サイディングユニット及びその製造方法
【課題】 外壁の取り壊しといった大掛かりな工事を必要とせずに、家屋等に住みながら外壁の美観を向上させるとともに、外壁全体の耐震性の向上を実現するサイディングユニット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 サイディングユニット10を外壁1に取り付けるときには、まず、外壁1にレール状の胴縁11を釘等で複数本互いに略平行に固定する。そして、格子状で樹脂製のサイディングフレーム12をそれら互いに略平行な胴縁11間に嵌合し、任意の位置に一時的に保持する。そして、その嵌合したサイディングフレーム12を胴縁11間に沿ってスライドさせ、固定位置を決定した後、胴縁11に釘を打ち付ける等して固定する。次に、互いに固定したこれら胴縁11及びサイディングフレーム12上に、所定の装飾が施されたサイディングウォール13を覆設し、このサイディングウォール13を胴縁11に釘23等で固定し、サイディングユニット10の取り付けが完了する。
【解決手段】 サイディングユニット10を外壁1に取り付けるときには、まず、外壁1にレール状の胴縁11を釘等で複数本互いに略平行に固定する。そして、格子状で樹脂製のサイディングフレーム12をそれら互いに略平行な胴縁11間に嵌合し、任意の位置に一時的に保持する。そして、その嵌合したサイディングフレーム12を胴縁11間に沿ってスライドさせ、固定位置を決定した後、胴縁11に釘を打ち付ける等して固定する。次に、互いに固定したこれら胴縁11及びサイディングフレーム12上に、所定の装飾が施されたサイディングウォール13を覆設し、このサイディングウォール13を胴縁11に釘23等で固定し、サイディングユニット10の取り付けが完了する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイディングユニット及びその製造方法に関し、特に、家屋等の外壁において耐震性を強化するサイディングユニット及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅が老朽化したり、居住者のライフスタイルやライフサイクルが変化したりしたときには、住空間の増築、改築、修理、修繕といったリフォームが行われる。
このような住宅のリフォームの1つに、サイディングの施工がある。このサイディングの施工は、家屋の外壁等に発泡樹脂等の胴縁を打ち付け、この胴縁に乾式の板材等をはり合わせることで、外壁の美観を向上させるとともに、外壁の強度を補強する。
【0003】
しかしながら、このサイディングの施工により外壁の美観及び強度が向上するものの、地震等の極めて強い振動に対する耐震性に問題があるものも少なくなかった。
このような耐震性の問題に対処するサイディングの施工に関するものの1つに、特許文献1が開示するところの天然石化粧パネル及びその取付構造が提案されている。
この特許文献1におけるパネルの取付構造では、外壁に鋼製のスタッド材で枠状の下地を組み、その鋼製の枠体にサイディング用の板材(天然石化粧パネル)を引っ掛けて固定することで、外壁の美化を実現し、この特許文献1の天然石化粧パネルは、天然石の化粧板に、非金属製の割れ防止シート部材を貼り付けることにより、その天然石化粧板のひび割れ又は破砕を防止することで耐震性の向上を図るようにしている。
【0004】
また、同様に外壁の美観とともに耐震性の向上を図るサイディングの施工に関する他の例として、特許文献2が開示するところの耐震補強リフォーム構造が提案されている。
この特許文献2の耐震強度リフォーム構造では、上部補強プレートを住宅の柱と土台に取り付けるとともに、下部補強プレートを住宅の基礎に取り付け、それら両補強プレートのボルト連結部同士を、スプリング等の弾性部材を介してボルトで連結するようにしている。このようにすることにより、大地震により前述の両補強プレート間に分断力が生じた場合に、その弾性部材で振動を吸収し、住宅の崩壊を防止するようになっている。
【0005】
また、その他の家屋の耐震性構造としては、粘性のある金属等の制震装置を壁の内部に取り付けて横揺れのエネルギーを吸収するタイプや、家屋本体と基礎との間に積層ゴム等の免震装置を設置して地震時の振動を家屋本体に伝わりにくくするタイプの構造のものがある。
【特許文献1】特開2003−239503
【特許文献2】特開2004−68424
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら特許文献1,2等に開示されるような従来技術には、以下のような問題がある。
【0007】
例えば、前述の特許文献1のパネル取付構造では、外壁にはり合わせる天然石のひび割れ等を防ぐことができるものの、外壁全体の強度を補強するものではないため、地震等の際には、外壁全体の耐震性に問題がある。また、枠体は鋼製、パネルは天然石であるため、外壁自体の重量が重くなり、耐震性が低くなってしまうおそれがある。
【0008】
また、前述の特許文献2の耐震強度リフォーム構造では、外壁面の柱及び土台と、基礎との間の部分を補強するだけであり、外壁面全体を補強したものではないので、耐震性が十分ではないおそれがある。また、これらの補強具は金属製であり、防錆性に難があるおそれがある。
【0009】
その他、制震装置を壁の内部に取り付ける場合には、外壁を一旦取り壊す必要があり、コスト性に難がある。
また、家屋本体と基礎との間に積層ゴム等の免震装置を設置する場合には、家屋の建て始めのときでなくては施工が困難であるという施工性における問題が生じる。
【0010】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、外壁の取り壊しといった大掛かりな工事を必要とせずに、家屋等に住みながら外壁の美観を向上させるとともに、外壁全体の耐震性の向上を実現し、低コストで施工が容易なサイディングユニット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するため、本発明は、壁を補強するサイディングユニットであって、壁に略平行に取り付けられる複数の胴縁(胴縁11)と、互いに隣接する各胴縁間に嵌合する板状のサイディングフレームと、を有することを特徴とする。
【0012】
また、そのサイディングフレームは、内側には空隙が形成されている枠体であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明によれば、そのサイディングフレームは、内側が格子形状の枠体であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明によれば、そのサイディングフレームの両側面には弾性を備えた突起が形成されており、突起を胴縁の側面に形成された溝に嵌挿して、サイディングフレームを胴縁に嵌合することを特徴とする。
【0015】
また、本発明によれば、その突起が溝に沿って摺動可能に、サイディングフレームが胴縁間に嵌合されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明によれば、そのサイディングフレームが胴縁間に嵌合されるとき、突起がサイディングフレームの内側に弾性変形し、変形による復元力によりサイディングフレームが胴縁間に保持されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明によれば、そのサイディングフレームは、千鳥配置となるように、隣接する各胴縁間に嵌合することを特徴とする。
【0018】
また、本発明におけるサイディングユニットは、胴縁の列方向に間隔を空けてサイディングフレームを配置し、かつ、サイディングフレームの上方向の端部と、隣接する列の他のサイディングフレームの下方向の端部とが、サイディングフレームの面内の列に垂直な方向において、同一直線上に重なって位置することを特徴とする。
【0019】
また、本発明によれば、そのサイディングフレームの素材は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリルニトリルブタジエンスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニリンオキシド及びナイロンからなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明によれば、サイディングフレームは、添加剤を含有し、添加剤は、ガラス繊維、カーボン繊維、タルク及び発泡剤からなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする。
