説明

コーティングまたは装飾されたセラミック基材の耐久性を改善するための方法および組成物

セラミック基材を、少なくとも1つの硬化可能有機バインダーと少なくとも1つの着色剤とを含む着色組成物および実質的に透明なコーティング組成物でコーティングするための方法が開示される。第1に塗布されるコーティングはさらに、複数のスペーサー粒子を含む。上記方法は、上記基材の少なくとも一部に、少なくとも1つの硬化可能な有機バインダーおよび少なくとも1つの着色剤を含む着色コーティング組成物を塗布する工程;上記基材の少なくとも一部に、硬化可能な有機バインダーを含む実質的に透明なコーティング組成物を塗布する工程;ならびに上記着色コーティング組成物中のバインダーと上記実質的に透明なコーティング組成物中の該バインダーとを、実質的に同時に硬化させる工程、を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、セラミック基材をコーティングするために特に適切なコーティング組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
食品産業および飲料産業で利用されるガラス容器および他のセラミック容器は、多くの場合、保護的コーティングでコーティングされ、そして/あるいはその容器の内容物のような情報またはその製品および/またはその原料を同定する空想的なマーキングもしくは他の特徴的なしるしで装飾される。多くの国々において、ビールおよびソーダのような飲料は、返却可能なガラスボトルで市販されている。飲料が消費された後、そのガラスボトルは、飲料充填業者に返却される。次いで、それらのガラスボトルは、洗浄され、滅菌され、再充填され、再ラベリングされ、そして再び販売される。デカールおよび紙ラベルは、返却可能な飲料ボトルを装飾するために使用されている。両方のタイプのラベルは、多くの欠点を有する。例えば、紙ラベルおよびデカールの両方は、高価であり、扱いにくく、そして水または他の物質に曝露された際に容易にはがれてしまう。さらに、デカールに使用される接着剤の多くは、ボトルの洗浄プロセスに供される場合に粘着性になり、機械、排液管などへの損傷を引き起こし得る。
【0003】
デカールおよび紙ラベルに関連する問題を回避するために、より耐久性の装飾が、返却可能な容器のガラス表面に塗布されている。これらのより耐久性の装飾は、ガラス状物質(「フリット」と呼ばれる)の微粉砕された粒子およびキャリア(代表的には、揮発性有機溶媒またはワックス(「VOC」))を含むペーストの形態で塗布される。このペーストをガラス表面にホットメルトスクリーン印刷または他の塗布技術によって塗布した後、そのガラスは、高温(例えば、650℃)で燃焼されて、上記キャリアを揮発させ、そして/またはそのキャリアを熱分解して除去し、上記フリットを熔融し、そしてそのフリットを上記ガラス表面に結合させる。ホットメルトスクリーン印刷において、上記フリットまたは他の印刷物質は、所望のパターンで加熱スクリーンに塗布される。上記フリットは、融解または軟化し、次いで、スキージを介してスクリーンを強制的に通され、燃焼のための基材に移される。そのような高温に対して感度がない顔料が上記ペースト中に含まれ、上記組成物に色を与える。これらの顔料は、代表的には、特定の重金属(例えば、赤色を生じるためのカドミウム、白色を生じるための鉛、および黄色を生じるためのクロム)を含む。このタイプの装飾プロセスに関連するVOCおよび重金属は、環境障害性である。上記高温燃焼工程は、かなりのエネルギー消費を必要とし、作業者に傷害の危険性をもたらす。
【0004】
セラミック容器をコーティングおよび/または装飾する際に有機溶媒および重金属を使用することを回避する努力、ならびにエネルギー消費を減少する努力は、硬化可能な有機バインダーシステムの使用を包含する。従来の有機顔料は、いずれの硬化剤も不活性であるプロセス条件および温度条件下で操作されるスクリーン印刷プロセスにおいてセラミック表面に適用される、硬化可能なバインダーシステム中で分散される。熱的に硬化される有機バインダーに関して、上記装飾された容器は、オーブン中で、上記硬化剤を活性化して上記バインダーを硬化するが上記顔料を分解しない温度にまで加熱される;これは、顔料とともに上記バインダーを上記容器に固定することに機能する。しかし、第2の層の塗布が所望される場合、引き続いてのスクリーニング塗布は、多くの場合、先に塗布された着色層を上記容器から剥離するか、またはこの着色層は他で損傷を受け、欠陥のある生成物をもたらす。第2の層の塗布の前に第1の層が硬化されるかまたは部分的に硬化される場合、引き続く層の塗布の間の剥離および他の損傷は回避されるが、プロセススピード、効率および/またはエネルギー使用に関して顕著な損害を受ける。
【0005】
UV照射を介して硬化されるバインダーは、マルチインクデザインを用意するために使用され得る。この多数のインクの設計は、次のインク層の塗布の前に各インク層を硬化(または部分的に硬化)することによって下の層に対する損傷を回避する。しかし、これは、装置のコストおよび複雑さに加えて、各インク塗布ステーションの後にUV硬化ステーションの据付を必要とする。
【0006】
ボトルに塗布されるそのようなコーティング組成物は、多くの場合、厳しい物理的環境および化学的環境に曝される。特に、返却可能なボトルは、代表的に、アルカリ洗浄溶液での繰り返しのサイクルの洗浄に供される。下にあるセラミック基材は、そのようなアルカリ洗浄溶液による分解に対して感度が高い;下にある基材が弱まることにより、その基材の上のコーティング組成物がその基材から落ちることが引き起こされ得る。この問題は、小さいフォントの記入物のような非常に細かい装飾として塗布されるコーティング組成物にとって、深刻となる。微細な線は、時々、たとえ大きな領域が顕著な効果を示していなくても、繰り返しのアルカリ洗浄溶液での洗浄によって損傷を受けるか、または除去される。
【0007】
ガラス容器を製造することにおいて、「ホットエンドコーティング」は、多くの場合、新たに形成された容器に塗布され、その結果、その容器の外側に酸化スズの薄膜が生じる。酸化スズコーティングの存在は、有機装飾の、繰り返しのアルカリ洗浄に耐えるという能力に対して良い影響を及ぼすことが見出されている。しかし、酸化スズの膜は、所望のレベルの耐久性をもたらさない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、優れた装飾効果を提供し、費用競争力があり、エネルギー消費を最小にし、かつ/または厳しい環境に対して耐性である、セラミック容器をコーティングするための組成物および方法に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、セラミック基材をコーティングするための方法に関し、この方法は、上記基材の少なくとも一部に、少なくとも1つの硬化可能な有機バインダーおよび少なくとも1つの着色剤を含む着色コーティング組成物を塗布する工程;上記基材の少なくとも一部に、硬化可能な有機バインダーを含む実質的に透明なコーティング組成物を塗布する工程;ならびに上記着色コーティング組成物中のバインダーと上記実質的に透明なコーティング組成物中の該バインダーとを、実質的に同時に硬化させる工程、を包含し、ここで、上記着色コーティング組成物または上記実質的に透明なコーティング組成物のいずれかは、第1に塗布され得、そしてその第1に塗布されるコーティング組成物は、複数の粒子をさらに含む。これらの方法に従ってコーティングされた基材もまた、本発明の範囲内である。
