説明

コーティング用組成物及びその被覆物品

【課題】硬化性を阻害することなく、造膜性、耐クラック性、可撓性、水蒸気バリアー性に優れた硬化皮膜を形成し得るコーティング用組成物及びその組成物の硬化皮膜が形成されてなる被覆物品を提供する。
【解決手段】(A)ビスフェノールAタイプのアルコキシシラン加水分解縮合物、(B)シリカコロイドゾル、及び(C)硬化触媒を必須成分とするコーティング用組成物、及びこの組成物の硬化皮膜が形成されてなる被覆物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング剤として好適な組成物に関し、更に詳しくはシリカコロイドゾルを利用した、プラスチック、フィルム、軽金属など表面が軟質な基材に、優れた水蒸気バリアー性と耐擦傷性の保護皮膜を形成するコーティング用組成物及びこの組成物の硬化皮膜が形成されてなる被覆物品に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック材は軽量性、加工性などの特徴を活かして多くの用途で用いられているが、表面の耐擦傷性に劣る欠点があるため、従来、基材の表面保護には現在までに種々のものが使用されている。
【0003】
プラスチックやフィルムなどの樹脂、あるいは軽金属など表面が軟質である基材を、特に高いレベルの耐擦傷性が要求される用途で用いる場合は、シロキサン系の熱硬化型ハードコート剤が使用され、このシロキサン系ハードコート剤について数多くの技術提案がなされてきた。例えば、特開昭51−2736号公報:特許文献1及び特開昭55−94971号公報:特許文献2には、トリヒドロキシシラン部分縮合物とコロイダルシリカからなるコーティング用組成物が開示されている。また、特開昭48−26822号公報:特許文献3及び特開昭51−33128号公報:特許文献4には、アルキルトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの部分縮合物を主成分とするコーティング用組成物が記載されているが、耐擦傷性、コーティング液安定性では十分に満足するものではない。
【0004】
一方、特開平11−286652号公報:特許文献5や特開平10−324827号公報:特許文献6では、硬化を促進させる触媒的な役割としてチタンキレート化合物あるいはそれの部分加水分解縮合物をコーティング剤に添加し、硬化性を高めようとしているが、安定性、耐クラック性では問題が残り、改善されたとは言い難い。
【0005】
即ち、これまでに提案されている無機シロキサン骨格の硬化性コーティング用組成物においては、シロキサン結合が、水蒸気透過性が高いため経時で湿度の影響を受けやすく、経時で種々の外部刺激に対するクラック発生の問題がなく、耐擦傷性に優れたハードコーティング剤組成物は、いまだ実用化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭51−2736号公報
【特許文献2】特開昭55−94971号公報
【特許文献3】特開昭48−26822号公報
【特許文献4】特開昭51−33128号公報
【特許文献5】特開平11−286652号公報
【特許文献6】特開平10−324827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、硬化性を阻害することなく、造膜性、耐クラック性、可撓性、水蒸気バリアー性に優れた硬化皮膜を形成し得るコーティング用組成物及びその組成物の硬化皮膜が形成されてなる被覆物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、(A)ビスフェノールAタイプのアルコキシシラン加水分解縮合物、(B)シリカコロイドゾル、及び(C)硬化触媒を必須成分とするコーティング用組成物が、特にシロキサン結合を有する無機系硬化性組成物の特長を損なうことなく、この種の無機系硬化性組成物において解決困難な問題とされていた硬化後のクラック発生の問題がなく、従来にない高いレベルの耐擦傷性を付与することを可能とし、保存性に優れ、硬化性を阻害することなく硬化皮膜を形成することができ、該硬化皮膜は、耐擦傷性、硬質物性、造膜性、耐クラック性、可撓性、水蒸気バリアー性などの諸特性に優れることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
従って、本発明は、下記に示すコーティング用組成物及びその被覆物品を提供する。
〔請求項1〕
(A)アルコキシシラン加水分解縮合物、(B)シリカコロイドゾル、及び(C)硬化触媒を必須成分とするコーティング用組成物であって、(A)アルコキシシラン加水分解縮合物が、下記一般式(I)で示される化合物を10質量%以上含有する加水分解性基含有有機ケイ素化合物を加水分解縮合して得られるものであることを特徴とするコーティング用組成物。
【化1】


(式中、R1〜R4は独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基又はアリール基であり、R5,R6は独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、R5とR6とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜13の炭素環又は複素環を形成してもよく、これらの基に炭素原子を有する場合には、置換基として炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を有してもよい。また、Yは独立に下記式
【化2】


