説明

ゴム配合用フェノール修飾レゾルシノール樹脂

【課題】改良されたメチレン受容体により、ゴム組成物の硬化時間を短縮する。
【解決手段】(a)ゴム成分;(b)メチレン供与体化合物;及び(c)高オルト−オルト結合フェノールノボラック樹脂及びレゾルシノール樹脂を含有するメチレン受容体を含有する加硫性ゴム組成物。(c)のメチレン受容体は、式で表される1以上のフェノール化合物とアルデヒドとをオルト配向性触媒の存在下で反応させ、次いで、レゾルシノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂と結合させ、フェノール及びレゾルシノールノボラック樹脂配合物を得ることによって製造することができる:


(RはH、炭素原子1〜16個を有するアルキル基、及び炭素原子8〜12個を有するアラルキルから選択)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノールノボラック(novolak)修飾レゾルシノール(resorcinolic)樹脂
の合成及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ、ベルト及びホース製品等の物品におけるゴム複合体の性能は、ゴム及び補強材
料の間の接着特性、及び補強材料と接触する際の硬化したゴムマトリックスの機械的性質
に依存する。
【0003】
従来のゴムの補強材料への接着力最適化するための従来の方法は、メチレン供与体及び
メチレン受容体を含有する二液型接着システムを含む。メチレン供与体は、メチレン受容
体を読み込む(read)か又は架橋することのできるメチレン又はメチロール基を生成し、ゴ
ム及び補強材料と相互作用し、結果としてゴムの補強材料への接着力を増大させる。メチ
レン供与体とメチレン受容体とはゴム中に配合されるので、それらは最終的なゴム製品の
特性に重大な効果を与える。
【0004】
最も一般に用いられているメチレン供与体は、ヘキサメチレンテトラミン(HEXA)
及びヘキサメトキシメチルメラミン(HMMM)である。2価フェノール、多価フェノー
ル及びフェノールノボラック樹脂は、メチレン受容体としてゴム産業において用いられて
いる。例えば、レゾルシノールは、ゴムを補強材料に結合させるために用いられている2
価フェノールメチレン受容体である。レゾルシノールは低分子であるので、配合の間、ゴ
ム中に均一に分布することができ、結果として、硬化したゴム製品の優れた、物理的、機
械的及びスチールコード接着性能を付与する。しかし、特に、製品の損失については、バ
ンブリー温度条件におけるレゾルシノールと関連する発煙が問題を引き起こす。
【0005】
また、フェノールノボラック樹脂は、タイヤ産業において、ゴム化合物製剤におけるメ
チレン受容体として長いこと用いられてきた。上記フェノールノボラックは、HMMM又
はHEXA(HMT)等のメチレン供与体で硬化された場合、硬化されたゴム化合物の硬
度、鋼度、引裂抵抗、耐摩耗性、引張強度、及び弾性率を上昇させる。一般に、フェノー
ルノボラックは、ゴム化合物製剤中の樹脂を粘着しやすくし、補強するものとして用いら
れている。しかし、それらはスチールワイヤースキムゴム(steel wire skim rubber)化合
物製剤においては、遅い硬化及び高いヒステリシスのために用いられていない。従って、
フェノールノボラックの相対的に遅い硬化及び相対的に高い発熱は、タイヤコードのゴム
への接着に影響を及ぼすことが予想される。タイヤの耐用年数を上昇させるためには、鋼
等のタイヤコードと、加硫ゴムとの結合が相対的に強いことは重要である。ゴム配合製剤
中でのレゾルシノールの使用は、鋼及びゴムの間のこのような結合を提供する。これは、
メチレン供与体に対するレゾルシノールの高い反応性によるものであり、また低ヒステリ
シスのゴム化合物を生産する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、ゴム化合物の応用において利用するための改良されたメチレン受容体が必要で
ある。好ましくは、該メチレン受容体は相対的に短い硬化時間を有し、そのため、改良さ
れたゴム組成物を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要約)
本発明の実施態様は、1以上の以下の態様において上記必要を満たす。1つの態様にお
いて、本発明は、(I)天然ゴム、合成ゴム又はそれらの組み合わせから選択されたゴム
成分;(II)加熱時にホルムアルデヒドを生成するメチレン供与体化合物;及び(III)
下記式:
【0008】
【化7】

【0009】
(式中、nは1以上であり、かつmは1以上である。)で表される、フェノール及びレ
ゾルシノールノボラック樹脂配合物を含有するメチレン受容体化合物を含む、加硫性ゴム
組成物に関する。該フェノール及びレゾルシノールノボラック樹脂配合物は、一般に、フ
ェノール樹脂とレゾルシノール樹脂との重量比が95:5〜5:95の間である。いくつ
かの実施態様において、該フェノール及びレゾルシノールノボラック樹脂配合物は、(a
)下記式:
【0010】
【化8】

【0011】
(式中、Rは、H、炭素原子1〜16個を有するアルキル基、及び炭素原子8〜12個を
有するアラルキル基からなる群から選択される。)で表される1以上のフェノール化合物
と、アルデヒドとを、オルト配向性触媒の存在下で反応させて高オルトフェノール樹脂を
得、かつ(b)該高オルトフェノール樹脂をレゾルシノール−ホルムアルデヒドノボラッ
ク樹脂と結合させることによって製造される。特定のフェノール及びレゾルシノールノボ
ラック樹脂配合物は、(a)約25〜96%の範囲でo−o’フェノールメチレン結合;
(b)約4〜50%の範囲でo−p’フェノールメチレン結合;(c)約10〜90%の
範囲でo−o’フェノールメチレン結合及び4−4’レゾルシノールメチレン結合の組み
合わせ;及び(d)約1〜30%の範囲でp−p’フェノールメチレン結合を有する。
【0012】
他の実施態様において、該メチレン受容体は、(A)フェノール及び/又はアルキルフ
ェノールと、(B)アルデヒドとを、(C)オルト配向性二価金属塩触媒の存在下で反応
させ、少なくとも25%のオルト−オルトフェノールメチレン架橋を含む高オルトフェノ
ールノボラック生成物を製造し、次いで(D)レゾルシノール、レゾルシノール誘導体又
はメタ−置換フェノールとを加え、かつ次いで(E)追加量のアルデヒドと反応させるこ
とによって製造される。このような方法によって製造された該樹脂配合物は、下記構造式
を有する:
【0013】
【化9】

【0014】
(式中、nは1以上であり、かつmは1以上である。)。いくつかの方法においては、フ
ェノール及び/又はアルキルフェノールとホルムアルデヒドとのモル比は、約1:0.4
〜0.86であり;レゾルシノール、レゾルシノール誘導体又はm−置換フェノールとホ
ルムアルデヒドとのモル比は、約1:0.4〜0.7である。他の方法においては、該ア
ルキルフェノールが、フェノールノボラック樹脂を製造するために用いられ、かつ該樹脂
はo−o’メチレン結合を約40〜70%の範囲で含有する。いくつかの方法においては
、該フェノールノボラックを製造するために用いられるアルキルフェノールは、p−クレ
ゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−tert−ノニ
ルフェノール、p−ノニルフェノール、p−スチリルフェノール及びp−エチルフェノー
ルからなる群から選択される、炭素原子1〜16個を含むアルキル鎖でパラ置換された、
又はアラルキル置換されたフェノールから選択される。他の方法においては、フェノール
及び/又はアルキルフェノールとアルデヒドとのモル比は、約0.1:0.9及び約0.
9:0.1の間である。いくつかの方法においては、該アルデヒドは、ホルムアルデヒド
、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド
、バレルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール又はそれら
の混合物である。他の方法においては、該レゾルシノール誘導体又はメタ−置換フェノー
ルは、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、4
−スチリルレゾルシノール、m−クレゾール、カシューナッツ殻液、フロログルシノール
、3−メチル−5−エチルフェノール、メタ−イソプロピルフェノール、m−イソオクチ
ルフェノール及び3,5−ジメチルフェノールからなる群から選択される。
いくつかの他の実施態様においては、該メチレン受容体は、(A)下記式:
【0015】
【化10】

【0016】
(式中、Rは、H、炭素原子1〜16個を有するアルキル鎖、及び炭素原子8〜12個を
有するアラルキル基からなる群から選択される。)で表される1以上のフェノール化合物
と、(B)アルデヒドとを、(C)共沸溶媒、(D)酸化物、水酸化物、ギ酸塩、乳酸塩
、酢酸塩、安息香酸塩と、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム、亜鉛
、マンガン、コバルト及び鉛の混合物とからなる群から選択される、二価の電気的陽性の
金属化合物を含有する、オルト配向性触媒の存在下で反応させ、(E)次いで、レゾルシ
ノール、レゾルシノール誘導体又はプレフォームレゾルシノール−ホルムアルデヒドノボ
ラック樹脂を加えることによって製造される。いくつかの方法においては、該共沸溶媒は
、トルエン及びキシレンからなる群から選択される。前記方法で製造される樹脂配合物(
メチレン受容体として用いられる)は、下記構造式を有する:
【0017】
【化11】

【0018】
(式中、nは1以上であり、かつmは1以上である。)。前記方法で製造される特定の樹
脂配合物は、(1)約25〜98%の範囲でo−o’フェノールメチレン結合;(2)約
4〜50%の範囲でo−p’フェノールメチレン結合;(3)約1〜30%の範囲でp−
p’フェノールメチレン結合;及び(4)約10〜90%の範囲でo−o’フェノールメ
チレン結合及び4−4’レゾルシノールメチレン結合の組み合わせを有する。他の特定の
樹脂配合物は、約90〜約98%のo−o’フェノールメチレン結合を含む。若干の場合
、該樹脂配合物は、フェノール樹脂とレゾルシノール成分との重量比が約95:5〜約5
:95の間である。
【0019】
他の実施態様においては、該加硫性ゴム組成物は、さらにナイロン、レーヨン、ポリエ
ステル、ポリアミド、ガラス繊維及び鋼からなる群から選択される補強材を含む。若干の
場合、該ゴム組成物は、タイヤ、パワーベルト、コンベヤーベルト、印刷ロール、自動車
のフロアマット、トラック又はボールミルライナーの泥よけを製造するための複合製品の
製造において用いられる。
【0020】
他の実施態様においては、本発明は、(I)天然ゴム、合成ゴム又はそれらの組み合わ
せから選択されるゴム成分、(II)加熱時にホルムアルデヒドを生成するメチレン供与体
化合物、及び(III)下記式:
【0021】
【化12】

