説明

コンポーネントを順序付けて固定することによる電子モジュールの生産方法

本発明は、プリント回路(4)基板(3)と、少なくとも1つの第1タイプのコンポーネント(5)と、第2タイプのコンポーネント(6)とを含む電子モジュール(2)の製造方法に関し、半田を基板上に置く段階と、第1タイプのコンポーネントを位置付けする段階と、第1タイプのコンポーネントを半田付けするために、半田を溶解させる段階と、第2タイプのコンポーネントが第1タイプのコンポーネントの上まで達するように位置付けし、かつ、半田によって基板上に支持される複数のパッド(7)を有するように、第2タイプのコンポーネントを位置付けする段階と、第2タイプのコンポーネントを半田付けするために、半田を溶解する段階とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車分野において使用しうる電子モジュールの生産方法とその生産ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
電子モジュールは、通常、その上にコンポーネントが半田付けされているプリント回路基板を備えている。
【0003】
現在の生産方法は、複数の段階、すなわち、通常はペースト状の半田を、基板上に置く段階と、コンポーネントを基板上で位置付けする段階と、基板をリフローオーブンへ通過させることによって、半田を溶解する段階とを有している。この半田を溶解させる段階は、普通、コンポーネントの半田付け段階と呼ばれている。
【0004】
基板上に大寸のコンポーネントが存在する場合、または、基板のある区域にコンポーネントが集中していると、基板内の温度勾配が生じ、基板の各種の領域が、同時にリフローオーブンの設定点温度に達しなくなる。この温度傾斜は、高熱に耐えてきた基板、およびコンポーネントの両者に、熱応力を引き起こす。この熱応力は、コンポーネントの性能を低下させ、かつ老化を早める原因となる。この温度勾配を防止するか、または抑制するためには、各タイプのモジュールに応じて、リフローオーブンの熱を制御する必要があるが、この制御は容易ではない。
【0005】
また、大きなコンポーネントが、小さなコンポーネントやその部品を遮蔽するため、半田が好適に溶解するのを妨げることとなる。
【0006】
その上、大きなコンポーネントは他のコンポーネントを遮蔽するため、遮蔽されたコンポーネントの目視での点検はできなくなる。
【0007】
さらに、リフローオーブンを使用する公知の方法によると、リフローオーブン内で走行するコンポーネントの最大高さが制限される。
【0008】
さらに、半田の組成に関する新基準に伴い、半田の溶解温度が上昇する危険がある。この温度上昇により、コンポーネントの熱応力が増大し、コンポーネントが損傷される危険性がある。損傷を受けることなく、この温度に耐えるためには、コンポーネントを技術的に高度のプラスチックで形成することが必要である。また、過大の熱によって性能が影響されるおそれのあるコンポーネントについても、改良が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主目的は、電子モジュールの製造中に、熱応力が過大となるのを防止する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明によれば、プリント基板と、少なくとも1つの第1タイプのコンポーネントと、1つの第2タイプのコンポーネントとを有する電子モジュールを生産するための方法が提案される。
【0011】
本発明の方法は、
−半田を基板上に置く段階と、
−第1タイプのコンポーネントを配置する段階と、
−前記第1タイプのコンポーネントを半田付けするために、半田を溶解する段階と、
−第2タイプのコンポーネントが、前記第1タイプのコンポーネントの上に位置し、かつ、半田によって基板上に支持されるパッドを有するように、第2タイプのコンポーネントを位置付けする段階と、
−前記第2タイプのコンポーネントを半田付けするように、半田を溶解する段階とを含んでいる。
【0012】
従って、第2タイプのコンポーネントを所定の位置へ配置する前に、第1タイプのコンポーネントは半田付けされる。そのため、第2タイプのコンポーネントが、第1タイプのコンポーネントの半田付けや、その品質管理を妨げることはない。従って、例えば、大寸のコンポーネントは、第1の半田付けの後に配置される。第2タイプのコンポーネントが蔽いを形成して、第1タイプのコンポーネントを保護する。このことは、第2タイプのコンポーネントが、第1タイプのコンポーネントよりも大きなスペースを必要とする時に、特に重要である。密集しているコンポーネントの半田付けを、2回の半田付け作業により行うことによって、コンポーネントの集中は防止される。
【0013】
2つの電極を、コンポーネントの各パッドに設けることによって、第2タイプのコンポーネントは半田付けされ、かつ、両電極間に電流を流すことによって、コンポーネントの各パッドを加熱する。
【0014】
このようにして半田付けを行うことにより、コンポーネントのパッドのみが加熱され、コンポーネント自体、およびその周りのコンポーネントが、温度上昇の被害を受けることがない。従って、比較的に平均的な温度抵抗特性を有するコンポーネントを使用することができる。
【0015】
本発明のさらなる課題は、この方法を実施する生産ラインを得ることである。この生産ラインは、第1タイプのコンポーネントを所定の場所へ配置する装置と、第1タイプのコンポーネントと回路との間に置かれた半田を溶解するための第1加熱装置と、第2タイプのコンポーネントを所定の場所に配置する装置と、第2タイプのコンポーネントと回路の間に配置している半田を溶解するための第2加熱装置とを備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の1つの非制限的実施態様に関する以下の説明を読めば、明白になると思う。
