説明

サイドロック装置

【課題】組み付け時の意匠表面の傷つきを防止し品質を安定させるとともに、各種形状のドアパネルのロックに共用できるようにし安価とする。
【解決手段】操作ノブ2とリンク部材4とが一体化したノブユニット1を形成し、そのノブユニット1をドアパネルに固定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納ボックスの開口を開閉するドアパネルに設けられ、ドアパネルの正面視に対して左右方向に延びるロック棒が収納ボックスの側壁に形成された係合孔に係合することでドアパネルを閉状態で保持し、ロック棒が係合孔から外れることでドアパネルを開状態とする閂状のサイドロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のグラブボックスには、サイドロック装置が配設されている。このサイドロック装置は、グラブボックスの開口を開閉するドアをグラブボックスにロックし、走行時の振動や急加減速時などに開くのを規制するものである。
【0003】
一般的なサイドロック装置は、揺動可能な操作ノブと、互いに逆方向にスライド移動可能な左右一対の二つのロック棒と、を持ち、ドアに取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。二つのロック棒は、ボックス本体の側壁に向けて突出する方向に付勢されている。各ロック棒の先端部は、ボックス本体の左右側壁に形成されている係合穴に係合する。このため、ドアはボックス本体にロックされた状態を維持することができる。
【0004】
操作ノブの下端を引くなどして揺動させると、二つのロック棒がそれぞれボックス本体から離れる方向にスライドし、各ロック棒の先端部とボックス本体との係合が解除される。このため、ロックが解除され、ドアはボックス本体に対して移動可能になりボックス本体を開くことができる。
【0005】
ところで従来は、ロック不良対策として、二つのロック棒をそれぞれ単独で動作させるのが良いとされてきた。一方のロック棒が動作しなくても、他方のロック棒が動作すれば、ドアをボックス本体にロックできるためである。しかし、二つのロック棒をそれぞれ単独で動作させるためには、操作ノブの揺動を各ロック棒に伝達するための部品が数多く必要になる。このため、サイドロック装置の製造コストを低減し難い問題があった。
【0006】
また、二つのロック棒をそれぞれ単独で動作させる場合には、ドアがボックス本体に対して位置ズレすることにより、一方のロック棒のみが係合穴に係合する場合がある。この場合には、ドアが位置ズレした状態でボックス本体にロックされるために、サイドロック装置やドアに大きな力が加わり、サイドロック装置やドアが変形する可能性がある。したがって近年では、左右の二つのロック棒が同期して動作するサイドロック装置が求められている。
【0007】
そこで特開2009−235794号公報には、二つのロック棒が同期して動作し、製造コストを低減できるサイドロック装置が提案されている。このサイドロック装置は、操作ノブの操作によって回動するリンク部材を配置し、リンク部材の回動軸に突出形成された一対のリンク軸に左右一対のロック棒を保持している。したがって操作ノブを操作するだけで、左右一対のロック棒を同期して移動させロックを解除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3863837号公報
【特許文献2】特開2009−235794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが特許文献2に記載のサイドロック装置では、比較的大型のドアパネルに対して、比較的小型の操作ノブ、操作ノブ付勢バネ、リンク部材などを各々組み付ける必要があり、組み付け作業性が悪いという問題があった。また組み付けの際に、ドアパネル又は操作ノブの意匠面を傷つけ易いという問題もある。
【0010】
