説明

コンバイン

【課題】排出オーガを遠隔操作する遠隔操作装置の操作性を向上させることができるコンバインを提供する。
【解決手段】コンバイン1は、前記遠隔操作装置80の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に関する情報を報知する本機側報知手段92を機体側に設けて、前記制御手段60は、前記遠隔操作装置80の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に応じて、前記排出オーガ32を昇降又は旋回させるとき、その操作に関する情報を前記本機側報知手段92に報知させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの技術に関し、特にグレンタンク内の穀粒を排出する排出オーガを遠隔操作装置により無線通信を用いて操作する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀選別後の穀粒をグレンタンク内に貯溜して、その貯溜した穀粒を昇降及び旋回可能な排出オーガにより搬送して、この排出オーガの先端部の排出口から外部に排出可能としたコンバインは公知となっている。このようなコンバインの中には、運転部に備えられた本機側操作装置のほか、機体から離れた位置で使用可能な遠隔操作装置(リモートコントローラ)を備え、本機側操作装置により有線通信を用いて、又は遠隔操作装置により無線通信を用いて、排出オーガを操作可能としたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された技術においては、排出オーガを昇降及び旋回させるスイッチが遠隔操作装置に備えられている。これにより、機体の運転部にいる作業者、又は機体から離れた場所にいる作業者若しくは補助作業者が、前記遠隔操作装置のスイッチを操作して、排出オーガを昇降及び旋回させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−185194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、補助作業者が遠隔操作装置を携帯して機体から離れた位置で使用するとき、機体の運転部にいる作業者は、補助作業者が遠隔操作装置を使用して排出オーガを操作していることを認識しにくかったため、補助作業者が排出オーガを昇降及び旋回させていることに気付かずに、補助作業者による排出オーガの操作を妨げて、遠隔操作装置の操作性を低下させることがあった。例えば、本機側操作装置の操作が遠隔操作装置の操作よりも優先されるような場合には、作業者が本機側操作装置の操作を行うと、補助作業者は遠隔操作装置を使用して排出オーガを操作したにもかかわらず、その操作に対応して排出オーガを昇降及び旋回させることができなかった。作業者が機体の走行操作を行うと、補助作業者は排出オーガを適切に操作したつもりであっても、排出オーガを思い通りに昇降及び旋回させることができなかった。
【0005】
本発明は、このような現状の課題に鑑みてなされたものであり、排出オーガを遠隔操作する遠隔操作装置の操作性を向上させることができるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、グレンタンク内の穀粒を外部に排出する昇降且つ旋回可能な排出オーガと、前記排出オーガを昇降させる昇降用アクチュエータと、前記排出オーガを旋回させる旋回用アクチュエータと、前記各アクチュエータを駆動制御する制御手段と、前記排出オーガの昇降用操作手段と旋回用操作手段とを有し、有線通信を用いて前記制御手段を操作する本機側操作装置と、前記排出オーガの昇降用操作手段と旋回用操作手段とを有し、無線通信を用いて前記制御手段を遠隔操作する遠隔操作装置と、を備えるコンバインであって、前記遠隔操作装置の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に関する情報を報知する本機側報知手段を機体側に設けて、前記制御手段は、前記遠隔操作装置の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に応じて、前記排出オーガを昇降又は旋回させるとき、その操作に関する情報を前記本機側報知手段に報知させるものである。
【0008】
請求項2においては、前記本機側操作装置の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に関する情報を報知する遠隔側報知手段を前記遠隔操作装置に設けて、前記制御手段は、前記本機側操作装置の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に応じて、前記排出オーガを昇降又は旋回させるとき、その操作に関する情報を前記遠隔側報知手段に報知させるものである。
【0009】
請求項3においては、前記本機側報知手段は、前記機体の運転部に配置された表示装置で兼用されるものである。
【0010】
請求項4においては、前記本機側報知手段は、音声発生装置であるものである。
【0011】
請求項5においては、前記本機側報知手段は、前記機体に設けられた方向指示器で兼用されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、機体に搭乗している作業者は、本機側報知手段の報知により補助作業者が遠隔操作装置を使用していることを容易に認識することが可能となる。そのため、補助作業者が遠隔操作装置を使用している間、作業者は本機側操作装置の操作、さらには機体の走行操作などの余計な操作を控えることができ、補助作業者は遠隔操作装置を使用して排出オーガを円滑に操作することができる。したがって、排出オーガを遠隔操作する遠隔操作装置の操作性を向上させることができる。
【0014】
請求項2においては、遠隔操作装置を携帯する補助作業者は、遠隔側報知手段の報知により機体に搭乗している作業者が本機側操作装置を使用していることを容易に認識することが可能となる。そのため、前記補助作業者は、本機側操作装置の操作状況に応じて、遠隔操作装置を使用して排出オーガを適確に操作することができる。したがって、排出オーガを遠隔操作する遠隔操作装置の操作性を向上させることができる。
【0015】
請求項3においては、機体に搭乗している作業者は、運転部で視認しやすい位置にある表示装置を利用して、補助作業者が遠隔操作装置を使用していることを容易に認識することができる。そのため、補助作業者は、作業者により排出オーガの操作を妨げられずに済む。したがって、簡易且つ低コストな構成で、排出オーガを遠隔操作する遠隔操作装置の操作性を向上させることができる。
【0016】
請求項4においては、機体に搭乗している作業者は、いかなる方向を向いていても、又は機体から降りても遠隔操作装置の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に関する情報を聴覚的に報知されるので、補助作業者が遠隔操作装置を使用していることを容易に認識することができる。そのため、補助作業者は、作業者により排出オーガの操作を妨げられずに済む。したがって、排出オーガを遠隔操作する遠隔操作装置の操作性を向上させることができる。
【0017】
請求項5においては、機体に搭乗している作業者は、機体から降りても遠隔操作装置の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に関する情報を報知されるので、補助作業者が遠隔操作装置を使用していることを容易に認識することができる。そのため、補助作業者は、作業者により排出オーガの操作を妨げられずに済む。したがって、排出オーガを遠隔操作する遠隔操作装置の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図。
