(S103)とLevel−6(上限警報水位)との比較が行われる(S108)。結果、CP>Level−6(上限警報水位)ならば(S109)、受水満水警報が発信されることで(S110)、弁体120が閉じるように演算装置204から開度制御装置206を介して弁体駆動装置130に対して指令が出される(S111)。
【0090】
さらに、開始水位がLevel−2より少し上においてLevel−3(給水開始水位)の設定水圧値が設定され(S112)、続いて、CP(S103)とLevel−3(給水開始水位)との比較が行われる(S113)。結果、CP≦Level−3の場合(S114)、給水開始水位が発信されることで(S115)、弁体120が開くように演算装置204から開度制御装置206を介して弁体駆動装置130に対して指令が出される(S116)。
【0091】
続いて、CP(S103)と図7のS90において算出されたLevel−4(給水停止水位)との比較が行われる(S117)。結果、CP≧Level−4(給水停止水位)ならば(S118)、給水停止水位が発信されることで(S119)、弁体120が閉じるように演算装置204から開度制御装置206を介して弁体駆動装置130に対して指令が出される(S120)。
【0092】
また、CP>Level−3(S121)あるいはCP<Level−4(S122)の場合には、中間水位であるものと判断され(S123)、バルブは現状が維持される(S124)。ここで、中間水位とは、給水開始水位と給水停止水位との間の水位である。
【0093】
以上のごとく、この発明にかかるコントロールバルブを用いた貯水装置12を使用することで、貯水タンク400の流入量と流出量とのバランスが保たれることから、この貯水装置12は、貯水タンク400における水位が中間水位を維持するような定水位制御を可能とする。すなわち、最適なLevel−4である給水停止水位の設定値を算出する際に、貯水タンク400における水位の安定性を確保するような臨界制動の条件が整うように、図6から図8の制御フローが実行されることで、貯水タンク400における定水位制御が行われる。
【0094】
この貯水装置12に用いられるコントロールバルブ10は、前述のコントロールバルブ10と同様の効果を発揮するとともに、貯水装置12として次の効果も発揮する。
【0095】
すなわち、第三圧力センサ410の圧力計測データ410aから水位データを算出し、その算出された水位データとあらかじめ設定された水位の設定値とを比較することで、バルブ100の弁体120の開閉が制御されるので、貯水タンク400内に溜め置かれる水の水位が定水位となるように制御することが可能となる。
【0096】
また、演算装置204において記録された圧力計測データ140b、150b、410bを、演算装置204に接続された通信装置等を用いることで、例えば、パソコンや携帯端末等といった外部端末に送信することも可能である。それによって、遠隔的にバルブ100の状況を監視することができ、多数のバルブがある場合には、集中監視システムの構築も可能となる。バルブ100とA/D変換装置202、演算装置204及び開度制御装置206とが一体に構成されることによって、設置費用、メンテナンス、機能、信頼性等でそのメリットを発揮する。なお、バルブ100を非常に劣悪な環境に設置せざるをえない場合には、A/D変換装置202、演算装置204及び開度制御装置206よりなる制御装置の保護のため、これらをバルブ100から離して設置してもよい。
【0097】
図9は、本発明の第1の実施の形態によるコントロールバルブを用いた配管網遠隔監視制御システム500の使用例を示したブロック図である。具体的には、浄水場502から、給水A地区510、給水B地区520および給水C地区530へ、それぞれ給水する配管網を示している。配管網とは、3つの給水ライン、即ちAライン514、Bライン524およびCライン534である。配管網の要所には本発明にかかるコントロールバルブ504、511、512、513、515、521、522、523、525、531、532、533が設置されている。また、各コントロールバルブ504,511,512,513,515、521,522,523,525、531,532,533には、各コントロールバルブを制御するための制御装置200、200、・・・が配置される。さらに、遠隔監視制御装置550が、制御装置200、200、・・・と無線回線もしくは公衆回線を介して接続されている。
【0098】
ここで、図9は、それらラインの内、自然災害や事故等によって、Aライン514が破損し使用できなくなった状態を示している。このとき、コントロールバルブ511の第二圧力センサ150およびコントロールバルブ512の第一圧力センサ140の圧力計測値が遠隔監視制御装置550に取得されている。コントロールバルブ511およびコントロールバルブ512の圧力計測値は、遠隔監視制御装置550により視覚的に把握できる。そして、コントロールバルブ511の出側圧力、およびコントロールバルブ512の入側圧力が、制御装置200および遠隔監視制御装置550において事前に記憶されていた設定値あるいはログデータ値と比較することにより、明らかに低下していることがわかる。
