説明

コンピュータ断層撮像用スキャナ及びスキャン方法

【課題】走査対象をCT撮像するスキャナを改良する。
【解決手段】走査対象1をコンピュータ断層撮像するためのスキャナが、少なくとも一のビーム2を走査対象1に照射するように配置された照射器20と、走査対象1を透過した放射線を検出するように配置された検出器30とを備えており、照射器20は検出器30に対して固定の位置を有しており、担持装置40が照射器20と検出器30との間の位置に走査対象1を収容し、測定装置10及び担持装置40は互いに対して走査移動が可能であり、測定装置10及び担持装置40は、走査移動中に固定の空間配向を有する。さらに走査対象1をコンピュータ断層撮像するためのスキャン方法も記述されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査対象をコンピュータ断層(CT)撮像するためのスキャナに関する。特に、照射器及び検出器を有する測定装置並びに走査対象を収容する担持装置を備えたスキャナに関するものであり、測定装置及び担持装置は互いに対して走査移動が可能である。更に本発明は、走査対象をCT撮像するためのスキャン方法に関する。このスキャナ及びスキャン方法はCT撮像するあらゆる用途、特に材料科学、診断、建築技術、安全性に関する技術等の分野に利用可能である。
【背景技術】
【0002】
CT撮像は、照射器で生成されたX線を、さまざまな投影方向から試料平面を経て検査対象に照射することを基本としており、さまざまな投影方向において検出器で測定された減衰データに基づいて試料平面の再構成が行われる。完全な画像の再構成は、少なくとも180°に亘る投影角度で投影画像を収集することを基本とする。走査対象は担持装置上に配置される。さまざまな投影方向を設定するために、照射器及び検出器並びに担持装置の組み合わせは互いに対して走査移動が可能である。走査移動を実行するための多様なスキャン技術が従前から開発されてきた。
【0003】
第一世代のCTスキャナでは、照射器は単一のペンシル型ビーム源を備えており、検出器は単一のX線検出器を備えている。いわゆる回動・直動システムが以下の手順で得られる。ある特定の角度で開始して、照射器・検出器システムが視野(FOV)に亘って線形移動され、この特定の角度における投影について、FOVに亘る平行束線に関するデータが得られる。直動を完了したあと、システム全体が回動され、そのあと、次の直動がなされて、次の投影方向に関するデータが得られる。直動及び回動に関するこの工程は、完全に一組の投影方向が得られるまで繰り返される。また第二世代のCTスキャナでは、検出器は直線的に配列した少数の検出器を備えており、X線管は狭角の扇形X線を生成する。第一世代のスキャナと同様、第二世代のスキャナは回動・直動システムであるが、こちらは回動の工程数が少ない。
【0004】
第一世代及び第二世代のCTスキャナにおける主な限界は直動に関する。すなわち、各直動の終了時に、照射器・検出器システムを終了させる必要があり、システム全体を回動させる必要があり、さらに直動を再び開始させる必要がある。このため、これらのCTスキャナでは、高速スキャナを構築することが非常に困難なことが明らかとなった。したがって、第一世代及び第二世代のCTスキャナは現在、CT撮像には用いられていない。
【0005】
第三世代のCTスキャナは、例えば国際特許公開第WO2007/034357号(特許文献1)や米国特許第4149079号(特許文献2)に開示されている。この第三世代のCTスキャナは、照射器及び検出器の回動を意味する回動・回動システムである。一般的な第三世代のCTスキャナ100を、図8(従来技術)の模式図に例示する。従来型のCTスキャナ100’は、照射器20’及び検出器30’を有する測定装置と、調査中の走査対象1’を収容する担持装置4’とを備える。照射器20’は、走査対象1’に扇形X線ビームを照射する単一のX線管を有している。検出器30’は、走査対象1’を透過した放射線を検出する複数の検出素子を有している。照射器及び検出器20’、30’は互いに対して固定の位置を有している。多様な投影方向を設定するために、照射器及び検出器20’、30’は走査対象1’の周囲で回動される。すなわち、照射器20’及び検出器30’を備えた測定装置の空間配向は、スキャン中に連続的に変化する。
【0006】
本質的な利点として、第三世代のCTスキャナは実質的に走査時間の短縮化が可能である。CT画像の再構成に必要な減衰データのフルセットは数ミリ秒内に収集できる。しかしながら、検出素子から信号を伝達するには、検出器30’から処理用コンピュータまでの配線、又はデータ及び電力伝送のための接触リングの設置が必要となる。また配線には、測定装置において連続的に変化する空間配向から問題が発生することがある問題もある。特に連続回動が不可能であり、他方、接触リングでは、検出器信号の較正においてミスが発生し得る。その結果、再構成画像にいわゆるリング・アーチファクト(artefacts:画像の乱れ)が生成されることがある。他の欠点としては、第三世代のスキャナで収集したデータにおける扇形ビームの幾何形状(形態)は、平行ビームの形態よりも演算効率が低いことが挙げられる。
【0007】
さらに第四世代のCTスキャナでは、検出素子は回動システムから除かれ、走査対象の周囲で静置型環状部に配置されている。この構成によれば、第三世代のCTスキャナにおける配線の問題とリング・アーチファクトの問題を回避できる。しかしながら、第四世代のCTスキャナは高価であるという本質的な欠点を有している。これは、完全なリングを形成するのに多数の検出素子を要するためである。また第四世代のCTスキャナの他の問題点は、X線の形態が非均質であることにも由来する。照射器と検出器間の距離及びX線の厚さはさまざまな検出素子によって異なることがある。このことは、更に撮像アーチファクトとなり得る。
【0008】
