説明

コンロッドの製造方法

【課題】ロッド本体部の強度に優れ、軽量化に適したコンロッドの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によるコンロッドの製造方法は、0.1wt%以上0.45wt%以下の炭素を含む鋼から形成されたワークピースを用意する準備工程S1と、ワークピースに対して0.8%以上のカーボンポテンシャルを有する雰囲気下での複数回の浸炭処理を含む熱処理を行う熱処理工程S3およびS4と、ロッド本体部表面の少なくとも一部における最大谷深さが所定の値よりも小さくなるようにワークピースの表面を平滑化する表面平滑化工程S5とを包含し、表面平滑化工程S5は、バレル研磨工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロッドおよびその製造方法に関する。また、本発明は、コンロッドを備えた内燃機関や輸送機器にも関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関には、ピストンとクランクシャフトとを連結するためにコンロッド(コネクティングロッド)と呼ばれる部材が用いられている。コンロッドは、棒状のロッド本体部(軸部)と、ロッド本体部の一端に設けられた小端部と、ロッド本体部の他端に設けられた大端部とを備える。小端部がピストンに接続されるのに対し、大端部はクランクシャフトに接続される。
【0003】
コンロッドは、内燃機関の内部で往復運動する。従って、コンロッドを軽量化すると、内燃機関をよりスムーズに回転させることができ、また、振動が減少する。このように、コンロッドには軽量であることが求められている。
【0004】
また、コンロッドには、燃焼室で生じた爆発力がピストンを介して伝えられるので、十分な強度が要求される。特に、高い回転数で運転される内燃機関(例えば自動二輪車用の内燃機関)では、コンロッドにはいっそう高い強度が求められるとともに、加速性能の向上のため、いっそうの軽量化が求められている。
【0005】
鋼製コンロッドを高強度化する技術として、コンロッドの表面に炭素を浸透させる浸炭処理が知られている。浸炭処理により、コンロッドの表面近傍の炭素濃度が高くなるので、コンロッドの焼入れ後に表面硬度が高くなる。従って、コンロッドの強度が向上する。また、コンロッドを肉薄にしても十分な強度を確保できるので、コンロッドの軽量化を図ることもできる。なお、浸炭処理を行う場合でも、ロッド本体部には表面硬度が高くならないように浸炭防止処理が施されることが多い。ロッド本体部は靭性が高いことが好ましいからである。
【0006】
特許文献1には、コンロッドの表面硬度をさらに高くする手法として、高濃度浸炭処理が提案されている。高濃度浸炭処理では、カーボンポテンシャル(CP)が0.8%以上である雰囲気下での浸炭を複数回行う。これにより、コンロッドの表面近傍に微細な粒状の炭化物が析出するとともに、表面近傍におけるマルテンサイト組織の結晶粒径が小さくなる。そのため、表面硬度が著しく高くなる。
【0007】
ただし、高濃度浸炭処理においても、ロッド本体部の靭性を確保するために、ロッド本体部については他の部分よりも浸炭回数が少ないか、あるいは、全く浸炭が行われない。図8に、高濃度浸炭処理を行う場合におけるコンロッドの製造工程の例を示す。
【0008】
まず、素材である鋼を鍛造によってコンロッドの形状に成形する(工程S11)。次に、コンロッドの表面に防炭剤などによりマスキングを行う(工程S12)。その後、機械加工を行うことによって小端部のピストンピン孔や大端部のクランクピン孔などを形成する(工程S13)。
【0009】
次に、1回目の浸炭および冷却(または焼入れ)を行う(工程S14)。浸炭は、カーボンポテンシャルが0.8%以上である雰囲気下で行われる。このとき、クランクピン孔の内周面などのマスキングによって覆われていない部分(つまり機械加工の際の切削によりマスキングが除去された部分)では、表面近傍における炭素濃度が高くなる。一方、ロッド本体部のようにマスキングによって覆われている部分(つまり浸炭防止処理が施されている部分)では、炭素濃度はほとんど変化しない。続いて、コンロッドの表面に残っているマスキングを除去する(工程S15)。
【0010】
その後、2回目の浸炭、焼入れおよび焼戻しを順次行う(工程S16)。2回目の浸炭もカーボンポテンシャルが0.8%以上である雰囲気下で行われる。このとき、コンロッド表面のマスキングは既に除去されているので、コンロッド全体にわたって表面近傍における炭素濃度が高くなる。最後に、小端部の内周面や大端部の内周面の研磨が施される(工程S17)。
【0011】