さらに、ドアパネルに対するリンク部材の角度を所定位置に調整しなければならず、組み付け品質を安定させるのが難しかった。また操作ノブとリンク部材を保持するためには、ドアパネルの裏面側に所定の保持構造を形成する必要があるが、ドアパネルは車種によって種々の意匠をもつため、保持構造がアンダーカットとなる場合にはドアパネルとの一体成形が困難となり、製造コストが高くなるという不具合になる。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、操作ノブとリンク部材とが一体化したユニットを形成し、そのユニットをドアパネルに固定することで、上記した不具合を回避することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明のサイドロック装置の特徴は、収納ボックスの開口を開閉するドアパネルに設けられ、ドアパネルの正面視に対して左右方向に延びるロック棒が収納ボックスの側壁に形成された係合孔に係合することでドアパネルを閉状態で保持し、ロック棒が係合孔から外れることでドアパネルを開状態とする閂状のロック装置であって、
ドアパネルに固定されるベース部材と、
意匠面と、意匠面と反対側に形成された押圧部と、をもち、ベース部材に近接する方向及び遠ざかる方向へ相対移動可能にベース部材に保持された操作ノブと、
回動軸と、回動軸から延びその端部に該ロック棒の一端部が保持されるリンク軸と、回動軸から延び押圧部と係合する被押圧部と、をもち、回動軸でベース部材に回動自在に保持されたリンク部材と、
ロック棒が係合孔に係合する方向へリンク部材を付勢するリンク付勢手段と、が一体化されてなるノブユニットを備え、
操作ノブがベース部材に近接する方向へ相対移動したときに、押圧部が被押圧部と係合しリンク付勢手段の付勢力に抗してリンク部材が回動することでロック棒が係合孔から外れドアパネルが開口を開くことにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明のサイドロック装置によれば、ベース部材と操作ノブとリンク部材とリンク付勢手段とが一体化したノブユニットを形成し、ベース部材をドアパネルに固定することでノブユニットがドアパネルに固定されている。したがってサイドロック装置のドアパネルへの組み付け作業が容易になるとともに、ドアパネルの意匠面の傷付きを防止することができる。
【0014】
またドアパネルの裏面側に保持部などを形成する必要が無いため、各種意匠形状のドアパネルにもノブユニットを容易に保持することができる。したがって複数の車種で一つのノブユニットを共用することが可能となり、大幅なコストダウンを図ることができる。
【0015】
ベース部材は、リンク付勢手段の付勢力に抗して回動軸を中心に回動されたリンク部材を所定の回動角位置で係止する係止部を有することが望ましい。このようにすれば、リンク部材が所定の回動角位置で保持されたノブユニットとすることができ、ドアパネルへの固定時にリンク部材の角度を調整する作業が不要となり作業性が著しく改善される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に係るサイドロック装置に用いられたノブユニットの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係るサイドロック装置を備えたグラブドアを裏面側からみた斜視図である。
【図3】本発明の一実施例に係るサイドロック装置を備えたグラブボックスとグラブドアの要部断面図である。
【図4】本発明の一実施例に係るサイドロック装置に用いられたノブユニットのベース部材を組み付け途中の状態で示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施例に係るサイドロック装置に用いられたノブユニットを裏面側から見た斜視図である。
【図6】本発明の一実施例に係るサイドロック装置に用いられたグラブドアを一部破断して表面側から見た要部斜視図である。
【図7】本発明の一実施例に係るサイドロック装置に用いられたノブユニットを表面側から見た斜視図である。
【図8】本発明の一実施例に係るサイドロック装置に用いられたグラブドアを一部破断して裏面側から見た要部斜視図である。
【図9】本発明の一実施例に係るサイドロック装置に用いられたノブユニットをもつグラブドアを一部破断して表面側から見た要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のサイドロック装置は、収納ボックスと、収納ボックスの開口を開閉するドアパネルと、ロック棒と、ノブユニットとから構成される。収納ボックスとしては、グラブボックス、小物入れ、コンソールボックスなどが挙げられ、従来のものをそのまま利用することができる。またドアパネル、ロック棒も従来と同様のものを用いることができる。ロック棒は、左右一対設けるのが望ましいが、片方のみ用いられる場合もある。