さらに別のCTスキャナが考案されており、これは第三世代又は第四世代のCTスキャナに比べて更に複雑な機械構造を要するものである。一例として、ソヴィエト社会主義共和国連邦特許出願公開第766264号(特許文献3)が、単一のX線照射器を備えた測定装置を有し、測定される各走査対象に対して単一の検出素子を有するスキャン機構を開示している。多数の投影方向に関するデータを収集するために、走査対象は照射器と検出素子との間で直動及び回動される。すなわち、走査対象担持装置の空間配向はスキャン中に連続的に変化する。また他のスキャナとして、回動する走査対象担持装置を有するスキャナが米国特許公報第5119408号(特許文献4)や国際特許公開第WO02/056752号(特許文献5)に記載されている。
一方でCT撮像とは別に、走査対象を照射器と検出素子との間で直線的に移動させる間に投影画像を収集するように従来型の断層合成撮像(tomosynthesis imaging)を改造することも考えられる(例えば米国特許出願公開第20070116175号:特許文献6)。しかしながら、これは投影方向の限られた範囲のみをカバーするものであるため、断層合成撮像法では完全な断層画像を再構成することは不可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第WO2007/034357号
【特許文献2】米国特許第4149079号明細書
【特許文献3】ソヴィエト社会主義共和国連邦特許出願公開第766264号明細書
【特許文献4】米国特許第5119408号明細書
【特許文献5】国際公開第WO2002/056752号
【特許文献6】米国特許出願公開第20070116175号明細書
【特許文献7】国際公開第WO2006/069708号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、走査対象をCT撮像するためのスキャナの改良であって、従来のスキャン技術の制限を解消可能な改良型スキャナを提供することにある。さらに本発明の他の目的は、CT撮像するための改良型スキャン方法を提供することにある。特に、この改良型スキャン技術では、第三世代又は第四世代のCTスキャナと同様の、スキャン時間の短縮化を可能にするとともに、平行ビームの形態を直接的に実現することが可能である。さらにまた、この改良型スキャン技術では撮像アーチファクトを回避できる。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0011】
これらの目的は、請求項1又は10のそれぞれの特長を備えたスキャナ又はスキャン方法を用いて達成される。本発明の好適な実施形態及び用途は従属請求項に記載される。
【0012】
概略的に本発明の第1の態様によれば、CT撮像に適するスキャナが、互いに対して固定の位置を有する照射器と検出器を備えた測定装置と、検査対象の走査対象を照射器と検出器の間の視野(field of view:FOV)内に位置決めするように構成された担持装置とを具備している。測定装置及び担持装置は走査移動を実行するために互いに可動であり、また測定装置及び担持装置は走査移動中に、固定の空間配向を有する検出器が複数の検出素子を有しており、これらの検出素子は、単一のピクセル形状のX線感知素子であるか、又は多数のピクセルを有する線形状若しくは面形状のX線感知素子を有している。
【0013】
概略的に本発明の第2の態様によれば、CT撮像するためのスキャン方法は、照射器で生成されたX線を、調査中の走査対象に照射する工程と、さまざまな投影方向に沿って走査対象を透過した放射線を検出器で検出する工程とを含み、投影方向は、走査対象を支持した担持装置の走査移動と、互いに対して照射器と検出器との組み合わせとで設定され、照射器及び検出器並びに担持装置は走査移動中に固定の空間配向を有することを特徴とする。
【0014】
本発明のスキャナ及びスキャン方法は、好適には第一世代又は第二世代のCTスキャナにおける平行ビームの形態に類似した減衰データを収集するよう構成されている。従来型CTスキャナと異なり、照射器の位置と検出器の位置が離間して固定されている場合、又は照射器と検出器が走査移動するよう構成される場合は、両者は同一速度(方向、量)で同時に移動される。他の特長として、画像平面(スライス)の再構成に必要なデータセットの収集は、第三世代のCTスキャナで要する時間内又はこれよりも短時間に完了させることができる。また本発明によれば、第三世代のCTスキャナとは対照的に、照射器及び検出器を有する測定装置が、従来のように担持装置の周囲で回動することはない。測定装置及び担持装置のいずれも、空間内において、互いに対して所定の配向を有している。これらの装置は、このような固定の配向が走査移動中に一定に維持されるように配置、移動される。このようなスキャン設計によれば好適なことに、第三世代のスキャナでは典型的に見られる較正エラーを回避できる。さらにまた第三世代のCTスキャナとは対照的に、検出器の各検出素子は走査対象に対して固定の空間位置を有している。すなわち、各検出素子は所定の固定の投影角度に対するデータを収集する。最後に、第四世代のスキャナとは対照的に、本発明のスキャン技術におけるデータの形態は均質性を受け入れる。照射器及び検出器は相互に固定位置にあるため、照射器と検出器との間の距離変化を回避できる。さらにまた、1スライス当りの完全なデータセットの収集は、検出器リングの半分だけ又はそれ以下でも達成できる。
【0015】
