説明

コンバイナ弁制御システムおよび方法

機械(10)用の油圧制御システム(48)が開示される。この油圧制御システムは、第1流体アクチュエータ(26)と、加圧流体の第1の流れを生成するように構成される第1ポンプ(51)と、第2流体アクチュエータ(32)と、加圧流体の第2の流れを生成するように構成される第2ポンプ(53)とを有することができる。この油圧制御システムは、さらに、コンバイナ弁(108)と、制御器(112)とを有することができる。制御器は、第1流体アクチュエータに対する所望速度を示す操作者入力を受け取り、その所望速度に対応する第1流体アクチュエータ用の流量を決定し、かつ、第1ポンプの流量容量を決定するように構成することができる。制御器は、また、第1流体アクチュエータ用として決定された流量が第1ポンプの決定された流量容量よりも大きい場合には、コンバイナ弁を動かして、加圧流体の第2の流れを加圧流体の第1の流れと結合するように構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはコンバイナ弁に関し、特に、コンバイナ弁を制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、掘削機、ローダ、ブルドーザ、モータグレーダおよび他の種類の重機のような機械は、多様な作業を遂行するために、機械のポンプから作動液が供給される複数のアクチュエータを使用する。これらのアクチュエータは、通常、操作者インターフェース装置の作動位置に基づいて速度制御される。例えば、ジョイスティック、ペダル等の操作者インターフェース装置、あるいは、他の適切な操作者インターフェース装置は、関連する油圧アクチュエータの所望の速度を示す信号を生成するように可動にすることができる。操作者がインターフェース装置を動かす時は、操作者は、油圧アクチュエータが関連する所定速度で動作することを期待する。しかし、複数のアクチュエータが同時に操作されると、単一のポンプからの作動液の流量は、すべてのアクチュエータをその所望の速度で動かすには不十分である場合がある。また、単一のポンプが小型であり、単一のアクチュエータの所望速度が、その単一ポンプの流量容量を超える流体流量を要求するような状況も存在する。
【0003】
複数のポンプからの作動液の流量を選択的に組み合わせて単一のアクチュエータを動かす1つの方法が、1985年7月16日付で岡部(Okabe)らに交付された(特許文献1)に記載されている。(特許文献1)は、第1弁グループおよび第2弁グループを有する機械の油圧回路システムを記載している。第1弁グループは、旋回弁、第1ブーム弁、第1アーム(例えばスティック)弁、第1バケット弁および左走行弁を含む。旋回弁および第1ブーム弁は並列に接続され、この両者が一緒に、第1アーム弁、第1バケット弁および左走行弁とタンデムに接続される。第2弁グループは、右走行弁、第2アーム弁、第2バケット弁および第2ブーム弁を含む。第2アーム弁、第2バケット弁および第2ブーム弁は並列に接続され、これらが一緒に、右走行弁とタンデムに接続される。第1および第2アーム弁は、それぞれ第1ポンプおよび第2ポンプから1つのアームアクチュエータに流体を供給する機能を有し、第1および第2バケット弁は、それぞれ第1ポンプおよび第2ポンプから1つのバケットアクチュエータに流体を供給する機能を有し、第1および第2ブーム弁は、それぞれ第1ポンプおよび第2ポンプから1つのブームアクチュエータに流体を供給する機能を有する。左および右走行弁は、それぞれ第1ポンプおよび第2ポンプから、左および右走行アクチュエータに流体を供給する機能を有する。1つの切換弁が、所望の走行操作に応答して、第1および第2弁グループを選択的に流体連結する。
【0004】
(特許文献1)の油圧回路システム内部における各制御弁の位置は、旋回、ブーム、アームまたはバケットの動作を機械の走行なしに開始すると、第1および第2ポンプからの組み合わされた流体流量がその動作を駆動するように配置される。さらに、左への回転時に、同時に旋回、ブーム、アームまたはバケットの動作を開始した場合、第1および第2ポンプ両方からの流体はなおその動作を駆動する。しかし、右への回転時には、第1ポンプからの流体は、旋回、ブーム、アームおよびバケットのアクチュエータに利用可能であるが、第2ポンプからの流体は左走行アクチュエータにのみ利用可能である。また、直進走行の場合は、第1ポンプからの流体は、旋回、ブーム、アームおよびバケットのアクチュエータに利用可能であるが、第2ポンプからの流体は左および右走行アクチュエータにのみ利用可能である。
【0005】
(特許文献1)に関する上記のタンデム接続関係のために、旋回およびブームの独立の動作を所望する場合は、操作者は、第1および第2ブーム制御弁のいずれかのみが作動するように、制御レバーの操作に留意しなければならない(例えば、制御レバーをその動作可能範囲の半分未満に動かす)。旋回またはブーム動作中は、操作者の留意または所望速度には関係なく、スティック機能用としては、第2ポンプのみからの流体が利用可能なだけである。
【0006】
(特許文献1)の油圧回路システムはポンプの流体流量を組み合わせていくつかの機能の制御を改善することができるが、機械の操作が合理的に一貫しておらず、制限されたものになる可能性がある。特に、左回転時には、両ポンプからの流体流量を旋回、ブーム、アームおよびバケットの動作に利用可能であるが、右回転時には1つのポンプのみからの流量しか利用できないので、機械の制御が異なって混乱する可能性がある。さらに、右回転時に利用可能な流体流量が、いくつかの操作には不十分である可能性がある。
【0007】
またさらに、(特許文献1)の油圧回路システムの限界と、関連の機械の操作時に払うべき配慮とのために、機械の運転コストが相当なものになる可能性がある。特に、操作者には、旋回およびブームの動作を独立かつ同時に開始するための配慮が要求されるので、機械の運転に、高度に訓練された経験豊かで高コストの操作者を使用する必要性が生じる。さらに加えて、アーム動作用の組み合わされたポンプ流量が、ブームまたは旋回動作に同時に所望される状況が生じる可能性もある。これらの同時操作は(特許文献1)の機械の場合利用不可能であるので、機械の効率および生産性が、いくつかの用途については不十分となる場合がある。
