コンプレッサおよび酸素濃縮装置
【課題】原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に弁が発生する騒音を低減することができるコンプレッサおよび酸素濃縮装置を提供する。
【解決手段】原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサ10は、ケース部23と、ケース部23に設けられて出力軸15を有する駆動用モータ11と、駆動用モータ11の出力軸15の回転により動作し、原料空気を吸入し圧縮して圧縮空気を発生するヘッド部21,22と、ヘッド部21,22に配置されて、原料空気をヘッド部21,22内に取り込む際に開閉する第1弁194Aと、ヘッド部21,22内で圧縮された圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁194Bを備え、第1弁194Aと第2弁194Bは、プラスチックにより作られている。
【解決手段】原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサ10は、ケース部23と、ケース部23に設けられて出力軸15を有する駆動用モータ11と、駆動用モータ11の出力軸15の回転により動作し、原料空気を吸入し圧縮して圧縮空気を発生するヘッド部21,22と、ヘッド部21,22に配置されて、原料空気をヘッド部21,22内に取り込む際に開閉する第1弁194Aと、ヘッド部21,22内で圧縮された圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁194Bを備え、第1弁194Aと第2弁194Bは、プラスチックにより作られている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサおよびコンプレッサを備える酸素濃縮装置に関し、特に取り込んだ原料空気を圧縮して、この圧縮空気を吸着剤に供給することで酸素の供給が可能な医療用のコンプレッサおよび酸素濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素濃縮装置は、原料空気中の酸素を透過させて窒素を選択的に吸着する吸着剤として、例えば、ゼオライト等を用いることで酸素を生成する圧力スイング吸着法を利用することにより、酸素を得るようにされている。
この方式の酸素濃縮装置の本体カバーには、原料空気を取り込むための空気取入口が設けられており、この空気取入口から内部に取り込んだ原料空気を圧縮部であるコンプレッサで圧縮して圧縮空気を発生して、吸着剤を内蔵した吸着筒に対してこの圧縮空気を供給することで該吸着剤に窒素を吸着させ酸素を生成する。そして、生成された酸素はタンクに貯めておき、減圧弁や流量設定器を介してタンクから所定流量の酸素を供給可能な状態にすることで、患者は鼻カニューラ等の器具を用いて酸素吸入ができる。
【0003】
この酸素濃縮装置はAC電源(商用交流電源)のが利用できる場所に設置しておけば、例えば肺機能が低下した在宅酸素療法患者が、就寝中でも安全に酸素を吸うことができるようになり安眠できる。
特に、在宅酸素療法患者が就寝中も使用する場合には、酸素濃縮装置は騒音発生が極めて少ないことが好ましい。例えば、酸素濃縮装置の騒音は、室内の空調設備から発生する騒音レベル以下となることが望ましい。
【0004】
また、慢性気管支炎等の呼吸器疾患の患者の治療法として有効となる長期酸素吸入療法に使用される酸素濃縮装置は、一般的には可搬型ではなく、患者が外出先に持ち出せるようには構成されていない。
患者がやむなく外出する場合には、例えば、所定の収容容器に酸素を充填した酸素ボンベを搭載したカートを押しながら、その酸素ボンベから濃縮酸素を吸うようにしている。この酸素ボンベに対する酸素の充填は専用設備にて行なわなければならない。そこで、可搬型や移動型の酸素濃縮装置が提案されており、可搬型や移動型の酸素濃縮装置は、原料空気を取り込んで圧縮空気を発生する圧縮部と減圧空気を発生する減圧部とを備えて電池駆動可能なコンプレッサを備えている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−45424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の酸素濃縮装置のコンプレッサでは、ピストンのクランク室には原料空気を吸い込むための吸気孔を有している。コンプレッサのモータ出力軸が回転することでピストンを動作させて、外気である原料空気を吸気孔から直接ピストン側に吸入して圧縮空気を生成する。このコンプレッサは、原料空気の吸引のためにバネ系ステンレス鋼の弁を内蔵し、しかも圧縮空気の排気のためにバネ系ステンレス鋼の弁を内蔵している。しかし、コンプレッサを動作させて本体カバーの空気取入口から取り入れた原料空気を、吸気孔を通してピストンのクランク室に吸気して圧縮空気を排気する際に、これらの吸気側の弁と排気側の弁は、高周波金属音(笛現象とも呼ぶ)、空気流体音、そして弁の衝撃音を発生して大きな騒音となる。
【0007】
この騒音は、本体カバーの空気取入口を通じて、本体カバーの外部に漏れたり、本体カバーを通じて透過音として外部に透過したり、あるいは本体カバーが共振を起こすおそれもあるため、低騒音でピストン側に確実に原料空気を吸入して圧縮空気を生成できることが望まれている。
そこで、本発明は、原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に弁が発生する騒音を低減することができるコンプレッサおよび酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンプレッサは、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサであって、前記コンプレッサは、ケース部と、前記ケース部に設けられて出力軸を有する駆動用モータと、前記駆動用モータの前記出力軸の回転により動作し、前記原料空気を吸入し圧縮して前記圧縮空気を発生するヘッド部と、前記ヘッド部に配置されて、前記原料空気を前記ヘッド部内に取り込む際に開閉する第1弁と、前記ヘッド部内で圧縮された前記圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁を備え、前記第1弁と前記第2弁は、プラスチックにより作られていることを特徴とする。
上記構成によれば、コンプレッサのプラスチック製の第1弁と第2弁は、金属製の弁に比べて原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に弁が発生する騒音を低減することができる。
【0009】
好ましくは、前記第1弁と前記第2弁は、1つの平坦な弁部材に形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、第1弁と第2弁が1つの平坦な弁部材に形成されているので、部品点数の増加を防ぐことができる。
【0010】
好ましくは、前記第1弁には、前記第1弁に対応する前記原料空気の通過する開口部の形状に応じた凹部が形成され、前記第2弁には、前記第2弁に対応する前記圧縮空気の通過する開口部の形状に応じた凹部が形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、第1弁と第2弁にはそれぞれ凹部が形成されているので、第1弁と第2弁はそれぞれ対応する開口部に対して密着でき、気体遮蔽性が向上する。
【0011】
好ましくは、前記ヘッド部は、前記ケース部の第1端部側に設けられた第1ヘッド部と、前記ケース部の第2端部側に設けられた第2ヘッド部を備え、前記第1弁と前記第2弁は、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、第1ヘッド部と第2ヘッド部のいずれにおいても、原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に生じる弁の低騒音化を図ることができる。
【0012】
本発明の酸素濃縮装置は、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサと、該圧縮空気から窒素を吸着する吸着剤を収容する吸着部材とを備える酸素濃縮装置であって、前記コンプレッサは、ケース部と、前記ケース部に設けられて出力軸を有する駆動用モータと、前記駆動用モータの前記出力軸の回転により動作し、前記原料空気を吸入し圧縮して前記圧縮空気を発生するヘッド部と、前記ヘッド部に配置されて、前記原料空気を前記ヘッド内に取り込む際に開閉する第1弁と、前記ヘッド内で圧縮された前記圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁を備え、前記第1弁と前記第2弁は、プラスチックにより作られていることを特徴とする。
上記構成によれば、酸素濃縮装置は、コンプレッサのプラスチック製の第1弁と第2弁は、金属製の弁に比べて原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に弁が発生する騒音を低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に生じる原料空気の吸気音の低騒音化を図ることができ、主筐体内部に防音部材を設けなくても騒音レベルが低いコンプレッサおよびそれを用いた小型、軽量の酸素濃縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のコンプレッサを備える酸素濃縮装置の好ましい実施形態を示すブロック図。
【図2】図1の酸素濃縮装置の外観例とコンプレッサの正面を示す斜視図。
【図3】図2に示すコンプレッサをU方向から見た斜視図。
【図4】図2のコンプレッサをG方向から見た斜視図。
【図5】図2のコンプレッサを斜め上方向から見た一部を切り欠いて内部構造を示す斜視図。
【図6】図2のコンプレッサの第1ヘッド部を分解して示す斜視図。
【図7】図3のコンプレッサのP−P線におけるV方向に沿った断面図。
【図8】図2のコンプレッサの第1ヘッド部の積層構造を示す断面図。
【図9】コンプレッサのリード弁部材の2つのリード弁の動作例を示す図。
【図10】図10(A)は、出力軸保持部材を示す斜視図であり、図10(B)は、出力軸保持部材の円板部分の形状を示す正面図。
【図11】空気取り入れ穴の断面形状を示す図。
【図12】コンプレッサの外形形状を2点鎖線で示し、このコンプレッサにおける原料空気の導入経路と圧縮空気の排出経路を矢印で示す図。
【図13】本発明の空気取り入れ穴の別の実施形態を示す断面図。
【図14】本発明の空気取り入れ穴の別の実施形態を示す断面図。
【図15】本発明の空気取り入れ穴の別の実施形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。 図1は、本発明のコンプレッサを備える酸素濃縮装置の好ましい実施形態を示すブロック図である。図2は、図1の酸素濃縮装置の外観例とコンプレッサの正面を示す斜視図である。
【0016】
図1に示す酸素濃縮装置1は、図2に概略的に例示するように携帯型(可搬型や移動型ともいう)の酸素濃縮装置である。図2に示すように、酸素濃縮装置1の主筐体2は、付属品として取手1B,車輪1Dを備えた付属品としての保持ケース1Cに収容されており、取手1Bは、上下方向に長さの調整が可能である。コンプレッサ10は、主筐体2の例えば底部に配置されている。保持ケース1Cには、図1の鼻カニューレ314のチューブ315を通すための穴1Eが設けられている。
図1と図2に示す酸素濃縮装置1は、例えば、酸素生成原理として圧縮空気による圧縮空気力変動吸着法(PSA:正圧変動吸着法)を用いている。圧縮空気のみによる正圧変動吸着法は、圧縮空気のみを吸着筒体内に送って窒素を吸着させる。正圧変動吸着法は、圧縮空気と減圧空気による正負圧変動吸着法(VPSA)に比べて、コンプレッサ10の小型化と軽量化が図れるメリットがある。
【0017】
図1に示す二重線は、原料空気、酸素、窒素ガスの流路となる配管を示している。また、細い実線は電源供給または電気信号の配線を示している。図1に示す酸素濃縮装置1の主筐体2は破線で示しており、主筐体2は、内部に配置された要素を密閉している本体カバーとしての密閉容器である。主筐体2は、例えば射出成形樹脂製品であり耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂により作られている。
図1に示す主筐体2は、外気である原料空気を導入するための吸気口2cと、排気するための排気口2bを有している。吸気口2cには空気中の塵埃等の不純物を除去するためのフィルタ3が配置されており、原料空気は、コンプレッサ10が作動すると、吸気口2cのフィルタ3を介してF方向に沿って内部の配管4を通じてコンプレッサ10側に導入されるようになっている。
【0018】
図1において、原料空気は、配管4を介してコンプレッサ10に導入されて圧縮されることで圧縮空気になるが、原料空気を圧縮する際には熱が発生する。このため、コンプレッサ10から排出される圧縮空気は、送風ファン5の回転により冷却する。このように圧縮空気を冷却することで、高温では機能低下してしまう吸着剤であるゼオライトの昇温を抑制できるので、これにより、窒素の吸着により酸素を生成するための吸着剤として十分に機能できるようになり、酸素を90%程度以上にまで濃縮できることとなる。
【0019】
図1の第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bは、吸着部材の一例であり、縦方向に並列に配置されている。これら第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bには、それぞれ切換え弁としての3方向切換弁109a,109bが接続されている。3方向切換弁109aの一端部が配管6に接続され、3方向切換弁109aと3方向切換弁109bとが互いに接続され、さらに、3方向切換弁109bの一端部が配管7に接続されている。配管7と配管6とは互いには接続されている。この配管7は、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるための浄化工程を行うために、配管6に接続されている。3方向切換弁109aと109bは、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bにそれぞれ対応して接続されている。コンプレッサ10から発生する圧縮空気は、配管6と3方向切換弁109a、109bを介して第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bに対して交互に供給される。
【0020】
触媒吸着剤であるゼオライトは、図1の第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内にそれぞれ貯蔵されている。このゼオライトは、例えばSi203/Al2O3比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトであり、かつこのAl2O3の四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと結合させたものを用いることで、単位重量当たりの窒素の吸着量を増やせるようにしている。このゼオライトは、特に1mm未満の顆粒測定値を有するとともに、四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと融合させたものが好ましい。ゼオライトを使用することで、他の吸着剤を使う場合に比べて酸素を生成するために必要となる原料空気の使用量を削減できるようになる。この結果、圧縮空気を発生するためのコンプレッサ10をより小型・軽量化が図れ、コンプレッサ10の低騒音化を図ることができる。
