説明

コンバイン

【課題】大豆等の収穫物としての穀粒を一定量搬出可能としたコンバインを提供すること。
【解決手段】
貯留タンク18の底部に配設した搬送コンベア70の直上方に開閉体80を配設すると共に、同開閉体80は搬送コンベアへの穀粒の流入口Dを開閉自在として、搬送コンベア70から搬出オーガへ繰り出す穀粒の搬送を適宜停止可能としたコンバインである。このように、搬送コンベア70から搬出オーガ10へ繰り出す穀粒の搬送を適宜停止可能としているため、オペレータは収容袋への穀粒の収容具合を見ながら搬送コンベア70による搬送作業を行い、収容袋に穀粒が満杯になる前に搬送コンベア70による搬送作動を停止させることで、搬出オーガ10内の穀粒を収容袋内に搬出することができる。そのため、搬出オーガ10内に穀粒が残留することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大豆等の収穫物としての穀粒を一定量搬出可能としたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの一形態として、大豆等を刈り取って脱穀・選別した穀粒を貯留タンクに一旦貯留して、貯留している穀粒を適宜搬出オーガで搬出するようにしたものがある。そして、貯留タンクの底部には搬送コンベアを配置して、同搬送コンベアから上記搬出オーガに搬送するようにしている。また、収穫した大豆等の収穫物の穀粒は、搬出オーガで一定容量の収容袋(いわゆるフレコンパック)に収容するようにしている。この際、オペレータが収容袋への穀粒の収容具合を見ながら搬出オーガの始動操作と停止操作を行う(例えば、特許文献1に記載)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−94779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記したコンバインでは、オペレータが収容袋への穀粒の収容具合を見ながら搬出オーガによる搬出作業を行い、収容袋の容量が満たされたところで搬出オーガの停止操作を行うが、再度刈取作業を再開させることがある。このように、搬出作業を中断させた場合には、搬出オーガ内に穀粒が残留することがある。特に搬出オーガの縦パイプの下部に落下・滞留した穀粒は本機の振動によって圧縮されることがある。その場合には、再度搬出作業を再開させた際に搬出オーガに高トルクが発生して、安全ピンやベベルギヤに破損が生じる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、請求項1に記載の発明は、刈り取った収穫物から穀粒を脱穀・選別し、同穀粒は底部に搬送コンベアを配設した貯留タンク内に貯留して、貯留した穀粒を前記搬送コンベアから貯留タンクに連設した搬出オーガに搬送すると共に、同搬出オーガで機外に搬出するようにしたコンバインであって、貯留タンクの底部に配設した搬送コンベアの直上方に開閉体を配設すると共に、同開閉体は搬送コンベアへの穀粒の流入口を開閉自在として、搬送コンベアから搬出オーガへ繰り出す穀粒の搬送を適宜停止可能としたことを特徴とするコンバインを提供せんとするものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、収容袋への穀粒の収容量を設定する収容量設定部と、同収容量設定部で設定された収容量の入力信号を受けてその収容量を開閉体の開放開始時から閉塞開始時までの時間に換算して開閉体の開閉駆動を制御する制御部と、同制御部からの制御信号を受けて開閉体を開閉駆動する開閉駆動部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、開閉体は、板状の固定片と、同固定片に摺動自在に取り付けた板状の摺動片とを具備して、同摺動片に開閉駆動部を連動連結し、同開閉駆動部の駆動に連動して摺動片を進退摺動させることで搬送コンベアへの穀粒の流入口を開閉させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
(1)請求項1記載の本発明では、刈り取った収穫物から穀粒を脱穀・選別し、同穀粒は底部に搬送コンベアを配設した貯留タンク内に貯留して、貯留した穀粒を前記搬送コンベアから貯留タンクに連設した搬出オーガに搬送すると共に、同搬出オーガで機外に搬出するようにしたコンバインであって、貯留タンクの底部に配設した搬送コンベアの直上方に開閉体を配設すると共に、同開閉体は搬送コンベアへの穀粒の流入口を開閉自在として、搬送コンベアから搬出オーガへ繰り出す穀粒の搬送を適宜停止可能としている。