上述した製造方法によれば、浸炭防止処理が施されていない部分には2回浸炭が施される一方で、ロッド本体部のように浸炭防止処理が施されている部分には1回だけ浸炭が施される。そのため、ロッド本体部の靭性を確保しつつ、コンロッド全体の強度を大きく向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−313949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、ロッド本体部をさらに細くしてコンロッドのいっそうの軽量化を図るために、ロッド本体部のさらなる高強度化が望まれている。例えば、ロッド本体部への浸炭防止処理を施すことなく、高濃度浸炭処理を行えば、ロッド本体部の表面硬度をさらに高くすることができる。
【0014】
ところが、そのようにしてロッド本体部に他の部分と同程度の高濃度浸炭処理を施すと、疲労破壊とは異なる原因(一般的に「靭性不足」と言われる)で、コンロッドの使用中に破断が発生してしまう。図9に、このような破断が発生したコンロッド201を示す。図9に示すように、コンロッド201は、ロッド本体部210、小端部220および大端部230を備えており、ロッド本体部210の小端部220近傍(図9中の点線で囲まれた領域)で破断している。
【0015】
図10(a)および(b)に、ロッド本体部210の破断面を示す。図10(a)に示すように、ロッド本体部210は、内側角部10aおよび外側角部10bが規定されるH字状の断面形状を有する。図10(b)は、ロッド本体部210の内側角部10a近傍(図10(a)中の点線で囲まれた領域)を拡大して示している。図10(b)に示しているように、破断は、内側角部10aを起点として発生している。この破断現象を、以下では、「脆性破壊」と呼ぶ。
【0016】
このように、従来、ロッド本体部に他の部分と同程度の高濃度浸炭処理を施すと、ロッド本体部に脆性破壊が発生するので、ロッド本体部のさらなる高強度化は困難であった。
【0017】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロッド本体部の強度に優れ、軽量化に適したコンロッドおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の局面によるコンロッドは、ロッド本体部と、前記ロッド本体部の一端および他端に設けられた小端部および大端部とを備え、鋼から形成されたコンロッドであって、前記ロッド本体部の表面から0.1mmの深さにおける炭素含有量は、0.8wt%以上であり、前記ロッド本体部の表面の最大谷深さは、13μm以下である。
【0019】
本発明の第2の局面によるコンロッドは、ロッド本体部と、前記ロッド本体部の一端および他端に設けられた小端部および大端部とを備え、鋼から形成されたコンロッドであって、前記ロッド本体部の表面から0.1mmの深さにおける炭素含有量は、0.8wt%以上であり、前記ロッド本体部は、複数の外側角部および複数の内側角部が規定されるH字状の断面形状を有し、前記ロッド本体部のもっとも断面積の小さな領域において、前記複数の内側角部の表面における最大谷深さは13μm以下である。
【0020】
本発明の第3の局面によるコンロッドは、ロッド本体部と、前記ロッド本体部の一端および他端に設けられた小端部および大端部とを備え、鋼から形成されたコンロッドであって、前記ロッド本体部の表面から0.1mmの深さにおける炭素含有量は、0.8wt%以上であり、前記ロッド本体部に発生する最大応力をσ(MPa)、前記ロッド本体部の表面の最大谷深さをa(m)としたとき、前記最大応力σおよび前記最大谷深さaは、10≧1.1σ(πa)1/2の関係を満足する。
【0021】
本発明の第4の局面によるコンロッドは、ロッド本体部と、前記ロッド本体部の一端および他端に設けられた小端部および大端部とを備え、鋼から形成されたコンロッドであって、前記ロッド本体部の表面から0.1mmの深さにおける炭素含有量は、0.8wt%以上であり、前記ロッド本体部は、複数の外側角部および複数の内側角部が規定されるH字状の断面形状を有し、前記ロッド本体部のもっとも断面積の小さな領域において、前記複数の内側角部に発生する最大応力をσ(MPa)、前記複数の内側角部の表面における最大谷深さをa(m)としたとき、前記最大応力σおよび前記最大谷深さaは、10≧1.1σ(πa)1/2の関係を満足する。
【0022】
本発明による内燃機関は、上記構成を有するコンロッドを備える。
【0023】
本発明による輸送機器は、上記構成を有する内燃機関を備える。
【0024】
本発明によるコンロッドの製造方法は、ロッド本体部と、前記ロッド本体部の一端および他端に設けられた小端部および大端部とを備えるコンロッドの製造方法であって、0.1wt%以上0.45wt%以下の炭素を含む鋼から形成されたワークピースを用意する準備工程と、前記ワークピースに対して、0.8%以上のカーボンポテンシャルを有する雰囲気下での複数回の浸炭処理を含む熱処理を行う熱処理工程と、前記ロッド本体部表面の少なくとも一部における最大谷深さが所定の値よりも小さくなるように、前記ワークピースの表面を平滑化する表面平滑化工程と、を包含する。
【0025】