【図2】本発明の一実施形態に係るコンバインの全体的な構成を示した平面図。
【図3】本発明の一実施形態に係るコンバインの排出オーガにおける縦排出オーガと横排出オーガとの連結部分の構成を示した側面図。
【図4】本発明の一実施形態に係るコンバインの排出オーガにおける横排出オーガの先端部の構成を示した側面断面図。
【図5】本発明の一実施形態に係るコンバインの制御構成を示したブロック図。
【図6】本発明の一実施形態に係るコンバインの本機側操作装置の構成を示した正面図。
【図7】本発明の一実施形態に係るコンバインの遠隔操作装置の構成を示した正面図。
【図8】本発明の一実施形態に係るコンバインの本機側報知手段の作動に関するフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態に係るコンバイン1について、図1及び図2を用いて説明する。
なお、以下において、図1における矢印Aの指す方向を機体前方向として、機体の前後方向を規定する。また、かかる前後方向と水平方向に直交する方向を機体の左右方向と規定する。
【0020】
コンバイン1は、図1及び図2に示すように、機体フレーム10に対して、走行部2と、刈取部3と、脱穀部4と、選別部5と、穀粒貯溜部6と、排藁処理部7と、エンジン部8と、運転部9等とから構成される。
【0021】
走行部2は、機体フレーム10の下部に設けられる。走行部2には、左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置11等が設けられる。走行部2は、クローラ式走行装置11が駆動することにより機体を走行させるように構成される。
【0022】
刈取部3は、機体フレーム10の前端部に機体に対して昇降可能に設けられる。刈取部3は、分草装置12と、引起装置13と、切断装置14と、搬送装置15等とから構成される。刈取部3は、分草装置12により圃場の穀稈を分草し、引起装置13により分草後の穀稈を引き起こし、切断装置14により引き起こし後の穀稈の株元を切断し、搬送装置15により切断後の穀稈を脱穀部4側へ搬送するように構成される。
【0023】
脱穀部4は、機体フレーム10の左側前部であって、刈取部3の後方に設けられる。脱穀部4は、フィードチェン16と、図示せぬ扱胴等とから構成される。脱穀部4は、刈取部3から搬送される穀稈を受け継いで、フィードチェン16により排藁処理部7側へ搬送し、搬送中の穀稈を前記扱胴等により脱穀し、その脱穀処理物を選別部5へ落下させるように構成される。
【0024】
選別部5は、機体フレーム10の左側部であって、脱穀部4の下方に設けられる。選別部5は、脱穀部4から落下した脱穀処理物を揺動選別及び風選別により、穀粒と、穂付粒や未脱粒と、排藁と、塵埃等とに選別する。そして、選別部5は、選別した穀粒を穀粒貯溜部6へ搬送し、穂付粒及び未脱粒等の二番物は脱穀部4へ戻すように搬送し、排藁及び塵埃等は機体の外部へ排出するように構成される。
【0025】
穀粒貯溜部6は、機体フレーム10の右側後部であって、脱穀部4及び選別部5の右側方に設けられる。穀粒貯溜部6は、グレンタンク17と、穀粒排出装置30等とから構成される。穀粒貯溜部6は、選別部5から搬送される穀粒をグレンタンク17に貯溜するとともに、グレンタンク17に貯溜される穀粒を穀粒排出装置30により機体の外部へ排出するように構成される。
【0026】
排藁処理部7は、機体フレーム10の後部であって、脱穀部4の後方に設けられる。排藁処理部7は、図示せぬ排藁搬送装置や排藁切断装置等とから構成される。排藁処理部7は、脱穀部4から搬送される脱穀済みの穀稈を、前記排藁搬送装置で受け継いで排藁として外部へ排出し、又は前記排藁切断装置に搬送して切断した後に機体の外部へ排出するように構成される。
【0027】
エンジン部8は、機体フレーム10の右側部であって、穀粒貯溜部6の前方に設けられる。エンジン部8は、エンジン8a等を有して、エンジン8aの動力を駆動源とする各部の装置に適宜の伝達機構を介して当該エンジン8aの動力を伝達し、各部の装置を駆動させるように構成される。
【0028】
運転部9は、機体フレーム10の右側前部であって、刈取部3の搬送装置15の右側方に設けられる。運転部9は、キャビン18と、座席19と、ハンドル20と、操作ペダルや操作レバー等の操作具類と、表示装置91と、本機側報知手段92(図5参照)等とから構成される。運転部9は、キャビン18により座席19やハンドル20等が覆われるように構成される。
【0029】
このようにして、コンバイン1は、運転部9での操作具類の操作によって、エンジン部8のエンジン8aの動力を各部の装置に伝達して、走行部2にて機体を走行させながら、刈取部3で圃場の穀稈を刈り取り、脱穀部4で刈取部3からの穀稈を脱穀し、選別部5で脱穀部4からの脱穀物を選別して、穀粒貯溜部6で選別部5からの穀粒を貯溜すると同時に、排藁処理部7で脱穀部4からの排藁を機体の外部へ排出することができるように構成される。
【0030】
次に、穀粒貯溜部6のグレンタンク17及び穀粒排出装置30の構成について、図1から図4を用いてさらに詳細に説明する。
【0031】
グレンタンク17は、選別部5による選別後の穀粒を貯溜するものである。グレンタンク17は、図1及び図2に示すように、機体フレーム10上に設けられる。グレンタンク17は、脱穀部4及び選別部5の右側方であって、運転部9の後方に配置される。グレンタンク17は、その後部が穀粒排出装置30の一部(排出オーガ32の縦排出オーガ筒34)に回動可能に支持されて、グレンタンク17の前部が脱穀部4及び選別部5に対して近接又は離間する左右方向へ移動するように構成される。
【0032】
穀粒排出装置30は、グレンタンク17に貯溜される穀粒を機体の外部へ排出するものである。穀粒排出装置30は、図1及び図2に示すように、排出コンベア31と、排出オーガ32とを備える。
【0033】
排出コンベア31は、図2に示すように、スクリューコンベアで構成され、長手方向を前後方向としてグレンタンク17内の底部に配置される。排出コンベア31は、エンジン8aに伝動機構を介して接続される。そして、排出コンベア31は、エンジン8aの動力により回転して、グレンタンク17内の底部で穀粒を後部へ搬送するように構成される。エンジン8aから排出コンベア31までの動力伝達経路上には、ベルトテンションクラッチ等のオーガクラッチ33(図5参照)が配設される。オーガクラッチ33は、入り切り操作されることにより、エンジン8aの動力が排出コンベア31へ伝達又は遮断されるように構成される。
【0034】
排出オーガ32は、図3及び図4に示すように、縦排出オーガ58と、横排出オーガ59と、旋回用アクチュエータ35と、昇降用アクチュエータ37と、穀粒排出筒体40と、筒体回動用アクチュエータ41とを備える。排出オーガ32は、使用時には、横排出オーガ59の横排出オーガ筒36がグレンタンク17や脱穀部4等の上方を移動可能に構成される。横排出オーガ筒36は、図1及び図2に示すように、不使用時には脱穀部4の前上部付近に設けられたオーガレスト21に載置される。
【0035】
縦排出オーガ58は、機体上下方向に延在して、グレンタンク17からの穀粒を揚送するものである。縦排出オーガ58は、縦排出オーガ筒34と、縦排出コンベア38とを備える。
【0036】
縦排出オーガ筒34は、図1及び図3に示すように、細長い中空筒状の部材である。縦排出オーガ筒34は、グレンタンク17の後方で長手方向を上下方向として垂直方向(縦方向)に立設される。縦排出オーガ筒34の下端部は、排出コンベア31の後端と連通するように接続される。縦排出オーガ筒34の上端部は、横排出オーガ筒36の基端部と連通するように接続される。縦排出オーガ筒34は、機体フレーム10に対して左右方向(水平方向)へ回動可能に構成される。
【0037】