【0018】
本発明の最大の特徴は、ノブユニットにある。このノブユニットは、ベース部材と、操作ノブと、リンク部材と、リンク付勢手段と、から構成されている。ベース部材は、操作ノブ、リンク部材及びリンク付勢手段を保持した状態で、ドアパネルに固定されるものであり、ノブユニットの基体をなす。
【0019】
操作ノブは略板状をなし、意匠面と、意匠面と反対側に形成された押圧部と、を有する。意匠面は、通常はドアパネルの表面と一体的に連続した表面であり、一般的にはドアパネルの意匠表面と同様の意匠表面とされる。押圧部は、操作ノブが押圧されたときに後述するリンク部材の被押圧部と係合する部位であり、柱形状あるいは突起形状とされる。この操作ノブは、ベース部材に近接する方向及び遠ざかる方向へ相対移動可能にベース部材に保持され、人が操作することによってベース部材に近接する方向へ相対移動する。操作ノブをベース部材に揺動自在に保持してもよいし、スライド移動自在に保持することもできる。例えば上端部と下端部の間を揺動自在に保持した場合は、上端部を押す、あるいは下端部を引くことで操作ノブを揺動させることができ、上端部をベース部材に近接する方向へ相対移動させることができる。したがって揺動軸より上端部側に押圧部を形成しておけば、押圧部と被押圧部との係合によってリンク部材を回動させることができ、ロックを解除することができる。
【0020】
操作ノブは、操作されていない状態では意匠面がドアパネルの意匠表面と連続していることが望ましい。したがって操作後には元の位置へ自動的に戻るようにすることが望ましい。後述するリンク付勢手段の付勢力によってこの作用を奏させることも可能であるが、ベース部材には、操作ノブをベース部材から遠ざかる方向へ付勢するノブ付勢手段を有することが望ましい。
【0021】
このノブ付勢手段は、操作ノブをベース部材から遠ざかる方向へ付勢するものであり、操作ノブを操作していない状態で意匠面とドアパネルの意匠表面とを連続表面として意匠性を高めるとともに、操作ノブの次の操作に備える。コイルスプリングが望ましいが、板バネ、ゴム、スポンジなどを用いることもできる。
【0022】
リンク部材は、回動軸と、回動軸から延びその端部にロック棒の一端部が保持されるリンク軸と、回動軸から延び押圧部と係合する被押圧部と、をもち、回動軸でベース部材に回動自在に保持されている。リンク軸の端部にはロック棒の一端部が保持され、ロック棒の他端部はドアパネルの側壁に形成された係合孔に着脱自在に係合される。リンク軸は一つでもよいが、回動軸に対して対称に二つ形成することが望ましい。このようにすることで、一対のロック棒を一対のリンク軸にそれぞれ保持してリンク部材を回動させることで、一対のロック棒の移動方向がそれぞれ逆向きとなるので、一対のロック棒を左右一対の係合孔に係合・離脱させることができる。したがってロック時のドアパネルの安定性が向上する。なお、この場合、被押圧部は一対のリンク軸の間に形成することが望ましい。
【0023】
被押圧部は、操作ノブが操作されたときに意匠面と反対側に形成された押圧部と係合し、それによってリンク部材が回動する。例えば先端ほど径が小さくなるテーパ突起形状の押圧部が係合するようにすれば、押圧部が前進するにつれて被押圧部は押圧部の進行方向に対して直角方向へ移動し、それによってリンク部材を回動させることができる。
【0024】
リンク付勢手段は、ロック棒が係合孔に係合する方向へリンク部材を付勢する。このようにすることで、操作ノブを操作していない状態においてドアパネルが開くのを防止することができる。またアンロック時に適度な抵抗を感知でき、操作フィーリングがよい。前述したように、ノブ付勢手段を用いずとも、操作ノブの操作を解除したときにリンク付勢手段の付勢力によってリンク部材が回動するので、その回動の力によって操作ノブをベース部材から遠ざかる方向へ相対移動させることも可能である。
【0025】
ロック棒を係合孔と着脱自在に係合させるためには、操作ノブの操作距離と、押圧部と被押圧部との係合によるリンク部材の回動距離と、ロック棒の移動距離と、のバランスが重要であり、リンク部材の初期位置は一義的に決定される。しかしその初期位置となるようにリンク部材をベース部材に保持させることは、容易でなく作業性が悪い。そこで、ベース部材は、リンク付勢手段の付勢力に抗して回動軸を中心に回動されたリンク部材を所定の回動角位置で係止する係止部を有することが望ましい。係止部で係止された状態のリンク部材の位置が初期位置となるように設計しておくことで、リンク部材を容易に初期位置とすることができる。
