説明

コンバイン

【課題】穀粒センサによって排出装置の駆動を自動的に停止するとともに、整備点検時には自動的に排出装置の駆動を停止しないコンバインを提供する。
【解決手段】脱穀装置(3)によって脱穀した穀粒を一時貯留する貯留装置(5a)と、該貯留装置(5a)内の穀粒を機外へ排出する排出装置(6)を設け、
前記貯留装置(5a)内の低位置に貯留された穀粒を検出する穀粒センサ(19)を設け、該穀粒センサ(19)によって穀粒が検出されている状態で排出装置(6)を駆動操作した場合は、貯留装置(5a)内の穀粒の減少に伴い穀粒センサ(19)によって穀粒が検出されなくなってから所定時間が経過した後に排出装置の駆動を自動的に停止させ、前記穀粒センサ(19)によって穀粒が検出されていない状態で排出装置(6)を駆動操作した場合には、該駆動操作が行なわれている間に亘り排出装置(6)の駆動を継続する排出制御装置(67)を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンバインは、走行装置の上側に脱穀装置を設け、この脱穀装置の前側に刈取装置を設け、刈取装置で刈り取った穀稈を脱穀装置によって脱穀処理して穀粒を貯留装置に一時的に貯留し、排出装置の先端に設けた排出口より機外へ排出する。
【0003】
コンバインの作業においては、刈取作業と排出作業とを繰り返すが、特許文献1に示すように、貯留装置の底部に備える穀粒センサによって穀粒を検出しなくなったら、排出装置を停止する技術が知られており、排出作業から刈取作業に移行した際に、排出装置の駆動を停止せずに刈取作業を行って、不意に貯留装置内の穀粒を排出してしまうことを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−65056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の技術は、穀粒センサによって穀粒を検出しない状態においては排出装置の駆動を停止するので、例えば、整備点検等の目的で、貯留装置に穀粒が無い状態で排出装置を継続的に駆動することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
【0007】
即ち、請求項1記載の発明は、脱穀装置(3)によって脱穀した穀粒を一時貯留する貯留装置(5a)と、該貯留装置(5a)内の穀粒を機外へ排出する排出装置(6)を設け、
前記貯留装置(5a)内の低位置に貯留された穀粒を検出する穀粒センサ(19)を設け、
該穀粒センサ(19)によって穀粒が検出されている状態で排出装置(6)を駆動操作した場合は、貯留装置(5a)内の穀粒の減少に伴い穀粒センサ(19)によって穀粒が検出されなくなってから所定時間が経過した後に排出装置の駆動を自動的に停止させ、
前記穀粒センサ(19)によって穀粒が検出されていない状態で排出装置(6)を駆動操作した場合には、該駆動操作が行なわれている間に亘り排出装置(6)の駆動を継続する排出制御装置(67)を設けたことを特徴とするコンバインとした。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記排出装置(6)を操作する排出スイッチ(8)と、該排出スイッチ(8)の操作に基づいて作動してエンジン(30)の駆動力を排出装置(6)へ伝達させる排出クラッチモータ(53)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとした。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記排出スイッチ(8)を前記排出制御装置(67)の入力側に有線式または無線式の通信手段を介して接続したことを特徴とする請求項2記載のコンバインとした。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によると、貯留装置(5a)内の穀粒を排出した後、排出停止操作をすることなく排出装置(6)を自動的に停止でき、対して整備点検等で貯留装置(5a)の内部に穀粒が無い状態で排出装置を駆動した場合は、穀粒センサ(19)により穀粒を検出していない状態で排出装置(6)を駆動するので、該排出装置(6)を継続的に駆動することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、排出スイッチ(8)と排出クラッチモータ(53)を簡素な構成で接続でき、排出装置(6)の整備を容易に行うことができる。
【0012】