で示される基であり、R10は炭素数2〜6のアルキレン基であり、R11,R12は独立に炭素数1〜5のアルキル基である。nは0,1又は2である。)
〔請求項2〕
(A)アルコキシシラン加水分解縮合物が、(1)前記一般式(I)で示される化合物と、(2)下記一般式(II)で表される少なくとも1種の加水分解性基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物とを共加水分解縮合して得られるものであることを特徴とする請求項1に記載のコーティング用組成物。
1a2bSi(OA34-a-b (II)
(式中、A1は独立に炭素数1〜10のアルキル基であり、A2はアリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、アルケニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ウレイド基及びシアノ基からなる群から選ばれる1以上の有機基を含有する官能基であり、A3は独立に炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アシル基又はアルコキシアルキル基であり、a,bは各々0,1又は2であり、a+bは0,1又は2である。)
〔請求項3〕
(A)アルコキシシラン加水分解縮合物が、(1)前記一般式(I)で示される化合物、又はこれと(2)前記一般式(II)で表される少なくとも1種の加水分解性基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物とを、前記(B)成分の存在下、酸性触媒中で加水分解・縮合させることにより得られるものであることを特徴とする請求項1又は2記載のコーティング用組成物。
〔請求項4〕
(C)硬化触媒が、アルミニウム化合物又はアルカリ性アンモニウム化合物を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
〔請求項5〕
硬化皮膜が、実質的に無色透明である請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
〔請求項6〕
透明基材上に、請求項1〜5のいずれか1項記載のコーティング用組成物の硬化皮膜が形成された被覆物品。
【0010】
本発明のコーティング用組成物によれば、特に水蒸気遮蔽性に優れながら硬化性を阻害することなく硬質皮膜を形成せしめることを可能とし、無機オルガノシロキサン化合物の硬質物性と有機ポリマーの造膜性、耐クラック性、可撓性、水蒸気遮蔽性などの諸特性を併有する複合皮膜を形成し得る被覆物品を得ることができる。
このため、シロキサン結合を有する無機系硬化性組成物の特長である高いレベルの耐擦傷性を損なうことなく、この種の無機系硬化性組成物において解決困難な問題とされていた硬化後のクラック発生の問題がなく、保存性にも優れたコーティング用組成物の硬化皮膜が形成された被覆物品を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シリカコロイドゾルを利用した、プラスチック、フィルム、軽金属など表面が軟質な基材に、優れた水蒸気バリアー性と耐擦傷性の保護皮膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のコーティング用組成物は、(A)アルコキシシラン加水分解縮合物、(B)シリカコロイドゾル、及び(C)硬化触媒を必須成分とし、該(A)アルコキシシラン加水分解縮合物が、後述する一般式(I)で示される化合物を10質量%以上含有する加水分解性基含有有機ケイ素化合物を加水分解縮合して得られるものであることを特徴とするものである。
【0013】
(A)成分のアルコキシシラン加水分解縮合物は、原料成分として、下記一般式(I)で示される化合物(1)を必須に含有するものである。
【化3】

【0014】
上記式(I)中、R1〜R4は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基又はアリール基であり、R1〜R4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、具体的には、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、オクチル基等の炭素数1〜8のアルキル基、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基等の炭素数1〜4のアルコキシル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。
【0015】
5,R6は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、R5,R6はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、具体的にアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、オクチル基等が、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0016】
また、R5,R6は、これらR5とR6が結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜13の炭素環又は複素環を形成してもよく、更にこれらの基に炭素原子を有する場合には、置換基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等の炭素数2〜5のアルケニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基を有してもよい。
【0017】
ここで、上記炭素数3〜13の炭素環又は複素環の例としては、下記に示すものが挙げられる。
【化4】

【0018】
また、置換基がついた例としては、下記に示すものが挙げられる。
【化5】


(上記式中、R7,R8は上述した置換基として例示した基である。)
【0019】
Yは下記式
【化6】


で示される基であり、R10は、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ヘキシレン基等の炭素数2〜6のアルキレン基であり、R11,R12は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であり、R11,R12はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
nは0,1又は2であり、好ましくは0又は1、特に0である。
【0020】
Yとして、より具体的には、下記式で示される構造のものが挙げられる。
【化7】


(式中、R11,R12,nは上記と同じ。R’は水素原子又は炭素数1〜3のメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基であり、mは0〜4である。)
【0021】
上記式(I)で示される化合物の製造方法は、下記一般式(i)で示される2つ以上のフェノール基を有する化合物と、アリル化合物又は下記一般式(ii)で示されるメタリル化合物とを反応させて、アリル基又はメタリル基を有するフェノキシエーテル化合物を合成した後、下記一般式(iii)で示されるヒドロシリル基を有するアルコキシシランを、白金触媒の存在下で反応させることにより調製できる。
【化8】


(式中、R1〜R6,R11,R12,n,mは上記と同じであり、Xはヨウ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子である。)
【0022】
一般式(i)で示される2つ以上のフェノール基を有する化合物として、具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称、ビスフェノールA)や、側鎖にフルオレン構造を有するビスフェノール類として、下記一般式(i’)で示されるフルオレン化合物が好適に使用される。
【0023】
【化9】