【0026】
ベース部材は左右対称形状に形成され、一対のリンク部材を回動自在に保持する左右一対の保持部を有することが望ましい。このようにすることで、リンク部材の形状を変更して保持される保持部の位置を交換するのみで、ノブユニットを右ハンドル車と左ハンドル車のそれぞれに形成されたグラブドアの操作ノブに共用することができる。
【0027】
以下、本発明の実施形態を実施例によって具体的に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1に本実施例のサイドロック装置に用いられたノブユニットの分解斜視図を、図2にグラブドアの表面パネルを一部破断した要部斜視図を、図3にそのノブユニットをもつグラブボックスの要部断面図を示す。グラブボックス100にはグラブドア200が揺動自在に取付けられている。グラブドア200は、意匠表面をもつ表面パネル201と、略箱状の裏面パネル202とが一体化されてなる。ノブユニット1は、表面パネル201と裏面パネル202の間に配置されている。
【0029】
図6,8に示すように、表面パネル201には窓部203が形成され、窓部203の三方の周縁部には裏面側に突出する凹状の配置凹部204が形成されている。配置凹部204には左右一対のビス孔205と、左右一対の位置決め孔206が形成されている。ノブユニット1は配置凹部204に収容固定され、後述するベース部材3がビス孔205を介してスクリューで固定され、操作ノブ2が窓部203内の上部に配置されている。
【0030】
ノブユニット1は、操作ノブ2と、ベース部材3と、リンク部材4と、スプリング5と、コイルバネ6とから主として構成され、配置凹部204に固定された後にロック棒7が取付けられる。
【0031】
操作ノブ2の表面には、グラブドア200の表面パネル201と同一の意匠をもつ意匠面20が形成されている。またその裏面には、左右方向に互いに離間して配置された一対の軸受け部21が形成され、一対の軸受け部21の間には、裏面側へ高く突出し先端ほど断面積が小さなテーパ形状をもつ押圧部22が形成されている。
【0032】
ベース部材3は略板状に形成され、中央に貫通孔30を有している。ベース部材3からは左右一対の筒部31が突出形成され、それぞれの筒部31は周方向の一部が切り欠かれ、その部位に筒部31の径方向へ弾性変形可能な爪部32が立設されている。それぞれの筒部31の根元には、スプリング5の一端50が係止される凹溝状の第1係止部33が形成されている。
【0033】
第1係止部33に隣接して、徐々に高さが高くなるスロープ状のガイド面34が形成され、ガイド面34の先端には第1ストッパ35が形成されている。それぞれの筒部31の間で貫通孔30の下部には、第2ストッパ36が形成されている。また、それぞれの筒部31の左右外方にはそれぞれボス部37が突出形成され、ベース部材3の側面にはそれぞれ外方へ突出しコイルバネ6が挿通されるバネ挿通軸38が形成されている。ボス部37の近傍には、位置決めピン37aが突設されている。さらにベース部材3の筒部31と反対側表面には、一対の軸受け部21と係合する図示しない一対の軸部が互いに内方へ突出形成されている。なおベース部材3は、貫通孔30の直径を中心とした左右対称形状に形成されている。
【0034】
リンク部材4は、筒状の回動軸40と、回動軸40から180度反対方向へ延びる一対の左リンク軸41および右リンク軸42と、左リンク軸41と右リンク軸42の間で回動軸40から径方向外方へ突出するアーム43(被押圧部)とから構成されている。左リンク軸41と右リンク軸42の先端には、ロック棒7の一端が回動可能に保持される保持部44がそれぞれ形成されている。回動軸40には、内周表面にリング状の段部45が形成され、外周表面にはスプリング5の他端51が係止される凹溝状の第2係止部46が形成されている。
【0035】
このノブユニット1を組み立てる方法を説明する。本実施例では、右ハンドル車の助手席に設けられ、正面視でグラブドア200の右上に操作ノブ2が表出するグラブボックス100を対象としている。
【0036】