縦排出コンベア38は、図3に示すように、スクリューコンベアで構成され、長手方向を上下方向(垂直方向)として縦排出オーガ筒34内に立設される。縦排出コンベア38は、排出コンベア31によりグレンタンク17内の底部で後部へ搬送された穀粒を、縦排出オーガ筒34内で上方へ搬送するものである。縦排出コンベア38の下端部は、排出コンベア31の後端部とベベルギヤ等を介して連動するように連結される。縦排出コンベア38には、エンジン8aの動力が、排出コンベア31を介して伝達される。
【0038】
横排出オーガ59は、その基端部で縦排出オーガ58の上部に昇降且つ旋回可能に支持されて、縦排出オーガ58からの穀粒を搬送し、その先端部から外部に排出するものである。横排出オーガ59は、横排出オーガ筒36と、横排出コンベア39とを備える。
【0039】
横排出オーガ筒36は、図1から図3に示すように、細長い中空筒状の部材である。横排出オーガ筒36は、縦排出オーガ筒34の上端部から水平方向へ延設される。横排出オーガ筒36の基端部は、縦排出オーガ筒34の上端部に上下方向へ回動可能に支持される。図4に示すように、横排出オーガ筒36の先端部には、投出口体47が固設される。投出口体47は、四角筒を略L形に折り曲げた形状に形成されている。投出口体47は、開口された一側が横排出オーガ筒36の先端部と連通するように接続され、且つ開口された他側が下方を臨むように配置される。横排出オーガ筒36の先端部から排出された穀粒は、投出口体47の前記開口された他側を通じて外部へ排出される。投出口体47には、穀粒排出筒体40が取り付けられる。
【0040】
横排出コンベア39は、図3及び図4に示すように、スクリューコンベアで構成され、長手方向を水平方向として横排出オーガ筒36内に横設される。横排出コンベア39は、縦排出コンベア38により縦排出オーガ筒34内の上端部に搬送された穀粒を、横排出オーガ筒36内で先端部へ搬送するものである。横排出コンベア39の基端部は、縦排出コンベア38の上端部とベベルギヤ等を介して連動するように連結される。横排出コンベア39には、エンジン8aの動力が、縦排出コンベア38を介して伝達される。
【0041】
旋回用アクチュエータ35は、図3に示すように、縦排出オーガ筒34を左右方向(水平方向)へ回動させる部材である。旋回用アクチュエータ35は、回転軸44を備える。回転軸44には、駆動ギヤ45が固設される。駆動ギヤ45には、縦排出オーガ筒34の上下中途部に外嵌するように固定された従動ギヤ43が噛合される。また、回転軸44には、旋回角度検出センサ46が取り付けられる。旋回角度検出センサ46は、回転式ポテンショメータ等が用いられて、縦排出オーガ筒34(排出オーガ32)の旋回角度を検出することができる。なお、本実施形態において、旋回用アクチュエータ35は、電動モータが用いられているが、これに限定するものではない。
こうして、旋回用アクチュエータ35が駆動されると、回転軸44が軸心回り(左右方向)へ回動され、駆動ギヤ45及び従動ギヤ43を介して、縦排出オーガ筒34が左右方向(水平方向)へ回動するように構成される。
【0042】
昇降用アクチュエータ37は、図3に示すように、横排出オーガ筒36を上下方向へ回動させる部材である。昇降用アクチュエータ37の両端部には、横排出オーガ筒36に突設されるブラケット48と、縦排出オーガ筒34に突設されるブラケット49とが、それぞれ回動自在に接続される。また、昇降用アクチュエータ37には、昇降角度検出センサ54が取り付けられる。昇降角度検出センサ54は、伸縮式ポテンショメータ等が用いられて、昇降用アクチュエータ37のストロークを検出して横排出オーガ筒36(排出オーガ32)の昇降角度を検出することができる。なお、本実施形態において、昇降用アクチュエータ37は、油圧シリンダが用いられているが、これに限定するものではない。
こうして、昇降用アクチュエータ37が駆動されると(伸縮されると)、ブラケット48及びブラケット49を介して、横排出オーガ筒36が基端部を中心として上下方向へ回動するように構成される。
【0043】
穀粒排出筒体40は、図4に示すように、横排出オーガ筒36の先端部に設けられた中空筒状の部材である。穀粒排出筒体40は、基端側の開口部を通じて横排出オーガ筒36の投出口体47が挿入されて、当該投出口体47の後下部に前後方向へ回動可能に支持される。穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向を臨むように配置されている場合、投出口体47の穀粒排出口(前記開口された他側)は穀粒排出筒体40の内側壁により被覆されるので、投出口体47から外部へ穀粒を排出することはできない。他方、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向より下方向を臨むように配置されている場合、投出口体47の穀粒排出口(前記開口された他側)と穀粒排出筒体40の内側壁との間に間隙が設けられて投出口体47から排出された穀粒は、穀粒排出筒体40の先端側の開口部を通じて穀粒排出筒体40(排出オーガ32)の外部へ排出されることとなる。また、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が臨む方向を水平方向より下方向の範囲で前後方向へ調整することにより、穀粒排出筒体40(排出オーガ32)から排出される穀粒の排出方向が調整可能となる。
なお、穀粒排出筒体40は、穀粒排出部の一例であり、これに限定するものではない。
【0044】
筒体回動用アクチュエータ41は、図4に示すように、穀粒排出筒体40を前後方向へ回動させる部材である。筒体回動用アクチュエータ41は、横排出オーガ筒36の先端側に取り付けられる。筒体回動用アクチュエータ41は、出力軸50を備える。出力軸50には、出力軸ギヤ51が固設されるとともに、回動角度検出センサ56が配置される。出力軸ギヤ51は、扇形の開閉ギヤ52の一端側に歯合される。開閉ギヤ52は、中央部で回動可能に軸支されて、他端側にロッド53の一端側が回動可能に連結される。ロッド53の他端側は、前下方向へ向けて延設されて、平板状の開閉リンク55の一端側に回動可能に連結される。開閉リンク55の他端側は、穀粒排出筒体40に固定されている。回動角度検出センサ56は、穀粒排出筒体40の回動角度を検出する。なお、本実施形態において、筒体回動用アクチュエータ41は、穀粒排出部用アクチュエータの一例であり、電動モータが用いられているが、これに限定するものではない。
こうして、筒体回動用アクチュエータ41が駆動されると、出力軸50が軸心回りへ回動され、出力軸ギヤ51を介して、開閉ギヤ52が前後方向へ回動する。そして、開閉ギヤ52が前方向へ回動すると、ロッド53及び開閉リンク55を介して、穀粒排出筒体40が後方向へ回動するように構成される。他方、開閉ギヤ52が後方向へ回動すると、ロッド53及び開閉リンク55を介して、穀粒排出筒体40が前方向へ回動するように構成される。
【0045】
以上のような構成により、排出オーガ32は、旋回用アクチュエータ35により縦排出オーガ筒34を左右方向へ回動させることによって旋回し、昇降用アクチュエータ37により横排出オーガ筒36を上下方向へ回動させることによって昇降するように構成される。また、排出オーガ32は、筒体回動用アクチュエータ41により穀粒排出筒体40を前後方向へ回動させて、グレンタンク17内の穀粒を機体の外部の任意の場所へ排出可能に構成される。
また、オーガクラッチ33が「入」の場合、排出オーガ32は、エンジン8aの動力が排出コンベア31を介して縦排出コンベア38及び横排出コンベア39へ伝達されるので、縦排出コンベア38及び横排出コンベア39が駆動して、グレンタンク17内の穀粒が穀粒排出筒体40を通じて排出可能に構成される。他方、オーガクラッチ33が「切」の場合、排出オーガ32は、エンジン8aの動力が排出コンベア31へ伝達されず、縦排出コンベア38及び横排出コンベア39が駆動しないので穀粒が排出されないように構成される。
【0046】