【0009】
このように、搬送コンベアから搬出オーガへ繰り出す穀粒の搬送を適宜停止可能としているため、オペレータは収容袋への穀粒の収容具合を見ながら搬送コンベアによる搬送作業を行い、収容袋に穀粒が満杯になる前に搬送コンベアによる搬送作動を停止させることで、搬出オーガ内の穀粒を収容袋内に搬出することができる。そのため、搬出オーガ内に穀粒が残留することがない。従って、搬出オーガの縦パイプの下部に落下・滞留した穀粒が本機の振動によって圧縮されるという従来の不具合を解消することができる。その結果、再度搬出作業を再開させた際に搬出オーガに高トルクが発生することがなくなり、安全ピンやベベルギヤに破損が生じることがない。また、搬出オーガ内に穀粒が残留しないため、搬出オーガの先端から穀粒がこぼれ落ちるという不具合もない。
【0010】
(2)請求項2記載の本発明では、収容袋への穀粒の収容量を設定する収容量設定部と、同収容量設定部で設定された収容量の入力信号を受けてその収容量を開閉体の開放開始時から閉塞開始時までの時間に換算して開閉体の開閉駆動を制御する制御部と、同制御部からの制御信号を受けて開閉体を開閉駆動する開閉駆動部とを備えている。
【0011】
このように、収容量設定部と制御部と開閉駆動部とを備えているため、あらかじめ収容袋への穀粒の収容量を設定(例えば、800L(リットル),1000L,1200L)しておけば、設定した収容量の穀粒が自動的に収容袋に収容される。ここで、例えば、搬出オーガの搬出量が30ton/hの場合、1000L設定の収容袋であれば、開閉体の開放開始時から閉塞開始時までの時間として1分24秒が換算され、その時間が測定されたところで開閉体を閉塞作動させることで、1000Lの穀粒が搬出オーガで搬出されることになり、搬出オーガ内の1000Lの穀粒を全て搬出することができる。
【0012】
(3)請求項3記載の本発明では、開閉体は、板状の固定片と、同固定片に摺動自在に取り付けた板状の摺動片とを具備して、同摺動片に開閉駆動部を連動連結し、同開閉駆動部の駆動に連動して摺動片を進退摺動させることで搬送コンベアへの穀粒の流入口を開閉させるようにしている。
【0013】
このように、開閉駆動部の駆動に連動して摺動片を進退摺動させることで搬送コンベアへの穀粒の流入口を開閉させるようにしているため、特に収穫物が大豆の場合、搬送コンベアへの穀粒の流入量の誤差を殆どなくすことができる。従って、搬送コンベアから搬出オーガに搬送して、同搬出オーガから収容袋に穀粒を精度良く搬出することができる。その結果、搬出オーガ内に大豆の穀粒を残留させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施形態におけるコンバインの全体構成を示した右側面図である。
【図2】この発明の実施形態におけるコンバインの全体構成を示した左側面図である。
【図3】この発明の実施形態におけるコンバインのグレンタンク底部に設けた開閉体が閉じた状態を示した断面図である。
【図4】この発明の実施形態におけるコンバインのグレンタンク底部に設けた開閉体が開いた状態を示した断面図である。
【図5】この発明の実施形態におけるコンバインのグレンタンク底部に設けた開閉体の構成を示した側面図である。
【図6】この発明の実施形態におけるコンバインの制御部及びその周辺の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態におけるコンバインは、基本的構造として、刈り取った収穫物から穀粒を脱穀・選別し、同穀粒は底部に搬送コンベアを配設した貯留タンク内に貯留して、貯留した穀粒を前記搬送コンベアから貯留タンクに連設した搬出オーガに搬送すると共に、同搬出オーガで機外に搬出するようにしている。
【0016】
本実施形態におけるコンバインで用いる収容袋(フレコンバック)は、上部が開放された袋形状を有するものであり、穀粒を貯留した貯留タンクから搬出オーガを通して、先端放出口から放出された穀粒を収容するようにしている。
【0017】
そして、特徴的構造として、貯留タンクの底部に配設した搬送コンベアの直上方に開閉体を配設すると共に、同開閉体は搬送コンベアへの穀粒の流入口を開閉自在として、搬送コンベアから搬出オーガへ繰り出す穀粒の搬送を適宜停止可能としている。
【0018】