請求項3記載の発明によると、上記請求項1及び請求項2の発明の効果に加え、任意の場所で排出操作ができ、整備作業の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの平面図
【図3】コンバインの伝動機構図
【図4】排出クラッチユニットの背面図
【図5】排出クラッチユニットの右側面図
【図6】穀粒排出装置の制御ブロック図
【図7】穀粒排出装置の穀粒排出におけるフローチャート
【図8】グレンタンクの内部を概念的に示す模式断面図
【図9】排稈処理装置の側断面図
【図10】作業機切替制御装置の制御ブロック図
【図11】作業機切替制御装置の初期位置補正フローチャート
【図12】作業機切替制御装置の作業位置確認フローチャート
【図13】作業機切替制御装置の自動補正フローチャート
【図14】ガイド切替制御装置の制御ブロック図
【図15】ガイド切替制御装置のメインルーチンを示すフローチャート
【図16】ガイド切替制御装置のサブルーチンを示すフローチャート
【図17】駐車ブレーキ機構の要部を示す側面図
【図18】操作部の側面図
【図19】操作部のドア開閉機構を示す要部平面図
【図20】操作部のドア開閉機構を示す要部平面図
【図21】分草ガイドの張出機構を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0015】
本発明を実施するコンバインは、図1及び図2に示すように、機体フレーム1の下側に走行装置2を設け、機体フレーム1の上側には脱穀装置3を設け、該脱穀装置3の前側に刈取装置4を設け、脱穀装置3の右側には該脱穀装置3で脱穀処理されて揚上移送された穀粒を一時的に貯留するグレンタンク5(貯留装置5a)を設け、グレンタンク5の後方から穀粒を機外へ排出する排出装置6を設けて、グレンタンク5の前側には、レバー形状の変速操作具10、ボタン、ダイヤル等を配した操作パネル11を備える操作部7を設けて構成する。
【0016】
前記刈取装置4は、機体フレーム1の前端上部に回動自在に支持される縦支持フレーム12に、分草体13、無端チェーンに樹脂製のラグを配した引起装置14、刈刃15等を備えて構成する。分草体13の先端には、収納位置と張出位置に切替自在に構成した分草ガイド25の前端を取り付けており、後端は機体フレーム1に取付けて機体左側方の穀稈案内をすべく構成している。
【0017】
前記脱穀装置3は刈取装置4より引き継いだ穀稈を、フィードチェン24によって矜持して、後方に移送しながら穀稈を脱穀する。
【0018】
しかして、脱穀された穀粒は螺旋軸を内装する一番揚穀筒17の上部よりグレンタンク5に一時貯留される。該グレンタンクに貯留された穀粒は排出装置6によって運搬車の荷台等、機外に排出する。
【0019】
図3に基づき、エンジン30から排出装置6の排出終端に備える横移送螺旋軸47に至る伝動機構について説明する。
【0020】
エンジン30の機体右側方から該エンジン30の回転を取り出すエンジン出力プーリー31と、エンジン30後側に配置した排出クラッチユニット20に備える排出クラッチユニット入力プーリー32とに常時張りの排出入力ベルト33を掛け回している。排出入力プーリー32は、一対のベベルギア(クラッチユニットベベルギア)34へと回転を伝動し、排出クラッチプーリ35を駆動する。該排出クラッチプーリ35と、排出入力軸38と一体回転する排出入力軸プーリ36とには排出クラッチベルト37が掛け回されており、該排出クラッチベルト37を排出クラッチモータ53により緊張・弛緩させることで伝動の接続・遮断を行うべく構成している。
【0021】
排出入力軸38の後端では排出入力ギア40、排出中間ギア41、タンク底螺旋入力ギア42によってタンク底螺旋軸43を駆動すべく構成し、該タンク底螺旋軸43の中間部でタンク後方において縦移送螺旋軸45に、一対のオーガ第一ベベルギア44を介して接続しており、その搬送下手には排出口18に向け、中間螺旋軸46、横移送螺旋軸47を配する。
【0022】
この伝動機構において、排出入力軸38はグレンタンク5の底部、タンク底螺旋軸43よりも機体内側の傾斜面下部に配置し、該傾斜面に近接する位置に設けて、排出入力軸38の中間部に設けた加振カム39によりグレンタンク5の底部を叩打することにより振動を加えて穀粒のブリッジ減少を低減するようにしている。
【0023】
図4、図5に示す排出クラッチユニット20について詳説すると、排出入力ベルト33は機体フレーム1上のエンジン後側フレーム21に回動自在に設けて先端にローラを備えた第一テンションアーム50を、該テンションアーム50の中間部とエンジン後側フレーム21の間に設けた第一テンショナースプリング51によって常時緊張状態となるよう構成しており、ネジ式の第一テンション調節機構52によって張力を調節可能にしている。
