説明

コンピュータ断層撮影装置

【課題】3次元的にスキャン領域を広げて被検体の3次元画像を再構成する。
【解決手段】 放射線源1と、被検体2を透過してくる放射線ビームを検出する放射線検出器4と、放射線ビームと端部付近で交差する回転軸に対し、被検体を、前記放射線ビームに対して相対的に回転させ、かつ、回転軸の方向に相対移動させるヘリカルスキャン手段5,7と、このヘリカルスキャンの間に検出された多数の透過画像から、回転軸を中心として片側が放射線ビームに包含される半径の円柱領域をスキャン領域とし、当該スキャン領域内の被検体の3次元画像を再構成処理する再構成処理手段8eとを設けたコンピュータ断層撮影装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャン領域を広げて被検体の3次元画像を再構成するコンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型電子部品等を高分解能で検査する産業用の高分解能型コンピュータ断層撮影装置(以下、CTスキャナと呼ぶ)が開発されてきている。
【0003】
この高分解能型CTスキャナは、X線源と2次元的なX線検出器との間に被検体を配置し、X線源から被検体に向けてX線ビームを放射しつつ当該被検体を1回転させることにより、被検体の多方向から透過してくるX線ビームをX線検出器で検出し、被検体の多数の透過画像(透過データ)を収集する(スキャンという)。そして、収集された多数の透過画像を再構成処理し、被検体の3次元画像(多数の断面像)を生成している(特許文献1)。
【0004】
この3次元画像の再構成は、フェルドカンプ デイビス アンド クレス(Feldkamp,Davis and Kress) 1984(非特許文献1)に記載されている再構成方法が用いられる。この再構成方法は、フィルター補正逆投影法(FBP(Filtered Back Projection)法)の一種である。
【0005】
この高分解能型CTスキャナは、X線源と2次元のX線検出器との間に被検体を載置した回転テーブルが配置され、X線源(X線焦点)に対し、回転テーブル及びX線検出器をX線光軸方向(x方向)に近づけたり、遠ざけたりすることにより、撮影距離FCD(Focus to rotation Center Distance)及び検出距離FDD(Focus to Detector Distance)等の幾何的な配置を連続的に変更することができる。これにより、被検体の大きさに応じて、撮影倍率(拡大率)(=FDD/FCD)を変えることができる。
【0006】
ところで、この高分解能型CTスキャナにおいては、回転テーブルの回転軸をX線ビームと端部付近で交差するようにずらして配置しスキャンする,いわゆるオフセットスキャンが行われている(特許文献1の図37参照)。このオフセットスキャンによれば、撮影倍率を保ったまま、回転軸に対し半径方向にスキャン領域を広げることが可能である。
【0007】
図20は従来の通常スキャンとオフセットスキャンにおけるスキャン領域(2面図)を説明する図である。同図において、101はX線源、102はX線ビーム、103は2次元のX線検出器、FはX線焦点、RAn,RAoは回転軸、Anは通常スキャンのスキャン領域、Aoはオフセットスキャンのスキャン領域である。
【0008】
この図から明らかなように、通常スキャンのスキャン領域Anは、回転軸RAnを中心とし、回転軸の回転中に被検体を透過して測定されるX線ビーム102に包含される円柱領域(z軸方向に厚みを有する)と定義される。一方、オフセットスキャンのスキャン領域Aoは、回転軸RAoを中心とし、そのうち回転軸RAoよりy方向となる片側が回転中に被検体を透過して測定されるX線ビーム102に包含される円柱領域(z軸方向に厚みを有する)と定義される。
【0009】
これらスキャン領域An,Aoは、何れも無理なく再構成するに十分な透過画像を収集できる領域であるが、スキャン領域が異なる。つまり、オフセットスキャンは、通常スキャンに較べて2倍近い大きな直径のスキャン領域となる。
【0010】
また、この高分解能型CTスキャナは、被検体を載置する回転テーブルが一定速度で下降あるいは上昇させながらスキャンすることが可能である(特許文献1の図7参照)。この点において、医療機関で一般的に使用される医療用CTスキャナとして機能するヘリカルスキャンの性格をもっている。
【0011】
図21は従来のヘリカルスキャンによるスキャン領域(2面図)を説明する図である。
【0012】
このヘリカルスキャンのスキャン領域Ahは、回転軸RAhを中心とし、回転中に被検体を透過して測定されるX線ビーム102に包含される円柱領域(z軸方向に厚みを有する)であって、通常スキャンのスキャン領域Anを回転軸方向(z方向)に広げたものであり、無理なく再構成するに十分な透過画像を収集できる領域である。このヘリカルスキャンを用いれば、細長い被検体が一度で撮影することが可能である。
【特許文献1】特開2000−298105号公報
【非特許文献1】L.A.Feldkamp,L.C.Davis and J.W.Kress,Practical cone-beam algorithm, J.Opt.Soc.Am.A/Vol.1,No.6/June 1984
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述した従来のヘリカルスキャンは、回転軸方向にスキャン領域を広げることが可能であるが、スキャン領域の直径が通常スキャンと同じ大きさとなる。
【0014】
その結果、このヘリカルスキャンは、撮影倍率(分解能)を保った状態では、通常スキャンと同様にX線検出器103の大きさに制限される。このようなとき、回転テーブルをX線検出器に近づけることによりスキャン領域の直径を大きくできるが、撮影倍率(分解能)が低下し、また、X線検出器103の有効幅を超えることができない。
【0015】
他方、従来のオフセットスキャンは、撮影倍率(分解能)を保った状態でスキャン領域の直径を大きくできるが、回転軸方向(z方向)には360°にわたって1回だけスキャンする方式であるので、スキャン領域を広げられない。
【0016】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、回転軸方向及び回転軸半径方向を含んで3次元的にスキャン領域を広げながら被検体を透過してくる透過画像を収集し、拡大されたスキャン領域内の被検体の3次元画像を再構成可能とするコンピュータ断層撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明は、テーブル上に載置される被検体に向けて放射線を放射する放射線源と、前記被検体を透過してくる放射線ビームを透過画像として検出する2次元の放射線検出器と、前記検出される放射線ビームと端部付近で交差する回転軸に対し、前記被検体を前記放射線ビームに対して、相対的に回転させつつ前記回転軸の方向に相対移動させるヘリカルスキャンを実施するヘリカルスキャン手段と、このヘリカルスキャンの間に前記放射線検出器で検出される多数の透過画像から前記回転軸を中心として片側が前記放射線ビームに包含される半径の円柱領域をスキャン領域とし、当該スキャン領域内の前記被検体の3次元画像を再構成処理する再構成処理手段とを備えた構成である。
【0018】