また、排出オーガ32は、本機側操作装置70により有線通信を用いて、又は遠隔操作装置80により無線通信を用いて操作されるように構成される。詳細については後述するが、本機側操作装置70又は遠隔操作装置80により操作され、各アクチュエータ35・37・41がその操作に基づいてコンバイン1の任意箇所に設置された制御手段60により駆動制御されることによって、排出オーガ32が昇降又は旋回、或いは排出オーガ32の穀粒排出筒体40が回動するようになっている。
【0047】
次に、制御手段60の構成について、図5を用いて説明する。
【0048】
制御手段60は、図5に示すように、RAMやROM等の記憶装置63、受信部61、CPU等の演算処理装置62等により構成される。
記憶装置63は、各アクチュエータ35・37・41等の駆動制御に関する制御プログラム等を格納する。受信部61は、遠隔操作装置80の送信部81から無線で送信された各種信号を受信する。演算処理装置62は、受信部61から入力された各種信号や前記制御プログラムに基づいて演算処理を行い、各アクチュエータ35・37・41へ制御信号を出力するなどする。
【0049】
制御手段60は、前記本機側報知手段92と、本機側操作装置70が有する操作手段としての各種ボタンと、旋回角度検出センサ46と、昇降角度検出センサ54と、回動角度検出センサ56と接続されるとともに、遠隔操作装置80が有する操作手段としての各種ボタンと無線で接続される。
また、演算処理装置62は、旋回用アクチュエータ35と、昇降用アクチュエータ37と、オーガクラッチ33と、筒体回動用アクチュエータ41と接続される。
【0050】
制御手段60は、本機側操作装置70又は遠隔操作装置80の各種ボタンが押し操作されると、その操作に対応する操作信号を受信し、受信した操作信号に基づいて、前記制御プログラムと各角度検出センサ46・54・56からの検出信号とを利用しながら、旋回用アクチュエータ35と昇降用アクチュエータ37と筒体回動用アクチュエータ41とを駆動制御して、排出オーガ32を昇降又は旋回、或いは排出オーガ32の穀粒排出筒体40を回動させる。
また、制御手段60は、遠隔操作装置80の各種ボタンが押し操作されると、その操作に対応して本機側報知手段92を作動させる。なお、本機側報知手段92の構成については、後述にて詳細に説明するものとする。
【0051】
次に、本機側操作装置70の構成について、図5及び図6を用いて説明する。
【0052】
本機側操作装置70は、排出オーガ32を、有線通信を用いて操作するための部材である。本機側操作装置70は、運転部9に設けられた支持ホルダに着脱可能に支持される。本機側操作装置70は、支持ホルダに支持されたままの状態で操作可能、且つ支持ホルダから外して運転部9(機体)から近距離だけ離れた状態で操作可能に構成される。本機側操作装置70は、排出オーガ32の操作に関する操作手段としての各種ボタンを備える。なお、本機側操作装置70と同等の機能を有する操作装置を、排出オーガ32の穀粒排出口近傍に設けることも可能である。
【0053】
前記各種ボタンは、自動右セットボタン(「右」表示ボタン)70aと、自動後セットボタン(「後」表示ボタン)70bと、自動リターンボタン(「前」表示ボタン)70cと、オーガクラッチボタン(「クラッチ」表示ボタン)70dと、オーガ上昇ボタン(「上」表示ボタン)70eと、オーガ下降ボタン(「下」表示ボタン)70fと、オーガ左旋回ボタン(「左」表示ボタン)70gと、オーガ右旋回ボタン(「右」表示ボタン)70hと、筒体前回動ボタン(「リターン」表示ボタン)70iと、筒体後回動ボタン(「セット」表示ボタン)70jとからなる。
【0054】
自動右セットボタン70aは、排出オーガ32を予め設定された使用時の所定位置へ自動的に移動(昇降及び旋回)させるためのものである。横排出オーガ59(以下、単に排出オーガ32という。)がオーガレスト21に載置されている状態で、自動右セットボタン70aが押し操作されると、制御手段60が旋回用アクチュエータ35及び昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。その結果、排出オーガ32は、昇降及び旋回して、穀粒排出筒体40(穀粒排出口)が機体右側方に位置するように所定位置に自動的に移動する。
【0055】
自動後セットボタン70bは、排出オーガ32を予め設定された使用時の所定位置へ自動的に移動(昇降及び旋回)させるためのものである。横排出オーガ筒36がオーガレスト21に載置されている状態で、自動後セットボタン70bが押し操作されると、制御手段60が旋回用アクチュエータ35及び昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。その結果、排出オーガ32は、昇降及び旋回して、穀粒排出筒体40(穀粒排出口)が機体後方に位置するように所定位置に自動的に移動する。
【0056】
自動リターンボタン70cは、排出オーガ32を予め設定された非使用時の収納位置(オーガレスト21に載置される位置)へ自動的に移動(昇降及び旋回)させるためのものである。自動リターンボタン70cが押し操作されると、制御手段60が旋回用アクチュエータ35及び昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。その結果、排出オーガ32は、昇降及び旋回して、非使用時の収納位置に自動的に移動する。
【0057】
なお、オーガレスト21には、横排出オーガ筒36が載置されているか否かを検出するオーガレストセットセンサ57が配置される。そして、オーガレストセットセンサ57は制御手段60と接続される。
【0058】
オーガクラッチボタン70dは、オーガクラッチ33を入り切りさせるためのものである。オーガクラッチボタン70dが押し操作されている間、制御手段60はオーガクラッチ33を「入」にする。オーガクラッチボタン70dの押し操作が解除されると、制御手段60はオーガクラッチ33を「切」にする。その結果、排出オーガ32は、オーガクラッチボタン70dが押し操作されているときだけ、穀粒を外部に排出する。
【0059】
オーガ上昇ボタン70e、オーガ下降ボタン70fは、それぞれ排出オーガ32を上昇、下降させるためのものである。オーガ上昇ボタン70e又はオーガ下降ボタン70fが押し操作されている間、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。オーガ上昇ボタン70e又はオーガ下降ボタン70fの押し操作が解除されると、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を停止させる。その結果、排出オーガ32は、オーガ上昇ボタン70e又はオーガ下降ボタン70fが押し操作されているときは、その押し操作に対応して上昇又は下降し、押し操作されていないときは、昇降せずに停止する。
なお、本実施形態において、オーガ上昇ボタン70e、オーガ下降ボタン70fは、排出オーガ32の昇降用操作手段の一例であり、これに限定するものではない。
【0060】
オーガ左旋回ボタン70g、オーガ右旋回ボタン70hは、それぞれ排出オーガ32を左旋回、右旋回させるためのものである。オーガ左旋回ボタン70g又はオーガ右旋回ボタン70hが押し操作されている間、制御手段60は旋回用アクチュエータ35を受信した操作信号に基づいて駆動させる。オーガ左旋回ボタン70g又はオーガ右旋回ボタン70hの押し操作が解除されると、制御手段60は旋回用アクチュエータ35を停止させる。その結果、排出オーガ32は、オーガ左旋回ボタン70g又はオーガ右旋回ボタン70hが押し操作されているときは、その押し操作に対応して左旋回又は右旋回し、押し操作されていないときは、旋回せずに停止する。
なお、本実施形態において、オーガ左旋回ボタン70g、オーガ右旋回ボタン70hは、排出オーガ32の旋回用操作手段の一例であり、これに限定するものではない。
【0061】