【0022】
(式中、Rは、H、炭素原子1〜16個を有するアルキル基、及び炭素原子8〜12個を
有するアラルキル基からなる群から選択される。)で表される1以上のフェノール化合物
と、アルデヒドとを、オルト配向性触媒の存在下で最初に反応させ、次いでレゾルシノー
ルホルムアルデヒドノボラック樹脂と結合させて、フェノール及びレゾルシノールノボラ
ック樹脂配合物を得ることによって製造される。
本発明のさらなる面、特徴及び本発明の種々の実施態様の特性は、下記記載により明ら
かになる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明において、本明細書において開示される全ての数字は、それらに関連して、
用語「約」又は「およそ」が用いられているかどうかに関わらず、近似値である。それら
は、1%、2%、5%、又は時には10〜20%変化してもよい。下限R及び上限R
を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、範囲の中における減少するいかなる数が
特に開示される。下限、Rおよび上限(R)を有する数の範囲が開示されるときはい
つでも、範囲内に入るいかなる数も特に開示される。特に、範囲内の以下の式が特に開示
される:R=R+k*(R−R)、式中、kは、1%ずつの増加で1%〜100%
の範囲で変化し得る範囲である。すなわち、kは1%、2%、3%、4%、5%、、、5
0%、51%、52%、、、95%、96%、97%、98%、99%又は100%であ
る。更に、上述した定義による2つのR数によって定義されるいかなる数値範囲もまた、
具体的に開示される。
【0024】
本発明の実施態様は、高オルト−オルト結合フェノールノボラック樹脂、及び加硫性ゴ
ム組成物中のメチレン受容体として用いるためのレゾルシノール樹脂との配合物を提供す
る。簡潔さのため、用語「オルト−オルト結合」を、以下の記載においては「オルト」と
省略する。更に、また本発明の実施態様は、上記樹脂配合物をベースとする加硫性ゴム組
成物を提供する。
【0025】
高オルトフェノールノボラック樹脂とは、少なくとも25%のオルト−オルト結合を有
するフェノールノボラック樹脂をいう。すなわち、少なくとも25%のメチレン架橋が、
オルト位のフェノール基に隣接して結合している。いくつかの実施態様においては、オル
ト−オルト結合の程度は、少なくとも35%であり、少なくとも40%であり、少なくと
も45%であり、少なくとも50%であり、少なくとも60%であり、少なくとも70%
であり、又は少なくとも80%である。好ましくは、オルト−オルト結合の程度は、少な
くとも85%であり、少なくとも90%であり、又は少なくとも95%である。フェノー
ルノボラック樹脂中のオルト−オルト結合の程度が90%を超えると、このような樹脂は
「超高オルト(very high ortho)」フェノールノボラックとして言及される。ノボラック
中のオルト−オルト結合の含有割合は、重水素化メタノール中において運転される13
−NMRスペクトルによって測定することができる。テトラメチルシランが、内部標準と
して用いられる。オルト−オルト結合の割合は、23.5〜38ppmの範囲に見られる
全てのメチレン架橋シグナルによって分離される、23.5〜32ppmの範囲に見られ
るオルト−オルトメチレン架橋のシグナルの積分(面積)の100倍に等しい。
【0026】
本発明の実施態様に従った高オルトフェノールノボラック修飾レゾルシノール樹脂は、
(1)高オルトフェノールノボラック樹脂を(2)レゾルシノール−ホルムアルデヒドノ
ボラック樹脂と配合することによって製造される。この配合用の高オルトフェノールノボ
ラック樹脂は、フェノール、p−アルキル又はアラルキルフェノールとホルムアルデヒド
とを、オルト配向性触媒の存在下で反応させることにより製造することができる。適当な
フェノールは、フェノール又はm−アルキル置換フェノール等の三官能性フェノール、及
びp−クレゾール、p−tertオクチルフェノール、p−tert−ノニルフェノール、p−ノ
ニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等の二官能性フェノール等を含むが、これ
らに限定されない。該高オルトノボラック樹脂の合成に用いるのに適した触媒は、カルシ
ウム、マグネシウム、亜鉛、ストロンチウム、カドミウム、鉛及び/又はバリウム等の二
価の金属イオンである。該触媒は、通常は、弱有機酸の二価の金属塩、すなわち酢酸塩、
クエン酸塩、グリコサール塩又は酒石酸塩である。高オルトフェノールノボラック修飾レ
ゾルシノール樹脂は、下記式で表される1又は2種の化合物を含む。
【0027】
【化13】

【0028】
上記式中において、Rは、H、炭素原子1〜16個のアルキル基、炭素原子8〜12個
のアラルキル基であり;かつn又はmは1以上である。一般に、nは約1〜約1000で
ある。ある場合には、nは約500未満であり、約300未満であり、又は約200未満
である。一般に、mは約1〜約500である。ある場合には、mは約200未満であり、
約150未満であり、又は約100未満である。上記範囲は樹脂の応用のためには好まれ
、m及びnが上記範囲外のときは他の応用のために好まれる。レゾルシノール樹脂につい
ての上記式において、全ての結合は2−6’であると表わされる。しかし、これはレゾル
シノール樹脂の場合については必要ではない。2−4’結合等の他の結合も可能である。
適当なレゾルシノール樹脂は、同一であるか異なる結合を含むことができる。フェノール
樹脂についての構造はオルト−オルト結合であると思われるが、オルト結合は100%で
ある必要はない、しかし、それは少なくとも25%である。
【0029】
本発明のいくつかの実施態様において、高オルトフェノールノボラック修飾レゾルシノ
ール樹脂は、オルト配向性触媒の存在下でフェノール及び/又はアルキルフェノール−ホ
ルムアルデヒド反応から高オルトフェノールノボラック樹脂を形成した後、レゾルシノー
ル−ホルムアルデヒド反応を実施することにより製造される。得られた樹脂生成物は、下
記式を有する。
【0030】
【化14】