(式中、R1,R2,R7,R8は上記と同じである。)
【0024】
上記式(i’)で示されるフルオレン化合物として、具体的には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン等を挙げることができる。
【0025】
ビスフェノールAは、ポリカーボネート樹脂原料として安価に大量生産されている上、ビスフェノールAを使用した場合、耐熱性を損なうことなく耐衝撃性を高めることが可能となる。
【0026】
本発明において用いられる前記一般式(I)で示される化合物は、まず、上記2つ以上のフェノール基を有する化合物と、アリル基又はメタリル基を有するハロゲン類とを反応させる。
【0027】
より具体的には、前記一般式(i)で表される化合物と、アリルクロライド、アリルブロマイド、アリルヨージドのようなアリル化合物や、メタリルクロライド、メタリルブロマイド、メタリルヨージドのような一般式(ii)で表されるメタリル化合物とを、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコキサイド、アルカリ土類金属アルコキサイド、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アミン類のような塩基の存在下に、ケトン、エステル、エーテル等の反応に不活性な溶媒中で反応させることにより、アリル基又はメタリル基を有するフェノキシエーテル化合物を合成する。反応は、室温〜約200℃の範囲で行い得るが、好ましくは50〜150℃で行われる。通常、反応は、120℃程度の温度下の場合、約30分〜10時間程度で完了する。
【0028】
次いで、前記化合物と、一般式(iii)で示されるヒドロシラン化合物とを、白金触媒の存在下に、必要に応じて、トルエン、テトラヒドロフラン等の反応に不活性な溶媒中で、又は無溶媒で反応させることにより、一般式(I)で示される化合物を合成することができる。
【0029】
一般式(iii)で示されるヒドロシラン化合物は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基を1〜3個有するヒドロシラン化合物を用いることができる。一般式(iii)で示されるヒドロシラン化合物として、より好ましくは、トリメトキシシラン、トリエトキシシランである。
【0030】
反応は、室温〜約150℃の範囲で行い得るが、好ましくは25〜約100℃で行われる。トリメトキシシランを用いる場合、反応は、常温〜80℃程度に加温することで、約30分〜2時間程度で完了する。
【0031】
(A)アルコキシシラン加水分解縮合物は、上述した一般式(I)で示される化合物(1)のみの加水分解縮合物でもよいが、下記一般式(II)で代表される少なくとも1種の加水分解性基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物(2)との共加水分解縮合物であってもよい。但し、共加水分解縮合物の場合、一般式(I)で示される化合物(1)は、加水分解縮合させる前において10質量%以上用いることが必要である。
【0032】
(2)成分の加水分解性基含有シランは、下記一般式(II)で示されるものである。
1a2bSi(OA34-a-b (II)
(式中、A1は独立に炭素数1〜10のアルキル基を表し、A2はアリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、アルケニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ウレイド基及びシアノ基からなる群から選ばれる1以上の有機基からなる官能基を表し、A3は独立に炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アシル基又はアルコキシアルキル基を表し、a,bは各々0,1,2のいずれかの整数であり、好ましくは0,1である。a+bは0,1,2のいずれかの整数であり、好ましくは0,1であり、特に好ましくは1である。)
【0033】
上記式(II)で示されるシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは単独でも、混合して使用してもよく、あらかじめ部分的に加水分解を施しておいたものを使用しても構わない。
【0034】
なお、(A)アルコキシシラン加水分解縮合物の原料成分において、上記(1)成分の使用量としては、原料成分全体の10〜100質量%使用する必要がある。
特に、本発明のコーティング用組成物をコンフォーマルコート用等のハードコート用として用いる場合は、上記(1)成分の使用量を、原料成分全体の10〜70質量%、特に15〜50質量%、上記(2)成分の使用量を90〜30質量%、特に85〜50質量%とすることが好ましく、ハードコート用以外として用いる場合は、上記(1)成分の使用量を、原料成分全体の50〜100質量%、特に70〜100質量%、上記(2)成分の使用量を50〜0質量%、特に30〜0質量%とすることが好ましい。
(1)成分の使用量が10質量%より少ない場合、目的とする効果が十分に発揮できない場合がある。
【0035】
(A)成分は、上述した原料成分を(共)加水分解縮合することにより調製できる。本発明においては、上記(1)成分、又は上記(1)成分と(2)成分を(共)加水分解縮合して(A)成分を調製する際に、(B)成分であるシリカコロイドゾルを加えることが好ましい。これは、(B)成分存在下で(A)成分を製造することを意味する。
【0036】
つまり、本発明のコーティング用組成物は、(A)成分の加水分解縮合物を合成するときに、(B)成分のシリカコロイドゾルが(A)成分と一体となるように合成されていることが好ましい。これにより、透明性や硬度、耐擦傷性等がより優れたものとなる。
【0037】
(A)成分の原料成分を、(B)成分であるシリカコロイドゾルの金属−OH基の共存下に加水分解させ、(A)成分の加水分解縮合物を得ることにより、容易に無機−有機ハイブリッド体を形成することが可能となる。そして、そのようにして得られたコーティング用組成物の硬化皮膜は、均質であり、実質的に無色透明で、無機シロキサン樹脂組成物の硬度、耐擦傷性、耐熱性、耐候性、耐酸性などの諸特性とハイブリッド化が可能となる。
即ち、本発明においては、(1)上記一般式(I)で示される化合物、又はこれと(2)上記一般式(II)で表される少なくとも1種の加水分解性基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物を、(B)シリカコロイドゾルの存在下、酸性触媒中で加水分解・縮合させることにより、(A)アルコキシシラン加水分解縮合物と(B)シリカコロイドゾルとの複合体が得られるものである。
【0038】
(B)成分のシリカコロイドゾル(コロイダルシリカ)は、塗膜に硬度・耐摩耗性を与える充填剤の役割と、上述したように、粒子表面でバインダーとしての(A)成分の原料成分である(1),(2)成分中のシラノール基と結合を形成するため、架橋剤としての役割を果たすと考えられている。即ち、粒子表面は水酸基(Si−OH)が存在しており、(A)成分の原料成分である(1),(2)成分との間で結合生成(Si−O−Si)が可能である。
特に、コロイド状の酸化ケイ素分散液、即ちコロイダルシリカで、分散媒中に分散された状態(酸化物ゾル)で使用するのが好ましい。分散媒は、水、アルコール等の極性溶剤が好ましい。
【0039】
シリカコロイドゾルとしては、平均粒径5〜200nm、好ましくは5〜40nmのシリカ微粒子が水又は有機溶媒中にコロイド状に分散されたものが好適に利用できる。なお、本発明において、粒径はレーザー光散乱法により測定することができる。具体的な測定装置としては、堀場製作所製のLaser Scattering Particle Size Distribution Analyzer LA−910等が挙げられる。
【0040】
中でも酸性水溶液分散型コロイダルシリカが、(A)成分のアルコキシシラン加水分解縮合物との反応を考慮した場合、容易に化合できるSiOH表面状態を有しているため最も適している。かかるコロイダルシリカの具体例として、日産化学工業(株)製のスノーテックスO、触媒化成工業(株)製のカタロイドSN、日本化学工業(株)製のシリカドール30Aなどが挙げられる。
また、アルカリ性コロイダルシリカに種々の有機酸、無機酸を添加することにより、pHを3〜5のコロイダルシリカ酸性準安定域に安定化させ、その表面をSiOH型としたものも同様に使用できる。
【0041】
また、有機溶媒分散型のコロイダルシリカとして、具体的には、日産化学工業(株)製のPMA−ST、IPA−ST、NBA−ST、IBA−ST、EG−ST、XBA−ST、NPC−ST、DMAC−ST、触媒化成工業(株)製のOSCAL1132、OSCAL1232、OSCAL1332、OSCAL1432、OSCAL1532、OSCAL1632、OSCAL1732などが挙げられる。
【0042】
(B)成分は、粒子の分散安定性を増す目的でシランカップリング剤やテトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、チタンカップリング剤、カルボキシル基含有有機ポリマー等で一部処理・被覆されたものを用いてもよい。但し、ここで言う(B)成分の主成分はシリカであって、安定化のため添加し、被覆に使用される有機物含有量は主成分である無機二酸化ケイ素の10質量%以下であることが好ましい。
