説明

コンポジット材料の製造方法、コンポジット材料及びその使用

(a)少なくとも1種のポリマー、(b)少なくとも1種の層状化合物、及び(c)少なくとも1種の分散液を含む分散系(D)が噴霧によって乾燥される段階(E)を含む、コンポジット材料(M)の製造方法。(a')少なくとも1種のポリマー、(b')少なくとも1種の層状化合物、及び(d')乾燥状態の(a')の質量に対して少なくとも0.02質量%の少なくとも1種の界面活性剤を含み;200μm以下の質量平均直径D50を有する粒子からなる、コンポジット材料(M')。このコンポジット材料を加工するための方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2004年1月2日に提出された米国仮出願60/534,200号明細書の利益を要求する。
【0002】
本発明は、コンポジット材料の製造方法、コンポジット材料及びその使用に関する。
【0003】
近年、多くの研究努力が、コンポジット材料、特にナノコンポジット、すなわち、ナノスケールサイズの充填剤で強化されているポリマー(すなわち、その少なくとも1つの特徴的な寸法がナノメートル、実際には10ナノメートルのオーダーである)の開発に投資されている。そのようなコンポジットは、種々の分野、例えば自動車産業及び包装にそれらの用途が見出されている。それらは、ナノスケールの充填剤のサイズ及び高い異方性によって、注目すべき特性、例えば難燃性を示す。
【0004】
そのような充填剤は、事実上、層状化合物、例えば層状クレイの形態で場合によって有用(すなわち、適当な処理で有用)である。該クレイの特徴的な寸法は1〜100nmの寸法を有するそれらの厚みであり、但し、それらが自然に形成し且つサイズがより大きい凝集体から単離することができる。しかし、ポリマー鎖をクレイ小板間に挿入することができ、及びさらに、好ましくは、実際にナノスケールでポリマーに分散することができるようにクレイを剥離する(すなわち、その小板を分離する)ことができるのが望ましい。実際は、クレイは親水性物質であり、大部分のポリマーは疎水性物質である。従って、ポリマー分子がクレイの層状構造に浸透して分散するのを保証するには、一般的にクレイに対してさらなる有機親和性を与える修飾が必要である。
【0005】
従って、ポリマーマトリックスに挿入する前、例えばポリマーがその融点又はゲル化温度以上の温度になる加工操作中にクレイを適当な化合物(例えばアンモニウム又はホスホニウムタイプの有機界面活性剤、シランなど)で修飾するか、又は少なくとも1種の適当な物質、例えば膨潤剤によってクレイを現場で修飾することのいずれかを可能にする方法が、すでに提供されている。他の方法、例えば修飾されているクレイにおける現場でのある種のモノマーの重合、又はイオン交換現象後のクレイ小板間への溶液でのポリマーの直接導入を伴うものも、提供されている。それにも関わらず、これらの方法は、高価及び/又は所定のポリマーに特有な試薬によるクレイの前処理段階を伴うという不都合を示す。
【0006】
従って、特許出願WO 00/78540は、押出し機又は溶媒に溶解する方法を用いるナノコンポジットの製造のための界面活性剤(“オニウム”タイプの塩)によって修飾されているクレイの使用を開示している。しかし、この技術は、クレイの層状構造に容易に挿入されるポリマーに限定される。加えて、それはさらに大量に用いられる特定の界面活性剤による処理の分離段階に頼ることを必要とする。
米国特許第6057396号及び第6271297号明細書に関しては、それらは、“反応性”押出し中にクレイの小板間において現場で重合することのできるモノマーを好ましくは含む膨潤剤を用いて、クレイを膨潤させることからなる方法を開示している。従って、この方法は、現場で重合されたポリマーがナノコンポジットのマトリックスのポリマーと同一であるか又は適合性でなければならないために、任意のタイプのコンポジット材料の製造に適用可能ではない。
Aguilar-Solis C., Xu Y. and Brittain W.J. (Polymer Preprints, 2002, 43(2), 1019-20)は、それらの一部として、水性エマルジョンで調製される塩化ビニルホモポリマーのラテックスと、未修飾クレイの水性分散系との混合を提供している。この混合の後に凝固段階が続き、そこからナノコンポジットが生じる。従って、開示されているこの方法は、用いるのが困難であり、且つ押出しによる加工及びペースト(プラスチゾル)の製造に不適切な形態(粒子のサイズ及び形状)を有するコンポジット材料となる方法であるという不都合を示す。
【0007】
従って、本発明の目的は、特に高価な試薬によって予めクレイを修飾する必要のないコンポジット材料を得ることのできる方法であって、ポリマーの選択を限定せず、押出しによる加工及びペーストの製造に好適な形態を有するコンポジット材料を生成し、及び先行技術の方法の不都合を示すことなくそれらの全ての利点を示す方法を提供することである。
【0008】
従って、本発明は:
(a)少なくとも1種のポリマー、
(b)少なくとも1種の層状化合物、及び
(c)少なくとも1種の分散液、
を含む分散系(D)が噴霧によって乾燥される段階(E)を含むコンポジット材料(M)の製造のための方法に関する。
“噴霧による乾燥”という用語は、本発明の目的では、乾燥される生成物の微細な液滴としての分散系の乾燥を意味することが意図される。
【0009】
任意のガスを噴霧による乾燥に用いることができる。空気、窒素及び任意の他の不活性ガスがそれらの例である。好ましくは、噴霧による乾燥は空気を用いて行われ、特に好ましい方法では圧縮された空気である。
乾燥に用いられる入り空気の温度は、有利には100℃以上、好ましくは140℃以上及び特に好ましくは170℃以上である。乾燥に用いられる入り空気の温度は、有利には250℃以下、好ましくは210℃以下及び特に好ましくは200℃以下である。
乾燥から出る空気の温度は、有利には制御される。この温度は、好ましくは40℃以上、特に好ましくは55℃以上及び非常に特に好ましくは70℃以上である。出る空気の温度は、好ましくは100℃以下、特に好ましくは90℃以下、及び非常に特に好ましくは80℃以下である。