【0008】
さらに、(特許文献1)の油圧回路システムは高価になる可能性がある。特に、各流体アクチュエータに組み合わされた流量を供給するために2つの弁が必要であるので、システムが相当高コストになる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,528,892号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示の制御システムは、上記の問題点の1つ以上を克服することを目指している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一形態では、本開示は油圧制御システムに関する。この油圧制御システムは、第1流体アクチュエータと、その第1流体アクチュエータに導かれる加圧流体の第1の流れを生成するように構成される第1ポンプとを含むことができる。また、この油圧制御システムは、第2流体アクチュエータと、その第2流体アクチュエータに導かれる加圧流体の第2の流れを生成するように構成される第2ポンプとを含むことができる。さらに、この油圧制御システムは、加圧流体の第2の流れを、第1流体アクチュエータに導かれる加圧流体の第1の流れと結合するように動作し得る弁要素を備えたコンバイナ弁と、このコンバイナ弁と通信する制御器とを含むことができる。この制御器は、第1流体アクチュエータに対する所望の速度を示す操作者入力を受け取り、その所望速度に対応する第1流体アクチュエータ用の流量を決定し、かつ、第1ポンプの流量容量を決定するように構成することができる。制御器は、また、第1流体アクチュエータ用として決定された流量が、第1ポンプの決定された流量容量よりも大きい場合には、コンバイナ弁の弁要素を動かして、加圧流体の第2の流れを、第1流体アクチュエータに導かれる加圧流体の第1の流れと結合するように構成することができる。
【0012】
他の形態では、本開示は油圧制御システムの操作方法に関する。この方法は、加圧流体の第1の流れを第1流体アクチュエータに導くステップと、加圧流体の第2の流れを第2流体アクチュエータに導くステップとを含むことができる。この方法は、また、第1流体アクチュエータに対する所望の速度を示す操作者入力を受け取るステップと、その所望速度に対応する第1流体アクチュエータ用の流量を決定するステップと、加圧流体の第1の流れの最大流量を決定するステップとを含むことができる。この方法は、さらに、第1流体アクチュエータ用として決定された流量が、加圧流体の第1の流れの最大流量よりも大きい場合には、加圧流体の第2の流れを加圧流体の第1の流れと結合して、この結合された加圧流体の流れを第1流体アクチュエータに導くステップを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】開示される例示的な機械の概略的な側面図である。
【図2】図1の機械において用いることができる、開示される例示的な油圧制御システムの概略図である。
【図3】図2の制御システムの、開示される例示的な操作方法を表すフローチャートである。
【図4】図2の制御システムの、開示される別の例示的な操作方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、作業を遂行するために協働する複数のシステムおよび構成要素を有する例示的な機械10を例示している。機械10は、採掘、建設、農業、輸送等の産業、あるいは、当分野で既知の他の任意の産業と関連するなんらかのタイプの作業を実行する固定式または移動式の機械とすることができる。例えば、機械10は、掘削機、ブルドーザ、ローダ、バックホウ、モータグレーダ、ダンプトラック等の土工機械、あるいは、他の任意の土工機械とすることができる。機械10は、作業工具14を動かすように構成される作業器具システム12と、機械10を推進するための駆動システム16と、作業器具システム12および駆動システム16に動力を供給する動力源18と、作業器具システムおよび駆動システム12、16の操作者制御用の操作者ステーション20とを含むことができる。
【0015】
作業器具システム12は、作業工具14を動かすために流体アクチュエータによって作動するリンク構造を含むことができる。具体的には、作業器具システム12は、隣接する1対の複動油圧シリンダ26(図1に1つのみ図示)によって作業面24に対して水平軸(図示せず)の周りで垂直に回動するブーム部材22を含むことができる。作業器具システム12は、また、単一の複動油圧シリンダ32によって、水平軸30の周りで垂直に回動するスティック部材28を含むことができる。作業器具システム12は、さらに、作業工具14を水平回動軸36の周りで垂直に回動させるために、作業工具14に動作可能に連結される単一の複動油圧シリンダ34を含むことができる。ブーム部材22は、機械10のフレーム38に回動可能に連結することができる。スティック部材28は、回動軸30および36を介して、ブーム部材22を作業工具14に回動可能に連結することができる。
【0016】
各油圧シリンダ26、32、34は、筒体と、2つの分離された圧力チャンバを形成するように配置されるピストン組立体(図示せず)とを含むことができる。圧力チャンバには加圧流体を選択的に供給し、また加圧流体を排出して、ピストン組立体を筒体内で変位させ、それによって、油圧シリンダ26、32、34の有効長さを変化させることができる。圧力チャンバ内へのおよびそこからの流体流量は、油圧シリンダ26、32、34の速度に関係し、一方、2つの圧力チャンバ間の圧力差は、関連のリンク部材に対して油圧シリンダ26、32、34が付与する力に関係する可能性がある。油圧シリンダ26、32、34の伸長および収縮は作業工具14の動きを補助することができる。
【0017】