【0043】
上述したように、(A)成分の製造は、(B)成分を(A)成分の原料成分に加えることによって調製することが好ましい。この方法は、酸性あるいはアルカリ性の水分散のシリカゾルを使用する場合に効率のよい製造方法であり、本発明では、特に酸性水分散シリカゾルを用いることが好ましい。この調製法を用いた場合、上記(1),(2)成分中の全加水分解性基(式(I)中のOR12及び式(II)中のOA3)1モルに対し、水分散シリカゾル中の水が1モル以上、好ましくは1.2モル以上であることが好ましい。1モル未満であると、前述の如く加水分解性基が残存することになり、架橋密度の低下による硬度低下、密着性低下が起こることがある。なお、水量の上限に制限はないが、通常10モル以下、特には5モル以下である。
【0044】
また、本発明の(A)成分は、実質的に末端がSiOH型のオルガノシロキサンであることが好ましく、末端をSiOH型とすることにより、本発明のコーティング用組成物は、被塗物表面に塗布、加熱するだけで脱水縮合し、シロキサン結合を形成することができる。この時、末端がSiOR(Rは上記R12又はA3である)で残っている場合は、塗布後、加水分解をする必要があり、環境の水分の影響を受けやすく、場合によっては触媒の添加が必要であったりするため適当ではない。本発明のコーティング用組成物において、(A)成分として用いられるアルコキシシラン加水分解縮合物は、前記原料成分の加水分解により発生するSiOHにより、硬度、擦傷性が出やすいことがわかっている。このため、合成時に水の量を制御して製造することが、高硬度、高耐擦傷性、高耐摩耗性の安定した発現に重要である。
【0045】
上記性能を発現するためには、原料成分中のアルコキシシリル基1モルに対して水の添加量(ここでいう水とは、系に添加されるすべての水分に言及される。即ち、添加される水分散シリカコロイドゾル、加水分解触媒、有機ポリマーなどに含まれる水分を含めた総和である。)を1〜20モル、好ましくは3〜10モル、最も好ましくは3.1〜6モルとすることが好ましい。水の添加量が不足する場合、末端がSiOHとなり得ず、アルコキシシリル基が残存してしまい、硬度の面で目的を十分に達成することができない可能性がある。一方、水の添加量が多すぎる場合、得られた系が不安定化してしまう問題や、塗膜形成時の各種問題(白化、泡、不均質など)が生ずるおそれがある。
【0046】
加水分解に使用する水には、極性有機溶剤を加えることが好ましく、極性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、モノエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエーテル等が例示される。
【0047】
また、加水分解触媒を使用してもよい。加水分解触媒としては、従来公知の触媒を使用することができ、特に酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルホン酸、酸性あるいは弱酸性の酸化物や無機塩、イオン交換樹脂等の固体酸等を使用することができる。これらの例としては、酢酸、マレイン酸に代表される有機酸、表面にスルホン酸基又はカルボン酸基を有するカチオン交換樹脂等を好適に用いることができる。加水分解触媒の使用量は、全加水分解性基(式(1)中のOR12及び式(2)中のOA3)1モルに対して0.001〜10モル%、特に0.1〜5モル%が好ましい。
【0048】
また、加水分解は、弱酸性条件下で加水分解することが好ましく、特にpHが1〜7の範囲で反応させることが好ましい。加水分解を弱酸性下で行わない場合は、生成するシラノール基が不安定となり、縮合反応が進み、分子量が大きくなりすぎることがある。
【0049】
コーティング用組成物の硬化皮膜を高硬度とするためには、前記の加水分解に続いて、縮合させることが必要である。縮合は、加水分解に続いて連続的に行えばよく、通常、液温が常温又は100℃以下の加熱下で行われる。100℃より高い温度ではゲル化する場合がある。更に80℃以上、常圧又は減圧下にて、加水分解で生成したアルコールを留去することにより、縮合を促進させることができる。更に、縮合を促進させる目的で、塩基性化合物、酸性化合物、金属キレート化合物などの縮合触媒を添加してもよい。縮合工程の前又は最中に、縮合の進行度及び濃度を調整する目的で有機溶剤を添加してもよく、また二酸化ケイ素ゾルなどのシリカ微粒子を水もしくは有機溶剤中に分散させたものを添加してもよい。一般的に、シリコーンレジンは縮合が進行すると共に、高分子量化し、水や生成アルコールへの溶解性が低下していくため、添加する有機溶剤としては、生成物をよく溶解し、沸点が80℃以上の比較的極性の高い有機溶剤が好ましい。
【0050】
このような有機溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル類;酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシルなどのエステル類などを挙げることができる。
【0051】
この縮合により得られたシリコーン生成物(即ち、(A)成分のアルコキシシラン加水分解縮合物)のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析におけるポリスチレン換算数平均分子量は、500以上であることが好ましく、1,000〜50,000であることがより好ましく、1,500〜20,000であることが更に好ましい。分子量がこの範囲より小さいと、塗膜の靱性が低く、クラックが発生しやすくなる傾向があり、一方、分子量が大きすぎると、硬度が低くなる傾向があり、また塗膜中の樹脂が相分離するために塗膜白化を引き起こす場合がある。
【0052】
本発明のコーティング用組成物における(A)成分と(B)成分の使用割合は、組成物の安定性、得られる硬化膜の透明性、耐摩耗性、耐擦傷性、密着性及び耐クラック性の点から設計される。(A)成分及び(B)成分の固形物合計量に対し、(A)成分の固形物分が97〜25質量%であることが好ましく、特に95〜50質量%が好ましく、(B)成分の固形物分が3〜75質量%であることが好ましく、特に好ましくは5〜50質量%である。(A)成分の使用割合が少なすぎると、塗工性が低下することがあり、(A)成分の使用割合が多すぎると、当該コーティング用組成物により得られる皮膜の硬度や耐擦傷性等の皮膜特性に劣る場合がある。
【0053】
本発明においては、(B)成分のシリカコロイドゾル以外のコロイドゾルを、種々の機能性付与、例えば、紫外線光の吸収、導電性、光触媒活性、屈折率制御の目的で添加してもよい。具体的には、マグネシウム酸化物、ケイ素酸化物とマグネシウム酸化物との共酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、インジウム酸化物、ゲルマニウム酸化物、錫酸化物、亜鉛酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、セシウム酸化物、インジウム錫酸化物、及び錫アンチモン酸化物のコロイドゾルを単独であるいは混合物として用いたり、表面をシリカやアルミナなどで被覆してもよい。これらの金属コロイドゾルは、透明性を維持するために、粒子径が0.005〜1μm(5〜1,000nm)であることが好ましい。
【0054】
(B)成分のシリカコロイドゾル以外のコロイドゾルの添加量は、組成物全体の10質量%以下とすることが好ましい。
なお、この(B)成分のシリカコロイドゾル以外のコロイドゾルは、(A)成分の製造時に添加しても、(A)成分の製造後に添加してもよい。
【0055】
本発明のコーティング用組成物には、硬化を促進するために、硬化触媒(C)を添加する。この成分は、硬化触媒で、シラノール基、アルコキシ基等の縮合可能基が縮合する反応を促進する触媒であり、従来公知のハードトップコート剤で使用されている硬化触媒が適用できる。この硬化触媒としては、例えば、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセテート、アルミニウムパークロレート等のアルミニウム化合物、チタン、ジルコニウム等の有機金属アルコラート類もしくは有機金属キレート類、燐酸又は燐酸エステル類、酸性燐酸エステルとアミンの反応物、エポキシ化合物と燐酸及びモノ酸性燐酸エステルとの付加物、有機アミンのカルボン酸塩、各種アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコラート、各種オニウム塩、ホスフィン類、アミン、アミジン、グアニジン、有機錫化合物類が挙げられる。
【0056】
中でも、プロピオン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどが好適に利用できる。
【0057】
(C)成分の配合量は、(A),(B)成分を硬化させるのに有効な量であればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、(A),(B)成分の固形分合計量の0.001〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%である。0.001質量%未満であると硬化が不十分となり、硬度が低下する場合があり、10質量%より多いと塗膜にクラックが発生しやすくなる場合や、著しく使用可能時間を短くしてしまい、現実的でない場合がある。