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、概して、セラミック基材をコーティングするための方法に関する。「セラミック」とは、脆性、耐熱性、として一般的に特徴付けられる、および/または1つ以上の非金属性鉱物から形成される、広範な範囲の基材をいい、これらとしては、陶磁器、陶土、粘土、ホワイトウェア、耐火物、磁器、ガラスセラミックスおよびガラスが挙げられるが、これらに限定されない。上記セラミック基材は、艶出しされても、艶出しされなくてもよく、そして任意の形状、大きさまたは構成であり得る。
【0011】
本発明の着色コーティング組成物は、少なくとも1つの硬化可能な有機バインダーおよび少なくとも1つの着色剤を含む。本明細書中で使用される場合、「着色剤」などの用語は、上記組成物に、色および/または他の不透明度および/または他の視覚効果を付与する任意の物質(例えば、染料、顔料、ティント剤など)をいう。着色剤としては、例えば、微粉砕された固体粉末、不溶性であるが、使用の条件下では湿潤可能なものが挙げられる。色付与(color−imparting)顔料は、当業者に公知であり、一連の特定の例が、米国特許第6,514,414号に見出され得る。単一の着色剤または2つ以上の着色剤の混合物が使用され得る。高温耐性顔料(例えば、フリットコーティングおよび装飾に使用され、かつ多くの場合、重金属を含む顔料)が、使用され得るが、高温は本発明においては必要でないので、高温耐性を有しない顔料が使用され得る。従って、多くの場合毒性である重金属含有顔料は、本発明に従う外観を犠牲にすることなく、回避され得る。本発明の1つの非限定的な実施形態は、具体的に、クロム、カドミウム、鉛またはコバルトを含む重金属を除外する。上記着色剤は、使用される場合、本願組成物の1〜65重量%、例えば、本願組成物の3〜40重量%または5〜35重量%を構成し得る(重量%は、上記組成物の全重量に基づく)。塗料産業において代表的に使用される任意の顔料または染料が使用され得る。これらとしては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、DPPBOレッド、フタログリーンまたはフタロブルー、酸化鉄、バナジン酸ビスマス、ナフトールAS、アントラキノン、ペリレン、アルミニウムおよびキナクリドンである。
【0012】
本発明において着色剤として使用され得る組成物の外観に影響を与える他の材料としては、反射率、パールエセンス(pearlescence)、金属光沢、リン光、蛍光、フォトクロミズム、サーモクロミズム、およびゴニオクロミズム(goniochromism)のような1つ以上の効果を生じる、特定の効果の顔料および/または特定の効果の組成物が挙げられる。そのような特定の効果の顔料/組成物は、一般的に、上記組成物に対して色を付与する一方で、いくつかの特定の効果の顔料/組成物は、上記組成物に対して知覚できる色を付与しないが、他の知覚できる特性(例えば、視覚特性)を上記組成物に付与する。
【0013】
上記着色コーティングと同様に、上記実質的に透明なコーティングもまた、少なくとも1つの硬化可能な有機バインダーを含む、この少なくとも1つの硬化可能な有機バインダーは、上記着色コーティング組成物中の硬化可能な有機バインダーと同じであっても、または異なっていてもよい。「実質的に透明なコーティング」などの用語は、下にある基材またはコーティングにほとんど色を付与しないか、または全く付与しないコーティングをいう。
【0014】
上述のように、本発明は、セラミック基材をコーティングするための方法に関し、この方法は、上記基材に2つのコーティング組成物(着色コーティング組成物および実質的に透明なコーティング組成物)を塗布する工程を包含する。上記コーティングは、いずれかの順序;すなわち、着色コーティングの後に透明なコーティング、または透明なコーティングの後に着色コーティング、のいずれかの順序で塗布され得る。第1に塗布されるコーティング、および必要に応じて第2の塗布されるコーティングは、複数の「スペーサー」粒子をさらに含む。この粒子は、有機、無機または有機と無機との組み合わせであり得、球形、非球形または球形と非球形との組み合わせであり得る。有機粒子は、ポリマー性、非ポリマー性、またはポリマー性と非ポリマー性との組み合わせであり得る。上記粒子は、固体、中空、または固体と中空との組み合わせであり得る。適切な無機粒子は、不活性充填材として市販されており、そして例えば、ガラス(ホウケイ酸ガラスおよびソーダ石灰シリカガラスを含む)ならびにセラミックスを含み得る。有機粒子はまた、広範に市販されている。本発明での使用に適切な有機粒子は、広範な種類のポリマー種およびそれらのブレンドを含み得る;これらの粒子は、以下に記載されるような特定の実施形態で所望される、剛性と熱軟化との組み合わせを示し得る。特定の有機粒子は、特定の実施形態において所望のレベルの光沢を達成するのに有用である。なぜなら、その有機粒子は、容易に軟化して流動し、その結果滑らかで光沢のある表面を生じる。適切なポリマー材料の例としては、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリウレタンおよびポリエステルが挙げられる。適切なポリアミドの非限定的な例としては、ポリアミド12、ポリアミド11、およびポリアミド6/12が挙げられる。本発明に従って使用されるコーティングは、軟化する有機粒子、および/または以下で考察される軟化特性を保持し得ない有機粒子、および/または無機粒子を含み得る。
【0015】
上記粒子は、第1の温度以下で剛性であり得、そして上記バインダーが硬化する温度以下で、かつより高温の第2温度で軟化する;上記バインダーは、第1の温度では硬化しないままである。あるいは、上記粒子は、全ての関連温度で剛性であり得る。すなわち、上記粒子は、上記バインダーが硬化する温度以下で軟化せず、本明細書中に記載されるコーティング工程の間に上記基材が曝露される温度で、いかなる感知できる軟化もしない。「軟化しない」粒子は、表面テクスチャー、摩擦係数、磨耗耐性および/または特別な反射率のような目的を達成するのに有用であり得る。上記粒子は、上記コーティング組成物において所望の効果を示すのに十分なレベルおよび割合(比率)で存在し得る。「剛性」などの用語は、上記粒子が所定の温度において容易に圧縮できないことを意味する;つまり、上記粒子は、その粒子が含まれる硬化しないバインダーよりも大きな構造完全性(structural integrity)を有する。