ある好適な実施形態において、前記表面平滑化工程は、前記熱処理工程の前に行われる。
【0026】
ある好適な実施形態において、前記表面平滑化工程は、前記熱処理工程の後に行われる。
【0027】
ある好適な実施形態において、前記ロッド本体部は、複数の外側角部および複数の内側角部が規定されるH字状の断面形状を有し、前記表面平滑化工程は、少なくとも前記複数の内側角部の表面における最大谷深さが前記所定の値よりも小さくなるように行われる。
【0028】
ある好適な実施形態において、前記表面平滑化工程は、前記ロッド本体部の表面全体の最大谷深さが前記所定の値よりも小さくなるように行われる。
【0029】
本発明の第1の局面によるコンロッドでは、ロッド本体部の表面から0.1mmの深さにおける炭素含有量が、0.8wt%以上である。つまり、ロッド本体部は、高濃度浸炭処理を施されている。従来、ロッド本体部に対して他の部分と同程度の高濃度浸炭処理を施すと、ロッド本体部に脆性破壊が発生することがあった。これに対し、本発明の第1の局面によるコンロッドでは、ロッド本体部の表面の最大谷深さが13μm以下であり、そのことによって、ロッド本体部における脆性破壊の発生が抑制される。そのため、本発明の第1の局面によるコンロッドは、ロッド本体部の強度に優れ、軽量化に適している。
【0030】
本発明の第2の局面によるコンロッドでは、ロッド本体部は、複数の外側角部および複数の内側角部が規定されるH字状の断面形状を有し、ロッド本体部の表面から0.1mmの深さにおける炭素含有量が、0.8wt%以上である。つまり、H字状の断面形状を有するロッド本体部は、高濃度浸炭処理を施されている。本発明の第2の局面によるコンロッドでは、ロッド本体部のもっとも断面積の小さな領域において、複数の内側角部の表面における最大谷深さが13μm以下であり、そのことによって、ロッド本体部における脆性破壊の発生が抑制される。そのため、本発明の第2の局面によるコンロッドは、ロッド本体部の強度に優れ、軽量化に適している。
【0031】
本発明の第3の局面によるコンロッドでは、ロッド本体部の表面から0.1mmの深さにおける炭素含有量が、0.8wt%以上である。つまり、ロッド本体部は、高濃度浸炭処理を施されている。本発明の第3の局面によるコンロッドでは、ロッド本体部に発生する最大応力σ(MPa)およびロッド本体部の表面の最大谷深さa(m)が、10≧1.1σ(πa)1/2の関係を満足し、そのことによって、ロッド本体部における脆性破壊の発生が抑制される。そのため、本発明の第3の局面によるコンロッドは、ロッド本体部の強度に優れ、軽量化に適している。
【0032】
本発明の第4の局面によるコンロッドでは、ロッド本体部は、複数の外側角部および複数の内側角部が規定されるH字状の断面形状を有し、ロッド本体部の表面から0.1mmの深さにおける炭素含有量が、0.8wt%以上である。つまり、H字状の断面形状を有するロッド本体部は、高濃度浸炭処理を施されている。本発明の第4の局面によるコンロッドでは、ロッド本体部のもっとも断面積の小さな領域において、複数の内側角部に発生するに発生する最大応力σ(MPa)および複数の内側角部の表面における最大谷深さa(m)が、10≧1.1σ(πa)1/2の関係を満足し、そのことによって、ロッド本体部における脆性破壊の発生が抑制される。そのため、本発明の第4の局面によるコンロッドは、ロッド本体部の強度に優れ、軽量化に適している。
【0033】
本発明によるコンロッドは、各種の内燃機関に好適に用いられる。本発明によるコンロッドは、軽量化に適しているため、本発明によるコンロッドを備えた内燃機関では、応答性が向上する。また、コンロッドが軽量化されることにより、内燃機関における往復部の重量が減少するので、一次振動(ピストンやコンロッドを含む往復部の往復運動によってクランクシャフト一回転につき一回の周期で発生する振動)を低減できる。さらに、本発明によるコンロッドは、疲労強度に優れているので、内燃機関の信頼性も向上する。
【0034】
本発明によるコンロッドを備えた内燃機関を輸送機器に用いると、一次振動が少ないので、乗員が感じる不快な振動が低減される。また、内燃機関および車体に対して振動対策を施さなくてもよいので、大幅な軽量化を実現できる。
【0035】
本発明によるコンロッドの製造方法では、熱処理工程において、0.1wt%以上0.45wt%以下の炭素を含む鋼から形成されたワークピースに対して、0.8%以上のカーボンポテンシャルを有する雰囲気下で複数回の浸炭処理が行われる。つまり、ワークピースに対して高濃度浸炭処理が行われる。この高濃度浸炭処理により、ロッド本体部を含むコンロッド全体の硬度が著しく高くなる。さらに、本発明によるコンロッドの製造方法は、ワークピースの表面を平滑化する表面平滑化工程を含んでいるので、この表面平滑化工程により、ロッド本体部表面の少なくとも一部における最大谷深さを所定の値よりも小さくすることができる。そのため、ロッド本体部における脆性破壊の発生を抑制することができる。従って、本発明によるコンロッドの製造方法によれば、ロッド本体部の強度に優れ、軽量化に適したコンロッドを製造することができる。