なお、(C)成分は、(A)成分の原料成分を(B)成分の存在下に共加水分解縮合して(A)成分を調製した後に添加することが好ましい。
【0058】
本発明のコーティング用組成物には、任意に溶媒が使用される。この溶媒としては(A)成分(オルガノシロキサン樹脂)の固形分が安定に溶解することが必要である。そのためには、使用される溶媒の少なくとも20質量%以上、好ましくは50質量%以上がアルコールであることが望ましい。かかるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノールなどが挙げられ、炭素数1〜4の低沸点アルコールが好ましく、溶解性、安定性、及び塗工性の点で2−プロパノールが特に好ましい。
【0059】
かかる溶媒中には、水分散型シリカコロイドゾル中の水で加水分解反応に関与しない水分、アルコキシシランの加水分解に伴って発生する低級アルコール、有機溶媒分散型のコロイダルシリカを使用した場合には、その分散媒の有機溶媒、コーティング用組成物のpH調整のために添加される酸も含まれる。
【0060】
pH調整のために使用される酸としては、塩酸、硫酸、燐酸、亜硝酸、硝酸、過塩素酸、スルファミン酸などの無機酸;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸が挙げられ、pH調整の容易さの観点から、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸などの有機カルボン酸が好ましい。
【0061】
その他の溶媒としては、水/アルコールと混和することが必要であり、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキシルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸エトキシエチルなどのエステル類が挙げられる。
【0062】
溶媒の存在量としては、組成物全体の固形物分が1〜60質量%、好ましくは5〜40質量%、最も好ましくは10〜20質量%になるように調整されることが望ましい。
【0063】
本発明のコーティング用組成物は、酸及び硬化触媒の含有量を調整することにより、pHを1〜7に調整することが好ましく、2〜6に調整することがより好ましい。このようにpHを調整することにより、本発明のコーティング用組成物の常温でのゲル化を防止し、保存安定性を増すことができる。
【0064】
なお、本発明のコーティング用組成物には、塗工性及び得られる塗膜(被覆膜)の平滑性を向上させる目的で、公知のレベリング剤を配合することができる。かかるレベリング剤の配合量としては、既述の(A)〜(C)成分の全固形分100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲が好ましい。
【0065】
また、本発明の目的を損なわない範囲で紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料、フィラーなどを配合しても構わない。
【0066】
このようにして得られたコーティング用組成物の硬化物は、実質的に無色透明であり、水蒸気バリアー性機能を有する膜となり得る。
該コーティング用組成物は、基材の少なくとも一方の面に、直接もしくは少なくとも1種の他の層を介して、上記コーティング用組成物を塗布、硬化することにより皮膜を形成した被覆物品を得ることができる。
【0067】
コーティング用組成物の塗布方法としては、通常の塗布方法で基材にコーティングすることができ、例えば、刷毛塗り、スプレー、浸漬、フローコート、ロールコート、カーテンコート、スピンコート、ナイフコート等の各種塗布方法を選択することができ、基材の形状や目標膜厚等、所望とする塗膜の性状に応じて適宜選択することができる。
【0068】
塗膜の形成方法は、以下の工程からなるものが好ましい。従来公知の下塗り層を第一層として基材に塗布する工程、塗布した膜を風乾、あるいは加熱硬化することにより硬化させる工程、本発明のコーティング用組成物を下塗り層上に塗布する工程、室温乾燥、あるいは加熱してハードコート層(本発明の組成物の硬化皮膜)を形成させることによって第二層とする工程を順次行うことにより達成される。
【0069】
ここで用いられる基材としては、プラスチック成形体、あるいはプラスチックとセラミックスやガラス、金属の複合物等が挙げられ、各種プラスチック材料(有機樹脂基材)が好適に使用され、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等が好ましく、特にアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましく、とりわけ透明基材であることが好ましい。
【0070】
更にこれらの樹脂基材の表面が処理されたもの、具体的には、化成処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、酸やアルカリ液での処理、変性アクリル樹脂などを適用したプライマー処理、及び基材本体と表層が異なる種類の樹脂で形成されている積層体を用いることもできる。積層体の例としては、共押し出し法やラミネート法により製造されるポリカーボネート樹脂基材の表層にアクリル樹脂層もしくはウレタン樹脂層が存在する積層体、又はポリエステル樹脂基材の表層にアクリル樹脂層が存在する積層体等が挙げられる。
【0071】
本発明の組成物を塗布した後の硬化は、空気中に放置して風乾させてもよいし、加熱してもよい。硬化温度、硬化時間は限定されるものではないが、基材の耐熱温度以下で10分〜2時間加熱するのが好ましい。具体的には80〜145℃で30分〜2時間加熱するのがより好ましい。
【0072】
本発明の組成物の塗膜(硬化皮膜)の厚みは特に制限はなく、0.5〜60μmであればよいが、塗膜の硬さ、耐擦傷性、長期的に安定な密着性、及びクラックが発生しないことを満たすためには、特に1〜30μmが好ましい。なお、以上の操作を繰り返し、重ね塗りを行ってもよい。0.5μm未満では、硬さや基板との密着性が十分でない場合があり、また、60μmを超える厚さでは発泡が起こりやすく、クラックが起こりやすくなる場合がある。
【実施例】
【0073】
次に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これにより本発明が限定されるものではない。なお、下記例において、Meはメチル基であり、液外観及び膜外観は目視により評価し、動粘度はオストワルド粘度計により測定した25℃における値であり、粘度は回転粘度計(B型粘度計)により測定した25℃における値であり、屈折率はアタゴ社製屈折率計RX7000αにより測定した値であり、不揮発分は所定質量の試料をアルミシャーレに取り、150℃のオーブン中に30分入れた後の質量を測定することにより算出した値である。
以下に、アルコキシシランの合成例、コーティング用組成物の実施例、及びこれらの評価を示す。
【0074】
[合成例1] ビスフェノールAアルコキシシラン(BPA−03MS)の調製
窒素導入管、撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えたフラスコに、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン92.6g(0.406mol)とメチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略記)500gを入れ、撹拌することで溶解させた。これに、アリルブロマイド100g(0.82mol)と無水炭酸カリウム138g(1mol)を加え、オイルバスにより110℃で5時間加熱しながら激しく撹拌した。
生成した臭化カリウムの塩を濾過により除いた。この反応溶液から減圧ストリップによりMIBKを除いたところ、約90gの2,2’−ビス(4−アリロキシフェニル)プロパンの透明オイルを得た。これにトルエンを加え、水洗した後、再度減圧ストリップすることで83.9g(0.272mol)の無色透明オイル状の2,2’−ビス(4−アリロキシフェニル)プロパンを得た。このものの収率は67%であり、動粘度は48.8mm2/sであり、屈折率は1.5629であった。
【0075】
得られた2,2’−ビス(4−アリロキシフェニル)プロパン30.8g(0.1mol)を70mlのトルエン中に溶解した。これに白金触媒PL50−T(信越化学工業(株)製)を2滴加え、温度を60℃に上げて、トリメトキシシラン26g(0.21mol)を滴下した。
温度を65℃で2時間保ち、しかる後に反応混合物を冷却した。ワコーゲルC−100(和光純薬工業(株)製)を5g加え、白金触媒を吸着濾過して除去した後、溶剤を減圧ストリップにより除き、無色透明のオイル状物53g(0.096mol)を得た。このものの粘度は198mPa・sであり、屈折率は1.5145(589nm)であった。NMRスペクトルは、下記式で表される2,2’−ビス(4−トリメトキシシリルプロポキシフェニル)プロパンの構造と一致した。収率は96%であった。このシランをBPA−03MSと略記する。
【0076】
【化10】