【0021】
また、本発明によれば、本発明におけるサイディングユニットは、所定の装飾が施された板状のサイディングウォール(サイディングウォール13)をさらに有し、サイディングウォールは、胴縁及びサイディングフレームを覆うように取り付けることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、壁を補強するサイディングユニットの施工方法であって、壁に略平行に複数の胴縁を取り付け固定する胴縁固定工程と、取り付けた互いに隣接する各胴縁間に、板状のサイディングフレームを嵌合し、サイディングフレームの固定位置を仮決めする固定位置決定工程と、位置決めしたサイディングフレームを固定するサイディングフレーム固定工程と、固定した胴縁及びサイディングフレームを覆うように、所定の装飾が施された板状のサイディングウォールを取り付けるサイディングウォール設置工程と、を有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明によれば、その固定位置決定工程は、サイディングフレームを、千鳥配置となるように、隣接する各胴縁間に嵌合して位置決めを行うことを特徴とする。
【0024】
また、本発明によれば、その固定位置決定工程は、サイディングフレームを、胴縁の列方向に間隔を空けて胴縁間に配置し、かつ、サイディングフレームの上下方向の端部と、隣接する列の他のサイディングフレームの上下方向の端部とが、サイディングフレームの面内の列に垂直な方向において、同一直線上に位置するように配置して位置決めを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、壁に略平行に複数の胴縁を取り付け、その隣接する各胴縁間に板状のサイディングフレームを嵌合して、壁を補強するためのサイディングユニットを形成するので、外壁の取り壊しといった大掛かりな工事を必要とせずに壁全体の耐震性の向上を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
<サイディングユニット10の構成>
まず、本発明の一実施の形態におけるサイディングユニット10の構成について図を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態におけるサイディングユニット10を示す斜視図である。
図に示すように、サイディングユニット10は、家屋等の外壁1に互いに略平行に複数本固定されるレール状の胴縁11と、これら胴縁11間に嵌合される枠体であるサイディングフレーム12と、これら胴縁11及びサイディングフレーム12を覆うように取り付けられる所定の装飾性を有するサイディングウォール13とを有して構成される。
そして、サイディングユニット10は、家屋等の既存の外壁1に取り付けることにより、その外壁1の装飾性を向上させるとともに、地震等の極めて強い振動にも耐え得る高い耐震性を可能にしている。
【0027】
図2は、サイディングユニット10を構成する胴縁11及びサイディングフレーム12の拡大図である。
図に示すように、胴縁11は、樹脂製でレール形状を形成するものであり、両側面にサイディングフレーム12を係止するための係止溝32が形成されている。
【0028】
また、サイディングフレーム12は、樹脂製で、一定の剛性を有し、一定の加重に対する強度を備える枠体である。このサイディングフレーム12の枠体の内側には多数の空隙33が形成されており、これにより、一定の強度を保証するとともに、このサイディングフレーム12を形成する素材の量の削減を図っている。
なお、この空隙33の大きさ、形状、数、繰り返しパターン等は、サイディングフレーム12に一定の強度及び軽量化を保証するものであれば限定されないが、例えば、図に示すような規則正しい格子状に形成されていてもよい。
また、サイディングフレーム12の枠の内側が格子形状を形成しているときには、この格子が筋交いの役割を果たし、サイディングフレーム12の強度を補強することができる。特に、サイディングフレーム12の強度を補強するためには、この枠の角の対角線上に格子を形成することが好ましい。
また、サイディングフレーム12の両側面には、胴縁11に嵌合するための弾性を有する突起30がサイディングフレーム12の外向きに一体形成されている。これらの突起30を前述の胴縁11の係止溝32に嵌挿することにより、サイディングフレーム12を胴縁11間に取り付けるようにしている。
【0029】
また、サイディングウォール13は、所定の装飾が施された板状のパネルである。サイディングユニット施工時には、サイディングウォール13を、胴縁11及びこれら胴縁11間に嵌合されたサイディングフレーム12を覆うように設置する。
【0030】
ここで、そのサイディングフレーム12を胴縁11間に嵌合する機構について図を用いて説明する。
図3(a)は、サイディングフレーム12の突起30近傍の部分をさらに拡大した図であり、(b)は、その(a)のA−A’線に沿った断面図である。
図に示すように、サイディングフレーム12の側面に設けられている突起30は、断面略V字状に折り返された相対向する2つの傾斜板部31から構成されている。
このサイディングフレーム12の一方の側面の突起30の先端から、他の側面の突起30の先端までの長さをサイディングフレーム12の幅とすると、このサイディングフレーム12の幅は、外壁1に略平行に設置された胴縁11間の幅よりも若干長く形成されている。
このように形成することで、サイディングフレーム12を胴縁11間に嵌挿したとき、図3(a)の矢印Xの方向に力が加わり、傾斜板部31がV字内側(矢印Y及びY’方向)に撓曲する。すると、一旦撓曲した傾斜板部31の復元力により、突起30が係止溝32を押圧する。この結果、矢印X方向とは逆方向の矢印Z方向の力がはたらき、サイディングフレーム12が胴縁11で係止保持されるようになる。
このようにして、係止溝32に沿った力を加えることで、サイディングフレーム12を係止溝32方向に自由に摺動させることができるとともに、その力を加えないときには、サイディングフレーム12を係止溝32に沿った任意の位置で係止することが可能となる。これにより、他の器具等を用いずに簡単にサイディングフレーム12を位置決めし、係止することができるようになる。
なお、予め、傾斜板部31をV字内側に若干撓曲させて形成しておくことが好ましい。このようにすることで、突起30に十分な弾性を保証することができる。
【0031】
図4は、このようにして、サイディングフレーム12を胴縁11間に複数嵌挿したときの一例を示す図である。
図に示すように、胴縁11間の各列においてサイディングフレーム12を一定の間隔をおいて千鳥配置とすることで、壁の耐震性を十分に補強することが可能となるとともに、外壁1全面に配置する場合と比べて、配置するサイディングフレーム12の枚数を削減しコスト面の効果も期待することができる。
また、このように一定の間隔をおいて千鳥配置にするとき、図に示すように、互いに隣接する各サイディングフレーム12の胴縁11列方向の端部が一部重なるようにすることで、壁の強度をさらに強化して耐震性を向上させることができる。すなわち、外壁1面内(サイディングフレーム12面内)における胴縁11の列に対する垂直方向から見て、あるサイディングフレーム12の上端部と、それに隣接する他のサイディングフレーム12の下端部とが同一直線上に並ぶように千鳥配置にすることにより、壁面内の強度を強化することができる。
例えば、前述のサイディングフレーム12の幅を450mm程度、この幅と垂直方向の長さを505mm程度、厚さを15mm程度としたとき、図に示すように、隣接し合うサイディングフレーム12の端部が50mm程度重なるように配置すると十分な耐震性が得られる。また、窓枠近傍等、壁面で強度がやや弱い箇所に対しては、前述の重なり部分をさらに長くとることで高い耐震性が保証される。
【0032】
<サイディングユニット10の設置方法>
次に、家屋等の外壁1に対する、サイディングユニット10の設置方法について図1を用いて説明する。
サイディングユニット10を外壁1に取り付けるときには、まず、図に示すように、外壁1にレール状の胴縁11を釘等で複数本互いに略平行に固定する。そして、格子状で樹脂製のサイディングフレーム12をそれら互いに略平行な胴縁11間に嵌合し、任意の位置に一時的に保持する。
