説明

ゴルフクラブヘッド部材の溶接方法

【解決手段】 第一ヘッド部材を準備し、第一ヘッド部材はフェロ−マンガン−アルミ合金の材質により作成される段階と、第二ヘッド部材を準備し、第二ヘッド部材は融点がフェロ−マンガン−アルミ合金より相対的に高い材質により作成される段階と、高エネルギー溶接方式を利用して第一ヘッド部材と第二ヘッド部材を結合する段階とを含むゴルフクラブヘッド部材の溶接方法であって、上記高エネルギー溶接のエネルギー密度は実質的に106ワット/mmより大きくなるように形成されることにより、二個のヘッド部材を瞬間的かつ同期的に溶融し、さらに強固に溶接して結合するように構成されている。
【効果】 高エネルギー溶接の方式を利用することにより、二個のヘッド部材を瞬間的かつ同期的に溶融して強固に結合することができるため、確実に溶接の信頼性を相対的に増やし、溶接の歩留りを高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッド部材の溶接方法に関するもので、特にエネルギー密度が実質的に10ワット/mmより大きい高エネルギーの溶接方式を利用することにより、フェロ−マンガン−アルミ合金と高融点材質の溶接の信頼性を高めることができる溶接方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のゴルフクラブヘッド構造としては、フェロ−マンガン−アルミ合金の材質を利用し、そして精密ロストワックス鋳造または鍛造加工の製造工程を選択してゴルフクラブヘッドを製造する。上記ゴルフクラブヘッドのフェロ−マンガン−アルミ合金の材質には極めてよい抗腐食性、熱鍛造加工性、表面性質、延展性、抗張力を有しているため、製造されたゴルフクラブヘッドには高強度、低密度、高延展性、高防錆性と極めてよい表面性質を有するようにとしたものがある(例えば、特許文献1、2を参照)。
【特許文献1】中華民国公告番号第460591号公報
【特許文献2】アメリカ特許番号第6,617,050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来のゴルフクラブヘッド構造においては、フェロ−マンガン−アルミ合金の材質を使用しているが、フェロ−マンガン−アルミ合金の材質は実際として多数件式溶接による組立式ヘッドには応用できず、その原因としてフェロ−マンガン−アルミ合金と異質金属は互いにスムースに溶接して結合することができないという問題点があった。そのため、簡単に溶接方式を選択して上記二種の材質を結合すると、上記二種の材質の接触する部位が同期的かつ瞬間的に溶接し難いため、フェロ−マンガン−アルミ合金には過度な溶融が発生したり凹んだりするなどの問題点が生じ、さらに溶接が不確実になるため、溶接の歩留りに影響を及ぼしてしまうという問題点があった。上述した要素に基づいて、フェロ−マンガン−アルミ合金が多数件式溶接による組立式ヘッドにおける応用性は制限されるため、確実に上記のような従来のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法をさらに改良しなければならない。
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、溶接を行う時、エネルギー密度が実質的に10ワット/mmより大きい高エネルギー溶接の方式を選択して利用することにより、二個のヘッド部材を瞬間的かつ同期的に溶融して強固に結合し、特にフェロ−マンガン−アルミ合金と高融点の材質により作成された二個のヘッド部材を結合することができるため、確実に溶接の信頼性を相対的に増やし、さらに溶接の歩留りを高めることができるゴルフクラブヘッド部材の溶接方法を提供しようとするものである。
【0005】
本発明の第一の目的は、高エネルギー溶接の方式を選択して利用し、そのエネルギー密度が実質的に10ワット/mmより大きくなるように形成されることにより、フェロ−マンガン−アルミ合金と高融点の材質により作成された二個のヘッド部材を瞬間的かつ同期的に溶融して強固に結合することができるため、確実に溶接の信頼性を相対的に増やし、さらに溶接の歩留りを高めることができるゴルフクラブヘッド部材の溶接方法を提供しようとするものである。
【0006】
本発明の第二の目的は、レーザー溶接または電子ビームの方式を選択して利用し、そのエネルギー密度が実質的に10ワット/mmより大きくなるように形成されることにより、フェロ−マンガン−アルミ合金と高融点の材質により作成された二個のヘッド部材を瞬間的かつ同期的に溶融して強固に結合することができるため、確実に溶接の信頼性を相対的に増やし、さらに溶接の歩留りを高めることができるゴルフクラブヘッド部材の溶接方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によるゴルフクラブヘッド部材の溶接方法は、下記のようになるものである。すなわち、