多数の異なる作業工具14を単一の機械10に取り付けることができ、操作者ステーション20を介して制御できる。作業工具14は、例えば、バケット、フォーク装置、ブレード、ショベル、リッパ、ダンプ台、掃除具、除雪機、推進装置、切断装置、把持装置等の特定作業遂行用として用いられる任意の装置、あるいは、当分野で既知の他の任意の作業遂行装置を含むことができる。作業工具14は、図1の実施形態においては、機械10に対して回動するように連結されているが、代替的にまたは追加的に、回転、摺動、揺動、上昇、あるいは、当分野で既知の他の任意の方式で動作することができる。
【0018】
駆動システム16は、機械10を推進するために1つ以上の牽引装置を含むことができる。一実施例においては、駆動システム16は、機械10の片側に配置される左履帯40Lと、機械10の対向側に配置される右履帯40Rとを含む。左履帯40Lは左走行モータ42Lによって駆動することができ、一方、右履帯40Rは右走行モータ42Rによって駆動することができる。駆動システム16は、代替方式として、車輪、ベルト等の履帯以外の牽引装置、あるいは、他の既知の牽引装置を含み得ることが考えられる。図1の例では、機械10は、左走行モータ42Lと右走行モータ42Rとの間に速度差および/または回転方向の違いを生じさせることによって舵取りすることができ、一方、直進走行は、左および右走行モータ42L、42Rから実質的に等しい出力速度および回転方向を発生させることによって容易に実現することができる。
【0019】
左および右走行モータ42L、42Rのそれぞれは、流体圧力差を生成することによって駆動することができる。具体的には、左および右走行モータ42L、42Rのそれぞれは、インペラ(図示せず)の両側に配置される第1および第2チャンバ(図示せず)を含むことができる。第1チャンバに加圧流体を充填し、第2チャンバの流体を排出すると、インペラを強制的に第1方向に回転させることができる。逆に、第1チャンバの流体を排出して、第2チャンバに加圧流体を充填すると、各々のインペラを強制的に逆方向に回転させることができる。第1および第2チャンバへのおよびそこからの流体流量が、左および右走行モータ42L、42Rの回転速度を決定することができ、一方、左走行モータ42Lと右走行モータ42Rと間の圧力差によってトルクを決定することができる。
【0020】
動力源18は、例えば、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、気体燃料エンジン等のエンジン、あるいは、当分野で既知の他の任意の種類の燃焼エンジンとして具現化することができる。代わりの方式として、動力源18を、燃料電池、動力貯蔵装置等の非燃焼式動力源、あるいは、当分野で既知の他の動力源として具現化してもよいことが考えられる。動力源18は、機械的または電気的な動力出力を生成することができ、続いて、その動力出力を、油圧シリンダ26、32、34と、左および右走行モータ42L、42Rとを作動させるための液圧パワーに変換することができる。
【0021】
操作者ステーション20は、作業工具および/または機械の所望の動作を示す機械操作者からの入力を受け取るように構成することができる。具体的には、操作者ステーション20は、運転席の近傍に配置される単軸または多軸のジョイスティックとして具現化される1つ以上の操作者インターフェース装置46を含むことができる。操作者インターフェース装置46は、所望の作業工具速度を示す作業工具位置信号を生成することによって、作業工具14を位置決めおよび/または方向付けするように構成される比例型制御器とすることができる。同様に、同じまたは他の操作者インターフェース装置46を、所望の機械速度を示す機械位置信号を生成することによって、作業面24に対して機械10を位置決めおよび/または方向付けするように構成することができる。操作者ステーション20の内部には、代替的にまたは追加的に、例えば、ホイール、ノブ、プッシュプル装置、スイッチ、ペダル等の異なる操作者インターフェース装置、および、当分野で既知の他の操作者インターフェース装置を含めてもよいことが考えられる。
【0022】
図2に示すように、機械10は、協働して作業工具14(図1参照)および機械10を動かす複数の流体構成要素を有する油圧制御システム48を含むことができる。特に、油圧制御システム48は、第1供給源51から加圧流体の第1の流れを受け取るように構成される第1回路50と、第2供給源53から加圧流体の第2の流れを受け取るように構成される第2回路52とを含むことができる。第1回路50は、加圧流体の第1の流れを受け取るように並列に接続されるブーム制御弁54と、バケット制御弁56と、左走行制御弁58とを含むことができる。第2回路52は、加圧流体の第2の流れを受け取るように並列に接続される右走行制御弁60と、スティック制御弁62とを含むことができる。例えば、作業器具システム12の駆動システム16に対する旋回動作を制御するように構成される旋回制御弁、1つ以上の取り付け制御弁等の追加的な制御弁機構、および他の適切な制御弁機構を第1および/または第2回路50,52内に含めてもよいことが考えられる。
【0023】
第1および第2供給源51、53は、1つ以上のタンク64から流体を引き抜いて、その流体を所定のレベルに加圧することができる。具体的には、第1および第2供給源51、53のそれぞれは、例えば、可変容量型ポンプ、固定容量型ポンプ等のポンプ機構、あるいは、当分野で既知の他の供給源として具現化することができる。第1および第2供給源51、53は、それぞれ、例えば、カウンタシャフト(図示せず)、ベルト(図示せず)、電気回路(図示せず)によって、あるいは他の任意の適切な方法で、別個にかつ駆動可能に、機械10の動力源18に連結することができる。代わりの方式として、第1および第2供給源51、53のそれぞれを、トルクコンバータ、減速ギヤボックスを介して、あるいは他の適切な方法で、動力源18に間接的に連結することができる。第1供給源51は、第2供給源53が生成する加圧流体の第2の流れと無関係に、加圧流体の第1の流れを生成することができる。加圧流体の第1および第2の流れは、異なる圧力レベルおよび/または流量とすることができる。
【0024】