【0021】
図1に示すように、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの出口側には、逆止弁と絞り弁と開閉弁とからなる均等圧弁107が接続されている。均等圧弁107の下流側には、合流する配管8が接続されており、この配管8には製品タンク111が接続されている。この製品タンク111は、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bにおいて分離生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵するための容器である。
図1に示すように、製品タンク111の下流側には、圧力調整器112が接続されており、圧力調整器112は製品タンク111の出口側の酸素の圧力を一定に自動調整するレギュレータである。圧力調整器112の下流側には、ジルコニア式あるいは超音波式の酸素濃度センサ114が接続されており、酸素濃度センサ114は、酸素濃度の検出を間欠的に(10〜30分毎に)または連続的に行う。
【0022】
図1に示すように、酸素濃度センサ114には、比例開度弁115が接続されている。この比例開度弁115は、中央制御部200の指令により流量制御部202からの信号により、酸素流量設定ボタン308の設定ボタン操作に連動して開閉する。比例開度弁115には酸素流量センサ116が接続されている。この酸素流量センサ116には呼吸同調制御のための減圧空気回路基板を介してデマンド弁117が接続されており、デマンド弁117は滅菌フィルタ119を経て、酸素濃縮装置1の酸素出口9に接続されている。
この酸素出口9には、鼻カニューレ314のアダプタ313が着脱可能に接続される。アダプタ313は、チューブ315を介して鼻カニューレ314に接続されている。患者は、鼻カニューレ314を経て、例えば最大流量1L/分の流量で、約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。デマンド弁117を制御して呼吸同調制御を行なうことで、一般にIE比(吸気時間(秒)と呼気時間(秒)の比)は、1:2であることを考えると、呼吸同調制御により、患者には90%以上に濃縮された酸素が実質的に最大3L/分で供給する効果と同等となる。
【0023】
次に、図1に示す電源系統を説明する。
図1に示すAC(商用交流)電源のコネクタ430は、スイッチングレギュレータ式のACアダプタ419に電気的に接続され、ACアダプタ419は商用交流電源の交流電圧を所定の直流電圧に整流する。内蔵電池228は、例えば、主筐体2の底部に内蔵されている。外部電池227は、コネクタ431を介して着脱自在可能に設けられる。電源制御回路226は、コネクタ430,431に電気的に接続されている。
内蔵電池228および外部電池227は、繰り返し充電可能な2次電池であり、内蔵電池228は電源制御回路226からの電力供給を受けて充電できる。外部電池227については、電源制御回路226からの電力供給を受けて充電することもできるが、通常は別途準備される電池充電器を用いて繰り返し充電されることになる。
【0024】
これにより、図1の中央制御部200が電源制御回路226を制御することで、該電源制御回路226は、ACアダプタ419からの電力供給を受けて作動する第1電力供給状態と、内蔵電池228からの電力供給を受けて作動する第2電力供給状態と、外部電池227からの電力供給を受けて作動する第3電力供給状態の合計3系統の電力供給状態の内の1つの供給状態に自動切換して使用できる。内蔵電池228および外部電池227は充電時のメモリ効果が少なく再充電時にも満杯充電できるリチウムイオン、リチウム水素イオン2次電池が良いが、従来からのニッカド電池やニッケル水素電池でも良い。さらに、緊急時に備えて、どこでも入手可能な例えば単2形乾電池のボックスとして外部電池227を構成しても良い。
【0025】
図1の中央制御部200は、モータ制御部201とファンモータ制御部203に電気的に接続されている。中央制御部200は生成する酸素量に応じた最適な動作モードに切り替えるプログラムが記憶されている。モータ制御部201とファンモータ制御部203は、中央制御部200の指令により、多くの酸素生成をする場合は自動的にコンプレッサ10と送風ファン5を高速駆動し、少ない酸素生成時の場合にはコンプレッサ10と送風ファン5を低速に回転駆動する制御を行う。この中央制御部200には、所定動作プログラムを記憶したROM(読み出し専用メモ)が内蔵されるとともに、中央制御部200には、外部記憶装置210と、揮発メモリ208と、一時記憶装置とリアルタイムクロックからなる回路207が電気的に接続されている。中央制御部200は、外部コネクタ433を介して通信回線444等と接続することで記憶内容へのアクセスが可能となる。
【0026】
また、図1に示す3方向切換弁109a、109bと均等圧弁107とをオンオフ制御することで、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるように制御する制御回路(図示せず)と、流量制御部202と、酸素濃度センサ114が、中央制御部200に電気的に接続されている。流量制御部202は、比例開度弁115と、流量センサ116と、デマンド弁117を駆動制御する。その他に、図1に示す中央制御部200には、酸素流量設定ボタン308と、表示部128と、電源スイッチ306が電気的に接続されている。
【0027】
酸素流量設定ボタン308は、例えば90%程度以上に濃縮された酸素を、毎分当たり0.25L(リットル)から最大で1Lまで0.01L段階で操作するごとに、酸素流量を設定できる。呼吸同調制御により、90%以上の濃度の酸素を実質的に3L/分で患者に供給するため、好ましくは、患者が操作できる同調モード選択スイッチ(不図示)を設ける。表示部128は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置が利用されている。表示部128には、例えば運転ランプ、酸素ランプ、同調モード、充電ランプ、バッテリ残量、積算時間、酸素流量等の表示項目を表示することができる。呼吸同調制御が作動している時には、「同調モード」の表示を例えば緑色で点灯させる。
【0028】
次に、図2〜図7を参照して、図1に示すコンプレッサ10の好ましい構造例を説明する。
図2は、コンプレッサ10を正面から見た斜視図であり、図3は、図2に示すコンプレッサ10をU方向から見た斜視図である。図4は、図2のコンプレッサ10をG方向から見た斜視図である。図5は、図2のコンプレッサ10を斜め上方向から見た一部を切り欠いて内部構造を示す斜視図である。図6は、図2のコンプレッサ10の第1ヘッド部を分解して示す斜視図である。図7は、図3のコンプレッサのP−P線におけるV方向に沿った断面図である。
【0029】
図2と図3に示すコンプレッサ10は、すでに説明したように圧縮空気のみを発生させることで正圧変動吸着法(PSA)により、圧縮空気を図1に示す第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内に送り、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の吸着剤により圧縮空気中の窒素を吸着させるのに用いられる。
図2と図3に示すコンプレッサ10は、駆動用モータ11と、第1ヘッド部21と、第2ヘッド部22と、ケース部23とを有する2ヘッド仕様のコンプレッサであり、後述する工夫された構成により全体の重量が300g〜900g程度に小型・軽量化されている。駆動用モータ11は、例えば1Lクラスの電動モータであるが、例えば単相交流誘導モータであっても良いし、単相4極交流同期モータであっても良い。
【0030】
図2に示す第1ヘッド部21と第2ヘッド部22とケース部23は、軽量化のために例えば軽量な金属材料であるアルミニウムにより作られているが、金属ではなくエンジニアリングプラスチックで作ることもできる。
図2に示す第1ヘッド部21は、ケース部23の第1端部(上端部)23Aに設けられ、第2ヘッド部22は、ケース部23の第2端部(下端部)23Bに設けられている。第1ヘッド部21と第2ヘッド部22は、駆動用モータ11の1つの出力軸15により駆動されるレシプロ駆動のポンプヘッドである。第1ヘッド部21と第2ヘッド部22は、出力軸15の回転中心軸CLを中心としてほぼ上下対称形状に形成されている。
【0031】
図2に示す駆動用モータ11としては、例えば同期モータが使用されれば電源電圧が変動しても出力軸15の回転数が一定にでき、第1ヘッド部21のピストンと第2ヘッド部22のピストンを安定してV方向に沿って往復駆動できる。同期モータである駆動用モータ11は同期回転数で回転できるので、誘導モータに比べて消費電力を低減できる。
図1に示す第1ヘッド部21と第2ヘッド部22は、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b側へ圧縮空気を安定して供給でき、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bは、90%以上に濃縮した酸素を設定された酸素流量で安定して供給できる。
【0032】
まず、図2〜図5を参照して、コンプレッサ10のケース部23の構造を説明する。
図2と図3に示すように、ケース部23は、クランクケースとも言い、V方向に沿って配置されている。このV方向は回転中心軸CLと直交する方向である。図2と図3に示すように、ケース部23は、本体部24と、第1端部23Aと、第2端部23Bを有している。第1端部23Aは、第1ヘッド部21を取り付ける部分であり、第2端部23Bは、第2ヘッド部22を取り付ける部分である。
【0033】
図2に示すように、ケース部23の厚みWは、第1端部23Aと第2端部23Bの厚みW1に比べてかなり小さく設定されている。また、図3に示すように、ケース部23の別の横幅W2は、第1端部23Aと第2端部23Bの別の横幅W3に比べてやや小さく設定されている。そして、図2に示すケース部23の厚みWは、図3に示すケース部23の別の横幅W2に比べてかなり小さく設定されている。これにより、ケース部23は、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22に比べて、小型化および薄型化を図っている。
【0034】
図2と図3に示すように、ケース部23の第1側部31には、駆動用モータ11が複数本のボルト11Mにより交換可能に固定されている。図4に示すように、ケース部23の第2側部32には、円形の開口部33が形成されている。開口部33の中心、すなわち回転中心軸CLに沿って、駆動用モータ11の出力軸15が配置されている。
図3と図4における破線で示すように、ケース部23は、第1連通通路41と、第2連通通路42を有している。第1連通通路41と第2連通通路42はV方向に平行に形成されている。第1連通通路41は、ケース部23の第1側部23Rに形成されている。第1連通通路41は、原料空気を第1ヘッド部21と第2ヘッド部22に供給するために設けられている。
【0035】
一方、図3と図4に示す第2連通通路42は、ケース部23の第2側部23Tに形成されている。第2連通通路42は、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22において原料空気が圧縮されることで生成された圧縮空気を圧縮空気の排出口37を通じて、ケース部23の外部に排出するために設けられている。なお、別の開口38は図5に示すようにキャップ38Pにより閉鎖されている。
【0036】
次に、図5を参照する。図5は、コンプレッサ10の一部の内部構造を示している。
第1ヘッド部21は、上側のヘッドカバー51と第1ピストン61を有している。ヘッドカバー51は、ケース部23の第1端部23Aに対して、複数本のネジ51Nを用いて均等な力で固定されている。第1ピストン61はコンロッド61Cに取り付けられている。コンロッド61Cは出力軸15に軸受け部材を用いて取り付けられている。
図5に示すように、複数本のネジ51Nがヘッドカバー51等を第1端部23Aに対して均等な締結力を与えるように固定されているので、空気が第1ヘッド部21から外に漏れるのを防ぐことができる。しかも、図5に示すように、ヘッドカバー51には、複数個所の放熱用の凹部51Sが形成されているので、圧縮空気を発生させる際の熱を放熱する効果を向上できる。すなわち、第1ヘッド部21内で第1ピストン61が下死点から上死点までV方向に沿って直線移動して原料空気を圧縮して圧縮空気を生成する際には熱が発生するが、この発生する熱は、放熱用の凹部51Sを設けて放熱面積を増やすことで、外部により効率良く放出することができる。
【0037】
同様にして、図5に示す第2ヘッド部22は、下側のヘッドカバー52と第2ピストン62を有している。下側のヘッドカバー52は上側のヘッドカバー52と同じ形状を有している。下側のヘッドカバー52は、ケース部23の第2端部23Bに対して、複数本のネジ52Nを用いて均等な力で固定されている。第2ピストン62はコンロッド62Cに取り付けられている。コンロッド62Cは出力軸15に軸受け部材を用いて取り付けられている。なお、第1ヘッド部21のヘッドカバー51と第2ヘッド部22のヘッドカバー52は、図示例では、菱形形状を有している。
【0038】
図5に示すように、複数本のネジ52Nがヘッドカバー52等を第2端部23Bに対して均等な締結力を与えるように固定されているので、空気が第2ヘッド部22から外に漏れるのを防ぐことができる。しかも、ヘッドカバー52にも、複数個所の放熱用の凹部(図示を省略)が形成されているので、圧縮空気を発生させる際の熱を放熱する効果を向上できる。すなわち、第2ヘッド部22内で第2ピストン62が下死点から上死点までV方向に沿って直線移動して原料空気を圧縮して圧縮空気を生成する際には熱が発生するが、この発生する熱は放熱用の凹部を設けて放熱面積を増やすことで、外部により効率良く放出することができる。
【0039】
次に、図6と図7を参照して、第1ヘッド部21の構造例を説明する。
図6は、第1ヘッド部21を示す分解斜視図である。図7は、図3のコンプレッサのP−P線におけるV方向に沿った断面図である。ただし、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22は、上下位置関係が反対であるだけで積層構造は同じである。そこで、第1ヘッド部21の構造を代表して説明する。
【0040】
図6と図7には、第1ヘッド部21のヘッドカバー51と、上下のガスケット191,192と、上方部材193と、リード弁部材194と、下方部材195を示しており、これらの部材は、ヘッドアセンブリを構成している。ヘッドカバー51は、ケース部23の第1端部23Aに対して、ガスケット191,192、上方部材193、弁部材としてのリード弁部材194、下方部材195を、図示した順に挟み込んだ状態で、複数本のボルト51Nにより確実に均等に固定することができる。ガスケット191,192は、原料空気を圧縮する際に外部に漏れないようにするために設ける。ガスケット191は開口部199を有し、ガスケット192は円形の開口部199Bを有している。上方部材193は開口部193A、193Bを有し、下方部材195は開口部195A、195Bを有している。
【0041】
図6に示すリード弁部材194は、対向した2つのリード弁194A,194Bを有している。リード弁部材194は弁部材の一例であり、リード弁194Aは第1弁の一例であり、リード弁194Bは第2弁の一例である。