本発明の本質的な特長は、検出器に対して照射器が固定の位置と、それと同時に照射器及び検出器を有する測定装置と担持装置との固定の配向とで示されている。なお本明細書において「固定の位置(fixed position)」とは、照射器の基準点(例えばX線管の支持点又は集束点)と検出器の基準点(例えば所定の検出素子の位置)とが相対的に一定の空間座標を有するという意味である。特に「固定の位置」は、照射器の少なくとも一のX線管と検出器の検出素子とが剛性の部品であり移動しない第1の変形例と、照射器と検出器の内少なくとも一方が固定の位置を有しているが、空間内において可変の配向を有している第2の変形例とを包含している。換言すれば、照射器が、変動する検出素子の方へX線を指向させるために中心軸周りで回動できる単一のX線管を有していても、照射器は検出素子に対して「固定の位置」を有している。
【0016】
また、本明細書における「固定の空間配向(fixed spatial orientation)」とは、空間における配向(角度位置)が測定装置及び担持装置のいずれに関しても一定であるという意味である。空間配向は、装置の形態の所定の、例えば直交状態の基準方向で示される。一例として、測定装置の空間配向は、照射器の集束点を検出器の検出素子と結ぶ第1のラインと、この第1のラインとは垂直な第2のラインとで示すことができる。さらにまた担持装置の空間配向は、担持装置の担持面に対して垂直な第1のラインと、担持面に沿った第2のラインとで示すことができる。
【0017】
さらに「走査移動(scanning movement)」とは、測定装置及び担持装置の互いに対する移動のことであり、この移動は走査対象への照射のさまざまな投影方向を設定するように設計されている。概略的には、走査移動は結果的に、湾曲した、特に円形又は多角形の経路(走査線)に沿った、測定装置に対する担持装置の直動となる。走査移動は、特定範囲の投影方向を調整するために複数の部分的直動のフェーズを含んでいてもよい。概略的には、走査移動、又は部分的直動のフェーズの内少なくとも一は、照射器から検出器までのビーム経路を含む基準平面に沿って行われる。
【0018】
具体的な利点として、本発明のスキャン技術で収集した減衰データを、従来型の再構成アルゴリズムを用いる画像再構成に使用できる。特に、画像の再構成は、例えばフィルタ補正逆投影(filtered back-projection:FBP)アルゴリズム又は多項式ベース(OPED)アルゴリズムを用いて実行できる(国際特許公開第WO2006/069708号(特許文献7)を参照)。但し、本発明のスキャン技術はFBPアルゴリズム及びOPEDアルゴリズムのいずれにも利点を供する。FBPアルゴリズムは本質的に加速できるが、本発明で得られる平行ビームの形態はOPEDアルゴリズムに好適に適用される。
【0019】
本発明によれば、走査移動を特定の用途の要求仕様に応じて対応させることができる。本発明の好ましい実施形態によれば、測定装置は固定されており、担持装置は走査移動を実行するために移動される。この実施形態は特に、被加工物、手荷物、医学的試料等、移動可能な走査対象の撮像用として好ましい。さらにまた、測定装置の運転及び保守が容易である。他の実施形態によれば、検査中の走査対象を収容する担持装置は固定され、測定装置が走査移動を実行する。このような実施形態は、移動しない走査対象を撮像するのに利点を有し得る。
【0020】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、走査移動は円形の線に沿って実行される。上記の実施形態では、担持装置は円形の線上で直動され、その中心に照射器若しくは検出器が配置されるか、又は測定装置の照射器若しくは検出器の内いずれか一方が円形の線に沿って直動され、その中心に担持装置が配置される。円形の線に沿った走査移動は、走査移動の間又は少なくとも走査移動の部分的直動のフェーズの間、担持装置と照射器又は検出器との距離を一定に保つという格別の利点を有する。したがって、収集データをさらに補正することなく撮像アーチファクトを回避できる。
【0021】
本発明の他の好ましい実施形態は、検出器の検出素子でカバーされる角度範囲の大きさに特徴がある。第1の変形例によれば、検出素子が照射器に対して少なくとも180°の角度範囲に沿って配置されている。主な利点としては、照射器の集束点を半円形リングの中心に位置決めして、少なくとも半円形リングに沿って検出器を配置できることが挙げられる。この構成の主な利点は、走査対象を照射器と検出器の検出素子との間の空間で貫通させ、少なくとも180°の角度範囲に沿って1回だけ直動させることによって走査移動を実施できることである。したがって、第三世代のCTスキャナと同様の短いスキャン時間かそれよりも速いスキャン時間が可能となる。
【0022】
第2の変形例によれば、検出素子が照射器に対して180°未満の角度範囲に沿って配置されている。この構成は、走査対象の特定領域を撮像する際、特にフルセットの断層撮像データを必要としない場合に有利となる。さらに、画像の再構成のためにフルセットのデータを収集するには、走査移動は複数の部分的直動のフェーズを含むこともでき、部分的直動のフェーズの後で測定装置及び担持装置の内少なくとも一方の空間配向を変更できる。
【0023】
一例として、180°/n(n:自然数)の角度範囲に沿って配置された検出素子の場合、走査対象を収容した担持装置のn個の異なる配向では、フルセットの投影を収集するために、n個の部分的直動のフェーズを必要とする。特に、角度範囲が180°と90°の間で選定された場合、走査移動は、測定装置に対して第1の空間配向を有する担持装置の第1の部分的直動のフェーズを含み、以降、検出素子の角度範囲と等しい角度分、配向を変更する工程と、担持装置の第2の部分的直動のフェーズとが続く。このような構成においても、第一世代又は第二世代のCTスキャナと比べて、スキャンは本質的に加速されている。
【0024】