【0031】
上記式において、nは約1〜約1000の範囲である。ある場合には、nは約500未
満であり、約300未満であり、約200未満であるが、1、3、5又は10を超える。
一般に、mは約1〜約500の範囲である。ある場合には、mは約200未満であり、約
150未満であり、約100未満であるが、1、3、5又は10を超える。上記範囲は、
樹脂のいくつかの応用については好ましく、m及びnが上記範囲外のときは他の応用のた
めに好まれる。レゾルシノール樹脂についての上記式において、全ての結合は2−6’で
ある。しかし、これは、レゾルシノール樹脂については必要ではない。しかし、これはレ
ゾルシノール樹脂の場合については必要ではない。2−4’結合等の他の結合も可能であ
る。適当なレゾルシノール樹脂は、同一であるか異なる結合を含むことができる。また、
レゾルシノール樹脂についての構造はオルト−オルト結合であると思われるが、オルト結
合は100%である必要はない、しかし、それは少なくとも25%であるべきである。
【0032】
更に、種々の高オルトフェノール樹脂は、下記の米国特許第2,475,587号明細書;第3,33
2,911号明細書;第3,425,989号明細書;第4,010,144号明細書;第5,473,045号明細書;及び第
5,494,785号明細書に開示されており、それらは、本明細書において全て引用したものと
する。本発明の種々の実施態様において、このような全てのフェノール樹脂は、修飾され
、又は修飾なしで用いられる。本明細書において用いられる用語「フェノール樹脂」は、
フェノール及びホルムアルデヒドの縮合反応で製造される樹脂だけでなく、フェノール誘
導体又は置換フェノールと1以上のアルデヒドとから製造されたものも本明細書において
包含するものと認識されなければならない。
【0033】
さらなる適当なレゾルシノール樹脂は、下記の米国特許第6,472,457号明細書;第5,945,
500号明細書;第5,936,056号明細書;第5,300,618号明細書;第5,244,725号明細書;第5,075,
414号明細書;第5,075,413号明細書;第5,059,723;号明細書;第5,049,641号明細書;第5,030
,692号明細書;第5,021,522号明細書;第4,892,908号明細書;第4,889,891号明細書;第4,476
,191号明細書;第4,025,454号明細書;第3,956,205号明細書;及び第2,385,372号明細書に開
示されており、それらは、本明細書において全て引用したものとする。上記レゾルシノー
ル樹脂は、修飾され、または修飾なしで、高オルトフェノール樹脂と配合される。本明細
書において用いられる用語「レゾルシノール樹脂」は、レゾルシノール及びホルムアルデ
ヒドの縮合反応で製造される樹脂だけでなく、レゾルシノール誘導体又は置換レゾルシノ
ールと1以上のアルデヒドとから製造されたものも本明細書において包含するものと認識
されなければならない。
【0034】
本発明の他の実施態様は、a)ゴム成分、b)メチレン供与体、及びc)メチレン受容
体を含有するゴム組成物を提供する。メチレン受容体は、上述した、高オルトフェノール
ノボラック修飾レゾルシノール樹脂のいずれかであり得る。例えば、メチレン受容体は、
まずフェノール及び/又はアルキルフェノールとホルムアルデヒドとを、オルト配向性触
媒の存在下で反応させ、次いで、該反応生成物をプレフォームレゾルシノール−ホルムア
ルデヒド樹脂と配合するか、レゾルシノール−ホルムアルデヒド反応を実施して上述した
ような配合物を生成する。補強ゴム製品は、更に補強材を含んでもよい。
【0035】
また、本発明の実施態様は、ゴム配合に適用するために用いられる、高オルト及び超高
オルトフェノールノボラック修飾レゾルシノールノボラック樹脂生成物を提供する。
【0036】
いくつかの実施態様は、メチレン結合の全数の少なくとも50%がオルト−オルト位に
フェノール基に隣接して結合している、メチレン鎖結合ポリフェノールを含有する、新規
なゴム配合フェノールノボラック修飾レゾルシノール樹脂を提供する。オルト−オルト(
o−o’)フェノールメチレン架橋は、約25%〜約96%であり、及び更に好ましくは
約30%〜約80%からなることが好ましい。樹脂中に存在する、o−o’フェノールメ
チレン架橋及び4−4’レゾルシノールメチレン架橋の全数は、約10%〜約90%であ
り、好ましくは約40%〜約80%で変化する。好ましくは、フェノールメチレン結合の
全数の約1%〜約30%はパラ−パラ(p−p’)位に結合している。得られた樹脂にお
けるフェノールメチレン結合の少なくとも25%はo−o’であり、フェノールメチレン
結合の全数の少なくとも微量の部分はp−p’である。
【0037】
また、本発明の実施態様は、ゴムと補強材料との間の向上した接着力を有し、同時に、
補強材料と接触した、硬化したゴムマトリックスについて向上した機械的性質を有する、
加硫性ゴム組成物を提供する。
【0038】
上述したように、改良された加硫性ゴム組成物は、メチレン受容体としてレゾルシノー
ルノボラック樹脂で修飾された高オルトフェノールノボラックを用いることによって製造
することができる。改良された加硫性ゴム組成物は、(I)天然ゴム及び合成ゴムから選
択されるゴム成分、(II)加熱時にホルムアルデヒドを生成するメチレン供与体化合物、
及び(III)高オルトフェノールノボラック修飾レゾルシノールノボラック型メチレン受
容体を含有する。上記ゴム組成物は、更に(IV)硫黄等の加硫剤、及び(V)1以上のゴ
ム添加剤を任意に含有してもよい。
【0039】
該ゴム成分は、天然ゴム、合成ゴム又はそれらの混合物であり得る。合成ゴムの特定の
例は、ネオプレン(ポリクロロプレン)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム
、1,3−ブタジエン又はイソプレンとスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリ
レート等のモノマーとの共重合体、またエチレン/プロピレン/ジエン単量体(EPDM
)及び特にエチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンターポリマーを含む。
【0040】
該メチレン供与体成分は、加硫の際に加熱によってホルムアルデヒドを生成し、ゴム配
合製剤中で用いられるメチレン受容体と反応し得る化合物であることができる。適当なメ
チレン供与体はヘキサメチレンテテラミン(HEXA又はHMT)及びヘキサメトキシメ
チルメラミン(HMMM)を含むが、これらに限定されない。さらなる適当なメチレン供
与体は、米国特許第3,751,331号明細書に開示されており、それらは、本明細書において
全て引用したものとする。該メチレン供与体は、通常はゴム100部あたり0.5〜15
部、好ましくはゴム100部あたり0.5〜10部存在する。メチレン受容体に対するメ
チレン供与体の重量比は変化し得る。しかし、一般には、重量比は1:10〜10:1の
範囲であろう。好ましくは、メチレン受容体に対するメチレン供与体の重量比は1:3〜
3:1で変動する。
【0041】
該加硫性ゴム組成物は、硫黄等の加硫剤を含有してもよい。適当な硫黄加硫剤の例は、
元素状態で存在する硫黄、又は硫黄を供与する加硫剤である。好ましくは、硫黄加硫剤は
元素状態で存在する硫黄である。
【0042】
加硫性ゴム組成物は、ゴム組成物中で用いられる1以上の添加剤を含有してもよい。ゴ
ムストック中で用いられる添加剤は、カーボンブラック、コバルト塩、ステアリン酸、シ
リカ、酸化亜鉛、充填材、可塑剤、ワックス、プロセスオイル、加硫遅延剤、抗オゾン化
物質等を含む。
【0043】
また、加硫に必要時間及び/又は温度を制御し、加硫特性を向上させるために、促進剤
が用いられる。適当な促進剤は、アミン、二硫化物、グアニジン、チオ尿素、チアゾール
、チウラム、スルフェンアミド(sulfenamides)、ジチオ炭酸塩及びザンタテス(zantha
tes)を含むが、これらに限定されない。好ましくは、一次促進剤はスルフェンアミドで
ある。
【0044】
本明細書で開示されたゴム化合物は、タイヤの応用における使用のための針金被覆、ビー
ズ被覆(bead coat)として用いることができる。ステンレス鋼等の金属に対するゴムの
接着力を向上させるための、当業界で公知のコバルト化合物のいずれの形態もが使用でき
る。用いられる適当なコバルト化合物は、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リ
ノール酸等の脂肪酸のコバルト塩、炭素原子6〜30個を有する脂肪族又は脂環式カルボ
ン酸のコバルト塩、塩化コバルト、ナフテン酸コバルト、ネオデコン酸コバルト(cobalt
neodeconoate)、及びモノボンドCの商標で商業的に入手可能な有機コバルト−ホウ素複
合体を含む。
【0045】
本発明の実施態様において用いられるメチレン受容体は、例えば、図1〜3に図示され
た3個の反応模式図の1つによって製造することのできる、高オルトフェノールノボラッ
ク修飾レゾルシノール樹脂である。
図1に言及すると、該メチレン受容体樹脂を製造する1つの方法は、まず、下記一般式
(a):
【0046】
【化15】

【0047】
(式中、Rは、H、炭素原子1〜16個を有するアルキル鎖又は炭素原子8〜12個のア
ラルキル基である。)で表される1以上のフェノール化合物を、酸化物、水酸化物、又は
カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ストロンチウム、カドミウム、鉛及びバリウム等の二
価の金属イオンの酸化物、水酸化物又は有機酸塩等のオルト配向性触媒の存在下で、ホル
ムアルデヒド、パラ−ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒド等のアルデヒドと反応させ
、高オルト置換フェノールノボラック型樹脂を合成することである。次いで、プレフォー
ムレゾルシノール−ホルムアルデヒドノボラックをフェノールノボラックに加え、十分に
撹拌して脱水し、高オルトフェノール及びレゾルシノールノボラック樹脂配合物を得る。
【0048】
いくつかの実施態様においては、フェノール、及び/又はt−オクチルフェノール等の
アルキルフェノールが、2つの異なる段階において水性ホルムアルデヒドと反応すること
が許容される。反応に用いられるオルト配向性触媒のタイプに依存して、この反応のpH
は約4〜約7の範囲である。ほとんど全てのホルムアルデヒドがフェノールと完全に反応
するような方法で、フェノール−ホルムアルデヒド反応混合物を還流する。ホルムアルデ
ヒドは、フェノール環のオルト位に有意に結合し、下記タイプの構造を提供する:
【0049】
【化16】

【0050】
(式中、nは、フェノール及びホルムアルデヒドのモル比に依存して1以上である。)。
上記フェノールノボラックは高いオルト配向性を有し、「高オルトフェノールノボラック
樹脂」と呼ばれる。これは、HEXA又はHMMM等のメチレン供与体との比較的高い硬
化速度を示す、実質的に直鎖状の重合体を結果として生じる。
【0051】
フェノールノボラックの形成後、ただちに温度をわずかに低くし、レゾルシノール−ホ
ルムアルデヒドノボラック樹脂溶液を加え、最終樹脂配合物を脱水してフェノール及びレ
ゾルシノールノボラック樹脂配合物を得る。樹脂生成物は下記式によって特徴づけられる

【0052】
【化17】

【0053】
(式中、Rは、H、炭素原子1〜16個のアルキル基又は炭素原子8〜12個のアラルキ
ル基であり、nは約1〜約1000の範囲である。)。ある場合には、nは約500未満
であり、約300未満であり、約200未満である。一般には、mは約1〜約500の範
囲である。ある場合には、mは約200未満であり、約150未満であり、約100未満
である。レゾルシノールについての上記式においては、全ての結合は2−6’であると思
われる。しかし、これはレゾルシノール樹脂の場合については必要ではない。2−4’結
合等の他の結合も可能である。適当なレゾルシノール樹脂は、同一であるか異なる結合を
含むことができる。
【0054】
いくつかの実施態様においては、高オルトフェノールノボラック樹脂について、o−o
’及びo−p’フェノールメチレン結合の合計は、好ましくは少なくとも約90%であり
、p−p’フェノールメチレン結合は5%未満である。フェノール及びレゾルシノール樹
脂配合物について、o−o’フェノール、4−4’レゾルシノール、及びo−p’フェノ
ールメチレン架橋の合計は約80%以上である。
【0055】
レゾルシノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂を加えるかわりに、レゾルシノール
、レゾルシノール誘導体、メタ−置換フェノール又はレゾルシノールをベースとするノボ
ラック型樹脂等の高反応性メチレン受容体が、高オルトフェノールノボラック樹脂から高
反応性メチレン受容体を製造するために用いられる。適当なレゾルシノール誘導体又はメ
タ−置換フェノールの具体例は、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒド
ロキシアセトフェノン、4−スチリルレゾルシノール、m−クレゾール、カシューナッツ
殻液、フロログルシノール、3−メチル−5−エチルフェノール、メタ−イソプロピルフ
ェノール、m−イソオクチルフェノール及び3,5−ジメチルフェノールがあるが、これ
らに限定されない。
【0056】
高オルトフェノール樹脂及びレゾルシノール又はレゾルシノール誘導体及び/又はレゾ
ルシノール樹脂を含む配合物の調製において、フェノール樹脂とレゾルシノール樹脂との
重量比は95:5〜5:95の間で変化する。この比は、特定の応用に必要とされる性能
レベルに依存する。
【0057】
高オルトフェノールノボラックの調製において、フェノール及び/又はアルキルフェノ
ールとホルムアルデヒドとのモル比は、通常は約1:1であり、好ましくは約1:0.4
〜0.9であり、最も好ましくは、約1:0.6〜0.85の範囲である。樹脂配合物を
製造するために用いられるレゾルシノールノボラックは、ホルムアルデヒドに対して、約
1:04〜0.8の範囲、好ましくは約1:0.6〜0.7の範囲のモル比のレゾルシノ
ールを用いて製造される。
【0058】
別々に製造されたフェノールノボラック樹脂及びレゾルシノール樹脂は、いずれかの方
法で混合される。しかし、最終的な樹脂混合配合物は、商業的応用のための均一な製品を
得るために、常圧下及び真空乾燥条件下で完全に乾燥すべきである。
【0059】
図2に言及すると、樹脂配合物は、また、二段階縮合反応によって製造することができ
る。二段階縮合によって製造されるメチレン受容体樹脂も、配合樹脂として言及すること
ができる。第一の縮合は、下記一般式(a):
【0060】
【化18】