なお、前記再構成処理手段としては、前記ヘリカルスキャンの実施によって得られた透過画像に対して、前記回転軸の方向と直交する前記放射線検出器の検出面の方向に依存する重み係数であって、当該検出面における回転軸投影位置ncを境とし、その片側一端の重み係数「0」、他の側の重み係数「1」との間で傾きが回転軸投影位置ncに対して対称、かつ、重み係数が「0」から「1」に滑らかに変化する傾斜部を成すようなオフセット重み係数を用いて乗算するオフセット重み係数乗算手段と、前記ヘリカルスキャンの実施によって得られた透過画像に対して、前記回転軸の回転角度に依存する重み係数であって、平坦部の重み係数を「1」、当該平坦部両端から滑らかに落ちて重み係数「0」となるような傾斜部を成し、当該各傾斜部における前記回転角度の幅がそれぞれ2α(αは任意の角度)とし、前記平坦部の前記回転角度の幅が2π−2αとなるヘリカル重み係数を用いて乗算するヘリカル重み係数乗算手段と、前記オフセット重み係数と前記ヘリカル重み係数をとを乗算して得られる透過画像を、前記被検体に固定し設定された仮想マトリックスに逆投影し、前記被検体の3次元画像を再構成する手段とを備えたものである。
【0019】
また、本発明は、前述するコンピュータ断層撮影装置において、前記放射線検出器を、当該放射線検出器の検出面に沿う方向または当該検出面の中央の方線が前記放射線源の放射線焦点に正対するように円弧状に移動させつつ複数の検出器位置に位置決め設定する検出器移動手段を設け、前記被検体を透過してくる連続した放射線ビームを、各検出器位置に位置決め設定された前記放射線検出器で分割して検出してもよい。
【0020】
また、本発明は、前述するコンピュータ断層撮影装置において、前記回転軸を前記被検体とともに、前記放射線源の放射線焦点の周りを回転移動させ、または前記放射線検出器の検出面に沿う方向に移動させて、複数の回転軸位置に位置決め設定する回転軸移動手段を設け、各回転軸位置にて前記被検体を透過してくる連続した放射線ビームを前記放射線検出器で分割して検出してもよい。
【0021】
前記各検出器位置または前記各回転軸位置にてヘリカルスキャン手段を実施する場合、各検出器位置ごとまたは前記各回転軸位置ごとにそれぞれ同一の軌道を通るヘリカルスキャンを実施するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、回転軸方向及び回転軸半径方向を含んで3次元的にスキャン領域を広げながら被検体を透過してくる透過画像を収集でき、拡大されたスキャン領域内の被検体の3次元画像を再構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明に係るコンピュータ断層撮影装置の実施の形態1を示す構成図である。なお、同図(a)は装置の平面図、同図(b)は装置の正面図である。
【0024】
このコンピュータ断層撮影装置は、X線源1と、このX線源1より放射されて被検体2から透過してくるX線ビーム3を透過画像(透過データ)として検出する2次元のX線検出器4と、X線源1からX線検出器4の検出面4aに直交するように降ろしたx方向の垂線(以下、X線光軸Lと称する。)の方向に直交する回転軸RA(z方向)に対して回転させるテーブル5と、検出器移動機構6と、オフセットヘリカルスキャン機構(ヘリカルスキャン手段)7と、制御処理部8とで構成される。
【0025】
X線源1は、X線ビーム3を発生する焦点Fが1μm程度のマイクロフォーカスX線管、制御処理部8からの設定制御指令に基づいて管電圧、管電流等を制御する制御回路と、この制御回路の出力制御に基づいて所望の管電圧、管電流をX線管に印加する電気回路とで構成され、X線放射の中心がX線光軸Lの方向に向くようにベース9に支持される。ここで、X線ビーム3とは、実際に測定されるX線であり、X線ビーム3の外側の領域にはみ出して放射される測定されないX線を含まない。
【0026】
X線検出器4は、複数のX線検出素子を2次元マトリックス的に配列した例えばX線フラットパネルディテクタ(FPD)が用いられ、ベース9に設置された検出器移動機構6に支持される。X線検出器4は、検出器移動機構6により、検出面4aに沿って回転軸Cと直交する方向(y方向)に移動されて、所定位置(以下、検出器位置と称する)に位置決めされる。
【0027】
検出器移動機構6は、少なくともx軸方向へ移動位置決め可能にベース9に係合され、制御処理部8から送られてくる移動位置決め指令を受けてX線検出器4と共にx軸方向に移動する。よって、検出器移動機構6のx軸方向の移動に伴い、X線焦点FとX線検出器4との間の検出距離FDDが変更できる。
【0028】
オフセットヘリカルスキャン機構7は、制御処理部8からの移動指令に従って基台となるベース9上をx−y軸方向に移動するx−yテーブル機能を有し、かつ、上面部に被係合部(図示せず)を備えたオフセット配置設定機能をもった回転軸移動機構7aと、この回転軸移動機構7aの被係合部に係合され、テーブル5を介して被検体2をX線ビーム3内において回転軸RAに対して回転させるとともに、回転軸RAの方向(z方向)に昇降させるヘリカル回転機能をもった回転昇降機構7bとが設けられている。
【0029】
従って、回転軸移動機構7aにより回転軸RAをx方向の任意の位置に変更でき、これにより撮影距離FCDを変更でき、被検体2の大きさに応じて撮影倍率(拡大率)(=FDD/FCD)を変えることができる。また、回転軸移動機構7aにより回転軸RAをx方向と直交するy方向の任意の位置に変更でき、これによりX線光軸Lからずらすことが可能である。
【0030】
なお、以上のような装置において、回転軸RAと直交し、かつ、X線焦点Fを通る面をスライス面11と定義し、当該スライス面11と回転軸RAとの交点を回転中心Cと定義する。回転中心Cは回転軸上でX線光軸Lに一番近い点と定義してもよい。
【0031】
また、本発明装置におけるオフセットヘリカルスキャンのスキャン領域12は、回転軸RAを中心とした円柱領域のうち、その半径は片側がX線ビーム3に包含される領域であり、かつ、高さがヘリカルスキャンによるz方向移動範囲に依存する。
【0032】
制御処理部8としては、例えば通常のコンピュータが用いられ、構成的には、CPU、主メモリ、ディスク、キーボードやマウス等の入力部8b、表示部8a、機構制御ボード及びインターフェース等よりなる。
【0033】
CPUによる処理は、機能的には、予め決められた撮影条件等の初期設定の他、回転軸RAをX線検出器4により検出されるX線ビーム3の端部付近に位置決め配置するオフセット配置制御部8c、予め設定されるスキャンシーケンスプログラムに従って制御指令を送出し、回転昇降機構7bを介してオフセットヘリカルスキャンを実施するヘリカルスキャン制御部8d及びオフセットヘリカルスキャンによって収集された多数の透過画像を用い、所望の再構成用プログラムに従って被検体2の3次元画像を作成する再構成処理部8eが設けられている。
【0034】
前記初期設定としては、操作者の操作指示に従って入力部8bから検出器位置、FCD値、FDD値、y値(回転軸のX線光軸Lからのずれ量)、テーブル5の高さ等の設定データが入力されると、制御処理部8は、これら設定データをディスク又は主メモリに格納し、適宜なタイミングで設定データに基づいて機構制御ボード及びインターフェースを経て検出器移動機構6、回転軸移動機構7a及び回転昇降機構7bに移動指令を送出し、撮影条件等に関する位置決めがなされる。なお、初期設定に先立ち、予めX線源1に対する管電圧・管電流等が決められている。
【0035】
なお、検出器移動機構6、回転軸移動機構7a、回転昇降機構7bにはそれぞれエンコーダ(図示せず)が取り付けられ、前述した検出器位置、FCD値、FDD値、y値、テーブル5の高さ等の検出データが読取られて制御処理部8に送られ、表示部8aに表示される。
【0036】
次に、以上のように構成されたコンピュータ断層撮影装置の動作について図面を参照して説明する。
【0037】
先ず、操作者は、テーブル5に被検体2を載置した後、入力部8bから検出器設定位置、FCD値、FDD値、y値(回転軸のX線光軸Lからのずれ量)、回転テーブル5の高さ等の設定データを入力すると、ディスク又は主メモリに格納される。