【0024】
排出クラッチ58は排出クラッチモータ53による排出装置6のクラッチ機構であり、排出クラッチプーリー35と同軸で回動する第二テンションアーム54により伝動の入切を行う。この切替は、前述したように排出クラッチモータ53により行うのであるが、該排出クラッチモータ53からの出力軸にはクランクアーム55を取付けており、その先端にロッド56を回転自在に取付けている。クランクアームの回動軸には排出モータポジションセンサ66を取付けている。ロッド56は第二テンションアーム54に設けるロッド受け部54aに挿入し、ロッド56が第二テンショナースプリング57によって第二テンションアーム54を排出クラッチベルト37に押付けるよう構成している。
【0025】
以上の構成により、無線通信によって排出制御装置67に入力する排出スイッチ8を操作を検出すると、前記排出クラッチモータ53に電力を出力し、排出装置6の伝動機構が駆動される。排出スイッチ8は遠隔操作装置(図示省略)に、排出装置6を操作する他のスイッチと共に設ける。該排出スイッチ8は操作パネル11又は排出口18近傍に配置してもよい。
【0026】
本願発明では排出装置6の駆動は排出スイッチ8の操作によって行うと共に、前記グレンタンク5の内壁面に複数の高さで配置した穀粒センサ19の検出情報に基づいて排出クラッチを自動的に切るように構成している。
【0027】
すなわち、図6乃至図8に示すように、刈脱クラッチレバー22が入っていることを刈脱レバーポジションセンサ23が検出し、収穫作業をしている場合に、最下位の穀粒センサ19が穀粒を検出し、その後刈脱クラッチレバー22を切って、排出スイッチ8を入り操作すると、穀粒センサ19が穀粒を検知しない状態になってから設定された所定排出時間t後に、排出クラッチ58を切るように排出クラッチモータ53に出力を行う。穀粒センサ19が穀粒を検出しない状態になった後、前記所定排出時間t内に排出スイッチ8を切り操作した場合は、その時点で排出クラッチ58が切れる。
【0028】
最下位の穀粒センサ19が穀粒を検出しない状態になって、排出クラッチ58が自動的に切れるまでの前期所定排出時間tは、排出装置6の駆動を開始してから最下位の穀粒センサ19が非検出状態になるまでの、エンジン回転センサ48の検出状態に基づき算出する平均エンジン回転数によって決定し、平均エンジン回転数が高いほど短く、低いほど長い。
【0029】
前記脱穀装置3によって脱粒処理された排稈は排藁として機体後端へ搬送され、機外へと放出される。放出時には図9に示す排稈処理装置60の作用を受けて圃場へ投下されるのであるが、該排稈処理装置60は、後端の左右方向軸心で前側を回動自在に構成する切替案内板61を備えており、稈身を短く裁断して圃場に拡散させる排稈カッタ62と、一定量の排稈を保持してまとめて落下させるドロッパ63の何れかに穀稈を案内すべく搬送通路を切替える。切替操作は操作パネル11に設けて排稈処理装置60と電気的に接続されたカッタスイッチ70a、ドロッパスイッチ70bにより行い、リンク機構を介して切替案内板61と連結した排稈通路切替モータ64によって切替える。
【0030】
従来は、この切替案内板61は振動や排稈の作用等の外力により、切替位置からずれる問題があった。本願実施例においてはこの切替案内板61の位置を検出する切替モータポジションセンサ65を設けて、この問題を解決している。
【0031】
排稈処理装置60の制御要素を図10に示す。制御を司るのは作業機切替制御装置72であり、操作部7に設けた、作業機切替制御装置72、作業機選択スイッチ70、刈脱レバーポジションセンサ23、作業機選択ランプ71、モニタ16と、前記排稈処理装置60に備えている切替モータポジションセンサ65及び排稈通路切替モータ64と共に制御回路を成している。
【0032】
作業機切替制御装置72はモニタ16の近傍に配置しており、押下操作によってモニタ16に表示するコンバインの各種装置に設けたセンサの検出状態に応じた表示内容を切替る。作業機選択ランプ71はドロッパパイロットランプ71a及びドロッパパイロットランプ71bからなり、それぞれ作業機切替スイッチ70を構成するカッタ選択スイッチ70a及びドロッパ選択スイッチの近傍に配置し、作業機切替制御装置72に記憶されている値に応じていずれかのランプを点灯させて切替案内板61の位置を表示する。作業機切替スイッチ70は何れか押したスイッチに応じてカッタ位置c或いはドロッパ位置dに切替える。