【0061】
(式中、Rは、H、炭素原子1〜16個を有するアルキル鎖又は炭素原子8〜12個のア
ラルキル基から選択される。)で表される化合物から選択される1以上のフェノール化合
物を、オルト配向性触媒の存在下で、ホルムアルデヒド、パラ−ホルムアルデヒド及びア
セトアルデヒド等のアルデヒドと反応させる。第一のフェノール−ホルムアルデヒド縮合
に続き、レゾルシノールを反応器に入れ、ホルムアルデヒドと反応させて高オルトフェノ
ール樹脂修飾レゾルシノールノボラック樹脂を得る。
図2に概要を記した反応模式図から得られるメチレン受容体樹脂は下記一般式を有する

【0062】
【化19】

【0063】
上記式において、nは約1〜約1000の範囲である。ある場合には、nは約500未
満であり、約300未満であり、又は約200未満である。一般に、mは約1〜約500
の範囲である。ある場合には、mは約200未満であり、約150未満であり、又は約1
00未満である。
【0064】
第二の縮合段階において、種々の他のアルデヒドが用いられ、ノボラック樹脂配合物が
得られる。ホルムアルデヒドに代わって、又はホルムアルデヒドに加えて用いることので
きる適当なアルデヒドは、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド
、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、
フルフラール等である。また、高オルトフェノール樹脂修飾レゾルシノール樹脂を製造す
るために、レゾルシノールに代え、高反応性レゾルシノール誘導体を用いることができる

【0065】
図3に言及すると、樹脂配合物は下記方法によって製造することができる。高オルトフ
ェノールノボラック(すなわち、約67%以上のオルト−オルトメチレン架橋含有量を有
する)を得る代わりに、図3に示す反応模式図による方法は、95%を超えるオルト−オ
ルトメチレン架橋含有量を有するノボラック樹脂を製造する。高オルト含有量の故に、前
記樹脂はより急速に硬化すると予想され、それらの応用においてよく実施される。
【0066】
「超高オルト」フェノールノボラックは、フェノール及び/又はアルキルフェノール、ト
ルエン及び酢酸亜鉛等のオルト配向性触媒の還流混合物にホルムアルデヒド水溶液を徐々
に加えることによって製造される。ホルムアルデヒド中に存在する、及び反応によって生
成する水が連続的に反応混合物から共沸混合物として除去されるような方法で、ホルムア
ルデヒドの添加は実施される。該作業は、高オルトノボラックの生産を促進する。ホルム
アルデヒドとフェノールとの反応が完了した後、常圧及び減圧蒸留条件により溶媒を除去
する。得られた樹脂のp−p’含有量は、約1.0%以下である。
【0067】
フェノールノボラックの合成に続いて、レゾルシノール、レゾルシノール誘導体、メタ
−置換フェノール、レゾルシノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂又は修飾レゾルシ
ノールノボラック樹脂等の高反応性メチレン受容体を加え、メチレン受容体樹脂として用
いることのできる配合物を製造する。
【0068】
通常は、メチレン受容体は、ゴム成分の100重量部に基づき、1〜25重量部の範囲
の量でゴムに加えられる。好ましくは、メチレン受容体は、ゴム成分中に約1〜5phr
の量で加えられる。
【0069】
上述したように、本発明の特定の面は、補強材料に対するゴムの接着力を改良する組成
物及び方法に関する。上記改良は、接着材料と、プレコートか、プレ反応(pre-reacted
)である補強材料であるかどうかにかかわらず、適用性を有する。適当な補強材料の例は
、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、アラミド、ガラス繊維、鋼(真鍮、亜鉛又は青銅
でめっきされた)及び他の有機又は無機成分を含むが、これらに限定されない。補強材料
は、フィラメント、繊維、コード又は織物の形態であり得る。
ゴム成分の形成に続いて、当業界で公知の方法によって加硫が行われる。
【0070】
樹脂、又はメチレン受容体及びメチレン供与体の反応によって生成された反応生成物は
、ゴムと補強材料との接着を促進するが、同時に、硬度、動こわさ及び低ヒステリシス特
性等のゴムの加硫特性を向上すると理解されている。
上記樹脂をベースとするゴム組成物は、タイヤ、パワーベルト、コンベヤーベルト、印刷
ロール、ゴム靴ヒール、及び足底、ゴムリンガー(wringer)、自動車のフロアマット、
トラックの泥よけ、ボールミルライナー等の製造のための複合体の調製に用いられる。好
ましくは、ゴムの加硫は、針金被服配合物、カーカス(carcass)層又はタイヤの積層配
合物として用いられる。
【0071】
以下の実施例は、本発明の具体例を例示するために示される。全ての数値は近似値であ
る。数値範囲が与えられると、決まった範囲内で定まった範囲の外側の実施例が、まだ本
発明の範囲内であると理解されなければならない。各々の実施例に記載されている詳細は
、本発明に必要な特徴であると解釈すべきではない。
【実施例】
【0072】
(実施例1)
スターラー、サーモメーター、還流冷却器及び追加の漏斗を備え付けた1リットルの反
応がまに、128.3グラム(1.35モル)のフェノール、21.3グラム(0.10
モル)のt−オクチルフェール、及び1.0グラムのp−トルエンスルホン酸触媒(PT
SA)を加え、90〜95℃に加熱した。次いで、83.9グラムのホルムアルデヒド水
溶液(37.6重量%;1.05モル)を約60分かけてゆっくりと添加した。ホルムア
ルデヒドの添加後、反応成分を還流条件下で約180分間撹拌した。0.5グラムの水酸
化ナトリウム溶液(50重量%)を加えることにより、PTSA触媒を中和した。次いで
、まず150〜155℃の常圧蒸留により反応器中に存在する水を除去し、次いで、減圧
をかけ、26〜28インチ(660.4〜711.2mm)の水銀減圧下、155〜16
0℃で15分間、保持した。この蒸留の後、減圧を解除し、還流冷却器を再度取り付けた
。ペナコライト(登録商標)樹脂R−50として、インドスペックケミカル社、ピッツバ
ーグ、ペンシルバニアから商業的に入手可能なレゾルシノール−ホルムアルデヒドノボラ
ック樹脂(49.9重量%;185.7グラム)の水溶液を30〜90分間かけ、十分に
撹拌しながら、反応混合物に徐々に添加した。常圧及び減圧蒸留を再度行って水を除去し
、104.9℃の軟化点を有する、フェノール及びレゾルシノールノボラック樹脂を得た

【0073】
液体クロマトグラフィー(LC)及びガスクロマトグラフィー(GC)解析は、この樹
脂が、未反応のフリーの単量体として0.8重量%のフェノール、2.8重量%のt−オ
クチルフェノール及び7.0重量%のレゾルシノールを含有することを示した。この樹脂
のH−NMRスペクトル解析は、全フェノール構造に対する全レゾルシノール構造のモル
比が約39/61であることを示した。また、炭素−13NMR(13C NMR)解析
によるメチレン架橋分布の測定は、樹脂が約15%のp−p’フェノール;33%のo−
p’フェノール;39%のo−o’フェノール及び4−4’レゾルシノール;12%の2
−4’レゾルシノール;及び1%の2−2’レゾルシノールメチレン架橋を含有すること
を示した。
【0074】
(実施例2)
スターラー、サーモメーター、還流冷却器及び追加の漏斗を備え付けた1リットルの反
応がまに、128.3グラム(1.35モル)のフェノール、21.3グラム(0.10
モル)のt−オクチルフェール、及び1.0グラムの酢酸亜鉛触媒を加え、35〜45℃
に加熱した。次いで、59.9グラムのホルムアルデヒド(第1の)水溶液(37.6重
量%;1.05モル)を約10〜15分かけてゆっくりと添加した。ホルムアルデヒドの
添加後、反応成分を還流条件下で約90〜180分間撹拌した。次いで、24.0グラム
のホルムアルデヒド(第2の)水溶液(37.6重量%;0.3モル)を、85〜95℃
で15〜30分間かけて反応器に添加した。反応成分を再び加熱し、90〜180分間更
に還流した。蒸留装置のセットアップを行い、常圧条件下で、反応器の温度が125〜1
30℃に達するまで、水の蒸留を集めた。この後、反応成分を60〜120分間還流下で
再度撹拌した。次いで、まず150〜155℃の常圧蒸留により反応器中に存在する水を
除去し、次いで、減圧をかけ、26〜28インチ(660.4〜711.2mm)の水銀
減圧下、155〜160℃で15分間、保持した。このようにして製造された、高オルト
フェノールノボラック樹脂は108.7℃の軟化点を有していた。
【0075】
LC/GC解析は、この樹脂が、未反応のフリーの単量体として2.6重量%のフェノ
ール、及び1.3重量%のt−オクチルフェノールを含有することを示した。また、13
C NMR解析によるメチレン架橋分布の測定は、樹脂が約3%のp−p’フェノール;
30%のo−p’フェノール及び67%のo−o’フェノールメチレン架橋を含有するこ
とを示した。
【0076】
(実施例3)
スターラー、サーモメーター、還流冷却器及び追加の漏斗を備え付けた1リットルの反
応がまに、128.3グラム(1.35モル)のフェノール、21.3グラム(0.10
モル)のt−オクチルフェール、及び1.0グラムの酢酸亜鉛触媒を加え、35〜45℃
に加熱した。次いで、59.9グラムのホルムアルデヒド(第1の)水溶液(37.6重
量%;0.75モル)を約10〜15分かけてゆっくりと添加した。ホルムアルデヒドの
添加後、反応成分を還流条件下で約90〜180分間撹拌した。次いで、24.0グラム
のホルムアルデヒド(第2の)水溶液(37.6重量%;0.30モル)を、85〜95
℃で15〜30分間かけて反応器に添加した。反応成分を再び加熱し、90〜180分間
更に還流した。蒸留装置のセットアップを行い、常圧条件下で、反応器の温度が125〜
130℃に達するまで、水の蒸留を集めた。この後、反応成分を60〜120分間還流下
で再度撹拌した。次いで、まず150〜155℃の常圧蒸留により反応器中に存在する水
を除去し、次いで、減圧をかけ、26〜28インチ(660.4〜711.2mm)の水
銀減圧下、155〜160℃で15分間、保持した。この蒸留の後、減圧を解除し、還流
冷却器を再度取り付けた。ペナコライト(登録商標)樹脂R−50として、インドスペッ
クケミカル社、から商業的に入手可能なレゾルシノール−ホルムアルデヒドノボラック樹
脂(49.9重量%;185.7グラム)の水溶液を30〜90分間かけ、十分に撹拌し
ながら、反応混合物に徐々に添加した。常圧及び減圧蒸留を再度行って水を除去し、11
6.5℃の軟化点を有する、フェノール及びレゾルシノールノボラック樹脂配合物を得た