第一ヘッド部材を準備し、第一ヘッド部材はフェロ−マンガン−アルミ合金の材質により作成される段階と、第二ヘッド部材を準備し、第二ヘッド部材は融点がフェロ−マンガン−アルミ合金より相対的に高い材質により作成される段階と、高エネルギー溶接方式を利用して第一ヘッド部材と第二ヘッド部材を結合する段階とを含む。上記高エネルギー溶接のエネルギー密度は実質的に10ワット/mmより大きくなるように形成されることにより、上記高エネルギー溶接により二個のヘッド部材を瞬間的かつ同期的に溶融し、さらに強固に溶接して結合する。
【0008】
本発明によるゴルフクラブヘッド部材の溶接方法は、上記融点がフェロ−マンガン−アルミ合金より相対的に高い材質はステンレス、炭素鋼、低炭素鋼、合金鋼、低合金鋼、マルエージング鋼、鋳鉄、構造用鋼、タングステン−フェロ−ニッケル合金から選択することもできる。また、上記高エネルギー溶接方式はレーザー溶接を選択して溶接を行うもので、そのエネルギー密度は10ワット/mm以上であることもできる。また、上記高エネルギー溶接方式は電子ビームを選択して溶接を行うもので、そのエネルギー密度は10ワット/mm以上であることもできる。また、第一ヘッド部材はヘッド本体からなることもできる。また、上記ヘッド本体の正面には組立口が設けられ、組立口は第二ヘッド部材と結合するのに用いられることもできる。また、上記ヘッド本体の組立口の内周面には延伸するように階段状部が形成され、階段状部は第二ヘッド部材と結合するのに用いられることもできる。また、上記ヘッド本体の組立口には結合リップ縁と側結合リップ縁が形成され、結合リップ縁と側結合リップ縁は第二ヘッド部材と結合するのに用いられることもできる。また、第一ヘッド部材はフェース板からなることもできる。また、上記フェース板は後方へ折り曲げるように側壁が形成されることにより、上記フェース板にはU字形の断面が形成されることもできる。また、上記フェース板には他に開放辺が設けられ、側壁と開放辺の端面により第二ヘッド部材に結合することもできる。また、第一ヘッド部材は蓋板からなることもできる。また、上記蓋板はクラウン板、ソール板、サイド板からなることもできる。また、第一ヘッド部材は重りからなることもできる。
【0009】
また、本発明によるゴルフクラブヘッド部材の溶接方法は、第二ヘッド部材はヘッド本体からなることもできる。また、上記ヘッド本体の正面には組立口が設けられ、組立口は第一ヘッド部材と結合するのに用いられることもできる。また、上記ヘッド本体の組立口の内周面には延伸するように階段状部が形成され、階段状部は第一ヘッド部材と結合するのに用いられることもできる。また、上記ヘッド本体の組立口には結合リップ縁と側結合リップ縁が形成され、結合リップ縁と側結合リップ縁は第一ヘッド部材と結合するのに用いられることもできる。また、第二ヘッド部材はフェース板からなることもできる。また、上記フェース板は後方へ折り曲げるように側壁が形成されることにより、上記フェース板にはU字形の断面が形成されることもできる。また、上記フェース板には他に開放辺が設けられ、側壁と開放辺の端面により第一ヘッド部材に結合することもできる。また、第二ヘッド部材は蓋板からなることもできる。また、上記蓋板はクラウン板、ソール板、サイド板からなることもできる。また、第二ヘッド部材は重りからなることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法によれば、高エネルギー溶接の方式を選択して利用し、そのエネルギー密度が実質的に10ワット/mmより大きくなるように形成されることにより、フェロ−マンガン−アルミ合金と高融点の材質により作成された二個のヘッド部材を瞬間的かつ同期的に溶融して強固に結合することができるため、確実に溶接の信頼性を相対的に増やし、さらに溶接の歩留りを高めることができるという利点がある。
【0011】
本発明のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法によれば、レーザー溶接または電子ビームの方式を選択して利用し、そのエネルギー密度が実質的に10ワット/mmより大きくなるように形成されることにより、フェロ−マンガン−アルミ合金と高融点の材質により作成された二個のヘッド部材を瞬間的かつ同期的に溶融して強固に結合することができるため、確実に溶接の信頼性を相対的に増やし、さらに溶接の歩留りを高めることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について、以下、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1、2を参照すると、本発明の実施例1のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法には、第一ヘッド部材10を準備し、第一ヘッド部材10はフェロ−マンガン−アルミ合金の材質により作成される段階と、第二ヘッド部材20を準備し、第二ヘッド部材20は融点がフェロ−マンガン−アルミ合金より相対的に高い材質により作成される段階と、高エネルギー溶接方式を利用して第一ヘッド部材10と第二ヘッド部材20を結合する段階が含まれる。上記高エネルギー溶接のエネルギー密度は実質的に10ワット/mmより大きくなるように形成されることにより、二個のヘッド部材10、20を瞬間的かつ同期的に溶融し、さらに強固に溶接して結合する。