【0038】
制御処理部8は、検出器設定位置、FCD値、FDD値等の設定データに基づき、機構制御ボード及びインターフェースを介して検出器移動機構6及び回転軸移動機構7aを駆動し、所望とする撮影倍率となるように位置決めした後、オフセット配置制御部8cを実行する。
【0039】
ここで、オフセット配置制御部8cは、設定データの一部であるy値などに従って駆動制御指令を送出し、回転軸移動機構7aをy方向へy値に相当する分だけ移動させることにより、回転軸RAをX線ビーム3と端部付近で交差する位置,いわゆるオフセット位置に位置決め配置し、スキャン開始可能な状態に設定する。
【0040】
この状態において、入力部8bからスキャン開始指示を入力すると、制御処理部8は、X線源1から被検体2に向けてX線ビーム3を放射させつつ、ヘリカルスキャン制御部8dを実行する。ヘリカルスキャン制御部8dは、スキャンシーケンスプログラムに基づき、回転昇降機構7bに駆動制御指令を送出する。これにより、回転昇降機構7bは、駆動制御指令を受けて、テーブル5を回転させつつその回転角に比例して昇降させ、オフセットヘリカルスキャンを実施する。
【0041】
このとき、X線検出器4は、テーブル5を回転させつつ一定回転角度毎に被検体2から透過してくるX線ビーム3である多数の透過画像を検出し、ディジタル化された透過画像データとして制御処理部8に送り、ディスクに順次記憶していく。そして、テーブル5が所定の高さ位置となるまでオフセットヘリカルスキャンを続行し、ディスクに多数の透過画像データを格納する。
【0042】
制御処理部8は、オフセットヘリカルスキャンの終了後、或いは開始前に、適宜なタイミングで再構成処理に必要な各種の条件,例えばマトリックスサイズ、マトリックス数などを設定し、再構成処理部8eを実行する。再構成処理部8eは、所定の再構成用プログラムに基づき、ディスクに保存される多数の透過画像データから被検体2のスキャン領域の3次元画像を作成する。
【0043】
以下、オフセットヘリカルスキャンによる再構成処理を具体的に説明するに先立ち、再構成処理に必要な幾何配置と重み係数とについて説明する。
【0044】
図2は再構成処理における定式化のための幾何学的な配置例図である(3面図)。同図において、ztはテーブル面5aから測ったX線焦点F(回転中心Cまたはスライス面11)の高さ、φはテーブル5の回転角度である。従って、ztとφはテーブル5の駆動量を表す要素である。n,mは検出面4a(透過画像)上のデータ点となるマトリックス番号であって、nは回転軸RA方向と直交する方向(スライス面11に沿った方向)のチャンネル番号、mはnと直交する方向(回転軸RAの射影方向)の列番号である。よって、チャンネル番号nと列番号mとでデータ点の位置が特定される。ncは検出面4a上における回転軸RAの射影位置である。
【0045】
図3はオフセットヘリカルスキャンの軌道を表した図である。
今、テーブル5の駆動量を表す1つの要素φを横軸、もう1つの要素ztを縦軸とし、オフセットヘリカルスキャンを実行すると、φ,zt空間におけるオフセットヘリカルスキャンの軌道20は図3で示すように直線で表すことができる。ここで、回転角度φは、zt=0(テーブル面5aとスライス面11とが一致)における回転位置を基準(0°)とする。hpは1回転(2π)で進むztの量(ヘリカルスピッチ)である。この軌道20は、テーブル5が下降回転することにより、テーブル面5aからスライス面11までの高さztが大きくなる。よって、軌道20は、下記する式、
zt=hp(φ/2π) …… (1)
で表せる。
【0046】
図4はオフセットヘリカルスキャンの軌道を表した別の図(鳥瞰図)である。
同図において、21は図3と同じオフセットヘリカルスキャンの軌道である。この軌道21は、被検体2に固定した実空間におけるX線焦点Fの軌道として表されており、螺旋形の軌道となる。この軌道21は、軌道20と同じく式(1)で表される。
【0047】
ところで、被検体2の再構成対象面22の高さをzrとし、かつ、X線焦点F(回転中心Cまたはスライス面11)が高さzrに到達したときの回転角をφrとすれば、再構成対象面22の再構成処理には、当該回転角φrの前後180°+αの回転範囲で収集された透過画像が使用される(詳細は後記する)。
【0048】
従って、このオフセットヘリカルスキャンにおいては、前述した軌道20,21を通るスキャン中に所定ピッチ(所定回転角度)Δφごとに被検体2を通ってくる透過画像をX線検出器4で順次撮影する。そこで、以下、これら透過画像をP(n,m,φ)とする。
【0049】
図5は再構成処理時に透過画像P(n,m,φ)に乗算するためのオフセット重み係数を説明する図である。
【0050】
同図において、Ndはチャンネル総数であり、n方向へのデータ検出範囲は0〜Nd-1である。オフセット重み係数Wof(n)はチャンネル番号に依存する重み係数となっている。すなわち、図示するように、オフセット重み係数Wof(n)は、n方向のデータ検出範囲内において、検出面4a上における回転軸RAの投影位置ncの図示片側(左側)一端部で「0」、反対側(右側)の所定のデータ検出範囲を超えたときに「1」となる。そして、回転軸RAの投影位置nc付近(X線ビーム3の端部付近)では、「0」から「1」に滑らかに変化する傾斜部を有し、その傾斜部では回転軸RAの投影位置ncに対し対称な傾きとなっている。ここで、傾斜部のn方向幅を2βとすると、βは0<β≦ncの関係にある。
【0051】
傾斜部の傾きが回転軸RAの投影位置ncに対して対称となっていることは、すなわち、傾斜部におけるncを境とする両側の等しい任意の位置Δnに対し、図5に示すWof(n)の分布式としては、
Wof(nc−Δn)+Wof(nc+Δn)=1 …… (2)
が成立する。つまり、傾斜部内において、ncを境とし、その両側の等しい変位位置のオフセット重み係数Wofをプラスすると、全て「1」となることを意味する。
【0052】
図6は再構成処理時に透過画像P(n,m,φ)に乗算するためのヘリカル重み係数を説明する図である。
【0053】
ヘリカル重み係数Wh(φ)は、回転角度φに依存する重み係数であって、図示するように平坦部の重み係数を「1」とし、その平坦部両側から滑らかに「0」へ落ちて行く重み係数となる傾斜部を有し、両側傾斜部の外側は「0」となる。
【0054】
再構成処理を行う場合、前述(図4参照)したように0(φr)を境とし、その前後180°+αの回転範囲で収集された透過画像を使用することから、全体のデータ検出範囲2π+2αに対し、平坦部のφ方向幅は2π−2αであり、両側傾斜部のφ方向幅はそれぞれ2αとなる。ここで、αは任意の角度で、1°ないし30°程度の範囲で定めた値である。
【0055】
傾斜部の形は直線的な傾きでも曲線的な傾きでもよいが、図示左側の傾斜部の任意のφにおける重み係数と図示右側の傾斜部のφ+2πにおける重み係数との間には、
Wh(φ)+Wh(φ+2π)=1 …… (3)
が成立するようにヘリカル重み係数の分布の形を設定する。また、φ方向全幅の中央をφ=0とするが、これは厳密でなくてもよい。
【0056】
次に、オフセットヘリカルスキャンによって得られた透過画像P(n,m,φ)から3次元画像再構成する具体例について図7ないし図12を参照して説明する。
再構成処理する方法は、FeldkampのコーンビームCT再構成アルゴリズム(非特許文献1)を基本とし、これに前述したオフセット重み係数とヘリカル重み係数とを乗算する方法である。
【0057】