タンク64は、供給流体を保持するように構成される容器を構成することができる。流体は、例えば、専用の作動油、エンジン潤滑油、変速機潤滑油、あるいは、当分野で既知の他の任意の流体を含むことができる。機械10内部の1つ以上の液圧システムが、タンク64から流体を引き抜き、それをタンク64に戻すことができる。油圧制御システム48は、複数の別個の流体タンクまたは単一のタンクに接続し得ることが考えられる。
【0025】
ブーム、バケット、左走行、右走行およびスティック制御弁54〜62のそれぞれは、それらの関係する流体アクチュエータの動作を調節することができる。具体的には、ブーム制御弁54は、ブーム部材22に関連する油圧シリンダ26の動きを制御するように動作し得る要素を有することができ、バケット制御弁56は、作業工具14に関連する油圧シリンダ34の動きを制御するように動作し得る要素を有することができ、スティック制御弁62は、スティック部材28に関連する油圧シリンダ32の動きを制御するように動作し得る要素を有することができる。同様に、左走行制御弁58は、左走行モータ42Lの動きを制御するように動作し得る弁要素を有することができ、一方、右走行制御弁60は、右走行モータ42Rの動きを制御するように動作し得る要素を有することができる。
【0026】
第1および第2回路50、52の制御弁は、加圧流体が、共通の流路を経由して、それらの回路のそれぞれのアクチュエータに流れまたそれから排出されるように接続することができる。具体的には、第1回路50の制御弁は、第1の共通供給流路66を介して第1供給源51に接続することができ、第1の共通排出流路68を介してタンク64に接続することができる。第2回路52の制御弁は、第2の共通供給流路70を介して第2供給源53に、第2の共通排出流路72を介してタンク64に接続することができる。ブーム、バケットおよび左走行制御弁54〜58は、それぞれ、個々の流体流路74、76および78を介して第1の共通供給流路66に並列に接続することができ、また、それぞれ、個々の流体流路84、86および88を介して第1の共通排出流路68に並列に接続することができる。同様に、右走行およびスティック制御弁60、62は、それぞれ、個々の流体流路82および80を介して第2の共通供給流路70に並列に接続することができ、また、それぞれ、個々の流体流路90および92を介して第2の共通排出流路72に並列に接続することができる。チェック弁94を、流体流路74、76および80のそれぞれに配備して、それぞれ、制御弁54、56および62への加圧流体の一方向性の供給を行うことができる。
【0027】
ブーム、バケット、左走行、右走行およびスティック制御弁54〜62の要素は、類似のものとすることができ、関係する方式で機能することができるので、本開示では、ブーム制御弁54の操作のみについて説明する。一例において、ブーム制御弁54は、第1チャンバ供給要素(図示せず)、第1チャンバ排出要素(図示せず)、第2チャンバ供給要素(図示せず)および第2チャンバ排出要素(図示せず)を含むことができる。第1および第2チャンバ供給要素は、流体流路74に並列に接続されて、それらの各チャンバに第1供給源51からの流体を充填することができ、一方、第1および第2チャンバ排出要素は、流体流路84に並列に接続されて、各チャンバから流体を排出することができる。油圧シリンダ26を伸長させるために、第1チャンバ供給要素を動かして、第1供給源51からの加圧流体を、油圧シリンダ26の第1チャンバに流体流路74から充填することができ、一方、第2チャンバ排出要素を動かして、流体を、油圧シリンダ26の第2チャンバから流体流路84経由でタンク64に排出することができる。油圧シリンダ26を反対方向に動かすために、第2チャンバ供給要素を動かして、油圧シリンダ26の第2チャンバに加圧流体を充填することができ、一方、第1チャンバ排出要素を動かして、流体を、油圧シリンダ26の第1チャンバから排出することができる。代わりの方式として、供給および排出の両機能を、第1チャンバに関わる単一要素と第2チャンバに関わる単一要素とによって、あるいは、すべての充填および排出機能を制御する単一の弁によって実行し得ることが考えられる。
【0028】
供給および排出要素は、指令に応答して、バネ付勢に対抗してソレノイドで可動なものとすることができる。特に、油圧シリンダ26、32、34と、左および右走行モータ42L、42Rとは、第1および第2チャンバに流入するまたそれから流出する流体の流量に対応する速度で動作することができる。インターフェース装置の位置信号によって示される操作者の所望速度を実現するために、想定または測定された圧力に基づく指令を供給および排出要素のソレノイド(図示せず)に伝送して、そのソレノイドに、必要流量に対応する量だけそれらの要素を開放させることができる。指令は、流量指令または弁要素の位置指令の形態とすることができる。また、供給および排出要素を、場合によってはパイロット操作方式としてもよいことが考えられる。
【0029】
第1および第2回路50、52の共通の供給および排出流路は、メークアップ機能およびリリーフ機能のために相互接続することができる。特に、第1および第2の共通供給流路66、70は、それぞれ、共通フィルタ96と、第1および第2バイパス要素98、100とを介してタンク64からメークアップ流体を受け取ることができる。加圧流体の第1または第2の流れの圧力が所定のレベル以下に低下する時、タンク64からの流体を、それぞれ、共通フィルタ96と、第1または第2バイパス要素98、100とを経由して第1および第2回路50、52に流入させることができる。さらに、第1および第2の共通排出流路68、72は、第1および第2回路50、52から流体をタンク64に逃がすことができる。第1および第2回路50、52内部の流体の圧力が所定のレベルを超えた時、過大圧力を有する回路からの流体を、シャトル弁102および共通の主リリーフ要素104を介してタンク64に排出することができる。
【0030】