【0010】
噴霧による乾燥は、特に3つのタイプ、タービン噴霧、2つの流体ノズルによる圧縮空気を用いる噴霧及び流体によるノズルを用いる圧縮圧力減少による噴霧が可能である。“タービン噴霧による乾燥”という用語は、水性分散系が高速で回転する溝が彫られたディスクにおける分配後にタービンから容易に出る場合の乾燥を意味すると理解される。従って、乾燥空気による摩擦の結果生じる強い影響力は、一般的に15〜70μmの平均直径を有する粒子サイズの形成となる。“2つの流体ノズルによる圧縮空気を用いる噴霧による乾燥”という用語は、圧縮空気が2種の同心性部品を含む2つの流体ノズルの外箱において接線方向に動き、水性分散系が中央のパイプにおいて低圧下で飛末同伴される場合の乾燥を意味すると理解される。従って、パイプの出口における圧縮空気による吸引が、一般的に20〜40μmの平均直径を有する粒子サイズの形成を生じる高い摩擦力を造り出す。“流体によるノズルを用いる圧縮圧力減少による噴霧による乾燥”という用語は、予めポンプで圧縮されたポリマー分散系が、流体によるノズルの出口における圧力下で変形し、一般的に80〜150μmの平均直径を有するより大きな粒子サイズの生成物となる場合の乾燥を意味すると理解される。噴霧による乾燥は、好ましくはタービン噴霧による乾燥である。
【0011】
“少なくとも1種のポリマー”という用語は、分散系(D)が1種以上のポリマーを含むことを意味することが意図される。
ポリマーは、任意の化学的性質を有することができる。ポリマーは、好ましくは1種以上のエチレン系不飽和モノマーのポリマーである。“1種以上のエチレン系不飽和モノマーのポリマー”という用語は、エチレン系不飽和モノマーのホモポリマー及びこれらのモノマーが他のエチレン系不飽和モノマーと形成するコポリマーの両方を意味すると理解される。
【0012】
そのようなポリマーの例として挙げられ得るものは、ハロゲン化ポリマー、アクリル酸又はそのエステルのポリマー、メタクリル酸又はそのエステルのポリマー、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルのポリマー、アクリルアミド、メタクリルアミドノ又はそれらの誘導体のポリマー、酢酸ビニルのポリマー、エチレン(任意に塩素化されているエチレン)、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン及びその誘導体のポリマー;ポリアミド及びポリエステルである。
好ましくは、分散系は、ハロゲン化ポリマーである少なくとも1種のポリマーを含む。
“ハロゲン化ポリマー”という用語は、エチレン系不飽和ハロゲン化モノマーのホモポリマー及び後者がそれら自体及び/又は少なくとも1種のエチレン系不飽和非ハロゲン化モノマーと形成するコポリマーの両方を意味することが意図される。言い換えれば、ハロゲン化ポリマーは、有利には、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも70質量%の、エチレン系不飽和ハロゲン化モノマー由来のモノマー単位を含む。
【0013】
ハロゲン化ポリマーは、好ましくはフルオロポリマー及びクロロポリマーから選択される。
“フルオロポリマー”という用語は、フッ素化モノマーのホモポリマー及び後者が少なくとも1種の他のハロゲン化モノマー及び/又は別のエチレン系不飽和非ハロゲン化モノマー、例えばエチレン、酢酸ビニル及びアクリル又はメタクリルモノマーと形成するコポリマーを意味することが意図される。“フッ素化モノマー”という用語は、脂肪族であり、且つ唯一のヘテロ原子として1つ以上のフッ素原子及び任意にさらに1つ以上の塩素原子を有するエチレン系不飽和フッ素化モノマーを意味することが意図される。フッ素化モノマーの例として挙げられ得るものは、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、過フッ素化モノマー、例えばテトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン、塩素原子を有さず且つ1つのフッ素原子を有するフッ素化モノマー、例えばフッ化アリル及びフッ化ビニル、及び塩素原子を有さず且つ2つのフッ素原子を有するフッ素化モノマー、例えばフッ化ビニリデンである。
【0014】
特に好ましいのは、フッ化ビニリデンポリマーである。“フッ化ビニリデンポリマー”という用語は、本発明の目的では、少なくとも約50質量%のフッ化ビニリデン由来のモノマー単位を含む任意のポリマー、従ってフッ化ビニリデンホモポリマー及びフッ化ビニリデンと1種以上のエチレン系不飽和且つ有利にはフッ素化モノマーとのコポリマーを意味することが意図される。用いることのできる他のフッ素化モノマーの例として挙げられ得るのは、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンである。
【0015】
“クロロポリマー”という用語は、塩素化モノマーのホモポリマー及び後者が少なくとも1種の他のハロゲン化モノマー又は別のエチレン系不飽和非ハロゲン化モノマー、例えばビニルエステル、アクリル又はメタクリルモノマー、スチレンモノマー及びオレフィンモノマーと形成するコポリマーを意味することが意図される。クロロポリマーは、有利には少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも70質量%の塩素化モノマー由来のモノマー単位を含む。
“塩素化モノマー”という用語は、脂肪族であり、且つ、唯一のヘテロ原子として、1つ以上塩素原子を有するエチレン系不飽和塩素化モノマーを意味することが意図される。塩素化モノマーの例として挙げられ得るのは、1つの塩素原子を有する塩素化モノマー(例えば塩化アリル、塩化クロチル及び塩化ビニル)、2つの塩素原子を有する塩素化モノマー(例えば1,1-ジクロロプロペン、1,3-ジクロロプロペン、2,3-ジクロロプロペン及び塩化ビニリデン)、トリクロロエチレン、1,1,3-トリクロロプロペン及びテトラクロロエチレンである。