【0036】
表面平滑化工程は、熱処理工程の前に行ってもよいし、熱処理工程の後に行ってもよい。表面平滑化工程を熱処理工程の前に行うと、ワークピースが比較的柔らかい状態で平滑化を行えるので、短時間で簡単に最大谷深さを小さくすることができる。一方、表面平滑化工程を熱処理工程の後に行うと、平滑化の手法によっては(例えばバレル研磨により平滑化する場合など)、コンロッドの表面に圧縮残留応力を付与することができるので、さらに強度を向上させることができる。
【0037】
ロッド本体部が、複数の外側角部および複数の内側角部が規定されるH字状の断面形状を有する場合、表面平滑化工程は、少なくとも複数の内側角部の表面における最大谷深さが所定の値よりも小さくなるように行われることが好ましい。ロッド本体部がH字状の断面形状を有する場合、内側角部において脆性破壊が発生しやすいからである。
【0038】
より確実に脆性破壊の発生を防止する観点からは、表面平滑化工程は、ロッド本体部の表面全体の最大谷深さが所定の値よりも小さくなるように行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0039】
本発明によると、ロッド本体部の強度に優れ、軽量化に適したコンロッドおよびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の好適な実施形態におけるコンロッド1を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中の1B−1B’線に沿った断面図、(c)は(a)中の1C−1C’線に沿った断面図である。
【図2】本発明の好適な実施形態におけるコンロッド1の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】(a)は、1回目の浸炭処理によりコンロッド1の表面近傍に形成される金属組織を模式的に示す図であり、(b)は、2回目の浸炭処理によりコンロッド1の表面近傍に形成される金属組織を模式的に示す図である。
【図4】本発明の好適な実施形態におけるコンロッド1の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】実施例1〜4および比較例1〜7のコンロッドについて、実体曲げ疲労試験を行った結果を示すグラフである。
【図6】本発明の好適な実施形態におけるコンロッド1を備えた内燃機関100を模式的に示す断面図である。
【図7】図6に示す内燃機関100を備えた自動二輪車を模式的に示す側面図である。
【図8】従来のコンロッドの製造方法を示すフローチャートである。
【図9】脆性破壊が発生したコンロッド201を示す写真である。
【図10】(a)および(b)は、コンロッド201のロッド本体部の破断面を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本願発明者は、高濃度浸炭処理を施されたロッド本体部において脆性破壊が発生する原因を仔細に調査した結果、脆性破壊の発生には、ロッド本体部の表面粗さが大きな影響を与えていることを見出した。具体的には、表面粗さを表すパラメーターのうちの1つである「最大谷深さ」をa(m)とし、コンロッドの使用中の最大応力をσ(MPa)とした場合、下記式(1)で表される応力拡大係数KIの大小によって脆性破壊が発生するか否かを予測できることがわかった。
KI=1.1σ(πa)1/2 ・・・(1)
【0042】
本発明は、本願発明者が見出した上記知見に基づいてなされたものである。以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0043】
図1(a)〜(c)に、本実施形態におけるコンロッド1を示す。図1(a)は、コンロッド1を模式的に示す平面図である。また、図1(b)は、図1(a)中の1B−1B’線に沿った断面図であり、図1(c)は、図1(a)中の1C−1C’線に沿った断面図である。
【0044】
コンロッド1は、図1(a)および(b)に示すように、ロッド本体部10と、ロッド本体部10の一端に設けられた小端部20と、ロッド本体部10の他端に設けられた大端部30とを備える。コンロッド1は、鋼から形成されている。
【0045】
ロッド本体部(軸部)10は、棒状である。ロッド本体部10の断面形状は、図1(c)に示すように、複数の内側角部10aおよび複数の外側角部10bが規定されるH字状である。ロッド本体部10の断面形状がH字状であることにより、ロッド本体部10の強度を保ちつつ軽量化を図ることができる。
【0046】
小端部20は、ピストンピンを通すための貫通孔(ピストンピン孔)22を有する。小端部20は、ピストンピンを介してピストンに接続される。ピストンピン孔22の内周面22aは、典型的には、ベアリングを介さずにピストンピンと接触する。