リード弁部材194の材質は、従来用いられているバネ系のステンレス鋼のような重く剛性の強い金属板ではなく、ポリエステルフィルムのような、金属よりも軽く、強靭性、120℃までの耐熱性、気体遮蔽性に優れた材料である熱可塑性樹脂材料より作られていて、厚さは、0.08〜0.12mm、好ましくは、0.1mm、重さは0.3〜0.5g、好ましくは0.45gである。ポリエステルフィルムとしては、例えば東レ株式会社製のポリエステルフィルム(ルミラー:登録商標)を用いることができる。厚さが、0.08〜0.12mmの場合、適度な撓みにより穴に馴染んでシール性が格段に優れる。厚さが、0.12mmを越えると撓みにくくなるので穴に馴染むことが難しくなり、0.08mmより薄いと撓みやすくなりいずれもシール性能が低下する。リード弁部材194の熱可塑性樹脂材料として、上述のポリエステルの他に、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルフィド,ポリエーテルエーテルケトン,ポリエーテルサルポン,ポリアミド,ポリイミド等エンジニアリングプラスチックを用いることができる。
【0042】
図6に示すように、実線の矢印で示す原料空気70は、第1連通通路41を通り、ガスケット192の穴192H、下方部材195の穴195H、リード弁部材194の穴194H、上方部材193の穴193H、そしてガスケット191の開口部199を通じ、さらに上方部材193の開口部193A、リード弁部材194のリード弁194A、下方部材195の開口部195A、ガスケット192の開口部199Bを通じて第1ピストン61に供給されるようになっている。
このように、原料空気70が、上方部材193の開口部193A、リード弁部材194のリード弁194A、下方部材195の開口部195A、ガスケット192の開口部199Bを通じて第1ピストン61に供給される場合には、図8に示すように、リード弁部材194のリード弁194Aが実線から破線で示すように下向きに弾性変形して、上方部材193の開口部193Aを下方部材195の開口部195Aとの間で開閉動作を行う。実線で示す状態のリード弁194Aは開口部193Aを閉じており、破線で示す状態のリード弁194Aは開口部193Aを開けている。
【0043】
一方、図6において、第1ピストン61が下死点から上死点に移動して原料空気70が圧縮されると、圧縮空気71が生成される。破線の矢印で示す圧縮空気71は、ガスケット192の開口部199B、下方部材195の開口部195B、リード弁部材194のリード弁194B、上方部材193の開口部193B、そしてガスケット191の開口部199を通じ、さらに上方部材193の穴193L、リード弁部材194の穴194L、下方部材195の穴195L、ガスケット192の穴192Lを通じて第2連通通路42を経て、排出口37からケース部23の外部に排出できるようになっている。
このように、圧縮空気71が、ガスケット192の開口部199B、下方部材195の開口部195B、リード弁部材194のリード弁194B、上方部材193の開口部193Bを通じて排出される場合には、図8に示すように、リード弁部材194のリード弁194Bが実線から破線で示すように上向きに弾性変形して、下方部材195の開口部195Bと上方部材193の開口部193Bとの開閉動作を行う。実線で示す状態のリード弁193Bは開口部195Bを閉じており、破線で示す状態のリード弁194Aは開口部195Bを開けている。
【0044】
図9は、リード弁部材194のリード弁194Aとリード弁194Bが、上方部材193の開口部193Aと下方部材195の開口部195Bをそれぞれ開閉する様子を示している。図9(A)に示すように、リード弁194Aとリード弁194Bが、上方部材193の開口部193Aと下方部材195の開口部195Bをそれぞれ開閉する動作を繰り返すと、リード弁194Aとリード弁194Bの形状は、当初は平坦面を有している。しかし、図9(B)に示すように、リード弁194Aとリード弁194Bには、樹脂の特性により相手方の上方部材193の断面円形の開口部193Aと下方部材195の断面円形の開口部195Bの形状に馴染んで撓むことでほぼ半球状の凹部199Pが形成される。これにより、第1弁と第2弁としてのリード弁194Aとリード弁194Bは、それぞれ対応する開口部193A、開口部195Bに対して密着でき、気体遮蔽性が向上する。
また、図9(C)に示す本発明の別の実施形態では、第1弁であるリード弁194Aには、リード弁194Aに対応する原料空気の通過する断面円形の開口部193Aの形状に応じたほぼ半球状の凹部299を予め形成しておき、第2弁であるリード弁194Bには、リード弁194Bに対応する圧縮空気の通過する断面円形の開口部195Bの形状に応じたほぼ半球状の凹部299を予め形成しておくようにしても良い。これにより、予めそれぞれ凹部299を形成しているので、リード弁194Aとリード弁194Bはそれぞれ対応する開口部193A、195Bに対して密着でき、気体遮蔽性が向上する。
【0045】
リード弁部材194のリード弁194Aとリード弁194Bは、金属よりも軽く、強靭性、耐熱性、気体遮蔽性に優れた材料であるプラスチック材料により作られているので、弁質量の大幅な低減と、高周波金属音の発生の低減、そして図8に示す相手方の上方部材193の開口部193Aと下方部材195の開口部195Bのシール性の向上を図ることができる。プラスチック製のリード弁部材194のリード弁194Aとリード弁194Bを採用することで、弁質量の大幅な低減ができ、弁の開き始めの圧力を小さくでき、クラッキング圧の低下、原料空気と圧縮空気の流量増加、そしてモータが消費する源力の低減が図れる。プラスチック製のリード弁部材194のリード弁194Aとリード弁194Bを採用することで、高周波金属音の発生を低減でき、笛現象の低減を図り、カン高い金属音ではなく柔らかい音質を実現できる。
従来の金属製のリード弁部材を用いる場合に比べて、プラスチック製のリード弁部材を用いると、原料空気の取り込み時の騒音と圧縮空気の生成排出時の騒音は、例えば6dB低減(騒音エネルギーに換算して1/2に低減)できた。
上述した第1ヘッド部21における原料空気70と圧縮空気71の経路は、第2ヘッド部22においても同様である。第1ヘッド部21におけるリード弁部材194のリード弁194Aとリード弁194Bの材質、形状、動作は、第2ヘッド部22においても同様である。
【0046】
次に、図7を参照して説明する。図7は、図3に示すコンプレッサ10のP−P線におけるV方向に沿った断面構造を示す断面図である。ただし、図7では、駆動用モータ11については断面を表さずに、外観形状を示している。
図7において、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22は、回転中心軸CLを中心としてほぼ上下対称構造を有している、第1ヘッド部21の第1ピストン61と第2ヘッド部22の第2ピストン62は、V方向に沿って反対方向に往復動する水平対向型ピストンである。
【0047】
図7の例では、第1ヘッド部21が第1シリンダ61S内に原料空気を吸入する吸入工程を行う際には、第2ヘッド部22も同時に第2シリンダ62S内に原料空気を吸入する吸入工程を行い、第1ヘッド部21が吸入した空気を圧縮して第1シリンダ61S内に圧縮空気を発生する圧縮工程を行う際には、第2ヘッド部22も同時に吸入した空気を圧縮して第2シリンダ62S内に圧縮空気を発生する圧縮工程を行う。すなわち、第1ピストン61が第1シリンダ61S内で下死点に位置すると、第2ピストン62も第2シリンダ62S内で下死点に位置し、第1ピストン61が第1シリンダ61S内で上死点に位置すると、第2ピストン62も第2シリンダ62S内で上死点に位置する。
【0048】
このことから、第1ピストン61と第2ピストン62は、互いに反対方向に同期して等しいストローク長1mm〜10mm程度で往復移動するようになっている。ストローク長が1mmより短いと圧縮される原料空気の量が小さくなり、ストローク長が10mmより長いとコンプレッサ10が長くなる。このように、図7に例示するように第1ピストン61と第2ピストン62が上死点に位置するとシリンダ61S、62S内の原料空気が圧縮される。逆に、第1ピストン61と第2ピストン62が下死点に位置すると、シリンダ61S、62S内に原料空気が吸入される状態になる。なお、シリンダ61Sの内径、シリンダ62Sの内径は等しく、20mm〜60mm程度に形成されている。シリンダ61Sの内径、シリンダ62Sの内径が20mmより小さいと圧縮される原料空気の量が小さくなり、シリンダ61Sの内径、シリンダ62Sの内径が20mmより大きいとコンプレッサ10の小型・軽量化が図りづらくなる。
【0049】
次に、図7と図5と図3を参照して、駆動用モータ11と、この駆動用モータ11の出力軸15の構造について説明する。
図3に示すように、駆動用モータ11は、ケース部23の第1側面部31側にボルト11Mにより固定されている。図7に示すように、駆動用モータ11は、回転中心軸CLに沿って薄く形成したほぼ円柱状のモータである。駆動用モータ11は、好ましくは第1ヘッド部21と第2ヘッド部22の間の空間11S内に収容されている。すなわち、駆動用モータ11は、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22からは回転中心軸CL方向に突出しないように空間11S内に収まるように配置されている。言いかえれば、駆動用モータ11は、好ましくはケース部23の第1側面部31において第1ヘッド部21の外形部分と第2ヘッド部22の外形部分とで形成される領域内に収まっている。これにより、駆動用モータ11がコンプレッサ10の外形部分から外側に突出することがなく納まっているので、コンプレッサ10の小型・軽量化と薄型化が図れる。
【0050】
図7に示すように、出力軸15は、コンロッド61Cの軸受け部61Nとコンロッド62Cの軸受け部62Nを通って、ケース部23の第2側面部32側において回転中心軸CLに沿って開口部33から突出している。
図5と図7に示すように、出力軸保持部材91は、円板部分91Cと、円筒型の軸受け部材91Dを有している。円板部分91Cと円筒型の軸受け部材91Dは、回転中心軸CLを中心として一体的に形成されている。円板部分91Cは、ケース部23の開口部33を塞ぐようにしてケース部23の第2側面部32に対して固定されている。この軸受け部材91D内には、出力軸15が回転可能に支持されている。
【0051】
円板部分91Cには、回転中心軸CLを中心として、空気取り入れ用の溝部91Eが形成されている。ケースともいう覆い部材92が、ネジ92Nを用いて回転中心軸CLを中心として軸受け部材91Dに対して着脱可能に固定されている。覆い部材92は、リング状のフィルタ95を、出力軸保持部材91の円板部分91Cに対して固定している。すなわち、リング状のフィルタ95の一端部は、空気取り入れ用の溝部91E内に当接しており、リング状のフィルタ95の他端部は、覆い部材92の内面に当接されている。リング状のフィルタ95は、軸受け部材91Dの外側において、回転中心軸CLを中心として、同心状に配置されている。リング状のフィルタ95は、ケース部23内に導入される原料空気の不純物を除去することができる多孔質の材料や不織布等、不純物が除去できる材質であれば良く、特に材質は限定されない。
【0052】
図10(A)は、出力軸保持部材91を示す斜視図であり、図10(B)は、出力軸保持部材91の円板部分91Cの形状を示す正面図である。
図5、図7及び図10に示すように、出力軸保持部材91の円板部分91Cと円筒型の軸受け部材91Dのつなぎ部分には、複数個の空気取り入れ穴99が相互に同じ間隔をおいて、回転中心軸CLを中心とする円周状に配列されている。複数個の空気取り入れ穴99は、原料空気取り込み部400を構成している。図示例では、16個の空気取り入れ穴99が、回転中心軸CLを中心とする同一円周に沿って等間隔で形成されている。
【0053】
図11は、原料空気取り込み部400の各空気取り入れ穴99の断面形状例を示している。各空気取り入れ穴99は、出力軸保持部材91の円板部分91Cを、回転中心軸CLと並行方向に沿って貫通して形成されており、第1穴部99Aと第2穴部99Bとテーパ部99Tを有している。第1穴部99Aの内径S1は第2穴部99Bの内径S2に比べて大きく設定されている。テーパ部99Tは、第1穴部99Aと第2穴部99Bの間に形成されており、テーパ部99Tが形成されていることにより、第1穴部99Aの内径S1と第2穴部99Bの内径S2に差を設けても、矢印方向R3、R4に沿って原料空気を円滑に取り込むことができる。この例では、第1穴部99Aの内径S1は1.2mmであり、第2穴部99Bの内径S2は、0.5mmである。第1穴部99Aが、円板部分91Cの内面91G側に形成され、第2穴部99Bが、円板部分91Cの外面91H側に形成されている。
【0054】
このように、図10に示すように、複数の空気取り入れ穴99が、回転中心軸CLを中心として、円周に沿って配列され、図11の空気取り入れ穴99の断面形状を採用することで、原料空気を取り入れるための有効開口断面積を確保しながら、複数の原料空気取り入れ穴により原料空気を分散して取り込むようにすることで、原料空気の取り入れ時の低騒音化を実現している。
【0055】
図7に示すように、原料空気は、矢印R1に沿って覆い部材92と円板部分91Cの間に形成されている溝部91Eを通り、矢印R2に沿って溝部91Eからフィルタ95を通過して塵埃等が除去され、その後矢印R3と矢印R4に沿うようにし、コンプレッサ10の空気取り入れ穴99までの空気の導入経路(矢印R1,矢印R2,矢印R3)を屈曲させ、空気の導入経路は、空気取り入れ穴99の内径に比べて非常に大きくさせることと併せて、複数の空気取り入れ穴99を通過することで原料空気をケース部23内に取り込むようにすることで、従来のコンプレッサに設けられた大きな1つの円形状の空気取り入れ口に比べて、原料空気の取り入れ時の騒音は、例えば4dB低減できる。
図7に示すように、覆い部材92と円板部分91Cは、好ましくは第1ヘッド部21と第2ヘッド部22の間の空間11P内に収容されている。出力軸15の原料空気取り込み部90は、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22から回転中心軸CL方向に突出しないように空間11P内に収まるように配置され、ケース部23の第2側面部32において第1ヘッド部21の外形部分と第2ヘッド部22の外形部分とで形成される領域内に収まっている。これにより、コンプレッサ10の小型化と薄型化が図れる。しかも、駆動用モータと原料空気取り込み部400は、ケース部の第1側面部と反対側の第2側面部側にそれぞれ振り分けて配置できるので、コンプレッサの小型・軽量化が図れる。
【0056】
次に、図12を参照して、コンプレッサ10の第1ヘッド部21と第2ヘッド部22における原料空気の導入経路59と、原料空気が圧縮された後の圧縮空気の排出経路79の例を説明する。図12では、コンプレッサ10の外形形状を2点鎖線で示し、このコンプレッサ10における原料空気の導入経路59を実線で示し、圧縮空気の排出経路79を破線で示している。
図5において実線で示す原料空気の導入経路59は、空気取り入れ用の溝部91Eと複数個の空気取り入れ穴99に通じる第1連通通路41を有する。第1連通通路41は、上側の第1シリンダ61S内と下側の第2シリンダ62S内に通じている。これにより、原料空気70は、実線で示す原料空気の導入経路59を経て、上側の第1シリンダ61S内と下側の第2シリンダ62S内に供給できるようになっている。