すなわち、収容袋の収容量に応じて、貯留タンクから先端放出口から放出する穀粒の量を決定し、その決定した量に応じて穀粒の量を調節する開閉体を貯留タンク内にしている。これにより、決められた量の穀粒を横オーガ搬送機構及び縦オーガ搬送機構を通して搬送させることができる。
【0019】
また、本実施形態におけるコンバインは、収容袋への穀粒の収容量を設定する収容量設定部と、同収容量設定部で設定された収容量の入力信号を受けて開閉体の開放開始時間から閉塞開始時間までを測定して開閉体の開閉駆動を制御する制御部と、同制御部からの制御信号を受けて開閉体を開閉駆動する開閉駆動部とを備えている。
【0020】
収容袋への穀粒の収容量を設定する収容量設定部としては、運転席に設けた操作スイッチ、リモコンスイッチを用いることができる。収容量の設定部には、異なる収容量を選択できる選択スイッチを配設している。
【0021】
さらに、開閉体は、板状の固定片と、同固定片に摺動自在に取り付けた板状の摺動片とを具備して、同摺動片に開閉駆動部を連動連結し、同開閉駆動部の駆動に連動して摺動片を進退摺動させることで搬送コンベアへの穀粒の流入口を開閉させるようにしている。
【0022】
すなわち、開閉体の摺動片が摺動して固定片に対して進退摺動させることで、搬送コンベアへの穀粒の流入口を開閉させて、穀粒を搬送コンベアを介して収容袋に収容させたり、その収容を停止させたりするようにしている。
【0023】
これにより、収容袋に穀粒が満杯になる前に搬送コンベアによる搬送作動を停止させることで、搬出オーガ内の穀粒を収容袋内に搬出することができる。そのため、搬出オーガ内に穀粒が残留することがなくなる。
【0024】
本実施形態では、アクチュエータを用いて開閉体の摺動片を摺動自在としている。アクチュエータとしては、電動モータなどを用いることができる。
【0025】
以下に、本実施形態におけるコンバインを、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、大豆を収穫する汎用コンバインでの穀粒搬送について説明する。
【0026】
図1および図2は、本実施形態における脱穀選別装置を備えたコンバインAとしての汎用コンバインの全体構成を示しており、同コンバインAは、機体1の下部に左右一対のクローラ式の走行部3を配設すると共に、機体1の前端縁部に刈取部2を、搬送部4を介して昇降自在に取り付け、同搬送部4の直後方位置に脱穀部5を配設し、同脱穀部5の直下方位置に選別部6を配設する一方、同揺動体32の後方上部であって、脱穀部5の直後方位置に排藁処理部40を配設している。
【0027】
また、コンバインAは、機体1の前部であって、搬送部4の右側方位置に運転部7を配設し、同運転部7の直後方位置であって、脱穀部5の右側方位置に貯留部8を配設し、更には、同貯留部8の直後方位置に原動機部9を配設している。
【0028】
次に、コンバインAの各部の構造について図1および図2を参照して説明する。
【0029】
走行部3は、図1に示すように、機体1の下部に走行フレーム25を取付け、同走行フレーム25の前端部に駆動輪45を連動連結する一方、走行フレーム25の後端部に遊動輪46を回転自在に軸支し、これら駆動輪45と遊動輪46との間に履帯26を巻回している。図中、43は転動輪である。
【0030】
刈取部2は、図1および図2に示すように、搬送部4を、機体1の前端部に上下回動自在に取り付けており、前後方向に伸延させて筒状に形成した搬送ケースであるフィーダハウス27の内部に、搬送コンベアであるフィーダハウスコンベア(以下「FHコンベア14」ということがある)を配設している。同FHコンベア14は、搬送ケース59内の前部に従動側軸23に軸支したドラム20を左右方向に伸延させて横架する一方、フィーダハウス27内の後部に駆動側軸22を左右方向に伸延させて横架している。また、上記ドラム20は、上記駆動側軸22にフィーダチェーン24を介して連動連結している。
【0031】
フィーダハウス27の前端に形成した搬入口部としての取込口53に、プラットホーム21の本体21aを連通連設し、同本体21aの左右側端部にそれぞれ設けた左右一対のオーガ支持壁39,39間に、掻込オーガ13を左右方向の軸線廻りに回転自在に横架して掻込部16を構成している。また、上記掻込オーガ13の前側上方には、掻き込みリール11を配設している。さらに、上記プラットホーム21の下面側には、左右長手状に伸延したバリカン状の刈刃12を設けている。27はディバイダーである。
【0032】