図7は再構成処理における前半の処理フロー図であり、図8は再構成処理における後半の処理フロー図である。なお、フローは、分かり易くするためにバッチ処理とし、処理の高速化対策その他の詳細な処理は省いている。
【0058】
図7に示す再構成処理における前半の処理は、収集されたすべての透過画像P(n,m,φ)に対してフィルタ処理を行うまでの処理となる。
【0059】
先ず、再構成処理の開始に伴い、テーブル5の駆動量を表す1つの要素であるテーブル5の回転角度φのループに入ると(S1)、前処理を実行する(S2)。ここで、前処理とは、X線放射時のX線検出器4の検出出力からX線源1からのX線放射無しのときのX線検出器4の出力を引算するオフセット補正、X線検出器4を構成する各検出素子のゲイン調整するエアー補正、及び対数変換などの処理である。
【0060】
ある回転角度φの前処理を行った後、透過画像P(n,m,φ)に対してオフセット重み係数掛けを実行する(S3)。ここでは、透過画像の全ての画素n,mについて、オフセット重み係数Wof(n)を掛けてP1(n,m,φ)を得る。
【0061】
P1(n,m,φ)=P(n,m,φ)・Wof(n) …… (4)
しかる後、ステップS4に移行し、透過画像P1(n,m,φ)に対してフィルタ処理を行う。このフィルタ処理は、n方向に高域強調処理(CTでいうRamachandran & Lakshminarayanan フィルタ処理等)を行う。高域強調処理は、透過画像P1(n,m,φ)に対してn方向にフーリェ変換して周波数空間値を求めた後、周波数が高くなるほど大きな係数を掛けて、逆フーリェ変換により元に戻す処理である。
【0062】
このフィルタ処理後、次の回転角度φ有りかを判断し(S5)、有りの場合にはステップS1に戻り、同様の処理を繰り返し実行することにより、全ての回転角度φについてフィルタ処理まで行い、透過画像P2(n,m,φ)を取得する。
【0063】
次に、図8及び図9を用いて、再構成処理における後半処理を説明する。この後半処理は、フィルタ処理まで行った透過画像P2(n,m,φ)を用いて、3次元画像を作成する。図9は逆投影の説明図である。
【0064】
後半処理の開始に伴い、操作者に再構成領域23の入力設定を促すことにより、表示部8aに表示される被検体2に対して入力部8bから再構成領域23を定めるデータが設定され、制御処理部8はその設定データをディスクまたは主メモリに格納する(S6)。再構成領域23とは、被検体2に固定した仮想の3次元マトリックス(格子)24であって、例えば直方体の3辺の寸法、位置及びマトリックス個数(またはボクセルサイズ)などの設定データが設定される(図9参照)。
【0065】
再構成領域23に関する設定データを格納した後、zrループに入り(S7)、ここで再構成対象面22(2次元マトリックス24a)の高さzrを設定する。なお、高さzrの範囲及び1ステップの長さは3次元マトリックス24で決まる。
【0066】
しかる後、X線焦点Fが高さzrに到達するときの回転角度φrを下式により計算する。
【0067】
φr=2π・(zr/hp) …… (5)
そして、ステップS9に移行し、ここでテーブル5の回転角度φを設定する。この回転角度φとしては、(φr−π−α)から(φr+π+α)の範囲を少し越える範囲とし、この回転角度範囲内にてΔφのステップでφを設定し、ステップS10に移る。
【0068】
ステップS10においては、回転角度φにおける透過画像P2(n,m,φ)のすべての画素n,mについてヘリカル重み係数Wh(φ−φr)を掛けることにより、P3(n,m,φ)を求める。
【0069】
P3(n,m,φ)=P2(n,m,φ)・Wh(φ−φr)…… (6)
さらに、求めたに透過画像P3(n,m,φ)について、図9に示すように高さzrの面である再構成対象面22(2次元マトリックス24a)へ逆投影する(S11)。
【0070】
この逆投影は、検出面4a上の点A1からX線焦点Fに向けて3次元的に、高さzrの再構成対象面22上の点A2に透過画像P3の値を積算することにより行われる。より詳しくは、2次元マトリックス24a上のすべての点に対し、一点A2ごとに検出面4a上の射影点A1を求め、この求めた射影点A1の最近傍の4点のデータ点で補間した透過画像P3の値を一点A2にて積算する。また、逆投影する際、透過画像P3(n,m,φ)に対し、逆投影密度の補正が行われる。逆投影密度の補正は、例えばF−A2間距離をRとすると、1/R2の重み係数が掛けられる。
【0071】
引き続き、次のφ有りかを判断し(S12)、有りと判断されたとき、ステップS9に戻り、φをΔφずらして同様の処理を繰り返し実行する(S9〜S11)。
【0072】
以上のようにしてφr=0の前後の約180度+αの範囲の透過画像P3(n,m,φ)を逆投影することにより、再構成対象面22(2次元マトリックス24a)上の断面像を再構成する。
【0073】
次に、ステップS13に移り、1ステップだけ高さzrを更新し、ステップS7に戻ることにより、すべての高さzrについて断面像を再構成することにより、再構成領域23(3次元マトリックス24)についての3次元画像を作成する。
【0074】
なお、再構成領域23は、スキャン領域12を超えて設定できるが、スキャン領域12から離れるほど得られるデータが不完全となるために画像が劣化する。オフセットヘリカルスキャンのスキャン領域12は、回転軸RAを中心とした円柱で、その半径は片側がX線ビーム3に包含される領域であって、その高さはヘリカルスキャンのz方向移動範囲に依存する。スキャン領域高さは、詳しくは、z方向移動範囲がz1からz2(z2>z1)のとき、{z1+hp・(π+α)/2π}から{z2−hp・(π+α)/2π}となる。
【0075】
次に、図10ないし図12を参照して再構成の効果について説明する。
図10は逆投影範囲(α=0、β=0)における回転軸RA方向から軌道21を見たときの平面図である。
【0076】
まず、α=0、β=0における点A2への逆投影を考えてみる。ここで、α=0であるので、図6から明らかなようにφループはφrの前後πである。焦点位置F1はφr−π、F4はφr+πの点である。また、F2とF3は回転軸RAと逆投影点A2が連なる面と軌道21との交点である。
【0077】
焦点位置F1からF2の間は、逆投影が行われる(図10(a)参照)。次に、焦点位置F2を少し越えたF2′からF3の少し手前のF3′までの間は、点A2が外れているので、逆投影が行われない(図10(b)参照)。さらに、焦点位置F3からF4の間は、逆投影が行われる(図10(c)参照)。これにより、点A2にはF1〜F2とF3〜F4とを合わせたφ方向180度分の逆投影は行われていることがわかる。これは、点A2の選び方によらず、再構成対象面22におけるスキャン領域12内の全ての点について成り立つ。このことにより、スキャン領域12内において、φ方向に対してすべての方向から逆投影が行われるので、正常な再構成処理を行うことができる。
【0078】
次に、α=0、β=0とすることによる難点について、図11を参照して説明する。図11は逆投影範囲(α=0、β=0)を示す図である。
【0079】
同図(a)は逆投影範囲(α=0、β=0)における回転軸RA方向から軌道21をみたときの逆投影の状態を示す平面図である。再構成対象面22上の点A2に対する逆投影は、前述した焦点位置F1からF2への逆投影範囲25aと、焦点位置F3からF4への逆投影範囲25bとを合わせた範囲であって、180度の範囲となる。26は逆投影ラインを示す。
【0080】
ここで、境界面L1と境界面L2は逆投影範囲25aと逆投影範囲25bの回転軸RA方向に沿った境界面である。これら境界面L1、L2は逆投影のφ方向の継ぎ目である。
【0081】