【0033】
なお、整備モードにおいては切替案内板61を、カッタ選択スイッチ70a操作時にはカッタ位置c側に、ドロッパ選択スイッチ70b操作時にはドロッパ位置d側に、スイッチを押下操作している間、切替モータ64を駆動する。
【0034】
図11乃至図13には作業機切替制御装置72のフローチャートを示す。
【0035】
図11は刈脱クラッチレバー22が中立位置にある非作業時ルーチンのフローチャートである。作業機切替制御装置72は、該作業機切替制御装置72の揮発性メモリに記憶している作業機位置である記憶値Nsと、切替モータポジションセンサ65の検出値Nmを比較する。この値が一致しているならば(S101)、正常状態であり、記憶値Nsに基づいてドロッパパイロットランプ71aとドロッパパイロットランプ71bいずれか一方を点灯し(S108)、ルーチンを終了する。
【0036】
記憶値Nsと検出値Nmが一致しなかったならば(S101)、記憶値Nsに基づいて作業機選択ランプ71を点滅させて、操縦者に異常を通知する(S102)。S102の作業機選択ランプ71の点滅は作業機切替スイッチ70の操作があるまで行い、操作があると(S103)、押されたスイッチ情報で記憶値Nsを書換えて(S104)、排稈通路切替モータ64を駆動するべく出力し(105)、切替案内板61を回動させる。
【0037】
S105によって、適正位置に復帰したかを再び記憶値Nsと検出値Nmの比較により確認し(S106)、不一致が生じたならば記憶値Nsに基づいて何れかのランプを点滅させる(S107)。記憶値Nsと検出値Nmが同一であればS108となる。
【0038】
図12は刈脱クラッチレバー22が、脱穀位置あるいは刈脱位置にあり、作業を行うべく少なくとも脱穀装置3が駆動されている状態における作業時ルーチンである。S109は刈脱クラッチレバー22が作業位置である脱穀位置あるいは刈脱位置に操作された直後のステップであり、記憶値Nsと検出値Nmを比較する(S109)。一致しているならば、S108と同様に作業機選択ランプ71を点灯し(S110)、S109に戻る。記憶値Nsと検出値Nmが異なれば(S109)、作業機選択ランプ71を点滅させて(S111)、モニタ16に作業機切替スイッチ70を操作を促す旨を表示する(S112)。作業機切替スイッチ70を操作を検出しないと(S113)、作業機選択ランプ71の点滅とモニタ16の表示による警告を続ける(S111、S112)。作業機切替スイッチ70の操作を行うと、記憶値Nmを更新し(S114)、排稈通路切替モータ64を駆動して(S115)、切替モータポジションセンサ65が適正な状態(検出値Nsが記憶値Nmと一致する状態)になるか一定時間経過したら、排稈通路切替モータ64の駆動を停止し、検出値Nsと記憶値Nmの不一致と判断した際には(S116)、作業機選択ランプ71の点滅とモニタ16の表示によって警告する(S117、S118)。排稈通路切替モータ64の駆動により適正位置に修正がなされた場合は、作業機選択ランプ71を記憶値Nmに応じて点灯し(S115乃至S119)自動補正モードとなる。
該自動補正モードは検出値Nsの変動を常時検出し、図13に示す制御ステップによって記憶値Nmに基づいて排稈通路切替モータ64を駆動する状態である。
【0039】
刈取作業中に記憶値Nmと検出値Nsの不一致を検出すると(S121)、検出値Nsを補正するべく、一定時間或いは記憶値Nmと検出値Nsの一致をみるまで排稈通路切替モータ64の駆動を行い(S122)、補正が適正に行われると(S123)再度検出値Nsの変動を監視する(S121)。S122の補正によっても不一致が解消しない(S123)場合には補正を中止して作業機選択ランプ71とモニタ16によって異常を通知する(S124、S125)。
【0040】
前記分草ガイド25は図1、図2及び図14、図21に示すように、前側ガイド部材25aと後側ガイド部材25bを屈曲自在に連結し、その連結部において、刈取装置4と前記前側ガイド部材25aの後端側の間で機体左右方向に伸縮自在な張出装置26を設ける。該張出装置26は先端の接続部77aと全長に渡って外周面に設けたネジ部77bを備える支持軸77と、ガイド位置切替モータ79、接続部77aが最短縮位置にて当接する収納位置センサ76を備える構成とする。操作部7に設けたガイド収納スイッチ75aとガイド張出スイッチ75bの操作により、前記ガイド位置切替モータ79を駆動し、該ガイド位置のピニオンギア80と前記支持軸77のネジ部77bが噛合うことによって伸縮動作し、分草ガイド25を、機体左外側面に沿う収納状態と、左外側方に張出した張出状態に切替える。