このようにして、圃場に植立した穀稈を掻き込みリール11により掻き込むと共に、刈刃12により穀稈の根元部分を刈り取り、その後、掻込オーガ13により刈り取った穀稈を同掻込オーガ13の略中央部に寄せ集めて、後方の搬送部4のFHコンベア14へ受け渡すようにしている。そして、掻込オーガ13により寄せ集められた穀稈を、FHコンベア14を介して後方の脱穀部5に搬送するようにしている。なお、掻込オーガ13およびFHコンベア14の構成については詳細に後述する。
【0033】
脱穀部5は、図1に示すように、搬送部4の直後方位置に扱室44を形成し、同扱室44の内部に円筒状の扱胴28を、回動軸線を機体1の長さ方向に向けた状態で配設している。また、扱胴28の本体の周壁には螺旋状の羽根体29を取付けている。そして、扱胴28の直下方位置にコンケーブ47(受網体)を扱胴28の下半部周面に沿わせて周方向に連続的に張設している。
【0034】
選別部6は、図1に示すように、扱胴28の直下方位置に揺動体32を、揺動機構33を介して上下方向に揺動可能に配設している。35は、左右方向に伸延して一番穀粒を受ける一番穀粒受樋、37は、左右方向に伸延して二番穀粒を受ける二番穀粒受樋、41は唐箕である。42は、プレクーリングファンである。
【0035】
揺動体32には、上記扱胴28の直下方に位置させたフィードパン48と、穀粒漏下量を調節自在とした前側チャフシーブ30と、同前側チャフシーブ30の下方に設けるグレンシーブ49と、上記前側チャフシーブ30の後方に配置して穀粒漏下量を調節自在とした後側チャフシーブ31とが配設されている。
【0036】
そして、一番穀粒受樋35内には左右方向に伸延する一番コンベア36を配置し、同一番コンベア36の左側端部に上下方向に伸延する揚穀コンベア(図示せず)の下端部を連設する一方、同揚穀コンベアの上端部を上記した貯留部8に連設して、一番穀粒受樋35内の一番穀粒を一番コンベア36→揚穀コンベア→貯留部8へ搬送するようにしている。
【0037】
また、二番穀粒受樋37内には左右方向に伸延する二番コンベア38を配置し、同二番コンベア38の左側端部に前後方向に伸延する還元コンベア(図示せず)の後端部を連設する一方、同還元コンベアの前端部を上記した扱室44に連設して、二番穀粒受樋37内の二番穀粒を選別部6に還元して、再度選別するようにしている。
【0038】
排藁処理部40は、図1および図6に示すように、脱穀部5の扱胴28の直後方位置に後部搬送ビータ(図示せず)を配設し、同後部搬送ビータの後方位置に排藁カッター(図示せず)を配設している。そして、脱穀部5で脱穀処理された後の排藁を後部搬送ビータの搬送作用によって排藁カッター56へ搬送し、同排藁カッター(図示せず)により排藁を細断した後に、機体1の外部へ放出するようにしている。
【0039】
運転部7は、機体1の前端右側(平面視)上部に略矩形箱型状のキャビン50を配設し、同キャビン50内の平面視中央後部に座席51などを配設している。
【0040】
貯留部8は、上記した脱穀部5に設けた扱胴28の右側方方位置に貯留タンクとしてのグレンタンク18を配設している。なお、グレンタンク18の構造については詳細に後述する。
【0041】
そして、上記グレンタンク18に前記選別部6に設けた一番穀粒受樋35を、揚穀コンベアを介して連通連結すると共に、グレンタンク18内の右側下部に横搬出用スクリュウコンベア71を前後方向に軸線を向けて横架し、同横搬出用スクリュウコンベア71の後端部に下端部を連通連結した縦搬出用スクリュウコンベア72を原動機部9の右側方位置にて上下方向に軸線を向けて配置し、同縦搬出用スクリュウコンベア72の上端部に後端部を連通連結した搬出オーガ10を前方へ向けて伸延させ、かつ、後端部を中心に旋回及び上下回動自在としている。73は、搬出オーガ10の先端放出筒である。
【0042】
原動機部9は、機体1の左前部にエンジンEを配設し、同エンジンEをミッション(図示せず)等の各動力機構部に伝動機構(図示せず)を介して連動連結している。そして、エンジンEを駆動させることによって、各動力機構部が連動して作動するようにしている。
【0043】
上記のような構成において、本実施形態におけるコンバインAは、刈取部2で刈り取った大豆などの収穫物を上記脱穀部5及び選別部6において脱穀・選別して穀粒を選別し、同穀粒は上記揚穀コンベアを介してグレンタンク18(貯留タンク)に搬送して貯留するようにしている。
【0044】