【0077】
[合成例2] フルオレンタイプのアルコキシシラン(FLO−03MS)の調製
窒素導入管、撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えたフラスコに、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン70g(0.2mol)とMIBK500gを入れ、撹拌することで溶解させた。これに、アリルブロマイド50g(0.41mol)と無水炭酸カリウム110g(0.8mol)を加え、110℃で5時間加熱しながら激しく撹拌した。
生成した臭化カリウムの塩を濾過により除いた。この反応溶液から、減圧ストリップによりMIBKを除いた。これにトルエンを加え、水洗した後、ストリップすることで77.4g(0.18mol)の9,9’−ビス(4−アリロキシフェニル)フルオレンの微黄色のオイルを得た。このものの動粘度は116mm2/sであり、屈折率は1.5992であり、収率は90%であった。
【0078】
得られた9,9’−ビス(4−アリロキシフェニル)フルオレン43.0g(0.1mol)を70mlのトルエン中に溶解した。これに白金触媒PL50−T(信越化学工業(株)製)を2滴加え、温度を60℃に上げてトリメトキシシラン29.3g(0.24mol)を加えた。
温度を65℃で2時間保ち、しかる後に反応混合物を冷却した。ワコーゲルC−100(和光純薬工業(株)製)を5g加え、白金触媒を吸着させた後、濾過した。溶剤を減圧ストリップにより除き、微黄色のガラス状物51.1g(0.095mol)を得た。高粘ちょうであったため、粘度は測定できなかった。また、このものの屈折率は1.5772(589nm)であった。NMRスペクトルは、下記式で表される9,9’−ビス(4−トリメトキシシリルプロポキシフェニル)フルオレンの構造と一致した。収率は95%であった。このシランをFLO−03MSと略記する。
【0079】
【化11】

