説明

コードレス電話装置

【課題】親機が着信に対して留守番電話機能で着信接続している場合、子機側においても着信中であると認識できるようにし、着信クイック通話設定に従った動作を可能にする。
【解決手段】親機20は、留守録着信制御手段241を有する制御部24を備え、子機30は、親機20における留守番電話着信状態を記憶する留守番電話着信状態記憶部371と、発信クイック通話設定記憶部372および着信クイック通話設定記憶部373と、制御部34とを備える。留守録着信制御手段241は、親機20における留守応答の開始および終了時に子機30に対して留守番電話着信に対する留守応答の開始および終了を通知する。制御部34は留守番電話着信状態記憶部371を参照し、親機20が留守応答中である場合、着信クイック通話設定記憶部373に記憶された設定に基づいてクイック通話制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子機を充電台から持ち上げると、発呼操作とみなして回線捕捉を行うクイック発信機能を有するコードレス電話装置に関するものであり、特に、発信時クイック通話設定と、着信時クイック通話設定とを個別に設定できるようにしたコードレス電話装置において、コードレス電話装置が留守番電話応答動作中は、外部からの電話からの着信として識別し、着信時クイック通話設定に従った動作とするようにしたコードレス電話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からオフィスや家庭において、公衆回線網に接続される加入電話のような固定電話装置の他、無線通信機能により結ばれる親機と1台又は複数台の子機からなるコードレス電話機が広く使用されている。また、近年では親機にファクシミリ機能を備えたコードレス電話装置も普及している。
【0003】
このようなコードレス電話装置において、子機を充電台から持ち上げると、発呼操作とみなして、親機との間の回線捕捉を自動的に行い、また、着信時に子機を充電台から持ち上げると、着信操作とみなして、親機との間の回線捕捉を自動的に行うクイック通話機能を有するコードレス電話装置が知られている。
【0004】
例えば、下記の特許文献1(特開平8−307340号公報)には、子機の充電端子に充電電圧が印加されているか否かを検出して親機との間の回線を捕捉するようにしたコードレス電話機の発明が開示されている。このコードレス電話機は、子機の充電端子に充電電圧が印加されているか否かを検出し、子機の充電端子に充電電圧が印加されている状態から印加されない状態に切り替わったとき、子機が取り上げられてオフフックの状態になったと判断して、親機との間の回線を捕捉するように構成されている。
【0005】
ところで、クイック通話機能を有するコードレス電話装置において、ナンバーディスプレイサービスで相手方の電話番号を受信してその相手方の電話番号を確認しようとして子機を充電器から取り上げたときに回線を捕捉してしまうので、応答したくない相手とも通話しなければならなくなるという問題点があった。また、外線着信時に子機を充電器から取り上げて回線を捕捉し、その後誤って子機を充電器上に落として充電状態になると、回線が切断されてしまうという問題点もあった。
【0006】
このような問題点を解消するコードレス電話機として、例えば、下記の特許文献2(特開2000−341401号公報)に開示されたクイック通話機能を有するコードレス電話機の発明が知られている。このコードレス電話機は、子機が非充電になったとき、すなわち子機が充電器から取り上げられてオフフック状態になったとき、外線の着信、非着信を子機のCPUが検出し、外線の着信が検出されると(すなわち着信時は)回線を捕捉せず、クイック通話機能を不動作にし、一方、前記検出で外線の非着信が検出されると(すなわち発信時は)は回線を捕捉し、クイック通話機能を働かせるように構成されたものである。
【特許文献1】特開平8−307340号公報
【特許文献2】特開2000−341401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、クイック通話機能を有するコードレス電話装置において、クイック通話機能を有効にするか無効にするかは、利用者が任意に設定できるように構成されている。クイック通話機能を「オン」に設定すると、クイック通話機能が有効になり、「オフ」に設定するとクイック通話機能が無効になる。
【0008】