【0047】
大端部30は、クランクピンを通すための貫通孔(クランクピン孔)32を有している。大端部30は、クランクピンを介してクランクシャフトに接続される。クランクピン孔32内には、典型的には、ローラベアリングなどの転がり軸受けが配置されるため、クランクピン32の内周面32aは、転がり軸受けと接触する。
【0048】
コンロッド1は、その製造工程において、高濃度浸炭処理を施されている。そのため、ロッド本体部10の表面から0.1mmの深さにおける炭素含有量(炭素濃度)は、0.8wt%以上である。コンロッド1の深さ方向における炭素含有量の分布は、例えば電子線マイクロアナライザ(EPMA)により測定することができる。
【0049】
既に述べたように、応力拡大係数KI(=1.1σ(πa)1/2)の大小によって、脆性破壊の発生を予測することができる。高濃度浸炭処理が施されていないロッド本体部では、靭性が高いため、応力拡大係数KIが18MPa・m1/2を超えるような大きな値であっても、脆性破壊は発生せず、疲労破壊が発生する。これに対し、高濃度浸炭処理が施されたロッド本体部では、応力拡大係数KIが10MPa・m1/2を超えると、脆性破壊が発生する。そのため、疲労破壊が発生しないような大きさの応力でもロッド本体部が破損してしまう。
【0050】
本実施形態におけるコンロッド1では、応力拡大係数KIが10以下に設定されている。つまり、ロッド本体部10に発生する(コンロッド1の使用中に発生すると想定される)最大応力σ(MPa)およびロッド本体部10の表面の最大谷深さa(m)が、下記式(2)の関係を満足する。
10≧1.1σ(πa)1/2 ・・・(2)
【0051】
従って、ロッド本体部10における脆性破壊の発生が抑制される。そのため、本実施形態におけるコンロッド1は、ロッド本体部10の強度に優れ、軽量化に適している。
【0052】
一般的に、高濃度浸炭処理によって高強度化された鋼材では、1400MPaより大きい応力で疲労破壊が発生するので、高濃度浸炭処理をコンロッドに施す場合には、1400MPa以下の応力しか発生しないように設計が行われる。従って、最大応力σが1400MPaの場合に上記式(2)が満足されるように、最大谷深さaを設定すればよい。式(2)からそのような最大谷深さaを算出すると13μm以下である。従って、ロッド本体部10の表面の最大谷深さaが13μm以下であれば、ロッド本体部10における脆性破壊の発生が抑制されるといえる。
【0053】
なお、必ずしもロッド本体部10の表面全体にわたって式(2)の関係が満足される(あるいは最大谷深さaが13μm以下である)必要はない。ロッド本体部10がH字状の断面形状を有する場合、脆性破壊は、ロッド本体部10のもっとも断面積の小さな領域の内側角部10aにおいて発生しやすい。コンロッド1を鍛造や鋳造により製造する場合、抜き勾配を考慮すると、外側角部10bよりも内側角部10aの方が鋭利な形状となりやすく、鋭利な形状となった内側角部10aに応力集中が発生するからである。そのため、ロッド本体部10のもっとも断面積の小さな領域(典型的には小端部20近傍)の内側角部10aにおいて、式(2)の関係が満足される(あるいは最大谷深さaが13μm以下である)ことにより、ロッド本体部10における脆性破壊の発生を十分に抑制することができる。勿論、より確実に脆性破壊の発生を防止する観点からは、ロッド本体部10の表面全体にわたって式(2)の関係が満足される(あるいは最大谷深さaが13μm以下である)ことが好ましい。
【0054】
また、より確実に脆性破壊の発生を防止する観点からは、表面平滑化工程における製造ばらつきを考慮に入れると、応力拡大係数KIは、9MPa・m1/2以下であることがより好ましく、最大谷深さaは、10μm以下であることがより好ましい。なお、最大谷深さaを0.2μm未満にすることは、製造プロセス上の不利を伴う(例えば後述する表面平滑化工程の長時間化)ことがあるので、製造工程の簡略化という観点からは、最大谷深さaは0.2μm以上であることが好ましい。
【0055】
続いて、図2を参照しながら、本実施形態におけるコンロッド1の製造方法を説明する。図2は、コンロッド1の製造工程を示すフローチャートである。
【0056】
まず、0.1wt%以上0.45wt%以下の炭素を含む鋼から鍛造により成形されたワークピースを用意する(準備工程:工程S1)。0.1wt%以上0.45wt%以下の炭素を含む鋼としては、例えば、クロムモリブデン鋼であるSCM420を用いることができる。SCM420は、0.18〜0.23wt%の炭素、0.90〜1.20wt%以下のクロムおよび0.15〜0.30wt%のモリブデンを含む。ワークピースの材料である鋼としては、上述したSCM420の他に、SCr420、SCM435、SCM440なども用いることができる。なお、ここでは鍛造を例示したが、ワークピースを用意する工程における成形手法はこれに限定されるものではない。ワークピースは、例えば、焼結や鋳造、焼結鍛造などによって成形されてもよい。