【0077】
LC/GC解析は、この樹脂が、未反応のフリーの単量体として0.47重量%のフェ
ノール、0.57重量%のt−オクチルフェノール、及び8.6重量%のレゾルシノール
を含有することを示した。この樹脂のH−NMRスペクトル解析は、全フェノール構造に
対する全レゾルシノール構造のモル比が約47/53であることを示した。また、13
NMR解析によるメチレン架橋分布の測定は、樹脂が約2%のp−p’フェノール;1
6%のo−p’フェノール;64%のo−o’フェノール及び4−4’レゾルシノール;
16%の2−4’レゾルシノール;及び2%の2−2’レゾルシノールメチレン架橋を含
有することを示した。
【0078】
(実施例4)
スターラー、サーモメーター、還流冷却器及び追加の漏斗を備え付けた1リットルの反
応がまに、128.3グラム(1.35モル)のフェノール、21.3グラム(0.10
モル)のt−オクチルフェール、及び1.0グラムの酢酸亜鉛触媒を加え、35〜45℃
に加熱した。次いで、59.9グラムのホルムアルデヒド(第1の)水溶液(37.6重
量%;0.75モル)を約10〜15分かけてゆっくりと添加した。ホルムアルデヒドの
添加後、反応成分を還流条件下で約90〜180分間撹拌した。次いで、24.0グラム
のホルムアルデヒド(第2の)水溶液(37.6重量%;0.30モル)を、85〜95
℃で15〜30分間かけて反応器に添加した。反応成分を再び加熱し、90〜180分間
更に還流した。蒸留装置のセットアップを行い、常圧条件下で、反応器の温度が125〜
130℃に達するまで、水の蒸留を集めた。この後、反応成分を60〜120分間還流下
で再度撹拌した。次いで、まず150〜155℃の常圧蒸留により反応器中に存在する水
を除去し、次いで、減圧をかけ、26〜28インチ(660.4〜711.2mm)の水
銀減圧下、155〜160℃で15分間、保持した。この蒸留の後、減圧を解除し、還流
冷却器を再度取り付けた。ペナコライト(登録商標)樹脂R−50として、インドスペッ
クケミカル社、から商業的に入手可能なレゾルシノール−ホルムアルデヒドノボラック樹
脂(49.9重量%;185.7グラム)の水溶液を30〜90分間かけ、十分に撹拌し
ながら、反応混合物に徐々に添加した。常圧及び減圧蒸留を再度行って水を除去し、11
7.5℃の軟化点を有する、フェノール及びレゾルシノールノボラック樹脂配合物を得た

【0079】
LC/GC解析は、この樹脂が、未反応のフリーの単量体として0.38重量%のフェ
ノール、0.62重量%のt−オクチルフェノール、及び5.8重量%のレゾルシノール
を含有することを示した。この樹脂の水素イオン核磁気共鳴(NMR)スペクトル解析は
、全フェノール構造に対する全レゾルシノール構造のモル比が約38/62であることを
示した。また、13C NMR解析によるメチレン架橋分布の測定は、樹脂が約2%のp
−p’フェノール;21%のo−p’フェノール;63%のo−o’フェノール及び4−
4’レゾルシノール;13%の2−4’レゾルシノール;及び1%の2−2’レゾルシノ
ールメチレン架橋を含有することを示した。
【0080】
(実施例5)
スターラー、サーモメーター、還流冷却器及び追加の漏斗を備え付けた1リットルの反
応がまに、128.3グラム(1.35モル)のフェノール、21.3グラム(0.10
モル)のt−オクチルフェール、及び1.0グラムの酢酸亜鉛触媒を加え、35〜45℃
に加熱した。次いで、59.9グラムのホルムアルデヒド(第1の)水溶液(37.6重
量%;0.75モル)を約10〜15分かけてゆっくりと添加した。ホルムアルデヒドの
添加後、反応成分を還流条件下で約90〜180分間撹拌した。次いで、24.0グラム
のホルムアルデヒド(第2の)水溶液(37.6重量%;0.30モル)を、85〜95
℃で15〜30分間かけて反応器に添加した。反応成分を再び加熱し、90〜180分間
更に還流した。蒸留装置のセットアップを行い、常圧条件下で、反応器の温度が125〜
130℃に達するまで、水の蒸留を集めた。この後、反応成分を60〜120分間還流下
で再度撹拌した。次いで、まず150〜155℃の常圧蒸留により反応器中に存在する水
を除去し、次いで、減圧をかけ、26〜28インチ(660.4〜711.2mm)の水
銀減圧下、155〜160℃で15分間、保持した。この蒸留の後、減圧を解除し、還流
冷却器を再度取り付けた。ペナコライト(登録商標)樹脂R−50として、インドスペッ
クケミカル社、から商業的に入手可能なレゾルシノール−ホルムアルデヒドノボラック樹
脂(49.9重量%;185.7グラム)の水溶液を30〜90分間かけ、十分に撹拌し
ながら、反応混合物に徐々に添加した。常圧及び減圧蒸留を再度行って水を除去し、11
6℃の軟化点を有する、フェノール及びレゾルシノールノボラック樹脂を得た。
【0081】
LC/GC解析は、この樹脂が、未反応のフリーの単量体として0.55重量%のフェ
ノール、0.79重量%のt−オクチルフェノール、及び4.7重量%のレゾルシノール
を含有することを示した。この樹脂のH−NMRスペクトル解析は、全フェノール構造に
対する全レゾルシノール構造のモル比が約29/71であることを示した。また、13
NMR解析によるメチレン架橋分布の測定は、樹脂が約2%のp−p’フェノール;2
0%のo−p’フェノール;68%のo−o’フェノール及び4−4’レゾルシノール;
9%の2−4’レゾルシノール;及び1%の2−2’レゾルシノールメチレン架橋を含有
することを示した。
【0082】
(実施例6)
図1に概略を示す反応模式図に従った実施例3、4及び5に従って製造されたメチレン
受容体樹脂を、スチールワイヤー接着力及び硬化したゴム化合物の力学的性質に対する、
レゾルシノールに対するそれらの性能を評価して比較するために、黒い天然ゴム化合物中
で評価を行った。表1に示す組成を有する黒い天然ゴム組成物を、3段階混合手順で調製
した。次いで、上記ゴム組成物を、メチレン供与体ヘキサメトキシメチルメラミン(HM
MM)と組み合わせてメチレン受容体として、本発明のレゾルシノール配合物の接着力及
び補強強化を評価するために用いた。メチレン供与体/受容体の比は、レゾルシノールに
ついては1:1に、本発明のメチレン受容体については、ゴム化合物中の5重量の充填と
組み合わせて、2:3に保たれた。
【0083】
【表1】

【0084】
第一段階で、ゴムマスターバッチを約150℃でバンバリーミキサー中で撹拌した。第
二段階では、本発明の方法で製造されたメチレン受容体及びコバルト塩を、約121℃で
2本のロールミル上で適当な量のマスターバッチに混合した。表1に示したように、不溶
性硫黄、促進剤及び適当量のHMMMを第三段階で95℃で混合した。試験化合物を、約
23℃の室温の一定温度に一晩調整した。次いで、ワイヤの接着力及び機械的性質の評価
のために、化合物を、レオメーター硬化、形状及び150℃における最適硬化について試
験した。
【0085】
硬化特性は、ASTM D−5289に従い、アルファテクノロジーズMDRレオメー
ターで150℃、0.5°のアーク及び1.67Hzで測定した。各試験化合物について
のワイヤープルアウト接着力は、ゴムパッドに19mm包埋された、63.7%の銅めっ
きを有する真鍮プレートスチールコードを用いてASTM D−2229により測定した
。動的機械的特性は、1Hz及び23℃における0.2%及び2%のねじりせん断力にお
いてレオメトリックサイエンティフィック質量分析計により測定した。動こわさG’は、
0.2%のひずみで測定され、ヒステリシス又は発熱の指標であるタンジェントデルタは
2%ひずみで測定された。発煙試験は、第二段階の間に、0〜3のスケールにおける視覚
の試験であった。発煙が全くないとき、それは「0」と評価される。混合物におけるレゾ
ルシノールの発煙は「3」と評価される。
樹脂の軟化点は、ASTM E28及びASTM D3104の最新版を参考にした以
下の方法に従って測定し、それらは本明細書において引用したものとする。
【0086】
装置:
0.257インチ(6.53mm)に開口されたカップ−ピッチタイプ(Fドリル)+
440ステンレス鋼球(直径0.2500インチ(6.35mm)でカップを通過するも
のでなければならない);(1)制御ユニットモデルFP−90又はそれに相当するもの
、(2)加熱路モデルFP−83又はそれに相当するもの、及び(3)カートリッジ組み
立て部品;タイマー、磁器製蒸発皿(約3インチ(7.62cm)の直径)、及びホット
プレートを含むメトラー軟化点装置。メトラー装置の校正については、本明細書に引用さ
れたものである、ASTM D3104を参照のこと。
【0087】
手順:
15gの樹脂を、磁器又はアルミニウム製の蒸発皿で溶解する。ホットプレートの表面
温度、600〜650°F(315〜343℃)で、溶解時間は約4分である。過加熱は
回避すべきである。樹脂が溶解した時、少なくとも溶解した樹脂の温度に予め加熱してお
いたカップに注ぐ。カップに注いだ樹脂の量は、凝固の後に、過剰のものが加熱したスパ
ーテル又はパテナイフで除去することのできる量であるべきである。支えを形成するため
に、カップの側面及び底にあけられた孔を有するアルミニウム製プレートを使用すること
ができ、それらは、過剰の樹脂を除去するときにピンセットで保持することができる。試
料をデシケーター中で室温にまで冷却した後、ボールを樹脂の上に載せるためにカートリ
ッジを組み立てる。組み立てたカートリッジを、予想される軟化点未満である85℃又は
10〜15℃に予めセットした加熱路中に配置する。加熱速度を1℃/分にセットする。
カートリッジを、ロックされる一まで開店させ、30秒間待つ。次いで、軟化点装置の操
作を開始する。指示器上の終了した軟化点を読む。二重測定は、1.0℃以上異なってい
てはいけない。
表2は、レゾルシノールコントロール、及び実施例3、4及び5のメチレン受容体樹脂
についての硬化したゴム化合物の硬化の性質、ワイヤーの接着、物理的及び機械的性質を
示す。
【0088】
【表2】