そして、その嵌合したサイディングフレーム12を胴縁11間に沿ってスライドさせ、固定位置を決定した後、胴縁11に釘を打ち付ける等して固定する。
次に、互いに固定したこれら胴縁11及びサイディングフレーム12上に、所定の装飾が施されたサイディングウォール13を覆設し、このサイディングウォール13を胴縁11に釘23等で固定し、サイディングユニット10の取り付けが完了する。
【0033】
図5には、このサイディングユニット10を外壁1に取り付け完了後の外観が示されている。
図に示すように、外壁1、胴縁11及びサイディングフレーム12は、所定の装飾が施されたサイディングウォール13により覆われ、隠蔽される。
【0034】
図6は、その図5のB−B’線に沿った断面図である。
図に示すように、家屋等の柱2には、外壁1及び内壁3が釘等で打ち付けられている。
また、胴縁11には釘21が外壁1を貫通し柱2に達するように打ち付けられ、胴縁11は柱2に固定されている。
さらに、サイディングフレーム12には釘22が胴縁11に達するように打ち付けられ、サイディングフレーム12は胴縁11に固定されている。
そして、それら胴縁11及びサイディングフレーム12を覆うようにサイディングウォール13が取り付けられている。
【実施例1】
【0035】
以下、前述のサイディングフレーム12の1枚分の耐震性について検証する。本実施例では、後述する耐震実験装置40を用いて、建築物の壁の強度を示す壁倍率をサイディングフレーム12について測定し、その耐震性について検討する。なお、この壁倍率は、高い数値であるほど、その壁の強度も高いと見なすことができる。
【0036】
図7は、実施例1におけるサイディングフレーム12及びこのサイディングフレーム12の壁倍率を測定する耐震実験装置40の外観を示す図である。
また、図8は、この耐震実験装置40の構造を詳細に示した図である。
以下、これらの図を用いて、この耐震実験装置40によるサイディングフレーム12の壁倍率の測定方法について説明する。
【0037】
図に示すように、この耐震実験装置40は、胴縁11及びサイディングフレーム12を設置面に固定する固定具41と、それら胴縁11及びサイディングフレーム12が固定された固定具41の一部を押圧する油圧ジャッキ42と、この押圧によるサイディングフレーム12の変位量を測定する変位計43とを有して構成される。
なお、この耐震実験装置40では、油圧ジャッキ42による加重を任意の値に調整可能であるとともに、その加重(N)を表示する機能を備えている。
【0038】
また、図に示すように、前述の固定具41は、設置面側だけ固定された4節の平行リンク機構を成している。この固定具41は、リンク部材a,b,c,dがリンク中心44a,44b,44c,44dに回動自在に取り付けられて構成される。これら2組のそれぞれ対向するリンク部材、すなわちリンク部材(a,c)の組及び(b,d)の組は、その長さが略等しくかつ互いに略平行に取り付けられている。
ここで、油圧ジャッキ42がリンク部材d側を加重すると、リンク部材a,b,dは、リンク中心44a〜44dを軸に回動し、図に点線で示すリンク部材a’,b’,d’の位置に移動する。
このとき、変位計43は、平行移動したリンク部材a(a’)の押圧方向の変位を測定する。
【0039】
図9は、その耐震実験装置40に1枚のサイディングフレーム12を取り付けたものを示す図である。
図に示すように、油圧ジャッキ42が、リンク部材dにおいて、サイディングフレーム12の高さ方向上端に対応する部分を押圧し加重すると、リンク部材aがリンク機構により押圧方向に変位する。それとともに、この固定具41に固定されているサイディングフレーム12が撓み、そのフレーム12の高さ方向上端が押圧方向に変位する。
変位計43は、加重時及び非加重時における固定具41の加重部分の位置を測定することで、この固定具41に固定されているサイディングフレーム12の変位量を測定し、この変位量から壁倍率について測定できるようになっている。
【0040】
図10は、実施例1における耐震実験装置40によるサイディングフレーム12の壁倍率の測定条件を示す図である。
以下、図を用いて、本実施例におけるサイディングフレーム12の壁倍率の計算方法について説明する。
なお、本実施例では、サイディングフレーム12は、ポリプロピレン樹脂90%、ガラス繊維10%を用いて成型した。このサイディングフレーム12を、前述の実施の形態のように、胴縁11間に嵌合して釘22で固定している。
また、このサイディングフレーム12の幅は0.455m、高さは0.505mとする。また、このサイディングフレーム12の枠体内には、ピッチ7cm程で各格子幅が2cm程の格子形状が形成されているものとする。
【0041】
サイディングフレーム12の壁倍率は、前述の変位量を用い、以下の式(1)から計算される。
壁倍率=P/1.96L ・・・(1)
Pは、固定具41が、設置面の固定部分に対して1/120rad(=約4.2mm)変位したときの油圧ジャッキ42による加重(kN)を示す。
なお、油圧ジャッキ42は、図に示すように、リンク部材dにおけるリンク中心44aと略等しい高さに対して略垂直に加圧するものとする。
また、図に示すように、Lはサイディングフレーム12の幅の長さを示し、本実施例では0.455mとする。
【0042】
この条件で、油圧ジャッキ41によりサイディングフレーム12の側面を押圧したところ、P=0.50kNと測定された。
これから、壁倍率=0.50/(1.96×0.455)≒0.56と計算される。
【0043】
以上説明したように、本実施例におけるサイディングフレーム12は、その壁倍率は0.56となるから、本実施例におけるサイディングフレーム12は、1枚1枚が耐震性を十分に備えているということができる。
【実施例2】
【0044】
本実施例では、2枚のサイディングフレーム12を千鳥配置したときの耐震性について検証する。
なお、特記しない限り、本実施例では、実施例1と同様の条件で耐震性が検証されたものとする。
【0045】
図11は、実施例2における耐震実験装置40によるサイディングフレーム12の壁倍率の測定条件を示す図である。
図に示すように、2枚のサイディングフレーム12が千鳥配置され、一方のサイディングフレーム12の下端と、他方のサイディングフレーム12の上端とが50mm重なっている。
以下、図を用いて、本実施例におけるサイディングフレーム12の壁倍率の計算方法について説明する。
【0046】
本実施例の壁倍率は、実施例1と同様に、以下の式(1)から計算される。
壁倍率=P/1.96L ・・・(1)
Pは、前述の設置面の固定部分に対する1/120rad(=約7・75mm)変位時の加重(kN)を示す。
なお、油圧ジャッキ42は、図に示すように、リンク部材dにおけるリンク中心44aと略等しい高さ部分、及びリンク部材bにおけるリンク中心44bと略等しい高さ部分に対して略垂直に加圧するものとする(P=P1,P2)。
また、図に示すように、本実施例におけるLは、サイディングフレーム12の幅の2倍強の長さである0.91mとする。
【0047】
この条件で、油圧ジャッキ41によりサイディングフレーム12の各側面を押圧したところ、それぞれ、P1=0.90kN,P2=0.91kNと測定された。
これから、壁倍率(P1)=0.90/(1.96×0.91)≒0.50,
壁倍率(P2)=0.91/(1.96×0.91)≒0.51と計算される。
【0048】
以上説明したように、本実施例における千鳥配置した2枚のサイディングフレーム12は、その壁倍率は0.50,0.51となるから、本実施例におけるサイディングフレーム12は、2枚で千鳥配置したときでも耐震性を十分に備えているということができる。
また、本実施例において、前述の実施の形態のように、このサイディングフレーム12に対してサイディングウォール13を取り付けたときは、さらに壁倍率が向上する。例えば、このサイディングウォール13の表面を厚さ0.3mmのガルバリウム鋼板とし、裏面を厚さ17.7mmの硬質ウレタンフォームとし、サイディングフレーム12に取り付けたときには、壁倍率が約0.7となり、耐震性が著しく向上した。
【0049】
<実施の形態のまとめ>