【0057】
次に、ワークピースに対して機械加工を行う(工程S2)。この機械加工により、鍛造後のワークピースの外径寸法が整えられる。例えば、バリ取り、ピストンピン孔22およびクランクピン孔32の形成、小端部20および大端部30の端面加工などが行われる。
【0058】
続いて、ワークピースに対して複数回の浸炭処理を含む熱処理を行う(熱処理工程)。具体的には、まず、ワークピースに対して1回目の浸炭および焼入れ(あるいは炉冷)を行う(工程S3)。1回目の浸炭処理は、0.8%以上のカーボンポテンシャルを有する雰囲気下で行われる。なお、浸炭処理を行うに先立ってワークピースに対してマスキングは行わない。1回目の浸炭処理の温度は、A1変態点(鋼の共析変態温度)以上に設定される。1回目の浸炭処理により、鋼の表面は過剰浸炭される。図3(a)に、1回目の浸炭処理によりコンロッド1の表面近傍に形成される金属組織を模式的に示す。図3(a)に示しているように、比較的大きなマルテンサイトの結晶粒2’の間に、網目状の炭化物3が析出している。
【0059】
次に、ワークピースに対して2回目の浸炭、焼入れおよび焼戻しを行う(工程S4)。2回目の浸炭処理も、0.8%以上のカーボンポテンシャルを有する雰囲気下で行われる。2回目の浸炭処理の温度は、A1変態点以上で、Acm変態点(鋼のオーステナイトからセメンタイトが析出する変態温度)以下に設定される。2回目の浸炭処理により、過剰浸炭された表面層の炭素が内部に拡散する。図3(b)に、2回目の浸炭処理によりコンロッド1の表面近傍に形成される金属組織を模式的に示す。図3(b)に示しているように、比較的小さなマルテンサイトの結晶粒2’の間に、微細な粒状の炭化物3が析出している。
【0060】
続いて、ロッド本体部10の表面の少なくとも一部における最大谷深さaが所定の値よりも小さくなるように、ワークピースの表面を平滑化する(表面平滑化工程:工程S5)。この表面平滑化工程は、例えば、遠心バレル研磨機を用いた湿式バレル研磨により行うことができる。また、最大谷深さaをより小さくするために、バレル研磨の後にバフ研磨を行ってもよい。なお、表面平滑化工程を行う手法は、ここで例示したものに限定されない。ペーパーラップや酸洗、電解研磨などにより平滑化を行ってもよい。
【0061】
その後、ワークピースに対して最終研磨を行う(工程S6)。例えば、ピストンピン孔22の内周面22aやクランクピン孔32の内周面32aの研磨が行われる。このようにして、コンロッド1が完成する。
【0062】
本実施形態における製造方法では、0.1wt%以上0.45wt%以下の炭素を含む鋼から形成されたワークピースに対して、0.8%以上のカーボンポテンシャルを有する雰囲気下で浸炭処理が複数回行われる(工程S3およびS4)。つまり、高濃度浸炭処理が行われる。これにより、ロッド本体部10を含むコンロッド1全体の硬度が著しく高くなる。さらに、本実施形態における製造方法は、ワークピースの表面を平滑化する表面平滑化工程を含んでいるので、この表面平滑化工程により、ロッド本体部10の表面の少なくとも一部における最大谷深さを所定の値よりも小さくすることができる。そのため、ロッド本体部10における脆性破壊の発生を抑制することができる。従って、本実施形態における製造方法によれば、ロッド本体部10の強度に優れ、軽量化に適したコンロッド1を製造することができる。
【0063】
なお、図2には、表面平滑化工程を熱処理工程の後に行う場合を例示したが、表面平滑化工程は、熱処理工程の前に行ってもよい。図4に、本実施形態におけるコンロッド1の製造方法の他の例を示す。図4に示す例では、鍛造による準備工程(工程S1)の後に、表面平滑化工程(工程S2)が行われる。その後、機械加工工程(工程S3)、熱処理工程(工程S4およびS5)、研磨工程(工程S6)が順次行われる。
【0064】
表面平滑化工程を熱処理工程の前に行うと、ワークピースが比較的柔らかい状態で平滑化を行えるので、短時間で簡単に最大谷深さaを小さくすることができる。一方、表面平滑化工程を熱処理工程の後に行うと、平滑化の手法によっては(例えばバレル研磨により平滑化する場合など)、コンロッド1の表面に圧縮残留応力を付与することができるので、さらに強度を向上させることができる。
【0065】
図5に、本実施形態の製造方法により実際に製造したコンロッド1(実施例1〜4)について、疲労強度を測定した結果を示す。図5は、実施例1〜4のコンロッド1に対して実体曲げ疲労試験を行ったときの、破損までの曲げ繰り返し数Nと、最大応力σとの関係を示すグラフである。なお、実施例1〜4のコンロッド1の製造に際しては、粒径6mmの砥粒含有焼成メディア(おにぎり型)を用いて遠心バレル研磨機による湿式バレル研磨を20分間行うことによって表面平滑化を行った。実施例3、4については、バレル研磨の後にさらにアルミナ粉を用いたバフ研磨を行った。