【0080】
これらの物性を下記表1にまとめた。
【表1】

【0081】
[実施例1]
窒素導入管、撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、イソプロピルアルコール(IPA)500g、上記合成例1で得られたBPA−03MS 100gを仕込み、撹拌しながら20℃に維持した。これに、スノーテックスO(日産化学工業(株)製水分散コロイダルシリカ:平均粒子径15〜20nm、SiO2 20質量%含有水溶液)44.2gと0.25Nの酢酸水溶液40.1gとの混合溶液を添加して高速撹拌した。
次に、60℃にて3時間撹拌後、シクロヘキサノン300gを添加したのち、窒素をバブリングしながら加熱にて、副生したメタノールとIPAや一部の水、計250gを留去した。
室温に冷却した後、硬化触媒として1質量%アルミニウムアセチルアセトネートのシクロヘキサノン溶液10g(固形分換算で0.12質量%)を添加した。こうして得られた塗布溶液は、不揮発分(150℃、0.5時間)11.02%、動粘度4.45mm2/sであった。このものを組成物1とする。
【0082】
[実施例2]
BPA−03MS 100gの替わりに、上記合成例2で得られたFLO−03MS 100gを用いた以外は、実施例1と同様に行った。こうして得られた塗布溶液は、不揮発分(150℃、0.5時間)12.7%、粘度3.76mm2/sであった。このものを組成物2とする。
【0083】
[比較例1]
窒素導入管、撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、イソプロピルアルコール(IPA)500g、BPA−03MS 100gを仕込み、撹拌しながら20℃に維持した。これに、純水44.2gと0.25Nの酢酸水溶液40.1gとの混合溶液を添加して高速撹拌した。
次に、60℃にて3時間撹拌後、シクロヘキサノン300gを添加したのち、窒素をバブリングしながら加熱にて、副生したメタノールとIPAや一部の水、計250gを留去した。
室温に冷却した後、硬化触媒として1質量%アルミニウムアセチルアセトネートのシクロヘキサノン溶液10g(固形分換算で0.13質量%)を添加した。こうして得られた塗布溶液は、不揮発分(150℃、0.5時間)9.8%、動粘度2.78mm2/sであった。このものを比較組成物1とする。
【0084】
[比較例2]
硬化触媒としての1質量%アルミニウムアセチルアセトネートのシクロヘキサノン溶液を全く添加しない以外は、実施例1と同様に行った。こうして得られた塗布溶液は、不揮発分(150℃、0.5時間)12.69%、動粘度4.18mm2/sであった。このものを比較組成物2とする。
【0085】
[実施例3]
窒素導入管、撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、イソプロピルアルコール(IPA)500g、BPA−03MS 100gを仕込み、撹拌しながら20℃に維持し、ここに0.25Nの酢酸水溶液40.1gとの混合溶液を添加して高速撹拌した。
更に、60℃にて3時間撹拌後、シクロヘキサノン300gを添加したのち、窒素をバブリングしながら、加熱にて副生したメタノールとIPAや一部の水、計250gを留去した。
室温に冷却した後、スノーテックスO(日産化学工業(株)製水分散コロイダルシリカ:平均粒子径15〜20nm、SiO2 20質量%含有水溶液)44.2gを加え、次いで、硬化触媒として1質量%アルミニウムアセチルアセトネートのシクロヘキサノン溶液10gを添加した。こうして得られた塗布溶液は、不揮発分(150℃、0.5時間)10.28%、動粘度3.06mm2/sであった。
【0086】
[比較例3]
窒素導入管、撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、イソプロピルアルコール(IPA)500g、トリメトキシシラン161g(信越化学工業(株)製KBM−13)を仕込み、撹拌しながら20℃に維持した。これに、スノーテックスO(日産化学工業(株)製水分散コロイダルシリカ:平均粒子径15〜20nm、SiO2 20質量%含有水溶液)44.2gと0.25Nの酢酸水溶液40.1gとの混合溶液を添加して高速撹拌した。
次に、60℃にて3時間撹拌後、シクロヘキサノン300gを添加したのち、窒素をバブリングしながら加熱にて、副生したメタノールとIPAや一部の水、計250gを留去した。
室温に冷却した後、硬化触媒として1質量%アルミニウムアセチルアセトネートのシクロヘキサノン溶液10g(固形分換算で0.11質量%)を添加した。こうして得られた塗布溶液は、不揮発分(150℃、0.5時間)11.24%、動粘度3.90mm2/sであった。このものを比較組成物3とする。
【0087】
[組成物の評価]
実施例1,3及び比較例1,2
実施例及び比較例の各組成物を硬化後の厚さが5μmとなるようにガラス板上に塗工し、105℃で1時間加熱硬化させ、試験片とした。得られた試験片の膜外観を目視にて評価し、また、試験片をイソプロピルアルコール(IPA)に浸漬し、下記基準によりIPA溶解性を評価した。
○:変化なし
×:溶解して基板から消失
実施例及び比較例の組成物の特性と物性、及び上記評価試験の結果を下記表2にまとめた。
【0088】
【表2】