筒体前回動ボタン70i、筒体後回動ボタン70jは、それぞれ穀粒排出筒体40を前方向へ回動、後方向へ回動させるためのものである。筒体前回動ボタン70i又は筒体後回動ボタン70jが押し操作されている間、制御手段60は筒体回動用アクチュエータ41を受信した操作信号に基づいて駆動させる。筒体前回動ボタン70i又は筒体後回動ボタン70jの押し操作が解除されると、制御手段60は筒体回動用アクチュエータ41を停止させる。その結果、穀粒排出筒体40が、筒体前回動ボタン70i又は筒体後回動ボタン70jが押し操作されているときは、その押し操作に対応して前方向又は後方向へ回動し、押し操作されていないときは、回動せずに停止する。
なお、本実施形態において、筒体前回動ボタン70i、筒体後回動ボタン70jは、排出オーガ32の穀粒排出筒体40の回動用操作手段の一例であり、これに限定するものではない。
【0062】
なお、本機側操作装置70は、本機側操作装置の一例であり、これに限定するものではない。また、本機側操作装置70の各種ボタンは、操作手段の一例であり、これに限定するものではない。
【0063】
以上のように、本機側操作装置70は、各種ボタンがそれぞれ一つずつ押し操作されることにより、制御手段60によってその押し操作に対応するように各アクチュエータ35・37・41を駆動させて、排出オーガ32を昇降させたり、排出オーガ32を旋回させたり、排出オーガ32の穀粒排出筒体40を回動させたりするように構成される。
【0064】
次に、遠隔操作装置80の構成について、図5及び図7を用いて説明する。
【0065】
遠隔操作装置80は、排出オーガ32を、無線通信を用いて操作するための部材である。遠隔操作装置80は、運転部9や排出オーガ32の穀粒排出口近傍位置に設けられた支持ホルダに着脱可能に支持され、作業者が携帯することができるように構成される。遠隔操作装置80は、排出オーガ32の操作に関する操作手段としての各種ボタンと、送信部81と、図示せぬ電源ボタンとを備える。
【0066】
送信部81は、前記各種ボタンと接続され、各種ボタンが押し操作されている間、その押し操作に対応する操作信号を制御手段60(さらに詳しくは、制御手段60の受信部61)へと無線で送信するものである。
【0067】
前記各種ボタンは、自動右セット・リターンボタン(「セット・リターン」表示ボタン)80aと、オーガクラッチボタン(「クラッチ」表示ボタン)80dと、オーガ上昇ボタン(「上」表示ボタン)80eと、オーガ下降ボタン(「下」表示ボタン)80fと、オーガ左旋回ボタン(「左」表示ボタン)80gと、オーガ右旋回ボタン(「右」表示ボタン)80hと、筒体前回動ボタン(「シュータ前」表示ボタン)80iと、筒体後回動ボタン(「シュータ後」表示ボタン)80jとからなる。
【0068】
自動右セット・リターンボタン80aは、排出オーガ32を予め設定された使用時の所定位置、又は非使用時の収納位置(オーガレスト21に載置される位置)へ自動的に交互に移動(昇降及び旋回)させるためのものである。横排出オーガ59(以下、単に排出オーガ32という。)がオーガレスト21に載置されている状態で、自動右セット・リターンボタン80aが押し操作されると、制御手段60が旋回用アクチュエータ35及び昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。その結果、排出オーガ32は、昇降及び旋回して、穀粒排出筒体40(穀粒排出口)が機体右側方に位置するように所定位置に自動的に移動する。穀粒の排出が終了して自動右セット・リターンボタン80aが押し操作されると、制御手段60が旋回用アクチュエータ35及び昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。その結果、排出オーガ32は、昇降及び旋回して、非使用時の収納位置に自動的に移動する。このように、自動右セット・リターンボタン80aは、一つのボタンで本機側操作装置70における自動右セットボタン70a及び自動リターンボタン70cという二つのボタンが果たす機能を兼ね備えるものである。
【0069】
オーガクラッチボタン80dは、オーガクラッチ33を入り切りさせるためのものである。オーガクラッチボタン80dが押し操作されている間、制御手段60はオーガクラッチ33を「入」にする。オーガクラッチボタン80dの押し操作が解除されると、制御手段60はオーガクラッチ33を「切」にする。その結果、排出オーガ32は、オーガクラッチボタン80dが押し操作されているときだけ、穀粒を外部に排出する。ただし、横排出オーガ筒36がオーガレスト21に載置されているときや、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向を望むように配置されているときは、オーガクラッチボタン80dが押し操作されても、制御手段60はオーガクラッチ33を「入」にしない。これにより、誤操作による穀粒の排出を防止することができる。
【0070】
オーガ上昇ボタン80e、オーガ下降ボタン80fは、それぞれ排出オーガ32を上昇、下降させるためのものである。オーガ上昇ボタン80e又はオーガ下降ボタン80fが押し操作されている間、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。オーガ上昇ボタン80e又はオーガ下降ボタン80fの押し操作が解除されると、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を停止させる。その結果、排出オーガ32は、オーガ上昇ボタン80e又はオーガ下降ボタン80fが押し操作されているときは、その押し操作に対応して上昇又は下降し、押し操作されていないときは、昇降せずに停止する。
なお、本実施形態において、オーガ上昇ボタン80e、オーガ下降ボタン80fは、排出オーガ32の昇降用操作手段の一例であり、これに限定するものではない。
【0071】
オーガ左旋回ボタン80g、オーガ右旋回ボタン80hは、それぞれ排出オーガ32を左旋回、右旋回させるためのものである。オーガ左旋回ボタン80g又はオーガ右旋回ボタン80hが押し操作されている間、制御手段60は旋回用アクチュエータ35を受信した操作信号に基づいて駆動させる。オーガ左旋回ボタン80g又はオーガ右旋回ボタン80hの押し操作が解除されると、制御手段60は旋回用アクチュエータ35を停止させる。その結果、排出オーガ32は、オーガ左旋回ボタン80g又はオーガ右旋回ボタン80hが押し操作されているときは、その押し操作に対応して左旋回又は右旋回し、押し操作されていないときは、旋回せずに停止する。
なお、本実施形態において、オーガ左旋回ボタン80g、オーガ右旋回ボタン80hは、排出オーガ32の旋回用操作手段の一例であり、これに限定するものではない。
【0072】
筒体前回動ボタン80i、筒体後回動ボタン80jは、それぞれ穀粒排出筒体40を前方向へ回動、後方向へ回動させるためのものである。筒体前回動ボタン80i又は筒体後回動ボタン80jが押し操作されている間、制御手段60は筒体回動用アクチュエータ41を受信した操作信号に基づいて駆動させる。筒体前回動ボタン80i又は筒体後回動ボタン80jの押し操作が解除されると、制御手段60は筒体回動用アクチュエータ41を停止させる。その結果、穀粒排出筒体40が、筒体前回動ボタン80i又は筒体後回動ボタン80jが押し操作されているときは、その押し操作に対応して前方向又は後方向へ回動し、押し操作されていないときは、回動せずに停止する。
なお、本実施形態において、筒体前回動ボタン80i、筒体後回動ボタン80jは、排出オーガ32の穀粒排出筒体40の回動用操作手段の一例であり、これに限定するものではない。
【0073】
次に、遠隔操作装置80における各種ボタンの配置について、図7を用いて説明する。