一方、原料空気が圧縮された後の圧縮空気の排出経路79は、第2連通通路42と、排出口37を有しており、配管6を介して第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b側に接続されている。これにより、上側の第1シリンダ61S内と下側の第2シリンダ62S内で生成された圧縮空気80は、第2連通通路42と配管6を経て第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b側に供給できるようになっている。
【0057】
次に、上述したようなコンプレッサ10を備える酸素濃縮装置1の動作例を説明する。
図1の中央制御部200がモータ制御部201に指令して、モータ制御部201がコンプレッサ10の駆動用モータ11を始動して、図7と図9に示す駆動用モータ11の出力軸15が回転中心軸CLを中心として連続回転をする。このため、図7に示す第1ヘッド部21の第1ピストン61と第2ヘッド部22の第2ピストン62は、安定して反対方向に往復移動する。
【0058】
図7において、第1ピストン61が第1シリンダ61S内で下死点に位置すると同時に第2ピストン62も第2シリンダ62S内で下死点に位置し、第1ピストン61がシリンダ61S内で上死点に位置すると同時に第2ピストン62もシリンダ62S内で上死点に位置する。図7に示すように第1ピストン61と第2ピストン623が上死点に位置するとシリンダ61Sと第2シリンダ62S内の原料空気が圧縮される。逆に、第1ピストン61と第2ピストン623が下死点に位置すると、第1シリンダ61Sと第2シリンダ62S内に原料空気が吸入される状態になる。すなわち、第1ヘッド部21の第1ピストン61と第2ピストン62は、同時に空気の吸入工程を行った後に、同時に圧縮空気を圧縮して排出する圧縮工程を行い、これらの空気の吸入工程と圧縮工程を繰り返す。
【0059】
このようにコンプレッサ10の第1ヘッド部21と第2ヘッド部22が動作すると、図9に示すように、原料空気70は、実線で示す原料空気の導入経路59の空気取り入れ用の溝部91Eと複数個の空気取り入れ穴99と、第1連通通路41を経て、上側の第1シリンダ61Sと下側の第2シリンダ62S内に吸入できる。
この原料空気70の吸入の際には、図7に示す別のフィルタ95により取り除くことができる。しかも、フィルタ95に不純物が蓄積される前に、覆い部材92を取り外すことで、フィルタ95の清掃あるいはフィルタ95の交換を容易にすることができる。このため、フィルタ95のメンテナンス性を向上できる。
【0060】
しかも、覆い部材92が、空気取り入れ用の溝部91Eと複数個の空気取り入れ穴99の周囲を覆っている。このため、この覆い部材92は、コンプレッサの駆動用モータの出力軸が回転することでピストンを動作させて原料空気を吸入して圧縮空気を生成する際に、ケース部23の内部から騒音が直接外部に漏れてしまうことを防ぐことができる。このため、低騒音でピストン側に確実に原料空気を吸入して圧縮空気を生成できる。覆い部材92は、原料空気を取り込む際の騒音と駆動用モータ11自体の騒音が外部に漏れるのを防止する騒音漏れ防止部材としての機能を果たすことができる。このため、コンプレッサ10から騒音が直接外側に漏れないようにしながら、原料空気はさらに静かにケース部23内に取り込むことができる。
一方、図9において、上側の第1シリンダ61S内と下側の第2シリンダ62S内で生成された圧縮空気80は、第2連通通路42と、排出口37と、配管6を介して、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b側に供給できる。
【0061】
なお、図1のコンプレッサ10が原料空気を圧縮して圧縮空気を発生する際には熱が発生するので、コンプレッサ10は図1に示す送風ファン5により冷却される。このため、圧縮空気は、配管6と3方向切換弁109a、109bを経て第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の吸着剤を通過して窒素を吸着することにより、酸素が分離して生成される。製品タンク111は、分離して生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵することができる。
そして、図1の酸素濃度センサ114は、製品タンク111からの酸素濃度の検出を行う。比例開度弁115は、酸素流量設定ボタン308に連動して開閉する。そして、酸素は、滅菌フィルタ119と酸素濃縮装置1の酸素出口7を経て、鼻カニューレ314に供給される。これにより、患者は、鼻カニューレ314を経て例えば最大流量1L/分の流量で、約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。
【0062】
次に、図13から図15を参照して、本発明の別の実施形態を説明する。
図11に示す本発明の実施形態では、空気取り入れ穴99の第1穴部99Aの内径は第2穴部99Bの内径に比べて大きく設定されている。
これに対して、図13に示す本発明の実施形態では、空気取り入れ穴99の第1穴部99Cの内径は第2穴部99Dの内径に比べて小さく設定しても良い。また、図14に示す本発明の実施形態では、空気取り入れ穴99は、軸方向に沿って同じ内径を有する穴としても良い。
あるいは、図15に示す本発明の実施形態では、空気取り入れ穴99は、回転中心軸CLに対して傾斜角度θの角度で傾斜して形成しても良いが、空気取り入れ穴99を傾斜して形成することは、図11と図14の実施形態にも適用できる。
本発明の各実施形態では、空気取り入れ穴99の数は、16個に限らず任意の数に設定することができる。また、空気取り入れ穴99は1つの円周に沿って形成されているが、回転中心軸CLを中心として2つ以上の円周に沿って形成しても良い。
【0063】
従来の酸素濃縮装置では、コンプレッサにおける騒音は、主として外部から原料空気を導入する際にコンプレッサのケース部にある大きな吸気口において生じる吸気音と、原料空気を導入して圧縮空気を排気する際に弁部材弁が開閉動作により生じる金属動作音である。このため、外部から原料空気を導入する際の吸気音を低減するためには、酸素濃縮装置の主筐体の吸気開口部からコンプレッサを遠い位置に配置したり、主筐体の吸気開口部に吸気フィルタを設ける必要があるので、部品点数が多くなり、酸素濃縮装置の本体ケースの大型化が避けられず、現実的な騒音の根本的な対策を取ることが困難である。また、原料空気を導入して圧縮空気を排気する際に弁部材が生じる弁の金属動作音を低減するためには、コンプレッサを防音用のボックス内に閉じ込めたり、吸音材や制振材により取り囲む必要があるが、このようにするとコンプレッサが発生する熱がこもりやすくしかも酸素濃縮装置の本体ケースの大型化が避けられない。
【0064】
これに対して、上述した本発明の実施形態では、複数の原料空気取り入れ穴を有するコンプレッサ10を用いることで、原料空気を吸引する際に原料空気の吸引音を低減してコンプレッサ10の低騒音化が図れ、追加的な部品が不要であり部品点数の低減が図れ、コンプレッサ10と酸素濃縮装置1の小型化と重量の低減が図れる。
また、弁部材の材質をプラスチック材にすることで、原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に弁部材が発生する音を低減してコンプレッサ10の低騒音化が図れ、追加的な部品が不要であり部品点数の低減が図れ、コンプレッサ10と酸素濃縮装置1の小型化と重量の低減が図れる。
【0065】
本発明の実施形態は、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサであって、コンプレッサは、ケース部と、ケース部に設けられて出力軸を有する駆動用モータと、駆動用モータの出力軸の回転により動作し、原料空気を吸入し圧縮して圧縮空気を発生するヘッド部と、ヘッド部に配置されて、原料空気をヘッド部内に取り込む際に開閉する第1弁と、ヘッド部内で圧縮された圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁を備え、第1弁と第2弁は、プラスチックにより作られている。これにより、コンプレッサのプラスチック製の第1弁と第2弁は、金属製の弁に比べて原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に弁が発生する騒音を低減することができる。
【0066】
また、第1弁と第2弁は、1つの平坦な弁部材に形成されていることを特徴とする。これにより、第1弁と第2弁が1つの平坦な弁部材に形成されているので、部品点数の増加を防ぐことができる。
【0067】
第1弁には、第1弁に対応する原料空気の通過する開口部の形状に応じた凹部が形成され、第2弁には、第2弁に対応する圧縮空気の通過する開口部の形状に応じた凹部が形成されている。これにより、第1弁と第2弁にはそれぞれ凹部が形成されているので、第1弁と第2弁はそれぞれ対応する開口部に対して密着でき、気体遮蔽性が向上する。
【0068】
ヘッド部は、ケース部の第1端部側に設けられた第1ヘッド部と、ケース部の第2端部側に設けられた第2ヘッド部を備え、第1弁と第2弁は、第1ヘッド部と第2ヘッド部にそれぞれ配置されている。これにより、第1ヘッド部と第2ヘッド部のいずれにおいても、原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に生じる弁の低騒音化を図ることができる。
【0069】
本発明の実施形態の酸素濃縮装置は、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサと、該圧縮空気から窒素を吸着する吸着剤を収容する吸着部材とを備える酸素濃縮装置であって、コンプレッサは、ケース部と、ケース部に設けられて出力軸を有する駆動用モータと、駆動用モータの出力軸の回転により動作し、原料空気を吸入し圧縮して圧縮空気を発生するヘッド部と、ヘッド部に配置されて、原料空気をヘッド内に取り込む際に開閉する第1弁と、ヘッド内で圧縮された圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁を備え、第1弁と第2弁は、プラスチックにより作られている。これにより、酸素濃縮装置は、コンプレッサのプラスチック製の第1弁と第2弁は、金属製の弁に比べて原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に弁が発生する騒音を低減することができる。
【0070】
圧縮空気のみによる正圧変動吸着法(PSA)は、圧縮空気のみを吸着筒体内に送り窒素を吸着させるので、圧縮空気と減圧空気による正負圧変動吸着法(VPSA)に比べて、コンプレッサの小型化と構造の簡単化が図れるメリットがある。
駆動用モータ11として同期モータが好ましくは使用されれば、電源電圧が変動しても、出力軸15の回転数が一定にでき、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22を安定した回転数で駆動できる。
以上説明したように、本実施形態では、特に、小型化,軽量化した可搬型酸素濃縮装置において、90%以上に濃縮された酸素を連続で1L/分まで供給が可能となり、併せて消費電力の低減を図ることができる。また、呼吸同調機能を動作させれば、90%以上に濃縮された酸素を実質的に3L/分まで供給可能となる。
【0071】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
図7において、駆動用モータ11の外面の位置は、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22の外形部分に対して、回転中心軸CL方向について同一であっても良いし、駆動用モータ11の外面の位置が第1ヘッド部21と第2ヘッド部22の外形部分よりも低い位置であっても良い。
例えば、酸素濃縮装置は、図示した携帯型の酸素濃縮装置に限らず、据え置き型の酸素濃縮装置であっても良い。図に示すコンプレッサ10の駆動用モータは、例えば1Lクラス(90%以上に濃縮された酸素を連続して1L/分供給できるという意味)の同期モータであるが、これに限らず1Lクラスを超える能力を有するモータ、例えば3Lクラス(90%以上に濃縮された酸素を連続して3L/分供給できるという意味)、5Lクラス(90%以上に濃縮された酸素を連続して5L/分供給できるという意味)等に適するモータを用いても良い。駆動用モータの種類は、各種のモータを採用でき、駆動用モータは単相交流誘導モータであっても良い。
第1ヘッド部21と第2ヘッド部22は、それぞれピストンが反対方向に往復移動する水平対向配置になっているが、これに限らず2つのピストンが例えばV字型に配置されていても良い。
図10に示すように、複数の空気取り入れ穴99が回転中心軸CLを中心として、円周に沿って配列されているが、これに限らず正方形あるいは長方形、その他の形状に沿って間隔をおいて配置しても良い。
【符号の説明】
【0072】
1・・・酸素濃縮装置、2・・・主筐体(本体カバー)、2c・・・吸気口、3・・・フィルタ、4・・・配管、6・・・配管、10・・・コンプレッサ、11・・・駆動用モータ、15・・・出力軸、21・・・第1ヘッド部、22・・・第2ヘッド部、23・・・ケース部、23A・・・ケース部の第1端部(上端部)、23B・・・ケース部の第2端部(下端部)、59・・・原料空気の導入経路、70…原料空気、71・・・圧縮空気、79・・・圧縮空気の排出経路、90・・・出力軸の原料空気取り込み部、90S・・・スクリュー、91・・・出力軸保持部材、91D・・・円筒型の軸受け部材、91E・・・空気取り入れ用の溝部、92・・・覆い部材、93・・・覆いケース、94・・・カバー部材、95・・・フィルタ、99・・・複数個の空気取り入れ穴、108a・・・第1吸着筒体(吸着部材)、108b・・・第2吸着筒体(吸着部材)、194・・・リード弁部材(弁部材の一例)、194A・・・リード弁(第1弁体の一例)、194B・・・リード弁(第2弁体の一例)、400…複数個の空気取り入れ穴で構成される原料空気取り込み部
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサおよびコンプレッサを備える酸素濃縮装置に関し、特に取り込んだ原料空気を圧縮して、この圧縮空気を吸着剤に供給することで酸素の供給が可能な医療用のコンプレッサおよび酸素濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素濃縮装置は、原料空気中の酸素を透過させて窒素を選択的に吸着する吸着剤として、例えば、ゼオライト等を用いることで酸素を生成する圧力スイング吸着法を利用することにより、酸素を得るようにされている。
この方式の酸素濃縮装置の本体カバーには、原料空気を取り込むための空気取入口が設けられており、この空気取入口から内部に取り込んだ原料空気を圧縮部であるコンプレッサで圧縮して圧縮空気を発生して、吸着剤を内蔵した吸着筒に対してこの圧縮空気を供給することで該吸着剤に窒素を吸着させ酸素を生成する。そして、生成された酸素はタンクに貯めておき、減圧弁や流量設定器を介してタンクから所定流量の酸素を供給可能な状態にすることで、患者は鼻カニューラ等の器具を用いて酸素吸入ができる。
【0003】
この酸素濃縮装置はAC電源(商用交流電源)のが利用できる場所に設置しておけば、例えば肺機能が低下した在宅酸素療法患者が、就寝中でも安全に酸素を吸うことができるようになり安眠できる。
特に、在宅酸素療法患者が就寝中も使用する場合には、酸素濃縮装置は騒音発生が極めて少ないことが好ましい。例えば、酸素濃縮装置の騒音は、室内の空調設備から発生する騒音レベル以下となることが望ましい。
【0004】
また、慢性気管支炎等の呼吸器疾患の患者の治療法として有効となる長期酸素吸入療法に使用される酸素濃縮装置は、一般的には可搬型ではなく、患者が外出先に持ち出せるようには構成されていない。