図11(b)、(c)は、それぞれ境界面L1、L2に沿った逆投影ライン26の方向を表す断面図である。この図11(b)から明らかなように、境界面L1面上における逆投影方向を断面してみると、F1方向への逆投影ライン26aとF4方向への逆投影ライン26bとが大きく食い違っていることがわかる。同様に、同図(c)に示すように、F2方向への逆投影ライン26cとF3方向への逆投影ライン26dとが大きく食い違っていることがわかる。
【0082】
すなわち、F3からF4に向けて逆投影ライン26はなだらかに変化し、またF1からF2に向けて逆投影ライン26はなだらかに変化するのに対し、F4とF1間(L1面)とF2とF3間(L2面)で逆投影ライン26に段差が生じる。このことは、α=0、β=0の場合には、逆投影方向の段差のために断面像が劣化するので、特に後述するようにヘリカル重み係数掛けが重要になってくる。
【0083】
次に、α≠0、β≠0とすることによる難点解消について、図12を参照して説明する。図12は逆投影範囲(α≠0、β≠0)における回転軸RA方向から軌道21をみたときの逆投影の状態を示す平面図である。同図において、25a′と25b′は逆投影範囲である。
【0084】
今、α≠0とすることにより、境界面L1を境とし、逆投影重複部分α,αができるので、この重複部分を滑らかな傾斜部を有するようにヘリカル重み係数を掛けて逆投影することで、データをなだらかにつないで逆投影ライン26の段差を解消する。
【0085】
同様に、β≠0とすることにより、境界面L2を境とし、同様に逆投影重複部分(β),(β){βは角度でないので、( )をつけておく}ができるが、この重複部分にて滑らかな傾斜部を有するようなオフセット重み係数を掛けて逆投影することで、データをなだらかにつないで逆投影ライン26の段差を解消する。
【0086】
従って、以上のような実施の形態によれば、テーブル5及び回転昇降機構7bが載置される回転軸移動機構7aを介して回転軸RAをX線ビーム3内の端部付近となるオフセット配置に設定した後、オフセットヘリカルスキャンを行うことにより、回転軸方向及び回転半径方向の両方に対して、スキャン領域を広げることができる。
【0087】
また、オフセットヘリカルスキャンによる再構成処理においては、スキャン領域内のすべての点で180度方向の逆投影を行い、かつ、透過画像に滑らかな傾斜部となるようなオフセット重み係数及びヘリカル重み係数を掛けて逆投影することで、データをなだらかにつなぐことにより、逆投影ラインの段差を解消することができ、良好な3次元画像を作成することができる。
【0088】
(実施の形態1の変形例)
上記実施の形態では、オフセット配置制御部8cは、回転軸移動機構7aを用いて、回転軸RAを移動させ、X線ビーム3の端部付近のオフセット位置に位置決め配置させているが、回転軸RAは移動させず、かわりにX線検出器4を移動させてオフセット位置に位置決め配置させてもよい。
【0089】
この場合、オフセット配置制御部8cは、回転軸RAを移動させずX線光軸Lに交わるよう固定配置とし、かわりに検出器移動機構6により、X線検出器12をy方向に移動し、回転軸RAがX線ビーム3の端部付近のオフセット位置になるように位置決め配置させればよい。
【0090】
また、上記実施の形態におけるオフセット重み係数Wof(n)は、検出器検出面4aへの回転軸RAの投影位置ncの図示片側(左側)一端で「0」、反対側(右側)の所定データ検出範囲を超えたときに「1」とし、回転軸付近の「0」から「1」との間を曲線的に変化する傾斜部を有する重み係数としたが、図5に示すような重み係数の分布式の形に限らない。例えば、図13(a)に示すように、回転軸RAの投影位置nc付近で傾斜を緩やかにし、両端側で少し傾きを大きくした傾斜部としてもよく、あるいは図13(b)に示すように、回転軸RAの投影位置nc付近では平坦部とし、その平坦部の両側から急に変化させた傾斜部であってもよい。特に、傾斜部となる重複部2βが大きい場合には図13(a)或いは図13(b)に示す分布の形が有効である。
【0091】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1とその基本的な構成が全く同じである。この実施の形態2において、特に異なるところは、X線検出器4を2つの検出器位置に移動位置決め設定することにより、被検体2から透過してくる広いX線ビームを分割して検出するダブルオフセットヘリカルスキャンに適用した例である。
【0092】
図14はダブルオフセットヘリカルスキャン時の各構成部分の幾何的な配置例を示す図である。
以下、ダブルオフセットヘリカルスキャンについて、図1及び図14を参照して説明する。
【0093】
ダブルオフセットヘリカルスキャンでは、ヘリカルスキャン制御部8dが検出器移動機構6を介してX線検出器4を、検出面4aに沿って回転軸RAと直交する方向(y方向)に移動させて、かつ、隣接する検出面4a,4a′端部が一部重なるように2つの所定位置(以下、検出器位置1,2と呼ぶ)に位置決め設定する。なお、このとき、回転軸RAは、連続したX線ビーム31全体の一端部付近に当該X線ビーム31と交差するように設定する。
【0094】
なお、具体的には、X線検出器4の検出器位置と回転軸RAの位置については、図14(a)〜(c)のいずれでもよく、あるいは検出器位置全体をy方向にずらした図14(a)〜(c)の中間位置であってもよい。
【0095】
図14(a)は、X線検出器4を、当該X線検出器4の検出面4a中央部がX線光軸Lと交差するような検出器位置1と、検出面4aに沿ってy方向に移動させて、かつ、検出面4a′の端部が検出器位置1の検出面4a端部と一部重なるような検出器位置2とにそれぞれ位置決め設定し、各検出器位置1,2ごとにそれぞれスキャンを実施し、被検体2から透過してくる連続したX線ビーム31の透過画像を検出する方法である。
【0096】
図14(b)は、X線検出器4を、当該X線検出器4の検出面4aに沿ってy方向に移動させて、2つの検出器位置での検出面4a,4a′の端部がX線光軸L上で互いに重なり合うような検出器位置1と検出器位置2とにそれぞれ位置決め設定し、各検出器位置1,2ごとにそれぞれスキャンを実施し、被検体2から透過してくる連続したX線ビーム31の透過画像を検出する方法である。
【0097】
このように検出器4を位置決め設定することにより、検出面4aに対するX線ビーム31の入射が全体的に斜めにならず、分解能を落とさずにスキャン領域12′の全体の画質を上げることができる。
【0098】
図14(c)は、回転軸RAをX線光軸L上に配置し、かつ、X線ビーム31のほぼ全体が当該X線光軸Lの片側に放射するように配置する。そして、X線検出器4を、当該X線検出器4の検出面4a端部がX線光軸Lと交差するような検出器位置1と、検出面4aに沿ってy方向に移動させて、かつ、検出面4a′の端部が検出器位置1の検出面4aのX線光軸Lから遠い側の端部と一部重なるような検出器位置2とにそれぞれ位置決め設定し、各検出器位置1,2ごとにそれぞれスキャンを実施し、被検体2から透過してくる連続したX線ビーム31の透過画像を検出する方法である。
【0099】
このように検出器4を位置決め設定することにより、スキャン領域12′の中央部の画質を上げることができる。すなわち、この配置は、中央部を重視しながら周辺部の画質を保つことにある。
【0100】
次に、前述したダブルオフセットヘリカルスキャンによる処理手順を簡単に説明する。
先ず、操作者は、テーブル5に被検体2を載置した後、制御処理部8を通して回転軸移動機構7a及び検出器移動機構6に駆動制御指令を送出し、所要とする撮影距離FCD及び検出距離FDDとなるように設定する。また、制御処理部8のオフセット配置制御部8cを通して回転軸移動機構7aを駆動制御し、回転中心Cをy方向に移動させることにより、X線ビーム31内の端部に近いオフセット位置に設定する。