本発明のスキャン技術は、2次元又は3次元撮像するための減衰データの収集に採用できる。まず検出素子は、湾曲した線(特に円形及び/又は多角形の線)に沿って延在する1次元アレイを備えることが好ましい。一例として、アレイの少なくとも一部を湾曲した線としてもよく、他方で他の部分を多角形状の線としてもよい。また2次元画像を得るために、検出素子を2次元アレイとして配置することもできる。このアレイの形状は、湾曲した面(特に円筒状の面及び/又は多角形の面)となるように選択される。あるいは、検出素子の1次元アレイを使って3次元画像を得ることもできるし、また多数の走査移動でも得ることができる。これらの走査移動は、それぞれ走査対象における所定の撮像平面に関して減衰データを収集するように構成されている。
【0025】
好ましくは、検出器の検出素子は均等な中心から中心までの間隔にて配置される。この実施形態では、収集した減衰データを等角の投影方向に割り当てることができる利点が得られる。
【0026】
さらに本発明の他の好適な実施形態によれば、担持装置と照射器との距離を調整できる。距離を縮めることで、減衰データの収集に関する空間分解能を改善できる。また距離を伸ばすことで、照射範囲が広角となり、走査対象の放射線に対する曝露を少なくできる利点が得られる。
【0027】
さらに担持装置と照射器との距離が可変であるため、撮像処理を2工程で実現できる。第1の工程では、低い分解能でのプレビュー・スキャンが可能である。走査対象内の特定の関心領域を認識した後、第2の撮像工程で空間分解能を引き上げ、担持装置と照射器との距離を縮めることができる。このような2工程式処理は、医学的撮像や手荷物のスクリーニングにおいて特に有効である。
【0028】
さらに本発明の好適な実施形態によれば、測定装置の主照射面に対する担持装置の距離を調整できる。担持装置は、担持装置の担持面に対して垂直に移動できる。この移動により、走査対象の水平方向の撮像平面を設定できる。担持装置を複数回調整して走査移動を繰り返すことにより、3次元撮像のフルセットのデータを収集できる。
【0029】
本発明の他の利点は、照射器の設計に関する可変性から得られる。第1の変形例によれば、照射器は一のX線管のみを備えており、このX線管は単一の扇形ビームを走査対象に照射するように構成されている。X線管は、検出素子から固定の距離で、例えば検出素子が配置されている円形の線の中心に配置されている。この実施形態では、照射器の複雑性が低く、従来型のX線管と互換性があるという利点が得られる。好ましくは、X線管は少なくとも180°の扇形角度を有する扇形ビームを生成する。これにより、検出器全体が単一の扇形ビームで同時に照射を受けることができる。また扇形ビームが角度に依存する非均質性を有していれば、検出器信号を評価する際に考慮できる。さらに他の特長によれば、X線管は例えば5°〜10°の範囲、特に12°〜65°の範囲で、180°未満、好ましくは90°未満(例えば80°未満)の扇形角度を有する扇形ビームを生成する。180°未満の扇形角度では、X線管は走査移動中に中心軸周りを回動するように構成されている。X線管の軸周り回動では、扇形ビームは担持装置及び担持装置上の走査対象と心合されており、検出器(検出素子)に対する照射器(X線管)の相対位置は一定に保たれる。
【0030】
第2の変形例によれば、照射器は所定の照射ラインに沿って配置された複数のビーム素子を備えていてもよい。ビーム素子は扇形ビーム又はペンシル型ビームを生成するように構成できる。照射ラインは湾曲した形状(特に円形の形状)及び/又は検出器に関して上述したような多角形の形状を有していてもよい。この場合、照射ラインは検出器周りに配置される。一例として、複数の検出素子を有する検出器は円形の照射ラインの中心に配置される。この形態は、「逆型形状(inverse geometry)」と呼ばれており、本発明の特定用途、例えば医学的な撮像分野において好適となる。
【0031】
さらに本発明の好適な実施形態によれば、走査対象に多重ビーム成分を照射するために、照射器と走査対象との間にコリメータマスクを配置できる。好ましくは、このコリメータマスクは検出器に連結される。あるいは、コリメータマスクは照射器と担持装置との間のスペースに分離構造物として配置できる。コリメータマスクは、走査対象、例えば患者に印加される照射線量を低減させるという格別の利点をもたらし、照射器で生成される散乱放射線を低減させ、検出素子をシールドし(その信号は分散信号の訂正に利用できる)、及び/又は照射器のX線管において発生することのある調整エラーを補正できる。さらにまた、照射器から走査対象までのビーム経路にエネルギーフィルタを配置するため、及び/又はレーザ較正を用いて走査対象に対する照射器を調整するためにコリメータマスクを利用できる。
以下、本発明の更なる詳細及び利点を、添付図面を参照しながら詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】検出器で囲まれた照射器を有する本発明の実施形態を示す概略図である。
【図2】検出器で囲まれた照射器を有する本発明の実施形態を示す概略図である。
【図3】コリメータマスクを備える照射器を有する本発明の他の実施形態を示す概略図である。
【図4】コリメータマスクを備える照射器を有する本発明の他の実施形態を示す概略図である。
【図5】検出器で囲まれた照射器を有する本発明の他の実施形態を示す概略図である。
【図6】測定装置に対する担持装置の相対的位置を調整するためのスキャナ駆動装置を示す概略図である。
【図7】照射器で囲まれた検出器を有する本発明の他の実施形態(逆型形状)を示す概略図である。
【図8】第三世代の従来型CTスキャナ(従来技術)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明によるCTスキャナの形態と、CT撮像における減衰データを収集するためのスキャン方法における作業工程とを具体的に参照しながら、本発明の実施形態について以下説明する。CT装置の詳細、特に制御器、表示器、電源、X線管制御の詳細、X線の検出、収集した減衰データの処理、走査対象又はその部分的特定領域の2次元又は3次元CT画像の再構成に関しては、従来のCT技術から既知であるため、本明細書での詳述説明を省略する。