【0099】
そうすると、まず、制御装置200により、配管路、即ちAライン514に設置されているコントロールバルブ511およびコントロールバルブ512の間において異常があると判断される。そして、直ちに、制御装置200からコントロールバルブ511およびコントロールバルブ512の弁体駆動装置(図示せず)に対して弁体が閉じられるように駆動するための駆動量データが送信され、弁体が閉止される。それと共に、弁体閉止後のコントロールバルブ511およびコントロールバルブ512の各々の第一圧力センサ140および第二圧力センサ150の圧力計測値が遠隔監視制御装置550で表示・確認される。
【0100】
一方、残りのコントロールバルブでは第一圧力センサ140および第二圧力センサ150の圧力計測値が正常値であることが遠隔監視制御装置550において表示されることで確認されることから、結果、Aライン514を除く配管網が正常であることが確認される。そして、前もって準備されたマニュアルに従って、給水A地区への給水再開の安全性を確認した後、遠隔監視制御装置550よりコントロールバルブ515の弁体を開く旨の制御データを設定する。そうすると、設定された制御データに基づき、コントロールバルブ515の弁体駆動装置(図示せず)に対して、遠隔監視制御装置550において弁体が開かれるように駆動するための駆動量データが演算され、送信される。
【0101】
この配管網遠隔監視制御システム500では、配管網に対して、複数のコントロールバルブを設置し、それらコントロールバルブとその制御装置(演算装置、通信装置を含む)から取得されるデータを遠隔監視制御装置550において一括して監視・制御を行うことで、絶えず、各配管内の流量、圧力および流れの方向等を記録し、チェックすることができる。そして、それら記録されたデータを利用することで、配管網の破損箇所を特定すると共に、その配管網の破損箇所やコントロールバルブの異常状態等を、例えば、遠隔監視制御装置550に表示させることも可能である。さらに、配管網の一部の配管の破損状況を考慮して、異なる配管網に設置されたコントロールバルブを制御することで、災害や事故等におけるライフラインの確保にも威力を発揮することができる。
【0102】
なお、通信のインフラストラクチャーおよび/または電源が遮断された場合は、コントロールバルブをバッテリーによってバックアップすることにより、あらかじめ遠隔監視制御装置550から受け取った設定に基づいて制御装置200を動作させることも可能である。
【0103】
なお、本実施例におけるバルブ100に用いられる弁体120は、ボールバルブの弁体が用いられるが、それに限られるものではなく、バタフライバルブ、ゲートバルブおよびグローブバルブ等のいずれの弁体を用いてもかまわない。この場合、ボールバルブ、ゲートバルブ以外のバタフライバルブ、グローブバルブ等の弁体の全開時にあっても弁体部分の抵抗が大きなバルブにあっては配管内のオリフィス部は必ずしも必要なものではない。
【0104】
ここで、弁体120として、ボールバルブの貫通穴122の入口(一方端部)の径が出口(他方端部)の径よりも大きいとしたテーパ状の貫通穴122が設けられていてもよく、このテーパ状の貫通穴122を備えたボールバルブの弁体120を用いることで、この貫通穴122が弁体120の全開時にあっても水流抵抗部(水流抵抗手段)の役割を果たすため、オリフィス部を設ける必要がなくなる。尚、水流抵抗の観点からは貫通穴122のテーパ形状は入口の径が出口の径より小さくても良い。
【0105】
また、第一圧力センサ140および第二圧力センサ150は、それぞれ弁体をはさんで等間隔に配置されているが、それに限られるものではなく、第一圧力センサ140と第二圧力センサ150との間隔の距離は、近づいていてもかまわないし、離れてもかまわない。
【0106】
また、オリフィス部160の断面形状は、実施例に用いられるような形状に限られるものではなく、長方形、半円および正三角形等でもかまわないし、ノズル形状でもかまわない。
【0107】
本実施例における制御装置200または演算装置204において定流量制御を行う際には、第一圧力センサ140と第二圧力センサ150との差圧に対する設定値として定めているが、これに限られるものではなく、例えば、流量を設定値として定めておき、配管110内における差圧から算出された流量と比較することで定流量制御を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】この発明第1の実施の形態によるコントロールバルブの断面図および制御装置、遠隔監視制御装置を含めた構成図である。
【図2】図1のコントロールバルブの第一圧力センサの制御フローを示すフローチャートである。
【図3】図1のコントロールバルブの第二圧力センサの制御フローを示すフローチャートである。
【図4】図1のコントロールバルブの制御装置を構成しているI/Oコントローラの制御フローを示すフローチャートである。