特に好ましいのは、塩化ビニルポリマーである。“塩化ビニルポリマー”という用語は、本発明の目的では、少なくとも約50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも70質量%のモノマー単位、及び非常に特に好ましくは少なくとも85質量%の塩化ビニル由来のモノマー単位を含む任意のポリマー、従って塩化ビニルホモポリマー及び塩化ビニルと1種以上のエチレン系不飽和モノマーとのコポリマーの両方を意味することが意図される。塩化ビニルと共重合することのできるエチレン系不飽和モノマーの例として挙げられ得るのは、フッ素化モノマー、例えばフッ化ビニリデン、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、アクリルモノマー、例えばn-ブチルアクリレート、スチレンモノマー、例えばスチレン、又はオレフィンモノマー、例えばエチレン、プロピレン及びブタジエンである。
【0016】
ハロゲン化ポリマーは、特に好ましくはクロロポリマーである。優れた結果が、塩化ビニルホモポリマーで得られている。
本発明の方法の好ましい別の態様では、分散系が単一のポリマーのみを含む。このポリマーは、好ましくはハロゲン化ポリマー、特に好ましくはクロロポリマー、非常に特に好ましくは塩化ビニルポリマー及びさらに非常に特に好ましくは塩化ビニルホモポリマーである。
分散系(D)の質量に対するポリマーの質量%で表される分散系(D)におけるポリマーの量は、任意の値をとることができる。ポリマーの量は、好ましくは8〜70%である。
【0017】
ポリマーは、任意の重合方法によって得ることができる。ポリマーは、好ましくはラジカル付加重合方法によって得られる。ラジカル付加重合方法の例として挙げられ得るのは、水性懸濁、溶液、水性微細懸濁、水性乳化及びバルク重合方法である。分散系が、ハロゲン化ポリマー、好ましくは塩化ビニルポリマー(非常に特に好ましいのは塩化ビニルホモポリマー)である少なくとも1種のポリマーを含む特別な場合では、後者が好ましくは水性微細懸濁重合方法及び水性乳化重合方法から選択される重合方法によって得られる。
【0018】
“水性乳化ラジカル重合”という用語は、本発明の目的では、水溶性ラジカル開始剤及び乳化剤の存在下における水性媒体で行われる任意のラジカル重合方法を意味することが意図される。
均質化されている水性分散ラジカル重合としても知られている“水性微細懸濁ラジカル重合”という用語は、本発明の目的では、油溶性開始剤及び乳化剤の存在下における水性媒体で行われ、且つモノマーの液滴のエマルジョンが強力な機械的攪拌によって製造される任意のラジカル重合方法を意味することが意図される。
“少なくとも1種の層状化合物”という用語は、分散系(D)が1種以上の層状化合物を含むこと意味することが意図される。
【0019】
層状化合物は、無機化合物又は有機/無機ハイブリッドであり得る。層状化合物は、好ましくは天然又は合成層状クレイである。層状クレイとして挙げられ得るのは、バーミキュライト、セリサイト、ハロイサイト、カオリナイト、マイカ、スメクタイト、ハイドロタルサイト及びラポナイト(登録商標)合成クレイである。層状化合物は、特に好ましくはスメクタイト、ハイドロタルサイト及びラポナイト(登録商標)クレイから選択される。層状化合物は、非常に特に好ましくはスメクタイト及びラポナイト(登録商標)クレイから選択される。スメクタイトの例として挙げられ得るのは、モンモリロナイト、ベントナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、ステベンサイト及びソーコナイトである。モンモリロナイト及びベントナイトがスメクタイトの中では好ましく、非常に特に好ましいのはモンモリロナイトである。モンモリロナイトの例として挙げられ得るのは、モンモリロナイトナトリウム、モンモリロナイトナトリウム/カルシウム又は有機修飾モンモリロナイト、例えば第四級アルキルアンモニウムで修飾されたものなどのモンモリロナイトである。良好な結果が、モンモリロナイトナトリウムで得られている。
【0020】
好ましくは、分散系が、スメクタイト及びラポナイト(登録商標)クレイから選択される少なくとも1種の層状化合物を含む。
本発明の方法の好ましい別の態様では、分散系が単一の層状化合物のみを含む。後者は好ましくは、スメクタイト、好ましくはモンモリロナイト及び特に好ましくはモンモリロナイトナトリウム、及びラポナイト(登録商標)クレイから選択される。
乾燥状態のポリマーの質量に対する乾燥状態の層状化合物の質量%で表される分散系(D)における層状化合物の量は、任意の値にすることができる。層状化合物の量は、好ましくは0.001〜20%、特に好ましくは0.01〜10%及び非常に特に好ましくは0.5〜6%である。
【0021】
“少なくとも1種の分散液”という用語は、分散系(D)が1種以上の分散液を含むことを意味することが意図される。
分散液は、任意の化学的性質を有することができる。分散液は、好ましくは極性化合物である。極性化合物の例として挙げられ得るのは、アミド、例えばジメチルホルムアミド、アルコール、例えばエタノール、エーテル、例えばジエチルエーテル、及び水である。好ましくは、分散系は、分散液として少なくとも水を含む。本発明の方法の好ましい別の態様では、分散系が単一の分散液のみを含む。後者は好ましくは水である。
分散系(D)の質量に対する分散液の質量%で表される、分散系(D)における分散液の量は、任意の値にすることができる。分散液の量は、好ましくは30〜90%、特に好ましくは40〜80%及び非常に特に好ましくは50〜70%である。
分散系(D)は、さらに有利には(d)少なくとも1種の界面活性剤を含む。
“少なくとも1種の界面活性剤”という用語は、分散系(D)が1種以上の界面活性剤を含むこと意味することが意図される。
【0022】