グレンタンク18は、図3及び図4に示すように、前後側壁84a,84b、左右側壁81,81、底壁82、天井板(図示せず)とで箱状に形成している。底壁82は、前後方向に伸延する左右側傾斜面部82a,82cと中央水平面部82bとから凹条に形成している。そして、中央水平面部82bは上記左右側壁81,81間にあって右側(機体外方側)よりに配置して、右側傾斜面部82aよりも左側傾斜面部82c(機体内方側)を内側上方位置まで伸延させて形成している。
【0045】
また、底壁82の中央水平面部82bの直上方位置に、前後方向に伸延する水平搬送コンベア70(搬送コンベア)を配設している。このようにして、グレンタンク18内に貯留した穀粒は、凹条の底壁82上に滞留している穀粒から順次水平搬送コンベア70で搬送し、同水平搬送コンベア70→横搬出用スクリュウコンベア71→縦搬出用スクリュウコンベア72→搬出オーガ10を通して機外に放出するようにしている。
【0046】
また、上記左側傾斜面部82c上には、前後方向に伸延する四角形板状の揺動板83を傾斜面に沿わせて上下方向に進退摺動自在に配設している。そして、揺動板83の下端部は、揺動機構85を介して上記水平搬送コンベア70のコンベア軸87と連動連結している。
【0047】
揺動機構85は、図5にも示すように、前後側壁84a,84b間に前後方向に伸延する揺動支軸88を、水平搬送コンベア70の上方に位置させて、軸芯廻りに回動自在に架設している。揺動支軸88はその前端部98を前側壁84aから前方へ突出させて、同前端部98にフォロアカムとしての第1揺動アーム89の基端部を取り付けている。コンベア軸87の前端部は前側壁84aから前方に突出させて、同前端部に揺動カム97を取り付けている。
【0048】
そして、揺動カム97に上記第1揺動アーム89の先端部に形成した長孔91を遊嵌させている。一方、グレンタンク18内における揺動支軸88の前後部に第2揺動アーム90,90の基端部を取り付け、同第2揺動アーム90,90の先端部を揺動板83の前後下端縁部95,95を連結している。96は、揺動板83が底壁82の上面に沿って摺動するようにガイドするガイド片である。
【0049】
このようにして、水平搬送コンベア70のコンベア軸87と同軸的に揺動カム97が回動し、同揺動カム97に連動して第1揺動アーム89と第2揺動アーム90,90とが揺動支軸88を介して一体的に左右に揺動して、第2揺動アーム90,90の先端部に連結した揺動板83が底壁の左側面部に沿って進退摺動するようにしている。そして、揺動板83上に穀粒を滞留させることなく円滑に水平搬送コンベア70側に流下させるようにしている。
【0050】
上記のような構成において、本実施形態では、グレンタンク18の底部に配設した水平搬送コンベア70の直上方に開閉体80を配設すると共に、同開閉体80は水平搬送コンベア70への穀粒の流入口Dを開閉自在として、水平搬送コンベア70から搬出オーガ10へ繰り出す穀粒の搬送を適宜停止可能としている。そして、開閉体80は、板状の固定片67,67と、同固定片67,67に摺動自在に取り付けた板状の摺動片68,68とを具備して、同摺動片68,68に電動モータ63,63(開閉駆動部)を連動連結し、同電動モータ63,63の駆動に連動して摺動片68,68を進退摺動させることで水平搬送コンベア70への穀粒の流入口Dを開閉させるようにしている。
【0051】
すなわち、開閉体80は、水平搬送コンベア70の直上方位置において、グレンタンク18の前側壁84aと後側壁84bとの間に前後方向に伸延する四角形板状に形成した左右一対の固定片67,67を架設している。そして、各固定片67は内側端縁部76を略直交状態に接続すると共に外側端縁部74を下方に配置して、外側方へ下り傾斜の傾斜板となしている。
【0052】
ここで、左側の固定片67の外側端縁部74とグレンタンク18の左側壁81との間、及び、右側の固定片67の外側端縁部74と揺動板83との間に一定の間隔を開けて水平搬送コンベア70への穀粒の流入口Dを形成している。各固定片67の上面には前後方向に伸延する四角形板状に形成した左右一対の摺動片68,68をガイド片96を介して重合状態に取り付けると共に、各摺動片68を各固定片67の上面に沿わせて左右側方へ摺動自在となしている。
【0053】
ここで、摺動片68,68は、外側端縁部75を固定片67,67の外側端縁部74に符合させた流入口開放位置(a)と、外側端縁部75をグレンタンク18の左側壁81と揺動板83のそれぞれに当接させた流入口閉塞位置(b)との間で摺動自在として、摺動片68,68で流入口Dを開閉可能となしている。
【0054】