【0014】
再び図1、2を参照すると、本発明の実施例1のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法における第一段階においては、第一ヘッド部材10を準備し、第一ヘッド部材10はフェロ−マンガン−アルミ合金の材質により作成される。さらに詳しく言えば、本発明の第一ヘッド部材10はヘッド本体からなり、その正面には組立口11が設けられ、組立口11の内周面には延伸するように階段状部12が形成される。或いは、第一ヘッド部材10はフェース板から選択することができる。また、上記フェロ−マンガン−アルミ合金の材質の融点範囲は約1050℃から1150℃までの間に介在し、さらにその比重の範囲は約6.5〜7.5の間に介在するように形成される。
【0015】
再び図1、2を参照すると、本発明の実施例1のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法における第二段階においては、第二ヘッド部材20を準備し、第二ヘッド部材20は融点がフェロ−マンガン−アルミ合金より相対的に高い材質により作成される。さらに詳しく言えば、本発明の第二ヘッド部材20はフェース板(或いはヘッド本体)からなる。また、製品の需要性に応じて、上述した高融点の材質はステンレス、炭素鋼、低炭素鋼、合金鋼、低合金鋼、マルエージング鋼、鋳鉄、構造用鋼などの鉄合金から選択することができ、その融点範囲は約1250℃から1450℃までの間に介在し、さらにその比重の範囲は約8.0〜10.0の間に介在するように形成される。
【0016】
再び図1、2、3Aを参照すると、本発明の実施例1のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法における第三段階においては、高エネルギー溶接方式を利用して第一ヘッド部材10と第二ヘッド部材20を結合し、上記高エネルギー溶接のエネルギー密度は実質的(substantially)に10ワット/mm(W/mm)より大きくなるように形成される。さらに詳しく言えば、図3Aに示すように、溶接を行う前に本発明においては初歩的に第二ヘッド部材20(フェース板)を第一ヘッド部材10(ヘッド本体)の組立口11の階段状部12に嵌設する。第一ヘッド部材10と第二ヘッド部材20の材質はそれぞれフェロ−マンガン−アルミ合金(融点約1100℃)とステンレス(融点約1300℃から1400℃)からなる。それから、本発明において、各種の異なるエネルギー密度の溶接方式を利用して溶接の品質のテストを行う。
【0017】
〔比較例〕
図3Bに示すように、プラズマ溶接(エネルギー密度約10ワット/mm)またはタングステンイナートガスアーク溶接(エネルギー密度約10ワット/mm)を選んで利用して比較用の対照組とする。しかし、上記溶接方式のエネルギー密度が不足するため、第一ヘッド部材10の低融点のフェロ−マンガン−アルミ合金は溶接の初期においてすでに溶融してしまったかもしれないが、第二ヘッド部材20の高融点のステンレスは溶接の初期において未溶融の状態を保っているかもしれない。その結果、ステンレスが溶融し始めるまで持続的に溶接し続けると、第一ヘッド部材10のフェロ−マンガン−アルミ合金はすでに過度に溶融してしまったかもしれず、そのために第一ヘッド部材10の結合部位には凹みが生じてしまい、さらに溶接の歩留りに影響を及ぼしてしまう。
【0018】
〔比較的よい比較例〕
図3Cに示すように、本発明においては好ましくは電子ビーム溶接を選んで本発明の試験組とする。電子ビーム溶接のエネルギー密度が10ワット/mm以上であるため、瞬間的かつ同期的に二個のヘッド部材10、20の結合する部位を溶融するのに役立つことができる。このように、本発明においてエネルギー密度が全て10ワット/mm以上の溶接方式を選んで利用することにより、確実に第一ヘッド部材10のフェロ−マンガン−アルミ合金の材質が早く溶融したり凹んだりするのを避けることができるため、本発明においては確実に二個のヘッド部材10、20を強固に溶接して結合することができ、さらに溶接の信頼性を増やし、溶接の歩留りを高めることができる。また、高エネルギー溶接方式もレーザー溶接を選んで溶接を行うことができ、レーザー溶接のエネルギー密度も10ワット/mm以上であるため、二個のヘッド部材10、20を強固に溶接して結合することができる。
【実施例2】
【0019】