直進走行弁106は、左および右走行制御弁58、60を互いに並列の関係に選択的に再構成することができる。特に、直進走行弁106は、中立位置から直進走行位置に向けて動作し得る弁要素107を含むことができる。弁要素107が中立位置にある場合は、左および右走行制御弁58、60は、それぞれ、第1および第2供給源51、53から独立に加圧流体の供給を受けて、左および右走行モータ42L、42Rを別個に制御することができる。弁要素107が直進走行位置に動かされると、左および右走行制御弁58、60は、並列に接続されて、相互依存動作用として第1供給源51のみから加圧流体を受け取ることができる。左および右走行モータ42L、42Rの相互依存動作は、左および右履帯40L、40Rの実質的に等しい回転速度をもたらすように機能することができ、それによって、機械10を直進方向に推進する。
【0031】
直進走行弁106の弁要素107が直進走行位置に動かされると、第2供給源53からの流体は、弁要素107を介して、実質的に同時に第1および第2回路50、52の両方を通るように導かれ、油圧シリンダ26、32、34を駆動することができる。機械10の直進走行の間は、第1供給源51からの加圧流体の第1の流れのすべてが左および右走行モータ42L、42Rによってほぼ完全に消費される可能性があるので、第2供給源53からの加圧流体の第2の流れを、第1および第2回路50、52の両方の油圧シリンダ26、32、34に導くことができるのである。なお、油圧制御システム48は、代替的に、直進走行弁106に関して、次のように補足的な方式で構成し得ることが理解されるべきである。すなわち、弁要素107が直進走行位置にある時には、左および右走行制御弁58、60を、第2供給源53のみから加圧流体を受け取るように並列に接続し、一方、第1供給源51からの流体を、弁要素107を介して、実質的に同時に第1および第2回路50、52の両方を通ってブーム、バケットおよびスティック制御弁54、56、62に導くことが可能なように構成することができる。
【0032】
コンバイナ弁108は、1つ以上の流体アクチュエータの高速動作のために、第1および第2の共通供給流路66、70からの加圧流体の第1および第2の流れを結合することができる。特に、コンバイナ弁108は、一方向開または一方向流れ通過位置と、閉止または流れ遮断位置と、双方向開または双方向流れ通過位置との間に動作し得る弁要素110を含むことができる。一方向開位置にある場合は、第1回路50の圧力が第2回路52内の圧力よりも所定量だけ高いことに応答して、第1回路50からの流体が第2回路52に流入し得る(例えばチェック弁111を通って)ようにすることができる。この所定量は、チェック弁111のバネ付勢に関係付けることができ、製造過程において固定することができる。この方式によって、右走行またはスティックの機能が第2供給源53の出力容量よりも大きい流体流量を要求して、第2回路52内部の圧力が低下し始めた場合に、第1供給源51からの流体を、弁要素110を介して、第2回路52に転用することができる。チェック弁111はコンバイナ弁108の下流側に示されているが、代替方式として、チェック弁111を、コンバイナ弁108の上流側またはコンバイナ弁108の内部に含め得ることが理解されるべきである。閉止位置にある場合は、コンバイナ弁108を通る実質的にすべての流れを遮断することができる。しかし、双方向開位置にある場合は、コンバイナ弁108前後の想定または測定された圧力差に応じて、加圧流体の第1の流れを第2回路52に流入させて、制御弁60、62に導かれる加圧流体の第1の流れと結合することができるか、また、加圧流体の第2の流れを第1回路50に流入させて、制御弁54〜58に導かれる加圧流体の第1の流れと結合することができる。
【0033】
コンバイナ弁108は、一方向開位置と、閉止位置と、双方向開位置との間の任意の位置に連続的に調節することができる。この方式によって、加圧流体の流量の度合いを、例えば、制御弁54〜62の指令速度、供給源51、53の指令流量、および/またはコンバイナ弁108前後の圧力差に基づいて制御することができる。例えば、弁要素110は、電流指令のような指令に応答して、バネ付勢に対抗してソレノイドで可動なものとすることができる。例示的な一実施形態においては、電流指令を0A〜2Aの範囲にすることができる。この場合、0Aを、弁要素110が実質的に完全に一方向開位置に位置決めされる場合に対応させ、1Aを、弁要素110が実質的に完全に閉止位置に位置決めされる場合に対応させ、2Aを、弁要素110が実質的に完全に双方向開位置に位置決めされる場合に対応させることができる。さらに、一方向開位置と閉止位置との間の弁要素110の位置は、0Aと1Aとの間の電流指令に比例的に対応させることができる。同様に、閉止位置と双方向開位置との間の弁要素110の位置は、1Aと2Aとの間の電流指令に比例的に対応させることができる。この電流指令は、コンバイナ弁108のソレノイドに伝送されて、弁要素110を、コンバイナ弁108を通過する所望流量に相当し得る指令位置に向けて動かすことができる。弁要素110は、代替方式として、例えば、パイロット式または対向ソレノイド式等の、当分野で既知の他の任意の方法で制御し得ることが理解されるべきである。
【0034】
油圧制御システム48は、また、操作者インターフェース装置46と、コンバイナ弁108と、制御弁54〜62の供給および排出要素と通信する制御器112を含むことができる。具体的には、制御器112は、通信線114を介して操作者インターフェース装置46と、通信線116を介してコンバイナ弁108と、追加の通信線(図示せず)を介して制御弁54〜62の供給および排出要素と通信することができる。制御器112は、油圧制御システム48の他の構成要素、例えば、第1および第2供給源51、53、共通の主リリーフ要素104、第1および第2バイパス要素98、100、直進走行弁106、および油圧制御システム48の他の類似の構成要素と通信し得ることも考えられる。
【0035】