界面活性剤は、有利には分散剤又は乳化剤である。分散剤の例として挙げられ得るのは、ポリビニルアルコール、ゼラチン又はメチルセルロースである。乳化剤の例として挙げられ得るのは、非イオン性乳化剤、例えばエトキシ化アルキルフェノール、又はアニオン性乳化剤である。界面活性剤は、好ましくはアニオン性乳化剤である。アニオン性乳化剤の例として挙げられ得るのは、カルボン酸アルキル塩、スルホン酸アルキル塩、スルホン酸アリールアルキル塩、硫酸アルキル塩又は脂肪酸塩である。界面活性剤は、特に好ましくはスルホン酸アリールアルキル塩、硫酸アルキル塩又は脂肪酸塩である。スルホン酸アリールアルキル塩の例として挙げられ得るのは、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。硫酸アルキル塩の例として挙げられ得るのは、ラウリル硫酸ナトリウムである。脂肪酸塩の例として挙げられ得るのは、ミリスチン酸アンモニウムである。非常に特に好ましくは、界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム又はミリスチン酸アンモニウムである。
【0023】
乾燥状態のポリマーの質量に対する界面活性剤の質量%で表される分散系(D)における界面活性剤の量は、任意の値にすることができる。乾燥状態のポリマーの質量に対する界面活性剤の質量%で表される界面活性剤の量は、好ましくは0.02%よりも大きく、特に好ましくは0.2%以上、及び非常に特に好ましくは0.5%以上である。乾燥状態のポリマーの質量に対する界面活性剤の質量%で表される分散系(D)における界面活性剤の量は、好ましくは4%以下、特に好ましくは2%以下、及び非常に特に好ましくは1.5%以下である。
【0024】
該方法は、有利には段階(E)の前に、分散系(D)の調製段階(E')を含む。分散系(D)は、好ましくは:
少なくとも(a)を含む分散系(A)を(b)と混合すること、又は
少なくとも(a)を含む分散系(A)を、少なくとも(b)を含む分散系(B)と混合すること、又は
(b)及び、適切な場合には、(d)の存在下において、ポリマー(a)を得るための、(c)における少なくとも1種のモノマーの重合、
によって調製される。
分散系(D)は、特に好ましい方法では:
(a)、(c)及び、適切な場合には、(d)を含む分散系(A)を(b)と混合すること、又は
(a)、一部の(c)及び、適切な場合には、(d)を含む分散系(A)を、(b)及び残りの(c)を含む分散系(B)と混合すること、
によって調製される。
分散系(D)は、非常に特に好ましい方法では、(a)、一部の(c)及び、適切な場合には、(d)を含む分散系(A)を、(b)及び残りの(c)を含む分散系(B)と混合することによって調製される。
【0025】
解膠剤を本発明の分散系に加えるのが有利となり得る。従って、本発明の方法の好ましい態様では、分散系はさらに(e)少なくとも1種の解膠剤を含む。
“解膠剤”という用語は、本発明の目的では、層状化合物のコロイド性分散の形成を促進させ、且つ層状化合物の小板間における静電気的相互作用を阻害することによってその粘度を減少させる化合物を意味することが意図される。
解膠剤は、アルカリ金属ホスフェート及びアルカリ金属ポリホスフェートから選択することができる。
【0026】
アルカリ金属ホスフェートの中で挙げられ得るのは、結晶又は無水物形態のモノナトリウムホスフェート(NaH2PO4)、ジナトリウムホスフェート(Na2HPO4)、トリナトリウムホスフェート(Na3PO4)及びそれらのカリウム同等物である。
アルカリ金属ポリホスフェートの中で挙げられ得るのは、アルカリ金属ピロホスフェート、アルカリ金属トリポリホスフェート及びアルカリ金属テトラポリホスフェートである。
アルカリ金属ピロホスフェートの中で挙げられ得るのは、結晶又は無水物形態の結晶性テトラナトリウムピロホスフェート(Na4P2O7・10H2O)、無水テトラナトリウムピロホスフェート(Na4P2O7)、ナトリウムピロホスフェート(Na2H2P2O7)及びそれらのカリウム同等物である。
アルカリ金属トリポリホスフェートの中で挙げられ得るのは、結晶又は無水物形態のペンタナトリウムトリポリホスフェート(Na5P3O10)及びそのカリウム同等物である。
アルカリ金属テトラポリホスフェートの中で挙げられ得るのは、結晶又は無水物形態のヘキサナトリウムテトラポリホスフェート(Na6P4O13)及びそのカリウム同等物である。
解膠剤は、好ましくはアルカリ金属ポリホスフェート、特に好ましくはアルカリ金属ピロホスフェート及び非常に特に好ましくは無水テトラナトリウムピロホスフェート及び結晶性テトラナトリウムピロホスフェートから選択される。
【0027】
乾燥状態の層状化合物の質量に対する無水解膠剤の質量%で表される分散系(D)における解膠剤の量は、有利には0.1〜15、好ましくは0.2〜10及び特に好ましくは0.3〜9である。
解膠剤(e)は、任意の方法で加えることができる。第一の別の態様では、それは段階(E')の前に固体状態で、それ自体が固体状態の層状化合物(b)に加えられる。第二の好ましい別の態様では、それは固体状態で、少なくとも(a)を含む分散系(A)と段階(E')中に製造された(b)との混合物に加えられる。第三の好ましい別の態様では、それは段階(E')の前に固体状態で、少なくとも(b)を含む分散系(B)に加えられる。第四の好ましい別の態様では、固体状態の層状化合物(b)が、分散液(c)における解膠剤(e)の分散系に加えられ、分散系(B)を構成する。第一、第二及び第三の別の態様が、特に好ましい。第一の別の態様が、非常に特に好ましい。
【0028】
本発明の方法の好ましい態様では、(a)、一部の(c)及び、適切な場合には、(d)を含む分散系(A)を、固体状態の解膠剤(e)と予め混合されている固体状態の(b)、及び残りの(c)を含む分散系(B)と混合することによる分散系(D)の調製が、良好な結果を与える。
該方法は、段階(E)に続いて、有利には少なくとも1つの段階(E'')を含み、コンポジット材料が処理されてそれらの形態を調整する。コンポジット材料の形態は、材料の粒子の質量平均直径D50及び/又は平均縦横比によって定義される。“質量平均直径D50”及び“平均縦横比”という用語は、実施例の記述部分で定義される。
コンポジット材料の形態は、ミリング、分級又はミリング後に続く分級によって、限定されることなく調整することができる。
【0029】
また、本発明の別の主題は、先行技術のコンポジット材料の不都合を示すことなく、それらに対して多数の利点を示すコンポジット材料である。
このために、本発明の主題はまた:
(a')少なくとも1種のポリマー、
(b')少なくとも1種の層状化合物、及び
(d')乾燥状態の(a')の質量に対して少なくとも0.02質量%の少なくとも1種の界面活性剤を含む;200μm以下の質量平均直径D50を有する粒子からなる、コンポジット材料(M')にも関する。
本発明のコンポジット材料は、好ましくは粉末形態である。
【0030】
従って、本発明のコンポジット材料は、200μm以下、好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下及び非常に特に好ましくは50μm以下の質量平均直径D50を有する粒子からなる。
本発明のコンポジット材料は、有利には2μm以下、好ましくは5μm以下、特に好ましくは10μm及び非常に特に好ましくは20μm以下の質量平均直径D50を有する粒子からなる。
ポリマー(a')は、好ましさの程度に関わらず、ポリマー(a)と同様の特徴に一致する。
層状化合物(b')は、好ましさの程度に関わらず、層状化合物(b)と同様の特徴に一致する。
界面活性剤(d')は、好ましさの程度に関わらず、界面活性剤(d)と同様の特徴に一致する。
本発明のコンポジット材料は、(e')少なくとも1種の解膠剤をさらに含む。解膠剤(e')は、好ましさの程度に関わらず、解膠剤(e)と同様の特徴に一致する。
【0031】
乾燥状態のポリマーの質量に対する界面活性剤の質量%で表される本発明のコンポジット材料における界面活性剤の量は、0.02%以上、好ましくは0.2%以上及び特に好ましくは0.5%以上である。乾燥状態のポリマーの質量に対する界面活性剤の質量%で表される本発明のコンポジット材料における界面活性剤の量は、好ましくは4%以下、特に好ましくは2%以下及び非常に特に好ましくは1.5%以下である。
本発明のコンポジット材料の他の成分の割合は、好ましさの程度に関わらず、本発明の方法で用いられる分散系(D)の成分における同様の特徴と同一であり、一致する。
【0032】
本発明のコンポジット材料は、任意のタイプの構造を有することができる。前記材料の構造は、好ましくは層間構造又は剥離構造、特に好ましくは剥離構造である。“層間構造”という用語は、ポリマーが規則正しい方向に層状化合物の層間に、数ナノメートルの増加し繰り返される層間の距離で位置している場合の構造を意味すると理解され、“剥離構造”という用語は、層状化合物の層が、無作為にポリマー又はポリマーの混合物中に分散され、且つ層状化合物のX線回折ピーク特性が無いことによって特徴づけられる構造を意味すると理解される。
本発明のコンポジット材料は、有利には4以下、好ましくは3以下及び特に好ましくは1.5以下の平均縦横比を有する粒子からなる。
本発明のコンポジット材料は、有利には本発明の方法によって得られる。
【0033】
本発明の主題はまた、プラスチゾルが調製される段階(E''')を含む本発明のコンポジット材料を加工するための方法でもある。“プラスチゾル”という用語は、少なくとも1種の可塑剤における少なくとも1種のポリマーのコロイド性懸濁液を意味すると理解され、懸濁液は長時間にわたって比較的安定であり、その主要な特徴は流体力学的な挙動である。
最後に、本発明の主題は、コンポジット材料のポリマーがその融点又はゲル化温度以上の温度になる段階(E'''')を含む該材料を加工するための方法である。
段階(E'''')を含む該加工方法によるコンポジット材料は、有利には少なくとも1種の添加剤と混合される。
該添加剤は、任意の化学的性質を有することができる。添加剤の例として挙げられ得るのは、安定化剤、潤滑剤、加工助剤、充填剤、剛性改質剤、顔料及び可塑剤である。
【0034】
本発明は、高価な試薬及び/又は所定のポリマーに特定の試薬によるクレイの前処理段階の不都合を示すことなく、剥離構造を有するコンポジット材料を容易に得ることのできる方法を提供する。本発明の分散系への解膠剤の添加は、有利には、形成されたプラスチゾルの粘度に損傷を与えずに、分散系の低粘度によって該分散系を乾燥するための条件を改善する。本発明のこの別の態様は、大きなスケールへ外挿されるとき、プラントの清掃を考える前により長い乾燥操作を行うことができる。
本発明はまた、有利な特徴、例えばより優れた形態(粒子のサイズ、縦横比)、さらにより優れた流れ(流動性)を示すコンポジット材料を得ることもできる。
本発明はまた、前記材料から、よりよい剛性を示す物品を調製することもでき、該物品は、ポリマーの分子量を減らして剛性を増加させる。最後に、本発明は、前記材料から有利な粘度特性、例えば低い剪断速度でより高い粘度を示すプラスチゾルを調製することができる。
【0035】
以下の例を、その範囲に限定することなく、本発明を説明するのに用いる。
以下の例で用いられる分析及び測定は、以下に説明されるように行った。
【0036】
質量平均直径D50の測定
質量平均直径D50は、Standard ISO 1624によって測定される篩に保持された材料の結果の直線的な内挿によって計算され、調査された粉末の50質量%が保持される材料レベルをもたらす篩サイズに対応する。用いられる篩は、20、32、45、63、90、100、125、150及び250μmのメッシュサイズを有した。保持された材料は、篩上で直接乾燥した。
平均縦横比の測定
平均縦横比は以下の式によって定義される:
【数1】

式中、Fiは粒子iの縦横比、すなわち粒子iの最も小さい寸法に対する最も大きい寸法の比であり、及びnは粒子iの数である。各粒子iの最も大きい寸法及び最も小さい寸法は、拡大率600×におけるLeo(登録商標)DSM982走査型顕微鏡を用いる電子顕微鏡検査によって得られる画像で測定した。
【0037】
光学顕微鏡検査による分析
ミクロトーム(microtomic)切片(厚み15μm)を、Leitz(登録商標)滑りミクロトームを用いて調製した。光学顕微鏡による分析を、120×〜240×の拡大率、偏光/分析光で、ReichertからのPolyvar(登録商標)顕微鏡を用いて行った。
電子顕微鏡検査による分析
ミクロトーム切片(厚み15μm)を、ReichertからのSupernova(登録商標)装置を用いて調製した。