以上説明したように、本実施の形態によれば、外壁1等に互いに略平行に胴縁11を複数固定し、これら胴縁11間に、例えば格子形状の樹脂製のサイディングフレーム12を嵌合することにより、外壁1の取り壊しといった大掛かりな工事を必要とせずに家屋等の壁の強度を強化し、耐震性を向上させることが可能となる。
また、このサイディングフレーム12は、胴縁11間の任意の箇所に固定することができるので、既存の壁の強度に応じた耐震性の強化を行うことができる。
また、互いに隣接するサイディングフレーム12の胴縁11の列方向の端部を重ねるようにサイディングフレーム12を千鳥配置することで、壁の強度を保証するとともに、壁全面に配置する場合と比べてサイディングフレーム12の配置枚数を削減することが可能となる。
【0050】
なお、サイディングフレーム12は、素材の面についても、一定以上の剛性及び強度を有するものであることが好ましい。
例えば、このサイディングフレーム12の原料となる樹脂は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、変性ポリフェニリンオキシド(変性PPO)、ナイロン(PA)等であってもよい。
また、このサイディングフレーム12を軽量化するために、ガラス繊維、カーボン繊維、タルク、発泡剤等を上記の樹脂に添加するようにしてもよい。なお、この発泡剤は、サイディングフレーム12の素材の種類によって、水、炭酸ガス、ペンタン、ブタン、プロパン、ジメチルエーテル又は代替フロンが適宜選択されるものとする。
また、胴縁11も、サイディングフレーム12と同様の材質からなるとしてもよい。
【0051】
このように、サイディングフレーム12をポリプロピレン等の樹脂で成形することで、一定以上の強度を保証するとともに、腐食のおそれがなく、簡便な工程により製造することができ、この製造にかかるコストも抑えることができる。さらに、樹脂製であるサイディングフレーム12は、結露の影響を受けないため、フレーム自体の膨張や収縮に起因する寸法の狂いが生じず、安定した強度のサイディングフレーム12を提供することができる。
また、サイディングユニットの廃棄時には、サイディングフレーム12を粉砕し成型することで、容易に再利用でき、コスト面及び環境面での効果も期待できる。
【0052】
なお、上記の実施例は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施例は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施の形態におけるサイディングユニットを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態において、胴縁及びサイディングフレームを示す図である。
【図3】(a)は、本発明の一実施の形態における突起の近傍部分をさらに拡大した図であり、(b)は、(a)のA−A’線に沿った断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態において、サイディングフレームを胴縁間に複数嵌挿したときの一例を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態におけるサイディングユニットを外壁に取り付け完了した後の外観を示す図である。
【図6】図5のB−B’線に沿った断面図である。
【図7】実施例1におけるサイディングフレーム及び耐震実験装置の外観を示す図である。
【図8】耐震実験装置によるサイディングフレームの変位量の計測方法を示す図である。
【図9】実施例1における耐震実験装置によるサイディングフレームの耐震性の指標となる壁倍率の測定条件を示す図である。
【図10】実施例2における耐震実験装置によるサイディングフレームの壁倍率の測定条件を示す図である。
【図11】実施例3における耐震実験装置によるサイディングフレームの壁倍率の測定条件を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 外壁
2 柱
3 内壁
10 サイディングユニット
11 胴縁
12 サイディングフレーム
13 サイディングウォール
21〜23 釘
30 突起
31 傾斜板部
32 係止溝
33 空隙
40 耐震実験装置
41 固定具
42 油圧ジャッキ
43 変位計
44a〜44d リンク中心
a〜d リンク部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイディングユニット及びその製造方法に関し、特に、家屋等の外壁において耐震性を強化するサイディングユニット及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅が老朽化したり、居住者のライフスタイルやライフサイクルが変化したりしたときには、住空間の増築、改築、修理、修繕といったリフォームが行われる。
このような住宅のリフォームの1つに、サイディングの施工がある。このサイディングの施工は、家屋の外壁等に発泡樹脂等の胴縁を打ち付け、この胴縁に乾式の板材等をはり合わせることで、外壁の美観を向上させるとともに、外壁の強度を補強する。
【0003】
しかしながら、このサイディングの施工により外壁の美観及び強度が向上するものの、地震等の極めて強い振動に対する耐震性に問題があるものも少なくなかった。
このような耐震性の問題に対処するサイディングの施工に関するものの1つに、特許文献1が開示するところの天然石化粧パネル及びその取付構造が提案されている。
この特許文献1におけるパネルの取付構造では、外壁に鋼製のスタッド材で枠状の下地を組み、その鋼製の枠体にサイディング用の板材(天然石化粧パネル)を引っ掛けて固定することで、外壁の美化を実現し、この特許文献1の天然石化粧パネルは、天然石の化粧板に、非金属製の割れ防止シート部材を貼り付けることにより、その天然石化粧板のひび割れ又は破砕を防止することで耐震性の向上を図るようにしている。
【0004】
また、同様に外壁の美観とともに耐震性の向上を図るサイディングの施工に関する他の例として、特許文献2が開示するところの耐震補強リフォーム構造が提案されている。
この特許文献2の耐震強度リフォーム構造では、上部補強プレートを住宅の柱と土台に取り付けるとともに、下部補強プレートを住宅の基礎に取り付け、それら両補強プレートのボルト連結部同士を、スプリング等の弾性部材を介してボルトで連結するようにしている。このようにすることにより、大地震により前述の両補強プレート間に分断力が生じた場合に、その弾性部材で振動を吸収し、住宅の崩壊を防止するようになっている。
【0005】
また、その他の家屋の耐震性構造としては、粘性のある金属等の制震装置を壁の内部に取り付けて横揺れのエネルギーを吸収するタイプや、家屋本体と基礎との間に積層ゴム等の免震装置を設置して地震時の振動を家屋本体に伝わりにくくするタイプの構造のものがある。
【特許文献1】特開2003−239503
【特許文献2】特開2004−68424
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら特許文献1,2等に開示されるような従来技術には、以下のような問題がある。
【0007】
例えば、前述の特許文献1のパネル取付構造では、外壁にはり合わせる天然石のひび割れ等を防ぐことができるものの、外壁全体の強度を補強するものではないため、地震等の際には、外壁全体の耐震性に問題がある。また、枠体は鋼製、パネルは天然石であるため、外壁自体の重量が重くなり、耐震性が低くなってしまうおそれがある。
【0008】
また、前述の特許文献2の耐震強度リフォーム構造では、外壁面の柱及び土台と、基礎との間の部分を補強するだけであり、外壁面全体を補強したものではないので、耐震性が十分ではないおそれがある。また、これらの補強具は金属製であり、防錆性に難があるおそれがある。
【0009】
その他、制震装置を壁の内部に取り付ける場合には、外壁を一旦取り壊す必要があり、コスト性に難がある。
また、家屋本体と基礎との間に積層ゴム等の免震装置を設置する場合には、家屋の建て始めのときでなくては施工が困難であるという施工性における問題が生じる。
【0010】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、外壁の取り壊しといった大掛かりな工事を必要とせずに、家屋等に住みながら外壁の美観を向上させるとともに、外壁全体の耐震性の向上を実現し、低コストで施工が容易なサイディングユニット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するため、本発明は、壁を補強するサイディングユニットであって、壁に略平行に取り付けられる複数の胴縁(胴縁11)と、互いに隣接する各胴縁間に嵌合する板状のサイディングフレームと、を有することを特徴とする。