【0089】
実施例1,2及び比較例1,3
(1)自立膜の作製と水蒸気透過率の測定
表面を清浄化した25μm厚みのPETフィルム上に、実施例及び比較例の各組成物を、硬化塗膜として20μmになるようにフローコーティング法にて塗布し、室温で45分風乾した後、105℃で60分硬化させた。実施例1,2、比較例1の組成物を用いた場合は、PETフィルムから剥離させることで、一辺10cmで膜厚20μmの自立膜としてのフィルムが得られたが、比較例3の組成物を用いた場合は、膜強度が低いため、このような自立膜を得ることはできなかった。
自立膜の得られた実施例1,2、比較例1の場合は、得られた自立膜を用いて、透過面積2.5cm2のアルミ箔を貼り付け、測定用試料とした。自立膜を得ることができなかった比較例3の場合は、ゴアテックスフィルム(フィルム:GoretexPRM−001(膜厚14μm)5,500g/m2・day(40℃))を、比較例3の組成物に浸漬し、テフロン(登録商標)基板上に固定してから風乾後、105℃の温度で焼き付け、これに透過面積2.5cm2のアルミニウム箔を貼り付け、測定用試料とした。
【0090】
以下の測定装置と条件で水蒸気透過率の測定を行った。
測定装置:L80−5000型水蒸気透過テスター(Lyssy AG)
透過面積:2.5cm2,温度条件:40℃
【0091】
(2)塗膜の作製と膜特性の評価
表面を清浄化した2.5mm厚みのポリアクリレート樹脂板に、実施例及び比較例の各組成物を、硬化塗膜として10μmになるようにフローコーティング法にて塗布し、室温で45分風乾した後、105℃で60分硬化させた。このようにして得られた塗膜を下記評価方法により、塗膜密着性と塗膜耐擦傷性について評価した。
【0092】
膜密着性:初期密着性並びに耐水密着性
JIS K5400に準拠し、試験片をカミソリの刃で2mm間隔の縦横6本ずつ切れ目を入れて25個の碁盤目を作り、市販のセロハン粘着テープをよく密着させた後、90度手前方向に急激に剥がした時、皮膜が剥離せずに残存したマス目数(X)をX/25で表示した。
沸騰水中に浸漬する前及び沸騰水中に2時間浸漬した後の試験片を、目視にて外観観察し、以下の評価基準で評価した。
○:全く剥離が認められない
×:膜の一部又は全部が剥離
【0093】
耐擦傷性試験:
学振型摩擦堅牢度試験機AB−301により、#0000スチールウールを用いて250gの荷重で50Hz、往復10回擦った後の表面の傷つき状態を観察し、試験前後のヘイズ価(曇価(Hz))を測定した。なお、耐擦傷性(ΔHz)は、(摩耗試験後の曇価(Hz))−(摩耗試験前(初期)の曇価(Hz))で示した。また、耐擦傷性を以下の評価基準で評価した。
○: ΔHz≦6.0
△: 6.0<ΔHz<10.0
×: ΔHz≧10.0
【0094】
なお、光学特性、製膜特性、総合評価は、以下の評価基準で評価した。
光学特性
○:透明性良好
×:白色又は乳白色
製膜特性
○:自立膜ができる
×:自立膜ができない
総合評価
○:水蒸気バリアーコート膜に使用可
×:水蒸気バリアーコート膜に使用不可
実施例及び比較例の組成物の物性、及び上記評価試験の結果を下記表3にまとめた。
【0095】
【表3】

【0096】
以上の結果より、本発明の組成物によるコーティング膜は、硬質で耐擦傷性に優れたものであることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルコキシシラン加水分解縮合物、(B)シリカコロイドゾル、及び(C)硬化触媒を必須成分とするコーティング用組成物であって、(A)アルコキシシラン加水分解縮合物が、下記一般式(I)で示される化合物を10質量%以上含有する加水分解性基含有有機ケイ素化合物を加水分解縮合して得られるものであることを特徴とするコーティング用組成物。
【化1】


(式中、R1〜R4は独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基又はアリール基であり、R5,R6は独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、R5とR6とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜13の炭素環又は複素環を形成してもよく、これらの基に炭素原子を有する場合には、置換基として炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を有してもよい。また、Yは独立に下記式
【化2】


で示される基であり、R10は炭素数2〜6のアルキレン基であり、R11,R12は独立に炭素数1〜5のアルキル基である。nは0,1又は2である。)
【請求項2】
(A)アルコキシシラン加水分解縮合物が、(1)前記一般式(I)で示される化合物と、(2)下記一般式(II)で表される少なくとも1種の加水分解性基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物とを共加水分解縮合して得られるものであることを特徴とする請求項1に記載のコーティング用組成物。
1a2bSi(OA34-a-b (II)
(式中、A1は独立に炭素数1〜10のアルキル基であり、A2はアリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、アルケニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ウレイド基及びシアノ基からなる群から選ばれる1以上の有機基を含有する官能基であり、A3は独立に炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アシル基又はアルコキシアルキル基であり、a,bは各々0,1又は2であり、a+bは0,1又は2である。)
【請求項3】
(A)アルコキシシラン加水分解縮合物が、(1)前記一般式(I)で示される化合物、又はこれと(2)前記一般式(II)で表される少なくとも1種の加水分解性基を含有する有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物とを、前記(B)成分の存在下、酸性触媒中で加水分解・縮合させることにより得られるものであることを特徴とする請求項1又は2記載のコーティング用組成物。
【請求項4】
(C)硬化触媒が、アルミニウム化合物又はアルカリ性アンモニウム化合物を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
【請求項5】
硬化皮膜が、実質的に無色透明である請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
【請求項6】
透明基材上に、請求項1〜5のいずれか1項記載のコーティング用組成物の硬化皮膜が形成された被覆物品。

【公開番号】特開2011−37969(P2011−37969A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185591(P2009−185591)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】