電子顕微鏡検査による調査を、10000×〜100000×の拡大率で、SiemensからのElmiskop(登録商標)102装置を用いて行った。
【0038】
K値の測定
K値を、Standard ISO 1628/2によって測定した。
剛性の測定
DMTS剛性、すなわちセ氏温度の関数としてのMPaにおける貯蔵弾性率を、Gabo(登録商標)DMTS装置、Eplexor(登録商標)500Nモデルを用いて、引張応力モードに従い、20Hzの周波数、20〜150℃、1分当たり2℃の温度勺配で測定した。
衝撃強度の測定
ジュール(J)における引張衝撃強度を、Standard ISO 8256に従って周囲温度で測定した。
水におけるモンモリロナイト分散系の粘度の測定
粘度を、23℃において、間隙4.2mmを有するZ20 DIN Ti外形の回転子を備えるHaake(登録商標)RS1レオメーターを用いて測定した。
分散系(モンモリロナイト分散系及びポリマー分散系の混合物)の粘度の測定
粘度を、23℃において、Spindle 1回転子を備えるBrookfield(登録商標)RVDE粘度計を用いて測定した。粘度は、1回転/分の回転速度で測定した。
プラスチゾルの粘度の測定
粘度を、23℃において、MS108測定体を有するMettler Toledoからの粘度計を用いて測定した。
【0039】
例1(本発明による)
1.1. モンモリロナイト分散系
6.30kgの脱塩水を、まずは攪拌機を備える容器に入れ、続いて穏やかに攪拌しながらIkaからの0.70kgのIKOMONO NA-F WHITEモンモリロナイトナトリウムを徐々に加えた。その後、該容器を蓋を用いて密閉し、該混合物をさらに強力に5分間攪拌した。得られた水中のモンモリロナイト分散系は、不透明、灰色及び特に粘稠性であった。
1.2. ポリマー分散系
微細懸濁重合によって得られ、以下の特徴を含む塩化ビニルホモポリマーの水性分散系を用いた。固形分は、水性分散系の質量に対して47質量%であった。K値は72であった。乳化剤の量は、乾燥状態のポリマー1kg当たり12gのドデシルベンゼンスルホネートナトリウムであった。
1.3. 混合及び乾燥
7kgのモンモリロナイト分散系を、穏やかに攪拌しながら29.79kgのポリマー分散系に加えた。続いて、この混合物を、以下の条件下で120mmの直径を有するFU11タービンを備えるNiroからのMinor P-6.3ドライヤーを用いる噴霧によって乾燥した。タービンの回転速度は10500回転/分にした。入り空気の温度は178℃にした。出る空気の温度は78℃にした。このようにして、モンモリロナイト及び塩化ビニルホモポリマーを含むコンポジット材料が得られた。得られたコンポジット材料の質量平均直径D50は、上記の方法で測定して38μmであった。上記のように測定される平均縦横比は1.25であった。
1.4. 加工
1.3.で得られた100gのコンポジット材料を、3gのCa/Znタイプの熱安定化剤及び6gのアクリルタイプの衝撃強化剤に加えた。該組成物は、165℃で直径150mmのロールを備えるCollinからのロールミルで混合することによって加工した。クレープ(crepe)を175℃の温度でLafargeからの30T水力プレスでプレスすることによってプラーク形態にプレスした。
【0040】
例2(本発明による)
2.1. モンモリロナイト分散系
モンモリロナイト分散系を、例1に記載のように調製した。
2.2. ポリマー分散系
微細懸濁重合によって得られ、以下の特徴を含む塩化ビニルホモポリマーの水性分散系を用いた。固形分は、水性分散系の質量に対して44質量%であった。K値は60であった。乳化剤の量は、乾燥状態のポリマー1kg当たり12gのドデシルベンゼンスルホネートにした。
2.3. 混合及び乾燥
7kgのモンモリロナイト分散系を、穏やかに攪拌しながら31.82kgのポリマー分散系に加えた。続いて、この混合物を例1に記載のように噴霧によって乾燥した。このようにして、モンモリロナイト及び塩化ビニルホモポリマーを含むコンポジット材料が得られた。
2.4. 加工
2.3. で得られたコンポジット材料に基づく組成物を、例1に記載のように調製した。
【0041】
例3(比較例)
調製は、モンモリロナイト分散系を加えないことを除き、例1のように行った。
【0042】
例4(比較例)
調製は、混合を行うときに7gのモンモリロナイトを乾燥したポリマーに加えたことを除き、例3のように行った。
【0043】
例5(例1〜4で得られたプラークの評価)
5.1. 光学顕微鏡検査、電子顕微鏡検査及びX線回折による分析
光学顕微鏡検査による分析は、例1〜4のプラーク(図1及び2)において上記のように行った。これらの分析は、例1のプラークが1mm2の領域に2μm以上の厚みを有する21の凝集体を含み、比較例4のプラークが同様の領域に159の凝集体を含むことを示した。
切片における透過型電子顕微鏡検査による分析を、例1のプラーク(図3)において上記のように行った。この分析は、多数の単離したモンモリロナイト小板及びいくつかの薄い塊の存在を示し、これは層状充填剤が大きく剥離されていることを示唆している。
X線回折分析を、例1及び4のプラークで行った。最初のモンモリロナイトの回折ピーク特性は、例1のプラークでは検出されなかった。最初のモンモリロナイトに対応する1nmの面間距離による回折ピークが、比較例4のプラークで検出された。
これらの種々の分析は、モンモリロナイトが例1で剥離されたこと、及びモンモリロナイトが比較例4で剥離されなかったことを示唆している。
5.2. 剛性の測定
例1、2、3及び4のプラークの剛性及び衝撃強度を、上記のように評価した。この結果を表1に表す。剛性も図4に表されており、縦軸がMpaで表される貯蔵弾性率及び横軸がセ氏温度である。曲線1、2、3及び4は、例1、2、3及び4のプラークに対応する。これらの曲線の検討は、例1及び2のプラークが比較例3及び4のプラークよりも高い剛性を有することを示している。例2のプラークの貯蔵弾性率及び衝撃強度は、より低い分子量のポリマーにもかかわらず、例1のプラークよりも高いことが見出された。





【0044】

N.M. = 測定されず
【0045】
例6(本発明による)
6.1. モンモリロナイト分散系