【0016】
より詳細には、使用される組成物の1つ以上の成分は、上記バインダーが硬化せず、上記着色組成物および/または上記実質的に透明なコーティング組成物中の粒子が第1の温度において剛性であるように、選択される。第1の温度は、代表的には、上記組成物が上記基材に塗布される温度、および/または第2のもしくはその後のコーティング層が上記基材に塗布され得る温度である。この温度は室温であり得るか、またはこの温度は、いくらか高温であり得る。特定の実施形態において、第2の温度において、上記バインダーは硬化し、上記粒子は軟化する。「硬化」などの用語は、熱硬化性ポリマーを形成する有機バインダーの種々の成分が結合する化学反応をいう。「軟化」などの用語は、上記粒子において変形および/または他の形状変化が生じるように、粒子の構造の十分な剛性がなくなることをいう。例えば、本発明の組成物の表面から突き出る粒子は、第2の温度以下で形状が変化し、コーティング表面を「融解(melt)」または滑らかにする;この滑らかにすることにより、粒子がコーティング表面を通って突き出る場合に通常観察される光沢(gloss)の減少は、排除されなくても最小にされる。他の実施形態において、使用される組成物の1つ以上は、第1の温度および第2の温度の両方においてそれらの剛性および/または構造完全性を維持する粒子を含む。
【0017】
温度パラメータに加えて、粒子は、上記組成物のバインダーおよび/または残りにおける、それらの溶解性および/または湿潤性に基づく用途について、選択され得る。上記バインダー中の過度の溶解性粒子は、印刷温度において、バインダー中で溶解、膨潤または軟化し得、スペーサーとして機能しない。または、上記溶解性の粒子は、他の様式で、所望されない表面の外観を生じ得る。上記粒子がバインダーによって十分に湿潤されない場合、特定の適用において所望され得ない表面テクスチャーが結果として生じ得る。
【0018】
上記粒子は、球状または非球状の粒子であり得る。粒子サイズの平均サイズおよび分布は、スペーサー機能を最大にし、かつ外観に対する任意の悪影響を最小にするように選択される。粒子サイズは、使用者の必要性および所望によって変化し、1ミクロン未満の平均粒子直径を有し得る。特定の非限定的な実施形態において、平均粒子直径は、少なくとも1ミクロンであり得、他の非限定的な実施形態では、少なくとも3ミクロンであり得、少なくとも5ミクロンの平均直径は、いくつかの非限定的な実施形態において十分であることが見出されている。特定の実施形態において、上記粒子のサイズは、代表的には、堆積されるコーティング層とほぼ同じサイズであり得る。上記粒子が上記コーティング層に対して小さすぎる場合、その粒子は、スペーサーとして機能しない。その粒子が大きすぎる場合、またはその粒子が多すぎる場合は、その粒子は、たとえ軟化した後でも、表面から突き出てしまい得、コーティングまたは装飾の最終的な光沢を減少させる。もちろん、この突き出しは、特定の実施形態では所望され得、この場合、粒子のサイズおよび/または軟化特性は、適切に選択されるべきである。粒子サイズの選択はまた、ホットメルトスクリーン印刷プロセスで使用されるスクリーンのメッシュサイズによって決定され得る。スクリーンは、そのスクリーンを通って通過するには大きすぎる粒子によって隙間を埋められ得、これは、結果として、粗末な印刷品質となる。
【0019】
本発明に従って使用されるバインダーは、当該分野で公知の任意の適切な有機コーティング組成物から選択され得る。これらとしては、有機樹脂性成分を含む組成物(例えば、実質的に液体状態でセラミック基材に適用され得、その後、耐久性の硬化状態に硬化される組成物)が挙げられる。硬化は、加熱、UV照射、電子線照射またはバインダーを硬化させるいくつかの他の形態のエネルギーのような、任意の手段によって達成され得る。特定に実施形態では、上記バインダーは、硬化エネルギーが印加された場合に硬化反応を受ける、1つまたは2つの有機成分を含む。特定の非限定的な実施形態では、上記組成物は、米国特許第6,214,414号に開示されるように、エポキシ樹脂およびアミン硬化剤(例えば、ジシアンジアミド)を含み得る。本発明の他の非限定的な実施形態では、上記バインダーは、米国特許第6,214,414号(本明細書中に参考として援用される)に開示されるような、ブロック化イソシアネート硬化剤をさらに含み得る。他の適切な樹脂としては、例えば、ヒドロキシル含有アクリルポリマーもしくはカルボン酸含有アクリルポリマー、ヒドロキシル含有ポリエステルポリマーもしくはカルボン酸含有ポリエステルポリマー、イソシアネート含有ポリウレタンポリマーもしくはヒドロキシル含有ポリウレタンポリマー、アミン含有ポリウレアもしくはイソシアネート含有ポリウレア、または任意の他のヒドロキシ官能基ポリマー、カルボン酸官能基ポリマー、アミド官能基ポリマー、アミンカルバメート官能基ポリマー、イソシアネート官能基ポリマーもしくはエポキシ官能基ポリマーが挙げられる。適切な硬化剤は、当業者によって決定され得、アミノプラスト、フェノプラスト、ポリエポキシド、ポリ酸、イソシアネート、ポリオール、ポリアミン、無水物、およびカルボジイミドのうちの1つ以上を含み得る。バインダー(単数および複数)ならびに/または硬化剤(単数および複数)の組み合わせが使用され得る。
【0020】
1つの非限定的な実施形態において、ポリエポキシ官能基反応性有機樹脂が使用され得る;「ポリエポキシ官能基」とは、数平均分子量に基づいて、上記樹脂が、平均で、1分子あたり1つより多いエポキシ基を含むか、または、平均で、1分子あたり約2つ以上のヒドロキシル基を含むことを意味する。他の非限定的な実施形態では、UV照射または電子線(EB)照射は、これらの照射に曝露された際に熱硬化するように設計された反応性官能基を含む、適切に処方されたバインダーの硬化を開始するために使用され得る。これらとしては、アクリレート、ビニル官能基材料、アクリル化オリゴマーおよびアクリル化ポリマー、ならびに不飽和ポリエステルを含むビニルエーテルのような、種々のフリーラジカル硬化材料が挙げられる。それらはまた、脂環式エポキシまたはビニルエーテルのようなカチオン的に開始される材料であり得る。適切なフリーラジカルまたはカチオン性光開始剤は、一般的に、UV硬化と一緒に使用され、EB硬化については任意のものである。上記の熱硬化組成物でのUV/EB硬化の組み合わせプロセスと同じように、フリーラジカルおよびカチオン性硬化剤の組み合わせもまた可能である。