患者がやむなく外出する場合には、例えば、所定の収容容器に酸素を充填した酸素ボンベを搭載したカートを押しながら、その酸素ボンベから濃縮酸素を吸うようにしている。この酸素ボンベに対する酸素の充填は専用設備にて行なわなければならない。そこで、可搬型や移動型の酸素濃縮装置が提案されており、可搬型や移動型の酸素濃縮装置は、原料空気を取り込んで圧縮空気を発生する圧縮部と減圧空気を発生する減圧部とを備えて電池駆動可能なコンプレッサを備えている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−45424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の酸素濃縮装置のコンプレッサでは、ピストンのクランク室には原料空気を吸い込むための吸気孔を有している。コンプレッサのモータ出力軸が回転することでピストンを動作させて、外気である原料空気を吸気孔から直接ピストン側に吸入して圧縮空気を生成する。このコンプレッサは、原料空気の吸引のためにバネ系ステンレス鋼の弁を内蔵し、しかも圧縮空気の排気のためにバネ系ステンレス鋼の弁を内蔵している。しかし、コンプレッサを動作させて本体カバーの空気取入口から取り入れた原料空気を、吸気孔を通してピストンのクランク室に吸気して圧縮空気を排気する際に、これらの吸気側の弁と排気側の弁は、高周波金属音(笛現象とも呼ぶ)、空気流体音、そして弁の衝撃音を発生して大きな騒音となる。
【0007】
この騒音は、本体カバーの空気取入口を通じて、本体カバーの外部に漏れたり、本体カバーを通じて透過音として外部に透過したり、あるいは本体カバーが共振を起こすおそれもあるため、低騒音でピストン側に確実に原料空気を吸入して圧縮空気を生成できることが望まれている。
そこで、本発明は、原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に弁が発生する騒音を低減することができるコンプレッサおよび酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンプレッサは、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサであって、前記コンプレッサは、ケース部と、前記ケース部に設けられて出力軸を有する駆動用モータと、前記駆動用モータの前記出力軸の回転により動作し、前記原料空気を吸入し圧縮して前記圧縮空気を発生するヘッド部と、前記ヘッド部に配置されて、前記原料空気を前記ヘッド部内に取り込む際に開閉する第1弁と、前記ヘッド部内で圧縮された前記圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁を備え、前記第1弁と前記第2弁は、プラスチックにより作られていることを特徴とする。
上記構成によれば、コンプレッサのプラスチック製の第1弁と第2弁は、金属製の弁に比べて原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に弁が発生する騒音を低減することができる。
【0009】
好ましくは、前記第1弁と前記第2弁は、1つの平坦な弁部材に形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、第1弁と第2弁が1つの平坦な弁部材に形成されているので、部品点数の増加を防ぐことができる。
【0010】
好ましくは、前記第1弁には、前記第1弁に対応する前記原料空気の通過する開口部の形状に応じた凹部が形成され、前記第2弁には、前記第2弁に対応する前記圧縮空気の通過する開口部の形状に応じた凹部が形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、第1弁と第2弁にはそれぞれ凹部が形成されているので、第1弁と第2弁はそれぞれ対応する開口部に対して密着でき、気体遮蔽性が向上する。
【0011】
好ましくは、前記ヘッド部は、前記ケース部の第1端部側に設けられた第1ヘッド部と、前記ケース部の第2端部側に設けられた第2ヘッド部を備え、前記第1弁と前記第2弁は、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、第1ヘッド部と第2ヘッド部のいずれにおいても、原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に生じる弁の低騒音化を図ることができる。
【0012】
本発明の酸素濃縮装置は、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサと、該圧縮空気から窒素を吸着する吸着剤を収容する吸着部材とを備える酸素濃縮装置であって、前記コンプレッサは、ケース部と、前記ケース部に設けられて出力軸を有する駆動用モータと、前記駆動用モータの前記出力軸の回転により動作し、前記原料空気を吸入し圧縮して前記圧縮空気を発生するヘッド部と、前記ヘッド部に配置されて、前記原料空気を前記ヘッド内に取り込む際に開閉する第1弁と、前記ヘッド内で圧縮された前記圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁を備え、前記第1弁と前記第2弁は、プラスチックにより作られていることを特徴とする。
上記構成によれば、酸素濃縮装置は、コンプレッサのプラスチック製の第1弁と第2弁は、金属製の弁に比べて原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に弁が発生する騒音を低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に生じる原料空気の吸気音の低騒音化を図ることができ、主筐体内部に防音部材を設けなくても騒音レベルが低いコンプレッサおよびそれを用いた小型、軽量の酸素濃縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のコンプレッサを備える酸素濃縮装置の好ましい実施形態を示すブロック図。
【図2】図1の酸素濃縮装置の外観例とコンプレッサの正面を示す斜視図。
【図3】図2に示すコンプレッサをU方向から見た斜視図。
【図4】図2のコンプレッサをG方向から見た斜視図。
【図5】図2のコンプレッサを斜め上方向から見た一部を切り欠いて内部構造を示す斜視図。
【図6】図2のコンプレッサの第1ヘッド部を分解して示す斜視図。
【図7】図3のコンプレッサのP−P線におけるV方向に沿った断面図。
【図8】図2のコンプレッサの第1ヘッド部の積層構造を示す断面図。
【図9】コンプレッサのリード弁部材の2つのリード弁の動作例を示す図。
【図10】図10(A)は、出力軸保持部材を示す斜視図であり、図10(B)は、出力軸保持部材の円板部分の形状を示す正面図。
【図11】空気取り入れ穴の断面形状を示す図。
【図12】コンプレッサの外形形状を2点鎖線で示し、このコンプレッサにおける原料空気の導入経路と圧縮空気の排出経路を矢印で示す図。
【図13】本発明の空気取り入れ穴の別の実施形態を示す断面図。
【図14】本発明の空気取り入れ穴の別の実施形態を示す断面図。
【図15】本発明の空気取り入れ穴の別の実施形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。 図1は、本発明のコンプレッサを備える酸素濃縮装置の好ましい実施形態を示すブロック図である。図2は、図1の酸素濃縮装置の外観例とコンプレッサの正面を示す斜視図である。
【0016】
図1に示す酸素濃縮装置1は、図2に概略的に例示するように携帯型(可搬型や移動型ともいう)の酸素濃縮装置である。図2に示すように、酸素濃縮装置1の主筐体2は、付属品として取手1B,車輪1Dを備えた付属品としての保持ケース1Cに収容されており、取手1Bは、上下方向に長さの調整が可能である。コンプレッサ10は、主筐体2の例えば底部に配置されている。保持ケース1Cには、図1の鼻カニューレ314のチューブ315を通すための穴1Eが設けられている。
図1と図2に示す酸素濃縮装置1は、例えば、酸素生成原理として圧縮空気による圧縮空気力変動吸着法(PSA:正圧変動吸着法)を用いている。圧縮空気のみによる正圧変動吸着法は、圧縮空気のみを吸着筒体内に送って窒素を吸着させる。正圧変動吸着法は、圧縮空気と減圧空気による正負圧変動吸着法(VPSA)に比べて、コンプレッサ10の小型化と軽量化が図れるメリットがある。
【0017】
図1に示す二重線は、原料空気、酸素、窒素ガスの流路となる配管を示している。また、細い実線は電源供給または電気信号の配線を示している。図1に示す酸素濃縮装置1の主筐体2は破線で示しており、主筐体2は、内部に配置された要素を密閉している本体カバーとしての密閉容器である。主筐体2は、例えば射出成形樹脂製品であり耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂により作られている。
図1に示す主筐体2は、外気である原料空気を導入するための吸気口2cと、排気するための排気口2bを有している。吸気口2cには空気中の塵埃等の不純物を除去するためのフィルタ3が配置されており、原料空気は、コンプレッサ10が作動すると、吸気口2cのフィルタ3を介してF方向に沿って内部の配管4を通じてコンプレッサ10側に導入されるようになっている。
【0018】
図1において、原料空気は、配管4を介してコンプレッサ10に導入されて圧縮されることで圧縮空気になるが、原料空気を圧縮する際には熱が発生する。このため、コンプレッサ10から排出される圧縮空気は、送風ファン5の回転により冷却する。このように圧縮空気を冷却することで、高温では機能低下してしまう吸着剤であるゼオライトの昇温を抑制できるので、これにより、窒素の吸着により酸素を生成するための吸着剤として十分に機能できるようになり、酸素を90%程度以上にまで濃縮できることとなる。
【0019】
図1の第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bは、吸着部材の一例であり、縦方向に並列に配置されている。これら第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bには、それぞれ切換え弁としての3方向切換弁109a,109bが接続されている。3方向切換弁109aの一端部が配管6に接続され、3方向切換弁109aと3方向切換弁109bとが互いに接続され、さらに、3方向切換弁109bの一端部が配管7に接続されている。配管7と配管6とは互いには接続されている。この配管7は、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるための浄化工程を行うために、配管6に接続されている。3方向切換弁109aと109bは、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bにそれぞれ対応して接続されている。コンプレッサ10から発生する圧縮空気は、配管6と3方向切換弁109a、109bを介して第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bに対して交互に供給される。
【0020】
触媒吸着剤であるゼオライトは、図1の第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内にそれぞれ貯蔵されている。このゼオライトは、例えばSi203/Al2O3比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトであり、かつこのAl2O3の四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと結合させたものを用いることで、単位重量当たりの窒素の吸着量を増やせるようにしている。このゼオライトは、特に1mm未満の顆粒測定値を有するとともに、四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと融合させたものが好ましい。ゼオライトを使用することで、他の吸着剤を使う場合に比べて酸素を生成するために必要となる原料空気の使用量を削減できるようになる。この結果、圧縮空気を発生するためのコンプレッサ10をより小型・軽量化が図れ、コンプレッサ10の低騒音化を図ることができる。
【0021】
図1に示すように、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの出口側には、逆止弁と絞り弁と開閉弁とからなる均等圧弁107が接続されている。均等圧弁107の下流側には、合流する配管8が接続されており、この配管8には製品タンク111が接続されている。この製品タンク111は、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bにおいて分離生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵するための容器である。
図1に示すように、製品タンク111の下流側には、圧力調整器112が接続されており、圧力調整器112は製品タンク111の出口側の酸素の圧力を一定に自動調整するレギュレータである。圧力調整器112の下流側には、ジルコニア式あるいは超音波式の酸素濃度センサ114が接続されており、酸素濃度センサ114は、酸素濃度の検出を間欠的に(10〜30分毎に)または連続的に行う。
【0022】
図1に示すように、酸素濃度センサ114には、比例開度弁115が接続されている。この比例開度弁115は、中央制御部200の指令により流量制御部202からの信号により、酸素流量設定ボタン308の設定ボタン操作に連動して開閉する。比例開度弁115には酸素流量センサ116が接続されている。この酸素流量センサ116には呼吸同調制御のための減圧空気回路基板を介してデマンド弁117が接続されており、デマンド弁117は滅菌フィルタ119を経て、酸素濃縮装置1の酸素出口9に接続されている。
この酸素出口9には、鼻カニューレ314のアダプタ313が着脱可能に接続される。アダプタ313は、チューブ315を介して鼻カニューレ314に接続されている。患者は、鼻カニューレ314を経て、例えば最大流量1L/分の流量で、約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。デマンド弁117を制御して呼吸同調制御を行なうことで、一般にIE比(吸気時間(秒)と呼気時間(秒)の比)は、1:2であることを考えると、呼吸同調制御により、患者には90%以上に濃縮された酸素が実質的に最大3L/分で供給する効果と同等となる。
【0023】
次に、図1に示す電源系統を説明する。
図1に示すAC(商用交流)電源のコネクタ430は、スイッチングレギュレータ式のACアダプタ419に電気的に接続され、ACアダプタ419は商用交流電源の交流電圧を所定の直流電圧に整流する。内蔵電池228は、例えば、主筐体2の底部に内蔵されている。外部電池227は、コネクタ431を介して着脱自在可能に設けられる。電源制御回路226は、コネクタ430,431に電気的に接続されている。
内蔵電池228および外部電池227は、繰り返し充電可能な2次電池であり、内蔵電池228は電源制御回路226からの電力供給を受けて充電できる。外部電池227については、電源制御回路226からの電力供給を受けて充電することもできるが、通常は別途準備される電池充電器を用いて繰り返し充電されることになる。
【0024】