【0041】
分草ガイド25は刈取作業において未刈穀稈が機体に干渉しやすい機体左側方にて、穀稈を案内して走行装置による踏付けを防ぐ上で重要であり、刈取作業時は張出状態とする必要がある。本願実施例の分草ガイド25は操作部7と電気的に接続する。それにより機械的な連係機構を減らし、複雑な連係機構が不要になり部品点数の削減を図るものであるが、従来の技術においてはモータやセンサの不具合への対処、切替状態の確認がし難く、特に大型コンバインにおいては目視が困難である。そのため張出状態のまま路上走行し、分草ガイド25の損傷や歩行者との干渉などが発生する恐れがあった。
【0042】
図14にガイド切替制御装置81の構成要素をブロック図で示す。
【0043】
ガイド収納スイッチ75a及びガイド張出スイッチ75bは自動復帰型スイッチであり、穀稈センサ74は刈取装置4の穀稈搬送経路に設けたセンサである。
【0044】
ガイド切替制御装置81の切替制御を図15に示すフローチャートにより説明する。収納位置センサ76の検出状態と逆の位置に切替るスイッチの入力を検出すると(S131、S143)、ガイド位置切替モータ79が駆動される(S132、S144)。該ガイド位置切替モータ79が駆動されている間、モニタ16に表示を行う。このステップはガイド張出スイッチ75bであれば点滅表示で「張出」(S133)、ガイド収納スイッチ75aであれば点滅表示にて「収納」(S145)とし、操縦者に切替動作中で有ることを通知する。ガイド位置切替モータ79が停止するまでの間に、ガイド収納スイッチ75a、ガイド張出スイッチ75bの何れかを操作すると、その時点でガイド位置切替モータ79の駆動を停止し(S138、S148)、操作が無い場合は規定時間駆動した後停止する。モータの駆動停止後、モニタ16に収納位置センサ76の検出状態に応じた表示を行うが(S137、S140、S142、S150)、ルーチンの開始と終了で収納位置センサ76の検出状態が変化しない場合はS152を除き、ブザー27によるアラーム出力を行う。
【0045】
図16は分草ガイド25の切替位置が作業に即していない場合に警告を行うためのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0046】
前記刈脱レバーポジションセンサ23がエンジン30駆動力により刈取装置4と脱穀装置3を駆動する状態となる「刈脱」位置、或いは脱穀装置3を駆動する「脱穀」位置であることを検出していて(S152)、穀稈センサ74及び収納位置センサ76がONである場合(S153、S154)、ブザー27及びモニタ16の表示により警告を行う(S155)。
【0047】
S152において、「刈脱」、「脱穀」を検出しない中立位置であり(S152)、「走行」位置と「作業」位置を二段階に切替えて走行装置2の駆動速度を変速する副変速レバー78が、高速な「走行」位置であることを検出し(S156)、収納位置センサ76が収納状態であることを検出していない(S157)場合も警告を行う(S158)。
【0048】
図17は、走行変速装置28内に設ける内拡式ブレーキ83を、連携機構29によって駐車ブレーキペダル82と連結して機体の停止状態を保持する機構を示す。該駐車ブレーキペダル82は先端にアンロックペダル84を備え、駐車ブレーキペダル82を踏み込む事で内拡式ブレーキ83が制動状態となり、駐車ブレーキペダル83はペダルフレーム85のロックピン85aに係合する。制動状態において、アンロックペダル84のみを踏み込むとロックピン85aとの係合は解除される。
【0049】
この構成において、駐車ブレーキペダルが係合位置にあることを駐車ブレーキセンサ86によって検出し、エンジン回転センサ66によるエンジンパルスが検出されないエンジン停止状態において、駐車ブレーキセンサ86が制動状態を検出しないとブザー27によって警報を鳴らし、内拡式ブレーキ83による制動力が働かない状態で傾斜地に駐車したり、運搬車に搭載し、意図せず機体が動き出す事を防止している。なおエンジン回転センサの代わりにイグニッションキーのメイン電源通電を条件とする構成としても良い。
【0050】
図18は操作部7の外観を示す。把手91は後端の蝶番92の縦軸で外側方に回動するドア90の前端部近傍に上部よりも下部がドア90と離れる傾斜で設け、把手91を片手で握ったままドア90を開閉し易く構成しており、蝶番92は図19及び図20に示すようにドア90の回動範囲を規制する係止部92aを機体内側に向けている。これにより該係止部92aや操作部7側の当接部分の塗装剥がれや錆が生じても美観を損ねない。