【0021】
特定の非限定的な実施形態では、本発明で使用されるバインダーは、60℃〜120℃の温度での印刷に適切な粘度を有するか、またはそのような粘度を有するように適合される;他の温度は、他の非限定的な実施形態で使用され得る。熱的に硬化されるシステムに関して、上記バインダーの硬化機序は、そのバインダーが、そのバインダーが硬化する第2の温度に曝されるまで、ほとんど活性を有しないか、または全く活性を有しないように選択される。早過ぎる硬化を回避するために、第1の温度と第2の温度との間の差は、少なくとも30℃であり得、より代表的には、50℃よりも大きくあり得るが、他の温度差が本発明内で使用され得る。
【0022】
1つ以上の着色コーティング組成物で使用される硬化可能な有機バインダーおよび実質的に透明なコーティング組成物で使用される硬化可能な有機バインダーは、同じでも異なっていてもよい。同様に、着色コーティング組成物および実質的に透明なコーティング組成物の両方で使用される粒子が存在する場合、それらの粒子は同じでも異なっていてもよい。
【0023】
いくつかの用途では、上記コーティングは、上記基材に対する永久的なコーティングに取り組むか、またはそれを達成するレベルで、そのセラミック基材に接着することが所望される。そのような高度に耐久性のコーティングは、多くの場合、再充填の前に返却されたボトルを洗浄するためにボトル詰め業者によって一般的に使用されるように、繰り返しのアルカリ洗浄液での洗浄(例えば、アルカリ性溶液)を受ける容器にとって望ましい。上記ボトルは、本発明の組成物の塗布の前に接着促進因子で処理され得るか、または上記バインダーは、有機官能基シラン、シロキサンもしくはチタン酸塩のような接着促進因子を含み得る。
【0024】
他の用途では、上記コーティングは、飲料ボトル詰め業者に限定された回数返却された後、容器から取り外され得る。例えば、季節的な装飾または休日用の装飾は、販売促進期間の間、ボトルに付けられ得、そして販売促進期間が終了したときは、取り外され得る。上記セラミック基材は、上記コーティング組成物の塗布の前に、剥離増強組成物で処理され得る。アルカリ洗浄液での洗浄において、本発明のコーティング組成物の剥離を増強するためにセラミック基材を処置するための組成物の1つの非限定的な例は、ポリエチレンエマルジョンのようなポリエチレン組成物である。上記剥離増強組成物は、例えば、コールドエンドコーティングプロセスで適用され得る。
【0025】
上述のように、本発明の特定の非限定的な実施形態の組成物中に含まれる粒子は、第1の温度以下では剛性である。上記粒子は、上記組成物が表面に塗布される温度であって、ホットメルト型の組成物の場合は、有意に上昇される温度において、実質的に構造的剛性を有する;特定の実施形態では、上記粒子は、上記バインダーを硬化するために使用される温度においてその粒子の構造の明確さを失う。最初の剛性は、弾性または可塑性の全てを除外することを必要としないが、塗布された、硬化されていないコーティング組成物の層に構造完全性を提供するのに十分である。この構造完全性は、各層を硬化する必要なく、上記基材に次の層を塗布することを可能にする。この様式において、上記粒子は、硬化するまで、実質的に所望の位置に上記コーティングを保持する「スペーサー」として機能する。塗布される前の層(単数または複数)の完全性のために、本発明は、2層以上のコーティング層(例えば、異なる色のコーティング、または1つ以上の着色コーティングおよび1つ以上の実質的に透明なコーティング)が、その異なる層の塗布の間に硬化する工程をすることなく、塗布されることを可能にする。
【0026】
所望の層の全てが塗布された後、硬化エネルギーが印加され得、それらの層の全てを、実質的に同時に、実質的に硬化し得る。「実質的に硬化」などの成句は、上記バインダーが部分的よりも多く硬化されることを意味する。「実質的に同時に硬化」などの成句は、全てのコーティング層を、単一の硬化工程で、実質的に硬化することをいう。
【0027】
60℃〜120℃の範囲のホットメルトスクリーン印刷温度、および150℃〜220℃の範囲の硬化温度を使用する、代表的で一般的なボトル装飾プロセスに関して、ポリアミド12の粒子が特に適していることが見出されている。他のポリマーシステムは、異なる温度範囲で特に適し得る。
【0028】
代表的に、上記バインダーは、20〜95重量%を構成する(重量%は、上記組成物の総重量に基づく)。着色コーティングに関して、上記バインダーは、例えば、35〜65重量%の範囲であり得、実質的に透明なコーティングに関しては、上記バインダーは、50〜95重量%の範囲(例えば、65〜95重量%または75〜95重量%)であり得る。特定の非限定的な実施形態において、本発明で使用されるコーティング中の、比較的小さなサイズかつ比較的に少ない量の粒子は、知覚できる反射率を生じない。粒子が使用される場合、上記組成物の粒子の含量は、代表的には、5〜50重量%、または10〜35重量%、または15〜30重量%の範囲である(重量%は、上記組成物の総重量に基づく)。密度、粒子サイズおよび粒子サイズ分布は、十分なスペーサー機能を達成するのに適切な品質、および所望のフィルムの外観を決定する。例えば、より多い重量%の粒子は、低密度の粒子が使用される場合と類似の効果を達成するために、比較的高密度である粒子にとって必要であり得ることが理解される。
【0029】
反応性ワックスは、必要に応じて、本発明の特定の非限定的な実施形態に含まれ得る。これらは、活性水素を有し、通常、ヒドロキシル、アミノ、ウレイレン、カルバミル、およびカルバミロキシから選択される、少なくとも1つの反応基を有する長鎖脂肪族物質であり、そしてこれは、一般的にワックスと関連する物理的特徴を有する。ステアリルアルコールは、一般的に使用される反応性ワックスの一例であるが、多くの他の化合物が当該分野で公知である。反応性ワックスは、必要に応じて、上記組成物の最大20重量%を構成し得、例えば、上記組成物の0.5〜15重量%を構成し得る。
【0030】
本発明の特定の非限定的な実施形態は、実質的に透明な充填材および/または実質的に無色の充填材を、さらに含み得、実質的に透明な組成物での使用に特に適切である。これらの充填材は一般的に、最終的なコーティングにほとんど色を付与しないかもしくは全く色を付与しない(「実質的に無色」である)、そして/または可視光をほとんど吸収しないかもしくは全く吸収しない(「実質的に透明」である)、微粉砕された粒子状固体である。これらの充填材は、本発明のスペーサー粒子に加えて使用され得る。上記充填材は、通常、500nm未満の最大直径を有し、例えば、100nm未満の最大直径、50nm未満の最大直径、20nm未満の最大直径、または5〜20nmの範囲の最大直径を有する。特定の非限定的な実施形態において、上記充填材は疎水性である。適切な疎水性充填材の例としては、R972、R974、R812、R812S、R805と指定されるAEROSILヒュームドシリカ(Degussa Corporation,Ridgefield Park,New Jersey)が挙げられる。実質的に透明および/もしくは無色の充填材、または2つ以上の実質的に透明および/もしくは無色の充填材の混合物は、所望される場合に使用され得る。着色組成物という特定の実施形態で存在する場合、実質的に透明および/または無色の充填材(単数および複数)は、代表的に、上記組成物の0.01〜20重量%を構成し、例えば、1〜10%、または2〜5%を構成する一方で、類似の量が実質的に透明なコーティングに添加され得る;高い光沢の用途に関しては、無機添加物を最小量にすることが望ましくあり得る。