先ずベース部材3の左側の筒部31にスプリング5を挿通する。このときスプリング5の一端50を第1係止部33に係止させておく。次にリンク部材4の回動軸40を、爪部32を径方向内側へ弾性変形させながらスプリング5が挿通されている筒部31に挿入し、段部45を乗り越えた爪部32を段部45に係止する。図4に示すこの状態では、リンク部材4は筒部31に対し回動自在であると共に、爪部32によって筒部31からの抜け移動が規制されている。しかしリンク部材4が筒部31に対し回動自在であると、筒部31に対する左リンク軸41と右リンク軸42の角度が不定であり、ロック棒7の移動が不定となる。
【0037】
そこで第2係止部46にスプリング5の他端51を係止させ、リンク部材4をガイド面34に沿わせながら、回動軸40を中心として図4の時計回り方向へ回動させる。このとき回動に伴ってスプリング5にはリンク部材4を図4の半時計回り方向へ付勢する付勢力が蓄えられる。そしてガイド面34を乗り越えた時点で、図5に示すように、右リンク軸42が第1ストッパ35に当接し、左リンク軸41が第2ストッパ36に当接することで、リンク部材4は図5の半時計回り方向へ付勢する付勢力が蓄えられた状態で保持される。
【0038】
なお本実施例では爪係合によってリンク部材4をベース部材3に回動可能に保持しているが、鍵構造などによって回動可能に保持することもできる。
【0039】
次いでバネ挿通軸38にコイルバネ6を挿通し、リンク部材4が組み付けられたベース部材3を操作ノブ2の裏面に向かって押圧すると、図示しない一対の軸部が一対の軸受け部21に係合し、リンク部材4がベース部材3に揺動自在に保持され、本実施例に係るノブユニット1が形成される。このときコイルバネ6の一端が操作ノブ2に、他端がベース部材3に当接して押圧されることで、コイルバネ6によって操作ノブ2は上端部23がベース部材3から遠ざかる方向へ付勢され、下端部24がベース部材3の一端部39に当接することで操作ノブ2の回動が規制されている。このときアーム43の側面には、操作ノブ2の裏面から貫通孔30を貫通して突出する押圧部22が当接している。
【0040】
完成した図5に示すノブユニット1は、表面パネル201の表側から配置凹部204に配置され、位置決め孔206に位置決めピン37aが挿通されて位置決めされた後、一対のビス孔205と一対のボス部37を介して配置凹部204の裏面側から図示しないスクリューで固定される。左リンク軸41と右リンク軸42の先端の保持部44には、それぞれロック棒7の一端が保持され、ロック棒7は図示しないリテーナやガイド形状の開口に挿通された後、図2に示すように裏面パネル202の側面に形成された穴206を貫通して裏面パネル202の外側へ突出され、裏面パネル202が表面パネル201に固定される。
【0041】
図9に示すように(裏面パネル202は省略されている)、ノブユニット1の操作ノブ2が表面パネル201に形成された窓部203に表出し、操作ノブ2の意匠面20はグラブドア200の表面パネル201の表面と連続して一体意匠を構成する。こうしてグラブドア200が形成され、グラブドア200の下端がグラブボックス100に回動可能に組み付けられ、グラブドア200の上端が揺動自在となる。このときグラブドア200の上端をグラブボックス100に向かって押圧すると、一対のロック棒7は端部のテーパ面とグラブボックス100の内側面との干渉によって互いに内向きに移動し、リンク部材4はスプリング5の付勢力に抗して図5の時計回りに回転する。そしてロック棒7の先端がグラブボックス100の内側面に形成された係合孔101の位置に到達すると、スプリング5の付勢力によって一対のロック棒7が互いに外向きに移動し、係合孔101に係合することでグラブボックス100が閉状態となる。
【0042】
グラブボックス100を使用する際には、窓部203の下部から操作ノブ2の裏面側へ手指を入れ、コイルバネ6の付勢力に抗して操作ノブ2の下端部24を手前側に引くと、操作ノブ2は軸受け部21の軸芯を中心に上端部23がベース部材3に近接する方向へ揺動して、押圧部22がアーム43を下方へ押圧する。するとリンク部材4はスプリング5の付勢力に抗して図5の時計回り方向に回転し、一対のロック棒7が互いに内向きに移動してグラブボックス100の内側面に形成された係合孔101から外れ、グラブドア200がグラブボックス100の開口を開く。
【0043】