【0089】
表2から、本発明の実施例によるメチレン受容体は、レゾルシノールに比べて発煙が少
ないことが明らかである。メチレン受容体についての、硬化過程における初期段階の際の
メチレン受容体の反応性の指標である焼けこげ(scorch)時間(レオメーター硬化におけ
るts2)は、レゾルシノールと比べて低い。このデータは、樹脂配合物の反応性がレゾル
シノールの反応性を超えることを示唆する。これは、高オルトフェノールノボラック樹脂
修飾レゾルシノール樹脂が、メチレン供与体反応に対する良好な反応性を有することの直
接的な徴候である。
また、未熟成及び熟成したスチールワイヤーの接着データは、樹脂が、メチレン受容体
としてのレゾルシノールと同等又はより良好な性能を示すことを示唆する。
【0090】
実施例7
スターラー、サーモメーター、還流冷却器及び追加の漏斗を備え付けた1リットルの反
応がまに、128.3グラム(1.35モル)のフェノール、21.3グラム(0.10
モル)のt−オクチルフェール、及び1.0グラムの酢酸亜鉛触媒を加え、35〜45℃
に加熱した。次いで、59.9グラムのホルムアルデヒド(第1の)水溶液(37.6重
量%;0.75モル)を約10〜15分かけてゆっくりと添加した。ホルムアルデヒドの
添加後、反応成分を還流条件下で約90〜180分間撹拌した。次いで、24.0グラム
のホルムアルデヒド(第2の)水溶液(37.6重量%;0.30モル)を、85〜95
℃で15〜30分間かけて反応器に添加した。反応成分を再び加熱し、90〜180分間
更に還流した。蒸留装置のセットアップを行い、常圧条件下で、反応器の温度が125〜
130℃に達するまで、水の蒸留を集めた。この後、反応成分を60〜120分間還流下
で再度撹拌した。次いで、まず150〜155℃の常圧蒸留により反応器中の水を除去し
、次いで、減圧をかけ、26〜28インチ(660.4〜711.2mm)の水銀減圧下
、155〜160℃で15分間、保持した。この蒸留の後、減圧を解除し、還流冷却器を
再度取り付けた。次いで、レゾルシノール(114.0グラム;1.035モル)を13
0〜150℃で絶え間なく撹拌しながら徐々に反応器に添加した。この添加の後、50.
6グラムのホルムアルデヒド(第3の)水溶液(37.6重量%:0.634モル)を還
流下に約45〜60分間かけて添加した。第3のホルムアルデヒドの添加後、反応成分を
還流下に更に30分間保持した。常圧及び減圧蒸留を再度行って水を除去し、112℃の
軟化点を有する、インサイチューでレゾルシノール−ホルムアルデヒド反応から製造され
る、レゾルシノールノボラックを有する、修飾フェノールノボラック樹脂を得た。
【0091】
LC/GC解析は、この樹脂が、未反応のフリーの単量体として0.75重量%のフェ
ノール、0.67重量%のt−オクチルフェノール、及び9.7重量%のレゾルシノール
を含有することを示した。この樹脂のH−NMRスペクトル解析は、全フェノール構造に
対する全レゾルシノール構造のモル比が約46/54であることを示した。また、13
NMR解析によるメチレン架橋分布の測定は、樹脂が約2%のp−p’フェノール;2
0%のo−p’フェノール;68%のo−o’フェノール及び4−4’レゾルシノール;
9%の2−4’レゾルシノール;及び1%の2−2’レゾルシノールメチレン架橋を含有
することを示した。
【0092】
(実施例8)
スターラー、サーモメーター、還流冷却器及び追加の漏斗を備え付けた1リットルの反
応がまに、128.3グラム(1.35モル)のフェノール、21.3グラム(0.10
モル)のt−オクチルフェール、及び1.0グラムの酢酸亜鉛触媒を加え、35〜45℃
に加熱した。次いで、59.9グラムのホルムアルデヒド(第1の)水溶液(37.6重
量%;0.75モル)を約10〜15分かけてゆっくりと添加した。ホルムアルデヒドの
添加後、反応成分を還流条件下で約90〜180分間撹拌した。次いで、24.0グラム
のホルムアルデヒド(第2の)水溶液(37.6重量%;0.30モル)を、85〜95
℃で15〜30分間かけて反応器に添加した。反応成分を再び加熱し、90〜180分間
更に還流した。蒸留装置のセットアップを行い、常圧条件下で、反応器の温度が125〜
130℃に達するまで、水の蒸留を集めた。この後、反応成分を60〜120分間還流下
で撹拌した。次いで、まず150〜155℃の常圧蒸留により反応器中の水を除去し、次
いで、減圧をかけ、26〜28インチ(660.4〜711.2mm)の水銀減圧下、1
55〜160℃で15分間、保持した。この蒸留の後、減圧を解除し、還流冷却器を再度
取り付けた。次いで、レゾルシノール(79.4グラム;0.721モル)を130〜1
50℃で絶え間なく撹拌しながら徐々に反応器に添加した。この添加の後、35.3グラ
ムのホルムアルデヒド(第3の)水溶液(37.6重量%:0.442モル)を還流下に
約45〜60分間かけて添加した。第3のホルムアルデヒドの添加後、反応成分を還流下
に更に30分間保持した。常圧及び減圧蒸留を再度行って水を除去し、110.5℃の軟
化点を有する、インサイチューでレゾルシノール−ホルムアルデヒド反応から製造される
、レゾルシノールノボラックを有する、修飾フェノールノボラック樹脂を得た。
【0093】
LC/GC解析は、この樹脂が、未反応のフリーの単量体として0.7重量%のフェノ
ール、0.69重量%のt−オクチルフェノール、及び8.2重量%のレゾルシノールを
含有することを示した。この樹脂のH−NMRスペクトル解析は、全フェノール構造に対
する全レゾルシノール構造のモル比が約38/62であることを示した。また、13
NMR解析によるメチレン架橋分布の測定は、樹脂が約2%のp−p’フェノール;22
%のo−p’フェノール;70%のo−o’フェノール及び4−4’レゾルシノール;6
%の2−4’レゾルシノール;及び約1%未満の2−2’レゾルシノールメチレン架橋を
含有することを示した。
【0094】
(実施例9)
スターラー、サーモメーター、還流冷却器及び追加の漏斗を備え付けた1リットルの反
応がまに、128.3グラム(1.35モル)のフェノール、21.3グラム(0.10
モル)のt−オクチルフェール、及び1.0グラムの酢酸亜鉛触媒を加え、35〜45℃
に加熱した。次いで、59.9グラムのホルムアルデヒド(第1の)水溶液(37.6重
量%;0.75モル)を約10〜15分かけてゆっくりと添加した。ホルムアルデヒドの
添加後、反応成分を還流条件下で約90〜180分間撹拌した。次いで、24.0グラム
のホルムアルデヒド(第2の)水溶液(37.6重量%;0.30モル)を、85〜95
℃で15〜30分間かけて反応器に添加した。反応成分を再び加熱し、90〜180分間
更に還流した。蒸留装置のセットアップを行い、常圧条件下で、反応器の温度が125〜
130℃に達するまで、水の蒸留を集めた。この後、反応成分を60〜120分間還流下
で再度撹拌した。次いで、まず150〜155℃の常圧蒸留により反応器中の水を除去し
、次いで、減圧をかけ、26〜28インチ(660.4〜711.2mm)の水銀減圧下
、155〜160℃で15分間、保持した。この蒸留の後、減圧を解除し、還流冷却器を
再度取り付けた。次いで、レゾルシノール(51.1グラム;0.464モル)を130
〜150℃で絶え間なく撹拌しながら徐々に反応器に添加した。この添加の後、22.7
グラムのホルムアルデヒド(第3の)水溶液(37.6重量%:0.284モル)を還流
下に約45〜60分間かけて添加した。第3のホルムアルデヒドの添加後、反応成分を還
流下に更に30分間保持した。常圧及び減圧蒸留を再度行って水を除去し、112.4℃
の軟化点を有する、インサイチューでレゾルシノール−ホルムアルデヒド反応から製造さ
れる、レゾルシノールノボラックを有する、修飾フェノールノボラック樹脂を得た。
【0095】
LC/GC解析は、この樹脂が、未反応のフリーの単量体として0.16重量%のフェ
ノール、0.39重量%のt−オクチルフェノール、及び5.9重量%のレゾルシノール
を含有することを示した。この樹脂のH−NMRスペクトル解析は、全フェノール構造に
対する全レゾルシノール構造のモル比が約28/72であることを示した。また、13
NMR解析によるメチレン架橋分布の測定は、樹脂が約1%のp−p’フェノール;1
7%のo−p’フェノール;78%のo−o’フェノール及び4−4’レゾルシノール;
4%の2−4’レゾルシノール;及び1%の2−2’レゾルシノールメチレン架橋を含有
することを示した。
【0096】
(実施例10)
図2に概略を示す反応模式図に従った実施例7、8及び9に従って製造されたメチレン
受容体樹脂を、スチールワイヤー接着力及び硬化したゴム化合物の力学的性質に対する、
レゾルシノールに対するそれらの性能を評価して比較するために、黒い天然ゴム化合物中
で評価を行った。表1に示す組成を有する黒い天然ゴム組成物を、実施例6で記載したよ
うな3段階混合手順で調製した。次いで、上記ゴム組成物を、メチレン供与体ヘキサメト
キシメチルメラミン(HMMM)と組み合わせてメチレン受容体として、本発明のレゾル
シノール配合物の接着力及び補強強化を評価するために用いた。メチレン供与体/受容体
の比は、レゾルシノールについては1:1に、本発明のメチレン受容体については、ゴム
化合物中の5重量の充填と組み合わせて、2:3に保たれた。
試験及びゴム化合物の特性は、実施例6に概要を述べた方法と同様にして評価した。
表3は、レゾルシノールコントロール及び実施例7、8及び9のメチレン受容体樹脂に
ついての硬化したゴム化合物の硬化の性質、ワイヤーの接着、物理的及び機械的性質を示
す。
【0097】
【表3】