【0034】
また、好ましい実施形態に関する以下の詳細説明は、半円形(図1、図2)又は多角形(図5)のラインに沿った検出素子の配置、又は半円形(図7)に沿った扇形ビーム素子の配置を示している。ただ本発明は、これら検出器や扇形ビーム素子を、これらの配置例に限定するものではない。例えば、検出器又は扇形ビーム素子は、完全に一周する円形に沿って、又は180°未満の角度範囲に沿って配置することもできる。また本発明の用途によっては、検出素子又は扇形ビーム素子の配置において、湾曲した区画及び/又は多角形の区画をなす形態とすることもできる。
【0035】
図1は、照射器20及び検出器30を有する測定装置10を備えた本発明のCTスキャナ100に関する第1実施例を概略的に図示している。さらに、スキャナ100は担持装置40も備えており、この担持装置40は照射器20と検出器30の間で移動自在に配置される。図1は、測定装置10が空間(例えば研究所や医療機関)内に固定して設置され、担持装置40が測定装置10に対して走査移動を行うようにしてなる本発明の一実施形態を示している。なお逆のシステム、すなわち担持装置を固定し測定装置を移動自在としたスキャナについては、図2を参照して後述する。また図1は、照射器20を取り囲む検出器のラインに沿って検出器30が配置されている本発明の一実施形態を示している。この逆型形状、すなわち検出器を取り囲む照射ラインに沿って配置された多数のペンシル型ビーム素子を有するスキャナについては、図7を参照して後述する。
【0036】
照射器20は、半円形の検出器ラインをなす検出器30の中心に配置した集束点21を有するX線管を備えている。説明を簡略化するために、以下では、X線管が180°の扇形角度で扇形ビームを生成することを想定している。実際、扇形ビーム2の扇形角度αは一般に小さめであって、例えば12°〜75°の範囲内である。第1の場合(180°の扇形ビーム)は、X線管の配向が固定されており、第2の場合(180°未満の扇形角度α)は、X線管は担持装置と心合するために中心軸周りで回動可能としている。
【0037】
好ましくは、X線管で生成される扇形ビーム2の扇形角度αは、走査移動中に、調査中の走査対象1全体、又は該走査対象1内における特定の調査領域が照射されるように調整される。照射器20には、扇形角度を調整するように構成されたマスク22を設けてもよい。マスク22を用いることで、半円形の断面を有する走査対象に扇形角度を適合できる利点が得られる。また扇形角度は、走査移動中に走査対象の位置に応じて制御することもできる。さらにマスク22は、例えばX線ビームが走査対象1の特定部分に集束点を合わせる場合に、走査対象内の関心領域に扇形角度を適合させるように用いることもできる。あるいはこれに代えて又はこれに加えて、図3及び図4を参照して後述する通り、コリメータマスク23を配設することもできる。
【0038】
検出器30は、半円形の1次元アレイをなす検出素子31、又は半円形に沿って配置された複数の個別検出器からなる配列である。例えば第三世代又は第四世代の従来型CTスキャナで周知の通り、検出素子群(又は個別の検出器群)を使用できる。検出素子の大きさ及び数量は、本発明の具体的用途の必要性に応じて選択される。一例として、20cmの直径を有する半円形に沿って少なくとも180個の検出素子31(例えば少なくとも180個の検出素子31)を配置できる。扇形ビーム2の扇形角度によっては、検出素子31の円弧32が走査対象1を透過した放射線の減衰値を感知可能である。あるいは、検出器30は、半円形の2次元アレイ(図示せず)をなす検出素子を備えることもできる。
【0039】
照射器20及び検出器30は互いに固定的に連結されている。集束点21と検出素子31との距離は、例えば5m〜20cm、好ましくは120cm〜60cmの範囲内で選択される。特定の用途に対しては、この距離を5cm未満とすることも可能である。
【0040】
担持装置40は、担持面41を有するプラットホームを備えている(図6も参照)。担持面41は走査対象1を保持するように構成された平坦な表面である。従来型のCTスキャナ技術で周知のとおり、走査対象1を固定するために担持面41上に固定器(図示せず)を設けることもできる。担持装置40は、スキャナ駆動装置50と接続されている。このスキャナ駆動装置50は概ね、担持装置(又は各測定装置)の走査移動を実現するように構成されている。
【0041】
スキャナ駆動装置50は、ガイドレール51と、駆動部52(図1には図示せず、図6を参照)とを備える。ガイドレール51は走査ライン3(例えば円)に沿って延在する。この駆動部を用いて、担持装置40がガイドレール51に沿って直動される。駆動部は、例えば電動モータを備えている。スキャナ駆動装置50は、担持装置40が完全に走査移動する間、例えば2段階の自由度を有するプラットホームであって、各段階が直動のみ許容するプラットホームを介して、所期の空間配向を維持している。測定装置10が離間して固定されると、測定装置10の空間配向も維持される。
【0042】
本発明によるスキャン方法を説明するため、走査対象1における撮像平面は、図1に示すように、(例えば水平方向又は垂直方向に心合された)x−yの平面に延在すると想定する。したがって、集束点21から検出器30までの投影ラインはx−y平面内に含まれている。扇形ビーム2を走査対象1と心合させるために、z軸を回転軸として、照射器20のX線管をマスク22とともに軸周りで回動できる。
【0043】