これにより、図1の中央制御部200が電源制御回路226を制御することで、該電源制御回路226は、ACアダプタ419からの電力供給を受けて作動する第1電力供給状態と、内蔵電池228からの電力供給を受けて作動する第2電力供給状態と、外部電池227からの電力供給を受けて作動する第3電力供給状態の合計3系統の電力供給状態の内の1つの供給状態に自動切換して使用できる。内蔵電池228および外部電池227は充電時のメモリ効果が少なく再充電時にも満杯充電できるリチウムイオン、リチウム水素イオン2次電池が良いが、従来からのニッカド電池やニッケル水素電池でも良い。さらに、緊急時に備えて、どこでも入手可能な例えば単2形乾電池のボックスとして外部電池227を構成しても良い。
【0025】
図1の中央制御部200は、モータ制御部201とファンモータ制御部203に電気的に接続されている。中央制御部200は生成する酸素量に応じた最適な動作モードに切り替えるプログラムが記憶されている。モータ制御部201とファンモータ制御部203は、中央制御部200の指令により、多くの酸素生成をする場合は自動的にコンプレッサ10と送風ファン5を高速駆動し、少ない酸素生成時の場合にはコンプレッサ10と送風ファン5を低速に回転駆動する制御を行う。この中央制御部200には、所定動作プログラムを記憶したROM(読み出し専用メモ)が内蔵されるとともに、中央制御部200には、外部記憶装置210と、揮発メモリ208と、一時記憶装置とリアルタイムクロックからなる回路207が電気的に接続されている。中央制御部200は、外部コネクタ433を介して通信回線444等と接続することで記憶内容へのアクセスが可能となる。
【0026】
また、図1に示す3方向切換弁109a、109bと均等圧弁107とをオンオフ制御することで、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるように制御する制御回路(図示せず)と、流量制御部202と、酸素濃度センサ114が、中央制御部200に電気的に接続されている。流量制御部202は、比例開度弁115と、流量センサ116と、デマンド弁117を駆動制御する。その他に、図1に示す中央制御部200には、酸素流量設定ボタン308と、表示部128と、電源スイッチ306が電気的に接続されている。
【0027】
酸素流量設定ボタン308は、例えば90%程度以上に濃縮された酸素を、毎分当たり0.25L(リットル)から最大で1Lまで0.01L段階で操作するごとに、酸素流量を設定できる。呼吸同調制御により、90%以上の濃度の酸素を実質的に3L/分で患者に供給するため、好ましくは、患者が操作できる同調モード選択スイッチ(不図示)を設ける。表示部128は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置が利用されている。表示部128には、例えば運転ランプ、酸素ランプ、同調モード、充電ランプ、バッテリ残量、積算時間、酸素流量等の表示項目を表示することができる。呼吸同調制御が作動している時には、「同調モード」の表示を例えば緑色で点灯させる。
【0028】
次に、図2〜図7を参照して、図1に示すコンプレッサ10の好ましい構造例を説明する。
図2は、コンプレッサ10を正面から見た斜視図であり、図3は、図2に示すコンプレッサ10をU方向から見た斜視図である。図4は、図2のコンプレッサ10をG方向から見た斜視図である。図5は、図2のコンプレッサ10を斜め上方向から見た一部を切り欠いて内部構造を示す斜視図である。図6は、図2のコンプレッサ10の第1ヘッド部を分解して示す斜視図である。図7は、図3のコンプレッサのP−P線におけるV方向に沿った断面図である。
【0029】
図2と図3に示すコンプレッサ10は、すでに説明したように圧縮空気のみを発生させることで正圧変動吸着法(PSA)により、圧縮空気を図1に示す第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内に送り、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の吸着剤により圧縮空気中の窒素を吸着させるのに用いられる。
図2と図3に示すコンプレッサ10は、駆動用モータ11と、第1ヘッド部21と、第2ヘッド部22と、ケース部23とを有する2ヘッド仕様のコンプレッサであり、後述する工夫された構成により全体の重量が300g〜900g程度に小型・軽量化されている。駆動用モータ11は、例えば1Lクラスの電動モータであるが、例えば単相交流誘導モータであっても良いし、単相4極交流同期モータであっても良い。
【0030】
図2に示す第1ヘッド部21と第2ヘッド部22とケース部23は、軽量化のために例えば軽量な金属材料であるアルミニウムにより作られているが、金属ではなくエンジニアリングプラスチックで作ることもできる。
図2に示す第1ヘッド部21は、ケース部23の第1端部(上端部)23Aに設けられ、第2ヘッド部22は、ケース部23の第2端部(下端部)23Bに設けられている。第1ヘッド部21と第2ヘッド部22は、駆動用モータ11の1つの出力軸15により駆動されるレシプロ駆動のポンプヘッドである。第1ヘッド部21と第2ヘッド部22は、出力軸15の回転中心軸CLを中心としてほぼ上下対称形状に形成されている。
【0031】
図2に示す駆動用モータ11としては、例えば同期モータが使用されれば電源電圧が変動しても出力軸15の回転数が一定にでき、第1ヘッド部21のピストンと第2ヘッド部22のピストンを安定してV方向に沿って往復駆動できる。同期モータである駆動用モータ11は同期回転数で回転できるので、誘導モータに比べて消費電力を低減できる。
図1に示す第1ヘッド部21と第2ヘッド部22は、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b側へ圧縮空気を安定して供給でき、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bは、90%以上に濃縮した酸素を設定された酸素流量で安定して供給できる。
【0032】
まず、図2〜図5を参照して、コンプレッサ10のケース部23の構造を説明する。
図2と図3に示すように、ケース部23は、クランクケースとも言い、V方向に沿って配置されている。このV方向は回転中心軸CLと直交する方向である。図2と図3に示すように、ケース部23は、本体部24と、第1端部23Aと、第2端部23Bを有している。第1端部23Aは、第1ヘッド部21を取り付ける部分であり、第2端部23Bは、第2ヘッド部22を取り付ける部分である。
【0033】
図2に示すように、ケース部23の厚みWは、第1端部23Aと第2端部23Bの厚みW1に比べてかなり小さく設定されている。また、図3に示すように、ケース部23の別の横幅W2は、第1端部23Aと第2端部23Bの別の横幅W3に比べてやや小さく設定されている。そして、図2に示すケース部23の厚みWは、図3に示すケース部23の別の横幅W2に比べてかなり小さく設定されている。これにより、ケース部23は、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22に比べて、小型化および薄型化を図っている。
【0034】
図2と図3に示すように、ケース部23の第1側部31には、駆動用モータ11が複数本のボルト11Mにより交換可能に固定されている。図4に示すように、ケース部23の第2側部32には、円形の開口部33が形成されている。開口部33の中心、すなわち回転中心軸CLに沿って、駆動用モータ11の出力軸15が配置されている。
図3と図4における破線で示すように、ケース部23は、第1連通通路41と、第2連通通路42を有している。第1連通通路41と第2連通通路42はV方向に平行に形成されている。第1連通通路41は、ケース部23の第1側部23Rに形成されている。第1連通通路41は、原料空気を第1ヘッド部21と第2ヘッド部22に供給するために設けられている。
【0035】
一方、図3と図4に示す第2連通通路42は、ケース部23の第2側部23Tに形成されている。第2連通通路42は、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22において原料空気が圧縮されることで生成された圧縮空気を圧縮空気の排出口37を通じて、ケース部23の外部に排出するために設けられている。なお、別の開口38は図5に示すようにキャップ38Pにより閉鎖されている。
【0036】
次に、図5を参照する。図5は、コンプレッサ10の一部の内部構造を示している。
第1ヘッド部21は、上側のヘッドカバー51と第1ピストン61を有している。ヘッドカバー51は、ケース部23の第1端部23Aに対して、複数本のネジ51Nを用いて均等な力で固定されている。第1ピストン61はコンロッド61Cに取り付けられている。コンロッド61Cは出力軸15に軸受け部材を用いて取り付けられている。
図5に示すように、複数本のネジ51Nがヘッドカバー51等を第1端部23Aに対して均等な締結力を与えるように固定されているので、空気が第1ヘッド部21から外に漏れるのを防ぐことができる。しかも、図5に示すように、ヘッドカバー51には、複数個所の放熱用の凹部51Sが形成されているので、圧縮空気を発生させる際の熱を放熱する効果を向上できる。すなわち、第1ヘッド部21内で第1ピストン61が下死点から上死点までV方向に沿って直線移動して原料空気を圧縮して圧縮空気を生成する際には熱が発生するが、この発生する熱は、放熱用の凹部51Sを設けて放熱面積を増やすことで、外部により効率良く放出することができる。
【0037】
同様にして、図5に示す第2ヘッド部22は、下側のヘッドカバー52と第2ピストン62を有している。下側のヘッドカバー52は上側のヘッドカバー52と同じ形状を有している。下側のヘッドカバー52は、ケース部23の第2端部23Bに対して、複数本のネジ52Nを用いて均等な力で固定されている。第2ピストン62はコンロッド62Cに取り付けられている。コンロッド62Cは出力軸15に軸受け部材を用いて取り付けられている。なお、第1ヘッド部21のヘッドカバー51と第2ヘッド部22のヘッドカバー52は、図示例では、菱形形状を有している。
【0038】
図5に示すように、複数本のネジ52Nがヘッドカバー52等を第2端部23Bに対して均等な締結力を与えるように固定されているので、空気が第2ヘッド部22から外に漏れるのを防ぐことができる。しかも、ヘッドカバー52にも、複数個所の放熱用の凹部(図示を省略)が形成されているので、圧縮空気を発生させる際の熱を放熱する効果を向上できる。すなわち、第2ヘッド部22内で第2ピストン62が下死点から上死点までV方向に沿って直線移動して原料空気を圧縮して圧縮空気を生成する際には熱が発生するが、この発生する熱は放熱用の凹部を設けて放熱面積を増やすことで、外部により効率良く放出することができる。
【0039】
次に、図6と図7を参照して、第1ヘッド部21の構造例を説明する。
図6は、第1ヘッド部21を示す分解斜視図である。図7は、図3のコンプレッサのP−P線におけるV方向に沿った断面図である。ただし、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22は、上下位置関係が反対であるだけで積層構造は同じである。そこで、第1ヘッド部21の構造を代表して説明する。
【0040】
図6と図7には、第1ヘッド部21のヘッドカバー51と、上下のガスケット191,192と、上方部材193と、リード弁部材194と、下方部材195を示しており、これらの部材は、ヘッドアセンブリを構成している。ヘッドカバー51は、ケース部23の第1端部23Aに対して、ガスケット191,192、上方部材193、弁部材としてのリード弁部材194、下方部材195を、図示した順に挟み込んだ状態で、複数本のボルト51Nにより確実に均等に固定することができる。ガスケット191,192は、原料空気を圧縮する際に外部に漏れないようにするために設ける。ガスケット191は開口部199を有し、ガスケット192は円形の開口部199Bを有している。上方部材193は開口部193A、193Bを有し、下方部材195は開口部195A、195Bを有している。
【0041】
図6に示すリード弁部材194は、対向した2つのリード弁194A,194Bを有している。リード弁部材194は弁部材の一例であり、リード弁194Aは第1弁の一例であり、リード弁194Bは第2弁の一例である。
リード弁部材194の材質は、従来用いられているバネ系のステンレス鋼のような重く剛性の強い金属板ではなく、ポリエステルフィルムのような、金属よりも軽く、強靭性、120℃までの耐熱性、気体遮蔽性に優れた材料である熱可塑性樹脂材料より作られていて、厚さは、0.08〜0.12mm、好ましくは、0.1mm、重さは0.3〜0.5g、好ましくは0.45gである。ポリエステルフィルムとしては、例えば東レ株式会社製のポリエステルフィルム(ルミラー:登録商標)を用いることができる。厚さが、0.08〜0.12mmの場合、適度な撓みにより穴に馴染んでシール性が格段に優れる。厚さが、0.12mmを越えると撓みにくくなるので穴に馴染むことが難しくなり、0.08mmより薄いと撓みやすくなりいずれもシール性能が低下する。リード弁部材194の熱可塑性樹脂材料として、上述のポリエステルの他に、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルフィド,ポリエーテルエーテルケトン,ポリエーテルサルポン,ポリアミド,ポリイミド等エンジニアリングプラスチックを用いることができる。
【0042】
図6に示すように、実線の矢印で示す原料空気70は、第1連通通路41を通り、ガスケット192の穴192H、下方部材195の穴195H、リード弁部材194の穴194H、上方部材193の穴193H、そしてガスケット191の開口部199を通じ、さらに上方部材193の開口部193A、リード弁部材194のリード弁194A、下方部材195の開口部195A、ガスケット192の開口部199Bを通じて第1ピストン61に供給されるようになっている。
このように、原料空気70が、上方部材193の開口部193A、リード弁部材194のリード弁194A、下方部材195の開口部195A、ガスケット192の開口部199Bを通じて第1ピストン61に供給される場合には、図8に示すように、リード弁部材194のリード弁194Aが実線から破線で示すように下向きに弾性変形して、上方部材193の開口部193Aを下方部材195の開口部195Aとの間で開閉動作を行う。実線で示す状態のリード弁194Aは開口部193Aを閉じており、破線で示す状態のリード弁194Aは開口部193Aを開けている。
【0043】
一方、図6において、第1ピストン61が下死点から上死点に移動して原料空気70が圧縮されると、圧縮空気71が生成される。破線の矢印で示す圧縮空気71は、ガスケット192の開口部199B、下方部材195の開口部195B、リード弁部材194のリード弁194B、上方部材193の開口部193B、そしてガスケット191の開口部199を通じ、さらに上方部材193の穴193L、リード弁部材194の穴194L、下方部材195の穴195L、ガスケット192の穴192Lを通じて第2連通通路42を経て、排出口37からケース部23の外部に排出できるようになっている。
このように、圧縮空気71が、ガスケット192の開口部199B、下方部材195の開口部195B、リード弁部材194のリード弁194B、上方部材193の開口部193Bを通じて排出される場合には、図8に示すように、リード弁部材194のリード弁194Bが実線から破線で示すように上向きに弾性変形して、下方部材195の開口部195Bと上方部材193の開口部193Bとの開閉動作を行う。実線で示す状態のリード弁193Bは開口部195Bを閉じており、破線で示す状態のリード弁194Aは開口部195Bを開けている。
【0044】