【0012】
また、そのサイディングフレームは、内側には空隙が形成されている枠体であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明によれば、そのサイディングフレームは、内側が格子形状の枠体であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明によれば、そのサイディングフレームの両側面には弾性を備えた突起が形成されており、突起を胴縁の側面に形成された溝に嵌挿して、サイディングフレームを胴縁に嵌合することを特徴とする。
【0015】
また、本発明によれば、その突起が溝に沿って摺動可能に、サイディングフレームが胴縁間に嵌合されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明によれば、そのサイディングフレームが胴縁間に嵌合されるとき、突起がサイディングフレームの内側に弾性変形し、変形による復元力によりサイディングフレームが胴縁間に保持されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明によれば、そのサイディングフレームは、千鳥配置となるように、隣接する各胴縁間に嵌合することを特徴とする。
【0018】
また、本発明におけるサイディングユニットは、胴縁の列方向に間隔を空けてサイディングフレームを配置し、かつ、サイディングフレームの上方向の端部と、隣接する列の他のサイディングフレームの下方向の端部とが、サイディングフレームの面内の列に垂直な方向において、同一直線上に重なって位置することを特徴とする。
【0019】
また、本発明によれば、そのサイディングフレームの素材は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリルニトリルブタジエンスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニリンオキシド及びナイロンからなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明によれば、サイディングフレームは、添加剤を含有し、添加剤は、ガラス繊維、カーボン繊維、タルク及び発泡剤からなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする。
【0021】
また、本発明によれば、本発明におけるサイディングユニットは、所定の装飾が施された板状のサイディングウォール(サイディングウォール13)をさらに有し、サイディングウォールは、胴縁及びサイディングフレームを覆うように取り付けることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、壁を補強するサイディングユニットの施工方法であって、壁に略平行に複数の胴縁を取り付け固定する胴縁固定工程と、取り付けた互いに隣接する各胴縁間に、板状のサイディングフレームを嵌合し、サイディングフレームの固定位置を仮決めする固定位置決定工程と、位置決めしたサイディングフレームを固定するサイディングフレーム固定工程と、固定した胴縁及びサイディングフレームを覆うように、所定の装飾が施された板状のサイディングウォールを取り付けるサイディングウォール設置工程と、を有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明によれば、その固定位置決定工程は、サイディングフレームを、千鳥配置となるように、隣接する各胴縁間に嵌合して位置決めを行うことを特徴とする。
【0024】
また、本発明によれば、その固定位置決定工程は、サイディングフレームを、胴縁の列方向に間隔を空けて胴縁間に配置し、かつ、サイディングフレームの上下方向の端部と、隣接する列の他のサイディングフレームの上下方向の端部とが、サイディングフレームの面内の列に垂直な方向において、同一直線上に位置するように配置して位置決めを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、壁に略平行に複数の胴縁を取り付け、その隣接する各胴縁間に板状のサイディングフレームを嵌合して、壁を補強するためのサイディングユニットを形成するので、外壁の取り壊しといった大掛かりな工事を必要とせずに壁全体の耐震性の向上を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
<サイディングユニット10の構成>
まず、本発明の一実施の形態におけるサイディングユニット10の構成について図を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態におけるサイディングユニット10を示す斜視図である。
図に示すように、サイディングユニット10は、家屋等の外壁1に互いに略平行に複数本固定されるレール状の胴縁11と、これら胴縁11間に嵌合される枠体であるサイディングフレーム12と、これら胴縁11及びサイディングフレーム12を覆うように取り付けられる所定の装飾性を有するサイディングウォール13とを有して構成される。
そして、サイディングユニット10は、家屋等の既存の外壁1に取り付けることにより、その外壁1の装飾性を向上させるとともに、地震等の極めて強い振動にも耐え得る高い耐震性を可能にしている。
【0027】
図2は、サイディングユニット10を構成する胴縁11及びサイディングフレーム12の拡大図である。
図に示すように、胴縁11は、樹脂製でレール形状を形成するものであり、両側面にサイディングフレーム12を係止するための係止溝32が形成されている。
【0028】
また、サイディングフレーム12は、樹脂製で、一定の剛性を有し、一定の加重に対する強度を備える枠体である。このサイディングフレーム12の枠体の内側には多数の空隙33が形成されており、これにより、一定の強度を保証するとともに、このサイディングフレーム12を形成する素材の量の削減を図っている。
なお、この空隙33の大きさ、形状、数、繰り返しパターン等は、サイディングフレーム12に一定の強度及び軽量化を保証するものであれば限定されないが、例えば、図に示すような規則正しい格子状に形成されていてもよい。
また、サイディングフレーム12の枠の内側が格子形状を形成しているときには、この格子が筋交いの役割を果たし、サイディングフレーム12の強度を補強することができる。特に、サイディングフレーム12の強度を補強するためには、この枠の角の対角線上に格子を形成することが好ましい。
また、サイディングフレーム12の両側面には、胴縁11に嵌合するための弾性を有する突起30がサイディングフレーム12の外向きに一体形成されている。これらの突起30を前述の胴縁11の係止溝32に嵌挿することにより、サイディングフレーム12を胴縁11間に取り付けるようにしている。
【0029】
また、サイディングウォール13は、所定の装飾が施された板状のパネルである。サイディングユニット施工時には、サイディングウォール13を、胴縁11及びこれら胴縁11間に嵌合されたサイディングフレーム12を覆うように設置する。
【0030】
ここで、そのサイディングフレーム12を胴縁11間に嵌合する機構について図を用いて説明する。
図3(a)は、サイディングフレーム12の突起30近傍の部分をさらに拡大した図であり、(b)は、その(a)のA−A’線に沿った断面図である。
図に示すように、サイディングフレーム12の側面に設けられている突起30は、断面略V字状に折り返された相対向する2つの傾斜板部31から構成されている。
このサイディングフレーム12の一方の側面の突起30の先端から、他の側面の突起30の先端までの長さをサイディングフレーム12の幅とすると、このサイディングフレーム12の幅は、外壁1に略平行に設置された胴縁11間の幅よりも若干長く形成されている。
このように形成することで、サイディングフレーム12を胴縁11間に嵌挿したとき、図3(a)の矢印Xの方向に力が加わり、傾斜板部31がV字内側(矢印Y及びY’方向)に撓曲する。すると、一旦撓曲した傾斜板部31の復元力により、突起30が係止溝32を押圧する。この結果、矢印X方向とは逆方向の矢印Z方向の力がはたらき、サイディングフレーム12が胴縁11で係止保持されるようになる。