そして、グレンタンク18内の底部に位置する開閉体80と底壁82との間には穀粒定量収容空間Fを形成している。穀粒定量収容空間F内には、グレンタンク18内の穀粒が開閉体80の上面に沿って左右に振り分け状に流下され、流入口D,Dを通して左右側方から流入するようにしている。穀粒定量収容空間F内に収容された定量の穀粒は水平搬送コンベア70で搬送される。
【0055】
この際、開閉体80により水平搬送コンベア70には穀粒の荷重が真上から作用しないため、水平搬送コンベア70の搬送負荷および穀粒の損傷を軽減することができる。また、穀粒定量収容空間F内に流入した穀粒は、水平搬送コンベア70→横搬出用スクリュウコンベア71→縦搬出用スクリュウコンベア72→搬出オーガ10→先端放出筒73を通して放出される。
【0056】
前後側壁84a,84bの外側面部には正逆回転可能な電動モータ63,63を取り付け、電動モータ63,63の駆動軸99,99を前後側壁84a,84bに回動自在に貫通させて、各駆動軸99,99の先端部に回転体64,64を取り付けている。回転体64,64の周縁部には直状に伸延する押し引きロッド69,69の一側端部を連結する一方、上記左右の摺動片68,68の上面中途部に連結片94を介して押し引きロッド69,69の他側端部を連結している。
【0057】
このようにして、図3に示す流入口閉塞位置(b)にて電動モータ63,63を正回転駆動させて回転体64,64を時計廻りに半回転させることで、各押し引きロッド69を引き上げて各摺動片68を図4に示す流入口開放位置(a)に達するまで内側上方へ摺動させる。そして、電動モータ63,63が停止して、流入口Dが全開状態に開放される。
【0058】
また、図4に示す流入口開放位置(a)にて電動モータ63,63を逆回転駆動させて回転体64,64を反時計廻りに半回転させることで、各押し引きロッド69を押し下げて各摺動片68を図3に示す流入口閉塞位置(b)に達するまで外側下方へ摺動させる。そして、電動モータ63,63が停止して、流入口Dが全閉状態に閉塞される。
【0059】
また、本実施形態のコンバインAには、図6に示すように、収容袋(フレコンバック)への穀粒の収容量を設定する収容量設定部92と、同収容量設定部92で設定された収容量の入力信号を受けてその収容量を開閉体80の開放開始時から閉塞開始時までの時間に換算して開閉体80の開閉駆動を制御する制御部60と、同制御部60からの制御信号を受けて開閉体80を開閉駆動する開閉駆動部としての前記電動モータ63とを備えている。
【0060】
ここで、開閉体80の開閉駆動とは各摺動片68,68を進退摺動させることである。そして、各摺動片68,68が流入口開放位置(a)ないしは流入口閉塞位置(b)に達したところで、各摺動片68,68を駆動する電動モータ63に基準値以上の電流が流れて、内蔵しているセンサが負荷を検知して制御部60に出力するようにしている。
【0061】
そうすると制御部60は各摺動片68,68が流入口開放位置(a)ないしは流入口閉塞位置(b)に達したと判断して、電動モータ63の駆動を停止させるようにしている。この際、制御部60は収容量設定部92で設定された収容量の入力信号を受けて、この設定収容量を各摺動片68,68の開放開始時から閉塞開始時(電動モータ63の開放駆動開始から閉塞駆動開始)までの時間に換算する。
【0062】
そして、各摺動片68,68の開放作動を開始した後、換算された時間に基づいて閉塞作動を開始するようにしている。各摺動片68,68の開放作動は収容量設定部92での収容量設定完了直後に開始される。なお、収容量と開放開始時から閉塞開始時までの時間の換算は、収容量設定部92で適宜調節可能とすることもできる。
【0063】
そして、上記電動モータ63,63は、図6に示すように、機体1の所定箇所に設けられた制御部60により、制御可能に設けている。すなわち、電動モータ63,63は、制御部60により回転方向、回転速度、回転時間を制御可能に設けている。制御部60と電動モータ63とは、ハーネスなどを通して電気的に連結されている。
【0064】
また、運転部7に設けた操作コラム61又はリモコン装置62には、フレコンバックの容量を選択する収容量選択スイッチ92(収容量設定部)を設けて、同収容量選択スイッチ92を制御部60の入力側に接続している。なお、収容量設定部は任意に収容量を設定することもできるが、本実施形態では収容量選択スイッチ92であらかじめ設定した複数の収容量(フレコンバックの容量)を選択するようにしている。