遠隔操作装置80は、これを用いる作業者が片手で把持可能な大きさに構成されている。遠隔操作装置80において、各種ボタンは同一表面に並べられる。遠隔操作装置80を用いる作業者から見て、排出オーガ32の昇降用操作手段であるオーガ上昇ボタン80eとオーガ下降ボタン80fとは、それぞれ菱形の上下の頂点に位置するように配置される。排出オーガ32の旋回用操作手段であるオーガ左旋回ボタン80gとオーガ右旋回ボタン80hとは、それぞれオーガ上昇ボタン80e及びオーガ下降ボタン80fの近傍でその左又は右側方に配置され、前記菱形の左右の頂点に位置するように配置される。また、排出オーガ32の穀粒排出筒体40の回動用操作手段である筒体前回動ボタン80iと筒体後回動ボタン80jとは、それぞれ昇降用操作手段及び旋回用操作手段の各ボタンのうち最下部に配置されたオーガ下降ボタン80fの近傍でその左又は右側方に位置するとともに、筒体前回動ボタン80iがオーガ左旋回ボタン80gの下方に位置し、筒体後回動ボタン80jがオーガ右旋回ボタン80hの下方に位置するように配置される。そして、オーガクラッチボタン80dは、筒体前回動ボタン80iの近傍でその下方に位置するように配置される。自動右セット・リターンボタン80aは、筒体後回動ボタン80jの近傍でその下方に位置するように配置される。
なお、遠隔操作装置80は、遠隔操作装置の一例であり、これに限定するものではない。また、遠隔操作装置80の各種ボタンは、操作手段の一例であり、これに限定するものではない。
【0074】
以上のように、遠隔操作装置80は、各種ボタンがそれぞれ一つずつ押し操作されることにより、制御手段60によってその押し操作に対応するように各アクチュエータ35・37を駆動させて、排出オーガ32を昇降させたり、排出オーガ32を旋回させたり、排出オーガ32の穀粒排出筒体40を回動させたりするように構成される。
【0075】
なお、前述の構成においては、本機側操作装置70の操作を、制御手段60により遠隔操作装置80の操作よりも優先するように設定することも可能である。この場合、制御手段60は、本機側操作装置70の操作に応じて排出オーガ32を移動させている間は、遠隔操作装置80の操作が行われようとも、その操作を無効とする。また、制御手段60は、本機側操作装置70の操作が行われていない場合に、遠隔操作装置80の操作に応じて排出オーガ32を移動させていても、その際に本機側操作装置70の操作が行われると、遠隔操作装置80の操作を無効として、本機側操作装置70の操作に応じて排出オーガ32を移動させる。
【0076】
次に、運転部9に備えられる本機側報知手段92の構成について、さらに詳細に説明する。
【0077】
なお、以下の説明において、排出オーガ32の穀粒排出筒体40の回動、排出オーガ32の昇降及び旋回を、総じて「排出オーガ32の作動」と称する。また、本機側操作装置70及び遠隔操作装置80の昇降用操作手段、旋回用操作手段及び回動操作手段の各操作手段のボタンの押し操作を、総じて「ボタン操作」と称する。
【0078】
本機側報知手段92は、コンバイン1に搭乗して運転部9にいる作業者に、遠隔操作装置80のボタン操作に関する情報、具体的には遠隔操作装置80がボタン操作されていること、つまり遠隔操作装置80のボタン操作に対応して排出オーガ32が作動されることを報知するものである。本機側報知手段92は、図5に示すように、制御手段60と接続される。本機側報知手段92は、運転部9の任意の場所に配置され、遠隔操作装置80がボタン操作されると、そのボタン操作に対応して制御手段60により作動させられるように構成される。
なお、本機側報知手段92は、コンバイン1に搭乗して運転部9にいる作業者に、遠隔操作装置80のボタン操作に関する情報を報知することができるのであれば、機体の運転部9以外の場所に配置してもよい。
【0079】
本機側報知手段92は、詳細については後述するが、表示装置91、ブザー95又は方向指示器94で構成される。ただし、本機側報知手段92はこれらの部材を組み合わせて構成してもよく、例えば、表示装置91及び方向指示器94で構成してもよいし、表示装置91、ブザー95及び方向指示器94で構成してもよい。
なお、本発明に係る本機側報知手段は、本実施形態においては、表示装置91、ブザー95及び方向指示器94の少なくとも一つで構成される本機側報知手段92としているが、これに限定するものではない。本発明に係る本機側報知手段は、運転部9の作業者に遠隔操作装置80がボタン操作されたこと、つまり遠隔操作装置80のボタン操作に対応して排出オーガ32が作動されることを報知できるものであればよい。
【0080】
次に、本機側報知手段92の作動の制御について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0081】
ステップ101において、制御手段60は、遠隔操作装置80がボタン操作されたか否かを判定する。
その結果、遠隔操作装置80がボタン操作された場合、制御手段60は、ステップをステップ102へ移行させる。
一方、遠隔操作装置80がボタン操作されていない場合、ステップをステップ101へ再び移行させる。
【0082】
ステップ102において、制御手段60は、本機側報知手段92を作動させて、運転部9の作業者に遠隔操作装置80がボタン操作されていること、つまり遠隔操作装置80のボタン操作に対応して排出オーガ32が作動されることを報知する。そして、制御手段60は、ステップをステップ103へ移行させる。
【0083】
ステップ103において、制御手段60は、遠隔操作装置80のボタン操作に対応した各アクチュエータ35・37・41を駆動させ、排出オーガ32を作動させる。そして、制御手段60は、ステップをステップ104へ移行させる。
【0084】
ステップ104において、制御手段60は、遠隔操作装置80のボタン操作が解除されたか否かを判定する。
その結果、遠隔操作装置80のボタン操作が解除された場合には、制御手段60は、ステップをステップ105へ移行させる。
一方、遠隔操作装置80のボタン操作が解除されていない場合には、制御手段60は、ステップをステップ104へ再び移行させる。
【0085】
ステップ105において、制御手段60は、本機側報知手段92の作動を停止させる。そして、制御手段60は、ステップをステップ106へ移行させる。
【0086】
ステップ106において、制御手段60は、遠隔操作装置80のボタン操作に対応した各アクチュエータ35・37・41の駆動を停止させ、排出オーガ32の作動を停止させる。
【0087】
なお、この本機側報知手段92の作動の制御は、本機側報知手段の作動の制御の一例であり、これに限定するものではない。例えば、図8のステップ102において作動した本機側報知手段92が、ステップ103において排出オーガ32が作動している間に停止する構成、換言すれば、ステップ104において遠隔操作装置80のボタン操作の解除される前に停止する構成であってもよい。つまり、本機側報知手段92が作動を開始した後、所定時間経過すると停止する構成であってもよい。
本機側報知手段92は、遠隔操作装置80がボタン操作されたこと、つまり遠隔操作装置80のボタン操作に対応して排出オーガ32が作動されることを、運転部9の作業者が、その遠隔操作装置80のボタン操作時に知ることができるように作動の制御すればよく、その本機側報知手段92の作動停止の時期や方法等を限定するものではない。
【0088】
以上のように、コンバイン1は、グレンタンク17内の穀粒を外部に排出する昇降且つ旋回可能な排出オーガ32と、前記排出オーガ32を昇降させる昇降用アクチュエータ37と、前記排出オーガ32を旋回させる旋回用アクチュエータ35と、前記各アクチュエータ35・37を駆動制御する制御手段60と、前記排出オーガ32の昇降用操作手段と旋回用操作手段とを有し、有線通信を用いて前記制御手段60を操作する本機側操作装置70と、前記排出オーガ32の昇降用操作手段と旋回用操作手段とを有し、無線通信を用いて前記制御手段60を遠隔操作する遠隔操作装置80と、を備えるコンバインであって、前記遠隔操作装置80の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に関する情報を報知する本機側報知手段92を機体側に設けて、前記制御手段60は、前記遠隔操作装置80の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に応じて、前記排出オーガ32を昇降又は旋回させるとき、その操作に関する情報を前記本機側報知手段92に報知させるものである。