また、クイック通話機能には、発信時のクイック通話機能と着信時のクイック通話機能があり、発信時と着信時のクイック通話機能を個別に「オン」、「オフ」設定するようにしたコードレス電話装置も存在する。
【0009】
ところで、発信時と着信時のクイック通話機能を個別に「オン」、「オフ」設定するように構成されたコードレス電話装置において、該コードレス電話装置が留守番電話機能を備えており、留守番電話機能が有効に設定されている場合にナンバーディスプレイ機能を利用して、着信した通話の相手を確認してから子機で応答したいという場合がある。その場合には下記のような問題点が生ずる。
【0010】
留守番電話機能が有効に設定されているコードレス電話装置に着信があった場合、当然に親機において留守番電話機能で着信応答がなされ、メッセージの録音動作が開始される。コードレス電話装置はこの応答で着信動作が完了したものとみなされるので、子機は当然待ち受け状態になる。しかしながら、メッセージ録音中は、親機は着信に対して応答継続中である。この状態で子機が充電台から取り上げられると、発信のための操作とみなされるので、クイック通話の発信設定に従うことになる。このため、発信時クイック通話設定が「オン」に設定されていれば自動的にクイック通話機能により親機との間の回線捕捉動作が行われ、親機に着信していた通話に対して接続されてしまう。
【0011】
子機を充電台に置き充電する際の姿勢は子機の外形、構造と充電台の構造により種々の態様があるが、一般的には子機を伏せた状態で充電台に置かれる構造のものが多い。このような構造の場合、子機の背面には充電中を点灯により示すためのLED素子が設けられ、
子機のテンキーや表示部が充電台に対面するように置かれることになり、充電中には子機の表示画面を観察することができないことになる。
【0012】
一方、ナンバーディスプレイ機能による相手方電話番号は、子機の表示手段にも表示されるので、上記の留守番電話機能により親機が着信接続してメッセージ録音中に、子機は待ち受け状態にあるから、クイック通話機能においては発信時のクイック通話の設定に従うことになる。従って、子機を充電台から取り上げて表示手段に表示された相手方の電話番号を確認して、子機で応答するか否かを判断しようとした時に、発信時のクイック通話の設定が「オン」になっていると、通話したくない相手であっても自動的に通話が接続されてしまうという問題点を生ずる。
【0013】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、留守番電話機能が有効にされ、親機が着信に対して留守番電話機能で着信接続している場合、子機に対して留守番電話で着信中であることを通知することにより、子機側においても着信中であると認識できるようになせば、留守番電話応答時のクイック通話機能に対して着信時のクイック通話設定に従うことができ、着信クイック通話を「オフ」設定しておけば、前述の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、発信時クイック通話設定と、着信時クイック通話設定とを個別に設定できるようにしたコードレス電話装置において、親機が着信に対して留守番電話機能で着信接続している場合、子機側においても着信中であると認識できるようにし、留守番電話応答時のクイック通話機能に対して着信時のクイック通話設定に従うようにしたコードレス電話装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、留守番電話機能およびクイック通話機能を備えたコードレス電話装置であって、電話回線に接続される親機と、前記親機と無線で接続される子機と、前記子機を充電するための充電台とからなり、子機は不使用時に充電台に載されて充電されるコードレス電話装置において、前記親機は、留守番電話機能を有効、無効に設定するための留守録設定部と、前記クイック通話機能を発信と着信に対して有効、無効に設定するための発信クイック通話設定部および着信クイック通話設定部と、留守番電話機能による着信を制御する留守録着信制御手段を有する制御部と、を備え、前記子機は前記親機における留守番電話着信状態を記憶する留守番電話着信状態記憶部と、前記発信クイック通話設定部および着信クイック通話設定部による設定状態を記憶する発信クイック通話設定記憶部および着信クイック通話設定記憶部と、制御部と、を備え、前記留守録着信制御手段は、前記親機における留守応答の開始および終了時に前記子機に対して留守番電話着信に対する留守応答の開始および終了を通知し、前記子機は、前記留守録着信制御手段からの通知に基づき、前記親機における留守番電話着信状態を前記留守番電話着信状態記憶手段に記憶し、前記制御部は、前記親機が留守応答中である場合、前記着信時クイック通話設定記憶部に記憶された設定に基づいてクイック通話制御を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるコードレス電話装置において、前記子機は、前記充電台に搭載された際に、前記充電台に対抗する面に表示手段を有し、前記充電台と対抗する面の背面に充電中を示す表示を行う充電表示手段を有することを特徴とする。