図9は、リード弁部材194のリード弁194Aとリード弁194Bが、上方部材193の開口部193Aと下方部材195の開口部195Bをそれぞれ開閉する様子を示している。図9(A)に示すように、リード弁194Aとリード弁194Bが、上方部材193の開口部193Aと下方部材195の開口部195Bをそれぞれ開閉する動作を繰り返すと、リード弁194Aとリード弁194Bの形状は、当初は平坦面を有している。しかし、図9(B)に示すように、リード弁194Aとリード弁194Bには、樹脂の特性により相手方の上方部材193の断面円形の開口部193Aと下方部材195の断面円形の開口部195Bの形状に馴染んで撓むことでほぼ半球状の凹部199Pが形成される。これにより、第1弁と第2弁としてのリード弁194Aとリード弁194Bは、それぞれ対応する開口部193A、開口部195Bに対して密着でき、気体遮蔽性が向上する。
また、図9(C)に示す本発明の別の実施形態では、第1弁であるリード弁194Aには、リード弁194Aに対応する原料空気の通過する断面円形の開口部193Aの形状に応じたほぼ半球状の凹部299を予め形成しておき、第2弁であるリード弁194Bには、リード弁194Bに対応する圧縮空気の通過する断面円形の開口部195Bの形状に応じたほぼ半球状の凹部299を予め形成しておくようにしても良い。これにより、予めそれぞれ凹部299を形成しているので、リード弁194Aとリード弁194Bはそれぞれ対応する開口部193A、195Bに対して密着でき、気体遮蔽性が向上する。
【0045】
リード弁部材194のリード弁194Aとリード弁194Bは、金属よりも軽く、強靭性、耐熱性、気体遮蔽性に優れた材料であるプラスチック材料により作られているので、弁質量の大幅な低減と、高周波金属音の発生の低減、そして図8に示す相手方の上方部材193の開口部193Aと下方部材195の開口部195Bのシール性の向上を図ることができる。プラスチック製のリード弁部材194のリード弁194Aとリード弁194Bを採用することで、弁質量の大幅な低減ができ、弁の開き始めの圧力を小さくでき、クラッキング圧の低下、原料空気と圧縮空気の流量増加、そしてモータが消費する源力の低減が図れる。プラスチック製のリード弁部材194のリード弁194Aとリード弁194Bを採用することで、高周波金属音の発生を低減でき、笛現象の低減を図り、カン高い金属音ではなく柔らかい音質を実現できる。
従来の金属製のリード弁部材を用いる場合に比べて、プラスチック製のリード弁部材を用いると、原料空気の取り込み時の騒音と圧縮空気の生成排出時の騒音は、例えば6dB低減(騒音エネルギーに換算して1/2に低減)できた。
上述した第1ヘッド部21における原料空気70と圧縮空気71の経路は、第2ヘッド部22においても同様である。第1ヘッド部21におけるリード弁部材194のリード弁194Aとリード弁194Bの材質、形状、動作は、第2ヘッド部22においても同様である。
【0046】
次に、図7を参照して説明する。図7は、図3に示すコンプレッサ10のP−P線におけるV方向に沿った断面構造を示す断面図である。ただし、図7では、駆動用モータ11については断面を表さずに、外観形状を示している。
図7において、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22は、回転中心軸CLを中心としてほぼ上下対称構造を有している、第1ヘッド部21の第1ピストン61と第2ヘッド部22の第2ピストン62は、V方向に沿って反対方向に往復動する水平対向型ピストンである。
【0047】
図7の例では、第1ヘッド部21が第1シリンダ61S内に原料空気を吸入する吸入工程を行う際には、第2ヘッド部22も同時に第2シリンダ62S内に原料空気を吸入する吸入工程を行い、第1ヘッド部21が吸入した空気を圧縮して第1シリンダ61S内に圧縮空気を発生する圧縮工程を行う際には、第2ヘッド部22も同時に吸入した空気を圧縮して第2シリンダ62S内に圧縮空気を発生する圧縮工程を行う。すなわち、第1ピストン61が第1シリンダ61S内で下死点に位置すると、第2ピストン62も第2シリンダ62S内で下死点に位置し、第1ピストン61が第1シリンダ61S内で上死点に位置すると、第2ピストン62も第2シリンダ62S内で上死点に位置する。
【0048】
このことから、第1ピストン61と第2ピストン62は、互いに反対方向に同期して等しいストローク長1mm〜10mm程度で往復移動するようになっている。ストローク長が1mmより短いと圧縮される原料空気の量が小さくなり、ストローク長が10mmより長いとコンプレッサ10が長くなる。このように、図7に例示するように第1ピストン61と第2ピストン62が上死点に位置するとシリンダ61S、62S内の原料空気が圧縮される。逆に、第1ピストン61と第2ピストン62が下死点に位置すると、シリンダ61S、62S内に原料空気が吸入される状態になる。なお、シリンダ61Sの内径、シリンダ62Sの内径は等しく、20mm〜60mm程度に形成されている。シリンダ61Sの内径、シリンダ62Sの内径が20mmより小さいと圧縮される原料空気の量が小さくなり、シリンダ61Sの内径、シリンダ62Sの内径が20mmより大きいとコンプレッサ10の小型・軽量化が図りづらくなる。
【0049】
次に、図7と図5と図3を参照して、駆動用モータ11と、この駆動用モータ11の出力軸15の構造について説明する。
図3に示すように、駆動用モータ11は、ケース部23の第1側面部31側にボルト11Mにより固定されている。図7に示すように、駆動用モータ11は、回転中心軸CLに沿って薄く形成したほぼ円柱状のモータである。駆動用モータ11は、好ましくは第1ヘッド部21と第2ヘッド部22の間の空間11S内に収容されている。すなわち、駆動用モータ11は、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22からは回転中心軸CL方向に突出しないように空間11S内に収まるように配置されている。言いかえれば、駆動用モータ11は、好ましくはケース部23の第1側面部31において第1ヘッド部21の外形部分と第2ヘッド部22の外形部分とで形成される領域内に収まっている。これにより、駆動用モータ11がコンプレッサ10の外形部分から外側に突出することがなく納まっているので、コンプレッサ10の小型・軽量化と薄型化が図れる。
【0050】
図7に示すように、出力軸15は、コンロッド61Cの軸受け部61Nとコンロッド62Cの軸受け部62Nを通って、ケース部23の第2側面部32側において回転中心軸CLに沿って開口部33から突出している。
図5と図7に示すように、出力軸保持部材91は、円板部分91Cと、円筒型の軸受け部材91Dを有している。円板部分91Cと円筒型の軸受け部材91Dは、回転中心軸CLを中心として一体的に形成されている。円板部分91Cは、ケース部23の開口部33を塞ぐようにしてケース部23の第2側面部32に対して固定されている。この軸受け部材91D内には、出力軸15が回転可能に支持されている。
【0051】
円板部分91Cには、回転中心軸CLを中心として、空気取り入れ用の溝部91Eが形成されている。ケースともいう覆い部材92が、ネジ92Nを用いて回転中心軸CLを中心として軸受け部材91Dに対して着脱可能に固定されている。覆い部材92は、リング状のフィルタ95を、出力軸保持部材91の円板部分91Cに対して固定している。すなわち、リング状のフィルタ95の一端部は、空気取り入れ用の溝部91E内に当接しており、リング状のフィルタ95の他端部は、覆い部材92の内面に当接されている。リング状のフィルタ95は、軸受け部材91Dの外側において、回転中心軸CLを中心として、同心状に配置されている。リング状のフィルタ95は、ケース部23内に導入される原料空気の不純物を除去することができる多孔質の材料や不織布等、不純物が除去できる材質であれば良く、特に材質は限定されない。
【0052】
図10(A)は、出力軸保持部材91を示す斜視図であり、図10(B)は、出力軸保持部材91の円板部分91Cの形状を示す正面図である。
図5、図7及び図10に示すように、出力軸保持部材91の円板部分91Cと円筒型の軸受け部材91Dのつなぎ部分には、複数個の空気取り入れ穴99が相互に同じ間隔をおいて、回転中心軸CLを中心とする円周状に配列されている。複数個の空気取り入れ穴99は、原料空気取り込み部400を構成している。図示例では、16個の空気取り入れ穴99が、回転中心軸CLを中心とする同一円周に沿って等間隔で形成されている。
【0053】
図11は、原料空気取り込み部400の各空気取り入れ穴99の断面形状例を示している。各空気取り入れ穴99は、出力軸保持部材91の円板部分91Cを、回転中心軸CLと並行方向に沿って貫通して形成されており、第1穴部99Aと第2穴部99Bとテーパ部99Tを有している。第1穴部99Aの内径S1は第2穴部99Bの内径S2に比べて大きく設定されている。テーパ部99Tは、第1穴部99Aと第2穴部99Bの間に形成されており、テーパ部99Tが形成されていることにより、第1穴部99Aの内径S1と第2穴部99Bの内径S2に差を設けても、矢印方向R3、R4に沿って原料空気を円滑に取り込むことができる。この例では、第1穴部99Aの内径S1は1.2mmであり、第2穴部99Bの内径S2は、0.5mmである。第1穴部99Aが、円板部分91Cの内面91G側に形成され、第2穴部99Bが、円板部分91Cの外面91H側に形成されている。
【0054】
このように、図10に示すように、複数の空気取り入れ穴99が、回転中心軸CLを中心として、円周に沿って配列され、図11の空気取り入れ穴99の断面形状を採用することで、原料空気を取り入れるための有効開口断面積を確保しながら、複数の原料空気取り入れ穴により原料空気を分散して取り込むようにすることで、原料空気の取り入れ時の低騒音化を実現している。
【0055】
図7に示すように、原料空気は、矢印R1に沿って覆い部材92と円板部分91Cの間に形成されている溝部91Eを通り、矢印R2に沿って溝部91Eからフィルタ95を通過して塵埃等が除去され、その後矢印R3と矢印R4に沿うようにし、コンプレッサ10の空気取り入れ穴99までの空気の導入経路(矢印R1,矢印R2,矢印R3)を屈曲させ、空気の導入経路は、空気取り入れ穴99の内径に比べて非常に大きくさせることと併せて、複数の空気取り入れ穴99を通過することで原料空気をケース部23内に取り込むようにすることで、従来のコンプレッサに設けられた大きな1つの円形状の空気取り入れ口に比べて、原料空気の取り入れ時の騒音は、例えば4dB低減できる。
図7に示すように、覆い部材92と円板部分91Cは、好ましくは第1ヘッド部21と第2ヘッド部22の間の空間11P内に収容されている。出力軸15の原料空気取り込み部90は、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22から回転中心軸CL方向に突出しないように空間11P内に収まるように配置され、ケース部23の第2側面部32において第1ヘッド部21の外形部分と第2ヘッド部22の外形部分とで形成される領域内に収まっている。これにより、コンプレッサ10の小型化と薄型化が図れる。しかも、駆動用モータと原料空気取り込み部400は、ケース部の第1側面部と反対側の第2側面部側にそれぞれ振り分けて配置できるので、コンプレッサの小型・軽量化が図れる。
【0056】
次に、図12を参照して、コンプレッサ10の第1ヘッド部21と第2ヘッド部22における原料空気の導入経路59と、原料空気が圧縮された後の圧縮空気の排出経路79の例を説明する。図12では、コンプレッサ10の外形形状を2点鎖線で示し、このコンプレッサ10における原料空気の導入経路59を実線で示し、圧縮空気の排出経路79を破線で示している。
図5において実線で示す原料空気の導入経路59は、空気取り入れ用の溝部91Eと複数個の空気取り入れ穴99に通じる第1連通通路41を有する。第1連通通路41は、上側の第1シリンダ61S内と下側の第2シリンダ62S内に通じている。これにより、原料空気70は、実線で示す原料空気の導入経路59を経て、上側の第1シリンダ61S内と下側の第2シリンダ62S内に供給できるようになっている。
一方、原料空気が圧縮された後の圧縮空気の排出経路79は、第2連通通路42と、排出口37を有しており、配管6を介して第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b側に接続されている。これにより、上側の第1シリンダ61S内と下側の第2シリンダ62S内で生成された圧縮空気80は、第2連通通路42と配管6を経て第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b側に供給できるようになっている。
【0057】
次に、上述したようなコンプレッサ10を備える酸素濃縮装置1の動作例を説明する。
図1の中央制御部200がモータ制御部201に指令して、モータ制御部201がコンプレッサ10の駆動用モータ11を始動して、図7と図9に示す駆動用モータ11の出力軸15が回転中心軸CLを中心として連続回転をする。このため、図7に示す第1ヘッド部21の第1ピストン61と第2ヘッド部22の第2ピストン62は、安定して反対方向に往復移動する。
【0058】
図7において、第1ピストン61が第1シリンダ61S内で下死点に位置すると同時に第2ピストン62も第2シリンダ62S内で下死点に位置し、第1ピストン61がシリンダ61S内で上死点に位置すると同時に第2ピストン62もシリンダ62S内で上死点に位置する。図7に示すように第1ピストン61と第2ピストン623が上死点に位置するとシリンダ61Sと第2シリンダ62S内の原料空気が圧縮される。逆に、第1ピストン61と第2ピストン623が下死点に位置すると、第1シリンダ61Sと第2シリンダ62S内に原料空気が吸入される状態になる。すなわち、第1ヘッド部21の第1ピストン61と第2ピストン62は、同時に空気の吸入工程を行った後に、同時に圧縮空気を圧縮して排出する圧縮工程を行い、これらの空気の吸入工程と圧縮工程を繰り返す。
【0059】
このようにコンプレッサ10の第1ヘッド部21と第2ヘッド部22が動作すると、図9に示すように、原料空気70は、実線で示す原料空気の導入経路59の空気取り入れ用の溝部91Eと複数個の空気取り入れ穴99と、第1連通通路41を経て、上側の第1シリンダ61Sと下側の第2シリンダ62S内に吸入できる。
この原料空気70の吸入の際には、図7に示す別のフィルタ95により取り除くことができる。しかも、フィルタ95に不純物が蓄積される前に、覆い部材92を取り外すことで、フィルタ95の清掃あるいはフィルタ95の交換を容易にすることができる。このため、フィルタ95のメンテナンス性を向上できる。
【0060】
しかも、覆い部材92が、空気取り入れ用の溝部91Eと複数個の空気取り入れ穴99の周囲を覆っている。このため、この覆い部材92は、コンプレッサの駆動用モータの出力軸が回転することでピストンを動作させて原料空気を吸入して圧縮空気を生成する際に、ケース部23の内部から騒音が直接外部に漏れてしまうことを防ぐことができる。このため、低騒音でピストン側に確実に原料空気を吸入して圧縮空気を生成できる。覆い部材92は、原料空気を取り込む際の騒音と駆動用モータ11自体の騒音が外部に漏れるのを防止する騒音漏れ防止部材としての機能を果たすことができる。このため、コンプレッサ10から騒音が直接外側に漏れないようにしながら、原料空気はさらに静かにケース部23内に取り込むことができる。
一方、図9において、上側の第1シリンダ61S内と下側の第2シリンダ62S内で生成された圧縮空気80は、第2連通通路42と、排出口37と、配管6を介して、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b側に供給できる。
【0061】