図1、2、4を参照すると、本発明の実施例2のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法が掲示される。実施例1と比較してみると、実施例1はアイアン型ヘッドに応用されているが、実施例2においてはウッド型ヘッドまたはその他のタイプのヘッドに応用することができ、例えばユーティリティー型ヘッド、パター型ヘッド(図示せず)に応用することができる。第一ヘッド部材10はフェロ−マンガン−アルミ合金の材質により作成され、さらに第一ヘッド部材10は好ましくはヘッド本体からなり、第一ヘッド部材10には少なくとも一個の組立口11が設けられ、組立口11には結合リップ縁13と側結合リップ縁14が形成される。或いは、第一ヘッド部材10はU字形断面のフェース板、クラウン板、ソール板などの蓋板から選択することができる。また、少なくとも一個の第二ヘッド部材20a、20b、20cは融点がフェロ−マンガン−アルミ合金より相対的に高い材質により作成され、例えばステンレス、炭素鋼、低炭素鋼、合金鋼、低合金鋼、マルエージング鋼、鋳鉄、構造用鋼などの鉄合金により作成される。
【0020】
図4に示すように、第二ヘッド部材20aは好ましくはU字形の断面を有するフェース板からなり、第二ヘッド部材20aには周囲から後方へ折り曲げて少なくとも一個の側壁21が形成され、さらに第二ヘッド部材20aには少なくとも一個の開放辺22が設けられる。側壁21により第二ヘッド部材20a(U字形の断面を有するフェース板)の弾性変形の能力を増やすことができ、さらに側壁21の端面は組立口11の結合リップ縁13に対応して結合することができる。第二ヘッド部材20には他に少なくとも一個の開放辺22が設けられ、開放辺22は組立口11の側結合リップ縁14に対応して結合することができる。また、第二ヘッド部材20b、20cは好ましくはクラウン板、ソール板、サイド板などの各種の蓋板からなると共に、第一ヘッド部材10のその他の組立口(標示せず)に対応して結合することができる。さらに、第二ヘッド部材20a、20b、20cもヘッド本体からなることもできる。
【0021】
再び図4に示すように、溶接を行う時、本発明においては同様にエネルギー密度が10ワット/mm以上の高エネルギー溶接方式を選んで利用することができ、例えばレーザー溶接または電子ビーム溶接を利用することにより、瞬間的かつ同期的に少なくとも二個のヘッド部材10、20a、20b、20c(図3cを参照)の結合する部位を溶融するのに役立つことができるため、第一ヘッド部材10のフェロ−マンガン−アルミ合金の材質が早く溶融したり凹んだりするのを避けることができる。そのため、本発明においては同様に少なくとも二個のヘッド部材10、20a、20b、20cを強固に溶接して結合することができ、さらに溶接の信頼性を増やし、溶接の歩留りを高めることができる。
【実施例3】
【0022】
図1、2、5を参照すると、本発明の実施例3のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法が掲示される。実施例1と比較してみると、実施例3において第一ヘッド部材10はフェロ−マンガン−アルミ合金の材質により作成され、そして第一ヘッド部材10はヘッド本体からなり、第一ヘッド部材10の底部には少なくとも一個の組立口15が設けられる。或いは、第一ヘッド部材10は重りなどのヘッド部材からなることもできる。また、少なくとも一個の第二ヘッド部材20dは融点がフェロ−マンガン−アルミ合金より相対的に高い材質により作成され、例えばタングステン−フェロ−ニッケル合金またはその他のタングステン−フェロの混合合金により作成される。さらに、第二ヘッド部材20は好ましくは重りなどのヘッド部材からなり、第二ヘッド部材20は適当な方法を利用して第一ヘッド部材10(ヘッド本体)の組立口15に組み立てて結合することができる。或いは、第二ヘッド部材20dはヘッド本体からなることもできる。また、本発明においても同様にエネルギー密度が10ワット/mm以上の高エネルギー溶接方式を選んで利用することができ、例えばレーザー溶接または電子ビーム溶接を利用することにより、瞬間的かつ同期的に少なくとも二個のヘッド部材10、20d(図3cを参照)の結合する部位を溶融するのに役立つことができるため、第一ヘッド部材10のフェロ−マンガン−アルミ合金の材質が早く溶融したり凹んだりするのを避けることができる。そのため、本発明においても同様に少なくとも二個のヘッド部材10、20dを強固に溶接して結合することができ、さらに溶接の信頼性を増やし、溶接の歩留りを高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