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項2にかかるコードレス電話装置において、前記コードレス電話装置は、ナンバーディスプレイサービス機能を有効または無効とする設定機能を備え、前記ナンバーディスプレイサービス機能が有効に設定されている場合、該コードレス電話装置に対する着信の際、着信の相手方の電話番号を親機の表示手段および前記子機の表示手段に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1にかかる発明においては、留守番電話機能およびクイック通話機能を備えたコードレス電話装置であって、電話回線に接続される親機と、前記親機と無線で接続される子機と、前記子機を充電するための充電台とからなり、子機は不使用時に充電台に搭載され充電されるコードレス電話装置において、前記親機は、留守番電話機能を有効、無効に設定するための留守録設定部と、留守番電話機能による着信を制御する留守録着信制御手段を有する制御部と、を備え、前記子機は前記親機における留守番電話着信状態を記憶する留守番電話着信状態記憶部と、制御部と、を備え、前記子機は、前記クイック通話機能を発信と着信に対して有効、無効に設定するための発信クイック通話設定部および着信クイック通話設定部と、前記発信クイック通話設定部および着信クイック通話設定部による設定状態を記憶する発信クイック通話設定記憶部および着信クイック通話設定記憶部と、を備え、前記親機の留守録着信制御手段は、前記親機における留守応答の開始および終了時に前記子機に対して留守番電話着信に対する留守応答の開始および終了を通知し、前記子機は、前記留守録着信制御手段からの通知に基づき、前記親機における留守番電話着信状態を前記留守番電話着信状態記憶手段に記憶し、前記制御部は、前記親機が留守応答中である場合、前記着信時クイック通話設定記憶部に記憶された設定に基づいてクイック通話制御を行うことを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、親機が子機に対して留守番電話で着信中であることを通知することにより、子機側においても着信中であると認識できるようになり、留守番電話応答時のクイック通話機能に対して着信時のクイック通話設定に従うことができ、着信クイック通話を「オフ」設定しておけば、子機を充電台から持ち上げても、クイック通話機能が働くことがなく、子機の表示画面に表示された相手方の電話番号を確認することができ、応答してもよい相手からの着信であれば子機において通話キーを操作して着信に対して応答することができるようになる。
【0019】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるコードレス電話装置において、前記子機は、前記充電台に搭載された際に、前記充電台に対抗する面に表示手段を有し、前記充電台と対抗する面の背面に充電中を示す表示を行う充電表示手段を有する。
【0020】
このような構成によれば、着信クイック通話を「オフ」設定しておけば、留守応答中に、子機を充電台から持ち上げても、クイック通話機能が働くことがなく、子機の表示画面に表示された相手方の電話番号を確認することができ、応答してもよい相手からの着信であれば子機において通話キーを操作して着信に対して応答することができるようになる。
【0021】
請求項3にかかる発明においては、請求項2にかかるコードレス電話装置において、前記コードレス電話装置は、ナンバーディスプレイサービス機能を有効または無効とする設定機能を備え、前記ナンバーディスプレイサービス機能が有効に設定されている場合、該コードレス電話装置に対する着信の際、着信の相手方の電話番号を親機の表示手段および前記子機の表示手段に表示する。
【0022】