【0031】
多くの他のさらなる材料は、必要に応じて、本組成物で使用され得る。これらの中には、抗酸化材、脱気補助剤および流動調節剤がある。これらは、例示的なだけにすぎない;他は、所望の場合使用され得る。他の添加剤は、レオロジー、不透明度、耐久性、潤滑性、色の輝度、および当業者に公知の多くの他の機能を改善するために含まれ得る。存在する場合、さらなる任意の材料は、その材料の慣習的な目的のために、その材料の慣習的な量で使用され得る。代表的には、これらのさらなる任意の材料は、存在する場合、本発明で使用されるコーティング組成物の0.01〜15重量%を構成する。
【0032】
本発明に従って、2層以上の異なるコーティング層は、基材に塗布され、これらの層のうちの少なくとも1層は、着色され、これらの層のうちの少なくとも1層は、実質的に透明である。「コーティング層」または「装飾層」は、概して、単一のコーティング層をいう。着色コーティング層は、ラベルの色または他の不透明度または視覚効果を上記基材に付与し得る;実質的に透明なコーティング層は、ラベルの透明な部分を付与し得るか、または上記基材の実質的に全ての上に使用され得、下にある層および/または上にある層(単層または複層)の両方ならびに基材自体に、保護および/または耐久性を提供する。第2のコーティング層が、第1のコーティング層の上、その隣、および/またはその第1のコーティング層から離れて塗布される場合、その第1のコーティング層中の粒子は、スペーサーとして機能することによって、硬化されていない第1の層の完全性を維持する。従って、事前に塗布されたコーティング層の頂部への、その隣へのおよび/またはその層から離しての、次のコーティング層の塗布は、その事前に塗布されたコーティング層を妨害しない。塗布される最後の層はまた、粒子を含み得るが、その層は続いての印刷操作の厳しさ(rigor)に曝されないので、その最後の層は、粒子を含む必要はない。
【0033】
特定の実施形態では、上記のような少なくとも1つの着色コーティング組成物は、セラミック基材に塗布される。着色コーティング組成物は、基材の少なくとも一部、またはその基材に事前に塗布されたコーティング層の少なくとも一部上に、塗布され得る。着色コーティング層(単層および複層)は、個別の単語またはデザインの形態で適用され得るか、または基材の大部分、または基材の全て、または基材の実質的に全てを覆い得る。実質的に透明なコーティングは、上記着色層(単層および複層)の少なくとも一部を覆う透明なオーバーコーティングとして塗布され得る。
【0034】
特定の非限定的な実施形態において、1層以上の実質的に透明な層は、基材上の最初のコーティングとして使用され得る。最初のコーティングとして塗布される場合、その実質的に透明なコーティングは、複数のスペーサー粒子をさらに含む。次いで、1つ以上の着色コーティングが、上記透明なコーティングの全てまたは一部の上に塗布され得る。この配置はまた、着色コーティング組成物の分解を低減または排除し得る。なぜなら、下にある実質的に透明な組成物は、セラミック基材と着色コーティング組成物との間のバリアとして機能し得るからである。次いで、第2の実質的に透明なコーティングは、1層以上の着色コーティング層の全てまたは一部の上に塗布され得る。第2の実質的に透明なコーティングは、第1の実質的に透明なコーティングと同じであってもよく、また異なっていてもよい。1つの実施形態では、上塗り組成物または最上部の組成物が、着色であれ、透明であれ、その光沢および透明さを最大にするために、スペーサー粒子は、上塗り組成物または最上部の組成物中から排除される。
【0035】
上記実質的に透明なコーティング組成物は、特に、上記着色コーティング組成物(単数および複数)の耐久性を改善するために適しており、着色コーティング組成物(単数および複数)の少なくとも一部分の上、または着色コーティング組成物(単数および複数)の少なくとも一部分の下に塗布され得る。例えば、スペーサー粒子を含む、下にある着色コーティング組成物は、セラミック基材に塗布され得、そして実質的に透明なコーティング組成物は、その上に塗布される。下にあるコーティング組成物(単数および複数)の、実質的に透明なコーティング組成物による被覆率の程度は、変化し得る。1つの実施形態において、上記実質的に透明なコーティング組成物は、コーティングが塗布される物品(例えば、ガラスのボトル全体)の実質的に全てを覆う。しかし、下にあるコーティング組成物の分解は、代表的には、下にあるコーティング組成物の縁で(すなわち、セラミック基材と下にあるコーティング組成物との間の界面で)起こるので、実質的に透明なコーティング組成物は、下にあるコーティング組成物の縁を覆い得、それによって、下にあるコーティング組成物に隣接するセラミック基材の一部をもまた覆う。印刷形態または微細な線のような微細な細部に塗布された下にある着色コーティング組成物に関しては、下にあるコーティング組成物の全体を実質的に透明なコーティングで覆うことはより単純であり得る。実質的に透明なコーティング組成物が上記物品の一部に塗布されるこれらの実施形態では、セラミック基材の表面積の50%未満、または表面積の25%未満、および他の場合、セラミック基材の表面積の10%未満が、実質的に透明なコーティング組成物によって覆われ得る。その実質的に透明なコーティング組成物は、下にあるコーティング組成物を塗布するために使用される技術と同じ技術または異なる技術を使用して、塗布され得る。いずれの着色層(単層および複層)の前に基材に塗布される場合、実質的に透明なコーティング組成物は、上にあるいずれの着色層(単層および複層)に耐久性を提供する。これらの実施形態において、上記実質的に透明な層は、着色層と基材との界面において、苛性作用からの保護を提供する。
【0036】
コーティング(着色および実質的に透明)の塗布の順序は、最終製品の所望の特徴(その最終製品に適用される任意のデザインまたは他の特徴的な印を含む)、および実質的に透明なコーティング組成物による環境からの所望の保護の程度に依存する。
【0037】