上述の如く、図3Bに示す比較実施例におけるゴルフクラブヘッド構造の溶接方法によれば、エネルギー密度が不足するため、フェロ−マンガン−アルミ合金の材質と融点がフェロ−マンガン−アルミ合金より相対的に高い材質を瞬間的かつ同期的に溶融することができないという問題点があったが、図3Cに示す本発明の比較的よい実施例において、溶接を行う時にエネルギー密度が実質的に10ワット/mmより大きい高エネルギー溶接方式を適当に選んで利用することにより、二個のヘッド部材10、20を瞬間的かつ同期的に溶融し、さらに強固に溶接して結合することができ、特にフェロ−マンガン−アルミ合金と高融点の材質により作成された二個のヘッド部材10、20を結合することができるため、確実に溶接の信頼性を増やし、溶接の歩留りを高めることができる。
【0024】
本発明は、その精神及び必須の特徴事項から逸脱することなく他のやり方で実施することができる。従って、本明細書に記載した好ましい実施例は例示的なものであり、限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法による製造工程のブロック図である。
【図2】本発明の実施例1のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法を示す分解断面図である。
【図3A】図2の二個のヘッド部材が溶接により結合される前における局部の拡大断面図である。
【図3B】本発明の比較実施例の二個のヘッド部材がプラズマアーク溶接またはタングステンイナートガスアーク溶接により結合された後における局部の拡大断面図である。
【図3C】本発明の実施例の二個のヘッド部材がレーザー溶接または電子ビーム溶接により結合された後における局部の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施例2のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法を示す分解断面図である。
【図5】本発明の実施例3のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法を示す分解断面図である。
【符号の説明】
【0026】
10 第一ヘッド部材 11 組立口
12 階段状部 13 結合リップ縁
14 側結合リップ縁 15 組立口
20 第二ヘッド部材 20a 第二ヘッド部材
20b 第二ヘッド部材 20c 第二ヘッド部材
20d 第二ヘッド部材 21 側壁
22 開放辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第一ヘッド部材(10)を準備し、第一ヘッド部材(10)はフェロ−マンガン−アルミ合金の材質により作成される段階と、
b)第二ヘッド部材(20)を準備し、第二ヘッド部材(20)は融点がフェロ−マンガン−アルミ合金より相対的に高い材質により作成される段階と、
c)高エネルギー溶接方式を利用して第一ヘッド部材(10)と第二ヘッド部材(20)を結合する段階と、
を含むゴルフクラブヘッド部材の溶接方法であって、
上記高エネルギー溶接のエネルギー密度は実質的に10ワット/mmより大きくなるように形成されることにより、上記高エネルギー溶接により二個のヘッド部材(10、20)を瞬間的かつ同期的に溶融し、さらに強固に溶接して結合することを特徴するゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項2】
上記融点がフェロ−マンガン−アルミ合金より相対的に高い材質はステンレス、炭素鋼、低炭素鋼、合金鋼、低合金鋼、マルエージング鋼、鋳鉄、構造用鋼、タングステン−フェロ−ニッケル合金から選択することを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項3】
上記高エネルギー溶接方式はレーザー溶接を選択して溶接を行うもので、そのエネルギー密度は10ワット/mm以上であることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項4】
上記高エネルギー溶接方式は電子ビームを選択して溶接を行うもので、そのエネルギー密度は10ワット/mm以上であることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項5】
第一ヘッド部材(10)はヘッド本体からなることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項6】
上記ヘッド本体の正面には組立口(11)が設けられ、組立口(11)は第二ヘッド部材(20)と結合するのに用いられることを特徴とする請求項5記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項7】
上記ヘッド本体の組立口(11)の内周面には延伸するように階段状部(12)が形成され、階段状部(12)は第二ヘッド部材(20)と結合するのに用いられることを特徴とする請求項6記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項8】