【図5】図1のコントロールバルブを用いた貯水装置の概略構成図である。
【図6】図5に示した貯水装置を模式的に示した図である。
【図7】図5に示した貯水装置におけるLevel−4(給水停止水位)の最適な設定値を算出するための制御フロー等を示すフローチャートである。
【図8】図5に示した貯水装置における第三圧力センサを利用した貯水タンクにおける液面制御の制御フローを示すフローチャートである。
【図9】図1のコントロールバルブを複数用いた配管網遠隔監視制御システムの構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0109】
10、504、511〜513、515、521〜523、525、531〜533 コントロールバルブ
12 貯水装置
100 バルブ
110 配管
112 内面
114 第一くぼみ部
116 第二くぼみ部
120 弁体
122 貫通穴
130 弁体駆動装置
132 駆動手段
134 筒部
136 駆動軸
138 軸受
140 第一圧力センサ
142 第一圧力計測面
150 第二圧力センサ
152 第二圧力計測面
160 オリフィス部
170 第一配管接続部
170A 第二配管接続部
172 172A 取付孔
200 制御装置
202 A/D変換装置
204 演算装置
206 開度制御装置
250、550 遠隔監視制御装置
300 送水管
400 貯水タンク
402 内部底面
410 第三圧力センサ
500 配管網遠隔監視制御システム
502 浄水場
510 給水A地区
514 Aライン
520 給水B地区
524 Bライン
530 給水C地区
534 Cライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管、前記配管の略中間に配置される弁体、前記弁体を電気的に駆動するための弁体駆動手段、前記配管の一方端部と前記弁体との間に配置される第一圧力センサ、および、前記配管の他方端部と前記弁体との間に配置される第二圧力センサを含むバルブと、
前記第一圧力センサおよび/または前記第二圧力センサからの検出データに基づき、前記弁体の駆動量を演算して前記弁体駆動手段を制御する制御手段と、を有する流体の流れを制御するコントロールバルブであって、
前記配管、前記弁体、前記第一圧力センサ、前記第二圧力センサおよび前記弁体駆動手段が一体に形成されていると共に前記第一圧力センサと前記第二圧力センサとの間に水流抵抗手段を供えたことを特徴とするコントロールバルブ。
【請求項2】
前記制御手段は、前記コントロールバルブと一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコントロールバルブ。
【請求項3】
前記弁体は、ボールバルブ又はゲートバルブの弁体構造よりなり、
前記水流抵抗手段は、前記配管内であって、前記第一圧力センサの配置される位置と、前記第二圧力センサの配置される位置との間に形成されたオリフィス部を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のコントロールバルブ。
【請求項4】
前記配管の内面と前記第一圧力センサの第一圧力計測面および前記第二圧力センサの第二圧力計測面とが同一の面を形成するように、前記第一圧力センサおよび前記第二圧力センサが前記配管に取付けられることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のコントロールバルブ。
【請求項5】
前記弁体は、前記配管の軸方向に形成される貫通穴を有するボールバルブの弁体構造よりなり、前記貫通穴は一方端部の径と他方端部の径とが相違するテーパ状に形成され、
前記貫通穴が前記水流抵抗手段を構成する、請求項1、請求項2および請求項4のいずれかに記載のコントロールバルブ。
【請求項6】
単体または複数の請求項1から請求項5のいずれかに記載のコントロールバルブを用いて配管網を構成するとした配管網遠隔監視制御システムであって、
前記制御手段は通信手段を含み、
前記通信手段を用いて無線回線または公衆回線を介して、単体または複数の前記コントロールバルブの前記制御手段からのデータを取得し、前記コントロールバルブの状態を遠隔監視するために前記取得したデータを表示する機能と、
前記取得したデータに基づき単体または複数の前記コントロールバルブへの各種制御データを最適に設定する機能と、
前記取得したデータに基づき単体または複数の前記コントロールバルブを遠隔制御する機能と、を有する遠隔監視制御手段を備えることを特徴とする、配管網遠隔監視制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−176774(P2008−176774A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326634(P2007−326634)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000126296)株式会社アイエス工業所 (9)
【Fターム(参考)】