【0065】
フレコンバックは前記先端放出筒73の下方に設置して、先端放出筒73から放出される穀粒をフレコンバックで収容することができる。フレコンバックは、例えば、800、1000、1200リットルの容量を持つものがある。そして、搬出オーガ10の先端放出筒73の下方にフレコンバックを配設し、先端放出筒73から穀粒をフレコンバック内に放出させるようにしている。
【0066】
このように、収容量設定部92と制御部60と開閉駆動部63とを備えているため、あらかじめ収容袋への穀粒の収容量を設定(例えば、800L(リットル),1000L,1200L)しておけば、設定した収容量の穀粒が自動的に収容袋に収容される。ここで、例えば、搬出オーガ10の搬出量が30ton/hの場合、1000L設定の収容袋であれば、開閉体80の開放開始時間から閉塞開始時間までに1分24秒が測定されたところで開閉体80を閉塞作動させることで、穀粒定量収容空間F内に1000Lの穀粒を収容することができる。
【0067】
そして、穀粒定量収容空間F内の1000Lの穀粒を、水平搬送コンベア70→横搬出用スクリュウコンベア71→縦搬出用スクリュウコンベア72→搬出オーガ10→先端放出筒73を通して全て搬出することができる。その結果、1000L設定の収容袋に1000Lの穀粒を収容して満杯となすことができると共に、搬出オーガ10内には穀粒を残留させることがない。
【0068】
なお、電動モータ63,63は、本実施形態ではグレンタンク18の外部に配設しているが、穀粒の侵入を防ぐ保護カバーを電動モータ63の周りに配設するなどしてグレンタンク18の内部に配設することもできる。グレンタンク18外側周辺に電動モータ63,63を配設するスペースがないときは、グレンタンク18の内部に配設することによりスペースの有効化を図ることができるからである。
【0069】
また、本実施形態では、電動モータ63,63を2個使用しているが、1個の電動モータ63を使用して、左右の摺動片68,68を同時に摺動させることもできる。さらに、各電動モータ63,63を個別に動作させることによって、例えば、左右の摺動片68、68のいずれかを摺動させることもできる。
【0070】
このように、本願発明は、グレンタンク18に貯留した穀粒を、異なる容量を持つフレコンバックに、オーバフローすることなく、ほぼ一杯に穀粒を収容させることができる。次に、グレンタンク18からの穀粒放出の制御について大豆の収容の例を示して説明する。
【0071】
コンバインAは、圃場に植立した大豆の穀稈を掻き込みリール11により掻き込むと共に、刈刃12により穀稈の根元部分を刈り取り、その後、掻込オーガ13により刈り取った穀稈を同掻込オーガ13の略中央部に寄せ集めて、後方の搬送部4のFHコンベア14へ受け渡すようにしている。
【0072】
また、大豆の穀稈を、FHコンベア14を通して後方の脱穀部5に搬送するようにしている。さらに、脱穀部5において脱穀処理されると共に、選別部6において大豆の穀粒と穀稈とに選別され、選別された穀粒は、揚穀筒を通して穀粒としてグレンタンク18に貯留するようにしている。
【0073】
そして、グレンタンク18内の穀粒を搬出オーガ10の先端放出筒73から放出させてフレコンバック内に収容する場合には、まず、収容するフレコンバックの容量の選択を、収容量選択スイッチ92などを用いて選択する。次いで、収容量選択スイッチ92で選択されたフレコンバックの容量の情報が制御部60で読み込まれると共に、選択したフレコンバックの容量に応じた電動モータ63の駆動時間が制御部60により読み込まれ、制御部60はその駆動時間に応じて電動モータ63を駆動するように制御する。すると、選択された駆動時間に応じて摺動片68が摺動して流入口開放位置(a)まで達したところで流入口Dが開放される。そして、同流入口Dを通して穀粒が穀粒定量収容空間F内に流入する。
【0074】
その後、選択された駆動時間の経過後、制御部60は電動モータ63を逆回転させて、摺動片68を閉じ方向に摺動させるように制御する。これにより、摺動片68が摺動して流入口閉塞位置(b)まで達したところで流入口Dが閉塞される。その結果、穀粒の穀粒定量収容空間F内への流入が停止される。
【0075】
ここで、例えば、1000リットルのフレコンバックの場合、所定量としての放出流量は30ton/hであり、搬出オーガクラッチをオンにすると、制御部60の制御により略1分24秒で摺動片68が閉塞作動を開始して流入口Dを閉塞するようにしている。流入口Dの閉塞により、穀粒定量収容空間F内への穀粒の流入が停止されて、所定量の穀粒が穀粒定量収容空間F内に滞留される。