本発明に従って、多色の有機装飾は、素早く連続的に複数の印刷工程でセラミック基材に適用され得る。各コーティング層は、他のコーティング層(単層および複層)と同じでも異なっていてもよい。全てのコーティング層が塗布された後、コーティングされた基材は、高温に加熱され、塗布されたコーティング層の全てを実質的に同時に硬化する。ブロック化イソシアネートを含む組成物では、1つ以上の塗布されたコーティング組成物の硬化は、そのポリイソシアネートを脱ブロック(unblock)するのに十分な温度で達成される。アミン硬化エポキシベースのシステムを用いる場合、代表的な市販のボトルの装飾操作での硬化温度は、通常、少なくとも150℃であり、200℃ほど高くあり得る。硬化温度は、コーティングの所望されない着色または他の熱分解を引き起こすほど高くあるべきでない。異なる硬化温度は、他の樹脂システムまたは他のプロセスに適用可能である。特定の非限定的な実施形態では、本明細書中に記載されるような2つ以上の組成物は、基材の少なくとも一部に塗布され、その組成物は、325℃以下の温度で実質的に同時に硬化される。
【0038】
上述のように、本発明の方法に従って、コーティング組成物(単数および複数)は、装飾されていないセラミック基材および/または1層以上の先に塗布されたコーティング層を有している基材に塗布され得る。後者の状況では、次のコーティング層は、基材に直接的にか、1層以上の他のコーティング層の上に少なくとも部分的にか、またはそれらのいくつかの組み合わせで、塗布され得ることが理解される;「基材の少なくとも一部に塗布」などの用語は、全ての装飾層が最終的には基材に塗布されるので、これらの代替物の全てを包含する。通常、上記層は、より冷たい基材の冷却効果によりコーティング層を素早く実質的に凝固するように、高温で塗布される。そのような凝固は、微細な線の鮮明さを維持すること、いずれの先に塗布された層の鮮明さを損なうことなく多数の層の塗布を可能にすること、および/または各層を別々に硬化する必要なく多数の層の塗布を可能にすることに役立つ。特定の非限定的な実施形態では、次に塗布される層の塗布温度は、先に塗布されたコーティングが液化するかまたは過度に軟化する温度よりも低いことが望ましくあり得る。これは、微細な線の鮮明さの保護および先に塗布された装飾層の分離度(resolution)を増強する。本方法は、ガラスボトルに商標印を塗布することに、または鮮明さ(例えば、文字について)が特に所望される任意の他の塗布に、特に適している。
【0039】
本発明に従って使用される組成物は、一般的に、塗布の後に触れるまで急速に凝固する。そのようにして、その組成物は、ボトルまたは他のセラミック基材が連続的にコーティングされる、高速での装飾線の操作で有利に使用され得る。
【0040】
本発明は、代表的に、ホットメルトスクリーン印刷による塗布を使用して、本明細書中に記載される。本発明は、コーティングを塗布するための任意のプロセス(例えば、スプレーイング、カーテンコーティング、ローラー塗布、印刷またはブラッシング)を包含することが理解される。
【0041】
本発明に従ってコーティングされる基材は、ホットエンドコーティングされ得、上記コーティング組成物の下にある、酸化スズフィルムを形成する。しかし、許容可能な耐久性は、たとえ酸化スズフィルムの量が通常は最適と考えられる量よりも少ない場合でも、本発明を使用して達成可能である。
【0042】
本発明に従って製造される物品はまた、有機潤滑コーティング(例えば、ポリエチレン)でコールドエンドコーティングされ得、機械的耐摩耗性を増強し得る。
【0043】
本明細書中で使用される場合、他で特に明確に述べられない限り、値、範囲、量またはパーセントを表すような数の全ては、たとえ単語「約」が明確に現れない場合でも、単語「約」によって前置きされるように読まれ得る。本明細書中に記載される任意の数値的範囲は、その範囲の中に含められる下位範囲(sub−range)の全てを含むことが意図される。複数形は単数形を包含し、逆もまた成り立つ。また、本明細書中で使用される場合、用語「ポリマー」とは、プレポリマー、オリゴマーおよびホモポリマーとコポリマーとの両方をいうことが意図される;接頭語「ポリ」は、2つ以上を指す。
【実施例】
【0044】
本発明はさらに、以下の実施例で説明され、この実施例は、限定的ではなく例示的であると考えられるべきであり、そしてこの実施例において、他で特に述べない限り、全ての部分は重量部であり、全てのパーセントは重量パーセントである。以下の材料を実施例で使用した:
EPON 880ビスフェノールAジグリシジルエーテル、Resolution Performance Products、Houston、Texas
EPON 1001FビスフェノールAジグリシジルエーテル、Resolution Performance Products、Houston、Texas。
【0045】
VESTAGON B 1400、3:1:3モル比の、イソホロンジイソシアネートと1,1,1−トリメチロールプロパンとε−カプロラクタムとの付加物であると考えられる、ブロック化ポリイソシアネート、Degussa AG、Coatings and Colorants、Marl,Germany
TI−PURE R−706二酸化チタン顔料、E.I.du Pont de Nemours & Co.、Wilmington、Delaware
NEO GEN DGHケイ酸アルミニウム、Dry Branch Kaolin Co.、Dry Branch,Georgia
SPHERICEL 110P8中空ホウケイ酸ガラス微粒子、11.7ミクロンの平均粒径、Potters Industries,Inc.、Valley Forge、Pennsylvania
MODAFLOW Powder III流動調節剤−二酸化ケイ素を含む、エチルアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレートコポリマー、Solutia Inc.、St.Louis、Missouri
UVITEX OB白化剤、2,2’−(2,5−チオフェネジイル)ビス[5−(1,1−ジメチルエチル)]−ベンゾキオサゾール、Ciba Specialty Chemicals、Basil、Switzerland
BYK−405レオロジー制御剤、ポリヒドロキシカルボン酸アミドの溶液、BYK−Chemie、Wesel、Germany
DYHARD 100Mジシアンジアミド、98%が<40ミクロンに微粉化されている、SKW Trostberg Aktiengesellschaft、Trostberg、Germany
AEROSIL R974疎水性ヒュームドシリカ、Degussa AG、Frankfort am Main、Germany
ORGASOL 1002 D NAT 1ポリアミド6パウダー、20ミクロンの平均粒径、Atofina Chemicals、Philadelphia、Pennsylvania