【0089】
このような構成により、機体(運転部9)に搭乗している作業者は、排出オーガ32や補助作業者を視認することができなくても、本機側報知手段92の報知により補助作業者が機体から離れた場所で遠隔操作装置80を携帯して使用していることを容易に認識することが可能となる。そのため、補助作業者が遠隔操作装置80を使用している間、作業者は本機側操作装置70の操作、さらには機体の走行操作などの余計な操作を控えることができ、補助作業者は遠隔操作装置80を使用して排出オーガ32を円滑に操作することができる。つまり、補助作業者は、遠隔操作装置80の操作中に、作業者の本機側操作装置70の操作により排出オーガ32が停止又は意図しない動作をするような事態や、作業者の機体の走行操作により排出オーガ32を思い通りに昇降及び旋回させることができない事態を回避することができる。したがって、排出オーガ32を遠隔操作する遠隔操作装置80の操作性を向上させることができる。
【0090】
また、コンバイン1は、遠隔操作装置80に遠隔側報知手段である表示灯93を設ける構成とすることもできる。
【0091】
図7に示すように、表示灯93は、遠隔操作装置80を携帯して機体から離れた場所にいる補助作業者に、本機側操作装置70のボタン操作に関する情報、具体的には本機側操作装置70がボタン操作されたこと、つまり本機側操作装置70のボタン操作に対応して排出オーガ32が作動されることを報知するものである。表示灯93は、点灯と消灯を切り換え可能とする発光体で構成され、その点灯と消灯を制御手段60により制御される。図5に示すように、表示灯93は、制御手段60と接続される。表示灯93は、遠隔操作装置80の任意位置、望ましくは遠隔操作装置80をボタン操作する補助作業者が目視しやすい位置に配置される。本実施形態においては、表示灯93は、遠隔操作装置80において各種ボタンと同一表面上に配置される。
【0092】
表示灯93は、本機側操作装置70がボタン操作されていない状態においては、制御手段60により消灯され、本機側操作装置70がボタン操作されている状態においては、制御手段60により点灯されるように構成される。換言すれば、表示灯93は、排出オーガ32が停止している状態においては、制御手段60により消灯され、本機側操作装置70のボタン操作に対応して排出オーガ32が作動している状態においては、制御手段60により点灯されるように構成される。したがって、遠隔操作装置80を携帯する補助作業者は、表示灯93の点灯により本機側操作装置70がボタン操作されていることを報知され、表示灯93の消灯により本機側操作装置70がボタン操作されていないことを報知されて、その旨を容易に認識することができる。
なお、本発明に係る遠隔側報知手段は、本実施形態においては、表示灯93としているが、これに限定するものではない。本発明に係る遠隔側報知手段は、遠隔操作装置80を携帯する補助作業者に本機側操作装置70がボタン操作されたこと、つまり本機側操作装置70のボタン操作に対応して排出オーガ32が作動されることを報知できるものであればよく、例えば、表示装置や音声発生装置であってもよい。
【0093】
以上のように、コンバイン1は、前記本機側操作装置70の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に関する情報を報知する表示灯93(遠隔側報知手段)を前記遠隔操作装置80に設けて、前記制御手段60は、前記本機側操作装置70の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に応じて、前記排出オーガ32を昇降又は旋回させるとき、その操作に関する情報を前記表示灯93(遠隔側報知手段)に報知させるものである。
【0094】
このような構成により、遠隔操作装置80を携帯する補助作業者は、遠隔操作装置80の表示灯93の点灯及び消灯により機体に搭乗している作業者が本機側操作装置70を使用しているか否かを容易に認識することが可能となる。そのため、前記補助作業者は、本機側操作装置70の操作状況に応じて、遠隔操作装置80を使用して排出オーガ32を適確に操作することができる。具体的には、遠隔操作装置80のボタン操作により排出オーガ32を作動させようとする前記補助作業者は、表示灯93が点灯していることにより本機側操作装置70がボタン操作されていることを認識すると、遠隔操作装置80のボタン操作を一旦保留する。そして、補助作業者は、表示灯93が消灯したことにより本機側操作装置70のボタン操作が解除されたことを認識した後に、遠隔操作装置80のボタン操作を開始する。すなわち、補助作業者は、遠隔操作装置80をボタン操作した場合にその遠隔操作装置80のボタン操作に対応した排出オーガ32の作動に不具合が生じなくなった後に、又は遠隔操作装置80をボタン操作に応じて排出オーガ32を作動させることができるようになった後に、遠隔操作装置80をボタン操作して排出オーガ32を作動させることができる。したがって、排出オーガ32を遠隔操作する遠隔操作装置80の操作性を向上させることができる。
また、本機側操作装置70が遠隔操作装置80よりも優先してボタン操作可能に構成されている場合においては、遠隔操作装置80がボタン操作されている途中で本機側操作装置70がボタン操作されると、排出オーガ32は、遠隔操作装置80をボタン操作している補助作業者の意図しない動作となる。しかし、表示灯93が点灯することで、前記補助作業者は、運転部9の作業者が本機側操作装置70をボタン操作したことを容易に認識でき、誤操作や故障等と間違うことがない。
【0095】
次に、本機側報知手段92の構成例について説明する。
【0096】
本機側報知手段92は、運転部9に配置された液晶、LED、又はCRT等からなる既存の表示装置91で構成することが可能となっている。
【0097】
図2に示すように、表示装置91は、エンジン回転計や燃料計や収穫作業の状況などの各種情報を表示するものである。表示装置91は、座席19の前方に設けられ、運転部9の図示せぬステアリングコラムに固定されたセンターパネル上であって、運転部9にいる作業者が目視しやすい位置に配置される。図5に示すように、表示装置91は、制御手段60と接続される。
表示装置91は、遠隔操作装置80がボタン操作されると、その遠隔操作装置80がボタン操作されていることを制御手段60により表示装置91上に表示させられる。したがって、運転部9にいる作業者は、表示装置91の表示により遠隔操作装置80がボタン操作されていることを報知され、その旨を容易に認識することができる。この表示装置91の表示は、絵表示や文字表示などであるが、作業者が、遠隔操作装置80がボタン操作されていることを認識できる表示であればよく、特に限定するものではない。
なお、表示装置91は、運転部9に配置された表示装置の一例であり、これに限定するものではない。
【0098】
以上のように、コンバイン1において、前記本機側報知手段92は、前記機体の運転部9に配置された表示装置91で兼用されるものである。
【0099】
このような構成により、機体に搭乗している作業者は、運転部9で視認しやすい位置にある既存の表示装置91を利用して、補助作業者が遠隔操作装置80を使用していることを容易に認識することができる。そのため、補助作業者は、作業者により排出オーガ32の操作を妨げられずに済む。したがって、簡易且つ低コストな構成で、排出オーガ32を遠隔操作する遠隔操作装置80の操作性を向上させることができる。