【0101】
しかる後、引き続き、検出器移動機構6を通してX線検出器4を検出器位置1に設定した後、入力部8bからスキャン開始指令を入力すると、制御処理部8のヘリカルスキャン制御部8dから回転昇降機構7bに駆動制御指令を送出し、所定のスキャン軌道を正向きに通るようにテーブル5を回転させつつ回転角に比例して昇降させてスキャンしていく。
【0102】
この昇降回転するスキャンの間に一定回転角度ごとに被検体2を透過してくるX線ビーム31の透過画像PaをX線検出器4で検出し、ディジタルデータとして制御処理部8に送信し、ディスクに記憶させる。
【0103】
次に、検出器移動機構6を通してX線検出器4を検出器位置2に設定した後、入力部8bからスキャン開始指令を入力すると、制御処理部8のヘリカルスキャン制御部8dから回転昇降機構7bに駆動制御指令を送出し、検出器位置1と同じスキャン軌道を正向きあるいは逆向きに通るようにテーブル5を回転させつつ回転角に比例して昇降させてスキャンしていく。
【0104】
この昇降回転するスキャンの間に一定回転角度ごとに被検体2を透過してくるX線ビーム31の透過画像PbをX線検出器4で検出し、ディジタルデータとして制御処理部8に送信し、ディスクに記憶させる。
【0105】
制御処理部8の再構成処理部8eは、X線検出器4で検出された透過画像Pa,Pbからスキャン領域12′の3次元画像を再構成する。
【0106】
再構成は前述した「オフセットヘリカルスキャンの再構成処理」と同様に行われる。すなわち、各検出器位置1,2で得られる透過画像Pa(n,m,φ)とPb(n,m,φ)をφごとに合成し、各φで一つに繋がった透過画像P(n,m,φ)を作成し、この作成された透過画像P(n,m,φ)から前述したオフセットヘリカルスキャンの再構成を行うものである。
【0107】
なお、合成するときの繋ぎ位置は、検出器移動機構6で移動させた検出器位置1,2が分るので、容易に合成できる。また、このつなぎ位置の決定については、当該重複部分の透過画像の濃淡を位置合わせして繋ぐようにすると、移動の位置決め誤差が補正されることになり、好ましい結果となる。
【0108】
図15は検出器位置1の状態で収集記憶した透過画像Pa(n,m,φ)と検出器位置2の状態で収集記憶した透過画像Pb(n,m,φ)とをつないで合成するための説明図である
合成処理としては、例えば検出器位置1の透過画像Pa(n,m,φ)の重み係数をW1(y)、検出器位置2の透過画像Pb(n,m,φ)の重み係数をW2(y)とする。重み係数W1(y)とW2(y)は重複部分以外では「1」で、重複部分ではW1(y)は「1」から「0」に滑らかに変化し、W2(y)は「0」から「1」に滑らかに変化し、かつ、「W1(y)+W2(y)=「1」なる関係があればよく、予め定めた計算式を記憶しておく。重み係数W1(y)、W2(y)を求めた後、これら重み係数W1(y)、W2(y)をそれぞれ検出器位置1の透過画像Pa(n,m,φ)と検出器位置2の透過画像Pb(n,m,φ)とに掛けた後、互いに加算すれば合成できる。ここで、yは透過画像上の検出器移動方向(=n方向)である。
【0109】
ダブルオフセットヘリカルスキャンのスキャン領域12′は、回転軸RAを中心とした円柱で、その半径は片側がX線ビーム31に包含される領域であり、高さはオフセットヘリカルスキャンと同じである。つまり、スキャン領域12′は、無理なく再構成できる十分なデータが収集される領域である。
【0110】
従って、以上のようなダブルオフセットヘリカルスキャンによれば、X線検出器4を移動させて、被検体2から透過してくるX線ビームを分割して検出するので、X線検出器4の検出面4aの寸法で決まるX線ビーム3を超えた広い連続したX線ビーム31を検出でき、X線検出器4を移動させない場合に比べて、スキャン領域を広げることができる。このダブルオフセットヘリカルスキャンでは、オフセットヘリカルスキャンの2倍近い直径のスキャン領域12′となるので、オフセットヘリカルスキャンよりも大きな被検体2を当該オフセットヘリカルスキャンと同じ拡大率で撮影できる。
【0111】
また、X線検出器4を、検出面に沿った回転軸RAの方向と直交する方向nに直線的に移動するので、検出された透過画像を容易に合成でき、合成透過画像を使って被検体2の3次元画像が得られる。
【0112】
(実施の形態2の変形例)
この実施の形態2の変形例においては、実施の形態1とその基本的な構成が全く同じである。
【0113】
(変形例1)
実施の形態2におけるダブルオフセットヘリカルスキャンを適用した例では、検出器位置1の透過画像と検出器位置2の透過画像とにそれぞれ重み係数を掛けた後、互いに加算して合成するようにしたが、画像の合成は再構成処理のどの段階で行ってもよい。例えば、X線検出器4で検出し記憶した透過画像を合成してもよく、対数変換などの前処理を行った後に合成してもよい。
【0114】
また、逆投影の段階で合成してもよい。例えば、それぞれ重み係数を掛けた検出器位置1の透過画像と検出器位置2の透過画像とを加算せずにそれぞれ別々に逆投影し、検出器位置1の部分3次元画像と検出器位置2の部分3次元画像とを作成し、これら部分3次元画像を加算して最終的な3次元画像を得るようにしてもよい。また、検出器位置1の部分3次元画像の上に、検出器位置2の部分3次元画像を続けて逆投影して合成してもよい。
【0115】
(変形例2)
この変形例2は、実施の形態2の拡張形であって、X線検出器4を3つの検出器位置に位置決め設定することにより、被検体から透過してくる広いX線ビームを分割して検出するトリプルオフセットヘリカルスキャンに適用してもよい。
【0116】
図16はトリプルオフセットヘリカルスキャン時の各構成部分の幾何的な配置例を示す図である。
ヘリカルスキャン制御部8dは、検出器移動機構6を介してX線検出器4を移動させるが、このときX線検出器4としては、検出面4aに沿う方向(y方向)に検出面4a,4a′,4a″の端部が一部重なり、かつ、連続したX線ビーム31′全体を検出するように、3つの検出器位置1,2,3に位置決め設定する。また、オフセット配置制御部8cは、回転軸移動機構7aを介して回転軸RAの位置決めを行うが、この回転軸RAとしては、X線光軸Lと直交し、かつ、連続したX線ビーム31′全体内の端部付近で当該X線31´と交差するように設定する。
【0117】
具体的に、検出器位置と回転軸RAの位置は、図16(a)〜(c)の何れか1つ、あるいは検出器位置全体をy方向にずらした図16(a)〜(c)の中間位置であってもよい。すなわち、トリプルオフセットヘリカルスキャンにおけるX線検出器4の検出器位置と回転軸RAの位置にあっては、図15(a)〜(c)と同じ要領で設定される。
【0118】
ヘリカルスキャン制御においては、検出器位置1,2,3について、回転昇降機構7bを介して同一軌道を通るように回転昇降させるようにヘリカルスキャン(例えば正向き・逆向き交互)を行い、それぞれの検出器位置1,2,3にてX線検出器4から得られた透過画像Pa,Pb,Pcをそれぞれ所定回転角度ごとに合成し、合成画像Pを取得する。そして、取得された合成画像Pを用いて、同様に3次元画像を再構成する。ここで、透過画像の合成は、前述したように再構成途中か、逆投影時に行ってもよい。
【0119】
このトリプルオフセットヘリカルスキャンによれば、ダブルフセットヘリカルスキャンの3/2倍近い直径のスキャン領域12″となる。
【0120】
なお、この変形例においては、3つの検出器位置1,2,3でスキャンを行ったが、多数の検出器位置でスキャンを行う、いわゆる多重オフセットヘリカルスキャンを行ってもよい。
【0121】
(変形例3)