【0098】
未熟成及び熟成したスチールワイヤーの接着データは、実施例7〜9の樹脂が、メチレン
受容体としてのレゾルシノールと同等又はより良好な性能を示すことを示唆する。
表3に示す動的機械的試験結果から、レゾルシノールを用いた化合物に対して、実施例
7、8及び9の樹脂から製造された化合物について、向上した硬度、動的貯蔵弾性係数(
G’)及び低ヒステリシス(タンジェントデルタ)が観察された。
【0099】
(実施例11)
スターラー、サーモメーター、ディーン−スターク(Dean-Stark)還流冷却器及び追加の
漏斗を備え付けた1リットルの反応がまに、128.3グラム(1.35モル)のフェノ
ール、21.3グラム(0.10モル)のt−オクチルフェール、50グラムのトルエン
、及び1.0グラムの酢酸亜鉛触媒を加え、135〜145℃に加熱した。次いで、83
.9グラムのホルムアルデヒド水溶液(37.6重量%;1.05モル)を、共沸水がデ
ィーン−スタークから、連続的に集まり、定期的に除去されるように非常にゆっくりと添
加した。ホルムアルデヒドの添加を240〜360分間続けた。ホルムアルデヒドの添加
後、反応成分を更に約60〜180分間還流下で撹拌した。まず150〜155℃の常圧
蒸留により、反応器中に存在するトルエン及び水を除去し、次いで、減圧をかけ、26〜
28インチ(660.4〜711.2mm)の水銀減圧下、155〜160℃で60〜1
20分間、保持し、81.5℃の軟化点を有する、超高オルト置換フェノールノボラック
樹脂を得た。
【0100】
LC/GC解析は、この樹脂が、未反応のフリーの単量体として0.7重量%のフェノ
ール、及び2重量%のt−オクチルフェノールを含有することを示した。また、13
NMR解析によるメチレン架橋分布の測定は、樹脂が約1%未満のp−p’フェノール;
4%のo−p’フェノール;96%のo−o’フェノールメチレン架橋を含有することを
示した。
【0101】
(実施例12)
スターラー、サーモメーター、ディーン−スターク(Dean-Stark)還流冷却器及び追加の
漏斗を備え付けた1リットルの反応がまに、128.3グラム(1.35モル)のフェノ
ール、21.3グラム(0.10モル)のt−オクチルフェール、50グラムのトルエン
、及び1.0グラムの酢酸亜鉛触媒を加え、135〜145℃に加熱した。次いで、83
.9グラムのホルムアルデヒド水溶液(37.6重量%;1.05モル)を、共沸水がデ
ィーン−スタークから、連続的に集まり、定期的に除去されるように非常にゆっくりと添
加した。ホルムアルデヒドの添加を240〜360分間続けた。ホルムアルデヒドの添加
後、反応成分を更に約60〜180分間還流下で撹拌した。ペナコライト(登録商標)樹
脂R−50として、インドスペックケミカル社から商業的に入手可能なレゾルシノール−
ホルムアルデヒドノボラック樹脂(49.9重量%;185.7グラム)の水溶液を30
〜90分間かけ、十分に撹拌しながら、反応器に徐々に添加した。まず150〜155℃
の常圧蒸留により、反応器中に存在するトルエン及び水を除去し、次いで、減圧をかけ、
26〜28インチ(660.4〜711.2mm)の水銀減圧下、155〜160℃で6
0〜120分間、保持し、96.1℃の軟化点を有する、超高オルト置換フェノールノボ
ラック及びレゾルシノールノボラック樹脂配合物を得た。LC/GC解析は、この樹脂が
、未反応のフリーの単量体として3.6重量%のフェノール、1.4重量%のt−オクチ
ルフェノール、及び8.4重量%のレゾルシノールを含有することを示した。この樹脂の
H−NMRスペクトル解析は、全フェノール構造に対する全レゾルシノール構造のモル比
が約48/52であることを示した。また、13C NMR解析によるメチレン架橋分布
の測定は、樹脂が約1%未満のp−p’フェノール;7%のo−p’フェノール;75%
のo−o’フェノール及び4−4’レゾルシノール;16%の2−4’レゾルシノール;
及び2%の2−2’レゾルシノールメチレン架橋を含有することを示した。
【0102】
(実施例13)
スターラー、サーモメーター、ディーン−スターク(Dean-Stark)還流冷却器及び追加の
漏斗を備え付けた1リットルの反応がまに、128.3グラム(1.35モル)のフェノ
ール、21.3グラム(0.10モル)のt−オクチルフェール、50グラムのトルエン
、及び1.0グラムの酢酸亜鉛触媒を加え、135〜145℃に加熱した。次いで、83
.9グラムのホルムアルデヒド水溶液(37.6重量%;1.05モル)を、共沸水がデ
ィーン−スタークから、連続的に集まり、定期的に除去されるように非常にゆっくりと添
加した。ホルムアルデヒドの添加を240〜360分間続けた。ホルムアルデヒドの添加
後、反応成分を更に約60〜180分間還流下で撹拌した。ペナコライト(登録商標)樹
脂R−50として、インドスペックケミカル社から商業的に入手可能なレゾルシノール−
ホルムアルデヒドノボラック樹脂(49.9重量%;185.7グラム)の水溶液を30
〜90分間かけ、十分に撹拌しながら、反応器に徐々に添加した。まず150〜155℃
の常圧蒸留により、反応器中に存在するトルエン及び水を除去し、次いで、減圧をかけ、
26〜28インチ(660.4〜711.2mm)の水銀減圧下、155〜160℃で6
0〜120分間、保持し、97.2℃の軟化点を有する、超高オルト置換フェノールノボ
ラック及びレゾルシノールノボラック樹脂配合物を得た。
【0103】
LC/GC解析は、この樹脂が、未反応のフリーの単量体として0.4重量%のフェノ
ール、1.6重量%のt−オクチルフェノール、及び6.8重量%のレゾルシノールを含
有することを示した。この樹脂のH−NMRスペクトル解析は、全フェノール構造に対す
る全レゾルシノール構造のモル比が約37/63であることを示した。また、13C N
MRによるメチレン架橋分布の測定は、樹脂が約1%未満のp−p’フェノール;8%の
o−p’フェノール;77%のo−o’フェノール及び4−4’レゾルシノール;13%
の2−4’レゾルシノール;及び2%の2−2’レゾルシノールメチレン架橋を含有する
ことを示した。
【0104】
(実施例14)
図3に概略を示す反応模式図に従った実施例12及び13に従って製造されたメチレン
受容体樹脂を、スチールワイヤー接着力及び硬化したゴム化合物の力学的性質に対する、
ペナコライト(登録商標)樹脂B−19−Mに対するそれらの性能を評価して比較するた
めに、黒い天然ゴム化合物中で評価を行った。ペナコライト(登録商標)樹脂B−19−
Mは、インドスペック社から商業的に入手できる、高性能の樹脂である。この樹脂は、ゴ
ムに配合する応用における高性能の原因でとなるレゾルシノールオリゴマーを含む。表1
に示す組成を有する、黒い天然ゴム組成物は、3段階混合手順で調製した。上記ゴム組成
物を、メチレン供与体ヘキサメトキシメチルメラミン(HMMM)と組み合わせてメチレ
ン受容体として、本発明のレゾルシノール配合物の接着力及び補強強化を評価するために
用いた。メチレン供与体/受容体の比は、本発明のメチレン受容体については、ゴム化合
物中の5重量の充填と組み合わせて、2:3に保たれた。
試験及びゴム化合物の特性は、実施例6に概要を述べた方法と同様にして評価した。
表4は、ペナコライト(登録商標)B−19(コントロール)及び実施例7、8及び9
のメチレン受容体樹脂についての硬化したゴム化合物の硬化の性質、ワイヤーの接着、物
理的及び機械的性質を示す。
【0105】
【表4】