すなわち本実施例のサイドロック装置によれば、ノブユニット1を表面パネル201の表側からセットし、裏側からスクリューで固定するだけでよいので、表面パネル201の傷つきを防止することができる。またノブユニット1の組み付けも容易であり、操作ノブ2の意匠面の傷つきを防止できる。
【0044】
またノブユニット1は、各種形状のグラブドア200に共用することができるので、安価となると共に、グラブドア200の意匠の自由度が高まる。そして本実施例のようにベース部材3を左右対称形状とすれば、リンク部材4とスプリング5を変更するだけで左ハンドル車のグラブドアにも共用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本実施例ではグラブドアに本発明のサイドロック装置を適用したが、グラブドアに限るものではなく、コンソールドア、小物入れのドアなど各種収納ボックスのドアの閂ロック構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1:ノブユニット 2:操作ノブ 3:ベース部材
4:リンク部材 5:スプリング(リンク付勢手段)
6:コイルバネ(ノブ付勢手段) 7:ロック棒
20:意匠面 22:押圧部
30:貫通孔 31:筒部(保持部) 32:爪部
35:第1ストッパ(係止部) 36:第2ストッパ(係止部)
40:回動軸 41:左リンク軸 42:右リンク軸
43:アーム(被押圧部) 100:グラブボックス(収納ボックス)
101:係合孔 200:グラブドア(ドアパネル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ボックスの開口を開閉するドアパネルに設けられ、該ドアパネルの正面視に対して左右方向に延びるロック棒が該収納ボックスの側壁に形成された係合孔に係合することで該ドアパネルを閉状態で保持し、該ロック棒が該係合孔から外れることで該ドアパネルを開状態とする閂状のロック装置であって、
該ドアパネルに固定されるベース部材と、
意匠面と、該意匠面と反対側に形成された押圧部と、をもち、該ベース部材に近接する方向及び遠ざかる方向へ相対移動可能に該ベース部材に保持された操作ノブと、
回動軸と、該回動軸から延びその端部に該ロック棒の一端部が保持されるリンク軸と、該回動軸から延び該押圧部と係合する被押圧部と、をもち、該回動軸で該ベース部材に回動自在に保持されたリンク部材と、
該ロック棒が該係合孔に係合する方向へ該リンク部材を付勢するリンク付勢手段と、が一体化されてなるノブユニットを備え、
該操作ノブが該ベース部材に近接する方向へ相対移動したときに、該押圧部が該被押圧部と係合し該リンク付勢手段の付勢力に抗して該リンク部材が回動することで該ロック棒が該係合孔から外れ該ドアパネルが該開口を開くことを特徴とするサイドロック装置。
【請求項2】
前記ベース部材は、前記リンク付勢手段の付勢力に抗して前記回動軸を中心に回動された前記リンク部材を所定の回動角位置で係止する係止部を有する請求項1に記載のサイドロック装置。
【請求項3】
前記リンク軸は二つ形成され、二つの前記リンク軸の間に前記被押圧部が形成されている請求項1又は請求項2に記載のサイドロック装置。
【請求項4】
前記ベース部材には、前記操作ノブを前記ベース部材から遠ざかる方向へ付勢するノブ付勢手段が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載のサイドロック装置。
【請求項5】
前記ベース部材は貫通孔を備え、前記押圧部が前記貫通孔から突出して前記被押圧部と係合している請求項1〜4のいずれかに記載のサイドロック装置。
【請求項6】
前記ベース部材は左右対称形状に形成され、前記リンク部材を保持する左右一対の保持部を有する請求項1〜5のいずれかに記載のサイドロック装置。
【請求項7】
前記リンク部材は爪嵌合によって前記ベース部材に回動自在に保持されている請求項1〜6のいずれかに記載のサイドロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−246727(P2012−246727A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121618(P2011−121618)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】