なお、図1のコンプレッサ10が原料空気を圧縮して圧縮空気を発生する際には熱が発生するので、コンプレッサ10は図1に示す送風ファン5により冷却される。このため、圧縮空気は、配管6と3方向切換弁109a、109bを経て第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の吸着剤を通過して窒素を吸着することにより、酸素が分離して生成される。製品タンク111は、分離して生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵することができる。
そして、図1の酸素濃度センサ114は、製品タンク111からの酸素濃度の検出を行う。比例開度弁115は、酸素流量設定ボタン308に連動して開閉する。そして、酸素は、滅菌フィルタ119と酸素濃縮装置1の酸素出口7を経て、鼻カニューレ314に供給される。これにより、患者は、鼻カニューレ314を経て例えば最大流量1L/分の流量で、約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。
【0062】
次に、図13から図15を参照して、本発明の別の実施形態を説明する。
図11に示す本発明の実施形態では、空気取り入れ穴99の第1穴部99Aの内径は第2穴部99Bの内径に比べて大きく設定されている。
これに対して、図13に示す本発明の実施形態では、空気取り入れ穴99の第1穴部99Cの内径は第2穴部99Dの内径に比べて小さく設定しても良い。また、図14に示す本発明の実施形態では、空気取り入れ穴99は、軸方向に沿って同じ内径を有する穴としても良い。
あるいは、図15に示す本発明の実施形態では、空気取り入れ穴99は、回転中心軸CLに対して傾斜角度θの角度で傾斜して形成しても良いが、空気取り入れ穴99を傾斜して形成することは、図11と図14の実施形態にも適用できる。
本発明の各実施形態では、空気取り入れ穴99の数は、16個に限らず任意の数に設定することができる。また、空気取り入れ穴99は1つの円周に沿って形成されているが、回転中心軸CLを中心として2つ以上の円周に沿って形成しても良い。
【0063】
従来の酸素濃縮装置では、コンプレッサにおける騒音は、主として外部から原料空気を導入する際にコンプレッサのケース部にある大きな吸気口において生じる吸気音と、原料空気を導入して圧縮空気を排気する際に弁部材弁が開閉動作により生じる金属動作音である。このため、外部から原料空気を導入する際の吸気音を低減するためには、酸素濃縮装置の主筐体の吸気開口部からコンプレッサを遠い位置に配置したり、主筐体の吸気開口部に吸気フィルタを設ける必要があるので、部品点数が多くなり、酸素濃縮装置の本体ケースの大型化が避けられず、現実的な騒音の根本的な対策を取ることが困難である。また、原料空気を導入して圧縮空気を排気する際に弁部材が生じる弁の金属動作音を低減するためには、コンプレッサを防音用のボックス内に閉じ込めたり、吸音材や制振材により取り囲む必要があるが、このようにするとコンプレッサが発生する熱がこもりやすくしかも酸素濃縮装置の本体ケースの大型化が避けられない。
【0064】
これに対して、上述した本発明の実施形態では、複数の原料空気取り入れ穴を有するコンプレッサ10を用いることで、原料空気を吸引する際に原料空気の吸引音を低減してコンプレッサ10の低騒音化が図れ、追加的な部品が不要であり部品点数の低減が図れ、コンプレッサ10と酸素濃縮装置1の小型化と重量の低減が図れる。
また、弁部材の材質をプラスチック材にすることで、原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に弁部材が発生する音を低減してコンプレッサ10の低騒音化が図れ、追加的な部品が不要であり部品点数の低減が図れ、コンプレッサ10と酸素濃縮装置1の小型化と重量の低減が図れる。
【0065】
本発明の実施形態は、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサであって、コンプレッサは、ケース部と、ケース部に設けられて出力軸を有する駆動用モータと、駆動用モータの出力軸の回転により動作し、原料空気を吸入し圧縮して圧縮空気を発生するヘッド部と、ヘッド部に配置されて、原料空気をヘッド部内に取り込む際に開閉する第1弁と、ヘッド部内で圧縮された圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁を備え、第1弁と第2弁は、プラスチックにより作られている。これにより、コンプレッサのプラスチック製の第1弁と第2弁は、金属製の弁に比べて原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に弁が発生する騒音を低減することができる。
【0066】
また、第1弁と第2弁は、1つの平坦な弁部材に形成されていることを特徴とする。これにより、第1弁と第2弁が1つの平坦な弁部材に形成されているので、部品点数の増加を防ぐことができる。
【0067】
第1弁には、第1弁に対応する原料空気の通過する開口部の形状に応じた凹部が形成され、第2弁には、第2弁に対応する圧縮空気の通過する開口部の形状に応じた凹部が形成されている。これにより、第1弁と第2弁にはそれぞれ凹部が形成されているので、第1弁と第2弁はそれぞれ対応する開口部に対して密着でき、気体遮蔽性が向上する。
【0068】
ヘッド部は、ケース部の第1端部側に設けられた第1ヘッド部と、ケース部の第2端部側に設けられた第2ヘッド部を備え、第1弁と第2弁は、第1ヘッド部と第2ヘッド部にそれぞれ配置されている。これにより、第1ヘッド部と第2ヘッド部のいずれにおいても、原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に生じる弁の低騒音化を図ることができる。
【0069】
本発明の実施形態の酸素濃縮装置は、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサと、該圧縮空気から窒素を吸着する吸着剤を収容する吸着部材とを備える酸素濃縮装置であって、コンプレッサは、ケース部と、ケース部に設けられて出力軸を有する駆動用モータと、駆動用モータの出力軸の回転により動作し、原料空気を吸入し圧縮して圧縮空気を発生するヘッド部と、ヘッド部に配置されて、原料空気をヘッド内に取り込む際に開閉する第1弁と、ヘッド内で圧縮された圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁を備え、第1弁と第2弁は、プラスチックにより作られている。これにより、酸素濃縮装置は、コンプレッサのプラスチック製の第1弁と第2弁は、金属製の弁に比べて原料空気を吸引して圧縮空気を生成する際に弁が発生する騒音を低減することができる。
【0070】
圧縮空気のみによる正圧変動吸着法(PSA)は、圧縮空気のみを吸着筒体内に送り窒素を吸着させるので、圧縮空気と減圧空気による正負圧変動吸着法(VPSA)に比べて、コンプレッサの小型化と構造の簡単化が図れるメリットがある。
駆動用モータ11として同期モータが好ましくは使用されれば、電源電圧が変動しても、出力軸15の回転数が一定にでき、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22を安定した回転数で駆動できる。
以上説明したように、本実施形態では、特に、小型化,軽量化した可搬型酸素濃縮装置において、90%以上に濃縮された酸素を連続で1L/分まで供給が可能となり、併せて消費電力の低減を図ることができる。また、呼吸同調機能を動作させれば、90%以上に濃縮された酸素を実質的に3L/分まで供給可能となる。
【0071】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
図7において、駆動用モータ11の外面の位置は、第1ヘッド部21と第2ヘッド部22の外形部分に対して、回転中心軸CL方向について同一であっても良いし、駆動用モータ11の外面の位置が第1ヘッド部21と第2ヘッド部22の外形部分よりも低い位置であっても良い。
例えば、酸素濃縮装置は、図示した携帯型の酸素濃縮装置に限らず、据え置き型の酸素濃縮装置であっても良い。図に示すコンプレッサ10の駆動用モータは、例えば1Lクラス(90%以上に濃縮された酸素を連続して1L/分供給できるという意味)の同期モータであるが、これに限らず1Lクラスを超える能力を有するモータ、例えば3Lクラス(90%以上に濃縮された酸素を連続して3L/分供給できるという意味)、5Lクラス(90%以上に濃縮された酸素を連続して5L/分供給できるという意味)等に適するモータを用いても良い。駆動用モータの種類は、各種のモータを採用でき、駆動用モータは単相交流誘導モータであっても良い。
第1ヘッド部21と第2ヘッド部22は、それぞれピストンが反対方向に往復移動する水平対向配置になっているが、これに限らず2つのピストンが例えばV字型に配置されていても良い。
図10に示すように、複数の空気取り入れ穴99が回転中心軸CLを中心として、円周に沿って配列されているが、これに限らず正方形あるいは長方形、その他の形状に沿って間隔をおいて配置しても良い。
【符号の説明】
【0072】
1・・・酸素濃縮装置、2・・・主筐体(本体カバー)、2c・・・吸気口、3・・・フィルタ、4・・・配管、6・・・配管、10・・・コンプレッサ、11・・・駆動用モータ、15・・・出力軸、21・・・第1ヘッド部、22・・・第2ヘッド部、23・・・ケース部、23A・・・ケース部の第1端部(上端部)、23B・・・ケース部の第2端部(下端部)、59・・・原料空気の導入経路、70…原料空気、71・・・圧縮空気、79・・・圧縮空気の排出経路、90・・・出力軸の原料空気取り込み部、90S・・・スクリュー、91・・・出力軸保持部材、91D・・・円筒型の軸受け部材、91E・・・空気取り入れ用の溝部、92・・・覆い部材、93・・・覆いケース、94・・・カバー部材、95・・・フィルタ、99・・・複数個の空気取り入れ穴、108a・・・第1吸着筒体(吸着部材)、108b・・・第2吸着筒体(吸着部材)、194・・・リード弁部材(弁部材の一例)、194A・・・リード弁(第1弁体の一例)、194B・・・リード弁(第2弁体の一例)、400…複数個の空気取り入れ穴で構成される原料空気取り込み部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサであって、
前記コンプレッサは、ケース部と、前記ケース部に設けられて出力軸を有する駆動用モータと、
前記駆動用モータの前記出力軸の回転により動作し、前記原料空気を吸入し圧縮して前記圧縮空気を発生するヘッド部と、
前記ヘッド部に配置されて、前記原料空気を前記ヘッド部内に取り込む際に開閉する第1弁と、前記ヘッド部内で圧縮された前記圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁を備え、
前記第1弁と前記第2弁は、プラスチックにより作られていることを特徴とするコンプレッサ。
【請求項2】
前記第1弁と前記第2弁は、1つの平坦な弁部材に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンプレッサ。
【請求項3】
前記第1弁には、前記第1弁に対応する前記原料空気の通過する開口部の形状に応じた凹部が形成され、前記第2弁には、前記第2弁に対応する前記圧縮空気の通過する開口部の形状に応じた凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のコンプレッサ。
【請求項4】
前記ヘッド部は、前記ケース部の第1端部側に設けられた第1ヘッド部と、前記ケース部の第2端部側に設けられた第2ヘッド部を備え、前記第1弁と前記第2弁は、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコンプレッサ。
【請求項5】
原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサと、該圧縮空気から窒素を吸着する吸着剤を収容する吸着部材とを備える酸素濃縮装置であって、
前記コンプレッサは、ケース部と、前記ケース部に設けられて出力軸を有する駆動用モータと、
前記駆動用モータの前記出力軸の回転により動作し、前記原料空気を吸入し圧縮して前記圧縮空気を発生するヘッド部と、
前記ヘッド部に配置されて、前記原料空気を前記ヘッド内に取り込む際に開閉する第1弁と、前記ヘッド内で圧縮された前記圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁を備え、
前記第1弁と前記第2弁は、プラスチックにより作られていることを特徴とする酸素濃縮装置。
【請求項1】
原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサであって、
前記コンプレッサは、ケース部と、前記ケース部に設けられて出力軸を有する駆動用モータと、
前記駆動用モータの前記出力軸の回転により動作し、前記原料空気を吸入し圧縮して前記圧縮空気を発生するヘッド部と、
前記ヘッド部に配置されて、前記原料空気を前記ヘッド部内に取り込む際に開閉する第1弁と、前記ヘッド部内で圧縮された前記圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁を備え、
前記第1弁と前記第2弁は、プラスチックにより作られていることを特徴とするコンプレッサ。
【請求項2】
前記第1弁と前記第2弁は、1つの平坦な弁部材に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンプレッサ。
【請求項3】
前記第1弁には、前記第1弁に対応する前記原料空気の通過する開口部の形状に応じた凹部が形成され、前記第2弁には、前記第2弁に対応する前記圧縮空気の通過する開口部の形状に応じた凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のコンプレッサ。
【請求項4】
前記ヘッド部は、前記ケース部の第1端部側に設けられた第1ヘッド部と、前記ケース部の第2端部側に設けられた第2ヘッド部を備え、前記第1弁と前記第2弁は、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコンプレッサ。
【請求項5】
原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサと、該圧縮空気から窒素を吸着する吸着剤を収容する吸着部材とを備える酸素濃縮装置であって、
前記コンプレッサは、ケース部と、前記ケース部に設けられて出力軸を有する駆動用モータと、
前記駆動用モータの前記出力軸の回転により動作し、前記原料空気を吸入し圧縮して前記圧縮空気を発生するヘッド部と、
前記ヘッド部に配置されて、前記原料空気を前記ヘッド内に取り込む際に開閉する第1弁と、前記ヘッド内で圧縮された前記圧縮空気を排出する際に開閉する第2弁を備え、
前記第1弁と前記第2弁は、プラスチックにより作られていることを特徴とする酸素濃縮装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−31793(P2012−31793A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172429(P2010−172429)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(396007694)株式会社医器研 (57)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(396007694)株式会社医器研 (57)
【Fターム(参考)】
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