【0017】
図示のように、本発明の生産方法は、生産ライン1において、電子モジュール2を生産するものである。
【0018】
電子モジュール2は、公知の態様で、上面に電気伝導性回路4が形成されているプリント回路基板3を備えている。基板3は、IMS(絶縁金属基板)タイプである。プリント回路4は、基板3上に、伝導性インクをスクリーン印刷して形成されている。回路も、基板3に付着させた金属軌道からなっている。
【0019】
モジュール2は、接続パッド7を備える第1タイプのコンポーネント5と、第2タイプのコンポーネント6を備えている。図2および図3には、その中の1つのみが示されている。制御用等のコンポーネント5は、例えば、パワーコンポーネントであるコンポーネント6より小さい。コンポーネント6は、コンポーネント5の中の1つの上まで伸びている。コンポーネント5および6の接続パッド、さらに一般的には接続部材は、溶解された半田によって、回路4に取り付けられている。この場合、半田8は、錫および鉛の混合物からなる半田ペーストである。
【0020】
生産ライン1は、基板3の回路4上の半田8を堆積させるための堆積装置10と、コンポーネント5を配置するための配置装置20と、リフローオーブンからなる加熱装置30と、コンポーネント6を配置するための配置装置40と、コンポーネント6を半田付けするための半田付け装置50とを備えている。各装置10、20、30、および40は、それら自身公知のものである。
【0021】
半田付け装置50は、電源52に接続されている複数対の電極51を有し、この場合、3000アンペア、最少振動数1000ヘルツ台の電流が放出される。電極は、銅とタングステン(25%銅および75%タングステン)からできている。
【0022】
各装置は、基板3を運ぶコンベヤ60により、公知の態様で、互いに連結されている。
【0023】
基板が生産ライン1に達する時には、基板3上には、既に回路4が印刷されている。
【0024】
堆積装置10により、半田8は、スクリーン印刷によって、コンポーネント5、6上に堆積され、回路4が形成される。
【0025】
ついでコンポーネント5は、配置装置20により回路4上へ配置され、コンポーネント5における接続部材は、基板3上の半田8に当接する。
【0026】
かくして、基板3には、コンポーネント5が取り付けられ、その後、半田8を溶解する加熱装置30内へ移して半田8を溶解させ、コンポーネント5を半田付けする。
【0027】
加熱装置30の出口で、コンポーネント5の半田付けを、目視検査することができる。コンポーネント5が加熱装置30内を走行している際には、コンポーネント6は基板上にはないので、この走行中に加熱されるべき重量は、比較的小さく、そのため、小さな能力のオーブンを使用することができ、またより多くの基板を、同時に加熱装置30内を走行させることができる。
【0028】
その後、基板3は、配置装置40内へ移動し、コンポーネント6は回路4上へ位置させられ、コンポーネント6のパッド7は、基板3上に堆積されている半田8上へ位置させられる。
【0029】
ついでコンポーネント6は、コンポーネント6の各パッド7へ、1対の電極51を作用させて、パッド7を加熱し、半田8を溶解させることによって、コンポーネント6を半田付けする。
【0030】
半田付けされる部品に対する電極の圧力により、半田付けされる部品は、回路に適正に押圧される。一例として、電極は、12daNの力を、半田付けされる部品に及ぼすようになっている。
【0031】
電極を使用して半田を溶解することは、時間が極端に短かくて済む(1秒よりもっと短かい)という利点があるが、一方、リフローオーブン内の通過にはおよそ1分かかる。
【0032】
半田付けの品質が影響を及ぼすことは可能であり、また、半田付けの形状(および、特に時間に対する電流強度曲線、成分パッド上の電極の機械的圧力)と、電極の幾何学的配列(特にカロリーのよりよく分散させるように)、部品に加える力(電極と部品との接触を維持するために、かつ、スパークの発生を防止するために)と、パッド上の電極の間隔および位置付け(特に、パッド内の電流によって取られる路線を修正するために)とを修正することによって、半田付けを、半田付けされる材料またはコンポーネントに適合させることができる。
【0033】
すべての部品に対して、同一の半田付け条件を保持し、電極におけるカロリーの放散を容易にさせるための適切な幾何学的配列等を採用しているため、電極の温度は、事実上一定に、かつ、比較的に低く、40℃台に維持されている。
【0034】
当然ながら、本発明は、説明した実施態様に限定されるものではなく、請求項によって規定されるような発明の思想から逸脱することなく、変形した実施態様を採用することが可能である。
【0035】
特に、コンポーネント5を半田付けした後、コンポーネント6の半田付けのために用いられる半田を、スクリーン印刷操作によって堆積させることができる。コンポーネントを回路の所定位置に配置する前に、半田をコンポーネントのパッドの上に直接堆積させてもよい。
【0036】
コンポーネントのペーストを、異なる態様で、例えば半田付け用鏝を、コンポーネント5または6の各パッドに対して使用することによって加熱することは可能である。加熱装置50は、リフローオーブンであってもよい。
【0037】
電極は、異なる金属、例えば、銅、タングステン、モリブデン等からなるものであってもよい。従って、実施態様におけるように、電極は、銅-タングステン(銅25%およびタングステン75%)、または銅からなり、半田付けされる部品との接触点として有効なタングステンチップを含む物であってもよい。