前述した実施の形態2では、X線検出器4は検出器検出面4aに沿って回転軸RAと直交する方向(y方向)に移動させて複数の検出器位置に位置決めしたが、例えばX線検出器4を、自転させながら、X線検出器4の検出面がX線ビーム31を真正面から検出できるように回転軸RAと直交する方向へ円弧状に移動させて、複数の検出器位置に位置決めさせてもよい。具体的には、X線検出器4を円弧状レールに沿ってX線焦点Fの周りを移動させて、当該X線検出器4の検出面4aの中央の法線が各検出器位置にてX線焦点Fに向くように設定する。
【0122】
図17は多重オフセットヘリカルスキャンにおける各構成体の幾何的な配置例図である。この多重オフセットヘリカルスキャンは、X線検出器4を、例えば検出器移動機構6上に敷設した円弧状レール上を、X線検出器4の検出面がX線ビーム31を真正面から検出できるように自転させながら円弧状に移動させて、かつ、隣接する検出面が一部重なり合うように複数の検出器位置1,2または複数の検出器位置1,2,3に位置決めし、連続した広いX線ビーム31を複数の検出位置1,2(図7(a)参照)または複数の検出位置1,2,3(図7(b)参照)に位置決めされたX線検出器4で分割して検出するスキャンである。このとき、回転軸RAは連続したX線ビーム31全体の端部付近で当該X線ビーム31と交差するように設定する。
【0123】
スキャン制御は、X線検出器4を複数の検出器位置1,2または複数の検出器位置1,2,3に位置決めし、同一の軌道21のヘリカルスキャンを行う。このとき、例えば検出器位置1にて正向き、検出器位置2にて逆向きとするごとく、交互にスキャンの向きを変えてもよい。そして、各検出器位置で得られた透過画像を同様にφごとに合成し、得られた合成画像Pから同様に3次元画像を再構成する。なお、透過画像の合成は、前述したように再構成途中か、逆投影時に行ってもよい。
【0124】
また、画像の合成や逆投影としては、透過画像を回転軸RAに平行な面上のデータ、あるいは回転軸かX線焦点Fを通って回転軸に平行な軸に対する円筒面上のデータに置き換えて処理できるが、置き換えることなく各検出面上のデータのまま処理することもできる。
【0125】
この変形例3によれば、X線ビーム31が検出面4a,4a′,4a″にほぼ垂直に入射されるので、良好な透過画像が検出でき、ひいては良好な3次元画像を再構成できる。
【0126】
(変形例4)
実施の形態2の変形例3では、X線検出器4が円弧状レールに沿ってX線焦点Fの周りを移動させ、これにより検出面4a,4a′,4a″の中央の法線が各検出器位置1,2,3においてX線焦点Fに向くように設定したが、例えばX線検出器4を移動させず、その代わりに被検体2(テーブル5と回転軸RAが一体)を等価的に移動させる構成であってもよい。
【0127】
図18は多重オフセットヘリカルスキャンにおける各構成体の幾何的な配置例である。
この多重オフセットヘリカルスキャンの幾何的な配置例は、X線検出器4を移動させる代わりに、図18(a),(b)に示すように、回転軸RAをX線焦点Fの周りを当該回転軸RAと直交する面に沿って移動させ、X線検出器4を移動させたのと等価なデータを得るようにしてもよい。なお、テーブル5及び被検体2は回転軸RAの移動と共に一体に移動する。つまり、図18(a),(b)は、被検体2を基準とした座標でみれば、図17(a),(b)と同じになる。
【0128】
この変形例4による多重オフセットヘリカルスキャンは、回転軸RAをX線焦点Fの周りを回転軸位置RAからRA′,RA″に回転移動させることにより、当該回転軸位置RA,RA′,RA″に追従して被検体2がX線ビーム3を横切る結果、X線検出器4が広い連続したX線ビーム3を分割して検出するスキャンである。
【0129】
このスキャン制御は、回転軸位置RA,RA′,RA″ごとに同一の軌道21のヘリカルスキャンを行う。このとき、例えば回転軸位置RAにて正向き、回転軸位置RA′にて逆向きとするごとく、交互にスキャンの向きを変えてもよい。そして、各回転軸位置で得られた透過画像を同様にφごとに合成し、得られた合成画像Pから同様に3次元画像を再構成する。なお、透過画像の合成は、前述したように再構成途中か、逆投影時に行ってもよい。
【0130】
なお、この変形例4においては、回転軸RAをX線焦点Fの周りを複数の回転軸位置RA,RA′,RA″と回転位置決めしたが、例えば図18(c)に示すように、回転軸RAを検出面4aに沿ったy方向に回転軸位置RA,RA′,RA″と移動させて、回転軸位置RA,RA′,RA″ごとに同一の軌道21のヘリカルスキャンを行うようにしてもよい。
【0131】
このように回転軸をy方向に移動させてヘリカルスキャンを行った場合には、透過画像の合成は精度を上げるために逆投影時に行うのが好ましい。その理由は、y方向にのみに移動させた場合、回転軸位置ごとにX線焦点Fと回転軸RAとの間の距離が変化し、被検体2を基準とした逆投影のF点(図9)が若干異なってしまう為である。つまり、厳密には同一の軌道21でなくなるので、回転軸位置ごとにそれぞれのF点に逆投影して精度を上げる必要があるからである。
【0132】
この変形例4によれば、被検体2を回転軸RAと共に移動させ、X線検出器4がX線ビーム3を分割して検出することから、X線検出器4の検出面4aの寸法を越える大きさのX線ビーム3を検出でき、回転軸RAを移動させない場合に比べてスキャン領域を広げることができる。また、X線ビーム3が検出面4aにほぼ垂直に入射するので、良好な透過画像を検出でき、良好な3次元画像を作成できる。
【0133】
なお、実施の形態2及び前述した各変形例では、回転軸RAを連続したX線ビーム31内の端部付近に設定し、多重オフセットヘリカルスキャンを行っているが、例えば回転軸RAをX線ビーム31の中央に設定し、通常の多重ヘリカルスキャンを行うようにしてもよい。ただし、この通常の多重ヘリカルスキャンによって得られた透過画像については、オフセット重み係数掛けを省いた状態で再構成処理を行うことになる。
【0134】
(その他、実施の形態1,2に関する変形)
(1) 上記実施の形態1,2においては、回転軸RAをX線光軸Lの方向と直交させているが、必ずしも直交させる必要はない。
【0135】
図19は回転軸RAがX線光軸Lに直交しない場合の幾何的な配置例図(2面図)である。同図(b)に示すように、X線ビーム3が回転軸RAに対して斜め方向で被検体2に入射している場合であっても、前述した実施の形態1,2及び各変形例がそのまま適用できるものである。ただし、再構成処理において、前述した各実施の形態では、X線焦点Fが再構成対象面22の高さzrに到達したときの回転角をφrとしたが(図4参照)、代わりに、図19(b)に示すように回転軸RA上でX線光軸Lに一番近い点Cが再構成対象面22の高さzrに到達したときの回転角をφrとする。また、この場合における画像の合成や逆投影は、透過画像を回転軸RAに平行な面上、あるいは垂直な面上のデータ、あるいは回転軸かX線焦点Fを通って回転軸に平行な軸に対する円筒面上のデータに置き換えて処理できるが、置き換えることなく各検出面上のデータのまま処理することもできる。
【0136】
(2) 上記各実施の形態においては、マイクロフォーカスX線管を用いたが、これに限られないことは勿論である。また、放射線源として、X線を用いたが、これら限られることなく、他の透過性放射線でもよいものである。
【0137】
また、上記各実施の形態では、回転軸RAを介して被検体2を回転させているが、代わりに、X線源1とX線検出器4とを回転させてもよい。また、被検体2の昇降についても、被検体2ではなく、X線源1とX線検出器4とを昇降させる構成であってもよい。
【0138】