【0106】
表4から、実施例12〜13のメチレン受容体が、Bの19−Mと比較して同様の発煙
を有することが明らかである。硬化データの比較は、
超高オルトフェノールノボラック樹脂修飾レゾルシノール樹脂が、ゴム化合物の硬化の際
に、メチレン供与体反応について良好な反応性を有することを示唆する。
また、スチールワイヤーの熟成及び未熟成の接着データは、蒸気樹脂が、高性能ペナコ
ライト(登録商標)B−19−Mと同様の性能を示すことを示唆する。
表4中に示される動的機械的試験の結果から、実施例12及び13の樹脂から製造され
た化合物についての硬度、動的貯蔵弾性係数(G’)及び低ヒステリシス(タンジェント
デルタ)値が、B−19−Mと同様であり、ゴム化合物の応用において、この高性能樹脂
と置換できることを示唆する。
【0107】
(実施例15)
スターラー、サーモメーター、還流冷却器及び追加の漏斗を備え付けた4リットルの反
応がまに、1395.9グラム(14.85モル)のフェノール、242グラム(1.1
0モル)のノニルフェール、及び11.0グラムの酢酸亜鉛触媒を加え、35〜45℃に
加熱した。次いで、668.8グラムのホルムアルデヒド(第1の)水溶液(37.6重
量%;8.25モル)を約10〜15分かけてゆっくりと添加した。ホルムアルデヒドの
添加後、反応成分を還流条件下で約90〜180分間撹拌した。次いで、267.3グラ
ムのホルムアルデヒド(第2の)水溶液(37.6重量%;3.3モル)を、85〜95
℃で15〜30分間かけて反応器に添加した。反応反応成分を再び加熱し、90〜180
分間更に還流した。蒸留装置のセットアップを行い、常圧条件下で、反応器の温度が12
5〜130℃に達するまで、水の蒸留を集めた。この後、反応成分を60〜120分間還
流下で撹拌した。次いで、まず150〜155℃の常圧蒸留により反応器中に存在する水
を除去し、次いで、減圧をかけ、26〜28インチ(660.4〜711.2mm)の水
銀減圧下、155〜160℃で15分間、保持した。このようにして製造された高オルト
フェノールノボラック樹脂は、112.1℃の軟化点を有していた。
【0108】
LC/GC解析は、この樹脂が、未反応のフリーの単量体として0.4重量%のフェノ
ール、及び1.5重量%のノニルフェノールを含有することを示した。また、13C N
MRによるメチレン架橋分布の測定は、樹脂が約9%のp−p’フェノール;29%のo
−p’フェノール;及び62%のo−o’フェノールメチレン架橋を含有することを示し
た。
先に示されたように、本発明の実施例は、種々の相対的に高オルト−オルト結合フェノ
ール結合フェノールノボラック修飾レゾルシノール樹脂を提供する。該樹脂は、特に、ゴ
ム組成物の製造において結合剤、剛化剤として用いられ、低粘度、ゴム配合の際の発煙の
減少、タイヤコードの加硫ゴムに対する向上した接着力、動的貯蔵段数係数及び低ヒステ
リシス等の向上した物理的及び機械的特性を与える。
【0109】
本発明が限られた数の実施例に関して記載されているけれども、一実施例の特定の特徴
が本発明の他の実施例のものに帰するものではない。一つの実施例が本発明の全ての実施
例の代表というわけではない。いくつかの実施例においては、組成物は本明細書において
言及されていない多数の化合物を含有することができる。他の実施態様においては、組成
物は、本明細書で列挙されたいかなる化合物を含有しないか、実質的にフリーである。記
載された実施例からの変形及び修飾が存在する。樹脂を製造する方法は、多くの行為及び
段階を含むと記載される。これらの段階又は行為は、特に明記しない限りはいかなる順序
又は順番においても実施することができる。最終的に、数値記載する際に用いられる「約
」又は「およそ」は、本明細書において、開示されるいかなる数も近似値であることを意
味すると解釈されなければならない。添付された請求の範囲は、本発明の範囲内に入ると
して、全てのそれらの修飾及び変更を包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、高オルトフェノール樹脂修飾レゾルシノールノボラック樹脂の合成のための反応模式図を示す。
【図2】図2は、レゾルシノール−ホルムアルデヒド反応生成物で修飾された高オルトフェノールノボラックの合成のための反応模式図を示す。
【図3】図3は、超高オルトフェノール樹脂修飾レゾルシノールノボラック樹脂の合成のための反応模式図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)天然ゴム、合成ゴム又はそれらの組み合わせから選択されたゴム成分;(II)加
熱時にホルムアルデヒドを生成するメチレン供与体化合物;及び(III)下記式で表され
る、フェノール及びレゾルシノールノボラック樹脂配合物を含有するメチレン受容体化合
物を含む、加硫性ゴム組成物:
【化1】

(式中、nは1以上であり、かつmは1以上である。)
【請求項2】
前記フェノール及びレゾルシノールノボラック樹脂配合物における、フェノール樹脂と
レゾルシノール樹脂との重量比が約95:5〜5:95である、請求項1記載の加硫性ゴ
ム組成物。
【請求項3】
前記フェノール及びレゾルシノールノボラック樹脂配合物が、(a)下記式で表される
1以上のフェノール化合物と、アルデヒドとを、オルト配向性触媒の存在下で反応させ、
(b)レゾルシノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂と結合させることによって製造
される、請求項1記載の加硫性ゴム組成物:
【化2】

(式中、Rは、H、炭素原子1〜16個を有するアルキル基、及び炭素原子8〜12個を
有するアラルキル基からなる群から選択される。)。
【請求項4】
前記フェノール及びレゾルシノールノボラック樹脂配合物が、(a)約25〜96%の
範囲でo−o’フェノールメチレン結合;(b)約4〜50%の範囲でo−p’フェノー
ルメチレン結合;(c)約10〜90%の範囲でo−o’フェノールメチレン結合及び4
−4’レゾルシノールメチレン結合の組み合わせ;及び(d)約1〜30%の範囲でp−
p’フェノールメチレン結合を含む、請求項1記載の加硫性ゴム組成物。
【請求項5】
前記メチレン受容体が、(A)フェノール及び/又はアルキルフェノールと、(B)ア
ルデヒドとを、(C)オルト配向性二価金属塩触媒の存在下で反応させ、少なくとも25
%のオルト−オルトフェノールメチレン架橋を含む高オルトフェノールノボラック生成物
を製造し、次いで(D)レゾルシノール、レゾルシノール誘導体又はメタ−置換フェノー
ルと反応させ、次いで(E)追加量のアルデヒドと反応させることによって製造された、
請求項1記載の加硫性ゴム組成物。
【請求項6】
前記樹脂配合物が下記構造式を有する、請求項5記載の加硫性ゴム組成物:
【化3】

(式中、nは1以上であり、かつmは1以上である。)
【請求項7】
フェノール及び/又はアルキルフェノールとホルムアルデヒドとのモル比が、約1:0
.4〜0.86である、請求項5記載の加硫性ゴム組成物。
【請求項8】
レゾルシノール、レゾルシノール誘導体又はm−置換フェノールと、ホルムアルデヒド
とのモル比が、1:0.4〜0.7である、請求項5記載の加硫性ゴム組成物。
【請求項9】
該アルキルフェノールが、フェノールノボラック樹脂を製造するために用いられ、該樹
脂がo−o’メチレン結合を約40〜70%の範囲で含む、請求項5記載の加硫性ゴム組
成物。
【請求項10】
前記フェノールノボラックを製造するために用いられるアルキルフェノールが、p−ク
レゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−tert−ノ
ニルフェノール、p−ノニルフェノール、p−スチリルフェノール及びp−エチルフェノ
ールからなる群から選択される、炭素原子1〜16個を含むアルキル鎖でパラ置換された
、又はアラルキル置換されたフェノールから選択される、請求項5記載の加硫性ゴム組成
物。
【請求項11】
フェノール及び/又はアルキルフェノールとアルデヒドとのモル比が、約0.1:0.
9及び約0.9:0.1の間である、請求項5に記載の加硫性ゴム組成物。
【請求項12】
前記アルデヒドが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブ
チルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベン
ズアルデヒド、フルフラール又はそれらの混合物である、請求項5記載の方法。
【請求項13】
前記レゾルシノール誘導体又はメタ−置換フェノールが、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、4−スチリルレゾルシノール、m−ク
レゾール、カシューナッツ殻液、フロログルシノール、3−メチル−5−エチルフェノー
ル、メタ−イソプロピルフェノール、m−イソオクチルフェノール及び3,5−ジメチル
フェノールからなる群から選択される、請求項5記載の加硫性ゴム組成物。
【請求項14】
前記メチレン受容体が、(A)下記一般式で表される1以上のフェノール化合物と、(
B)アルデヒドとを、(C)共沸溶媒、(D)酸化物、水酸化物、ギ酸塩、乳酸塩、酢酸
塩、安息香酸塩と、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム、亜鉛、マン
ガン、コバルト及び鉛の混合物とからなる群から選択された、二価の電気的陽性金属化合
物を含有する、オルト配向性触媒の存在下で反応させ、(E)次いで、レゾルシノール、
レゾルシノール誘導体又はプレフォームレゾルシノール−ホルムアルデヒドノボラック樹
脂を加えることによって製造される、請求項1記載の加硫性ゴム組成物:
【化4】

(式中、Rは、H、炭素原子1〜16個を有するアルキル鎖、及び炭素原子8〜12個を
有するアラルキル基からなる群から選択される。)。
【請求項15】
前記メチレン受容体が下記構造式を有する、請求項14記載の加硫性ゴム組成物:
【化5】

(式中、nは1以上であり、かつmは1以上である。)。
【請求項16】
前記メチレン受容体が、o−o’メチレン架橋を約90〜約98%含む、請求項15記
載の加硫性ゴム組成物。
【請求項17】
前記メチレン受容体が、
(a)約25〜98%の範囲でo−o’フェノールメチレン結合;
(b)約4〜50%の範囲でo−p’フェノールメチレン結合;
(c)約1〜30%の範囲でp−p’フェノールメチレン結合;及び
(d)約10〜90%の範囲でo−o’フェノールメチレン結合及び4−4’レゾルシノ
ールメチレン結合の組み合わせ;を含む、請求項15記載の加硫性ゴム組成物。
【請求項18】
前記メチレン受容体において、フェノール樹脂とレゾルシノール成分との重量比が約9
5:5〜約5:95の間である、請求項14記載の加硫性ゴム組成物。
【請求項19】
前記共沸溶媒が、トルエン及びキシレンからなる群から選択された、請求項14記載の
加硫性ゴム組成物。
【請求項20】
ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリアミド、ガラス繊維及び鋼からなる群から選
択された補強材を、更に含む、請求項1記載の加硫性ゴム組成物。
【請求項21】
タイヤ、パワーベルト、コンベヤーベルト、印刷ロール、自動車のフロアマット、トラ
ック又はボールミルライナー用泥よけ製造における、請求項1〜20のいずれか1項記載
の加硫性ゴム組成物の使用。
【請求項22】
(I)天然ゴム、合成ゴム又はそれらの組み合わせから選択されたゴム成分、(II)加
熱時にホルムアルデヒドを生成するメチレン供与体化合物、及び(III)下記式で表され
る1以上のフェノール化合物と、アルデヒドとを、オルト配向性触媒の存在下で最初に反
応させ、次いでレゾルシノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂と結合させてフェノー
ル及びレゾルシノールノボラック樹脂配合物を得ることによって製造される、メチレン受
容体化合物を含む、加硫性ゴム組成物:
【化6】

(式中、Rは、H、炭素原子1〜16個を有するアルキル鎖、及び炭素原子8〜12個を
有するアラルキル基からなる群から選択される。)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−202174(P2011−202174A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118569(P2011−118569)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【分割の表示】特願2005−508331(P2005−508331)の分割
【原出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【出願人】(394025751)インドスペック ケミカル コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】