このような構成によれば、着信クイック通話を「オフ」設定しておけば、留守応答中に、子機を充電台から持ち上げても、クイック通話機能が働くことがなく、子機の表示画面に表示された相手方の電話番号を確認することができ、応答してもよい相手からの着信であれば子機において通話キーを操作して着信に対して応答することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのコードレス電話装置を例示するものであって、本発明をこのコードレス電話装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のコードレス電話装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明の実施例1にかかるコードレス電話装置10の外観を示す図である。以下の実施例1においては、コードレス電話装置10において、留守番電話機能の設定有無と、着信に対して留守番応答する場合のクイック通話機能の動作について説明する。
【0025】
コードレス電話装置10は親機20と子機30とが無線で接続された構成となっており、子機30から親機20を介して通話の受信、発信が行えるようになっている。このコードレス電話装置10はアナログコードレス電話装置、デジタルコードレス電話装置の何れであってもよい。
【0026】
また、このコードレス電話装置10は、留守番電話機能、クイック通話機能、ナンバーディスプレイ機能などを利用することができるものであり、ユーザが外出中である為に親機20側または子機30側で外線着信に応答ができない場合に、ユーザが外出前に予め留守番電話機能を有効(オン)に設定しておくことで、発信元に応答メッセージを送信した後に、発信元の用件メッセージを録音することができる。
【0027】
また、ユーザは、子機30のキー操作に基づいてクイック通話機能を設定することができ、発信クイック通話設定、着信クイック通話設定をそれぞれ個別に「オン」、「オフ」で設定することができるように構成されている。子機30は、子機30で設定された発信クイック通話設定、着信クイック通話設定に従って動作する。発信クイック通話設定が「オン」である場合、待ちうけ状態で、子機30を充電台から持ち上げることでオフフックとみなされ、自動的に親機20との間の回線捕捉が行われ、発信操作が可能になる。
【0028】
一方、前記着信クイック通話設定が「オン」である場合には、着信中に子機30を充電台から持ち上げることでオフフック状態となり、自動的に親機20と子機30との間の回線捕捉が行われ、子機30側で着信した通話に応答することができるようになる。
このような電話装置において、留守番電話機能が「オン」に設定されている状態で外線着信があり、親機20側で自動的に回線を接続し応答メッセージの送出或いは用件メッセージの録音を実行している際に、ユーザが子機30を充電器から持ち上げると、発信クイック通話機能が「オン」に設定されていれば、親機側で応答メッセージの送出中或いは用件メッセージの録音中であるにも関わらず、自動的に子機30と回線が接続されてしまう(その理由としては、親機20側で着信があり自動的に回線を接続すると、子機30側の着信音鳴動が停止し、子機30側は自動的に待ち受け状態になる為、親機20側が着信中であるにも関わらず、子機30は親機20が待ち受け状態であると判断するからである。)。この結果、ユーザが応答したくない相手でも応答してしまうという問題が生じる。
【0029】
このような問題を回避する為に、本実施例のコードレス電話装置10においては、親機20から子機30に留守応答中に状態遷移させる信号が送られ、子機30は着信中(親機20が留守応答中)であることを識別できるように構成している。そのためコードレス電話装置10のクイック通話機能の設定に対して、子機30は待ち受け状態(発信待機状態)ではなく、着信中であることを識別し、着信クイック通話設定に従って動作することができるようになる。
【0030】
従って、着信クイック通話機能を「オフ」に設定しておけば、子機30を充電台31から持ち上げても、クイック通話機能が働くことがなく、子機30の表示画面に表示された相手方の電話番号を確認することができ、応答してもよい相手からの着信であれば子機30において通話キーを操作して着信に対して応答することができる。すなわち、本実施例のコードレス電話装置10は、親機20が留守応答中にある時には子機30で留守応答中であることを識別できるようにしたため、留守応答中であっても子機30を着信クイック通話の設定に従って動作させることができるように構成したものである。