制御器112は、油圧制御システム48の操作を制御する手段を含む単一または複数のマイクロプロセッサとして具現化することができる。商業的に入手可能な多数のマイクロプロセッサを、制御器112の機能を実行するように構成できる。制御器112は、機械の多数の機能を制御し得る一般的な機械のマイクロプロセッサにおいて容易に具現化できることが理解されるべきである。制御器112は、記憶装置、2次記憶装置、プロセッサ、およびアプリケーションを実行するための他の任意の構成要素を含むことができる。種々の他の回路、例えば、電源回路、信号調整回路、ソレノイド駆動回路、および他の種類の回路を、制御器112に関連付けることができる。
【0036】
油圧シリンダ26、32、34と、左および右走行モータ42L、42Rとに対するインターフェース装置の位置信号、所望アクチュエータ速度、関連する流量、および/または弁要素の位置を関係付ける1つ以上のマップを、制御器112の記憶装置に保存することができる。これらの各マップは、表、グラフおよび/または式の形態のデータの集積を含むことができる。一例においては、所望速度および指令流量が、第1および第2チャンバの供給要素を制御するための2次元の表の座標軸を形成することができる。流体アクチュエータを所望速度で動かすのに必要な指令流量と、適切な供給要素の対応する弁要素の位置とは、別の別個の2次元マップにおいて関係付けることができるか、あるいは、所望速度と一緒に1つの3次元マップにおいて関係付けることができる。所望のアクチュエータ速度は、単一の2次元マップにおいて弁要素の位置に直接関係付け得ることも考えられる。制御器112は、操作者が、これらのマップを直接修正すること、および/または、制御器112の記憶装置に保存された利用可能な関係マップから特定のマップを選択して流体アクチュエータの動作を変えることを可能にするように構成することができる。マップは、また、追加的にまたは代替的に、機械の運転モードに基づいて自動選択可能にすることが考えられる。
【0037】
制御器112は、操作者インターフェース装置46から入力を受け取り、その入力および上記の関係マップに応答して制御弁54〜62の操作を指令するように構成することができる。具体的には、制御器112は、所望速度を示すインターフェース装置の位置信号を受け取り、制御器112の記憶装置に保存されている選択および/または修正された関係マップを参照して、制御弁54〜62内部の各供給および排出要素に対する流量値および/または関連位置を決定することができる。続いて、流量または位置を適切な供給および排出要素に指令して、所望の作業工具速度をもたらす流量で第1または第2チャンバの充填を行うことができる。
【0038】
制御器112は、例えば、制御弁54〜62の指令速度、供給源51、53の指令流量および/またはコンバイナ弁108の前後の圧力差に応答して、コンバイナ弁108の操作を変えるように構成することができる。すなわち、特定の流体アクチュエータの所望速度に関連する決定流量が所定の基準値に合致すると、制御器112は、弁要素110を一方向流れ通過位置の方向に動かして、第2回路52に追加の加圧流体を供給するか、あるいは、弁要素110を双方向流れ通過位置の方向に動かして、第1回路50および/または第2回路52に追加の加圧流体を供給するか、あるいは、弁要素110を閉止位置から動かないように抑止することができる。所定の基準値については、図3および図4に関連して以下に説明する。
【0039】
図3および図4は油圧制御システム48の例示的な操作方法を示す。本開示のシステムおよびその操作をさらに詳しく示すために、以下において、図3および図4について説明する。
【0040】
一実施形態において、油圧制御システムは暖熱回路をも含むことができる。すなわち、第1および第2回路50、52の共通の供給および排出流路66、68および70、72を、それぞれ、暖熱および/または他のバイパス機能用の第1および第2バイパス流路109、113を介して選択的に通信することができる。各バイパス流路109、113には、それぞれバイパス弁105を配設することができ、このバイパス弁105は、流体を、共通の供給流路66および70から共通の排出流路68および72に導くように構成することができる。各バイパス弁105は、閉止または流れ遮断位置から開または流れ通過位置に動作し得る弁要素を含むことができる。この構成によって、例えば機械10の始動時のように、バイパス弁105が開位置にある時は、第1および第2供給源51、53によって加圧される流体は、ほとんど制限されることなく(すなわち制御弁54〜62を通らずに)第1および第2回路50、52内を循環することができる。暖熱後に、バイパス弁105の弁要素を閉止位置に動かすことができ、それによって、第1および第2回路50、52内の流体の圧力を形成して、前記のように、制御弁54〜62用として利用可能にすることができる。バイパス流路109、113およびバイパス弁105は、場合によっては省略し得ることが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
開示された油圧制御システムは、負荷および運転モードが変化する条件の下で速度の予測可能性が求められる複数の流体アクチュエータを含むいかなる機械にも適用可能である。開示された油圧制御システムは、複数のポンプからの加圧流体の流れを選択的に結合することによって、かつ、その結合された流れを複数の流体アクチュエータの適切なアクチュエータに導くことによって操作者の制御を改善することができる。以下に、油圧制御システム48の操作について説明する。
【0042】
機械10の運転中、機械の操作者は、操作者インターフェース装置46を操作して作業工具14を動作させることができる。操作者インターフェース装置46の作動位置は、作業工具14および/または機械10の操作者予期速度または所望速度に関係付けることができる。操作者インターフェース装置46は、その操作において操作者予期速度または所望速度を示す位置信号を発生して、この位置信号を制御器112に伝送することができる。
【0043】