【0066】
また、図5には、表面平滑化工程を含まない点以外は本実施形態と同様の製造方法により製造したコンロッド(比較例1〜3)について疲労強度を測定した結果を併せて示している。さらに、図5には、図8を参照しながら説明した従来の製造方法(ロッド本体部へのマスキング工程を含む)により製造されたコンロッド(比較例4〜7)についての結果も示している。実施例1〜3および比較例1〜7のコンロッドについての、ロッド本体部表面の応力拡大係数KIおよび最大谷深さaは、表1に示す通りである。最大谷深さaの測定は、粗さ形状測定器により行った。
【0067】
【表1】

【0068】
表1からわかるように、実施例1〜4では、最大谷深さaが13μm以下であり、そのことによって応力拡大係数KIが10MPa・m1/2以下となっている。これに対し、比較例1〜7では、最大谷深さaが13μmを超えており、そのことによって応力拡大係数KIが10MPa・m1/2を超えている。比較例1〜7において最大谷深さaが大きくなってしまうのは、ワークピースを成形するプロセスに起因している。例えば鍛造時にワークピースの表面が荒れてしまい、最大谷深さaが大きくなってしまう。そのため、本実施形態のように表面平滑化工程を行わない場合、最大谷深さaは13μmを超えてしまう。
【0069】
図5に示されているように、比較例1〜7では、実施例1〜4に比べて少ない繰り返し数Nで破損が発生している。つまり、最大谷深さaが13μm以下である(応力拡大係数KIが10MPa・m1/2以下である)実施例1〜4は、最大谷深さaが13μmを超える(応力拡大係数KIが10MPa・m1/2を超える)比較例1〜7に比べて疲労強度が向上している。図5に示す例では、実施例1〜4の疲労強度は、比較例1〜7の疲労強度に比べて最大で30%程度向上している。
【0070】
上述したように、本発明によれば、ロッド本体部10の強度に優れ、軽量化に適したコンロッド1が得られる。本発明によれば、具体的にはコンロッド1を20%程度軽量化することが可能になる。なお、図1には、一体型と呼ばれるタイプのコンロッド1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、大端部が2つに分割された分割型と呼ばれるタイプのコンロッドにも好適に用いられる。また、本実施形態では、浸炭処理を2回行う場合を例示したが、浸炭処理は複数回実行すればよく、特許文献1に記載されているように浸炭処理を3回以上行ってもよい。例えば、真空浸炭の場合、浸炭処理を3回以上行うことが好ましい。
【0071】
本実施形態におけるコンロッド1は、乗用車、オートバイ、バス、トラック、トラクター、飛行機、モーターボート、土木車両などの各種輸送機器用の内燃機関に好適に用いられる。図6に、本実施形態におけるコンロッド1を備えた内燃機関100の一例を示す。内燃機関100は、クランクケース110、シリンダブロック120およびシリンダヘッド130を有している。
【0072】
クランクケース110内にはクランクシャフト111が収容されている。クランクシャフト111は、クランクピン112およびクランクウェブ113を有している。
【0073】
クランクケース110の上に、シリンダブロック120が設けられている。シリンダブロック120には、円筒状のシリンダスリーブ121がはめ込まれており、ピストン122は、シリンダスリーブ121内を往復し得るように設けられている。
【0074】
シリンダブロック120の上に、シリンダヘッド130が設けられている。シリンダヘッド130は、シリンダブロック120のピストン122やシリンダスリーブ121とともに燃焼室131を形成する。シリンダヘッド130は、吸気ポート132および排気ポート133を有している。吸気ポート132内には燃焼室131内に混合気を供給するための吸気弁134が設けられており、排気ポート133内には燃焼室131内の排気を行うための排気弁135が設けられている。
【0075】
ピストン122とクランクシャフト111とは、コンロッド1によって連結されている。具体的には、コンロッド1の小端部20に形成されたピストンピン孔にピストン122のピストンピン123が挿入されているとともに、大端部30に形成されたクランクピン孔にクランクシャフト111のクランクピン112が挿入されており、そのことによってピストン122とクランクシャフト111とが連結されている。クランクピン孔の内周面とクランクピン112との間には、ローラベアリング(転がり軸受け)114が設けられている。
【0076】
本実施形態におけるコンロッド1は、軽量化に適しているため、本実施形態におけるコンロッド1を備えた内燃機関100では、応答性が向上する。また、コンロッド1が軽量化されることにより、内燃機関100における往復部の重量が減少するので、一次振動(ピストン120やコンロッド1を含む往復部の往復運動によってクランクシャフト111一回転につき一回の周期で発生する振動)を低減できる。さらに、本実施形態におけるコンロッド1は、疲労強度に優れているので、内燃機関100の信頼性も向上する。