モンモリロナイト分散系を、例1に記載のように調製した。得られた水中のモンモリロナイトの分散系は、不透明、灰色及び特に粘稠性であった。2s-1の勺配で上記のように測定したその粘度は、42.5Pa.sであった。
6.2. ポリマー分散系
乳化重合によって得られ、以下の特徴を含む塩化ビニルホモポリマーの水性分散系を用いた。固形分は、水性分散系に対して41.3質量%であった。K値は70であった。乳化剤の量は、乾燥状態のポリマー1kg当たり6.3gのラウリル硫酸ナトリウム及び7.5gのミリスチン酸アンモニウムとした。
6.3. 混合及び乾燥
7kgのモンモリロナイト分散系を、穏やかに攪拌しながら33.90kgのポリマー分散系に加えた。得られた分散系の粘度を上記のように測定し、7.26Pa.s.であった。続いて、この分散系を、以下の条件下で120mmの直径を有するFU11タービンを備えるNiroからのMinor P6.3乾燥機を用いる噴霧によって乾燥した。タービンの回転速度は10500回転/分にした。入り空気の温度は190℃とした。出る空気の温度は73℃であった。このようにして、モンモリロナイト及び塩化ビニルホモポリマーを含むコンポジット材料が得られた。
6.4. 加工
プラスチゾルは、以下の条件下でVMA-Getzmann GmbH VerfahrenstechnikからのDispermat(登録商標)混合機を用いて6.3.で調製した100gのコンポジット材料及び150gのジイソノニルフタレート可塑剤を混合することによって調製した。回転速度は2000回転/分にした。温度は23℃にした。混合時間は5分にした。真空下で混合物に存在する酸素を脱気した後、プラスチゾルを2時間静置した。
【0046】
例7(比較例)
調製は、モンモリロナイト分散系を加えなかったことを除き、例6のように行った。
【0047】
例8(例6及び7で調製したプラスチゾルの評価)
例6及び7のプラスチゾルの粘度を、上記のように評価した。測定サイクルは、5から700s1及び続いて700から5s1の剪断速度で行った。該評価は図5に表し、縦軸はPa.sで表される粘度、及び横軸はs-1で表される剪断速度である。曲線6及び7は、例6及び7のプラスチゾルに対応する。これらの曲線の検討は、例6のプラスチゾルの粘度が、例7のものの粘度よりも高いことを示している。さらに、例6のプラスチゾルは、剪断速度を増加させても減少させても、低い剪断速度における粘度の増加によって特徴付けられる擬似塑性挙動を示す。
【0048】
例9〜11(比較例)
モンモリロナイト分散系及びポリマー分散系を、例1に記載のように調製した。
混合及び凝固
70gのモンモリロナイト分散系を、穏やかに攪拌しながら298gのポリマー分散系に加えた。続いて、この混合物を硫酸マグネシウム水溶液(0.1N)の添加によって凝固させた。この操作は、攪拌機の周りに混合物の硬化した固体を導いた(例9)。第二の凝固テスト(例10)を、同様の条件下であるが強力に攪拌しながら行った。それは同様の結果を導いた。第三のテスト(例11)を、塩化カルシウム水溶液を用いて行った。それは同様の結果を導いた。これらの凝固からの生成物は、それらの形態が扱い及び乾燥を特に困難にしたために、さらに評価しなかった。
【0049】
例12(本発明による)
12.1.ラポナイト(登録商標)RDSクレイの分散系
6.3kgの脱塩水を、まずは攪拌機を備えた容器に入れ、続いて、穏やかに攪拌しながらRockwoodからの0.70kgの合成クレイであるラポナイト(登録商標)RDSを徐々に導入した。このクレイは、乾燥状態のクレイの質量に対して8.24質量%の無水テトラナトリウムピロホスフェートの割合でテトラナトリウムピロホスフェートを含む。続いて、この容器を蓋を用いて密閉し、この混合物を5分間さらに強力に攪拌した。得られた水中のラポナイト(登録商標)クレイの分散系は、透明であり、非常に粘稠性でなかった。
12.2. ポリマー分散系
水性ポリマー分散系を例6に記載のように調製した。
12.3. 混合及び乾燥
7kgのラポナイト(登録商標)クレイの分散系を、穏やかに攪拌しながら33.90kgのポリマー分散系に加えた。その後、この混合物を、以下の条件下で120mmの直径を有するFU11タービンを備えるNiroからのMinor P6.3乾燥機を用いる噴霧によって乾燥した。タービンの回転速度は10500回転/分にした。入り空気の温度は190℃とした。出る空気の温度は73℃であった。このようにして、ラポナイト(登録商標)クレイ及び塩化ビニルホモポリマーを含むコンポジット材料が得られた。
12.4. 加工
プラスチゾルは、以下の条件下でVMA-Getzmann GmbH VerfahrenstechnikからのDispermat(登録商標)混合機を用いて12.3.で調製した100gのコンポジット材料及び150gのジイソノニルフタレート可塑剤を混合することによって調製した。回転速度は2000回転/分にした。温度は23℃にした。混合時間は5分にした。真空下で混合物に存在する酸素を脱気した後、プラスチゾルを2時間静置した。
【0050】
例13(本発明による)
13.1. テトラナトリウムピロホスフェートの添加によるモンモリロナイト分散系
1kgのIKOMONT NA-F WHITEナトリウムモンモリロナイト粉末当たり4gの無水テトラナトリウムピロホスフェート粉末を、まずはガラス棒を用いてビーカーで混合した。6.3kgの脱塩水をまずは攪拌機を備える容器に入れ、続いて70.3gのモンモリロナイト/ピロホスフェート混合物を穏やかに攪拌しながら徐々に加えた。続いて、この容器を蓋を用いて密閉し、この混合物を5分間さらに強力に攪拌した。
得られた水中のモンモリロナイトの分散系は、不透明、灰色であり、非常に粘稠性ではなかった。2s-1の勺配で上記のように測定したその粘度は9.2Pa.s、すなわち例6の場合よりも著しく低かった。
13.2. ポリマー分散系
水性ポリマー分散系を、例6に記載のように調製した。
13.3. 混合及び乾燥