例えば、走査対象1を保持した担持装置40の位置を、照射器20に対する正のx方向にした状態でスキャンを開始する。走査対象1内に概略的に示した水平の平行ストライプのデータは、検出素子により角度φoで収集される。走査移動では、走査対象1は走査線3に沿って移動される。図1に示す位置において、φoで特徴付けられた投影は終了する。この時、角度φkとして検出素子と関連づけられた投影に関する水平データが収集される。検出器30におけるすべての検出素子は、この検出素子に関連づけられた投影角度に関する水平データを収集する。180°未満の扇形角度の場合には、スキャン過程は、照射器20の扇形ビームを走査対象1の位置と心合させることによって実現される。
【0044】
検出素子が180°未満の円弧をなして、180°を超えるフルセットの投影を収集するとすれば、走査ライン3に沿った走査移動は多数の部分的直動フェーズに分割されて、2つの異なる直動フェーズの間で担持装置の再配向が発生する。部分的直動フェーズの各々は、ガイドレール51に沿った担持装置40の完全な直動を有する。部分的直動フェーズは、測定装置10に対する担持装置40の配向に関して異なっている。このため、例えば正又は負のx方向における位置で、担持装置40を部分的直動フェーズ同士の間で回動させることができる。
【0045】
また測定装置10側を移動させ、担持装置40側を固定させる場合にも、スキャンを実行できる(図2)。この場合の測定装置10は、図1に基づいて上述したのと同様に空間配向を保ちながら、固定した担持装置40の周りで(図2において反時計方向に)回動する。測定装置10は、図1及び図6に示すスキャナ駆動装置50の機能に類似した動作をするように構成されたスキャナ駆動装置(図示せず)で直動される。集束点21の走査ライン3(軌跡)は走査対象1を含めた円形である。同様に、水平の平行ストライプのデータは角度φoにおいて、検出素子によって収集される。180°未満の扇形角度の場合、照射器20は扇形ビームを走査対象1の位置と心合させるために回動される。180°を超えるフルセットの投影は、集束点21が長さ180°+α(α:扇形角度)の円弧に沿った直動を終えて完了する。
【0046】
走査対象1の走査移動は、以下に説明するように二重回動として特徴付けられる。走査移動をそれぞれ反対側に2回だけ回動するものとして説明できるので、ここでは「二重回動(double rotation)」と呼ぶ。すなわち、直動と回動の組み合わせである第二世代のCTスキャナにおける走査移動とは対照的に、二重回動が実現できる。図2の実施例では、照射器20の集束点21は反時計方向(矢線Aを参照)に回動する。この第1の回動は、回動速度Ω1で説明できる。同時に、検出素子31の円弧32は、走査対象1の周りを時計方向に回動速度Ω2で集束点21とともに回動する。Ω1=−Ω2であれば、走査対象1に対する円弧32の空間配向は維持される。
【0047】
さらに、図3及び図4は、図1の実施形態を示しており、スキャナ100がコリメータマスク23を備えている。この場合、検出器30は、円弧32に沿った長さで配置された検出素子31を有する。コリメータマスク23は、複数の扇形ビーム成分24を有する照射器20の集束点21から発せられる扇形ビームを形成するために照射器20と担持装置40上の走査対象1との間に配置される。コリメータマスク23は湾曲したシート(例えば球形シート)の遮蔽材料であって、例えば4mmの厚さを有し、例えば180個の検出素子に対する180個のマスクの開口部(それぞれが角度1°に対する投影データを収集する)を備えている。マスクの開口部の数、直径、配分は、検出素子31の内それぞれに対して一のビーム成分を提供するように選択される。
【0048】
コリメータマスク23は、全ての検出素子に指向されるビーム成分を生成するために180°をカバーでき、照射器は180°の扇形ビーム(図3)又はそれよりも小さな扇形角度の扇形ビーム(図4)を発することができる。後者の場合、走査移動中に照射器20が軸周りに回動されるとき、その時点で照射器20の扇形角度の外側にあたる検出素子をカバーするために、180°未満の角度間隔をカバーするコリメータマスクを使用することができる。好ましくは、コリメータマスクは検出器に対して固定され心合される。
【0049】
コリメータマスク23と離散配置された検出素子31との組み合わせは、投影データが収集されない角度領域において照射量を低減できる利点を有する。あるいは、配列した検出素子31とともにコリメータマスク23を使用でき、照射されない検出素子31を散乱訂正に使用できる。
【0050】
図5は、照射器20及び検出器30を有する測定装置10を備え、さらに担持装置40も備えた本発明によるスキャナ100に関する他の実施形態を示している。測定装置10及び担持装置40の内、一方はスキャナ駆動装置(図示せず)で移動させることができる。図5は、検出器30が必ずしも湾曲した検出器ライン4に沿って配置されるものに限定されないことを示している。図示した実施例では、複数の直線区分を含む多角形状のラインに沿って検出素子31が配置されている。担持装置40は、円形又はその他の形状に湾曲したライン(例えば多角形のライン)に沿って移動できる。図5の形態は、平行な投影が走査範囲180°に亘って等分とは言えない状態で離間されているので、図1又は図2の実施形態と比べて一層複雑となっている。しかしながら、図5の形態は本発明の特定の用途、例えば被加工物や、その他手荷物のような物を撮像するのに好適となり得る。
【0051】
検出器30は、検出器ラインに沿って配置された多数のX線カメラ又はフラットパネル型検出器を備えることもできる。または、多層式スキャナを構成するよう、多数の検出器画素を各投影角度ごとに垂直方向に配置することもできる。一例として、ライン状の検出素子を走査平面と垂直に配向することもできる。
【0052】
図6は、走査移動を行うか又は走査対象1をさらに調整するか、あるいはその両方を行うために配設されたスキャナ駆動装置50の特長を概略的に示している。スキャナ駆動装置50は、x方向に対して垂直なスキャナ100を概略断面図で示してある。特に、スキャナ駆動装置50は、照射器20の集束点21からの走査対象1の距離と、走査移動中に照射される撮像平面(z方向)を調整するために使用することができる。