ORGASOL 2001 UD NAT 1ポリアミド12パウダー、5ミクロンの平均粒径、Atofina Chemicals、Philadelphia、Pennsylvania
VESTOSINT 2070ポリアミド12パウダー、5ミクロンの平均粒径、Degussa AG、Marl、Germany
DOVERPHOS S−680ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト坑酸化剤、Dover Chemical Corporation、Dover、Ohio
FLUORAD Fluorosurfactant FC 4430非イオン性ポリマー界面活性剤、3M Specialty Materials、St.Paul、Minnesota
INTERPROME 4049アゾベースのナフトール赤色着色剤、Sino、P.R.China
INTERPROME 4047顔料、Sino,P.R.China。
【0046】
(実施例1)
本発明の1つの実施形態に従う白色装飾組成物を、有機粒子(VESTOSINT 2070 ポリアミド12パウダー)を使用して調製した。チャージ1の材料を、均一になるまで80℃〜110℃で混合した。チャージ2の材料を、チャージ1の混合物中に導入し、1時間、80℃〜110℃で混合し、白色の均一ペーストを得た。得られた白色装飾組成物を、容器に注ぎ、室温まで冷却して、固体のコーティング組成物を得た。
【0047】
【表3】

(実施例2)
本発明の1つの実施形態に従う白色装飾組成物を、有機粒子(VESTOSINT 2070ポリアミド12パウダー)と無機粒子(SPHERICEL 110P8ガラスビーズ)との組み合わせを使用して調製した。チャージ1の材料を、均一になるまで80℃〜110℃で混合した。チャージ2の材料を、チャージ1の混合物中に導入し、1時間、80℃〜110℃で混合し、白色の均一ペーストを得た。得られた白色装飾組成物を、容器に注ぎ、室温まで冷却して、固体のコーティング組成物を得た。
【0048】
【表4】

(実施例3)
本発明の1つの実施形態に従う白色装飾組成物を、有機粒子(ORGASOL 2001 UD NAT1 ポリアミド12パウダー)を使用して調製した。チャージ1の材料を、均一になるまで80℃〜110℃で混合した。チャージ2の材料を、チャージ1の混合物中に導入し、1時間、80℃〜110℃で混合し、白色の均一ペーストを得た。得られた白色装飾組成物を、容器に注ぎ、室温まで冷却して、固体のコーティング組成物を得た。
【0049】
【表5】

(実施例4)
白色装飾組成物を、無機粒子(SPHERICEL 110P8中空ガラス微粒子)のみを組み入れて調製した。チャージ1の材料を、均一になるまで80℃〜110℃で混合した。チャージ2の材料を、チャージ1の混合物中に導入し、1時間、80℃〜110℃で混合し、白色の均一ペーストを得た。得られた白色装飾組成物を、容器に注ぎ、室温まで冷却して、固体のコーティング組成物を得た。
【0050】
【表6】

(実施例5)
赤色装飾組成物を、実施例1〜4の白色装飾組成物上に重ね刷りするために調製した。この装飾組成物は、粒子を含まなかった。なぜなら、この装飾組成物を次の装飾層として塗布したからである。チャージ1の材料を、均一になるまで80℃〜110℃で混合した。この混合物を、80℃〜110℃で1時間混合し、赤色の均一ペーストを得た。得られた赤色装飾組成物を、容器に注ぎ、室温まで冷却して、固体のコーティング組成物を得た。
【0051】
【表7】

この赤色インクを、先の白色インク実施例の各々の上に、代表的なマルチインク塗布プロセスの一部としてStrutz 150装飾機械を使用して、連続的に印刷した。単一工程の焼付けプロセスで、45分間350°Fで硬化した場合、得られたボトル装飾は、許容可能な外観およびフィルム性能特性を提供した。
【0052】
(実施例6)
(光沢測定)
実施例1〜4で調製した白色組成物を、デザインとして、Strutz GP−4 Semi−Automatic General Purpose Decoratorを使用してガラスボトルに印刷した。180メッシュのステンレス鋼スクリーンを使用し、そして上記白色装飾組成物を80℃〜85℃の範囲の温度で印刷した。印刷されたボトルを、続いて、強制空気オーブン中で、180℃で1時間硬化した。装飾の表面光沢を、Novo−Curve小領域光沢計(Rhopoint Instrumentation Ltd.,East Sussex,United Kingdom)(これは、ASTM D523の手順を行うように適合されている)によって測定した。この装飾の表面光沢を表1に報告する。本発明の組成物(実施例1〜3)の表面光沢は、実施例4の表面光沢よりも大きかった。
【0053】
【表1】

(実施例7)
250メッシュの白色装飾組成物を、実施例2のように、以下の成分と共に有機粒子および無機粒子を有して生成した。
【0054】
【表8】

本発明の1つの実施形態に従う、250メッシュの実質的に透明なコーティング組成物を、以下の成分を有して調製した。
【0055】
【表9】

ソフトドリンクボトル(250ml容量)を、7時間325℃で加熱し、いずれの先に存在するポリエチレンコーティングを除去した。その加熱洗浄したボトルの全てを、250メッシュのステンレス鋼スクリーンを使用して、実施例5のような白色装飾組成物で装飾した。白色の装飾されたボトルの半分を、250メッシュのステンレス鋼スクリーンを使用して、白色のインク装飾領域上に実質的に透明なコーティング組成物でコーティングし(「透明コート」例)、残りの半分は、透明コートを与えなかった(「コントロール」例)。2つの組成物を、実施例5のように単一工程の焼付けプロセスで硬化した。各群のボトルの半分を、ポリエチレンコールドエンドコーティングで続いてスプレーし(「CECあり」)、残りの半分にはコールドエンドコーティングを与えなかった(「CECなし」)。
【0056】
コーティングしたボトルを、促進的な苛性条件にさらし、以下の通り白色装飾組成物の損失について試験した。冷水を充填した3つのコーティングしたボトルを、7分間、2.5重量% NaOH、0.3重量%DiversyLever Anti−Etch剤、および50ppm CaCOを含む70℃の撹拌苛性浴中に浸漬した。このボトルを、試験のためにこの浴から取り出した。小さな文字のいずれの損失を、全体集合の不合格と考えた。次いで、このボトルを空にし、冷水を再充填し、不合格が観察されるまで上記試験サイクルを繰り返した。表2に報告したデータは、白色装飾組成物の耐久性は、ポリエチレンCECを含む白色組成物またはポリエチレンCECを含まない白色組成物で装飾したボトルと比較して、実質的に透明なコーティング組成物の上塗りの使用によって有意に増強されたことを示す。このデータはまた、実質的に透明なコーティング組成物を有するボトルに塗布されたポリエチレンCECは、白色装飾組成物の耐久性に効果を与えなかったことを示す。