このようにして、係止溝32に沿った力を加えることで、サイディングフレーム12を係止溝32方向に自由に摺動させることができるとともに、その力を加えないときには、サイディングフレーム12を係止溝32に沿った任意の位置で係止することが可能となる。これにより、他の器具等を用いずに簡単にサイディングフレーム12を位置決めし、係止することができるようになる。
なお、予め、傾斜板部31をV字内側に若干撓曲させて形成しておくことが好ましい。このようにすることで、突起30に十分な弾性を保証することができる。
【0031】
図4は、このようにして、サイディングフレーム12を胴縁11間に複数嵌挿したときの一例を示す図である。
図に示すように、胴縁11間の各列においてサイディングフレーム12を一定の間隔をおいて千鳥配置とすることで、壁の耐震性を十分に補強することが可能となるとともに、外壁1全面に配置する場合と比べて、配置するサイディングフレーム12の枚数を削減しコスト面の効果も期待することができる。
また、このように一定の間隔をおいて千鳥配置にするとき、図に示すように、互いに隣接する各サイディングフレーム12の胴縁11列方向の端部が一部重なるようにすることで、壁の強度をさらに強化して耐震性を向上させることができる。すなわち、外壁1面内(サイディングフレーム12面内)における胴縁11の列に対する垂直方向から見て、あるサイディングフレーム12の上端部と、それに隣接する他のサイディングフレーム12の下端部とが同一直線上に並ぶように千鳥配置にすることにより、壁面内の強度を強化することができる。
例えば、前述のサイディングフレーム12の幅を450mm程度、この幅と垂直方向の長さを505mm程度、厚さを15mm程度としたとき、図に示すように、隣接し合うサイディングフレーム12の端部が50mm程度重なるように配置すると十分な耐震性が得られる。また、窓枠近傍等、壁面で強度がやや弱い箇所に対しては、前述の重なり部分をさらに長くとることで高い耐震性が保証される。
【0032】
<サイディングユニット10の設置方法>
次に、家屋等の外壁1に対する、サイディングユニット10の設置方法について図1を用いて説明する。
サイディングユニット10を外壁1に取り付けるときには、まず、図に示すように、外壁1にレール状の胴縁11を釘等で複数本互いに略平行に固定する。そして、格子状で樹脂製のサイディングフレーム12をそれら互いに略平行な胴縁11間に嵌合し、任意の位置に一時的に保持する。
そして、その嵌合したサイディングフレーム12を胴縁11間に沿ってスライドさせ、固定位置を決定した後、胴縁11に釘を打ち付ける等して固定する。
次に、互いに固定したこれら胴縁11及びサイディングフレーム12上に、所定の装飾が施されたサイディングウォール13を覆設し、このサイディングウォール13を胴縁11に釘23等で固定し、サイディングユニット10の取り付けが完了する。
【0033】
図5には、このサイディングユニット10を外壁1に取り付け完了後の外観が示されている。
図に示すように、外壁1、胴縁11及びサイディングフレーム12は、所定の装飾が施されたサイディングウォール13により覆われ、隠蔽される。
【0034】
図6は、その図5のB−B’線に沿った断面図である。
図に示すように、家屋等の柱2には、外壁1及び内壁3が釘等で打ち付けられている。
また、胴縁11には釘21が外壁1を貫通し柱2に達するように打ち付けられ、胴縁11は柱2に固定されている。
さらに、サイディングフレーム12には釘22が胴縁11に達するように打ち付けられ、サイディングフレーム12は胴縁11に固定されている。
そして、それら胴縁11及びサイディングフレーム12を覆うようにサイディングウォール13が取り付けられている。
【実施例1】
【0035】
以下、前述のサイディングフレーム12の1枚分の耐震性について検証する。本実施例では、後述する耐震実験装置40を用いて、建築物の壁の強度を示す壁倍率をサイディングフレーム12について測定し、その耐震性について検討する。なお、この壁倍率は、高い数値であるほど、その壁の強度も高いと見なすことができる。
【0036】
図7は、実施例1におけるサイディングフレーム12及びこのサイディングフレーム12の壁倍率を測定する耐震実験装置40の外観を示す図である。
また、図8は、この耐震実験装置40の構造を詳細に示した図である。
以下、これらの図を用いて、この耐震実験装置40によるサイディングフレーム12の壁倍率の測定方法について説明する。
【0037】
図に示すように、この耐震実験装置40は、胴縁11及びサイディングフレーム12を設置面に固定する固定具41と、それら胴縁11及びサイディングフレーム12が固定された固定具41の一部を押圧する油圧ジャッキ42と、この押圧によるサイディングフレーム12の変位量を測定する変位計43とを有して構成される。
なお、この耐震実験装置40では、油圧ジャッキ42による加重を任意の値に調整可能であるとともに、その加重(N)を表示する機能を備えている。
【0038】
また、図に示すように、前述の固定具41は、設置面側だけ固定された4節の平行リンク機構を成している。この固定具41は、リンク部材a,b,c,dがリンク中心44a,44b,44c,44dに回動自在に取り付けられて構成される。これら2組のそれぞれ対向するリンク部材、すなわちリンク部材(a,c)の組及び(b,d)の組は、その長さが略等しくかつ互いに略平行に取り付けられている。
ここで、油圧ジャッキ42がリンク部材d側を加重すると、リンク部材a,b,dは、リンク中心44a〜44dを軸に回動し、図に点線で示すリンク部材a’,b’,d’の位置に移動する。
このとき、変位計43は、平行移動したリンク部材a(a’)の押圧方向の変位を測定する。
【0039】
図9は、その耐震実験装置40に1枚のサイディングフレーム12を取り付けたものを示す図である。
図に示すように、油圧ジャッキ42が、リンク部材dにおいて、サイディングフレーム12の高さ方向上端に対応する部分を押圧し加重すると、リンク部材aがリンク機構により押圧方向に変位する。それとともに、この固定具41に固定されているサイディングフレーム12が撓み、そのフレーム12の高さ方向上端が押圧方向に変位する。
変位計43は、加重時及び非加重時における固定具41の加重部分の位置を測定することで、この固定具41に固定されているサイディングフレーム12の変位量を測定し、この変位量から壁倍率について測定できるようになっている。
【0040】
図10は、実施例1における耐震実験装置40によるサイディングフレーム12の壁倍率の測定条件を示す図である。
以下、図を用いて、本実施例におけるサイディングフレーム12の壁倍率の計算方法について説明する。
なお、本実施例では、サイディングフレーム12は、ポリプロピレン樹脂90%、ガラス繊維10%を用いて成型した。このサイディングフレーム12を、前述の実施の形態のように、胴縁11間に嵌合して釘22で固定している。
また、このサイディングフレーム12の幅は0.455m、高さは0.505mとする。また、このサイディングフレーム12の枠体内には、ピッチ7cm程で各格子幅が2cm程の格子形状が形成されているものとする。
【0041】
サイディングフレーム12の壁倍率は、前述の変位量を用い、以下の式(1)から計算される。
壁倍率=P/1.96L ・・・(1)
Pは、固定具41が、設置面の固定部分に対して1/120rad(=約4.2mm)変位したときの油圧ジャッキ42による加重(kN)を示す。
なお、油圧ジャッキ42は、図に示すように、リンク部材dにおけるリンク中心44aと略等しい高さに対して略垂直に加圧するものとする。
また、図に示すように、Lはサイディングフレーム12の幅の長さを示し、本実施例では0.455mとする。
【0042】
この条件で、油圧ジャッキ41によりサイディングフレーム12の側面を押圧したところ、P=0.50kNと測定された。
これから、壁倍率=0.50/(1.96×0.455)≒0.56と計算される。
【0043】
以上説明したように、本実施例におけるサイディングフレーム12は、その壁倍率は0.56となるから、本実施例におけるサイディングフレーム12は、1枚1枚が耐震性を十分に備えているということができる。
【実施例2】
【0044】