【0053】
スキャナ駆動装置50は、ガイドレール51(図1を参照)と、ガイドレール51に沿って担持装置40を移動させるための駆動部52と、放射方向及び/又はz方向(矢線B、Cを参照)に担持装置40を移動させるための調整部53とを備える。
【0054】
図7は、いわゆる逆型形状(inverse geometry)と呼ばれる、本発明に係るスキャナ100の他の実施形態を示している。スキャナ100は、照射器20及び検出器30を有する測定装置10を備えている。さらにまた、スキャナ100は担持装置40も備えている。照射器20は、上述した実施形態とは対照的に、湾曲した、例えば円形の又は多角形の照射ライン5を有している。一例として、照射器20は、それぞれが別個の集束点21を有する複数の狭角のビーム素子25を備えている。ビーム素子25は、扇形角度がペンシル型の形態に近似した狭角の扇形ビーム、又はペンシル型のビームを生成する(これら2つのビームは例示に過ぎない)。ペンシル型のビームとすることで、上述した図1〜図5の実施例に等しい形態の照射が得られる。あるいは、照射器20は、半円形の照射ライン5に沿って延在するアノードを有する通常のX線管を備える構成とすることもできる。この集束点21はX線管内のカソードを適切に制御することで生成される。
【0055】
検出器30は単一の検出素子、又は検出素子のアレイ33(図示の通り)とできる。単一の検出素子とすれば、スキャナ構造の複雑さを低減できる利点が得られる。また検出素子のアレイを使用すれば、高速で減衰データを収集できる利点が得られる。
【0056】
測定装置10に対する担持装置40(又は担持装置40に対する測定装置10)の走査移動は、上述した図1〜図5の実施形態と同様に実行される。
【0057】
本明細書、図面及び特許請求の範囲において開示した本発明の特長は、単独で又は組み合わせにより、多様な実施形態が本発明を実施するために重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査対象(1)のコンピュータ断層撮像用スキャナ(100)であって、
走査対象(1)に少なくとも一のビーム(2)を照射するように配置された照射器(20)と、走査対象(1)を透過した放射線を検出するように配置された検出器(30)とを有し、前記照射器(20)が検出器(30)に対して固定の位置を有してなる測定装置(10)と、
照射器(20)と検出器(30)との間の位置で走査対象(1)を収容するための担持装置(40)と、
を備え、
測定装置(10)及び担持装置(40)は湾曲したライン(3)に沿って互いに対して走査移動が可能であり、
測定装置(10)及び担持装置(40)は走査移動中に固定の空間配向を有することを特徴とするスキャナ。
【請求項2】
請求項1に記載のスキャナであって、
測定装置(10)は固定の位置に配置され、担持装置(40)は測定装置(10)に対して移動自在にしてなるか、又は
担持装置(40)は固定の位置に配置され、測定装置(10)は担持装置(40)に対して移動自在にしてなることを特徴とするスキャナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスキャナであって、
測定装置(10)又は担持装置(40)は、担持装置(40)又は照射器(20)をそれぞれ含めた円形のラインに沿って走査移動が実行される態様に配置されてなることを特徴とするスキャナ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一に記載のスキャナであって、
検出器(30)は複数の検出素子(31)で構成され、
検出素子(31)が照射器(20)に対して180°以上の角度範囲に沿って配置されるか、又は
検出素子(31)が照射器(20)に対して180°未満の角度範囲に沿って配置されており、測定装置(10)及び担持装置(40)は走査移動の部分的直動フェーズ間に互いに対して回動可能としてなることを特徴とするスキャナ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一に記載のスキャナであって、
検出素子(31)は
湾曲したライン及び/又は多角形のライン(4)に沿った1次元アレイとして、
湾曲した面及び/又は多角形の面に沿った2次元アレイとして、及び/又は
中心から中心までの間隔が均等に、
配置されていることを特徴とするスキャナ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載のスキャナであって、担持装置(40)及び測定装置(10)の内少なくとも一方が、
照射器(20)及び担持装置(40)との間の距離が調整可能であり、及び/又は
走査移動の平面に対する担持装置(40)の距離が調整可能である
態様で可動としてなることを特徴とするスキャナ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一に記載のスキャナであって、
照射器(20)は走査対象(1)に単一の扇形ビーム(2)を照射するための単一のX線管(21)を有することを特徴とするスキャナ。
【請求項8】
請求項7に記載のスキャナであって、
X線管(21)は180°以上の扇形角度で扇形ビーム(2)を生成可能であるか、又は
X線管(21)は180°未満の扇形角度で扇形ビーム(2)を生成可能であり、X線管(21)は、走査移動中に扇形ビーム(2)が担持装置(40)と心合するよう、軸周りで回動するように構成されていることを特徴とするスキャナ。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれか一に記載のスキャナであって、
照射器(20)は、複数の扇形又はペンシル型ビーム(2)を生成可能な複数のビーム素子(22)を有しており、及び