さらに、2次元のX線検出器4としては、前述するようにFPDを用いたが、当該FPDに限られず、同様の機能を持つ各種の検出器を用いてもよいことは言うまでもない。
【0139】
また、各実施の形態は可能な限り組み合わせて実施することが可能であり、その場合には組み合わせによる効果が得られる。さらに、上記各実施の形態には種々の上位,下位段階の発明が含まれており、開示された複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得るものである。例えば問題点を解決するための手段に記載される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されうることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明に係るコンピュータ断層撮影装置の実施の形態1を示す構成図。
【図2】本発明に係るコンピュータ断層撮影装置の再構成処理における定式化のための幾何的な配置例図。
【図3】オフセットヘリカルスキャンの軌道を表した図。
【図4】オフセットヘリカルスキャンの軌道を表した別の図(鳥瞰図)。
【図5】再構成処理時に透過画像に乗算するためのオフセット重み係数を説明する図。
【図6】再構成処理時に透過画像に乗算するためのヘリカル重み係数を説明する図。
【図7】本発明に係るコンピュータ断層撮影装置における再構成処理の前半処理フロー図。
【図8】本発明に係るコンピュータ断層撮影装置における再構成処理の後半処理フロー図。
【図9】本発明に係るコンピュータ断層撮影装置における再構成処理時の逆投影の説明図(鳥瞰図)。
【図10】本発明に係るコンピュータ断層撮影装置における再構成処理時の逆投影範囲(α=0,β=0)を示す平面図。
【図11】本発明に係るコンピュータ断層撮影装置における再構成処理時の逆投影範囲(α=0,β=0)の詳細説明図。
【図12】本発明に係るコンピュータ断層撮影装置における再構成処理時の逆投影範囲(α≠0,β≠0)を示す平面図。
【図13】図5に示すオフセット重み係数の他の例を説明する図。
【図14】本発明に係るコンピュータ断層撮影装置の実施の形態2を説明するダブルオフセットヘリカルスキャンの幾何的な配置例図。
【図15】実施の形態2における透過画像の合成を説明する図。
【図16】実施の形態2における変形例であるトリプルオフセットヘリカルスキャンの幾何的な配置例図。
【図17】実施の形態2における変形例である多重オフセットヘリカルスキャンの幾何的な配置例図。
【図18】実施の形態2における変形例である多重オフセットヘリカルスキャンの幾何的な配置例図。
【図19】実施の形態2における変形例を説明するものであって、回転軸がX線光軸に直交しない場合の幾何的な配置例図。
【図20】従来の通常スキャンとオフセットスキャンとのスキャン領域の説明図。
【図21】従来のヘリカルスキャンのスキャン領域の説明図。
【符号の説明】
【0141】
1…X線源、2…被検体、3…X線ビーム、4…X線検出器、4a,4a′,4a″…検出面、5…テーブル、6…検出器移動機構,7…オフセットヘリカルスキャン機構、7a…回転軸移動機構、7b…回転昇降機構、8…制御処理部、8a…表示部、8b…入力部、8c…オフセット配置設定部、8d…ヘリカルスキャン制御部、8e…再構成処理部、11…スライス面、12,12′,12″…スキャン領域、20,21…軌道、22…再構成対象面、23…再構成領域、24…仮想3次元マトリックス、25a,25a′,25b,25b′…逆投影範囲、26,26a,26b,26c,26d…逆投影ライン、31,31′…X線ビーム、RA…回転軸、L…X線光軸、C…回転中心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル上に載置される被検体に向けて放射線を放射する放射線源と、前記被検体を透過してくる放射線ビームを透過画像として検出する2次元の放射線検出器と、前記検出される放射線ビームと端部付近で交差する回転軸に対し、前記被検体を前記放射線ビームに対して、相対的に回転させつつ前記回転軸の方向に相対移動させるヘリカルスキャンを実施するヘリカルスキャン手段と、このヘリカルスキャンの間に前記放射線検出器で検出される多数の透過画像から前記回転軸を中心として片側が前記放射線ビームに包含される半径の円柱領域をスキャン領域とし、当該スキャン領域内の前記被検体の3次元画像を再構成処理する再構成処理手段とを備えたことを特徴とするコンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンピュータ断層撮影装置において、
前記再構成処理手段は、
前記ヘリカルスキャンの実施によって得られた透過画像に対して、前記回転軸の方向と直交する前記放射線検出器の検出面の方向に依存する重み係数であって、当該検出面における回転軸投影位置ncを境とし、その片側一端の重み係数「0」、他の側の重み係数「1」との間で傾きが回転軸投影位置ncに対して対称、かつ、重み係数が「0」から「1」に滑らかに変化する傾斜部を成すようなオフセット重み係数を用いて乗算するオフセット重み係数乗算手段と、
前記ヘリカルスキャンの実施によって得られた透過画像に対して、前記回転軸の回転角度に依存する重み係数であって、平坦部の重み係数を「1」、当該平坦部両端から滑らかに落ちて重み係数「0」となるような傾斜部を成し、当該各傾斜部における前記回転角度の幅がそれぞれ2α(αは任意の角度)とし、前記平坦部の前記回転角度の幅が2π−2αとなるヘリカル重み係数を用いて乗算するヘリカル重み係数乗算手段と、
前記オフセット重み係数と前記ヘリカル重み係数とを乗算して得られる透過画像を、前記被検体に固定し設定された仮想マトリックスに逆投影し、前記被検体の3次元画像を再構成する手段とを備えたことを特徴とするコンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するコンピュータ断層撮影装置において、
前記放射線検出器を、当該放射線検出器の検出面に沿う方向または当該検出面の中央の法線が前記放射線源の放射線焦点に正対するように円弧状に移動させて複数の検出器位置に位置決め設定する検出器移動手段を設け、
前記被検体を透過してくる連続した放射線ビームを、各検出器位置に位置決め設定された前記放射線検出器で分割して検出することを特徴とするコンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載するコンピュータ断層撮影装置において、
前記回転軸を前記被検体とともに、前記放射線源の放射線焦点の周りを回転移動させ、または前記放射線検出器の検出面に沿う方向に移動させて、複数の回転軸位置に位置決め設定する回転軸移動手段を設け、
各回転軸位置にて前記被検体を透過してくる連続した放射線ビームを前記放射線検出器で分割して検出することを特徴とするコンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載するコンピュータ断層撮影装置において、
前記ヘリカルスキャン手段は、前記各検出器位置または前記各回転軸位置にて、それぞれ同一の軌道を通るヘリカルスキャンを実施することを特徴とするコンピュータ断層撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−47644(P2009−47644A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216095(P2007−216095)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(391017540)東芝ITコントロールシステム株式会社 (107)
【Fターム(参考)】