上記ヘッド本体の組立口(11)には結合リップ縁(13)と側結合リップ縁(14)が形成され、結合リップ縁(13)と側結合リップ縁(14)は第二ヘッド部材(20)と結合するのに用いられることを特徴とする請求項6記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項9】
第一ヘッド部材(10)はフェース板からなることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項10】
上記フェース板は後方へ折り曲げるように側壁(21)が形成されることにより、上記フェース板にはU字形の断面が形成されることを特徴とする請求項9記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項11】
上記フェース板には他に開放辺(22)が設けられ、側壁(21)と開放辺(22)の端面により第二ヘッド部材(20)に結合することができることを特徴とする請求項10記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項12】
第一ヘッド部材(10)は蓋板からなることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項13】
上記蓋板はクラウン板、ソール板、サイド板からなることを特徴とする請求項12記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項14】
第一ヘッド部材(10)は重りからなることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項15】
第二ヘッド部材(10)はヘッド本体からなることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項16】
上記ヘッド本体の正面には組立口(11)が設けられ、組立口(11)は第一ヘッド部材(10)と結合するのに用いられることを特徴とする請求項15記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項17】
上記ヘッド本体の組立口(11)の内周面には延伸するように階段状部(12)が形成され、階段状部(12)は第一ヘッド部材(10)と結合するのに用いられることを特徴とする請求項16記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項18】
上記ヘッド本体の組立口(11)には結合リップ縁(13)と側結合リップ縁(14)が形成され、結合リップ縁(13)と側結合リップ縁(14)は第一ヘッド部材(10)と結合するのに用いられることを特徴とする請求項16記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項19】
第二ヘッド部材(20)はフェース板からなることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項20】
上記フェース板は後方へ折り曲げるように側壁(21)が形成されることにより、上記フェース板にはU字形の断面が形成されることを特徴とする請求項19記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項21】
上記フェース板には他に開放辺(22)が設けられ、側壁(21)と開放辺(22)の端面により第一ヘッド部材(10)に結合することができることを特徴とする請求項20記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項22】
第二ヘッド部材(20)は蓋板からなることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項23】
上記蓋板はクラウン板、ソール板、サイド板からなることを特徴とする請求項22記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。
【請求項24】
第二ヘッド部材(20)は重りからなることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド部材の溶接方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−6985(P2007−6985A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188881(P2005−188881)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(502443529)楠盛股▲分▼有限公司 (22)
【Fターム(参考)】