【0031】
次に、本発明の実施例にかかるコードレス電話装置10の詳細な構成を説明する。親機20は、図3のブロック図に示すように、電話回線制御部21、音声信号処理部22、無線部23、制御部24、マイク・スピーカ部25、操作・表示部26、メモリ27、アンテナ28を備えて構成されている。制御部24はマイクロプロセッサからなる制御回路であり、図示していないROM、RAMを備えている。ROMには各部動作を制御するプログラムを記憶しており、制御部24が通話時間の計時、通話料金の算出を行えるプログラムなども書き込まれている。RAMには制御部24の動作に必要な情報を記憶する。
【0032】
電話回線制御部21は公衆回線Nからの着信、公衆回線Nへの発信を制御するものであり、着信検出、ダイアルトーン検出などを行う。音声信号処理部22は受話音声信号を処理してマイク・スピーカ部25を介して出力し、あるいは、マイク・スピーカ部25を介して入力された送話音声を処理して音声信号に変換して送出する。無線部23はアンテナ28を介して子機30との間で発信信号、着信信号、送話音声信号、受信音声信号を通信する。
【0033】
操作・表示部26は、ディスプレイ、機能キー、数字キーなどから構成され、数字キーは発信の際の電話番号入力に用いられ、機能キーは種々の機能選択の設定を行うために用いられる。すなわち、機能キーを操作してディスプレイに所望の機能設定画面を表示し、コードレス電話装置10の種々の機能設定や、通信キャリアが提供する種々のサービス機能のオン・オフ設定が可能である。
【0034】
例えば、留守番電話機能の有効又は無効を設定、ナンバーディスプレイサービスやキャッチホンディスプレイサービス、ネームディスプレイサービスなどのオン・オフ設定等が可能である。
【0035】
メモリ27にはコードレス電話装置の各種機能の設定状況や、上記のナンバーディスプレイ関連サービスの設定状況などが記憶される他、ユーザが入力する電話帳、短縮ダイヤルの登録情報を記憶することができる。
【0036】
親機20にはテープレコーダのような録音・再生ユニット29が設けられ、通話の相手方の音声(メッセージ)を録音し、録音したメッセージを再生することができる。この録音・再生ユニット29は、留守録設定(留守番録音機能を有効にする設定)が「オン」に設定されている時に動作する。
【0037】
このためメモリ27には留守録設定部271が設けられ、操作・表示部26を用いて留守録設定が「オン」に設定されるとメモリ27の留守録設定部271にその状態が記憶される。通常このような設定は、該当する機能のフラグビットを「1」または「0」のデータを書き込むことで行われる。
【0038】
なお、子機30が複数備えられている場合にはメモリユニットの領域を各子機対応に区分しておくことで各子機に対するメッセージを区分して保存することができる。
【0039】
また、親機20において制御部24は留守電着信制御手段241を備えており、親機20において留守録設定(留守番電話設定)が「オン」に設定されている場合、コードレス電話装置10に着信があると、自動的に回線を接続して発信元に応答メッセージが送られる。発信元が通話においてメッセージを発音すると録音・再生ユニット29にその用件メッセージが録音され、メッセージの録音が終了すると回線が自動的に切断される。
【0040】
親機20が着信を受け、上記のような留守応答を開始すると、留守録着信制御手段241は、子機30に対して留守応答中に状態を遷移させる要求信号を送信する。子機30はこの要求信号を受信すると、留守応答中に状態を遷移し、親機20から留守応答の終了通知を受信するまで、留守応答中の状態を維持する。
【0041】
子機30は、図4のブロック図に示されるように、音声信号処理部32、無線部33、制御部34、マイク・スピーカ部35、操作・表示部36、メモリ37、アンテナ38を備えて構成されている。制御部34はマイクロプロセッサからなる制御回路であり、図示していないROM、RAMを備えている。ROMには各部動作を制御するプログラムを記憶しており、制御部34が親機20と通信するためのプログラムなども書き込まれている。RAMには制御部34の動作に必要な情報を記憶する。
【0042】
音声信号処理部32は受話音声信号を処理してマイク・スピーカ部35を介して出力し、あるいは、マイク・スピーカ部35を介して入力された送話音声を処理して音声信号に変換して送出する。無線部33はアンテナ38を介して親機20との間で発信信号、送話音声信号、受信音声信号を通信する。