【0077】
図7に、図6に示した内燃機関100を備えた自動二輪車を示す。図7に示す自動二輪車では、本体フレーム301の前端にヘッドパイプ302が設けられている。ヘッドパイプ302には、フロントフォーク303が車両の左右方向に揺動し得るように取り付けられている。フロントフォーク303の下端には、前輪304が回転可能なように支持されている。
【0078】
本体フレーム301の後端上部から後方に延びるようにシートレール306が取り付けられている。本体フレーム301上に燃料タンク307が設けられており、シートレール306上にメインシート308aおよびタンデムシート308bが設けられている。
【0079】
また、本体フレーム301の後端に、後方へ延びるリアアーム309が取り付けられている。リアアーム309の後端に後輪310が回転可能なように支持されている。
【0080】
本体フレーム301の中央部には、図6に示した内燃機関100が保持されている。内燃機関100は、本実施形態におけるコンロッド1を備えている。内燃機関100の前方には、ラジエータ311が設けられている。エンジン100の排気ポートには排気管312が接続されており、排気管312の後端にマフラー313が取り付けられている。
【0081】
内燃機関100には変速機315が連結されている。変速機315の出力軸316に駆動スプロケット317が取り付けられている。駆動スプロケット317は、チェーン318を介して後輪310の後輪スプロケット319に連結されている。変速機315およびチェーン318は、内燃機関100により発生した動力を駆動輪に伝える伝達機構として機能する。
【0082】
図7に示した自動二輪車には、本実施形態におけるコンロッド1を備えた内燃機関100が用いられているので、一次振動が少なく、乗員が感じる不快な振動が低減される。また、車体に対して振動対策を施さなくてもよいので、大幅な軽量化を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によると、ロッド本体部の強度に優れ、軽量化に適したコンロッドおよびその製造方法が提供される。
【0084】
本発明によるコンロッドは、各種の輸送機器用の内燃機関(例えば自動二輪車用の内燃機関)に広く用いられる。
【符号の説明】
【0085】
1 コンロッド
10 ロッド本体部(軸部)
10a 内側角部
10b 外側角部
20 小端部
22 ピストンピン孔
30 大端部
32 クランクピン孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド本体部と、前記ロッド本体部の一端および他端に設けられた小端部および大端部とを備えるコンロッドの製造方法であって、
0.1wt%以上0.45wt%以下の炭素を含む鋼から形成されたワークピースを用意する準備工程と、
前記ワークピースに対して、0.8%以上のカーボンポテンシャルを有する雰囲気下での複数回の浸炭処理を含む熱処理を行う熱処理工程と、
前記ロッド本体部表面の少なくとも一部における最大谷深さが所定の値よりも小さくなるように、前記ワークピースの表面を平滑化する表面平滑化工程と、を包含し、
前記表面平滑化工程は、バレル研磨工程を含むコンロッドの製造方法。
【請求項2】
前記表面平滑化工程は、前記熱処理工程の前に行われる請求項1に記載のコンロッドの製造方法。
【請求項3】
前記表面平滑化工程は、バレル研磨工程の後に行われるバフ研磨工程を含む請求項2に記載のコンロッドの製造方法。
【請求項4】
前記表面平滑化工程は、前記熱処理工程の後に行われる請求項1に記載のコンロッドの製造方法。
【請求項5】
前記ロッド本体部は、複数の外側角部および複数の内側角部が規定されるH字状の断面形状を有し、
前記表面平滑化工程は、少なくとも前記複数の内側角部の表面における最大谷深さが前記所定の値よりも小さくなるように行われる請求項1から4のいずれかに記載のコンロッドの製造方法。
【請求項6】
前記表面平滑化工程は、前記ロッド本体部の表面全体の最大谷深さが前記所定の値よりも小さくなるように行われる請求項1から4のいずれかに記載のコンロッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−255551(P2012−255551A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−151135(P2012−151135)
【出願日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【分割の表示】特願2008−329446(P2008−329446)の分割
【原出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】