【0051】
グレンタンク5の内部に備えた穀粒センサ19が、穀粒を検出しなくなってから所定時間後に排出クラッチ58が自動的に切れるので、切操作をせずに再び刈取作業を行っても、穀粒を圃場に誤って放出することなく作業を行える。
【0052】
穀粒センサ19が穀粒を検出しない状態で、排出クラッチ58を入り操作を行った際には、自動的に排出クラッチ58が切れることが無いので、整備等で、排出装置6の運転を行う際に、排出スイッチ8の操作を行うまで連続運転を行うことができる。
【0053】
作業機切替スイッチ70を、カッタ選択スイッチ70aとドロッパ選択スイッチ70bとし、作業機選択ランプ71をカッタパイロットランプ71a、ドロッパパイロットランプ71bと、作業機別に設けているので、操縦者が容易に操作でき、選択状態が明確に判別できるので誤操作のおそれが無い。
【0054】
作業機切替スイッチ70は整備モードにおいて、押下操作中任意の位置まで切替案内板61を回動できるので不測の問題に対処できる。
【0055】
本実施例の制御構成において、作業機切替スイッチ70を操作した後に排稈通路切替モータ64を駆動して、適正位置にならなかった場合(S103乃至S106、S113乃至S116、S121乃至S123)は再度補正を行わず作業機選択ランプ71やモニタ16によって警告をすることで、センサ異常や排稈の詰まりが生じている際に操縦者に点検を促すことができる。
【0056】
ガイド切替制御装置81において、ガイド収納スイッチ75a、ガイド張出スイッチを押下操作することによって、ガイド位置切替モータ79を規定時間駆動するので簡単な操作で切替が行えるとともに、駆動中に再度操作することによりガイド位置切替モータ79の駆動を任意の位置で停止できる。
【0057】
刈脱レバー操作具22が「刈脱」、「脱穀」位置で、穀稈センサ74が搬送穀稈を検出している状態とはすなわちコンバインの作業状態であり、この状態で収納位置センサ76が収納位置にあることを検出しているときに警告を行うことで、走行装置による未刈穀稈の踏付けを防止できる。
【0058】
刈取装置4及び脱穀装置3が駆動されておらず、副変速レバー位置センサ78が非作業速となる「走行」位置にある状態で収納位置センサ76が検出状態にない場合、警告を行うので、分草ガイド25を機体側方に張出した状態での路上走行を防止できる。
【符号の説明】
【0059】
3 脱穀装置
5a 貯留装置
6 排出装置
8 排出スイッチ
19 穀粒センサ
30 エンジン
53 排出クラッチモータ
67 排出制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀装置(3)によって脱穀した穀粒を一時貯留する貯留装置(5a)と、該貯留装置(5a)内の穀粒を機外へ排出する排出装置(6)を設け、
前記貯留装置(5a)内の低位置に貯留された穀粒を検出する穀粒センサ(19)を設け、
該穀粒センサ(19)によって穀粒が検出されている状態で排出装置(6)を駆動操作した場合は、貯留装置(5a)内の穀粒の減少に伴い穀粒センサ(19)によって穀粒が検出されなくなってから所定時間が経過した後に排出装置の駆動を自動的に停止させ、
前記穀粒センサ(19)によって穀粒が検出されていない状態で排出装置(6)を駆動操作した場合には、該駆動操作が行なわれている間に亘り排出装置(6)の駆動を継続する排出制御装置(67)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記排出装置(6)を操作する排出スイッチ(8)と、該排出スイッチ(8)の操作に基づいて作動してエンジン(30)の駆動力を排出装置(6)へ伝達させる排出クラッチモータ(53)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記排出スイッチ(8)を前記排出制御装置(67)の入力側に有線式または無線式の通信手段を介して接続したことを特徴とする請求項2記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−188810(P2011−188810A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57875(P2010−57875)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】