制御器112は、油圧シリンダ26、32および34と、左および右走行モータ42L、42Rとの操作時の入力を受け取って、その入力に基づく決定をなすことができる。図3のフローチャートに示すように、制御器112は、操作者インターフェース装置の位置信号を受け取って(ステップ200)、油圧制御システム48の各流体アクチュエータに対する所望速度と、制御弁54〜62および供給源51、53の両者に対する対応する流量指令とを決定することができる(ステップ210)。制御器112は、また、インターフェース装置の位置信号から、機械10の直進走行が所望されているか否かを決定することができる(ステップ220)。
【0044】
機械10の直進走行が所望されている場合は、直進走行弁106の弁要素107を中立位置から直進走行位置の方向に動かすことができる。弁要素107が直進走行位置の方向に動かされる時は、コンバイナ弁108の弁要素110を、双方向開位置の方向に動かないように抑止することができる(ステップ230)。機械10の直進の間は、加圧流体の第2の流れが、直進走行弁106を介して油圧シリンダ26および34にすでに流体供給している可能性があるので、弁要素110は、一方向開位置、閉止位置、あるいは、一方向開位置と閉止位置との間に保持することができる。
【0045】
機械10の直進走行が所望されていない場合は、制御器112は、スティック部材28が動作しているか否か、および、それがどのような速度で動作しているかを決定することができる。特に、制御器112は、スティック制御弁62に指令された流量を所定の閾値と比較することができる(ステップ240)。この流量指令がその所定閾値を超えている場合は、加圧流体の第1の流れと結合する流れとしての第2供給源53からの余剰流量が、十分には存在しないであろう。第2供給源53からのこの余剰流量が所定値よりも低い場合に流れの結合が生じると、スティック部材28は予期せざる緩慢な速度で動作する可能性がある。
【0046】
スティック制御弁62に指令される流量が所定値を超える場合は、制御器112は、ブーム部材22が操作されているか否か、および、それがどの程度に操作されているかを決定することができる。特に、制御器112は、ブーム制御弁54に指令された流量を第1供給源51の流量容量と比較することができる(ステップ250)。油圧システム48内部の優先度を次のように定めることができる。すなわち、ブーム制御弁54に指令された流量が第1供給源51の流量容量を超過する場合は、スティック制御弁62に指令された流量が所定値を超えていても、ブーム制御弁54に指令される流量を優先して、弁要素110を双方向流れ通過位置に動かすようにするのである(ステップ260)。しかし、ブーム制御弁54に指令される流量が第1供給源51の流量容量よりも小さい場合は、弁要素110を一方向流れ通過位置に保持して、双方向流れ通過位置に動かないように抑止することができる(ステップ270)。
【0047】
スティック制御弁62に指令される流量が所定閾値よりも低い場合は、コンバイナ弁108の弁要素110を、特定条件の下で、双方向流れ通過位置の方向に動かすことができる。例えば、制御器112は、ブーム制御弁54およびバケット制御弁56に指令される流量の合計が第1供給源51の流量容量を超過するか否かを決定することができる(ステップ280)。この合計が第1供給源51の流量容量を超える場合は、コンバイナ弁108の弁要素110を双方向流れ通過位置の方向に動かして、加圧流体の第2の流れを加圧流体の第1の流れと結合し、その結合された流れを、油圧シリンダ26および34で使用するために第1回路50に導くことができる(ステップ290)。しかし、ブーム制御弁54およびバケット制御弁56に指令される流量の合計が第1供給源51の流量容量を超えない場合は、コンバイナ弁108の弁要素110を一方向流れ通過位置に保持して、双方向流れ通過位置に動かないように抑止することができる(ステップ300)。
【0048】
図3の方法と同様に、図4の別の方法はステップ200〜240を含む。しかし、図4の方法においては、図3の方法とは違って、スティック制御弁62に指令された流量が所定の閾値を超過する場合であっても、ブーム制御弁54に指令された流量に関係なく、流れの結合が全く発生しないようにすることができる。より具体的には、スティック制御弁62に指令される流量が所定の閾値を超過する場合、制御はステップ270に直接移行して、そこで、弁要素110を一方向流れ通過位置に保持することができる。
【0049】
油圧制御システム48の制御方式およびハードウェアにはいくつかの利点を関連付けることができる。具体的には、第1供給源51の流量容量よりも低い流量しか必要としないブーム操作の間は、第1供給源51からの余剰流量を、弁要素110を介して第2回路52に転用し、スティック操作の速度を高めることができる。このスティック速度の増大は、機械10の生産性および効率を向上させることができる。さらに、加圧流体の第1および第2の流れの結合を専用のコンバイナ弁を介して実行できるので、ごく僅かな個数の制御弁しか必要でない。制御弁の個数の低減は機械10のコストの低下に繋がる。
【0050】
油圧制御システム48は、いかなる方向における回転時にも機械10の一貫した運転を提供することができるので、機械10の運転コストを最小化することができる。特に、機械10の一貫した運転は機械10の制御を簡単化することができる。機械10の制御が簡単化されると、操作者に必要な訓練、経験および熟練度が最小限となり、機械10の運転コストを低減することができる。
【0051】
開示された油圧制御システムに対して種々の修正および変更が可能であることが、当業者には明らかであろう。開示された油圧制御システムの説明および実際を考察することによって、当業者には、他の実施形態が明らかになるであろう。説明および例は例示的な事例としてのみ考慮されるべきことが意図されており、真の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその等価物によって示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体アクチュエータ(26)と、
第1流体アクチュエータに導かれる加圧流体の第1の流れを生成するように構成される第1ポンプ(51)と、
第2流体アクチュエータ(32)と、
第2流体アクチュエータに導かれる加圧流体の第2の流れを生成するように構成される第2ポンプ(53)と、