本実施例では、2枚のサイディングフレーム12を千鳥配置したときの耐震性について検証する。
なお、特記しない限り、本実施例では、実施例1と同様の条件で耐震性が検証されたものとする。
【0045】
図11は、実施例2における耐震実験装置40によるサイディングフレーム12の壁倍率の測定条件を示す図である。
図に示すように、2枚のサイディングフレーム12が千鳥配置され、一方のサイディングフレーム12の下端と、他方のサイディングフレーム12の上端とが50mm重なっている。
以下、図を用いて、本実施例におけるサイディングフレーム12の壁倍率の計算方法について説明する。
【0046】
本実施例の壁倍率は、実施例1と同様に、以下の式(1)から計算される。
壁倍率=P/1.96L ・・・(1)
Pは、前述の設置面の固定部分に対する1/120rad(=約7・75mm)変位時の加重(kN)を示す。
なお、油圧ジャッキ42は、図に示すように、リンク部材dにおけるリンク中心44aと略等しい高さ部分、及びリンク部材bにおけるリンク中心44bと略等しい高さ部分に対して略垂直に加圧するものとする(P=P1,P2)。
また、図に示すように、本実施例におけるLは、サイディングフレーム12の幅の2倍強の長さである0.91mとする。
【0047】
この条件で、油圧ジャッキ41によりサイディングフレーム12の各側面を押圧したところ、それぞれ、P1=0.90kN,P2=0.91kNと測定された。
これから、壁倍率(P1)=0.90/(1.96×0.91)≒0.50,
壁倍率(P2)=0.91/(1.96×0.91)≒0.51と計算される。
【0048】
以上説明したように、本実施例における千鳥配置した2枚のサイディングフレーム12は、その壁倍率は0.50,0.51となるから、本実施例におけるサイディングフレーム12は、2枚で千鳥配置したときでも耐震性を十分に備えているということができる。
また、本実施例において、前述の実施の形態のように、このサイディングフレーム12に対してサイディングウォール13を取り付けたときは、さらに壁倍率が向上する。例えば、このサイディングウォール13の表面を厚さ0.3mmのガルバリウム鋼板とし、裏面を厚さ17.7mmの硬質ウレタンフォームとし、サイディングフレーム12に取り付けたときには、壁倍率が約0.7となり、耐震性が著しく向上した。
【0049】
<実施の形態のまとめ>
以上説明したように、本実施の形態によれば、外壁1等に互いに略平行に胴縁11を複数固定し、これら胴縁11間に、例えば格子形状の樹脂製のサイディングフレーム12を嵌合することにより、外壁1の取り壊しといった大掛かりな工事を必要とせずに家屋等の壁の強度を強化し、耐震性を向上させることが可能となる。
また、このサイディングフレーム12は、胴縁11間の任意の箇所に固定することができるので、既存の壁の強度に応じた耐震性の強化を行うことができる。
また、互いに隣接するサイディングフレーム12の胴縁11の列方向の端部を重ねるようにサイディングフレーム12を千鳥配置することで、壁の強度を保証するとともに、壁全面に配置する場合と比べてサイディングフレーム12の配置枚数を削減することが可能となる。
【0050】
なお、サイディングフレーム12は、素材の面についても、一定以上の剛性及び強度を有するものであることが好ましい。
例えば、このサイディングフレーム12の原料となる樹脂は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、変性ポリフェニリンオキシド(変性PPO)、ナイロン(PA)等であってもよい。
また、このサイディングフレーム12を軽量化するために、ガラス繊維、カーボン繊維、タルク、発泡剤等を上記の樹脂に添加するようにしてもよい。なお、この発泡剤は、サイディングフレーム12の素材の種類によって、水、炭酸ガス、ペンタン、ブタン、プロパン、ジメチルエーテル又は代替フロンが適宜選択されるものとする。
また、胴縁11も、サイディングフレーム12と同様の材質からなるとしてもよい。
【0051】
このように、サイディングフレーム12をポリプロピレン等の樹脂で成形することで、一定以上の強度を保証するとともに、腐食のおそれがなく、簡便な工程により製造することができ、この製造にかかるコストも抑えることができる。さらに、樹脂製であるサイディングフレーム12は、結露の影響を受けないため、フレーム自体の膨張や収縮に起因する寸法の狂いが生じず、安定した強度のサイディングフレーム12を提供することができる。
また、サイディングユニットの廃棄時には、サイディングフレーム12を粉砕し成型することで、容易に再利用でき、コスト面及び環境面での効果も期待できる。
【0052】
なお、上記の実施例は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施例は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施の形態におけるサイディングユニットを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態において、胴縁及びサイディングフレームを示す図である。
【図3】(a)は、本発明の一実施の形態における突起の近傍部分をさらに拡大した図であり、(b)は、(a)のA−A’線に沿った断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態において、サイディングフレームを胴縁間に複数嵌挿したときの一例を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態におけるサイディングユニットを外壁に取り付け完了した後の外観を示す図である。
【図6】図5のB−B’線に沿った断面図である。
【図7】実施例1におけるサイディングフレーム及び耐震実験装置の外観を示す図である。
【図8】耐震実験装置によるサイディングフレームの変位量の計測方法を示す図である。
【図9】実施例1における耐震実験装置によるサイディングフレームの耐震性の指標となる壁倍率の測定条件を示す図である。
【図10】実施例2における耐震実験装置によるサイディングフレームの壁倍率の測定条件を示す図である。
【図11】実施例3における耐震実験装置によるサイディングフレームの壁倍率の測定条件を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 外壁
2 柱
3 内壁
10 サイディングユニット
11 胴縁
12 サイディングフレーム
13 サイディングウォール
21〜23 釘
30 突起
31 傾斜板部
32 係止溝
33 空隙
40 耐震実験装置
41 固定具
42 油圧ジャッキ
43 変位計
44a〜44d リンク中心
a〜d リンク部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁を補強するサイディングユニットであって、
壁に略平行に取り付けられる複数の胴縁と、
前記互いに隣接する各胴縁間に嵌合する板状のサイディングフレームと、
を有することを特徴とするサイディングユニット。
【請求項2】
前記サイディングフレームは、内側には空隙が形成されている枠体であることを特徴とする請求項1記載のサイディングユニット。
【請求項3】
前記サイディングフレームは、内側が格子形状の枠体であることを特徴とする請求項2記載のサイディングユニット。
【請求項4】
前記サイディングフレームの両側面には弾性を備えた突起が形成されており、該突起を前記胴縁の側面に形成された溝に嵌挿して、前記サイディングフレームを前記胴縁に嵌合することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のサイディングユニット。
【請求項5】
前記突起が前記溝に沿って摺動可能に、前記サイディングフレームが前記胴縁間に嵌合されることを特徴とする請求項4記載のサイディングユニット。
【請求項6】
前記サイディングフレームが前記胴縁間に嵌合されるとき、前記突起が前記サイディングフレームの内側に弾性変形し、該変形による復元力により前記サイディングフレームが胴縁間に保持されることを特徴とする請求項4または5記載のサイディングユニット。
【請求項7】
前記サイディングフレームは、千鳥配置となるように、前記隣接する各胴縁間に嵌合することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のサイディングユニット。