【0043】
操作・表示部36は、ディスプレイ、機能キー、数字キーなどから構成され、数字キーは発信の際の電話番号入力に用いられ、機能キーは種々の機能を選択したり設定したりするために用いられる。すなわち、機能キーを操作してディスプレイに所望の機能設定画面を表示して子機30の種々の機能設定をすることができる。
【0044】
操作・表示部36には子機30に対する留守番録音が親機20の録音・再生ユニット29に残されているか否かを表示し、再生を要求する確認ボタンを表示する留守録表示領域361が設けられている。従って、子機30の利用者は領域361に留守録表示があれば確認ボタンを操作して、録音・再生ユニット29に録音されているメッセージを再生して聞くことができる。
【0045】
メモリ37には子機30の各種機能の設定状況が記憶される他、ユーザが入力する電話帳、短縮ダイヤルの登録情報を記憶することができる。また、メモリ37にはコードレス電話装置10の各種設定情報を親機20から受信して記憶する。発信クイック通話設定記憶部372、着信クイック通話設定記憶部373には、それぞれの設定状況が記憶される。
そして留守電着信状態記憶部371には、親機20から送信された留守応答中に状態を遷移させる要求信号に基づいて、子機30に留守番電話着信中の状態を記憶する。この情報は、親機20における留守応答が終了するとクリアされる。
【0046】
このように子機30は着信中(親機20が留守応答中)であることを識別できるように構成されているから、留守応答中では、子機30は待ち受け状態(発信待機状態)ではなく、着信中であることを識別し、着信クイック通話設定に従って動作することができるようになる。
【0047】
従って、コードレス電話装置10において、着信クイック通話機能を「オフ」に設定しておけば、子機30を充電台31から持ち上げても、クイック通話機能が働くことがなく、子機30の表示画面に表示された相手方の電話番号を確認することができ、応答してもよい相手からの着信であれば子機30において通話キーを操作して着信に対して応答することができる。
【0048】
図5は、以上説明した本実施例にかかるコードレス電話装置10の動作シーケンスを示す図である。図5は、コードレス電話装置10において留守番電話機能が「オン」に設定されており、着信があった場合のシーケンスを示すものである。
【0049】
まず、シーケンスSQ1において親機20は着信に対して留守応答を開始する。留守応答を開始すると親機20は子機30に対して留守録応答中に状態遷移するように留守録応答中遷移要求を送信する。子機30は留守録中遷移要求を受信すると、シーケンスSQ2において留守電着信状態記憶部371に留守応答中(留守番電話着信中)の状態情報を記憶し、親機20に対してACK情報を送信する。
【0050】
親機20は、留守応答を開始すると、マイク・スピーカ部25および録音・再生ユニット29を起動し、着信の相手方に対して応答メッセージ(留守であり用件の録音を促すメッセージ)を再生し、録音開始トーンを送信する。そして相手方の用件を録音・再生ユニットに録音し、用件の通話が終了すると録音を終了する。
【0051】
親機30は、用件の録音が終了すると、シーケンスSQ3で留守応答を終了し、子機30に対して留守応答終了の通知を行う。子機30は親機20から留守応答の終了通知を受信すると、シーケンスSQ4において留守電着信状態記憶部371に記憶した留守応答中(留守番電話着信中)の状態情報をクリアし、親機30に対してACK情報を送信する。これにより子機30は通常の待ち受け状態になる。すなわち、子機30は、親機20において留守応答が開始されてから終了するまでの間は、親機20が留守番電話着信に対して応答中であることを識別することができる。
【0052】
従って、コードレス電話装置10において着信クイック通話設定を「オフ」状態にしておけば、親機20が留守番電話機能で着信に応答中である場合、子機30を充電台31から取り上げても、子機30は着信側のクイック通話設定に従った動作をすることができ、表示手段に表示された相手方の電話番号を確認して着信に対して応答するか否かを判断することができるようになる。
【0053】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかるコードレス電話装置10によれば、発信時クイック通話設定と、着信時クイック通話設定とを個別に設定できるようにしたコードレス電話装置において、親機が着信に対して留守番電話機能で着信接続している場合、子機側においても着信中であると認識できるようにし、留守番電話応答時のクイック通話機能に対して着信時のクイック通話設定に従うことができるようになる。