加圧流体の第2の流れを、第1流体アクチュエータに導かれる加圧流体の第1の流れと結合するように動作し得る弁要素(110)を有するコンバイナ弁(108)と、
コンバイナ弁(108)と通信する制御器(112)と、
を備えた油圧制御システム(48)であって、その制御器が、
第1流体アクチュエータに対する所望速度を示す操作者入力を受け取り、
その所望速度に対応する第1流体アクチュエータ用の流量を決定し、
第1ポンプの流量容量を決定し、かつ、
第1流体アクチュエータ用として決定された流量が、第1ポンプの決定された流量容量よりも大きい場合には、加圧流体の第2の流れを、第1流体アクチュエータに導かれる加圧流体の第1の流れと結合するように、コンバイナ弁の弁要素を動かす、
ように構成される、油圧制御システム。
【請求項2】
コンバイナ弁を、一方向流れ結合位置と、流れ遮断位置と、双方向流れ結合位置との間の任意の位置に動かすことができ、
加圧流体の第1の流れは、コンバイナ弁を一方向流れ結合位置および双方向流れ結合位置のいずれの方向に動かしても、第2流体アクチュエータに導かれる加圧流体の第2の流れと結合することが可能であり、かつ、
加圧流体の第2の流れは、コンバイナ弁を双方向流れ結合位置の方向に動かす場合にのみ、第1流体アクチュエータに導かれる加圧流体の第1の流れと結合することが可能である、請求項1に記載の油圧制御システム。
【請求項3】
制御器が、さらに、
関連の機械の直進走行が所望されているか否かを決定し、かつ、
直進走行が所望されている場合は、コンバイナ弁の弁要素の、双方向流れ結合位置の方向への動作を抑止する、
ように構成される、請求項2に記載の油圧制御システム。
【請求項4】
制御器が、さらに、
第2流体アクチュエータに対する所望速度の指示を受け取り、
第2流体アクチュエータに対する所望速度に対応する第2流体アクチュエータ用の流量を決定し、かつ、
第2流体アクチュエータ用として決定された流量が所定量よりも大きい場合には、コンバイナ弁の弁要素の双方向流れ結合位置の方向への動作を抑止するが、その場合、コンバイナ弁の双方向流れ結合位置の方向への動作は、第1流体アクチュエータ用として決定された流量が、第1ポンプの決定された流量容量よりも小さい場合にのみ抑止される、
ように構成される、請求項2に記載の油圧制御システム。
【請求項5】
第3の流体アクチュエータ(34)をさらに含み、加圧流体の第1の流れが、この第3流体アクチュエータに第1流体アクチュエータと並行して導かれる、請求項2に記載の油圧制御システム。
【請求項6】
制御器が、さらに、
第3流体アクチュエータに対する所望速度の指示を受け取り、
第3流体アクチュエータに対する所望速度に対応する第3流体アクチュエータ用の流量を決定し、かつ、
第2流体アクチュエータ用として決定された流量が所定量よりも小さく、かつ、第1および第3流体アクチュエータ用として決定された流量の合計が、第1ポンプの決定された流量容量よりも大きい場合には、コンバイナ弁の弁要素を双方向流れ結合位置の方向に動かす、
ように構成される、請求項5に記載の油圧制御システム。
【請求項7】
加圧流体の第1の流れを第1流体アクチュエータ(26)に導くステップと、
加圧流体の第2の流れを第2流体アクチュエータ(32)に導くステップと、
第1流体アクチュエータに対する所望の速度を示す操作者入力を受け取るステップと、
その所望速度に対応する第1流体アクチュエータ用の流量を決定するステップと、
加圧流体の第1の流れの最大流量を決定するステップと、
第1流体アクチュエータ用として決定された流量が、加圧流体の第1の流れの最大流量よりも大きい場合には、加圧流体の第2の流れを加圧流体の第1の流れと結合して、この結合された加圧流体の流れを第1流体アクチュエータに導くステップと、
を含む、油圧制御システム(48)の操作方法。
【請求項8】
関連の機械の直進走行が所望されているか否かを決定するステップと、
直進走行が所望されている場合は、加圧流体の第2の流れを、第1流体アクチュエータに導かれる加圧流体の第1の流れと結合しないように抑止するステップと、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第2流体アクチュエータに対する所望速度の指示を受け取るステップと、
第2流体アクチュエータに対する所望速度に対応する第2流体アクチュエータ用の流量を決定するステップと、
第2流体アクチュエータ用として決定された流量が所定量よりも大きい場合には、加圧流体の第2の流れを、第1流体アクチュエータに導かれる加圧流体の第1の流れと結合しないように抑止するステップであって、第1流体アクチュエータ用として決定された流量が、加圧流体の第1の流れの最大流量よりも小さい場合にのみ、加圧流体の第2の流れを、第1流体アクチュエータに導かれる加圧流体の第1の流れと結合しないように抑止するステップと、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
フレーム(38)と、
フレームに回動可能に連結されるブーム部材(22)と、
ブーム部材に回動可能に連結されるスティック部材(28)と、
スティック部材に動作可能に連結される作業工具(14)と、
ブーム部材、スティック部材および作業工具をフレームに対して動かすように構成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の油圧制御システム(48)と、
を含む機械(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−501062(P2011−501062A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529923(P2010−529923)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/011685
【国際公開番号】WO2009/051677
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】