【0076】
これにより、穀粒定量収容空間F内に流入して滞留されている所定量の穀粒は、水平搬送コンベア70→横搬出用スクリュウコンベア71→縦搬出用スクリュウコンベア72→搬出オーガ10→先端放出筒73を通して放出される。その結果、フレコンバックの容量に応じて設定された所定量の穀粒をグレンタンク18から先端放出筒73を通してフレコンバック内に放出することができる。
【0077】
このように、本実施形態におけるコンバインAは、穀粒定量収容空間F内に一旦滞留された所定量の穀粒だけを、同穀粒定量収容空間F内からフレコンバック内に放出するようにしているため、途中の搬送手段である水平搬送コンベア70→横搬出用スクリュウコンベア71→縦搬出用スクリュウコンベア72→搬出オーガ10→先端放出筒73内に穀粒を残留させることがない。そして、搬出オーガ10内などでの穀粒の残留が無いため、前記した課題に記載したような安全ピン・ベベルギヤの破損が無くなる。
【0078】
また、制御部60は、最初は上記開閉体80の摺動片68を固定片67の上面に沿わせて上方に摺動させて流入口Dを拡大させることで、水平搬送コンベア70に穀粒を送る量を多くし、所定量に近づいてきたときに、摺動片68を徐々に下方に摺動させて流入口Dを徐々に縮小させることで、所定量に達するところで流入口Dを閉塞させるように制御することもできる。このように、摺動片68が開閉する開閉速度を変化させて、穀粒定量収容空間F内に流入させる穀粒の量を変化させることにより、フレコンバックの収容量を精度良く調整することができる。
【0079】
また、上記した大豆以外の倒伏麦を刈取する場合、搬送される穀粒と共に土の混入によって搬出オーガ10内で詰まりが発生しやすくなるが、その場合であっても自動で穀粒の穀粒定量収容空間F内への流量調整ができれば、穀粒定量収容空間F内への土の混入を低減することができて、搬出オーガ10内への土の詰まりの発生を抑制することができる。
【0080】
以上、本実施形態では、大豆を収穫する汎用コンバインのグレンタンク18の構造について説明したが、本願発明は、稲を収穫する自脱型コンバインのグレンタンク18の構造にも適用することできる。
【符号の説明】
【0081】
A コンバイン
D 流入口
10 搬出オーガ
18 グレンタンク(貯留タンク)
60 制御部
63 電動モータ(開閉駆動部)
67 固定片
68 摺動片
70 水平搬送コンベア(搬送コンベア)
80 開閉体
92 収容量選択スイッチ(収容量設定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈り取った収穫物から穀粒を脱穀・選別し、同穀粒は底部に搬送コンベアを配設した貯留タンク内に貯留して、貯留した穀粒を前記搬送コンベアから貯留タンクに連設した搬出オーガに搬送すると共に、同搬出オーガで機外に搬出するようにしたコンバインであって、
貯留タンクの底部に配設した搬送コンベアの直上方に開閉体を配設すると共に、同開閉体は搬送コンベアへの穀粒の流入口を開閉自在として、搬送コンベアから搬出オーガへ繰り出す穀粒の搬送を適宜停止可能としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
収容袋への穀粒の収容量を設定する収容量設定部と、同収容量設定部で設定された収容量の入力信号を受けてその収容量を開閉体の開放開始時から閉塞開始時までの時間に換算して開閉体の開閉駆動を制御する制御部と、同制御部からの制御信号を受けて開閉体を開閉駆動する開閉駆動部とを備えたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
開閉体は、板状の固定片と、同固定片に摺動自在に取り付けた板状の摺動片とを具備して、同摺動片に開閉駆動部を連動連結し、同開閉駆動部の駆動に連動して摺動片を進退摺動させることで搬送コンベアへの穀粒の流入口を開閉させるようにしたことを特徴とする請求項2記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−19495(P2011−19495A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169986(P2009−169986)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】