【0054】
このため、コードレス電話装置10において着信クイック通話設定を「オフ」状態にしておけば、親機20が留守応答中に子機30を充電台31から取り上げ、表示手段に表示された相手方の電話番号を確認して着信に対して応答するか否かを判断することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施例にかかるコードレス電話装置の外観を示す図である。
【図2】本発明の実施例にかかる子機が充電台に接続された際の外観を示す図である。
【図3】本発明の実施例にかかる親機の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例にかかる子機の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例にかかるコードレス電話装置の動作手順を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0056】
10・・・・コードレス電話装置
20・・・・親機
21・・・・電話回線制御部
22・・・・音声信号処理部
23・・・・無線部
24・・・・制御部
241・・・留守録着信制御手段
25・・・・マイク・スピーカ部
26・・・・操作・表示部
27・・・・メモリ
271・・・留守録設定部
272・・・発信クイック通話設定部
273・・・着信クイック通話設定部
28・・・・アンテナ
29・・・・録音・再生ユニット
30・・・・子機
32・・・・音声信号処理部
33・・・・無線部
34・・・・制御部
35・・・・マイク・スピーカ部
36・・・・操作・表示部
361・・・留守録表示領域
37・・・・メモリ
371・・・留守電着信状態記憶部
372・・・発信クイック通話設定記憶部
373・・・着信クイック通話設定記憶部
38・・・・アンテナ
N・・・・・公衆回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
留守番電話機能およびクイック通話機能を備えたコードレス電話装置であって、電話回線に接続される親機と、前記親機と無線で接続される子機と、前記子機を充電するための充電台とからなり、子機は不使用時に充電台に搭載され充電されるコードレス電話装置において、
前記親機は、留守番電話機能を有効、無効に設定するための留守録設定部と、留守番電話機能による着信を制御する留守録着信制御手段を有する制御部と、を備え、前記子機は前記親機における留守番電話着信状態を記憶する留守番電話着信状態記憶部と、制御部と、を備え、
前記子機は、前記クイック通話機能を発信と着信に対して有効、無効に設定するための発信クイック通話設定部および着信クイック通話設定部と、前記発信クイック通話設定部および着信クイック通話設定部による設定状態を記憶する発信クイック通話設定記憶部および着信クイック通話設定記憶部と、を備え、
前記親機の留守録着信制御手段は、前記親機における留守応答の開始および終了時に前記子機に対して留守番電話着信に対する留守応答の開始および終了を通知し、
前記子機は、前記留守録着信制御手段からの通知に基づき、前記親機における留守番電話着信状態を前記留守番電話着信状態記憶手段に記憶し、前記制御部は、前記親機が留守応答中である場合、前記着信時クイック通話設定記憶部に記憶された設定に基づいてクイック通話制御を行うことを特徴とするコードレス電話装置。
【請求項2】
前記子機は、前記充電台に搭載された際に、前記充電台に対抗する面に表示手段を有し、前記充電台と対抗する面の背面に充電中を示す表示を行う充電表示手段を有することを特徴とする請求項1に記載のコードレス電話装置。
【請求項3】
前記コードレス電話装置は、ナンバーディスプレイサービス機能を有効または無効とする設定機能を備え、前記ナンバーディスプレイサービス機能が有効に設定されている場合、該コードレス電話装置に対する着信の際、着信の相手方の電話番号を親機の表示手段および前記子機の表示手段に表示することを特徴とする請求項2に記載のコードレス電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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