【0057】
【表2】

本発明は、本発明の特定の実施形態の特定の細部を参照して記載されているが、そのような細部は、それらが添付の特許請求の範囲中に含まれる範囲以外は、本発明の範囲を限定するものとして見なされるべきでないことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基材をコーティングするための方法であって、該方法は:
該基材の少なくとも一部に、少なくとも1つの硬化可能な有機バインダーおよび少なくとも1つの着色剤を含む着色コーティング組成物を塗布する工程;
該基材の少なくとも一部に、硬化可能な有機バインダーを含む実質的に透明なコーティング組成物を塗布する工程;ならびに
該着色コーティング組成物中のバインダーと該実質的に透明なコーティング組成物中の該バインダーとを、実質的に同時に硬化させる工程
を包含し、ここで、該着色コーティング組成物または該実質的に透明なコーティング組成物のいずれかは、第1に塗布され得、そして該第1に塗布されるコーティング組成物は、複数の粒子をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記着色コーティング組成物が、第1に塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記実質的に透明なコーティング組成物が、第1に塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記実質的に透明なコーティング組成物が、前記着色コーティング組成物の実質的に全体上に塗布される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記実質的に透明なコーティング組成物が、前記着色コーティング組成物の端部にのみ塗布される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1に塗布されるコーティング組成物が、複数の粒子をさらに含み、該粒子は、第1の温度以下で剛性であり、そして前記バインダーが硬化する温度以下の第2の温度で軟化する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1に塗布されるコーティング組成物が、複数の粒子をさらに含み、該粒子は、前記バインダーが硬化する温度以下で軟化しない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記着色コーティング組成物および前記実質的に透明なコーティング組成物の各々が、複数の粒子をさらに含み、該コーティング組成物の各々の中の前記バインダーは、同じかまたは異なり、そして該コーティング組成物の各々の中の該複数の粒子は、同じかまたは異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記粒子が、第1の温度以下で剛性であり、そして前記バインダーが硬化する温度以下の第2の温度で軟化する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の温度と前記第2の温度との間の差が、少なくとも30℃である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の温度と前記第2の温度との間の差が、少なくとも30℃である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記粒子の少なくともいくつかが、有機材料を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記有機材料が、ポリアミドである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記硬化可能有機バインダーの少なくとも1つが、ポリエポキシ官能基反応性樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記硬化可能有機バインダーが、アミノ官能基硬化剤をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記硬化可能有機バインダーが、ブロック化ポリイソシアネートをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記塗布する工程が、前記組成物を前記基材上にホットメルトスクリーン印刷する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記着色剤が、有機顔料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記着色剤が、無機顔料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記着色剤が、特殊効果顔料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記セラミック基材がガラスである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記セラミック基材がガラスである、請求項6に記載の方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法に従ってコーティングされた、セラミック基材。
【請求項24】
請求項2に記載の方法に従ってコーティングされた、セラミック基材。
【請求項25】
請求項3に記載の方法に従ってコーティングされた、セラミック基材。
【請求項26】
請求項6に記載の方法に従ってコーティングされた、セラミック基材。
【請求項27】
前記コーティング組成物の塗布の前に、前記基材からの前記硬化された組成物の放出能力を高めるための組成物で該基材を処理する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記基材の少なくとも一部に、前記1つ以上の着色コーティング組成物の少なくとも一部の上に第2の実質的に透明なコーティング組成物を塗布する工程をさらに包含する、請求項3に記載の方法。

【公表番号】特表2007−505817(P2007−505817A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527170(P2006−527170)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/032127
【国際公開番号】WO2005/033044
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】