【0100】
また、本機側報知手段92は、音声発生装置であるブザー95で構成することが可能となっている。
【0101】
ブザー95は、ブザー音を発生するものである。ブザー95は、機体、特に運転部9の任意の場所であって、運転部9の作業者がそのブザー音を聴くことができる場所に配置される。図5に示すように、ブザー95は、制御手段60と接続される。
ブザー95は、遠隔操作装置80がボタン操作されると、制御手段60によりブザー音を発生させられる。したがって、運転部9の作業者は、ブザー95のブザー音により遠隔操作装置80がボタン操作されていることを聴覚的に報知され、その旨を容易に認識することができる。
【0102】
以上のように、コンバイン1において、前記本機側報知手段92は、音声発生装置であるものである。
【0103】
このような構成により、機体に搭乗している作業者は、いかなる方向を向いていても、又は機体から降りても遠隔操作装置80の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に関する情報を聴覚的に報知されるので、補助作業者が遠隔操作装置80を使用していることを容易に認識することができる。そのため、補助作業者は、作業者により排出オーガ32の操作を妨げられずに済む。したがって、排出オーガ32を遠隔操作する遠隔操作装置80の操作性を向上させることができる。
【0104】
また、例えば、遠隔操作装置80がボタン操作されただけでは、ブザー95のブザー音は発生せず、遠隔操作装置80がボタン操作されている状態で且つ本機側操作装置70がボタン操作されると、制御手段60によりブザー95のブザー音が発生するように構成することもできる。
このような構成により、遠隔操作装置80がボタン操作されている間、つまり遠隔操作装置80のボタン操作に対応して排出オーガ32が作動されている間に、ブザー95のブザー音が継続して発生することを防止して、排出オーガ32を遠隔操作する遠隔操作装置80の操作性の向上を図るとともに、運転部9にいる作業者に快適な作業環境を提供することができる。
【0105】
なお、ブザー95は、音声発生装置の一例であり、これに限定するものではない。すなわち、音声発生装置は、運転部9の作業者に遠隔操作装置80がボタン操作されていることを聴覚的に報知させるような構成であればよく、スピーカとアンプと音源装置等で構成することもできる。
【0106】
この場合、音声発生装置は、合成された音声等を発する構成とすることができる。例えば、遠隔操作装置80がボタン操作されたとき、又は、遠隔操作装置80がボタン操作されている状態で且つ本機側操作装置70がボタン操作されたときに、「遠隔操作装置が操作されています」等のメッセージ(合成された音声)を制御手段60により発せられる。
このような構成により、運転部9にいる作業者は、遠隔操作装置80がボタン操作されたことを音声案内により報知されるため、その旨を容易、且つ明確に認識することができる。
【0107】
また、本機側報知手段92は、方向指示器94で構成することが可能となっている。
【0108】
方向指示器94は、路上走行等において機体の進路変更や旋回を行うときに、点滅しながら他車や周辺の補助作業者に機体の進行方向を知らしめる視認灯である。方向指示器94は、機体の四隅、即ち前部及び後部の左右両側に設けられる。方向指示器94は点滅可能に構成され、その点滅が方向指示器94の点滅と同時に運転部9の表示装置91に表示されるようになっている。図5に示すように、方向指示器94は、制御手段60と接続される。
方向指示器94は、遠隔操作装置80がボタン操作されると、制御手段60により点滅するように構成される。したがって、作業者は、運転部9(機体)に搭乗している場合には、方向指示器94の点滅にともなう表示装置91の点滅表示により方向指示器94の点滅により遠隔操作装置80がボタン操作されていることを報知され、その旨を容易に認識することができる。また、作業者は、本機側操作装置70を持つなどして、運転部9(機体)から降りてその近傍にいる場合には、方向指示器94の点滅により遠隔操作装置80がボタン操作されていることを報知され、その旨を容易に認識することができる。
【0109】
以上のように、コンバイン1において、本機側報知手段92は、前記機体に設けられた方向指示器94で兼用されるものである。
【0110】
このような構成により、機体に搭乗している作業者は、機体から降りても遠隔操作装置80の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に関する情報を報知されるので、補助作業者が遠隔操作装置80を使用していることを容易に認識することができる。そのため、補助作業者は、作業者により排出オーガ32の操作を妨げられずに済む。したがって、排出オーガ32を遠隔操作する遠隔操作装置80の操作性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0111】
1 コンバイン
17 グレンタンク
32 排出オーガ
35 旋回用アクチュエータ
37 昇降用アクチュエータ
60 制御手段
70 本機側操作装置
80 遠隔操作装置
91 液晶表示装置
92 本機側報知手段
93 表示灯
94 方向指示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレンタンク内の穀粒を外部に排出する昇降且つ旋回可能な排出オーガと、
前記排出オーガを昇降させる昇降用アクチュエータと、
前記排出オーガを旋回させる旋回用アクチュエータと、
前記各アクチュエータを駆動制御する制御手段と、
前記排出オーガの昇降用操作手段と旋回用操作手段とを有し、有線通信を用いて前記制御手段を操作する本機側操作装置と、
前記排出オーガの昇降用操作手段と旋回用操作手段とを有し、無線通信を用いて前記制御手段を遠隔操作する遠隔操作装置と、
を備えるコンバインであって、
前記遠隔操作装置の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に関する情報を報知する本機側報知手段を機体側に設けて、
前記制御手段は、前記遠隔操作装置の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に応じて、前記排出オーガを昇降又は旋回させるとき、その操作に関する情報を前記本機側報知手段に報知させる、コンバイン。
【請求項2】
前記本機側操作装置の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に関する情報を報知する遠隔側報知手段を前記遠隔操作装置に設けて、
前記制御手段は、前記本機側操作装置の昇降用操作手段又は旋回用操作手段の操作に応じて、前記排出オーガを昇降又は旋回させるとき、その操作に関する情報を前記遠隔側報知手段に報知させる、請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記本機側報知手段は、前記機体の運転部に配置された表示装置で兼用される、請求項1に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記本機側報知手段は、音声発生装置である、請求項1に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記本機側報知手段は、前記機体に設けられた方向指示器で兼用される、請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−177064(P2011−177064A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42856(P2010−42856)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】