【0038】
半田付けされる部品は、銅、真鍮、合金、または錫めっきされているか、そうではない金属等でできている物であってもよい。基板は、IMSタイプ系であってもよく、また、例えばFR4タイプのような、ガラス織物/エポキシ樹脂回路を含む別のタイプの物であってよい。
【0039】
錫または銀をベースとする、無鉛の半田を使用することも可能である。また半田を、コンポーネントの連結のために、回路上または部材上のどちらかで、金属ストリップ状に堆積させてもよい。
【0040】
上記したモジュールは、本発明を単に説明するためのもので、決して限定的趣旨を有するものではない。コンポーネント6は、基板がリフローオーブン30を通過した後に配置されているが、コンポーネント6は、大きくて、オーブン内に行き渡っている熱によって損傷を受けるかも知れない物である。
【0041】
コンポーネント6は、コンポーネント5と全く同じようなものであり、第1の半田付け中に、コンポーネントが過度に集中するのを防止するために、引き続いて半田付けされる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の電子モジュールの生産ラインの略図である。
【図2】コンポーネントの半田付け中における電子モジュールの分解斜視図である。
【図3】コンポーネントの半田付け後の電子モジュールの図2の図と同様の図である。
【符号の説明】
【0043】
1 生産ライン
2 電子モジュール
3 基板
4 回路
5 第1タイプのコンポーネント
6 第2タイプのコンポーネント
7 パッド
8 半田
10 堆積装置
20 配置装置
30 加熱装置
40 配置装置
50 半田付け装置
51 電極
52 電源
60 コンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路(4)を有する基板(3)と、少なくとも1つの第1タイプのコンポーネント(5)と、第2タイプのコンポーネント(6)とを含む電子モジュールの製造方法であって、
−半田(8)を前記基板上に置く段階と、
−前記第1タイプのコンポーネントを所定の位置に置く段階と、
−前記第1タイプのコンポーネントを半田付けするために、前記半田を溶解させる段階と、
−前記第2タイプのコンポーネントが、前記第1タイプのコンポーネントの上まで達するように、かつ、前記半田によって前記基板上に支持されるパッド(7)を有するように、前記第2タイプのコンポーネントを位置付けする段階と、
−前記第2タイプのコンポーネントを半田付けするように、前記半田を溶解させる段階
とを有することを特徴とする電子モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記第1タイプのコンポーネント(5)は、加熱装置(30)内を走行させることによって、前記基板に半田付けされる、請求項1に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記第2タイプのコンポーネント(6)は、2つの電極(51)を前記コンポーネント各接続パッド(7)に適用することによって半田付けされ、かつ前記両電極間に電流を走行させることによって、前記コンポーネントの各パッドを加熱する、請求項1に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項4】
半田付けを、前記第2のタイプのコンポーネントに適合させるために、
−半田付けの輪郭、
−前記電極(51)の電流強度曲線、
−前記第2タイプコンポーネント(6)の前記パッド(7)上に前記電極の機械的圧力、
−前記電極の幾何学的配列、
−前記コンポーネントの前記パッド上の電極の間隔および位置付け
の1つまたはそれ以上を修正することによって実施する、請求項3に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記第2タイプコンポーネント(6)を半田付けするために用いられる半田(8)を、同時に前記第1タイプのコンポーネント(5)を半田付けするために用いられる半田として、前記基板(2)の回路(4)上に配置する、請求項1に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記半田(8)は、半田ペーストである、請求項5に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記第2タイプのコンポーネントを位置付けする前に、前記半田(8)を、前記第2タイプのコンポーネント(6)のパッド(7)上に置く請求項1に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記第2タイプのコンポーネント(6)は、前記第1タイプのコンポーネント(5)の上まで伸長している、請求項1に記載の電子モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−527115(P2009−527115A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554811(P2008−554811)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000270
【国際公開番号】WO2007/093709
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508021716)ヴァレオ システム ドゥ コントロール モトゥール (27)
【Fターム(参考)】