【請求項8】
前記サイディングユニットは、前記胴縁の列方向に間隔を空けて前記サイディングフレームを配置し、
かつ、前記サイディングフレームの上方向の端部と、隣接する列の他のサイディングフレームの下方向の端部とが、前記サイディングフレームの面内の前記列に垂直な方向において、同一直線上に重なって位置することを特徴とする請求項7記載のサイディングユニット。
【請求項9】
前記サイディングフレームの素材は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリルニトリルブタジエンスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニリンオキシド及びナイロンからなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のサイディングユニット。
【請求項10】
前記サイディングフレームは、添加剤を含有し、該添加剤は、ガラス繊維、カーボン繊維、タルク及び発泡剤からなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のサイディングユニット。
【請求項11】
前記サイディングユニットは、所定の装飾が施された板状のサイディングウォールをさらに有し、
前記サイディングウォールは、前記胴縁及び前記サイディングフレームを覆うように取り付けることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のサイディングユニット。
【請求項12】
壁を補強するサイディングユニットの施工方法であって、
壁に略平行に複数の胴縁を取り付け固定する胴縁固定工程と、
前記取り付けた互いに隣接する各胴縁間に、板状のサイディングフレームを嵌合し、前記サイディングフレームの固定位置を仮決めする固定位置決定工程と、
前記位置決めしたサイディングフレームを固定するサイディングフレーム固定工程と、
前記固定した胴縁及び前記サイディングフレームを覆うように、所定の装飾が施された板状のサイディングウォールを取り付けるサイディングウォール設置工程と、
を有することを特徴とするサイディングユニットの施工方法。
【請求項13】
前記固定位置決定工程は、前記サイディングフレームを、千鳥配置となるように、前記隣接する各胴縁間に嵌合して位置決めを行うことを特徴とする請求項12記載のサイディングユニットの施工方法。
【請求項14】
前記固定位置決定工程は、前記サイディングフレームを、前記胴縁の列方向に間隔を空けて前記胴縁間に配置し、
かつ、前記サイディングフレームの上下方向の端部と、隣接する列の他のサイディングフレームの上下方向の端部とが、前記サイディングフレームの面内の前記列に垂直な方向において、同一直線上に位置するように配置して位置決めを行うことを特徴とする請求項13記載のサイディングユニットの施工方法。
【請求項1】
壁を補強するサイディングユニットであって、
壁に略平行に取り付けられる複数の胴縁と、
前記互いに隣接する各胴縁間に嵌合する板状のサイディングフレームと、
を有することを特徴とするサイディングユニット。
【請求項2】
前記サイディングフレームは、内側には空隙が形成されている枠体であることを特徴とする請求項1記載のサイディングユニット。
【請求項3】
前記サイディングフレームは、内側が格子形状の枠体であることを特徴とする請求項2記載のサイディングユニット。
【請求項4】
前記サイディングフレームの両側面には弾性を備えた突起が形成されており、該突起を前記胴縁の側面に形成された溝に嵌挿して、前記サイディングフレームを前記胴縁に嵌合することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のサイディングユニット。
【請求項5】
前記突起が前記溝に沿って摺動可能に、前記サイディングフレームが前記胴縁間に嵌合されることを特徴とする請求項4記載のサイディングユニット。
【請求項6】
前記サイディングフレームが前記胴縁間に嵌合されるとき、前記突起が前記サイディングフレームの内側に弾性変形し、該変形による復元力により前記サイディングフレームが胴縁間に保持されることを特徴とする請求項4または5記載のサイディングユニット。
【請求項7】
前記サイディングフレームは、千鳥配置となるように、前記隣接する各胴縁間に嵌合することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のサイディングユニット。
【請求項8】
前記サイディングユニットは、前記胴縁の列方向に間隔を空けて前記サイディングフレームを配置し、
かつ、前記サイディングフレームの上方向の端部と、隣接する列の他のサイディングフレームの下方向の端部とが、前記サイディングフレームの面内の前記列に垂直な方向において、同一直線上に重なって位置することを特徴とする請求項7記載のサイディングユニット。
【請求項9】
前記サイディングフレームの素材は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリルニトリルブタジエンスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニリンオキシド及びナイロンからなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のサイディングユニット。
【請求項10】
前記サイディングフレームは、添加剤を含有し、該添加剤は、ガラス繊維、カーボン繊維、タルク及び発泡剤からなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のサイディングユニット。
【請求項11】
前記サイディングユニットは、所定の装飾が施された板状のサイディングウォールをさらに有し、
前記サイディングウォールは、前記胴縁及び前記サイディングフレームを覆うように取り付けることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のサイディングユニット。
【請求項12】
壁を補強するサイディングユニットの施工方法であって、
壁に略平行に複数の胴縁を取り付け固定する胴縁固定工程と、
前記取り付けた互いに隣接する各胴縁間に、板状のサイディングフレームを嵌合し、前記サイディングフレームの固定位置を仮決めする固定位置決定工程と、
前記位置決めしたサイディングフレームを固定するサイディングフレーム固定工程と、
前記固定した胴縁及び前記サイディングフレームを覆うように、所定の装飾が施された板状のサイディングウォールを取り付けるサイディングウォール設置工程と、
を有することを特徴とするサイディングユニットの施工方法。
【請求項13】
前記固定位置決定工程は、前記サイディングフレームを、千鳥配置となるように、前記隣接する各胴縁間に嵌合して位置決めを行うことを特徴とする請求項12記載のサイディングユニットの施工方法。
【請求項14】
前記固定位置決定工程は、前記サイディングフレームを、前記胴縁の列方向に間隔を空けて前記胴縁間に配置し、
かつ、前記サイディングフレームの上下方向の端部と、隣接する列の他のサイディングフレームの上下方向の端部とが、前記サイディングフレームの面内の前記列に垂直な方向において、同一直線上に位置するように配置して位置決めを行うことを特徴とする請求項13記載のサイディングユニットの施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−126929(P2007−126929A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322088(P2005−322088)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(595135707)株式会社ウエスト (3)
【出願人】(000138244)株式会社モルテン (105)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(595135707)株式会社ウエスト (3)
【出願人】(000138244)株式会社モルテン (105)
【Fターム(参考)】
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