ビーム素子(22)は、検出器(30)に対して180°以上の角度範囲に沿って配置されているか、又は
ビーム素子(22)は、検出器(30)に対して180°未満の角度範囲に沿って配置され、測定装置(10)及び担持装置(40)は走査移動の部分的直動フェーズ間で互いに対して回動可能であることを特徴とするスキャナ。
【請求項10】
請求項1乃至9の内いずれか一に記載のスキャナであって、
走査対象(1)に複数のビーム成分(24)を照射するため、照射器(20)と担持装置(40)との間にコリメータマスク(23)が配置されてなることを特徴とするスキャナ。
【請求項11】
走査対象(1)をコンピュータ断層撮像するためのスキャン方法であって、
照射器(20)と検出器(30)との間にある、測定装置(10)内の担持装置(40)に走査対象(1)を載置する工程と、
照射器(20)で生成された少なくとも一のビーム(2)を走査対象(1)に照射する工程と、
走査対象(1)を透過した放射線を検出器(30)で検出する工程と、
湾曲したライン(3)に沿って、測定装置(10)及び担持装置(40)の互いに対す走査移動を実行する工程と
を含み、走査対象(1)に対してビーム(2)の複数の異なる投影角度で照射工程及び検出工程を繰り返し、
測定装置(10)及び担持装置(40)の空間配向が走査移動中に固定されていることを特徴とするスキャン方法。
【請求項12】
請求項11に記載のスキャン方法であって、
測定装置(10)が固定の位置に配置され、担持装置(40)が測定装置(10)に対して移動されるか、又は
担持装置(40)が固定の位置に配置され、測定装置(10)が担持装置(40)に対して移動されることを特徴とするスキャン方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のスキャン方法であって、
走査移動は、照射器(20)又は担持装置(40)を含めた円形ラインに沿って実行されることを特徴とするスキャン方法。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか一に記載のスキャン方法であって、
検出器(30)は複数の検出素子(31)で構成され、
検出素子(31)は照射器(20)に対して180°以上の角度範囲に沿って配置され、走査移動は、測定装置(10)及び担持装置(40)に関して互いに単一の直動であって前記角度範囲をカバーしているか、又は
検出素子(31)は照射器(20)に対して180°未満の角度範囲に沿って配置され、走査移動は、測定装置(10)及び担持装置(40)に関して互いに複数の部分的直動フェーズであって、測定装置(10)及び担持装置(40)が走査移動の部分的直動フェーズ間で互いに対して回動されることを特徴とするスキャン方法。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれか一に記載のスキャン方法であって、担持装置(40)及び測定装置(10)の内少なくとも一方が、
照射器(20)と担持装置(40)との間の距離、及び/又は
走査移動の平面に対する担持装置(40)の距離
を調整するために移動されることを特徴とするスキャン方法。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれか一に記載のスキャン方法であって、
照射器(20)は単一のX線管(21)で構成され、走査対象(1)は単一の扇形ビーム(2)を照射されることを特徴とするスキャン方法。
【請求項17】
請求項16に記載のスキャン方法であって、
X線管(21)が180°以上の扇形角度で扇形ビーム(2)を生成可能であるか、又は
X線管(21)が180°未満の扇形角度で扇形ビーム(2)を生成可能であって、X線管(21)は走査移動中に扇形ビーム(2)が担持装置(40)と心合されるように軸周りを回動されることを特徴とするスキャン方法。
【請求項18】
請求項11乃至15のいずれか一に記載のスキャン方法であって、
照射器(20)は、複数の扇形又はペンシル型ビーム(2)を生成可能である複数のビーム素子(25)を有しており、
ビーム素子(25)が、検出器(30)に対して180°以上の角度範囲に沿って配置されるか、又は
ビーム素子(25)が、検出器(30)に対して180°未満の角度範囲に沿って配置され、測定装置(10)及び担持装置(40)が走査移動の部分的直動フェーズ間で互いに対して回動可能であることを特徴とするスキャン方法。
【請求項19】
請求項11乃至18のいずれか一に記載のスキャン方法であって、さらに、
照射器(20)と担持装置(40)との間に配置されたコリメータマスクで形成された複数のビーム成分(24)を走査対象(1)に照射する工程を含むことを特徴とするスキャン方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2011−521754(P2011−521754A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512032(P2011−512032)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004063
【国際公開番号】WO2009/146937
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(398061245)ヘルムホルツ・ツェントルム・ミュンヒェン・ドイチェス・フォルシュンクスツェントルム・フューア・ゲズントハイト・ウント・ウムベルト(ゲーエムベーハー) (19)
【氏名又は名称原語表記】Helmholtz Zentrum Muenchen Deutsches Forschungszentrum fuer Gesundheit und Umwelt (GmbH)
【Fターム(参考)】