7kgのモンモリロナイト分散系を、穏やかに攪拌しながら33.90kgのポリマー分散系に加えた。得られた分散系の粘度は、上記のように測定すると0.41Pa.s、すなわち実質的に例6の場合よりも低かった。その後、この分散系を、以下の条件下で120mmの直径を有するFU11タービンを備えるNiroからのMinor P6.3乾燥機を用いる噴霧によって乾燥した。タービンの回転速度は10500回転/分にした。入り空気の温度は190℃とした。出る空気の温度は73℃であった。このようにして、モンモリロナイト及び塩化ビニルホモポリマーを含むコンポジット材料が得られた。
13.4. 加工
プラスチゾルは、以下の条件下でVMA-Getzmann GmbH VerfahrenstechnikからのDispermat(登録商標)混合機を用いて13.3.で調製した100gのコンポジット材料及び150gのジイソノニルフタレート可塑剤を混合することによって調製した。回転速度は2000回転/分にした。温度は23℃にした。混合時間は5分にした。真空下で混合物に存在する酸素を脱気した後、プラスチゾルを2時間静置した。
【0051】
例14(例12及び13で調製したプラスチゾルの評価)
例12及び13のプラスチゾルの粘度を、上記のように評価した。測定サイクルは、5から700s1及び続いて700から5s1の剪断速度で行った。該評価は図6に表し、縦軸はPa.sで表される粘度、及び横軸はs-1で表される剪断速度である。曲線12及び13は、例12及び13のプラスチゾルに対応する。これらの曲線の検討は、例12及び例13のプラスチゾルの粘度が、例6のプラスチゾルのものと類似することを示している。さらに観察され得るのは、例13の乾燥前に分散系の粘度が例6のものの粘度よりも実質的に低いにも関わらず、得られたプラスチゾルの粘度が類似することである。さらに、例12及び13のプラスチゾルは、例6のものとちょうど同じように、剪断速度を増加させても減少させても、低い剪断速度における粘度の増加によって特徴付けられる擬似塑性挙動を示す。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のポリマー、
(b)少なくとも1種の層状化合物、及び
(c)少なくとも1種の分散液、
を含む分散系(D)が噴霧によって乾燥される段階(E)を含む、コンポジット材料(M)の製造方法。
【請求項2】
ポリマーがハロゲン化ポリマーである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ハロゲン化ポリマーが、水性微細懸濁重合方法及び水性乳化重合方法から選択される重合方法によって得られる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
層状化合物が、スメクタイト及びラポナイト(登録商標)クレイから選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
分散系(D)が、(d)少なくとも1種の界面活性剤をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該分散系(D)が、(a)、一部の(c)及び、適切な場合には、(d)を含む分散系(A)を、(b)及び残りの(c)を含む分散系(B)と混合することによって調製される分散系(D)の調製段階(E')を、段階(E)の前に含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
分散系(D)が、(e)少なくとも1種の解膠剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
コンポジット材料を処理してその形態を調整する少なくとも1種の段階(E'')を、段階(E)の後に含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
(a')少なくとも1種のポリマー、
(b')少なくとも1種の層状化合物、及び
(d')乾燥状態の(a')の質量に対して少なくとも0.02質量%の少なくとも1種の界面活性剤を含み;200μm以下の質量平均直径D50を有する粒子からなる、コンポジット材料(M')。
【請求項10】
100μm以下の質量平均直径D50を有する粒子からなる、請求項9記載のコンポジット材料又は請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法によって調製されるコンポジット材料。
【請求項11】
10μm以下の質量平均直径D50を有する粒子からなる、請求項9及び10のいずれか1項に記載のコンポジット材料又は請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法によって調製されるコンポジット材料。
【請求項12】
4以下の平均縦横比を有する粒子からなる、請求項9〜11のいずれか1項に記載のコンポジット材料又は請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法によって調製されるコンポジット材料。
【請求項13】
プラスチゾルが調製される段階(E''')を含む、請求項9〜12のいずれか1項に記載のコンポジット材料又は請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法によって調製されるコンポジット材料を加工するための方法。
【請求項14】
前記材料のポリマーがその融点又はゲル化温度以上の温度にされる段階(E'''')を含む、請求項9〜12のいずれか1項に記載のコンポジット材料又は請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法によって調製されるコンポジット材料を加工するための方法。

【公表番号】特表2007−518845(P2007−518845A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544425(P2006−544425)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053436
【国際公開番号】WO2005/058750
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ (252)
【Fターム(参考)】